フットボール・クレイジー
football crazy
silverboy club
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2014年07月27日 23:51
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【Jリーグ第17節】FC東京×仙台
■2014年7月27日(日) 18:30キックオフ
■味の素スタジアム
水曜日に試合があったため日曜日開催。リーグ戦の折り返しとなる第17節だ。日中は気温が35度を超える猛暑となったが、都内では3時ごろから4時半ごろにかけて夕立が降り、キックオフの頃にはやや気温も下がったようだ。新宿で買い物をして飛田給に向かった。
東京は鹿島戦、新潟戦を1勝1分、リーグ戦は4試合負けなしと悪くない流れで、しっかり勝ち点を積み上げたい試合。エドゥが警告累積で出場停止のためトップには平山が先発。また連戦を考慮してか三田に代え、このところクローザ―として存在感を発揮している羽生が先発。
権田
徳永 吉本 森重 太田
羽生 高橋 米本
河野
平山 武藤
序盤は交互に攻撃を仕掛ける拮抗した立ち上がり。中盤でのボール奪取から素早く前線に展開する東京に対して仙台はややポゼッション重視かつなぎを意識しているように見える。東京は3分、武藤が左サイドから切りこんで放ったのがファースト・シュートとなるがこれはGK正面に。
18分、米本からのパスを受けた太田が左サイドからアーリー・クロスを送ると、中央で平山が高い打点がヘディング。これが決まり東京が1-0と先制。絵に描いたようなピン・ポイントのシュートで東京がリードを奪う。
1点を得たことで東京には余裕が生まれ、仙台にボールを持たれてもしっかりとしたチャレンジからこぼれ球を拾って攻撃につなげるという意図のある守備ができている。河野がよくボールに触る一方、中盤では羽生がクリティカルなスペースに必ず顔を出すハード・ワークで敵に自由に組み立てさせず、決定的なピンチは見られない。
33分、河野が縦に入れたボールを平山が敵のチャージを受け体勢を崩しながらもポスト、左のスペースにボールを落とすと、敵DFとの駆けっこに一歩勝った河野がシュート。これがDFの足をかすめてゴールに。落としに駆けこんだ河野の粘りが呼びこんだゴールで東京が2-0と貴重な追加点を得る。
38分には細かくパスをつなぎながら攻め上がり、最後に左サイドで太田がボールを受けるがシュートは打ちきれず。得点には至らなかったが、羽生が絡むことで攻撃にアイデアとつながりが出た印象的なシーンだった。
43分、右CKを河野が蹴ると、中央で敵DFにクリアされるが、ボールはペナルティ・エリア左角にいた高橋の足許へ。これをフリーで拾った高橋はしっかり狙いを定めコントロールされたシュートをゴール右上に。置きに行ったシュートだったがきっちり決まり東京が前半終了間際に3-0とリードを広げる。このまま前半終了。
前半のシュート数は6本と必ずしもチャンスは多くなかったが、しっかりと決めきって効果的に加点、いい形で前半を終えた。守備からリズムを作り、決めるべき時に決めることで攻守が噛み合い、いい循環を生んでいる。
後半立ち上がり48分には右サイドを上がった河野が追い越した羽生にパスを出し、羽生が角度のないところから浮き球のラストパスを送るがこれはそのままファーポストに嫌われてこぼれる。これも得点には至らなかったが羽生の動きの質の高さを見せつけたシーン。
仙台は後半からトップを交替、ボールを支配して東京陣内でゲームを進める。東京は仙台の攻撃を受ける形になるが、仙台のシュートは遠目からのものが多く、クリティカルなものはことごとく枠を外れてくれたこともあり、またセーフティ・リードもあって肝を冷やすシーンはそれほどない。
60分、東京ゴール前で混戦になり、立て続けに至近距離からシュートを浴びるがDFが身体を張ってこれを防ぐ。最後は角度のないところからシュートを放たれたものの権田がセーブ、ここを守りきったことは大きかった。
62分、河野代えて東を投入。東が左、羽生が右のSHに入り4-4-2に。しっかり3ラインを整えて反撃を許さない構え。
72分、米本がカウンターで持ち上がり独走、前を走る平山にパスをつなぐが敵のファウルに倒れる。アドバンテージを取って欲しいところだったがホイッスルでFKに。スタンドからは「流せ」のコール。FKは太田が蹴るが惜しくもバーをヒットしゴールならず。
その後も仙台の攻撃をしのいではカウンター気味に攻撃を仕掛けるパターンが繰り返されるが、守備は集中できており時間が進むとともに仙台の攻撃も単調に。時間を味方にするとはこういうことかと思った。
86分、武藤に代えて三田を投入。三田はそのままトップに入ったように見えた。
東京はその後もゴールを守り、アディショナル・タイムには羽生に代えて渡邉を投入、3-0と仙台に快勝を収め、2連勝を飾った。
本当であれば後半に1点でいいから追加点が欲しいところだったが、後半は仙台にボールを持たれながらも攻守できちんと時間を使いながら勝ちきることができたのでよしとすべきだろう。
前半にしっかりと得点を重ねることができたのがすべてだったが、エドゥがいなくても攻撃が機能したのは羽生が意図のあるボール・コントロールで攻撃に連係をもたらしたからだと言っていい。これまでは偶発的、散発的な前線任せの得点が多かったが、今日は中盤と前線の間でしっかりスペースをマネージし、攻撃の緩急をコントロールする羽生がいたことで攻撃に有機的な連動性が生まれていた。
堅守はともかく、こと攻撃に関してはエドゥのポスト頼みの単調なものに偏りがちな今季の東京にあって、この連動性は見失っていた最後のピースとして有効なもの。それを一人で体現した羽生の存在は、J2でスタート・ダッシュに失敗していた2011年シーズンに「つなぎ倒そう」とチームを導いたときを思い出させる。
守備ではクリティカルなスペースを消すべく全力で走り、攻撃では「ここで一人受けて欲しい」というスペースに全力で走る。「考えながら走れ」というイビツァ・オシムの教えを身をもって示す羽生の動きはインテリジェント・フットボール、クオリティ・フットボールと名づけるにふさわしいものであり、現代フットボールのひとつのお手本となるもの。
今日の試合は今季の戦い方にひとつの方向を指し示すものであったとともに、そこで羽生が果たした役割は東にしっかり学びとって欲しい。戦術眼、アイデア、一瞬の空間認識という意味で東は羽生に優るとも劣らない能力を持っており、だからこそ羽生が今日の試合でチームに提供したものが何だったのかを真摯に考えて欲しい。
羽生がいいプレーをしたら泣く会の会長としては号泣モノの試合だった。今日まで東京サポを続けてきてよかった。
これで東京はリーグ戦ここ5試合を3勝2分、勝ち点を25に伸ばし、1試合あたりの勝ち点を1.47として順位も7位まで上げた。昨季までのコンビネーション・フットボールを完成させて優勝を狙うはずだったシーズン当初の目論見からすれば、シーズンの折り返しでこの位置は決して満足できるものではないし、3位との勝ち点差は8と小さくないが、最後に何とかつじつまを合わせ、4位との勝ち点差は2と一応の面目は保ったというべきか。
シーズンは続いて行くのでここで立ち止まる訳には行かないが、まだまだ目先の順位よりもしっかり勝ち点を積み上げて行くことが重要な局面で、しっかり戦えば上位への足がかりはつかめる。混戦の中では連敗しないことが必要条件。8月には鳥栖、浦和、鹿島、さらに9月には神戸、川崎と上位との5連戦が控えており正念場になる。
評点(評点は
ドイツ式
):
権田(3) 安定したセービング、キャッチングで完封。安定感高まっている。
徳永(3.5) 終盤には面白いオーバーラップもあったが主にバランスを取った。
吉本(3.5) 今日もしっかり身体を張った。森重とのコンビで力を発揮する。
森重(3) 3得点を無失点で守りきる。前線との相互の信頼を築いている。
太田(3.5) シュートは決めたかった。1点目のアシストは見事。FK惜しかった。
羽生(2.5) 今日は羽生のゲーム。プロとしての矜持を示す渾身の走りだった。
高橋(3) ゴールはよくコントロールした。ポジショニングにセンスが光る。
米本(3) 攻撃の勘どころが分かってきつつある。頼もしくなってきた。
河野(2.5) 得点は河野の貪欲さが生んだもの。羽生とのコンビもよかった。
平山(3) 仕事をした。ボールへのアグレッシヴなチャレンジでチャンスを生んだ。
武藤(3.5) しっかりボールを追って仕掛けたが得点なし。トライを続けたい。
===
東(3.5) 東と羽生が両翼を務める姿には胸が熱くなった。
三田(-) 時間短し。
渡邉(-) 時間短し。
ちょうど家を出るくらいの時間に夕立が来たせいか動員が今ひとつ。試合中は晴れていたが天気に負けた…。
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FC東京
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J1リーグ戦
2014年07月25日 21:56
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【ワールドカップ総括(3)】日本代表―危機感を対象化せよ
日本はグループ・リーグで2敗1分けと勝利がなく勝ち点1、得点も2点にとどまって最下位で敗退した。本田、香川、長友ら欧州で実績を積んだ選手を揃え、優勝はともかくグループ・リーグは突破できてもまったくおかしくない戦力だったはずの我々は、なぜかくも無残に敗退したのか。
振り返ってみれば、初戦となったコートジボワール戦では16分、本田のゴールで先制。しかしその後はコートジボワールからほぼ一方的に押し込まれ、よくしのいではいたものの後半途中で敵の精神的支柱とも言えるドログバを投入されると目に見えて流れが変わり、3分で2点を奪われて逆転を許してそのまま敗戦。
ギリシャ戦は堅守のギリシャに対して日本がボールを支配、終始押し込みながらも1点が奪えずスコアレス・ドロー。
最終戦となったコロンビア戦は、立ち上がりは悪くなかったもののPKで先制点を献上。その後もよく踏ん張り前半終了間際に本田のクロスに岡崎が飛び込んで頭で合わせ同点にしたものの、後半から2枚のカードを切ってきたコロンビアに早い時間帯に勝ち越しを許し、前がかりになった裏をカウンターで突かれさらに失点、終了間際には再びカウンターでダメを押されて1-4の完敗となった。
思うのは、これらの3国と仮に10試合ずつやれば、コートジボワールには4回くらいは勝てるだろうしギリシャには5回くらい勝てるはずで、コロンビアにも3回くらいは勝てるんじゃないかということだ。それがなぜ、ワールドカップの本番ではこれらの国にひとつも勝てないのか。決して楽な戦いではなかったが、歴然とした力の差があるというよりは勝負に負けた感が強い。
日本は「自分たちのフットボールを貫く」という合言葉の下、しっかりしたポゼッションからコンビネーションで崩すオーソドックスで近代的なフットボールを志向したし、そのやり方自体はまったくおかしくなかった。しかし、実際にゲームでそれが思い通りにできたかどうかは疑問だった。
4年に一度の大舞台なので、どこの国も必死で戦うのは当然。「自分たちのフットボールを貫く」というスローガン自体はいいにしても、その通りにことが運ばなかったときにどう対応するのかというコンティンジェンシー・プランがあったのだろうか。あるいは、プランはなくても選手自身がゲームの中で臨機応変に打開を試みる対応力はあったのだろうか。
負けている試合で終盤に吉田を前線に上げたパワー・プレーを試みていたが、なりふり構わず得点を取りに行かねばならないという非常事態になった時に、我々はどうすればよいかというイメージをしっかり持っていたのだろうか。「自分たちのフットボールを貫く」というスローガンに殉じる覚悟だったのだとするならそれはあまりにもナイーヴだったという他ない。
ギリシャ戦のレビューで僕はこう書いた。
「危機感がストレートに表現されず、『オレがしっかりしてないからあかんのや』的な、自責的な形で内向してしまっている」「ベスト・パフォーマンスを出すことよりも、我慢したり苦しんだりすることで何かが解決するような自己処罰的な錯覚に陥ってしまう」「現状に合わなくなったプランに固執して失敗を繰り返してしまう」「試合が終る前から免責のための言い訳を探している」
その責任はもちろん選手にも監督にもある。しかし最大の原因はフットボールが我々の生活に根づいていないことだ。こんなときにどうするというイメージが国民の間に共有できていないし、そういうときに思い出す共通の経験も記憶もない。フットボールが身近になく、ワールドカップのときにお祭り的に盛り上がるだけでは、そのような文化としてのフットボールは我々の実感に定着しない。
いい選手を揃え、しっかりした戦術を身につけて、実力を出しきれば世界と互角に戦えるという考え方は夢想的に過ぎた。それは僕たちがフットボールの世界ではどんなことが起こり得るか、そんなときにどんな手を打ち得るかをまだまだ理解していなかったということだ。僕たちは想像力の欠如に負けた。想像力が足りないために現実の複雑さ、深遠さに負けたのだ。
しかし、悲観することはない。もともとスピードと正確さを身上とする我々のフットボールはモダンなもの。そのベースがしっかり構築できれば、その上にカウンターなどの「破調」を付け加えることは難しい注文ではないし、そうやって戦術を複線化することで非常事態に対応する力は確実に向上する。そしてそれは危機感を対象化しそれに冷静に対処する力の大きな源になる。次期監督にはハビエル・アギーレに決まったが、スタイルとしての親和性はあるのではないか。
ザッケローニ監督の構築した我々のフットボールは決して間違っていない。しかし日本代表は最後の最後で「できることを全部やりきればダメでも仕方ない」とでもいったような「頑張り主義」的な考えに堕してしまい、勝つための手段だったはずの「自分たちのフットボール」がドグマになってしまったように思う。
ドイツ代表が示した、ハイプレスからの高速ショート・カウンターと、スピードを持ってやりきる少ないタッチ数での高速コンビネーションの併用という次世代ポゼッション・モデルに我々は案外近いところにいる。スターに頼るのではなく、コレクティヴで戦略的なフットボールを目指すのであればそこに道は開ける。
何しろ、僕たちは、ナイーヴなフットボールがどんなふうに瓦解するかを4年かけて学んだのだから。
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2014ワールドカップ
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日本代表
2014年07月24日 00:24
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【Jリーグ第16節】新潟×FC東京
■2014年7月23日(水) 19:00キックオフ
■デンカビッグスワンスタジアム
平日夜開催、新潟でのアウェイ戦。大阪出張から帰りの新幹線で、スカパー・オンデマンドをiPhoneで見ていたのだが、新幹線のWi-Fiが全然あてにならず待機の時間が長すぎ。Wi-Fi切って3Gにした方がよっぽどサクサク見れた。使えね〜。
東京は前節と同じ布陣。僕としては東を使って欲しいが、天皇杯以来それなりに機能しているチームでありこれはこれで安定感ある。
権田
徳永 吉本 森重 太田
三田 高橋 米本
河野
エドゥ 武藤
試合はぶつ切りのオンデマンド、しかもiPhoneの小さい画面でしか見ていないので、細かい試合内容は録画を見直してから追記するが、結果だけ確かめておくと、東京が17分に武藤の決めた1点を守り、後半はかなり押し込まれたものの固い守備でしのいで1-0で新潟を完封したという試合。
序盤、ハイプレスからリズムを作り、得点シーンは河野がピッチを横切って大きくボールを運び、左サイドから入れたクロスに、中央で武藤が敵DFと競りながら足を伸ばしてゴールに押し込んだ泥臭い得点。武藤に得点が生まれたことは嬉しいし、これで武藤自身も楽になる部分があるだろう。
終盤には交替で入った東がカウンターから敵陣を独走、GKとの一対一を冷静にかわしてゴールに流しこもうとしたところを戻ったDFにギリギリでカットされるというシーンがあり、GKをかわしたところに大きな成長を感じた。DFのカットはあそこまで戻ったDFの方をほめるべき。あれをもう一度逆に切り替えして左足で流しこんでいれば神だったが。
押し込まれたときにずるずる下がりすぎのようにも思えたし、せっかくマイボールにしても敵陣で試合を展開してゴールからボールを遠ざけるという考えがなく、受け手のいない適当なロング・ボールをポンポン蹴るだけだったのはかなりがっかりした。リスク・マネジメントをしつつ、前でしっかり勝負してとどめを刺すフットボールが見たかった。
スタッツを見ればシュート6-13、CK3-10、ポゼッション41-59とまったく劣勢だが、新潟の攻撃が精度とアイデアを欠いたことにも助けられ、序盤の先制から粘り強い守備で勝ちきるという意味ではしっかり試合をマネージできた。こうした試合でこうした勝ち方ができたこと自体は高く評価したいし、結果から流れを作るという点でも大きな1勝だった。
東京は勝ち点を22に伸ばし、順位を一つ上げて9位に。混戦なので順位の動きに過剰に一喜一憂する必要はないが、リーグ戦ではここ4試合負けなしで勝ち点8を上積みできているのは大きい。混戦の中では何より連勝をして連敗はしないことが大事で、負け試合を引き分けにすることも極めて重要。季節的にも厳しい時期になるが、ここでの踏ん張りがシーズンの出来上がりを決めると言っても過言ではない。
この週末はホームで仙台戦、次の週末も続けてホームで清水戦。ここで足がかりをしっかり確保したい。
====(7月26日追記)====
改めて録画を見た。東京は序盤から前線でしっかりとボールを追い、中盤ではパスの出所を抑えてボールを狩り、最終ラインでは身体を張るという守備が90分できており集中を切らさなかった。
シュートはそれなりに打たれたもののコースを切りに行き身体も投げ出せているため、ボールがヘンなはね方をしない限り権田にとってはイージー・ボールになるケースが多かった。また権田のしっかりしたキャッチングも光った。
攻撃はエドゥに預けて時間を作り、武藤、河野、三田らが前に出て行く形でチャンスを作った。アグレッシヴな守備からの素早い切り替えはひとつの形として機能しているが、やはりここでの精度がもうひとつ上がらないと苦しい戦いになる。
この試合ではいい時間帯に先制できたこと、新潟の攻撃が迫力を欠いたことで勝ちきることができたが、思うように先制点が奪えなかったときのセカンド・プランが終盤に平山を入れてのパワー・プレーだけではコンスタントな結果は見込めない。
最終ラインを押し上げ、素早いタッチでボールを回しながら敵の守備網をかいくぐるコンビネーションはやはり必要だが、そのためには米本、高橋、さらには太田、徳永がリスクを取って攻撃参加することが必要で、チーム・コンセプトとどう調和させるかが問題。ここを解決しない限り上位にはなかなか勝てない。
一方でこの試合では三田の成長が窺えた。ゴールを決めることで守備も含めた動きそのものに自信が出てきたように思う。以前の、奪われたボールを後ろから追いかけるだけの守備から、しっかりと意図を持ってボールホルダーにアプローチしたり流れを読んでパスをカットする動きが出てきたし、そこからのパス&ゴーもしっかり出来ていたと思う。
武藤、河野の動きもよかったし、交替で出た東は最後の流しこみに失敗したものの、ゲームの流れを読みながらのポジショニングやワンプレーのアイデアにはさすがに非凡なものを見せた。こうしたメンバーの中で激しいポジション争いがあり、試合で結果が出ることでそれぞれに自信がついてくればいい循環になる。
最終盤にクリア主体の守備になったのは残念だったが、ここにリンクマンとしての梶山が復帰すれば面白いリーグ戦後半になると思った。
評点(評点は
ドイツ式
):
権田(3) 正確なキャッチング、ポジショニングはなにげにレベル高かった。
徳永(3) 対人の強さで押し込まれた時間帯を冷静にしのいだ。さすが店長。
吉本(3) 東京の泥臭い守備を支える。吉本の活躍は本当に胸が熱くなる。
森重(3) 異次元の読みと的確な判断で完封。吉本との相性もいい。もはや貫録。
太田(3.5) 攻撃では目立った活躍がなかったが我慢して守備でリズム作った。
三田(3.5) 守備のレベルが上がりプレーに自信が出てきている。好循環続けたい。
高橋(3) 的確なポジショニングで中盤を封鎖した。パスを一段磨きたい。
米本(3.5) 最後まで愚直に走りきるダイナモは健在。攻撃の意識も高まってる。
河野(3.5) アシストはハンド臭かったがサボらない動きがチャンスを生んだ。
エドゥ(3.5) ポストは素晴らしい。アピール過剰で審判に目をつけられた。
武藤(2.5) 得点への執念が実った。自分でどんどん行っていい。自信つけたい。
===
渡邉(4) サイドに流れてしまうと次がない。真ん中で我慢したいが…。
東(3) 逸機は残念だったがさすがのポジショニングとアイデア。先発希望。
羽生(-) 時間短し。抜群の戦術眼でスペースを埋め試合をクローズ。
エドゥが警告を受けて次節出場停止。確かにアピールが大げさな部分はあったが、実際にかなり激しいチャージを受けており、露骨なアフターも取ってもらえず可哀そうだった。終盤のエリア内での接触もPKでおかしくないプレー。仙台戦の先発は平山だろうか。僕としては渡邉を先発で使いたいが…。
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FC東京
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J1リーグ戦
2014年07月21日 12:13
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【ワールドカップ総括(2)】ドイツ代表―戦術を支えた文化的受容
ドイツ代表はずっと強かったように思っている人が多いかもしれないがそんなことはない。2000年、ドイツ代表は未曽有のスキャンダルに揺れていた。
当時代表監督はエーリッヒ・リベックだったが、リベックは2000年の欧州選手権でグループ・リーグを1分2敗という惨憺たる成績で敗退、辞任を余儀なくされる。世代交代が進まず、既に30代後半であったローター・マテウスに頼ったチーム作りが決定的に失敗だった。
後任にはレバークーゼンで結果を出していたクリストフ・ダウムが取り沙汰されていた。実際、DFBはダウムと契約直前まで行っていたらしい。しかし、バイエルンのGMであったウリ・ヘネスらが強硬にこれに反対する。ダウムはコカインを常用しており代表監督にすべき人材ではないというのである。
議論は収拾せず、やむなくダウムの毛髪検査が行われることになった。毛髪に蓄積されたドラッグの痕跡を確認するものだが、その結果が陽性と判明し、ダウムの代表監督就任は雲散霧消したばかりかダウムはレバークーゼンの監督の座も追われ国外に脱出を余儀なくされた。この頃僕はドイツに住んでいたが、毎日すごい報道だったのを覚えている。
引き受け手のいなくなった代表監督を務めることになったのはレバークーゼンのSDであったルディ・フェラーであった。レバークーゼンが身内の不始末の責任を取ってSDを差し出したとも考えられる人事だが、フェラーには監督ライセンスがなく、公式には「チームシェフ」という肩書で、監督ライセンスを持つミヒャエル・スキベがヘッド・コーチ格でベンチに入ることによってレギュレーションを満たしたのではなかったか。
僕にとってドイツ代表はこの迷走した時期の印象が強く、だから2002年の日本でのワールドカップでドイツが決勝までコマを進め、横浜でブラジルに敗れはしたものの準優勝のタイトルを手にしたことは意外だった。
そのフェラー監督も2004年の欧州選手権で再びグループ・リーグ敗退の憂き目に遭い辞任。後任選びは引き受け手がなく難航したが、「それならオレが」と手を挙げたユルゲン・クリンスマンが監督に就任し、大胆な世代交代とアメリカナイズされたスマートな運営スタイルで改革に成功し、それをヘッド・コーチだったヨアヒム・レヴが引き継いだのが現在の代表である。
前置きが長くなった。
前回の総評でも書いたが、クリンスマン=レヴの作り上げたドイツ代表はもともと前線での積極的なプレスからボールを奪い、素早い攻守の切り替えで一気に敵ゴールに迫る「ゲーゲン・プレッシング」の原型。BVBがユルゲン・クロップ監督の下で2010/2011、2011/2012シーズン連覇、2012/2013シーズンにCLでバイエルンとブンデスリーガのクラブ同士決勝を戦う(準優勝)という結果を出したのとシンクロしている。
今回の大会では代表の主力を輩出するバイエルンがグアルディオラ監督を招きポゼッション・スタイルに移行したことなどもあり、ドイツの戦術はポゼッションと評されることが多かったが、実態は単なるポゼッションではなく、ハイプレスからの高速ショート・カウンターとスピードを重視したポゼッションの併用という次世代のコンビネーション・フットボールであったことも前回書いた通り。
結局ドイツの強みは、高い技術と体力、精神力、そして何より選手間での高度な戦術共有、連携が必要なこうしたスタイルを、代表でしっかり定着させたことで、それはレヴ監督がクリンスマン監督の下で事実上戦術面の指揮を執っていた2004年から10年がかりでチームを熟成させたこと、バイエルン所属の主力がクラブで既にオートマティズムを構築していたことなどの結果であった。
しかし、今回の大会のドイツの戦いをよく見れば、決して圧倒的な強さがあった訳ではなく、苦労して勝ちあがってきたことも分かる。グループ・リーグでは初戦となった強敵ポルトガル戦こそ4-0と完勝したものの、第2節のガーナ戦では先制したものの逆転され、終盤に何とか追いついて2-2の引き分けと肝を冷やし、最終節のアメリカ戦に1-0と辛勝して勝ち抜けを決めるなど楽な道のりではなかった。
決勝トーナメントでも1回戦のアルジェリア戦は90分間戦ったもののスコアレスとなり、延長で2点を奪って勝利(1点を返された)、準々決勝でもフランスに1-0の辛勝であった。準決勝でブラジルに7-1と派手なスコアで打ち勝ったのは記憶に新しいが、決勝もアルゼンチンの堅い守備と前線でワンプレーから得点できる敵FWの個人技に苦しみ90分をスコアレス、延長で1点をもぎ取って優勝したのは知っての通りだ。
グループ・リーグ第1節 ドイツ4-0ポルトガル
グループ・リーグ第2節 ドイツ2-2ガーナ
グループ・リーグ第3節 ドイツ1-0アメリカ
決勝トーナメント1回戦 ドイツ0-0アルジェリア(延長2-1)
準々決勝 ドイツ1-0フランス
準決勝 ドイツ7-1ブラジル
決勝 ドイツ0-0アルゼンチン(延長1-0)
こうして見れば快勝と呼べるのはポルトガル戦、ブラジル戦くらいのもので、あとは決定力不足に苦しみ、2度の延長(ガーナ戦を加えれば3度の引き分け)を含むしょっぱい試合の連続だったと総括してもいいくらいだ。
しかし、今回のワールドカップは例えば2002年の日本、2006年のドイツ、2010年の南アフリカに比べても比較的安心して見ていられたように思う。もちろん早起きして手に汗は握っているのだが、「でもまあ最後に勝つのはドイツだし」という根拠のない楽観みたいなものが僕にはあった。
それはドイツ代表がどんな試合展開でも最後まで自信を持って規律のあるプレーを続けていたからなのだと思う。そこにはワールドカップという舞台で何が起こり得るか、そのひとつひとつにどう対処すべきか、具体的な戦略、戦術以前の問題として、フットボールというものをずっと経験し続けてきた選手、ベンチ、協会、そしておそらくは国民として、ドイツ代表というものの確たるイメージが共有されていたからなのではないだろうか。
例えば想像以上に気温や湿度が高く消耗が予想されるときにどこでスローダウンするのか、早い時間に先制したときに守備と攻撃のバランスをどう調整するのか、あるいは1勝1分でグループ・リーグ最終戦を迎えたときに何を狙って試合を組み立てるのか。そういうひとつひとつの課題に対する想像力が、実際にピッチに立つ選手から、近所のパブに集まってテレビを見つめているおっさんまで行き渡っている。
何をポイントにフットボールを見ればいいのか、過去の膨大な国民的記憶が議論のベースを提供し、共通のプラットフォームの上でフットボールをめぐる喜怒哀楽が共有されている。それはフットボールの文化的受容とでもいうもの。これがドイツ代表の力の源なのであり、我々の代表にはまだまだ十分でないもの。
面白くない試合でも勝ちきる強さはこのようなプラットフォームから生まれてくるのであり、戦術的に思い通りの試合ができなくても何とかする力、局面において最も合理的な選択を躊躇なくする力は、そういう国民的経験の中で培われるものだ。近代的な戦術が、おそらくはベルンの奇蹟に遡るドイツ代表の「伝統」の裏づけを得て、蒸し暑い異国の地で苦しみながらも結果を出した。
2000年の迷走を知る者として、ドイツがワールドカップで優勝するのを目の当たりにできたのは一言で表せない喜びだったが、その瞬間は意外と冷静でもあった。ドイツ代表はまだ平均年齢も若い。レヴ監督の留任と2年後の欧州選手権での優勝を期待したい。
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2014ワールドカップ
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ドイツ代表
2014年07月20日 23:22
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【ワールドカップ総括(1)】総評―この大会が指し示したもの
ワールドカップはドイツが優勝して閉幕した。ドイツ在住経験を持ち、以前からブンデスリーガ、ドイツ代表の動向をずっと追いかけてきた僕としてはこれ以上ないくらい嬉しい大会だったが、これは世の中的にはどう映っているのか。
今回の大会でまず大きなショックだったのは前回優勝のスペインがグループ・リーグを突破できなかったことだろう。初戦でオランダに1-5と完敗、チリにも0-2と完封負けを喫し、最終戦でオーストラリアに3-0と勝利したものの時既に遅かった。
細かくパスをつなぎながら最終ラインを押し上げ、敵の守備網にギャップを作らせてそこから崩すという所謂ポゼッション・スタイルのフットボールは、オランダの強力な前線から繰り出される割りきった個人技フットボールや、チリのスピードをつけてやりきるフットボールに歯が立たなかった。
これはバルセロナでグアルディオラ監督が完成の域にまで高めたポゼッション・スタイル、コンビネーション・フットボールの終焉を意味するのか。現在では多くの少年フットボールの現場で、「蹴るな」「つなげ」という指導が行われているが、そうした考え方は一気に過去のものになったのだろうか。
こうした問いにひとつの答えを示したのが優勝したドイツのフットボールだったと思う。今回のドイツの戦術はポゼッションと説明されることが多かったと思うが、ドイツのそれはスペインのそれとは決定的に異なっていた。
ドイツ代表はもともと前回、前々回のワールドカップで、ハイプレスからの高速カウンター、奪ったボールを小気味よくつなぎながら一気に攻め上がるフットボールを得意としていたのであり、それはまさにクロップ監督がBVBで作り上げた「ゲーゲン・プレッシング」の高次での結実と呼ぶにふさわしいものであった。
ところが今回、ドイツの戦いはむしろポゼッションに重点を置いたもののように見えた。その原因の一つはグアルディオラがバイエルンの監督になり、そこを通じてポゼッション概念がドイツ代表にも持ち込まれたということがある。ラーム、シュヴァインシュタイガー、クロースら、ゲームを作るキー・プレイヤーたちがしっかりボールを保持しながら攻め上がるフットボールをクラブで叩きこまれていたことは大きな要因だ。
もうひとつは、相手国がドイツを警戒し引き気味になったりして、必ずしも「ハイプレスからの高速カウンター」という戦術がはまらない状況が多く見られたということ。必然的にボールを持つ中で、どう崩すかということは好むと好まざるとに関わらず直面しなければならない問題だった。
さらにブラジルの高温多湿の気候も影響したと思う。こうした条件では前線から90分間ハイプレスをかけ続けることは難しい。むしろボールを保持し、ボールを動かすことで敵の消耗を誘う戦い方が合理的だったということだろう。
では、今回のドイツのポゼッションはこれまでのスペインのポゼッションとどう異なっているのか。
最も大きな違いはスピードの重視である。スペイン型のポゼッションはボールを奪っても数的優位が見込めなければムリして速攻せず、遅攻からボールを回して前線が手詰まりになれば何度でも下げて作り直すというスタイル。
それに対してドイツのポゼッションは縦にボールを出し入れして敵に食いつかせることで守備網のスライドを誘い、ワンタッチ、ツータッチの素早いパス交換でスライドの遅れた部分から崩しをかけるというよりスピード重視の攻撃的なもの。相手の準備が整う前に攻めきることに大きなポイントがある。
思うにこれはポゼッション・スタイルの進化形であり、コンビネーション・フットボールのあるべき姿を示したもの。もちろんこうしたポゼッションとスピードという異なるモメントを両立させることは簡単なことではなく、判断の速度の問題ですらなく、ひたすら反復練習によるオートマティズムの獲得が問題になるのだが、ドイツ代表では多くの選手がバイエルンでそうした戦術を共有し、既に核の部分でオートマティズムがある程度完成できていたことが大きかったと思う。
また、こうしたスタイルがハイプレスからの高速ショート・カウンターと併用され、それが状況に応じて使い分けられることもドイツの強み。レヴ監督の下で長くチームを作り、戦術面での熟成を深めていたドイツ代表とすれば、優勝するなら今回しかないという機の熟したタイミングであったと言っていい。
だが、スペイン流のポゼッション・スタイルの退潮に伴って、今回の大会で目立ったのは「後ろを固めて奪ったボールは前線のエースに預け『あとよろしく』的な個人技フットボール」である。例えばオランダは5バックに近い形で最終ラインを防衛し、奪ったボールは前線のスナイデル、ファン・ペルシーそしてロッベンに預けるという戦術が明快だった。
ブラジルも結局のところダヴィド・ルイス、チアゴ・シウヴァの強力なCBが止めたボールをネイマーに預け、攻撃は前の人たちで何とかするという以上の戦術はなかった。セット・プレーからDFが得点して帳尻は合わせたものの、個人技を統合し組織するアイデアは見られず、それが1-7という準決勝での歴史的惨敗の遠因になったことは否めない。
そして決勝でドイツが対戦したアルゼンチンもメッシが90分間うろうろとピッチを散歩する以外の攻撃はなかった。ドイツとて楽に勝てた試合ではなかったが、最高峰の大会の決勝で、守備をしない、ボールを受けに動くことすらしない男がふらふら散歩しているような国に負ける訳には行かなかった。
今回の大会は、決勝でこうした「後ろを固めて奪ったボールは前線のエースに預け『あとよろしく』的な個人技フットボール」とドイツの「ハイプレスからの高速カウンターとスピードを伴ったポゼッションを併用する次世代型コンビネーション・フットボール」とが雌雄を決するべくガチで戦ったというのが僕の見立てだ。
僕が強く思うのは、ロッベンもネイマーもメッシもいない少年フットボールでは、前者のフットボールはお手本にし得ないということだ。ワールドカップは熾烈な勝負の場であると同時に、フットボールという競技の将来像、未来の姿を示すものでなければならない。
エース頼みの個人技一発のフットボールは一般性、汎用性のない袋小路の戦術であり、フットボールの退化である。ワールドクラスの個人技を見ることもワールドカップの楽しみであることは否定しないが、結局のところフットボールは例外的で超絶的なプレイヤーがいなければ勝てないというのが、世界中のフットボール少年たちに対しこのワールドカップを通じて発せられるメッセージだとしたら、――いささか大げさに言えば――それはフットボールの緩慢な死を意味する。
ドイツが優勝したことの意味、価値はそこにあったと僕は思っている。もちろんドイツの戦術も少年フットボールがお手本にするにはかなり高度なものであり、一朝一夕にモノにできるものではない。しかしそこには明快な理論的裏づけがあり、その理解と訓練とによって完成度はともかくイメージに近づくことはできる。そのようなフットボールが有効であることを示したことで今回のワールドカップは記憶されるべきだ。
ドイツ代表の優勝への道のりは次回に確認するが、スペイン、イングランド、ポルトガルのグループ・リーグ敗退、準決勝でのブラジルのショッキングな敗戦など、波乱もあったワールドカップは、最後にフットボールの未来を指し示して閉幕したと僕は思う。
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2014ワールドカップ
2014年07月20日 00:14
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【Jリーグ第15節】FC東京×鹿島
■2014年7月19日(火) 18:30キックオフ
■味の素スタジアム
気温はそれほど高くないものの湿度が高く断続的に雨が降る土曜日。いよいよリーグ戦の再開だ。夏休みに入った学校も多く、スタジアムはかなりの入りに。
東京はここまで14試合を終えて5勝6敗3分で勝ち点18の11位。3位とは勝ち点差6と上位もまだまだ狙えるが、降格圏の16位とは勝ち点差3と混戦の中で、ひとつの勝敗が大きな意味を持つ状況での戦いが続く。相手は鹿島だがナビスコでは快勝しておりしっかり平常心で戦って勝ち点3を取りたい試合だ。
東京は先週の天皇杯と同じ布陣となった。
権田
徳永 吉本 森重 太田
三田 高橋 米本
河野
エドゥ 武藤
鹿島がボールを支配するが、東京も積極的な守備から奪ったボールは前線のエドゥが収めて武藤、河野、三田が飛び出して行く攻撃。一進一退の激しいゲームになる。
17分、三田からのパスを受け武藤が落としたボールに米本が走りこんでミドルを放つ。DFに当たりコースの変わったボールは枠に向かうが敵GKがセーブ。これが東京のファースト・シュートとなる。
東京は米本、高橋が中盤でしっかりボールにトライして敵ボールを奪うが、展開の途中でミスが出て攻めきれないシーンが多い。互いに球際が激しく、前線でもきびしいつぶし合いになってエキサイトした雰囲気に。接触プレーのファウルの基準に納得の行かない東京サポーターから審判に激しいブーイングが浴びせられるシーンも。緊張した空気の中で試合が進む。
34分、米本からのパスを受けた河野がいったん武藤に預け、リターンを受けて中央のエドゥに。エドゥはそのまま裏に抜けGKと一対一になるがシュートは枠をオーバー。決定的なシーンだったが決めきれず大きなため息が。惜しかった。
一方の鹿島もよく訓練された規律ある攻撃から東京エリアに侵入しようとするが、吉本、森重を中心に最後のところを固めており、決定的な形になる前にしのげている。結局前半はシュート数3-3と互いに決定機は少なく、鹿島がボールを支配しながらも内容的には互角の展開でスコアレスのままで終了した。
56分、河野に代えて東を投入。左に東、右に三田を配し、エドゥと武藤が2トップとなる4-4-2に移行。
後半に入り50分、武藤がドリブルで左サイドを突破、中央にマイナスのボールを戻すが、ここに駆けこんだ米本のシュートは枠外に。蒸し暑く、断続的に雨も降る中で消耗も激しいか、次第にプレスがかからなくなり互いにオープンな展開になり始める。
60分、エドゥが右サイドからクロス、これはクリーン・ヒットしなかったが、敵のクリア・ボールを受けた三田が右エリア手前から強烈なミドル。これがバーに当たりそのままゴール内に跳ねてゴール。東京が1-0と待望の先制点を挙げる。
その後は鹿島が積極的に前に出てくるが東京が身体を張った守備で得点を許さない。78分、東からのスルーに武藤が抜け出し左サイドでGKと一対一になる。武藤は丁寧に流しこもうとしたが敵GKにセーブされる。これも決定的なシーンだった。
80分、敵中盤からロング・ボールを出される。敵FWと徳永が競りながらこれを追って並走。ボールは二人のいずれかに当たり飛びだした権田の脇を抜けてゴールに入ったように見えた。徳永のオウン・ゴールに見えないこともなかったが、敵FWが広げた腕にボールが当たったとの判定でノーゴールに。鹿島が納得せず執拗に抗議するがゴールは認められず胸をなでおろす。リプレイを見たが微妙な判定だったことは間違いない。
84分、エドゥに代えて平山を投入。エドゥのポストがかなり効いていたので最後まで引っ張って欲しかったが、平山に前線でボールを受けて時間を作ることを期待したか。
ところが86分、ゴール前に押し込まれシュートを放たれるがこれは森重がブロック。こぼれ球を米本がクリアしようとするがこれが敵FWの足許に。これを直接ボレーで決められ痛恨の失点。1-1の同点になってしまう。
90分、三田に代えて羽生を投入。5分のアディショナル・タイムを得て最後は東京が右サイドの深いところでFKを得る。エリア内での陣取りで激しい競り合いとなり敵FWが東京の選手を引き倒したか退場になるなど荒れた雰囲気に。結局このFKは敵GKがセーブ、そこから一気にカウンターに持ちこまれ、米本が激しいファウルで何とか止める。
これで与えたFKも守りきり、さらに東京がカウンターを仕掛けたが攻めきれず、結局1-1の引き分けに終わった。
試合展開としては先制しながら終盤に追いつかれて引き分けと悔しいゲームになってしまったし、決定機も何度かあり勝ちきれたとは思うが、ポゼッション40-60、シュート数6-13と数字上は劣勢で、内容的には引き分けが妥当な結果だったかもしれない。
東京は数字ほど一方的にやられていた訳ではなく、集中したクレバーな守備と、縦への動きを意識した速い攻撃とで敵を苦しめ、ゲームプランに大きな齟齬はなかったと思うが、終盤の失点が悔やまれる。
中盤では米本が猟犬のようにボールを追って高橋とともに敵の攻撃を寸断、またエドゥが前線で献身的にボールを収めて攻め上がる武藤、河野、三田らに供給して攻撃の形を作った。米本、エドゥの踏ん張りで勝ち点1という最低限の結果を手にすることができたと総括すべきかもしれない。
ただ、攻撃面では中盤で奪ったボールの前線へのつなぎにミスが多く、一度奪ったボールをマイ・ボールにしきれず引っかけてしまうシーンも散見された。守備でも自陣でムリにボールをつなごうとして奪い返され波状攻撃を受けるケースが多く、特に自陣深くでは流れを変えるためにも一度はっきりプレーを切る判断もあっていいと思った。
また、前半から積極的にプレス・ゲームを展開したせいか終盤やや足が止まり、失点シーンではエリア外に戻ったボールへの対応が遅れてフリーでシュートを許した。これから真夏に向かう時期に戦い方の工夫は必要になる。
交替で入った東はゲームにアイデアを持ちこみ、終盤武藤とのコンビネーションでチャンス・メイクした。一方で平山は前線でボールを受けきることができず試合に入れなかった印象。エドゥのポストが効いていただけに交替の必要性は薄かった。
身体を張り、最後まで果敢に戦った試合だったが、ホームで勝ち点1を得るのみに終わったことは残念。終盤追いつかれたところでガタガタっと行かずに粘りきったことは成長か。いや、成長がそれだけでは寂しいが…。
東京は勝ち点を19として10位に浮上。とはいえ1試合あたりの勝ち点は1.27と低調で問題を先送りした形。次の試合は水曜日のアウェイ新潟戦だが、この引き分けの価値は次の試合の結果次第で決まるということだ。厳しい季節に向かうが流れは決して悪くなく、勝つことで勢いに乗って行きたいところ。正念場が続く。
評点(評点は
ドイツ式
):
権田(3.5) 果敢な守備でピンチをしのいだが失点は残念だった。
徳永(3.5) 粘り強い守備で強さを発揮、サイドに起点を作らせなかった。
吉本(3) 敵の強力なFWを封殺、まさに身体を張って最後まで守りきった。
森重(3) 強さとクレバーさで東京の守備を統率、格の違いを見せつけた。
太田(4) 対面する敵MFとの戦いには負けていなかったが攻撃参加物足らず。
高橋(3.5) 読みのいい守備でたびたび敵のパスをカット。組み立てもよかった。
米本(2.5) ボールに行く局面の判断がよかった。攻撃でも努力の跡が窺えた。
三田(4) シュートは素晴らしかったがそれ以外は流れの後追いに終始した。
河野(3.5) 要所でボールに触れてゲームを作ったがムラが多いのは難点。
エドゥ(2.5) 絶好機を外したが前線でボールを収め続け埋め合わせ以上の働き。
武藤(4) 終盤東が入ってようやく姿が見えるようになった。まだまだ精進。
===
東(3.5) 試合にアイデアを持ちこんでチャンス・メイク。先発させたい。
平山(-) 時間短し。期待されたことはできず。
羽生(-) 時間短し。動きの質は落ちていない。
この試合は前半から審判の判定に対して両クラブから抗議が多く、後半の鹿島のハンドによるノーゴールもあって、終了後には両クラブのサポから大きなブーイングがあった。両方のプレーが荒く、激しい競り合いも多くて審判としてはコントロールの難しい試合だったのは間違いない。
もっとも、僕からは、イーブンで互いにボールに行ったプレーは少々コンタクトがあってもノー・ファウル、一方で人に行ったプレーはコンタクトの影響が少なくてもファウルという基準はそれほどブレていないように思えた。
それよりは鹿島がゲームの要所要所でおそらくは戦略的に審判を取り囲んで抗議しプレッシャーを与えようとしたことで審判がゲームをグリップできていない印象を与えてしまい、カードで試合をコントロールするしかなかった(警告3-3、鹿島に退場1)。それがハンドに対するナーバスな判定を招いてしまったのではないかと思う。
その点では残念な試合だった。
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FC東京
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J1リーグ戦
2014年07月14日 23:10
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【ワールドカップ決勝】ドイツ×アルゼンチン
■2014年7月14日(月) 4:00キックオフ
■リオデジャネイロ
ついに決勝。ドイツにとっては2002年の日本ワールドカップ以来12年ぶりの決勝進出である。朝4時だろうと3時だろうと起きてみるしかない。この時間なら最悪PKになっても最後まで見届けられるだろう。目覚ましをセットして前夜は10時に就寝。
ドイツはケディラが試合前のアップで負傷したとのことで急遽クラマーが先発。決勝でワールドカップ初先発だ。グラードバッハ代表としてしっかり頑張って欲しいところ。それ以外は準決勝ブラジル戦と同じメンバーとなった。
ノイアー
ラーム ボアテン フメルス ヘヴェデス
クラマー シュヴァインシュタイガー クロース
ミュラー クローゼ エツィル
ドイツは序盤からボールを支配して攻撃に出るもののボールが足につかず、最終ラインをしっかり固めるアルゼンチンに対してフィニッシュまで行けない。一方のアルゼンチンは奪ったボールを素早く前線に展開、個人の打開に期待する割りきった戦術でチャンス・メイクする。
17分、クラマーが敵エリア内で敵DFと激しく交錯、頭を強打して倒れる。何とか立ちあがってプレーを続けるが頭だけに心配だ。うちのクラマーに何をしてくれる。
21分、クロースのバックパスがオフサイド・ポジションに攻め残っていた敵FWに渡るがシュートは枠を外れ胸をなでおろす。肝を冷やした一瞬だった。
30分、ドイツの左サイドから入れられたクロスに中央でヘディング・シュートを許しボールはネットを揺らすがオフサイドの判定。カメラが線審を映さないのでこれも一瞬ドキッとしたがリプレイを見れば明らか。
32分、やはり影響が残ったのかクラマーに代えてシュールレを投入。クラマー大丈夫か。開幕まで1ヵ月しかないのに心配だ。クロースとシュヴァインシュタイガーのダブル・ボランチに、右ミュラー、左シュールレの両翼、トップ下にエツィルという4-2-3-1的な並びになったか。
ドイツはアディショナル・タイム、クロースの右サイドからのCKに中央でヘヴェデスがドンピシャのヘディング・シュートを放つがポストを直撃、こぼれにミュラーが詰めるがこれはオフサイドに(どっちみち入ってなかったけど)。スコアレスで前半を終了する。
シュート3本ずつとチャンスは多くないが、組織で押し上げるドイツと前線に預けて個人技勝負のアルゼンチンとの厳しい戦いになる。アルゼンチンの方がカウンターでいい形を作っているように見えるが、ドイツはムリめのシュートを打たないだけで試合はドイツがコントロールしていると見ていい。
後半に入るとアルゼンチンが攻勢に出る。ドイツは受けに回り、47分にはスルーパスから裏に抜け出され厳しいシュートを打たれるが枠に収まらず。ノイアーがいいポジショニングでコースを切るのと、おそらく蹴る側も厳しいコースに蹴らないと入らないと思うから確度が低くなるんだろう。敵の前線はワンプレーで局面を打開し得点できる力があり怖いが、ボアテンのチャレンジとフメルスのカバーという守備が効いており、何とか後半開始早々の時間帯をしのぐ。
57分にはノイアーがエリアぎりぎりまで飛び出してパンチングでセーブ、そのまま敵FWと激しく交錯する。ちょっとエリア外だったようにも見えたが勢いで有無を言わせなかった。
試合が進むと互いに失点に対する恐怖が芽生え、慎重な試合運びになってくる。次第に中盤が間延びし始める中で激しいボールの競り合いが展開されるが、ドイツがしっかりポゼッションをしている分、アルゼンチンの方に先に疲れが出たか、次第にドイツが主導権を取り返す。
神経質な展開のまま試合は終盤に。ドイツは最後に攻勢をかけるが人数をかけて手堅い守備を構築するアルゼンチンを崩しきれず。88分、クローゼに代えてゲッツェを投入、結局スコアレスのまま90分を終了し、試合は延長に入る。
延長開始早々、敵エリア左隅でゲッツェの落としを受けたシュールレが直接ゴールを狙うがGK正面に。これは入ったと思ったが。97分、フメルスが敵FWに詰めきれずループ・シュートを放たれるが枠を外れる。ノイアーが飛び出しており危ないシーンだった。引き続き得点のないまま延長後半に。
113分、ついに得点が生まれる。左サイドをドリブルで突破したシュールレが、敵を抜ききらないままクロスを入れる。ニアでこれを受けたゲッツェが胸トラップしたボールをそのままボレー・シュート。これがファーのサイド・ネットに突き刺さりドイツが先制。見事という他ない技術だった。
終了間際には敵に絶好の位置でFKを与えるなど最後まで気の抜けない戦いとなったが、120分にはエツィルに代えてメルテザッカーを投入するなどして守りきり、ドイツが1990年イタリア大会以来24年ぶりとなる4回目の優勝を決めた。
総括は別の機会に改めて書きたいが、エースがまったく守備をせず、ボールを引き出す動きすらせず、預けられたボールか目の前にこぼれたボールしかプレーしない、ほぼ120分間「おさんぽ」状態のアルゼンチンには負けられなかった。後ろを固め、奪ったボールは個人技で勝負できる前線に預けて「あとよろしく」的なフットボールに優勝させる訳に行かない。
ドイツはポゼッション・オリエンテッドと言われるし、実際そういう試合だった(ポゼッション64-36)が、それはたまたまアルゼンチンが守備的だったからで、ハイプレスからの高速ショート・カウンターも自在に繰り出せるドイツにとって、何よりも強みはその多彩な戦術をしっかり実践レベルに落としこんでいる戦術理解、共有でありそのオートマティズムである。
一人がボールを持つ時間を極力短くすることで常に流動しながら次へ、次へとプレーを展開して行くスピード感は、単に「ポゼッション」のひとことで片づけられるものではない。スピードとの両立を拒むかのように遅攻を優先し、前が詰まれば何度も作り直すスペイン型のポゼッションの次に来る現代的フットボールを世界最高の大会で堂々と繰り出し、あるべき姿を示したドイツの優勝は意義深い。
守備をしないエースにボールを預けるアルゼンチンの戦術は、絶対的、例外的な天才がいない普通のクラブにはあまり参考にならないものだし、少年フットボールではお手本にする訳に行かないもの。ひとりの天才がいるために逆にいわば進化の袋小路に迷いこんだ先のないフットボールだったというべきだ。
ユーロでの優勝は見たことがあるが、ワールドカップでドイツが優勝するのは初めて見た。ドイツが優勝するなら今回を措いてないとこの大会が始まってから日に日に確信を強めたが、本当に優勝した。ドイツにいたかった。
ところでMVPは精彩を欠いたアルゼンチンのキャプテンに。正直意味が不明だった。
これで1ヵ月に亘ったワールドカップ観戦も終った。次の週末にはもうリーグ戦が始まる。
評点(評点は
ドイツ式
):
ノイアー(3) 決勝でもアグレッシヴな守備でシュートの前にピンチを回避。
ラーム(1.5) なぜかぽっかり空く右前線を何回も使って質の高いクロスを供給。
ボアテン(1.5) 的確な判断と果敢なチャレンジで敵FWと対峙。素晴らしかった。
フメルス(3) ボアテンのチャレンジをしっかりカバー。代表の守備の軸に。
ヘヴェデス(3.5) シュートは決めたかった。バランスは取った。
クラマー(3.5) アグレッシブに前に出ていたが無念の交替。脳震盪か。
シュヴァインシュタイガー(2) 中盤に君臨。彼の気迫が優勝を引き寄せた。
クロース(3) いいパスを供給したがピンチの糸口にもなった。
エツィル(3.5) 悪くなかったがもう少しアイデアと精度があれば。
クローゼ(3.5) 敵の守備が分厚く自由にさせてもらえなかった。
ミュラー(3) 前線で身体を張りボールを守った。イラっとさせる天才。
===
シュールレ(2) 思いきりのいいサイド突破が決勝点を呼んだ。
ゲッツェ(1) 決定的な仕事。高い技術が結実した必然の得点だった。
メルテザッカー(-) 時間短し。跳ね返しで投入の意図に応えた。
延長でシュヴァインシュタイガーが傷んでピッチに出たとき、ビブスを脱いでタッチライン沿いに待機していたのに、結局シュヴァインシュタイガーが復帰したため出番がなかったグロスクロイツが不憫だった。
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ドイツ代表
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2014ワールドカップ
2014年07月12日 22:31
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【天皇杯2回戦】FC東京×秋田
■2014年7月12日(土) 18:00キックオフ
■味の素スタジアム
ワールドカップによるリーグ戦の中断明けに先立って天皇杯の2回戦が行われた。敵はJ3のブラウブリッツ秋田。ブラウブリッツとはドイツ語で「青い稲妻」。東京もこういう感じのドイツ語の呼び名にならないかな。
暑い土曜日となったが日暮れとともに涼しい風も吹き、ビール片手に観戦するにはちょうどいい日和かも。何より味スタで試合を見られる日常が帰ってきたのが嬉しい。上層スタンドが開放されず、バクスタ下層のなるべく中央寄り上の方で観戦することにした。
シーズン後半の前哨戦となる試合で、敵もジャイアント・キリングを狙ってモラルは高いはず。ある意味最も気を使わなければならない種類の試合であり、楽勝ムードが少しでもあればたちまち足許をすくわれる。
東京は権田と森重がワールドカップ遠征から帰国、先発した。ケガから復帰した梶山はベンチ入りが期待されたがメンバーに入らず。河野をトップ下に置き、エドゥと武藤の2トップ。
権田
徳永 吉本 森重 太田
米本 高橋 三田
河野
エドゥ 武藤
試合は開始から東京が敵陣で積極的にプレスを敢行、しっかりしたラインの押し上げから敵ゴールに迫る。しかし一方で秋田も臆することなく自陣からパスをつなぎ前に出てくる。自陣にドン引きからのカウンター一発という戦い方ではなく、縦にボールを出し入れしながら押し上げてくる戦術。
11分、米本が右サイド裏のスペースにパスを通すとこれを受けた武藤がクロス。中央では合わせきれなかったが、エドゥからの落としを受けた左サイドの三田がドリブルで敵DFをかわしてシュート。これが決まり東京が1-0と先制する。
力の差のある試合で先制したことで東京は大きなアドバンテージを手に入れる。22分、米本が前線に送ったボールは敵DFにクリアされるが、これを拾った高橋が持ち上がってミドル。ポストに当たって跳ね返ったボールを河野がワンタッチで詰めゴール。2-0に。
さらに26分、20メートルほどのFKを太田が蹴るとボールはポストをヒット。このボールを高橋が拾って後ろに戻すとこれを受けた森重がミドル・シュート。これがゴール右隅に決まり3-0に。立て続けの得点で東京が試合の流れをグッと引き寄せる。
29分にはCKからの流れで攻め残っていた森重がエリア内でアフター・チャージを受け倒されてPKを得る。これをエドゥが左に決め4-0に。
その後も東京が中盤で敵ボールをカットしてはしっかりパスをつなぎながら攻め上がるポゼッション・スタイルで試合を支配。秋田の攻撃を受けるシーンもあるものの単発でゴールの現実的な脅威はほとんどない。4-0と大きなリードのまま前半を終えた。前半の途中から、高橋、米本のダブル・ボランチ、左に武藤、右に三田を置いた4-4-2になっていたようだ。
後半に入っても東京の優位は変わらず。48分、三田が右寄りでドリブルで敵と競り倒されてFKを得る。これを再び太田が蹴ると直接決まり5-0に。太田の直接FKが決まったのは今季初めて。自信になって欲しい。
58分、米本からのパスを中央で受けたエドゥがそのままドリブルで攻め上がり、敵DFをかわしてシュート。これが決まり6-0。エドゥの地力が出たゴールだった。
直後の60分、そのエドゥに代えて平山を投入。
62分、徳永からのパスをエリア内中央で平山が受ける。敵DFに囲まれたが足許でボールをコントロール、シュートを放つと決まり7-0に。63分、河野に代えて羽生を投入。羽生は左SHに入り武藤が2トップの一画に。さらに68分には武藤に代えて渡邉を投入。
その後は平山、渡邉がそれぞれシュートを放つものの敵GKの正面を突き追加点が奪えない時間が続く。スタンドからはとにかく渡邉のゴールが見たいという声援が強く、平山のGK正面のシュートや最終ラインにボールを下げる高橋のプレーには大きなブーイングが。まあ、勝っているからこその余裕ではあるが。
ようやく84分、平山が前線で敵DFと競って奪ったボールを渡邉に預けると、渡邉はドリブルで敵DFから逃げるようにファーに動きながらシュート。これが決まって8-0に。渡邉にとっては今季公式戦初ゴールか。
秋田は最後までポゼッションからパスで崩そうとするスタイルを貫き、何本かハッとするようなシュートも浴びたが決定的な形は作らせず、結局8-0で東京が完勝した。
秋田がしっかりと前に出てきたことで東京にとっては戦いやすい試合になったことは間違いない。力の差もあったが、最後まで集中をきらさず得点を狙いに行って8点を奪い、無失点に抑えたことは評価されて然るべき。
しかし、J1なら見逃してもらえなさそうなルーズなパスミスも見られ、得点もセット・プレー、個人技などが中心で崩しきるシーンは見られず、攻撃の形が見えたとは言い難い。各々がいいイメージを持つという意味ではいい試合だったが、決して手放しで喜べるような内容ではなかったし、リーグ戦に向けて万全とは感じられなかった。
太田のFKや渡邉の得点、エドゥの2得点などきっかけにしたいポイントはあったし、トーナメントなのでまずは勝ったことを喜びたいが、リーグ戦再開への試運転という意味ではまだまだ。来週の鹿島戦に向けて上積みが欲しい。
評点(評点は
ドイツ式
):
権田(3) ハッとするシュートをキャッチ。シュアな守備で完封した。
徳永(3) 対人の強さを見せる一方、攻撃にも要所で参加。力を発揮した。
吉本(3.5) 森重とのコンビでよさを発揮。フィード、足許も及第点。
森重(2.5) 格の違いを見せつける活躍。終始冷静に試合をコントロールした。
太田(3) ようやくFKが直接決まった。攻撃時のカットインをもっと見たい。
米本(3.5) 再三のボール奪取から攻撃の起点に。尻上がりに調子を上げた。
高橋(3.5) うかつなパスミスもあったものの堂々たるボールさばき。
三田(3.5) バタバタ感はあるが先制点は大きかった。最後までよく走った。
河野(3.5) バタバタ感はあるが走り続けたことでボールがこぼれてきた。
エドゥ(3.5) ポストではあまり生きなかったが2ゴールで責任は果たした。
武藤(4) 切れ味を欠き前線ではひとり無得点。思いきって突っかけてもよかった。
===
平山(3.5) しっかりボールにコミットできていた。簡単な得点ではなかった。
羽生(4) スペースを埋める動きは一級だが効果的なプレーは少なかった。
渡邉(3.5) シュートを焦った感もあるがゴールが何よりの自信になるはず。
3回戦は会場未定ながら相手は松本山雅に決まったようだ。
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FC東京
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天皇杯
2014年07月09日 23:39
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【ワールドカップ準決勝】ブラジル×ドイツ
■2014年7月9日(水) 5:00キックオフ
■ベロオリゾンテ
準決勝はブラジルとの一戦。2002年日本ワールドカップの決勝カードである。あの時は苦杯を喫したが今回は勝たなければならない。ドイツ代表はそれに値する力を身につけているし優勝するのは今をおいてない。
そのためには何としてもブラジルに勝たねばならぬ。準々決勝のフランス戦は決していい内容の試合ではなかったが、そういう試合をきちんと勝ちきれるところにドイツの強さがある。5時前に起きて出勤の支度をしながらテレビ観戦した。
ドイツはフランス戦からメンバーの変更なし。一方のブラジルは中心となるFWが準々決勝で脊椎に損傷を受ける大ケガを負い欠場。また主将であったCBも累積警告で欠く布陣となった。
ノイアー
ラーム ボアテン フメルス ヘヴェデス
ケディラ シュヴァインシュタイガー クロース
ミュラー クローゼ エツィル
序盤はブラジルがボールを支配、全体を押し上げてドイツ陣内で試合を進める展開になる。ドイツのファースト・シュートは7分、ケディラがミドルを放つがクロースに当たり枠外へ。ドイツも次第に固さが取れ、地に足がついてボールを持てるようになる。
11分、右サイドで得たCKをクロースが蹴るとファーのミュラーが右足でダイレクト・ボレー。これが見事に決まりドイツが1-0と先制。どうしてあんなところでミュラーがフリーになっているのかよく分からないが、ともかく、押され気味だっただけにこのタイミングでの先制点は大きかった。
ビハインドを負ったブラジルは積極的に前に出るがドイツは落ち着いた手堅い守備で応戦。奪ったボールはしっかりしたポゼッションから前線につなぎ、攻め急ぐことはしない。
23分、クロースが縦に入れたボールをミュラーがヒールで落としクローゼがシュート。これは敵GKにいったんセーブされたもののボールは再びクローゼの前に転がり、これを蹴りこんでゴール、2-0に。クローゼはこれでワールドカップ通算得点を16に伸ばし引退したブラジル人FWを抜いて単独トップとなった。
さらに直後の24分、右サイドを駆け上がったラームが中央にクロスを送ると、ニアのミュラーは空振りしてボールはそのままファーに流れたが、ここに走りこんだクロースが冷静に流しこんで3-0に。立て続けの失点にブラジルは集中を保つのが難しくなったように見えた。
しかし、ドイツの攻撃は止まらない。26分、クロースが敵MFに果敢なプレスをかけて敵陣でボールを奪うとゴールに向かいながら並走したケディラにパス、ケディラがこれをクロースに戻すと敵DFは完全に振らされクロースがフリーでシュートを流しこむ。これが決まり4-0に。畳みこみどころを心得たドイツの積極的な攻撃が容赦ない。
29分にはフメルスが持ち上がったボールをケディラにパス、ケディラは左のエツィルに預け、戻しを受けるとブラジルのDFはまたしても振らされてケディラがフリーに。これをしっかり流しこんで5-0。ドイツはわずか6分間で4点を挙げて試合を決めてしまう。「ブラジルの放送席の解説者は泣いています」というNHKの実況には笑ってしまった。
半ば戦意を喪失し攻撃も散発的になったブラジルに対しドイツはしっかりと試合を掌握。5-0で前半を折り返した。前半に大量点を取っただけに、試合が大味になり敵に対するリスペクトを失ってしまうのが怖い。1点を与えると流れが変わる怖さがあり、ゼロに抑えきることが重要で、考えようによっては難しい試合運びになる。
ブラジルは後半からボランチとSHを交替、一方ドイツはフメルスに代えてメルテザッカーをピッチに。ある程度引いてもいいからしっかり敵の攻撃を跳ね返せというメッセージかとも思ったが、どうもフメルスにケガがあったらしい。
ブラジルは後半開始から積極的に攻勢に出る。前線から圧力をかけ立て続けにシュート・チャンスを迎えるが、ドイツは52分、53分にノイアーが好セーブでピンチを救うなど集中した守備でゴールを守る。55分までの最初の10分に6本の浴びるがこの時間帯をしっかり守りきったことは大きかった。
58分、クローゼに代えてシュールレを起用。ミュラーをワントップに上げてシュールレは右SHに入ったように見えた。61分にはミュラーのシュートを敵GKにセーブされたが、69分、右サイドを上がったエツィルからニアのラームにボールが亘るとラームがエリア内でこれをさらに中央に送る。シュールレがこれにダイレクトで合わせゴール。6-0とドイツがリードを広げる。
後半序盤のブラジルの反攻をしのぎ、追加点を挙げたことで試合の帰趨はほぼ明らかになる。重要な追加点だった。76分、ケディラに代えて今大会初めての出場となるドラクスラーを起用。
シュールレは79分にもエリア内左寄りで受けたボールをワントラップしてシュート。角度はなかったがボールは鋭くバーに当たってゴール内に落ちるファイン・ゴールとなり7-0に。
ドイツはその後も試合をコントロール、90分にはカウンターから失点を許し7-1となったが時既に遅く大勢に影響なし。ドイツ語で「der Ehrentreffer(名誉のための得点)」とか「die Ergebniskosmetik(試合結果の粉飾)」とかいう類のゴール。結局ドイツがブラジルを相手に7-1という想定外の対象で決勝進出を決めた。
この試合、何より印象的だったのは、0-1とビハインドを負いながらも冷静だったブラジルが、2点目を取られて「マズいな」という雰囲気になったところにすかさずプレスをかけ、3点目、4点目を狙いに行って大きなダメージを与えたドイツの、「試合の勘どころ」をしっかり把握しそこを的確に突く力だ。
特に4点目の起点となったクロースの敵ボランチへの強烈なプレスからのボール奪取は、ブラジルがショックを受け集中を欠いているのを見て「今こそ打撃を与えるべき時だ」という明確な意図からなされていたように思う。
あと、後半に入っても好機には一気に攻め上がる組織力があり、追加点を奪ってブラジルの息の根を止めた。シュート14-18、ポゼッション53-47と、数字だけ見ればむしろブラジル優位にも見えるし、内容的には2-0くらいで妥当な試合だったかもしれないが、これだけの大差がついてしまったのはドイツの試合運びの巧みさ、やるべき時にやるべきことを容赦なく徹底してやる厳しさによるところが大きいと思う。
一方のブラジルは二人の欠場者、特にCBの出場停止が大きかった。この大会のブラジルは堅固で役割分担のはっきりした二人のCBがチームの核であり、そこから往々にして中盤をすっ飛ばして前線にボールを運び、FWの個人技で仕留めるというスタイル。
グループリーグのメキシコ戦、決勝トーナメント1回戦のチリ戦と2度も引き分けるなど、今回のブラジルは大味というか、決してチームとして洗練されている訳ではなかった。特にCBを入れ替えざるを得なかったこの試合では立て続けに失点、前半から無残に中盤が間延びして、ドイツに自由にボールをつながれた。
ドイツはこの大勝で緊張、集中を切らさないようにするのが最も大きな宿題。慢心しているつもりはなくても、どこかで「既にやりきった」感が出てしまうと決勝戦に集中するのは難しくなってしまう。メンタル・コントロールが極めて重要。まあ、そういうところはしっかりしてると思うけど。
評点(評点は
ドイツ式
):
ノイアー(2) ファインセーブで終了間際までクリーンシートを守ったのは大きい。
ラーム(2.5) 的確な攻撃参加。右サイドで起点になれることで攻撃に広がり。
ボアテン(3.5) 最後の失点は敢えてムリ追いしなかったか。集中した守備。
フメルス(3) 攻め上がりも面白かった。ケガは心配。
ヘヴェデス(4) 正直あんまり印象に残ってない。左サイドどうだったっけ。
ケディラ(3) いいところに顔を出し1ゴール。アップダウンで存在感出した。
シュヴァインシュタイガー(3.5) 中盤の底でボールを収めた。攻撃参加は限定的。
クロース(2) この試合は彼のゲーム。得点以上にアシストが素晴らしかった。
エツィル(4) 姿見かけず。シュートは2本打っているようだがどうだったか…。
クローゼ(3.5) 歴代得点王は大きな仕事。今日は宙転の披露はなかった。
ミュラー(3) 3点目の前の空振りは愛嬌か。大会得点王狙える。
===
メルテザッカー(3.5) 押し込まれた局面を耐えるにはちょうど適材だった。
シュールレ(2) 果敢な攻撃で流れを引き戻した。スーパーサブの仕事を全う。
ドラクスラー(-) 時間短し。
決勝の相手がアルゼンチンになるのかオランダになるのかは分からないが、ロッベンはふだんからブンデスリーガでよく見ているのでもういい。メッシと戦いたい。
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ドイツ代表
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2014ワールドカップ
2014年07月05日 13:08
[posted by der_ball_ist_rund]
■
【ワールドカップ準々決勝】フランス×ドイツ
■2014年7月5日(土) 1:00キックオフ(日本時間)
■リオデジャネイロ
準々決勝はフランスとの対戦。1時からの試合は2〜3時間仮眠してから見るのがいつものスタイルだが、この日は飲み会で帰宅が12時を過ぎたので風呂に入ってそのままテレビ観戦に。正直眠かった。
ドイツは選手の数人がインフルエンザに罹患したとの報道があったものの、メンバーを見る限り大きな影響はなかったようだ。トップにクローゼを先発起用、またメルテザッカーを先発から外しフメルスがボアテンとCBのコンビを組んだ。右SBにはラームを起用し、シュヴァインシュタイガーがアンカー、クロースとケディラがインサイド・ハーフという布陣となった。
ノイアー
ラーム ボアテン フメルス ヘヴェデス
ケディラ シュヴァインシュタイガー クロース
ミュラー クローゼ エツィル
気温26度、湿度88%と蒸し暑い日中の試合ということもあってか慎重な立ち上がりに。どちらかといえばドイツがボールを支配し、フランスが受けに回る展開となるが、スピードに乗って一気呵成に敵ゴールに迫るというよりは、クサビをトリガーにしっかりボールを回しながら押し上げるポゼッション・スタイルの攻撃。
フランスは中盤で拾ったボールを少ない手数で前線に展開、力のあるFWに預ける形で何度かチャンスを作るが、ドイツの守備も集中しており最後のところでは身体を張った守りができており失点には至らず。
12分、ドイツは左寄りでクロースが倒されてFKを得る。クロースがこれを自らゴール前に蹴りこむと、ファーに走りこんだフメルスが敵DFと競りながらしっかり頭で合わせゴール。ドイツが早い時間にセットプレーから1-0とリードを奪う。
その後もドイツはしっかりとボールを保持しながらコンビネーションでボールを前線に供給、何度かチャンスを作る。24分にはクローゼがエリア内で敵DFにユニを引っ張られ倒されるが審判からは見えなかったかノー・ファウル。
一方でフランスも同点を狙って次第に攻勢を強めるが、ボアテンとフメルスが中央を固め、またノイアーの好セーブにも救われて得点を許さない。前半の終盤はフランスに立て続けにシュートを浴びるなど守勢に回るが守りきり、1-0と1点をリードして前半を終えた。
前半のシュートは3-7と、ボールを支配している割りには流れからフィニッシュまで行けていないことを示唆。
後半に入っても前に出るフランスに対して自陣で守りながら追加点のチャンスを窺う展開。ノイアーが好セーブでゴールを守るシーンが多く、今日も存在感が大きい。攻撃にノッキングが目立つドイツは69分、クローゼに代えてシュールレを投入。ミュラーがトップに上がりシュールレが右ウィングに入ったように見えた。
シュールレの投入で前線が活性化、72分にはミュラーが右サイドから裏に抜け出しシュートを放つがボールはゴール前を横切りファー・ポストの向こうに。82分、左サイドのエツィルのクロスは、中央でミュラーに合わなかったが、ファーのエツィルがシュート。しかし惜しくもGKにセーブされる。
83分、エツィル代えゲッツェを投入。しかし準決勝進出を前に出るフランスに押し込まれる時間が続く。ドイツはノイアーのセーブとDFの身体を張った守備でゴールを死守、試合は終盤へ。
アディショナル・タイムにクロースに代えてクラマーを投入、試合をクローズしに行くが、フランスの押し上げを受けて防戦一方。しかし敵FWのシュートはノイアーがファイン・セーブ、何とかセット・プレーで得た1点を守りきり、ドイツが同じヨーロッパのフランスを破って準決勝進出を決めた。
この試合、ポゼッションは51-49とほぼイーヴン、シュート数は9-13とフランスに見劣りしており、序盤こそ優勢に試合を進めてセット・プレーから先制点は奪ったものの、その後は効果的にチャンスを作ることができず、数少ないチャンスも決めきることができなかったことが分かる。
前半の途中からはどうしても得点の必要なフランスの攻撃を受ける時間が続いたが、これで得たカウンターのチャンスも生かすことはできなかった。クローゼはシュートなし、ミュラーも1本のみで、早い時間に得た先制点を意識して慎重な試合運びをした面はあるにせよ、何か素晴らしいものを見られた試合ではなかったと言うべきだろう。
一方でフランスは先制を許してからは前線の個人技を生かした攻撃で前に出たが、攻撃が単調でアイデアを欠き、チャンスはどれも単発に終ってドイツを助けた。ドイツはボアテンとフメルスがしっかり集中して身体を張った上、ノイアーが再三に亘る好セーブでゴールを守った。守り勝ちと言っていい。
この試合は、中身よりは局面において自分たちは今何をすべきかがしっかり理解、共有できている成熟したチームの強みという点をしっかり見るべきだろう。若い選手も含め、圧倒的な何かがある訳でなくても、勝つために今何をすべきかということがきちんと分かっているチームは強い。フットボールが文化として根づいている国のチームだからこそそれが共有できている。
規律と忍耐、いわゆるディシプリンにおいて上回ったドイツが内容はともかく手堅く勝ちを引き寄せた試合であり、こういう試合ができるのもドイツの強さ。準決勝はブラジルとの天王山。超えなければならない山であり、圧倒的なアウェイの環境でどれだけ力が出せるかが問われる。
評点(評点は
ドイツ式
):
ノイアー(2) 再三の好セーブで最少得点差を死守。存在感を存分に発揮。
ラーム(3) 攻撃では目立たなかったがクレバーな守備で完封に貢献。
ボアテン(3.5) フメルスとのコンビは悪くない。粘り強く対応できた。
フメルス(3) 貴重な先制点は見事。守備でも敵のFWにしっかり対応した。
ヘヴェデス(3.5) 攻撃参加難しかった。守備面は堅実に対応できたか。
ケディラ(3.5) 敵の中盤をしっかり抑えて十分組み立てさせず。
シュヴァインシュタイガー(3) 攻守の要として機能。アンカーは適任。
クロース(3.5) うかつなパスもあるがアシストになったFKは見事。
エツィル(3.5) よくボールに触ったがプレー選択にもう一工夫できないか。
クローゼ(4) 守備、ポストに身体は張ったが肝心のシュートはゼロ。
ミュラー(4) 前線でボールを受けたが効果的に動けず物足りない働き。
===
シュールレ(3) 攻撃を活性化。スーパー・サブとして役割を果たした。
ゲッツェ(-) 時間短し。
クラマー(-) 時間短し。もっと見たいね。
これであと2試合はできることが確定。最後まで楽しめる大会になった。
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ドイツ代表
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2014ワールドカップ
2014年07月02日 23:56
[posted by der_ball_ist_rund]
■
【ワールドカップ決勝T1回戦】ドイツ×アルジェリア
■2014年7月1日(火) 5:00キックオフ(日本時間)
■ポルトアレグレ
決勝トーナメントの第1戦はアルジェリアと。日本時間早朝5時からの試合なので早起き。普通に90分で試合が終ってくれればギリギリ出勤間際で最後まで見られるはずだ。
ドイツは右SBとしてムスタフィが先発。ボアテンがCBにスライドしフメルスがベンチとなった。また、前線はミュラーのワントップに、右ウィングがエツィル、左ウィングがゲッツェという布陣になった。
ノイアー
ムスタフィ メルテザッカー ボアテン ヘヴェデス
クロース ラーム シュヴァインシュタイガー
エツィル ミュラー ゲッツェ
試合は序盤からドイツがボールを支配し、しっかりしたポゼッションと意図の明確な前線へのボールの出し入れて動きを作りながらアルジェリア陣内に攻め込む。一方のアルジェリアは自陣で引いてブロックを整え、ドイツの攻撃を待ち受ける構えだが、ボールを奪ってからは切り替えも早く侮れない。
ドイツは積極的にボールを持って前を向くが、決定的なパスにミスが出て敵にカットされる他、敵GKの再三のファイン・セーブもあってなかなか敵ゴールに迫ることができない。
ドイツは両サイドバックのムスタフィ、ヘヴェデスが極端に高い位置を取る一方、ラームが最終ラインにも落ちてスペースをカバーする。ビルドアップにはラームがかなり自由なポジショニングで起点となるが、敵の素早い切り替えからのカウンターには手を焼く。ノイアーが再三に亘るムリめの飛び出しを見せてエリア外でクリア、面白いが心臓に悪い。
結局、ドイツが終始優勢に試合を進めながらも先制点が奪えず、スコアレスで前半を終了した。前半のシュート数は9-4とドイツ優位を裏づけているが、敵GKの固い守りに苦しんで中盤でミスが出る悪循環。
後半からゲッツェに代わってシュールレを投入。次第に足が止まり始めるアルジェリアに対し前線までボールが運びやすくなる。ただ、ドイツは相変わらずミスが多く、また、守備も少なからず不安定で、アルジェリアのカウンターには注意が必要だ。
70分、負傷のムスタフィに代わってケディラを投入。ラームが右SBにスライドする。その後もドイツが主導権を握って攻撃を仕掛けるがなかなか得点に結びつかない。80分、ミュラーのヘディング・シュートは敵GKにセーブされ、こぼれ球に詰めたシュールレのシュートもゴールならず。
88分、25メートルほどの位置で得たFKに数人でフェイントをかけるトリック・プレー。蹴ろうとしたミュラーが直前でつまずいて転び、そのまま起き上がって前線へ。敵の守備が乱れたところでミュラーが裏に向かって駆けだし、そこにボールを出すという作戦らしかったが、ミュラーのコケ方がいかにもわざとらしく、失笑を買っただけに終わった。
結局90分で決着がつかず試合は延長に。僕はここで出勤時間となり泣く泣く家を出た。
92分、左サイドからエリア内に突っかけたミュラーが中央にクロス。ニアに飛び込んだシュールレが左足ヒールで流しこみゴール。ドイツが1-0と延長開始早々にリードを奪った。
その後は後がなくなって攻撃にでるアルジェリアに対してドイツがカウンターのチャンスをうかがう展開に。109分、シュヴァインシュタイガーに代えてクラマーを投入。
クラマーは117分、シュート・チャンスを逃したものの、119分、中央にボールを持ちこんだシュールレと、左に張ったエツィルが敵ゴール前でのパス交換。結局左寄りからエツィルがゴールを挙げ2-0と試合を決定づける。
120分、ドイツの左サイドを突破され、ファーに飛ばされたクロスに飛び込んだ敵FWにダイレクトで合わされ失点、2-1に。アルジェリアも意地を見せたかったと思うが、結局そのまま試合終了となり、ドイツは薄氷の勝利で何とか準々決勝進出を決めた。
ドイツは両サイドが高い位置を取る分、相手が素早く仕掛けてきたときに後ろが対応しきれず危ない形になることも多かった。きっちり勝ちきったことは評価したいが、90分のうちに決められなかったことは反省点。今後の厳しい優勝争いを考えれば今日の守備は心許なかった。
意図を持った組み立てはできており、この試合でもシュート数28-10、ポゼッション67-33、CK10-4とアルジェリアを圧倒したものの、内容的にはミスが多く、敵GKが当たっていたこともあるが、試合ごとの出来不出来にムラがあることが懸念される。
準々決勝はフランスとの対戦。前に出てきてくれる相手とはむしろ戦いやすいように思うが、もちろん侮る訳に行かない敵で、ここからは毎試合が天王山だと言う他ない。不安点をしっかり修正して臨みたい。
評点(評点は
ドイツ式
):
ノイアー(2) 再三の飛び出しでピンチを救ったがやややりすぎの感も。
ムスタフィ(5) ポジショニング、ボール扱いとも心許なくピンチを招いた。
メルテザッカー(4.5) 敵の素早いカウンターに苦しめられた。
ボアテン(4.5) 延長の1失点のみに抑えたが敵の対処に追われた。
ヘヴェデス(5) 高い位置で戦ったが裏を使われ後追いに。
クロース(4.5) パスミス多くリズムを作れず。
ラーム(3) 守備から攻撃への展開を演出、リズムを作った。
シュヴァインシュタイガー(3.5) ボールの引き出し方、前への供給とも一級品。
エツィル(3.5) 追加点は効果的。よくボールに触り前線の起点に。
ミュラー(4) FKでのわざとらしいコケはいかがなものか…。
ゲッツェ(4.5) あまりこれといって印象に残らず。特徴出せなかったか。
===
シュールレ(3) 途中出場で攻撃を活性化。ヒールでのシュートは見事。
ケディラ(4) 悪くないボールを前線に送った。
クラマー(-) 時間短し。
次の試合はクラマーもっと出ないかな。
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