フットボール・クレイジー
football crazy
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2015年06月28日 01:29
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【Jリーグ第17節】FC東京×清水
■2015年6月27日(土) 19:00キックオフ
■味の素スタジアム
マインツに移籍する武藤のラスト・マッチ。前売が完売、ツイッターでも待機列がハンパないという情報が得られたので、ビビって出発を繰り上げ、新宿の京王百貨店で豚の角煮弁当を買って5時過ぎに味スタへ。SOCIO待機列は既にハケており、優先入場口から並ばずに入れたが確かにかなりの動員。朝はパラついていた雨も上がり、夕焼けはきれいだし、角煮弁当は美味しいし、勝利を確信した。
東京はシーズン前半優勝を逃したものの、ここまで1試合あたり2.00の勝ち点を積み上げ3位。年間順位を考えれば悪くない位置につけているが、タイトルを狙うには当然着実に勝ち点を伸ばして行くことが必要になる。シーズン前半最終戦であり武藤の壮行試合でもあることからしっかり勝ち点3を得なければならない。相手は最下位とはいえ侮ることのできない清水である。
東京は前節と同じ布陣。羽生がベンチ入り。
権田
徳永 吉本 森重 太田
三田 梶山 高橋 東
前田 武藤
立ち上がりはどちらもアグレッシヴに入る。互いにしっかりボールに行き、前に運ぶ意識も高い。拮抗した戦いになるが、やや東京が優勢にボールを支配している印象。12分、右サイドの三田のクロスを敵GKがパンチングでセーブしたこぼれ球を後ろから走りこんだ太田がダイレクトでシュートするがバーを越える。これが東京のファースト・シュートとなる。
22分には左サイドの太田からのクロスにニアで東がヘディング・シュートを放つがこれもゴール右に外れる。東京がボールを支配しながらサイドを起点に攻撃を仕掛けるのに対し、清水は拾ったボールを少ないタッチでつなぎながら素早く前線に展開、気を抜くと1本のパスで裏を取られるリスクがあり怖い。何度か裏に抜け出されるが権田のセーブ、敵のシュートミスなどで失点は免れる。
38分、敵MFのボールを中盤で梶山が奪い取り東にスルー・パス。これを受けて裏に抜け出した東は、GKをかわし、角度は厳しくなったが落ち着いて左足で流しこんでゴール。東京が1-0と先制する。東はこれまでこういうのをことごとくGKに当ててきた訳だが、ようやくかわすというスキルを身につけたようだ。梶山から東へのパスはオフサイドにも見えたがゴールは認められた。
その後も一進一退の戦いとなるが、リードを奪った東京が優勢の状況で前半を折り返す。
後半はギアを上げてきた清水に押しこまれるスタート。51分、ゴール前で密集を作られる。敵MFのシュートはポストをヒットしたが、こぼれ球を拾われ、再びゴール前に入れられると敵FWがこれを至近距離から蹴りこんでゴール。1-1に追いつかれてしまう。ポストをヒットしたボールに触れた敵FWがオフサイドだったと思うがこのゴールも認められた。バックスタンド側の副審は何を見ていたのだろう。
直後の53分、三田に代えて羽生を投入、攻守にアクセントを求めるということか。そのまま左SHに入る。
互いに積極的に得点を狙いに行く出入りの激しいゲームに。60分、梶山が中央で粘ってボールを奪い、これを受けた前田が前線にスルー・パス。武藤が裏に抜け出すが激しいマークを受けて勝負できず、DFを引きつけた状態で並走した前田にラスト・パス。前田はワン・トラップで中に切れこみ左足でシュート。これがGKの手を弾いて決まりゴール。東京が2-1と再び勝ち越す。
さらに66分、左寄りの位置で得たFKを太田が蹴ると、ボールは巻いてゴール前に。ブレーキがかかるように鋭く曲がりブレーキのかかったボールに前田が飛びこんでヘディング。これが決まり東京が3-1とリードを広げる。
77分、前田に代えて石川を投入。石川はそのまま2トップの一画に。さらに81分には完全にヘバった東に代えて橋本を投入。これで武藤を終了直前に交替させ、スタンディング・オベーションで見送る機会は失われた。
83分、エリア外からのミドルを決められ3-2と1点差に詰め寄られるが、その後は何とか守りきり試合終了。東京が逃げきって4連勝となった。
前半から積極的に仕掛け、球際でも戦えていたのが勝因か。シュート数12-9、CK4-7、ポゼッション49-51と拮抗した戦いで、先制しながら一時は追いつかれたが、前田の勝負どころを押さえた2ゴールで突き放した。前節のPK獲得もいい仕事だったが、今節は自分で決めて見せた。
仕掛けたことで逆に裏を取られるリスクも増え、実際何度か完全に後追いになってヤバかったシーンもあったが、敵のシュート・ミスもあり救われた。飛びこみが早過ぎて、そこで1枚かわされて後ろで数が足りなくなることも何度かあった。
シーズン序盤は失点が少ないことが躍進の大きな要因だったが、このところ完封できる試合が減っており、まず無失点に抑えれば負けることはないというベースが危うくなっている。2週間で修正が必要だと思う。
結局、武藤のゴールは生まれなかったが、むしろ、武藤のゴールがなくてもしっかり勝つことができた訳で、武藤を後顧の憂いなく送り出すという意味では壮行試合にふさわしい内容だったと思う。試合後にはセレモニーがあり、武藤の涙ながらの挨拶も聴いたが、ドイツでしっかり結果を出してきて欲しい。但しグラードバッハからは得点しないで欲しい。
東京は勝ち点を35に伸ばし(1試合あたり2.06)、順位を2位に上げてシーズン前半を終えた。首位浦和との勝ち点差は5あるが、シーズン前半を終えて2位というのはこれまでにない好成績。内容的にはしょっぱい試合が多く、ひとつひとつの試合をやり繰りしながら何とかここまで持って来たという感じだが、それは決して悪いことではない。最後にモノを言うのは結局のところ勝ち点なのだから。
シーズン前半2位にはチャンピオン・シリーズの出場権もなく、何の栄典もないが、年間順位を考えればこの位置でシーズンの折り返しを迎えるのは大きな進歩だ。年間優勝を目指してレベルアップを図って行かなければならない。
評点(評点は
ドイツ式
):
権田(3) 失点シーンはいずれもやむなし。好セーブで勝利に貢献した。
徳永(3.5) サイドでの対人に強さを見せた。クロスも正確だった。
吉本(4) 飛びこみが早過ぎてかわされるシーンも。タイミングを考えたい。
森重(3.5) 敵FWとのマッチ・アップで見せ場を作った。身体を張った。
太田(3) 精度の高いクロス、プレース・キックを供給。
三田(4) 積極的にボールにアプローチしたが特徴は出しきれず。
梶山(3) うかつなパスミスは相変わらずだが今日は勝利に貢献する奪取。
高橋(3.5) 落ち着いてボールを捌き、中盤を安定させた。
東(3) 得点シーン、切り返してGKを外すのは東としては新機軸。
前田(2.5) 勝利の立役者。動き出しのタイミングを仲間と共有したい。
武藤(3.5) 得点はなかったが、存在感大きい。マインツでの活躍を期待。
===
羽生(3.5) スペースを埋め、敵の嫌がるところに顔を出した。
石川(3.5) 前線でしっかり動き、試合のクローズに大きく貢献した。
橋本(-) 時間短し。
2失点で締まりのない試合になったが、最後に勝ちきったことが重要。シーズン後半も年間順位を意識した戦いを続けたい。
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FC東京
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J1リーグ戦
2015年06月21日 20:51
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【中断期間コラム】Jリーグの審判はこれでいいのか(3)
もはや中断期間じゃなくなっちゃったけど、ジャッジについて考える最終回、「ジャッジをめぐるメディアやサポーターの受け止め」について。
これまで書いてきたことと被る部分もあるけど、少なくともジャッジを批評するのであれば、またはジャッジにケチをつけたり、文句を言ったりするのであれば、まずは、メディアにも、またサポにも、ルールをきちんと勉強して理解して欲しい。
フットボールのルールは比較的シンプルで分量も少ない。もちろんその解釈のために付属のドキュメントがあったりFIFAのシーズン毎の通達があったりはするが、それにしても理解するべきことはそれほど難しくない。
公のメディアで判定を論ずるのであれば、その判定がルールに照らしてどうおかしいのかきちんと検証してからにするべきである。第1回で取り上げた湘南の菊池のシュートについては、初めから「誤審」と決めつけたかのような報道も目にしたが、その断定的判断はどこから出てきたのか、ルール以前の問題だ。
サポーターも、試合中や終了直後に感情論でガーガー言いたくなる気持ちは理解できないではないが、ルール的に正しいジャッジにいつまでも難癖をつけ続けるのは見苦しい。競技規則は常に公開されている。一度目を通すべきだ。
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サッカー競技規則
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競技規則の解釈と審判のためのガイドライン
仮に誤審があったとしても、審判員個人を非難するのは慎むべきだ。特に、前回の配当で自チームに不利な誤審をした審判が次に割り当てられた時に、審判紹介からブーイングをしたりするのは考えられない非礼である。
審判も人間だから誤審はある。技量を向上する努力は不断に求められるし、誤審で試合結果が左右されないように審判の増員、ゴールライン・テクノロジーやビデオ判定の導入などの手立ては講じられるべきだが、審判に無謬を求めることはできず、誤審を完全にゼロにすることはできない。
そうであれば我々は誤審を受け入れなければならない。いや、我々は既に、自軍に有利になった誤審は既に受け入れているではないか。そうであれば不利になった判定も同様に受け入れなければならない。不利になった誤審だけを指弾するのは、いくらその指摘が正しくてもフェアではない。
当然だが審判がいなければ試合は始まらない。アマチュアの試合を見ればよく分かるが、我々はフットボールをしたいがために、わざわざ審判に来てもらっているのである。審判に裁いてもらわなければ試合が成立しないということ自体が本来恥ずべきことなのだ。そんなに審判が嫌いなら試合なんかしない方がいい。
審判の割り当てが発表されると、「あの審判はあの試合であんな誤審をしたからダメだ」「今日の主審はこないだこんなミスをしたヤツだから今日も思いやられる」的な声が聞こえてくることも少なくないが、そんなことを言っていたら裁いてもらえる審判なんてじきに誰もいなくなってしまう。
それにそんな目で見ていては、フェアなジャッジも誤審に見えてしまうだろうし、試合だって面白くないだろう。初めから偏見を持ってジャッジを見たり、発表の時からブーイングしたりすることで得する者は誰もいない。審判の印象だってムダに悪くしてしまうかもしれない。
技量の巧拙はあるにしても、この試合に来て裁いてくれること自体がリスペクトの対象のはず。技量が優れているからリスペクトするのではない。技量に限界があり、ミスが不可避な人間同士が、敵、味方、中立に別れ、ひとつの試合を成立させようとそれぞれ努力するからこそ互いに対するリスペクトが必要なのだ。
どこかアウェイのスタジアムで、試合前の審判紹介に拍手があった。審判が誰であれ、発表の時にはフェアなジャッジへの期待を込めて拍手するくらいのリスペクトを我々も持ちたいと思った。
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Jリーグ
2015年06月20日 22:02
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【Jリーグ第16節】鳥栖×FC東京
■2015年6月20日(土) 16:00キックオフ
■ベストアメニティスタジアム
2週間のインターバルを経てリーグ戦が再開。遠方でのアウェイ戦であり、おとなしく自宅スカパー観戦。既にシーズン前半優勝の可能性は消滅しているが、年間成績を考えれば戦いはまだまだ続く。シーズン後半を展望し、少しでもいい位置につけるためには、アウェイではあるがしっかりと勝ち点を積み上げたい。
東京は梶山と高橋を併用、ダブル・ボランチの両翼に三田、東を配し、前線は武藤、前田の2トップという布陣。石川がベンチ入りした。
権田
徳永 吉本 森重 太田
三田 梶山 高橋 東
前田 武藤
前半は立ち上がりから鳥栖が主導権を握る。東京は前線からのプレスがうまくかからず、逆に出足のいい鳥栖の守備に押されて中盤でパスミスやポゼッション放棄のロング・ボールを多発、まったく攻撃を組み立てられない。
鳥栖の流れからの攻撃は何とかしのいでいたものの、球際でことごとく競り負け、セカンド・ボールが拾えない。起点が作れず苦しい戦いを強いられる。
17分、左サイドからのCKに中央で後ろから飛びこんでくる敵MFをフリーにしてしまい、頭で合わされて失点。0-1と先制を許す。リプレイで見る限り初めから誰もついていなかったように見えるがどうなっていたのだろう。
東京はその後も攻撃に連係を欠き、前線の武藤、前田にはほぼボールが入らない。24分、高橋からのフィードを受けた三田が左サイドを上がりクロスを入れると、中央で前田がワントラップ、左足でシュートを放つがわずかに枠を外れる。初めてのチャンスらしいチャンスだった。
39分、右寄り30メートルほどの位置でFKを得る。太田が蹴ったボールは壁でやや方向が変わり、枠に飛んだが敵GKがキャッチ。結局これ以外に見せ場も作れず、1点のビハインドを背負ったまま前半を終了。何もやらせてもらえずフラストレーションのたまる前半だった。
後半に入ると開始早々の51分、三田に代えて中島を投入。中島が左に入り東が右へ回る。54分、左でパスを受けた中島がエリア外からシュートを放つが枠を外れる。外れはしたもののゴールへの意志が見えるいいシュートだった。
63分、中島のクロスに前田が頭で合わせるがヒットしきれず枠外。しかし中島をアクセントにして攻撃に動きが出てきた。鳥栖は徐々に動きが止まり始める。
68分、東に代えて石川を投入。直後の69分、徳永が右サイドからクロスを上げる。中央の武藤のヘディングは届かずボールはファーに流れたが、これを拾った中島が中に持ちこみ、DFをかわして右足でシュート。これがファーのネットに突き刺さりゴール。東京が1-1と同点に追いつく。中島はJ1初ゴール。
さらに74分、エリア内でのこぼれ球に武藤がダイレクトでシュート。これはGKにブロックされたが、こぼれ球を拾った前田がエリア内に侵入すると敵GKが飛び出して前田を倒しファウル。東京がPKを得る。75分、これを森重がしっかり決め、2-1と東京が逆転。
敵GKがボールを押さえに行った手が、ボールに触れられずに前田の足にかかってしまった訳だが、GKの動きを意識してボールを先に出し、足に行った形にしたのは前田のワザだったのではないかと思う。プロの仕事だった。
78分、前田に代えて橋本を投入。石川をトップに上げたか。残り時間は東京が鳥栖の攻撃をしのぐ時間となるが、リードを奪ったことでクローズの目線がはっきりしたか、ピンチもあったものの集中した守備で時間を使いきり、東京が2-1で逆転勝利を収めた。
内容的にはひどい試合で、特に前半はシュート2本と、攻撃の糸口すらほぼつかめない状態だったが、失点をセット・プレーからの1点に抑え、後半、鳥栖の運動量が落ちたところでフレッシュな中島がいい仕事をした。
もともと、失点さえしなければ負けることはないという考えをベースに、ワン・チャンスで、PKでもオウン・ゴールでも得点して勝ちきるというのが今季の我々の戦いであってみれば、今日の試合もゲーム・プラン通りということか。
とはいえ、そのフットボールは、勝てばいいが負ければ単に内容も結果もないクソゲームになってしまう。今日の試合を評価するのであればクソゲームを受け入れる覚悟が必要だということだろう。
とはいえ、前線からのプレスがかからず、起点もできない前半の攻撃無策ぶりには改善が必要。結果が出ている間に修正を図って行かなければならない。武藤は次節限り。前田を中心に攻撃を再構築する必要があり、そのためには前田の動き出しや飛びこみに合わせる必要があって、それは実戦の中でしか調整が難しいものだと思う。補強も必要とは思うが、前田のフィットを上げることで相当カバーできるはずだ。
中島がいい動きをしてくれたことは大きな収穫だった。ボールを持てばゴールに向かう、アイデアとメンタルと技術を兼ね備えたタレントであり、彼も実戦の中で育てたい。武藤がいなくなった後の大事なピースになる。
一方、守備もこのところ失点が続いており、最後のところの厳しさの部分で原点に立ち戻る必要がある。今のフットボールでは、先制を許すと決定的に苦しくなる。セット・プレーのディフェンスや、ボール・ロストにつながる自陣での緩いパスなども含め、リスク・マネジメントをしっかりやり直すべきだ。
東京はこれでリーグ戦3連勝。戦績を10勝4敗2分とし、勝ち点32(1試合あたり2.00)で暫定ながら3位を維持。次節清水戦でシーズン前半は終わるが、重要なのは年間成績であり、勝ち点を積み上げ続けることが必要。悪くない位置につけていることは間違いなく、内容を改善して上位を確保して行きたいところだ。
評点(評点は
ドイツ式
):
権田(3.5) 失点シーンはやむなしか。それ以外はしっかりゴールを守った。
徳永(4) 前半は守備に追われた。もう少し攻撃参加があってもよかった。
吉本(4) 割りきった守備でピンチをしのいだ。飛びこみはやや早かった。
森重(4) フィードの精度が低くボール・ロストを連発。PKで面目を保った。
太田(4) FKには可能性を感じたが攻撃ではクロスも散発。休ませたい。
三田(4) 精力的に動きボールに触ったが前線と効果的に絡めなかった。
梶山(4.5) 自陣での緩いパスを再三カットされピンチを招いた。
高橋(3.5) 視野の広い展開の意識はよかった。早い寄せに苦労した。
東(4) ボールを持てばしっかりキープはできたがチャンスには絡めず。
武藤(4.5) 厳しいマークを受け仕事できず。ボールもなかなか来なかった。
前田(4) 特徴行かせるボールがなかなか入らない。PKゲットはいい仕事。
===
中島(2.5) 明快な意志の表れたプレーがチームを救った。彼のゲーム。
石川(3.5) 前線で動き回り攻撃を活性化。
橋本(-) 時間短し。
サバデルから田邉が復帰。FWの補強はどうなるのか。次節は武藤のラスト・ゲームであり満員か…。
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FC東京
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J1リーグ戦
2015年06月15日 23:40
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【中断期間コラム】Jリーグの審判はこれでいいのか(2)
さて、今回は「ジャッジをめぐる情報の公開性」についてである。
ジャッジをめぐっていろいろフラストレーションがたまる原因のひとつが、それがオープンに議論されないことにある。
オフサイドの判定がタッチライン側からのリプレイ画像で検証されないのは日常茶飯事だし、ダイジェストでPKにつながったファウルのシーンが放送されないのは当たり前。議論になっている判定も、スカパーはともかく、NHKのダイジェストではほぼ見ない。
こういう、議論を避けているかのような対応は決定的な不信を招く。もちろん判定に関する議論の中には的外れのものも多く、すべてに直対応する必要もないかもしれないが、少なくともオフサイドの判定は試合中にきちんとストップ・モーションで検証するべきである。
微妙なファウルの判定も複数のアングルからきちんと見直す必要がある。特にPKにつながったエリア内のファウルや、逆にシミュレーションと判断されたプレー、ファウルを取ってもらえなかったが怪しいプレーなども検証の必要がある。
試合中ももちろんだが、ハーフタイム、試合後、そしてダイジェストなどでも「疑惑の判定」に触れるのをタブーにしてはいけない。浅薄な感情論や印象論で正当な判定にケチをつけるのは避けたいが、そのためにはアナウンサーや解説者もルールを勉強する必要があるのは当然だ。というかそのための解説者だ。
だが、こうしたメディアの対応だけではもちろん足りない。重要なのは審判員やリーグ、協会が自ら判定についてしっかり語ることである。
かつて、JFAの松崎審判委員長がウェブ・サイトでJリーグの試合での判定についてコメントを述べるコラムを連載していて、僕はこれを熱心にチェックしていたが、残念ながら退任とともにブログも終了してしまった。その後、同様の試みを知らないが、こうして「疑惑の判定」について責任ある立場にある人がきちんとコメントを述べ、時に誤審を認めることは極めて大きな意味があった。
家本政明の著書「主審告白」も面白かったし、オフにはスカパーなどの番組に現役の審判員が出演することもあるが、そのように審判員がレフェリングについてオープンに語る機会は多くない。ましてや、オン・シーズンに、個別の判定に関して審判員が自ら判定の根拠を説明することはない。
試合直後の審判員自ら説明することが難しければ、せめてその日のダイジェストでリーグの責任ある立場の人がコメントすべきだと思う。
そんなことをしたら審判員の技量の未熟さが露見し、判定に対する信頼が失われ、試合をコントロールすることが難しくなるのだろうか。僕はそうは思わない。前回述べたように、Jリーグのジャッジの水準は決して酷くなく、判定にケチをつける意見の多くは負けた鬱憤をぶつけるだけの言いがかりである。ある行為がどうしてファウルと判定され、直後の別の行為がファウルにならないのか、繰り返しきちんと根拠に基づいて説明することで、そうした判定に対するノイズを減らさなければならない。
判定が事後に公開の場できちんと検証されるということは、審判員にも緊張感をもたらすだろう。それは短期的には拙いレフェリングへの批判を引き起こすことになるかもしれないが、長い目で見れば必ず技量の向上につながるはずだ。
Jリーグのすべての試合には審判アセッサーが置かれており、当日の主審、副審のレフェリングは100点満点で点数化されるという。これをそのまま公開することは難しいかもしれないが、レフェリング、判定に関する情報はもっと公開されるべきだし、審判員も、リーグも、協会ももっとオープンに議論に加わるべきだ。
ジャッジをめぐる情報が十分に公開され、共有されれば、判定に対する、過剰で不当な批判は減るのではないだろうか。
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Jリーグ
2015年06月14日 21:22
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【中断期間コラム】Jリーグの審判はこれでいいのか(1)
6月7日に行われた川崎×湘南の試合、54分に湘南の菊池がカウンターで攻め上がりながらゴールほぼ正面30メートルほどの位置から放った強烈なシュートは、クロスバーを直撃し下に跳ねてバウンド、再びクロスバーに当たってピッチ内に戻った。
西村主審の判定はノーゴールだったが、下に跳ねたボールはゴールラインを越えたようにも見え、湘南がリーグに意見書を提出する騒ぎになった。
今季はこの他にも物議を醸した判定がいくつかあり、ジャッジに対する議論も高まっているようだが、果たしてJリーグのジャッジのレベルは本当にそこまで低いのか。あるいはそこには何か別の問題があるのか。何らかの対応が必要なのか、あるいはこのままでいいのか。
僕には、そこにはいくつかの異なる問題が複合しているように思える。おおまかに分けるとだいたい以下のような感じだ。
1. ジャッジそのものの質とその限界を補う手立て
2. ジャッジを巡る情報の公開性
3. ジャッジを巡るメディアやサポーターの受け止め
今回は、「ジャッジそのものの質とその限界を補う手立て」について考えてみたい。
結論からいえば、僕はJリーグの審判のジャッジがそんなに拙いと感じたことはない。もちろん個々の判定や試合の運営に疑問を感じることはある。しかし、それは選手のプレーや監督の采配に疑問を感じるのと同じで、人間がやっている以上無謬ではあり得ないのだから、「今のファウルだろ」とか「オフサイドじゃないだろ」的な疑問が生じること、そのレベルの微妙な判定があることはむしろ当然だ。
そうしたレベルの微妙な判定をいちいちヒステリックに論難することの是非は別に考えるとして、それを越えてJリーグの審判のレベルが国際的に見ても明らかに低いとか酷いということはないと僕は思う。試合の中の微妙な判定や誤審はどこの国のどのリーグでも日常茶飯事だ。僕はブンデスリーガの試合を年に何十試合もテレビ観戦しているが、ドイツ人のアナウンサーも「今のはオフサイドではありませんね」「このPKは疑問ですね」などと年がら年中言っている。同じなのだ。
僕自身も何年か前に4級審判の資格を取り、拙いながらも審判目線で試合を見てしまうが、「あり得ねぇ」的な大誤審などはほとんど見たことはなく、まあ怪しいけど裁量の範囲内だろうとか、見えなかったんだろうなとか、見逃したな、とか、ほとんどは理解できる判断。むしろ「ルールから考えればおかしくないだろ」「当然の判定だろ」と審判の肩を持ちたくなるようなケースも少なくない。
例えば冒頭の例でも、リプレイを見る限り、ボールがバウンドした際の位置が、ゴールラインを完全に越えていたかどうかは極めて疑問だと思う。内側から見た場合に、ボールが外に出たかどうかの見極めは難しく、真上から見てボールの一番ピッチに近い端がゴールラインの最も外側を完全に越えるためには、内側からは相当向こうに行っちゃった状態に見えなければならない。少なくとも菊池のシュートは「これは完全に入ってるでしょ」というレベルではまったくなく、これを誤審だと断定するのはムリがある。
さらに、バーを叩いたボールがゴール内で跳ねて戻ってくるのは、後ろから選手を追いかけている審判からは最も見えにくく判断の難しいプレーであり、問題のシーンでは主審からも副審からもボールが完全にゴールラインを越えていると判断することは困難な状況だったと思う。あれを自信を持ってゴールと判断する審判は海外にもいないと思う。
Jリーグの審判は概ね勤勉で勉強熱心、規則やFIFA、リーグの求める基準に忠実。少なくとも海外のリーグに比べて著しく見劣りするとか、「だから日本の審判は」などと言われるような水準ではまったくないということだ。
だが、それは日本の審判の技術に向上の余地がないということではまったくない。先に書いたように、日常レベルの「今のファウルだろ」的に微妙な判定はいくらでもある。こうした個々のプレーの判定における技術は不断の向上が不可欠である。ますます攻守の切り替えが速くなり、運動量が増え、ワンタッチでボールがめまぐるしく回る現代サッカーにあっては、ポジショニング、争点の予測、瞬時の見極めなどの技術の向上なしに試合を裁くことはむしろ不可能だ。
加えて審判を欺くプレーをする選手も少なくない。審判の判定にことさらにケチをつけて有利な判定を引き出そうとすることが戦術であるかのように考えているクラブもある。こうした輩を放置して審判の判定だけを批判するのはまったくの片手落ちであるが、ともかく、審判はそんなヤツらにも対応しなければならず、シミュレーションを見極める目、恫喝に動じない胆力も必要になる。
一方で、先にも書いたように、どのようにしても見きれないケースというのはある。典型的なのが今回の菊池のシュートのようなゴールの判定だ。2010年ワールドカップでのドイツ×イングランドで大問題になった誤審もこれであった。その結果、ゴールラインに追加の審判を置いたり、所謂ゴールラインテクノロジーを導入するなどの試行が続けられているのは衆知の通り。
その他にもビデオ・チャレンジは以前から話題になっている。こうしたテクノロジーの導入については賛否があるだろうし、僕自身はどちらかといえば懐疑的だが、フェアなフットボールをするためにはフェアな判定が不可欠である一方、人間の五感による瞬間の判定には限界があることを考えれば、これを補う何らかの手立てはあっていいのかもしれない。
いずれにしても重要なことは、審判も人間である以上、間違いや見落とし、失敗はあるということであり、どんなに力を尽くしても判定できないケースもあるということ。選手も監督もミスをするのだから、審判にだけ無謬を求めるのはフェアでないし、現実的でもない。我々はそこにさまざまな人間くさいミスがあることを前提にフットボールを見るべきであるし、すべての議論はそこから始まるべきなのだと思う。
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Jリーグ
2015年06月13日 18:24
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【グラードバッハ】2014/2015シーズン・レビュー
僕がグラードバッハを応援し始めたのは2000/2001シーズンだった。グラードバッハは1998/1999シーズンにリーグ最下位で降格、前年は5位で再昇格できず、このシーズンは二部で後のない戦いを強いられていた。
せっかくドイツに住んでいるのだから本場のフットボールを見ておこうと思い、自宅から最もスタジアムの近かったグラードバッハの年間チケットを買って、ホームゲームには開幕戦からほぼ欠かさず今はなきベケルベルク・シュタディオンに通った。
今でも役員を務めるハンス・マイヤーの下、この年のグラードバッハは順調に勝ち点を伸ばし、優勝はできなかったものの2位で再昇格を達成。二部なのでスターと呼べるような選手は誰もいなかったが、コレクティヴな戦いぶりとスタジアムの親密な雰囲気に、フットボール観戦は僕の生活の一部になった。
その後、ドイツを離れ日本に帰国してからも僕はグラードバッハの動向を追い続けた。当時は今のように日本人がブンデスリーガで活躍することなど想像もできなかった時代であり、当然テレビ中継もほとんどなく、kickerのサイトで試合結果を確認するのが関の山。ドイツからユニを取り寄せて応援し続けた。
しかし、昇格後のグラードバッハの戦績はパッとしなかった。参考までに昇格後の戦績を書き出しておく(シーズン、順位(勝ち点)、監督)。
2000/2001 2位(62(二部)) ハンス・マイヤー
2001/2002 12位(39) マイヤー
2002/2003 12位(42) マイヤー/エヴァルド・リーネン
2003/2004 11位(39) リーネン/ホルガー・ファッハ
2004/2005 15位(36) ファッハ/ホルスト・ケッペル/ディック・アドフォカート
2005/2006 10位(42) アドフォカート/ケッペル
2006/2007 18位(26) ユップ・ハインケス/ヨス・ルフカイ
2007/2008 1位(66(二部)) ルフカイ
2008/2009 15位(31) ルフカイ/クリスチャン・ツィーゲ/マイヤー
2009/2010 12位(39) ミヒャエル・フロンツェク
2010/2011 16位(36) フロンツェク/ルツィアン・ファヴレ
2011/2012 4位(60) ファヴレ
2012/2013 8位(47) ファヴレ
2013/2014 6位(55) ファヴレ
2014/2015 3位(66) ファヴレ
見てもらえれば分かると思うが、01/02から10/11までの間、順位表の上半分に入ったことは一度もなく、降格1回(06/07)、入替戦で残留したのが1回(10/11)、一部で戦った9シーズンのうち、シーズン途中での監督交替が7シーズン。二部落ちは1シーズンで済んだものの、僕はパッとしないクラブをずっと応援し続けてきた。
そのパッとしないクラブが劇的に変わったのは11/12シーズンのように見えるが実はその布石は前年の10/11にあった。この年、グラードバッハは16位になり入替戦で何とか降格を免れたが、テア・シュテゲン、ヤンチュケ、シュトランツル、ダンテ、ノードファイト、ノイシュテター、ロイス、アランゴ、ハンケ、ヘアマンら、その後の躍進の立役者となる選手が揃っていた。
ダンテの負傷離脱などでシーズン前半は勝ち点わずか10の最下位と低迷したものの、ルツィアン・ファヴレに監督が交替したシーズン後半は勝ち点26を積み上げて後半だけなら7位の成績。今のグラードバッハの好成績の礎石はここにあったと言うべきだろう。
その後、テア・シュテゲン、ダンテ、ノイシュテター、ロイス、ハンケ、アランゴら、中心選手の移籍はあったものの、その都度的確な強化でチーム力を維持し、8位に終わった12/13シーズンが不調に見えるほどの強豪クラブへと成長した。その間、12/13はチャンピオンズ・リーグ予選からヨーロッパ・リーグ、今季もヨーロッパリーグを戦い、来季はついにチャンピオンズ・リーグに出場を決めた。
今季、ファヴレ監督の下でグラードバッハは19勝6敗9分、勝ち点66の好成績で3位になった。3位は1986/1987シーズン以来というから歴史的な復活だ。規律のある守備と、攻守の素早い切り替え、ワンタッチでのパス交換から高速で攻め上がるコンビネーション、精度の高いカウンターと、現代フットボールのひとつのプロトタイプになり得る戦略、戦術は高い評価を得た。
テア・シュテゲンをバルセロナに放出したためGKに不安があったが、ザマーが正直期待を2倍くらい上回る活躍を見せた。驚異的なリフレクション、シュート・ストップに加え、徹底してつなぎビルド・アップの起点になるボール・リリースにおいてもシーズンを通じて成長、向上を見せたことが素晴らしい。
最終ラインではコープ、ヴェントの成長によってヤンチュケ、ドミンゲスを加えた布陣の流動性が確保され、シュトランツル、ブラウアースも含めたローテーションが可能になった。シュトランツルはシーズン終盤に負傷離脱したが、日程の厳しい時期にターン・オーバーしていたことで、離脱後も守備のクオリティは落ちなかった。
シュトランツルが35歳とさすがの鉄人ぶりにも不安があることから、来季はBVBのマティアス・ギンター獲得を狙っているらしい。CLを展望すればSB(特に左)にも補強が欲しい。
ボランチはクラマーとシャカが盤石。特にシャカは加入した12/13シーズンこそパッとしなかったが、昨季、今季と中心選手に成長、クレバーなボール捌きとパンチのある左足のキックで中盤には欠かせない選手になった。代表としてワールドカップに出場したクラマーも豊富な運動量で攻守にチームを引っ張った。
クラマーはレンタル元であるレバークーゼンへの復帰が決まっており、ノードファイトの出番が増えることが予想されるが、2枚では当然足りず、このポジションの補強は必要だ。あるいはハーンあたりのボランチ起用もあるか。
SHではヘアマンに加え、ハーン、トラオレ、アザール、ジョンソンらを補強して多士済々。全員を同時に使えないのがもどかしいくらいの活躍を見せてくれた。シーズン終盤はヘアマン、ジョンソンが両翼に定着したが、ハーンとヘアマンのコンビネーションや、トラオレの個人技、アザールのセンスなどファンタジーを堪能させてもらった。
このメンバーが来季もしっかりフィットすれば、CLを展望しても戦力は足りているように思う。
前線ではラファエル、クルーゼのコンビが八面六臂の活躍を見せた。クルーゼはヴォルフスブルクへの移籍が決まっており、ELで活躍したエルゴタの成長が期待される。後釜としてはレバークーゼンのドルミッチ獲得が噂されている。マインツの岡崎を獲得するという報もあったが破談か。岡崎が来てくれたら日本での中継が増えるんだけどな…。
来季もこの調子で進撃を続けて欲しいが、まずは補強だろう。来季はCLがあり、未知の世界を垣間見られるのは今から楽しみだ。これまでパッとしないクラブを、パッとしないが故に愛してきたファンとしては、今季の躍進はボーナス・ステージみたいなものだが、ここまでくればタイトルへの欲も出てくる。
成績がいいのは当然嬉しいが、何より素晴らしいのは、明快な戦術を、高い能力と厳しい規律でやりきるプロフェッショナルの集団に我々のクラブが成長したことだ。その点において、ファヴレ監督の手腕と、マックス・エバールGMの強化は高く評価したい。慢心は戒めねばならないが、来季は一つ上のステージで存在感を見せたい。
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Borussia M'Gladbach
2015年06月07日 21:36
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■
【Jリーグ第15節】松本×FC東京
■2015年6月7日(日) 16:00キックオフ
■松本平広域公園総合球技場
連戦もいよいよ最後。首都圏外でのアウェイのためおとなしく自宅スカパー観戦に。気持ちの良い初夏の日曜日だ。
シーズン前半優勝の可能性はほぼなくなったとはいえ、シーズン全体を考えればここは踏ん張りどころ。前節、柏に勝った勢いを殺さず、アウェイだが勝ち点3をしっかり積み上げなければならない試合。
東京は森重を警告累積で欠く他、米本、羽生らが引き続き故障離脱。このためCBは吉本と丸山がコンビを組み、ボランチは梶山と高橋の2枚、左SHには橋本が初先発。前線にはラサッドが先発した。
権田
徳永 吉本 丸山 太田
三田 高橋 梶山 橋本
武藤 ラサッド
試合は拮抗した立ち上がり。中盤で激しくボールを競り合い、互いに素早く前線にボールを送ろうとするため落ち着かない展開に。特に松本の出足が鋭く、東京はボランチのところでボールが収まらず、攻撃が組み立てられない。17分、三田のミドルがファースト・シュートになるがGK正面を突く。
一方の松本の攻撃も精度を欠き、フィニッシュに行く前の段階でボールを絡め取るシーンが多い。互いにシュート数が増えないまま時間が経過して行く。
試合が動いたのは27分、丸山からのフィードを受けた太田が左サイドを上がり、敵DFに寄せられて窮屈なところからクロスを上げると、ニアに飛びこんだ橋本が左足のトゥ・キックでこれを押しこみゴール。いい時間帯に東京が1-0と先制する。
その後はリードを奪ってやや余裕の出た東京が優位に試合を進める。30分、ラサッドからのパスを受けた橋本がシュートを放つがバーの上。32分にはこぼれ球に橋本が詰めるがこれはGKがセーブ。
アディショナル・タイム、高橋からのパスを受けた武藤が敵エリア内で敵DFに寄せられながらもボールをキープすると、これを奪おうとした敵DFがハンドの反則。PKを得る。
これを前節に続き武藤が自ら蹴ると、完全にGKの逆を突いたボールがゴールに。落ち着いた武藤のPK成功で2-0とリードを広げたところで前半終了。
後半になってもリスクをとる必要のない東京が松本の攻撃をいなす展開に。53分、橋本からのパスを受けた三田が狙うが枠に収まらず。56分には高橋がカウンターから三田にラスト・パスを出したが打ちきれず、戻しを拾った高橋がミドルを放つが枠外に。
63分、ロング・スローからゴール前での密集となり、エリア内で浮いたボールを敵FWがオーバーヘッド気味に合わせるとこれがゴール。2-1と1点差に詰め寄られる。
こうした失点の後は得てして浮足立つものだが東京は落ち着いて試合をコントロール。64分、ラサッドに代えて林を投入。前線を活性化して優位に試合を進めたいということか。67分、クリア・ボールを拾った梶山がミドルを狙うが枠外。シュートの距離が遠く、現実的な脅威になっていない。
一方で、ホームで何とかして勝ち点の欲しい松本が前線でガッつくと、東京は次第に松本の攻撃を受ける格好となる。72分、橋本に代えて松田を投入。松田は右SHに入り、三田が左にスライドしたようだ。
80分、武藤からのパスを受けた三田がダイレクトでシュートするがGK正面。さらには82分、武藤がヒールで落としたボールを三田が拾ってシュートしたが枠外に飛ぶ。
85分、三田に代えて東を投入。終盤は松本の捨て身の反撃に手を焼き、自陣に押しこめられたが、権田を初め全員が身体を張り、最後のところは守りきる。敵のシュート・ミスにも助けられ、結局2-1で辛くも逃げきった。
最後は押しこまれてポンポンとボールを蹴り返すだけになったが、集中を切らさず失点を最少にとどめ前半の2得点を守って勝ちきった。シュート数10-13、ポゼッション52-48、CK6-2と内容的には拮抗した試合だったが、チャンスを逃さず効率的に得点して勝ち点3を得たことは大きい。
特に守備の要である森重を欠いたにも関わらず、守備が一定の水準を示したことは今後に向けて大きな自信になった。しかしながら、密集からの敵の技ありシュートだったとはいえ、2点差を得ながら完封できなかったことは反省が必要だ。
今の東京のゲーム・プランが無失点をベースにしていることは自明であり、4月の第8節新潟戦を最後にリーグ戦で無失点試合がないのは大きな懸念。1週間のブレイクでしっかりとした立て直しが必要だ。
ラサッドは可能性を感じさせるプレーもあったが、まだ何ができて何ができないか分からない状態。まずは連係とボール・キープの向上が必要。一方で、周囲を使う意識は明確であり、連係が上がればブレイクする可能性も十分ある。下がって受ける、守備に顔を出すなど、動きはマメだ。
戦術面では、このところ、アンカー・システムからダブル・ボランチに変更、ピッチ幅をしっかり埋めていることが持ち直しの原因か。守備時の動きを見れば完全にフラットな4-4-2のように見えるが、シンプルなだけに連係も取りやすいか。ナビスコ・湘南戦で見せた3バックも引き続き試してみたい。
東京はこれで15試合を消化、勝ち点を29(1試合あたり1.93)に伸ばし、暫定だが3位に浮上した。首位浦和が勝ったため、既にシーズン前半の優勝は消滅したが、シーズンそのものは12月まで続く。塩試合で連勝していた頃に比べれば、攻撃にも何らかの連動を見出そうとする意志が窺えるようになっており、勝ちながら課題を修正することは可能(逆に内容がよくても負けが混むと内容が悪くなってくる)。その意味でもこの試合でしっかり勝って勝ちグセをつけられたのは大きかった。
既に書いた通り、次の試合は1週間のインターナショナル・マッチ・デイを挟んで、6月20日のアウェイ鳥栖戦。クセのある相手だが、まずはシーズン前半残り2試合をしっかり勝ち、その上でどんな景色が広がるか見てみよう。
評点(評点は
ドイツ式
):
権田(2.5) 押しこまれてもシュアなキャッチングで勝利に大きな貢献あり。
徳永(3.5) タッチに逃れてもロングスローがあるので苦しかった。
吉本(4) 割りきって切り過ぎの感もあるが、ここ一番では身体を張った。
丸山(3.5) 何かたたずまいが森重に似てきたな…。使わないともったいない。
太田(3.5) 寄せられながらコンパクトな足の振りで上げたクロスから得点。
三田(3.5) 守備も板についてきた。強みで勝負する意識は評価したい。
高橋(3.5) 次第に中盤でボールが捌けるようになり試合を落ち着かせた。
梶山(4) 冴えたパス一発は魅力だが梶山の決定的な働きが見たい。
橋本(3) デビュー戦。得点だけではなく積極的にボールに絡み好機を演出。
武藤(4) PKは見事だったが、行っていいところで積極性を欠いた。
ラサッド(4) できることの片鱗は見せたがまだまだ連係不足。シュート0。
===
林(3.5) 前線でしっかり踏ん張ったが得点には結びつかず。やり続けよう。
松田(-) 時間短し。
東(-) 時間短し。
それにしても橋本を先発で試そうと考えたフィッカデンティ監督の懐の深さには恐れ入る。ただ、前田をなぜ使わないのかはナゾ。前田は出場時間に比例して結果を出す選手だと思う。
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FC東京
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J1リーグ戦
2015年06月04日 21:12
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■
【ナビスコカップ第7節】湘南×FC東京
■2015年6月3日(水) 19:00キックオフ
■Shonan BMWスタジアム平塚
昼間に所用があったので休暇を取った。朝から雨で、屋根のない平塚競技場なので行くかどうか迷ったが、午後から雨もやんだので、一応100均の雨合羽買って夕方からクルマで湘南方面に向かった。
東名がスイスイ流れていたので1時間ほどで到着。公園の駐車場にクルマを停めることができた。メイン・スタンドの指定席だったが、前から4列目で見にくかったので、ガラ空きだった上の方に移動した。
東京はここまでグループ・リーグ3勝2分で首位。この試合も3点差以上で負けない限り勝ち抜けが決まるという気分的には楽な試合だが、そういう時は得てして思いもよらぬ展開になりがち。侮ることのできる相手ではない。
リーグ戦の途中出場で存在感を見せた野澤をボランチで先発起用、また松田を右SHで先発させるなど、意欲的な選手起用となった。今季初めて試合開始からダブル・ボランチの4-4-2で臨む。幸野が今季初めて公式戦ベンチ入りした。
権田
徳永 森重 丸山 太田
松田 高橋 野澤 東
林 武藤
豊富な運動量で流動的にボールをつなぐ湘南に対し、前線からのプレスで押しこもうとする東京が組み合う展開に。2分、敵のクリア・ミスを拾いシュートを放つが枠外に。中盤4枚でピッチの横幅を見ることで守備は安定するが、前線へのリンクが難しく、出しどころを探して最後は蹴るシーンが散見される。
8分、カウンターから持ちあがった松田がミドルを放つが枠外。18分にも松田がエリア外からミドルを放つが枠外。松田の思いきりは買うが、手前で打ち過ぎてチャンスを逃す。もう少し丁寧に組み立てたい。打てばいいというものではない。
一方の湘南はスピードのあるパス交換からの動き出しが徹底されており、洗練された攻撃を仕掛ける。集中が切れれば一撃でやられる怖さがあるが、果敢な守備で決定機は作らせず。松田が右サイドに落ち、5バックに近い恰好で守るシーンも見られた。
32分、林が徳永のクロスに合わせようとするが打ちきれず。このプレーで得たCKに再び林が合わせようとするがこれも合わず。裏に放りこむボールは武藤がよく追いかけるが、押し上げがなくフィニッシュまで持ちこめないシーンが多い。攻撃が単発、散発なのは今に始まったことではないが。結局スコアレスで前半を終了。
後半開始から東に代えて三田を投入。運動量の落ちない湘南の攻撃を抑えつつカウンターを狙うがなかなか湘南の守備が堅い。CKも獲得するが合わせきれず、得点の気配がない。得点機は少ないが、互いに集中したいい試合。
東京は徳永、森重、丸山の3バックに変更、両翼に松田、太田を置き、高橋、野澤のダブル・ボランチに置いた3-4-3か3-5-2に変更したように見えた。三田のポジションが不明で前線の並びは今ひとつよく分からなかった。
75分、林に代えてラサッドを投入。77分、カウンターから右サイドをドリブルで上がった武藤が敵DFを引きつけて中央にボールを送る。ニアのラサッドがこれをスルー、ぴったりのタイミングで三田がファーに入ったが、ダイレクトで合わせたシュートは枠を外れる。三田はドフリーでこの日最大のチャンスだったが決めきれず。
湘南にもチャンスを作られるが集中した守備と、敵のシュート・ミスにも助けられて無失点を守る。東京はラサッドが前線でボールを失うことが多く、攻撃が形になって行かない。アディショナル・タイム、野澤に代えて橋本を投入、しっかり試合を終わらせろということか。結局スコアレス・ドローとなった。
これでグループ・リーグの戦績は3勝3分で勝ち点は12となり、グループ首位で決勝トーナメント進出が決まった。ガッチリ組み合ったいい試合だったが、ここ一番での決定力を欠き、無得点に終わったのは残念。
一方で、このところ公式戦8試合連続で失点を喫していた守備が完封できたことは大きい。一発が入らなくても、無失点に抑えれば少なくとも負けることはないのだということを見せた試合であり、その勝ち点1でグループ・リーグ勝ち抜けを決めたという意味でも価値のある引き分けだった。
シュート数は8-6と互いに低調。後半に見せたような連動性のあるカウンターがもっと組織的に繰り出せるようになればもっと楽になるのだと思うが、武藤が抜けることを考えても前線の連動や中盤からのパス出しにもうひと工夫、ふた工夫ないとこの先は厳しい。
例のシーンではドフリーの三田に決めて欲しかった、というかまず枠に飛ばして欲しかったが、絶好機というのは得てしてこうなるもの。我々も敵の同じような「あちゃ〜」というシュート・ミスで救われたのだから仕方ない。得点の可能性を高めるにはこういったシーンを何度も作り、母数を増やすことで「当たり」を増やすしかない。
ラサッドは存在感を見せるチャンスだったが、前線で受けたボールをことごとく失う体たらく。味方を生かそうとする姿勢や守備に汗をかく覚悟は見えたが、肝心の攻撃で迫力を欠いた。馴染むまでにはまだ時間がかかりそうに見えたが、馴染んだらどうなるかちょっとイメージが持てなかったし、そんなに時間をかけられるのかも怪しい。
ナビスコ・カップ準々決勝は9月上旬。組み合わせはこの後抽選で決まる。それよりもまずは目先のリーグ戦であり、シーズン前半残りの3試合でどれだけ勝ち点を積み上げられるかで、後半の見え方が大きく違ってくる。
松本、鳥栖とアウェイが続くが、間に1週休みがあり、コンディション調整は問題ないだろう。ここにきてケガ人も増えているが(米本、羽生ともに1ヵ月の離脱)、野澤や松田の踏ん張りもあり、チーム全体が一段成長すべき時期。シーズンを通じて成長できるチームがいい成績を残すのだとすれば、我々は今、真価を問われている。
評点(評点は
ドイツ式
):
権田(3) シュアなセービングでクリーン・シートを守った。
徳永(3) リーグ戦出場停止で蓄えた力が爆発、再三対人の強さを見せた。
森重(3) 落ち着いて最終ラインから攻撃を組み立てた。完封が嬉しい。
丸山(3.5) 素早い寄せに蹴らされるシーンもあったが落ち着いていた。
太田(4) 正確なクロス、プレース・キックはあったがさすがにお疲れか。
松田(4) 特徴は見せたがまだまだ向上の余地は大きい。使い続けたい。
高橋(3) 野澤と組むことでやりやすそうに見える。よくボールを受けた。
野澤(3.5) 柏戦に続きいいポジショニングでしっかりボールをさばいた。
東(4) 東もお疲れか。動きに精彩を欠きチャンスに絡めず、前半で交替。
武藤(3.5) 前線でボールを受けたがその後が続かず。マークも相当きつい。
林(4) 献身的に走り回ったが足につかないシュートが多かった。
===
三田(3.5) 自由に動いてボールを受けた。例のシーンが悔やまれる。
ラサッド(5) まだ本気出してないだけ。ボール・ロスト多すぎ。
橋本(-) 時間短し。
権田、森重、太田、武藤が代表に選ばれている。立て直しの大事な時期なんだけど…。
帰りも1時間で帰れた。平塚はクルマが近いな。
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