フットボール・クレイジー
football crazy
  silverboy club presents


2016年03月21日 10:23      [posted by der_ball_ist_rund]

【ブンデスリーガ第27節】シャルケ×グラードバッハ

■2016年3月18日(金) 20:00キックオフ
■Veltins-Arena (Gelsenkirchen)

日本時間土曜日未明キックオフ。先方の日本人選手がケガで長期離脱しているためかスカパーでの中継はなく、さらには最近頼りにしているGoalTVのネット中継すらない。やむなく土曜日の午前中にFohlen.TVで時差視聴した。もちろん試合結果に関する情報はシャットアウト。

グラードバッハは前節と同じメンバーが先発したが、ヒンターエッガーを最終ラインに置き、エルヴェディを右SHに押し出す形に。ジョンソンは左SHに回り、前線もシュティンドルを1トップに、左にラファエル、右にアザールの2シャドーを置いたように見えた。何か深い考えがあったのだろう。

ゾマー
ノードファイト クリステンセン ヒンターエッガー
エルヴェディ ダフード シャカ ジョンソン
アザール シュティンドル ラファエル

HSVにレンタル中のドルミッチが負傷したのを励ますために、グラードバッハは全員が「JOSIP」と大書きされたTシャツを着用しての入場。

序盤は慎重な立ち上がりとなったが、次第にグラードバッハがボールを支配し敵陣中心に攻撃を仕掛ける展開に。9分、左寄りでボールを持ったラファエルが敵のDFを引き連れながらペナルティ・エリア近くまでドリブルで持ち上がり、最後は切り返してシュートを放ったが右に外れる。

15分にはアザールが中央で切り返してシュートしたがGKがセーブ。アザールは仕掛けは素晴らしいがシュートがちょっと残念なシーンが多い…。

グラードバッハはその後も前線が流動的にポジションを交換しながらシャルケを押しこむが決定機を決められず。30分にはラファエルのパスをアザールが落としジョンソンがシュートを放つが大きく枠を外れる。

44分にもエリア左手前からアザールがファーに飛ばしたクロスにシュティンドルがゴール至近で合わせるが敵GKにブロックされるなど、シャルケを圧倒しながら得点がなく、スコアレスで前半を終える。前半のうちに2点か3点取って決めておくべき試合だった。

後半に入っても展開は変わらず、48分にはジョンソンからのパスを受けたラファエルが決定機を迎えるがサイドネット。

しかし、チャンスを作りながら決めきれないでいるとワンプレーで流れが変わってしまうのはいつものこと。59分、右サイドでノードファイトがバック・パスしようとしたボールを敵MFに奪われ完全に裏を取られる。クリステンセンがこれに伴走し、こぼれたボールをヒンターエッガーがゴール前でクリアしようとするが、これがノードファイトに当たり、さらに再びヒンターエッガーに当たってゴールに。

不幸なオウン・ゴールで0-1と先制を許す。奪われてからの後ろでの対応自体は仕方のないところもあるが、ボールの取られ方があまりにもアレでガックリ。取るべき時に取らないとこうなるという見本のようなミスからの失点で、試合の流れとはまったく無関係にリードを許したのが痛かった。

その後はシャルケの動きもややよくなったが、グラードバッハも引き続き攻勢を仕掛け、63分にはジョンソンからパスを受けたダフードが左サイドから巻いたボールでシュートを狙うが惜しくもポストをヒット。まだまだ試合を諦める訳には行かない。

70分、ジョンソンに代えてトラオレを、75分にはダフードに代えてヘアマンを投入して反撃を試みる。おそらくクリステンセンをボランチに上げ、エルヴェディを最終ラインに下げてトラオレを左、ヘアマンを右に置いたと思うが、3トップと両翼が流動的に往来するので見極めるのは難しい。

すると79分、中盤でボールを持ったクリステンセンがドリブルで持ち上がり、シュティンドルに預ける。シュティンドルが敵DFをかわしてボールをキープ、そのまま上がったクリステンセンに戻すと、クリステンセンがワントラップでボールを置きシュート。これが決まって1-1と同点に追いつく。

81分、アザールに代えてハーンを投入。ハーンは負傷離脱以来の復帰となる。復帰がケガをさせられたシャルケ戦だというのも因縁か。

しかし83分、左サイドのボール・ホルダーに3人が囲みに行ったところ、空いた中央にボールを出されてフリーでシュートを打たれる。シャカがブロックに入ったが、その肩にハネたボールがゴールに。痛いところで1-2と再びリードを奪われる。中のスペースがぽっかりと空き、シュート・ケアできないまま打たれてしまった。

その後もグラードバッハはパワープレー気味に敵陣で反撃したが、89分、クリステンセンのヘディングをGKにセーブされ、こぼれ球へのラファエルの押しこみもポストに嫌われて万事休す。まったく内容に見合わない1-2の敗戦となった。

数字を見てもシュート数22-6、ポゼッション60-40、CK5-2と圧倒的に試合を支配しながら、前半の好機に決めきれず、気の抜けたミスからオウン・ゴールで失点、何とか追いついたものの突き放されて痛い敗戦。アウェイで最低限の勝ち点1を得ることもできなかった。

ゴール前での決定率が低過ぎて、最も情けないパターンの負けになった。この展開なら後ろは耐えなければならないが、押しているだけに得点がないと焦りが出て後ろの集中が欠けるのはあり得ること。そこのところの我慢が足りなかったし、追いついた後も意識が前に急ぎ過ぎた感はある。

やっていることを変える必要はないが、勝ち点1の差が最後に明暗を分けそうな混戦具合の中で、どうやってリスクをコントロールしながら効率よく得点するのか、再確認が必要だと感じた。

ヘアマン、ハーンが戻ってきたのは朗報だし、トラオレや冬に獲得したホフマンも合わせて前のタレントは豊富。ラファエルは好調を維持しており、今季残り試合、3位を目指しての戦いは続く。

次節は3位のヘルタとの対戦で、厳しい相手だが上を引きずり下ろして上がるための天王山。その前にできる限り勝ち点を積み上げておきたかったが、まずは次の試合にすべてをぶつけるしかない。

アンドレ・シュバート監督談話:
「画面にはシャルケが2-1で勝ったと出ているが、前半は我々が彼らを一方的に攻撃していた。この結果は非常に腹立たしいし奇妙なものだと思っている。シャルケがわずかなことしかできなかったのを見れば、今日の試合は我々にとっては非常に苦々しい。しかし、フットボールというのはそういうものだ」

グラードバッハの公式サイトに監督コメントが見当たらず…。




Comments(0)TrackBack(0)Borussia M'Gladbach | ブンデスリーガ


2016年03月20日 20:57      [posted by der_ball_ist_rund]

【J3第2節】FC東京U-23×琉球

■2016年3月20日(日) 14:00キックオフ
■味の素フィールド西が丘

埼京線を板橋で降り、そこから歩いて都営三田線の新板橋へ。西が丘に行くのは初めてだが、それらしい人がたくさん歩いていたので後をついて行ったら着いた。うららかな春の日和になり、日当たりのいいところは厚着では厚いくらい。いい具合に客も入りキックオフを待つのも和やかな雰囲気。買って行ったサンドイッチを食べてキックオフを待った。

東京は前節からややメンバーをいじってきた。CBに特別指定の山田をCBに起用、前節CBのU-18岡崎を左SBにスライド。また、ボランチには高橋が先発し野澤とコンビを組んだ。幸野はFW起用となり中島と2トップ。また、ベンチには榎本が入った。


柳 吉本 山田 岡崎
平岡 野澤 高橋 ユ・インス
幸野 中島

前半は劣勢ながらも要所を締め、敵と渡り合う展開に。果敢にボールを前に当てて押し上げてくる相手に対し、こちらもバタバタした対応を余儀なくされる時間が長く、中盤でなかなか時間を作れずに攻め急がされてボールを失う出入りの激しい試合になる。

中央の吉本、山田がしっかり対応して失点は免れていたが、前半終了間際の43分、右寄りのFKに頭で合わされ失点。0-1と先制を許して前半を折り返す。

後半に入ると果敢に仕掛ける琉球に対し後手に回るシーンが増え、52分、スルーパスから裏に抜け出され圍との一対一を決められて0-2。東京は65分、ユ・インスに代えてU-18の松岡を投入したが、直後の67分、左サイドからのクロスに頭で合わされたボールが宙に浮き、これが絶妙のクロスとなってゴール。0-3とリードを広げられる。

69分、その前から足が攣った様子の平岡を下げて特別指定の矢島を投入、さらに76分、野澤に代えてU-18の鈴木を投入すると攻撃が活性化、83分、左からのクロスに矢島が頭で合わせゴール。U-23待望の初ゴールとなり1-3とする。

さらに88分、今度は右サイドの柳からのクロスに松岡が合わせてゴール、2-3と1点差に詰め寄り、その後も押せ押せの勢いに任せて反撃を仕掛けたが、いかんせんエンジンがかかるのが遅すぎて及ばず、2-3で開幕2連敗となった。

開幕戦よりは戦う姿勢も見え、特に中島やユ・インスがゴールへの貪欲さを露わに前へ向かおうとしていたのは印象的だったが、守備の厳しさが徹底できずセット・プレーから失点、後半、やや集中が切れたかサイドから仕掛けられて追加点を許すなど、甘さが出たことは悔やまれる。

終盤の追い上げは次節につながって行くものだと思うが、選手交代で特別指定や二種登録の、この試合で結果を出すことに強い意欲を持つ選手が入って初めて攻守が活性化したのは象徴的で、ゴールを決めたのが特別指定の矢島、二種登録の松岡だったのは決して偶然ではないと思った。

前節のレビューにも書いたかもしれないが、対戦相手はこのカテゴリーの試合に昇格やクラブの存続や選手としての生活や将来、夢や誇り、プライドみたいな切迫したものが懸っている。重要な公式戦である。それに対して我々は、それに見合うだけのどんな切実なものがそこに懸っているのか。それに対して「育成」や「成長」といったような答えしか出せないようなら、いつまでたってもこのステージでの真剣勝負には勝てないのではないかと思わずにいられなかった。

トップに昇格するとか出場機会を得るとか明確な目的意識があり、このカテゴリーでの試合に強い意味を見いだせる立場の特別指定や二種登録、トップで試合出場経験のない平岡や柳、ユ・インス、圍らのモラルが高いのは当然だが、J1やJ2で試合経験のある野澤、中島、幸野らにとっては何を目線に戦えばいいのか。それは彼ら自身が考えるべき問題ではあるが、そこがうまく整理できないままチーム内に温度差を抱えていては結果を出すのは難しい。

また、オーバーエイジで出る選手は、トップとU-23をつなぐリンクの役割を果たさなければならない。若手ばかりのチームに、試合の中で的確な指示を与え、自ら率先して「こうやるんだよ」というお手本を示さなければならない。オーバーエイジはトップの試合に出られなかった選手というよりは、そうした役割を果たせる選手をしっかり選ぶ必要がある。

その意味で、今日の高橋、ベンチ入りした榎本らは適任かもしれない。ベテランが一人いてチームを締めるという意味では羽生もいいかもしれない。若手のレベルアップにはピッチ内の指導者が必要だと思う。

J3に最適化したチームを作るのではなく、トップと戦略・戦術を共有したハイ・レベルのサブスティテューション・プールを作るのが目的だと思うが、その目的のために編成したチームが当然のようにこのカテゴリーで結果を出してこそ真剣勝負の場を求めた意味がある。まだまだここで何をやりたいのかの軸足が見えてこない感がある。選手よりクラブの側にコンセプトの整理が必要なように思えるが…。



Comments(0)TrackBack(0)FC東京 | J3/FC東京U-23


2016年03月19日 22:00      [posted by der_ball_ist_rund]

【Jリーグ第4節】鹿島×FC東京

■2016年3月19日(土) 15:00キックオフ
■県立カシマサッカースタジアム

アウェイ観戦は原則首都圏だけと決めているのでおとなしく自宅スカパー観戦。天気も悪いし。

開幕戦での情けない失点から学び、まずは手堅い守備から構築する戦い方がコンセンサスになりつつある東京。鹿島は分の悪い相手ではあるが、こういうクラブにこそしっかりした守備で隙を見せず、アウェイでも勝ち点を持ち帰りたい。

もちろん勝ちたいが、意識が中途半端に前に向かうと後ろでやられることはこれまでも経験済み。こちらからリスクを取りに行くよりは、しっかりと我慢してこちらが隙を窺いたい試合。チャンスは必ずある。

阿部が風邪で欠場との情報。そのため東を前線に上げ、左に田邉、右に水沼のSHで4-4-2の布陣。平山がベンチ入りした。

秋元
徳永 森重 丸山 小川
水沼 橋本 米本 田邉
前田 東

予想された通り試合は互いにリスクを意識した慎重な立ち上がりに。中盤でボールをやり取りして交互に仕掛ける展開で、鹿島がやや優位にも見えるが、東京は局面によっては割りきった守備で大きなチャンスは作らせない。

2分、森重が右サイドからミドルを放つがゴール左に大きく外れる。9分、田邉のシュートも枠外。15分にも前田のキープからパスを受けた米本が遠目から狙うがバーの上。シュートはミドル中心で、東京の攻撃にも可能性はあまり感じられない。

18分、水沼からのパスを受けた東が中央にクロスを送ると、フリーの橋本がこれに合わせるがこれも枠に飛ばず。いい形だったが残念だ。

一方で鹿島も効果的にボールを動かして東京の守備を崩そうとし、東京は自陣に押しこまれる時間も長くなるが、守備は集中しており失点は許さず。セット・プレーから枠に強烈なヘディング・シュートを放たれるシーンもあったが、秋元のファイン・セーブを難を逃れた。敵のシュート・ミスもあって何とかしのぐ。

38分、東からのパスを受けた水沼がクロスを入れ、前田が頭で合わせたがシュートはGK正面。直後の東からのクロスも中央では合わず。劣勢ではあったがよく守り、攻撃でも何度かチャンスを作ったが決めきれず。結局スコアレスで前半を折り返す。

固い守りからペースを作るという意味ではしっかり対応ができている。胸の空くような攻撃が見られる訳ではないが、自陣で我慢しながら敵の攻撃をしのぎ、主導権を握らせないというゲーム・プランは完遂できている。後半もこれをしっかりやりきりたい。

ところが後半開始早々の50分、左サイドの裏を取られ、エリアに戻しのクロスを入れられる。このボールは丸山が身体を張ってシュートをブロックしたが、後ろにこぼれたボールに詰められシュートを放たれる。

ボールはボテボテだったが、前線でFWがわずかに触れてそのままゴールへ。東京のDFはオフサイドをアピールしたがリプレイを見る限りオフサイドではなく、手を挙げている場合ではなかった。セルフ・ジャッジで足が止まったと言ってはちょっと可哀相だが、ラインを上げようとしたところに後ろからシュートを打たれ、ボールを見送ってしまった。

こういう試合で先制点を奪われると、メンタルも含め試合は形勢は一気に厳しくなる。反撃を仕掛けてくる相手のいなし方については鹿島に一日の長があるのはいつものこと。この時点でしんどい展開になったのは間違いない。最も先制を許してはいけない相手に先制されてしまった。

城福監督は54分、田邉に代えて河野を投入、河野はトップに入り、東が左SHに落ちる。攻撃に変化を求めたということだろう。

56分、鹿島のFKに合わされたボールを秋元がセーブしたが手につかず、こぼしたボールを押しこまれてネット・イン。ヤバいと思ったがこれは鹿島のファウルになりノー・ゴールに。リプレイを見ると秋元はボールを確保できておらず、鹿島の押しこみはフェアに見えたが、まあ、ラッキー。

59分、米本が右サイドからクロスを入れ、中央の東がスルーしてファーの水沼に合わせようとするが打ちきれず。直後にも東からのパスを受けた水沼が狙ったが枠外に。やや攻め急いでいるようにも見える。落ち着いて試合を運びたいが…。

62分、水沼に代えて梶山を投入。中央でしっかりボールを落ち着かせ、ボールを散らして攻撃の選択肢を増やしたいという意図だと思うが、それであれば高橋でもよかったように思う。橋本が右SHにスライド。

66分、前田からのパスを受けた河野のシュートはGKにセーブされるが、このこぼれ球に橋本がオーバーヘッド・シュートを試みる。ボールは枠に向かったが敵DFに当たってゴールラインを割った。

時間とともに焦りの出る東京はバランスを崩してでも同点にしたいところだが、隙を見せると後ろを狙われてダメ押しされるリスクも高く難しいマネジメントを迫られる。

74分、橋本に代えて平山を投入、平山は東が右、河野が左のSHに回り、前田と平山の2トップに。

すると80分、左に回りこんだ前田からのクロスを平山がニアでキープ、ゴール前に流しこんだボールを河野が至近距離から押しこもうとするが足許に深く入り過ぎたかシュートはヒットせず。

東京はその後も必死の反撃を試みたが、終盤に入ると焦りの出る東京に対し、時間を使いながら前がかりになった東京の後ろを突く鹿島という見慣れた展開になり、勝機はますますプアになって行く。

88分、右サイドから中に入れられたボールにだれも寄せに行けず、余裕を持ってゴール前に流しこまれたボールにファーで合わされて失点。0-2と致命的な追加点を奪われて万事休す。その後の頑張りも虚しくそのまま試合は終了し、またしても鹿島に完敗する結果となった。

まあ、選手の口から「鬼門」とか「相性悪い」とかという言葉が出てくる時点で「名前負け」してる感は否めないし、それだけに固い守備から隙を見せずにスコアレスで勝ち点1を持ち帰れれば上等と思っていたが、気の抜けた瞬間を見逃さず得点し、そのあとは時間をマネージして勝ちきるという鹿島のパターンにまたしてもこちらからハマりに行った試合だった。

攻撃の連係がまだまだ構築中だというのはだれもが思うことであり、チャンスに決めきれなかったことは大きな課題だが、敗因はそこではなく、攻撃が思うに任せないのなら失点をなくして最低でも勝ち点1を取るというプランがワークしなかったこと。前半は秋元のファイン・セーブや敵のシュート・ミスもあって何とかしのいでいたし、光明が見えるような気がしていたが、後半開始早々に失点するとその後のゲーム・マネジメントは難しかった。

相手のいちばんイヤがるフットボールをやって90分間難儀な思いをさせようという意図が見えず、自分たちの枠の中でベストを尽くしさえすれば免責されるとでもいうような自己中心フットボールに終始したのが残念。この戦術・戦略が相手からどう見えているのか、自身の戦いを相対化することができなければこういうレベルの相手と渡り合うのは難しいと感じた。

削ってでも止めなければならない失点をあっさり見送って、オフサイド・アピールの挙手をしている時点で実質終わっていた試合。選手はもちろん監督も必死で戦っているのは当然だと思うが、我々の声が届かなかった試合だという他ない。悲愴な顔でやれば勝てるという問題ではないのだから、その必死さをどこに注入すべきなのか、その部分に的確なマネジメントがあったのかを問いたい。

もちろんシーズンはまだ始まったばかり。34分の1という意味では重要な試合だし、ここでの勝ち点3のロスは大きいが、その高い授業料に見合う学びがあればリカバーは可能。仙台戦、神戸戦から見れば何かが大きく変わった訳ではなく、隙を見逃して自滅してくれる相手と、そこにしっかりつけこんでくる相手(またはそこにつけこもうと虎視眈々と狙っている相手)の違いというだけの話。「学び」の内容が厳しく問われるし、サポの意見が厳しいのも当然だ。

でもさ、何の意味もない苦手意識に自ら囚われ、前半は持ちこたえたものの後半雑な対応で失点すると完全に気持ち負けして、焦りの中で敵のペースにつきあった。鬼門でも苦手でもなくただの自滅だよ。おそらくはサポも含めて。

インターナショナルのため次の試合までには2週間のインターバルがある。森重と中島、バーンズが代表招集で離脱するが、一方でハ・デソン、駒野らの復帰も見込まれる。このインターバルをどう使い、今の我々のやるべきことの優先順位をどう整理して次につなげられるか。

タイトルを口にするなら連敗だけは絶対に避けなければならず、次節、ホームでの名古屋戦を楽しみに待ちたい。

評点(評点はドイツ式):
秋元(5) 不安定なボール処理が多し。ファウルになったがもう1失点あった。
徳永(5) 実際には難しかったと思うけど失点時の対応は何とかならなかったのか。
森重(5) 局面の対応はともかく厳しい相手に2失点の完敗は責任を問われるべき。
丸山(5) 対人の強さは見せたが失点で結果的に評価されるのはDFのつらさ。
小川(4.5) 今日の試合は彼にはどう感じられたのか。新しい時代を作って欲しい。
水沼(5) 後ろをケアしながらの戦いは難しかったか。もっと思いきっていい。
米本(4.5) こういう試合は空回りしがちで怖い。ミドルは悪くなかったが残念。
橋本(5) 厳しい試合だからこそ数少ないシュートチャンスは枠に行きたかった。
田邉(4.5) 渡西前のチョンボの借りを返したかったが…。守備に奮闘したのは評価。
東(4.5) 彼自身は好調を維持しているが、難しい展開の中で結果につながらず。
前田(5) 前田の怖さを生かすにはどうすればいいのか。もっと真ん中にいていい。
===
河野(5) 途中出場なのに切り替え遅く帰陣遅れるシーンあり。まずムラをなくせ。
平山(5) 収めてくれるシーンもあったが動きはまだまだ。出るからには結果を。
梶山(-) 時間短し。交代の意図は果たせたのか。

あと、カウンターやミドル・シュートを求める意見が多いのは理解はするが、カウンターは少なくとも攻守同数以上でないと仕掛けないのが定石だし、ミドルはよほどコースとスピードがないと確率低い。それよりエリア内でダイレクトで打つことをもっと求めた方がいいと思う。




Comments(2)TrackBack(0)FC東京 | J1リーグ戦


2016年03月18日 21:51      [posted by der_ball_ist_rund]

【緊急コラム】鹿島に勝ちたい

今節は相性の悪い鹿島とのアウェイ・ゲームである。鹿島戦にはいつも「今度こそ勝つ」的な悲愴な意気込みで臨むのだが、「うわぁ」的な失点で「やっぱりダメか」という結果に終わるのがパターン。

もういやだ。どうしたらいいか考えてみた。

昨季あたりから感じていたのだが、鹿島、浦和に連敗した時に、「これはやはり過剰に意識して気合いが入り過ぎるのがよくないのではないか」と気づいた。

我々がやるべきなのは、過剰に気合いを入れて序盤からムリなペースで飛ばすことではなく、自分たちのゲームプランを粛々とやりきることではないのか、と。大事な試合に向けてテンションが上がるのはいいが、必要なのは熱さよりは冷静さ、今できることの最大限を戦略に基づいて表現する確実さではないのか、と。

鹿島に分が悪い、相性が悪いのは確かだが、それを意識するあまり、「今年は絶対勝つ」的な意気込みが入り過ぎるのはあまりよろしくない。苦手意識を自ら呼び込むような気合いの入れ方はむしろ動きを固くして隙を作ってしまう。

我々がやるべきことは、いつも通りまず引き締まった守備からリズムを作ること。約束事が曖昧になったり集中が切れたりすると必ずそこを突かれる。90分の間には必ずミスも出るし気が抜ける一瞬もある。それをできる限りゼロに近づけ、万一の時も失点だけは防ぐことができるか。

中位、下位のクラブであれば、そうした隙を見せても、数少ないチャンスに焦って自らシュートをふかしてくれたりミスが出たりして自滅してくれることが少なくない。昨季の勝ち点はそうやって積み上げたものだ。しかし、鹿島、浦和、広島、大阪といった上位のクラブは隙を見逃してくれない。高い確率でそこを決めてくる。というかむしろそこを狙っている。隙はヤツらの大好物なのだ。そこが中位、下位のクラブとの違いだと思う。

それでも、広島、大阪には勝つことができている。鹿島も、浦和も歯が立たないほど強い相手ではない。ただ、違いはいつも細部から生まれている。セルフ・ジャッジで足を止めていないか。最初の一歩の踏み出し、最後の一歩の詰めを手を抜くことなくやり続けているか。意気込みや気合いではなく、そういう細部をどこまで貫徹できるかで差がつくということを最初から最後まで意識しながら戦い続けられるかどうか。「勝者のメンタリティ」というものがあるとすればそれはそういうことではないだろうか。

鹿島が、選手は入れ替わりながらも強さを失わないのは、そうした勝負のキモがずっと共有し続けられているからではないか。

圧倒して勝つ必要はない。「こわい敵」にならなくていい。しつこく、粘っこく、ヤツらがいちばんイヤがるフットボールを90分間やり通して、ヤツらにとって「厄介な敵」「メンドくさい敵」「やりたくない敵」にまずならなければならない。ふと集中の途切れる魔の一瞬をなくし、ヤツらから見た時に「つけ入る隙のない相手」と思わせなければならないのだ。

その結果がスコアレス・ドローならそれでもいい。最初から引き分けを狙いに行くような器用なことは我々にはできないが、リスク・コントロールを徹底した結果の勝ち点1は十分受け入れられる。その意味では引き分け上等のゲームだ。もちろん勝つつもりでやるのだが、優先順位はまず勝ち点1だ。

アクションとはポゼッションのことでも攻撃のことでもない。しっかりと意図を持ってゲームを進め、自分たちのシナリオに沿って相手を動かせることだ。極論すれば、ワンチャンス狙いのドン引きアンチ・フットボールだって、それがベスト・シナリオだと考えて取り組み、その通り貫徹できるならそれはアクションと呼ぶに値すると思う。

どこまで我慢し、どこまで隙をなくせるか。それが明日のこの試合のポイントになる。やみくもな張りきりはむしろ禁物だ。




Comments(2)TrackBack(0)FC東京 


2016年03月16日 00:13      [posted by der_ball_ist_rund]

【ACL第3節】FC東京×江蘇

■2016年3月15日(火) 19:30キックオフ
■東京スタジアム

夜の飛田給5連戦もいよいよ最終戦。2月上旬のチョンブリ戦から考えればかなり暖かくなったようなそうでもないような。季節の移り変わりを感じる火曜日開催のACLグループ・ステージ第3節。強力なブラジル人トリオを擁する江蘇との試合だが、核になる一人が前節退場となっており出場停止。この機会にしっかり勝ち点を確保しておきたい。

6時過ぎに会社を出て、近くのタリーズで持参のマグに熱いコーヒーを補充してもらい電車でGO。キックオフには何とか間に合った。何度も書くようだがこの30分の差は大きい。味スタでの平日夜開催はリーグ戦も7時半にして欲しい。

東京は金曜日の神戸戦からターン・オーバーを実施。負傷退場した米本をサブに回しボランチは高橋と橋本、右SHに水沼、左SHに羽生と中盤を大きく入れ替えた。またトップにはバーンズが先発して前田とコンビを組んだ。阿部はベンチ・スタート。

秋元
徳永 森重 丸山 小川
水沼 高橋 橋本 羽生
前田 バーンズ

序盤は慎重な立ち上がりで江蘇の出方を窺う展開に。強力なブラジル人2トップにボールが入るとワンプレーで決められる怖さがあり受けに回ってしまう。奪ったボールも前線までつなぐことができず自陣で奪い返されるなどバタバタした時間帯になる。

13分、左前線に流れたバーンズが中央に切れこんでラスト・パス。前田がニアで合わせたが枠外に。このあたりから徐々に東京が落ち着いてボールを持てるようになり、拮抗した戦いになってくる。積極的に前を向いて仕掛けるバーンズをアクセントに、小川や羽生が絡んで何度かチャンスを作るが得点には至らず。

要は前線のブラジル人二人にボールを渡さなければいいのだということが分かり始めてからは東京のペースに。ゴール前の密集からシュートを放たれる場面もあり、リスク・コントロールは手を抜けないが、試合の流れそのものは東京がコントロールしている。

42分、右サイドでパスを受けたバーンズが切れこんで左足でエリア外からミドルを放つが敵GK正面に。結局スコアレスで前半を終えた。

後半に入ると東京が中盤を制圧、後ろをケアしながらもボールを保持して攻撃を仕掛ける時間が続く。50分、前田のポストしたボールがそのまま自陣に流れ、これを敵FWに拾われて絶体絶命のピンチになるがなぜかオフサイドに。敵が関与しないボールだったのでまったくオフサイドではなかったと思うがともかく助かった。

東京は中盤からバーンズのホットラインから何度かチャンスを作るが、後ろを固める江蘇から得点を奪うことができない。64分、バーンズに代えて河野を投入。バーンズが最も効いているように見えただけに今ひとつ意図の理解し難い交代。周囲も「え、バーンズ下げちゃうの?!」的なムードだった。河野はそのままトップに入る。

東京がセカンド・ボールを拾って試合を支配、敵陣を中心に攻撃を仕掛けるがなかなか決めきることができない。69分、ゴール前の密集でバイシクル・シュートを許し、そのこぼれ球をいったんはネットに蹴りこまれるが、バイシクルが危険なプレーと判断されたかファウルの判定となりノー・ゴール。これもヒヤッとしたプレーだった。

70分、前田に代えて阿部を投入。73分、左サイドの羽生がファーに送ったクロスに水沼が飛びこむが合わせきれず。77分、高橋に代えて米本を投入。失点だけはするなというメッセージだと思うが、高橋はセカンドを拾いストッパーとしては相応に機能しており、ここを入れ替える意図がよく分からず。

84分、米本がエリア手前からミドルを放ち枠に飛ぶがGKがセーブ。結局東京が前半途中からゲームを支配しながらも決定機を生かすことができず、0-0の引き分けに終わった。

敵の強力なブラジル人2トップを意識するあまり、守りから入り、試合の流れをつかむのに余計な時間を要した。その後も主導権は握ったものの、後ろのケアを怠れば一発でやられるリスクは高く、2人を抑えながらの戦いとなったため、見かけ以上に難しいリスク・マネジメントを強いられた。

ワンチャンスでやられれば江蘇に勝ち点3を献上する結果になりかねず、グループステージ突破が難しくなるという状況の中でリスク管理を優先したのはやむを得ない部分もあったし、その結果最低限の勝ち点1を得て、一方で江蘇にも勝ち点を1しか与えず、3節を終えた時点で1位から勝ち点2差の3位を確保できたことは評価すべきだろう。

しかし、それ以外の点では東京が終始優勢に試合を進めており、チャンスも作れていて勝機は十分あった。流れから崩せないならセット・プレーも大事にしたかったが8本のCKを得ながら生かせず(敵のCKは0本)、シュートは7本と多くはないが敵を3本に抑えており、決めきっておきたかった。小川のプレースキックは当たれば質のいいボールが来るが、低く入り過ぎてニアで簡単にクリアされることも多く、まだまだ安定した軌道を毎回描けるまでには至っていないと感じた。

水沼が前半ミスも多く精彩を欠いたため、最初の交代は水沼に代えて東あたりかと思っていたがバーンズを真っ先に下げたのが意外だった。出ずっぱり状態の前田を下げるのはやむなしかと思うが、こういうときこそ独力で打開する力のあるサンダサはベンチにもおらず。最後の交代はリスク・マネジメントを強調する趣旨だろうが、高橋を下げることはなかった。その意図ならむしろ橋本と交代でよかったのではないか。今ひとつ納得感のない用兵だった。

全体に、敵のFWの影に怯え、思いきりを欠いて自ら神経質な試合にしてしまった感のある難しいゲームだった。

スコアレス・ゲームをきちんとクローズできたことは悪くないが、これで得た勝ち点1が意味あるものになるかどうかは次節のアウェイでの戦い次第ということになってしまった。江蘇は出場停止だった中盤の外国人選手が戻ってくる上、中国でのアウェイ・ゲームということで厳しい試合になることが予想されるが、そこで勝たないことにはグループステージ突破はムリと見た方がいいだろう。重要な試合になる。

リーグ戦では土曜日にアウェイでの鹿島戦。厳しい試合が続くが、あまり悲壮になることなく、今の力をしっかり出しきって、楽しんで勝ちたい。

評点(評点はドイツ式):
秋元(3.5) ほぼ試されるシーンなし。キャッチング、フィードは安定していた。
徳永(2.5) 敵の強力なブラジル人FWを抑えこみ、ほぼ前を向かせなかった。
森重(2) DFリーダーとして完封を先導。敵FWを丸山とともに抑えきった。
丸山(2.5) 安定感のある守備で敵FWを完封。今日は前線への配球もさえていた。
小川(3.5) ハイボールの競り合いに強み見せた。攻撃参加のタイミングも不悪。
水沼(4.5) 前半固くイージーミスが目についた。思いきって仕掛けてよかった。
高橋(4) ストッパーとして守備面では手堅かったが攻撃面で展開力を生かせず。
橋本(4) ボールを受けても思いきった配球ができず。仕掛けもやや雑に流れた。
羽生(3.5) ポジショニングの妙でボールを引き出しチャンスメイク。いい働き。
前田(4) 今日もよくボールを受けたがシュートは不発。ちょっと休ませたい。
バーンズ(3) 前線での意欲的な動きが際立っていると思ったが交代は残念だった。
===
河野(4) アジリティを生かして動き回ったが決定的な働きはできなかった。
阿部(4) 仕掛けは面白かったがフィニッシュに行く手前で止められてしまった。
米本(4) ムリに使うことはなかったと思う。何を期待されていたのか。

クラブ・サポート・メンバーのカードを忘れたが、ダメもとでテントに行ってみたら、紙を1枚書かされただけで選手カードを渡してくれた。訊いてみるもんだと思った。嬉しかった。




Comments(0)TrackBack(0)FC東京 | ACL


2016年03月14日 23:53      [posted by der_ball_ist_rund]

【ブンデスリーガ第26節】グラードバッハ×フランクフルト

■2016年3月12日(土) 15:30キックオフ
■Borussia-Park

土曜日の夜11時半キックオフ、スカパー中継ありという理想的な展開。これでサマータイムになれば10時半からなんだけどな。26日土曜日の夜に切り替えらしいのであと少しの辛抱だ。ラファエルのユニを着てテレビの前に陣取った。

グラードバッハは前節と同じメンバー。kickerによればアザールをトップ下に置いた3-4-1-2的な布陣か。長くケガで戦列を離れていたハーンがベンチ入りした。

ゾマー
エルヴェディ クリステンセン ノードファイト
ジョンソン ダフード シャカ ヒンターエッガー
アザール
シュティンドル ラファエル

試合は序盤からグラードバッハのペース。ボールを支配し小刻みにボールを動かしながらチャンスを窺う。フランクフルトは中央を固めるが、グラードバッハはサイドからの組み立てで揺さぶる展開。7分、ジョンソンの右からのクロスに中央でアザールが合わせようとするが届かず。

10分にはラファエル、シュティンドル、ヒンターエッガーとリズムよくつないだボールを最後にシュティンドルが受けてシュートを放つが敵GKにセーブされる。その後もグラードバッハが圧倒的にボールを持って敵陣中心に試合を進めるがゴールには至らず。

29分、シュティンドルがカウンターのチャンスにラファエルとのワンツーからシュートを放つが敵GKがセーブ、こぼれ球にヒンターエッガーが詰めるが枠に飛ばず。

36分、ラファエルのFKは敵GKがパンチングでセーブするがクリアが短く、ボールはペナルティ・スポット付近にいたシュティンドルの足許に。これをシュティンドルが蹴りこみ、ボールは敵GKにも当たったがそのままネットに突き刺さりグラードバッハが1-0と先制。守りの堅いフランクフルトを流れからは攻めあぐねたもののセット・プレーから得点できたのは大きかった。

前半はそのまま終了したが、後半に入っても試合はグラードバッハのペースのまま。53分、前方に送ったボールを敵GKがエリアを飛び出してクリアしようとするが、このボールがラファエルの足許に。ラファエルは無人になったゴールに向けて40メートルほどのシュートを放ち、これがきれいな弧を描いてイン。グラードバッハが2-0とリードを広げる。

59分、ノードファイトに代えてコープを投入。ヒンターエッガーがCBに下がり、ジョンソンが左に回ってコープは右のSHに入ったようだ。

その後もフランクフルトは攻撃の形を作れないまま、グラードバッハが優勢に時計を進める。70分、シャカからの柔らかいパスをラファエルが頭で落とし、シュティンドルがダイレクト・ボレーで狙うがわずかに枠に飛ばず。

72分、シャカが傷んだかブラウアースと交代。クリステンセンをボランチに上げたと思うが、アナウンサー、解説者にはこのローテーションがなかなか分からなかったようだ。だれがどのポジションをできるかくらいはきちんと把握しておいて欲しい。

79分、敵のパスミスをカットしたアザールがスルー・パスを通しダフードが裏に抜け出す。左サイドからゴールに向かって進んだダフードは、ファーに視線を送ってクロスを示唆しながらGKのニアを抜くシュート。これが決まって3-0と試合を決めた。

その後は86分にジョンソンに代えてヘアマンを投入して試合をクローズ、精彩を欠くフランクフルトに快勝した。

前半は自陣中央をがっちり固めるフランクフルトに手を焼いたが、ほぼノー・リスクの試合で焦れずに攻め続けた結果、前半にセット・プレーから先制、後半開始すぐに敵のミスから加点と着実に試合をコントロールした。

ゴールも含めラファエルの踏ん張りが目立ったが、チーム戦術も浸透、誰が出ても意図を共有しながら前を向く戦いができている。この試合ではシュート数16-4、ポゼッション64-36と、数字でも圧倒的にグラードバッハが優勢だったことが分かる。というか逆にフランクフルトがアレすぎて気の毒だったくらい。

ダフードの落ち着きも素晴らしい。既にいくつかのクラブが興味を示しているようだがエバールSDの言う通り「売り物ではない」。彼を試合に出して才能を開花させただけでもシュバート監督は評価されるべきだ。

一方で、シュトランツルが引退、ノードファイトはプレミア方面に移籍と報道されている。また、シャカもプレミア方面から高額のオファーがあると報じられており、オフには相応の補強が必要。シャカを売ってクラマーを買い戻すとかどうかと思うが、ノードファイトもいなくなると結構大きい。補強ポイントになる。

この勝利でグラードバッハは勝ち点を42に伸ばし4位に。3位のヘルタとの勝ち点差は3をキープしている。残り8試合、現実的には3位を目指し最悪でもCL予選に出られる4位を確保、ワースト・シナリオでELの6位ということだと思うが、7位、8位あたりまでは勝ち点差が小さく予断を許さない。

その意味でホームゲームをしっかり勝ちきったのは重要。次節アウェイでのシャルケ戦でもしっかり勝ち点を上積みしたい。昨年得た勝ち点66には残り全勝でようやく届く水準だが、今季は既に負けが多いので、できる限り60に近づけるのが目標になるだろう。混戦が続く。勝負はここからだ。

アンドレ・シュバート監督談話:
「相手の監督が交代したためにどのように戦うのか事前に正確に分からないクラブとの対戦になったが、我々のプランは最初から非常にうまく実行できた。フランクフルトは非常に深く守り非常に集中していたが、我々はしっかり我慢することができたので危険な形を何度も作ることができた。このように守備的に戦う相手に対してそのような戦いをすることは簡単ではないが、それだけに、守備において非常に集中し、実際問題として敵にゴールのチャンスを許さなかったことには非常に満足している。我々は素晴らしい戦いをして、最後には明快に妥当な勝利を得た」

まあ、そうでしょうな。つか次節シャルケ戦がなんでスカパーで放送ないんじゃ、こら。日本人がケガで欠場だからか。




Comments(0)TrackBack(0)Borussia M'Gladbach | ブンデスリーガ


2016年03月13日 20:49      [posted by der_ball_ist_rund]

【J3第1節】相模原×FC東京U-23

■2016年3月13日(日) 13:00キックオフ
■相模原ギオンスタジアム

今季からJ3に参入したFC東京U-23の開幕戦。アウェイとはいえ相模原での試合ということで足を運んだ。日曜日は毎週12時まで都内で所用があるため、そこから小田急に飛び乗り、相模大野からタクシーを飛ばした結果キックオフに間に合った。

現在のトップの登録選手の内、U-23の出場資格を満たすのは以下の9人。

DF:柳、小川
MF:佐々木、平岡、ユ・インス、野澤、中島、幸野、橋本

この他、9日に発表された特別指定の矢島、山田と、11日に発表された二種登録の6人(岡崎、波多野、生地、鈴木、松岡、高瀬)がU-23の選手プールになるが、その他に、フィールド・プレーヤー3人とGKのオーバーエイジ枠が使える。

金曜日の神戸戦に出場した小川、橋本は欠場、この日の先発は次のようになった。オーバーエイジ枠は圍と吉本。


柳 吉本 岡崎 生地
平岡 幸野 野澤 中島
矢島 ユ・インス

【控え】波多野、鈴木、松岡

試合は積極的にボールを動かしアグレッシヴに仕掛けてくる相模原に押され、自陣で相模原の攻撃をしのぐ展開。東京はコンパクトな守備で敵の前線の選手を捕まえようとするが、急造のチームで連係もままないせいかバタついてしまい、奪いどころが明確にならないためクリティカルなエリアに侵入されチャンスを作られる。

敵のシュート精度が低いこともあって何とか失点は免れるものの、東京の攻撃は単発のカウンターのみ。奪ったボールの収めどころもなく、ユ・インスが前線で戦ったり平岡がスピードのあるドリブルで仕掛けたりしても連係がないために止められて終わり。打開策が見えないまま、何とかスコアレスで前半を終える。

後半に入っても東京は攻め手が見当たらない。トップでの試合経験がある野澤、長崎、千葉などJ2ではレギュラーで働いていた幸野ら、相応に力を出すべき選手が精彩を欠いてゲームを作ることができない。中島もサポートのない状況では仕掛けてもつぶされるだけ。チームとしての攻撃の形が見えず、個で打開するだけの勢いも見えない。

何とか失点だけは免れていたが、63分、押しこまれて失点。0-1とリードを許す。東京は70分、矢島に代えて鈴木を、84分、生地に代えて松岡を投入し、終盤は中島らが積極的に攻撃を仕掛けたが得点には至らず、結局0-1で相模原に完敗した。

結果は0-1だが、敵のシュート精度が高ければあと2、3点はやられていておかしくなかった。スタッツを見てもシュートは3-13、CK2-8と圧倒的に劣勢で、結果は試合内容に見合ったもの。新しい試みとして挑んだJ3での公式戦だったが、初戦はいいところが見せられないまま厳しい結果に終わった。

トップ・チームの若手に加え、大学生の特別指定選手、ユースから借りた二種登録選手ら急造の混成チームで、連係を求めるのは酷だと思うが、そうであれば個人でゴリゴリやってアピールする姿勢も必要だった。何としてもこの試合に勝ちたいという強い意志に裏づけられたような意図のあるプレーがあまり見られなかったのは残念だった。

その背景には、この試合、いや、U-23のJ3参入そのものの位置づけがいまひとつはっきりしないことがあるのではないだろうか。クラブとしてははっきりしているのかもしれないが、少なくともこの日の試合からは、J3で優勝するべく「チーム」としての連係を構築し、オートマティズムを追求して行くのか、それとも「二軍戦」としてトップで出場機会の得られない若手選手のアピールの場と割りきるのか、それを選手たちが理解し、共有しているようには見えなかった。

以前から、J1の試合の翌日には、試合に出られなかった選手たちのための練習試合が組まれることが多かったが、この日の試合はその練習試合と大差なかったのではないか。わざわざJ3に参入したのは練習試合では足りない何かを得るためだと思うのだが、いったい何を求めて参入したのか分からなくなるような試合で、これなら今まで通り練習試合でいいのではないかと思った。

練習試合に足りなかったもの、J3に求めたものは、J2昇格を目指してしのぎを削る真剣勝負の場としての公式戦で、結果を出しながら自らも成長するプロとして必要なものを身につける厳しさだったのではないのか。そのせっかくの初戦で、しかし、そのような責任感、プライドを背負い、負けられない戦いだという危機感の下で劣勢を何とかしようと身体を投げ出した選手がいったい何人いただろうか。

JFLやさらにその下部のリーグに所属するクラブからは、J3への参入がまずJリーグの入口である。その資格を得るために大変な苦労をしているクラブがたくさんある中で、J1のU-23はなぜいきなりJ3に参加できるのかという議論もあったようだ。

そのような、いわばある種の特権で、大げさに言えば組織の存続をかけてこのリーグを戦っているクラブに混じり、プロとして入場料を取ってフットボールをする以上、我々もそれに相当するだけの覚悟を持って戦わなければ、他のクラブにも、カネを払って見に来るサポーターにも失礼だ。

成長や若手の底上げは自由にすればいいが、これは単なる練習試合ではない。我々はJ3に最適化したセカンド・チームを作りたい訳ではなく、トップの戦術を落としこんだ若手がそれを表現する場をここに求めたのだ。

J3で結果を出せない者、結果を出すためにぎりぎりの努力と工夫とアクションのできない者が、J1での出場機会を得られる訳はない。経験を積むだけではなく、結果に対する責任も含めたプロとしてのプレーを見せるのでなければ、他のクラブの迷惑、足手まといになるだけだし、勝ち点のボーナス・ステージになってFC東京というクラブのJ3参入に対する姿勢が問われることになる。

もちろん、まだリーグ戦は始まったばかりだ。チームとしての連係もこれからだろう。しかし、このチームは何年か後の東京そのものである。何のためにJ3に参入したのか、次節、ホーム開幕戦となる琉球との試合までにしっかり整理し、ここで戦うための価値軸を定める必要がある。

今日はカネを払って見るに値しない試合だった。





Comments(0)TrackBack(0)FC東京 | J3/FC東京U-23


2016年03月12日 00:24      [posted by der_ball_ist_rund]

【Jリーグ第3節】FC東京×神戸

■2016年3月11日(金) 19:00キックオフ
■味の素スタジアム

来週火曜日にACL江蘇戦があることから変則日程で金曜日の夜開催となった。ACLのように7時半のキックオフにしてくれれば職場から駆けつけのメドも立つが、7時だとちょっと自信が持てず午後半休に。新宿で弁当を買おうと京王百貨店と小田急百貨店を回ったが、昼に飯田橋の天下一品で食べた餃子定食が重すぎて胃が苦しく、まったく食欲がなかったので何も買わずに特急に乗った。

東京はホームでの開幕戦に負けた後、前節アウェイで仙台に逆転勝ち、五分に戻してのホーム・ゲームだ。星勘定を考えれば勝ちを先行させる必要があるし、今季のベースをしっかり作る意味でもホームでリーグ戦初勝利は必須。ポイントになる試合だ。

メンバーは前節・仙台戦と同じ。代表合宿をケガで離脱したと報じられた米本、森重も先発した。

秋元
徳永 森重 丸山 小川
田邉 米本 橋本 東
前田 阿部

東日本大震災から5年の3月11日ということで黙祷してからキックオフ。あの年は我々はJ2にいて、開幕戦だけを戦ったところで震災があり、リーグは1ヵ月ほどの中断を余儀なくされたのだった。フットボールのある日常がどれだけ幸せで大事なものか、あの時の気持ちは折に触れて思い出されるべきもの。

試合は拮抗した立ち上がりに。互いに中盤でにらみ合い、セカンドボールを巡って激しく主導権を争う展開。奪ったボールは自陣でいったん落ち着かせてから前線にフィードすることが多く、リスクを避けた慎重なゲームになる。

2分、前田の受けたファウルで得た中央のFKを森重が蹴るが枠外に。これが両チームを通じてのファースト・シュートとなる。東京の方がやや優勢にボールを確保しているが、フィードの精度を欠いて前線でボールを収められず、いい形でフィニッシュまで持ちこめない。

敵陣に入ったところでは神戸のファウルも多く、角度のあるところからのFKは小川に蹴らせていたが今ひとつ合わせきれず。一方神戸の攻撃は単発。力のある外国人FWに当てられると展開されるリスクはあるが、規律ある守備でピンチになるひとつかふたつ手前をつぶすことができている。

東京が優勢に試合を進めながらも決定機というほどの決定機は作れず、慎重な展開に終始してスコアレスで前半を終えた。

後半に入っても流れは変わらず。東京は東をトップに上げ、阿部が左SHに。53分、その阿部が左サイドからエリアに侵入、ゴール前にラスト・パスを送るが飛びこんだ田邉のヘディングはバーの上に。枠に入れたいシュートだった。

阿部を左に置いたことで仕掛ける機会が多くなる。64分、小川のCKに前田が頭で合わせるが枠外に。

67分、東に代えて水沼を投入、田邉が左に回り、阿部が再びトップに上がる。動きを作りたいという意図だろう。納得できる交代。さらに72分、田邉に代えてサンダサを投入、サンダサが前田と2トップを組み、阿部は左SHに。強引にでも仕掛けて決勝点を奪いたいという意図か。バーンズを使わずサンダサを起用したところに城福監督のメッセージを感じる。

76分、サンダサが得たほぼ中央のFKを丸山が蹴り、ボールは鋭い軌道で枠に飛んだが敵GKがセーブ。敵ながらナイス・セーブ。これで得たCKからも橋本がシュートを放つが枠に収まらず。セット・プレーのチャンスは多く、ここで決めたかった。

東京が仕掛ける時間帯になるがなかなかゴールを奪えない。スコアレス・ドローが見え始めた88分、水沼、橋本とつないだパスが右前線に出て、これを受けた徳永がエリア近くまでボールを運んでグラウンダーのクロス。ゴール前を抜けたボールはファーに流れたが、ここに走りこんだ阿部がフリーでこれに合わせ流しこんでゴール。東京が土壇場で1-0と均衡を破る。

ここからはキープと前線への展開で時間を使い、アディショナル・タイムには米本に代えて高橋を投入、危なげなく試合をクローズし、1-0で東京が2連勝を果たした。米本は足が攣ったようにも見えたが担架でピッチ・アウト。心配だ。

ボールを持ちながら決めきれない攻撃面での課題はいろいろあると思うし、特に縦に急ぎ過ぎるあまり最終ラインからのロング・フィードが多くなり、しかもその精度が今イチで結果としてボールを失うシーンが多発したことは事実だし、セット・プレーも多く獲得した(CK8本、FK15本)割りに得点につなげられなかったことも含め攻撃面での反省点は多く、自ら試合を難しくした面は否めない。

しかし、思うように得点の出来ない時間帯にしっかり後ろを締めて手堅いリスク・マネジメントで失点を回避、スコアレスも視野に入れながら最後の最後にワンチャンスで決勝点を挙げる勝ち方ができたことは本当に大きい。

いい守備からリズムを作る、結果が先行することで内容が向上する、というサイクルが機能するのが強いクラブだと思う。得点シーンで森重がいつになく喜びを爆発させていたのも、それがよく分かっていたからではないだろうか。大げさに言えば今季の基礎になる1勝だと思う。

逆転した後を割りきって守りに徹した前節、得点できない時間帯をしっかり我慢した今節と、納得感のある勝ち方。昨季のベースに上積みを目論む今季の戦いがようやく形として見え始めたように思う。スタートはここからだ。

これで東京はリーグ戦2勝1敗となり、勝ち点6(1試合あたり2.00)で暫定3位。順位はまだどうでもいいが、タイトルを狙うなら勝ち点はしっかり積み上げる必要がある。今季目指すものからしても大きな勝利だった。

前述の通り、火曜日にはACL江蘇戦(H)、来週土曜日にはアウェイで鹿島戦もある。タフな試合が続くが、挑戦するに足るだけの力は見せたと思う。気負いすぎることなくチャレンジしたい。

評点(評点はドイツ式):
秋元(3.5) 神戸の枠内シュート0で試されるシーンほぼなし。プレーはシュア。
徳永(3) 決勝点の半分は徳永のアシスト。あの時間帯にあのクロスは効いた。
森重(3.5) 守備は素晴らしかったがフィードに正確さを欠いたのが残念。疲れか。
丸山(3.5) 集中は切らさなかったが丸山のフィードも今イチ。FKはいいボール。
小川(3.5) 普通に手堅く戦えていた。プレース・キックにはやや気負いあったか。
田邉(4) いいところに出てきてプレー関与。決定機を外したのは残念だった。
米本(4) 万全ではなかったか、意気込みはいいが折角のパス出しに精度を欠いた。
橋本(3.5) 攻守のバランスが面白いのは変わらずだがやや攻め急ぎの部分もあり。
東(4) 巧さは見せたが神戸の守備の前に仕掛けは少なかった。調子は悪くない。
前田(3.5) 献身的なポストはいつも通りだが決定的な働きはできず。貢献は高い。
阿部(3) しっかり仕掛けることで敵を疲労させ、決定点の布石になった。
===
水沼(3.5) 自分の役割を探して模索中か。思いきってやれば周りがついてくる。
サンダサ(3.5) 破調を持ちこみ大きなアクセントになった。早く1点取らせたい。
高橋(-) 時間短し。

神戸にはかつて東京に在籍した伊野波がいたが、選手紹介で大きなブーイング。クラブを去った経緯から悪役視されているのは分かるが、もうどうでもいいんじゃないかと思う。プロなんだから、このクラブにいれば仲間だし、出て行けば他所の人。過剰に執着する人を見てると、別れた彼女(または彼氏)のことなんかもぐちぐちいつまでも悪口言うタイプの人かと思っちゃう。ヴェルディへの揶揄とかもそうだが、あまりしつこいとゲッソリ来る。もう伊野波もヴェルディもどうでもいい。

あと、審判の紹介の時にもかなり大きなブーイングがあったが、試合前に審判にブーイングすることの意味が分からない。今日のジャッジは特に大きな問題なかったし、むしろ難しい試合をしっかり裁いていたと思う。過去の試合で遺恨になる判定があったかもしれないが、選手にも監督にもミスがあるように、審判もまた無謬ではあり得ないのは仕方ない。試合前から色眼鏡で見るような態度は残念だし、何の得にもならないと思った。




Comments(2)TrackBack(0)FC東京 | J1リーグ戦


2016年03月07日 23:37      [posted by der_ball_ist_rund]

【ブンデスリーガ第25節】ヴォルフスブルク×グラードバッハ

■2016年3月5日(土) 15:30キックオフ
■Volkswagen-Arena (Wolfsburg)

ここ3試合を2勝1分と調子を上げつつある中でのアウェイ戦。シーズン終盤に向けて勝ち点を持ち帰りたい試合だ。日本時間では夜11時半からの試合だったが、スカパーで夜中から録画中継があったのでそれを録画し、日曜日の朝早く起きて見ることにした。

前節足を負傷したヴェントに代わってヒンターエッガーが先発、前節同様の3バックでのスタートとなった。

ゾマー
エルヴェディ クリステンセン ノードファイト
ジョンソン ダフード シャカ ヒンターエッガー
アザール
シュティンドル ラファエル

試合は中盤で主導権を争う拮抗した立ち上がりに。グラードバッハはハイ・プレスからボールを奪い素早い切り換えから敵ゴールに迫ろうとするが、ワンタッチでのつなぎにはパスミスも出てフィニッシュまで持ちこめない。

すると15分、敵のクロスをクリアしきれず中央にこぼれたところを押しこまれて失点、0-1と先制を許す。さらに17分、中央をドリブルで持ち上がられ、右サイドにラスト・パスを許す。これを蹴りこまれて再び失点、3分間で2点を失い0-2とリードを広げられる。

グラードバッハはヒンターエッガーを左SBに下ろしてジョンソンを左SHに回した4-4-2にシフト、反撃に出る。23分、ジョンソンのスルー・パスを受けて左裏に抜け出したラファエルが、角度のないところからニアに突き刺して1-2とする。

その後もやや動きの止まったヴォルフスブルクに対してグラードバッハが積極的に攻撃を仕掛ける展開は続き、何度かチャンスも作るが決めきれず、1-2で前半を終えた。

後半に入ってもグラードバッハがボールを支配、敵陣を中心に試合を進めるが、敵GKの好守などもありゴールが遠い。前半から続いたこの優勢の時間帯にしっかり得点できなかったのは大きく効いた。

得点のできないグラードバッハは疲れが出たか次第に精度が鈍り始め、パスミスが増える。一方でヴォルフスブルクは調子を上げ、中盤で激しくボールが往復するオープンな展開になってくる。

68分、ダフードに代えてヘアマンを投入、シュティンドルがボランチに落ち、アザールをトップに上げて右SHにヘアマンが入ったと思う。

その後も76分にはアザールに代えてフルゴタを、80分にはジョンソンに代えてホフマンを投入、得点の予感は常にあったものの最後のところの思いきりが悪く、シュートを打たないままボールを失うことが多かったのはヴォルフスブルクの守備がはまっていたということか。

結局、前半に失った2失点が大きく響き、最後まで同点ゴールを奪えず1-2で悔いの残る敗戦。せっかくのラファエルのゴールも空砲に終わった。

シュート数14-11、ポゼッション57-43、CK3-1と、内容的にはグラードバッハが上回っていたことを数字も物語っているが、前半の数分間にパタパタと決まった双方のゴールがモノを言う試合になった。

思うように得点できない時に後ろがしっかり持ちこたえられないのではこうしたアウェイでの試合で勝ち点を拾うのは難しい。この試合ではエルヴェディの守備に不安があったが、個人の問題ではなく、局面が切り替わった時にどれだけ素早く割りきりができるか、リスクの所在を共有できるかというのがポイントだろう。その意味での守備の連係が緩くなってしまっている印象を受ける。

順位表を見れば現実的にはCLにストレート・インできる3位が目標になるだろうが、この戦いぶりではELの6位も微妙。せっかくこの程度の勝ち点で3位争いに参加させてもらっているのだから、締めるところはしっかり締めて、取れる勝ち点を間違いなく押さえなければならない。

グラードバッハは勝ち点39のままで、1試合あたりの勝ち点は1.56に下がり、順位は暫定5位。残り9試合、アウェイで勝ち点を持ち帰るのが大きな課題だ。

アンドレ・シュバート監督談話:
「結果という点だけを見れば思っていたのとは異なってしまった。我々自身に関して言えばゲームにはいい入り方ができたし、やろうとしたこともやることができていた。しかし我々は少しだけ攻撃的になり過ぎ、ポジショニングのミスからヴォルフスブルクの最初のゴールを許してしまった。残念ながらその直後にも2点目を入れられた。そこから、チームが再び安定するようにフォーメーションを少しばかり変えてみて、素早く1点を返せたことで再び試合に戻ることができた。後半には我々は敵を再び忙しくさせ、押しこんで、同点にするための十分なチャンスを作ることもできたが、効率という点では今日はヴォルフスブルクが我々を上回っていた」

まあ、そういう試合だったな。




Comments(0)TrackBack(0)Borussia M'Gladbach | ブンデスリーガ


2016年03月06日 20:43      [posted by der_ball_ist_rund]

【Jリーグ第2節】仙台×FC東京

■2016年3月6日(日) 15:30キックオフ
■ユアテックスタジアム仙台

火曜日にACLの試合があったためにリーグ戦は日曜日開催に。週末の予定をいろいろ考えると土曜日の方が有難いが、少しでもいいコンディションで試合をするためにはやむを得ない。仙台でのアウェイ戦ということで素直に自宅スカパー観戦。しかも所用からの戻りが遅れたので10分ほどの追っかけ時差視聴となった(ハーフタイムに追いついた)。

東京はビン・ズオン戦でプロ・デビュー、実質2アシストの活躍をした小川を引き続き左SBに起用、また同じくビン・ズオン戦でいい動きを見せた田邉を右SHで起用した。また、ボランチでは橋本が米本とコンビを組んだ。それ以外はターン・オーバーということか、開幕戦と同じメンバーに。

秋元
徳永 森重 丸山 小川
田邉 米本 橋本 東
前田 阿部

ボールをしっかり収めて仕掛けようとする仙台と、意外に早く前に運ぼうとする東京が中盤でぶつかる展開に。しかし、試合は意外に早く動く。

7分、敵の右からのCKに中央で合わされて失点。打点の高いヘディングで上から打たれたがマークはどうなっていたのか。セットプレーとはいえ早い時間での失点で「またか」感が広がる。ACLプレーオフを除けばこれまですべての公式戦で先制を許している。0-1とビハインドを背負う苦しい展開に。

しかし9分、今度は東京が左寄りのFKを得る。これを小川が蹴るとボールはファーの森重に。森重がこれをダイレクトでゴール前に折り返すと、飛びこんだ田邉に当たったボールがゴール至近にこぼれ、これを掻きだそうとした敵DFが誤ってボールをゴールに蹴りこんでオウン・ゴール。東京が1-1と同点に追いつく。失点後の早い時間帯に試合を振り出しに戻せたことで試合は東京の流れに。

その後も東京は積極的にボールにアプローチ、セカンド・ボールを拾っては攻撃を仕掛ける。15分、右サイドの田邉からのクロスに前田が合わせるがシュートは枠外に。40分にもほぼ正面でのFKを森重が蹴り、鋭い弾道のボールが枠に飛んだが敵GKにセーブされる。結局1-1の同点のままで前半を終えた。

後半開始直後の47分、東の落としから田邉がシュートを放つが敵GKがセーブ。このこぼれ球に前田が詰めるがこれもGKにセーブされる。しかし51分、東とのワンツーでエリア深いところに侵入した橋本が中央にラスト・パス、これを前田が流しこんで東京が2-1と逆転に成功。あそこまで入りこんだ橋本の動きが効いた。

その後は東京が引き気味となり、仙台にボールを持たれる時間が長くなるが、仙台は攻め手にアイデアがなく、フィニッシュまでは持ちこませない。67分、田邉に代えて羽生を投入。試合の流れをコントロールできる選手の投入には納得感がある。羽生はそのまま右SHに。

東京はきれいな3ラインの陣形で仙台の攻撃をシャットアウト、ブロックの外で持たれる分にはリスクはなく、中に入れられたボールも割りきってクリアすることでチャンスらしいチャンスを作らせない。

83分には敵GKが負傷交代するアクシデント(キックミスで自らひねった様子で東京の関与なし)。これで攻撃的な交代ができなくなったのも東京に有利に働いた。

88分には小川に代えて高橋を投入、高橋がボランチに入り橋本が右SBに、徳永が左SBにスライド。敵GK交代があったためアディショナル・タイムは6分と長かったが、東に代えて水沼を投入、前田が巧みなキープで敵のファウルを誘うなど時間を使い試合をクローズ。東京が2-1でリーグ戦今季初勝利を飾った。

序盤の失点はイージーでありいただけないが、その後すぐに追いつき、後半開始早々に逆転してそのまま試合をしっかり終わらせることができたのは高く評価すべき。特に、リードを奪ってからの約45分を、引き気味にしっかり守ることができたのは、昨季積み上げたものが失われておらず、このチームでも大事にされているということを実感できて心強かった。

城福監督は「アクション」とは言ったが「ポゼッション」とはひとことも言っていない。アクションとは必ずしもボールを支配することではなく、自分たちの意図を持って試合をコントロールすること。敵にボールを持たせ、無為にパスを回させて要所でボールをはね返し続け、敵にチャンスを作らせないのも立派なアクションだ。終盤、城福監督は高橋を最終ラインに落として5-4-1にせよと指示していたらしい。

今季、城福監督が「ポゼッション」「攻撃」などよりも敢えて「アクション」という言葉をスローガンとして選んだのか、そのことが今日の試合でようやく少し確認できた気がした。

もちろん、ポゼッションで敵を圧倒し、華麗に崩してゴールを重ねる、美しく、エキサイティングで、楽なフットボールで勝てればそれに越したことはない。是非そうして欲しい。しかし、エキサイティングなフットボールをして負けるのと、しょっぱい試合でも苦しみながら何とか不格好なゴールを決め、ドン引きでそれを守って勝つのとでは明らかに後者の価値が高い。

失点を最少化することで勝ち点は積み上げられるし、勝つのはそれから。すべての勝利は引き分けの先にあり(試合は必ず0-0の同点から始まるのだから)、スコアレス・ゲームをクローズできないチームには1-0もあり得ない。セットプレーからの失点も、その要因は厳しく検証しなければならないが、その後の戦い、特にリードを奪ってからの戦い方には見るべきものがあった。

攻撃においても小川が引き続きプレース・キッカーとして存在感を見せるとともに、田邉が前線で攻撃の起点になり気の効いた動きでチームを活性化、東とともに東京の戦術面を支えていると言っていい。シュート数10-6、CK9-6と優位に立つ一方、ポゼッションが48-52となったのは、リードを奪ってから仙台にボールを持たせる時間が長かったからだろう。

全体の連係はまだまだこれからの部分もあるが、攻撃面においても意図している戦い方は形になりつつあるし、こうして結果を出して行くことで連係もまた深まって行く。タイトルを狙うのであれば連敗だけは避けなければならず、シーズンの立ち上がりという意味ではアウェイながら勝ち点3の必要な試合だったが、そこできちんと結果を出せたのは大きい。

まだまだ順位を云々する局面ではないが、東京は勝ち点3で8位に浮上。開幕2連勝が2クラブ(大宮と鹿島)、1勝1分が2クラブ(川崎と名古屋)ということで、既に混戦の予感がする。ここからシーズンの基礎になる勝ち点をどうやって効果的に積み上げて行くか、我々の戦いはようやく始まった。

次節はホームでの神戸戦だが、翌週の火曜日にACL江蘇戦があるため、リーグ戦はいレギュラーながら金曜日開催。キックオフが夜7時なので悩ましいところだが、これもACLを戦うことの対価と割りきるしかない。戦いは続く。

評点(評点はドイツ式):
秋元(3.5) 敵の鋭いミドルを腕一本でセーブしたシーンあり。失点はノーチャンス。
徳永(3.5) リフレッシュしたか効果的な攻撃参加からのクロスなど存在感を見せた。
森重(3) オウン・ゴールを誘発した折り返しは技術高い。主将の強い意志が実った。
丸山(3.5) 今日も中途半端なクリアでピンチを広げたシーンあり。クリアの練習を。
小川(3.5) 実戦の中で成長しているのが分かる。小川が戦力になると本当に大きい。
田邉(3) 物怖じしないゲーム度胸がスペインで磨かれさらに進化。面白い存在に。
橋本(3.5) 深く入りこんでのアシストは見事。やはりSBより前目で生きる男だ。
米本(3) クリティカルな局面をすべて対応。代表合宿招集も当然の充実を見せた。
東(3.5) 守備でさりげなく小川をカバーしていたところが憎い。好調を持続。
前田(3) 得点のみならずポスト、キープ、守備と、いつも通り頭の下がる活躍。
阿部(3.5) 前田との連係も形になりつつある。前線のハードワークで貢献大きい。
===
羽生(3.5) いて欲しいところにいてくれる神出鬼没感でゲームを引き締めた。
高橋(-) 時間短かかったが高橋の投入は正しかった。
水沼(-) 時間短し。

東京から仙台に期限付移籍し、開幕戦で得点を上げた三田は契約によりこの試合には出場できず。貸した選手に活躍されて負けたらたまらんということかもしれないが、レンタルにこういう条件をつけるのは本当に必要なのか。プロである以上、どんな敵とでも真剣勝負するのが互いに当然だし、この試合に出られなかったのは三田のためにもならないだろう。あまりいい気のしない契約だと思う。




Comments(3)TrackBack(0)FC東京 | J1リーグ戦


2016年03月03日 23:42      [posted by der_ball_ist_rund]

【ブンデスリーガ第24節】グラードバッハ×VfB

■2016年3月2日(水) 20:00キックオフ
■Borussia-Park

今週はイングリッシュ・ウィーク。木曜日の未明4時キックオフでスカパーの中継もなく、諦めて潔く寝た。

グラードバッハはアウェイで勝ち点1を拾ってのホーム・ゲーム。シーズン後半の星を五分に戻すためにも勝利の必要な試合である。

前節出場停止だったシュティンドルが先発に復帰、トラオレがベンチ・スタートとなった。エルヴェディ、クリステンセン、ノードファイトの3バックに加え、ジョンソンを右、ヴェントを左に置いた3-4-3の布陣に。前線はラファエルを1トップに置き、アザールとシュティンドルがシャドー。

ゾマー
エルヴェディ クリステンセン ノードファイト
ジョンソン ダフード シャカ ヴェント
アザール ラファエル シュティンドル

試合は慎重な立ち上がりに。序盤はVfBの攻撃を受ける時間が続いたが、次第にグラードバッハが主導権を握り始める。

16分、右サイドでノードファイトからフィードを受けたジョンソンがそのままペナルティ・エリア内までボールを持ちこみ、ゴール・エリア近くまで切れこんでゴール前のアザールにラスト・パス。敵GKはジョンソンの対応に出ており、無人となったゴールにアザールが至近距離から難なく流しこんで先制。1-0とリードを奪う。

その後もグラードバッハがボールを支配して攻勢になるが、28分にアクシデント。ヴェントが右の腿を傷めてヒンターエッガーとの交代を余儀なくされる。特に相手から削られた訳でもなく、肉離れ的な何かではないかと思われる。ニコ・シュルツ、ドミンゲスもまだリハビリ中で左サイドに人がいない。痛い負傷だ。

36分、エリアに深く入りこんだラファエルからの戻しパスを受けてシュティンドルがゴールに流しこもうとするがわずかに枠に収まらず。43分、ラファエルからのクロスが敵DFにブロックされ後ろにこぼれたところを正面からアザールがシュートするが敵GKが触れてバーをヒット、このこぼれ球にもう一度アザールが詰めるがこれはGKがキャッチ。結局1-0で前半を終えた。

後半に入ってもグラードバッハ優勢の展開。60分、敵GKがボールを拾い損ねたところに詰めてボールを奪い、反転してシュート。これが決まってグラードバッハが2-0とリード。やっぱりラファエルは頼りになる。

この得点で試合はほぼ決まり。68分、アザールに代えてヘアマンを投入すると、直後にダフードからパスを受けたヘアマンが右裏のスペースに抜け出し、GKをかわしてシュートを決め3-0に。ケガからの復帰後初ゴールでダメ押し。

82分にはダフードに代えてコープを投入。試合をクローズしに行く。アディショナル・タイムには、敵DFがヘアマンの右からのクロスの対処を誤ってゴールに。オウン・ゴールで1点を追加し、4-0でVfBに快勝した。

しっかりと要所を押さえ、的確に加点しての完勝は嬉しいが、喜びたいのは無失点の方だ。1試合では何とも言えないが、しっかり後ろを締めれば得点は最少でも勝ち点は取れる。この約束ごとを徹底したい。シュート数14-9、ポゼッション57-43と数字上も妥当な勝利。

グラードバッハは勝ち点を39(1試合あたり1.63)に伸ばした。順位は4位と変わらないが、僅差のなかにひしめく強豪クラブが勝った中でしっかりとそれについて行けたのは大きい。ここ3試合で勝ち点7を積んでおり、出遅れたシーズン後半もようやく結果が出始めた。

次節はアウェイでのヴォルフスブルク戦。このところアウェイで勝てていないが、ここできちんと勝ち点を積み上げ、次につなげたい。このいい流れをしっかり自分たちのものにできるか、重要な試合になる。

一方でヴェントのケガが心配。ヘアマンが復帰したらヴェントがケガとか呪われてるようだ。今季はケガとの戦いだが、左SBは特にサブが手薄。今季大きな存在感を見せていただけに軽傷であることを祈りたい。

アンドレ・シュバート監督談話:
「この試合をしっかりした内容で勝てたことは非常に嬉しい。我々は、ここ何週間か非常にいい戦いをしているVfBに対して大きなリスペクトを持っていたが、立ち上がりからとても集中しそれに対応し続けることができた。私のチームはそれを素晴らしくやってのけ、守備ではほとんど自由にさせなかったし、攻撃においても確信を持ってプレーできていた。我々は非常に組織だっており、どちらの方向にも素早く切り換えができていた。とはいえ、前半のうちに何点か得点することもできたはずだった。だが、全体としては90分間自分たちの戦いを一貫性を持って続けることができたし、この明白な勝利をその結果として得ることができた」

次節はスカパー中継もあるようだ。早くサマータイムになって欲しい。





Comments(0)TrackBack(0)Borussia M'Gladbach | ブンデスリーガ


2016年03月02日 00:35      [posted by der_ball_ist_rund]

【ACL第2節】FC東京×ビン・ズオン

■2016年3月1日(火) 19:30キックオフ
■東京スタジアム

仕事を早めに切り上げて味スタ、いや東スタへ。都心から駆けつけるにはこの7時半キックオフという時刻がいい。この30分の違いが大きいのだ。頼むからリーグ戦の平日開催も7時半キックオフにして欲しい。かつての国立ならまだしも、味スタ開催は7時半でないとかなりムリがある。

飛田給の駅を降りると僕と同じようなスーツ姿のサラリーマンのおっさんらが多数。みんな仕事を何とかやり繰りして駆けつけたのだと思うと、同じように黙って(だいたいが一人で来ている)スタジアムまで足早に歩く道々、少し熱いものがこみ上げてくる。

東京は第1節、アウェイで全北に敗戦を喫しており今日は何としても勝ち点3の必要なホームゲーム。週末の大宮戦から中二日の厳しい日程だが、公式戦2連敗の悪い流れを断ち切るために、内容はともかく勝つことでリズムを作るスタートにしなければならない試合だ。

試合間隔が短いこと、大宮戦では攻守ともに今ひとつ課題が残ったことから、城福監督はターン・オーバーを実施。目玉は何といっても左SBで公式戦初出場の小川を先発させたこと。橋本を右SBで代役起用するくらいなら、サブとはいえ左SBが本来のポジションである小川を試すアイデアは確かに悪くない。選手紹介でも大きな拍手を受けた。

また、前線はバーンズ、サンダサの外国人コンビを起用。また中盤は高橋をアンカーに、羽生と田邉をインサイドハーフとして起用する4-3-3の布陣となった。田邉はサバデルから復帰後、公式戦初先発になる。

秋元
徳永 森重 丸山 小川
羽生 高橋 田邉
水沼 サンダサ バーンズ

試合は東京がボールを支配し敵陣で攻撃を仕掛ける展開に。コンビネーションから積極的にゴールを狙いに行くが、最後のところでは敵の守備も厚く、ムリめの突破は止められてフィニッシュまでなかなか持ちこめない。つい最近見たような試合展開だ。

24分、中央で奪われたボールをドリブルで持ち上がられ、展開されてシュートを許す。これは秋元がセーブしたがこぼれ球に詰められ、これも秋元がぎりぎりの体勢で何とか掻きだそうとしたが、左にこぼれたところにさらに詰められて失点、0-1と先制を許す。

中央で奪われた後、高橋がチャレンジに行ったが止められずに後ろから追う格好となり、2度に亘ってシュートを打たれた上、最後はファーから入りこんだ敵をフリーにして押しこみを許した。一瞬の隙というか何というか、想定外の攻撃を受けてアワアワしている間に失点してしまったという感の強いシーン。イヤな雰囲気になる。

ここで下を向く訳に行かない東京は27分、小川のクロスのこぼれ球を拾った田邉が中央からシュートを放つがボールは左ポストをヒットして外に。さらには34分、右サイドの水沼がファーに入れたボールをフリーの田邉でダイレクト・ボレーで狙うがこれはGKがセーブ。田邉のセンスが光ったがシュートはいずれも決まらず。

36分にはサンダサが左サイドを持ち上がり、切れこんで角度のないところから枠にシュートを放ったが、敵GKにわずかに触れられ、このボールがポストをヒットしてこれも得点にならず。ボールを支配して攻めながらも決めきれず、結局0-1とリードを許したまま前半を終えた。

後半から水沼に代えて阿部を投入。バーンズを右に回し阿部は左シャドウに入る。47分、サンダサがゴールライン際からエリア内に侵入、バーンズに戻しのパスを送るがバーンズの至近距離からのシュートは枠を外れる。完全に決まったと思ったが意外とこういうのはふかすパターンか。

しかし50分、左サイドの阿部が入れたクロスをファーのサンダサが頭で落とすと中央のバーンズがかぶせるようなシュートで今度はしっかり枠に飛ばす。これが決まって東京が1-1と追いつく。直前のプレーの印象があったのか、バーンズがダイレクトながらしっかりふかさないようかぶせ気味にシュートを放ったのがさすが。また、阿部のクロスを落としたサンダサのヘディングも打点が高く見事だった。

62分、バーンズに代えて東を投入、サンダサとの2トップとなり、阿部が左、羽生が右の4-4-2になったように見えた。65分、エリア内でサンダサからパスを受けた阿部が反転しようとしたところを敵に引っかけられて倒れPKを得る。

66分、これをサンダサが蹴るが敵GKにセーブされゴールならず。先にGKが右に動いていたが、サンダサは既に右に蹴ると決めていたのか、その手に当てるように蹴ってしまった。もう少し強いボールを蹴っていればと悔やまれるPK失敗で逆転はならず。

しかし直後の68分、小川の右CKに中央で東がGKと競る。ボールはGKの頭に当たりゴールに。敵のオウン・ゴールで2-1と東京がついに逆転する。敵GKはこのプレーで傷んで交代したが、家でハイライトを見てもどこをどう傷んだのか全然分からなかった。何だかよく分からないがきっと痛かったのだろう。

81分、サンダサに代えて前田を投入。前田が交代で入ったところで敵がFKをクイック・リスタート、枠にヘディング・シュートを飛ばされてあわやという状況だったが秋元が落ち着いてキャッチ。こっちは交代に気を取られサンダサに拍手するのに集中しており完全にボールから目が離れていた。選手たちはそんなことはなかったと思うが危ないシーンだった。自らを戒めた。

84分、小川のCKにニアの前田が頭を振ってフリック、これが見事にネットに刺さりゴール。東京が3-1とダメ押し。その後はアディショナル・タイムが5分あり、ビン・ズオンが反撃を仕掛けたが集中してしのぎ、東京が3-1でグループ・ステージ初勝利を挙げた。

前半、攻めながらも得点できず、あろうことか先制を許した時には、開幕戦の記憶から何ともいえない空気になったが、後半も再三チャンスがあることは予想できたし、それを決めるかどうかが勝負を分けると開き直って後半は泥臭く攻撃を仕掛けられた。

頭が攻撃に行ってしまっているために、反撃を受けた時にその危険性の認識が遅れ、割りきった対応ができずに後手に回って失点に至るというパターンは大宮戦と同じ。昨季できていたリスク・マネジメントがこの試合でも破綻しており、この点は厳しく反省する必要がある。引いた相手を崩すことを考える前にリスク・マネジメントがあるべき。課題設定の優先順位を間違えてはいないか。

後半、サンダサの強さを生かしてバーンズのゴールが生まれると流れは東京に。PKの失敗はいただけないが、オウンゴールでの逆転、CKからのダメ押しと、きれいに崩さなくても得点できれば勝ち点は手にできるという皮肉な展開だったが、勝つべき試合にきちんと結果を出すことができたのは大きい。

我々は守備から攻撃にスタイルを変えた訳ではなく、強固な守備があった上で、得点パターンとしての攻撃の深化を求めている訳であり、失点を最少にとどめることがすべてのスタート地点であるのは昨季と変わらない。その上での崩しでありポゼッションでありアクションであって、その逆ではない。

開幕間もない時期で試行錯誤の部分があるのは当然だが、試行の順番を間違えてはいけないし、タイトルを狙うのなら試行に割くことのできる時間はわずかだ。ベースとして何を最優先するのか、城福監督を信じているが、「引いた相手をどう崩すかが課題」というような発言が報道されると、優先順位の認識が違ってやしないかと不安になってしまう。

初先発の小川は、序盤こそ動きが固く、思いきって仕掛けるべきところでボールを戻すなど消極的なプレーも見られたが、プレースキックを任されるようになるとそこからリズムをつかみ、思いきりのいいクロスを上げられるようになった。オーバーラップのセンスも悪くなく、前田のゴールのアシストとオウンゴールを誘うCKで2得点に絡む活躍。

もちろんまだまだ未熟な部分はあるし、果たしてJリーグでも通用するのか、特徴を知られ、対処されても対応できるのか未知数だが、少なくとも小川のチャレンジは今日間違いなく始まった。代役起用の橋本の右SBよりも、実戦で育てる価値のある機会であり、次の仙台戦でも是非見てみたい。

バーンズ、サンダサもよかった。バーンズはやや球離れが悪いところはあるが、器用さも貪欲さもあり普通にいい選手。もっと出場機会を与えて連係を深めたい。サンダサは焦りも見えるが敵陣でゴリゴリ行くことができる強さは魅力。PK失敗はいただけないが、ひとつゴールが決まればブレイクの可能性はあると思う。

内容が今ひとつでも、勝利という結果を出していれば内容は次第に向上して行く。一方で、いくらいい試合をしても結果が伴わなければいつか内容も瓦解して行く。その意味でこの勝利は大きな価値がある。週末は日本のクラブに勝たなければならない。

グループステージは江蘇が全北に勝って勝ち点を4としグループ首位。東京と全北が勝ち点3で並んでいるが、直接対決で全北に負けているため全北が2位、東京が3位となっているようだ。6試合の短期決戦でありひとつひとつの試合の結果が大きな意味を持つ。江蘇との2連戦になるが、まずはホームでしっかり勝ち点3を積み上げたい。

日曜日にはJリーグの仙台戦。ターン・オーバーで作った余裕をうまく生かしたい。

評点(評点はドイツ式):
秋元(3.5) 失点はノー・チャンス、ていうか2回セーブしたのだから免責。
徳永(4) さすがに疲れがあるかやや精彩を欠いた。小川とのバランスを見たか。
森重(3.5) 敵のFWと渡り合い、仕事させず。前に出た時間帯あって面白かった。
丸山(3.5) 失点シーンはややあたふたしたか。それ以外はしっかり落ち着いていた。
小川(3.5) 尻上がりに調子を挙げ、実質2アシストの活躍。素晴らしいデビュー戦。
高橋(3.5) 失点では起点になったが、中盤でのストッパー役は十分果たした。
羽生(3.5) いて欲しいところにきちんといるポジショニングの妙は健在。
田邉(3) シュートは決めたかったがラテンの香りの動きで存在感を示した。
水沼(4) 仕掛けきれずボールロストも。やや身体が重かったか前半で交代。
サンダサ(4) 力強い突破で見せ場は作ったがシュートは不発。PK失敗もあった。
バーンズ(3) 直前の失敗をしっかりリカバーするゴール。もっと使えるはず。
===
阿部(3.5) 攻撃のみならず守備でも献身的な働き。得点の起点にもなった。
東(3.5) 逆転は東の得点かと思ったがよく見たらGKだった。
前田(3) ゴールが生まれたことで次から動きやすくなるはず。

現地でなかなか熱くならなかった携帯カイロがようやく熱々になってきた…。




Comments(0)TrackBack(0)FC東京 | ACL


2016年03月01日 00:12      [posted by der_ball_ist_rund]

【ブンデスリーガ第23節】アウグスブルク×グラードバッハ

■2016年2月28日(日) 15:30キックオフ
■WWK-Arena (Augsburg)

またしても日曜日夜11時半からの試合。早くサマータイムにならないかな。スカパーで中継がないのでGoalTVで動画中継を見ることにした。日曜日にはあんまり夜更かししたくないんだけどな。

グラードバッハはホームでケルンに勝った勢いで、シーズン後半の星を五分に戻すべく勝ち点3を積み上げたい試合。まずはしっかり守って失点を減らしたい。

グラードバッハはシュティンドルを出場停止で欠き、トラオレが久しぶりに先発。アザールがラファエルと2トップを形成することに。それ以外は前節と同じ布陣。

ゾマー
エルヴェディ クリステンセン ノードファイト ヴェント
トラオレ ダフード シャカ ジョンソン
アザール ラファエル

試合は序盤からグラードバッハがボールを支配、少ないタッチで細かくパスを交換しながら押し上げようとするが、敵陣に入るとボールを持ちきれず奪われるなどフィニッシュまで持ちこめない。14分、ヴェントのクロスに中央に走りこんだアザールが至近距離から鋭いシュートを放つが敵GK正面でセーブされる。

チャンスを作れない時間が続くと次第にアウグスブルクが攻勢に。中盤で拮抗した戦いになり、何度か敵のシュート精度の低さもあって先制は許さない。すると33分、トラオレが裏に出したボールを追って抜け出したラファエルがゴール左隅に決めて先制。1-0とグラードバッハがリードを奪う。トラオレはラファエルに当ててワンツーをもらおうと思ったようだがボールがそのまま裏に抜けてしまった格好。ラファエルの落ち着きが光る。

その後もカウンターからアザールが独走するシーンもあったがシュートは敵GKに当ててしまう。結局1-0で前半を折り返す。

後半に入ると50分、左サイドからのクロスを中央で頭で決められ失点。1-1と同点に追いつかれる。クロスを入れるところで動画が止まり、動き出したと思ったら敵が喜んでいるという最悪の展開…。

さらに53分、敵のシュートがシャカに当たってこぼれたところを詰められゴール。3分間で1-2と逆転されてしまう。

ここで寝ようかと思ったが、片づけをしながら見ていると、55分、エルヴェディから戻しのクロスを受けたジョンソンがダイレクトで決め2-2の同点に。寝るのはやめた。

その後はオープンな展開になり、入れ替わりの激しい落ち着かない試合に。64分、ダフードに代わりヒンターエッガーを投入。ノードファイトがボランチに上がるかと思ったがノードファイトは最終ラインに据え置いてクリステンセンを中盤に。

さらに68分にはトラオレに代えてヘアマンを投入。ヘアマンは5カ月ぶりの復帰だ。

その後も勝ち越しを狙うがチャンスも十分作れず。86分、アザールに代えてブラウアースを投入、今度こそノードファイトを上げたか、3バックにしたか。アディショナル・タイムには敵のシュートがポストに当たりヒヤッとするシーンもあったが失点にはならず、結局2-2の引き分けに終わった。

しっかりボールを動かしながらスピード感を持って前に出る狙いは十分分かるし、先制したまではよかったが、後半立ち上がりに立て続けに失点。この軽い守備が何とかならないことにはいくら点を取っても勝てない。2点取れているのだから、勝てなかったのは守備の問題というしかない。

序盤は押しているように見えたが、終わってみればシュート数10-24、ポゼッション52-48、CK5-2と何とも言えないバランス。引き分けという結果は妥当なものだったかもしれない。

ヘアマンはまだまだおそるおそるという感じで本調子にはほど遠い状態。少しずつ出場時間を増やして復調して欲しい。

まあ、先制したのに勝ちきれなかったのはもったいないが、いったん逆転されながらも何とか追いついてアウェイで勝ち点1を確保したことは評価すべきだろう。これで次のVfB戦につながった。シーズン残り11試合、こうやって勝ち点を丁寧に拾うことが必要になる。

グラードバッハは勝ち点を36に伸ばし4位を維持。しかし、1試合あたりの勝ち点が1.57で4位というのも低調な話。3位のヘルタとは勝ち点3差、7位のシャルケとは1差であり、この5チームはほぼ一線で目先の順位は関係ないというべきだろう。負けが続くと脱落する。ここからが熾烈な戦いになる。

今週は英国週間であり、次節は水曜日。チーム力が問われる連戦だ。精度を上げることと守備の立て直しが必要。

アンドレ・シュバート監督談話:
「我々はまずはうまく試合に入ることができた。我々は試合を支配したかったが、アウグスブルクがいい守備をしており今季何度も完封していることに気づかなければならなかった。ポゼッションは高かったが、アウグスブルクの中央は非常にコンパクトだった。我々は何度もいい形を作ったが、きちんとコントロールした形でフィニッシュまで持って行くことができなかった。同時に我々は後ろではあちこちできちんと反応できずあまりに自由を与え過ぎた。2点も素早く失った後、しっかり反撃できたことはポジティブに考えたい」

守備の規律を!!




Comments(0)TrackBack(0)Borussia M'Gladbach | ブンデスリーガ


!!注意!! このブログは…
このブログはウェブ・サイト「Silverboy Club」内のコンテンツになっています。外部リンクから直接このブログに飛んできた場合、サイトのメニュー・バーが現れず、サイト内の他のコンテンツにリンクできません。その場合、このリンクでメニュー・バーを表示し、是非サイトの他のコンテンツもお楽しみください。
 
月別アーカイブ
最近のコメント




Copyright Reserved
2005-2006 Silverboy & Co.
e-Mail address : silverboy@silverboy.com