フットボール・クレイジー
football crazy
silverboy club
presents
2016年04月29日 22:54
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【Jリーグ第9節】FC東京×福岡
■2016年4月29日(金) 17:00キックオフ
■味の素スタジアム
ゴールデンウィーク初日、晴天の味スタではエキシビジョンマッチとしてOB戦が行われた。3時15分のキックオフに間に合わせるためにいつもより早めに家を出たが、電車の時間がうまく合わなかったこともあり最初のところはちょっと見逃した。一般の人はまだ入場列が続いている時間であり、ちょっとキックオフが早すぎる感じ。
エキシビジョンマッチはおもに2001年頃まで在籍した選手が中心のBLUEと、それ以降に在籍した選手が中心のREDの対抗戦で、2002年から東京を見始めた僕としてはREDの方が圧倒的に現実感がある。特に、宮沢、金沢のプレーを久しぶりに見られたのは嬉しかった。平松が出ていたのも嬉しかったし、馬場がファンタジスタぶりを発揮していて楽しかった。10分ハーフのゲームはスコアレス・ドローに終わった。
リーグ戦はここ3試合勝ちなし。2連敗のあと、前節甲府戦も先制を許したが、後半に立て直して追いつき、何とか勝ち点1をもぎ取った。その勝ち点1を意味あるものにするか、ただの息継ぎ程度にしてしまうか、引き分けの次はいつも重要な試合になる。悪い流れを断ち切り、前節後半の手ごたえをしっかりしたものにするためにも、勝ち点3の必要なホーム・ゲームだ。
ここまで8試合で勝ち点10の12位はタイトルを狙うクラブとしては致命的な出遅れというか失速。その意味からも何としても勝ち点3を上積みしなければならない。メンバーは駒野に代えて左SBに小川が先発した他は前節と同じ。ベンチには例によって高橋の姿がない他、羽生、駒野、水沼らもベンチ入りせず。日曜日のU23、水曜日のベトナム遠征を見据えてのターン・オーバーとは思うが、ベンチにDFの選手を誰も置かないのも不安だ。
秋元
徳永 森重 丸山 小川
河野 梶山 米本 阿部
平山 バーンズ
コイントスに勝った東京がサイドの入れ替えを選択。味スタでこれを見るのは珍しい。というか記憶がない。強い風を意識して、先に風上を選んだようだ。
試合は互いに素早い攻守の切り替えから攻撃を仕掛ける拮抗する展開になる。といえば聞こえはいいが、どちらもボールをなかなか前線に運べず、パスミスからボールをロストしては攻撃権を明け渡す低調なゲームに。
東京はボールを奪う位置が低く、中盤を使っての組み立てができないために前線に蹴るシーンが多い。平山、バーンズがサイドの裏に流れて受けるが、そこからの押し上げがなく攻撃は単発にとどまる。
39分、左サイドで得たFKを小川が蹴り、ゴール前にきれいに弧を描いて入ってきたボールに平山が頭で合わせるが敵DFに当たり枠に飛ばず。42分には森重が持ち上がってコントロールしたミドルを放つがバーの上。結局前半はどちらにも大きな見せ場のないままスコアレスで終わる。
東京は自陣でのパスミス、カウンターをケアする際の曖昧な連係などから何度か危ないピンチを招くが、敵の拙攻もあって結果的に何とか無失点でしのいでいる状態。決してきちんと規律のある守備ができている訳ではなく、不安が残る。
後半に入って東京はややアグレッシブにボールを動かすが、一方で裏に通されたボールにゴール前で決定的なシュートを放たれるなど、決定的なピンチもあって、このピンチは秋元のセーブでしのいだものの一進一退。
54分、バーンズに代えてムリキを投入。バーンズの仕掛けもあまり効いていなかったのでこの交代はやむなしか。ムリキを徐々に長い時間慣らすこと自体は必要であり理解できる。
しかし61分、敵FKからのこぼれ球を再び放りこまれ、敵FWにゴール前で合わされる。森重が競ったがボールはバウンドしてそのままゴールへ。セット・プレー崩れからの放りこみで失点する前節と同じパターンで0-1と先制を許す。
チーム状態がよくないときは、先制されると一気に流れを持って行かれる。直後の62分にも、前がかりになったところでボール・ロスト、鋭いカウンターを受けシュートを放たれるが秋元がセーブ。これを決められるとリカバーが難しくなるところだったが、何とか持ちこたえた。
67分、ムリキが中央で倒されて得た20メートルほどのFKを森重が直接狙うがボールはゴール左隅に外れる。
69分、梶山に代えて田邉を投入、田邉はそのままボランチに入る。田邉をこのポジションで起用するならハ・デソンをベンチに置く必要はなかった。しかし、田邉のボランチ起用は当たり、中盤の底でボールを受け、左右に捌く一方で自らも攻撃参加するなどチーム全体の機動性が向上したように見えた。
75分、小川のクロスに中央で平山が合わせヘディング・シュートを放つがボールはGK正面に。タイミングは完全に合っていたがコースが正直過ぎた。80分、河野に代えて前田を投入、前田と平山が2トップを形成、ムリキは左SHに落ち、阿部が右に回る。
終盤はリスクを取って敵陣を中心に攻撃を仕掛けるが、福岡の守りも厚くゴールを割ることができない。アディショナル・タイム、小川の左CKに平山が再び頭で合わせるがたたきつけたボールは大きくバウンドしてバーを越える。
アディショナル・タイムが表示の4分を越えたところで、右サイドから阿部が入れたクロスをブロックした敵DFが手を使ったとの判定でPKを得る。このPKを森重が蹴ったがボールは正面のバーをたたいてゴールに入らず。試合はそのまま終了し、東京は0-1で敗戦、リーグ戦4戦勝ちなしとなった。
攻撃の形が見えないとかいろいろあるが、とにかく得点できないなら失点してはいけないということに尽きる。前節と同じようなパターンで失点したことに加え、フリーでクロスを入れられたり、裏を取られてシュートまで行かれるシーンも散見され、組織的に守備ができているように見えなかった。
どうやって得点するかももちろん重要だし、得点しなければ勝てない訳だが、攻撃はあくまで水ものであり、いくらうまくやっても入らないことはあり得る。特に今、そこに至るパターン、形すらできていない中で、失点は敗戦にそのまま直結する。
攻撃の形が構築できていないからといって、それまで負け続ける訳には行かないのだから、攻撃の形ができていなくても負けないようにまず守備を整理するしかない。取組の優先順位が間違っているので、この状態で何試合戦っても同じことが繰り返されるだけだ。
たとえて言えば、事務やコンプライアンスがガタガタなのに営業のことしか考えていない会社みたいなもので、そういう会社はいくら稼いでも事故や不祥事を起こし、せっかく稼いだ利益すらも吐き出していずれ倒産してしまう。ましてや営業もうまく行っていない時に事故や不祥事ばかり起こしていては会社は長くない。
僕は城福監督自体は嫌いではないし、2008年、2009年の指揮は評価している。2010年も降格の憂き目を見たのは強化の失敗であり、城福監督の責任は限定的なものだと思っているが、今季のこの成績はもはや受け入れられない。いや、成績もさることながら、危機管理の話をするべき局面で営業のことを考えている社長にはついて行けないということだ。
既に選手はメンタルをやられ、できていたことまでができなくなっているネガティブ・スパイラルの状態。内容が伴わなくても勝てていればそれをテコに内容を向上することはできるが、結果が出ていないと内容までがダメになって行くのはよくあることで、今の東京はまさにその状況だと思う。
そこから抜け出すためには、目の前のひとつの勝利、城福監督自身が言っていた「this game」にこだわり、みっともなくても、不格好でも、シュート0本で敵のオウン・ゴールでも、とにかく勝ち点3を取ることの積み重ねが必要だが、その手立てが見えないことが不信感を増幅している。
こうしたスパイラルを抜け出すためには大きなスイッチの切り替えが必要だが、このままではその可能性は薄いと言わざるを得ず、タイトルを狙う以上はこのタイミングでの監督の更迭は現実的な選択肢だ。
後任は難しいが、幸いライセンス・ホルダーの安間コーチ(U23監督)がおり、安間暫定監督でつないで当座をしのぎつつ、チームを任せられる次期監督を探し、シーズン後半に期待するしかないと思う。
フロントの決断を求める。
評点(評点は
ドイツ式
):
秋元(5) ビッグ・セーブもあったがDFとの連係が構築できていないように見える。
徳永(5) 競り負けたり受け渡しに精度を欠く場面も。鉄人もさすがに疲れか。
森重(5) PKの失敗は仕方ないが、守備が危うい。一人だけで戦っていないか。
丸山(5) 森重との連係もいまひとつで、はっきりしないプレーが増えている。
小川(5) クロス、CKでは特徴を出したが、守備が危うく帰陣も遅れることあり。
河野(5) 序盤は積極的な動きでボールを動かしたが、次第に姿が見えなくなった。
梶山(5.5) 中盤で試合を作れず何をしていたかほぼ分からなかった。交代は妥当。
米本(5) 東京のメンタルが安定しないのは正直米本の影響が大きいと思ってる。
阿部(5) 仕掛けは面白いが連係が上向かず。カギを握る男だと思っているが。
平山(4.5) シュートは打てているが、足許でボール失うのは勘弁してくれ。
バーンズ(5) 献身的にボールを受けて仕掛けたがいかんせんサポートが薄く…。
===
ムリキ(4.5) 動きは見えてきた。下がってボール受けさせるがいいのか。
田邉(4.5) 終盤の攻撃に機動性をもたらした。いい選手に成長したと思う。
前田(-) 時間短し。
9試合消化して勝ち点10は非常事態。
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FC東京
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J1リーグ戦
2016年04月25日 22:20
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【ブンデスリーガ第31節】グラードバッハ×ホフェンハイム
■2016年4月24日(日) 15:30キックオフ
■Borussia-Park
日本時間では日曜日の夜10時半キックオフ。残念ながらスカパーで中継がないので、このところ頼みのGoalTVでネット観戦した。放送が時折カクカクして何度か完全に落ちてしまい、そのたびにブラウザから立ち上げるのでストレスもあったが、何とか最後まで見ることができた。
アウェイ2連戦をきっちり2連敗でホームに戻り、CLを狙うならもはやひとつ勝ち点も落とせない戦い。この後もバイエルンとのアウェイ戦、3位レバークーゼンとの直接対決と厳しい試合が控えており、そこにチャレンジするための資格を獲得するための試合と言っていいだろう。ここで勝ち点を落とすようなことがあれば今季はここで終わる。
シュトランツルが再びケガのため欠場、シュティンドルも妊娠中の夫人に付き添うためベンチ外となった。
ゾマー
エルヴェディ クリステンセン ノードファイト
トラオレ ダフード シャカ ヴェント
ハーン アザール ラファエル
試合は序盤からグラードバッハが主導権を握る。7分、シャカがスルーパスを通すとこれを追って裏に抜け出したヴェントがグラウンダーのクロス。ファーに飛びこんだハーンがこれを押しこんだように見えたが、リプレイを見るとこれをカバーしようとした敵DFの足に当たってゴールしていた。オウン・ゴールで1-0と先制。実質ヴェントとハーンのコンビネーションで生みだした得点であることは間違いない。
先制したことでグラードバッハはギアを一段落とし、DFラインでゆっくりとボールを回しながら敵の隙を窺う展開に。ホフェンハイムはボールに食いついて来るもののグラードバッハのつぶしが早く、チャンスは作らせない。
グラードバッハはポゼッションからギャップを作って攻撃、39分にシャカ、41分にノードファイト、42分にハーンと続けざまにチャンスを作るが決めきれず。しかし、45分、ラファエルのシュートをセーブした敵GKにハーンがチャレンジ、こぼれ球をダフードにパスし、ダフードがこれをゴール前から落ち着いて決め追加点。2-0とリードを広げる。ボールを確保したGKの手をつついてこぼれを誘ったようにも見えたがゴールは認められ、前半終了間際に貴重なゴールを得た。
後半に入ってもグラードバッハがボールを支配するが、54分、自陣でのエルヴェディの横パスがルーズになりカットされる。これをそのまま決められ2-1と1点差に詰め寄られる。ありがちなミスだがしっかり決められた。
リードを縮められたグラードバッハは再び攻勢に出る。61分、ダフードが敵ボールを奪ってハーンにスルーパス。ハーンはオフサイドにも見えたがぎりぎり自陣からのスタートということかフラグは上がらず、そのままカウンターで独走しあっさりゴール。3-1とリードを広げてここで実質試合は終わった感があった。
グラードバッハは危なげなく時計を進めながら、81分、トラオレに代えてジョンソンを、84分、アザールに代えてヘアマンを、88分にはラファエルに代えてホフマンを投入して試合を手堅くクローズ、3-1とホフェンハイムに完勝した。
明らかなミスからの失点はいただけないが、それ以外に崩されるシーンはなく、攻撃ではどれも微妙な部分はあったものの効果的に先制、加点できた。少ないタッチ数でボールを動かしながら最後に決定的なボールを裏に出す形も成熟、特にシャカとヴェントの存在が大きい。
ダフードの中盤でのキープ力、ラファエルの想像力など、全体が有機的に連動し、この日はハーンの決定力も大きな貢献があった。ケガが治って本当によかった。今季のいいところがしっかり出たゲームだった。
これでグラードバッハは勝ち点を48に伸ばし5位を維持。3位のレバークーゼンとは勝ち点差6あるものの、4位のヘルタとは1差。DFBポカールの決勝がバイエルンとBVBになったのでELの枠がリーグ戦7位までに広がり、ELはほぼ確定になったが、CLの3位はこのままでは厳しい。
唯一のアドバンテージは3位のレバークーゼンとの直接対決を残していることだが、その前に次節アウェイでのバイエルン戦がある。これを勝ちきらなければレバークーゼンに逃げられてしまい、3位はほぼムリになってしまう。シーズン前半ではバイエルンに勝ったがそれで燃え尽き失速の端緒になった。再びのバイエルン戦で我々はいかに戦うか。大事な試合になる。
残り3試合、5連敗から始まった波乱のシーズンだが、決算の時期は迫っている。
アンドレ・シュバート監督談話:
「素晴らしかったというだけでなく、どうやって勝ったかということもまた重要だ。我々はゲーム・プランと試合の中でのアイデアを非常にうまく実行することができた。全体として私のチームは最初の1分から試合をすべての点で支配し、まったくそれに見合う勝利を得て、そのいいパフォーマンスが報われた。我々は勇気を持って戦い、そこからたくさんのいいゴールのチャンスを作り出した。もう少ししっかりとやりきれていれば、もっとハイスコアの勝利さえ可能だった。全体としていいパフォーマンスで、満足のできる出来だった。次の週末にミュンヘンで期待されている成果はもちろん極端に困難な課題だが、それを考えた時にこの成功体験は非常に重要だ」
なんでこれがアウェイでできないかな…。
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Borussia M'Gladbach
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ブンデスリーガ
2016年04月24日 19:17
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【Jリーグ第8節】甲府×FC東京
■2016年4月24日(日) 14:00キックオフ
■山梨中銀スタジアム
首都圏外のアウェイなので普通に自宅スカパー観戦。
東京はリーグ戦、ACLと公式戦3連敗中。特にここ2試合で7失点と守備に問題があることは明らか。7試合を消化して勝ち点9の11位と、タイトルを目標に掲げるクラブとしては危機的な状況で、アウェイながら勝ち点3の必要な試合。
とはいえ気負いが空回りしてむやみに前がかりになると失点のリスクも増える。まずは無失点にこだわり、最悪でもスコアレスドローで勝ち点1を持ち帰ることを優先して、いかに低リスクでそこにあと2の勝ち点を上積みするかを考える大人のフットボールを目指したいところ。
この試合ではボランチに梶山を起用、前線も平山とバーンズを先発で起用するなど思いきったターン・オーバーを敢行し、勝ち点3を狙いに行くが難しい敵であることは間違いない。城福監督にとっては古巣との対戦だ。メンバー発表では梶山をアンカーにした4-3-3かとも思われたが、試合が始まるとオーソドックスな4-4-2
秋元
徳永 森重 丸山 駒野
河野 梶山 米本 阿部
平山 バーンズ
序盤は東京がアグレッシヴにボールを動かし、果敢に甲府ゴールを狙う。7分、駒野からのパスを左サイドで受けたバーンズが中央にクロスを入れると、河野がダイレクト・ボレーで狙ったがシュートはクロスバーをヒット。決定的なシーンだったが先制ならず。
その後も河野、平山、バーンズが流動的にポジションを交換しながら攻め上がり、シュートも放つが敵の堅守に阻まれ得点には至らない。
すると15分、敵CKからの流れでいったん戻されたボールを裏に放りこまれると、敵FWが飛び出してこれに触れゴール。セット・プレーのディフェンスがいったん崩れたところに放りこまれて対応できず、早い時間帯に0-1と先制を許す。イヤな感じ。
その後は東京の守備が不安定になり、自陣での緩いパスをカットされたりバック・パスからのフィードがダイレクトで敵に拾われたりと、ここ2試合の再現のようなお粗末なプレーを連発。ここで追加点を与えると決定的になるところだったが、敵の拙攻もあって何とかしのぎきる。
しかし攻撃では自陣深くでしっかりとブロックを構築する甲府に対し有効な攻め手が見出せず、後ろが気になるのか思いきった攻撃ができずにシュートも打てなくなる。43分、河野のCKに森重が頭で合わせるが枠に飛ばず、結局0-1のまま前半を終える。
後半に入ると、平山を中央に固定してシンプルにターゲットにし、ポストしたボールを河野、バーンズが拾うという戦術が徹底されて攻撃に機動性が戻る。
52分、駒野のクロスにバーンズが合わせるが枠に飛ばず。54分、梶山がゴール前に浮き球のパスを送るとこれを追った河野が合わせるがシュートはバーンズに当たってしまう。さらに59分、丸山のパスに梶山が頭で合わせるがGK正面。東京が押しこむ時間帯になる。
62分、バーンズに代えてムリキを投入。バーンズは相当スプリントして仕掛けていたので交代はやむなしか。ムリキはそのままトップに入ったように見えた。
その直後の63分、左サイドの深いところで得たFKを駒野が蹴ると、ゴール前で平山がヘディング、これが決まって1-1と同点に追いつく。セット・プレーが決まると試合を作りやすくなる。必ずしもジャスト・ミートしなかったようにも見えたが、平山はFWとしていい仕事をした。
直後の64分には河野が立て続けにシュート・チャンスを迎えるが決めきれず。69分にも河野のFKに平山が頭で合わせるがこれもGKがキャッチ。流れの来ている時間帯に逆転したかったが、敵の守備も分厚く得点に至らず。
72分、河野に代えて水沼を投入、平山を1トップに、右に阿部、左にムリキを置き、梶山をアンカー、水沼、米本をインサイド・ハーフにした4-3-3に移行、リスクをマネージしながら逆転を狙いに行くが、終盤になると割りきって外国人FWにボールを集める甲府の攻撃のケアに追われ流れが徐々に甲府に。
85分、平山に代えて前田を投入し、アディショナル・タイムには前田からパスを受けたムリキが反転してシュートを放つがDFにブロックされるなどゴールが遠く、結局1-1の引き分けに終わった。
前半、セット・プレー崩れからの放りこみに対応できず失点、その後は守備が不安定になって追加点の可能性もあったが何とかしのぎきって、攻撃の形が作れない時間帯もしっかり我慢したことで、後半逆にセット・プレーからのチャンスを生かせた。逆転できればよかったが、リスクをコントロールしながら最低限の勝ち点1を確保したという試合。
前半バタついて攻撃の戦術も蒸発していたが、ハーフタイムでしっかり修正できたのは大きな進歩だし、運動量が多く疲労の蓄積した選手を、ウィークポイントになる前に交代させた采配も違和感はなかった。
失点自体はもちろん反省しなければならないが、先制されてしまってからどう戦うかという部分でしっかりと問題意識が窺えた。早い時間の失点だったが、その分、時間はあり、敵失やセット・プレーなどのチャンスは必ず何度か巡ってくる上に、ベンチにはムリキも前田もいるのだから焦る必要はなく、前半は0-1で終え、後半勝負でよかった。
意図的かどうかは分からないが、ここでムリに前がかりにならず、追加点をやらないことを主眼にケアしながら前半を何とか0-1のままクローズできたことで、後半勝負にもちこむことができたし、流れから決めきれない時にセット・プレーで得点できたのも大きかった。
攻撃の連係、決定力などの話をすれば課題は尽きないが、今はまず、その前にしっかり失点を防ぐことであり、やりたいフットボールとか攻撃の形とかはその次でいい。その意味では、敵を最少得点に抑え、追いついて勝ち点1を得た、収穫のあった試合ということができるだろう。
この勝ち点1を立て直しの取っ掛かりにできるかどうかは、次節、ホームでの福岡戦次第。引き分けは次の試合が重要になる。堅守から結果を出し、上乗せの土台を構築するという方法論は間違っていないと思うし、今日の試合でようやくその萌芽が見えた気がする。これをきちんと根づかせることができるか、福岡戦、ビン・ズオン戦とチャレンジは続く。
評点(評点は
ドイツ式
):
秋元(4.5) お粗末な味方へのパス、微妙な飛び出し散見。DFとの連係を。
徳永(4) 特徴を出せるシーンが少なかった。裏を使われていたように見えたが。
森重(4) 敵のFWをしっかり抑えた。セット・プレー決めたかった。
丸山(4.5) 我慢して守備を構築する時。丸山の果たすべき役割は大きい。
駒野(4) 左サイドで攻撃の起点になった。クロス精度高めて行きたい。
河野(3) 今日はキレていた。シュートどれか決めたかった。
梶山(4) 微妙なボール・ロストもあったがゲームを組み立てていた。
米本(4.5) 疲れが見える。ちょっと休ませた方がいいと思う。
阿部(3.5) 仕掛けは効いているが連係の中でこそ生きる男か。
バーンズ(3.5) いいところでボールを受けてくれる。好調を維持できている。
平山(2.5) 価値の高い得点。ポストも安定しよくボールを収めてくれた。
===
ムリキ(4) 個の力は出つつあるが連係はこれから。期待は大きい。
水沼(4) 何で勝負するのか、自分の中で整理が必要。
前田(-) 時間短し。
ちなみに8試合で勝ち点10(1試合あたり1.25)、順位は12位に後退。
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FC東京
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J1リーグ戦
2016年04月21日 00:13
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【ACL第5節】FC東京×全北
■2016年4月20日(水) 19:30キックオフ
■東京スタジアム
グループ首位で迎える第5節はホームに全北を迎える。勝てばグループ・ステージ勝ち抜けが決まるが、勝ち点1でも首位はキープできる。しっかりリスク管理して必要な勝ち点を手にすることができるか。リーグ戦2連敗のイヤな流れを払拭するためにも手堅く勝ち点を積み上げたい試合。仕事を早めに切り上げて電車に飛び乗り、東京スタジアムに駆けつけた。
この試合では森重が警告累積のため出場停止で吉本がCBで先発。圍がトップの公式戦初出場となった。また、駒野が左SBに復帰、SHは右に水沼、左に羽生が先発、前線は前田と東のコンビになった。
圍
徳永 吉本 丸山 駒野
水沼 米本 ハ・デソン 羽生
前田 東
試合は序盤から拮抗した展開に。互いにコンパクトな中盤を構築、スペースを消し合ったことからボールの落ち着きどころがなく、セカンド・ボールを争って早めに前線にパスを通す攻撃の応酬となる。
東京は集中した守備からボールを奪取、左に流れた東と駒野のコンビネーションで攻撃を組み立てようとするが、全北のブロックも強固でなかなかフィニッシュまで持ちこめない。11分には水沼のスルーから裏に飛び出した東にボールが渡ったように見えたがオフサイド。ゴールが遠い。
17分、羽生に代えて田邉を投入。敵にチャレンジした際に足を傷めたか。早い時間帯にカードを1枚使ってしまう。田邉はそのまま左SHに入った。その後も一進一退の攻防が続く。東京はボールを持てばしっかりパスを回しながら攻め上がろうとするが、パスミスも多く思うようにボールを運べない。
すると35分、東京の左サイドでボールを奪いきれず中央に展開されて細かくパスをつながれ、崩されて失点。0-1と痛い先制を許す。サイドで対応しきれず中に入られた時点でゴール前の人数が足りていなかったように見え、ヤバい、と思ったがそのままゴールを割られた。守備の約束ごとが瓦解した感あり。
その後も東京は全北の守備を崩せず、0-1のまま前半を終了する。ベンチには阿部、平山、バーンズが控えており、チャンスは必ず巡ってくるはず。失点はしたが攻め急がずに流れをしっかり見極めたい。
東京は後半から水沼に代えて阿部を投入。阿部が左SHに入り田邉が右に回る。後半に入ると自陣での緩いパス交換を狙われ、猛然と飛び出した敵FWにこれをカットされてゴール前に持ちこまれる絶体絶命のヤバいシーンが頻発。意識が前に急ぎ過ぎているのではないかと心配になる。思ったように得点できない時にしっかり我慢ができないと試合運びは苦しくなる。
案の定、60分、中盤での緩いパスをカットされそのままカウンターを仕掛けられる。持ち上がられたボールをつながれ、頭で押しこまれて再び失点。0-2とリードを広げられる。何度も同じような形でピンチを作りながら学習できず、お粗末にもパスカットを許して決めきられた。
東京はやむなく66分、前田に代えて平山を投入。2点のビハインドを負って積極的に攻撃を仕掛けるが、しっかりと守備を固める全北に対して有効な攻め手が見つからず、阿部の仕掛けなどからいくつかチャンスを作るものの敵に脅威を与えるには至らず。
田邉がたびたび右サイドで仕掛けて裏に抜け出すが中央では合わず。個での仕掛けはあるが連係を欠き、完全にバラバラの状態で攻撃の体をなさない。見ていてもまるで得点できそうな気がしない。
アディショナル・タイム、GKからのロング・ボールを中央につながれフリーで蹴りこまれて失点、0-3となる。前がかりになっていたとはいえ、失点を防ごうという気があったのかどうかすら疑問に思えるほど易々と得点された。
結局試合はそのまま終了。東京はほぼ攻撃の形をつくれないまま、ミスがらみで拙い失点を重ねて自滅した。
守備の約束ごと、規律がはっきりしないことから、せっかくの拮抗した展開にもかかわらずイージーな失点。その後も失点寸前の重篤なミスを連発し、それが寸前で済んでいるうちはよかったが最後にしのぎきれず同じようなミスから追加点を許した。最後の失点に至ってはもはや止める気すらないように見える始末。
攻撃面では序盤こそ面白い連係から敵ゴールに迫る意図も見えたが、失点を重ねて焦りが出る度に失速、最後はドタバタと見こみの少ない攻撃で強固なブロックにぶつかってははね返される繰り返し。何がやりたいのか見えないまま惨敗を喫した。
攻撃や連係が形になるのに時間がかかるのは分かるが、それを待つ間もなりふり構わず勝ち点を積み上げることで戦い方に対する共通理解ができ、それを通じて内容も向上して行くというステップを踏むべき。今は結果が出ないまま内容を改善しようとしており、結果が出ないことでムダに焦りが出てできていたことまでできなくなっている状態。一度こういう負の連鎖に入ると断ち切るのは容易ではない。
内容が思うに任せない時、攻撃が機能しない時に、どのように我慢して最低限の勝ち点を確保するかという問題意識があまりに希薄。我慢といっても、負けても仕方ないと我慢するのではなく、決して理想的な内容ではないことを我慢して結果を優先するということだ。用兵、采配以前に、戦う最低限の用意ができていないようにすら感じられた情けない試合だった。
一からチームを作って3年後の優勝を狙うというのならそれでもいいのかもしれないが、我々は昨季チーム史上最高の勝ち点を挙げた監督を敢えて更迭し、今季タイトルを取りに行くことを公言してリーグ戦とACLを戦っている。そうであれば、この時期にこの内容と結果は既に許容できないレベル。手を打つ必要があると思う。
グループ・ステージ最終節、アウェイでビン・ズオンに勝てば勝ち抜けが決まるが簡単な試合ではない。それ以前にリーグ戦が戦えるのか。公式戦2試合で7失点。足りないのは決定力とかじゃない、ディシプリンだ。
評点(評点は
ドイツ式
):
圍(5.5) 3失点に加えあわや失点のパスミスもあり。苦いデビュー戦になった。
徳永(5) ドン詰まってボールを失うシーンも。強みを出せないまま終わった。
吉本(4.5) 柄にもないスルー・パスはともかく、守備では身体を張った。
丸山(5) 森重不在、GKも初出場の圍で、DFを統率しきれず。身体は張ったが。
駒野(5) 復帰戦。力があることは分かったがパフォーマンス安定せず。
水沼(5) 動き自体は悪くなかったが試合に出ていないため連係でビハインド。
米本(5) 主将としてチームを引っ張れず。冷静な状況判断ができていたか。
ハ・デソン(5.5) 軽いプレー、パスミスを連発。これなら高橋を使って。
羽生(-) 時間短し。ケガが心配。
前田(5) ポストしようにも受けたボールを出すところがなくて可哀相だった。
東(5) 繰り返しチャレンジしたが敵の堅い守りに止められた。調子は悪くない。
===
田邉(4.5) 個としてはよく働いたがフォローを得られなかった。
阿部(4.5) チャレンジで敵を嫌がらせていた。決定機は決めきりたかった。
平山(5) ハイボールが来ず高さは生かせなかった。何を期待されたのか。
こんなメロメロな試合は久しぶりに見た。せっかく仕事を頑張って早く終わらせ、何とかスタジアムに駆けつけたのに、それに値する試合ではなかった。3点目が入ったところで席を立つ人がたくさんいた。そういう試合だった。
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FC東京
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ACL
2016年04月19日 23:46
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【緊急コラム】リスク管理はできているか
明日のACL・全北戦を控えて、週末の川崎戦で感じたことをもう一度まとめておきたい。
マッチ・レポートでは守備のことばかり書いてしまったような気もして、少しミスリードしたかもしれない。改めて言うなら、最重要なのはもちろん守備ではなく、勝ち点である。勝ち点から逆算し、それを最も効率的に積み上げるためにまず必要なのが守備だということだ。なぜならキックオフの時点では我々は常に勝ち点1を手にしているのだから。その意味で、守備は勝ち点1を確実に手にするための手段にすぎない。
いかにいい内容の試合をしても負けてしまっては勝ち点は得られない。いい内容の負けよりも、微妙な判定のPKや敵のオウン・ゴールで拾った勝ちの方が価値がある。最低限の勝ち点1をまず確保する、そしてその上で「あと2」を上積みする、そういう計算の仕方を我々は学んだはずだし、そのためにどんな戦い方をすればいいのか、細かく約束ごとがあったはずだ。今季もそれが出発点であることに変わりはないと思っていた。
しかし、川崎戦ではそれが瓦解したように感じた。
まずは序盤に1点を先制しながらすぐに追いつかれたところ。想定外の早い時間にリードを得て腰が浮き、意識が前に行ったところを一発でやられたように見えた。得点直後の失点はあり得ることであり、最も気をつけなければならないところ。そこで必要以上に気勢が上がり、前がかりになってしまったのではないか。ここのコントロールはできていたのか。
とはいえ、序盤の得失点はいったん忘れて戦うしかない。特に振り出しに戻っただけなのだからここで慌てる必要はない。その点で、1-1と同点になってからの戦いぶり、前半の試合運びはしっかりとできていたと思う。中盤をコンパクトにし、窮屈なところでしっかりボールホルダーにアプローチしてボールを奪いきるという戦術がしっかり徹底されていた。ここは評価すべきところだ。
第二の問題点はセットプレーから勝ち越した後の対応だ。残り時間はまだまだあったので、ここからドン引きになるのは川崎の攻撃力を考えても現実的ではないというのは分かる。しかし、ここで「1点のリードがあれば十分」という考え方と、「追加点を奪って試合を楽にする」という考え方の間で、選手の間に意思の不統一があったのではないか。
エル・ゴラッソによれば森重は「2-1でリードは十分だった」とコメントしている一方で、城福監督は「3点目を決めて突き放すことができなかった」ことを敗因として挙げている。阿部が「守るのか追加点を取りに行くのかがはっきりしなかった」と述べたという報もあった。
僕の感覚は森重に近い。後半開始早々にリードを得たら、あとは余計なリスクを取らないで時間を使いつつ、敵失があれば手数をかけずに追加点を狙う。ドン引きでないにしても、チームとしてのリスク許容度は同点の時より明らかに2段階くらい下がっているはずであり、戦い方はそれまでと変わってしかるべきだと思った。
しかし、東京はそれまでと同じ調子で戦い続け、ムダなリスクを取り続けたように僕には見えた。疲れの見えた田邉を守備のできる橋本に代えたこと、同じく走り通しだったバーンズを前線でキープでき放りこみでも一発のある(つまり手数、リスクをかけず追加点を狙える)平山に代えたことはおかしくなかったと思うが、できることなら、ポジションを捨てて攻撃に色気を見せる橋本よりは、中央をしっかり締められて最終ラインに落ちることもできる高橋を投入したいところだった。だがその高橋はなぜかベンチに入っていなかった。
結果としてペナルティ・エリアで無用のファウルを犯しPKを献上。77分までもったのだし、ファウルは偶発的なものだとすれば、ここまでの戦い方もそれほどおかしくはなかったのかもしれないが、徐々に疲労が蓄積する中でそれまでと同じ調子で追加点を狙いに行ったことが集中力を削ったことは想像に難くない。
それでも、PKでの失点はアンラッキーと割りきることもできた。ドローで試合をクローズできれば勝ち点1は拾えたし、そういう戦い方は十分可能だった。勝ち越しを狙いに行くにしても、まずは逆転されないことを優先して考えるべきだった。
最大の問題はここだ。この同点弾で、東京のモラルはガクッと落ち、戦術は蒸発したように見えた。ムリキを投入したことによって「勝ちに行く」というメッセージは明確になったが、そのために東京は浮足立ち、意識は再び前に急いだ。そして最もやってはいけない立て続けの失点を喫した。同点にされてから逆転されるまでわずか4分。それまでできていた守備もできなくなっていた。
時間はまだまだあったのだから焦る必要はなく、最悪ドローでもいいという絵も描けたはずなのに、そのためのリスク管理がまったくできず焦って前がかりになった結果、そこを見透かされたように失点。時間稼ぎにコーナーフラグポストに向かうと思ってチェイスしなかった敵MFに方向転換されてクロスを上げられるというおまけまでついて2-4と完敗した。守備という言葉を使わずに敗因を説明するとすれば、「リスク感覚、リスク・マネジメントの欠如」「勝ち点に対するこだわりの欠如」だと思う。
繰り返しになるが、城福監督は、結果にこだわる昨季のベースは今季も持ち続けると明言した。しかし、こうした戦い方を見ていると、それは口先だけのことだったのかと落胆する。ディシプリンが身につくには長い時間がかかるが、失われるのは一瞬だ。
結局のところ、「前の監督のいいところを引き継いでその上に…」なんていうのがそもそも原理的にムリなのだろう。ポポヴィッチ監督からフィッカデンティ監督へのトランジションもそうだし今回もそう。結局ゼロリセットの作り直し。それなら3年与えるべきではないかと思う。
既にシーズンは5分の1終わっており、その時点で1試合あたりの勝ち点が1.3というのは危機的。こういうときにどうやってなりふり構わず勝ち点を確保するのか、それが見えないと「決定力の問題」「方向は間違ってない」的な言説に説得力はないということだ。そこの勝ち点に対するこだわりが希薄になっているのではないか。
新しい戦略が浸透しきれずオートメーションも確立できていないトランジションの期間にこそ、どんな形であれ勝ち点を取りに行き、結果からリズムを作り内容を向上することが必要だが、今はチームを作っている途中だから、ACLもあるから、U23もあるからといったような説明を目にすると、何か危機感のレベルが違いすぎる気がしてガックリくる。
僕は森重がトップフォームで、石川がチームにいる間に優勝を見たい。もう何年も前からそう思っているが、形が見えかけた2年めが終わるたびに監督が代わり戦略がリセットされるので時間だけが過ぎて行く。「前の監督のいいところを引き継いでその上に…」というのはいつも言葉だけ。もう残り時間はあまりないのだ。
明日はACLで全北と戦う。東京はグループ首位で、勝てば1試合を残して勝ち抜けが決まるし、ホームゲームでもあり当然決めてしまいたいところだが、例えばスコアレスのままで試合が終盤にもつれこんだ時に、決勝点を取りに行く意識とドロー上等で勝ち点を固めに行く意識との間でリスクのコントロールはできるのか。引き分けでも首位は変わらず、最終節に持ち越すこともひとつの選択。そういう成熟した状況判断と試合運びが、状況に応じてできるのか、明日の試合を注目している。
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FC東京
2016年04月17日 17:52
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【ブンデスリーガ第30節】ハノーファー×グラードバッハ
■2016年4月15日(金) 20:30キックオフ
■HDI Arena (Hannover)
シーズン終盤に厳しいアウェイ2連戦。特にこのところアウェイではまったく勝てていない上、最下位のハノーファーは監督を更迭して必死の残留争い中であり、難しい試合になりそうだ。
幸い相手に日本人選手が2人もいるおかげでスカパーの中継があるので、録画して土曜日の朝一番で時差視聴することにした。もちろん試合結果情報は遮断だ。
シャカが警告累積で出場停止(実働少ないよな、シャカ)、一方でラファエルが先発に復帰。最終ラインにはシュトランツルが入ってクリステンセンをボランチに上げる形に。
ゾマー
エルヴェディ シュトランツル ノードファイト
ジョンソン ダフード クリステンセン ヴェント
シュティンドル
ラファエル アザール
試合はグラードバッハがボールを支配、細かいパス交換から前線にボールを運ぶが、ハノーファーの守備が集中しており目だった決定機を作れず。ラファエルが入ったことで前線に起点ができ、ジョンソンやアザールとの絡みからゴールを狙うが精度を欠く。
一方でハノーファーもサイド経由で何度かチャンスを作るがゾマーのセーブもあり得点は許さず。グラードバッハ優位だが互いに決定力を欠いてスコアレスで前半を終了した。
後半開始早々に試合が動いた。49分、左サイドを破られて低いクロスを入れられると、ニアでダイレクトで合わされ、ゾマーの脇下を抜かれて失点。0-1と痛い先制点を許してしまう。どうしてアウェイだとこうなるのか。守備が軽くフリーでクロスを入れさせてしまった。
シュバート監督は54分、アザールとダフードに代えてヘアマンとトラオレを投入。エルヴェディを左SBにスライドさせ、ジョンソンを右SBに下げる一方、右SHにヴェント、左SHにトラオレを配し、中央にはノードファイトとシュティンドル、前線にラファエルとヘアマンという4-4-2になったように見えたが、前線が頻繁にポジションを入れ替わるのでよく分からなかった。
しかし、その甲斐もなく60分、エリア内からフリーでのシュートを許す。これはポストに救われたが、こぼれたところを詰め荒れて失点、0-2とリードを広げられる。
時間はまだまだ残っていたが、リードを得て流れをつかんだハノーファーは、高い位置からのプレスと豊富な運動量でグラードバッハを圧倒、グラードバッハは思うように攻撃を組み立てることができない。
83分、エルヴェディに代えてハーンを投入、終盤に反撃を仕掛け、いくつかチャンスを作ったものの決めきれず、0-2のまま試合終了、完敗となった。
アウェイ2連戦で2連敗と、このところのアウェイでの弱さを再確認した格好になったが、ホームでできていることがなぜアウェイでできないのか本当に不思議。ポゼッションの罠にはまり、難しく考えて攻撃に手数をかけ過ぎている感がありあり。この試合でもシュート数は8-12と劣勢の一方で、ポゼッションは58-42と、持たされて攻めあぐねる形になっていたことが顕著。
ダイレクトでショート・パスをつなぎながらスピード感を殺さず攻め上がり、流動的な前線の連動で仕留めるという「型」はできているはずなのに、それがボールを持たされてしまうと逆にできなくなるのがもどかしい。この内弁慶は本当に重症。
暫定では何とか5位を保っているがマインツの試合結果次第では6位に落ちる可能性があり、7位のシャルケとは勝ち点差なし。4位のヘルタとは勝ち点差4で、残り試合数が4つに減った現状ではもうカツカツの水準。7位までが激しい混戦で、何とか4位に入ってCL予選を確保するのももはや至難。6位のELだけは死守しなければならないがこれも微妙な状況だ。
残り試合全勝のつもりで戦い、最後に結果を見るしかないが、その中にはアウェイでのバイエルン戦も残っている。レバークーゼンとの直接対決があるのはいいが、いずれにせよもはや1つの勝ち点も落とせないのは間違いない(全勝しても勝ち点は57にしかならない)。
何か、ファヴレ監督の遺産が徐々に剥落、シュバート監督の実力はこんなもんかという感じになってきた。来季を展望してもヨーロッパは必須。フォーメーションをいじるのもいいが、基本的な約束ごとや戦術を整理した方がいいと思うぞ。
アンドレ・シュバート監督談話:
「今日は我々にとってはいくつかのことがうまく行かなかった。攻撃ではポジショニングがまずく、うまくボールを回すことができなかった。そのため我々は攻撃をプラン通りに実行することができなかった。守備では一対一でもっとアグレッシヴでかつ激しくやるべきだった。その一対一ではそのアグレッシヴさでボールを奪いきり、そこからゴールへの動きを作りださなければならない。ハノーファーはまさにそれをしっかりやったということだ。彼らは情熱をこめて戦い、勇気を持って前を向いて戦った。そのすべてのせいで、我々はほとんどゴールの危険を作り出せず、最後には残念ながら負けることになってしまった。この試合には大きな期待をしていただけに、我々にとってそれは非常に苦々しい結果になった。再々ポジションを入れ替えたことも言い訳にする訳には行かない」
それにしても、この試合のCSフジテレビのアナウンサーは、ノードファイトとクリステンセンのポジションをずっと間違えて認識しているなど、試合がしっかり見えていなかったようだ。
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Borussia M'Gladbach
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ブンデスリーガ
2016年04月16日 21:52
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【Jリーグ第7節】FC東京×川崎
■2016年4月16日(土) 15:00キックオフ
■味の素スタジアム
6試合を消化して3勝3敗と五分の星で迎えたホーム・ゲーム。前節アウェイで柏に負けており、首位川崎との勝ち点差も5に開いている。その川崎との直接対決であり、勝てば一気に差を縮めることができる一方、ここで首位との勝ち点差が8に広がってキャッチ・アップが難しくなってしまう。シーズン序盤のヤマというべき試合になった。
時おり日の射す薄曇りの天気で気温は暖かい。観戦日和だ。昼ごはんを済ませて味スタに出かけた。試合後には川崎サポの同僚と食事の約束をしており、その意味でも何としても勝たなければならない。試合前の煽りでは「打ち合い上等」と銘打たれているが、我々としてはしっかり守って「内容ではウチが勝っていた」と相手に言わせたい。
メンバーは森重が出場停止から復帰。また、SHには田邉が、前線にはバーンズが先発し、高橋、東、河野、羽生らはベンチ入りせず。水曜日にACLの全北戦が控えており、ターン・オーバーを意識してのことか。ムリキは前節に続いてベンチ・スタート。試合前に、熊本地震の犠牲者に対する黙祷が行われた。コンコースでは募金も行われていた。
秋元
徳永 森重 丸山 小川
田邉 米本 ハ・デソン 阿部
前田 バーンズ
試合はいきなり動く。4分、田邉が敵DFに詰めてボールを奪い、これを拾ったバーンズがドリブルでカウンター。敵DFに並走されたもののそのままエリアに持ちこみ、GKの脇を抜くシュートでゴール。東京が早い時間に1-0と先制する。
勢いに乗る東京がその後も中盤での激しいプレスからボールを奪い、前線で仕掛ける展開となるが、意識が前に行って腰が浮いたところでカウンターを浴びる。11分、敵の中盤から前線にロング・ボールを通され、これを受けた敵FWがそのまま決めて失点。1-1と試合は振り出しに戻ってしまう。小川が対応したがそれをものともせず収められ、決められた。
その後は互いに中盤をコンパクトにして激しく主導権を争うゲームに。東京もしっかりとボールにアプローチし、窮屈な中盤を抜けて攻撃を仕掛けるがゴールに至らず。23分、29分とチャンスを迎えるが、枠にしっかりしたシュートを飛ばすことができず、1-1のイーブンのままで前半を終了した。
後半に入っても拮抗した展開となる。54分、敵のロング・フィードに飛び出した秋元、対応した丸山ともに触れることができず、ゴールをがら空きにしたまま敵FWにボールが渡る。絶体絶命だったが敵がトラップに失敗。流しこむだけのゴールをミスしてくれたおかげで九死に一生を得る。
するとその直後の56分、左サイドで得たFKを小川が蹴ると、前田が左足で合わせてゴール。2-1と再びリードを奪う。ゾーンで守る敵の裏に小川のボールが入り、前田が巧みに合わせたゴール。スタジアムは大きく沸いた。
その後しばらくは東京の時間帯に。中盤での積極的なプレスから高い位置でボールを奪い、川崎を自陣に押しこむ時間が続く。チャンスは作るがシュートが枠に収まらず追加点が奪えない。
68分、田邉に代えて橋本を投入。攻撃にアクセントをつける一方で、次第にオープンになり始めているゲームを落ち着かせるとの意図か。74分、バーンズに代えて平山を投入。よく走っているバーンズの体力落ちを懸念、ボールの収まる平山にクローザ―役を期待したものか。ムリキの方が先に準備していたようにも見えたが平山を先に起用することにしたようだ。
ところが直後の76分、エリアに入った敵FWを米本が倒したとしてPKの判定。密集の中でごちゃごちゃしていてよく分からなかったが、米本がガッツリ足を刈ってしまったらしい。77分、このPKを決められ2-2の同点に。痛い失点だった。このところPKが多い。
ここで、前田に代えてムリキを投入(78分)。まだフィットしきれているとは言い難いものの、前節柏戦を見れば何かやってくれる感はあり、勝ち越しを狙いに行く手段としてはこれしかなかっただろう。
ところがその直後、81分、自陣に攻め込まれ、左にいったん振られたボールをファーに飛ばされ、敵FWにボレーで合わされて失点。2-3と逆転を許してしまう。これも徳永がケアしていたのに前に入られてボールをクリアに行けず。
東京はハ・デソンをアンカーに、右・橋本、左・米本のインサイド・ハーフに置いた4-3-3に移行したようだ。前線は前田を1トップに、右・阿部、左・ムリキという布陣になった。
東京はその後も反撃を続けたが、リードを奪って余裕の出た川崎の守備を崩すことができない。86分には米本からのボールにムリキが合わせたが枠外に。逆にアディショナル・タイム、敵MFがドリブルしてコーナーフラグポストに向かったのを時間稼ぎと見てチェイスしなかったところ、方向変換してエリア内に切りこまれ、ここからファーに飛ばされたボールをフリーで決められて2-4とダメ押しされる。
最後は平山のシュートも敵GKにキャッチされ試合終了。二度までリードを奪いながら逆転を許し、終わってみれば2-4の完敗となった。
この試合、シュート数は11-6と東京が川崎を上回っており、大きなチャンスは作らせなかったが、4本の枠内シュートをすべて決められての敗戦になった。その点を見れば決定力の差が試合を決めたようにも思うが、何にしても4点を失っては勝てないのは道理。攻撃面では2得点を挙げており、二度リードを奪っていた訳であり、3点目を奪えなかったことよりも、そのリードを守れなかったことが敗因だ。
個々の局面を見れば、敵の個人の力が高かったことはあるが、それに対する組織としてのリスク・マネジメントができていないために、最後に個としての勝負になってしまい、そこで負ければ即失点という局面を作られたということだろう。
腰が浮いたところの後ろで一発で狙われた1点目、エリア内でバタついてクリアを急ぐあまりファウルを犯した2点目、ボール・サイドに詰めた結果ファーに入りこまれた3点目、4点目と、組織としてどう守るのか、局面ごとにどうリスクを管理するのかという約束ごとがおろそかになったか、そもそも約束ごとがないのではないかと疑わせるザルぶりだ。
特にPKで同点にされてからは完全に川崎に流れを持って行かれた。こういうときにどう整理してリスクを減らして行くのかがチームで意識、共有されておらず、あまりに脆く、ナイーヴな試合になってしまった。
我々は、昨季までの、堅守の上に必要最低限の得点を上乗せして勝ち点を積み上げるという方法論で過去最高の勝ち点を稼いだ。もちろん、それだけでは足りないという考えから監督を代え、選手を補強した訳だが、城福監督は就任の時もその後も、昨季の守備の意識、結果にこだわり勝ちきる意識はベースになるものであり、失ってはいけないと繰り返し語っていたはずだ。
しかし、当然だが、それは簡単なことではない。その、最もベースになるべき意識は、繰り返し強化しなければ維持できないものだ。なぜなら、それはしんどく、面倒くさく、つらいものだからだ。それを「今季もそれをベースにして行く」とひとこと言うだけで自動的に継承されて行くと城福監督やクラブが考えているのであればそれはあまりに安易な考えである。
そのことを理解し、身体を張って、時には汚れ役を負うことも厭わずに表現したのが名古屋戦、江蘇戦での森重であったが、残念ながらその危機感は十分共有されているとは言い難いように見える。
序盤に先制したり、後半立ち上がりに突き放したりできれば、昨季であれば「よし、これで行ける」という実感が持てたが、今季はそれがない。それは守備の意識に信頼感がないからだ。個々のディフェンダーにではなく、チームが、クラブが、昨季のベースを本当に継承し、尊重しているという信頼感がないということだ。
当然だが、アクションして負けるのと、アクションしないで勝つのとでは、アクションしないで勝つ方が絶対にいい。アクションは後回しでも来年回しでもいいから、まずはきちんと勝てるフットボールを見たいし、そのためにやること、確認することの優先順位が違ってしまっているのではないかという違和感を開幕からずっと払拭できない。
7試合を消化して勝ち点9。1試合あたり勝ち点1.29は残留争いレベルであり、実際降格圏との勝ち点差は4、首位との勝ち点差は8の11位。シーズンは既に5分の1以上を消化しており、ここまで逃した勝ち点は12。タイトルを狙うクラブは連敗だけは避けなければならない。次も負けるようだと、本当に悔しいが「タイトル」の旗はもう下ろした方がいいかもしれない。
城福監督はクレバーな指導者であり、甲府での実績もある。ここからの修正を期待する。ACLもあり、与えられた時間はわずか。残留を視野に入れた現実的な戦いに切り替えることも考え始める必要がある。
評点(評点は
ドイツ式
):
秋元(5) うかつな飛び出しで絶体絶命のピンチ。4失点は説明できない。
徳永(5) 前に出られて失点関与。苦しい時にチームを引っ張って欲しい。
森重(5) 危機感がチームの中で空回りしていないか。主将として声を。
丸山(5) お粗末なパスで敵にボールを献上するシーンが散見された。
小川(5) アシストはあったがまだまだ学ぶべきことは多い。
田邉(4.5) 攻守に奮闘し特徴を見せた。先制点は彼のボール奪取から。
米本(5) ボールへのチャレンジはいいがリスク管理はできているか。
ハ・デソン(5) 気の効いたボールのつけ方はできているが絡まれてロストも。
阿部(5) ボールを持った時の仕掛けのセンスは敵をイヤがらせている。
前田(4.5) 前田を生かすボールが入らない。ポストばかりではもったいない。
バーンズ(4.5) 先制点は見事。何気にいつもしっかり仕事をしているぞ。
===
橋本(5) ボールには絡んだが大きな流れは変えられず。
平山(5) 想定通り試合を終わらせることができなかった。
ムリキ(-) 時間短し。試合に出して慣らして行くのは悪くない。
入場者は30,000人弱。勝てないと動員も落ちて来る。4点目が入った瞬間に席を立つ人がゾロゾロ出た。
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FC東京
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J1リーグ戦
2016年04月13日 23:17
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【J3第4節】FC東京U-23×富山
■4月10日(日) 14:00キックオフ
■味の素フィールド西が丘
前節は秋田でのアウェイでテレビ中継もなかったので完全スルーしたが、今節は西が丘でのホーム・ゲームということで、12時過ぎに所用を済ませた後、コンビニでサンドイッチを買って出かけた。
この日は19:00からトップのJ1公式戦があるためメンバーは完全に二手に分かれる形に。この試合にはオーバー・エイジとして榎本、駒野、梶山、林が参加。U-18も前日に試合があったようで、CBの岡崎以外はオーバー・エイジを合わせたトップ所属のメンバーに。
榎本
柳 野澤 岡崎 駒野
平岡 梶山 幸野 ユ・インス
林 中島
試合はいきなり動く。4分、敵FWにスルー・パスが通り裏を取られる。野澤と岡崎が対応するが二人がかぶる形になってしまい敵を止められず、そのままシュートされて開始早々に失点、0-1とリードを許す。
しかし、その後は梶山、幸野から配球ができるようになり、東京がボールを持って攻撃を仕掛ける展開になる。中島も下がっていったんボールを捌いてから上がるなど、収まりどころが複数作れることで安定感のある攻撃を仕掛けることができている。
また、幸野から右サイドの裏に長いパスを通し、これを受けた平岡が仕掛ける形でも何度かチャンスを作る。左サイドでも駒野の手堅いキープやユ・インスとのコンビネーションで裏を狙うなど、攻撃にも多彩さが生まれ、これまで見たU-23の試合の中では最も意図をはっきり感じられる試合になった。
この時間帯に同点に追いついておきたいところだったが、フィニッシュの精度を欠き得点に至らず。0-1のまま前半を終えた。
後半に入っても東京がボールを支配しながら積極的に仕掛けるが得点に至らず。61分、ユ・インスに代えて特別指定の山田を投入。山田がCBに入り野澤がボランチ、幸野がSHにスライドする。
しっかり反撃を仕掛けたいところだったが、77分、30メートルほどのFKを直接決められ0-2に。榎本からは壁で蹴るポイントが見えなかったと思うが一歩も動けず。
東京は82分、平岡に代えて佐々木を、幸野に代えて松岡を投入、挽回を狙うが、直後の83分、左寄りのFKをファーに飛ばされたところにフリーでヘディング・シュートを放たれ失点0-3となってほぼ試合が決まる。
何とか1点を返そうとしたが最後までゴールが遠く、0-3で試合終了。東京は開幕から4連敗となった。
これまでの中では最もしっかりとしたコンビネーションから攻撃を仕掛けてチャンスも作れており、可能性を感じさせた試合だったが、立ち上がりの失点を最後まで取り返せず、押した時間帯にゴールできなかったことから終盤に追加点を奪われて完敗。内容を結果につなげる力強さに欠けた。
この試合がそこそこ見られる内容になったのは、やはり梶山、駒野といった経験のある選手が試合を作ったことが大きい。それによって中島が活性化、平岡、ユ・インスらも生きたし、幸野も自信を持ってプレーできたと思う。このチームにとってオーバー・エイジの選手の存在は大きいと思った。
しかし、このカテゴリーの試合に何を求めるか、何を表現しようとしているかという点ではまだまだ整理ができていないような印象を受けた。
開始早々に裏を取られCB同士の連係が乱れたシーンや、セット・プレーから2失点したシーンを見れば、メンバーが固定できず、チームとして互いの動きを確認する場の少ない急造チームゆえの敗戦のようにも見えるが、それではメンバーを固めてしっかりと連係の構築されたチームとしてのまとまりを優先するべきかといえばそうではない。
我々は別にJ3に最適化してJ3で強いチームを作りたい訳ではない。トップに明確な戦略と戦術があって、それが控えにもユースにもきちんと共有され落としこまれていれば、連係は自然に取れるはず。ユースから誰を上げても、トップから誰を出しても、レベルの差はあるにしても同じことが同じ意識でできなければならない。
トップの戦略・戦術の落としこみによって自然にリザーブも強化され、選手の入れ替えに関わらず同じ狙いのフットボールができるようになるはずだし、そうしなければならない訳だ。
だから、急造だの連係不足だのは言い訳にならないししてはいけないんだと思う。そんなことは当然分かった上で参入している訳であり、トップとシンクロして成長するセカンドでJ3を圧倒できなければ意味がないということだと思う。
逆に言えばU-23の弱点はトップの弱点であり、U-23で結果が出せない選手はトップでも力を出せないということ。我々がJ3を戦うことの意味はそこにしかない。そこをもう一度しっかり確かめる必要があるのではないかと感じた。
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FC東京
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J3/FC東京U-23
2016年04月12日 22:08
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【ブンデスリーガ第29節】インゴルシュタット×グラードバッハ
■2016年4月9日(土) 15:30キックオフ
■Audi-Sportpark (Ingolstadt)
日本時間夜10時半キックオフ。スカパーで中継がないのでGOAL TVが頼り。最初はカクカクしてて一度接続を切るとなかなかつながらなかったりしたが、結局ブラウザを立ち上げ直して何とか最後まで見ることができた。
グラードバッハとしては背中を追う3位のヘルタが引き分けたこともあり、アウェイではあるが何としても勝ち点3を積み上げたい試合。今季、特にシーズン後半に入ってアウェイで全然勝てていないが、この局面ではそんなことは言っていられない。負ければ前節ヘルタに勝ったことが台なしになってしまう難しい試合だ。
ラファエルは引き続きベンチ入りせず前節と同じメンバーに。いい流れをしっかり継続したいところだ。
ゾマー
エルヴェディ クリステンセン ノードファイト
ジョンソン ダフード シャカ ヴェント
シュティンドル
アザール ハーン
試合は序盤からインゴルシュタットのペース。ハイプレスで押しこまれ、ボールをつなげない。単発のカウンター・チャンスも決められず、苦しい時間帯が続く。一方でグラードバッハの守備は集中できており、インゴルシュタットも決定機は作れない。インゴルシュタット優勢で試合が進む。
インゴルシュタットはちょっとしたファウルでも大げさに倒れるなど神経戦を仕掛けて来て、案の定シャカが競り合いで腕を振ったとして警告を受ける。つまらないケンカじゃなかったのが救いか。思うように攻撃が組み立てられないことも相まってストレスのたまる試合に。スコアレスで前半を終了。
グラードバッハは後半からシャカに代えてヤンチュケを投入、ヤンチュケをCBに、ヴェントを左SBにして4-4-2の布陣となる。ノードファイトがボランチに上がりダフードとコンビを組む。このままではシャカが2度めの警告を受けて退場になりかねないとの判断か。何となく察しのできる交代…。
しかし、後半もインゴルシュタット優勢の展開は変わらず。単発のチャンスはあるものの決めきれず、敵のペースで試合が進む。68分、ダフードに代えてヒンターエッガーを投入。ヤンチュケがボランチに上がったか、ちょっとよく分からず。
グラードバッハは守勢に回りながらもインゴルシュタットの攻撃は固い守備で退け、何とか失点は免れている。78分、ジョンソンに代えてヘアマンを投入。3枚めのカードを切って決勝点を狙いに行く。
しかし、スコアレス・ドローも覚悟し始めた87分、左サイドから入れられたクロスに中央で合わせられ失点。0-1と最悪の時間帯にリードを奪われる。最後までゴールを狙ったが決めることができず、結局そのまま試合終了となった。
大げさな演技の多いムカつく試合だったが、それとは関係なく内容で負けていたのは事実。内容からは妥当な敗戦という他ない。前節元気のよかったアザールも何もさせてもらえず、前線ではハーンが唯一形を作れていた。
シャカ、ダフードのボランチで2枚の交代カードを使ってしまったのも大きく、ヘアマンだけでなくトラオレやホフマンも見たかった。ラファエルがいないから負けたとは言いたくないが、彼を欠いてアイデアがなかったのは事実。少ないチャンスをしっかり決めることができなかったし、守りきることもできなかった。
ポゼッションは47-53と大差なかったが、シュート数は7-15と攻めきれなかったことが数字にも表れている。終盤の失点でもったいない敗戦にも見えるが、実態は完敗だったというべきだ。
痛すぎる敗戦で勝ち点は45のまま足踏み。ヘルタが引き分けてくれたおかげで勝ち点差は1つ広がっで4になっただけで済んだが、順位は5位に下がり、7位までが同じ勝ち点で並ぶ混戦に巻きこまれた。残り5試合を全勝するつもりでできる限りのことをやるしかなく、もはやホームもアウェイもない。
この後の試合は、ハノーファー(A)、ホフェンハイム(H)、バイエルン(A)、レバークーゼン(H)、ダルムシュタット(A)と続く。クセのある相手ばかりでまったく気が抜けない。最悪でも4位は確保しなければならず、厳しい最終局面になってきたが、ラファエルが練習に合流との報もあり。次節はスカパーで中継あり。見るしかないぞ。
アンドレ・シュバート監督談話:
「勝ち点を得ることができなかったことにはもちろん落胆しているが、しかし、後半を見えればインゴルシュタットの勝利は妥当だったと思う。後半は明らかなゴールのチャンスがインゴルシュタットの側にあった。相手が非常に高い位置からプレスを仕掛けて来ること、最初のプレスのゾーンを素早くくぐり抜けて来るために深く守るしかなくなることは分かっていた。深い位置でもしっかり動くことが必要だったが、今日の我々はそれができなかった。もしアンドレ・ハーンが8分に最初のゴールを決めていれば、何もかもがおそらく違った見え方をしていただろう。我々はゲームの組み立てをあまりにも難しくし過ぎて、近いところで、横向きにプレーをし過ぎたし、そのために敵に主導権を渡してしまうことになった。全体として一対一の競り合いも、やろうと思っていたほどうまくはやれなかった」
長いコメントで文章も難しかった。
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Borussia M'Gladbach
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ブンデスリーガ
2016年04月11日 01:03
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【Jリーグ第6節】柏×FC東京
■2016年4月10日(日) 19:00キックオフ
■日立柏サッカー場
この週末はACLとナビスコカップの試合が水曜日にあった関係でJ1が日曜日開催となっていて、それはそれで仕方ないが、柏でのアウェイ戦が夜7時キックオフとか勘弁して欲しい。まあ、その時間だったから2時からのU23とはしごできたというのはあるが。
西が丘から電車を乗り継いで5時頃柏へ。駅前のそごうの中にあるあき山というとんかつ屋でヒレカツ弁当を買った。売り子の女性がすごく可愛くて愛想もよく、これは勝ったと思った。
日立台では今季からホーム・エリアではアウェイ・グッズはもちろんのこと、アウェイ・クラブのチームカラーの服装もダメということでステルス観戦もままならず、やむなく5,100円払ってSS席を取った。
ところがこの席が切り立ったスタンドの端で、腕が接する柵の下は数メートル下の地面。高いところの苦手な僕としては非常にあかん席であったがどうしようもなく、試合の間中ケツがムズムズしていた。ヒレカツ弁当は旨かった。次から日立台での試合ではここで弁当を買うと決めた。
東京としてはホームで名古屋に辛勝して何とか上位に食いついた後の重要な試合。アウェイではあるが勝ち点3を持って帰りたいところ。ACLも並行して戦っておりコンディションの作り方が難しい上に、闘将・森重を出場停止で欠いており、真価が問われるゲームになる。CBには吉本が先発。新たに加入したムリキがベンチ入りした。
秋元
徳永 吉本 丸山 小川
河野 ハ・デソン 米本 東
前田 阿部
試合は序盤から互いに高いインテンションでボールにチャレンジ、激しく主導権を争う展開となる。開始早々の1分、右サイドの河野からのボールを前田が落とし東がシュートを放ったが枠外に。これが東京のファースト・シュートで、攻撃の意志を明確にする。
その後もハイペース、ハイテンションの戦いが続く。14分、小川のクロスに前田が合わせるが敵GKがセーブ。27分にも小川のクロスに河野がシュートを放つが敵GKのファイン・セーブに遭いゴールならず。意図のある攻撃からしっかり枠を捉えたシュートを放っているが敵GKが当たっており得点に至らず。
一方、柏は外国人FWの個人の突破が脅威になるものの連係からの押し上げは見られず、カウンターをケアすれば大きなピンチにはならず。徳永、丸山がクレバーかつ強い守備で対応できており、吉本の最後のところでの身体を張った守備も効いて決定機は作らせない。結局スコアレスで前半を終える。
東京は後半から河野に代えて橋本を投入。河野はケガらしい。橋本はそのまま右SHに。しかし、この交代で前線にボールの収めどころが減ってしまい柏にボールを持たれる時間が長くなる。
集中した守備から最後のところはしっかりとカギをかけ、柏の攻撃もシュートはエリア外からが中心でしかも枠に来ず、何とか守っているが受け身にまわる時間帯が続くことになる。
63分、東に代えて羽生を投入。東は相当疲れが見えていた上に、足が止まってオープンになる終盤に向けてスペースをケアできる羽生の投入は妥当か。最悪スコアレス・ドローも視野に入れながら、しっかりゲームをクローズしろとのメッセージに見えた。
その後も試合は一進一退の駆け引きが続くが、前半は果敢なボールへのチャレンジからチャンスが作れていたのに対し、後半は敵にボールを持たれる時間が長くなる。我慢の時間帯。71分、早くも最後のカードを切る。ハ・デソンに代えてムリキを投入。
守備をしっかりマネージしながら、ワンチャンスを決めきるムリキをテストを兼ねて起用するのは納得感のある采配。平山でもよかったが、ここはせっかくベンチに入れたムリキにまず託すというのも理解できる。
しかし、81分、敵FWがエリア内に侵入したところを橋本が止めようとしてスライディングで倒してしまう。これがファウルとなりPKを与える。橋本はACL・江蘇戦に続いて2試合連続のPK献上。82分、これを決められ厳しい時間帯に0-1と先制を許してしまう。
終盤は左サイドを中心に反撃を仕掛け、ムリキにも何度かボールが渡ったが決めきれず。最後は疲れも出て足も止まり始め、結局0-1で痛い敗戦を喫した。
前半にはいい連係から敵ゴールに迫るシーンもいくつか作ったが、敵GKが当たっていることもあって先制できなかった。押しこんだ時間帯に決めきれないと、その後ワン・チャンスでやられるのはフットボールにあっては日常的な光景。残念ながらそのパターンにはまった試合だった。
攻撃は所詮水ものであり、いくらいい形を作っていい攻撃を仕掛けても決まらないことはいくらでもある。得点できない時に後ろでどう我慢し、どうやって隙間のない守備をして最低限の結果を持ち帰れるかというのが「強さ」だと思うが、その部分が徹底できず不用意なファウルからPKを献上したのが今日の試合のすべてだった。
橋本は面白いタイミングでいいところにいることもあり、攻撃で重要なアクセントになってはいるが、ポジションを空にして攻め上がったり中に入ったりで、いるべき場所に人がおらず逸機したり反撃を受けることもしばしば。面白みのあるプレーはハマると痛快だがリスク要因になっている。基本的な約束事をもう一度しっかり確認して欲しい。過大評価されているように感じる。
2試合続けてのPK献上も偶然ではないと思う。慢心があるとは思わないが、ここで一度、自分のプレーを見つめ直す必要がある。今日の試合はPKがすべて。敵FWがハードな守備を受けてイライラし、突っかけてくることは予想できた。巧みに誘われて引っかけたのはうかつであり、ヘコむ必要はないが真摯に反省しなければならない。
繰り返しになるが、得点できないなら失点をゼロに抑えて最低でも勝ち点1を持ち帰らなければならなかった試合だがそれができなかった。それ以上でもそれ以下でもない試合で、攻撃云々の問題ではない。
足りないのは攻撃に関わる何かであるよりも、こうした思うに任せない厳しい試合で、それでも最低限の結果を確保する冷静な危機感と現実的な判断であり戦術。攻撃の話はその次に来るべきもので、まだそこまで行っていないというか順番が違う。采配とか連係とかいう以前に、クリティカルな時間帯にPKを与えたことがすべて。だからこそ橋本にはその重要性をしっかり認識して欲しいと思う。
これで東京は6試合を終えて3勝3敗の勝ち点9(1試合あたり1.50)で9位に後退。勝てば4位を確保できていただけに極めて痛い敗戦になった。首位との勝ち点差は5。まだまだ何も決まってはいないが、大きなビハインドを背負ってしまったことは間違いない。
支払った高い授業料に見合う何かを、この敗戦から学ばなければならないが、それはおそらく、結果というものに対するひとりひとりの選手の責任ということだと思う。コラムにも書いた通り、森重ひとりがそれを背負っているようではタイトルは絶対に覚束ない。この授業料は本当に高くついた。
評点(評点は
ドイツ式
):
秋元(3.5) ゴール前での混戦でもしっかりボールを確保。PKはノー・チャンスか。
徳永(3) 久しぶりに徳永無双、すべての攻撃を止めた。攻撃参加もよかった。
吉本(3.5) 魂の守備は健在。苦労人はこういう試合で輝くということか。
丸山(3) 森重を欠く試合で堂々たる統率ぶり。いい選手に育ってくれた。
小川(3.5) 守備も攻撃も自信を感じさせる出来。最後のFKがもったいなかった。
河野(3.5) 前半効いていただけに負傷交代は残念。彼の試合になったはずだった。
ハ・デソン(4) 縦へのクリティカルなパスは早くもバレたか。ボール足につかず。
米本(3.5) ゲーム・キャプテンを務めた。攻撃でもいいパスを出せた。
東(3.5) チャンスに絡んだが決定機は作れず。最後はバテてしまったか。
前田(4) 献身的にポストしたがチェックも厳しかった。そろそろゴールが欲しい。
阿部(3.5) ターンから突っかけることで敵の脅威に。可能性を感じる。
===
橋本(4.5) 試合を決めるPKを献上。責めるのは酷だがしっかり学んで欲しい。
羽生(4) 落ち着かせるために入ったが機能せず、受け身に回ってしまった。
ムリキ(3.5) 短い時間でもしっかり印象を残した。フィットすると面白い。
ムリキのフィットが待ち遠しい。ワンチャン決められれば試合はずっと楽になる。
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FC東京
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J1リーグ戦
2016年04月07日 22:36
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【緊急コラム】森重の4つのゴールと2枚のカード
4月2日のJリーグ・名古屋戦で森重は2得点を挙げながら、終盤に著しく不正なプレーで退場処分となり、次節柏戦は出場停止となった。
また、6日のACL・江蘇戦でも2得点を挙げたが、60分に警告を受けて累積2回となり、次の全北戦はやはり出場停止となる。
2試合続けての森重ショーである。
まず名古屋戦。1得点めはPKだったが、これを獲得したのも森重である。CKの際のエリア内の「場所取り」で敵DFに倒されたとして得たファウルだったが、実際には森重が手をかけてきた敵DFの腕を抱えるように巻きこみ、そのままDFを引きずって走って自ら倒れたようにも見えた。
敵DFは「あれはPKじゃない」と激怒、森重は「駆け引きはいろいろある」と黙して語らなかったが、森重がPKを取りに行ったと見る人はいるだろう。0-1と先制を許した前半43分、何としてもハーフタイムまでに追いついておきたい流れの中での出来事であった。
このPKを森重は自らゴール中央に決めて試合を振り出しに戻している。前半のうちに同点にできたのが極めて大きかったのはもちろんだ。
2得点めは平山のゴールでいったん逆転しながら追いつかれ2-2となった終盤81分、小川のCKに頭で合わせたもの。技術が光る得点だったが、これもホームで何としても勝ちたい状況での貴重な勝ち越し点であり、これが決勝点となった。どうしても得点の必要な状況でひねり出した2ゴール。
しかし、試合はそれでは終わらなかった。85分、ハーフウェイで敵のパスをカットするが、ボールは眼前の敵MFの足許に。カウンターの起点になり得る危険な状況で、森重は躊躇なくタックルしに行くがボールをヒットできず、足裏を見せて敵のスネに行く形となって退場の判定となる。妥当な判定だと思う。
敵MFはこの後プレーを続行できたが、森重自身もこのプレーで傷み、ピッチにメディカル、担架が入ってプレーが止まる。森重は何とか立ち上がり、担架を断ってびっこを引きながらゆっくりとピッチを後にした。この時間に高橋が交代の準備を整え、その後すぐに平山と交代でCBのカバーに入ることができた。森重はピッチを出た後は普通に歩いていたという。
江蘇戦ではまず30分、CKからのこぼれ球をエリア外から地を這うようなシュートでゴール左隅に決める。貴重な先制点である。すぐに追いつかれたものの、森重のシュート技術が光るゴールだった。それはその直前にシュートを試みて敵DFに当てた米本のシュートと比べても歴然としている。
だが、60分、敵のブラジル人MFのドリブルでのカウンターを明らかに手を使って止め、警告を受ける。突破されると厄介なシーン。前線に配した3人のブラジル人はワン・チャンスで決めきる強烈な攻撃力を持っており、どうしてもここで止める必要があった。この警告で森重はシリーズ2枚めとなり、次節全北戦が出場停止となってしまった。
そして1-1の同点で迎えた83分、米本が右CKをグラウンダーでエリア外に戻すと、森重がダイレクトでこれをヒット。これが今度はゴール右隅に決まり2-1と勝ち越し。これが決勝点となって東京が江蘇にアウェイで大きな勝ち点3を挙げた。リスクの少ないセット・プレーは大きなチャンスであり、ここでしっかりと決勝点を挙げることができたのは大きな価値があった。
要は、ここ2試合とも森重の勝利への執念で勝たせてもらったということだ。森重のプレーはいずれも試合のキーとなる重要なもの。ここで得点が欲しいというところでは何としても決める、ここがヤバいというところではムリをしてでも止める。ファウルやダイヴは容認できないが、森重の強固な勝利への渇望が得点を生み、失点を防いだことは間違いない。
そこには森重の強い危機感があったように思う。内容はどうであれ結果を出すこと、勝ちきることの必要性と重要性を我々はフィッカデンティ監督から学んだはずだったが、開幕戦で不用意な失点から敗戦したことは記憶に新しい。シーズンが変わり、監督が変わっても、我々には変わらないベースがあるはずだということを、森重は誰よりも強く感じていたに違いない。
想像に過ぎないが、森重がそこまでの危機感を抱いたのはおそらく鹿島戦の敗戦ではないか。何年間もずっと分の悪い相手に対して、対策し、気合も入れて臨んだはずの試合で不甲斐ない敗戦。我々も悔しかったが、誰よりも悔しく、眠れない思いをしたのは主将である森重だったのかもしれない。このままでは詰めの甘い以前の東京に逆戻りしてしまうという強い危機感が森重の内に生まれたとしても不思議ではない。
そして、森重のプレーが荒くなっているように見えるとすれば、それは森重のその危機感が周囲とレベル的にすり合っていないからではないか。森重の危機感がチーム内で突出し、孤軍奮闘の状態になってしまっているからではないか。
森重の危機感を空回りさせてはいけない。なぜならこの危機感は正当なものだからだ。この危機感はチームとして共有し、連係の中で消化して行くべきものだからだ。これはまさにチーム全体の問題であり、これをチーム戦術に落としこむのは監督の仕事だと思う。
皮肉なことに、その危機感ゆえに森重が不在となる次節・柏戦で、残されたチームはその代価に見合う何を示せるのか。シーズン最初の試練であり、チームの真価が問われる試合になる。
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FC東京
2016年04月07日 00:24
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【ACL第4節】江蘇×FC東京
■2016年4月6日(水) 20:00キックオフ
■南京オリンピックスタジアム
中断期間を経てACLグループ・ステージの後半戦がスタート。前半を3位で折り返した東京はアウェイで中国・南京をホームとする江蘇蘇寧と戦う。日本時間夜9時のキックオフということで、仕事から帰り、風呂に入って晩ごはんを食べて、余裕をもってテレビの前に陣取った。
江蘇はホームではスコアレス・ドローだったが、その時は出場停止だったブラジル人MFが先発に復帰、3人の強力なブラジル人を擁し破壊力はハンパない。一方でそれ以外の中国人のクオリティはさほどでもなかった印象で、その間を分断できれば勝てない相手ではない。
東京は週末の名古屋戦からターン・オーバーを実施。水沼、バーンズが先発、橋本を左SHに置いた4-4-2の布陣となった。東はベンチ入りせず。
秋元
徳永 森重 丸山 小川
水沼 ハ・デソン 米本 橋本
前田 バーンズ
試合は東京がボールを保持、江蘇は奪ったボールを素早く前線に展開してブラジル人トリオに預ける戦術で、おもに江蘇陣内でゲームが進む。東京は細かくボールをつなぎ、バーンズの仕掛けや前田の落としからチャンスを窺うが、決定的なチャンスはなかなか作れない。17分に左サイドの小川からのボールに森重がシュートを放つが枠外。
敵はブラジル人がボールを持つとさすがにワンプレーでやられる怖さがあり、対応に神経を使うが、その手前でつぶせていれば大きな問題はない。前がかりになり過ぎて、攻め残ったブラジル人にボールを持たれるのだけが怖い。
互いにチャンスを作れず試合が進んだが、30分、小川の左CKは中央で敵にブロックされるが、こぼれ球に後ろから走りこんだ米本がシュート。これは敵DFにブロックされたが、もう一度こぼれたボールを森重が低い弾道のシュートで蹴りこみゴール。1-0と東京が先制する。森重のシュート力の高さが光った。
しかし、リードも束の間。32分、自陣エリア内でボールを持った橋本がキープしようとしたところに、敵FWがアプローチ、橋本がボールをコントロールして敵FWが勝手に転んだようにも見えたが、これが橋本のファウルと判定されPKに。33分、これを冷静に決められてあっという間に1-1の同点となる。
微妙なシーンだったが、リプレイを見る限り、橋本が足許に置いたボールを敵FWが突ついて蹴り出した後で橋本の足がかかったようにも見え、意図的かどうかはともかくファウルを取られても仕方のないプレーだと思った。少なくともエリア内でキープするべき場面でなかったのは確か。
その後は敵のブラジル人FWが秋元と一対一になるシーンなどもあったが、秋元のビッグ・セーブで何とかしのぐ。一方で東京も44分、細かいパスワークから米本がミドルを放ったが枠外。1-1のまま前半を終えた。
先に行われたビン・ズオン×全北でビン・ズオンが勝ったため、この試合は引き分けても次につながることとなり、戦い方は難しくなる。敵はワン・チャンスで決めきる力のある選手が揃っており、リスク管理、失点しないことを優先した戦いをしたい。
後半に入ると江蘇が中盤をコンパクトにして東京にスペースを与えてくれなくなる。セカンド・ボールが拾えなくなり、ブラジル人にボールを持たれるシーンも多くなって苦しい時間帯に。集中した守備で何とかしのぐが、徳永がエリア間際で敵FWを倒して一瞬PKかとドキッとしたシーン(エリア外でFK)、森重が敵MFの突破を止めようとして警告を受けるシーンなど、カツカツの対応が続く。森重はこの警告で次節全北戦は出場停止に。
64分、ハ・デソンに代えて阿部を投入。橋本をボランチにスライドし、阿部が左SHに。その後も敵FWに裏を取られたところに米本が何とかスライディングでCKに逃れるシーン、敵のクロスにゴール前で混戦になるシーン(オフサイド)など厳しい時間帯が続く。
73分、バーンズに代えて河野を投入、前線にアクセントをつけたいということか。さらに78分、前田に代えて平山を投入して終盤勝負に出る。
83分、右CKを米本が蹴る。サイン・プレーで米本がエリア外にグラウンダーで戻しのパスを送ると、森重がこれをダイレクトで蹴りこみゴール。土壇場で東京が2-1と再び勝ち越す。またしても森重のシュート技術に感嘆するシュート。
その後は敵FWにエリア内で米本がプレス、敵が倒れてヒヤッとするシーンもあったもののノー・ファウル。4分のアディショナル・タイムも何とかしのぎきり、2-1で大きな勝ち点3を手にした。
敵はブラジル人にさえボールを渡さなければ怖さはほとんどなかったが、逆に大雑把なボールでもいったん収められると対応に難儀した。そのため後ろのケアに気を抜けず、厳しい戦いを強いられたが、しっかりリスク管理して失点をPKの1点に抑えながら、セット・プレーで2点を挙げ勝ちきったことは高く評価すべきだろう。
東京は公式戦2連勝。内容が伴っている訳ではないが、しっかり結果が出ており、これを原動力に修正を図って行くことは十分できる。PKを取られた橋本のキープが余計だったということは言えるが、彼だけを責めるのは酷。リスク管理の質を上げることで攻撃もついてくるはずだ。
これで東京は勝ち点を7に伸ばしグループEの首位に。星勘定はグッと楽になった。次節、ホームでの全北戦は最悪引き分けでも計算はできるが、勝てば勝ち抜けが確定する。手ごわい相手だがホームで決めきりたいところ。
次の試合は週末のアウェイ柏戦。日程は厳しいがケガ人も戻り層は厚くなっている。うまくターン・オーバーしながら戦いたい。森重が出場停止となる分をどう埋めるかに注目したいところだ。
評点(評点は
ドイツ式
):
秋元(2.5) ピンチを救うビッグ・セーブも。勝利に大きく貢献した。
徳永(4) 対面のブラジル人にはさすがに手を焼いた。守備専心はやむなし。
森重(2) リーグ戦に続いて森重DAY。DFにしておくのはもったいないシュート力。
丸山(3.5) 敵の強力なFWに十分な仕事をさせず、しっかり渡り合った。
小川(3.5) 今日はのびのびプレーできていたように見えた。キックもよかった。
水沼(4) 守備に追われよさは出しにくかったが貢献は大きかった。
米本(4) ミドルは打てばいいというものではない。森重から学んで欲しい。
ハ・デソン(4) 前半はまずまずの働き。まだフル出場は厳しいコンディションか。
橋本(4) 攻撃では面白さを見せたが失点関与はいただけない。反省の必要。
前田(4) 献身的にポストしたが決定的なチャンスは作れず。休ませてもいい。
バーンズ(3.5) 前を向いて仕掛けることで敵の脅威となった。ゴール欲しかった。
===
阿部(3.5) ドリブルで裏に抜ける仕掛けなど特徴を見せて試合を動かした。
河野(4) キープ力が生きた。神経質な試合で面白みは出しきれなかった。
平山(-) 時間短し。得点シーンではつぶれ役になった。
ここ2試合は森重の執念で勝ったようなもの。このリズムを軌道に乗せるのはチーム全体の仕事だ。
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FC東京
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ACL
2016年04月05日 22:57
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【ブンデスリーガ第28節】グラードバッハ×ヘルタ
■2016年4月3日(日) 15:30キックオフ
■Borussia-Park
日曜日の夜だがサマータイムが始まったので時差は7時間に縮まり、日本時間夜10時半キックオフ。これだと翌日の仕事への差し障りも最小限。サマータイムは素晴らしい。日本もやればいいのに。いや、日本もやると時差が縮まらない。
CLをかけた3位ヘルタとの直接対決。負ければ勝ち点差が9に広がり残り6試合での逆転は難しくなる。逆に勝てば勝ち点差は3になり、十分3位を狙えるだけでなく、混戦の中で頭一つ前に出ることにもなる。引き分けなら勝ち点差6は変わらずでヘルタにアドバンテージ。ホームでもあり勝ち点3が必須の試合だ。
しかしラファエルが肉離れで戦線を離脱、ヴェントが戻ってきたとはいえ攻撃の核を欠き不安は大きい。残ったメンバーでこの大一番をどう戦うか。今季ここまでで最も重要な試合と言っていい。前線にはハーンがケガからの復帰後初めての先発。ヤンチュケがベンチ入りした。
ゾマー
エルヴェディ クリステンセン ノードファイト
ジョンソン ダフード シャカ ヴェント
シュティンドル
ハーン アザール
試合は序盤からグラードバッハのペース。ボールを支配し敵陣を中心に攻撃を仕掛けるが、ヘルタの守備も固く、攻撃にアクセントをつけることのできるラファエルがいないためフィニッシュのアイデアも出ない。ブロックの周囲で虚しくボールを回す時間も長く、互いに慎重で神経質な時間が続く。ラファエルの不在を強く印象づける立ち上がりとなった。
しかし、試合は意外なところで動いた。14分、敵GKが自陣内の味方に出そうとしたパスがダフードの足許へ。ダフードが動き出したアザールにスルー・パスを送ると、アザールのシュートは対応に出たGKの股を抜いてゴール。敵のミスを見逃さない集中した手際でグラードバッハが1-0と大きな先制点を得る。
その後もグラードバッハが優勢に試合を進めるものの、先制したこと、前線でのアクセントに欠けることもあり慎重な試合運びに終始。大きなチャンスもないまま時計を進める。ヘルタの攻撃は散発で怖さはなく、グラードバッハの守備に危なげはないが、1点はワン・チャンス。引き続き神経質な試合。
結局前半は互いに失点を嫌ってにらみあったまま1-0と最少得点差でハーフタイムに。
後半に入っても状況は変わらず。リードを守りたいグラードバッハはリスクを嫌い、一方でヘルタも打開策がないまま膠着状態になる。
次に試合が動いたのは60分、カウンターで左サイドを攻め上がったヴェントから中央のジョンソンを経由してファーのハーンにボールが渡る。一度はボールが流れこれを追ってハーンはゴールに背を向けたが、そこで強引にターン、放ったシュートがネットに突き刺さりゴール。グラードバッハが貴重な追加点を挙げ2-0とリードを広げる。
66分、ハーンに代えてヘアマンを投入すると、76分、左サイドから仕掛けたアザールのシュートが敵GKにセーブされたところにヘアマンが詰めてゴール。3-0とさらにリードを広げ、実質的にはほぼここで勝負が決まったと思う。
さらに80分、アザールが自ら持ちこんで決め4-0に。81分、ダフードを下げてヤンチュケを投入。83分にアザールに代えてトラオレを投入すると、85分、そのトラオレが右サイドに流れたボールを拾い角度のないところから決めて5-0。ヘルタにチャンスを与えず試合をクローズし、予想外の大差で完勝した。
ラファエルがいないため攻撃力の劣化が予想され、失点を嫌がって難しい展開になったが、敵GKのミスを見逃さない集中したプレーで先制したところから徐々にリズムに乗り、終わってみれば大勝になった。
ヘルタが思っていたほど出てこず、中盤でボールを押さえることができたのが大きかった。復帰のハーン、途中出場のヘアマン、トラオレが結果を出したのも嬉しいが、この日の主役は何と言ってもアザール。自身2得点の他にアシスト1、惜しいシュートもあった。仕掛けはいいがフィニッシュに課題を残していただけに、この活躍は自信になるだろう。
そのアザールを中心に連動した攻撃はラファエルがいなくてもこれだけのことができるというチームの成熟を感じさせた。敵の戦意が落ちた4点目、5点目は参考記録だが、それでも最後まで攻撃の手を緩めず、しっかりした連係から追加点を取りに行った姿勢は評価したい。
数字を見てもシュート数17-7と圧倒。ポゼッションは52-48とイーブンだが、フィニッシュまで持ちこませなかったことが分かる。
これでグラードバッハは勝ち点を45に伸ばし4位に浮上、3位ヘルタとの勝ち点差を3位にして再び追撃態勢に入った。とはいえ7位までは勝ち点差1の混戦。熾烈なCL出場権争いが続く。
最近アウェイで勝てておらず、残り6試合のうち4試合がアウェイという厳しい日程になるが、ここまで来たらそんなことは言ってられない。次のインゴルシュタット、ハノーファーとアウェイ2連戦をどう乗りきるかで今季の落ち着きどころが決まるだろう。大事な試合が続く。
アウェイでのバイエルン戦を含む6試合で勝ち点をできる限り60に近づけるのが現実的な目標。それには最低でも4勝が必須となる。ラファエルは次節は戻れそうとの報もあり、ここから最終節までは一気に駆け抜けたい。
アンドレ・シュバート監督談話:
「我々は非常にいい試合をした。試合を最初からグリップし、ボールをうまく動かすことができた。守備でも90分間実際には何もやらせなかったし、それに加えて非常にたくさんのゴールのチャンスを作り、それをしっかりと生かすことできた。この結果にはとても満足していいと思う。この勝利の結果、我々はリーグのラスト・スパートに向けて非常にいい位置につけることができた」
大勝のあとは往々にして足が滑るもの。次節、アウェイでもしっかり勝ち点3を確保しなければならない。
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Borussia M'Gladbach
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ブンデスリーガ
2016年04月02日 22:28
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【Jリーグ第5節】FC東京×名古屋
■2016年4月2日(土) 16:00キックオフ
■味の素スタジアム
代表戦による2週間のインターバルを経てホームでの名古屋戦。肌寒い曇り空となったが今季はここまでホームでは厳寒のナイト・ゲームばかりだったのでこれくらいはどうってことない。バックスタンド上層のいつものあたりに陣取った。
忘れたかもしれないが前節は鹿島に0-2と完敗、金曜日開催の試合では浦和が勝ち点を12に伸ばして首位になっており、ホームで勝ち点3が必須の試合。他のクラブがナビスコカップを戦っていた2週間をどう過ごしたかが問われる。
この間に負傷離脱していた選手が復帰しつつあり、この試合ではハ・デソンが先発。平山が前節に続いてベンチに入った。一方で、U23代表で活躍する中島はベンチ入りせず。また、試合前には昨日加入が発表されたばかりのムリキの紹介があったがベンチには入らず。GKは圍先発の予想もあったが秋元が順当に先発した。
秋元
徳永 森重 丸山 小川
河野 ハ・デソン 米本 阿部
前田 東
立ち上がりは互いに中盤で主導権を争い、奪ったボールは素早く前線に展開アグレッシヴな流れになる。東京はハ・デソンを中心に、前線に何度も「おおっ」っと膝を打つような縦のボールが入り、左サイドの阿部が仕掛けてチャンスを作るが攻めきれず。
すると17分、敵CKからのこぼれ球にシュートを打たれ、これが敵の選手に当たってゴールに入る不運な失点。早い時間帯に先制点を奪われて0-1とされ、、またしてもゲーム・プランが変更を余儀なくされることとなった。
その後も東京は前を向いて攻め続けるが、パスミス、連係ミスが多くなかなか決定的な形を作れない。ボールを支配できる時間もあるが、ポゼッションがチャンスにつながって行かない。33分、阿部が右サイドをえぐって戻しのラスト・パスをエリア内に流しこむが中央の前田らには合わずそのままファーに流れる。
41分、CKを得て中央でポジションを激しく争う中で森重が的DFに倒されPKを獲得する。43分このPKを森重自身が蹴り、中央に蹴りこむスリリングなキックで成功、前半の内に1-1と同点に追いつくことができた。前半終了間際には河野がマッチアップする敵DFとの接触でヒートアップし互いに警告を受けるシーンもあったが、そのまま同点で前半を終了。
後半から阿部と東のポジションを入れ替える。引き続き拮抗した展開で、名古屋は長身のFWをターゲットに蹴ってくる。最前線で受けるというより味方に落とす形で、フィニッシャーにならない分対応の余地はあるが、東京の守備も不安定で、奪ったボールをマイボールにしきれなかったりサイドを使われたりとギリギリの対応も多い。
58分、ハ・デソンに代えて橋本を投入。ハ・デソンはよかったがケガ明けということもあっておそらく予定の交代だろう。ハ・デソンの代わりであれば高橋でいいと思ったが、これもケガ明けの橋本を試すということか。
さらに69分、河野に代えて平山を投入。阿部が左SHに下がり、東が右SHにスライド。すると直後の70分、阿部のスルーパスを受けた平山が中央に切れこみ、敵DFのマークを受けながらもコースが空いたところを突いてシュート。これがゴール左隅に決まり2-1と逆転に成功する。平山のゴールとあってスタンドは喜びが爆発。僕も目頭がちょっと熱くなった。
ところがリードを奪ったのもつかの間で、76分、左サイドの裏を使われクロスを上げられると、中央に飛びこんだ敵FWに頭で合わされ失点。2-2と同点に追いつかれる。
しかし、東京は諦めない。81分、阿部が敵のパスをカットして得た左CKを小川が蹴ると、中央で森重が頭で合わせ、敵GKの手を弾いてゴール。再び3-2と勝ち越す。5分刻みで得点の入る打ち合いになったが、東京が意地を見せた。
東京はここから試合をクローズに入る形で羽生を準備、阿部との交代で投入しようとしたが、敵FKとなったブレイクではいったん出ようとした阿部を戻して交代を保留。セット・プレーでのマークのズレを嫌ったのだと思うが、この交代枠の温存が微妙に効くことになる。
86分、敵の攻撃の目を摘もうと前に出た森重が敵MFにスライディング。ボールをヒットしたようにも見えたが、ムリめのタイミングで足裏を見せての激しいタックルとなり退場の判定。森重自身もこのプレーで傷み、担架が呼びこまれるがこれを制して歩いての退場となる。
これを受けて89分、交代のカードを差し替え、平山を下げて高橋を投入、高橋はそのままCBに入る。高さのある平山は残して前田か阿部か東を下げるべきではなかったかと思うが、平山もケガ明けであることを考慮したか。
アディショナル・タイムは5分あり、名古屋の反撃を受けたがしのぎぎって3-2で辛勝。シーソー・ゲームとなったがホームで貴重な勝ち点3を挙げた。
2点を失いながらも3点を奪って半ば強引に結果を引き寄せたという意味では評価すべきだが、内容的には決して手放しで喜べるものでない。
1失点目は敵CKをクリアしきれなかったボールを拾われ、枠の外に向かったシュートが敵に当たって入る不運なものだったが、それ以外にも軽いパスミスからピンチを招いたり無謀なチャレンジをいなされて後ろを取られたりと、守備の約束ごとが徹底されているのか疑問を感じるシーンが多発していた。
2失点目は小川が芝で滑り裏を取られたもの。今日は敵見方とも滑るシーンが散見されたが、ホームで芝とスパイクがフィットしないのはおかしいのではないか。一方で敵の長身FWを抑えこみ、ポストはさせたもののシュートをゼロに抑えたのは評価できる。セカンドをしっかりケアする狙いはある程度までは功を奏していたと思う。
何にしても2失点して勝てたのはラッキーと思わなければならない。2試合続けての2失点ではタイトルは覚束ない。勝ったからこそこの部分は厳しく検証し、反省しなければならないと思う。
攻撃は、ハ・デソンが中央に入ることで劇的に改善したが、フィニッシュの部分はかろうじて平山の意地の一発で救われたのみ。何度か面白い連係からシュートまで行けた流れもあったが、攻撃が予定調和の中に収まっており、敵が最も嫌がる部分を突けていないように感じる。最後の最後に決定的なボールを出せるアイデアと、それを共有できるオートマティズムの構築にはまだ時間がかかると感じた。
一方で、それをPKとCKで補ったことは評価したい。森重が倒されて得たPKは正当なものだが、それも森重がエリア内でしっかりと駆け引きしたからこそ。パフォーマンスそのものは決して本調子とは言い難かったようにも思うし、最後にカウンターを阻止するためムリなタックルで退場となり味噌をつけたが、この試合は森重の試合だったと言っていいだろう。次節柏戦は欠場となるが、代表も含めて連戦が続いており、このタイミングでよく休んで欲しい。
平山のゴールではスタジアムも盛り上がったが、ファースト・タッチでボールを持ってしまったためああするしかなかったというのが正直なところだと思う。あれで入らなければ「ゴール前で何をちんたらボールこねてんだ」と批判されるところだっただろう。僥倖の部分もあるが、平山のゴールは雰囲気を上向かせるし、彼自身の苦労の対価としては決まったことにも運命的な意味があったのだろう。ここからの奮起を期待したい。
試合前の審判の発表時と、試合後に大きなブーイングがあったがやめた方がいいと思う。今日の岡部主審は、2014年の浦和戦で平山が大ケガを負わされながら敵DFのファウルを取らなかったことや、昨季の開幕戦でボールがゴールラインを割ったと思われるところを見逃して大阪の得点に結びついたことなど、印象があまりよくないのかもしれないが、試合前からブーイングして得るものは何もないし、今日の試合では問題にするほどのミスジャッジはなかったように思う。
森重の退場はやや厳しいような気もするが裁量の範囲だろうし、エリア内で森重が倒されたシーンではファウルを取ってくれた。前田のポストに対する敵DFのプッシングや抱えこみはもう少し厳しく取って欲しかったと思うが、それもあり得る範囲だったと思う。素晴らしい試合運営だったかどうかはともかく、ブーイングを受けるほどのひどいものではなかったと思う。
何度も書いているが、選手も監督もミスをするしプレーに巧拙はある。審判にだけ無謬を求めることはできないし、初めから審判を敵だと思っていては試合はできないし何も得しないと思う。
次の試合は水曜日、アウェイでの江蘇戦。これに勝たないとグループ・ステージ突破は決定的に厳しくなる。アウェイだが勝ち点3の必要な試合であり、どんな戦い方を見せてくれるか楽しみだ。
リーグ戦は日曜日にアウェイ柏戦。ターン・オーバーも重要になる。明日はJ3のU-23の試合もある(アウェイでの秋田戦)。しばらくはまた試合が立て込んでいる。
評点(評点は
ドイツ式
):
秋元(3.5) 失点はいずれもノー・チャンスか。キャッチングは安定していた。
徳永(4.5) 切り替えの遅れから後追いのシーンも。ボールも今イチ足につかず。
森重(3) 2得点は立派だが軽いプレーでピンチを招くシーンも。しっかり休養を。
丸山(4) 敵FWとのマッチアップでは強さとクレバーさを見せたが2失点は反省。
小川(4.5) CKのアシストと失点関与で相殺。今日の出来ではポジションは危うい。
河野(4) 精力的に動き回ったが特徴を出せずに交代。熱くなるのは愛嬌か。
米本(3.5) 中盤で身体を張ったが、チャレンジが裏目に出て抜かれるシーンも。
ハ・デソン(3) 異次元のボール捌き。ムリキとの化学反応に期待大きい。
阿部(3.5) 独特のリズムでの仕掛けが効いていた。サイドに置いた方が効くのか。
東(4) 今イチ印象に残らず。トップが適所かどうかは微妙。シュートは打ったが。
前田(4) 敵DFにがっちりマークされたがそれでもポストは立派に果たした。
===
橋本(3.5) 面白い持ち上がりもあったが枠外に。ケガの影響は感じさせず。
平山(3.5) ワンポイントでの交代は残念だが仕事はした。ノって行きたい。
高橋(-) 時間短し。急な交代によく対応した。
江蘇戦は日本時間夜9時。しっかり仕事を切り上げよう。
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