フットボール・クレイジー
football crazy
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2013年12月29日 23:06
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【天皇杯準決勝】FC東京×広島
■2013年12月29日(日) 15:00キックオフ
■国立競技場
快晴の日曜日。今年最後のサッカー観戦である。日射しは暖かいが空気は冷たく日が陰ると急に冷え込む感じの天気。ルーカスのTシャツの上に今季着続けた3番のユニをかぶって国立に向かった。
用意していたのはバックスタンドS指定席だったが、前から3番目でちょっと角度がなく見にくそうだったので、バックスタンド上層を見に行ったらちょうどブロック単位で開放エリアを広げているところだったので、バックスタンド上層の中央に近いところに席を確保した。こちらの方が断然見やすいのは分かっているのだが、初めからこれを当てこんで自由席を買って上層が開放されなかったらリスクあるので指定席を買ったのだ。
東京は平山が警告累積で出場停止。ルーカスも出られず前線の人繰りがきつい。3バックの広島対策として東京も3バックの布陣で、いわゆるミラー・ゲームを挑むことになったようだ。
塩田
加賀 チャン 森重
徳永 米本 高橋 太田
東 長谷川
渡邉
試合は互いに慎重な立ち上がり。カップ戦であり実力を認め合っているだけに先制点を不用意に献上することだけは避けたい。中盤でボールを引っかけてはパスをつなぎながら展開するが、両チームともに守備は集中しており、守備時には両翼が下りてくるので実質5バック的な状態でほぼマンマーク。
東京はボランチから中央に果敢なクサビが入り、そこから前を向いたり主に左サイドに展開する。一方、広島はボールを縦に激しく出し入れしながら右サイドを使って攻撃を組み立てようとするが、なかなかフィニッシュまでたどり着けない。
広島には決定的なチャンスはほとんど作らせないものの、FWが常に裏を狙い隙を窺っている上に、中盤でのボール・キープも質が高く、少し気を許すと奥の方まで侵入されるので一瞬たりとも気が抜けない。高いテンションのまま激しいボールの奪い合いが続く。
あとから記録を見ると前半に5本のシュートを放ったことになっているが正直どれも覚えてない。もちろん両方のゴール裏からは応援のチャントも聞こえてくるのだが、印象としては息を詰めるような神経戦で音も記憶に残ってない。全身に力が入ったままうかつなミスだけはするなよとじっと目を凝らすような前半だった。
結局スコアレスで終了。フィニッシュのひとつかふたつ手前くらいまでは行けていると思うが最後のところで敵の厳しい守備に止められ、そこをすり抜ける力やアイデアが足りない感がある。一方で広島の右サイドのからの展開には太田がしっかり対応しており、中央でも敵FWに決定的な仕事をさせていない。スコアレス上等で後半勝負。展開としては悪くない。
後半に入ると太田が左サイドから切れこんでCKを得るなど動きも出てくるが、一方で敵陣で奪われたボールを素早く展開されて危ういシーンもある。51分には鋭いカウンターを浴びたが加賀が決死のスライディングでクリア。59分、敵のFKが枠に飛ぶが塩田が腕一本でセーブ。広島にボールを持たれ自陣に押し込まれる苦しい時間帯が続く。
64分、渡邉が裏にこぼれたボールを拾ってエリア内に侵入、左サイドの深いところからシュートを放つがボールは敵GKの顔面に当たりゴールならず。この日最も可能性を感じたシーン。
ともにやや足が止まり間延びし始める中、両チームともスペースでボールを持ちやすくなり互いに攻撃を仕掛け合うような展開に。集中を欠くとやられるという厳しい状況の中でボールは激しくピッチを行き来するが決定的なシーンはどちらにもなかなか訪れない。広島は遠いところからもシュートを放ってくるが精度は高くなく枠に来ないので助かっている。
86分、広島のFWが交替したのがこの試合の最初の交替。微妙なバランスの狂いから試合が台無しになるリスクを感じさせるような神経質なゲーム。延長も見越してかベンチも動きづらい展開だろう。東京は89分、渡邉を下げて石川を投入したが、レギュラー・タイムはスコアレスに終わり、延長戦に突入する。広島の方がやや試合を上手く進めている感はあるが、拮抗した戦いでギリギリの集中を要求されている。
延長に入ったところで93分、東に代えて林を投入、林のワントップになる。太田がサイドから執拗にクロスを入れるが中央ではなかなかピンポイントで合わせきれない。広島の足が止まり、球際で勝てるようになり、中盤のボールも東京にこぼれるケースが増えてくるが、東京のパスワークも疲れからか精密さを欠くシーンが散見され決定的なチャンスにはならない。延長前半もスコアレスで終了。
延長後半に入っても足が止まりボールを前線に運べない広島に対して東京がボールを持つ時間が長い。111分、最後の交替として高橋に代えて三田を投入。長谷川がボランチに落ちる。118分、敵DFに入った三田が米本からのパスを受けて反転シュートを狙ったが大きく枠を外れる。119分、三田からのパスを受けた石川が裏に抜けシュートを放つが敵GKにセーブされる。決定機を決めきれず延長戦も終了。スコアレスのままでPK戦に入ることになる。
先攻の東京はまず太田が決める。広島の一人目のキックを塩田が止め1-0。広島の選手が蹴る時は地鳴りのようなブーイングが鳴り響き確実に東京のゲームの雰囲気がしている。
2本目は森重が成功するが広島の選手も決め2-1。
3本目はチャンが成功。これに対し広島の選手は枠外に大きくふかし3-1。東京が断然有利の展開になる。
4本目、三田が決めれば勝ちという状況だったが、左隅に丁寧に置きに行ったキックはやや弱かったか、敵GKにセーブされる。ここでちょっとイヤな感じがする。広島の4人目はGKが自ら蹴る。レバークーゼンのブットを思い出した。三田のキックを止めて気合の入った敵GKのキックが決まり3-2に。ここが潮の変わり目だったと思う。
5本目、それでもこれを決めれば勝ちだが、長谷川もまた三田と同じようなところにボールを置きに行く。これも読まれたか敵GKがセーブ。広島は5人目も決め3-3でサドンデスになってしまう。
6本目は米本が決める。これが4本目か5本目ならとだれもが思っただろう。広島も決めて4-4で7人目に。
7人目の石川はやはり左に蹴るがこれが敵GKにセーブされる。広島の7人目はキックを決めて5-4。PK戦は有利に進めながらあと1本のところで決めきれず逆転負けを喫した。東京の2013年シーズンは終わった。
カップ戦なので結果がすべてだが、内容的にはしびれるような神経戦、持久戦を最後まで我慢強く戦いきったことは高く評価したい。その中で何度も仕掛けてはみたものの広島の守備も堅く、フィニッシュまで行かせてもらえなかった。もう少しミドルの意識もあれば逆に崩しも生きたようにも思うが、シュート・チャンスも限られ、1点をもぎ取ることができなかった。
一方でワンプレーで決定的な形を作り決めきることのできる広島の攻撃を120分間0点に抑えきったことは大きな収穫。集中を切らさず、規律を守りながら最後のところでは身体も張った。塩田のセーブもあり守備には見るべきものがあった。
PKはもはや水ものなので評価するのもアレだが、3-1になったときにスタンド全体にもう勝ったかのような安堵感というか浮ついた空気が流れ、三田が止められ敵GKに決められて明らかに潮目が変わったのにそこから危機感を回復しきれなかったように感じられるのが悔やまれる。
塩田コール、キッカーへのコール、広島の選手が蹴る時のブーイングなどバックスタンドまで一体となって完全に雰囲気を支配していたのに、肝心のシーンで自らそれをぶち壊したようで残念だ。別にそれで長谷川が止められた訳でもあるまいが、勝負どころでふわっと負けたようなイヤな感じが残った。
シーズンの総括は別稿で進めているのでそこでやりたいが、リーグ戦で高い勝ち点、得点を挙げ、カップ戦でも準決勝まで進出し紙一重で負けた。逆に言えば、そこそこ高い勝ち点を得ながらも順位としては8位に終わったり、天皇杯でも最後の最後で決勝進出を逃したり、何ができて何ができないかを改めて噛みしめた年。できたこと、できなかったことの水準は確実に去年より上がっており、来年は総括の年と位置づけていただけに監督の更迭はもったいない。
元日は里帰りで東京にいないのでどのみち実家でテレビ観戦の予定だったので、今季最後の観戦と思って焼きつけながら見ていた。今年もたくさんの試合を見て、全身の血が沸騰するような歓喜も、奥歯を噛みしめるような悔しさもたくさんあったが、来年3月になればまた嬉々としてスタジアムに足を運ぶだろう。楽しい一年だった。
評点(評点は
ドイツ式
):
塩田(3) 安定したキャッチングで広島を完封。PKも1本止めたが…。
加賀(3.5) 今日は鬼気迫る形相で敵の独走を止めた。速さが生きた。
チャン(3.5) 危なっかしいシーンもあったがDFラインをよくまとめた。
森重(3) 3バックならではの持ち上がりも見られた。守備ではよく耐えた。
徳永(3.5) ウィングの割りには攻撃参加があまり見られず。
高橋(3.5) 中盤でしっかり身体を張りボールを落ち着かせた。ミドル打て。
米本(3) 後半から終盤にかけてボール奪取が生きた。今年も成長した。
太田(3) 終盤はクロスを連発。いい位置でのFKが1本あれば…。
東(3.5) プレーセンスはピカイチ。羽生の後継者として存在感を見せた。
長谷川(3) 要所を押さえてボールを動かした。起点は任せられる。
渡邉(3.5) 敵GKの顔に当てたシュートは残念。シュート技術の向上を。
===
石川(3.5) 一瞬で局面を変える力は健在。PK止められたのは仕方ない。
林(4) 精力的に動き回ったがそれ以上のことはできず。
三田(-) 時間短し。PKは思い切って蹴って欲しかった。
それにしても国立の帰りってJR千駄ヶ谷駅とか大江戸線・国立競技場駅はババ混みになるのに副都心線・北参道駅はいつもガラガラ。渋谷も池袋も1本だし、新宿三丁目で東京サポの多くが乗り換えたい都営新宿線・京王線にも連絡している。ついでに東横線直通。ちょっと歩くけど大人の足なら10分程度。まあ、混んでもイヤだから小さい声にしとこう。
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FC東京
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天皇杯
2013年12月24日 23:28
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【ブンデスリーガ第17節】グラードバッハ×ヴォルフスブルク
■2013年12月22日(日) 15:30キックオフ
■Stadion im Borussia-Park
ウィンター・ブレイク前のシーズン前半最終戦は日本時間で日曜日の夜11時半キックオフ。日本人選手の関係ない試合でスカパーも中継がないのでウェブ動画を探した結果、ユーロスポーツの英語中継を流しているサイトを見つけてパソコン観戦。最後まで途切れたり紙芝居になることなく見られた。
グラードバッハは6連勝のあと前節アウェイでマインツとスコアレス・ドロー。引き分けを足踏みにしないためには今節は勝たなければならない。前日の試合で3位のBVBが負けており、グラードバッハは引き分け以上なら3位でシーズン前半を終えることができるが、負ければ逆にヴォルフスブルクに勝ち点で並ばれることになる。ホームでの今年最終戦、ウィンター・ブレイクにいい状態で入るためにも勝ち点3は必須だ。
グラードバッハは前節と同じ布陣。7試合同じ先発らしいぞ。これが機能しているのはコープもさることながらヤンチュケの踏ん張りが大きいと思う。
テア・シュテゲン
コープ ヤンチュケ シュトランツル ヴェント
ヘアマン クラマー シャカ アランゴ
ラファエル クルーゼ
序盤は互いに慎重な立ち上がり。グラードバッハがボールを支配するがヴォルフスブルクの組織だった守備の前にクリティカルな形を作るには至らない。一方、ヴォルフスブルクの攻撃も散発でグラードバッハの規律ある守備に止められ、どちらもリスクを取らずににらみ合う時間が続いた。
15分を過ぎた頃から少しずつ試合が動き始める。20分過ぎからは前に出てきたヴォルフスブルクに少しずつ流れが傾き、21分、24分と立て続けにシュートを浴びる。28分には敵FWのシュートをテア・シュテゲンがセーブ、こぼれたボールに詰められたがこれも足一本でセーブして何を逃れる。2本とも枠に飛んだ鋭いシュートでひとつ対応を誤っていればヤバかった。
これに刺激されたかグラードバッハも攻撃のスイッチが入る。30分には右サイドを駆け上がったヘアマンからゴール前に鋭いクロス。飛び込んだクルーゼはこれをコントロールできず足に当たったボールはバーの上に。その後、敵のシュートがネットを揺らすがオフサイドで胸をなでおろすシーンやラファエルのシュートかクロスか微妙なボールがゴール前を横切るシーンなどがあったものの、結局スコアレスで前半を終える。
後半開始間もない53分、グラードバッハの右サイドから中央に送られたボールを敵MFが止めて狙い澄ましたシュート。これがDFの脇をすり抜けてニアの狭いところに決まり失点。0-1と先制される。
だが、グラードバッハもこれで下を向く訳ではない。59分、中央でボールを受けたラファエルが敵DFラインを迂回するように右サイドに持ち出し、ぐるっと回り込んでシュート。これが決まり1-1に追いつく。失点から間を置かずに追いついたのは大きかった。見る価値のあるシュートだった。
直後のチャンスではラファエルがシュートを上に外すが、64分、エリア手前右寄りで得たFKをアランゴが芸術的な軌道で直接決め2-1と逆転に成功。これもなかなか見られないシュートだった。
グラードバッハはその後も70分にクラマーがヘアマンからのパスを受けてシュートするが敵GKがセーブ。78分にはクルーゼがシュートを放つがこれもGK。このあたりのチャンスをしっかり決めておかなかったことは悔やまれる。
すると85分、エリア内にパスを通されシュートを打たれる。これはテア・シュテゲンが飛び出し身体を張って防いだが、こぼれ球をすぐ横にいた敵FWに押し込まれて失点。土壇場で2-2の同点に追いつかれてしまう。
グラードバッハはその後87分にヘアマンを下げてフルゴタを、アディショナル・タイムにはラファエルを下げてデ・ヨングを投入したが突き放すことができず、結局2-2の引き分けで終了した。画面で見る限りファヴレ監督はボトルを地面にたたきつけ、敵の監督と握手もせずにピッチを後にしたが何にそんなに怒っていたのか。
いったんは逆転に成功しただけに勝ち点2を失った気分のする引き分け。シーズン前半最後に2試合続けて引き分けでウィンター・ブレイク突入は残念な結果となった。
もっとも、この引き分けでグラードバッハはBVBを抜いて3位に浮上。1位のバイエルンとは大きな差があるものの、2位争いに噛みこむことのできる地歩を築いてシーズン前半を終えることができたのは大きい。
この試合も、シュートは14-18、ポゼッションは52-48と、内容的には決して楽なものではなかったが、流れからも好機を作ることができた上、それで取れなくても個人技、セット・プレーで辻褄が合わせられるのはチームとしての基礎体力みたいなものの充実を思わせる。
シーズン前半は新加入選手がしっかりフィットしたこと、シャカ、ヴェントといった選手がチームに新しい活力を注入したことで、いいスパイラルが形成され、コープという新戦力も発見できた。この流れをシーズン後半につなげるべくウィンター・ブレイクをしっかり活用したいところだ。
ルツィアン・ファヴレ監督談話:
「2-2という結果は最終的には受け入れられるものだ。試合の最初はうまくプレーすることができたが、20分を過ぎたところからヴォルフスブルクが我々を上回り明らかなゴールのチャンスを作った。0-0でハーフタイムを迎えられたのは正しかった。後半はどちらのチームも前を向いて戦った。0-1と先制されたことが再び我々をたたき起こし、そこからはよりいいリズムでプレーすることができたし試合をひっくり返すことができた。2-1にしたあと、3-1にしなければならなかったがその代わりに2-2にされてしまったが、終了間際にまったく不必要なことだった。だがヴォルフスブルクは非常に上手く、危険な相手だった」
どうも判定を巡って怒っていたらしい。
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Borussia M'Gladbach
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ブンデスリーガ
2013年12月22日 23:37
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【天皇杯準々決勝】仙台×FC東京
■2013年12月22日(日) 13:00キックオフ
■ユアテックスタジアム仙台
仙台での試合だができる限り見ておきたいということで遠征を決断。はやぶさに乗って北に向かった。昼前に少し雨という程度の予報だったので雨具に関しては何の準備もしていなかったのだが、11時過ぎに仙台駅に着くと結構それなりの雨。しかたなく駅のコンビニでビニル傘を買い、駅近くの喜助で牛タン定食をいただいて準備完了。
地下鉄でユアスタに着いたのは12時半ごろ。バックスタンドのS指定席だったがホーム、アウェイの区別がなく東京サポと仙台サポが入り乱れて危険なミックス・ゾーン状態に。きちんと分けて販売するべきだと思った。そういう訳で周囲は仙台サポ7.5に対して東京サポ2.5くらいの割合。
雨が断続的に降ったかと思えば日が射したりもする難しい天気。僕は前から4列目で、屋根は一応あるがちょっと吹き込むと濡れるという感じ。前の席の人は合羽をかぶっている。
東京は今季限りで引退を表明しているルーカスが練習中に足首を骨折。結局リーグ最終節に味スタで見たのが最後の雄姿になった。ルーカスのために、優勝してACL出場権を獲得するためにも負ける訳に行かない試合。勝てば準決勝は国立競技場なので東京に凱旋できる。ベンチにはルーカスと、やはり練習中にアキレス腱を傷めた平松のユニが掛けられている。
リーグ戦最終節から仙台との連戦になるが、最終節では警告累積で出場停止だったチャンが最終ラインに復帰、また離脱したルーカスの代わりには東が先発した。GKは引き続き塩田が先発。
塩田
徳永 チャン 森重 太田
米本 高橋
東 長谷川 ヴチチェヴィッチ
渡邉
試合はいきなり波乱の幕開け。カウンターで攻め込まれ、ゴール前での密集戦となる。敵MFのシュートは塩田がいったんセーブしたが、これをマイ・ボールにしきれず、再び拾われてゴール至近から敵FWに叩きこまれて被弾。早くも3分に0-1と先制を許してしまう。
東京はパスをつないでリズムを作ろうとするが、仙台のハイ・プレスに遭ってボランチがボールを持てず、またルーカスを欠くことで前線の預けどころも作れず、バタバタとボールを回すものの効果的な形にならない。そうやって時間をかけている間に仙台のブロックはしっかりと固まってしまい、最後はリスクを取りに行ったパスをカットされたり球際で引っかけられたりして悪い形でボールを失うことが少なくない。
一方の仙台はボールを奪うと前線に意図のはっきりしたボールを当て、トップがこれを収めてゴールに向かう動きがしっかりと共有されており、サポートの動き、切り替えも素早く組織的で規律のある試合運びをしてくる。東京はある程度ポゼッションもあるものの、チャンスを作れず優勢とは言えない状態。
23分、太田が左サイドの深くまで入り込み、戻しのクロスを入れるとニアの渡邉がスルー、ファーに入り込んだ米本が合わせるがシュートは枠外。上がってきていたこと自体は評価したいが残念。
逆に24分、敵MFに裏に飛びだされたが一対一になった塩田がシュートをセーブ。今日の塩田は当たっていた。というか気迫が窺えた。東京は仙台の組織だった戦いに手を焼き、ボールを持てばしっかり中、外と揺さぶって敵の守備網を動かそうとするがなかなか上手く行かない。フィニッシュまでも行けず、苦しい時間が過ぎる。
39分、正面のFKを太田が蹴るがボールはわずかにバーを越えてしまう。東京は序盤の失点を取り返せないまま1点のビハインドを背負って前半を終えた。前半のシュートは4本。思うように攻められない状況を示している。
試合中はほぼやんでいた雨が再び降りだし一時は4列目も結構雨がかかってつらかったが、本格的な降りにはならなくて助かった。
後半に入っても仙台はしっかりしたプレスと素早い切り替え、前線に出すタイミングの共有で手堅いサッカーを挑んでくる。50分、前線でボールをつながれシュートを打たれるがボールは枠に収まらず。何度か決定的なチャンスを作られるが、仙台はシュート・ミスが多く助かっている。
51分、東京はヴチチェヴィッチに代えて石川を投入。59分、折り返しから高橋がミドルを狙ったが枠外。高橋のミドルって噂だけは聞くがこういうところできちんと枠に行きたい。66分、渡邉に代えて平山を投入。平山が落とし石川が狙うような形もイメージとして持ちたいところ。
次第に仙台の足も止まり始め、中盤が間延びして試合はややオープンになってくる。東京も疲れからか集中が難しい時間帯になるが、セカンド・ボールを拾って敵陣でゲームができるようになってくる。仙台の攻撃は単発だが、カウンターには怖さがあり侮れない。1点のビハインドのまま試合は終盤に入り、東京はボールを支配するものの攻めきれない時間が続く。
85分、東を下げて林を投入。交替枠を使いきる。石川がサイドでボールを受けることで形がひとつできつつあり、東京が主導権を握っているものの、仙台も自陣での守備は集中しており容易にゴールを決めさせてはくれない。
東京が得点できないまま試合はアディショナル・タイムに。「今季終戦のお知らせ」が頭にちらつき始めたが、ここで林がエリア手前で敵に足をすくわれてFKを得る。これを蹴りに行ったのは石川と太田。頼むから石川蹴らないでくれと思っていたら、その通り、太田が左足できれいなボールを蹴り、これがニアに決まって同点。4分のアディショナルタイムの4分、土壇場で太田の見事なFKが決まり東京がついに1-1に追いつく。
試合はそのまま延長に。東京がボールを持つが、攻めきれなかったボールを仙台が拾ってカウンターを仕掛けるという展開は変わらず。99分、敵のFKは枠に飛んだが塩田が腕一本でセーブ。どちらも疲れが出てボール扱いにも正確さがなくなり、ボールが大きく行き交うオープンな展開になる。103分には敵ゴール前で密集戦になるが押し込むことはできず。
延長前半はどちらも得点なく、延長後半に突入。106分、サイドからのクロスに中央で合わされ枠にシュートが飛んだがこれも塩田が腕一本でセーブ。東京は交替で入った石川、平山、林が前線で精力的にボールを受け、何とかチャンスに結びつけようとする。仙台もかなりヘロヘロになり、ミスからボールをもらえるケースも増えてきているが、こちらも疲労は蓄積しておりスピード感を持ってやりきるのは難しくなっている。
117分、右寄りで得たFKを再び太田が蹴る。ファーに飛んだボールに平山が競りシュートを放つがボールはポストに嫌われる。だが、その直後の120分、米本のスルーパスを受けて右裏に抜け出した石川がゴール前にグラウンダーのクロスを入れると、ニアで平山がつぶれ、ファーに流れたボールに林が詰めてゴール。試合終了間際に逆転に成功する。
直後のキックオフでは仙台は全員が東京陣内になだれ込む総攻撃を見せるが奏功せず、試合はそのまま終了。東京が内容的には苦労しながらも後半終了間際の太田のFK、延長終了間際の林のゴールで劇的な逆転勝ちを収めて準決勝にコマを進めた。
仙台から見れば決定機は何度もあったはずだが、シュート・チャンスにことごとくふかしてしまい、稀に枠に飛んだシュートは塩田が好セーブ、取るべき時に取っておかないとこうなるという見本のような試合だろう。
一方の東京としてはボールを持ち、それなりにチャレンジはしながらも敵の守備が堅く確率の高いシュートはほとんど打たせてもらえなかった。ポゼッションでは57-43と圧倒しながらシュート数は10-17。むしろ持たされた感の強い試合だった。
特に先にも書いたがルーカスの不在はやはり大きかった。ポスト、キープ、パス出し、シュート、ファースト・ディフェンスと3人分くらいの働きを平気でやってくれていたルーカスがいないと、前線に余裕がなくなりバタつくのはやはり当然か。来季を展望すればルーカスに代わる橋頭保を作らねばならず、課題の出た試合。
もっとも、カップ戦なのでまずは勝ちぬけたことが重要。太田のFKはもはや中村を越えたのではないか。後のないギリギリの局面でよく決めてくれた。流れで思うように攻めきれないときにセット・プレーで得点できるのは大きい。これまで東京ではセット・プレーにあまり可能性を感じなかったが、太田の確変で得点率はグッと上がった。
また、この試合では石川が素晴らしかった。周囲の仙台サポが一番嫌がっていたのが石川。終盤、敵味方に疲れが出て足が重くなってきたときにフレッシュな石川が入り、サイドの高いところでパスを受けるのは相当イヤなようだ。今日は球際での踏ん張り、ボールを受けた後のスピードに乗ったドリブルなど、プレーでチームを牽引した。石川から「貫録」というものを感じたのは初めてだった。ちょっと気迫が違っていたように見えた。
塩田のセーブも言及しておかなければならない。何度も決定的なピンチを救っただけでなく、CKなどのディフェンスも手堅く、終盤のFKでは敵陣まで走ってきて壁の入り方を指導していた。塩田の姿勢、声は確実にチームを支えたと思う。やはり東京に必要な選手だ。
準決勝は1週間後の29日、国立競技場で広島と戦うことになった。難敵だがいずれにしてもあと2試合を死に物狂いで勝ち抜くしかない。
評点(評点は
ドイツ式
):
塩田(2) スーパー・セーブ連発で最少失点にとどめたことが逆転への布石。
徳永(3) 敵のサイド攻撃を封じこんだ。対人の強さを改めて見せつけた。
チャン(3.5) 最近は自信を持ってプレーできている。敵FWを抑えた。
森重(3.5) 何度か許してしまった抜け出しは敵がシュートミスで自滅。
太田(2.5) サイドからの正確なクロス、切れ込み、そしてFK。素晴らしい。
米本(3.5) 愚直にやっておりチャンスにも絡んだが、ボール奪取に陰りが…。
高橋(3) 敵の厳しいプレスに苦しみながらも強さとセンスを見せた。
東(3.5) 起点は作ったがプレー選択にもう一段の積極性が欲しい。
長谷川(3.5) ここという場所にいてボールをしっかり確保。成長している。
ヴチチェヴィッチ(4.5) ほぼ何もできず。やはりオープンな終盤に生きる人。
渡邉(4) ボールを受けて捌くところまではいいのだが、シュート1本では…。
===
石川(3) フリーラン、ゴールへ向かう動き。勝利へのダイナモになった。
平山(3.5) 何となく平山の頭で決まりそうな気はしたのだが…。
林(3) 献身的に動き回り、同点のFKにつながるファウルも得た。
帰りは牛タンと笹かまぼこと萩の月とずんだ餅を買って帰った。
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FC東京
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天皇杯
2013年12月21日 23:30
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【2013年】FC東京シーズン・レビュー(4)CB編
CBは森重を軸に加賀とチャンを併用したと総括できるだろう。
森重は9月の東アジア選手権で代表に選出され、その後もコンスタントに招集を受けている。かねてから対人の強さだけでなく足許の技術の確かさ、ビルド・アップの起点となることのできるパス・センスなど現代的DFとしての資質を高く評価されていただけに、代表選出は当然でありむしろ遅きに失した。
年齢的にはラスト・チャンスに近い招集でしっかり存在を印象づけたことはメンタルも含めた森重の実力を示すものだし、本当に嬉しかった。ここ2年は3番のユニで味スタに通い、昨年のユニにはサインももらったのが誇らしい。
その力はクラブでも存分に発揮された。警告累積でリーグ戦を1試合、ターンオーバーでリーグカップを1試合、代表招集で天皇杯を3試合欠場したが、残りの公式戦38試合に先発フル出場。今や東京に欠かせない中心選手として八面六臂の活躍だった。DFラインを統率し、敵のFWとの対面勝負ではほとんど仕事をさせなかった。また、ピンチになるひとつ手前でボールを奪う、カットする能力も高かった。
さらに奪ったボールの展開、出しどころを探しての持ち上がりにも抜群のセンスを見せ、3バックの時には思い切った攻撃参加も見せた。FKを蹴ることはほぼなくなったが、セットプレーではしばしば頭で危険なシュートを放ち、25節の浦和戦では東のFKにヘディングで見事なシュートを決め貴重な得点を挙げた。
数年前からは考えられないほどプレーはクリーンかつクレバーで自信に満ちたものになり、中心選手として不足のない成長を見せたと言っていいだろう。
しかし、敵のFWとのガチンコ勝負には強い割りに集中の欠ける時間帯に気の抜けた失点をするケースは多く、そのすべてが森重のせいではないものの、キャプテンとして、DFリーダーとしてそうした部分を含めたキャプテンシー、リーダーシップをどこまで発揮できていたかは少なからず疑問の残るところ。
自分が有責なケースだけでなく、チーム全体としてどこまで失点を減らせるかということを考えるときに、森重が個人のパフォーマンス以上の何かをどれだけチームに還元できるかが大きなカギになると考えるのは僕だけではないだろう。森重にまだ成長の余地があるとすればこの部分だけと言っていい。来季も東京の中心として力を発揮して欲しい。
森重のパートナーにはチャンが第一選択だった。チャンは3月の代表招集以降ケガで一時戦線を離脱したが、4月下旬に復帰すると5月以降はほぼレギュラーとしてCBに入り、結局リーグ戦20試合に先発出場した。
荒っぽい部分はないでもないが、対人の強さには定評があり、つなぐ意識、パスセンスにも成長が見られた。森重と同じく25節浦和戦でのヘディングのゴール、32節湘南戦での「なんであんたがそこでワンツーしてんの」的ゴールと2得点を挙げ攻撃にも貢献。サッカー選手としての地力みたいなものを見せた。昨季に比べれば森重とのコンビネーションも熟成して安定感は増し、取り敢えずは安心して見ていられるようになった。
もっとも、チャンに関しては中国のクラブから高額の移籍金での獲得オファーがあると報じられており、移籍は織り込んだ方がいいだろう。残ってくれれば嬉しいが、東京での経験を財産にして次のステージに羽ばたいて行くことには異存はない。仮に出て行くことになっても活躍を祈りたい。その前に日本の美容院にも行ってみて欲しい(散髪は韓国に一時帰国したときにしか行かないらしい)。
問題はチャンとポジションを争う形になった加賀である。僕自身としては加賀は好きなプレーヤーだし、森重が読みとクレバーさを身上とする現代的DFであるとすれば、スピードと食いつきで勝負するリアクション型の加賀との組み合わせは比較的収まりがいいと思っていたし、実際そこのチャレンジ&カバーの関係は悪くなかったと思う。
また、昨季加入時には課題と言われた足許やビルド・アップも飛躍的に成長した。年齢を考えれば驚異的なことだと思う。また、1試合に一度は見せるルシオばりの持ち上がりも面白く、ひそかに期待していた。プレーにチャームのある選手で、ファンも多いはず。
もっとも、21節横浜戦で中村と正面から対峙しながらまたぎの連発でかわされシュートを決められたシーンが鮮明に焼きついてしまっているように、ここ一番でのパフォーマンス不足が目につき、自ら信頼性を損なった感がある。ミスが目につきやすく致命的な結果を招くのはDFの宿命だが、一対一の時の距離感とか見切りのポイントとかにまだ甘さがあるのかもしれない。僕としては、来季はチャンが抜けることを想定して加賀をCBに固定し安定したパフォーマンスを期待したい。
バックアップとしては丸山がリーグ・カップ1試合、天皇杯3試合の出場機会を得た。最初はポジショニングや足許のボール扱い、状況判断に甘さも多くキョドってしまうこともあったが、次第に落ち着いてボールが捌けるようになってきたと思う。森重は今後も代表招集などでクラブを離れることが予想され、チャンスは必ず巡ってくるだろう。来季、ブレイク・スルーを期待したい選手の一人だ。
また、高橋も状況によってCBのバックアップに入り、特に3バックの時には中央で使われることが多かった。もともとCBが本職だけあって危なげのないプレーぶり。だが高橋はもはやボランチとして計算されており、コンスタントにCBで出ることはないだろう。
吉本はケガから復帰し、全体練習にも合流したがベンチ入りはなし。来季勝負になるだろう。プロとして最後の勝負と考えた方がいい。アカデミー出身者として復帰を期待する。
平松は長いリハビリから復帰、天皇杯4回戦大宮戦では顔見せ程度とはいえ試合終了間際に出場を果たし満場の拍手を受けた。ところがその後の練習でまたしてもアキレス腱を痛めたとのことで現在はチームを離脱している。何というか、もう言葉もない。なぜこんなことが起こるのか。世の中は不公平としか言いようがない。来季の戦力として計算するのは難しいかもしれないが、選手として何とか再度のカムバックを待っている。
このポジションにはチャンの放出を見込んでか、磐田の藤田、ブラジルからマテウスという選手の獲得が噂されている。藤田は大宮と引き合いになっているらしい。チャンが抜けるなら、即戦力の補強は、必須とまでは言わないものの、藤田あたりの獲得は悪くない選択肢だと思う。外国人については何とも分からない。サポの間から名前の出ている岩政は正直あまり好きじゃないが選択肢としてはありかも。
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FC東京
2013年12月18日 21:56
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【2013年】FC東京シーズン・レビュー(3)SB編
今季リーグ戦全試合先発したのは3人だけだが、ルーカスを除くあとの2人は徳永と太田。要はすべての試合をこの2人のレギュラーで乗りきったということであり、結果としてはSBは非常に安定したパフォーマンスを出すことのできたシーズンであった。
徳永はリーグカップで1試合を欠場した以外はリーグ戦、リーグカップ、天皇杯と全試合フル出場。鉄人ぶりを見せつけた。パフォーマンスも圧巻で、守備では人に対する強さを見せて右サイドにふたをし続けるとともに、攻撃でも右サイドに張ったルーカスや三田らとパス交換をしながら、機を見て前線にも進出した。
左サイドの太田が上がることが多く、バランスを見てやや自重している感はあるものの、ここ一番の攻め上がり、特にたまに見せるドリブルでスルスル抜いて行く攻撃参加は面白い。もともとフレキシビリティ、サッカー偏差値という意味では高い能力を持っており、左SBはもとより、CB、ボランチもやろうと思えばできる器用な選手なので、信頼は厚い。
また、一年に一度と言われ昨季はガンバ大阪を降格に導く一発となった大砲は、今年も甲府戦でしっかり記録、城福監督に恩返しした。素晴らしいシュートだった。地味ではあるがクラブ生え抜きの数少ない選手であり、徳永こそミスター東京と言ってもいい。何で代表に呼ばれないのか不思議。
その徳永ももう30歳。来季も中心選手としての活躍を期待したいが、ぜいたくを言うとすれば、立場上、チームを引っ張る精神的支柱としてもっと前に出て欲しい。
左サイドの太田は移籍2年目となったが、ケガに泣かされなかなかポジションをつかみきれなかった昨季とは異なり、今年は開幕からポジションを確保、一年を通して安定したパフォーマンスを見せてくれた。
左サイドでの東、長谷川らとの絡みもよかったが、自分で仕掛ける技術も十分なものを持っており、縦に抜いてからゴールライン際で内側に入ってくる動きなどはもっと見せてもよかった。サイドでボールを受けても戻すことが多く、まあ、作り直しは我々には必要なことだが、もうちょっと勝負に行くシーンが見たかった。
切れ込むとシュートが逆足になるのは分かるが、右足シュートも含めた選択肢を増やすことでプレーにもっと幅が出ると思う。左SBは長友を放出してからなかなか固まらなかったが、太田がここにきちんとはまってくれたのは大きい。太田といえば今季はプレイス・キッカーとして大きな成長、存在感を見せた。FKでリーグ戦3得点は評価できる。こんなにいいFKが蹴れるとは思っていなかった。セットプレーでの得点がある程度見込める。太田にとっては価値を上げ意義のあるシーズンになったと思う。
この二人がSBでほぼ出ずっぱりだったため、このポジションのサブは難しくなった。今季は椋原をセレッソ大阪にレンタル、その代わりに横浜FCから呼び戻した阿部はシーズン途中で松本に完全移籍した。確かに徳永、太田に割って入るだけのパフォーマンスを見せるのは難しく、出場機会もなかったのでやむなしか。阿部はJ2でのシーズン当初に先発起用されていた時のパフォーマンスが印象的だったが、定着できなかったのは残念。
中村はケガで出遅れ、9月からはベンチ入りする機会が増えたものの出場機会はなかった。サッカー選手としてもう一段の飛躍を果たせるかどうかの正念場。好きな選手だし残って欲しいが場合によっては放出もあり得るか。SBのバックアッパーとして、中盤のユーティリティとしても有用性の高い選手だとは思うが。
シーズン中、ナビスコでのターンオーバーで徳永、太田を休ませた時には、加賀が右SBに入るケースがあった。しっかりアシストもできており器用にアップダウンをこなす。もともとスピードもあり、SB適性は十分ある。選択肢としては重要。
さて、来季は椋原がレンタル・バックか。また、今季特別指定で参加していたびわこ成蹊スポーツ大の松田陸を獲得。徳永、太田のレギュラーを、中村、椋原、松田がバックアップすることになるのだろうか。レギュラーの存在感が大きい一方、中村に加え椋原も今季はほとんど試合に出られておらず、万一の時にギャップに苦しむことがないか心配だ。松田には期待したい。
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FC東京
2013年12月16日 22:51
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【2013年】FC東京シーズン・レビュー(2)GK編
GKに関しては権田(リーグ戦33試合先発)がシーズンを通してレギュラーの座を守り、権田が代表招集で不在の間は塩田(同1試合)がゴールを守るという態勢だった。
もっともリーグ最終戦では権田をベンチに置き、塩田を先発させた。「練習からモラル高く声を出し続ける塩田を起用しない手はないと思った」とポポヴィッチ監督は語っているが、もしかしたら放出の伏線かと勘繰ってしまったりもする。このあと、天皇杯でどういう采配をするか分からないが、塩田の先発は単純に嬉しかった。
権田は代表にもコンスタントに呼ばれ、クラブでもシーズンを通して安定したパフォーマンスを見せた。絶体絶命の一対一を何度権田に救ってもらったか分からない。裏に飛びだされた時のギリギリの一対一での見切りと鋭いリフレクションは、なかなか余人をもって代え難いのは事実で、東京の戦いのベースを作ってくれた。
しかし、中途半端な飛び出しやサイドからのボールの処理ミスなど安定感を欠くプレーも時折見られた。また、バックパスの処理もセーフティなのかつなぎ優先なのかはっきりしないときがあり、プレー全体にあといちだんの熟成が求められるようにも思う。33節柏戦でのお粗末なキックミスは論外としても、今季はマイボールを敢えて大きく蹴って結果として敵に渡してしまうケースも少なくなかった。
ビルドアップに積極的に関与できる現代型のGKとしての資質はだれもが認めるところで、来季は普通にパス回しに加わる権田を見てみたい。
塩田は出場すれば安定したパフォーマンスでサブとしての難しい役割を十分果たしてくれた。他のクラブならレギュラーでもおかしくない実力で、いつ出番が回ってくるか分からないが結局出られないことの方が多いという酷なサブGKの立場を今季も忍んでくれた。権田が思い切ってプレーできるのも塩田がいるからこそで、出ないことによって仕事をするという意味で塩田の存在は高く評価したい。
積極的なコーチング、権田のような華はないものの丁寧で正確なキャッチング、今ではむしろ権田よりも意識が高いと思われる「味方に渡す」ボール・リリースなど、塩田自身も持ち味を生かしながら成長している。特にサイドからのボールのキャッチングに関しては権田よりも確実に上手い。権田が調子を落とした時や試合間隔が厳しい時にはもっと塩田の積極的な活用を考えていいのではないかと思う。
とはいえ、塩田ももう30代でクラブでは年長者。実力も考えれば他クラブから引きがあってもおかしくない。僕としては残って欲しいが、いいオファーがあれば出場機会を求めて移籍する可能性もなしとしない。特に圍を新入団で獲得したことからもその可能性は高まったと言える。精神的支柱としても残って欲しいが、来季いない可能性は覚悟しなければならないかも。
廣永はリーグカップと天皇杯で6試合のベンチ入りにとどまり、公式戦への出場はなかった。サードGKとして権田、塩田にけがなどのアクシデントがなければ出番がないというさらに難しい立場だが、いなくてはならない存在。モラル高くいつでも出場可能な準備をすることが仕事という意味ではよくそこに控えてくれていたということ。もっとも、キャリアを考えれば出場機会を与えたいのも人情。塩田をおしのけてセカンドに昇格するくらいの成長を見たい。
既に言及したが、来季は桃山学院大からユニバーシアード日本代表の圍謙太朗が新しく加入する。4人態勢なのか、だれかが退団となるのかは分からないし、天皇杯に優勝してACLの出場権が得られるなら4人でもいいとは思うが、そうでなければ人繰りに変動があるかもしれない。
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FC東京
2013年12月15日 22:41
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【ブンデスリーガ第16節】マインツ×グラードバッハ
■2013年12月14日(土) 15:30キックオフ
■Coface-Arena
試合は日本時間土曜日夜10時半からだったが、Jスポーツが録画中継で夜中の2時から放送。日曜日に朝早くから出かけなければならない所用があったので、放送を録画し、結果を見ないまま日曜日の夕方から時差観戦した。
グラードバッハは今節も同じ先発。デムスもブラウアースもベンチには戻ってきているが、コープ、ヴェントを両翼に置き、ヤンチュケをCB起用するDFラインは変わらず。
テア・シュテゲン
コープ ヤンチュケ シュトランツル ヴェント
ヘアマン クラマー シャカ アランゴ
ラファエル クルーゼ
序盤はアウェイのグラードバッハが主導権を握る。ボールを支配しながらワンタッチ、ツータッチでテンポよくパスを当ててボールを動かして行く。一方のマインツは自陣でブロックを形成し、奪ったボールを少ない手数でワントップに展開してチャンスを窺う。ゴール前でのシーンも作られるがシュートが枠に飛ばず救われる。
グラードバッハは敵陣でも果敢にボールにチャレンジし、奪ったボールは作り直しながら敵の守備にギャップが作り出そうとするが、崩しきれないうちにパスミスからボールを失うことも少なくない。互いに隙を見せると持って行かれる緊迫した展開で中盤では激しい競り合いが展開されるが、決定的なチャンスは互いにそれほど多くなく、シュート数も伸びない。
アランゴとヘアマンが頻繁にポジションを交換しながらサイドから裏を狙い、空いたスペースに次々と後ろから選手が入り込んでくる流動的な攻撃ができていて、チームの状態がいいことを窺わせる。特にシャカ、クラマーのボランチが中盤でしっかりボールを持ち、広い視野から左右にボールを振り分けるので、両SBを含めピッチがワイドに使えている。
そのおかげで中央への鋭いクサビも生きるし、ヴェント、コープの攻め上がりも効いてくる。一方で、前線でのチャレンジが外されると一気に後ろで数が足りなくなるリスクもあり、マインツの素早い攻守の切り替えにも苦労する。基本的にグラードバッハがボールを支配しているが、マインツに持たれる時間帯もあり、激しいつばぜり合いのまま流れを引き寄せきれずにスコアレスで前半を終える。
後半に入っても拮抗した展開は変わらず。グラードバッハは58分、コープがスルーパスから裏に抜け出し右サイドからシュートを放つが角度的に厳しくボールはゴール前を横切る。前に重心をかけた結果カウンターを受けるケースも見られるが、敵のシュートはほぼ枠外でテア・シュテゲンが試されるシーンはほぼない。
75分には左に開いたヘアマンがゴールライン付近から折り返すとクルーゼがこれに合わせてシュートを放つが枠に収まらず。チャンスらしいチャンスはこれが最後。
グラードバッハは88分にアランゴとラファエルに代えて、デ・ヨングとフルゴタを一気に投入、さらに直後の89分にはヘアマンに代えてノードファイトを投入するが、アディショナル・タイムも短く結局ゴールを奪うことはできなかった。kickerもグラードバッハの公式サイトも「芝生の上のチェス」になぞらえるくらい、両者がきちんとパスをつなぐフットボールで組み合った好試合だったが、結局スコアレスドローに終わった。
この試合、グラードバッハのフットボールの成熟を見せられたが、マインツがそれによく対応してきたと言うべきか。ポゼッションは67-33とグラードバッハが圧倒的にボールを支配していたことが分かるが、シュートは10-6と決定機の少ない試合であったことを示している。互いに長いボールを蹴ることはほぼ皆無。質の高い試合だったがこういう試合こそどんな形でもいいからワンチャンスで1点とって勝ちたい。
グラードバッハは連勝が6でストップしたが、敵地で最低限の勝ち点1を得た。3位のBVBも引き分けたため勝ち点差なし得失点差の4位と順位は変わらず。次節でシーズン前半を終えるが、ホームでしっかり勝ち点3を積み上げ、いい流れでウィンター・ブレイクに突入したい。
ルツィアン・ファヴレ監督談話:
「引き分けのあとで少しばかりがっかりしてしまうのは悪くない。数週間前には考えもしなかったことだ。マインツでいいチームと態勢ンしてアウェイでの勝ち点1を得たことは問題のない結果。マインツはいつでもボールを奪った後やカウンターでは非常に危険なチームだが、我々はそれをうまくコントロールできた。彼らを自由にさせることは多くなかったと思う。我々には3度か4度のいいチャンスがあったが、ラスト・パスが正確に来ないことがしばしばあった。我々はできることを全部やったしほとんど70%のポール支配率だった。前向きな材料をたくさん見ることができた」
次節はホームでのヴォルフスブルク戦。さすがにどこも中継してくれなさそうなのでウェブ動画を探して見るか。
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ブンデスリーガ
2013年12月11日 22:09
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【2013年】FC東京シーズン・レビュー(1)総論
今季はポポヴィッチ体制2年目となり、優勝を目標に掲げてリーグ戦を戦った。その結果、リーグ戦の戦績は16勝12敗6分、勝ち点54(1試合あたり1.59)を稼いだものの上位が混戦だったこともあって順位は8位に終わった。リーグカップ、天皇杯を含めた公式戦全体では、43試合を戦い20勝13敗10分となった(天皇杯4回戦まで、天皇杯のPK勝ちは引き分けとして計数)。
当初掲げた目標からすれば決して満足できる結果ではなく、また実力や試合内容からしてももっといい結果であり得た感の強く残るシーズンであったが、昨季からほぼ不変のメンバーで戦った今季は、昨季からの継続性を持ちながら確実に成長を感じさせ、一貫した戦略のもとでチームを作り上げることの大切さ、正しさを実感したのもまた間違いのないところであった。
勝ち点54はシーズンが34試合になった2005年以降、2008年(6位、城福監督初年)の55に次ぐ好成績。2000年のJ1昇格以降を見ても、1試合あたり勝ち点は2003年(4位、原監督)の1.63、2008年の1.62以来の高い数字を残しており、このことは素直に評価すべきだ。
今季は、10番を背負い東京の中心であった梶山がパナシナイコスに移籍、この穴を埋めるべく大宮から東を獲得した。また、エジミウソンの抜けた前線には開幕直前にサウサンプトンから李を獲得、最小限ではあるものの的確な補強を行ってリーグ戦に臨んだ。
チームは昨季からの課題であるポゼッション・フットボールに継続して取り組んだ。長谷川、渡邉、太田といった、昨季加入の選手がよりチームにしっかり溶け込んで中核となり、東の流動的な動きから前線を活性化して自在にボールを動かす東京のポゼッション・フットボールは、ボールを持ちながらも敵の守備ブロックの外側で足元のパスに終始し、崩す糸口を見いだせないことも多かった昨季に比べて確実に進化した。
特にスペースにボールを出しての連係、ヒールでの落としや斜めへの走り込みから敵の守備陣形にギャップを作る動き、ワンツーの意識など、ゴール前のクリティカルなところにボールを持ち込むスキルは格段にレベルアップした。東、長谷川、李、ルーカスらの華麗なボールさばきは、ポポヴィッチイズムがチームに根づいていることを感じさせたし、何よりこのクラブがどうやって得点を奪い、勝利を挙げようとしているのか、そして最後に何を目指しているかを明確に表現していた。
また、渡邉が移籍2年目にしてエース・ストライカーとしての実力を発揮したのも大きい。渡邉のパフォーマンスに対する評価はFW編で詳しくやりたいが、終盤の失速はあったとはいえ、シーズン17得点とチームを牽引してくれたおかげでクラブ全体では61得点とリーグ3位の得点力を誇った。
しかし、こうした好材料にもかかわらず、結局8位でシーズンを終えることになった要因ももちろん検証しなければならない。
まず挙げられるのは、ロースコア・ゲームの戦い方の拙さである。今季無得点は6試合であるが、このうち4試合に負けている。また、1得点にとどまった5試合のうち1-0で勝った試合はひとつもなく、4敗1分の戦績。2得点以上の試合が23試合といえば聞こえは悪くないが、ロースコアの勝負になった時に、1点を守って勝つ(1-0)とか、失点せずに引き分ける(スコアレスドロー)という戦い方ができていない。無得点または1得点の11試合で0勝8敗3分。
また、今季も目についたのはうかつな失点の多さ。PKやミスから失点を重ねた33節柏戦の例を持ち出すまでもなく、前半の早い時間帯や後半の立ち上がりなどに、エアポケットのように集中が切れてお粗末な失点を献上するケースが多かったように思う。まあ、失点なんてもともとそういうものなのかもしれないし、そういう失点が印象に残るという面もあるとは思うが、優勝を目指すクラブがこの失点はないわ、というシーンを何度も見せられた気がする。
日本代表の森重、韓国代表のチャンをCBに擁し、サイドにも徳永、太田と代表級を置いているにも関わらず、必ずしも崩された訳でもない、またカウンター・ディフェンスで走り負けた訳でもない、人は足りているのに寄せきれず十分の体勢でシュートを打たれてしまうような「あらあら」みたいな失点で自ら流れを手放したゲームも多かったように思う。
さらには、シーズンで節目になるゲームに勝てなかったことも挙げなければならない。例えば5位で迎えた11節、雨中の湘南戦では一度は2-1と逆転しながら、2度までも足元のボールをさらわれて再逆転負け(2-3)。23節、鳥栖戦では0-2から終盤に一度は追いついたものの直後に押し込まれて2-3と苦杯を喫し12位に後退。
再び順位を5位に上げ、優勝争いに割って入るべく満を持して挑んだ28節、ホームでの鹿島との上位直接対決では開始早々に続けて2点を失い、後半にも加点され、最後に一矢報いたものの1-4と完敗。さらに31節、何とかACL圏内を確保するべくやはり上位対決となったホームでのセレッソ大阪戦では前半に先制されながら70分に追いつき、緊迫感のある試合となったものの、終盤、柿谷にGKからのフィードをそのまま決められ敗戦、セレ女に格好の絶叫ネタを提供して事実上「シーズン終了のお知らせ」状態となった。
一方で広島、浦和に連勝するなど、踏ん張りを見せた試合もあり、この「勝負どころで弱い」悪癖にも改善の兆しは見られるものの、一貫した戦略を持ち、得失点、勝ち点も相応の成績でありながら、結局中位に終わったのはやはりこうしたポイントになるゲームでぽろぽろ負けてしまったことによるものだろう。
ここで「厳しさがない」「勝者のメンタリティがない」「したたかさが足りない」など、メンタル面の弱さを指摘するのは容易い。そしてそうした指摘には確かに真理が含まれている。
かし、そんなことはクラブも選手たちもよく理解しているはず。実際、僕が見た中でも選手らが必死で戦っていない試合は一つとてなかった。先制されても下を向くな、なかなか得点が入らなくても集中を切らすな、最後まであきらめるな、彼らは自らにそう言い聞かせながら戦っているように見えた。
それなのに、ロースコア・ゲームで勝ち点が拾えない、気の抜けた失点が多い、ポイントになる試合を落としてしまう、こうした「甘さ」としか言いようのないクセが抜けないのは、ひとつにはこのチームの同質性が高すぎるからではないのかと思う。ルーカスを別にすれば、主力のほとんどは20代半ばの若手から中堅選手たち。戦術理解の共有という面では大きな利点になるこのチーム構成が、逆境に立たされたとき、勝負がかかったとき、思わぬ弱点になってしまうのではないか。
調子に乗ればみんなで同じように盛り上がるが、ひとたび打たれるとみんなで同じように唇をかむ。チームに違う空気を持ち込む異分子がおらず、良くも悪くも「気分」が共有されている。多くを語らなくても分かりあえる「うちら」の空気がチームを支配している。僕は別にクラブの内部者ではないので、選手たちの実際の様子を知っている訳ではないが、よくない時の東京を見ていて思うのはそんなようなことだ。
ベテランが不在だとはよく言われるが、別にベテランである必要はなく、チームの中で「みんなと違うこと」の言える、できる強さ、それを互いに認め合う度量が必要であるように思う。
その意味で、僕は選手たちひとりひとりの個の自立を促したい。自立した個の集団の中で戦術理解が共有されれば、それはほとんどそのまま勝者のメンタリティになり得るはずだ。だれかが下を向いた時に鼓舞する者がいる。だれかが調子に乗った時に諌める声が出る。異質な個のミックス・アップが強靭な全体を作る。このクラブが次のステップに進むためにはそれが必要だと僕は思う。
今季、優勝という目標にはまだまだ及ばず、先に書いたような課題を突きつけられる一方で、チームとしての戦術理解、ある種のオートマティズムが形になりつつある手ごたえは十分感じられた。僕としてはポポヴィッチ監督には少なくとも3年計画でチームを預けるものと思っており、2年目の今年は優勝を目指してトライし、結果がどう出るにせよ、その結果から学ぶべきシーズンだと考えていた。
その意味では、今季は結果に満足はできないにしても、理解、納得はできる貴重な一年であり、いよいよ来季、ポポヴィッチ体制の総仕上げ、言い訳なしに優勝を狙いに行く勝負のシーズンだと思っていただけに、ここでポポヴィッチ監督を更迭するとのフロントの判断にはかなり違和感がある。
後任にはフィッカデンティの名前が挙がっているようだが、全然知らない人で、ここまでできあがったチームのベースを生かしながら、ボールを大切にしてポゼッションから得点を狙うスタイルを継承して行くのに果たして適任なのか、ちょっと判断できない。
アレシャンドレ・ガーロが持ち込み、城福浩が根づかせ、ランコ・ポポヴィッチが育てたポゼッション・フットボール、ムーヴィング・フットボールを支持する僕としては、せっかくここまで作り上げたチーム、ポポヴィッチの2年間を台無しにしない新体制を望むとともに、東京を大きく飛躍させたポポヴィッチ監督に心から感謝と労いの言葉を贈りたいと思う。
次回からは各ポジションについて個別に見て行く。
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FC東京
2013年12月09日 20:00
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【ブンデスリーガ第15節】グラードバッハ×シャルケ
■2013年12月7日(土) 15:30キックオフ
■Stadion im Borussia-Park
5連勝中のグラードバッハはホームで連戦。今季ホームでは7戦7勝と無敵状態だが、ここで順位的に直下のシャルケを叩いてさらに勝ち点を上積みできれば、上位を窺う上でも大きな足がかりとなる。相手クラブに日本人選手がいるためCSフジテレビで生中継があったので土曜日の11時半からテレビの前に陣取った。
グラードバッハはこのところ不動のイレブンが先発。ヤンチュケをCB起用しコープに右SBを任せる布陣はブラウアースがベンチに戻っても動かさないようだ。
テア・シュテゲン
コープ ヤンチュケ シュトランツル ヴェント
ヘアマン クラマー シャカ アランゴ
ラファエル クルーゼ
4位と5位の対決ということでテンションは高いが、互いに守備を意識した慎重な立ち上がりとなったため、決定機を作りきれない緊迫した展開となった。序盤はシャルケの方がやや優勢か。グラードバッハは自陣でシャルケの攻撃をしのいでボールを前に運ぼうとするが、シャルケのハイプレスに苦しめられる。
16分、敵FWがクロスに飛び込んだところ、コープがその腕を後ろから引っ張って引き倒してしまう。稚拙なファウルで警告を受けPKを与えてしまうが、むしろ退場にならなくてラッキーというレベルの反則だったと思う。17分、このPKはテア・シュテゲンがコースを読んでボールに触れたがいかんせんシュート・スピードが速くボールはそのままゴールへ。0-1と先制を許す。
その後も両クラブが守備を固めながらチャンスを窺う緊迫した試合は続く。グラードバッハは連勝中の精神的余裕からか先制されても焦って前がかりになる様子はなく、自陣でしっかりボールをキープした上でクサビをトリガーに流動化する攻撃を試みる。
すると24分、右サイドでボールを受けたラファエルが中央に切れ込み、敵DF数人に囲まれながらもボールをコントロールしてエリア外からシュート。これがゴール左隅に決まる見事なミドルとなりグラードバッハが1-1と同点に追いつく。失点から短い時間で追いつくことができたのは大きかったが、それにしてもラファエルの見事な個人技だった。
その後、CKからシュトランツルがヘディング・シュートを放つシーンもあったが敵GKのファイン・セーブに防がれるなど、敵GKも当たっていた感はあった。
44分、アランゴからスルーパスを右寄りで受けたクルーゼが、エリア内でボールを置き直してシュートを放つ。これがシュート・コースに入った敵DFの腕に当たりハンドの反則。グラードバッハがPKを得た上、敵のDFはこれで2度目の警告を受け退場となる。アディショナル・タイム、クルーゼがこのPKを自ら蹴りゴール。グラードバッハが2-1と逆転に成功し前半を終える。
後半、余裕の出たグラードバッハは守備を固めながらカウンターから好機を作る。52分、スルーパスから裏に抜け出したラファエルはゴールを決めるがオフサイド。画像からは微妙な感じだった。さらに56分にはゴール前の混戦から後ろに戻されたボールをヘアマンがシュートするが、きれいに枠に飛んだシュートは敵GKにセーブされる。やっぱり当っている…。
このあたりからシャルケも積極的に攻撃を仕掛け始め、グラードバッハはやや守勢に回る時間帯になる。62分、敵MFのシュートはテア・シュテゲンがセーブ。
グラードバッハはその後もチャンスを作るが敵GKの攻守もあって追加点を奪うことができない。83分にクルーゼに代えてデ・ヨングを投入。さらに88分にはラファエルに代えてブラウアース、90分にはヘアマンに代えてノードファイトと守備的な選手を投入して試合をクローズしに行く。
シャルケも終盤は再々GKがCKに上がってくるなど積極的に同点を狙いにきたが、テア・シュテゲンのリフレクションで何とかしのぎ試合終了。グラードバッハが前半逆転した1点のリードを守ってシャルケに勝ちきった。
緊迫したにらみ合いからPKで先制を許したが、焦ることなくすかさず追いつき前半のうちに逆転するなどメンタル面での余裕がもたらした勝利だったと思う。決定機は後半にもあったが、敵GKの攻守に遭い試合を決めきることができなかったが、最後まで集中してシャルケの反撃をしのいだことは評価できる。
少ないタッチ数で果敢に味方に当てて行くスタイルは、時としてパスのズレやミスからボールを奪われるリスクもあるものの、素早い切り替えとの組み合わせで試合の主導権を握る大きな要素となっている。前線のラファエル、クルーゼに加え、飛び出しの光るヘアマンと、パス出しの魔術師アランゴのコンビネーションがいいし、中盤の底でボールを狩り、的確に配給するクラマー、シャカの存在も大きい。
今日の反省点としては敵にPKを与えたコープの拙いファイル。若さの出たプレーで、致命的な失点になる可能性もあった。このワンプレーで直ちにポジションを失う訳ではないだろうが、しっかり反省してもらう必要がある。
グラードバッハは6連勝。順位は4位と変わらないが、3位のBVBがレバークーゼンに負けたことから勝ち点差はなくなり得失点差だけの違い。勝ち点は15試合で31と、1試合あたり2.06。上位にいるのにふさわしい戦績。ウィンター・ブレイクまであと2試合であり、少なくとも勝ち点4は積み上げていい形でシーズン前半を終えたい。
この後の試合はマインツ(A)、ヴォルフスブルク(H)。マインツ戦は相手に日本人選手がいるのでどこかで生中継してくれないものか。
ルツィアン・ファヴレ監督談話:
「難しい試合だった。立ち上がりはプレーするのに苦労した。あまりにもスピードがなく無用のボールロストも多すぎた。そこでシャルケに素晴らしいカウンターからリードを奪われた。私から見てもあれは明快なPKだったと言わざるを得ない。しかし、我々はラファエルのスーパー・ゴールで流れをひっくり返した。2-1はユアン・アランゴとマックス・クルーゼが素晴らしいコンビネーションから勝ちとったものだ。PKはよかったが、2枚目の警告で退場というのは私から見ればやや厳しすぎるようにも思えた。まあ、このハンドの規定を厳格に適用しなければならないというのは審判にとっても大変なことだと思う。後半になって4-4-1と戦うのは簡単なことではなく、あまり楽になった訳でもなかった。それでも3-1にすることはできたはずだと思うが、我々は手数をかけすぎた。シャルケは前線では非常に危険であり、最後に2-2にされてもおかしくなかった。マーク・アンドレ・テア・シュテゲンが終了間際のボアテンのヘディングを止めたのは本当に驚いた。ベンチの私のところからは入ったように見えたんだ。仮に2-2になっていても文句を言うことはできなかったが、90分を通してみれば勝利は妥当でなかったとも言えない」
ようしゃべるわ、おっさん。
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Borussia M'Gladbach
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ブンデスリーガ
2013年12月07日 22:40
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【Jリーグ第34節】FC東京×仙台
■2013年12月7日(土) 15:30キックオフ
■味の素スタジアム
リーグ最終戦は今季もホームでの仙台戦となった。昨季は6-2と気持ちよく勝たせてもらったがそう毎年うまく行くとは限らない。東京も仙台も、優勝はおろかACLすら可能性はなく、一方で降格クラブももう決まっていて正直消化試合。まだ天皇杯が残ってはいるが、今季限りでクラブを去ることが決まっているポポヴィッチ監督、引退するルーカスらにとっては味スタでの最後の試合になる。
日中はいい天気で日なたは厚着では暑いくらいの陽気だったが、キックオフの頃までには日も傾き、日が陰ると途端に冷え込んだ。味スタ今季最後の観戦になる。
東京はチャンが警告累積で出場停止となったためCBには加賀が先発。また、前節致命的なミスのあった権田をベンチに置いて塩田が今季初めてリーグ戦で先発。もしかしたらそれ以外の意図があるのかとちょっと不安になってしまう起用だ。また契約を更新しないことが発表されているヴチチェヴィッチも今季リーグ戦初の先発となり、東がベンチを温めることになった。
塩田
徳永 加賀 森重 太田
米本 高橋
ルーカス 長谷川 ヴチチェヴィッチ
渡邉
試合は立ち上がり東京が優勢に。テンポのいいパスをつないで敵陣に攻め入り、4分、6分と高橋が立て続けにミドルを放つがDFやGKに防がれ得点にはつながらない。すると直後の6分、仙台が東京右サイドから上げたクロスに中央で合わされ決定的なピンチとなるがシュートはバーをヒット。次第に仙台が中盤でボールをつなげるようになり、自陣で受けに回る時間も長くなるが、決定的なところは塩田がナイス・セーブでゴールを許さない。
東京は中央での落としから左サイドのヴチチェヴィッチに展開する形で何度かチャンスを作るが、ヴチチェヴィッチは仕掛けきれず、21分にはシュートを放つがミートしきれずGKがキャッチ。互いにパスミスからボールを奪われターンオーバーの繰り返し、ファウルで試合が止まることも多くパッとしない試合になる。
33分にもペナルティ・エリア直前でFKを与え、枠に飛んだシュートを塩田がセーブするなど敵の決定機も少なくなく、東京はなかなか試合の流れを引き寄せられないまま守備に追われる展開となる。前半終了前にも前線でモラルの高い仙台にボールを引っかけられて立て続けにピンチを招く。敵のシュート・ミスもあって何とかスコアレスで前半を終えたものの、想定外の苦戦。互いにピリッとしない消化試合にふさわしい内容…。
ヴチチェヴィッチはゴールに向かう姿勢は買えるしプレーにもアイデア、センスは窺えるものの、プレー選択が一発狙い的にギャンブル性が高く、うまく行った時と行かないときの振幅が大きくて、試合の流れがどちらに傾くかを競う前半のクローズドな試合展開の中ではリスクが大きい。やはりスーパー・サブとしてゲームがオープンになった時にこそ真価を発揮する人なのではないかと思った。
あと、東がいないので攻撃に流動性が生まれてこない。東については批判も承知しているが、前線で動きを作り出すことのできる稀有な存在であり、羽生のいない今季、攻撃のレベルアップができているとすれば東のおかげ。流れを読み的確なポジショニングから敵のギャップを生み出すことのできる能力は得難いもので、前半は東の不在を強く感じた。
後半に入ると東京が先に流れをつかむ。46分、CKからゴール前にこぼれたボールをルーカスがゴールにけり込もうとするがGK正面に。その後も敵ゴール前で圧力をかけ続けると、53分、CKの流れからのこぼれ球をつなぎ、最後は長谷川の右からのクロスに中央のルーカスがダイレクトで合わせてゴール。東京が1-0と先制する。ルーカスは味スタで最後の試合で自ら引退を飾るゴールを挙げ、チームメイトにもみくちゃにされる。塩田以外の全員が和に加わっていたと思う。
直後の54分、ヴチチェヴィッチを下げ、石川を投入。石川は右SHに入りルーカスが左に回ったか。
ここからは東京がペースをつかむ。中盤で圧力をかけては仙台からボールを奪い、前線に展開する形で何度もチャンスを作る。仙台は浮足立ったかボール扱いが雑になり、試合は次第にオープンになって行く。
60分、太田からのラストパスを受けて渡邉がシュートを放つが大きく枠外に。その後も東京はショート・カウンターに近い形から何度か決定機を迎える。
68分、渡邉に代えて東を投入。ルーカスがトップに上がり東はそのまま左SHに入ったようだ。
その後も東京は、ボールは持つものの次第に攻撃意欲が散漫になったように見えた仙台に対して中盤で貪欲にボールにチャレンジ、足許で奪っては展開する攻撃を続ける。77分、ルーカスがカウンターから左サイドを上がり、フェイントでペナルティ・エリアに侵入、シュートを放つが敵GKがセーブ。2点目はならなかった。
81分、左からの東のFKは枠に飛んだものの敵GKのセーブに遭う。これで得たCKには森重がフリック気味のヘディングで合わせるが枠外。89分、ルーカスを下げて平山を投入。悠然とピッチを去るルーカスに多くのサポがスタンディング・オベーションで拍手を送った。バクスタ上層にいたが結構たくさんの人が立ち上がっていた。まあ、このために交代させてる訳だし。
90分、敵のバックパスを、手を使えないGKが頭で落としたところに平山がチャレンジ、ボールがこぼれ得点機になったがGKのカバーが早く流し込めなかった。仙台はこの手のお粗末なプレーが特に終盤散見されたように思う。
アディショナル・タイム、米本が右サイドを上がり中央へクロス、平山がヘディングで合わせてゴール。2-0とリードを広げる。直後に試合終了となり、終わってみれば東京が2-0と完勝を収めた試合だった。
前半は攻撃にアイデアを欠き、仙台に主導権を握られて苦戦したが、後半開始早々に先制したことから流れをつかみ、仙台の反撃に遭いながらも敵の拙攻にも助けられて今シーズン最終戦を勝利で飾ることができた。
試合後にはホーム最終戦恒例のセレモニーがあり、ポポヴィッチ監督、ルーカスの挨拶、おそらく予定にはなかったものと思うがサポの声援に押される形でヴチチェヴィッチの挨拶があった。また、引退するルーカスにはガンバ大阪の遠藤、今野、原元監督らからのビデオメッセージ、家族からの花束贈呈もあった。
今季の集大成というにはやや中身の薄い試合だったようにも思うが、東をベンチに置いてヴチチェヴィッチを先発させたことがその要因のひとつだったのは間違いのないところ。ポポヴィッチ監督がなぜヴチチェヴィッチを先発で使わないか(そしてまたなぜ来季の構想から外れたか)、一方で東が批判を受けながらもいかに重要な役割を果たす選手かということが改めて確認できた。
また、今季リーグ戦初先発となった塩田も素晴らしかった。確実なキャッチングと泥臭くゴールを守るセービングで仙台を完封。権田は確かにギリギリの局面での神がかり的なリフレクションなどで「魅せる」ことがあり何度も助けられたが、サイドからのボールへの対処など、プレーの安定性、信頼性は塩田の方が高いと思っている。今日の塩田の活躍は嬉しかった。
シーズン総括は改めてやりたいが、勝ち点54の8位という成績は当初の意気ごみからはほど遠いもの。やはり節目になる試合に勝ちきれなかったのが大きく、例えば鹿島に2敗して落とした勝ち点6がちょうどACL圏との差になっている。
一方で広島、浦和に勝つなど成長はあったし、チームとして成熟してきているのは確か。時に胸のすくような攻撃が見せられるようになり、得点力もアップ、この体制であと1年やりたかった。勝ち点54は、シーズンが34試合になった2005年以降、城福監督初年の2008年(55)に次ぐ高成績。順位は今ひとつで戦い方の巧拙はまだまだムラもあるが、僕は評価できる戦績だったと思う。
願わくばスクラップ&ビルドではなく、このチームの継続性の上に立った戦いを来季も望みたい。
評点(評点は
ドイツ式
):
塩田(2.5) なにげにスーパー・セーブを連発。声がバクスタ上層まで届く。
徳永(3.5) ドリブルで運べるSB。リーグ戦全試合フル出場は信頼の証。
加賀(3.5) 守備の時間帯もしっかり我慢してしのいだ。攻め上がりがステキ。
森重(3.5) 危なげのない対応で仙台を完封。敵FWを抑え込んだ。
太田(3.5) クロス、FKで試合を演出。今年はキッカーとして大きく成長。
米本(3.5) 荒いところも見られたがチャレンジする姿が味方を鼓舞する。
高橋(3.5) 前半は押し込まれて苦しかったが後半はしっかり中盤を作った。
ルーカス(2.5) ホーム最後の試合で結果を残した。まだまだ必要なのに…。
長谷川(3) 長谷川を経由することで攻撃の緩急ができる。トップ下で成長。
ヴチチェヴィッチ(4) 試合終盤に一発を狙って力を発揮する選手ということ。
渡邉(4) シーズン前半はよかったが失速。ストライカーとして一段の成長を。
===
石川(3.5) やはり石川にボールが渡るだけで可能性を感じる。来季も見たい。
東(3) シュート技術はアレだが試合を作る力はピカイチ。重要性を証明した。
平山(-) 貪欲に狙った結果のゴールは立派。このオフは身の振り方を考えたい。
1週置いて天皇杯で再び仙台と対戦する。勝って東京に凱旋し、天皇杯を勝ちとってACLに出たい。
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FC東京
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J1リーグ戦
2013年12月03日 00:49
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■
【ブンデスリーガ第14節】グラードバッハ×フライブルク
■2013年12月1日(日) 17:30キックオフ
■Stadion im Borussia-Park
日本時間月曜日未明1時半とかそりゃムリだわ。仕方なく朝起きてkickerのサイトを確認した。Fohlen.tvも契約しているのでハイライトはいつでも見られる。何なら試合全編も見られるが、結果の分かっている試合をPCの前で90分見るのはさすがにつらい…。
グラードバッハはアウェイでVfBに勝ち4連勝の余勢を駆ってホームに凱旋。今季ヨーロッパ・リーグとの二足のわらじで苦労しているフライブルクと対戦する。メンバーは前節と変わらず。ブラウアースが戻ってきてるんだからCBで使ってヤンチュケをサイドに戻せばいいのにと思うが勝っているチームはいじらないか。
テア・シュテゲン
コープ ヤンチュケ シュトランツル ヴェント
ヘアマン クラマー シャカ アランゴ
ラファエル クルーゼ
試合はホームのグラードバッハが主導権を握って攻撃を仕掛けるが、フライブルクもしっかりスペースをカバーしてそれを受けるという展開になる。グラードバッハはボールを支配するものの敵陣に入ってからの攻撃の糸口がつかめずこれといったチャンスを作れない。
15分を過ぎた頃からやや試合が動き始めるがどちらもチャンスを決めきれず。27分、アランゴのパスを受けたヘアマンがファースト・タッチでボールを浮かせ、落ちてきたところをボレーで狙うが敵GKのセーブに遭う。
グラードバッハはその後もアランゴ、クルーゼがチャンスを迎えるが得点には至らず。一方のフライブルクは守備からカウンターを狙うがこちらも決定機は少なく、結局スコアレスのまま前半を終えた。
後半に入ってもこれといった見せ場は訪れないまま時間が過ぎる。58分、敵FWがDFラインの裏に抜け出しテア・シュテゲンと一対一になるがシュートはミートせずテア・シュテゲンが難なくキャッチ。これを決められていたらヤバかったが、ここで流れがグッとこっちに来たかもしれない。
すると63分、ヘアマンが敵DFの裏にスルー・パスを出し、これを追ってヴェントがスペースに抜ける。これを中央に流し込んだところにラファエルが詰めてゴール。グラードバッハが1-0と先制する。
ホームでリードを奪ったグラードバッハは84分、ヘアマンに代えてフルゴタを、86分にはラファエルに代えてデ・ヨングを投入。アディショナル・タイムにはアランゴを下げてノードファイトを投入するなど時計を進め、結局1点のリードを手堅く守りきって5連勝を飾った。
グラードバッハは4位をキープ。ついに1試合あたりの勝ち点が2.00になった。ダイジェストしか見てないけど、いろんな歯車がうまく噛み合って、自信を持ってプレーしていることが窺える。次節もホームでシャルケと戦う。スカパーで生中継もあるし、簡単な相手ではないがしっかり勝ち点を積み上げたい。
ルツィアン・ファヴレ監督談話:
「極端に難しい試合だったが、フライブルクがここ数試合非常にいい戦いをしていたのでこうなったのは私にすれば驚くべきことではなかった。彼らは非常に知的に戦い、よく守って運動量も多かった。トータルすれば勝利は妥当でないとは思わないが、非常に際どいものだったことは確かだ。前半には2度か3度のチャンスがあったが生かすことができなかった。それにもかかわらず我々は冷静で落ち着きを失うことがなかった。それがとてもうまく行った。5連勝は素晴らしいことだが、ここでうぬぼれてしまう訳には行かない。我々はただ次の試合、また次の試合を見据えて行くだけだ」
かっちょええ。勝ってると何でも言える。
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Borussia M'Gladbach
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ブンデスリーガ
2013年12月01日 00:45
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■
【Jリーグ第33節】柏×FC東京
■2013年11月30日(土) 17:00キックオフ
■日立柏サッカー場
2時からの試合で既に4位の可能性が消滅していたため、あとは賞金圏内を狙うだけの半ば消化試合。警告が3回累積している選手が多く、ホーム最終戦のためにはうかつな警告は受けたくない。特に今季限りでの引退を表明しているルーカスが最終節に出場できない事態は避けたい。
日中は天気もよく気持ちのよい晩秋の土曜日。常磐線快速に乗って柏に向かった。メインのアウェイ指定席を狙っていたが取れず、やむなくバクスタ中央で黄色い人たちに囲まれてのステルス応援。場所的には中央後列のいいところだがいかんせん居心地は悪い。周囲に何人か似たような境遇の東京サポがいたようだ。
東京は前節と同じ先発で、高橋を再びベンチ・スタートに。加賀がベンチから外れ河野が入った。
権田
徳永 チャン 森重 太田
長谷川 米本
三田 ルーカス 東
渡邉
試合は東京優勢で始まった。長谷川が中盤の底でよくボールに触りタメを作って左右にボールを捌く。前線ではルーカスがキーマンになり東、渡邉とのコンビネーションでチャンスを作る。太田もよく機動的にアップダウンしている。
4分、太田のFKのこぼれを拾った三田がこの試合のファースト・シュートを放つが枠外に。10分、ルーカスが左から中央に流し込んだクロスを長谷川がスルーして三田が受け、さらにフリーの渡邉につなぐがシュートは枠に行かず。いい形だっただけにせめてターゲットに飛ばしたかったところだった。
その後も東京がポゼッションから積極的に仕掛ける。一方、柏はある程度東京に持たせる戦術か、東京のパスを果敢にカットしては素早い切り替えからスピードに乗った攻撃を仕掛けてくるので油断できない。もっとも、東京の守備も集中しており決定的な形は作らせない。
29分、ルーカスが深いところから中央にラストパスを送るが東のシュートはミートしきれなかったかGK正面に。このあたりまでは東京がしっかりとボールを支配し、柏のカウンターを受けながらも優位に試合を進めていたと思うし、深いところまで入り込んでもいたが、ゴールが奪えない。
30分を過ぎたところで何本か立て続けにCKを取られるなどやや押し込まれる。東京は31分のルーカスのミドルを最後にシュートがなくなってしまう。
すると38分、東京エリア内で敵が中央に送ろうとしたボールが長谷川の手に当たる。至近距離で長谷川はとっさに手を引いているようにも見え、意図的というのは酷にも見えたが、上げた手にボールが当たればハンドを取られるリスクはあるもの。このプレーでPKを献上し、これを決められて0-1と先制を許してしまう。
42分、左寄りで得たCKを太田が蹴るがわずかに右に外れる。
前半アディショナル・タイム。自陣でボールを持ったチャンが敵FWのプレスを受け、やむなく権田にボールを戻そうとしたが緩く、権田が拾う前に敵FWに抜け出されそうになる。チャンはエリア手前で敵FWを背負う格好になり、そのまま敵FWとともに倒れる。ボールに対してはチャンが身体を入れた格好になっていたがチャンのファウルを取られ再びPKに。これも冷静に決められ0-2とリードを広げられて前半を終了した。
このチャンのファウル、最初はチャンが後ろ手に敵FWを引き倒したのかと思ったが、帰宅後映像で見てもよくある敵FWを背負ってボールを見守るプレー。ただ、権田にバックパスした後なのでボールがプレイング・ディスタンスにあったかは微妙で、ボールにプレーする意思なく敵を手で押さえたと見られたか。自分のバックパスのミスをカバーするために体重を預けて敵もろとも倒れたプレーの見栄えが悪かったのは間違いない。
それにしてもプレー自体はエリア外のようにも見え、いろんな意味で疑問の残る判定で、これで2点目を献上したのはもったいないというか残念だった。試合の流れは大きく柏に傾くことになった。
東京は後半から三田に代えて高橋を投入、3バックになる。
後半開始直後の46分、左サイドに張った高橋が権田にボールを戻したところ、これを前方に大きく蹴り出そうとしたボールが目の前にいた敵FWに当たり、こぼれたボールをそのままゴールへ流し込まれて0-3に。これも権田の集中を欠く軽率なプレーで、PK2本とミスで3失点。後半立ち上がりから大きくつまずいてしまった。
それでも東京は53分、今度は右寄りからのFKを再び太田が蹴るとファー・ポストをヒット。これが入っていれば流れも変わっていたと思うが、最後のところのツキにも見放されたか。
57分、長谷川がドリブルでエリア内に侵入、敵に倒されたかにも見えたがノー・ホイッスル。東京は58分、渡邉に代えて石川を投入、ルーカスをトップに上げて得点を狙う。
しかし、時間が経過するにつれて次第に焦りの出る東京は、個々の選手の意図が噛み合わなくなり、コンビネーションが微妙にずれ始める。セーフティ・リードを奪って自陣を固める柏に対し、アタッキング・サード手前まではパスをつなげるものの、最後のところはなかなか攻めあぐね、ボールを奪われてはクリティカルなカウンターを浴びる繰り返しになってシュートまで持ち込めない。
74分、東に代えて平山を投入。平山をトップに置き、ルーカスが再び一列下がる。
東京は83分、米本のパスを受けて裏に抜け出した石川がGKと交錯しながらもゴールにボールを流し込み1点を返す。1-3と2点差に詰め寄ったものの、87分、右サイドを破られクロスにダイレクトで合わされ失点。1-4となり試合は決まったしまった。反撃のために前がかりになったところで後ろを取られるリスクは含んでいたものだと思うが、結果的には自ら流れを手放してしまうことになった。
結局そのまま1-4で試合は終了した。
前半はテンポのよい攻撃もできていたものの、自陣でのお粗末なボール扱いから3失点。自滅としか言いようのない試合になってしまった。内容を云々する以前の問題で、判定に疑問もあり得るものの、チャンのプレーも自陣での危ういボール処理から招いたピンチでありそれ自体があってはならないもの。
後半立ち上がりの失点も集中を欠いた軽率なもの。厳しく自省すべき試合で、シーズンのこの時期にあってはならないもの。後半は攻め急ぐあまり冷静さを失い、落ち着きのないプレーからボールを奪われることも頻繁に目についた。
こういう試合もあるのだと割り切るしかないし、不運な部分もあったが、ここにきてこんな試合を見せてしまうのは、まだまだ我々に足りないものがたくさんあることを示しているという他ない。情けなく残念なゲームだったが、ここから今季残り、そして来季に向けて何を学ぶかが問われるしょっぱい試合だった。
1失点目の長谷川のハンド、2失点目のチャンのファウルともに微妙な判定で試合の後味を悪くしたのは残念。チャンのファウルはエリア外と見てFKで十分だったようにも思う。また、石川の得点の際、ボールに触れられず石川を倒した敵GKに警告がなかったのも理解し難い判断だ。ゴール自体はアドバンテージで認めてよいが、ファウルはファウルで警告相当だったように思う。
最終節はホーム味スタに仙台を迎える。天皇杯での再戦も控えており、手の内を意識しながらの難しい試合になることも考えられる。勝ってリーグ戦を終えたい。
評点(評点は
ドイツ式
)
権田(5.5) 後半立ち上がりの失点はあり得ないミス。一度先発を外していい。
徳永(4.5) 4点目はサイドをぶちぬかれてのクロス。攻撃参加もさえなかった。
チャン(5.5) 判定以前にリスク・マネジメントに失敗。次節は出場停止だ。
森重(4.5) 流れからは敵FWを自由にはさせなかったが…。
太田(4) FKがどんどんうまくなっている。ポストをヒットしたFKは惜しかった。
長谷川(4) 中盤の底でボールを捌きキープ力、展開力を見せた。ハンドは酷。
米本(4.5) チャレンジし続けたが効果的にボールを駆れず。
三田(5) 積極性はいいが自分で行かないときの判断が甘い。交代やむなし。
ルーカス(4) 前線で繰り返しポイントを作って攻撃を組み立てていたが…。
東(4.5) ポジショニング、読みは素晴らしい。その次をもっと磨きたい。
渡邉(5) 要所でのシュートは枠に行きたい。最近また大雑把になってきた。
===
高橋(4) やはり高橋をボランチで使って長谷川は一列前に置きたい。
石川(4) ゴールには魂が窺えた。チームを鼓舞してくれたが…。
平山(-) 時間短し。
試合後は柏がセレモニーをやっていたようだがもうサクサク帰ってきた。
Jリーグは横浜が負け、広島と鹿島が勝ったため、優勝決定は最終節に持ち越され、この3クラブに可能性がある。まあ、どうでもいいことだが。
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