フットボール・クレイジー
football crazy
silverboy club
presents
2015年11月29日 21:40
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【緊急コラム】フットボールとレイシズム2015
浦和レッズのサポーターと思われる人物が、ガンバ大阪の黒人FWパトリックに宛てて、人種的な偏見に基づく侮辱的なリプライをTwitterで飛ばした問題。その後、パトリック、浦和、大阪双方のクラブからのコメントが出ているが、まだ問題として十分に対応され、収束したとは言い難い。
フットボールとレイシズムについては、1年半前にやはり浦和の関係者が人種差別的な横断幕をスタジアムに掲出し、その後浦和が無観客試合を余儀なくされた時に書いたテキストがあるので再掲しておく。さっき読み返したが我ながらよく書けているのでこれに書き足すことはあまりない。是非読んでみて欲しい。
フットボールとレイシズム(事件編)
2014.3.11
フットボールとレイシズム(始末編)
2014.3.18
FIFAがレイシズムに敏感に反応するのは、それがフットボールの根幹である多様性、開明性、普遍性を一瞬で台無しにする最大のリスクだからである。世界中で一種の共通言語として、おそらく最もポピュラーなスポーツとして共有され、選手が国境を越えて流動し、ワールド・カップでは遠く離れた国同士が同じ時刻にひとつのコンテンツを息をつめて見つめる、そのフットボールのグローバルな価値を、レイシズムはたやすくズタズタにするからである。
したがって、今回の事件に対しても断固とした対応が取られなければならない。十分な対応がなされなければ、日本はレイシズムに寛容な国だと受け止められ、グローバルなフットボール・ファミリーから放逐されることだって考え得る。手遅れになる前に、JFAがイニシアチブを取って「政治的に正しい」対応を行うことが必要だ。
だが、今回の事件で難しいのは、まず、横断幕がスタジアムに掲出されたというような、明らかにクラブの支配領域内で起こった出来事とは異なり、Twitterというバーチャルな空間で、匿名の個人によってなされた行為だということ。やらかしたヤツはおそらく高校生だと思われるが、中高生の自意識が先走ったクズのようなツイートをいちいちクラブがコントロールすることは不可能。その意味で、事前抑止は極めて困難な事象だ。
さらに、この行為者が本当に浦和のサポーターかも分からないということ。過去のツイートや推測される属性からはおそらく浦和のサポーターだと思われるが、誰かがクラブを陥れようと、そのクラブのサポであることを偽装して不穏当なツイートをすることは止められない。残念ながら匿名のゴミためのようなコミュニケーションからそのような悪意を排除することはできない。
事前抑止もクラブに責任を負わせることも困難だとした場合、いったい何がなされるべきか。
端的に言ってしまえば、地道な啓発活動以外にやるべきことは少ないと思う。手間もカネもかかる割りに実際に効果が上がっているかが極めて見えにくい、最もベーシックな手法でしか、このようなタイプの偶発テロみたいなインシデントを減らすことはできない。
こうした表現の何がいけないのか、なぜいけないのか、それがどのような影響を及ぼし、どれだけの人に大きな迷惑をかけたり無用の憎悪を掻き立てたりするのか、それが最悪の場合にどんな重大な事態に結びつき得るのか、そのことを、繰り返し、できる限り多くの人に伝え続けるしかない。
中学生や高校生が、身内でムカつくヤツに「死ね」と吐き捨てるようなこと自体はあり得ることであり、止めることはできない。しかし、それが人種や民族といった特定のステロタイプと結びつくとき、それは単なる考えの足りないガキの程度の低い戯言では済まされず、好むと好まざるとにかかわらず、社会的に大きな意味を帯びたメッセージになってしまう。
しかもそれがTwitterやInstagram、FacebookなどのSNSやブログなどを通じて、瞬く間に世界に共有され、ひとたび拡散されるともはや撤回できなくなる。一度放たれた火は、自分の意図を越えたところでどんどん燃え広がって、山や森を焼き尽くして行く。そうした、情報管理の不随意性、アンコントローラビリティについて、僕たちは僕たちの子供たちに真摯に教えなければならない。
国際化したとはいえ、日本語を話す日本人が大半を占め、海に囲まれた我が国で、人種や民族の問題を実感する契機は乏しい。いや、在日朝鮮人や外国人労働者の問題などを通じて、そうしたことを学ぶ機会はいくらでもあるはずなのだが、それが実感されないということは、おそらく自分たちが「差別される」側に立つ経験がほとんどないからなのかもしれない。
僕はドイツに住み、ヨーロッパを頻繁に旅行した8年間で、自分がマイノリティであるということの怖さ、不愉快さ、やりにくさ、難しさを実感した。乏しい経験ではあるが、子供たちに「外国人は出て行け」と歌いながら囃されたこともある。レストランであからさまにひどい席に通されたこともある。
黄色人種として、自分自身もまた人種問題に向かい合うべき立場にある日本人の子供が、黒人選手に「おまえは黒人奴隷なんだからおとなしく死ね」などとツイートできる、その恐るべき想像力の欠如は、彼自身の罪である以前に、それをティーンエイジャーにきちんと教育できていない我々自身の責任である。
だからこそ、個々のクラブだけではなく、JリーグでありJFAが時宜を逸することなく的確なメッセージを発信しなければならない。そして、試合前のメッセージの発表、研修・勉強会、広報など、当たり前のプログラムを倦むことなく続けて行かなければならない。それ以外に方法はない。もちろん、僕たち自身も、自分の子供たちにそのことを伝え続けて行かなければならないのは言うまでもない。
その一方で、この行為者をきちんと特定し、社会的に責任を取らせることも必要である。このような考えの足りない、意見とも呼べないような意思表明が、結果的に自分自身をどのような立場に追い込むのか、いかに割りの合わないことなのか、そのことも明確に示されなければならない。しかし、もちろんそれは、彼の属性をネット上の情報から特定し、さらして吊し上げることではない。それは私刑であり許されないことだ。
残念ながら、こういうケースは今後も繰り返されるだろう。人の心に入りこんでその考えをムリヤリ「修正」することができない以上、そこにどす黒い憎悪や反感が生まれることは止められないし、それはむしろ人間として自然な感情のひとつだからだ。
だが、その感情をどうコントロールし、どう表現するかは教育によって改善することができる。根本的な解決策はない。ただ我々が諦めた時、フットボールは死ぬ。
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Jリーグ
2015年11月28日 11:28
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【緊急コラム】フィッカデンティ監督退任に思う
フィッカデンティ監督との契約を来季に向けて更新しないことが正式に発表された。既にシーズン中から報じられていたので驚きは少ないが、クラブとして過去最高の勝ち点を挙げ、4位に導いた監督の退任は少なからずショックであり、サポの間にも異論は少なくない。
僕自身としても、今季の戦いをベースに、戦術の一層の徹底を図ることで来季は現実にタイトルを狙えると考えていたので、この退任は意外であり、「早過ぎる」と直感的に思ったのは間違いない。
特に、報道が出たのがチャンピオンシップを目指して最後の戦いを控えていた時期であり、「優勝できなければ」というクラブの意向も併せて報じられたために、クラブとしては今季の戦い、成績に不満があるという捉えられ方をしたのもやむを得なかったと思う。
しかし、クラブがフィッカデンティ監督との契約を更新しないと決めたのはおそらくもっと前の時点であり、その判断の基礎になっているのは、決して今季の戦いぶりが不足であるということではなく、この戦い方でどこまで行けるのか、どこまで行くつもりなのかというヴィジョンの問題なのだろうと思う。
クラブとしてはこの戦い方で上積みを図る余地はもはや大きくないと判断したのだろう。もちろん議論の余地はあり得るが、フィッカデンティ監督の下で導入した「形よりも結果にこだわる現実的な戦略」「固い守備をベースにした戦術の構築」という行き方でやれることは今季で見えたという判断は理解できる。
最後の最後、あと一歩のところのクオリティを上げ、勝負どころを勝ちきるために、このやり方をさらに先鋭化し、ガチガチのウノゼロ戦術を極める「あと1年」を考えた時に、果たしてそれが実現可能なのか、逆にそれを極めた時チームはどうなるのかという疑問が出てくるのは自然なことだ。
これまで、アレシャンドレ・ガーロ、城福浩、ランコ・ポポヴィッチと、ボール・ポゼッションを重視したコンビネーション・フットボールを目指してきたクラブが、内容や攻撃に振れ過ぎて取りこぼしの多い試合内容に危機感を抱き、固い守備の構築、内容よりも結果の重視という、これまでとは異なる価値軸を導入したことは評価できるし、そのおかげでこれまで見たことのない景色をたくさん見せてもらったのは疑いのない事実だが、一方でこれまで積み上げたコンビネーションのベースが危うくなりつつあるのも間違いない。
PKでもオウン・ゴールでもいいから1点取ってそのまま勝ちきるというゲーム・プランは間違っていないし、そうやって勝った試合も少なくなかった。そしてそれは見ている僕たちには思っていた以上の達成感、爽快感があった。しかし、守備を固めた上で最少の得点で勝つという戦略を取るにせよ、「最少の得点」はどうしても必要な訳で、その「最少の得点」をどうやって積極的に取りに行くかという点で明確な絵が描けなかったのはシーズン序盤からはっきりしていたことだった。
処方箋としては、シーズン前半の武藤の個の踏ん張り(個人技とは言いたくない)、太田の正確なクロスやプレース・キック、シーズン後半の前田のフィット、セット・プレーでの森重の決定力など、いくつか形はあったものの、本来持っていなければならないカウンターでの決定力や、引かれてしまった時の崩しの手立てなどの「標準装備」が最後まで見劣りしたままだったことは否定できない。
フィッカデンティ監督を招聘した当初の目論見は既に一定の達成を見ており、これ以上の上積みは難しいという判断から更迭に至る意思決定の流れはおかしくない。過去最高の成績を残したマッシモ・フィッカデンティには感謝しかないし、天皇杯で最良の結果をともに達成したいが、来季は新しい監督の下で改めてタイトルに挑戦することになる。その腹は括らなければならない。
フィッカデンティ監督が持ちこんだものは、FC東京という「万年思春期」みたいなクラブがようやく大人への階段を踏み出す大きな第一歩になったし、これからも僕たちが折に触れてそこに立ち戻り、確認しなければならないこと。そしてそれは僕たちの大きな誇りだ。それを大事にしながら僕たちは先に進みたい。
Grazie mille e arrivederci, il signor Massimo Ficcadenti!!
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FC東京
2015年11月26日 22:55
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【CL第5節】グラードバッハ×セビージャ
■2015年11月25日(水) 20:45キックオフ
■Borussia-Park
CLも残り2試合。日本時間木曜日の未明4:45からの試合なので、5時頃に起きて出勤前に追っかけで見ようかと思ってたけど、前の日に飲みに行ったので起きられず、後半の途中から最後まで見た。
既にグループ・ステージでの敗退は決まっているが、まだヨーロッパ・リーグに回ることのできるグループ3位の可能性はあり、そのためにも勝たなければならない試合。というか今季のCL初勝利をホームで何とかもぎ取りたい。
グラードバッハはリーグ戦で出場停止だったシャカがスタメンに復帰、一方でヤンチュケがベンチ・スタートとなり、ノードファイトがCBに回った。
ゾマー
コープ クリステンセン ノードファイト ヴェント
トラオレ ダフー シャカ ジョンソン
シュティンドル ラファエル
試合は序盤からグラードバッハが積極的に攻撃を仕掛け、チャンスを作る展開に。ラファエル、トラオレ、ジョンソンらがシュートを放つが敵GKに阻まれる。13分、トラオレが足に違和感を訴えドルミッチと交代、想定外のカードを切らされる。しかしここでドルミッチなのか。ドルミッチのSH起用自体は面白い試みだと思うけど、アザールはどうしちゃったの。アザールじゃないの、この局面。
一時は攻めあぐねたものの、グラードバッハが攻撃の主導権を握る展開は変わらず。シャカ、ラファエル、シュティンドルらがシュートを放つが敵GKも固い。ようやく29分、ヴェントがマイナスのクロスを入れると、シャカのシュートが敵に引っかかってシュティンドルへの絶妙なパスとなり、裏に抜け出したシュティンドルがこれを難なく押しこんでゴール。グラードバッハが1-0と待望の先制点を得る。
その後はリードを奪ってリスクを取りたくないグラードバッハがやや受けに回るが、セビージャにも大きなチャンスはなく1-0で前半を終えた。
後半に入ると拮抗した展開に。互いにチャンスを作るが決めきれず、1-0のまま時計が進む。54分にはシャカの豪快なミドルが枠を捉えるがGKがセーブ。このシュートは決まってれば爽快だったと思うが。
その後は前に出てくるセビージャに対してグラードバッハがリードを守ろうとする流れになる。だが、68分、コープからのパスをファーで受けたジョンソンがワン・トラップでボールを絶妙な位置に置き、ここから巻くシュートでファーに決めてゴール。グラードバッハが2-0とリードを広げる。歯を磨いている間の出来事だった。
さらに78分、シュティンドルからのパスを中央で受けたラファエルが、敵DFに囲まれながらもGKのタイミングを計って流しこみ3-0に。このあたりで試合はほぼ決まった感。着替えてる間の得点だったと思う。
79分、ダフーに代えてマーヴィン・シュルツを投入。このあたりから試合はオープンになり、82分、オフサイドぎりぎりで裏に抜け出された敵FWにループ・シュートを決められて1点を返される。
直後の83分、ジョンソンからのパスを右寄りで受けたシュティンドルがエリア外からシュートを放つとこれがファーに決まり4-1。87分、ジョンソンに代えてエルヴェディを投入。
アディショナル・タイム、シャカがエリアに侵入しようとした敵FWに手を掛けて倒しPKを与える。ファウルはエリア外だったようにも見えたがどうか。これを決められて4-2となったが、グラードバッハはそのまま勝ちきり、今季CL初勝利を挙げた。
これでグラードバッハは勝ち点を5に伸ばし、セビージャを抜いて3位に浮上、最終節でマンチェスター・シティに勝てばヨーロッパ・リーグに回ることができる。
互いに攻撃的に仕掛け、シュート数28-20と大味な試合になったが、決めるべきところでしっかり決めての勝利は評価したい。終盤試合がオープンになり、やや集中を欠いて2失点したのは反省すべきだが、層の厚さに不安がある中で連戦を勝ちきったのは大きい。
考えてみればシュバート監督は暫定監督に就任以来、CLでのシティに負けたのが唯一の敗戦。公式戦13試合を指揮し、9勝1敗3分はちょっとすごい。ターン・オーバーもままならぬ中、監督も選手もよくモラル高く戦っていると思う。
土曜日にはすぐにリーグでホフェンハイムと戦う。ターン・オーバーでドルミッチの先発、アザールやエルゴタの起用なども見てみたい。
アンドレ・シュバート監督談話:
「この試合に勝つことができてとても嬉しい。チームは非常に自信に満ちたパフォーマンスを見せてくれた。選手たちが大きな勇気を持って前を向いて戦ってくれた、非常に集中した試合だったと思う。我々はゆであげられてしまわないようにと考えていた。そしてそれをピッチでも示すことができた。このチームがどうやってアクセルを踏み、何度も前を向いて道を探し、時として手ごわい敵に立ち向かって行くのか、それを見るのは本当に楽しみに感じることがある」
試合が続くが頑張りどころだ。
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Borussia M'Gladbach
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UCL
2015年11月23日 22:37
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【ブンデスリーガ第13節】グラードバッハ×ハノーファー
■2015年11月21日(土) 15:30キックオフ
■Borussia-Park
インターナショナルによる2週間のブランクをはさんでのリーグ戦。ケガ人が多くローテーションが効かない上に過密日程でかなりチーム全体が疲弊してたグラードバッハにとっては恵みの休息か。土曜日夜11時半のキックオフだがスカパー中継がないので、また「Goal TV」の世話になった。
シュバートは暫定監督就任以来リーグ戦7戦無敗。とはいえ、6連勝のあとに引き分けと、初めて勝ちきれなかった試合を受けてのリーグ戦再開。この間にシュバートは正式監督に就任し、手腕を問われる試合だ。
ドミンゲスがケガで欠場、前節2度の警告を受けて退場となったシャカが出場停止で、右SBにコープ、CBにヤンチュケが先発、ノードファイトがボランチに入った。
ゾマー
コープ クリステンセン ヤンチュケ ヴェント
トラオレ ダフー ノードファイト ジョンソン
シュティンドル ラファエル
試合は序盤からグラードバッハがボールを支配、細かくパスをつなぎながら攻撃の機会を窺うが、ハノーファーもコンパクトに守備網を構築、簡単にチャンスは作れない。一方でハノーファーの攻撃はアイデアを欠き、脅威は限定的。4分、敵FWとの一対一に対応したゾマーが股を抜くシュートを放たれ、ボールはゴールの方に転がったが、危機一髪のところでヤンチュケがクリア。
一方、グラードバッハの方では13分、トラオレからのパスを受けたシュティンドルが狙うがシュートはポストをヒット。30分にはトラオレがラファエルに合わせ、ラファエルはこれをヘディングで流しこもうとするが敵GK正面。優勢に試合を進めながら得点できないもどかしい時間が続く。
しかし34分、右サイドから裏に抜け出したトラオレがGKとの一対一を制し、いつものゴールの天井に蹴り上げるドライブ・シュートではなく、意表を突くタイミングでGKの股を抜く技ありのシュートを放ちゴール。グラードバッハが1-0と先制する。
その後もグラードバッハが主導権を握ったまま試合を進める。ハノーファーにもチャンスはあったが、ゾマーの好セーブもあり失点は免れ、リードを奪ったまま前半を終える。
後半に入ると50分、53分と立て続けにハノーファーにチャンスを作られるがゾマーの好守で何を逃れる。東京は63分、シュティンドルが裏に抜け出すが決定的なシュートはファー・ポストに当たる。
すると65分、敵CKからゴール前で混戦となり、何度かしのいだが結局最後は押し込まれて失点。1-1と同点に追いつかれてしまう。
グラードバッハは68分、シュティンドルがトラオレのCKに頭で合わせるが枠に行かず。この日のシュティンドルは持ってなかった。
終盤はオープンな戦いに。78分、ヤンチュケに代えてドルミッチを投入、おそらくノードファイトがCBに落ち、シュティンドルがボランチに落ちたのだと思う。激しく攻守の入れ替わる展開となるが、双方のGKがしっかりとゴールを守り均衡は破れない。
しかし、84分、クリステンセンからのクロスをラファエルが右足で流しこみゴール。土壇場でグラードバッハが2-1と勝ち越す。88分にトラオレに代えてエルヴェディを、アディショナル・タイムにはダフーに代えてマーヴィン・シュルツを投入して試合をクローズ、正式監督に就任後の最初の試合を勝利で飾った。
先行しながら追いつかれて苦労したが、最後に頼りになるラファエルがしっかり決めてくれた。シュート数21-14、ポゼッション62-38、CK12-4と、ホームにふさわしく主導権を握り、最後に勝ち点3を積み上げたことは評価したい。
この試合ではトラオレの突破力が光った。右サイドから切れこんで、巻くシュートでドンが得意技だが、この試合では技術の光るひねったゴール。いい引き出しを持っている。あと、ドルミッチもこのところ少しずつ出場機会を得てフィットしつつあるように見える。どんな形でもいいからゴールが欲しい。
一方でアザールに出場機会がないのはなぜなんだ。層が薄く人繰りに苦労している局面で、この使われなさは納得できない。ジョンソンもよくやっているが、ここは少なくとも併用でいいのではないか。あと、エルゴタももう少し使ってみていいと思う。
あと、ダフーの成長が著しい。彼にボールを預けておけば何とかなるというくらいの安心感、安定感がある。視野の広さ、ボール扱いの巧みさ、ここという出しどころを見つける戦術眼など、ボランチとして高い能力を発揮している。ダフーがボランチでクラマーの穴を埋め、シュティンドルが前でクルーゼの役割をすることができているのがチームの復調の大きな要因だろう。
ただ、シュトランツル、ヘアマン、ハーンといったケガ人はまだ戻ってこない。ヘアマンは手術を回避し保存療法で早期の復帰を目指すということだが、当分今の戦力で戦わなければならないのは間違いない。今週からまたCLが始まり、厳しい日程が続く。ここをどう乗りきるかが監督としての腕の見せどころだ。
グラードバッハは勝ち点を22(1試合あたり1.69)に伸ばし、順位も5位に上げた。シーズンはまだまだこれからで、ここでの順位に一喜一憂しても仕方ないが、3位までは1試合で逆転可能な勝ち点差。まずはこの3位争いにしっかりついて行くことが重要だ。下も9位まで勝ち点差3だが、勝ち続ければ自然と上に残って行く。
シーズン前半も気づけばあと4試合。CL圏内でシーズン前半をフィニッシュしたい。
アンドレ・シュバート監督談話:
「難しい仕事だっただけにこの勝利はとても嬉しい。ハノーファーは守備が固く、ハイプレスを敢行する時間帯もあり、全体として非常にやりにくい相手で、我々もすべてを出しきることを求められた。我々は以前の何週間か我々の強みであったことを理想的に実行することができず、必ずしも自分たちの戦いができていなかった。いくつかの状況ではハノーファーがチャンスを生かしきれず、我々もいくつかのチャンスは生かせなかったが、勝利のために必要な運はこちらにあった。何より、我々はこの試合でも強い意志を示すことができたし、そのおかげで最後に勝つことができた」
ブレイクの後を勝利で入れたのは大きい。バイエルン戦も近づいている。
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Borussia M'Gladbach
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ブンデスリーガ
2015年11月22日 21:54
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【Jリーグ第34節】FC東京×鳥栖
■2015年11月22日(日) 13:30キックオフ
■味の素スタジアム
チャンピオンシップ(CS)進出のかかった最終節。勝てば文句ないが、負けか引き分けだと大阪が勝った場合に追い抜かれることになる。大阪が勝つことを前提に、我々も勝つことだけを考えて試合に臨む。
こういう試合では今まで気合が入り過ぎ、あるいは意識し過ぎて意図が空回りし、序盤にお粗末な失点、ゲームプランが破綻してメンタル崩壊、焦って可能性の感じられない攻め急ぎになるパターンが多かった。そういう試合をイヤというほど見せられた。
今季、ここまで過去最高の勝ち点を積み上げ、下位のクラブに対する取りこぼしがほとんどなくなり、広島、大阪にも大事な局面で勝ちきって大きな飛躍を果たした我々の真価を問われる試合。ここまで来た。だからこそ勝たなければならない。次にいつ、このチャンスが訪れるか分からないのだ。
オーバーモチベートすることなく、勝つためのプロトコルをひとつひとつ着実に積み重ねられるのか、そして、思惑通りに試合が運ばなかった時に発動すべきセカンド・プランはあるのか。スタメン発表の前に流れた紹介映像で既に目頭が熱くなる。熱狂と冷静の間の隘路を見つけ出すことはできるのか。今季の総決算だ。
前節と同じ布陣、信頼するメンバーに運命を託す。
アブラモフ
徳永 森重 丸山 太田
橋本 高橋 米本
河野
前田 東
早い時間に先制点が欲しい試合。東京は積極的にボールを支配、素早い展開から前線にボールをつなぎ、攻撃のスイッチを入れようとする。9分、左サイドでボールを持った東が敵DFを相手にフェイントで切り返し、かわしながらエリアに侵入、最後は中央にラストパスを送ったが、これに合わせた前田のシュートは敵DFに当たって枠外に。
その後も東京は前に出るが、割りきって自陣にブロックを構築する鳥栖の守備を相手になかなか最後のところが崩せない。一方で鳥栖のカウンターも鋭く、ひとたびボールを奪われると一気に裏を取られるリスクがあり、マネージは難しい。鳥栖のシュート精度の低さもあって失点は免れているものの、決して楽に試合を進められている訳ではない。
35分ごろから東京は東が左SHに回り4-4-2の布陣となったようだ。
互いにモラル高くボールにチャレンジするテンションの高い展開のまま前半をスコアレスで終了。ゴールシーンはないどころがシュートもないが、重要な試合独特の張りつめた空気が気持ちいい。前半のうちに先制点が欲しかったところだが、鳥栖の堅い守備に阻まれる形で得点機を逸する。
大阪の試合は気にするまいと自己抑制していたが、耐えきれずハーフタイムに経過を確認。大阪×山形もスコアレスであり、このまま行けばCS進出と甘い考えが頭をよぎるが、大阪は絶対に得点して来る、というかどちらもスコアレスで行った最後の最後で大阪が得点してひっくり返されるとか普通にありそうだと自戒、どちらにしても勝つしかないと改めて思い直す。
後半に入って鳥栖がやや攻勢を強めてくるが、東京がボールを支配する展開自体は変わらず。54分、河野に代えて中島を投入、打開力を求めているか。しかしゴール前が分厚い鳥栖の守備に阻まれ、ゴールは引き続き遠い。62分、太田のFKに丸山が頭で合わせるが枠外に。
69分、橋本に代えて林を投入。中島が左SHにスライド、東が右SHに回ったか。中島が積極的にボールを受け、敵の守備をかき回すがフィニッシュは遠目からが中心で敵の身体を張った守備にブロックされてしまう。
一方でセカンド・ボールを拾われて鋭いカウンターを受けるシーンも。シュートミスに救われているがヤるかヤられるか、しびれる展開に。85分、カウンターを受け裏に抜け出され決定的なシュートを放たれるがポストをヒット。絶体絶命のピンチだったが九死に一生を得る。
その後は東京が前がかりに仕掛け、40分、CKの流れで敵ゴール前の混戦となり、森重が至近距離からシュートを放つがGK正面に。この辺で再び耐えきれず大阪の経過を確認すると、あろうことか4-0で山形に勝っている。勝つしかない。しかし、その後もリスクを取って前がかりに仕掛けたが最後までゴールが遠く、結局スコアレス・ドローに。何とも言いようのない脱力感とともに今季のリーグ戦は終了した。
勝たなければならない試合で、以前にように自分を見失い自滅することがなかったのは成長だし、最後まで必死に自分たちのフットボールをやってくれたと思う。今季、結果が出なければ言い訳の利かないフットボールをやってきて、この最後の試合に勝利という求められた結果が出せなかったのだからそれまでなのは間違いないが、やるべきことをやりきって力及ばずであったのであれば、ここを基準点として次に行くことはできる。
勝機はあったがそれを生かしきれなかったのは我々の力が今はここまでだということ。34試合という長丁場での結果はクラブの実力をほぼ正確に写し出す。かつて城福浩が「リーグ戦は嘘をつかない」と言った通りだ。足りなかったのは結果的に得失点差7だが、結局のところ、チームとしてナイーヴな思春期を脱して大人になる力が足りなかったのだということが、ここまで来て初めてリアルに実感できた。それを今季の成果だと思うしかない。
過去最高の勝ち点63を積み上げ、得失点差での4位を獲得した今季の戦いそのものは評価されるべき。それは選手、監督、フロント、スタッフ、サポーターそれぞれが、先に進みたいと真摯に願い、それぞれなすべきことをしたからこそつかみとれたものであり、勝ち点から逆算した勝つためのフットボールは確実に僕たちの意識を変えた。シーズン総括は別にやるつもりだが、今季僕たちが得たものはとてつもなく大きいと思う。
だが、一方で、この結果に満足する訳には行かない。次のステージに続くドアに手を懸け、それを開く現実的なチャンスがありながら、それを最後の最後で不意にしたのは間違いのないこと。やればやれた。あとどこかで、何かの詰めをもうひとつ厳しくしておけば取れた。だからこそ悔しい。まったく手の届かないものを悔やむことはない。現実に可能だったことができなかったからこそ悔しいのだ。
無失点に抑えたが、引いた相手から1ゴールが奪えず引き分けた。今季我々が目指したもの、ここまで手にしたもの、結局できなかったことのすべてがこの結果に凝縮されている。そういう意味では象徴的な最終節だったと言うべきなのかもしれない。
評点(評点は
ドイツ式
):
アブラモフ(3.5) 敵の鋭いカウンターをストップ。後は向こうが外してくれた。
徳永(3) ボールを要求する徳永を初めて見たと思う。涙出そうになった。
森重(3) 終盤にシュートを連発。森重が一人で責任を背負う必要はない。
丸山(3) 盤石の守備と鋭いクサビ。いつの間にこんなに頼もしくなったのか。
太田(3.5) いいクロスを放りこみ続けたがやや単調になったのが悔やまれる。
橋本(4) 身体を張ったが効果的に前に出ることはできなかった。
高橋(3) ボールを落ち着かせる、大人のフットボールができる選手になった。
米本(3.5) ボールを奪ってからの出しどころに成長を感じる。よく働いた。
河野(3.5) 前線からの愚直なチェックが効いた。攻撃で特徴出したかった。
前田(3.5) 厳しいマークに遭いながらも献身的にボールを受けた。頭が下がる。
東(3.5) 前半のエリアでの仕掛けで今日は行けると思ったが…。絶好調を維持。
===
中島(3.5) ほぼすべてのボールを受けた。もっと自分の間合いで行ってええ。
林(4) 存在感を発揮できず。最後の最後を託すにはやや力不足だったか。
天皇杯は長崎、平日の大阪、正月とどれも行けないので、今季のスタジアム観戦は今日が最後。フィッカデンティ監督の去就も不明だが退任の可能性を報じる記事あり。今季ここまでやった監督に、あと1シーズンは任せてみたいが…。
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FC東京
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J1リーグ戦
2015年11月21日 23:15
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【検証(4)】決戦前夜―熱狂と冷静の間の隘路
2010年12月4日、僕は京都の西京極にいた。最終節、東京は勝てば一部残留が決まる試合だったが、前半にあっさり先制され、後半にも追加点を奪われて敗戦、降格が決まったのだった。
ムービング・フットボールを標榜した城福浩監督がシーズン途中で更迭され、大熊清が後任監督に就任したが、強化に失敗して前線も中盤も核となる選手を欠いた状況で東京は苦戦を続けた。
この試合、落ち着いて戦えば勝機もあったと思うが、先制を許すと焦りが出て、前線のうちからロング・ボールを放りこんでは京都の屈強な最終ラインにはね返される繰り返しに。徹底してパスをつなぎマイ・ボールを大切にする、人もボールも動くフットボールは無残に瓦解し、我々はなすすべもなく寒風に立ち尽くした。
あれから5年、我々は今、優勝を争うチャンピオンシップ(CS)への出場権をかけてリーグ戦最終節を迎える。残留と優勝、求めるものはまったく違うが、重要なものを懸けて最終節にシーズンの総決算を迎えるという点では状況は似ている。
あの時、僕らに足りなかったのは想像力だった。当時僕はこう書いた。
「真摯さが足りなかったということではない。J2に落ちるのがどういうことなのか、落ちるとどうなるのか、落ちないために何をやり、何を捨てなければならないのか、そういうことの具体的なイメージができていなかったということだ」
「具体的に想像できないものと戦うのは難しい。今日の僕たちの敵は京都であると同時にそうした僕たち自身の想像力、あるいはその欠如だったのだと思う。今日の試合は大一番だ、大変な試合だと言いつつ、そして実際にそう思いつつ、しかし、それが本当にどれほど大事な試合であるかが僕たちには実感としては分かっていなかった」
「今季の東京はまさに実感のないままズルズルと後退し、ここ2シーズンの功労者であった城福監督を解任し、実感のないまま残留争いに巻き込まれて、最後には勝ち点が2足りずに降格の憂き目を見ることになった。すべては、気分や感覚でなく手に取ることのできる事実に即して物事を現実的に、具体的に考えて、問題をひとつずつ解決する力が、クラブにも監督にも選手にも、そしてサポにも欠けていたということではないのか」
今季、僕たちは重要な試合をいくつも戦った。0-2のビハインドから武藤の2発で追いついた開幕戦。何が足りないかを思い知らされた鹿島戦と浦和戦。シーズン終盤の大事な局面で勝ち点3を取ることができた大阪戦、広島戦。泣いたり笑ったりしながらも、「取りこぼし」は減り、1点差で勝ち点3を守りきる戦いができるようになった。
だからこそ、僕たちは今、3位にいる。
だが、ここから必要なのは想像力だ。このひとつの試合が持つ意味、勝つことの価値、勝てば何を手にし、負ければ何を失うのか、何を捨て、何を守るのか、そうしたことを頭の中できちんと整理し、その上で何をすべきかを冷静に判断する力だ。
モラルは高くなければならないが、頭の芯は常に冷えていなければならない。いつも通り、勝つためにやるべきことをやるべきであり、何か特別なことを今から始めてはいけない。星勘定は先に検証した通り微妙なところもあるが、要は勝てば文句なくCSに出場できる訳であり、勝つための戦いをいつもと同じように地道に実行する以外にやることはない。
気合が入り過ぎて平常心を失い、前半のお粗末な失点でいきなり意気消沈する試合を僕たちは何度も目にしてきた。それを乗り越えるためには、やみくもに突進することではなく、これまでの33試合と同様に、リスクをコントロールしながらひとつひとつのプレーを丁寧にやりきることしかない。それは僕たちサポもおそらく同じことだ。
未知の世界だが、ここを乗り越えなければクラブとしての前進はない。経験がないことを言い訳にしていては、いつまでたっても壁を越えることはできない。今がその時なのははっきりしている。
熱狂と冷静の間に、勝者のための隘路はある。僕たちは今、その道を進まなければならない。
勝てばCS出場、そしてリーグ優勝すればクラブワールドカップがある。さらには来季のACL出場権も獲得できる。我々にはまだこれだけのチャンスが残っているのだ。これはすごいことだ。まずは明日の試合に勝ってCSを決めなければならない。
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Jリーグ
2015年11月14日 16:58
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【検証(3)】FC東京ACL出場の条件
シーズンの最も盛り上がる時期にインターナショナルが入ってリーグ戦が2週間インターバルになるというアレな日程に一石を投じるべくダラダラやっている検証シリーズだが、今日はACL進出について考えておく。
しつこいようだがこれは東京が最終節で年間3位を確保、チャンピオンシップ(CS)に出場することを仮定している。
我が国に与えられたACLの出場枠は3.5。リーグ戦1位、2位、天皇杯優勝のクラブに出場権が与えられ、リーグ戦3位のクラブは予選に回ることになるが、天皇杯優勝クラブがリーグ戦3位以内の場合、天皇杯優勝クラブを含むリーグ戦上位3クラブが出場権を得て、4位のクラブが予選に回る。これがベーシックな認識である。
そして、天皇杯では鹿島が既に敗退、広島、浦和、東京は準々決勝に進んでいる。さらに確認しておきたいのは今季のJリーグの順位決定方式で、まずCS優勝クラブが1位、CS準優勝クラブが2位、3位以下はこれら以外のクラブの年間勝ち点順となる。
【広島、浦和、東京でCSを戦う場合】
取り敢えず、鹿島が2ndステージ優勝することはないと考え、広島、浦和、そして東京の3クラブがCSに出場するケースについて考える。
この場合、東京は準決勝に勝って決勝に進出すれば出場権獲得、万一準決勝で負けてもリーグ戦順位予選の出場権を得る。そして、広島、浦和、東京のいずれかが天皇杯で優勝すれば東京はCSの結果に関わらずACL出場権を得ることになる。
したがって、東京が万一CSの準決勝で敗退した場合でも、東京がACL出場権を得るのか予選に回るのかは、天皇杯の決勝戦か、あるいは広島、浦和、東京のいずれもが天皇杯で敗退するかのいずれかまで決定しないことになる。
【広島、浦和、大阪でCSを戦う場合】
万一東京が年間4位に終わりCSへの出場を果たせなかった場合でも、天皇杯で広島、浦和、大阪のいずれかが優勝すれば年間4位の東京はACL予選への出場権を得る。東京が天皇杯で優勝すればもちろんACL出場権を得る。
【広島、浦和、東京、鹿島でCSを戦う場合】
さて、前々回検討した通りかなり現実性の低い仮定だが、鹿島が2ndステージで優勝し、CSに進出した場合のことも一応考えておく。
東京が決勝に進出すればACL出場権を得るのは問題ない。
問題は、鹿島が準決勝で勝ち決勝に進出した場合。その場合、鹿島は年間2位以上となりACL出場権を獲得する。鹿島が決勝に進出するということは東京は1回戦または準決勝で敗退しているということで、広島、浦和より年間勝ち点が下位なのは確定しているから、年間勝ち点1位が広島、浦和のいずれであっても東京はシーズン順位4位ということになり、CS終了の時点では予選出場権も得られない。
天皇杯に懸けるしかなく、東京が天皇杯で優勝すればもちろんACL出場権を得るし、広島か浦和が優勝すればACL予選の出場権がこぼれ落ちてくる。
【広島、浦和、大阪、鹿島でCSを戦う場合】
万一東京が年間4位に終わった上に鹿島が2ndステージ優勝するというレア・ケースの場合は、天皇杯で優勝するしかACL出場の道はない。
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なお、ACL予選は今年の例だと1試合のみのノックアウトで、東京のホームになるようだよ。
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Jリーグ
2015年11月12日 00:33
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【天皇杯4回戦】FC東京×水戸
■2015年11月11日(水) 19:00キックオフ
■味の素スタジアム
今年の天皇杯はシードを得て4回戦(ベスト16)からの参戦。リーグ戦前半2位だったご褒美という訳だ。有難い。もらえるものはもらっておこう。相手はJ2の水戸。格下だがカップ戦での格下との戦いはいつも難しいもの。神経質なゲームになることも十分あり得る。早い時間に趨勢をはっきりさせたいところだ。
仕事は午後半休をもらい、夕方から所用を済ませて渋谷でうなぎ弁当を買い、味スタに着いたのは6時半を過ぎた頃。慌ててうなぎ弁当をかきこんだ。美味しかった。
東京は代表招集で森重、丸山を欠き、CBに吉本、奈良を起用した他、GKに榎本を先発させた以外はほぼベスト・メンバーと言える布陣。あと、バーンズもオーストラリア代表に招集されて不在。夏にサバデルから復帰した田邉が実に久しぶりにベンチ入りした。ラインアップは東がFWと発表されたが、試合が始まってみると4-4-2のようだった。
榎本
徳永 吉本 奈良 太田
三田 米本 高橋 東
前田 中島
試合は序盤から東京がボールを支配、的確にパスをつなぎ、おもにサイドからのクロスで水戸のゴールを脅かす。早くも1分、太田のクロスに高橋がヘディング・シュートを放つが枠外に。さらに9分、再び太田のクロスに今度は三田が合わせるがこれも枠外。
14分、中島が左サイドに展開したボールを太田が受けクロス。ニアに飛びこんだ前田が巧みなヘディングでこれを流しこみゴール。東京が早い時間帯に先制する。
ゲーム・プラン通りの展開でリスクを負う必要のなくなった東京は余裕を持ってボールをキープ、攻め急ぐことなく絶好機を窺う展開に。水戸の攻撃を受ける時間もあるが、焦ることなく中盤でのチャレンジ、最終ラインでのセーフティ重視のクリアと使い分けがはっきりしており、手に汗を握るシーンはない。
あと、やはり水戸の攻撃も精度を欠く部分が多く、「あ、これは」と思ったところで可能性の低いミドルを打ってふかしてくれたり、ラスト・パスを簡単にこちらに渡してくれたり、カテゴリーの違いを実感するシーンも少なくない。その意味ではストレスの少ない流れに。
30分過ぎから三田が左サイドに出て、米本を右に、高橋をアンカーに置いた4-3-3にシフトしたように見えた。前線は中島の1トップに東と前田がシャドーになるような形にも見え、流動的にポジションを交換していたようだ。
結局、試合をマネージしながら1点のリードを保って前半を終了。先制したことで楽になり、規律のある戦い方ができている。
後半に入っても東京が守備をベースに試合をコントロールする流れは変わらず。50分、右サイドから東が入れたクロスに、中島が中央でドロップ・キック的に合わせるがボールは枠に飛ばず。惜しいシーンだった。
53分、三田に代えて橋本を投入。54分、右からの太田のCKが密集の中で奪い合いになり、後ろにこぼれたところに吉本がシュートを放つがゴール左に切れる。枠は開いており、これも惜しかった。
57分、前田からパスを右寄りで受けた橋本がボールを置き直し、エリア外から30メートル以上はあると思われるミドル・シュートを放つ。これがファー・ネットの天井に突き刺さるゴラッソとなり追加点。2-0と東京がリードを広げる。橋本は味スタ初ゴールとのこと。
62分、中島に代えて河野を投入。河野と前田が2トップとなり、東は左SHに落ちて橋本が右SHとなり、再び4-4-2になったようだ。
その後は捨て身で攻撃に出る水戸に対してこれを受けていなす東京という流れ。先にも書いた通り、ピンチはあったものの水戸の拙攻にも助けられ、ほぼ危なげなくゴールを守る。
最終盤、アディショナル・タイムには前田に代えて林を投入、林は左寄りでフリーでボールを受けるシーンがあったものの、切り返しを重ねて放ったシュートはGKに。最初に受けた時にシュートの選択ができていれば、というシーン。
さらに、東からのスルー・パスを受けた橋本がエリア内でGKと一対一になるシーンもあったが、シュートはGKにセーブされる。なぜ橋本がそこにいたのかはナゾ。
結局、東京が早い時間帯に上げた先制点を守り、後半にも効果的に追加点を奪って水戸に快勝、準々決勝にコマを進めた。
早い時間での先制、その後はリスク管理を第一とする試合運びというゲーム・プラン通りの展開で手堅く勝利を手中に。相手からすればそこまでやられた感はないのかもしれないが、我々にすれば完全に試合をコントロールしており、やるべきことをきちんとやりきって勝ったと言っていい。
チャンスは結構あり、3点目も可能だったが、トーナメント戦であり得失点差の勝負をしている訳ではないので、敵より1点多く取ればいい試合。その意味では2点取って1点も取られなかったことがすべて。「決定力が…」的な議論は不要だろう。結果から逆算したリスク管理がしっかりできていた。
これで天皇杯準々決勝に進出、12月26日、広島と対戦することになる。
インターナショナルで試合のない週末を控え、ここで真剣勝負の実戦があったことは有難いし、高いテンションで勝利を取りに行ったが、水戸もリーグ戦に集中したい状況らしく、試合自体は淡々としたものだった。
そこまでクリティカルなシーンもなく、勝って当然とまでは行かないが、格下の相手に対してきちんと勝ちきった。往々にしてアップセットの起こりやすいオープン・カップで、テンションを切らさず完封できたことは評価したいところ。
大事な鳥栖戦が22日に控えており、この勝利のいい流れをキープしたまま試合に臨みたい。ここ2試合、リスクをコントロールして完封する戦いがよくできており、この試合運びのマジックは大事にしなければならない。
あと、ここに来て橋本が存在感を増しているのは注目だ。インサイド・ハーフを任されているが、積極的に攻め上がっていつのまにかゴール前にいる。独自のポジショニング、得点感覚があると思う。面白い選手だ。来季が楽しみになる。
評点(評点は
ドイツ式
):
榎本(3) 危なげないキャッチング、正確なキックで存在感を示す。
徳永(3) 安定の対人守備と機を見た攻め上がりで勝利に貢献した。
吉本(3.5) 危ういプレーもあったが身体を張って完封を引き寄せた。
奈良(3) 万全の守備。こういう使い方しかできないのが実にもったいない。
太田(3) 先制点を呼びこむクロス。正確なキックで攻撃の起点に。
三田(4) 献身的に走りまわったが、なかなか特徴が出せてない。
高橋(3) 中盤を支配、試合をコントロールした。まさに現場監督。
米本(3) ボール奪取、奪ったボールの受け渡しとも圧巻。好調だ。
東(3) 絶妙なポジショニングと豊富な運動量。前線の要として不可欠。
中島(3.5) ボールを持てば何かが起こると期待させる。ゴール欲しい。
前田(3) ゴールは技術高かった。前線のつぶれ役がしっかり報われた。
===
橋本(2.5) なぜそこにいるのか。それは誰も分からない。
河野(3.5) 気の利いたプレーと軽いプレーはこの日も紙一重。
林(-) 時間短し。シュートは決めたかった。
さあ、リーグ戦最終節だ。
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FC東京
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天皇杯
2015年11月10日 22:27
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【検証(2)】チャンピオンシップ組合せ
昨日は東京がチャンピオンシップ(CS)に出場する条件を検証したが、今日はCSの組み合わせがどうなるのかを確認しておきたい。もちろんこれは東京がCSに進出することを前提とした検証である。万一東京がCSに出られなかった時はどうにでも好きにしてもらっていい。
まず、昨日検証した通り、2ndステージの優勝は広島と仮定するのが現実的なので一応それを前提に話を進めると、CSに進出するのは、広島、浦和、東京の3クラブになる。この時のステータスは以下の通り。
年間1位:広島または浦和
年間2位:浦和または広島
年間3位:東京
1stステージ優勝:浦和
2ndステージ優勝:広島
だとすれば、トーナメントのパターンはJリーグ公式サイトの
パターン2
ということになり、東京が準決勝で勝つ前提での試合日程はこうなる。
【広島が年間1位の場合】
■準決勝 11月28日(土) 14:00 浦和×東京 @埼玉スタジアム2002
■決勝1stレグ 12月2日(水) 19:30 東京×広島 @味の素スタジアム
■決勝2ndレグ 12月5日(土) 19:30 広島×東京 @エディオンスタジアム広島
【浦和が年間1位の場合】
■準決勝 11月28日(土) 14:00 広島×東京 @エディオンスタジアム広島
■決勝1stレグ 12月2日(水) 19:30 東京×浦和 @味の素スタジアム
■決勝2ndレグ 12月5日(土) 19:30 浦和×東京 @埼玉スタジアム2002
いずれにしても味スタで試合ができるのは12月2日の決勝1stレグだけということだ。浦和が年間1位になると、広島でのアウェイが土曜日の14:00キックオフになるので日帰り可能であり宿泊は不要。広島が年間1位の場合のみ、12月5日の広島の宿の手配が必要だ。
尚、準決勝のチケット発売は11月26日(木)、決勝は11月29日(日)のいずれも10:00。短期決戦なので覚悟が必要だ。味スタでの試合についてはSOCIO、クラブ・サポート・メンバーへの優先予約がある。
===
さて、ここで一応鹿島が2ndステージ優勝をしたときのことを考えておこう。まあ、ないと思うけど、最終節で鹿島が名古屋に6-0で勝ち、広島が湘南に0-6で負けたような場合だ。
この場合のステータスはこうなる。
年間1位:広島または浦和
年間2位:浦和または広島
年間3位:東京
1stステージ優勝:浦和
2ndステージ優勝:鹿島
トーナメントのパターンはJリーグ公式サイトの
パターン6
。東京が勝ち進む前提での日程はこうなる。
■1回戦 11月25日(水) 19:00 浦和/広島×東京 @埼スタ/エディオン
■準決勝 11月28日(土) 14:00 東京×鹿島 @味の素スタジアム
■決勝1stレグ 12月2日(水) 19:30 東京×広島/浦和 @味の素スタジアム
■決勝2ndレグ 12月5日(土) 19:30 広島/浦和×東京 @エディオン/埼スタ
このケースでどうして年間順位が4位以下の鹿島が1回戦をシードされてしまうのかまったく理解できないが、とにかくレギュレーションではこうなる。1回戦のチケット発売は11月23日(祝)の10:00である。まあ、あり得ないけど。
まあ、何にしても、広島、浦和、鹿島といったラスボスを倒さないことには優勝なんてできないということは自明。思いきり皮算用だが、チケットや新幹線や宿の手配のためには頭に入れておいて悪くはないだろう。
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J1リーグ戦
2015年11月09日 22:30
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【検証(1)】FC東京年間3位の条件
東京は33節、柏とのアウェイ戦に勝ち、広島に負けた大阪と入れ替わって3位に浮上、チャンピオンシップ(CS)出場に近づいた。とはいえ4位大阪との勝ち点差は2。どうなるかは最後まで分からない。東京がCSに出場するために必要な最終節の結果を整理してみた。
●16節終了時点での勝ち点
3位 東京 62 最終節対戦相手:鳥栖(H)
4位 大阪 60 最終節対戦相手:山形(H)
【東京が鳥栖に勝った場合(65)】
大阪の試合結果(最大63)に関わりなく東京がCSに出場
【東京が鳥栖と引き分けた場合(63)】
大阪が勝ち(63)→東京の得失点差12に対し大阪は16以上となり大阪が出場
大阪が引き分け(61)か負け(60)→東京が出場
【東京が鳥栖に負けた場合(62)】
大阪が勝ち(63)→大阪が出場
大阪が負け(60)か引き分け(61)→東京が出場
仮に鳥栖に負けても大阪の結果次第でCS出場のチャンスはあるが、2010年の最終節にはそういう甘い考え方で痛い目を見ている。とにかく勝てば問題なくCSに出場できると考えていた方がいい。目の前の試合に集中するしかない。
なお、2位の浦和は勝ち点69で東京とは7の差があり、2位はもはや不可能。また、2ndステージの成績は勝ち点27で6位、首位の広島との差は10あり、これも逆転は不可能。したがって、東京がCSに出場するためには年間3位しかないということになる。
===
年間勝ち点では首位の広島が71、2位の浦和が69と2差なので、浦和が逆転の可能性あり。どちらが首位になるかでCSの組み合わせが変わってくる。CSの組み合わせについては次回検討する。広島は湘南と、浦和は神戸と、いずれもホームで戦う。
2ndステージを見れば、首位広島が勝ち点37、2位の鹿島が34と、鹿島にも数字上は優勝の可能性が残っている。しかし、最終節に広島が負け、鹿島が勝って勝ち点が37で並んだとしても、広島の得失点差が25、鹿島が13という現状から見れば、この12の差をひっくり返すのは現実にはほぼ不可能だろう。
したがって、CSに出場するのは、年間2位以上が確定している広島と浦和に加えて、年間3位の可能性がある東京か大阪のいずれか、というところまでは決まっていると考えていい。万一鹿島がCSに出てくると組み合わせが複雑になる。これも次回シミュレートする。
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いずれにしても話は鳥栖に勝ってからだ。
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Jリーグ
2015年11月08日 22:44
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【ブンデスリーガ第12節】グラードバッハ×インゴルシュタット
■2015年11月7日(土) 15:30キックオフ
■Borussia-Park
日本時間夜11時半からの試合だが例によってスカパー中継がないので先週に続いて「Goal TV」でのネット観戦。今週は電波の具合もいいようだ。
5連敗からの6連勝を受けて、ホームで勝ち点を伸ばしたいところだが、火曜日にはCLでユベントスとのタフな試合を戦いきったばかり。調子は悪くないのでいい流れを切らないためには連戦上等ではあるが、ケガ人が多くターン・オーバーもままならない中、22日間で7試合めとなる過密日程は正直キツい。
実際、先発はユベントス戦と同じ。先週のヘルタ戦から3試合同じメンバーであり、さすがに疲れも心配される。
ゾマー
ノードファイト クリステンセン ドミンゲス ヴェント
トラオレ ダフー シャカ ジョンソン
シュティンドル ラファエル
案の定、試合は序盤からインゴルシュタットに押しこまれる展開に。インゴルシュタットが高い位置からのプレスを敢行、グラードバッハはビルド・アップできず、中盤でパスミスが出るか、長いボールを蹴らされるかしてボールを失う繰り返し。一方でインゴルシュタットは奪ったボールを素早くつなぎながらグラードバッハ・ゴールに迫る。
一方的にシュートを浴びるが、敵のシュート精度が低く難を逃れる。グラードバッハはチャンスらしいチャンスを作れず、唯一、16分に敵GKがフィードをミスったボールをラファエルが受けてGKと一対一になり、GKの股を抜いてシュートしようとしたが、ボールはGKに当たって勢いが弱まり、ゴールには向かったが敵DFにクリアされた。
シャカが盛んに敵とやりあい、18分には自分が関与していないファウルの判定を巡っておそらく審判にケチをつけて警告を受けたが、その後も頭に血が上るシーンが多い。とはいえ代わりの選択肢も少ない。
結局インゴルシュタットにつきあわされる形でスコアレスのまま前半を終了、ほぼノー・チャンスの前半。グラードバッハはやはり疲労の色が濃く、前がかりに押しこんでくるインゴルシュタットを押し返す元気がない感じ。まあ、このハイ・プレスは長くは続かないはずで、後半になれば絶対に落ちるので、耐えて一発勝負でいいと割りきる。
後半に入るとインゴルシュタットの運動量が落ち始めたか、グラードバッハがボールを持てる時間が長くなり始める。51分、ダフーに代えてドルミッチを投入。シュティンドルがボランチに落ちるが、これをやるならシャカを代えておいてもよかったのではないか。それにしてもここでドルミッチとは。
57分、シュティンドルがトラオレのFKにヘディングで合わせるがシュートはわずかに枠を外す。60分にはラファエルからのパスをエリア内で受けたドルミッチがキープ、ラスト・パスを受けたジョンソンがシュートを放つがDFにブロックされる。ようやくグラードバッハがチャンスを作り始める。
しかしインゴルシュタットは割りきってアウェイで勝ち点1を持ち帰ることを優先、守備を固める。その上、些細なコンタクトで大げさに倒れるなど露骨な時間稼ぎを始め、74分、ドミンゲスが競り合いで倒れた敵MFを起こそうと後ろからユニの襟首を引っ張ったところ、敵が首を抑えて苦しみ始めるというテアター(演劇)で失笑を買った。ドミンゲスはこれで警告とか可哀相過ぎる。
79分、トラオレに代えてアザールを投入。アザールはもっと早くに入れてもよかった。
86分、シャカがファウルで2回目の警告を受け退場。熱くなったのは自分の責任だが、この日はインゴルシュタットがシャカに集中的にケチをつけて苛立たせていたとも言われており、まんまとそれに乗った形。もったいない。
グラードバッハはラファエルに代えてエルヴェディを投入して対応、ヴェントからのクロスにアザールがドロップ・キックでシュートを放つが枠外。アザールはさらにジョンソンからのボールに飛びこんで枠にも飛ばしたが敵GKにセーブされて試合終了。スコアレス・ドローとなり、シュバート監督はブンデスリーガ記録となる就任からの7連勝を逃した。
前半はハイ・プレスに押しこまれて攻撃の形が作れず、後半はボールを持てるようになったものの敵の守備を崩せず、また露骨なテアターでの時間稼ぎなどの挑発に乗って、こちらのやりたいことができないまま90分をムダにした試合。
シャカをキャプテンにすることでプレーに落ち着きが出て、ダフーとのコンビネーションも定まったと思っていたが、まだまだ精神面にもろいところがあるのが分かった。まあ、人間、そんなに急に成長する訳もなく、この試合の経験をしっかり糧にして欲しいが、彼をキャプテンにしたのがシュバート暫定監督の大きな功績であることは間違いない。シャカは責任を負わせて自分を見つめ直させることで名選手になる余地があると思う。
とはいえ前半は攻撃が機能しなかったことも事実で、過密日程の最後の試合としてはしんどかった。交代も含めなかなか有効な選択肢が少なく、やり繰りの中で最低限勝ち点1を確保したことを考えれば、責めるのは少しばかり酷というものだろう。ドルミッチがキープなどでやや存在感を見せたのがわずかな収穫というべきか。
このまま続けるとフォームを崩してしまいそうだが、幸いインターナショナルでブンデスリーガが2週間のインターバルとなるので、ここでしっかり態勢を組み直して、リーグ戦のシーズン前半残り5試合とCLの残り2試合をしっかり戦いたい。ケガ人も少しは戻ってくるだろうか。
アンドレ・シュバート暫定監督談話:
「この引き分けは受け入れなければならない。チームはここ何週間かの大きな負荷の後ですべてを試みたし、終盤は数的不利にすらなったが信じられないくらい多くのものを投じた。しかし今回は初めから試合を壊そうとすることだけに集中してくる相手に対して、勝利を得るには足りなかった。我々は前半、いくらか違った展開をつくるべきだったが、選手たちを責める気はまったくない。短い間に試合に次ぐ試合で、かなり極端な日程だった。だからここで代表試合が入ってリーグが休みになり、少しばかり息をつくことができるのは嬉しい」
「インゴルシュタットは後半、我々を挑発してリズムを崩させることにもっぱらエネルギーを費やしていた」とトラオレも言っている。
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Borussia M'Gladbach
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ブンデスリーガ
2015年11月07日 21:54
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【Jリーグ第33節】柏×FC東京
■2015年11月7日(土) 14:00キックオフ
■日立柏サッカー場
気持ちのいい秋の一日、常磐線に乗って柏を目指した。今回はバックスタンドの指定席だが完全なホーム・エリア。観戦ルールによれば「ビジターグッズの着用」のみならず「ビジターカラーの服装での応援」までもが禁止とされており、私物がほぼ青赤い僕としては大変困ったが、何とか青赤は靴だけにとどめて潜入に成功。
バクスタのホーム指定席は当然だが黄色いユニを来た柏サポに囲まれての観戦。東京に得点が入っても喜べないステルス応援だが仕方ない。キックオフ前には柏サポの係の人に黄色いビニルビブスを渡されそうになったが丁寧に辞退した。
東京は前節浦和に敗れて4位。自力でのチャンピオンシップ進出は目下のところ消滅、ともかく目の前の試合に勝って、他がどうなるか見てみるしかない。柏はチャンピオンシップも降格も関係がない消化試合ではあるが、監督が今季限りで退任することになっているらしく、モラルは低くない。難しい試合になることが予想されるし、気合を入れ過ぎて空回りするのが怖い。
羽生をベンチにおいて橋本が先発した他は浦和戦と同じ布陣。バーンズとサンダサがベンチにも入っていないのはどういうことか。来季をにらんでの起用なのか。
アブラモフ
徳永 森重 丸山 太田
橋本 高橋 米本
河野
前田 東
ポゼッションを重視する柏に対して前線から果敢にプレスをかけ、ボールを奪取したりパスミスを誘発する狙いの東京。序盤から東京のハイ・プレスが効いて何度も敵陣に攻めこむ。
8分、太田が左サイドから中に入りこみクロスを入れると、ファーで東がヘディングするが敵GKに触られポストへ。さらに9分にも米本からパスを受けた高橋でミドルで狙うがGKがセーブ。
すると15分、太田の左CKに合わしきれずファーに流れをボールを橋本が拾い、ドリブルで仕掛けようとしたところ、敵FWに足を引っかけられて転倒。これが相手のファウルとなりPKとなる。これを森重が落ち着いて中央に決め東京が先制、1-0とリードを奪う。
東京はハイ・プレスから少ない手数で敵エリアを目指し追加点を狙いに行くが、柏の守備も堅く、シュートはミドルが多い。一方東京はボールを奪われても帰陣が速く、柏にボールは持たせても決定的な形は作らせない。先制したこともあり、前で取りきれなければしっかり引いて自陣を固めるというリスク・コントロールができている。結局1-0とリードを保って前半を終えた。
後半に入ると柏が一段ギアを上げ、前に出てくるようになる。東京は自陣で柏の攻撃を受ける時間が長くなる。60分、河野に代えて中島を投入、中島が前田と2トップになり、東が左SHに入っての4-4-2にシステムを変更、ピッチをワイドにカバーするようになる。
その後も柏がボールを支配、東京が自陣でコンパクトな4-4-2で応戦し、割りきった守備で柏のラストパスやその1本手前のパスをしっかりクリアしながらカウンターの機会を窺う展開が続く。
76分、東京にカウンターのチャンス。高橋のパスカットから米本を経由して前田が右サイドを上がる高橋に決定的なパス。高橋はこれを受けて持ち上がり、並走した東にラストパスを入れたところ、これが敵DFに当たって東に渡り、東がこれを流しこんでゴールに。追加点か、と思ったがこれはオフサイドの判定となった。ボールが敵に触れたものの、意図的にプレーしたものではないとの解釈か。
このFKをクイック・リスタートされ、裏のFWに一発で通されてピンチになるがここは丸山が落ち着いてクリア。この日最も盛り上がった瞬間だったと思う。
78分、東に代えて三田を投入、三田が右に入り橋本は左SHにスライド。その後はピッチと時計を交互に見る繰り返し。圧力を高めてくる柏の攻撃を受けて自陣に押しこまれるが、柏のシュート精度の低さもあってゴールは割らせない。
81分、柏のFKをアブラモフがダイレクトでキャッチしようとしてファンブル、敵FWが突っこむが何とかボールを確保する。アブラモフが傷みメディカルが入るが大事には至らず試合は再開。この時、飛びこんだ敵FWもポストに激突して傷んだが復帰。熱い戦いが続く。
その後も時計を進めようとする東京と攻め急ぐ柏とのつばぜり合い。アディショナル・タイムは5分と長かったが、決定的なピンチも何とかしのぎきり、PKによる1点を守って東京が柏に辛勝、大きな勝ち点3を得た。
シュート数10-12、ポゼッション36-64、CK4-5と、東京のシュートは前半7本、後半3本と、柏にボールを持たれながらも虎の子の1点をしっかり守りきった試合内容が数字からも分かる。
特に押しこまれた後半にはゴール前での危ういシーンもいくつかあったが、アブラモフの堅守に加え、柏がシュートを外してくれて救われたケースも多く、これを見逃してくれないのが浦和、広島、大阪、鹿島といったところなんだろうなとある意味納得した。
敵サポの真ん中で試合を見ていると、我々のフットボールが敵にどう映っているのかが分かって面白い。今日は特に中盤でしっかり敵のアンカーをつぶし、積極的にプレスに行くのが、相手にとってどれだけ面倒くさいかがよく分かった。「東京強いな」みたいな声が聞こえてくるのも楽しい。
漫然と試合を見れば、たまたまPKで1点を得て、それをなりふり構わず守りきって何とか勝ったと見えるだろう。敵の監督がポポヴィッチなら「内容ではこちらが勝っていた」と言うかもしれない。しかし、今、我々はこれが決して偶然の勝利ではないことを知っている。
あの時間帯にPKが取れたのは、序盤からハイ・プレスを敢行、一定のリスクを取って敵陣で攻める時間を長くしたからだし、セットプレーでの約束ごとをきっちり守ったからだ。その後は敢えてリスクを取らず、少しずつ引いて自陣を固め、規律のある守備で最後のところにしっかりとカギをかけた。
後半はシュート3本に終わったが勝っているのだからそれでよしというはっきりした戦術があり、完封して勝ちきったという結果から逆算した戦い方と言っていい。勝ったという結果がまずあって、それに直結したプレーは何であったか、そのキーとなったのは何であったかという逆算のフットボールを我々は1年やってきた。塩試合が決して偶然でないことを我々は学んだのだ。
そうやって失点をゼロにとどめれば少なくとも勝ち点1は取れる。それに対して、セット・プレーでもPKでも、極端に言えばオウン・ゴールでも、とにかく敵より1点多く取れば勝てる。そのためにはどのような攻撃を仕掛けることが最も確率が高く効率的か、その1点が取れない時にどうすればいいか、それがマッシモ東京のフットボールであり、それを今日、この勝つしかないという厳しい局面で表現できた。それが何よりも嬉しい。
3位の大阪が広島に負けたため、入れ替わって東京は3位に浮上。これで最終節に勝てば3位をキープしチャンピオンシップ進出が決まるし、ACL出場もおそらく決まる。鳥栖は簡単な相手ではないが、今日と同様に、自分たちのやるべきことをやりきることで結果を引き寄せるしかない。
評点(評点は
ドイツ式
):
アブラモフ(3.5) ヤバいファンブルはあったがそれ以外は安定していた。
徳永(4) 敵のサイドアタックに手を焼いたが最後のところはやらせなかった。
森重(3.5) DFを統率、落ち着いたボール捌きで敵のプレスもかわした。
丸山(3.5) ボックスにカギをかけて敵の攻撃を封じ込め。落ち着きが光る。
太田(4) 唯一の得点に結びついたCK。対面の相手に手を焼いた。
橋本(3.5) 果敢に仕掛けたことでPKをゲット。シュート5本はすごい。
高橋(3) 敵の攻撃を抑えながらボールをつないだ。好調を維持している。
米本(3) ボール奪取の技も進化している。パス出しにも特徴を見せた。
河野(4) 夢のあるプレーはいいがひとつ間違うと軽いプレーでのミスに。
東(3) ポジショニングとボール捌きのアイデアがヤバい。絶好調を維持。
前田(3.5) 前田がどれだけ身体を張ってボールを受けてくれたか…。
===
中島(4) ボールを持てば前を向いたが、いかんせんチャンス少なし。
三田(-) 時間短し。
それにしても日立台はいいスタジアム。毎回ステルス観戦を強いられるが、じっと黙って勝って帰ってくるのもいい。
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FC東京
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J1リーグ戦
2015年11月04日 23:47
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【CL第4節】グラードバッハ×ユベントス
■2015年11月3日(火) 20:45キックオフ
■Borussia-Park
日本時間水曜日未明4時45分キックオフということで、早起きして身支度をしながらスカパーの生中継を見た。
グループ・フェイズの半分を消化して勝ち点1にとどまっているグラードバッハは何としても勝たなければならない試合。もちろん簡単な相手でないのは分かっているが、前節アウェイでスコアレス・ドローを演じ勝ち点1をもぎとっている。リーグ戦の好調さをうまく持ちこめれば勝ち点3は全然夢ではない。
ケガ人が相次ぐ中でメンバーの選択肢も限られるグラードバッハは週末のヘルタ戦と同じ布陣。コープまでがベンチに入っていないのは何だっけ。もうケガ人多すぎて誰がどこを傷めてていつ復帰できるかとか分からなくなってきた。
ゾマー
ノードファイト クリステンセン ドミンゲス ヴェント
トラオレ ダフー シャカ ジョンソン
シュトランツル ラファエル
試合は序盤からグラードバッハがボールを支配、テンポのいいパス交換から一気に敵ゴールに向かう魅力的なフットボールで主導権を握る。ハイ・プレスからボールを奪取、あるいはパスミスを誘い、敵陣中心に試合を進める。
14分、ダフーがエリア外から右足アウトにかけたミドルを放つとボールは大きく曲がり落ちてバーをヒット。可能性を十分に感じさせる技術の高いシュート。入っていれば面白かった。
18分、試合が動く。左サイドのヴェントが中央にグラウンダーでボールを入れると、ニアで敵DFに触られたものの中央のラファエルに届く。ラファエルはこのボールを右サイドでフリーのジョンソンに。ジョンソンがこれをダイレクトでゴールに蹴りこみゴール。グラードバッハが1-0と先制する。
さらに22分にはトラオレが左サイドから巻いたシュートでゴールを狙うがGKがセーブ。グラードバッハはミドルを中心にユベントスのゴールを脅かすが得点はジョンソンの1点のみにとどまる。
リードで守りの意識が出たか、試合は徐々にユベントスがボールを持つ時間が長くなって行く。グラードバッハはゾマーの好セーブもあってこの時間帯をしのぐが、44分、中央から右前線に出された浮き球のラストパスを敵DFがダイレクトボレーでファー・ネットに突き刺しゴール。前半終了間際に1-1と同点に追いつかれてしまう。
後半に入ってもユベントスがボールを支配、グラードバッハは劣勢を強いられるが、53分、敵MFがドミンゲスに対して両足の裏を見せてタックルし退場となる。ある意味、この時点で試合は決まったとも言える。
既に勝ち点7を積み上げグループ・フェイズ勝ち抜けに足をかけているユベントスは数的不利になって逆にムリをする必要がないことがクリアに。アウェイ・ゲームで勝ち点1を守りに入る。
グラードバッハはボールを持ち、敵陣中心に試合を進めるが、4-4-1の強固なブロックを形成して中央を固めるユベントスに対して崩しを仕掛けることができない。シュートは往々にしてミドルにとどまり、また足が止まり始め足許へのパスが多くなって、なかなかユベントスのゴールを脅かせない。
77分、ラファエルが浮かしたボールをDFの裏に送ると、これを追ったシュティンドルが頭で合わせるがボールが敵GKが残した足でクリア。
交代でフレッシュな戦力を投入したいところだが生憎持ちゴマが少ない。85分、ジョンソンに代えてアザールを投入。89分、アザールがシュティンドルからのパスを受けてコントロール・シュートを放つとボールはゴールに向かうが、これも敵GKがギリギリで触りバーに逃げられる。
グラードバッハは最後まで攻撃を仕掛けたが勝ち越し点は遠く、結局1-1の引き分けとなった。
ホーム・チームらしく前向きに自分たちのフットボールを表現、先制したが、前半終了間際に敵のファイン・シュートで追いつかれ、後半は敵の退場で数的優位に立ったものの逆に敵の守備を固めさせる結果となって、攻めはしたものの勝ち越し点が奪えなかった。交代カードも乏しく、ドルミッチやエルゴタに希望を託していいような気もしたが結局カードは1枚使っただけだった。
これでグラードバッハはグループ・フェイズで2位までに入る可能性が消滅、あとはヨーロッパ・リーグに回ることのできる3位をかけてセビージャと競うことになる。
勝ち点1しか奪えなかったのは残念だが、果敢なハイ・プレスからのシュート・カウンターや、ポゼッションから短いタッチでパスをつないで押し上げる攻撃など、意図のある攻撃はできており、特に前半は完全に我々のゲームだった。後半、敵が守りに入ったこともあってあてにはならないにせよ、シュート数21-17、ポゼッション70-30は、このレベルとしては自信を持っていい数字。それだけに最後の1点が奪えなかったのは残念だ。
グラードバッハは残りの2試合を勝ってヨーロッパ・リーグを目指すとともに、リーグ戦にも力を割かなければならない。この週末にインゴルシュタットとのホーム・ゲームを戦えば2週間は試合がなく、ここでしっかり戦力を再構築したい。そのためにもまずインゴルシュタットからきっちり勝ち点を奪わなければならない。
アンドレ・シュバート暫定監督談話:
「私は我々のパフォーマンスには非常に満足しているが、結果は必ずしもハッピーではない。この試合に何としても勝ちたいということは試合の最初から見ていれば分かったと思う。我々は高い位置から守備をして、後ろから押し上げるフットボールをしようと試みた。それはかなりの部分でうまく行ったと思う。我々は前半から既にポゼッションで半分以上を取り、全体としていい試合をした。それに我々は3つか4つの明らかなゴールのチャンスがあったが、ゴールはひとつしか決められなかった。ユーベは数的不利になって極端に分厚く守ってきたし、ヘディングにも一対一にも強かったので、我々にとってはスペースを見つけるのが難しかった。我々は最後までそれを試みたが、チャンスを生かすことができなかった。またしてもいい試合をしたのに勝利で報いることができず残念だ」
負けた訳ではないし、下を向く内容でもない。朝からいい試合を見た。
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UCL
2015年11月01日 21:40
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■
【ブンデスリーガ第11節】ヘルタ×グラードバッハ
■2015年10月31日(土) 15:30キックオフ
■Olympiastadion (Berlin)
土曜日の11時半キックオフだがスカパー中継なし。仕方なくGOAL TVの動画中継を頼ることにした。このサイトはスカパーが中継しない試合を拾ってネットで放映してくれるので有難いが、今回は動画を見ようとするとアカウント登録を求められ手間取った。
開幕5連敗のあと5連勝でようやく星を五分に戻したグラードバッハとしては、アウェイではあるがここで勝ちを先行させたいところ。最低でも勝ち点を持ち帰る戦いを求められる。前節ハーンを、ポカールでヤンチュケを負傷で失い、人繰りは厳しいが、この上向きのトレンドを損ないたくない。
ヤンチュケが負傷欠場となったことを受けて最終ラインにはドミンゲスが先発、またコープを休ませてノードファイトを右SBで起用し、ダフーをボランチで先発させた。さらにSHではアザールに代えてジョンソンが、トップはドルミッチに代えてラファエルがそれぞれ先発に復帰。まあ、今の台所事情ではこれが精一杯のターン・オーバーか。
ゾマー
ノードファイト クリステンセン ドミンゲス ヴェント
トラオレ ダフー シャカ ジョンソン
シュティンドル ラファエル
試合は序盤からグラードバッハがボールを保持、最終ラインからパスをつなぎながら押し上げて敵陣中心に試合を進める。ヘルタも奪ったボールはしっかり出し入れしながら攻撃の機会を窺っており、よくボールの動くテンポの速い展開になる。
26分、シャカから中央への縦パスをジョンソンが左サイドのヴェントに落とすと、ヴェントがこれを受けてペナルティ・エリア内に突っかけ、左足でシュート。これがファー・ポストに当たってゴールに入りグラードバッハが1-0と先制する。左足には難しい角度からのシュートだったがきれいな軌道を描いたファイン・ゴールだった。
さらに28分、ラファエルがドリブルで持ち上がり、敵をことごとくかわしてエリアに入ったところでシュート。敵DFに当たってわずかに軌道も変わったボールはそのままゴールに。2-0とグラードバッハが2分のうちに2点のリードを手に入れた。ラファエルの好調さを印象づける見事なソロだった。
これで余裕の出たグラードバッハはボールを支配、自陣でのパス回しから鋭いクサビでトリガーを引くと一気に流動化して敵のゴールに迫る緩急を生かした戦術で主導権を握る。ヘルタにはチャンスらしいチャンスを作らせないまま、2-0で前半を終えた。
後半に入るとリスクを取る必要のないグラードバッハはムリをして前に出ず、中盤でのボール奪取からカウンターを繰り出す戦術に。54分、シュティンドルからのパスを受けたトラオレがエリア内にドリブルで突っかけたところを敵DFに倒されPKを得る。それほど強い力で引き倒された訳ではないが、はっきりとトラオレの肩に敵DFの手がかかっており判断は正しい。
このPKをシャカが強烈なキックで蹴りこみ3-0。後半開始早々のこの追加点は大きく、ほぼ試合を決めたと言っていい。ヘルタは交代選手がチャンスを作るなど抵抗するが、ゾマーの堅守もあって得点は許さず。
シュバート暫定監督は71分、ダフーに代えてマーヴィン・シュルツを、74分にはラファエルに代えてアザールを投入するなど着々と試合をクローズしにかかる。
82分、敵FWをアザールがエリア内で倒してしまいPKを献上。ボールに行ったスライディングだったが、巧みにボールを隠されて足を刈る格好になってしまった。これを決められて3-1となる。
しかし大勢は既に決していた。90分、シュティンドルに代えて久しぶりの出場となるエルゴタを投入。アディショナルタイムにはトラオレからのクロスをシュルツが落とし、後ろから走りこんだノードファイトがこれを受けて右サイドの角度のないところからシュート。GKのニアを抜く形でこれが決まり4-1として試合終了となった。
しっかりとボールを支配、シュートは11-14と後半自重した影響か少なかったが、ポゼッションは58-42、通ったパスの本数は589-396と、グラードバッハのコンビネーション・フットボールの水準を示す試合になった。
こうした試合運びができるのは、中盤で自由に動き回り、配球の中心となっているダフーの存在が大きい。両SBを高く保ち、時としてシャカが最終ラインに落ちて3バック的になりながら、中央でダフーがボールを捌くと、サイドで数的優位ができてヴェントやノードファイトのゴールにつながった。
ラファエルが絶好調を維持しているのも大きい。自分で行くこともできるし周囲を生かすこともできる。また、シュティンドルが前線でラファエルとコンビを組むことでようやく落ち着きどころを見つけ、クルーゼの担っていた役割を果たし始めたのも前線が機能している大きな要因。
問題はケガ人の続出によるバックアップの薄さと過密日程による疲労、それからドルミッチがチームから置いて行かれた格好になっていることだ。前線で張るタイプのドルミッチには今のフットボールはフィットしにくいかもしれないが、高いカネをかけて獲得したのだし、フィットに時間のかかった例はこれまでいくらもあった。人繰りの厳しい状況だけに、奮起に期待したい。
これでグラードバッハは6連勝。勝ち点を18に伸ばし(1試合あたり1.64)、順位も5位まで上げた。本当にあの開幕5連敗は何だったんだという感じ。いや、ほんま。あの時期だけ何か悪いものが憑いていたとしか思えない。一種の自家中毒みたいなものか。
今週は週央にCLのユベントス戦がある。侮ることのできる相手ではないのはもちろんだが、今できていることを愚直に表現すれば勝ち点3を取ることはあながち不可能ではないと思っている。CLも残り3試合を全勝すれば勝ち抜けはほぼ間違いない。そのつもりで見たい。どのみち失うものは何もない。
アンドレ・シュバート暫定監督:
「チームは我々が練習でやったことを試合でもしっかりやってくれた。彼らはまさに素晴らしいフットボール選手たちだ。非常にいい試合の組み立てをして、最後までよく走り、ボールに対する姿勢も非常に規律があって大きな自信も持っていた。歯車ががっちりかみ合っており、こうした招致を引き寄せることができたのだ」
結局GOAL TVがなかなかログインできなくて序盤を見逃し、また動画がフリーズして立ち上げなおしたりしている間に最初の2点も入っていたという残念な状況。特に前半は放送も不安定だったように思う。まあ、勝ったのでいいか。CLはきちんとスカパー中継があるのがいいな。時間帯はクソだけど。
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