フットボール・クレイジー
football crazy
silverboy club
presents
2014年01月28日 23:45
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【FC東京】2014年編成について(3)
東京ヴェルディからU21の10番中島を獲得したが、即日富山へレンタルとなった。
この移籍は数日前から報道が出ていて、サバデルにレンタルなどの情報もあったようだが、結局富山へのレンタルに落ち着いたようだ。
ヴェルディが財政難で選手を切り売りせざるを得ず、既に新体制発表も済み背番号7の中島のレプリカ・ユニの注文も受け付けていたにも関わらず東京に移籍(要は買い取り)を打診したものらしい。移籍金は3,000万円と言われるが、逆にいえば3,000万円のために生え抜きの最有望株をバタバタ売却しなければならないほど経営が逼迫しているということのようだ。
ヴェルディというクラブにはもともと好い感情は一切ないが、読売新聞、日本テレビが手を引いてからの凋落には目を覆うばかりのものがあり、もはや哀れ。バブル人気に浮かれ、ホームタウンをないがしろにした結果、どこにも根っこのない二流クラブに成り下がった経緯に同情の余地はなく、経営が立ち行かないのならライセンスを返上して潔くアマチュアのカテゴリーに降格してはどうか。
話がそれたが、中島は得点感覚にも優れたタレントということで獲得は妥当な判断。また、出場機会を与えるためにJ2にレンタルという方針も理解できる。見込んだ通りの選手なら成長して帰ってくるはずで、そのときに戦力に加えるのもいいし高く売るのもいい。悪くない買い物だと思う。手許に置いて見てみたい気もするが、東京ではそこまでの出場機会は与えられないだろうからレンタルは仕方ないだろう。
ヴェルディを救済する格好になったことや、自軍で使わない選手をカネをかけて獲得することに対して批判的な意見もあるようだが、東京の目から見て魅力的なディールであることは間違いなく、何の問題もないと思う。
これ以外には補強のないまま沖縄キャンプが始まり、今日はFC那覇との練習試合に9-0と大勝したようだ。前線と中盤にもうひと押しの補強が欲しいし、開幕までにはまだ動きがあるのではないかと思っている。
今日の練習試合では4-3-3のフォーメーションで河野が主力組に入っているようだ。エドゥーと森重が別メニューということだが、早くエドゥーを見たい。
【新人】
GK 31 圍 謙太朗 [桃山学院大]
DF 50 松田 陸 [びわこ成蹊スポーツ大]※
MF 14 武藤 嘉紀 [慶応義塾大]※
MF 19 平岡 翼 [作陽高]
※2013年特別指定
【移籍加入】
DF 25 マテウス [ヴィトーリア(期限付移籍)]
DF 33 椋原 健太 [C大阪(移籍期限満了)]
MF 10 梶山 陽平 [大分(移籍期限満了)]
MF 22 羽生 直剛 [甲府(移籍期限満了)]
MF 28 幸野 志有人 [長崎(移籍期限満了)]
MF 中島 翔哉 [東京V]
FW 11 エドゥー [遼寧足球倶楽部]
【契約更新】
GK 1 塩田 仁史
GK 20 権田 修一
GK 21 廣永 遼太郎
DF 2 徳永 悠平
DF 3 森重 真人
DF 5 加賀 健一
DF 6 太田 宏介
DF 29 吉本 一謙
MF 4 高橋 秀人
MF 7 米本 拓司
MF 8 三田 啓貴
MF 17 河野 広貴
MF 18 石川 直宏
MF 34 野澤 英之
MF 38 東 慶悟
FW 9 渡邉 千真
FW 13 平山 相太
【移籍・退団他】
DF 中村 北斗 [大宮]
DF 平松 大志 [現役引退]
DF 平出 涼 [富山(期限付→完全移籍)]
DF 丸山 祐市 [湘南(期限付移籍)]
MF 長谷川アーリアジャスール [C大阪]
MF 大竹 洋平 [湘南(期限付→完全移籍)]
MF 橋本 拳人 [熊本(移籍期限延長)]
MF ヴチチェヴィッチ [移籍先未定]
MF 中島 翔哉 [富山(期限付移籍)]
FW 重松 健太郎 [栃木]
FW 林 容平 [岡山(期限付移籍)]
FW ルーカス [現役引退]
【動静未発表】
DF チャン・ヒョンス
それはそれとして、チャンの動静はいったいどうなっているんだ。クラブ間でクリアされていない問題が残っているのではないかと心配だ。移籍金が支払われていないとかありそうで怖い…。
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FC東京
2014年01月26日 22:11
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【オフに考える(2)】新2ステージ制は何を争うのか
前回、Jリーグはミーハーを100人呼ぶことを考えなければならないと書いた。そして、そのための試みとしてのポスト・シーズン・マッチは、少なくともその意図において理解はできるとも。
だが、それでは今回導入されようとしているポスト・シーズン・マッチは実際ミーハーを呼ぶ方法として効果があるのだろうか。僕は正直疑問がある。
最も大きな問題は、この新しいポスト・シーズン・マッチが何を争うのかがはっきりしない点だ。
Jリーグのリリースによれば、ポスト・シーズン・マッチは「スーパーステージ」と「チャンピオンシップ」で構成される。スーパーステージは「各ステージの1位チームおよび年間勝点2位、3位チーム(合計4チーム)による、ノックアウト方式のトーナメント戦(1回戦制)」、そしてチャンピオンシップは「年間勝点1位のチームと、スーパーステージの勝利チームによる対戦」である。そして、「チャンピオンシップ勝者を年間優勝チームとし、敗者を2位とする」ということになっている。
つまり一連のポスト・シーズン・マッチは「年間優勝チーム」を決めるためのシリーズということになる。だが、かつてのシンプルな2ステージ制に比べると、ここでいう「年間優勝チーム」の意味、位置づけは今ひとつはっきりしない。
2ステージ制の時は「年間勝点」という考え方は初めから放棄されていた。それぞれ同格の「1stステージ優勝チーム」と「2ndステージ優勝チーム」があり、「どちらが真の勝者かを争う」というチャンピオンシップの位置づけははっきりしていたし、それなりの納得性があった。
あるいはJ2の昇格プレーオフなら、「J1昇格の最後の1枠を争う」という明確な「目的」がある。例えばプロ野球のクライマックスシリーズにも「日本シリーズ出場権を争う」というはっきりとした「勝ち取るべき何か」がある訳だ。
だが、今回のスーパーステージ、チャンピオンシップでは、クラブは何を勝ち取るのだろう。「年間優勝チーム」とは何なんだろう。
既にこのシリーズの仕組自体が、年間勝点1位のチームをシードすることで、「シーズンで最も尊重されるべきものは何か」という質問に自ら答えを出しているように思われる。その上で、年間勝点2位や3位のチーム、シーズン前半やシーズン後半で最も勝点の多かったチームを争わせ、その勝者を年間勝点1位のチームと戦わせることで何を決めようというのか。その勝者が手にする「年間優勝」というタイトルはいったい何を意味するのか。
優勝賞金の問題はあるだろう。優勝シャーレを手にできるという栄誉の問題もあるだろう。それらを手にすることができるのが「年間優勝」の特典だというならそれはそれでいいが、それはむしろ「優勝」という栄誉の価値を下げることになるだけではないのかと懸念する。
せっかくポスト・シーズン・マッチをやっても、それが「優勝」という栄誉だけの、字面だけの問題でそこから先どこにも繋がって行かないというとき、果たして観衆はそこまで熱狂するだろうか。それは結局スーパーカップのような「花相撲」程度の意味しか持ち得ないのではないだろうか。
また、このシリーズは、シーズン前半と後半の最多勝点チーム、年間の勝点1〜3位のチームの計5チームで争うことになっているが、実際問題としてこれらのチームは重なることが多いのではないか。
例えば直近2013年シーズンは前半最多勝点が広島、後半が新潟(年間7位)、年間は広島、横浜、大阪の順となっており、レギュレーションに従えばまず新潟と大阪が1回戦をやって勝者が横浜と対戦、その勝者が広島と対戦することになる。
2012年は前半が仙台、後半が広島、年間は広島、仙台、浦和。仙台と浦和がやって勝者が広島と対戦。
2011年は震災の影響で節の消化が異例だったので2010年を見れば、前半が清水、後半が名古屋、年間は名古屋、セレッソ、ガンバ。清水とガンバがやって勝者がセレッソと対戦、その勝者が名古屋と優勝を争う。
なんか意味あんの、これ? つか、何なの、それ?
もちろんシリーズが導入されれば半期優勝の価値は上がるので、それを取りに来るチームも出て様子は変わるかもしれない。だが、こんな複雑な仕組にしてうまく5チーム出揃うことの方が難しいと思われる上に、結局年間1位から3位のチームがリーグ戦の蒸し返しをするだけのシリーズにミーハーを広く集めるだけの魅力があるのだろうか。
もちろん、やってみなければ分からないし案外盛り上がるかもしれない。正統性がどうであれ、争う目的が何であれ、メディアがワーワー言ってればそれだけでミーハーが集まるという考え方も十分あり得る(結構ありそうにも思える…)。
だが、ミーハーを集めるという前提で考えるとしても、このシリーズにははっきりした「意味」が見出しにくい。大義名分の乏しい、ポスト・シーズンのためのポスト・シーズン。自己目的化した大会のための大会にしか見えない。まあ、実際そうなんだが。
まあ、やってみればいいと思うが、盛り上がるのは「年間優勝」よりも案外ACL出場のかかった2位、3位争いだったりするのかもしれない(「3位以下については、チャンピオンシップ出場チームを除く年間勝点の順位で決定する」ということになっている)。
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Jリーグ
2014年01月25日 20:37
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【ブンデスリーガ第18節】グラードバッハ×バイエルン
■2014年1月24日(金) 20:30キックオフ
■Stadion im Borussia-Park
いよいよシーズン後半がスタート。3位でシーズン前半を終えたグラードバッハは、いきなりバイエルンをホームに迎える。金曜日の夜開催ということで日本時間では土曜日の未明4時半のキックオフになったが、CSフジテレビが時間をずらして朝7時から録画中継してくれたので早めに起きてこれを見ることにした。もちろん結果は見ていない。
グラードバッハはヤンチュケが目にケガということでドミンゲスがCBに復帰、コープが引き続き右SBで先発した。
テア・シュテゲン
コープ シュトランツル ドミンゲス ヴェント
ヘアマン クラマー シャカ アランゴ
ラファエル クルーゼ
立ち上がりはグラードバッハが積極的に前に出ようとボールを動かし拮抗した攻防になるが、次第にバイエルンがボールを支配し、グラードバッハはなかなかボールを奪えない状態に。6分、敵MFが裏に抜け出しテア・シュテゲンと一対一になるがシュートはポストをかすめて外に。命拾いする。
しかしその直後の7分、縦のボールで左サイドの裏を使われ、ここからのワンタッチのクロスに中央でやはりワンタッチで合わされてあっさり失点。0-1とリードを許す。サイドでも中央でも抑えが効かず自由にプレーされてしまった。ここまでしっかり守備できていたので残念。バイエルン相手に早い時間帯での失点は重い。
その後もバイエルンが一方的にボールを支配する時間が続く。グラードバッハは自陣に押し込められ、たまにボールを奪ってもまったくつなげずセカンド・ボールも拾えない。防戦一方の苦しい展開。テア・シュテゲンのファイン・セーブもあり何とかしのぐが攻撃の糸口はまったくつかめない。
しかし20分を過ぎた頃から少しずつグラードバッハもボールを触れるようになる。バイエルンのプレスも巧みで組立の途中にボールを奪われたりGKに下げることを余儀なくされフィフティのボールを蹴らされたりしてなかなか前線にはつながって行かないが、やや形が整ってくる。
34分、右寄りで得たFKをアランゴが蹴る。直接狙ったボールは壁を越え枠に向かうが敵GKがセーブ。40分にはクルーゼが左サイドでスローインのボールを受け敵DFをかわしてシュートを放つがこれも敵GKに触られポストに弾かれる。さらに45分にもアランゴが右サイドから展開されたボールを受け左寄りからシュートするがまたしても敵GKが腕一本でセーブ。チャンスはあったが敵GKの厚い壁に阻まれ1点のビハインドを背負ったまま前半を終えた。
グラードバッハは後半に入っても積極的に攻撃を仕掛けるが、バイエルンの守備も手堅くボールを失えば素早い切り替えから危険な攻撃を受ける。ビハインドがある分グラードバッハがリスクを背負う形になり、神経質な展開になる。
53分、自陣ゴール前に押し込まれ、敵MFに至近距離からシュートを放たれる。テア・シュテゲンがセーブ、こぼれ球に詰めたシュートも腕一本で弾くが、ゴール前での密集となり、シャカがボールを手で扱ったとしてPKを与えてしまう。これを落ち着いて決められ0-2に。
1点ならともかく、バイエルンに2点差をつけられるとかなり厳しい。前半の終盤から追い上げムードもあっただけに、後半開始早々間もない時間帯の追加点で見る方も正直意気消沈してしまった。
しかしグラードバッハはここから反撃を見せる。58分にはクルーゼがエリア外中央左寄りからシュートを放つがわずかに枠に収まらず。さらに64分にはヘアマンがフィードを受けて右サイドを上がり角度の厳しいところから放ったシュートがファーポストを直撃。直後の66分には右サイドに開いたラファエルからのクロスにヘアマンが中央でフリーで合わせるがミートせず枠外に。
この時間帯はある程度ボールを展開でき形も作れていたがここで得点できなかったのはもったいなかった。残り時間が少なくなるとバイエルンが再び試合をコントロール。グラードバッハは75分にはヘアマンに代えてフルゴタを投入。前線を活性化しようとする。
フルゴタはいいシュートもあったもののその後は交替のカードも切れず。逆にバイエルンの交替選手に見せ場を作られ時間を上手く使われて、結局無得点のまま試合終了。シーズン後半戦のスタートを白星で飾ることはできなかった。
この試合、シュートは10-24、ポゼッションは36-64とやはり実力差があることは認めざるを得ない。しかし失点のうち1点はPKで、流れでやられたのは1点だけ。質の高いチャンスを作り枠内にシュートを放ったが、敵GKの好セーブにも阻まれて得点できなかった。内容的には決して下を向くようなものではない。ホームでのバイエルン戦であり、悔しく、星勘定的にも痛い敗戦だが、シーズン後半に向けてチームの状態は悪くないと感じた。
特に中盤のシャカやクラマーがボールを受け、敵をひとり外して前に展開できると大きなチャンスになっている。引っかけてしまうことも多いが、リスクを取ったチャレンジは続けるべきであり、そのリカバーは切り替えの速さとDFライン、GKで対応できている。
リーグではバイエルンが独走する気配だが、少なくとも2位グループにはしっかり入っていたい。次節ハノーファー戦はアウェイだが今節の分を取り戻さねばならず勝ちに行くべき試合。期待している。
ルツィアン・ファヴレ監督談話:
「バイエルンは技術的に水準が高く勝利は妥当なものだ。誰もが思うように試合の入りはよくなかった。7分しかたたないところで無用の失点をしてしまった。バイエルンの方が優れたチームで、常に―特に中盤で数的優位を作っており、こうした状況で戦うのは我々にとって難しいことだった。しかしその後我々はとてもよく戦った。後半にはPKを取られてしまい、その後はどちらもカウンターを中心とした攻撃になった。我々にはポストを直撃したシュートやその他にもチャンスがあった。もし得点を返すことができていたなら、何が起こったかは分からなかったが。今日は我々の最高の状態ではなかったが、パフォーマンスはまったく悪くなかった。まだまだやるべきことがあるのははっきりしている」
それにしても勝ちたかったな〜。
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Borussia M'Gladbach
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ブンデスリーガ
2014年01月20日 23:14
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【オフに考える(1)】なぜ2ステージ制なのか
僕はもちろん2ステージ制に反対している。以前に
こんなエントリー
を書いたこともある。ある程度成熟したプロ・フットボール・リーグで前後期の2ステージ+プレーオフとかあり得ない。ホーム&アウェイで長丁場を戦いきった後の成績がチームの評価を最も的確に反映するのだ。リーグ戦はウソをつかないと城福浩も言っていた。
だが、ここで言いたいのは、2ステージ制を導入しようとするリーグの意向と、それに反対する僕たちの考えとが噛み合っていないというかすれ違っているように感じるということだ。
年間優勝が最も価値が高いということにリーグの人たちもおそらく異論はあるまい。できれば2ステージなんかやりたくない。そういう最も基本的な認識は共有できているはずだ。それなのになぜ、フェアネスという観点から見れば今ひとつなポスト・シーズンを導入せずにはいられないのか。そしてクラブはそれに賛成したのか。
そこには長期に亘る観客の減少と、それ以上に深刻な観客の高齢化という問題があるのだろうと思う。スタジアムに足を運んでくれるのはいつも同じ顔ぶればかり。コアなサポは間違いなく来てくれるが、裾野は広がって行かないばかりかどんどん縮んでいる。このままでは今来てくれているサポは毎年確実に年を取り、やがてスタジアムに足を運べなくなる。減る一方である。新しくスタジアムに来てくれる人を増やさなければJリーグに将来はない。簡単な話である。
だが、サポの数を増やすのは簡単なことではない。山の頂を高くしようとすればその裾野を広くするしかないのだ。例えば10人でできている四段のピラミッドを一段高くするには何人が必要か考えてみればいい。てっぺんを一段高くするためには5人が必要だ。さらに一段高くするためには6人が必要だ。裾野を広げ山全体を大きくするには見かけよりもずっとたくさんの労力が必要なのだ。
もちろんそれはコアなサポである必要はない。年に一度、気候のいい時に、夏休みのイベントに来てくれるだけの人でいい。そういう人をたくさん増やした中から毎月来てくれる人が出てくる。ホームに毎試合来てくれる人が増えて、アウェイまで足を運ぶ人も生まれる。それは一本釣りではできない。年に一度来る人が100人増えてようやくコアサポがひとり増えるのだと考えた方がいい。
リーグやクラブがやろうとしているのは、年に一度来る人を100人増やそうとすることである。オフサイドも分からない、選手の名前も知らない、ホームとアウェイの区別もつかない家族連れであり試合そっちのけでいちゃつくアベックである。代表選手目当てのミーハーでありルックス重視のギャルサポである。そういう人を100人呼ぶためには、話題を作り、メディアに露出し、とにかく知ってもらわなければならない。休日のお出かけ先の選択肢に混ぜてもらわなければならない。それをリーグやクラブはやろうとしている。
その時に、既にコアサポになりきった人の「そんなことをやってもせいぜいミーハーが増えるだけ」という意見には何か意味があるだろうか。ミーハーを増やすための議論をしているときに、ミーハーが増えることを揶揄するのは見当違いだ。純粋に、真剣にフットボールを見つめている人には邪魔な人たちをたくさん呼びたい。新しく、純粋に、真剣にフットボールを見つめる人を増やすために。そうやってプロフットボールを見るという営みを我々の文化の中で永続するものにして行きたい。
2ステージがその正しい答えかどうかはともかく、そういう問題意識、危機意識と方法論は僕には理解できる。毎週のようにスタジアムに足を運ぶ我々のような者が、スタジアムを我が物顔で占拠し、勝手が分からずゴール裏に座り込む家族連れや黄色い声で騒ぐ女子高生たちを遠ざけようとするなら、スタジアムはやがてむさくるしい顔見知りだけのパブみたいな閉鎖的な場所になってしまう。それはフットボールを殺してしまう。
スタジアムには多様性がなければならない。多様な人たちがフットボールという一点で結ばれる一瞬をこそ僕たちは求めているのだ。
それでも、今、こうやってJリーグがそれなりの集客ができているのは、リーグができたときのバブル的な人気があったからだ。その時に100人集めたミーハーの中からひとりのコアサポが生き残っているのが今の状況ではないのか。次のひとりのコアサポをつくるためにはもう一度ミーハーを100人集める必要がある。そのために何が必要なのかという議論を僕たちはしなければならない。
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Jリーグ
2014年01月18日 20:48
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【FC東京】2014年編成について(2)
今季もチームが始動、新体制の発表があった。監督は既にリリースされている通りマッシモ・フィッカデンティ。どんなチーム作りをするのか分からないが、一段階上を狙うために招聘した監督であり期待は高まる。
また、その後、数人の選手の契約更新と、新たにマテウスの獲得が発表され、今日の新体制発表で背番号も明らかになったので編成表を更新しておきたい。
【新人】
GK 31 圍 謙太朗 [桃山学院大]
DF 50 松田 陸 [びわこ成蹊スポーツ大]※
MF 14 武藤 嘉紀 [慶応義塾大]※
MF 19 平岡 翼 [作陽高]
※2013年特別指定
【移籍加入】
DF 25 マテウス [ヴィトーリア(期限付移籍)]
DF 33 椋原 健太 [C大阪(移籍期限満了)]
MF 10 梶山 陽平 [大分(移籍期限満了)]
MF 22 羽生 直剛 [甲府(移籍期限満了)]
MF 28 幸野 志有人 [長崎(移籍期限満了)]
FW 11 エドゥー [遼寧足球倶楽部]
【契約更新】
GK 1 塩田 仁史
GK 20 権田 修一
GK 21 廣永 遼太郎
DF 2 徳永 悠平
DF 3 森重 真人
DF 5 加賀 健一
DF 6 太田 宏介
DF 29 吉本 一謙
MF 4 高橋 秀人
MF 7 米本 拓司
MF 8 三田 啓貴
MF 17 河野 広貴
MF 18 石川 直宏
MF 34 野澤 英之
MF 38 東 慶悟
FW 9 渡邉 千真
FW 13 平山 相太
【移籍退団他】
DF 中村 北斗 [大宮]
DF 平松 大志 [現役引退]
DF 平出 涼 [富山(期限付→完全移籍)]
DF 丸山 祐市 [湘南(期限付移籍)]
MF 長谷川アーリアジャスール [C大阪]
MF 大竹 洋平 [湘南(期限付→完全移籍)]
MF 橋本 拳人 [熊本(移籍期限延長)]
MF ヴチチェヴィッチ [移籍先未定]
FW 重松 健太郎 [栃木]
FW 林 容平 [岡山(期限付移籍)]
FW ルーカス [現役引退]
【動静未発表】
DF チャン・ヒョンス
チャンの移籍は正式に発表されていないが、公式サイトには既にメンバーとして掲載されておらず、確定的と見ていいだろう。また、パレルモのMFバチノヴィッチと交渉中との噂があるようだ。僕としては何気に15番が空いているところが怪しいような気がする。
あとはFWに特徴のある中堅を一人補強したい。キャンプ中の加入などもまだまだ十分考えられ、もう少し待ってみたい。バチノヴィッチが来てくれるとグッと心強くなる。
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FC東京
2014年01月16日 23:46
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【FC東京】2014年編成について(1)
チーム始動を明後日に控えて、長谷川の移籍と羽生の復帰、5人の選手の契約更新が発表された。今季の出入りを総括しておきたい。
【新人】
GK 圍 謙太朗 [桃山学院大]
DF 松田 陸 [びわこ成蹊スポーツ大]※
MF 武藤 嘉紀 [慶応義塾大]※
MF 平岡 翼 [作陽高]
※2013年特別指定
【移籍加入】
DF 椋原 健太 [C大阪(移籍期限満了)]
MF 梶山 陽平 [大分(移籍期限満了)]
MF 羽生 直剛 [甲府(移籍期限満了)]
MF 幸野 志有人 [長崎(移籍期限満了)]
FW エドゥー [広州富力]
【契約更新】
GK 塩田 仁史
GK 権田 修一
GK 廣永 遼太郎
DF 加賀 健一
DF 吉本 一謙
MF 高橋 秀人
MF 米本 拓司
MF 石川 直宏
MF 野澤 英之
MF 三田 啓貴
FW 渡邉 千真
FW 平山 相太
【移籍退団他】
DF 中村 北斗 [大宮]
DF 平松 大志 [現役引退]
DF 平出 涼 [富山(期限付→完全移籍)]
DF 丸山 祐市 [湘南(期限付移籍)]
MF 長谷川アーリアジャスール [C大阪]
MF 大竹 洋平 [湘南(期限付→完全移籍)]
MF 橋本 拳人 [熊本(移籍期限延長)]
MF ヴチチェヴィッチ [移籍先未定]
FW 重松 健太郎 [栃木]
FW 林 容平 [岡山(期限付移籍)]
FW ルーカス [現役引退]
【動静未発表】
DF 徳永 悠平
DF 森重 真人
DF 太田 宏介
DF チャン・ヒョンス
MF 河野 広貴
MF 東 慶悟
報道ではチャンの中国への移籍が決定的と報じられている他、クリシューマのマテウス・フェレス、キエーヴォのダリオ・ダイネッリらの獲得が噂されているようだ。あと、動静未発表の選手の中には複数年契約の選手も入っているはずだ。
まあ、この中でも痛いのは、ルーカスの引退を別にすればやはり長谷川の流出。ヴチチェヴィッチも抜けて中盤の前目は一気に層が薄くなった。梶山、田邉の復帰はワールドカップ以降だろうから、このまま補強がなければ石川、河野、三田、羽生で繰り回しになる。
石川、羽生は年齢的なものもあってトップ・フォームでスタメン、フル出場を続けることが可能か正直微妙。特に開幕からワールドカップまでは日程も集中しており、ここを何とか乗りきらなければならない。
もう少し動きがありそうにも思うし、しばらくフォローすることにしたい。
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FC東京
2014年01月13日 17:49
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【2013年】FC東京シーズン・レビュー(8)新シーズン展望
さて、ポジションごとに2013年シーズンを振り返った訳だが、こうやってみてみるとそれぞれのポジションで主力が大きなケガもなくしっかりと働いたシーズンだったと総括してもいいだろう。そのおかげで、優勝という目標は達成できなかったものの、1試合あたり1.59というJ1参加後3番目の高い勝ち点を挙げ健闘した。
それにも関わらず順位が8位と振るわなかったのはリーグ自体が混戦だったことと、ポイントになる試合で勝ちきれずシーズンの流れに乗れなかったことが主因だろう。いずれにしても、チームの出来上がり方としてはポポヴィッチ体制2年目として悪くない水準までたどり着き、来季はいよいよ3年目、集大成としてタイトルを取りに行くシーズンだと思っていただけに、このタイミングでのポポヴィッチ監督の解任は大きな疑問だ。
とはいえ監督更迭は既に決まっており、後任のマッシモ・フィッカデンティ監督の下で来季を戦うことを前提に頭を切り替えるしかない。新監督がどんな戦い方を志向する人かよく知らないが、僕としてはガーロ、城福、ポポヴィッチとトライし続けてきたポゼッション・フットボールの流れをしっかり引き継いだ、攻撃的で魅力的な、見ていてわくわくするようなフットボールを期待している。
ここ数年、一貫したビジョンの下に的確な補強がなされた結果、チームは高い能力を具えた選手をそれぞれのポジションに抱えるかつてない充実した状態にある。このタイミングでタイトルを狙うべく敢えて監督を替えたというのがフロントの説明なのだから、基本的に現有戦力を前提に、それを最大限に生かす戦略を志向するのは当然だろう。
そうなればそれは守ってカウンターとか長いボールを適当に放りこんであとは前線で五分の戦いを展開をするというような大雑把で前近代的なフットボールではあり得ない。2年かけて作り上げたオートマティズムは最大限に生かすべきであり、監督が替わったからといってゼロ・リセットするのは非合理的だ。
僕自身としては、ポゼッション・フットボールというよりは、明確な方針に裏づけられた現代的なフットボールを見たい。前線からの積極的なプレスと素早い攻守の切り替えから、ボールを奪うと同時に全体にスイッチが入り、ワンタッチでボールを動かしながら一気に攻めきるようなスピード感のあるフットボールである。
ゲーゲンプレッシングと呼ばれるユルゲン・クロップの戦略を日本でやりきれるだけの選手が揃っているのは東京だけではないか。BVBやバイエルンをモデルにした圧倒的なフットボールを見てみたい。
だが、そのためにはいくつか補強の必要なポジションがある。
まず、ボランチのサブが足りない。高橋、米本の次に来る選手はだれなのか。また、2列目もルーカス、ヴチチェヴィッチ、大竹らの退団で層は薄くなっている。田邉、梶山の復帰は夏以降。長谷川が報道の通りセレッソ大阪に流出するのであれば、要のポジションがコマ不足に陥る可能性もある。三田、武藤、幸野、野澤らの成長は不可欠だが、中盤に即戦力として計算できる中堅以上の選手の補強が必要。ここまで獲得の憶測報道すらないのが不安だが…。
CBではまだクラブからの公式発表がないが、チャンの移籍はほぼ既定路線と見られ、ここには元イタリア代表のダリオ・ダイネッリ、クリシューマのマテウスらの名前が取り沙汰されている。いずれかの獲得は必須と思う。
FWもエドゥー、渡邉、平山ではケガなどを考えても1枚足りない。重松を完全移籍で放出し、林をレンタルしたということは獲得の見込みがあるということか。ここにもある程度計算できる選手が必要だ。
どのポジションも主力はほぼ健在でこのまま手なりでやってやれないことはないが、層が薄くなっており、変事対応力は弱っている。タイトルを狙うのならビッグ・ネームではなく戦略的な補強が必要だ。長谷川の流出は不可避なのか。
勝ち方を知るクラブへの脱皮のためには勝負のかかったシーズン。ポポヴィッチ監督の下で仕上げを狙うのではなく、新監督でステップ・アップを狙うという、リスクを取った方針自体はひとつの選択肢として理解できる。不安も大きいが期待も大きいシーズンだ。
チーム始動まで1週間、開幕まで約1ヵ月半。待ち遠しい。
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FC東京
2014年01月11日 12:12
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【2013年】FC東京シーズン・レビュー(7)FW編
FWは渡邉に尽きる。リーグ戦では肉離れで離脱した14節広島戦以外の33試合に先発。17得点とクラブでトップの得点を挙げた。昨季は先発に定着できず苦しいシーズンだったが、ポポヴィッチ体制2年目になって、中盤での組立やポストもこなしながらトップに入り直して得点するという難度の高い要求をこなせるようになった。
フィードを収める技術、サイドに流れて時間を作る技術にも進歩が見られ、そこからルーカスや東、長谷川とのコンビネーションで起点になることもある一方で、DFラインに割り込む格好でボールを受け、ターンしてシュートする形も得意とした。流動的に動けるようになった結果が17得点だと思う。高く評価すべき働きをした。給料を上げてやりたい。
だが、もちろん問題点がない訳ではない。シーズン終盤に失速したことは重く受け止める必要がある。8月31日の24節広島戦でゴールを決めて以降、リーグ戦終盤の10試合では結局得点がなかった。一時は得点王を狙える位置にもいたが、最終的には他クラブのFWに水をあけられてしまった。
シーズン前半の好調ぶりから厳しいマークを受けるようになったことが主因だと思うし、その間も前線でポスト、キープ、パス交換などに参加して質の高い働きは続けたし、シュートも打てていたが、万全の体勢で枠に飛ばせるチャンスは確実に減っていたと思う。
だが、本当に危険なストライカーであれば敵から厳しくマークされるのは当たり前の話。DFとどう駆け引きするか、少ないシュート・チャンスでいかに質の高いシュートを放てるか、万全でない体勢からでもいかに枠へボールを飛ばせるか、エース・ストライカーとしてまだまだ進歩の余地はあるし、そこをクリアしないと敵にとって怖いFWにはなれない。
東と同じで、せっかく決定的なチャンスを迎えても、「よいしょ」みたいな工夫のないシュートが多く、入るか入らないかはボールに聞いてくれ的な打って終わり感が窺える。ボールの置き方、GKの外し方、決定的な形からのボールの流し込み方に一段の工夫が欲しい。
シュート精度と一言に言うが、要はどれだけ確率の高いシュートを打てるかということで、エリア外からの放りこみだけでは限界がある。他の選手には入れられないシュートを入れられてこそFWの価値があるということをもう一度意識して欲しい。
FWでは開幕直前に李をレンタルでサウサンプトンから獲得した。もともと6月までの期限付きということだったが、当然延長含みだと思っていた。本人もそのつもりはあったようだが、先発で使ってもらえないことで折り合えず、5月の13節鹿島戦を最後にサウサンプトンにレンタル・バックとなった。
この間、リーグ戦では13試合すべてに出場したものの、先発は4試合にとどまり、スーパー・サブとしての起用が中心になった。パスを回して敵の守備網にギャップを作り、最後に確率の高いシュートを流し込むという東京のスタイルからすれば、ボールを持った瞬間からゴールに向かって動き出す、あるいはクロスやフィードに対して難度が高くでもワンポイントでのシュートを狙いに行く李のFWらしい貪欲さ、ゴール・オリエンテッドなプレー・スタイルはいい意味での破調を作り出しており、存在価値は高かった。
実際、短い出場時間で4得点。90分換算の得点率は0.79と、渡邉の0.59よりも高い。ポゼッションや崩し対策に重点を置いて守る敵にすれば、李のような存在がそこに混在していることは脅威だったはずで、カネを積んででもホールドするべきだと思ったが残留してくれなかったのは返す返すも残念。シーズンを一緒に戦いたかった。
平山はケガから復帰、シーズン序盤こそ李の存在もあってなかなか出場機会をもらえなかったが、夏ごろからサブとしての起用の優先順位が上がり、結局21試合に途中出場して5得点を決めた。90分換算の得点率は1.56で、評価すべき数字だろう。試合がオープンになった終盤に出てきて、太田の精度の高いクロスに頭で合わせる攻撃は迫力があったし大きな武器になった。
最初の60分で粘り強く、我慢強く試合を作る選手と、残りの30分でハイリスク・ハイリターン的にスペシャル・プレーを狙いに行く選手に分ければ、今の東京では平山は明らかに後者。その意味でこの使われ方は納得感があったし、平山自身もそうした役割期待をよく理解してそれに応えたと思う。
確かにズドンがあるし、それがそこそこ高確率で決まるので重宝はするし、空中戦ではほぼ競り勝つし、愚直に動いてくれるので可愛い選手ではあるが、結局大型FWとして将来を嘱望されながらこの程度の使われ方に甘んじているのは、ケガもあったとはいえ彼自身の成長の限界かと思わざるを得ない。
年齢的にも選手として何を目指すのか、きちんとした像を彼自身が描けていなければこの先は厳しい。東京としては渡邉がおり、エドゥーも獲得した中で、平山の位置づけはサード・ストライカー。林をレンタルで出したこともあり、平山はコマとしては必要だが、よほどみんなが驚くようなブレイクがなければ主力としての活躍は難しい。監督が代わるので見えない部分もあるが、これまでとは隔絶した成長を見せて欲しい。
林は天皇杯準々決勝仙台戦で印象的な決勝ゴールを挙げたが、リーグ戦では3試合の途中出場と限定された機会しかもらえなかった。線の細さは感じるものの、現代的なストライカーとして期待できる選手。岡山へのレンタルが決まったが、成長して帰ってきて欲しい。
FWにはこの他、元シャルケのエドゥーを獲得した。正直、シャルケでどんなプレーをしていたか印象がない。資料によればシャルケで働いた2010/2011シーズンには28試合に出場して3得点、kickerの採点平均は4.30。またシーズン途中までグロイター・フュルトに在籍した2012/2013シーズンは11試合に出場して1得点、採点平均4.69。
ただ、韓国、中国でのプレー経験もあり環境への適応はある程度見込める。渡邉とのいい競争を望みたい。
渡邉、エドゥー、平山ではFWの層がやや不安。もう一人若手の補強を望みたいが…。
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FC東京
2014年01月07日 22:37
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【2013年】FC東京シーズン・レビュー(6)OMF編
このポジションはルーカス、東、長谷川を中心に起用した。
ルーカスは渡邉がシーズンを通してワントップで起用されたことから左右のサイド・ハーフでのプレーが中心となった。リーグ戦31試合に先発、3試合に途中出場と全試合出場を果たした。
11得点を挙げただけでなく、年齢を感じさせぬハード・ワークでポスト、パス出し、キープと前線の要、起点として八面六臂の活躍を見せた。攻守の切り替えからのファースト・ディフェンスはもちろん、ピンチには時として最終ラインまで敵を追いかける献身的な働きはすべての選手の手本になるもの。
ルーカスの出ない試合では機動力がガクッと落ちるのはルーカスがどれだけボールやらペースやらテンポやらをコントロールしてくれていたかを物語っている。右でも左でもトップ下でも、とにかくルーカスに預ければ何とかして次につないでくれるという信頼感は絶大だった。
それだけにルーカスの現役引退は本当に残念だ。まだあと3、4年は全然問題ないと思っていたので、このタイミングでの引退発表は完全に意表を突かれた。この穴は容易に埋まらない。本当に有難うという他に言葉もない。いつか東京の監督として戻ってきて欲しい。
新加入の東の存在感も大きかった。ポジションはトップ下からシーズン終盤は左に移ったが、どこにいても抜群のプレイ・センスで流動的に動き回り、ボールを引き出した。スペースを見つけていい形でボールを受ける、そこから最も効果的なパスを出すという能力は今の東京の中でも他の追随を許さない。今季は東のシーズンだったと言ってもいいくらいだ。
この能力はなかなか他に比べられる者がないが、敢えて言うなら羽生の後継者。無駄走り、斜め走りで敵のDFをずらし、スペースを作る、ギャップを作る動きは全盛期の羽生を思い起こさせる。来季も東京の中心として前線で活躍するべき選手だ。リーグ戦32試合出場(うち先発31試合)。
惜しむらくは一対一になったときのシュート精度の低さ。真面目さが出るのかバカ正直にシュートを打ってGKに当てるのはもはや鉄板。あれだけ一対一になる能力がありながら2得点は寂しい。そのために印象を悪くしている面もあるのがもったいない。
最後の一歩のサイド・ステップ、シュート・フェイントなど、ゴールの可能性を少しでも高める技術とアイデアをもっと自分のものにしなければならない。せっかく一対一にまでボールを運びながら、最後のシュートが当たるも八卦当たらぬも八卦のバクチではもったいなすぎる。歌ったり踊ったりしてリズムを変えろと言った占い師のおばちゃんは圧倒的に正しい。
もう一人、前線で大きく成長したのが長谷川だ。昨季からボランチと前線を往復して便利使いされてきた感は否めないが、今季は前線に定着、シーズン終盤はトップ下のポジションを獲得して多彩な攻撃を演出した。シーズン中にも目に見えて自信をつけ、敵の密集したところでも強さと上手さでボールをキープ、意外なところへのパスや思いきりのいいシュートでどん詰まりがちな東京の攻撃の打開役を担った。
アウェイなどで敵サポとミックス状態の観戦をしていると、「アーリアうめぇ…」という感嘆をよく聞いた。セレッソがオファーするという報道と残留間近という報道があったが、東京の前線には是非とも必要な選手であり放出する訳には行かない。遅くともワールドカップ後には代表に入るべき選手である。リーグ戦はすべて先発で32試合出場。監督の信頼の厚さが窺える。
この3人のレギュラーに対してバック・アップまたはサブとして東京を支えた選手としてはまず石川だろう。先発は4試合にとどまったがそれも含め出場は22試合、スーパー・サブとして2得点をマークした。サイドチェンジのボールをピタッと足許に収めておもむろに抜きにかかるプレー・スタイルは健在。特に終盤、敵の足が止まり始めた時間帯に石川のようなスピードのある選手が出てくるとイヤなのは当たり前。
石川は東京の看板でありサポの夢である。今年は気負いからシュートを外すシーンが少なくなかったが、一瞬で決定的な形に持って行ける稀有な能力は代え難いものであり、来季もまだまだ一戦での活躍を期待する。シュートが自然に枠に行っていた2008年の感覚を取り戻して欲しい。
今年最も伸びた若手は三田だろう。最初はリーグ・カップ中心の出場だったが、次第に信頼を得てベンチに常駐するようになり、最終的にはリーグ戦17試合出場、そのうち先発6試合は立派な数字だ。得点も2点決めた。
フレッシュな選手らしい思いきりのいいドリブル、果敢なシュートは、攻めあぐねる局面で大きな「破調」を持ち込んでくれた。敵にすればデータが少なく読みにくい選手に映っただろう。大きな存在感を示した。
もっとも、シーズン終盤にはひとり浮いてしまってどっちつかずのポジションに漂ったり、自分で行く意識が強すぎて出す機会を失い囲まれて自滅したりするシーンも目についた。出始めにがむしゃらなプレーで流れを呼び込める時期はそんなに長くない。プロの選手として持続可能なプレー・スタイルを確立しなければならないし、その時に何を生かして何を捨てるのかを厳しく問わなければならない。
そこの選択を間違えると自分のいちばんの武器を捨ててしまって凡庸な選手になったり、単調なプレーしかできない二流の選手になってしまったりする。来季は勝負の年になる。どんな脱皮の仕方をするのか、まだあと2回くらいは脱皮の必要な選手だ。あまりちやほやしない方がいい。
ヴチチェヴィッチは16試合(うち先発1試合)出場3得点。ボールを持ったらまずゴールに向かう、他の選手にはない「欲」の見えるスタイルで試合終盤のここぞというところで光った。
もっとも、プレー自体には当たり外れがあり、ゲームがオープンになった試合終盤に何とか点を取りに行くといった局面では重宝する選手である一方、スターターとしてコンスタントに我慢強く試合を作る役割には向かない部分もある。その意味でポポヴィッチ監督が切り札的にベンチに置いたのは納得できる。
当たった時の価値は高いが1試合を通して、あるいは年間を通してコンスタントな活躍を期待するべき選手ではなく、世話になったし歓喜の瞬間を何度も共有はしたけど、放出はやむを得ないと僕は思う。有難うと言いたい。
河野はリーグ戦交替出場4試合にとどまった。ケガもあり力を発揮することができなかった。サバデルからオファーの報道もあるが、来季は新しい監督の下で勝負をかけて欲しい。
田邉はリーグ戦2試合の途中出場にとどまり、7月にサバデルにレンタル移籍。来季はワールドカップのブレイク後に復帰が見込まれる。どれだけ成長しているか楽しみだ。
大竹はリーグ戦に出場機会ないまま8月に湘南にレンタルされ、そのまま完全移籍になった。将来を嘱望された選手だったが城福、大熊、ポポヴィッチと3人の監督の下でポジションを獲得できず、セレッソへのレンタルでもブレイクできなかったことは彼自身もサポも受け止めなければならない。湘南ではフィットしていたようだし、現在は負傷療養中でも完全で取ってくれたのだから湘南に何としても恩返しをして、いつか東京の前に立ちふさがって欲しい。
ルーカスとヴチチェヴィッチが抜けると層は薄くなる。新人の武藤、平岡もいるが、即戦力になるかは未知数。復帰する梶山を前線で使うにしても現在は手術後のリハビリで合流は夏以降。即戦力の補強がないなら河野あたりの奮起が必要だ。
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FC東京
2014年01月05日 17:35
[posted by der_ball_ist_rund]
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【2013年】FC東京シーズン・レビュー(5)DMF編
天皇杯は準決勝で広島に負け、シーズンが終わって年を越えた。新監督や新FW外国人の獲得も発表され既にクラブは来季に向けて動き始めている。レビューもプレビューと兼ねるつもりで続きをやって行きたい。
さて、今回はディフェンシヴ・ミッドフィルダー、ふだん我々がボランチと呼んでいるポジションについて振り返りたい。
シーズン序盤こそターンオーバー的に長谷川をボランチ起用し米本をベンチに置く試合もいくつかあったものの、長谷川のポジションを前で固定したこともあり、今季ほぼ米本と高橋のコンビでシーズンを戦うことになった。
米本はリーグ戦31試合に先発出場。持ち前のボール奪取能力でパス・フットボールの起点となった。もともと猟犬のようにボールホルダーを追い回し、抜群のタイミングで食いついてボールを奪い去る力には定評があったが、ポポヴィッチ監督の下で奪ったボールをいかに展開するかということにも高い意識を持つようになった。
東京のディフェンシヴな選手たちの中でも、ボール奪取後にいちばん遠くを見ていたのは実は米本ではないかと思う。もちろん実際の展開には失敗することもあるが、逆サイドの裏に通せないか、縦に入れられないか、問題意識を持ってボールを展開する力は格段に向上した。
愚直にボールに食らいつく泥臭さが身上の選手だが、攻撃の意識が身につきつつあることでMFとしての価値はますます高まっている。課題としてはボール奪取後にしっかり収めること、飛び込んで外されるプレーをなくすこと、そしてより積極的な攻撃参加だろう。
高橋とのコンビネーションも成熟してきており、トライとカバーの関係や、攻め上がりと居残りの関係も臨機応変に対応できている。この関係の中で米本の攻め上がりがもっと見られるようになれば代表級のMFになる。
かつてリーグカップ決勝で決めたようなミドルもそろそろ見たい。とにかくケガなく出場さえできれば成長し続けることは間違いない。二度の大きなケガから復帰しての活躍はサポとしても胸が熱い。今や東京の中盤になくてはならない要に成長した。テレビ番組での「奪いに行かなければボールなんて取れる訳がない」は彼でないと言えない名言だ。
高橋はシーズン終盤には戦略的な理由からか先発を外れることもあったが、リーグ戦29試合に先発。代表にもコンスタントに招集され、クラブでも安定したパフォーマンスを見せた。代表に行って帰ってくるとクラブでのパフォーマンスが落ちるという悪いクセもあったが、代表がローテーションでテストを進める中で呼ばれなかった試合がいくつかあり、その時期にクラブでの足場が固まったように思う。代表復帰後はプレーのレベルがひとつ上がったように感じた。
冷静な状況判断と正確なプレーが高橋の持ち味だが、見た目の割りに屈強なフィジカルで中盤での球際でも強みを発揮した。パスを縦横につなぐ現代的なフットボールには欠くことのできない存在であり、「ボールの交差点」になる中央で前後左右にボールを動かすことのできる高橋の重要性はこれからも変わらないだろう。CBとして3バックに入ることもあったが、高橋はボランチ固定で考えたい。
課題としては時として難しいことを考えすぎて逆にうかつなボールの奪われ方をするところとメンタルの弱さ。インテリキャラなので考えすぎはデフォの部分もあるが、その上でタフさを身につければ代表でもレギュラー定着の狙える選手。そろそろ中堅としてチームを引っ張る存在にならなければならず、メンタル面での成長を期待する。あと、インタービューはもうちょっと短くていい。
このポジションでは他に長谷川を使うこともあったが、フィニッシュに向かうアイデアやセンスは非凡なものがあり、やはり前で使いたい。また、チャンを起用することもあり、強さという意味ではそれなりに機能していたようにも思うが、あくまでオプションとしての位置づけだろう。まあ、来季はいなくなりそうだし。
来季は梶山が戻ってくると見込まれる(但し手術のため夏ごろからの復帰か)。また、幸野も長崎から復帰することになっており僕としては大いに期待している。野澤の成長も楽しみだし、三田のボランチ適性も見てみたい。
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