フットボール・クレイジー
football crazy
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2015年12月29日 16:40
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【2015年】FC東京シーズン・レビュー(6) FW編
今季の東京は2トップとトップ下という布陣が多かった。武藤がシーズン途中で移籍したことからバーンズとサンダサを補強する一方、中島や東ら、本職のFWとは言い難い選手を前線に置くなど模索は最後まで続いた。トップ下も含めて振り返る。
河野はおもにトップ下でリーグ戦22試合に出場、うち21試合が先発とレギュラー・ポジションを確保した。6月から7月にかけ調子を落としベンチ入りできない時期もあったが、シーズン終盤には再びトップ下で復帰。
持ち味のドリブルとキープ力を生かして攻撃の起点になる一方、前線からの守備でも献身的に動き回った。ボール扱いの技術、積極的に前に仕掛ける貪欲さや狭いスペースでのアイデアなど、特徴を生かしてチームに貢献したが、空回ることも少なくなく、1得点は寂しい結果。守備と攻撃をつなぐリンクマンとして大事な役割を担ったが、やや不完全燃焼感の残るシーズンになった。
体重が増えたため食事管理をするよう寮生活を命じられたという報もあり、プレー・スタイルも含め自己管理、自己抑制にやや甘さありか。意外性のあるプレーは持ち味だが、大事なチャンスを軽いプレーでつぶしたり、シュート後のこぼれ球を追わないなど、ムラ気に幼さが残るのは気になる。面白みは殺さないようにしつつ、プロとして一段の厳しさを身につけて欲しい。
東も今季は前線で使われることが多かった。トップ下やSHはもちろん、シーズン後半にはトップに入り自ら仕掛けるシーンも増えた。シーズン序盤はポジションを確保できず交代出場が多かったが、尻上がりに調子を上げ、終わってみればリーグ戦25試合出場、うち先発は18試合、4得点と存在感を見せた。
もともと視野が広く戦術理解に優れたクリエイティブな選手。太田との絡みで左サイドから崩す動きなど、東京の攻撃面のダイレクター的存在。目標であった38得点には遠く及ばなかったが、今季の得点にはいずれも成長の跡が見える。もともとフィニッシュが残念と言われていたが、それだけシュートを放てる形に入りこめているということでもある。今季は決めきる力の向上があったと思う。
もともとハードワーカーだが、フットボールに向かう姿勢、発言などにも以前に比べ覚悟、責任感が窺えるようになり、チームを代表する選手になりつつあるのを感じる。本来なら不動のレギュラーでおかしくなく、代表に招集される力のある選手。今季後半の働きが継続できれば来季は才能のスケールに見合った活躍が見られるはずだ。
武藤はFWとして得点を重ねた。シーズン前半17試合にすべて先発、10得点を挙げ、東京がシーズン前半を2位で終える原動力になった。強靭なフィジカルと骨惜しみしない運動量、アジリティ、そして半ば強引にシュートを狙いに行く貪欲さと味方を使う戦術眼のバランス、すべてを高いバランスで兼ね備え、若くして東京のエース・ストライカーとなった。
プレミアのチェルシーからもオファーを受けたとの報があったが、結局、シーズン前半を終えたところでブンデスリーガのマインツに移籍した。記録を詳細に見れば、10得点のうち3得点はPKで、流れからのゴールは5月6日が最後。武藤の貢献はゴールだけではないにしても、相当マークされ、研究もされてフィットも万全でなかった中で高額の移籍金を取っての放出はタイミング的にベストだったと思う。マインツでの活躍を祈る。
前田はシーズン序盤から出たり出なかったりと難しい使われ方をしていたが、武藤の移籍後はストライカーとしてポジションを確保、30試合出場(うち23試合先発)、9得点と役割を果たした。
ゴールはもちろんだが、ポスト、ターゲットとして、ファースト・ディフェンダーとして、チームを引っ張る運動量と自らつぶれ役になることも厭わない泥臭い献身で、プロとしてのあるべき姿を黙々と示し続けた。前田がいなければ今季のここまでの躍進はなかった。シーズン前半は武藤に遠慮したかのようなプレーで窮屈な思いもさせたが、前田を獲得した意義は大きかった。
得点を固め取りする傾向(3試合で7得点)があるのが気になるが、必ずしも前田にベストのボールが頻繁に出てくる訳ではない中でのこの成績は評価すべき。Jリーグの歴代ゴール数で5位につけており、1位の佐藤、中山との差は11。来季も東京のトップとして、記録を更新する活躍を見せて欲しい。
問題は武藤、前田に続くFWの層の厚さがなかったこと。
5月に獲得したラサッドはリーグ戦2試合(先発1試合)の出場にとどまりゴールなし。6月に退団した。
7月には武藤の後釜として、オーストラリア・リーグのMVPであるネイサン・バーンズとスペイン2部得点王のサンダサを獲得。
バーンズはリーグ戦10試合に出場(先発は7試合)、2得点とそれなりの働きはしたがポジションを獲得するに至らず。スピードを生かしてこまめに仕掛けるスタイルは東京に合っているようにも見えたが、監督の全幅の信頼を得ることはできなかった。
サンダサはリーグ戦8試合に出場(先発は3試合)、得点はなかった。重戦車のようにDFを圧して前進する姿は頼もしかったし、むしろバーンズより可能性を感じさせたがシーズン終盤は出場機会なく、ベンチからも外れた。
二人とも実績のある選手で、フィットすればブレイクする可能性は十分あり得る。新しい外国人選手が日本になじむには時間が必要なことも多く、使えないと即断するのはもったいない。城福新監督はテレビでの解説でサンダサをベタほめしていたこともあった。しっかりチームとの連動性を確保すれば、未知の外国人を連れてくるより可能性は高いと思う。おそらく夏まで契約が残っているのではないかと思うし、来季の活躍を期待したい。
林は岡山、大分へのレンタルから復帰、FWの人手不足の中、リーグ戦11試合(先発3試合)に出場したが無得点。シーズン後半は出場機会を失い、10月下旬以降に交代出場の機会を得るまでベンチにも入れない試合が続いた。
味方を生かすプレーや守備も含め身体は張ったが、自分の武器は何か、それをチームとしての要請の中でどう生かすのかというところの整理が十分でなく、本人としても手さぐりのプレーが続いたのではないか。FWは特に有無を言わせぬ結果を積み上げることでしか市場価値を上げることができない世界で、その中では線の細さは否めない。来季は奮起の必要なシーズンになる。
平山は故障後の長いリハビリからようやく復帰、8月末から2試合に途中出場したが無得点で再びケガ。不運としか言いようがないが、来季も契約は更新されたようだ。彼ももう30歳。プロのフットボール選手として何を残すのか。
忘れてはならないのは中島。本来はトップ下かSHだと思うが、途中交代でのFW起用も多く、シーズン前半はベンチにすらほぼ入れなかったが、シーズン後半はスーパー・サブ的な位置づけでリーグ戦13試合に出場した(先発は1試合)。1ゴールを記録。
ボールを持てばまずゴールを目指す積極的な姿勢と、高い足許の技術、豊富なアイデアは苦しい局面でサポの希望となった。リオデジャネイロ・オリンピックを目指すU23代表の中心選手としても活躍しており、その大きな才能に対する期待は高い。来季はレギュラーで見たい。
最後になったが、石川もトップの一画またはサイド・アタッカーとして10試合(先発6試合)に出場、1得点を決めた。4月後半からケガで離脱、6月に復帰したが8月から再度離脱した。プレー・スタイルからしてケガが多く、年齢的なものもキツくのしかかるポジションだが、来季の契約更新も発表されており、また1年ともに戦えることが本当に嬉しい。
石川直宏はFC東京の夢であり、オレたちの物語は石川とともにリーグ戦を優勝することなしに完結しない。来季、また右サイドを疾走する石川を見たい。東京にはまだまだ石川が必要だ。
このレビューを書き進めている間にも、城福浩の監督就任、ACLプレーオフへの出場権獲得など、状況は動いている。補強も新聞辞令はいろいろ出ているが、本格的な発表はこれからだろう。次回、新シーズンを展望してシーズン・レビューを終えたい。
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FC東京
2015年12月28日 00:40
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【2015年】FC東京シーズン・レビュー(5) MF編
昨年の例に倣い、MFの項ではアンカーとインサイド・ハーフについて振り返る。
今季の東京はアンカー1人とインサイド・ハーフ2人を置き、前線はトップ下1人+2トップの4-3-3と、ダブル・ボランチに両SH、2トップを配した4-4-2を使い分けた。スタートは4-3-3で入り、途中から4-4-2に移行することが多かったと思う。そのため、東や河野、中島らはSHとトップ、またはトップ下とで併用されることになったが、彼らについては次回FW編で取り上げることにする。
まずはアンカーのポジションだが、昨季レギュラーを張った高橋を押しのけてポジションを確保したのは梶山だった(リーグ戦出場18試合、すべて先発)。梶山は2013年にギリシャのパナシナイコス・アテネに期限付移籍したが大きな結果を残せず同年夏帰国、いったんチームに合流したが公式戦に出場することなくそのまま大分に期限付移籍した。
大分では一定の実績を残したものの膝の状態が悪化し離脱、手術を受けてリハビリに入った。このため2014年は東京に復帰しながらほとんど試合に出場できず、今季、ようやく開幕から出場できるようになった訳である。
フィッカデンティ監督の下でアンカーとして起用された梶山は、往時のプレーぶりを彷彿させるボール捌きで中盤の底に君臨、守備にも汗をかいて独自のアンカー像を見せた。攻め上がりの判断も的確で、さすが東京の10番と感じさせることも多かったが、7月の仙台戦で負傷、その後は治療に専念した(12月の天皇杯にはベンチ入り)。
能力の高さは健在だが、守備面では危なっかしさもあり、自陣でのうかつなファウル、軽いパスミスが出るのも変わらず。周囲との連係も手さぐりに見え、フィッカデンティ監督のフットボールの中での自分の役割にハマりきれないまま離脱に至った感もあった。
梶山は最もいい時期に適性に合わない、意図のはっきりしない海外移籍をし、ケガもあって、選手として最も脂の乗ったはずの時期を棒に振った感が強い。若手のホープだった梶山も今年の誕生日で30歳になった。今季、復活した姿が見られたのは嬉しかったし、試合途中で4-4-2に移行して梶山と米本のダブル・ボランチになったりしたときには涙が出そうになったものだが、再度のケガで来季どこまでやれるかは未知数か。
来季は求められる役割も微妙に変化することが予想される。梶山のクリエイティビティは東京にとって必要なピース。梶山とともにタイトルを獲りたい。
高橋は開幕からしばらくカップ戦のみの先発出場で、リーグ戦では途中出場の試合が続いた。6月ごろから4-4-2のボランチとして梶山と併用される形で先発するようになり、梶山の離脱後はアンカーに定着、安定したパフォーマンスを見せた。結局リーグ戦29試合出場(先発20試合、途中出場9試合)。
骨惜しみしない運動量、卓越した戦術眼に裏づけられたポジショニング、中盤での正確かつ的確な配球、機を見た前線への攻め上がりと、アンカーとして高い能力を示した。僕としては、ことアンカーとしての適性を見る限り、梶山より高橋の方が上だと思うし、安心して見ていられた。
セット・プレーでもCKでニアに飛びこむ得意技などで4得点。10月の浦和戦で意地の2得点を押しこんだのは負けん気の強さを示すもの。東京の中核を担う選手として来季も活躍を期待したい。
インサイド・ハーフとしては米本がシーズンを通じて八面六臂の活躍を見せた。6月に一時負傷離脱したもののリーグ戦31試合に先発、1得点。
猟犬のようにボールを追い、ボール・ホルダーにまとわりついては足を伸ばし続けてボールを絡め取るという以前のスタイルからすれば、インサイド・ハーフとして遅らせる、コースを切るといったリスク管理型の守備に重点が置かれたのは昨季同様であり、米本自身としても自分の強みをどう発揮するか、考えながらのシーズンだったと思う。
また、今季は4-4-2に移行した後もボランチではなくSHとして使われることが多かった。フィッカデンティ監督の判断だと思うが納得しにくく、米本自身も戸惑いがあるように見えた。
その中でガツガツ行く局面と、全体のバランスを見て飛びこまない守備をする局面の使い分けは板についてきたと思う。また、奪ったボールの展開や、ここ一番での攻撃参加にも成長の跡が窺えた。ハリルホジッチ監督の下、8月の東アジア選手権で代表招集もされた(出場なし)。ボールを奪った後、必ず顔を上げて遠くを見るなど基本動作が最もしっかりしている選手。
しかし、クリティカルな局面でボールに行って一発で置き去りにされる場面や、ムリめのミドルで大きく枠を外す場面など、まだまだ改善の余地はある。特に大きな試合こそ、あるいは追いこまれた局面こそ、冷静に状況判断するクレバーさをもう一段磨けば、代表に定着しておかしくない選手だ。
インサイド・ハーフで米本とコンビを組む機会が多かったのは羽生だろう。リーグ戦25試合に出場、うち先発は18試合と、フィールド・プレーヤー最年長ながらしっかりと出場機会を得た。
もともと神出鬼没、クリティカルなスペースを埋め、攻撃では「ここに一人欲しい」という場所に真っ先に顔を出す。絶妙のポジショニングとクレバーなプレーでコンビネーション・フットボールのキーマンになるべき選手。
守備の決めごとが多いフィッカデンティ監督のフットボールでは自由度は限られ、プレー・スタイルとしては悩みも多かったと思うが、そこはベテランの柔軟さで、時として大胆にポジションを捨てて攻撃参加したり中に絞ったり、状況判断の的確さを見せた。
とはいえ羽生がポジションを捨てることでどこかに穴ができてしまうのも事実。また、ボール・タッチにもらしくないミスがしばしば見られたように思う。精神的支柱としてチーム全体を見ることのできる貴重な存在であり、タイトルを狙う上では必要な選手だ。現役としてトップ・フォームで戦える時間は長くないと思うし、おそらく既に満身創痍ではないかと思うが、来季も東京を支えて欲しい。
三田はリーグ戦18試合に出場したが、そのうち先発出場は8試合のみ。8月以降はサブに甘んじる試合が続き、9月にはベンチからも外れた。得点も1ゴールのみ。
確かな才能を持った選手だが、攻撃と守備の配分や、攻撃時にもどこまで自分で行くのか、周囲を使うのかなど、判断のバランスが悪く、自分の才能の最善の部分をどうやって何に生かしていいのか自分でもしっかり考えが整理されていないように思う。
ユースや大学ではそれでも才能だけでやってこれたのだと思うが、プロとしてひとかどの選手になるためには、自分の何をとっかかりに結果を出して行くかという自己プロデュース能力のようなものが絶対に必要。その意味ではそろそろ脱皮の必要な時期にさしかかっていると思う。このままでは中途半端な選手になってしまう。
仙台からオファーがあったとの報道もあり、惜しい選手ではあるが、彼自身の成長を考えるなら、慣れ親しんだ環境を一度捨てて新しい世界に飛びこみ、自分のフットボール選手としての価値を自分で考え直すことも必要かもしれない。そうやって自分を追いこまなければ飛躍は望めないし、そのためには逃げの利かない環境に身を置くことが有効だ。
東京でそれができればいいが、それだけの厳しさを自分に課すことができるか。どこで戦うにせよ、プロとして真価を問われるシーズンになる。
このポジションで急成長したのが橋本だ。熊本への期限付移籍から復帰したが、シーズン前半はほぼ出場機会なく、ベンチ入りすらできない試合が続いた。しかし7月下旬からベンチ入りの機会が増え、カップ戦で先発のチャンスをつかむと、9月からは出場が増加、10月、11月はレギュラーとしてインサイド・ハーフのポジションを得た。リーグ戦出場は13試合(先発7試合、途中出場6試合)、1得点。
熊本ではCBとしてレギュラー・ポジションをつかんでいたが、東京ではインサイド・ハーフとして、守備的な役割はもちろんだが、いつのまにかゴール前に入りこみ果敢にシュートを打つことの方で特徴を見せた。試合の流れを読む力には非凡なものがある。J2での試合経験で得た球際での踏ん張りも武器だ。
とはいえまだまだこれからの選手であることも確か。活躍して存在感を示すほど、敵のつぶしも厳しくなる。それをくぐり抜けてこそプロとして基盤のようなものを手にできるのであり、橋本はまだそこにチャレンジする資格を得たに過ぎない。来季どこまで力を出せるかが彼のスケールを決めるということだと思う。注目したい。
アンカーのバック・アップとして貴重な存在である野澤はリーグ戦3試合の出場にとどまった。高橋の出場停止に伴って先発した試合では、ナゾの落ち着きで丁寧にボールを捌き存在感を見せたが、シーズンを通して活躍することはできなかった。
能力の高い選手だが、高橋、梶山を押しのけてアンカーのポジションを確保するのは並大抵ではない。来季J3に参入するセカンド・チームでの成長が期待される選手のひとり。まずは出場機会を確保したい。
佐々木、幸野は出場機会がなかった。特に幸野はレンタル先では活躍するのに東京ではベンチにも入れない状態が繰り返されている。そろそろプロ選手として勝負の時が迫っている。
こうして見る限り選手は若手も含めて揃っており、誰かが移籍してしまわない限り焦って補強する必要はない。将来を見こんで若手の育成に力を入れたい。三田の脱皮、橋本、野澤の成長も重要。梶山のフィットがカギになるかもしれない。
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FC東京
2015年12月27日 00:26
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【天皇杯準々決勝】FC東京×広島
■2015年12月26日(土) 15:00キックオフ
■長崎県立総合運動公園陸上競技場
天皇杯準々決勝はリーグ戦最終節から1ヵ月以上おいての開催。その間、チャンピオンシップ、クラブワールドカップと日程が入っているのでやむを得ないとはいうものの、既に選手、監督の去就も取り沙汰され始め、東京もフィッカデンティ監督と太田が今季限りでクラブを去ることが正式に発表された後での試合である。
これがあるためにオフにも入れず、1ヵ月以上モラルを維持しながらインテンシヴな練習を続けることを強いるのは非常識だと思う。天皇杯はリーグ戦と並行して日程を進め、リーグ戦の終了直後、翌週あたりに決勝が行われるようにするべきだ。元日の決勝開催にこだわる理由はない。
その上、開催場所が長崎県諫早市というのはどういうことか。ホームでもアウェイでもない遠隔地で試合を開催しなければならない理由は何なのか。Jリーグのクラブが少なかった頃なら、地方で興行する意味もあったかもしれないが、今や長崎にも立派なクラブがある。敵地ならまだしも、我々も相手も縁のない街で試合をしなければならないのは納得できない。年末のこの時期、土曜日とはいえこの開催場所ではおいそれと遠征はできない。
さらにひどいことにはテレビ中継が夜8時からの録画放送。ホームにもアウェイにも関係のない遠隔地での開催で、見たくても見られない人が双方でたくさん出ることが当然予想されるのだから、優先して生放送の枠に入れるのが当然だと思うのだがそうはならなかった。分波してBS101とBS102に分けられるのだから、同じ時間帯の2試合は両方とも生中継することができないのか。あるいはスカパーに中継を振ることはできないのか。
全然納得できない運営で長崎遠征の意欲も早々に失せ、自宅で時差視聴するために3時からずっとTwitterも見ず、情報遮断して苦しい午後を過ごした。勝てばいいが負ければ今季ラスト・マッチとなる試合。タイトルに加えACLもかかった大事な試合で、クラブ世界3位の広島と対戦するビッグ・マッチなのに、こんな状態でしか見られないのが本当に悲しい。JFAはいったい何を考えてこんないびつな大会運営をするのか、説明して欲しい。
前置きが長くなったが、本当にこれは試合を見る前からの思いなのでどうしても記録しておきたい。貴重な残り試合を何か粗雑に扱われて本当に腹が立つ。
東京は概ね戦前の予想通りの布陣。GKにはアブラモフではなく榎本が先発した。
榎本
徳永 森重 丸山 太田
橋本 高橋 米本
河野
前田 東
試合は慎重な立ち上がり。序盤は東京が積極的に仕掛けるが広島の守りも固く、一方広島はボールを支配するものの攻め急がず、互いに出方を窺いながら中盤で静かな駆け引きを続けた。
12分、オフサイドの笛が鳴った後に東がシュートしてしまい遅延行為として警告を受ける。「笛が聞こえなかった」という言い訳が通用しないレベルか。注意でよかったようにも思う。
一進一退の攻防が続き、広島のポゼッションを東京が受ける形で試合が進むが、37分、右サイドの徳永のクロスをニアの橋本がゴール前に落とすと、これを受けた東が流しこんでゴール。東京が1-0と先制する。橋本が落とした時点で東がオフサイド・ポジションにいたようにも見え、広島からは激しい抗議があったもののゴールが認められた。
その後もテンションの高いにらみ合いが続く展開のまま前半を1-0で終えた。前半、シュート数は2-0。まさに我慢比べとなる。
後半に入ると広島が一段ギアを上げてくる。東京は自陣で広島の攻撃をしのぐ時間が続く。62分、太田のクロスにニアで飛びこんだ前田がシュートを放つが枠外に。ワン・ポイントにアウトで引っかける技術の高いシュートだったが惜しかった。
66分、この試合の転機が訪れる。東が敵FWに対するトリッピングを取られ二度めの警告で退場に。リプレイを見る限り敵に触れているかも疑問で、厳しい判定。最初の警告が悔やまれる。東京は一人少なくなり、河野を左SHに回した4-4-1に移行。
こうなると逆に東京のゲーム・プランは明らかで、この1点を守りきるしかない。広島が高い連動性から立て続けにチャンスを作るが、シュートを外してくれるシーンも多く救われる。74分、河野に代えて羽生を投入、スペースを消しより手堅く守る意図か。橋本が右SBの位置に下がる5バック気味の布陣で広島の攻撃をしのぐ。
しかし85分、右サイドからのクロスに中央で頭で合わされ失点。残り5分のところでもちこたえられず1-1と同点に追いつかれてしまう。フリーでヘディングを許した。
アディショナル・タイムには橋本に代えて中島を投入、延長前に勝負をかけるが奏功せず、試合は1-1でレギュラー・タイムを終了、延長となる。
一人少なく押しこまれる流れでの延長はキツいが戦うしかない。東京は延長前半から前田と中島を2トップにした4-3-2に移行、決勝点を狙いに前から積極的にプレスをかける。
94分、敵FWに対し森重がファウルを犯したとして警告を受ける。東京は一人少ない状況でも臆することなくボールをつなぎ、前で何度かチャンスを作る。勇気をもって戦っているがゴールは遠い。
99分、敵の決定的なシュートが枠に飛んだが森重がアクロバティックな体勢からかき出して難を逃れる。しかし、103分、敵が左から上げたクロスが太田に当たってゴール前へのロビングとなったところに敵FWが頭で合わせゴール、1-2と逆転を許してしまう。
得点するしかなくなった東京はリスクを取って前がかりに攻撃、中島を起点にラインを押し上げながら得点を狙いに行くが、チャンスまでは作れるものの決めきれず。
延長後半に入っても捨て身の攻撃を仕掛ける東京に対し、これをかわしてカウンターで追加点を狙う広島という展開が続く。113分、米本に代えてバーンズを投入、バランスを崩しても試合を諦めない姿勢を明確にするが、114分、森重が敵FWとの競り合いで二度めの警告を受け退場。
東京は2人少ない状態に陥り、中盤を羽生一人にした4-1-3の布陣で何とか打開を試みる。117分、エリアに抜け出したバーンズが敵のタックルを足に受けて倒れるがノー・ホイッスル。リプレイを見れば敵の足がまったくボールに触れておらず、バーンズの足にかかって倒していることが明らかで警告相当のファウルだと思うがPKは与えられず。試合の成り行きを分けたシーンだったと思う。
その後も東京は最後まで下を向かず攻撃を続けたが一歩及ばず、1-2で悔しい敗戦となり、今季の戦いは終わった。
1点を先制してその後ピンチはありながらもしのいでいたが、東の退場で支えきれなくなり同点、逆転と広島に流れを持って行かれた。シュート数6-23、ポゼッション38-62と、退場者を2人も出したので当然というべき数字だが、それにしては最後まで緊張感のある試合だった。
慎重な序盤から、ワン・チャンスで先制してリードを守る戦いをしたレギュラー・タイム、追いつかれると再び前に比重をかけてリスクをコントロールしながらも試合を決めに行き、逆転されると後ろを削ってFWを増やし勝負をかける。一発勝負のカップ戦で局面と時間帯に合わせたメリハリのある戦いがしっかりできており、今季の大きな成長の結果だと思った。
シーズンの最終戦がこのような形で終わったことは残念だが、最後まで諦めることなくギリギリの戦いをしたことや一歩及ばなかったことなど、今季の東京の「ここまではできた」「ここは及ばなかった」という点が凝縮された、負けたとはいえ今季の総決算にふさわしいナイス・ゲームだったと思う。
この、我々にとってメモリアルとなる重要な試合を5時間遅れの録画中継でしか見ることができず、フィッカデンティ監督や太田、さらにはクラブを去ることを自ら表明しているアブラモフらとの別れを惜しむ瞬間をリアル・タイムで共有できなかったのは本当に悔しい。すごくバカにされた気がして、試合に負けたことも相まって悲しい夜になった。
シーズンの総括は既に別稿で始めているが、結局いいところまで行ったもののタイトルは獲れなかった。天皇杯の結果次第ではACLのプレーオフに参加できる可能性があるのでそれを待ちたいが、成長と飛躍を感じながらもシーズンの最後に課題を残した。ここからまた積み上げて行くしかない。選手、監督、スタッフにはお疲れさまと言いたい。
評点(評点は
ドイツ式
):
榎本(4) 落ち着いたプレーで味方を鼓舞。2失点はいずれもやむなしか。
徳永(4) 今日は組立への参加も多かった印象だがサイドで競り負けのシーンも。
森重(4) 終盤捨て身の攻撃参加もあっただけに大事なところでの退場は残念。
丸山(4) 失点はいずれも中央できれいに決められた。課題は来季へ。
太田(4) 気合が空回り、後半からは守備に追われFK、CKも精彩を欠いた。
高橋(3.5) 中盤でボールを落ち着かせたが悪い流れを修正することはできず。
橋本(4) 守備に忙殺されて攻撃面での特徴は出せず。来季の期待は大きい。
米本(3.5) 終盤の攻撃では積極的な動きも見せた。幅を広げた1年になったか。
河野(4) にらみ合いのような試合の中で自由度を与えられなかった。
前田(3.5) 前線で身体を張る働きは貢献大きかった。来季も活躍を期待。
東(4) 前半の無用の警告が試合を左右してしまった。動きはよかった。
===
羽生(4) 試合を締めることを期待されたがタッチ・ミスが多かった。
中島(3.5) ボールを預けたくなる何かは健在だったが結果につながらず。
バーンズ(-) 時間短し。あれは間違いなくPKだった。
8時からの放送で延長まで見終わったら10時半近く。延長の途中からBS102にチャンネルが移ったが、それができるなら最初から生でBS102でやってくれよ。
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FC東京
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天皇杯
2015年12月23日 13:41
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【2015年】FC東京シーズン・レビュー(4) CB編
CBはシーズンを通じて変動があった。
森重は不動のレギュラーとして、そのパートナーをだれにするかというのが今季のCB事情で、カニーニ、吉本、丸山、奈良らがそのポジションを争った。
まず森重は警告累積による2度の出場停止を除くリーグ戦32試合に先発、フル出場。主将として1年間チームのまとめ役となり、代表にも毎回招集された。今や押しも押されもせぬFC東京の顔となったと言ってもいいだろう。
読みのいいクレバーな守備と確かな足許の技術、ビルドアップの起点となる的確な戦術眼など、現代的なCBとしての資質の高さは今季も十分確認できた。フィジカル勝負でも当たり負けしない強さと、カバーリングやパスカットなど駆け引きでかわす守備とを兼ね備え、守備の要としての存在感は盤石。
フィッカデンティ監督の下で守備面でのこだわりを身につけ、局面によっては割りきりができるようになったのも成長だろう。最後の最後まで諦めずにボールに行った結果警告は増えたが、以前のように力任せでゴリゴリ行った結果の警告とはかなり意味合いが異なる。プレースタイルはクリーンになった。
高さ勝負にも強く、特に攻撃面ではセット・プレーのターゲットとして7得点。代表では持ち上がって前線で押しこむなど高いモビリティ、アジリティも見せており、DFとしてだけではなく、フットボーラーとしての総合点の高い選手であることは間違いない。年齢的にも最も充実した時期であり、森重が東京の核にいる間にタイトルを獲りたい。
敢えて課題を上げるとすれば、常に「見えている」選手だけに、たまに読み違った時に致命的なミスにつながるということ。パスコースが少しずれただけで決定的なボール・ロストになるのは、それだけギリギリのコースを狙っているから。余裕に見えるプレーがはらむリスクのコントロールは意識されなければならない。
早々に契約延長が発表されており、来季も東京の大黒柱としての活躍を期待したい。
カニーニは開幕から森重とのコンビで先発に定着したが、負傷により4月中旬から戦線を離脱、5月中旬には復帰して2試合に出場したものの、5月下旬には「所用」でイタリアに帰国してしまった。その後6月には再来日して練習に参加したが出場機会はなく、同月、移籍期限満了でチームを離れることが発表された。
フィジカルを生かした対人の強さで手堅い守備を見せ、高さ勝負にも強く、森重とのコンビも悪くなかった。フィッカデンティ監督の目指す守備のあり方を東京に浸透させるために果たした役割は大きかったのではないかと思う。しかし、足許のボール扱いやフィードにはやや雑な面も見られ、何を重視するかによって評価の異なる選手ではないかと思う。
森重に加え、吉本、丸山、奈良と有力なCBを揃え、試合の流れでは高橋、徳永らも中央を埋められるチーム編成にあっては、もともと移籍期限でのリターンは既定路線か。足許、つなぎ、ビルドアップというコンビネーション・フットボール型のCBを重視してきた東京にあって、フィジカルでがっしり守るタイプの重要性を再認識させてくれた点で存在意義は大きかったと思う。
カニーニの負傷離脱とともに出場機会を得たのは昨季飛躍を遂げた吉本だった。吉本はリーグ戦19試合出場(先発15試合、途中出場4試合)、シーズン終盤には丸山にポジションを譲ったが、愚直に身体を張る「魂のディフェンス」はチームを鼓舞し、守備からリズムを作る東京のフットボールのひとつのスタンダードを示した。
足許の技術やビルドアップの起点としてのフィードなどにまだまだ向上の余地があるのは間違いないが、森重のパートナーという意味ではチャレンジ&カバーのバランスは悪くない。丸山の成長もあって来季は厳しいポジション争いを勝ち抜く覚悟が必要だと思うが、ケガを乗り越えた経験も含め吉本の力を必要とする局面は間違いなくある。東京に必要な選手である。
今季の大きなサプライズは丸山だ。湘南への期限付移籍から復帰、湘南ではJ1昇格を担う正CBとして大きな実績を残したが、今季開幕当初は森重、カニーニ、吉本という厚いCB層に阻まれ、カップ戦のみの出場にとどまっていた。
しかし、7月の山形戦で負傷退場した太田に代わって左SBに入り存在感を示すと、次節の鹿島戦でそのまま左SBで先発、さらにその次の仙台戦では太田が復帰したにも関わらずCBにスライドして先発を続け、結局シーズン最後まで、吉本からポジションを奪う形でCBに定着、フル出場を続けた。また、9月には初めて代表招集を受け、現在のところ試合出場はないもののその後も代表に呼ばれている。
プレー・スタイルは森重と似ている。基本的には読みと技術で勝負するタイプだが、フィジカルや高さにも強みがあり、現代的なCBとしての資質は高い。何より根拠のよく分からない落ち着きがあり、フィードも正確で出しどころや割りきりの判断が的確。クレバーで、見ていて安心できる頼りがいのある選手に育った。
左利きでユーティリティもある。プレース・キックを蹴ることもでき、伸びしろはまだまだある。来季は中心選手としての活躍が期待される。
札幌からレンタルで獲得した奈良はリーグ戦では10試合にベンチ入りしたものの出場機会なし、森重、丸山がともに代表招集で不在となったナビスコカップで2試合(他に天皇杯1試合)の出場にとどまった。
出場した試合ではアグレッシブな守備でピンチの芽を摘み取る特徴的なプレー・スタイルで、U22代表として常時選出されている資質を垣間見せた。まだまだ荒っぽい部分もあり、今後の成長を待つ必要はあるが、出場機会があれば主力に育つ可能性を秘めた選手である。
夏には札幌からレンタル・バックのオファーを受けたが東京が断ったという情報もあった。このオフには東京が札幌に完全移籍獲得を申し入れている他、数クラブが獲得を目指しているとの報道もあったが、その後の記事では東京への完全移籍が濃厚のようだ。
森重、丸山の代表招集やケガ、さらには3バックの可能性も考えれば、最低でも2+2枚のCBは必要で、東京で1シーズンの間コンビネーションを作った奈良の獲得は重要なピース。来季は出場機会も増えるはずで、是非東京での活躍を期待したい。
CBは森重、丸山、吉本、奈良を固められれば、U23を戦うための育成的な補強は別として、即戦力を補強する必要はない。次世代の若手への先行投資の時期かもしれない。
次回はMF編を。
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FC東京
2015年12月22日 19:00
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【ブンデスリーガ第17節】グラードバッハ×ダルムシュタット
■2015年12月20日(日) 17:30キックオフ
■Borussia Park
月曜日未明1時半キックオフということで、いったん寝て起きるかとか考えたけどもういいかと思って寝た。当然のごとくスカパー中継もないし。
シーズン前半最終節。このところ公式戦3連敗と調子を落としているが、リーグ戦だけを見ればここ5試合で2勝1敗2分と悪くない戦績。3位以下は団子レースの状態でもあり、ホームでしっかり勝ち点を積み上げて、いいイメージでウィンター・ブレイクを迎えたいところだ。
この試合ではダフーがベンチ・スタート、ノードファイトがボランチに上がり、最終ラインにはエルヴェディが先発した。
ゾマー
コープ クリステンセン エルヴェディ ヴェント
アザール ノードファイト シャカ ジョンソン
シュティンドル ラファエル
試合はオープンな立ち上がり、グラードバッハがボールを支配し優位に試合を進めるが、ダルムシュタットも積極的に攻撃を仕掛ける。ボランチも加えた敵の柔軟な守備網にグラードバッハはなかなか決定機が作れなかったが、11分、ジョンソンからのパスを受けたシュティンドルがシュート(GKがキャッチ)。24分にはやはりジョンソンからのスルー・パスを受けたラファエルがシュートを放つがわずかにポストの外に。
ところが28分、左サイドからの敵のスローインが頭で伸ばされるとこれがゴール前で待っていた敵FWの足許に。これを蹴りこまれ失点、0-1と先制を許した。
39分、シャカが敵MFに背後から飛び蹴りを食らわして退場。先に敵がシャカを削って挑発していたらしく、敵も警告を受けたが、何であってもドロップ・キックはいかん。シャカを挑発するのが流行したら困る。シャカの退場を受け、フォーメーションとしてはおそらくシュティンドルがボランチに落ちたと思う。
だが、雰囲気の悪くなった44分、ヴェントからのクロスが敵DFに当たって後ろにこぼれたところに、シュティンドルがエリア外から右足を振り抜きゴール左下隅に決めるファイン・ゴール。グラードバッハが前半終了間際に1-1と追いつきハーフ・タイムを迎える。
後半開始間もない51分、ノードファイトが右寄りからのFKを、壁を巻くように直接決めてグラードバッハが2-1と逆転。素晴らしいFKだった。
数的に不利なこともあり、このリードを手堅く守りたいところだったが、リスクを取って前がかりに攻めるダルムシュタットに押しこまれ、67分、クロスに頭で合わされて失点、2-2と試合は再び振り出しに戻る。
72分にはアザールに代えてブラウアースを投入。ちょっとどういうフォーメーションになったか分からないが、3バックにして両翼を上げ、攻撃に比重をかけたのかもしれない。
互いに打ち合うオープンでアグレッシブな展開になったが、86分、ヴェントがシュティンドルとのワンツーから裏に抜け出し敵GKと一対一に。これを冷静に決めてグラードバッハが終盤に再び3-2と勝ち越し。
88分にはシュティンドルに代えてダフーを、89分にはラファエルに代えてドルミッチを投入して時間を使い、結局そのまま3-2で逃げきった。
シャカの退場など荒れた試合になり、試合展開もワイルドだったが、最後にきちんと突き放して勝てたことは評価しなければならない。下位のクラブ相手にカツカツの戦いだったが、連戦の最後、テンションを切らさず最後まで戦った。
シャカのドロップ・キックにはビビった。以前にも挑発されて自制できず警告を2回受けて退場になったが、こいつは挑発するとキレるぞと思われればそれがグラードバッハの穴になってしまう。可哀相ではあるが、主将としてしっかり精神修養して欲しい。Bildでは「シャカ、エッフェよりひどい 95試合で5回の退場」と見出しがついていて情けない限り。闘志をむき出しにしてくれるのはいいがちょっと頭を冷やせ。
これでグラードバッハはシーズン前半を9勝6敗2分で終え、勝ち点29を積み上げて4位。3位のヘルタとは勝ち点差3であり、ここまでは十分射程距離だ。昨季はこの時点で勝ち点27だったからそれを上回るペース(ただし昨季はシーズン後半に勝ち点39を積み上げた)。開幕5連敗からここまでよくリカバーした。ていうかあれはいったい何だったんだろう。
シュバート監督就任後の快進撃は目を見張るものがあったが、さすがにハイ・テンションでもちこたえられる範囲を越えつつあり、あちこちにムリが出ているのは間違いのないところ。ここでウィンター・ブレイクに入れるのは有難いし、前半最後の試合に、内容はともかく勝ちきっていい流れで調整できるのは大きい。自信、プライドという点で、単なる勝ち点3以上の価値ある勝利だ。
重傷のケガ人が多く、ウィンター・ブレイクの間に何人が復帰できるか微妙だが、CLもポカールもなくなってリーグ戦に集中できるのは不幸中の幸い。ここでしっかり態勢を立て直して後半戦に臨みたい。
アンドレ・シュバート監督談話:
「我々にとって非常に厳しい試合だったが、我々は最初からどうしてもこの試合に勝ちたいという気持ちを明確にして戦った。守備においても我々は非常に注意深く、序盤は非常に満足できていた。しかしその後は注意を欠いてしまい、そのために失点とレッド・カードという重い罰を受けた。あの瞬間に我々が勝つと思った人は多くなかったのではないかと思う。しかしハーフ・タイムには試合に勝つチャンスはまだあると思っていた。チームがこの信じられないくらい集中した試合で最後までこの勝利のためにすべてを投げうって信じてくれたことは注目に値する。熱い戦いと素晴らしいスペクタクルであり、最後は我々にとってラッキーな幕切れになった」
まずはお疲れさま。
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ブンデスリーガ
2015年12月21日 19:00
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【2015年】FC東京シーズン・レビュー(3) SB編
SBは今季も右に徳永、左に太田のレギュラー2人が盤石で、ほぼシーズンを通じて戦いきった。
徳永は警告累積となった5月の柏戦を除く33試合に先発、対人の強さ、スピード勝負にも負けないアジリティなど特長を発揮して東京の右サイドを守った。積極的に攻撃参加する太田とのバランスを取って、前線に上がる機会は限られたが、ここというところでの攻め上がりと正確なボール捌きは大きな武器になった。太田が足の故障で欠場した試合で左サイドに回っても危なげのない仕事ぶり。
敵のサイドからの攻撃に手を焼くシーンもあるにはあったが、全体として破綻なくシーズンを働いた。年齢的にも、単純なスピードやフィジカルだけで勝負するスタイルではなく、読みと駆け引き、こだわりと割りきりのバランスで安定したパフォーマンスを発揮する領域に入ってきた。唯一残念だったのは年に一回のゴールが今季はなかったこと。来季も東京の右サイドは徳永に任すことにして、今季の分も合わせて2得点を期待したい。
一方、左サイドの太田も今季は実りの多いシーズンとなった。足の故障で7月から8月にかけて欠場したが、それ以外の30試合に先発、正確なクロスとプレイス・キックで13アシストを記録、リーグのアシスト王になった。FKで自らも3ゴールを決め、得点パターンの少ない東京の貴重なゴール・ジェネレイターとなった。7月にケガで招集を辞退して以降、代表からは遠ざかったが、むしろ昨季より成長したと言っていい。
思いきりのいい攻撃参加、武藤、東らとの軽妙なパス交換、そして何より正確なクロス。守備よりも攻撃面においての貢献は大きかった。守備面では上がった後の裏を使われたり、敵FWとの駆け引きで後手に回ったりと必ずしもパーフェクトではなかったが、全体としてはそれをカバーして余りある具体的な結果を残してくれた。残念ながら既にチームを去ることが正式に発表されているが、これまでの活躍には感謝しなければならない。
もっとも、オランダのフィテッセへの移籍ということで、冬の移籍市場でしかも行き先がオランダという必ずしもトップ・リーグでないことには不安を覚える。海外なら何でもいい的な移籍で不満足な結果しか残らず、フットボール選手として最も脂の乗った時期を結局棒に振った例をいくつも見ているからだ。キャリアや適性、などをきちんと熟慮した上での判断なら尊重するしかないが心配だ。移籍金を残してくれたのは有難いが。
松田は、太田が故障で欠場した間、徳永を左SBに回した結果、右サイドで起用された。また、試合中に3バックに移行した時に、徳永がCBに回り右ウィングでも出場機会を得た。リーグ戦は9試合出場(先発4試合、途中出場5試合)、ナビスコカップでも2試合に先発した。
攻撃面に特長があり、思いきりのいい攻め上がり、やや勢い任せの面はあるにせよここというタイミングでのクロスなど、若さを感じさせ、徳永とは異なるポイントでアピールするという意識が十分窺えるプレーを見せてくれた。プレー精度、守備面での対応など、徳永を凌駕するにはまだまだ成長すべき部分はたくさんあるが、クラブとしては「徳永後」を展望する必要があり、そのためにも必要な選手だ。
セレッソ大阪、福岡からオファーを受けているという報道もあるが、我々としては手放す訳に行かないタレント。太田の移籍もあり、今後は出場機会も増えることが考えられる。慰留に努めるべきだ。
SBとしてはナビスコカップなどで太田に代わって丸山が左で何試合か出場したが、その後CBとしてレギュラーに定着。左利きでありSBとしての適性もあった。今後ももしもの際のバックアップ要員としてはSB起用も考えられるか。
太田の移籍に伴い磐田からベテランの駒野を補強するとの報道あり。即戦力としては心強いが年齢を考えると東京の次代を担うとは考え難く、展望としては数シーズン。その次の世代としては新人の小川の成長を期待したい。今季は出場機会はなかったが、太田が移籍することで今後チャンスが巡ってくることも考えられる。来季は試合で見たい。
また、特別指定選手としてチームに帯同した明治大学の室屋も出場機会なし。太田の移籍、松田への他クラブからのオファー、徳永、駒野の年齢を考えれば、室屋の正式獲得も選択肢としては重要。他クラブからの獲得オファーもあるようで厳しい戦いかもしれないが、強化部の頑張りを期待したい。
SBは世代交代をにらんだ補強とサブの成長が今後の大きなテーマ。試合でのパフォーマンスと若手の育成のバランスは難しいが、U23のJ3参入もあり、層を厚くしておきたいところだ。
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FC東京
2015年12月20日 15:16
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【DFBポカール3回戦】グラードバッハ×ブレーメン
■2015年12月15日(火) 19:00キックオフ
■Borussia-Park
ポカール3回戦。日本時間では水曜日の未明3時というムリな時間帯で当然スカパー中継もないので観戦は諦めた。
レバークーゼン戦からはドルミッチ、トラオレ、ヤンチュケに代わってラファエル、ジョンソン、アザールが先発。アザールの先発はすごく久しぶりだと思う。フォーメーションは4-4-2に戻したようだ。
ゾマー
コープ クリステンセン ノードファイト ヴェント
アザール ダフー シャカ ジョンソン
ラファエル シュティンドル
ボールを支配するグラードバッハに対し、固い守備からひとたびボールを奪うと素早い切り替えで押し上げるブレーメンという展開に。序盤のピンチをゾマーの好セーブでしのぐと、14分にはスルーパスを受けて裏に抜けたラファエルがシュートを放つがGKにセーブされる。ブレーメンにも何度かチャンスを作られ、拮抗した戦いになる。
32分、ダフーがキープして出したパスをアザールがワンタッチでシュティンドルに。シュティンドルがこれを冷静に蹴りこんで、グラードバッハが1-0と先制。そのままリードを保って前半を終える。
しかし、後半開始間もない52分、エリア外からシュートを決められ1-1の同点に。直後にラファエルのスルー・パスを受けて裏に抜けたアザールがシュートを放つがポストに嫌われる。
すると58分、敵のFKをゾマーが一度はセーブしたものの、こぼれたボールを押しこまれて1-2と逆転を許す。
しかしグラードバッハは下を向くことなく反撃、63分、ダフーに代えてエルゴタを投入、勝負をかけに行く。シュティンドルがボランチに下がったか。アザールが何度かチャンスを迎えてシュートを放つが決めきれずにいたところ、73分、敵のミスからボールを奪ったラファエルが前線にスルー・パス、これを受けたエルゴタがGKとの一対一を冷静に決めてゴール、2-2と同点に追いつく。
ところが直後の75分、左サイドから入れられたクロスにファーでフリーのヘディングを許し失点、2-3と再び勝ち越しを許す。さらに78分、敵のシュートがノードファイトに当たり軌道が変わってゴール。2-4とリードを広げられる。
グラードバッハは88分、コープとアザールに代えてエルヴェディとドルミッチを投入、アディショナル・タイムにはノードファイトのFKが敵DFに当たってこぼれたところをエルゴタが押しこみ3-4と1点差にしたものの時既に遅く、今年のDFBポカールは3回戦敗退となった。
このところのマンチェスター・シティ戦、レバークーゼン戦と比べればパフォーマンス自体は悪くなかったようだが、後半息切れして失点を重ねる悪いクセが出ていて、疲労が蓄積していることが窺われる。
守備が崩壊しているというよりは、ぎりぎりせき止めていたものがさすがにもたなくなってきたという感がある。過密日程の連戦に加えケガ人が多くロクにターン・オーバーもできないことでチームにムリが蓄積しており、これまでは勝っていたことが一種の麻薬のような役割を果たして何とか走って来られたが、さすがにそろそろひと休みして態勢を整えるべき時期に来ている。
特に、バイエルン戦に勝ってしまったことで燃え尽き感が出たのも何気に大きいような気がする。また、あの試合でうまく行った3バック、ハイ・プレス、中盤のマン・マークというムリめの戦術の成功体験を引きずってしまった感もあった。
シュバート監督としては、少しずつ独自色を出しながら持続可能な勝ちパターンをしっかり定着させることが必要だと思うが、連勝できていた時期はファヴレ前監督の遺産を整理してうまく機能させることができていたからこそいい形でチームが回っていた訳で、ここからどうチームとしての戦いを構築して行くか、新監督としての真価が問われる局面になってきたというべきだろう。
まだリーグ戦の前半最終節ダルムシュタット戦が残っている。形はともかくここでしっかり勝ち点を積み上げ、いいイメージを持ってウィンター・ブレイクに入りたい。
アンドレ・シュバート監督談話:
「敗退したことについては非常に落胆している。我々はあまりうまく試合に入ることができなかったが、それにも関わらずリードを奪ってハーフタイムを迎えた。後半にはあまりにたくさんのチャンスを作らせ、ミスもあって、その結果リードを許してしまった。それでも我々は前を向いて戦いそのおかげで一度は同点に追いつくこともできた。その後は落ち着いて試合を我々にとって正しい軌道に乗せ直すための時間が、本来なら十分あったはずだが、我々はあまりに雑に前がかりになってしまった。我々は非常に攻撃的な指向をもつチームであり、常に前につながる道を探している。しかしそれは非常に狭い稜線だ。失点を重ねた後でも選手たちは核心を持って最後まで戦ってくれたが、最後には3-4の敗戦となった。これはもちろん我々にとって非常に厳しい結果だ」
3試合で13失点はどうやっても言い訳できない。得点がそこそこ取れているだけに、この守備の力尽き感がヤバい。ウィンター・ブレイク中の立て直しが必要だ。
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DFBポカール
2015年12月19日 12:57
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【ブンデスリーガ第16節】レバークーゼン×グラードバッハ
■2015年12月12日(土) 18:30キックオフ
■BayArena (Leverkusen)
日本時間日曜日未明2時半キックオフだがなぜかスカパーで中継があったので録画して日曜日に早起き時差視聴。もちろん試合結果の情報はシャットダウン、勇んでテレビの前に座ったが…。
この試合ではヤンチュケ、トラオレ、ドルミッチが先発、CLのマンチェスター・シティ戦で先発したエルヴェディ、ラファエルはターン・オーバーでベンチ・スタート、ジョンソンはケガで欠場となった。
ゾマー
ヤンチュケ クリステンセン ノードファイト
コープ シャカ ヴェント
ダフー トラオレ
シュティンドル ドルミッチ
試合が始まってみるとフォーメーションはコープを右SHに置いた4-4-2に見えたがどうか。
試合はレバークーゼンが主導権を握りボールを支配するが、グラードバッハは自陣で強固なブロックを構築して決定的なチャンスを作らせない。どちらにも見せ場のないまま試合が進んだ。
27分、左サイドから切れこんだシュティンドルが中央にラストパスを送ると、飛びこんだドルミッチがこれに合わせてシュートを放つが敵GKがセーブ。大きなチャンスだったがこれが決まらなかったのがある意味この日のすべてだったかもしれない。
すると直後の30分、左サイドからのクロスを入れられ、ファーのFWにフリーでヘディング・シュートを許して失点。0-1と先制される。
グラードバッハは37分、右サイドから持ちこんだコープがDFをかわして角度のないところからシュートを放つが枠を捉えきれず。0-1で前半を終える。
シュバート監督は後半からヤンチュケとトラオレに代えてエルヴェディとラファエルを投入、僕にはここからバイエルン戦同様の3-5-2に移行したように見えた。
55分、左寄りで得たFKをラファエルが蹴るがボールはポストをヒット。ここから流れは一気にレバークーゼンに傾く。
63分、エリア中央でボールを持った敵FWに巧みに切り返されてシュートを決められ0-2に。さらに直後の66分、左CKから敵FWに頭で合わされ0-3。75分にはエリア外でボールを持った敵FWにターンを許しミドルを決められて0-4。76分にもロング・フィードを受けた敵の左からのクロスに中央でヘディングを許して0-5と、13分の間に4点を追加された。
グラードバッハは81分、ダフーに代えてマーヴィン・シュルツを投入したが時既に遅しの感。結局そのまま0-5で、このところ勝利のなかったレバークーゼンに完敗した。
ターン・オーバーしたものの疲労感は隠し難く、チャンスで決めきれなかった上に、後半息切れしていったん堤防が決壊するともう持ちこらえられず。3バックがザルに見えた。
シュート数6-14、逆にポゼッションは54-46と、ボールは持っても攻めあぐね、奪われて仕掛けられると守りきれず。まあ、もう何とも言えない感じ。勝ち点は26のままで順位は5位に後退した。
これでシュバート監督就任以来のブンデスリーガ不敗記録は途絶え、公式戦としてはCLに続いて連敗。これまでうまく噛み合っていた歯車にもいよいよ軋みが出始めた感がある。ここをどう調整して踏ん張るかが問われる。
ウィンター・ブレイクまではDFBポカールのブレーメン戦、そしてホームでのダルムシュタット戦を残すのみ。
アンドレ・シュバート監督談話:
「いろんな面で、やろうとしていたようにはできなかった。我々はゲームを相手に委ねてしまい、あまりにも簡単に失点を重ねてしまった。我々が戦ってきた一連の厳しい試合の後で、力が次第に衰えてきていることは分かると思う。とはいえ、我々自身もいくつかの点においてやるべきことができていなかった。この点についてはしっかり議論をしなければならない。我々には火曜日に重要なポカールの試合があり、その後もうひとつリーグ戦があるので、今一度しっかり気持ちを持たねばならない」
ということでポカールのレビューに続く。
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ブンデスリーガ
2015年12月12日 12:42
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【2015年】FC東京シーズン・レビュー(2) GK編
GKに関しては大きなトラブルがあった。今季は塩田と廣永を放出、榎本を獲得してシーズンに臨んだが、その背景としては権田がレギュラー、バック・アップとして経験のある榎本を補強、圍の成長を待つという考え方があったのは明らかだ。
権田は開幕からトップ・フォーム。特に着任間もないハリルホジッチ代表監督が視察に訪れた3月14日のホーム開幕戦で好セーブを連発、しばらく離れていた代表に再び招集されるなど好調な滑り出しを見せた。
GK3枚態勢の層の薄さをカバーするため、5月にはU-18の波多野を2種登録したが、それを待っていたように6月の練習で圍が負傷、全治3ヵ月の診断を受けて戦線を離脱した。このあたりから目論見が狂い始める。
事態が深刻になったのは7月末。29日の仙台戦に3-1で勝利した後、権田の代表辞退が発表され、8月5日には「オーバートレーニング症候群」という聞き慣れない病名での離脱が発表された。全治目途は示されず。
権田は8月以降戦線を離脱、ベンチにも入らず、榎本がゴールマウスを守ることになった。控えGKとしてベンチ入りしたのは2種登録の波多野。
この状況を受け、クラブは9月、かつてフィッカデンティ監督の下でプレーしたことがあり、フリーであったブラダ・アブラモフを急遽獲得、27節神戸戦からはアブラモフが正GKとして東京のゴールを守った。
権田はリーグ戦22試合、ナビスコカップ5試合に出場、持ち前のリフレクションで堅守に貢献したものの、上記の事情で離脱。秋には練習に復帰したとの情報もあったが、結局リーグ戦ではメンバー入りできていない状態のままシーズンを終えることになった。
オーバートレーニング症候群とは、過度の運動から来る慢性の疲労感、心肺機能その他の身体機能の低下、体調不良、抑鬱症状ということらしい。権田が生真面目で自分に厳しい性格なのはサポとして見ていても分かることで、自分を追いこみ、「練習はウソをつかない」的にトレーニングの密度を高めた結果、体力的にもメンタル的にもオーバーフローしたと理解するのが穏当だと思う。
こういう性格の人に「いいからゆっくりやんなさい」と言ってもなかなかそうできないのは容易に想像できることで、権田の復帰については正直あまり楽観的になれない。実際、湘南の秋元の獲得に動いているという報道もあり、クラブが来季に向け即戦力のGKの補強を意識していることを示唆しているようでもある。
権田は、大黒柱として東京を支えてもらうべきGKであり、そのことにだれも異論はないと思うが、だからこそ、彼自身の仕事観、フットボール観、トレーニング観をもう一度整理し、厳しさだけでなく、メンタル面での余裕を兼ね備えたGK、チームのリーダーとしてもう一段の脱皮を図って欲しい。無責任な言い方かもしれないが、今の状況はそのための正念場ではないかと思う。
時間はかけていい。これまで権田に助けてもらった分は、残ったメンバーで支える。来季から万全で復帰できるのであればもちろんそれに越したことはないが、まずは心身を整えることだけに専念して欲しいと思う。何より権田自身の健康が重要だ。
榎本は権田離脱の穴を埋める形でリーグ戦4試合、ナビスコカップ3試合に出場。アブラモフ獲得後は再びセカンドGKに退いたが、ピッチにいてもベンチにいても常にチーム全体を意識した言動で、おそらく彼自身にすれば難しいシーズンだったと思うが、クラブに最大限の貢献をしてくれた。個人的には今季のMOTに推したいくらい、榎本が東京に来てくれて本当によかったと何度も思った。
ナビスコカップ準々決勝第2戦での致命的なミスなど不運はあったが、試合の流れの緩急をコントロールするような老練なプレーでチームを勇気づけた。榎本がセカンドGKとして常に出場できる状態で控えてくれていたこと、そしていざという時にピッチで力を発揮してくれたことは、権田の離脱でバタつきながらもチームがそれで破綻することのなかった最大の要因。来季も東京で働いてくれることを期待したい。
アブラモフは急遽来日、リーグ戦8試合に出場した。キッキングにやや不安が垣間見えたものの、イタリアを含むヨーロッパのリーグで経験を重ねただけあって、落ち着いたプレーでリーグ終盤の戦いに貢献した。この間、完封5試合は立派。浦和戦での1点目の失点にはミスとの指摘もあったが彼の責任を問うのは酷に見えた。
フィッカデンティ監督が今季限りで退任することもあり、アブラモフも来季の去就は微妙な感じ。年齢を考えても榎本と被る感があり、権田、圍の回復見通し、補強の行方次第ではあるが、退団の可能性は高いと見ざるを得ないのではないか。だが、仮にそうだとしても困った時に力を尽くしてくれた貢献は大きい。残ってくれるのであればもちろん歓迎する。
圍は不本意なシーズンだったと思う。アレな言い方だが彼にとっては本来チャンスになるべき局面でアピールができなかった。負傷をしっかり治して来季はレギュラー争いに参戦して欲しい。榎本、アブラモフの年齢を考えても、権田と正GKを争うのは本来は圍のはず。成長を期待する。
いずれにしても、こうした難しい状況でもリーグ戦での失点33(リーグ3位)は高く評価されるべき数字。GKだけの成果ではないにしても、最後の砦として、権田、榎本、アブラモフがそれぞれに力を発揮したからこそこの結果があることは間違いない。繰り返しになるが、シーズンを通して、時にはベンチから、時にはピッチ上でリーダーシップを示し、むしろ出られない試合でこそ存在感を示してこのポジションを支えた榎本に最大の感謝をしたい。
来季のGKの構成をどうするかは不確定要素が多くまだ何とも言えないが、報道があった通り、即戦力の獲得も含め考える余地はある。オフのクラブの動向に注目しなければならない。
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FC東京
2015年12月09日 23:30
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【CL第6節】マンチェスターC×グラードバッハ
■2015年12月8日(火) 20:45キックオフ
■Etihad Stadium (Manchester)
CLグループ・ステージ最終節。水曜日未明4:45キックオフで、やろうと思えば前日早く寝て早起きするくらいのことはできたが、前日これが全然頭になくて普通に夜更かししてしまい、まあいいかということで普通に起き出して試合の終盤だけリアルタイムで見た。録画は週末にでもゆっくり見よう。
グラードバッハは既にグループ・ステージ敗退が決まっているが、ここまで勝ち点5を積み上げて3位。この試合に勝てばヨーロッパ・リーグに回ることができる。簡単な相手ではないが、週末バイエルンに勝った余勢を駆って勝ち点を上積みし、3位を確保したい。
シュバート監督はこの試合でもバイエルン戦と同じメンバーの3バックを採用。マンチェスター対策なのか、これからも3バックで行くということなのか。エルヴェディを右SBに置いた4バックとも発表されたようだ。
ゾマー
エルヴェディ クリステンセン ノードファイト
コープ ダフー シャカ ヴェント
シュティンドル ラファエル ジョンソン
グラードバッハは序盤から積極的に前に出る。両翼のコープとヴェントを起点に素早い切り替えから敵ゴールに迫る。一方、マンチェスターはエンジンのかかりが遅い。5分にはシュティンドルの落としを受けて右サイドからコープがシュートを放つが枠外。
一方、マンチェスターは徐々にリズムをつかみ、16分、細かいパス交換から裏に抜け出され、右サイドの角度のないところからゴール天井に突き刺されて失点。0-1と先制を許した。
しかし、直後の19分、左サイドをドリブルで駆け上がったジョンソンがエリア手前で中央にラスト・パス。正面のシュティンドルには合わなかったが、ファーに流れたボールに右サイドを上がったコープがダイレクトで合わせゴール。1-1とすかさず同点に追いつく。
その後はやや落ち着いた展開となるが、42分、左サイドのジョンソンからのパスを中央でラファエルがゴールに流しこみ2-1とグラードバッハが逆転。1点のリードを奪って前半を終了する。
後半になるとマンチェスターが攻勢を強める。試合そのものはオープンだが、チャンスはマンチェスターが作る。僕が目を覚ましたのもこの頃だったと思う。敵のシュート・ミスやゾマーの好セーブで何とかしのぐが、押しこまれる展開となる。
67分、ダフーに代えてマーヴィン・シュルツを投入。逃げきりを意識して守備を固めるということか。72分にはこの日も好調を維持するジョンソンに代えてドルミッチを投入。ジョンソンは交代時にやや足を引きずっているようにも見えたが大丈夫か。ここでジョンソンが欠けると結構大変なことになる。
リードを奪ったまま終盤に入ったが、80分、左サイドから入れられたボールを中央で流しこまれて失点、2-2と同点に追いつかれる。さらに直後の81分にも失点、2-3と、あっという間に逆転を許してしまう。歯を磨いている間にひっくり返されていた。
オープンな展開でグラードバッハもチャンスを作るが決めきれず、84分にはヴェントに代えてアザールを投入するが、85分、敵のシュートをゾマーがセーブしたこぼれ球を詰められさらに失点。2-4となり試合は決まり。手洗いに行ってる間に2点差になっててもうガックリだった。
結局試合はこのまま終了、一度はリードを奪ったものの、終盤足が止まり、敵の地力の前に逆転負けを喫した。
好調のジョンソン、コープ、ヴェントらを核に、ラファエル、シュティンドルが絡んで迫力のある攻撃を見せたが、バイエルン戦の激闘の後でさすがに疲労も蓄積したか。セビージャがユベントスに勝ったこともあってグラードバッハは4位に転落、ヨーロッパ・リーグへの進出を逃した。
今季の我々のヨーロッパへの挑戦は終わった。2連敗のスタートのあと、ユベントスと2分、セビージャに勝って勢いに乗ったかにも見えたが、最後に痛い逆転負けとなり、力尽きた。今思えば無用のPKで失った勝ち点がもったいない。ヨーロッパでも十分通用するということは分かったが、同時にギリギリのところまで突き詰めないと容易に勝ち点を得られるレベルではないということも実感した。
ただ、このステージで戦えたことから得られたものは決して小さくない。来季もここで戦いたいし、そのためにまずはリーグ戦に集中しなければならない。この試合でも果敢に前を向いて戦ったチームに賛辞を贈りたい。
アンドレ・シュバート監督談話:
「我々は前半ファンタスティックなフットボールをした。チームは下馬評を見事にひっくり返し、勇敢に前を向いて戦った。後半に入るとシティが圧力を強めてきた。これに対して持ちこたえようと試みたが、少しばかり主導権を失ってしまった。試合の流れから見れば我々が勝たなければならなかったし、そのために我々は前向きにリスクを取らねばならなかった。そうなるとさらにもう一度失点するということも起こり得る。負けはしたが、私はチームに大きな賛辞を贈らねばならない。彼らは、これまでのチャンピオンズ・リーグの試合と同様、このレベルについて行けるということを見せてくれた」
週末にはレバークーゼン戦がある。DFBポカールを入れてもウィンター・ブレイクまであと3試合。しっかり勝ち点を積み上げ、いい形でブレイクに入りたい。
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UCL
2015年12月08日 22:18
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【オフに考える】2ステージ制結果検証
チャンピオンシップ(CS)が終わった。年間勝ち点1位かつ2ndステージ優勝の広島、年間勝ち点2位で1stステージ優勝の浦和、年間勝ち点3位の大阪が出場、まず2位と3位の対戦で延長の末勝利をおさめた大阪が決勝に進出、広島と対戦した。決勝はホーム&アウェイだが、アウェイで逆転勝ちした広島が、ホームでも1点を先制されながら追いついて2試合合計で優勝を決めた。
3試合はいずれも上位同士の対戦にふさわしいレベルの高い試合になった。準決勝延長での、味方からのバックパスがポストに当たるハプニングからのカウンターでの勝ち越し点、決勝第1戦でのアディショナル・タイムでの逆転など展開も劇的で、ゴールデン・タイムに地上波で放送した視聴率も悪くなかったという。
また、1stステージ、2ndステージそれぞれに優勝争いがあってシーズンに二度ヤマ場があった上、シーズン終盤にも優勝争い以外にCS出場権を巡る争いがあるなど見せ場が広がったことからか、シーズン全体の入場者数も前年を上回ったらしい。スポンサー収入も増えたという。
FC東京も、最終節までCS出場の可能性が残っており、それはつまり優勝の可能性が残っているということで、3位に入ることの重要性は例年とはけた違いに大きかった。残念ながら最終節に引き分けてCS出場を逃したが、それは同じように最終節でACLを逃した2008年の落胆とは比べものにならない残念さだった。
シーズンを面白くするという意味では2ステージ制は一定の成果をおさめたし、これまでJリーグに興味をもっていない層にアピールするという点でも意義はあったと思う。リーグ全体としての盛り上がりは確実にあった。
しかし、このシステムを導入した時に指摘された問題点は結局のところ何も解決していない。
まず、年間勝ち点の尊重という観点から年間勝ち点3位までのクラブをCSに参加させた結果、「年間勝ち点の下位クラブが上位クラブに勝って順位が入れ替わる」という現象が起こり得ることになった。実際、浦和は1stステージ優勝かつ年間勝ち点2位であったにも関わらず、勝ち点差9で3位だった大阪に負けて年間順位は3位に繰り下がり、その結果、ACLのストレート・インを決め損ねた。このことの合理性はいかにしても説明し難い。
1stステージと2ndステージの優勝クラブが年間優勝を争うというかつてのCSの形式であれば、少なくとも対等な立場のクラブ同士の争いで、どちらが勝っても相応の正統性はあったが、CSの結果年間順位がひっくり返るということになれば、年間34試合戦って積み上げた勝ち点の意味は何だったんだという議論が出てくるのは避けられない。我々はCSをホームで開催できるというアドバンテージのためだけにシーズンを戦っている訳ではない。
結果的に広島が優勝して年間勝ち点1位の価値は守られたものの、1シーズン34試合を戦った後で、わずか2、3試合の「やり直し」で年間勝ち点の価値がひっくり返ることが現実に示された。競技としての公正さという観点からはいかにも不合理であり、この致命的な問題に対する答えは結局出されないままだ。
日程の問題もある。このポスト・シーズンを押しこむため、Jリーグは例年対比1、2週間繰り上げての日程消化を強いられた。そのため夏場に連戦が組まれる一方、シーズン終盤にはナビスコカップの決勝やインターナショナル・マッチ・デイの関係で試合が飛び飛びになった。10月24日に第32節を戦った後、2週間おいて11月7日に第33節、また2週間おいて22日に第34節と、シーズン最終盤の最も盛り上がる時期に何とも間延びし、気勢を削がれる日程になった。最も気候がよく観戦日和の11月にリーグ戦が2試合しかないというのはちょっと考えられない。
その後もひどい。例年、ポスト・シーズンはクラブ・ワールド・カップなどがあり、天皇杯までの間が空くのだが、そこにCSを押しこんだためにさらにいい加減な日程になった。特に、CSに出場しないが天皇杯に勝ち残っているクラブにとっては、11月22日の最終節のあと、1ヵ月以上おいて12月26日に準々決勝である。その間、選手や監督の去就が発表されたりもする。間が抜けていることこの上ない。
サポの固定化、高齢化から来るJリーグ人気のじり貧を回避し、新たなファンを獲得するという所期の目的からは相応の意義のあった2ステージ制でありCSであるが、公正なリーグ戦を歪めるという致命的な問題点はやはり看過し難い。日程の問題も含め、この点は是非とも改善して欲しいと思う。
日程はともかく、年間順位を歪めるという点については名案がある。
年間順位は勝ち点順で確定し、CSは別タイトルとするのだ。例えば年間勝ち点1位、シーズン前半1位、後半1位、ナビスコカップ優勝の4クラブが一発勝負のトーナメントで争い、優勝クラブにはシーズン優勝とは別の「チャンピオンシップ優勝」という新たなタイトルが授与される。出場クラブには洩れなく5千万円程度の出場賞金、優勝にはさらに1億円、2位には5千万円の賞金が出るようにすれば出場、優勝への意欲もグッと上がるだろう。
タイトルの重み、有難みが違うという人もいるかもしれないが、心配はない。ターゲットにしているライト層は、それが何を争っている大会なのか、そもそもリーグ戦とナビスコカップと天皇杯の違いもどうせ分かっていないのだ。今からタイトルがひとつ増えたぐらいで遠慮することはない。テレビが大きな声で「絶対に負けられない戦い」「プライドをかけた真の年間王者」とか何とか煽ってくれればそれで十分。「何だかよく分からないけどすごい大事なタイトルらしい」ということが伝わればいい。
その辺を適当にごまかしながら盛り上げるのは地上波の得意技だ。今回の決勝第1戦を放映したTBSは、実は第2戦があるということに試合中まったく触れず、したがってアウェイ・ゴールの意味や、このまま試合が進めば第2戦でどういう結果が出れば優勝が決まるのかも一切話さず、あたかもその試合で優勝が決まりそうな体で放送を続けた。
当然、良識あるフットボール・ファンからは厳しい批判を受けたが、僕はそれはそれでありだと思った。CSを見て喜んでくれるライト層にはそんなことはもともとどうでもいいからだ。それより最後まで試合そのものを楽しんでくれた方がいい。続きがあるなんてことは試合が終わった後にでも「へぇ、そうなんだ」程度に理解してくれれば十分ではないか。けしからんと腹を立てるような人はアナウンサーがそれを説明しなくても初めから分かっている人だ。
日程の問題は解消しないが、どうせポスト・シーズンをやるのなら、そしてそれが新しいファン層の開拓に一定の意義があるのなら、「チャンピオンシップ」という新しいタイトルをリーグ戦のシーズン優勝とは別に設け、高額の賞金を争うボーナス・ステージにすればいい。我ながら素晴らしい名案だわ。
【関連コラム】
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2ステージ制とかあり得ないでしょ
2013.5.22
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なぜ2ステージ制なのか
2014.1.20
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新2ステージ制は何を争うのか
2014.1.26
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Jリーグ
2015年12月06日 21:02
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【ブンデスリーガ第15節】グラードバッハ×バイエルン
■2015年12月5日(土) 15:30キックオフ
■Borussia-Park
日本時間夜11時半、どちらのクラブにも日本人選手はいないがバイエルンの試合ということでスカパー中継あり。ウチもそんな扱いになりたい。11番のユニを着て、ビールと生ハムを用意してテレビの前にスタンバイ。
グラードバッハは4位とはいえ首位バイエルンとは勝ち点差が17。バイエルンは今季14試合を消化してまだ無敗、わずかに引き分けがひとつとレベルの違う強さを見せているが、我々はバイエルンとは比較的相性がよく、昨季も1勝1分で無失点。就任以来リーグ戦7勝2分と無敗のシュバート監督にとっては真価を問われる大一番だ。ホームでもあり勝ち点が欲しい。
シュバート監督は大きくフォーメーションを動かしてきた。メンバーとしては前節先発したドルミッチに代えて若いエルヴェディを初めて先発で起用したのみだが、そのエルヴェディとクリステンセン、ノードファイトが3バックを形成し、コープとヴェントがやや高い位置でサイドに張る陣形に。5-3-2とも3-5-2とも見える。
ゾマー
エルヴェディ クリステンセン ノードファイト
コープ シャカ ヴェント
ダフー ジョンソン
シュティンドル ラファエル
試合が始まるとシャカがアンカーとして中盤の底に入り、ダフーとジョンソンは敵のダブル・ボランチにマンマーク気味に付くというフォーメーションがはっきりする。前線から積極的にボールホルダーにプレッシャーをかけ、ボランチをつぶすことでボールの出どころを抑えて前線で十分な形を作らせない狙いか。
目論見はある程度まで奏功、2分にはラファエルが中盤で奪ったボールを持ち上がってこの日最初のシュートを放つが、これはイージーで敵GK正面に。一方、バイエルンはグラードバッハのハイプレスをかいくぐって前線にボールをつなぎ、半ば力ずくで崩しに来る。セカンドも拾われ立て続けにシュートを放たれるシーンもあるが、ゾマーが落ち着いてセーブ、何とか持ちこたえる。
29分、左サイドのヴェントからのクロスに中央でシュティンドルがヘディングを試みるが枠外に。中盤を抑えることで一方的に押し込まれる時間を減らし、ピンチは身体を張った守備とゾマーの好守で切り抜けるという戦術で、ボールを持たれ何度か危ないシーンはあったもののスコアレスで前半を終える。
後半に入ってもグラードバッハが果敢にハイプレスから入る。54分、ヴェントからパスを受けたジョンソンが左サイドを駆け上がり、中に入ったヴェントにパス。ヴェントはこれをラファエルに預け、ラファエルがこれを落としたところに再び入りこんで右足でファーに流しこむシュート。これが決まりグラードバッハが1-0と先制する。ハードワークが実を結んで敵の守備陣を完全に崩した。
この先制点によって試合のバランスが微妙に変わった。グラードバッハは確実に手ごたえを得る一方で、この1点をどう守るのか、あるいは追加点を狙いに行くのか難しいゲーム・マネジメントを迫られ、逆にバイエルンは何としても得点が必要な状況に陥った。
しかしグラードバッハの対応は明確だった。ここまでのハイプレス、ボランチへのマンマーク、最終ラインでの身体を張った守備という、ハイ・エナジー・フットボールを継続し、一対一では積極的にチャレンジする。引いてリードを守るという考えはないようだ。というか、それがバイエルン相手に容易でないことを理解しているからこそ、その前の段階からつぶさなければならないという認識は変わらないということだろう。
バイエルンの方は明らかに攻め急ぎが出始める。引き続き中盤にフタをされた状況で、タメが作れずボールを前線に急がされ、仕掛けては止められるという単調な攻撃の繰り返しになってくる。これはグラードバッハのプラン通りだろう。
64分、左サイドでボールを受けたラファエルが中央のシュティンドルへ。シュート・コースがないと判断したシュティンドルがさらに右のコープにつなぐと、これをフリーで受けたコープがシュート。ボールは枠に飛んだが敵GKの残した足に当たり、バーをヒットして外へ。前を向いて戦う意志を明確にしたシーン。
66分、ラファエルのFKが敵DFにブロックされ大きく戻ったが、これを拾ったノードファイトがエリア内に放りこむと、エルヴェディが頭でつなぐ。ここにシュティンドルが飛びこみ、右足アウトで蹴りこんでゴール。2-0とリードを広げる。
さらに68分、自陣でシュティンドル、ダフー、コープと短いパスをつないでタメを作ったところから一気に裏へ長いボール。これを追ったジョンソンが足許に収めそのままドリブルで攻め上がる。最後は敵GKとの一対一になったが冷静に流しこんで見事なカウンター・ゴール。グラードバッハが3-0とさらにリードを広げる。スタジアムはお祭り騒ぎだ。
その後、81分には、交代で入った敵FWにゴール前でのパス交換から裏に抜け出され1点を返され3-1とされたものの、バイエルンの反撃はそこまで。グラードバッハが要所で敵のボールを奪い攻撃の芽を摘んで決定的なシーンは作らせず。
85分、ダフーに代えてマーヴィン・シュルツを、88分にはラファエルに代えてドルミッチを投入。さらにアディショナル・タイムにはシュティンドルに代えてアザールを投入するなどして着々と時間を使い試合をクローズ、結局3-1でバイエルンに完勝した。
前線からのハイプレス、ボランチのマンマーク、アンカー、最終ラインでの熾烈な肉弾戦、そしてゾマーのシュアで落ち着いたセービングと、実際には相当の運動量と勇気を必要とする難易度の高いタスクを最後までしっかりやり続けたチームには本当に畏敬の念しかない。
シュバート監督はここまで、ファヴレ前監督から引き継いだチームを、その自動性を損なわないようにメンテする仕事が奏功していると思っていたが、この試合で初めて明確に彼自身の色を出し、それを結果に結びつけて見せた。もしかしたらとんでもない名監督なのかもしれない。
綿密なゲーム・プランと、それをやり遂げたハード・ワークの両面から、今季ここまでのベスト・ゲームとして記憶されるべき。フォーメーションを変え、戦い方もスペシャル・アレンジが多かったが、その本質は臆することなく少ないタッチでボールをつなぎ、前を向いて仕掛けるふだんの我々のフットボールであり、その応用に過ぎない。
週央にCLを控えながら、目前の試合に全力を出しきったという意味でも高く評価されるべき。我々の現在地を知る上で大きな自信となる試合だった。
これでグラードバッハは勝ち点を26まで伸ばし(1試合あたり1.73)、順位も3位に浮上。2位のBVBとは勝ち点差が9ある一方、下は7位のマインツまでが勝ち点差3の中にひしめいていて、まだまだダウンサイド・リスクの大きい厳しい戦いが続くが、まずはシーズン前半残り2試合をしっかり戦いきってウィンター・ブレイクを迎えたい。
アンドレ・シュバート監督談話:
「私は私のチームのセンセーショナルなパフォーマンスに対して最大の賛辞を送らねばならない。前半はいくつかの問題があったが、必要なちょっとした運もあったことでリードを奪われずに済んだ。我々はやるべきところでは規律を持ってやれたが、全体としては勇気が十分でなく、必要な程度まで攻撃的、積極的に守備をすることができていなかった。後半に入って、高い位置からプレスをかけ深いところでボールを回してくる相手に対しても前線につながる道をよりしっかり探すようになった。これを選手たちはとてもよくやってくれた。リードを奪ってからはより自信を持てたし、時間を追うごとにうまく行くようになって、流れを引き寄せることができた。私は選手たちのパフォーマンスを誇りに思う」
興奮冷めやらず饒舌になってるね。次は火曜日(日本時間水曜日未明)にCLでマンチェスター・シティと戦う。CLのグループ・ステージ最終戦であり、ヨーロッパ・リーグ出場のかかった大事な試合。人繰りは厳しいがチーム状態は決して悪くない。できることをしっかりやりきりたい。
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ブンデスリーガ
2015年12月05日 15:01
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【2015年】FC東京シーズン・レビュー(1) 総論
リーグ戦が終わった。シーズン勝ち点で1位になる可能性は32節の浦和戦での敗戦によって消滅したが、今季導入されたチャンピオンシップ(CS)への出場即ちシーズン優勝の可能性は最終節まで残され、鳥栖に勝てば3位になるというギリギリの戦いをすることができた。最終節はスコアレス・ドローとなり、ガンバ大阪に抜かれる格好でシーズン4位に終わったが、63というクラブ史上最高の勝ち点を挙げ、大きな手ごたえを感じることのできたシーズンだったと思う。天皇杯は勝ち残っており我々の戦いは続くが、リーグ戦を振り返る形で今季をレビューして行こう。
今季の戦績をもう一度確認すると19勝6分9敗、勝ち点63(1試合あたり1.85)、得点45(同1.32)、失点33(同0.97)、得失点差+12、年間順位4位。ホームでは9勝3分5敗(勝ち点30)、アウェイでは10勝3分4敗(同33)。また、シーズン前半は11勝2分4敗(同35)で2位、後半が8勝4分5敗(同28)で6位となっている。
今季はフィッカデンティ監督にチームを任せての2年め。堅守をベースにウノゼロ(1-0の勝利)上等、結果重視の戦略で結果的に14試合の完封(10勝)、8試合のウノゼロを達成した。昨季、フィッカデンティ監督就任時には戦術の切り替えに苦労して出遅れたが、今季はスタートから戦術を徹底、守備を安定させることからペースを作るという基本的な考え方はチームにも、サポにも浸透したと言っていいだろう。
ポポヴィッチ監督時代には、ボールを保持しながらも最後のところを崩せずに攻めあぐね、そうこうするうちにお粗末なミスや一瞬の隙を突かれて失点、敗戦、試合後に監督が「内容ではこちらが勝っていた」「運がなかった」「決定力が足りなかった」などと説明するのが日常茶飯事だったが、今季我々が学んだのは、ポゼッションがどうであれ、得点の入り方が何であれ、結果を出さないことには物事は始まらないということだ。
今季の我々には、前半の早い時間帯にハイプレスをかけて高いポイントでボールを奪い、素早い攻守の切り替えから先制、そのあとは余計なリスクを取らず、自陣の守備を固めながら敵の隙を見て追加点を狙いに行く、追加点がなくても守りきって勝つという明確な戦略があり、それに基づいたゲーム・プランがあった。また、先制ができなくても、失点することがなければ最低でも勝ち点1は確保できるという割りきりもはっきりしていた。これにハマれば勝てるという「勝ちパターン」を持っていたことは大きい。
このような考え方で試合に臨む限り、簡単に相手のペースで試合が進むことは少ない。敵がボールを保持し、積極的に攻めているように見える試合でも、我々は流れを読み、ここというところに集中して力をかけるという戦いができていた。敵のミスを突いたり、ファウルを誘ってのPKであったり、場合によっては敵のオウン・ゴールであったり(今季はオウン・ゴールでの得点はなかったが)で得点できるのはその結果であり、決して偶然ではない。
ボール・ポゼッションと試合の主導権とは別物であること、「内容では勝っていた」と敵に言わせる試合が「こちら側」からはどう見えるのかということを実感したシーズン。具体的にどう守るのかという技術論ももちろんだが、結果につなげるための戦い方、結果から逆算した考え方というものを持ちこんだのがフィッカデンティ監督の最大の功績だと思う。
別稿でも書いたことだが、調子がいい時にはノリノリでもお粗末なミスや集中を欠く失点が多く、一度下を向いてしまうと修正が効かず、どうしても勝たなければならない試合で固さが出て自滅してしまう、メンタル的にもろい「万年思春期」のようなFC東京というクラブが、ビッグ・クラブとして真のタイトル争いに毎季加わるような「大人のクラブ」になるためには、今季の戦いは重要なものだった。
最後に失速した(最終4試合<うちホーム3試合>で勝ち点4)とはいえ、今季のフィッカデンティ監督の指揮、そして何より選手たちの戦いぶりは、クラブとしての運営も含めて高く評価するべきだと思う。
だが、もちろん課題はある。
ひとつは、鹿島と浦和にダブルを食らってしまったこと。
これらのクラブはこれまでも苦手としてきたが、今季もここ一番の重要な局面でこれらのクラブと当たり、勝てばタイトルにグッと近づく勝負どころであったにも関わらず、4戦全敗。鹿島は年間成績で上回ったが、年間2位の浦和に2敗(しかも2試合で8失点)したことはCS出場を逃す直接の原因にもなった。
この4試合ではいずれも前半に先制を許している。5月の鹿島戦(ホーム)では34分に失点、そのまま0-1で負けた。その翌週に行われた浦和戦(アウェイ)では5分に失点、その後も加点され、1点を返したもののダメ押しされて1-4で負けた。シーズン後半の鹿島戦(アウェイ)でも30分に失点、後半一度は追いついたものの終了間際に突き放され1-2。そして32節の浦和戦(ホーム)では11分、14分と立て続けに失点、1点を返したものの後半加点され、最後は1点差に詰め寄ったが3-4で負けた。
我々の戦略・戦術がこれらのクラブに通用しなかったのはなぜか。相性としかいいようのない「魔物」のせいにするのは簡単だが、ひとつ確かなのは、我々の守備にもまだまだ改善の余地がたくさんあるという単純な事実。下位のクラブであれば見逃してくれた小さな連係ミス、敵が勝手にシュートを外してくれたドフリーでのシュートやGKとの一対一など、敵の拙さに救われたシーンはどんな試合にもあるが、これらのクラブとの対戦では、そういう部分をこちらがぎりぎりまで詰めることがなければ、その綻びを必ず突かれるということ。
そこを的確に突いてくる強さは、厳しい試合をいくつも勝ちきってきたクラブとしての経験、そこを突かなければ勝てないというレベルの戦いが存在するというシンプルな認識がチームで共有されているかということに他ならない。そういう意味で、「我々は今季ここまではできた」「しかしここからはできなかった」という、「できたこと/できなかったことの限界線」がこの4試合(と最終節)に如実に表れていたということだろう。
勝者のメンタリティというのはよく使われる言葉だが、その中身は、こうした試合で過剰にモチベートすることではなく、大きな試合であればあるほどその勘所、勝負を分けるポイントを冷静に探り当て、そこを的確に押さえる力のことだと思う。今季、我々はその部分でも大きな成長を遂げたと思う。シーズン後半の大阪戦(2-1)、広島戦(1-0)の勝利はシビれた。しかし、次に乗り越えなければならない壁もまた明らかになった。
もうひとつの課題は、いうまでもないことだが攻撃力である。
失点をしなければ負けることはない。しかしすべての試合がスコアレス・ドローなら年間の勝ち点は34にしかならず、おそらく降格する。これも別稿で書いたことだが、タイトルを狙う以上、ウノゼロ上等であるにせよ、その「最少の得点」をどのように得るのかの戦略、戦術はしっかりと手の内になければならない。
もちろんそれがなかった訳ではない。武藤、前田の個の踏ん張り、太田のクロスやプレイス・キック、森重のヘディングなど、いくつかの得点パターンはあった。しかし、引いてしまった敵をどう崩すのか、終盤にどうしても1点が必要な時にどのようなスクランブルがあるのか、その広がりと深みの点において、東京の攻撃のオプションは決して豊富であったとは言えない。
アレシャンドレ・ガーロ、城福浩、ランコ・ポポヴィッチと続いたポゼッション重視、コンビネーション重視のフットボールの遺伝子は現在も受け継がれていると思うが、攻撃時にどこまでリスクを取って前線に人数をかけるかという点も含め、今季の戦術においてはそれは「図らずもボールを持たされてしまった時のオプション」に過ぎなかったし、しっかり相手を崩しきって得たゴールは多くなかった。
もちろん、どんなゴールでも1点が取れればいいというのが今季の考え方なので、崩さなくてもゴールできればそれでいいのだが、それが結果的にチームの攻撃における基礎体力みたいなものを少しずつ劣化させているのではないかという危惧は払拭できない。その意味で、フィッカデンティ監督を今季限りで退任させるというクラブの判断には理解できる部分がある。
シーズン中に羽生だか河野だかが言っていたように、「この戦い方は勝たなければ何も残らない」という面はあって、内容がしょっぱくても勝てばいい、いや、むしろしょっぱい試合で勝った方が痛快だという考え方の裏には、内容がしょっぱくて結果も出なければそこには何もないという厳しい事実が間違いなくある。来季はここをどう整理し、どんなフットボールを目指すのか、最も上積みの必要な部分だ。
先にも書いた通り、フィッカデンティ監督は既に今季限りでの退任が決まっており、後任には城福浩の名前が取り沙汰されている。未確定な段階で議論をしても始まらないが、今季ここまで積み上げたもの、特に「勝つ」という結果へのこだわりをしっかりと継承した上で、「その先」へ向かうには悪くない人選だと思う。
補強の必要なポジションはいくつかあるものの、ここ数年の的確な強化の結果、チームは年齢的にも能力的にもバランスのいい、レベルの高い選手が揃っているし、中心選手の入れ替わりが少ないため、選手の間の連係、オートマティズムという意味でも完成度は高まっている。ステップを踏んでチームは成長しており、引き続きタイトルを狙うチャンスは十分あるはずだと思う。
次回からはポジションごとに今季を振り返ろう。
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FC東京
2015年12月01日 00:08
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【ブンデスリーガ第14節】ホフェンハイム×グラードバッハ
■2015年11月28日(土) 15:30キックオフ
■Wirsol Rhein-Neckar-Arena (Sinsheim)
土曜日の夜11時半キックオフ。例によってスカパーの中継がないため、最近頼りっぱなしのGoal TVでネット観戦となった。
チャンピオンズ・リーグでセビージャに勝って乗りこむアウェイ。勝ち点3を稼ぎたい試合だが、セビージャ戦でトラオレが負傷、いよいよ人繰りも決定的に苦しい。よくこのメンバーで無敗を続けていると不思議になるくらいの状況。
この試合でも、欠場したトラオレに代わってドルミッチが右SHで先発した他は、セビージャ戦と同じメンバー。それにしても、ここにアザールではなくドルミッチなのはなぜ…。
ゾマー
コープ クリステンセン ノードファイト ヴェント
ドルミッチ ダフー シャカ ジョンソン
シュティンドル ラファエル
試合は序盤からグラードバッハがボールを支配、敵陣を中心に試合を展開する。早くも5分、ダフーがエリア左手前から対角線を描くように右前線に出したパスを、DFラインをかいくぐって裏に抜けたジョンソンがワン・トラップしてシュート。GKの股を抜いたボールはファー・ポストに当たってゴール。早い時間帯に1-0とリードを奪う。
その後もグラードバッハがボールを支配するが、11分、敵に素早くボールを展開され、右サイドからのクロスに頭で合わされて失点。1-1と同点に追いつかれてしまう。ホフェンハイムは自陣でブロックを形成しながらも、ボールを奪うと素早い切り替えから一気に攻め上がる。カウンターは侮れない。
21分、シュティンドルがワンツーから裏に抜け出しシュートを放つがボールはわずかにゴール右に外れる。
すると35分、敵FWにエリア深いところまで入りこまれ、そこからの戻しのパスに合わされて失点、1-2と逆転を許す。その後はオープンな展開となるが大きなチャンスはないまま前半を終えた。
グラードバッハは後半からダフーに代えてアザールを投入。フォーメーションはよく分からなかったが、おそらくドルミッチをトップに上げてアザールをSHに、シュティンドルをボランチに下げたのではないかと思う。
しかし、47分、そのシュティンドルがゾマーにバックパスしようとしたボールが、前線に残っていた敵FWへの絶妙なプレゼント・パスとなり、これを決められて失点、1-3とリードを広げられる。
しかし、グラードバッハは諦めず、ボールを動かしながら、自陣で守りを固めるホフェンハイムを攻略しようとする。51分、ラファエルのシュートはGKにセーブされるが、56分、右サイドからのシュティンドルからのクロスに中央でドルミッチがヘディング、これが決まり2-3と1点差に詰め寄る。ドルミッチはこれがグラードバッハでの初ゴール。これで勢いが出れば。
その後は勢いに乗るグラードバッハが懸命に攻撃を仕掛けるが、ホフェンハイムの守りも固く、なかなか決定的なチャンスを作ることができない。80分、コープに代えてエルヴェディを投入、さらに84分にはドルミッチに代えてエルゴタを投入し、同点を狙いに行く。
81分、アザールのエリア外からのミドルは敵GKにセーブされるが、87分、カウンターから右サイドを駆け上がったジョンソンが、そのままエリア内に仕掛け、切り返しで敵DF二人をかわしてシュート。これが決まってグラードバッハがついに3-3と追いつく。ジョンソンはこの日2点目。
その後も逆転を狙って攻撃を仕掛けたが及ばず、結局3-3の引き分けに終わった。
さすがに疲れがあるのか動きが重く、細かいパスミス、攻め急いでのボール・ロストなども少なくなかった。交代の手も限られ、監督としては極めて限られた選択肢の中で戦うしかなかった試合だと思うが、何とか2点差を追いついての引き分けは価値がある。
とはいえ、3点目が明らかなミスがらみだったように、全体としてのパフォーマンスは必ずしもよくなかった。3点取った攻撃はまだしも、ミスを含め3失点の守備はよく検証する必要がある。
明るい材料としては、右SHで先発したドルミッチが悪くないパフォーマンスで初ゴールを挙げたこと。前線で張るタイプのFWだと思っていたが、ボール扱いがシュアで、味方を生かすパスの出し方もできる。ドルミッチが使えるカードになれば選択肢はグッと広がる。kickerの評価も2.5とよかった。期待したい。
また、後半からの出場となったアザールもいい動きで敵ゴールを脅かした。技術、アイデアは卓越したものがあり、シュート力もある。台所が厳しいのだからしっかり使って欲しい。これをベンチに置くのはもったいない。
あとは、ジョンソンのこのところのブレイクがすごい。ドッペルパックで苦しいチームを救った。ここに来て決定力に凄味が出ている。層の薄い現状で、ジョンソンが好調を維持しているのは心強い。
過密日程の影響が否定できない試合だったが、勝ち点1は持ち帰ることができた。グラードバッハは14節を終わって勝ち点23(1試合あたり1.64)、順位はひとつ上げて得失点差の4位になった。3位までは現実的に手の届く範囲だが、その上に迫るにはもう少し時間をかけて勝ち点を積み上げなければならない。
シュバート監督は暫定監督就任以来リーグ戦9試合で7勝2分無敗。負けたのはCLのマンチェスター・シティ戦のみであり、公式戦の戦績は14試合9勝1敗4分。このところ引き分けが増えて足踏みしている感はあるが、次節、バイエルン戦でしっかり勝ち点3を上乗せしたい。
アンドレ・シュバート監督談話:
「我々は早い時間帯に試合をグリップしたいと思っていたし、実際いいスタートを切ることができた。その後も我々はそれをやり続け、試合をしっかり支配することにトライしなければならなかったのだが。しかし我々はその後慎重さを欠き、ビルドアップの時に簡単にボールを失うことが多かった。そのため敵の速い選手にカウンターを許すことになった。ホフェンハイムはしかしそれを非常にうまくやり、前半の終りには1-2になった。後半に入ってすぐ、我々は3点目を失った。しかしその後チームがやりとげたことは驚くべき。その後は試合をもう一度ひっくり返そうと必死で打ち込んだ。結果として最後にこの勝ち点を得たのは妥当だったと思う」
週末はバイエルンと。これに勝ちたい。
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