フットボール・クレイジー
football crazy
silverboy club
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2015年07月29日 23:27
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【Jリーグ第22節】FC東京×仙台
■2015年7月29日(水) 19:00キックオフ
■味の素スタジアム
「所用にて」お先に失礼して味スタへ。途中、職場から地下鉄の駅に向かう道を間違えたりとアクシデントはあったものの、何とか新宿から18:40発のぎゅうぎゅう詰めの特急に飛び乗った。激しい混雑だったが、すぐ横のスーツの兄ちゃんが文庫本を読みながら「花咲舞が〜」とか何とかぶつぶつと独り言を言っていたのが不気味だった。
東京は前節鹿島にショッキングな完敗。上位争いに踏みとどまるためにはホームでは何としても勝ち点3を積み上げなければならない。
高橋が警告累積で出場停止。梶山も負傷欠場のため、野澤が今季初先発でボランチに。最終ラインでは最近安定したパフォーマンスを見せている丸山がCBに入り吉本がベンチに。また、前節欠場した太田が先発に復帰。野澤と米本のダブル・ボランチを置いた4-4-2でスタート。
権田
徳永 森重 丸山 太田
三田 米本 野澤 羽生
前田 サンダサ
味スタに着いたのは19:10ごろ。選手カードをもらい、ビールを買ったりしている間にひときわ大きい歓声があがったと思ったら森重が先制ゴールを決めていた。右サイドの深めの位置で得たFKを太田が蹴ると、ニアに飛びこんだ森重がスラすようにして軌道を変え、これがそのままファー・ネットへ。正確なキックと高い技術のヘディングで東京が9分に1-0と先制する。これが東京のファースト・シュート。
先制した東京は落ち着いて試合が運べるようになる。ポゼッションはイーヴンだがコンパクトな陣形を保ち、ピンチになるひとつかふたつ前で止められているために、押しこまれている感はない。チャンスは多くはないが東京がゲームをコントロール。
23分、中盤で野澤が奪ったボールを前田にスルーで渡す。これを受けた前田はDFに寄せられながらも間を突破、GKとの一対一になり、これを冷静に流しこんで追加点を挙げる。東京が2-0とリードを広げる。
さらに34分、敵の高い最終ラインでのパスが前田に当たり裏にこぼれる。これを追って前田が抜け出し、DFを切り返しでかわすと、GKが飛びこんだタイミングで冷静にこれを越えるループ気味のシュートを決め3-0に。前田の落ち着きと技術が生んだ得点だが、ファーに走ってDFを引きつけたサンダサの動きもよかった。
その後は東京が手堅く試合を進め、3-0で前半を終了。東京はシュート3本で3得点と効率のよい攻撃。何より序盤に先制点を得たことが大きい。
後半から仙台が選手を2人交替。攻勢を強めてくる。
47分、自陣に押しこまれ、左サイドからクロスを入れられる。ボールはファーに流れた、余っていたFWがフリーでシュート。ボールはゴールを横切り枠を外れたが危ないシーン。直後にも敵のロング・フィードを追って背走した森重が目測を誤って頭でクリアしそこない、敵FWにそのまま裏に抜けられるピンチ。丸山が絶妙のカバーでシュートは打たせなかったものの、立て続けに危ないシーンが続く。
54分、サンダサに代えて石川を投入。石川はそのまま前線に。サンダサは交替に不満の様子だったがスタンドからは大きなサンダサ・コールが。
後半いちばんの見どころは59分、自陣で敵のパスをカットした徳永が前線にドリブルでカウンターを仕掛け、DFをかわしてGKと一対一に。しかし放ったシュートはGKに当ててしまう。スタジアムは盛り上がった。
その後は仙台に押しこまれるシーンが多くなるが、東京は依然としてコンパクトな陣形を保ち、高い集中で守備を続ける。
しかし68分、中央でボールを持つ敵FWへの寄せがなく、エリア外からフリーで放たれたシュートが決まって3-1に。人はいるのに最終ラインに吸収され、バイタルがぽっかり空いてボール・ホルダーをフリーにしてしまう悪癖がまた出た。悔やまれる失点。
73分、左サイドから石川が切れこみ、シュートを狙ったが枠を外れる。1点を返された後だけに、これはしっかり決めて試合を終わらせたかった。
77分、三田に代えて橋本を投入。橋本はそのまま右SHに入ったようだ。
82分、橋本からのスルー・パスを受けて裏に抜け出した石川がGKを意識して柔らかいシュートを狙ったが枠に収まらず。
89分羽生に代えて松田を投入。松田は右SHに入り橋本が左SHに。結局そのまま試合終了。東京が仙台に3-1で完勝した。
この試合では、野澤、丸山といった若手が落ち着いたプレーで存在感を発揮、米本、三田らもいい動きで試合を作った。前線では前田が個の強さを見せ、チームにもこれを生かす意識が生まれつつあるように感じた。サンダサは得点がなかったが、3点目に顕著に見られるように意識は高く、要所でボールを確保したり、DFを引っ張ったりしてくれた。
シュート数は7-9と劣勢、ポゼッションは50-50、CKは2-2と、数字上は我々の一方的なゲームという訳ではないが、早い時間帯の先制点で落ち着いて試合を進めることができたのが大きかった。今の我々のフットボールには、やはり先制点の比重は高い。
一方、またしてもいつものやられ方で失点したことは厳しく反省しなければならない。勝ち試合だからこそしっかり修正したい。
また、後半、2度も大きなカウンターのチャンスがありながら決めきれなかったのも課題。今の我々のフットボールでは、ワン・チャンスをいかにしっかり決めるかが勝敗に直結する。その意味でも決めておかなければならなかったチャンスだったと思う。
東京はこれで勝ち点を42(1試合あたり1.91)に伸ばし、大阪を抜いて3位に浮上。首位広島との勝ち点差は7、2位浦和とは4差。下位にはしっかり勝てており勝ち点を稼いでいるが、ここから上に行くためには上位のクラブからもきちんと勝ち点を奪わなければならない。厳しい戦いは続く。
東アジアカップのため2週間の中断に入る。東京からは4人が代表招集される一方、残りのメンバーはドイツ遠征でフランクフルトとの親善試合などもあって、この期間にしっかり戦術を熟成させることは難しそうだが、しっかり戦術を整理して、シーズン残り3分の1に備えなければならない。
評点(評点は
ドイツ式
):
権田(4) 飛び出して触れられなかったボールあり。何をイライラしているのか。
徳永(3.5) カウンター・ゴールを見たかったが十分盛り上がった。
森重(3.5) ゴールは技術の高さ。バウンドが頭を越してバタバタした。
丸山(3) 落ち着いた守備で最終ラインを引き締めた。レギュラーでいい。
太田(3) FKだけでなくさすがの鋭いクロスも連発。やはり頼りになる。
三田(3.5) シュートはなかったが、守備と攻撃のバランスをつかみつつあるか。
米本(3.5) やはり中央で輝く。ボール奪取も久しぶりに冴えた。
野澤(3) 2点目の起点となるインターセプトなど能力の高さを見せた。
羽生(3.5) プレーの当たり外れの差が大きくなりつつあるのが気になる。
サンダサ(3.5) シュートなしは寂しいがボール収容力大きい。まず1点欲しい。
前田(2) 試合に出続けることでフィットしてきた。謙虚だから個人技が生きる。
===
石川(3.5) ダメ押しのチャンスは決めたかった。ゴールへの意識は高かった。
橋本(-) 時間短し。
松田(-) 時間短し。
しかしドイツ遠征とか今ひとつ意味分からんな。
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FC東京
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J1リーグ戦
2015年07月25日 23:02
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【Jリーグ第21節】鹿島×FC東京
■2015年7月25日(土) 18:30キックオフ
■県立カシマサッカースタジアム
首都圏外のアウェイなので自宅スカパー観戦。尋常じゃなく蒸し暑い日で、夜になっても汗がひかない不快な気候。選手も消耗が予想される。
東京は前節ホームで山形とスコアレス・ドロー。引き分けの後だけにアウェイながら勝ち点3を持ち帰りたい試合。苦手な相手だとか監督が交替した直後はやりにくいとか言っている場合ではない。シーズンの中の大事なひとつの試合として粛々と勝ちを狙いに行く以外にするべきことはない。
東京は前節負傷で途中退場した梶山、太田が欠場。左SBには丸山が入り、高橋がアンカーを務める。また前線では石川に代わってサンダサが初先発。また河野が久しぶりに先発した。
権田
徳永 吉本 森重 丸山
羽生 高橋 米本
河野
前田 サンダサ
序盤は拮抗した戦い。互いにボール・ホルダーへの守備がしっかり効いており、前線でいい形を作れない。セカンド・ボールに対してもしっかり戦えており、悪くない入り方だったと思う。
13分、高橋からのパスを受けたサンダサがエリアに入りこみシュートを放つがボールは敵GK正面。しかし次第に東京の出足が遅れ始め、鹿島にボールを持たれて自陣で戦う時間が長くなる。19分、敵にパスを回されて守備をはがされ、最後はフリーでエリア内からシュートを放たれるがポストに救われて胸をなでおろす。
26分にも鹿島のパスワークから敵を捕まえきれず、落としからシュートを放たれるがバーをヒット。鹿島に押しこまれ防戦一方となる。
30分、再び自陣で鹿島にボールを回され、エリア外からフリーでシュートを打たれる。DFにわずかに当たって軌道の変わったボールが権田の逆を突く形となりゴール。0-1と先制を許す。自陣で人数も足りているはずなのに、最終ラインに人が寄ってしまい、バイタルを空けてフリーでシュートされるのはこのところの失点パターン。進歩がない。
羽生と高橋をダブル・ボランチにし、右に米本、左に河野を配した4-4-2に布陣を変更、ピッチ幅をカバーできる分、守備は安定したが、ボールを奪っても出しどころがなく、前線で起点を作れず、速攻も遅攻も迫力を欠く。追加点は免れるものの前半はいいところなく0-1で終了。
東京は後半から吉本に代えて松田を投入、徳永を左SBに回し、丸山をCB(左)にスライド。サイドからの攻撃を活性化する狙いか。また、米本を中に入れて高橋とのダブル・ボランチにし、羽生を左SHに出したようだ。
これが当たり、後半は東京のペースに。松田の思いきりのいい上がりから徐々にチャンスが作れるようになる。53分、羽生が左から入れたクロスが中央のサンダサを越えてファーに流れたところに前田が飛びこみ、厳しい姿勢ながらもシュートを放つが、ボールはポストに嫌われる。
61分、サンダサに代えてバーンズを投入、さらに66分にはケガ上がりで疲れの見える河野に代えて三田を投入して勝負に出る。ビハインドの時のフィッカデンティ監督は交替の決断が早く気持ちがいい。
すると70分、前田からの浮き球のパスを受けた裏に抜けたバーンズが、飛び出してきた敵GKより一瞬早くボールに触れ、ボールはゴールに転がりこんだ。後半押し気味に試合を進めた東京が1-1の同点に追いつく。
その後は互いに勝ち点3を狙ってオープンな展開となる。終盤になってもコンパクトな布陣を保つ鹿島に対して、東京は押し上げがなくなり間延びしてしまう。81分、敵のCKに頭で合わされ失点。1-2と再びビハインドを背負う。上背のあるDFをフリーにしてしまった。
追いついた後の厳しい時間帯の失点で東京は焦りが出る。その後も右サイドを起点に攻撃を試み、アディショナル・タイムには松田の右からのクロスがファーに流れたところを徳永がダイレクトで狙ったが枠外。さらに三田のCKに権田が上がり、こぼれ球に羽生が詰めてミドルを放つがGK正面。結局1-2で引き分けの後の大事な試合を落とした。
前半は押しこまれ失点を喫したが何とか最少失点で乗りきり、後半選手交代でリズムをつかむといったんは同点に追いついたものの、最後はセット・プレーからの失点で手に仕掛けた勝ち点1すら逃してしまった。
中盤の構築力不足とか、前線で起点が作れないとか、攻撃面の散漫さ、プアさを指摘する声も多いが、攻撃の型がないのは今に始まったことではない。もともと固い守備からリズムを作り、不格好でもオウン・ゴールでもPKでもいいから得点して勝つという戦略なのだから、失点した時点でゲーム・プランはスクランブルになってしまう。少なくとも2失点して勝てる訳もない。
今季の東京の敗因は常に、「失点を上回る得点を挙げられなかったこと」ではなく、「失点を得点以下に抑えられなかったこと」であり、この試合でも1得点している以上、失点はせめて1点に抑えなければならなかった。反省すべきは守備のもろさであり、ここが崩壊していてはタイトルなど到底覚束ない。
内容的には勝った試合も負けた試合も大差はないのだから、負けた試合だけ内容のなさ、特に攻撃のプアさを責めても仕方がないのは自明。勝機は確かにあり、少なくとも勝ち点1を持ち帰ることはできたはずの試合だったのに、最終的に手ぶらで帰ることになったのは悔しく、情けない。
相手が鹿島だからどうこうという以上に、タイトルを目指して戦うシーズンの大事な1試合を、不甲斐ない2失点で負けたことがショックだ。
東京は勝ち点を積み上げられず39のままでACL圏外となる4位に転落。ここ4試合で勝ち点4しか得られておらず次節は何が何でも勝ちが必要だ。ケガ人が多く、日程的にも苦しい(次節は29日水曜日)が、ここが若手らを底上げするチャンス。この時期をどう乗りきるかで今季の帰趨が大きく変わる大事な時期だ。
我々はまだ何も手にしてはいないが、まだ何も失ってもいない。ここで下を向く理由は何もないのだ。ここが踏ん張りどころ。
評点(評点は
ドイツ式
):
権田(4) 失点はいずれもGKとしては仕方のないもの。最後の上がりは疑問。
徳永(4) 最後のシュートは残念。無難に左SBをこなしチームを下支え。
吉本(4) 身体は張ったが前半で交替。飛びこみのタイミングも研究したい。
森重(4) 個人のプレーもだが、DFリーダーとして修正をリードする必要。
丸山(4) 前半は押しこまれ特長を出せず。CBは無難にこなし合格点。
羽生(3.5) 献身的に90分走り続け、要所でチームを救った。お疲れさま。
高橋(4) ボールを収められずバタバタする要因に。ダブル・ボランチで安定。
米本(3.5) やはりボランチで力を出す。サイドで使うのは疑問だ。
河野(4) 動きは悪くなかったがリンクマンとして機能しきれず。
前田(3.5) 前線で身体を張った。無理な体勢からのシュートはさすが。
サンダサ(4) 日本の夏は蒸し暑い。片鱗は見せたが次第に消えた。
===
松田(3.5) 思いきりのいいアップダウンで攻撃を活性化。今日の収穫。
バーンズ(3.5) 前田とのコンビが機能。何よりゴールが嬉しい。
三田(3.5) 投入された意図をよく理解して試合を作ろうとしたが…。
守備の立て直しが急務だ。
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FC東京
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J1リーグ戦
2015年07月20日 00:20
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【Jリーグ第20節】FC東京×山形
■2015年7月19日(日) 19:00キックオフ
■味の素スタジアム
蒸し暑い7月の夜。必勝を期して小田急百貨店の地下で山形牛肉弁当を買い京王線特急に乗車。武藤効果が剥落した味スタはいつもくらいの混雑だった。ビールを買って席を確保。牛肉弁当は美味しかった。山形を食ってキックオフを待った。
シーズン後半は1勝1敗。白星を先行させるためにも勝利の必要なホームゲームだ。前節から中3日と苦しい日程だがそれは敵も同じ。侮って勝てる相手ではなく、厳しい試合も予想されるが、結果を出さなければならない。
前節、ケガで途中交代となった東が欠場、代わって中島が初めて先発。バーンズ、サンダサはベンチに控える。
権田
徳永 吉本 森重 太田
米本 高橋 梶山 中島
石川 前田
序盤は山形の早い出足に押しこまれる展開に。奪ったボールを早めにトップに当て、そこから押し上げる山形のはっきりした戦術に押されて東京は自陣での戦いを余儀なくされる。ポストをつぶしきれず、最終ラインで受ける形を何度か作られる。5分、エリア手前でFKを与え、これがポストをヒットするが何を逃れる。
東京は最終ラインからのビルド・アップを図るが、前線でボールが収まらず、いい形でフィニッシュまで行くことができない。11分、左寄りからのFKを森重が蹴るがバーの上。これが東京のファースト・シュート。
最大のチャンスは21分、前田からのスルーパスを受けた中島がオフサイド・ラインをかいくぐって裏に抜け出し完全にGKと一対一に。GKの位置を見極めてループで狙ったがこのボールはゴール右にそれて先制ならず。こういう一対一が難しいのは分かるが、この絶好機は決めておきたかった。中島ならそのままスピードに乗って縦に抜き、流しこむこともできたのでは、と思ってしまうシーン。
このあたりから東京の布陣が梶山をアンカーに、右に高橋、左に米本のインサイド・ハーフを配した4-3-3に変化したように見える。中島がトップ下か、あるいは前田をワントップにして右に石川、左に中島の2シャドーか。
30分、右サイドを上がった石川からのパスを受けた中島がエリア外からダイレクトで狙うがバーの上。いいシュートだし判断もよかった。
32分、梶山が敵に足首を踏まれ傷む。治療のあとしばらくプレーを続けたが動けなくなり、35分、担架で退場。羽生と交替する。高橋がアンカーに下がり、右に羽生、左に米本のインサイド・ハーフになったと思う。
その後も拮抗した戦いが続くが、山形も好機をことごとく枠外に外してくれて救われる。次のアクシデントはアディショナル・タイム、太田が足の異状を訴え丸山と交替。歩いて退場したので重症ではないことを祈りたいが、筋肉系だと心配だ。
そのままスコアレスで前半を終了。主導権を握れないまま山形にうまく試合を進められている印象。前半のうちにアクシデントで2人も交替を余儀なくされたが、こういう試合だからこそ勝たねばならない。
後半に入ると東京が攻勢に。47分、石川の左CKにファーの前田がフリーで合わせるがシュートは敵GKがセーブ。さらに49分、石川からのパスを受けた羽生がエリア外から狙うがこれも敵GKに防がれる。きれいな軌道のいいシュートだったが敵GKが当たっている。51分、左サイド深いところからのFKを石川が蹴り、ファーの高橋が頭で合わせるがこれはバーの上。立て続けにチャンスを得るが決めきれず。
57分、中島に代えてサンダサを投入。最後のカードだったが、予想外の早い時間に切り札を使うところにフィッカデンティ監督の勝利への意志を見る。いい判断だったと思う。
サンダサはしっかりボールを受け、敵のチャージをものともせずボールをキープ、ゴールを向かう姿勢も見せる。64分、羽生からのパスを受けた米本がミドルを狙うがGK正面。抑えたいいシュートだったが距離があり過ぎた。
68分、敵のFKのディフェンスでゴール前で権田と高橋が交錯、高橋は頭を打った様子でしばらく動けず。メディカルが入りしばらく治療の後、歩いてピッチ・アウトするが様子がおかしい。既に交替枠は使いきっており退場するなら一人少ない状態で戦わざるを得なくなる。
72分、治療を終えた高橋がバック・スタンド側のタッチ・ラインからピッチに入るが主審の許可を得ておらず警告を受ける。復帰は認められたが、許可を確認する前にピッチに走って入るのは迂闊であり、判断力が落ちていることを窺わせて心配になったシーン。交替できないとはいえ、高橋を復帰させた判断には疑問が残る。
また、この主審の警告に対してスタンドからは大きなブーイング。しかし、無許可入りは競技規則でも警告対象となっており、トレラントや裁量はあり得ず、主審としては警告せざるを得ないシーン。一歩、二歩入ったレベルでなく勢いよくピッチに走って入っており警告はやむなし。不当なブーイングであり選手を無用に混乱させるものだったと思う。
その後はオープンな展開となり、互いにチャンスを作るが決めきれない時間が続く。80分、右サイドの徳永からのクロスがファーの石川に届き、石川はタイミングを計ってダイレクトで右足を振り抜いたがシュートはバーの上。
さらに36分、左サイドからの石川のFKに森重が頭で合わせるがポストをヒット。ゴール前の密集で押しこめそうにも見えたがクリアされる。ビッグ・チャンスだったが…。
インジャリーが長かったためアディショナル・タイムは7分。勝つためには十分な時間だったが、サンダサがエリア内で切り返して放ったシュートはGK正面。さらには後ろにこぼれたボールを拾った米本が遠目から狙うが大きく枠を外し万事休す。結局スコアレス・ドローとなった。
負傷交代で前半のうちに2枠を使い、戦術的な交替はサンダサの投入しかできなかった上に、高橋が傷んで万全でないまま残り時間を戦うことになった。だが、厳しい試合だったからこそ何とかして勝たなければならなかったし、そのためのチャンスは十分にあった。
敵GKが当たっていたのもあるが、13本のシュートを放ちながら無得点に終わったのは不甲斐なく、勝ち点2を逃した試合。このツケをシーズン終盤に払うことにならないよう祈るのみ。勝てた試合だったのに決めきれなかったのが悔しく、情けない。負けに等しい引き分けだ。
好機を決めきれない試合では、これまで終盤に「なんじゃそりゃ」的な失点をして負けることがよくあったが、そこを抑えきって完封したのが唯一のポジティヴな点か。まあ、それとて敵がシュート・チャンスを勝手に外してくれたからかもしれないが。
また、試合終了時にスタンドから審判に大きなブーイングが浴びせられたのも後味が悪かった。ジャッジの巧拙やいくつかの見逃しはあるにせよ、そんなものはどの試合、どの審判にもあるもの。重大な誤審はなく、高橋への警告は正当なものであり、少なくとも盛大なブーイングを浴びるほどひどい試合運営だったとは思えない。
好機を決めきれずに勝てなかっただけの試合であり、審判に罪はない。イライラは分かるが、それを審判にヤツ当たりするのはやめた方がいい。
勝ち点の上積みは1にとどまったが、首位の浦和が広島に負けたため首位との勝ち点差6は変わらず、2位広島との勝ち点差が4に広がったのみで3位は変わらず。また4位の大阪も引き分けた。
ケガ人が増えてきて踏ん張りどころ。若手の成長が必要だ。
評点(評点は
ドイツ式
):
権田(4) ほぼ試されず。キャッチングは安定していたがキックが今イチ。
徳永(4) 守備は安定していたが、ここ一番の攻撃に思いきりが欲しい。
吉本(4) 今日も身体を張った。不用意な飛びこみも少なかった。
森重(3.5) 久しぶりの完封は嬉しい。落ち着いて対応、FKは惜しかった。
太田(4) ケガのため前半で交替。状態が気になる。軽傷ならいいが…。
米本(4) 献身的に走り回ったが最後の宇宙開発は罰金もの。焦りが出たか。
梶山(4) 前半で交替。激しく削られており長期離脱の懸念も…。
高橋(4) 後半のケガの後は復帰させるべきではなかった。大丈夫か…。
中島(4) 特徴のあるプレーを見せたが絶好機を決めきれなかった。
石川(4) FK、CKでいいボールを蹴っていた。前田とのコンビも悪くない。
前田(3.5) 献身的にボールを追った。チームにフィットしてきている。
===
羽生(4) 急場を救ったものの焦りが目につく不正確なプレーも多かった。
丸山(3.5) 太田の穴埋め以上の活躍。チャンスをつかみたい。
サンダサ(3.5) 強靭なフィジカルと足許の技術で圧倒。あとは得点。
次節はアウェイでの鹿島戦。難敵だがここを乗り越えないと先はない。フレッシュなメンバーでチャレンジしたい。
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FC東京
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J1リーグ戦
2015年07月16日 01:08
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【Jリーグ第19節】FC東京×新潟
■2015年7月15日(水) 19:00キックオフ
■味の素スタジアム
イングリッシュ・ウィークのナイト・マッチ。ホームだが都合がつかず自宅で時差スカパー観戦。昨季からずっとホームでは平日も含めて皆勤だったが、まあ、仕方ない。
東京は前節、アウェイでの川崎戦で不甲斐ない負け方をしており、上位を狙う以上連敗は許されない試合。勝ち点3をしっかり積み上げる必要がある。
前節の敗戦を受け、フィッカデンティ監督はアンカー・システムから梶山と高橋のダブル・ボランチに変更、米本を右、東を左のSHに配した4-4-2となった。また、新たに獲得した外国人サンダサがベンチに入った。
権田
徳永 吉本 森重 太田
米本 梶山 高橋 東
石川 前田
試合はいきなり動く。9分、高橋からのパスを受けた太田が左前線に抜け出し、ゴロで中央に折り返すと、後ろから走りこんだ東が右足で冷静に流しこんでゴール。東京が早い時間帯に先制し1-0とリードを奪う。
その後はリスクを負う必要のなくなった東京が試合をコントロール。ポゼッションは決して高くないが、前線からの連動した守備で新潟に決定的な形を作らせない。東京にも得点機は少ないが、集中を保ったまま1-0で前半を折り返した。
後半も立ち上がり49分、森重からのパスを受けた前田がエリア内に侵入、敵DFを引きつけてゴール前のスペースにボールを出すと、走りこんだ高橋が流しこんでゴール。東京が2-0とリードを広げる。いいタイミングでの追加点で試合の流れは大きく東京に傾く。
55分、梶山に代えて羽生を投入。米本がボランチにスライドし、羽生が右SHに入る。
その後は拮抗したゲームとなるが、東京はコンパクトな陣形を保ち新潟にチャンスを与えない。69分、石川に代えて初出場のサンダサを起用、さらに72分には東に代えて中島を投入する。
78分、左サイドの深いところで得たFKを太田が蹴ると、ニアに猛然と飛びこんだ森重が頭でこれに合わせゴール。3-0と東京が決定的な追加点を挙げる。
この時点で完封が至上の課題だったが、試合も終わりかと思われたアディショナル・タイムに、敵CKの際のエリア内の競り合いで森重が警告を受け、敵にPKを与えてしまう。この判定には激しいブーイングが浴びせられたが、リプレイで見る限り、森重が敵FWを抱えこんで倒したようにも見え、少なくともファウルを取ってまったくおかしくないプレー。
このPKを敵FWが冷静に決めて3-1。試合はそのまま3-1で東京が勝ったが、警告の判定に納得が行かない東京の選手たちは試合後にも審判に抗議、一部の選手は審判との握手もせずに退場した。スタンドのサポーターも激しいブーイング。ヒーロー・インタビューの太田も「最後の失点が呼ぶんだった」とまるで負け試合のような憮然とした口調で話すなど、騒然とした雰囲気となった。
とはいえ、勝利には間違いない。アウェイでの敗戦の後、ホームでしっかり勝つことができたのは大きい。東京はこれで勝ち点を38(1試合あたり2.0)とし、順位も大阪を抜いて4位から3位に浮上した。
シュート数は8-7、CKは5-4、ポゼッション41-59と、数字的には必ずしも東京の勝ち試合に見えないが、早い時間帯に先制、そのリードを守りながら効果的に加点した試合運びはゲーム・プラン通りか。PKで完封を逃したのは残念だったし、あの時間帯としては無用のファウルだったが、失点をその1点に抑えたことは評価できる。完封は次節に期待したい。
もっとも、判定に対する選手たちの態度はフェアさを欠くもので残念。ワンプレーにこだわる姿勢は大事だが、社会人として、職業人として見せるべき態度ではなかった。
太田のクロスに東が合わせた1点目、前田のキープから高橋が決めた2点目、セット・プレーから森重の頭を生かした3点目と、「武藤後」を感じさせる得点の積み上げ方が頼もしく、前節の惨敗から短い時間での修正を感じさせる内容だった。
また、サンダサはゴールこそなかったものの、前線でしっかりボールを受け、キープして味方に渡すプレーや、自ら仕掛けて敵DFを置き去りにするプレーなど、高いクオリティを感じさせた。バーンズとともに、フィットすると大きな戦力になる可能性がある。
敵を圧倒した訳ではないが、きっちり勝ちきった好ゲームだった。
評点(評点は
ドイツ式
):
権田(3) ファイン・セーブあり流れからは無失点。PKはさすがにやむなし。
徳永(3.5) 右サイドを封殺。最近は対人の強さが際立っている。攻撃も。
吉本(4) スペースにボールを入れられた時の対応が不安定。進化を求む。
森重(4) 集中して守っていたが警告は余計。態度もいただけなかった。
太田(3) 正確なクロスで2アシスト。1点目はセンスを感じさせた。
米本(3.5) ボランチにスライドしてから持ち味が生きたような気がする。
梶山(4) DFラインと前線をつなぐ重要な役割を担う。交替は残念。
高橋(3.5) ボランチで安定。ゴールはあそこに入って行った判断がいい。
東(3) いい動きでボールを動かし続けた。ゴールは冷静さがよかった。
石川(3.5) 前線からのプレスが効いていた。ゴールも欲しかったが…。
前田(3) 2点目は実質的に前田の得点。フィットしてきている。
===
羽生(3.5) 途中出場だがいい動きで試合をしっかり締めた。
サンダサ(3.5) まだこれからだが高いポテンシャルを感じさせた。
中島(3.5) 時間短かったが印象に残る活躍。
次節は日曜日。ホーム連戦となるが勝たねばならぬ。
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FC東京
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J1リーグ戦
2015年07月12日 00:05
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【Jリーグ第18節】川崎×FC東京
■2015年7月11日(土) 18:30キックオフ
■等々力陸上競技場
東京駅付近で所用があったので、大丸の日山で焼肉弁当を買い、横須賀線で武蔵小杉に向かった。電車を降りてから改札を出るまでに南武線のホームを歩くなど強引な構造の駅を歩き、等々力へ。いつもは東横線の新丸子駅から歩くのだが、武蔵小杉からでも距離感はほとんど変わらない感じ。
前回等々力に来た時にはメイン・スタンドが改修中でキャパシティが減っており、立ち見を余儀なくされて、こんなクソスタ二度と来るかと思ったが、今年はメイン・スタンドが無事落成、メイン上層の指定席を張りこんだ。当然だがきれいで席の横幅にも余裕があり、ドリンク・ホルダーもついている。やや傾斜が緩い感じはしたが悪くない。但し川崎サポと東京サポが完全に混在しており雰囲気は微妙。
シーズン後半の開幕戦だが、「武藤後」を問われるという意味でも負けられない戦い。シーズン前半を終えたところで2位につけており、年間でこのポジションをしっかり守って行くためにも勝ち点を積み上げたい。
ケガで離脱していた米本がスタメンに復帰、またオフの間に獲得した新外国人ネイサン・バーンズがベンチ入りした。
権田
徳永 吉本 森重 太田
羽生 梶山 米本
東
石川 前田
前半は東京のハイ・プレスが奏功。前田、石川、東らが前線からボール・ホルダーをしっかり追いこみ、テンポよくパスをつなごうとする川崎とがっちり組み合う。パスカットもできて何度か敵ゴールにも迫るがフィニッシュは決めきれず。
一方で川崎も東京のプレスをかいくぐってボールを動かしてくるが、シュートは遠目からのものが多く枠に収まらない。拮抗した展開となる。
しかし東京の攻撃は散発。FKやCKからチャンスを得るが、今ひとつ息が合わないか、ゴールを脅かすような形にはならず。東が前線で踏ん張るがいい形でフィニッシュまで持ちこめない。川崎の攻撃には対応したものの、東京も得点の予感はないまま前半をスコアレスで折り返す。
前半は前線からのチェイス、セカンド・ボールへの意識ともしっかりできており、ワン・チャンスを決めたい展開だったが、この時点での0-0はまず悪くないと言っていいだろう。後半勝負となる。
しかし、試合は後半開始早々に動く。52分、カウンター気味に右サイドを使われ中央にクロスを送られる。これを敵MFに合わされ、ドライブのかかったシュートは権田から逃げるようにゴールへ。よくない時間帯に0-1と先制を許し一気に試合が難しくなる。失点はいつも想定外だ。
61分、東に代えてバーンズを起用。さらに66分には羽生に代えて高橋を投入し、高橋と梶山をダブル・ボランチに、石川が右、米本が左SHに張る4-4-2にシステムを変更する。
バーンズはボールを受けるとシンプルに味方を使う上手さもあり面白い動きをするが、連係はまだこれから。石川が徐々に息切れし、追う立場の東京から得点の匂いはせず、焦りばかりが先に立つ展開になってしまう。
73分、敵FWがエリア手前でドリブルしているところを倒してしまいFKを与える。数的にエリアに入りこめないと見た敵がファウルをもらうべくエリア手前でドリブルしているところに行ってしまった。このエリアでこういう動きをさせた時点で敵の術中というシーンだった。
74分、このFKをきれいなロビングで決められ失点。0-2と決定的に苦しくなる。
直後の75分、石川に代えて中島を投入し、反撃を試みるが、ボールは持てるものの、バイタルにはなかなか入りこめず、フィニッシュまで持ちこめない時間が続く。逆に川崎にカウンターを仕掛けられ、何度か危ない場面もあるが、必死の守備と権田のセーブで何とかしのぐ。
しかし、選手交代などで巧みに時計を進められ、結局攻撃の糸口をつかめないまま0-2で川崎に完敗。今季の多摩川クラシコは互いにホームで勝つ1勝1敗となった。
この試合、シュート数6-16、ポゼッション39-61と完全に劣勢。今の東京はたとえこういうスタッツでも結果が1-0ならそれでいいというフットボールをやっている訳だが、逆にこの内容で結果が出ないと本当にクソサッカーになってしまう。
今日も攻撃の形が作れず、どうやって得点するのかまったく戦術らしきものが見えなかった。今日に始まったことではないが、武藤を放出した以上、前田の動き出しやポストを使うなど、もう少し意図の見える攻撃が必要。敵DFを引きつけてくれる武藤がいない分、前線ではガチの競り合いになる。その中でチャンスを得る動き、連係、こうくればこうやるという共通理解が必要だ。
だが、それにも増して言いたいのは、攻撃の形が作れず、セット・プレーくらいしか得点機がないのであれば、まず失点、時に先制点だけは何としても避けなければならないのだし、セット・プレーは決めきらなければならない。それができなかった時点で今日は負け試合だ。
バーンズは守備をサボりがちな印象はあるものの、攻撃ではしっかりボールを受け、味方を使う部分とシュートの意識とのバランスも悪くなかった。連係はこれからだが、フィットすれば面白いのではないかと思わせる。試合で使ってトライをさせ続ける必要がある。前田も同じことで、フィットさせるためには我慢も大事。
あと、ジャッジに関してはゴール・キックとCKの判定など、「ん?!」と思うものもいくつかはあったが、裁量の範囲か軽易なミスジャッジに属するもので特に問題にすべきものはなかったように感じた。我々は2点を失って川崎に負けたのであり、審判と戦った訳ではない。先入観で最初からあら探しをするような見方で、敗因をジャッジに帰するのはやめたい。
これで東京は2位から4位に後退。シーズン後半に入り、競合するクラブに置いて行かれないようコンスタントに勝ち点を積み上げることが求められるタフな時期になる。今日の敗戦から何を学び、どれだけ短い時間で修正ができるか、今季の行く末を占う上で重要な敗戦だった。
評点(評点は
ドイツ式
):
権田(3) カウンターからの決定的ピンチを救う。2点で済んだと言うべき。
徳永(4.5) サイドのスペースを使われた。右サイドの攻撃を活性化したい。
吉本(4.5) 集中していたが最近全消しをかわされること多し。読まれている。
森重(4.5) 敵の攻撃をしのぎ続けたが結果的に2失点。今季は彼にかかっている。
太田(4.5) 東とのコンビは健在だが、クロスで勝負するまでも至らず。
羽生(4.5) 積極的にボールに関わり続けたが前にはなかなか出て行けず。
梶山(4.5) しっかりボールを捌いたが、軽いパスでのボール・ロストの印象。
米本(4.5) 飛びこんだり足を伸ばしてはがされるシーン多し。強みはどこへ。
東(4) 気の利いた動きで前半アクセントを作ったが無念の途中交代。
石川(4.5) 見せ場作れず。いいボールも来なかった。フルタイムはきつい。
前田(4.5) 最後まで献身的に走ったがシュートは1本に終わった。
===
バーンズ(4) 連係はこれからだが積極的にボールに絡んだ。今後に期待。
高橋(4) 視野の広さ、冷静さはよかった。先発で使いたい。
中島(-) 時間短し。ひとりゴールに向かう気概を見せた。
タイトルを狙うのであれば連敗は許されない。次節が極めて重要になる。
帰りも武蔵小杉まで歩いたが、結局東横線の各停に乗ったので、新丸子に行っても同じだったか。悔しくて家に帰ってカレーをやけ食いした。
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FC東京
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J1リーグ戦
2015年07月05日 22:56
[posted by der_ball_ist_rund]
■
【FC東京】2015年シーズン前半レビュー
東京はシーズン前半を終えて11勝4敗2分、勝ち点35(1試合あたり2.06)を積み上げて2位。これはJ1に昇格してから最もいい成績だ。また、ナビスコカップでもグループ・リーグ6試合を3勝3分で1位通過。高く評価されて然るべきだと思う。
フィッカデンティ監督の下で2年目となった今季は、開幕こそ2試合続けて引き分けとなったものの、その後はしっかりした守備でクリーン・シートを守り、少ないチャンスを決めて僅差で勝つという試合が続いて流れに乗った。
トップはパスの出しどころを限定し、中盤がボール・ホルダーに当たり、最終ラインは身体を投げ出してシュートを防ぐという明確な守備戦術は、とにかく失点がなければ負けることはないというシンプルな事実に基礎を置いており、その意図が選手に徹底されているのが今季の東京の強みだと言っていい。
「勝つこと」への執着や、「結果を出すこと」の優先順位という意味では、東京の戦い方は明らかに変わったと思う。負け試合の後で「内容では勝っていた」というコメントを出す側から出させる側へ。かつて我々がそんなコメントを出していた試合は、相手からはこう見えていたのかというのが今季になってよく分かった。
だが、それは決して内容が悪くていいということではない。内容がよくても勝てないより、仮に内容が悪くても何とかしのぎ、ワンチャンスでもPKでもオウンゴールでもいいから得点して勝つことの方が重要だという、考え方、優先順位の問題である。偶然頼みの好成績は持続できない。プロなのだから「どうやって得点するのか」という戦略・戦術をしっかり持っていなければならない。
その点、今季の東京の戦いは心許ないのも確かだ。いい成績を残しながら、圧倒的に勝った印象があまりなく、素晴らしいフットボールをやっているという実感も持ちにくい。目の前の試合をひとつひとつ必死で戦っているうちに、何とか悪くない成績が残せたというのが、多くのサポーターの偽らざる気持ちではないだろうか。少なくとも僕はそうだ。
我々が感じる不安の大きな部分は攻撃の繋がりの悪さにある。「こうやって得点する」という型がなく、結局のところ武藤の個人技か、太田のクロス、プレース・キック頼みで何とか決勝点を挙げてきた印象が強い。しかも頼みの武藤は先月限りでマインツに移籍してしまった。「強い」という実感が持てない原因はおそらくここにある。
その上、強固であったはずの守備にも綻びが出て、リーグ戦での無失点試合は第8節新潟戦を最後に途絶え、第12節の浦和戦では4失点を喫している。失点より多い得点を挙げて勝つのは重要だが、そもそも失点しないことをベースにした戦術において、特に先制点を許した時の消耗は大きかった。
東京のプレスをかいくぐるように中間のポジションで素早くパスをつながれたり、ハイ・プレスをかけられサイドの裏のスペースを使われたり、逆に引いて守られ、ポゼッションを余儀なくされるなど、東京の戦術を研究され、強みを消されてきていることが次第に感じられるようになった。
これに対し東京も、アンカーと2枚のインサイド・ハーフを置く布陣から、最近ではダブル・ボランチを置いた4-4-2または4-2-3-1にシフト、ピッチ幅をカバーすることによって起点をつぶすなど対応したが、失点はなくならなかった。
また、シーズン前半を首位で折り返した浦和には歯が立たなかった。タイトルを狙うための天王山と位置づけて臨んだ大事な試合だったが、浦和の完成度の高いコンビネーションによって再三崩され、失点を重ねて1-4。大事な試合だからこそ平常心で臨んで淡々と勝つということができなかった。我々に欠けていることが明らかになった一戦だったと思う。
シーズン後半に向けてやらなければならないことは3つ。
まず守備の立て直し。東京の試合は失点をしないことから始まる。特に切り返しに飛びこんだり不用意な足の出し方でかわされたりして、一気に守備の数が足りなくなるのは何とかしたい。身体を張るのはいいが、守備の方法論も研究されつつあるのではないか。
次に、攻撃の型をきちんと確立すること。特に、武藤の穴をどうやって埋めるかということだ。その意味では前半戦最終節で前田が2ゴールを挙げたことは嬉しい。さらにはオーストラリア代表で同国リーグのMVPであるネイサン・バーンズ、スペイン2部リーグ得点王のフランシスコ・サンダサの名前が補強候補として挙がっている。
最後に必要なのは、大事な試合にきちんと勝つこと。以下は、僕が浦和戦に負けた翌日にポストしたツイートだ。
「オレらは昨日何か考え違いをしていたのではないか。首位攻防だ、天王山だと気合いMAX、意気込みMAXだった。しかし、必要だったのは気合いや意気込みではなく、ひとつの試合として淡々と冷徹に現実に結果を出すことで、それが分かっていたのはたぶん前田ひとりだったのだ。だからこそあの試合で得点できたのは前田だけだった。オレらが鹿島やら何やらから学ばなければならないのは、そういうある意味での『平熱の低さ』、あるいは『合理性に裏づけられた意気込み』または『意気込みに裏づけられた合理性』みたいなものではないか」
あの試合で、僕は「勝者のメンタリティ」と言われるものの本質が少し分かったような気がする。それは「熱さ」よりは、むしろ、周囲の状況に惑わされず、必要なことを淡々とやり抜く「冷徹さ」「平静さ」といったものではないのかと。
シーズン後半でいちばん成績のよかったクラブにはプレーオフへの出場権が与えられるので狙わなければならないが、結局のところ重要なのは年間順位。折り返しでは悪くない位置につけているので、このまま年間優勝を明確に意識した戦いをしたい。
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