フットボール・クレイジー
football crazy
silverboy club
presents
2013年07月28日 00:32
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【中断期間コラム】平山相太君への最後通告
僕は正直って平山相太という選手があまり好きではない。そういう前提で書く。
平山は国見高校で活躍した後、2004年、監督の勧めもあってプロの誘いを断り筑波大学に進学したが、2005年、休学(のちに中退)してオランダのヘラクレス・アルメロに入団している。最初のシーズンは31試合に出場して8ゴールと結果を残したが、翌季には監督交代で出場機会が減少、2006年9月、シーズン半ばにして帰国し、東京に入団した。「同年代の選手がたくさんいるので」というのが入団の動機だった。
東京入団時に平山は21歳。この年齢の若者に分別と責任のある立派な態度を求めるのは酷かもしれないが、僕には「甘さ」ばかりが目についた。周囲の敷いたレールに乗って大学へ、オランダへ、そして東京へ。まるで方向性とか一貫性とかいったものが感じられない。東京に入団した当初は大学に復学して大学生Jリーガーになることも視野に入れているという報道もあった。自分の置かれた立場や自分の将来、あるいは給料をもらってサッカーをするということの意味をどう考えているのか、首をひねらざるを得なかった。
オランダから帰国した経緯もパッとしなかった。言葉も通じず食事もまともにできていなかったと言われる。監督やオーナーと十分な意思疎通ができず、逃げるように日本に帰ってきたことが窺われた。だれも世話を焼いてくれない環境に独力で適応する能力、自分自身の力で逆境を切り拓いて行く危機感やハングリー精神みたいなものが決定的に欠けているのではないかと思わされた。
だいたい1年もオランダで暮らしていてオランダ語がほとんどできないというのが理解できない。ルーカスがどれだけ日本語を話すか、長友がどれだけイタリア語を話すか見てみればいい。何といっても筑波大学の学生だろう。必要に迫られ、ここで生きて行くしかない、ここで結果を出すという強い意志があるのなら、まずそこに適応しようと努力しなければならない。サッカーだけをしていればよかった整った環境にスポイルされてしまっているように僕には感じられた。
東京に入っても平山のプレーはパッとしなかった。シーズンをフルに戦った2007年から2010年、出場試合はリーグ戦100試合(シーズン平均25試合)、得点は同じく18点(4.5点)。カップ戦での活躍や数字に表れない守備、ポスト、キープなどでの貢献を考え合わせてもFWとして納得できる数字ではない(2011年、2012年は不幸にしてケガでシーズンを棒に振った)。
確かにその間、平山は少しずつ成長しているようにも見えた。ドタバタした走り方のせいで真剣にボールを追っているように見えないという欠点はあるものの、特に2008年以降は城福監督の下で流動的なフットボールの中でのFWとしてポスト、キープ、守備とサボらない動きをたたき込まれプレーの質は確かに上がったと思う。2010年には日本代表にも選ばれた。
だが、ワンタッチ、ツータッチで素早くパスをつなぎながら流動的にゴールに向かうフットボールの中で、平山のプレースタイルは決定的にスピード感に欠ける。流れがそこで止まる。身長がある割りに足許の技術も確かと評価されるが、走ることを中心に判断の速さが何より求められる現代フットボールの中では、平山は窮屈そうな恐竜のように見えてしまう。ポポヴィッチ監督の目指すフットボール(それは東京が目指すフットボールだ)には平山の居場所は見当たらない。
メンタル面はどうだろうか。僕が、平山という選手に関して「やっぱりあかんな」と思わざるを得なかったのは、このオフに岡山など複数のJ2クラブから獲得のオファーを受け、一時は移籍に傾きながらも、ポポヴィッチ監督に来季構想を聞き、「全員平等」と聞かされて残留を決めたという話を聞いた時だ。
平山はそれまで自分が構想外だと勝手に思い込み、岡山移籍を決める寸前まで悩みぬいたというのだが、それが監督の「全員平等だ」という一言(それも人づてに帰国中の監督に聞いてもらったという)で簡単にひっくり返ったらしい。自分の人生に自分で責任を持つという覚悟がまるで欠けているようで僕はがっかりした。自分のキャリア、自分の人生を真剣に考えていれば、結論はおのずから出たはずだと思うが、日の当たるJ1で、住み慣れた東京でやりたいという欲が判断を狂わせたのか。オランダから帰った時から結局あまり成長していないと思わされた。
もちろん、僕が知るのは報道などを通じたメディアの向こうの平山だ。彼には彼の思いがあり、覚悟があり、考えがあるのだろう。しかし、この男からはそれが伝わってこない。その代わりに見えてくるのは、どこまで行っても、恵まれた環境の中でのお山の大将でしかいられない甘ったれたメンタリティである。それが、おそらくはレベルの高い才能を持ち、その片鱗を常に覗かせながら、結局大成しきれないこの男の現在に大きな影を落としているはずだ。
僕は本気で平山はJ2に行くべきだと思った。そこでだれもが納得できる結果を出して帰ってきて欲しいと思っていた。しかし彼はそのチャンスを自らフイにした。
自分の運命は自分で切り拓かなければならない。彼ももう28歳だ。ケガがあったとはいえ、このままでは平山は結局期待倒れの選手に終わってしまう。甲府からオファーがあるという報道があるが、もしそうなら行くべきだと思う。環境を変え、自ら退路を断って、自分の価値が何なのか、自分が何で勝負するのか、そのためにはどこに活路を見出すべきなのか、もう一度厳しく自分に問いかけるべきだ。
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FC東京
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J1リーグ戦
2013年07月20日 21:41
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【中断期間コラム】城福浩が残したもの
城福浩について書くのはこれで最後にする。
僕が初めてFC東京の試合を味スタへ見に行ったのは2002年8月17日の名古屋戦だった。2003年からはシーズン・チケットのホルダー(SOCIO)になり、ずっとこのクラブを追い続けてきた。
原博実、アレッシャンドレ・ガーロ、倉又寿雄、大熊清、そして現在のランコ・ポポヴィッチと何人もの監督を見てきたが、その中でも2008年から2010年シーズン途中まで指揮を執った城福浩は僕にとって最も忘れられない監督である。
それまでの東京は原監督の下、サイド攻撃に特徴を持つ、どちらかといえば速効型のクラブであり、勢いに乗ればガンガン行くが、ガツンとやられると意気消沈する若いチームだった。その後、2006年にはガーロ監督を招聘してポゼッション・フットボールに挑戦したが、スタイルを切り替える痛みにクラブもサポも我慢ができず途中で監督を解任してしまった。
余談になるが、このときガーロを信頼しきれず、新しい挑戦を半ばで放り出したことで東京の進歩は2年遅れたと思う。この頃は強化にも「FC東京をどんなクラブにしたいのか」という明確な戦略が窺えなかった。原監督に再びチームを任せたが、鳴り物入りで獲得したワンチョペは実績を残せず、FC東京は中位に甘んじることになった。僕にとっては2007年は前年の2006年、あるいは2010年以上にパッとしない谷間の一年として記憶に残っている。我々は道を見失っていた。
城福浩はそんな状況の2008年、FC東京の監督に就任した。城福はムービング・フットボールという明確なコンセプトを打ち出し、長友、羽生という核になる選手を獲得した。カボレの加入も大きかった。
この年、僕はFC東京を応援するようになって初めて東京がクラブとして機能するようになったと感じた。クラブのビジョンがあり、それに沿った強化があり、監督の人選があり、そのビジョンを実現するための戦いが毎週ピッチで行われているという手ごたえがあった。
その中心にいたのが城福浩だ。熱く、論理的に、率直に思いを語る城福の姿はファンの心を惹きつけた。そしてボールを大切にし、最終ラインから何度も作り直す、前線が流動的にポジションを交換して敵のディフェンスにギャップを作り出す、くさびからスイッチを入れてスピードアップしリスクを取りながら分厚い攻撃を仕掛けて行くというはっきりしたスタイルは理に適っていた。
今思えば、城福のやり方はビジネスに似ていた。明確な方針と戦略を持ち、ビジョンをしっかり部下と共有してマネージした。外部に対してもそれを繰り返しプレゼンテーションし、組織としてのFC東京を自覚的にプロデュースして行った。それはそれまでの手なりで場当たり的なクラブ運営(そう見えていた)とは一線を画するものだった。
そして何より城福のフットボールは魅力的だった。うまく行かずにパスばかり回ってゴールにつながらないときもあったが、うまくはまれば爽快な得点シーンになった。この年、初めて味スタに足を運び、ムービング・フットボールを目の当たりにしてサポになった人を何人か知っている。FC東京にはそれだけの魅力があった。そんなことはそれまでの東京にはなかった。
城福はFC東京というクラブを新しいステージに押し上げた。2008年は最終節までACL出場権を争い勝ち点55で6位、2009年は勝ち点53で5位と、それまで中位に甘んじて具体的な目標を持てずにいたクラブを一気に上位争いのできるところまで成長させた。この成功体験はFC東京にとって大きな財産になった。
城福浩は僕たちに夢を見せてくれた。そして城福が見せてくれた夢はすぐそこにあるように見えた。
そしてあの2010年。優勝を掲げて戦った我々を待っていたのは、しかし、まさかの降格だった。
僕はこの年のつまずきの原因は強化の失敗にあったと思っている。まず、前年シーズン途中で中東に移籍してしまったカボレの穴を埋めるべきストライカーを獲得できなかったこと。そして、手薄さが指摘されていたボランチの補強ができなかったこと。この2つは致命的な失策だった。
ボランチのレギュラーに見込んでいた米本を開幕早々にケガで失い、東京は徳永をボランチ起用するしかない苦しい状況に追い込まれた。得点は前年の47から36へとほぼ4分の3に減ってしまった。失点は39から41へと2増えただけだったので、得点力不足が降格の主因になったことは明らかだった。
城福は志半ばにして解任され東京を去った。
東京はその後を大熊監督に託したが降格、2011年をJ2で戦うことになった。大熊監督は1年でのJ1復帰を果たした功労者だが、そこに城福が僕たちに見せてくれた夢はもうなかった。大熊はJ1復帰のビジョンを僕たちに語りかける明確な言葉を持たなかった。僕が大熊監督を支持も評価もしなかった理由はその一点だ。どうせ降格するなら城福と降格したかった。それくらいの覚悟は僕にはあった。
2012年、ポポヴィッチ監督就任。東京は再びポゼッション・フットボールを掲げて再出発した。だが、その基礎はガーロにあり、そして誰よりも城福にある。ポポヴィッチの挑戦が好意的に迎えられたのは、そこに森重や米本、高橋、徳永、梶山といった城福の遺伝子があったからだ。
今、我々のフットボールは確実に城福が東京に残したものの上に成り立っている。一歩下がって、1メートル動き直してパスコースを作る、その意識は2008年から2010年の間にチームに浸透したものだ。だから2011年にJ2で結果が出なかったとき、チームは自主的に「つなぎ倒す」フットボールに活路を見出したのだ。
そして、我々は、そのベースの上にポポヴィッチのフットボールを積み上げようとしている。それはまだ完成していないし(おそらく完成なんてしないだろうが)、うまく行かないときも少なくないが、少なくとも我々はそこからさらに先へ行こうとしている。だからこそ、この日の試合に負ける訳には行かなかった。我々は城福にそれを見せなければならなかった。我々のフットボールが城福の残したものの上にあること。そして我々がそこからさらに先へ行こうとしていること。それが城福への感謝に他ならないから。
城福は、敵チームの監督として味スタに来たら、まずホーム側のゴール裏に一礼したいとかねて言っていた。それはかつて、自分を支えてくれた東京サポに、きちんと挨拶できないまま去ったことへのけじめであると。今回、甲府の監督として味スタに足を踏み入れた城福は、その言葉通りホーム側ゴール裏に一礼したらしい。僕はどうしてもそれを見たかったし、城福に拍手を返したかった。平日の夜開催でそれもままならなかったが、いずれにしても城福は約束を果たした。我々も先に進まなければらならない。
この日、東京は開始1分に失点を喫しながらも、前半に追いつき後半に逆転、終盤にダメ押しして鮮やかな逆転勝ちを収めた。7連敗と苦境に立たされた城福には酷な結果になったが、城福のやろうとしたフットボールの先に何があるのかを我々は示すことができた。皮肉なことだが、我々が勝つことは、城福のやろうしているフットボールが間違っていないことを甲府に対して示すことであった。
ありがとう、城福浩。我々はその先へ行く、城福の残した夢を抱えて。
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FC東京
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J1リーグ戦
2013年07月18日 00:54
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【Jリーグ第17節】FC東京×甲府
■2013年7月17日(水) 19:30キックオフ
■味の素スタジアム
東アジア選手権のせいでムダなイングリッシュ・ウィーク。城福浩率いる甲府とのホーム・ゲームは是非とも現地で見たい試合だったが、外せない所用で自宅スカパー時差観戦となった。9時ごろ帰宅して録画を再生。幸い結果は遮断できていた。
前節新潟戦での勝利からいい流れで試合に入りたい。この試合でシーズン前半が終了ということもあり、しっかり勝ち点3を上積みしたい試合だ。
メンバーでは森重が警告累積で出場停止のため、CBはチャンと加賀のコンビに。また前線ではここ3試合先発していた三田がベンチ・スタートになりルーカスが代わって先発した。
権田
徳永 加賀 チャン 太田
米本 高橋
ルーカス 東 長谷川
渡邉
降りしきる雨の中キックオフ。試合はいきなり動く。1分、甲府に自陣深くまで攻め入られ、ゴールライン際から戻されたボールに中央で合わされ失点。実際にはまだ1分も経たないうちに0-1といきなりの先制を許してしまう。ゴールライン際でのボールへの対応が甘かったようにも思えたが、いずれにせよ集中を欠いたところをしっかり崩された。
1点のビハインドを背負った東京だったがここからはしっかりとボールを支配し攻撃を組み立てて行く。序盤はボールへの食いつきに勝る甲府にひやりとさせられるシーンもあったものの、次第に東京がボールを落ち着かせることができるようになり、主導権は東京が握る。
東京のファースト・シュートは7分、ルーカスがこぼれ球を拾って自ら切り込みシュートするがGKにセーブされる。8分、東から裏のルーカスにスルーパスが通るがオフサイド。12分、太田のFKに長谷川が頭で合わせるがGK正面。東京がリズムを作り始める。
さらに14分、太田のFKは壁に当たる。17分、渡邉が奪ったボールを自らシュートするがこれもGK正面。だが、18分、太田が左サイドから山なりのクロスを入れると、ファーでルーカスがヘディング。これが大きくバウンドしてGKの頭を超えゴールへ。東京が1-1と同点に追いつく。押している時間帯にしっかり追いつくことができたのは大きかった。
東京はその後もボールを支配するが、甲府も守備は集中しており、ここからはなかなかシュート・チャンスを作れなくなる。東京が優位に試合を進めるものの、展開自体は膠着。28分、渡邉からのパスを受けた米本が左サイドを駆け上がり自らシュートを放つがGKがセーブ。
甲府の攻撃は散発にとどまるものの、カウンターからいくつか危険なシーンを作られる。うかつなボールロストや競り負けもあるが、最終ラインでは加賀、チャンの強さで守り切り、また敵のシュートミスなどにも助けられて失点は許さない。結局、東京がボールを持ち、甲府が受けに回る中でどちらも決め手を欠いたまま1-1の同点で前半を終える。
後半に入って47分、太田のFKにファーで渡邉が飛び込むが合わず枠外。52分、東からのパスを受けた長谷川がシュートを放つがGKがセーブ。すると53分、ポポヴィッチ監督は長谷川を下げてヴチチェヴィッチを投入。前線を活性化し逆転を狙いに行く意図で敢えて早い時間帯に交替を決断したものか。ヴチチェヴィッチはそのまま左SHに入る。
その後も一進一退の攻防が続いたが、69分、左サイド太田からのクロスに中央の渡邉が頭で合わせて東京が2-1と逆転に成功。連敗中の甲府はこれで精神的におおきなダメージを受けただろうと思う。
72分、自陣からのパスを右サイドに開いたルーカスが見事なワンタッチで前線へ送ると徳永がこれを受けて裏に抜け出しクロス。中央でヴチチェヴィッチがボレーで合わせるがGKがセーブ。美しいプレーだった。
74分、ルーカスに代えて石川を投入、石川はそのまま右SHに。82分、石川が太田からパスを受けて左サイドを駆け上がり、中央へボールを送ると、敵DFを連れて斜めに走り込んできた東がニアでスルーし、ボールはファーでフリーのヴチチェヴィッチへ。ヴチチェヴィッチがこれを落ち着いて流し込み3-1と東京が試合を決定づける追加点を挙げた。
このタイミングで東を下げて三田を起用。89分、三田からのパスを受けた渡邉が右サイドに抜け出し、自ら持ち込んでシュート。枠に飛んだボールはゴール前のDFに当たったがそのままゴールに入り4-1。渡邉のゴールとなった。
結局試合は4-1で東京が2連勝。立ち上がりの失点は真摯に反省すべきだし、敵の拙攻にも助けられたとはいえ、シュート18-6、CK5-2、ポゼッション61-39と甲府を圧倒しての勝利は大きな意味を持つ。
この試合では、しっかりパスをつなぎ、流動的な前線に臆することなくくさびを当てては一気に攻め込む攻撃ができていたし、またボールの出し入れの中からサイドに展開し、クロスに中央で合わせるというシンプルな攻撃も機能していた。
守備では森重がいない最終ラインのコンビネーションが心配されたが、チャンの強さ、加賀の速さで立ち上がりの失点のみに抑えることができた。中盤での組織的な守備からのボール奪取、そこからの素早い切り替えがあって、最終ラインも安定したのだと思う。
もっとも、敵が上位のクラブであれば間違いなくやられていたというシーンもいくつかあり、まだまだ手放しで喜べる状況ではない。特に、自陣で敵のボールへの寄せを甘く見てボールを奪われたり、慌てさせられたりするシーンが前半散見された。ここをしっかり厳しく行くことができないと、優勝を狙うことはできない。
東京はこれで8勝7敗2分で勝ち点26。1試合あたりの勝ち点は1.53、8位でシーズン前半を折り返すことになった。最後に2連勝して何とか形にはなったが、甘さの残る4連戦だったことは間違いない。首位との勝ち点差は10で、逆転優勝を狙うにはもうぎりぎり。次の試合は7月31日(アウェイ清水戦)と2週間のインターバルがあるが、広島戦、浦和戦の反省をしっかり生かして、勝ちきれるチームへの最後のピースが何なのかを見つけ出したい。
評点(評点は
ドイツ式
):
権田(3.5) 試されるシーンは少なかったが雨の中でも安定したキャッチング。
徳永(3.5) 太田に隠れて自重したが機を見た攻撃参加は効果的だった。
加賀(3.5) 最終ラインでの対処は多くなかったがしっかり抑え込んだ。
チャン(3.5) 対応しきれず中に入られるシーンもあったが強さで特徴見せた。
太田(2.5) 2アシストのみならず素晴らしいボールを供給。今日のMOTでいい。
米本(3) 中盤でのボール奪取が効いていた。シュートは決めたかった。
高橋(3) 中盤でボールを落ち着かせボールの供給役として光っていた。
ルーカス(3) ルーカスがここで頑張ってくれるのは大きい。得点も嬉しいね。
東(3.5) いい働きでチャンスに絡んだ。3点目のスルーでごはん3杯は行ける。
長谷川(3.5) 功を焦ったか前線に張り付いてギャップを作れず。
渡邉(3) 積極的にボールを追い続けた結果の2得点。得点王行けるで、これ。
===
ヴチチェヴィッチ(3.5) リスクはあってもチャレンジして今季初ゴール。
石川(3.5) 3点目は見事なアシスト。スーパーサブ石川は価値が高い。
三田(-) 時間短し。
この試合、キックオフ前にアイドリング!!!のショーがあったそうで、その意味でも見ておきたかったなあ…。
ああ、あと、試合はスカパーTBSチャンネルで放送されていたのだが、この映像のスイッチングがひどかったことは書いておかないと気が済まない。プレーオンなのに、その前のプレーに関わった選手の寄りを映していて次のシーンが見られなかったケースが再三あった。今まで見た中で最もストレスのたまる最低のスイッチングだった。
クイック・リスタートとかならまだしも、普通にプレーが続いてボールが動いているのに歩いている選手を映していて、引きに画面が戻ったらシュートしてたとかあり得ない。何を考えているのか。理解のできない制作だった。
そして、城福浩とこのスタジアムで戦うことにはもちろん特別の感慨があった。それについては2週間のうちに稿を改めたいが、城福の率いるクラブにきちんと勝てたことは、我々が彼の残したものの上に何を積み上げることができたかを示していると思う。この試合で勝利という結果を出せたことには大きな意味があった。
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FC東京
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J1リーグ戦
2013年07月13日 23:55
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【Jリーグ第16節】新潟×FC東京
■2013年7月13日(土) 19:00キックオフ
■東北電力ビッグスワンスタジアム
この暑いときに何でこんな日程で戦わなければならないのかよく分からないが、前節から中二日でのアウェイ連戦。新潟は遠征範囲外ということでおとなしく自宅スカパー観戦。考えてみれば3連休なので思いきって遠征し、一泊して温泉にでも入ってくればよかったとも思ったが、天気も悪かったようだし、まあいいか。
中断明け、内容は悪くないのに詰めの甘さというか厳しさの欠如で2試合で勝ち点1しか取れていない東京としては何としても勝利の必要な試合。前節出場停止だった加賀がCBで先発、チャンがベンチに。それ以外は前節と同じ布陣で、ルーカスは2試合続けてのベンチ・スタート。
権田
徳永 加賀 森重 太田
高橋 米本
三田 東 長谷川
渡邉
試合はいきなり動く。3分、東が左CKをニアに鋭い弾道で蹴ると、高橋がここに飛び込んでヘディング。ボールは軌道を変えてきれいにゴールに吸い込まれ東京が1-0と先制。前節に続いて早い時間帯にリードを奪う。
さらに7分、ペナルティ・エリア内でボールを拾い仕掛けようとした長谷川を敵DFが倒したとしてPKを得る。ちょっと長谷川がもらいに行った感もあるが、まあ、判定としては妥当だろう。9分、これを渡邉がGKの動きの逆を取り左隅に決めて2-0。東京が開始10分で2点のリードを得る。
しかし、その後はリスクを取らず慎重に試合を運ぼうとする東京が、次第に新潟の攻撃を受ける展開に。中盤でセカンド・ボールが拾えず、ゴール前での苦しいクリアを拾われては波状攻撃を受けるシーンも少なくない。意図的に新潟に持たせているというほどの余裕も見られず、主導権を握られる時間が続く。
25分、米本のパスカットからカウンター。長谷川からの戻しを受けた米本がミドルを狙うがDFに当たる。26分、CKに森重が頭で合わせるが枠外に。
前半の終盤は完全に新潟に押し込まれる。34分、36分と新潟から枠内シュートを立て続けに浴びるがいずれも権田がファイン・セーブ。これは結構試合を分けるシーンだった。
40分、僕はよく見ていなかったが、リスタートのために主審の笛を待っていた森重が警告を受ける。主審のコミュニケーション不足と思われるがどうか。森重は次節出場停止に。不可解だ。
東京はなかなか流れを取り戻せないが、何とか耐えて2-0とリードを保ったまま前半を終える。繰り返すが、意図的にボールを持たせて守ったというよりは、リードを守る意識から受けに回り、押し込まれて主導権を放棄したように見えた。前半のシュート数は4-7。
後半に入ると47分、三田が右サイド深いところまでボールを運び折り返すが中にはだれもおらずファーの渡邉にも合わず。50分、再び三田が仕掛け角度のないところからシュートを放つがバーをかすめてファーに流れた。
その後は前半同様、中盤でボールを確保できず新潟の攻撃を受ける展開になる。57分、東京は米本に代えてチャンを投入。チャンはそのままボランチに入る。交替の意図は不明だがアウトのときに米本が大きく顔をしかめていたし、もともと準備がレポートされていたルーカスの順番を飛ばしての交替だったので、ケガではないのかと心配だ。
さらに62分、長谷川に代えてルーカスを投入。この試合では既にここまでで森重に始まり、東、太田、長谷川が警告を受けており、その対策もあったと思う。いずれにしても守備に貢献の大きいルーカスのこのタイミングでの投入は正しかった。
26分、カウンターからパスを受けた東が右寄りからシュートを放ったがファーに流れ枠に収まらず。28分、ルーカスがドリブルからシュートを放つがこれは敵GKがセーブ。
相変わらず新潟の攻撃を受けて守備に奔走する時間が続く。セカンドが拾えず、奪ったボールもつなげずに自陣で戦う時間が長い。最後のところはDFが冷静に対処、新潟の拙攻もあって得点は許さないものの、上位のクラブなら見逃してもらえないようなピンチも一度ならず見られた。
81分、東に代えて石川を投入。三田がトップ下にスライドする。
するとここから見違えるように攻撃が形になり始める。もう、何なんだと思うくらい。もちろん、ここ2試合の教訓から試合のクローズをしっかりやろうという意識があったこともあるのだろうが、僕は三田をトップ下にしたことが結果的に奏功したのではないかと思う。三田が東よりもマメに動き、中央でボールを受けてくれるので起点がはっきりしたということではないだろうか。
両翼のフレッシュなルーカスと石川が流動的に動いてくれるのも大きく、東京の攻撃は活性化。すると88分、ルーカスが右サイドの渡邉にパス、これはややファーに流れ渡邉自身は打ちきれなかったが、これを中央に折り返すとルーカスがニアに走り込んでシュート。一瞬サイドネットにかかったようにも見えたが、実際はGKの手を弾いてゴールに入っており東京が土壇場でダメ押しとなる3点目を決めて3-0に。
アディショナル・タイムには石川が裏に抜け出しGKと一対一になるがシュートはヒットしきれずGKにセーブされた。結局このまま3-0で試合終了。東京は貴重な勝ち点3を得て何とか一息つくことができた。
序盤のリードを守り、苦しい時間帯を耐え、終盤の選手交代も成功して最後にダメ押し。きちんと勝ちきったという点では大きな勝利だが、逆に言えば「勝った」ことがすべてのゲームで、2点を奪ってから終盤までの70分は主導権を握れず、中断後の3試合の中では最も内容的に悪かった試合と言ってもいいと思う。
新潟の決定力のなさ、最後のところの工夫のなさに救われたが、試合を見ての納得感は薄かった。最後まで集中を切らさず完封したことは大きいが、それとて勝利に必要な厳しさが身についたかといえば疑問だ。手放しでは喜べない。
でもまあ、内容のいい時には勝てず、グダグダでも勝ってしまうのは世の常。この勝ち点3のおかげで順位を一つ上げ、何とか上を窺う位置に踏みとどまることができた。ここからいいイメージで次に向かいたい。終盤の流れはベースになり得るものだった。
評点(評点は
ドイツ式
):
権田(2.5) 立て続けのファイン・セーブで試合を何とか形にした。
徳永(4) 押し込まれる時間が長く攻撃のアクセントにはなれなかった。
加賀(3.5) 要所でいい対応を見せた。加賀の対応力はやはり大きい。完封に貢献。
森重(3.5) 敵に助けられた面はあるものの最後まで守りきった。警告は不可解。
太田(4) 自陣で人が団子になってしまい前への推進力を出せなかった。
高橋(3.5) シュートはナイス。いい展開もあったがうかつなプレゼント・パスも。
米本(3.5) 対応に追われ中盤を制圧できず。交替は心配だが…。
三田(3.5) 今日もフレッシュなプレーでアクセントになった。
東(4) よく動いたがボールを引き出しきれず。軽いプレーが気になる。
長谷川(4) 自陣からではゴールは遠く、守備に追われて苛立ちが出たか。
渡邉(4) PKは冷静に決めた。なかなかいい形でボールを受けられなかった。
===
チャン(3) ボランチ適性を改めて見せた。意外といいセンスしている。
ルーカス(3) ボールを追い、収めた。ルーカスのダメ押しで救われた試合。
石川(-) 時間は短かったが確実に効いていた。
試合後、ヒーロー・インタビューを受けた高橋がスタンドにスパイクを投げ込んだ。移籍を暗に示唆しているのではないかと話題になっている。ロシアからのオファーがあるとの噂もあり気になるところ。深い意味はないと思いたいが…。
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FC東京
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J1リーグ戦
2013年07月11日 01:06
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【Jリーグ第15節】浦和×FC東京
■2013年7月10日(水) 19:30キックオフ
■埼玉スタジアム2002
午後から半休をもらって悠々と出かけるつもりだったが仕事が終わらず、仕方なく5時半に「所用で失礼シャッス」とか何とか逃げるように職場を後にした。上着は置いてきたが暑い。それに革靴で浦和美園駅から埼スタまで歩くのも厳しい。まあ、こういうこともあろうかとチケットを財布に忍ばせてきたのがせめてもの救いということか。
東京は渡邉がケガから復帰して先発。代わってルーカスがベンチスタートとなった。また加賀が警告累積で出場停止のため、森重とチャンのCB、高橋がボランチで先発。また、石川がケガから復帰してベンチ入りを果たした。
権田
徳永 チャン 森重 太田
高橋 米本
三田 東 長谷川
渡邉
東京は優勝を目指す以上2連敗は許されない。アウェイの浦和戦は確かに相性がよくないが、そろそろ勝ってもいい頃。昨季はホームでもアウェイでも双方が力を出し切る素晴らしい試合をして2引き分け。雌雄を決さなければならない。
序盤は東京のペース。出足よく中盤で浦和のボールを狩るとしっかりしたポゼッションから展開して行く。暑さと中三日というコンディションからかスピードはなかなか上がらないものの、落ち着いたボール回しからチャンスを窺う。
11分、渡邉が奪ったボールを右サイドの三田に展開すると、三田はドリブルで切れ込んでシュート。これが決まって東京が早い時間帯に1-0と先制する。いい立ち上がりだ。
東京はその後も中盤のプレスでボールをしっかり奪い、ポゼッションを高めて行く。敵陣を中心に攻撃が続くがフィニッシュまで持ち込めず、前半の半分を過ぎた頃から次第に浦和の反撃を受けるようになる。
33分、渡邉が右サイドからシュートを放ち枠に飛ぶが敵GKの好セーブに阻まれる。東京の攻撃は中盤で奪ったボールからのショート・カウンターが中心になり、主導権は浦和に。但し、東京も集中した守備で最後のところはしっかり守りきる。緊迫した攻防が続き、枠へのシュートもあったが権田がしっかりとセーブした。
結局、1-0とリードを保ったまま前半を終えた。
後半も拮抗した立ち上がりになるが、56分、ゴール前で中央の三田から左寄りの長谷川にラストパス。長谷川がこれを落ち着いて流し込みゴール。東京が2-0とリードを広げる。これは行けるかも、と多くの東京サポは思ったはずだ。
しかしポゼッションは相変わらず浦和。東京はアグレッシブな守備から奪ったボールでのカウンターが中心になるが、もともとカウンターの得意なチームではなく失速しがちで攻めきることができない。
66分、敵のルーズボールを東が収め、左サイドの長谷川へ。長谷川がこれを中央に戻すと渡邉がフリーでこれを受け、がら空きに見えたゴールへ正確なシュートを放ったが、GKの必死の戻りにセーブされる。これは思わず腰の浮いたシーン。今思えばもったいなかったが、これは敵GKをほめるしかないだろう。
76分、東に代えてルーカスを投入。ルーカスがそのままトップ下に入った感じか。勝ちきるために守備に汗をかいてくれるルーカスを入れ、攻撃にも目配りするという意図か。納得できる交替だ。
だが、81分、敵のパス回しからボールを持った敵FWがドリブルで右サイドに流れるのを止められず、最後は切り替えされてそのままシュートを放たれる。これが決まり2-1と追い上げを許す。
東京は浮足立った訳ではなかったと思うが、流れは浦和に傾く。東京としてはこの辺で守備に特徴のある選手を投入し、勝ちを引き寄せたかったがベンチにはDFでは丸山がいるのみ。手の打ちにくい状況だったが、平山を入れて前線でボールをしっかりキープさせる手はあったかもしれない。ただ、無駄なシーンのない緊迫した展開だっただけにバランスを崩したくなかったのは広島戦と同じ。石川、ヴチチェヴィッチ、河野と攻撃のカードはあったが、1点のリードが判断を難しくしたと言うべきだろう。
すると85分、敵MFがドリブルで持ち上がって中央で切り返し。高橋がこれに振らされてシュート・コースを開けてしまいミドルを浴びる。これが決まって2-2の同点に。悔しいがこれは敵のシュートへの意識と技術をほめるしかない失点。
88分、長谷川と渡邉を下げて石川とヴチチェヴィッチを投入。勝ち越しを狙いに行く。失点してむしろ交替しやすくなったということだろう。
東京は最後まで得点を狙いに行ったが、結局ゴールを奪うことはできず、2-2の引き分けに終わった。
暑い日の試合でどちらも身体が重く、なかなかパスをつなぎきれない苦しい試合だったが、最後まで緊迫した攻防を見ることができた。東京は前半の最初はボールを支配する時間帯もあったが、その後は浦和にボールを持たれた。
もっとも、今日の東京の中盤でのボール奪取は素晴らしかった。高橋、米本を中心に、チャン、森重も含めたアグレッシブな守備は80分まで浦和の攻撃を寸断し続けた。それだけに終盤の2失点は悔やまれるが、フィニッシュのひとつ前、ふたつ前を確実につぶしに行くという対応はしっかりできていたと思う。
攻撃では前から行っていることだがポゼッションが行き詰ったときに敢えてミドルやドリブルで打開を図る破調が足りない。それを担っていた李もいなくなり、三田ががむしゃらに頑張ってくれているのが唯一破調だが、攻撃のパターンが同じだと簡単に分析され、抑えられてしまう。敵の得点にも見られたように、敵のイヤなエリアで、ドリブルで突っかけるなり、ミドルを放つなりして局面の打開を考えなければならない。
先制し、一時は2点のリードを奪いながらも追いつかれての引き分けは精神的にはこたえるが、実力からいえば引き分けが妥当な試合。シュートが7-13なのもアレだが、ポゼッションが35-65なのは、主導権を握られる時間が長かったことを示している。
だが、それだけにせっかくの先制はしっかり生かしたかった。広島戦でアディショナル・タイムにFKを被弾したり、今日も終盤10分で2点差を追いつかれるなど、この辺が東京の皮の剥けてないところ。
やっているサッカーは間違っていないし、確実にレベルは上がりつつあるのだから、こういう試合でサポをガッカリさせないための、大人の、職業人としてのプロフェッショナルな意識をしっかり涵養して欲しい。
ゲームの内容がよくなればなるほど、この問題は大きな意味を持ってくる。いや、内容がよくなってきたからこそ、ようやくこういう話が危機感を持ってできるようになってきたと言ってもいいだろう。ここを乗り越えなければ次はない。試合はさらに続くが、とにかく目の前の試合のひとつひとつに集中し、勝ち点を積み上げる以上にすることはない。我々は1年半かけてようやくここまでやってきたのではないか。
■評点(評点は
ドイツ式
)
権田(3.5) 好セーブで窮地救ったが、2失点目はさわれなかったか…。
徳永(4) ポゼッションを許した分、前に出る機会は少なかった。
チャン(4) 守備に身体を張ったが終盤に失点関与。信頼性は上がっているが。
森重(3.5) 終盤疲れが出たときの崩しにどう対応するか課題。
太田(4) 自陣に張りつくことがおおく効果的な攻撃参加は見られなかった。
高橋(3.5) 中盤で素晴らしい守備をしていたが最後に失点関与。もったいない。
米本(3) 面白いように敵のボールを狩ってくる男。勝ってればMOMでよかった。
三田(3) プロ初ゴール。ルーキーとして期待されている仕事がきちんとできている。
東(3.5) 広島戦よりはリスクを取って組み立てていた。もう少しシュート狙っていい。
長谷川(3.5) 消える時間帯もあったがゴールは貴重。センスを見せた。
渡邉(4) 愚直に走り続けたが決定機を逃す。
===
ルーカス(-) 時間短し。
石川(-) 時間短し。
ヴチチェヴィッチ(-) 時間短し。
浦和の監督に「東京はいいチームなのになぜ勝ち点が20しかないのか分からん」と嫌味を言われたらしいが、そこがまさに問題。「いいチーム」まではできたのだから、ここでしっかり飛躍しなければならない。クラブの成長のためには重要なステップであり正念場だ。
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FC東京
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J1リーグ戦
2013年07月07日 00:21
[posted by der_ball_ist_rund]
■
【Jリーグ第14節】FC東京×広島
■2013年7月6日(土) 18:30キックオフ
■味の素スタジアム
やっとリーグ戦が再開。この、シーズンの折り返しでも何でもないところで1箇月以上もリーグ戦が中断させられるというのもアレだよな。
蒸し暑い7月の土曜日。僕は日中埼玉県方面で所用があり、関越花園インター辺りで解放されたのが3時半ごろ。そこからクルマで関越、圏央、中央道と乗り継いで調布インターで降りたのは5時半。調布駅周辺の駐車場に取り敢えずクルマを放りこんで京王線で味スタに向かった。味スタ到着は6時過ぎ、何とか間に合った。6時キックオフだったらヤバかった。
おさらいしておくと、東京は13試合を終えて勝ち点19の7位。1試合あたりの勝ち点は1.46、6位とは勝ち点4の差である。仮にも優勝を目指すのであればもうあと一つも負けられないくらいの勢いで行く必要がある。ホームでのシーズン再開、是が非でも勝たなければならない試合である。
しかし、李は既におらず、渡邉は肉離れでベンチ外。平山先発の予想もあったが結局ルーカスをワントップに、三田を右SHとして先発起用した。また、高橋を代表戻りということで休養させるためか、チャンをボランチに起用し、CBは森重と加賀の組み合わせになった。
権田
徳永 加賀 森重 太田
チャン 米本
三田 東 長谷川
ルーカス
序盤から広島にボールを支配され自陣に押し込まれる展開。トップとシャドーに加え、両翼が高い位置を取って5枚が前線に並ぶ広島の特異なフォーメーションに対し、東京はいつもの4バックで対抗、必然的に1枚足りずスライドで対応するにも限界がある。最終的にはボランチが落ちてカバーするのだが、この辺の人の出し入れで受け身に回ると自分たちの攻撃の形がなかなか作れない。
中盤で失ったボールを展開されて東京ゴール前に持ち込まれるシーンも多いが、DFと権田の踏ん張りで何とか失点は免れる。主導権は握れないもののしっかりと集中はできており、最後のぎりぎりのところでは身体を張って守備ができている。蒸し暑い中、双方がコンパクトに陣形を保っているので窮屈なところでなかなかいい組み立てができない。
東京のファースト・シュートは5分、米本のミドルは枠外に。23分、東京はカウンターから左サイドに抜け出した三田がゴール前にクロスを入れるがルーカス、東は合わず。この辺りから東京も徐々にボールを持てるようになるが、広島がコンパクトにエリアを固めてくるため、いったん動きが止まってしまうと打開が難しい。ボールを持ったらスピード感を持ってやりきらないと形にならない。
29分、敵ウィングのケアに追われていた太田が左サイドのこぼれ球を拾って裏に。ダイレクトでシュートを放ち枠に飛ぶが敵GKがセーブ。32分、東のFKにチャンが頭で合わせるが枠に行かず。さらに39分、三田がルーカスとのワンツーから敵ペナルティ・エリアに侵入しシュートを放つがこれも敵GKにセーブされる。
アディショナル・タイムには再び三田が奪ったボールをドリブルして中央に突っかける。これが敵のファウルを誘い、ペナルティ・エリアの手前、正面からのFKを得る。これを三田が自ら蹴ったが壁に当たる。東京が時間とともに流れを引き寄せるがスコアレスのまま前半を終える。殺るか殺られるかの厳しいゲームで実力的には五分五分。三田の動きがいい。
後半に入っても緊迫した展開。東京はハーフタイムに喝が入ったか、パスにもスピード感が生まれリズムを作れるようになる。蒸し暑いコンディションの中で過酷な消耗戦に。60分、右サイドでパスを受けた三田が敵DFを抜いてシュートを放つがファー・ポストをヒット。惜しかった。
64分、三田が今度は中央でルーカスとのワンツーからゴールに迫りシュートを放つがバーの上。これももったいなかった。
70分、ルーカスが右から入れたクロスには東、長谷川が飛び込むがともに合わせられず。後半のスタートに飛ばしたツケか、この辺から東京は足が重くなってくる。ボールは保持できて長い時間を敵陣で過ごせるようになるが、ボールを受ける動きがなく足許へのパスばかりで、時間は過ぎるが得点の香りはしない。
敵にとって厳しいところにしっかりとボールを出し入れしなければならないが、足が止まってしまい敵の守備網に綻びを作ることができない。
本当であればこの辺で流れを変える選手を投入したいところだが、ちょっとしたバランスの崩れが致命傷につながりかねない拮抗した展開で、敢えて投入できる選手が見当たらない。李や石川の名前が頭をよぎるが、李はもはやおらず石川は手術から復帰したばかりでベンチ外。
唯一試合を動かせそうなヴチチェヴィッチを投入しようとするが、互いにポゼッションから攻撃を組み立てようとする分、中断が少なく、選手交代ができない。
結局長谷川に代わってヴチチェヴィッチが入れたのは87分。積極的にボールにからもうとするが得点につながらない。
スコアレスのままアディショナル・タイムに。東京は東を下げて特別指定選手の武藤を起用。
もうほとんど残り時間がない状態で、敵にゴール正面でFKを与えてしまう。前半終了間際に東京がFKを得たのとほとんど同じ位置だ。まさかと思ったがこれを壁越えで決められて失点。そのまま0-1で試合終了となり、東京はアディショナル・タイムに手痛い敗戦を喫した。
苦しいコンディションの中、チャンスもしっかり作り自分たちの戦い方を貫いたが、決めるべきところで決めきれず、敵の一発に泣いた試合になった。内容的には引き分けが妥当だったと思うが、そういう試合を最後の最後で失ってしまうところに我々の甘さがある。いつもやられる敵FWに仕事らしい仕事をさせず最後は交替させ、守備も身体を張り、権田の好セーブもあってぎりぎりまで持ちこたえていたが、FKからの失点ではどうしようもない。
結局のところ、前半最後のFKを決めきれなかった東京と、後半最後のFKをきちんと得点にしてきた広島との、厳しさの違いが勝負を分けた。これはいいプレイス・キッカーがいるかどうかとかそういう問題ではなく、ここ一番の技術と精神のピークを試合の最も大事なところに持ってくることのできるクラブとそうでないクラブの差ということだ。その意味では東京はまだまだ純朴でイノセント。手なりで戦った結果、最もポイントになるシーンでカツカツの争いに負けた。
これでは優勝はムリだ。
しかし、こればっかりは誰かに教えてもらう訳に行かないものだ。どんなクラブも初めて優勝するときにはそうした壁を何とかして乗り越えて、勝つとはどういうことかを自ら学んできたはずだ。
ヤツらにできて東京にできない訳がないのだ。
この試合もシュート数は13-14と互角。ポゼッションは43-57と劣勢だったがチャンスは作った。負けて当然のひどい試合ではなかっただけに逆にショックは大きいし、星勘定と落としてはいけない勝ち点だった。もう、こうなったら水曜日のアウェイ浦和戦、勝つしかないだろう。消化しづらい厳しい敗戦だが、ここで下を向く訳に行かないし、ここまでやってきたことをご破算にしなければならない理由もない。
評点(評点は
ドイツ式
):
権田(3) 好セーブを連発。スコアレスドローなら敵GKとMOMを分け合えた。
徳永(4) 敵の5枚の前線にスライドして必死に対応。対人の強さは見せた。
加賀(3.5) 敵の攻撃をぎりぎりのところでしのぎ続けた。魂のこもった守備。
森重(3.5) DFリーダーとして流れからは完封。能力の高い敵FWも封じた。
太田(4) 敵のウィングに完勝とは行かないまでもいい仕事をした。
チャン(4) 守備面では窮地を救ったがボランチとしての展開力には難あり。
米本(3.5) ボール奪取、展開。要求された仕事を愚直に最後までやり通した。
三田(3) 東京の攻撃に唯一破調をもちこんだ今日のバースデイ・キッド。
東(4) 押し込まれる時間が長かった分、活躍の機会は限られた。
長谷川(4) アイデアは見せたが見せ場少なし。前で使うのは正解だが。
ルーカス(4) 奮闘したが危険なシュートなし。ワントップ向きじゃない。
===
ヴチチェヴィッチ(-) 時間短し
武藤(-) 時間短し
それにしても広島のパフォーマンス腹立つわ。
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J1リーグ戦
2013年07月03日 22:57
[posted by der_ball_ist_rund]
■
【FC東京】再開直前プレビュー(2)
中断後のリーグ戦を僕たちはどのように戦うべきか。いや、どのようにもクソもなく、昨季、今季と積み上げてきたポゼッション・フットボール、パス・サッカーを継続して行くしかないのだが、驚くのは、例えば湘南やら鹿島やらに不甲斐ない負け方をすると「ポポヴィッチもうダメ」みたいな声がすぐ出てくることだ。どこにでもアンチというのはいるのだと感心してしまう。ここまで1年半やってきたこと、僕たち自身の覚悟を何だと思ってるんだろうな。
ここで考えてみたいのは「シュート打て」の話。アタッキング・サードに入りながら延々とパスを回し続け、結局フィニッシュまで行けずにボールを失うシーンはこれまで何度も見たし、その度に「おいおい、誰が打つねん」みたいな気分を味わった。そして「シュート打て」コールを聞くことにもなった。もっとミドル打てとかのツイートとかもよく見かけた。
分かる。よく分かります。
でもね、オレたちのスタイルは、やっぱりつなぎ倒してボールを出し入れする中で、整っていたはずの敵の守備が崩れ、綻び、最後に穴が開いた所から外しようのないシュートを流し込むことだと思うんだよね。結局それがいちばん確率の高い得点の仕方だと思うからそうしてるんだよね。
力強いミドルがネットに突き刺さるのは美しいし爽快だ。しかし、ミドル・シュート自体の成功率は決して高くない。ゴールからの距離に対数的に反比例して決定率は下がるんじゃないか。だから本当に得点を狙うならミドルを選ぶのは愚策だ。ミドルを放っていいシーンももちろんあるが、それはあくまで「得点の確率自体は低くてもこういうシーンではミドルを狙っていい」という判断の下に選択される戦略的なものであるべきで、考えのないミドルはボールの放棄に他ならない。
後は、アタッキング・サードに入った後で、延々とパス交換が続くとき。もちろんパス交換は敵の守備網を崩すためにやっているのであって、パスそれ自体が目的ではない。だからパス交換するまでもなく確率の高いシュートコースが見えるならどんどん打って行くべきだ。そこに異論はない。問題はなぜいくらパスを交換しても敵の守備網が崩れず、結局シュートが打てないのかということなんじゃないか。それにイラついて「シュート打て」的な話になるんじゃないのか。
シュート、いつ打つの?!
それな。
ここでオートマティズムが出てくる訳ですよ。敵が対応する以上のスピードでボールが回り、敵が思ってもみなかったところにボールが展開されることで敵の守備はズレてくる。そのためには我々はボールを持ってから考えているヒマなどない。見なくても誰がどこにいてどう動いているかお互い分かるくらいのオートマティズムが必要だ。それには時間がかかるが、今季、ようやくそれが少しずつ形になってきている。だからこそ、それが機能しない試合があったとしてもここでやめちゃ元も子もないのだ。
オレとしてはもう雑音に耳を貸さずオートマティズムの完成に向けてひたすら練度を上げて欲しいね。で、優勝だよ、優勝。残り試合全部勝って優勝。それくらいの勢いでやるしかない。シーズン初めに優勝って言っちゃったんだからやるしかない。
それくらいの厳しい覚悟で選手も監督もクラブもサポもやりたいんだ。ひとつの負けを徹底的に反省し倒し、ひとつの価値を徹底的に喜び尽くしたいんだ。不用意な失点はもう要らないし、ポゼッションで圧倒しながらゴールが遠かったなんていうのももうおなかいっぱいだ。そこのところの、最後のひとつの厳しさをこの中断明けに見せて欲しいと僕は思う訳だ。
それが東京が今までずっと乗り越えられずにきた壁だし、乗り越えるのは今しかない。
乗り越える。いつやるの?!
いやいや。その手には乗らんけど。
でも、実際今できなければたぶんずっとできない。それくらい今のチーム、今の監督、今の態勢を僕は評価している。このチームが中位に終わって選手が去り、監督も去ってここまで作り上げたものが空中分解するのなんて見たくない。このチームは新陳代謝しながら成長し、熟成するチーム。そのためには今季結果が必要なのだ。
李が抜けたのは決定的に痛いが、もうそれを言っても仕方ない。梶山が韓国に行くならそれでもいい。僕たちの頭の中に優勝のイメージがなければ優勝なんてできない。優勝のことを本気で考えよう。そこから逆算して今を評価しよう。それが中断後のリーグ戦のテーマだ。
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