フットボール・クレイジー
football crazy
silverboy club
presents
2014年06月28日 11:17
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【ワールドカップGL第3節】アメリカ×ドイツ
■2014年6月27日(金) 1:00キックオフ(日本時間)
■レシフェ
金曜日未明1時キックオフ。金曜日には大事な仕事があったが木曜日帰って晩ごはん食べて10時半ごろにいったん寝て、1時前にもそもそ起き出した。
ドイツはここまで1勝1敗の勝ち点4。まだグループ・リーグ勝ち抜けを決めた訳ではないが得失点差にアドバンテージがあり、よほどの大敗をしない限り勝ち抜けはおそらく大丈夫という試合。一方、アメリカは引き分け以上で勝ち抜け、負けた場合はポルトガル×ガーナの結果次第という状況。
引き分けになればポルトガル×ガーナの結果に関わりなくドイツもアメリカも勝ち抜けるということで互いにスコアレス・ドローも意識した神経質な試合になることが予想される。この辺の呼吸の読み合いが難しい。
会場のレシフェは試合前から激しい雨が降り続き市街の一部が冠水、交通機関が機能せず、試合の延期も真剣に議論されたらしい。
アメリカ代表の監督は2006年のドイツ・ワールドカップでドイツ代表の指揮を執ったユルゲン・クリンスマン。ドイツ代表のヨアヒム・レヴ監督は当時のアシスタント・コーチであり、メディア的には師弟対決と言われているが、あの時ドイツ代表の戦術を実際に立案していたのはレヴの方ではなかったか。
ドイツはインサイド・ハーフのケディラに代えてシュヴァインシュタイガーが大会初先発。また左ウィングにはゲッツェに代えてポドルスキが先発した。
ノイアー
ボアテン メルテザッカー フメルス ヘヴェデス
クロース ラーム シュヴァインシュタイガー
エツィル ミュラー ポドルスキ
試合は激しい雨の中でキックオフ。雨中の試合はまた特別な消耗があると思うが、少なくとも気温は高くなく、ドイツには戦いやすいのではないか。
一部の予想に反して試合は互いに相手の出方を探ることもなくガチで打ち合う真剣勝負に。実力差の通りドイツがボールを支配し効率のいいポゼッションから意図のあるパス出しでアメリカのゴールを脅かす。一方でアメリカも集中した守備から奪ったボールを中盤経由で素早く展開しカウンターから攻め込む形で応戦。前節のガーナ戦に比べるとスピード感のある試合になった。
ドイツはラームが最終ラインから引き出したボールを自在に前線に供給、ポドルスキ、エツィル、ボアテンらから中央に入る正確なクロスで先制点を狙うが最後のところが合わず。アメリカは22分、カウンターで攻め上がり、ドイツの右サイドから厳しいシュートを放つがわずかにバーの上。ドイツの方が優勢ではあるものの互いに勝ちを狙いに行く姿勢は鮮明に。
中盤での拮抗したつばぜり合いが続きゴール前でのチャンスは少なくなり、結局前半をスコアレスのままで折り返す。シュート数は6-2と決して多くないがスピード感があり局面の競り合いにも迫力のある好ゲーム。
ドイツは後半からポドルスキに代えてクローゼを投入。ミュラーが左ウィングに下がりクローゼがワントップに。
後半開始早々から攻勢を強めたドイツは47分、ボアテンからのクロスにエツィルが頭で合わせるが敵DFに身体を寄せられシュートは枠外に。52分、左からのクロスにクローゼが飛び込むが合わせきれず。
だが55分、右からのCKに中央でメルテザッカーが頭で合わせると、このシュートはGKがセーブしたもののこぼれ球がファーのミュラーに。ミュラーはこれをダイレクトでゴールに突き刺しドイツが1-0と先制する。セットプレーなどのこぼれ球を後ろで控えた選手がドーンとシュートするのは、ドイツ語では「Nachschuss」という呼び方があるのだが、これに相当する日本語が欲しい。「ドーン」か。ダイレクトであれだけのコントロール・シュートを打てるところにドイツの強みを感じる得点。
この間、ポルトガル×ガーナはポルトガルが前半に先制したものの、後半にガーナが追いつくという展開に。ポルトガル×ガーナが同点である限り、ドイツとアメリカは自分たちの試合結果に関係なく勝ち抜けだが、ガーナが勝てばアメリカは引き分けが必要になるという難しい状況でアメリカは高度なゲーム・マネジメントを強いられる。
僕の目には「大敗だけは避ける」という考え方で、リードされてもムリにリスクを負って前に出るよりは、しっかり守ってチャンスを窺うという戦い方を維持しているように見えた。試合は引き続きドイツが主導権を握り効果的なポゼッションから攻撃するが、ドイツもリードを奪ったことでリスクを負う必要がなくなり展開はやや落ち着く。
76分にはシュヴァインシュタイガーを下げてゲッツェを投入、ドイツはその後も時間を使いながらボールをコントロールする。一方、同時に行われていたポルトガル×ガーナは80分にポルトガルが再び勝ち越し。アメリカは1点差で負けてもグループリーグを勝ち抜けることがほぼ確実になる。
ドイツは89分、エツィルに代えてシュールレを投入。アディショナル・タイムにはアメリカに立て続けにクリティカルなシュートを許したものの守りきり、1-0でグループ・リーグ2勝目を挙げて勝ち点7の首位で突破を決めた。また、アメリカも勝ち点4ではあるが、同勝ち点のポルトガルとの得失点差で勝ち抜けとなった。
状況に応じて今何をなすべきかということがしっかり共有できているドイツの強さが際立つ試合で、これは何度も大舞台で戦った経験のある国の特徴だろう。もともとよほどの大敗でない限りグループ・リーグ突破が確実視される状況であり、マネジメントは比較的容易だったと思うが、そういう状況で浮足立つことなく確実に最少得点差の勝利を得るところが実にカッコいい。
ガーナ戦よりも自信を持ってボールを扱えており、アメリカより休養が1日多かった日程上のアドバンテージもあって、余裕のある戦いぶりでしっかりボールを保持、試合の流れをコントロールした。ハイプレスからの高速ショート・カウンターという戦術と、ポゼッションを得て効果的なボール回しからギャップを狙って崩す戦術との使い分けが見事で、チームとしての成熟を感じさせた。
これはもちろん監督、選手の力であると同時に、ドイツという国の中でフットボールというものがしっかり理解され、その戦い方にきちんとした議論や理解、支持や反論があり、勝や負けが国民的なイベントとして共有されてきた国の強さだ。それはフットボールがいかにドイツという国に根づいているかということであり、ひとりひとりのドイツ人がどれだけ真剣にフットボールを楽しんでいるかということの表れなのだ。
そうしたバックボーンがあってこそ、レヴ監督に8年もチームを預け、勝ったり負けたりしながらチームを作り上げることもできるのである。そしてそれはドイツのフットボールの歴史と直接つながっている。敵の監督がクリンスマンだったということもそうしたドイツにおけるフットボールの受容のあり方を象徴しているようだ。
ドイツはベスト16でアルジェリアと対戦。簡単な敵ではないがしっかり力を出しきることができれば勝機は十分ある。このチームでタイトルを勝ち取りたい。
評点(評点は
ドイツ式
):
ノイアー(3) 何度か試される場面もあったが問題なし。ボールさばきもいい。
ボアテン(3.5) タイミングのいい攻撃参加から好クロスを供給。
メルテザッカー(3.5) アメリカのカウンターにもしっかり対応できていた。
フメルス(3.5) 強さを生かして敵FWを封殺。落ち着いてプレーした。
ヘヴェデス(4) 攻め上がりと裏のケアの難しいマネージを強いられた。
クロース(4) 中盤で敵の攻撃の芽をしっかり摘んだ。
ラーム(3) 最終ラインから前線までチームの要となる活躍。
シュヴァインシュタイガー(3) 独特の動きで攻撃のトリガーになった。
エツィル(3.5) 気の利いた動きは見せたがもっと自分で行っていい。
ミュラー(3.5) 得点は見事。規律のある動きでゼロトップの見本に。
ポドルスキ(4) さすがのプレーもあったが入りきれなかった感。
===
クローゼ(4) 今日はワンポイントで合わず。守備にも貢献。
ゲッツェ(-) 時間短し。
シュールレ(-) 時間短し。
この試合、ホーム扱いのアメリカが白のファースト・ユニだったため、ドイツはこの大会で初めてセカンドを着用。これが赤黒の太い横縞でラグビー・ジャージみたいな可愛い柄でなかなかよかった。ブンデスリーガで言えばフランクフルトのユニに近いか。ドイツのセカンドは深紅だったこともあるし緑や黒だったこともあって面白い。
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ドイツ代表
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2014ワールドカップ
2014年06月25日 23:47
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【ワールドカップGL第3節】日本×コロンビア
■2014年6月25日(水) 5:00キックオフ(日本時間)
■クイアバ
日本のグループリーグ最終戦はコロンビアと。日本時間朝5時キックオフということで、いつもより1時間ほど早起きしてのテレビ観戦になった。同じように出勤、登校前にテレビを見ていた人も多かったことだろう。
日本はここまで勝ち点1にとどまっているが、この試合に勝てばグループリーグ勝ち抜けの可能性は十分ある。というか勝たないことには始まらない試合。真価が問われるが、コロンビアは既に突破を決めており勝機は十分ある。
日本はこの大会で初めて青山を先発起用、また大久保をワントップに据え、香川が左サイドで先発復帰した。この結果、山口、大迫がベンチ・スタートとなった。
川島
内田 吉田 今野 長友
青山 長谷部
岡崎 本田 香川
大久保
勝つしかない日本は序盤から積極的に前に出る。セカンドボールへの食いつきも早く局面でもしっかり戦えている。青山から前線へのフィードがいいアクセントになり、ミドル中心ではあるものの15分までにシュート5本と試合を支配し得点を狙う意志を明確にする。いい意味での割りきりや開き直りが見られ期待のできる立ち上がりだった。
だが16分、自陣ペナルティ・エリアにドリブルで入りこんだ敵FWを今野が後ろからタックルして倒し警告を受ける。スローで見れば確かに足に行ってしまっており妥当な判定だろう。これで与えたPKを中央に決められ0-1と先制を許す。あの局面でタックルする是非は議論もあるが、ボールにチャレンジした結果一歩及ばず足を引っかけたファウルで、今野を責めるのは酷だろう。
リードを奪ってリスクを負わなくなったコロンビアに対し、日本は下を向くことなく再び攻撃を仕掛ける。失点以降だけでも7本のシュートを放つなど、ややゴールを急ぎすぎの感はあるにせよ、勝つことへの執念、こだわりを感じさせ流れは悪くない。
前半のアディショナル・タイム、これが報われる。本田が右サイドからドリブルで中に持ち込み、エリア右手前から中央へクロス。ニアに飛び込んだ岡崎が難しい体勢ではあったものの頭で合わせゴール。日本が1-1と同点に追いつく。本田の正確なクロスと、臆せずこれに飛び込んだ岡崎得意のヘディングと、日本のよさが出た得点で前半はそのまま終了する。
PKで先制点を献上したことは悔やまれるが、その後も集中を切らさず攻撃的に戦い、終了間際に同点にした前半の戦いは評価に値するものだった。前半のシュート数は13-3。前回のマッチ・レビューを受けて言うなら、真剣さを悲愴感に転化させず、危機感がストレートに表現されたいい内容だったと思う、ここまでは。
ところが後半、コロンビアは一気に2枚のカードを切ってくる。すると後半最初の10分で3本のシュートを放たれるなど、コロンビアの反攻に押され気味に。そして55分、日本の左サイドから持ち込まれ、中央を経由してファーに振られるとそのままフリーでシュートを放たれる。これが決まって1-2。再びリードを許してしまう。
中央にクロスを入れられた時点で右SBの内田、右SHの岡崎までがボールに集まってしまい、ファーを完全に無人にしてしまう。前半終了間際に追いついた勢いでそのまま逆転を目論んだ後半の立ち上がりに押し込まれ、完全に崩されての失点にショックは大きかった。結果論的に言えばこの2点目がすべてだったと思う。
後がなくなった日本はその後も攻撃的に試合を進めようとする。62分には青山に代えて山口を、69分には岡崎に代えて柿谷を投入、敵陣を中心に試合を進め、シュートも積極的に放つが、次第に焦りが出たか枠に収まらないケースが増える。
82分、前がかりになった裏をカウンターで突かれる。人は残っていたもののゴール前で人に行ききれずシュートを決められ1-3に。この時点で試合は終ったというべきだろう。
日本は85分香川を下げて清武を投入するが3点を奪うのは正直なかなか難しい注文。90分には再びカウンターで裏を取られ追加点を許して1-4。その後の反撃もむなしく終ってみれば完敗で日本はグループリーグ最下位での敗退となった。
3点目、4点目はリスクを冒して前がかりになった結果裏を取られたものでフットボール的にはある意味やむを得ない失点。ポイントは2点目にあったというべきだろう。あのタイミングでの失点は勝たなければならない立場の日本としては決定的に大きかった。残り時間が少なくなる中で、2得点が必須になってしまい、もはや平静に試合を進めることは難しかった。
内容的に悪い試合ではなかったし、シュート数23-13、ポゼッション56-44と主導権は握っていたが、勘どころで決定的な失点を喫したのが致命的だった。短期決戦のグループリーグを戦うフィジカル、メンタルのマネジメントに失敗したというべきかもしれないし、刻々と変化する状況の中で、現実的かつタフにひとつひとつの判断を下すという訓練が足りないようにも見えた。
それは見ていた我々も同じことで、結局我々自身の中でワールドカップが4年に1度のお祭り程度にしか定着しておらず、フットボールを媒介に世界を見る経験もそこでの勝ち負けが何を意味するのかの認識も足りなかった。
それはまだまだフットボールが我々の生活の中にしっかりした足がかりを持ち得ていないことの裏返しであり、ワールドカップや海外で活躍する選手にはそこそこ注目が集まっても、Jリーグの試合に集まるサポーターの固定化、高齢化が進んでじり貧に陥りつつあることの顕著な表れだろう。
日本代表がグループリーグで1勝もできずに敗退したということは、日本におけるフットボールの受容が所詮その程度だということ。負けたのは日本代表ではなく、我々のフットボール文化なのだと思った方がいい。
勝ったり負けたりをもっと繰り返し、共通の記憶が国民にすりこまれるようなしびれる試合をもっと経験しなければならない。そうやって、こんな勝ち、こんな負けもあるよなという相場観みたいなものがしっかり我々の中に共有された時、初めて我々はワールドカップの大舞台でもしっかり持ち味を出せるようなメンタルの奥行きを手に入れられるのではないかと僕は思う。
評点(評点は
ドイツ式
):
川島(5) 失点は川島だけのせいではないが4点はやりすぎ。西川見たかった。
内田(5) 決定的な2点目では裏を空けてシュートへの対応が遅れた。
吉田(5) カウンターへの守備がまったくできなかった。
今野(5) あの局面でタックルに行ったことには議論の余地がある。
長友(5) 高いポジションで攻撃に加わったがベストではなかった。
長谷部(4.5) 中央でボールを収めたが今ひとつ動きが見えず。
青山(3.5) 裏への意識が高くいいボールを再三供給。交替は不可解。
岡崎(3.5) 得点は見事。守備の意識も高かったが2点目ではカバーできず。
本田(4.5) アシストは見事だったがピークには程遠くムラが多かった。
香川(4.5) らしいプレーも随所に見せたもののフィット感低かった。
大久保(4) 前への意識は人一倍高かったが精度を欠いた。
===
山口(4.5) 投入の意図が不明。見せ場作れず。
柿谷(-) 時間短し。見せ場作れず。
清武(-) 時間短し。見せ場作れず。
これでワールドカップはドイツに集中する態勢になった。
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日本代表
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2014ワールドカップ
2014年06月22日 16:50
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【ワールドカップGL第2節】ドイツ×ガーナ
■2014年6月22日(日) 4:00キックオフ(日本時間)
■フォルタレザ
日曜日の朝4時キックオフなので、中継を録画し、6時ごろ起きて時差観戦した。起きていきなりツイッターとか見ると結果が書かれてたりするので気をつけないと。
ドイツは初戦でポルトガルに快勝、この試合に勝てばグループリーグ勝ち抜けが決まる。ガーナはヨーロッパの強豪チームで活躍する選手を揃えた強敵だが、初戦アメリカに敗れており、何としても勝ち点を得なければならない状況。厳しい戦いになることが予想されるがドイツとしては当然勝ち点3を取りに行くべき試合。ドイツは初戦と同じ布陣となった。
ノイアー
ボアテン メルテザッカー フメルス ヘヴェデス
ケディラ ラーム クロース
エツィル ミュラー ゲッツェ
ガーナにはドイツのジェローム・ボアテンの兄でシャルケ所属のケヴィン・プリンス・ボアテンがおり兄弟対決ということになる。兄弟がそれぞれ別の国の代表になり、ワールドカップで対戦するとか考えてみればすごい巡り合わせである。
試合はドイツがボールを支配し、ガーナが引き気味の守備からカウンターという展開になるかと思われ、実際序盤はそんな感じもあったのだが、ガーナはそこまでドン引きという訳でもなくラインは高めでコンパクトな陣形を維持、ドイツは持ったボールを展開するスペースを探しあぐねる。
ドイツは11分にクロースがファースト・シュートを放つが枠に収まらず。一方ガーナは13分にMFが鋭いシュートを枠に飛ばすがノイアーがセーブ。18分には右サイドのエツィルが中央にクロスを送るがケディラのシュートは枠外。21分にも同じようなシーンで今度はミュラーが中央に飛び込むがシュートは打ちきれず。
ドイツは隙間を見つけてはボールを縦横に出し入れし、全体が動いたところで出来たギャップにボールを運ぼうとするが、いかんせん窮屈でガーナの守備網に引っかかることも多く、なかなか思うように前線にボールを展開できない。暑さのせいもあってかドイツは出足が鈍く、局面での競り合いやセカンドへの反応で遅れを取るケースが頻出、次第にガーナにボールを持たれるようになり、ポゼッション的にはほぼ五分の流れになって行く。
33分、敵MFの強烈なミドルをノイアーがパンチングで何とかクリア。サイドからの攻撃に対応が遅れ、斜めに動いてくる相手を捕まえきれずチャンスを作られる。CBもスピードで勝負を挑まれ対応に苦労する。この時間帯はドイツが明らかに後手に回っており、調子の出てきた敵の攻撃を何とかしのぐという印象のシーンが続く。
主導権をグリップできないままスコアレスで前半を終えた。
ドイツは後半から右SBのボアテンに代えてムスタフィを投入。ボアテンが筋肉に違和感を訴えたらしい。試合は後半開始早々に動く。51分、右に流れたミュラーが中央にクロスを送ると、走りこんだゲッツェがフリーでヘディング。ボールは顔面に近いところに当たり、ゲッツェの左ひざに当たってゴールへ。ドイツが1-0と先制する。ゲッツェのヘディングも珍しいと思うが、微笑ましい得点でドイツに流れが来たかに思えた。
だが、54分、ドイツの左サイドから中央にクロスを入れられると、中央ではメルテザッカー、フメルスが待ち構えていたにも関わらず敵FWのヘディングを許し失点。あっという間に1-1と追いつかれてしまう。得点後の最も集中しなければならない時間帯にあっさり失点。クロスも簡単に上げさせすぎた。
さらに63分、自陣での横パスを敵にカットされそのまま前線にいた敵FWに展開される。裏に抜け出した敵FWが放ったシュートはノイアーも触れずファーのサイドネットに突き刺さって立て続けに失点。1-2と10分ほどの間に逆転を許す。
その後も攻撃を構築できないドイツは69分、ケディラとゲッツェを下げ、シュヴァインシュタイガーとクローゼを投入、交替枠を使いきって勝負に出る。
直後の71分、左サイドのクロースのCKにニアでヘヴェデスが頭で合わせたボールはファーポスト近くへ。ここに詰めたクローゼが爪先で押し込みゴール。ドイツが2-2と同点に追いつく。クローゼはワールドカップでの通算得点を15に伸ばし、歴代1位タイとなる。しかしながらゴールの得意の宙転では着地に失敗。全盛期に比べれば踏み切りが浅く滞空が短かった。尻もちをついた程度で済んだが、下手したら腰を強打したりしかねない。
その後は、ガーナにもさすがに疲れが出たか、攻撃の後の帰陣に遅れが目立ち始め、中盤にスペースができるようになる。シュヴァインシュタイガーがこのスペースを使って積極的に配球、ドイツが徐々に反撃に出られるようになる。
84分、スルーパスに抜け出したミュラーがシュート・モーションに入るが直前にブロックされ打てず。その後も互いに勝ち点3を狙って仕掛けたが決勝点はどちらにも入らず、力の入った試合は2-2の引き分けに終わった。
タイトにスペースを消され、ハイプレスから高速カウンターを浴びると、ドイツといえども苦戦するというドイツ対策の手本を示したような試合。加えてドイツ自身の動きも悪く、ボールへの出足が遅れて終始ガーナの後追いに。先制点、同点弾はさすがにやられっぱなしにはならないメンタルを示したが、顧みるべき点の多い内容で、引き分けの結果は妥当なもの。負けていてもおかしくなかった。
特にスピードに乗って攻め込まれ、斜めに人が入ってくる中でボールを動かされた時の対応の心許なさは修正が必要だ。また、サイドで戦いきれずに裏を使われて簡単にクロスを上げられたり起点を作られたりしていたのも検証が必要だ。高温はともかく、多湿で体力を奪われ想定以上のメンタルの疲労が判断を遅らせた印象が強かった。ポゼッションは59-41と優位だったが、シュート数は18-12と劣勢だった。
ドイツにも最高気温が30度を超える暑い日はあるが、基本的に乾燥しており日陰に入ってビールでも飲めばしのげるのが普通。蒸し暑いという感覚は日常の中にはなく、日中の試合では未知の消耗の仕方をしている可能性が高い。動きの重い試合で、負けの許されないガーナのモラルの高さに圧倒されたという他ない。
最低限の勝ち点1を得たことは大きかったが、これでグループリーグ勝ち抜けは最終節の結果を待つことになった。守備の脆さに不安が残る。メルテザッカー、フメルスともに大型ながらフィジカル重視の跳ね返し要因という訳ではなく、相応に足許の技術もあるはずだが、スピードに難があり、ビルドアップが上手いとも思えない。このポジションに現代的な人材が欠けているように思われる。
最終節、アメリカ×ドイツは金曜日の未明1時キックオフ。修正が必要だ。
評点(評点は
ドイツ式
):
ノイアー(3) 前半のピンチは好セーブでしのいだが2失点は残念だった。
ボアテン(5) サイドで敵に起点を作られる。兄弟対決も勝ちきれず。
メルテザッカー(5) 敵の斜め走りに手を焼く。1失点目はやられてしまった。
フメルス(4.5) エリアにカギをかけることができず。意外に機動性ないのか…。
ヘヴェデス(5) 難しいポジショニングを強いられ裏を使われた。
ケディラ(4.5) 中盤でボールを収められずセカンドにも行けなかった。
ラーム(4) 終盤は前線にも顔を出した。代表の核として機能している。
クロース(4) 機動的に動きチャンスメイクしたが局面の出足遅い。
エツィル(4.5) 自分で切れこむ動きを見せておいてもよかった。
ミュラー(4.5) 今日は当たらなかった。プレーのムラが気になる。
ゲッツェ(3.5) 先制点を顔で押し込んだのは愛嬌か。球際の強さを。
===
ムスタフィ(4.5) 攻撃参加は効いたが守備では後追いになった感。
シュヴァインシュタイガー(3.5) 短い時間だが流れを強引に引き寄せた。
クローゼ(3.5) FWらしくワンプレーで1日の給料を稼いだ。着地は失敗。
クラマー出して欲しいな〜。
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ドイツ代表
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2014ワールドカップ
2014年06月22日 00:03
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【ワールドカップGL第2節】日本×ギリシャ
■2014年6月20日(金) 7:00キックオフ(日本時間)
■ナタル
日本時間で金曜日の7時キックオフということで、通勤と仕事の立ち上げの時間に完全にかぶっており、会社を休むか遅刻でもしない限りリアルタイムで見ることのできない試合。早い段階でリアルタイム観戦は割りきっていたので、せめて家に帰り着くまで結果を知らないでいることはできるかとも思ったが所詮ムリな話だった。
初戦、コートジボワールに先制しながらも逆転負けを喫した日本としては、グループリーグ勝ち抜けのために何としても勝たねばならない試合。ギリシャは過去に欧州選手権で優勝したこともある強豪であり簡単に勝てる相手ではないが、攻撃力に難点を抱えており勝機はある。
ザッケローニ監督は最終ラインに今野を先発起用し森重がベンチ・スタート。また、香川に代えて大久保を左SHで先発させた。
川島
内田 吉田 今野 長友
長谷部 山口
岡崎 本田 大久保
大迫
試合内容はもうほとんどの人が知っていると思うので詳述はしない。堅守速攻を持ち味とするギリシャに対して日本は終始ボールを支配、特に38分に敵MFが2度目の警告で退場となって以降は数的優位も得て攻撃を仕掛けたが、結局ゴールが遠くスコアレス・ドローに終わったという試合。
ポゼッションは68-32とほぼ7割、シュートも16-9としっかり攻めはしたが、1人少なくなり自陣でしっかり守りを固めるギリシャを最後まで崩すことができなかった。日本はいつものように細かいパスの出し入れで敵の守備網にほころびを作る戦術であったが、パスに正確さを欠き、最後にはコートジボワール戦に続いて吉田を前線に上げたパワープレーに出るなど、攻めきれなかった感が強く残った。
退場者を出したチームが割りきって守備に徹する結果、かえって攻めづらくなるのはフットボールにはよくあることなので仕方ない部分もあるし、チャンスはそれなりに作れててシュートも打ててるのに最後のところで運がなかった部分もあって、必ずしも力負けしたとか致命的な問題があったという訳でもないのだが、だからこそ見ていた我々ももどかしい思いをした。
この、肝心のところでベスト・パフォーマンスを出しきれず、わずかな運を引き寄せられなくて結果を出せないという感じは東京の試合でも何度も経験していることだし、日常の局面でも覚えがある人は多いだろう。勝負どころで踏ん張れないと言ってしまえばメンタルの問題に帰することになり精神論になるのであまり言いたくないのだが、それにしてもいったいこの「勝負弱い」メンタルというのは何なんだろうと考えてみた。
気になったのは、試合の中でプレーがうまく行かないとき、香川や長谷部ら中心選手がすごく苦しそうな顔をすること。責任を感じるのは当然かもしれないが、だれもかれもが「オレが悪い」「オレがしっかりしなければ」「もっと必死でやらねば」とどんどん悲愴な顔つきになって行ってるように感じるのだ。
必死でやっているので顔つきが真剣になるんだろうけど、そこに何か過剰な悲愴さ、余計なものまで背負ってしまっているような重さを感じてしまう。危機感がストレートに表現されず、「オレがしっかりしてないからあかんのや」的な、自責的な形で内向してしまっているのではないだろうか。
その結果、ベスト・パフォーマンスを出すことよりも、我慢したり苦しんだりすることで何かが解決するような自己処罰的な錯覚に陥ってしまう。思考に柔軟性がなくなり、手足が縮こまる結果動きも悪くなって、「何をやってもうまく行かない」というネガティブ・スパイラルに陥ってしまう。
こうなると事前にいくら周到なゲーム・プランを用意しても、それを遂行するだけの力を発揮するのは難しい。視野が狭くなっているので状況の変化に対応することもできない。現状に合わなくなったプランに固執して失敗を繰り返してしまう。だれも楽しくないフットボールをやっている。やればやるほど「ダメだ、オレをもっと罰してくれ」とでもいったような自虐的な表情になってくる。
自分が苦しみ、耐えることで不始末を免責してもらいたいという気持ちが、結果としてベスト・パフォーマンスを妨げているのだ。「こんなにムリして頑張ってるんだから、うまく行かなくても勘弁してよね」と無意識のうちに考えているのだ。
プロなのだから当然メンタル・トレーニングもしているのだと思うが、うまく行かないときの日本はプレーにもアイデアにも幅がなくなり、ダメと分かっているパターンを延々と繰り返すような一種の思考停止に陥っているように見えてしまう。自分が苦しむこと、耐えることと、結果を出すこととの間には直接の関係はないのだと気づくことができなくなっている。
この試合も重苦しかった。何でそんな悲愴な、自己処罰的な顔をして90分も走り回らなければならないのかと思った。僕たちはまだ何も手にしていないというのに、何を守ろうとしているのかよく分からない。試合が終る前から免責のための言い訳を探しているような試合に見えて仕方なかった。
コロンビア戦は勝つしかない。選手たちがどれだけ苦しんだかということには僕は興味はない。それは結果とは関係がないからだ。
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日本代表
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2014ワールドカップ
2014年06月19日 23:28
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【2014ワールドカップ】スペインの落日
日本とドイツの試合以外はムリして夜中に見るのをやめて、録画を夕食後の時間に見るようにしているのでリズムが整ってきた。明日朝7時からの日本×ギリシャはもうリアルタイムで見るのは諦めた。夜は飲み会があるので帰ってきてから録画を見ることになるが、それまで結果をシャットアウトすることができるか。いや、ムリだな。普通に考えて。
さて、昨夜行われた試合の中では何といってもスペインがチリに負けた一戦ということで録画を見た。スペインはオランダ、チリに連敗して早くもグループリーグ敗退が決まった訳だが、いったい何がよくなかったのか。
というか、これまでスペインの何がそんなにすごかったのか。終ってみればそんな気にならざるを得ない試合だったということだろう。ボールを持っても急ぐことなく執拗にパスをつなごうとする。前が詰まれば何度でも作り直す。狭いエリアでワンタッチのパス交換から抜け出す。ミドルは狙わずエリア手前から目まぐるしくボールを動かし最後はワンツーやスルーパスでエリアの中に飛び出す。
だが、それがうまくつながってシュートに至るケースはこの日のスペインでは稀だった。チリが早い帰陣で5バック気味のDFラインを固めると、スペインの流麗なパスもどこかで引っかかる。チリもパスを回すが、チリには敵が陣形を整える前に攻めきるという明確な意図がある。
スペイン型のポゼッション・フットボールにはスピードというモメントがないのか。ダメなときの東京を見ているように、ポゼッションにこだわっては結局フィニッシュまで行けない。前がかりになると背後をカウンターでやられる。セカンドに出遅れる。ボールを持っても一気に攻め上がるような切り替えはない。
これで何で前のワールドカップに優勝できたのかよく分からない。このタイプのフットボールはもう終わったのか。
今回のワールドカップは高温多湿の環境で、試合によっては昼の1時とか過酷な時間帯にやっているので分かりにくいところがあるが、結局のところ攻守の切り替え、特に守備から攻撃への切り替えの速さを競うフットボールが主流になりつつあるということなのだろう。
例えばBVBのゲーゲン・プレッシングもそうだが、ハイプレスで奪ったボールを高速のショート・カウンターで一気にフィニッシュまで持ち込むフットボール。バイエルンもドイツ代表も基本的な考え方はこれじゃないのか。
だが、それは決してポゼッション・フットボール、コンビネーション・フットボールの時代が終ったということではないし、ドン引きから縦ポンのフットボールが復権したということでもない。ポゼッション、コンビネーションといった概念が進化する瞬間に僕たちは立ち会っているのではないかと僕は思うのだ。
チリやメキシコなど、面白いフットボールをやっている国もベースはポゼッションである。きちんとパスをつなぐことなしに現代フットボールはあり得ない。盲滅法に前線に長いボールを蹴りこむギャンブル・フットボールはもはや戦術とも呼べないだろう。
問題はポゼッションをどれだけ高速化して、攻めきるために組織できるかということだ。ロングフィードだって大きなサイドチェンジだってつながればポゼッションだ。至近でショートパスを回すだけがポゼッションではない。意図のあるボールをしっかりつないで敵に対応する隙も暇も与えずフィニッシュまで持って行くのが次世代のポゼッション・フットボールだと僕は思う。
スペインの落日がそれを示しているのかはともかく、精度の高いショート・カウンターは結局のところポゼッションとコンビネーションの高速化に他ならない。どんなフットボールがこの大会で勝ち残ることになるのか、楽しみだ。
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2014ワールドカップ
2014年06月17日 22:48
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【ワールドカップGL第1節】ドイツ×ポルトガル
■2014年6月17日(火) 1:00キックオフ(日本時間)
■サルバドール
難しい時間の試合。普通に3時まで起きていると睡眠時間が2時間とか3時間になって翌日の仕事に差し支えかねないので、11時から1時まで寝て、試合を見てから3時から6時まで寝たが、2時間+3時間の睡眠は5時間通しの睡眠にかなわないことが分かった…。
ドイツの初戦はポルトガル。小国ではあるがクリスチアーノ・ロナウドを擁する強豪である。この試合でこの大会の行方が占われると言ってもいい大事な一戦だ。
ドイツは前線に典型的なCFを置かない所謂ゼロ・トップ。またシュヴァインシュタイガーをベンチに置きラームをアンカーで起用した。実際にはラームとクロースのダブル・ボランチに見えたが。
ノイアー
ボアテン メルテザッカー フメルス ヘヴェデス
ラーム クロース
エツィル ケディラ ゲッツェ
ミュラー
コイントスで勝ったポルトガルがチェンジを選択、ドイツは前半GKが直射日光を浴びるサイドでの守備となる。
試合は例によって慎重な立ち上がり。徐々にドイツがボールを支配し、正確なコンビネーションからボールを支配するが、暑さのせいかスピード感に欠け、フィニッシュまではなかなか持ち込めない。次第にポルトガルにセカンド・ボールを拾われるようになり、ポルトガルのポゼッション・ゲームのようにすら見える展開に。
8分には右サイドから敵FWの抜け出しを許しGK至近からシュートを放たれるが角度がなくノイアーが処理。直後には敵GKの不用意なパスをケディラが拾いワンタッチで無人のゴールを狙ったが外れる。
転機は比較的早くやってきた。11分、ゲッツェがパスを受けてエリア内で仕掛けたところ、敵DFに袖を引っ張られて転倒、PKを得る。決してそこまで激しい引き倒しではなかったと思うが、やはりエリア内での手の使用には厳しく対処するとの意思の表れと見た。これをミュラーが手堅く決めてドイツがPKで1-0と先制。
リードを得て、敢えてリスクを取らず慎重なパス回しから敵の守備網が乱れたと見るやスピードアップして仕掛けるドイツの攻撃に対しポルトガルは積極的に前に出ようとするが攻撃は散発に。
28分、敵FWが筋肉系の負傷で交替。PKはともかく、この辺からポルトガルとしては歯車が狂い始めたと思う。32分、右CKをクロースが蹴ると、ゴール正面でフメルスが頭で合わせゴール。ドイツが1点を追加し2-0と順調にリードを広げる。
さらに37分、前線でミュラーが敵DFと競った際にひじ打ちを受け倒れる。この時点で笛は鳴っていたが、その後、敵DFがミュラーに近づき頭突き。これを審判が見逃さず敵DFは退場となる。ドイツはこの時点で数的優位を得る。これで完全にポルトガルが自滅した。
前半のアディショナル・タイムには、ミュラーが後方からのクロースのパスを敵DFがトラップしたところを奪いそのままシュート。これが決まりこの日2点めを挙げリードを3-0と広げる。
後半に入るとドイツは明らかにリスクを避け時計を進める戦い方に。必要があれば45分間キープも辞さずという明快な姿勢が、数的優位も得てドイツにプラスに作用する。ドイツはボールをキープしながらも敵陣ではムリをせず何度も作り直す攻撃に。時間はどんどん進んで行く。
51分、ゲッツェからのパスを受けたエツィルが裏に抜け出し敵GKと一対一になるがシュートはGKに当ててしまう。63分、エツィルに代えてシュールレを投入。69分にはゲッツェがシュールレからのパスをゴール前で受けるがコネる間に詰められてシュートはブロックされる。
ドイツは73分、フメルスに代えてムスタフィを投入。ボアテンがCBにスライドしムスタフィは右SBに。
78分、右サイドを駆け上がったシュールレが中央へグラウンダーのクロスを入れる。いったんはGKが弾いたが、そのすぐ前に詰めたミュラーがこれを流しこんでゴール。4-0と試合を決定づける。ミュラーはこれで今大会最初のハットトリック。82分にはミュラーに代えてポドルスキを投入し、試合をクローズに。
ドイツはその後も危なげなく試合を支配、アディショナル・タイムにはロナウドのゴール正面からのFKに対してノイアーが「壁は2枚でいい」のサイン。ロナウドのキックは枠に飛んだがノイアーがこれをセーブ。壁でキックの瞬間が見えなくなることや、壁でボールが跳ねることを嫌ったのだと思うが、このシーンはカッコよかった。
結局、ドイツは4-0と終始試合を支配して完勝。初戦をきっちり勝ちきるところにこうした舞台の戦い方を知る国の強さを見た。
ドイツは早めの時間帯に先制を得てその後はリスクを取らない戦いにシフト。暑さもあってかムリにスピードアップしない戦術も興味深かった。その意味でこの試合は前線からの積極的な守備、攻守の速い切り替えから高速カウンターというドイツの得意パターンから見れば、敢えてスローダウンしたと言っていい。
特にPKで1点を先制してからは現実的なゲーム・マネジメントが顕著。この辺が国としての強さなんだなと感じた。そういう「勝ち方」が代表選手の間できちんと共有されているのはすごい。
おそらく「勝ち方」は監督の指導とかチームの方針ということではなく、個々の選手の戦術理解の総体のようなものなのだろう。これはある種の「文化」である。日本が欲しいのもこの「文化」であり、「常識」としてプレーヤーにもサポーターにも根づいた理解である。
とはいえ、ドイツの戦い方が完璧だったかといえばもちろんそんなことはなく、どちらかといえばポルトガルが自滅したゲームだったと言うべき。後半二度のビッグ・チャンスに決めきれなかったことは反省点だと思う。フィニッシュの精度には向上の余地がある。
ともかく、この勝利でドイツの星勘定はグッと楽になった。次節、ガーナは厳しい相手だが、しっかり勝ちきって勝ち抜けを引き寄せたい。
評点(評点は
ドイツ式
):
ノイアー(2.5) 「壁は2枚でいい」にしびれた。ビッグ・セーブも多かった。
ボアテン(3.5) 手堅いプレーでサイドを封殺。対人の強さを発揮した。
フメルス(3) 得点は素晴らしかったが守備での貢献が大きかった。要になった。
メルテザッカー(3.5) フメルスのカバー中心。このキャリアでまだ20代とは。
ヘヴェデス(3.5) 正直印象に残らず。無難な出来。
ラーム(3.5) 中盤の底で守備の中心、攻撃の起点に。この適応性はすごい。
クロース(3) 再三チャンスを演出。攻撃のスイッチを入れられる男。
エツィル(3) 自在にポジションを捨てて顔を出す。ダテに羽生に似てない。
ケディラ(3.5) 上がり目だったように見えた。序盤のシュート決めたかった。
ゲッツェ(3.5) 後半のチャンスは逡巡せずワンタッチで打ちたかった。
ミュラー(2.5) 流れからのファイン・シュートはなかったがこれが決定力か。
===
シュールレ(3) 配球にアピールあり。戦術眼の高さを示した。
ムスタフィ(-) 時間短し。ごめんあんまり見てなかった。
ポドルスキ(-) 時間短し。連係できなかった印象。
PK、CK、押し込み、押し込みと、決して格好のいい得点ではないが、敵の退場に乗じて最も効果的に試合を進めようとするドイツに学ぶべき点は多い。結果をきちんと持ち帰ったのがすごいわ。今日は早く寝よう。
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ドイツ代表
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2014ワールドカップ
2014年06月15日 17:29
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【ワールドカップGL第1節】コートジボワール×日本
■2014年6月15日(日) 10:00キックオフ(日本時間)
■レシフェ
日本の初戦はコートジボワールと。日曜日の朝10時と見やすい時間のキックオフとなり、直前のイングランド×イタリアを見たあと、朝ごはんを食べながら開始を待った。
日本は森重が今野を押しのけるた形でCBとして先発、吉田とコンビを組んだ他、遠藤をベンチに置いて山口が先発し長谷部とダブル・ブランチを形成した。また、ワントップには大迫が入った。
川島
内田 森重 吉田 長友
長谷部 山口
岡崎 本田 香川
大迫
おそらくは実力の伯仲したグループで、どこが勝ち抜けてもおかしくない一方で3連敗も十分あり得る。初戦の結果が極めて重要であり、そのためには先制点がどちらに入るかが決定的に大きな意味を持つ。早い時間帯に先制し主導権を握りたい。
互いに失点は避けたいという意識が働いたか、試合はともに固めの立ち上がり。日本はボールを保持しながら全体を押し上げ、前線が流動しながら敵DFをかいくぐろうとするが、細かいパスミスが多くフィニッシュまで行けずにボールを失ってしまう。試合が落ち着くとともにコートジボワールにボールを持たれるようになり、自陣で敵の攻撃を受ける展開になってしまう。
だが、16分、左サイド深い位置での長友のスローインを香川が長友に戻すと、長友が切れ込んでエリア左隅の本田にパス。これを受けた本田は右足でワントラップし足許に置いたボールをそのまま左足でシュート。これがニアを抜いてゴールに突き刺さり日本が先制する。
その後しばらくは日本が勢いを得てボールを動かし、21分にも内田、本田がシュートを放つが、この流れをしっかりつかむことができず、次第にコートジボワールに主導権を奪われて行く。特に内田のシュートは切れ込んでしっかり枠に飛ばしたがGK正面。ここでたたみこめていればと思うシーンだった。
日本は自陣では4-4-2の3ラインの陣形を保ち、またサイドが上がるときは山口が最終ラインに落ちるなど機動的にコートジボワールの攻撃に対応するが、23分に吉田が警告を受け、前半だけで11本、特に前半が半分過ぎた24分以降に9本のシュートを浴びるなどほぼ一方的に押し込まれる。
敵のシュート精度の低さに助けられ失点は免れるものの、先制すれば流れを呼び込めると踏んだ僕の予想もむなしく、バタバタと守備に追われる時間が続き、蒸し暑い気候、断続的に強く降る雨という悪条件もあって体力を削られる試合に。
結局前半は何とか1-0とリードを保って折り返したが、まったく楽観できない試合展開に。守備は集中して対応できているが、特に攻撃時に長友の位置が高すぎて香川や山口が出張ってサイドを埋めているのが気になる。
後半立ち上がりは日本も積極的に攻撃を仕掛けるが得点に至らず。54分、長谷部に代えて遠藤を投入。ケガ上がりでコンディションの不安のある長谷部はもともと時間限定のプランか。ベンチで流れを見ての遠藤投入は修正として理解できる交替だが、日本はその後もつなぎにミスが多く守備の時間が長い。しのぐ展開は変わらず。
62分、敵の精神的支柱であるドログバが途中交代でイン。コートジボワールもここまでは押し込みながら先制を許しなかなか追いつけないもどかしい展開だったと思うが、この交代で明らかに空気が変わる。
64分、日本の左サイドから斜めに入れられたクロスに敵FWが飛び込み、ゴール正面で頭で合わされて失点。1-1の同点になる。森重が並走したが前に入られて十分身体を当てることができなかった。森重は直前にドログバへのチャレンジで警告を受けており、これが微妙に影響したかもしれない。クロスはフリーで上げられており、左サイドの裏を使われた。
がっくりする間もなく直後の66分、再び日本の左サイドから斜めにクロスを入れられる。今度はニアに飛びこまれ、川島が反応してボールには触れたもののそのままゴールに入り立て続けに失点。1-2とあっという間に逆転を許してしまう。これはクロスもシュートもフリーでプレッシャーがかからなかった。失点直後で集中を欠いたか、あるいは勢いに飲まれたか。
国家的英雄を投入して勝負に出た相手に対して、足の止まり始めた日本はあっさりと逆転を許してしまう。特に同点に追いつかれたところで踏ん張れなかったのが悔やまれる。
日本は直後の67分、大迫に代えて大久保を前線に投入するが、攻撃は散発で流動性も工夫も欠き、シュートまで持って行くこともできない。前線で香川と岡崎の左右を入れ替えては戻すなど戦術も混乱した。
86分、香川を下げて柿谷を投入、長身の吉田を前線に上げてパワープレーを試みたが競りきれず、コートジボワールの小狡い時間稼ぎもあって結局1-2で試合終了。先制しながら力負けというべき逆転負けで大事な初戦を落とした。
序盤に本田のファイン・ゴールはあったものの、前線の連係が悪く攻撃はほぼ機能しなかった。コートジボワールのプレスがそれほどきつかったようには見えなかったが、選手相互の意図が空回りし、ミスも多くボールがつながらなかった。ザッケローニ監督は試合後のインタビューで「距離感が悪かった」と総括したがまさにそんな感じだった。
ドログバはアシストにもシュートにも絡んでいないが、彼が入ることで空気が変わり、流れを一気に持って行かれた。ふと我に帰った時には逆転されていたという印象だ。味方を鼓舞し敵をを威圧する存在感は圧倒的なものだった。
主将の長谷部は「自分たちのサッカーを表現できなかった」「切り替えて次に行くしかない」とコメントしていたが、なぜ表現できなかったのかの検証とその原因の修正は必須。長谷部が言うのはメンタル的にこの敗戦のダメージを引きずらないということだと思うが、戦術的にはむしろしっかりとした振り返りが必要。
具体的には、コレクティブであることが生命線のフットボールで、なぜ攻撃時に味方が離れ離れになり、連係が無残なまでにバラバラに崩れてしまったのか、どのスペースを使われなぜ敵のキーマンが二度までもフリーでクリティカルなクロスを放りこむことができたのかを精査する必要がある。
結局のところ、コートジボワールは強かった。日本もしっかり戦い勝機はあったが、自分たちが格下でチャレンジャーであるという意識がどこか希薄だったのではないか。結果として1-2の敗戦は内容的に妥当な結果という他ない。ひとつ気を抜けば殺られるギリギリの戦いであるということは分かっていたはずなのに、ふわっと失点してしまったこと、特に2点目の失点は真摯に顧みるべきだ。
これで日本は残りの2試合、ギリシャとコロンビアに連勝しなければならなくなったと考えた方がいい。ギリシャはコロンビアとの試合では今ひとつの出来だったが、「ギリシャには勝てる」と考えるのなら惨敗は必至。このレベルの大会ではちょっとした違いからどんなことでも起こり得るし、それはいい方にも悪い方にも言えること。最後の紙一重を自分たちのものにするにはそれだけの積み上げと詰めの厳しさが必要だ。
評点(評点は
ドイツ式
):
川島(4.5) 2失点目は反応してボールに触れていただけに悔やまれる。
内田(4) 攻撃参加のタイミング、ワンプレーの質はさすがに高かった。
森重(4.5) 悪くはなかったがドログバへのファウルで後手に回った。
吉田(4.5) 局面では集中していたが中央での2失点は言い訳できない。
長友(4.5) 個の強さは見せたが裏を使われた。高い位置取りは指示か。
長谷部(4.5) スペースを埋め走り回ったが攻撃では機能しなかった。
山口(4) 要所でピンチの芽を摘んだ。先発フル出場は妥当だった。
岡崎(4.5) 彼自身は頑張っていたが周囲との連係を欠き効果半減以下。
本田(4.5) ゴールは素晴らしかったがそれ以外はほぼ印象に残らず。
香川(5) 精彩を欠く出来。顔つきがいつもに増して悲愴。切り替えを。
大迫(5) ポストに身体を張ったがシュートなし。苦しい戦いになった。
===
遠藤(4.5) パス出しにさすがの感はあったが流れは変えられず。
大久保(5) 投入は理解できるがどん詰まった流れの中で動き取れず。
柿谷(-) 時間短し。つかそもそもパワープレー要員ではない。
次はドイツ戦を楽しみに待ちたい。
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日本代表
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2014ワールドカップ
2014年06月14日 21:42
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【2014ワールドカップ】あれは誤審ではない
ワールドカップが始まった。開幕試合のブラジル×クロアチア(3-1)は日本時間13日金曜日の早朝5時キックオフということで、前日早く寝ていつもより1時間早く起き、出勤の身支度をしながら後半残り10分くらいまで見た。
現地時間では木曜日の夕方5時キックオフということで、なんでそんな時間にするのかと思ったが、要はブラジルでは平日でも夕方でも昼間でも、フットボールがあればその時間が勝手に祝日状態になるのでいつやっても同じということなのかもしれない。
これを読んでる人なら試合は見たと思うので内容についてはいちいち書かないが、クロアチアとしてはスコアレスで終盤に持ち込みたかったのに、思いの外早くオウンゴールで先制してしまい、後をしのぐことが逆に難しくなったという試合だったのではないかと思った。
この試合では、西村雄一が主審を務めた。開幕試合の主審を任されるということは、この大会のジャッジの基準を示すことを期待されているということであり、名誉なことである一方で責任もまた重大である。特に開催国のファースト・ゲームでもあり、異様な雰囲気の中で行われる試合を冷静にリードするには相当の力量が必要とされるのは想像に難くない。
果たして、69分にそのシーンはやってきた。クロアチアのペナルティ・エリア内でドリブルするブラジルのFWフレッジに対して、クロアチアのDFロヴレンがチャレンジ、フレッジがエリア内で倒れてしまう。このプレーに対し西村主審は即座に笛を吹きペナルティ・スポットを指さすとともに、ロヴレンに対して警告。ブラジルはこのPKを決めて2-1と逆転に成功した。
ロヴレンのチャレンジはそれほどハードなものにも見えなかったが、スローで見るとロヴレンの手がフレッジの肩にかかっているのがはっきり分かる。また、それ以前にもロヴレンが腕を絡めるようにしてフレッジを抑えようとしているのも分かる。
とはいえ、これがプレーに影響するほどのチャレンジだったかは微妙で、フレッジはプレーを継続することもできたのに、ロヴレンの手がかかったことを逆手に取り、大げさに倒れて見せてファウルを「もらいに行った」ようにも見える。
ロヴレンがエリア内で不正に手を使いフレッジを抑えに行ったこと自体は明白で、ファウルである。したがって、ロヴレンに警告しブラジルにPKを与えた西村主審の判断は間違いではない。少なくとも「誤審」とか「疑惑」とか言われるような判定でないことは明らかだ。
一方で、フレッジの倒れこみが「プレーに影響しない程度の軽微な手の使用があったのをいいことに、プレーを継続できたにも関わらず大げさに倒れこんだ」と判断するなら、そのままプレーを継続するか、プレーを止めてフレッジにシミュレーション(反スポーツ的行為)の警告を与える選択肢もあったかもしれない。
この辺はプレーの評価に関する部分であり審判のいわば裁量の問題だ。結論を言えば西村主審の判断はクロアチアにとっていささか厳しいものであった感は免れないが、おそらくは、エリア内での不正な手の使用には厳しく対応するという基本的な認識があり、プレーへの影響はともかく、エリア内で手を使って敵FWにチャレンジした行為自体を重視したのだとすれば判断としては十分理解できる。
いずれにしてもこのPKは判定の正誤の問題ではなく(明らかに正しい)、判断の適否の問題である。適否の議論はあってよいが、最終的には審判の裁量の範囲内の問題だろう。
クロアチアの監督はこの判定を痛烈に批判しているが、立場上は当然のことだし、選手を守るためにも彼としてはそう言わざるを得ないだろう。気にする必要はない。
というかニコ・コバチがクロアチアの代表監督になっているとは知らなかった。画面をよく見ると弟のロベルト・コバチもコーチになっているようだ。どちらもかつてブンデスリーガでよく見た顔で、勝手に懐かしい人を見かけた気になった。
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金曜日の夜は10時ごろに一度寝て夜中の1時に起き、メキシコ×カメルーン(1-0)を見た。
メキシコは強い。というか面白い、いいフットボールをする。クロアチアとメキシコがグループリーグ勝ち抜けの2つ目の椅子を争うのだろうがどちらが来るかは微妙な感じ。僕はメキシコ推しだが。
あと、フォルカー・フィンケがカメルーンの監督をやっているのも驚いた。アナウンサーからは「あの浦和のフィンケ」という説明がなかったように思う。僕としてはフィンケは「浦和のフィンケ」というより「フライブルクのフィンケ」だが、いずれにしてもこんなところで見かけるとは思わなかった。これも懐かしい人に会った気がした。
===
夜中の試合はスキップして7時に起き、チリ×オーストラリア(3-1)を見た。
チリも強い。ここも面白いフットボールをする。見ていて楽しい。ここのグループはオランダがやらかして代わりにチリが来ると読んでいる。
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で、そのスペイン×オランダ(1-5)を夜6時からのBSの録画中継で見た。先に結果を知っていたが楽しめた。
この試合、オランダはアウェイ扱いのためセカンドの青ジャージ。おそらくはホーム扱いのスペインがファーストの赤ジャージを選ぶと考えて用意したのだろうが、スペインはサードの白ジャージで登場。これならオランダはオレンジでよかった。スペインが何を考えてわざわざ白のサードにしたのかはよく分からない。
試合としてはスペインが頑なにパスをつなごうとするところを、オランダが組織的な守備でなりふり構わずつぶし、思い通りにさせなかったということだろう。オランダはそうやって後ろに重心をかけて守っても、奪ったボールを前線に展開すれば勝手に何とかしてくれるワールド・クラスの人材が何人もいるのが強みなんだな。
オランダがやらかすとばかり思っていたのにスペインがやらかすとは。つか、スペインはゲーム・プランが崩れて追いかける展開になったときの手がないように見えた。
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今夜は夜中1時のコロンビア×ギリシャを頑張って見て、いったん寝てから明日朝7時のイングランド×イタリアを見たあと、そのまま10時からのコートジボワール×日本を見るつもり。
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2014ワールドカップ
2014年06月01日 21:42
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【ナビスコカップ第7節】FC東京×鳥栖
■2014年6月1日(日) 15:00キックオフ
■味の素スタジアム
天気のいい日曜日。というか暑い。湿気がそれほどないので不快ではないが日差しがきつく気温も30度を超えている。新宿で買い物を済ませてから味スタに向かった。スタジアム到着は2時半頃だったがナビスコカップということもあってか入りは悪く余裕で好きなところに座れた。
東京は清水、大阪に連敗してグループ・リーグ突破が難しい状況。可能性は理論的には存在するが、いずれにしてもこの試合に勝って、あとは何が起こるか見てみるしかない。天命を待つにはまず人事を尽くす必要がある訳で、勝たないことには何も始まらない。勝てば可能性はある。
水曜日に行われた第6節は試合がなかったので、中三日の鳥栖に比べれば我々の方がコンディションはいいはずだが、フィッカデンティ監督はメンバーを代えてきた。DFラインにはカクが公式戦初先発。インサイド・ハーフには米本、羽生をベンチ・スタートに回し三田と東が先発。また、前線では武藤に代わって平山が先発、エドゥと2トップを組んだ。
塩田
徳永 吉本 カク 太田
東 高橋 三田
河野
平山 エドゥ
気温のせいもあってか、東京は序盤もそれほどはっきりハイ・プレスを敢行する訳でもなく、淡々とした滑り出しになる。開始直後には平山が右サイドに開きクロスを入れるが敵DFにクリアされるなどチャンスも作ったものの、次第に鳥栖にセカンドを拾われてボールを支配されるようになり、自陣に押し込められる時間が長くなる。平山がクロス入れてどうすんのという感じだった。
チャレンジからボールを奪ってもそれが足につかず、完全にマイボールにしきれず取り返されたり、パス出しを焦って引っかけられるなど組み立てがほとんどできない。サイドの裏を狙われるなど意図のはっきりした速攻で押し込まれ主導権を鳥栖に握られたまましのぐ苦しい展開が続く。
暑い中、何とか踏ん張っていたが44分、ゴール前で波状攻撃を受ける。至近距離から立て続けに2本のシュートを浴び、塩田のセーブ、DFのブロックでゴールを防いだが、こぼれ球に詰められる。ボールは太田が線上でクリアしたかに見えたがゴール・ラインを割ったとの判定で得点が認められ、0-1とよくない時間帯に先制を許してしまう。
まあ、あれだけ至近距離でシュートをボコボコ打たれたらいずれ入ってもおかしくないのは確か。クリアしきれなかった時点で覚悟すべき失点だったか。
アディショナル・タイムには東からの長いパスを受けたエドゥが敵DFの裏に抜け出し右寄りで敵GKと一対一になる。ここから左足でシュートを放ったが敵GKにセーブされゴールならず。1点のビハインドを背負ったまま前半を終える。
後半は頭から積極的にプレスを敢行したが、鳥栖の球際での粘りが厳しく、やはり奪いきれず、収めきれない。50分、平山に代えて武藤を投入。平山のところでボールが止まる傾向があったのでボールを動かせる武藤の起用は悪くない交代だが、それなら後半から出せばよかったのではと…。
さらに57分、三田に代えて米本を投入。米本、高橋のダブル・ボランチになったようだが前線の配置が分からない。武藤を左に、東を右に置き、エドゥと河野の2トップにした4-4-2にも見えたがどうもエドゥが1トップの4-2-3-1だったらしい。
だがその直後、敵FWに中央を抜け出され、裏にこぼれたボールを押し込まれて0-2に。CBの対応が十分でなかったか。この時点でグループ・リーグ突破は現実的にかなり難しくなった。
東京は67分、カクに代えて松田を投入。徳永がCBにスライドする。カクはケガか。
勝ちに行くしかない東京は73分、米本のパスを受けた武藤がシュートを放つが枠外。直後の74分には河野が左サイドからドリブルで切れ込み、武藤にマイナスのラスト・パスを送るが足許に入りすぎたか打ちきれずGKにキャッチされる。
その後も東京は終盤にかけて攻撃を仕掛けるがシュートが敵GKの好セーブもあってゴールに至らず、結局0-2のまま試合終了。グループ・リーグ3連敗となり、7クラブ中6位の成績で今年のナビスコカップを終えた。これでJリーグはワールド・カップ前の日程を終了、中断期間に入る。
この試合、結局のところしっかり主導権を奪えず、得点もできないことから、積極的な守備というよりは押し込まれて防戦一方に回り、クリティカルな時間帯に先制点を許した挙句、後半の早い時間帯にも追加点を与えてそのまま自滅したというべき。
重症なのは攻撃の形がまったくできていないことで、昨季まで必死になって積み上げた連動とか連係とか自動性みたいなものが見る影もなく崩壊している。ここに出せばあいつが必ず走りこんで受けてくれるという連係、何も言わなくてもボールと受け手がスペースで出会うような自動性がなく、ボールを持ったところで「さて、どこが空いてっかな」「だれかいるかな」的に出しどころを探すのでは効果的な攻撃はできない。
そもそも攻撃の端緒も、意図のある縦のクサビや裏への精度の高いフィードなどより、チャレンジしたらたまたまボールが敵の裏にこぼれてくれたみたいな偶発的なケースがほとんどで、偶然任せ、幸運任せ。ラッキー・ボールを拾った選手の個人的な判断、アイデア、仕掛けがうまく行った時にはチャンスになるが、そこに連係がないので攻撃のパターンは乏しく、敵も余裕を持って守れる。シュートがGKの正面に入るのは偶然ではない。
結局のところ、どうやって得点するかというチームとしての意思統一がなされておらず、頼みのカウンターも敵にケアされるとそこまで切れ味がいい訳でもなく、並走する選手も限られていて迫力はさほどない。攻め手がなく、かなり偶然や幸運が重ならなければ得点できないフットボールに見える。
東京はここ2年、能力の高い選手が揃い、年齢構成もバランスが取れたレベルの高いチーム作りができている。そのチームを一人の監督に預けて、成績こそ思惑通りではなかったものの、チームとしての連動性、自動性ではかなり熟成した状況にあった。優勝を狙うなら今だという判断から、最後のピース、総仕上げとして勝者のメンタリティを注入できる監督を招き、敢えてポポヴィッチ監督を更迭したという説明がシーズン前にあったと思う。
それはつまり、今のチームが獲得した自動性、連動性の上に、厳しく規律ある守備によって守りきる強さをアドオンし、それによって今季の優勝を狙うということだと僕は理解していた。しかし、今、僕たちが目にしているのは、昨季までの自動性、連動性を一度すべてご破算にして、一から作り直す「今までとは別のフットボール」である。
今やろうとしていることは、今季の優勝を狙いに行く総仕上げというよりは、本来数年かけて構築するべき遠大なパラダイム・シフト、枠組みの一大転換である。そんなものが数カ月でうまく行く訳がないのではないか。そういう説明ではなかったはずだし、いきなりそんな急激な方向変換を行うのなら、昨季まで熟成させた自動性、連動性は何だったのか。我々の思い描いていたものと、監督の目指すものとが整合していないのではないのか。
本当にフロントは自分たちのイメージするものに見合った監督をリクルートしたのか。むしろ人材先行、フィッカデンティ監督ありきだったのではないのか。
単に負けが込んだという以上に、戦い方が自分たち自身の間尺に合わず、型を見失ってどんどん負け方も雑になっているように思える。いくつかの試合ではできていたことさえもできなくなり、雑なフットボールで雑に負けている。攻撃面でのアイデア、連動性、方法論がプアで選手が途方に暮れている。これはマネジメントの責任だ。
幸いというか何というか、次の試合まで約1ヵ月半の中断期間がある。この期間に、我々がどんなやり方で得点を奪い、勝利するのか、はっきりとした問題意識に基づいた対策を打つしかない。この期間をどう使うかで運命が決まる。
評点(評点は
ドイツ式
):
塩田(4.5) 何度かいいセーブもあったものの3試合で8失点は言い訳できない。
徳永(5) 再三裏に仕掛けられ対応に追われた。むしろCBで安定感を見せた。
吉本(5) 失点までは集中していたが対応しきれず。森重とセットでこそ輝く。
カク(5) 対人の強さは見せたが危なっかしいプレーもあり。途中交代は心配。
太田(5) こういう試合では太田のFKが貴重だが機会なし。
高橋(4.5) しっかりボールを受けて起点になったが軽いパスミスも多い。
東(4) スペースを埋めに奔走。彼がいなければもっとひどいことになっていた。
三田(5) ボールにもアプローチできていたがポジショニングがやや微妙。
河野(5) 最後までモラル高く走り続けたが周囲との連動性にまだまだ難が。
エドゥ(4.5) 敵を背負いながらのポストで力見せる。シュートは正面に。
平山(5) 身体は張っているが連動を止める要因になっている。交替は妥当。
===
武藤(4) 再三の好機にも迷いが。周囲との信頼を得てシュート打ちたい。
米本(4.5) 中盤でのつぶしに存在感を発揮。今日は攻撃参加も無難に。
松田(-) 時間短し。ポジショニングはっきりせず。
きょうはおでんくんが味スタにきていたが、肝心の森重がいないのではおでんくんも寂しかっただろう。コラボ・グッズがすごい人気で、行列の割りこみがあっただの一人で買い占める輩がいただの早速ヤフオクに出品されてるだのいろいろ問題もあったらしい。
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