フットボール・クレイジー
football crazy
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2016年05月29日 23:43
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【Jリーグ第14節】FC東京×G大阪
■2016年5月29日(日) 17:00キックオフ
■味の素スタジアム
日中所用があり、クルマで4時頃に調布にたどりついた。コインパークにクルマを停め、京王線に乗って味スタへ。スタジアムに着いたのは4時半ごろで、いつものバックスタンド上層中央は既に窮屈そうだったので、ややゴール裏よりのところに席を確保した。
天気のいい初夏のゲームである上、強豪が相手ということでかなりの動員(37千人)になったようだ。ACLでは残念ながら上海に惜敗しノックアウト・ステージの敗退が決まってしまったが、リーグ戦では湘南に勝ち、鳥栖に引き分けて臨む2週間ぶりの試合となる。流れは悪くなく、それを確かなものにするためにも、強豪である大阪からホームでしっかり勝ち点3を奪い、リーグ戦のリスタートを期したいゲーム。
森重が警告累積で出場停止となったため、最終ラインは吉本と丸山のコンビとなったが、それ以外は上海戦と同じメンバー。ムリキ、バーンズ、ハ・デソンらはこの試合にもU23にも名前がなく、また駒野はU23に出場。コンディションとかいろいろあるのだと思うが外国人の使い方に疑問があるし、小川をベンチ、駒野をベンチ外にし、徳永を左SBに回してまで橋本を右SBで起用する意図も今ひとつ分からない。
秋元
橋本 吉本 丸山 徳永
高橋
水沼 羽生 米本 東
前田
試合は互いにアグレッシヴに中盤でボールに行くハイテンポ、ハイテンションの立ち上がりになる。どちらかといえば東京がボールを保持し、大阪陣内で攻撃を仕掛けることが多いが、フィニッシュまでは持ちこめず。
逆に大阪は前線に個人で収められる選手がおり、そこにボールが入れば厳しい対応を強いられる。どちらもモラルの高い、拮抗した好ゲームになり、中盤で激しく主導権を争う展開。東京は積極的にクロスを入れて行くが中央では合わず。
前半終了間際には左CKをサインプレーでエリア手前の徳永に。徳永のシュートは敵DFに当たり、さらに個のこぼれ球を拾った高橋がシュートするがこれも敵DF。こぼれたボールを左寄りのポジションで拾った徳永が敵DFを切り返して再びシュートし、ボールはファーのいいコースに飛んだが敵GKがセーブ。何度かチャンスは作ったものの決めきれず、スコアレスのままで前半を終えた。
後半の入りは大阪が攻勢を強め、ボールを保持、東京が自陣に押しこまれる時間帯になるが、東京は引き続きモラルは高く、また大阪の攻撃も今ひとつ精彩を欠いてこの時間帯は何とか守りきる。シュートが枠に来ないシーンや中盤での競り合いで東京に負けるシーンなど、大阪の攻撃も次第にほころびが大きくなり、東京としても怖さはあまり感じられない。
64分、東に代えて阿部を投入。阿部はそのまま左SHに入り、直後、丸山からのクロスに合わせたがシュートはポストをヒット。
さらに72分、水沼に代えて河野を投入、そのまま右SHに入る。東京が再び主導権を握っているが、シュートは決めきれず、少ない手数で背後を狙われる攻撃は引き続き脅威。
78分、羽生に代えて田邉を投入、田邉はインサイド・ハーフに入る。
80分、左サイドで阿部がファウルを受けてFKを得る。これを河野が蹴り、ゴール前に放りこんだボールに前田が頭を振ってゴール。1-0と東京が終盤にリードを奪う。河野のきれいな軌道のキックと前田の技術の高いヘディングでピンポイントに合わせたゴール。
その後はバランスを崩して前がかりになる大阪に対し、敵陣でしっかりとボールを回しながら時計を進める展開に。河野、田邉のラテン系コンビが自在にボールを動かして時間を稼ぎ、危なげなく勝ちきった。
ACLでの敗退を引きずらず、切り替えてリーグ戦に集中するという意味では、メンタルも含めてマネジメントの問われる重要な試合であったが、そこでしっかり勝ち点3を取ることができたのは大きな価値があった。リーグ戦に集中し巻き返すスタート地点として、闘う意志を示し、結果を出したことは高く評価されるべきだ。
この試合でも、いい形までは作るもののなかなか流れから決めきることができず、スコアレスのまま終盤に入る展開になり苦しい時間帯もあったが、その中でも手堅いリスク管理で失点を回避しつつ、流れから取れないのであればセット・プレーから最小限必要な得点を決めるという形で勝てた。無失点に抑えたことで終盤の一発が生きた。
内容的には改善すべき点がまだまだ多いが、必ずしも意図通り崩して得点できない時でも、こうしてセット・プレーからの得点などで勝てることは重要。結果を積み上げる中で課題に取り組み内容を向上させる余地も生じて来る。ロースコアで勝ちきったことが何より大きく、大阪が本調子でなかった感もあるが、今季のターニング・ポイントのひとつになる試合。
形の上ではセット・プレーからの決勝点だが、このFKは敵の緩いパスを前線でカットし、阿部がドリブルで抜け出そうとするところを敵がプロフェッショナル・ファウルで止めて得たもの。終盤になっても前線から守備を敢行、フレッシュな交代選手がしっかり仕掛けたおかげで取れたFKであり、その意味では決して偶然の産物ではない。こういう勝ち方ができるのは大きい。
今日は中盤での競り合いに身体を張る守備力、奪ったボールを展開する組織力も見られ、ややパターンに乏しい気もするが攻撃面でも工夫があった。また、リードした終盤、敵陣でボールを回して敵を意気阻喪させたのは素晴らしかった。
自陣にこもってひたすら跳ね返すのではなく、敵陣コーナーでキープするのではなく、前線でパス交換しながら敵の守備を動かして時間を使う老獪さはこれまでなかったもの。スカパーの解説者はコーナーでキープすべきと指摘していたが、明らかにそれよりも洗練されていたと思う。
シュート数は13-11、ポゼッションは49-51と数字上は互角の試合だったが、東京が自信を持って試合を支配しており、結果は妥当なものだと思う。
とはいえ、これでも順位は暫定11位。他のクラブより2試合少ないとはいえ、残した2試合が浦和と広島という厳しい状況で、仮にシーズン前半の残り5試合を全部勝ったとしても到達できる勝ち点は32で、昨季の35には届かない。
とにかく目の前のひとつひとつの試合に勝ち、その上で何が起こるかを見る以外にない。ようやく形が固まりつつあるのかという感もあるが、巻き返しが遅きに失したことは否めない。流れは確実によくなっており、ここからのリカバーを注目して行くしかないだろう。
この勢いを殺さないように結果を積み上げたいが、来週はインターナショナルで週末のリーグ戦が休み。6月は未消化の試合を消化するためシーズン前半の残り5試合が連戦になる。暑い時期になる可能性もあり、相手も広島、浦和、横浜と手強いが、ここを乗りきらないとどんな結果も出てこない。
評点(評点は
ドイツ式
):
秋元(3) 上海戦から好調を維持。キャッチング、パンチングの判断もよかった。
橋本(4) 今日は悪くなかったが、橋本に我々が何を期待するかは整理が必要。
吉本(3.5) まさに身体を張った守備。フィードがいい加減でも問題ない。
丸山(3.5) 最終ラインで身体を張った。吉本とのコンビは結構いいと思う。
徳永(3) 左に置くと攻撃参加増えるようだ。シュートは惜しかった。
高橋(3) 高橋がいることで戦術が明快に表現できる。今の東京のキーマン。
水沼(3.5) 仕事振りに思い切りが出てきた。水沼がフィットすると大きい。
羽生(3.5) いいところに入って行って流れを作る動きはもはや名人芸。
米本(3) 再三のボール奪取は本当に素晴らしかった。モラル高かった。
東(3.5) ムダ走りを厭わずサイドを主戦場にボールを動かした。
前田(2.5) いつも身体を張ってくれていることが報われた。価値ある得点。
===
阿部(3.5) 終盤にあの感じで突っかけられるのは敵もイヤだろう。
河野(3.5) 時間短し。試合をクローズするだけでなく、FKでアシストまで。
田邉(3.5) 時間短し。ラテン系のキープ楽しい。
試合後、調布まで電車に乗り、クルマを拾って帰った。味スタ近辺にももっと駐車場があればいいのにと思った。
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FC東京
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J1リーグ戦
2016年05月25日 00:15
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【ACLラウンド16第2戦】上海×FC東京
■2016年5月24日(火) 19:30キックオフ(日本時間20:30)
■上海体育場
第1戦を2-1で勝って迎えた第2戦。勝ちか引き分けなら勝ち抜けが決まるが、0-1の負けだとアウェイ・ゴールの差で敗退となる。引き分けでもいいという試合の戦い方は難しいが、しっかりとリスクを管理しながらワン・チャンスで得点して試合を有利に運びたい。
メンバーは第1戦と同じ。先制されると何が何でも得点が必要になるため、飛び道具としてのFWをベンチに置きたいところだが、バーンズは帯同せず(日曜日のJ3でフル出場)。小川も帯同せず、駒野もベンチには入らず、橋本を右SBで起用、徳永が左へ。この辺はよく分からない。
また、丸山の出場停止が明けたがCBには吉本が先発。前がかりに来る敵の攻撃を跳ね返すには吉本と森重のコンビの方が適性あるという判断は理解できる。
秋元
橋本 吉本 森重 徳永
高橋
水沼 羽生 米本 東
前田
東京は序盤こそ高い位置からのプレスを敢行、積極的に前に出て来る上海と組み合う。8分、東が左CKをショートで羽生につなぎ、羽生から中央の米本へ。米本がここからスルー・パスを東に通し、東がエリア内に切れこんで中央に折り返したがDFにカットされる。
その後は勢いを増す上海に押しこまれる展開になる。19分、敵FKからのシュートを秋元が片腕でセーブ。30分、32分にも敵のシュートを秋元がセーブし何とかゴールを守る。自陣に押しこまれる時間が長く、前にボールが運べない。
33分、水沼がカウンターで自ら持ち上がりシュートを放つが敵GKがキャッチ。36分、東のCKに森重が合わせるが枠に飛ばず。自陣で敵の攻撃をしのぐことに汲々とした前半だったが秋元がファイン・セーブを連発したことにも助けられてスコアレスで前半を終了する。
後半に入っても流れは変わらない。51分、FKからのこぼれ球を拾った羽生がエリア内にスルー・パスを通すとこれを追った前田がGKと一対一に。前田はタイミングを計ってシュートを放ったがGKに当ててしまう。決めたいシーンだったがコースがなかったか。
互いに疲れが出て足が止まり始める中、ファウルも多くなりしんどい展開に。65分、水沼に代えて阿部を投入、前田と阿部を2トップにした4-4-2になり、羽生が右SHに。上海はワン・プレーで形を作ってくるので気は許せないが、ボールへのアプローチが遅くなり、東京が次第にボールを持てるようになって来る。
71分、阿部のクロスに前田が合わせるが枠外。東京は奪ったボールを保持できるようになり、時間を使いながら遅攻を仕掛けるがフィニッシュまでは持ちこめず。80分、東に代えて河野を投入、河野はそのまま左SHに。
37分、左サイドでボールを持った阿部が中に切れこんでシュートを放つがボールは大きくファーに外れる。なるべく敵陣でボールを保持して時計を進めようとする東京に対し、焦る上海は少ない手順で前線にボールを展開、テンポは落ちるがテンションは切れない厳しい終盤になる。
85分、羽生に代えて丸山を投入、CBを3枚にして5バックとなる。守りきるというメッセージは明快だったが、上海の捨身のパワー・プレーに押され徐々に自陣に押しこまれて行く。何とかしのいでいたが、アディショナル・タイム、こぼれ球が中央にこぼれ、エリア手前からシュートを放たれる。これは秋元がセーブしたがボールが正面にこぼれたところを敵FWに詰められ失点。土壇場で0-1と先制される。
このままでは敗退となる東京は森重を前線に上げて残りアディショナル・タイム3分に最後の反撃を試みるが奏功せず、土壇場での失点で0-1と惜敗、今季のACLはラウンド16で敗退となった。
信じられない終了間際の失点での敗退は消化し難いが、現実であり受け入れるしかない。後ろをしっかりケアしながら、ワン・チャンスで先制を狙う、「勝ちに行くが少なくとも失点しない」という戦略はまったく違和感のないものであり、それが遂行できなかったということで結果をつかみ取ることができなかった。逃げきれる余地は十分にあったが、最後に失点するところが実力の限界であり、内容から見て妥当な結果に終わってしまったという他なく悔しい。
後半は敵の疲れとともにボールを持てる時間も長くなり、敵陣で時間を使うこともできていただけに、最後の最後で敵のパワー・プレーに押される形で自陣に下がり、守りに入ってしまったのがもったいなかった。戦略的に戦い、セカンド・ベストだがそれで十分な結果を目の前にして力尽きた。
想定以上に下がり過ぎた感はあったが、やるべきことはきちんと整理されていたし、交代も妥当なものだった。力が足りなかっただけ。負けたのは悔しいし消化するのは難しいが、しびれる試合だった。ここからリーグ戦に切り替えて集中して行くことが必要だ。
評点(評点は
ドイツ式
):
秋元(2) 神セーブを連発、勝っていればMOT間違いなしの活躍だった。
橋本(4) こういう試合で橋本のSBは怖い。前線での一発の代価が大きい。
吉本(3) 跳ね返す守備への期待を受けて奮闘、使いこなせれば価値は高い。
森重(3) 苦しい展開の中で冷静な顔を保っていたので行けると思ったが。
徳永(3.5) 敵の7番は徳永に対応させたかった。今日はちょっとしんどかった。
高橋(3.5) 中央を締めてギリギリまで奮闘。今の東京のコアになっている。
水沼(3.5) 水沼もまた東京には不可欠な選手。思いきりやって大丈夫だ。
羽生(3.5) 献身的な働きで羽生の羽生たる所以を惜しみなく実証した。
米本(3) 意外に冷静で頼もしい働きだった。エリクソン監督も目をつけた。
東(3.5) 守備でもハード・ワークできる男。そろそろ東中心のチームを。
前田(3.5) あの絶好機が…。前田が悪い訳ではないが。あの絶好機が…。
===
阿部(3.5) 平均して高い動きの質をキープしている。ゴール欲しかった。
河野(3.5) 河野と阿部のコンビはなかなか変態ぽくていい。
丸山(-) 時間短し。
週末の大阪戦で気の抜けた戦いをする訳に行かない。ここはマネジメントが問われるところだ。
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FC東京
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ACL
2016年05月22日 22:34
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【J3第10節】FC東京U-23×鹿児島
■2016年5月22日(日) 15:30キックオフ
■江東区夢の島競技場
今週はトップの試合がないのでU23を見に行くことにした。夢の島は何年も前にサテライトを見に行ったことがあったがそれ以来だと思う。地下鉄を乗り継いで、新木場駅からはあるいて5分ほど、キックオフの1時間ほど前にたどり着き、メイン中央に席を確保したがとにかく暑い。
スタンドは正面から直射日光を浴びて影もない状態。汗をかきながら持参したペットボトルのジャスミン・ティーをちびちび飲んでキックオフを待った。まだ湿気が少ないので気持ちのいい暑さで、汗がしっかり出ていれば熱中症のリスクもそんなに高くないはず。帽子を持って行ってよかった。
東京はトップがACLのために上海に遠征しており、留守番部隊とU18の混成的なメンバーに。鈴木をアンカー、ユ・インスを1トップにした4-3-3にも、バーンズ、幸野、佐々木、ムリキでピッチ幅をカバーする4-1-4-1にも見えた。
ACLはベスト8からしか出られないムリキがこちらに出ているのは分かるが、バーンズが上海に帯同せずこちらに出場するのがよく分からない。U18は昨日試合があったばかりで、生地、蓮川、鈴木らは2日続けての公式戦となったがこれもどうなのか。また、小川が上海に帯同せずこちらに出るのは交通事故のペナルティか。苦しい人繰りとはいえよく分からないメンバーだ。
圍
生地 蓮川 岡崎 小川
幸野 鈴木 佐々木
バーンズ ユ・インス ムリキ
暑かったし左サイドがメイン側だったのでほぼムリキしか見てなかったが、基本的にどちらもしっかりボールが運べず中盤でボールが行ったり来たりする凡庸なゲームに。守備が固いというよりは攻撃に迫力がないということか。前に当てて落とすということができず、蹴り出しては単騎で勝負をかけて取られる繰り返し。単調な攻撃に終始する。
鹿児島の攻撃も同様で、攻撃は単発。ポゼッションは鹿児島だが、東京がバイタル・エリアを固め、シュートまで持って行かれても圍が止める形で守っている。25分、佐々木からのパスを受けたバーンズが右裏に抜け出し鋭いシュートを放つがGKがセーブ。これで得たCKには佐々木がボレーで合わせるがこれもGK正面に。
41分、ユ・インスが敵と競ったボールをムリキが拾い、ゴールライン際からペナルティ・エリアに侵入してラストパスを中央に送るがバーンズに合わずボールはそのままファーに抜けてしまう。さらに43分、敵のパスを絶妙の飛び出しでカットしたムリキがそのままドリブルで持ち出し、右前線のバーンズに大きなパス。これを受けたバーンズは自ら仕掛けるがシュートはブロックされる。ファーに走りこんだムリキが「オレに出せよ〜」的に大きなジェスチャー。
いくつか形は作ったものの決めきれず、スコアレスで前半を終える。
東京は後半から蓮川に代えて山田をCBに投入。連戦を考慮したか。後半からユ・インスとバーンズの2トップによる4-4-2に布陣が変更されたようにも見えたがよく分からない。
後半になっても互いに譲らず、いい形でフィニッシュまで行かせないしょっぱい戦いが続く。63分、小川のFKの流れから幸野のスルー・パスを受けた佐々木が裏に抜け出しシュートを放つがバーをヒット。
一方、鹿児島も機動力のある攻撃から東京ゴールに迫るが、圍がファイン・セーブを連発してチームを救う。79分、ユ・インスに代えて平岡を投入。バーンズとムリキを2トップにした4-4-2に。佐々木が左SHに出たか。
終盤はややオープンな展開となり、ボールが大きく往来。アディショナル・タイムにはバーンズがフリーでシュートを放つが枠に収めきれず。結局スコアレス・ドローとなった。
トップ、U18、特別指定選手の大学などの日程によって起用できる選手が試合ごとに代わり、「いる人でチームを組む」苦しい状況の中でなかなか連係が熟成しないために攻撃が噛み合わない。ムリキ、バーンズの個の力からチャンスを作ったが、単発に終わった感が強い。
本来であれば、トップと戦略・戦術を共有する、ユースまでを含めたシームレスな一団の選手プールの中の、若手を中心としたセカンド・チームで勝つというのがJ3を戦う基本的な考え方のはず。
J3に特化、最適化するのではなく、FC東京というチーム・コンセプトのセカンド・ラインでJ3を戦うということを徹底するためには、ひとつの「幹」のような戦略がトップからユースに至るまで共有され、誰が出ても(細かい個性の調整はあるにしても)ひとつの共通理解の下に統一された戦い方ができるようになっていなければならない。というか、そうでなければ毎試合招集できる選手が違う中でしっかりしたFC東京としての戦いなどできる訳がない。
その意味ではまだまだ道半ばだし、それが根づくまでの「This Game」を考えた時に最低限の結果を出すという点でももの足りなさが残るのも確か。大きなチャレンジなので拙速に結論を出す気はないが、このカテゴリーを戦うことができるというのはクラブにとって大きなアドバンテージであり、それをどう強化・育成に生かすのか、そしてそれをトップの成績にフィード・バックして行くのか、考えなければならないことは多いと感じた。
今日見た中ではムリキがフィットしつつあるのを感じた。暑さとともに調子を上げているのではないか。ただ、彼が好むプレーのスタイルとか得意とする形とかいうのは明確にあり、それをどこまで尊重してチームが彼に合わせるのか、彼にチームに合わせることを要求するのか、どれが彼の価値をいちばん生かしつつチームとして最大の結果を得る選択肢なのかを見極めることが要求される。
僕としては城福監督が求めるスタイルの中でムリキはそこにはまるより「破調」として機能すべきであり、彼に求めることを整理して提示すれば、それを消化できるクレバーさのある選手だと思った。要は「使いよう」であり、高い買い物だけにしっかり使いこなさないともったいない。いつまでも調整している場合ではない。
バーンズも普通によかった。なぜ上海に帯同していないのか理解に苦しむ。ACL上海戦では、ホームでアウェイ・ゴールを許している関係で、0-1では敗退になる。先制され、0-1のまま終盤に突入した場合、何が何でも1点を取りに行く必要が出て来る訳だ。そのような状況が容易に想定される中で、終盤に一発の可能性のあるFWを帯同しないのはどういうことなのだろう。
前の試合でも梶山とハ・デソンなど、どう考えても途中出場で同時に使いそうのない選手を2人もベンチに置く一方でバーンズをベンチ外にしたのには首を傾げた(ついでにいえばDFのバックアップも置かなかった)。トップとJ3の選手の配分は難しいところだと思うが、思うように試合が展開しなかったときのことを考えてベンチ構成を考えているのか、素人目にも疑問が残る。
暑い中での試合だったが、汗をかくことを厭わなければ気持ちのいい観戦だった。
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FC東京
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J3/FC東京U-23
2016年05月18日 00:35
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【ACLラウンド16第1戦】FC東京×上海
■2016年5月17日(火) 19:30キックオフ
■東京スタジアム
毎度のことながら仕事を何とか片づけて味スタへ。日中の雨も上がり、スーツでちょうどいい涼しさ。7時半キックオフの、この30分の配慮が嬉しい。リーグ戦も平日のナイト・ゲームは7時半キックオフにして欲しい。職場から駆けつける時に決定的に大きいのだ。
ACLのラウンド16、前回はここで広州に敗れた。あのときはアウェイでの一発勝負だったが、今回はホーム&アウェイ。この先の風景を見たい。アウェイ・ゴールを許すと次戦が決定的に苦しくなる。勝ちが欲しいが完封優先で、最悪スコアレス・ドローは許容範囲の試合。リスク・マネジメントがポイントになる。
城福監督は中盤をターン・オーバー。最終ラインでは丸山が警告累積で出場停止のため吉本が先発。また小川が欠場し(交通事故のための謹慎か)、橋本が右SBに入って徳永は左に。本来なら駒野を使いたいところだが、駒野は日曜日のJ3でフル出場しており年齢を考えてもちょっと使えなかったか。
ACLのために厚めの補強をしたはずだったのに、J3に人を取られて肝心のACLで苦しいローテーションをしなければならないのは本末転倒。小川の交通事故は土曜日の朝だったのだから、その時点で駒野温存の判断はできたはず。駒野の先発より橋本の右SB起用の方が優先順位が高いということなのか。解せない。
秋元
橋本 吉本 森重 徳永
高橋
水沼 羽生 米本 東
前田
東京は序盤から積極的に前に出る。5分、橋本のクロスを前田が落とし水沼がシュートを放つが敵DFにブロックされる。その後は拮抗した攻防となり、東京が高い位置からのプレスで優位に立つものの、シュートはことごとくGK正面に。
一方、上海はボールを持つとテンポよく前線に展開、外国人FWに当てて来るが、ここはしっかり守りフィニッシュまで行かせない。
互いに得点の気配はなかったが、41分、水沼の右CKからのこぼれ球に、ファーの橋本がエリア外から詰めると、これが敵FWの手に当たったとの判定で、エリアすぐ外でFKを得る。ゴールに近い位置で、壁を越すと落とすのが難しい距離だが、43分、水沼が壁の下を抜くボールでゴール。東京が前半終了間際のいい時間帯に1-0と先制する。
ハンドはエリア内だったのではないかという声もあり、PKをもらうべきシーンだったかもしれないが、結果としてFKが決まったのでどうでもいいか。FKは壁に入った高橋の足の間を抜いたということで、もし狙ったのならすごい精度。東京が1-0とリードして前半を終えた。
後半に入ると上海が高い位置からプレスをかけて押しこんでくる。クリアするのが精いっぱいの苦しい時間が続く。何とかしのいでいたが、55分、縦につながれたボールを裏に通され敵FWと秋元が一対一になる。このシュートは秋元がセーブしたが、こぼれ球に詰められて失点。1-1と同点に追いつかれてしまう。
追いついた上海はリスクを取らない対応にシフト。再び東京がボールを持てるようになる。62分、東に代えて阿部を投入、阿部はそのまま左SHに入る。ハード・ワークを重ねていた東の疲労を考えたか。運動量が落ちる時間帯での交代は理解できる。
65分、左サイドで細かいパスの交換から、最後は徳永が裏に抜け出す。徳永がここからクロスを入れると、ファーに走りこんだ水沼がジャンピング・ボレーで合わせゴール。東京が2-1と再びリードを奪う。水沼の思いきりのよさが生きたシーン。おそらくあのボールを足許に落して持ちかえていたら逸機しただろう。
ここからは逃げきりたい東京と、何としても追いつきたい上海との拮抗した戦いになるが、敵のシュートは枠を外すことも多く怖さは感じられない。一方の東京はリスク管理を優先、リスクを取らず時計を進めようとする。
79分、水沼に代えて田邉を投入。ここで高橋と米本のダブル・ボランチに、右に田邉、左に羽生を置いて、阿部と前田が2トップを形成する4-4-2に布陣を変更する。前線からプレスをかけて敵のチャンスをつぶすとともに、ピッチ幅を中盤4人でカバーしスペースを与えないというメッセージか。
終盤、反撃を試みる上海に対し、守りに回る苦しい時間帯となるが、集中した守備でこれをしのぐ。終盤、交代で時間を使いたいところだったが、梶山は指名されたと思われる梶山は着替えるのが遅く間に合わず。結局アディショナル・タイム2分を戦いきり、2-1で第1戦を勝利で終えることができた。
序盤には機動的な攻撃から何度かチャンスもあったが決めきれず、厳しい展開を覚悟したところにセット・プレーからの得点でリード。後半は敵の圧力の前に失点を喫したが、下を向くことなく戦い、見事な流れからの得点で勝ち越し、その後は組織だった守備で試合をクローズした。
これがもし1-1のままだと、アウェイで最低でも1点を取らなければならないところだったが、勝ったことでアウェイでは勝てばもちろん、引き分けでも勝ち抜けできるのは大きい。同点にされても下を向かず、リスクを管理しながらも取るべきところでしっかり得点できたことは大きな進歩だ。
2点目は当てて落とす繰り返しでリズムを作りながら最後は左サイドの裏にボールを落とし、ここに飛び出した徳永が一度持ちかえながらもいいクロスを入れた、流れの中からの得点。セット・プレーでも敵失でもとにかく得点を重ねて結果を出す中で内容も上向き、こういう意図と技術と連係が噛み合ったゴールが出るようになってくる。まずは不格好でもいいから勝つことだし、それがようやく形になってきたことで取り組む課題の優先順位も明らかになってきたと思う。
失点はもったいなかったし、こぼれ球への対応が遅れた憾みはあるが、失点したならそれ以上取って勝つというポジティブなトランジションができた。それ以外の時間は中盤の高橋と最終ラインの吉本が敵の攻撃をしっかり跳ね返し続けた。
吉本が最終ラインに入ると、ビルドアップ力は確かに落ち攻撃の起点としての昨日は見劣りがするが、とにかく苦しい時に失点しないための割りきった跳ね返しには明らかなアドバンテージがあり、局面や試合によっては丸山とうまく併用することができないか。ベンチにすら入れないでJ3要員にしておくのはあまりにもったいない。
他にも中盤で隙間を埋め続けた羽生や、高橋がいるおかげでボールにアグレッシヴにチャレンジできた米本など、今日は全体が有機的に連動できた勝利。2得点の水沼ももちろん素晴らしかった。
週末のJリーグは休みで、次はアウェイでの上海戦。先に書いた通り、勝利または引き分けで勝ち抜け。厳しいのは0-1の負けだとアウェイ・ゴール数で敗退となること。とにかく失点しないことでスコアレス・ドロー上等。これをどう戦うか、城福監督の手腕が問われる試合になりそうだ。
評点(評点は
ドイツ式
):
秋元(3.5) 失点シーンも一度は止めたが。ハイボールもしっかりさばいた。
橋本(3.5) 無難なプレー。守備的なポジションでの起用にはリスクを感じる。
吉本(3) 向かってきたボールはことごとくはね返し、ピンチの芽を摘んだ。
森重(3.5) うかつなパスやルーズなボール処理で危ういシーンが散見された。
徳永(3) 左サイドだと攻撃参加が多くなるのか。クロス精度も高かった。
高橋(2.5) アンカーという言葉の意味に改めて納得する安定した貢献ぶり。
水沼(2) 出場機会がない中でも備えてきたことの結果が出た。技術高かった。
羽生(3) いて欲しいところにきちんといる才能。試合を締めた。いい起用。
米本(3.5) 米本が安心してチャレンジできるのは高橋がいるからだと思う。
東(3.5) 運動量豊富にチャンス・メイク。リーグ戦でももっと見たい。
前田(3.5) 前線で身体を張ってボールを収めてくれた。得点が見たい。
===
阿部(3.5) ボールを持った時にまずゴールに向かおうとする姿勢は買い推奨。
田邉(3.5) 何が草民に起こっているのか。このままだと代表になっちゃう。
ひとつだけ付け加えておきたいのは、今日のサポの雰囲気がすごくよかったこと。週末の試合より入りは悪かったと思うが、ゴール裏は屋根に反射して響き渡るくらいよく声が出ていたし、バック・スタンドもミスを責める声はなく、好プレーに拍手しチャンスに手拍子するポジティヴなムード。勝利に大きく貢献していたと思う。
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FC東京
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ACL
2016年05月15日 21:21
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【ブンデスリーガ第34節】ダルムシュタット×グラードバッハ
■2016年5月14日(土) 15:30キックオフ
■Merck-Stadion am Bollenfalltor (Darmstadt)
今季最終戦。さすがにどちらのクラブにも日本人選手がおらず、優勝にも残留にも関係ない試合を中継してくれるほどフジテレビもJスポーツも寛大ではないということでGoalTVでのウェブ動画観戦となったが、途中までなかなかつながらずイライラした。端末を変えてもスマホにしても見られなかったのでもっぱら先方の事情だったのだろう。
既に4位をほぼ確実にしているグラードバッハはターン・オーバーを実施。ゾマー、ダフード、ラファエルをベンチに置いた他、ヴェントが出場停止ということもあって5人を入れ替え。ジッペルがGKとして8節以来の先発、シュルツ、ホフマンらを起用した。また19歳のソウがベンチ入り。
ジッペル
エルヴェディ クリステンセン ノードファイト
トラオレ シュルツ シャカ ヘアマン
ホフマン
ハーン アザール
全体にゆったりとした試合に。どちらにも積極的にリスクを取る必要がなく、地力に勝るグラードバッハがボールを支配するものの、自陣で守りを固めるダルムシュタットに対して決定機を作れない流れ。
それでも17分、ハーンがエリア外から放ったミドルがゴールの角をヒットするなどグラードバッハが優勢に試合を進める。
31分、シャカからの縦パスを受けて裏に抜け出したアザールが、右寄りの角度のないところから冷静に流しこんでゴール。グラードバッハが1-0とリードする。何とかこの時間までにはGoalTVが復旧し、ゴールを見ることができたのはよかった。
これで勢いを得たグラードバッハはボールを支配、中盤のパス交換からおもにサイドに当てることをトリガーにゴール前になだれこむ組織だったフットボールを展開してチャンスを作る。37分にはホフマンがアザールの得点シーンと同じようなところからシュートを放つがGKにセーブされる。結局1-0のリードで前半を折り返した。
後半に入ってもグラードバッハの優位は動かず。ボールを支配し少ないタッチ数でパスを交換しながら攻め上がりチャンスを作る。ホフマン、アザールが中央でボールを動かし、トラオレ、ヘアマンがサイドで拾うことで重層的な攻撃ができている。ラファエルもヴェントもいないが連係も組み立ても悪くない。
62分、トラオレに代えてコープを投入、コープはそのままSHに入る。63分、右サイドに展開したヘアマンの大雑把なクロスがファーに流れたところにハーンが飛びこみ頭で合わせてゴール。グラードバッハが2-0とリードを広げる。何だその適当なクロスと思ったがまさかファーで合うとは思わなかった。ヘアマン、すまぬ。
これで試合は実質的に決まったと思うが、4位確定のグラードバッハと残留確定のダルムシュタットの対戦はのんびりした空気。76分、アザールに代えてブラウアースを投入。前節ホームでお別れできなかったことの埋め合わせか、グラードバッハでのラスト・ゲームをプレゼント。
83分にはシャカに代えて今季ケガで苦しんだヤンチュケを投入。シャカもおそらくはこれがグラードバッハでの見納めになるのだろう。結局2-0でグラードバッハがダルムシュタットに完勝、シーズン最終節をアウェイでの勝利で飾った。
アウェイながらシュート数は21-9、CK6-3、ポゼッション70-30とほぼ一方的なグラードバッハのゲームに。天気もよさそうで、どちらもシーズンは実質的に終わっている中でエキシビジョン的な土曜日の午後を過ごしたという感じの一戦だった。
グラードバッハとしての収穫としてはホフマン、アザールの中央での起用が機能したこと、エルヴェディ、シュルツらの若手がしっかり試合に入れていた、ハーンが引き続き好調を維持していいイメージでシーズンを終えられたということか。
ブラウアースにとってはグラードバッハでの最終戦。ブラウアースとダンテでチームを支えた時期もあり、思い入れの大きい選手だ。ユニも持っている。これまでの貢献に本当に感謝したい。またシャカもおそらくはこれが最後。彼のキャリアを考えても今が手放し時だろう。あとはどれだけの移籍金が取れるかと、それでどんな補強ができるかということだ。
総括は別にやりたいが、開幕5連敗でどうなることかと思ったところから、監督の交代から10試合負けなしでバイエルンまで叩いての快進撃、燃え尽きての停滞からシーズン後半はアウェイでまったく勝てない病の発症など起伏の大きかったシーズン。勝ち点55は昨季の66と比べてもの足りないが、ケガ人も多かった中で4位になってCL予選を確保したのはやはりポジティヴに評価すべきだろう。
今季もよく頑張ってくれた。シーズンが気持ちのいい勝利で終えられてよかった。
アンドレ・シュバート監督談話:
「ダルムシュタットが与えられたものの中でやり遂げたことに対して賛辞を贈らねばならない。残留おめでとうと言いたい。このシーズンの終わり方は非常に素晴らしく感じられる。あのシーズンの開幕とその後の展開からは、我々が4位になると考えていた人は多くはなかったと思う。何より素晴らしいのは、最終戦でももう一度最高のパフォーマンスでアウェイでの勝利を手にすることができたということ。我々は今日の試合でも1人、2人の選手を試合経験を積ませるために出場させたが、彼らはそれに値する力があることを示してくれた。すべてを総合してダルムシュタットで完璧な試合だった。ロエル(・ブラウアース)が最後に何分かの出場機会を得ることができたのも嬉しかった。アンドレ・ハーンは今は彼が取りたいようにゴールが取れるしボディバランスも素晴らしくいい。今夜、我々はチームで少しばかりお祝いしたいが、それだけのことはできたと思う」
何かダルムシュタットにすごい上からやな。
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ブンデスリーガ
2016年05月14日 00:38
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【Jリーグ第12節】FC東京×鳥栖
■2016年5月13日(金) 19:00キックオフ
■味の素スタジアム
来週火曜日にACLのラウンド16があるため、リーグ戦を前倒しで金曜日に戦う。仕事をムリヤリ片づけて会社を抜け出し、何とか7時までに味スタにたどり着いたが、ACLの試合が7時半キックオフにできるなら、リーグ戦も平日は7時半キックオフにして欲しい。この30分は都内の職場から駆けつける時に決定的に大きい。以前はリーグ戦でも7時半キックオフのゲームがあったはずだ。これは本当にお願いしたい。
スタジアムはちょうど涼しい気候。シーズン初めは厳寒の中、ガタガタ震えながら何試合もナイト・ゲームを見せられて凍えたが、ようやくいい季節がやってきた。まあ、この季節も短くてすぐに暑くなってしまうのだが。
湘南に勝って迎えるホーム・ゲームだが、相手は鳥栖。下位に低迷しているが、昨季東京で指揮を執ったフィッカデンティ監督が相手であり互いに手の内を知るだけに負けられない。また現在の順位、勝ち点を考えても停滞は一歩も許されず、ホームで勝つしかない試合である。連勝してACLビン・ズオン戦からのいい流れを確かなものにしたい。
先発は前節と同じ。前節は味方によっては4-3-3のようでもあったが、今節はよりはっきり4-1-4-1に見えた。ベンチにはFWは平山のみ。しょっぱい試合が予想され、終盤にどうしても1点を取りに行く時のオプションとしてバーンズ、ムリキはベンチに置けなかったのか。また梶山、羽生、橋本とポジションのかぶる選手を3人も控えさせる必要があるのか。一方でDFのバックアップはなく、万一だれかがケガをしたら橋本の投入、徳永、高橋のスライドでしのぐということだろうか。
秋元
徳永 森重 丸山 小川
高橋
河野 田邉 米本 阿部
前田
立ち上がりは神経質な展開に。立ち上がりは鳥栖が前がかりに仕掛けたが、ここをしのぐと互いにリスクを気にしながら少ない手数で前線を狙う応酬に。しかしそれぞれ守備もコンパクトで固く、決定的なチャンスはどちらも作れない。
5分、エリア左の角度のないところから前田がシュートを放つが枠に収まらず。右足に置きかえる余裕がなく左足で打ったが精度を欠いた。これが東京のファースト・シュート。その後も一進一退の攻防となり、シュートまで行けない時間が続く。
チャンスが訪れたのは44分、東京がパスを交換しながら攻め上がり、小川が中央に入れたボールに走りこんだ高橋が合わせミドルを放つが惜しくもバーをヒット。思わず場内がどよめく見事なシュートだったがギリギリで入らず。
さらにその流れから中央でボールを奪った阿部が至近距離からシュートを放つがこれもバーをヒット、さらに左サイドにボールを追った前田がクロスを入れ、ファーの徳永が頭で合わせるがこれは敵GKがセーブ、こぼれたボールもゴールライン外に掻き出されゴールならず。この一連の攻撃で得点できなかったのは痛かった。結局そのまま前半をスコアレスで終了する。
後半に入っても互いに譲らない展開。開始早々の48分には小川のFKがゴールを急襲、敵GKの手からこぼれたボールがラインを越えたかにも見えたが、その前にファウルがあったとの判定でノーゴール。まあ、仮にファウルはなくてもゴールに入りきってはいなかっただろう。
57分には田邉からのパスを左サイドで受けた阿部が反転してミドルを放ったがこれも枠外に。なかなか決定打が出ず、終盤1点勝負の様相となってくる。
68分、河野に代えて水沼を、71分には田邉に代えて橋本を投入、水沼、橋本はそのまま交代選手のポジションに入る。バランスを狂わせたくなかったのだろう。運動量を考慮してリスク管理優先の交代だったと思う。
さらに75分、前田に代えて平山を投入。リスクを気にしながら決勝点を狙いに行く難しい時間帯に入って行く。
88分、水沼が米本のパスを受けて右サイド裏に抜け出し、角度のないところからシュートを放ったがGKがセーブ。アディショナル・タイムにも徳永からのパスを受けて裏に抜けた水沼からのクロスに橋本が飛びこんで頭で合わせたがこれもGK正面。結局「因縁の対決」はスコアレス・ドローに終わった。
神経質なドローにも凡戦にも見える難しい試合だったが、結果だけを見れば、順位が上の相手に対してアウェイでスコアレス・ドローに持ち込み、勝ち点1を持ち帰ることのできた鳥栖のゲームだっただろう。
鳥栖は前線の一発があるが、ここは森重のクレバーな守備で抑えこんでいた。この相手を無失点に抑えたこと自体は評価すべきだと思うが、鳥栖の現在のチーム状態、地力からすれば、タイトルを口にするクラブとしては当然勝っておくべき相手で、敵のペースにつきあわされ、勝ち点2を失ったゲームという他ない。
個々に見れば引き続き高橋をアンカーに据えたシステムが機能、ここを核に、他の選手の動き、役割が整理され、守備に締まりができたように見えた。また、攻撃では田邉、河野、阿部がそれぞれ積極的に仕掛けることでリズムを作り、チャンスもあったが、鳥栖の固い守りに、前節ほどの印象を残すことはできなかった。
終盤、やはり1点勝負になり、何とかゴールが欲しい時に、バーンズ、ムリキといった一発のある選手がベンチにおらず、平山一択というのも首をかしげざるを得なかった。高さのある平山を投入し、得点のみならずセット・プレーの守備も含め試合のクローズを期待すること自体はおかしくないが、最初からこれしか選択肢がなくていいのかと思った。
鳥栖はシュート3本と低調だったが、低調なりに敵をいなし、時間を使いきってスコアレスに持ちこんだところにフィッカデンティ監督の変わらぬリアリストぶりを感じる。昨季、我々が稼いだ勝ち点は相手からはまさにこう見えていたはずで、「内容的にはいいところもあったが決定力が足りなかった」と見えてしまうということは敵の術中にはまっていたということかもしれない。
連敗中は「決定機を決めきれなかった」「決定力が足りなかった」というコメントに「それよりまず失点を何とかしろ」と思ったものだが、完封してようやくこうした感想を口にできる試合になった。勝ち点1を取って初めて得点できなかったことを悔やむ資格ができたということだ。
だが、そういう意味では無失点はスタート地点。無失点での勝ち点1という最低限の結果を得たとはいうものの、この結果に満足する訳には行かない。ようやくやるべきことの優先順位が整理され、次に進むベースが構築できつつあるという感触でしかなく、それがシーズンのこの時期だというのが既に決定的に遅すぎ。
残り全部勝つ勢いで行かなければタイトルなど覚束ないところに、この勝ち点2の取りこぼしは痛い。勝たなければならない試合だったし勝てた試合だった。そう口に出せるだけの最低限の資格だけは得られたことを慰めにするしかない。
来週火曜日にはACLラウンド16の上海戦のホームでのファースト・レグがあり、翌週にはアウェイでセカンド・レグを戦う。まずはそれに集中しなければならない。ターン・オーバーを図るか、形になりつつある現在のメンバーを固定するか。難しい舵取りは続いて行く。
評点(評点は
ドイツ式
):
秋元(3.5) ハイボールの処理がやや心許なかったがクリーンシートは守った。
徳永(4) 徳永からの長いボールが前線にほぼ収まらず。縦に行くのは封印か。
森重(3) 敵FWと勝負になる前に身体をぶつけてリスクを未然に排除した。
丸山(3.5) 役割期待が整理されてプレーがシュアになってきた。いい傾向だ。
小川(4) まだパフォーマンスにムラがあるしリスクもある。使い続けたい。
高橋(3) ここがチームの結節点になることで全体が動きやすくなっている。
河野(4) 田邉とのコンビが引き続き面白い。ここに来て特徴が生きている。
田邉(3.5) 全体を見たプレーができているし、ボールを持っても安心感あり。
米本(3.5) 高橋がいるのでボールを狩りに行ける。パス出しも悪くなかった。
阿部(3.5) ボールを持つ度に必ずチャレンジするのがいい。イヤがられてる。
前田(4) ポストに終始してしまいシュートは1本。動ける余地少なかった。
===
水沼(3.5) 元気に走り回って存在をアピール。自信持ってやり続けていい。
橋本(3.5) 最後のシュートは惜しかった。ポジション捨てる判断を磨きたい。
平山(3.5) 与えられた役割は果たした。小川とのコンビネーション作りたい。
まあ、リーグ戦2戦完封、公式戦3試合負けなしと、いい流れが台なしになった訳ではないし、「引き分けの価値はその次の試合の勝敗で決まる」というフットボール格言からすれば、次につながる最低限の結果を出したことはネガティブではないと考えて、次節、大阪戦に勝つしかない。
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FC東京
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J1リーグ戦
2016年05月09日 22:56
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【ブンデスリーガ第33節】グラードバッハ×レバークーゼン
■2016年5月7日(土) 15:30キックオフ
■Borussia-Park
ブンデスリーガも残り2試合。全試合同時キックオフの季節になった。3位と4位の好カードということか、どちらのクラブにも日本人選手がいないにもかかわらずスカパーで中継あり。ただし先週に続いての録画中継となり、日曜日の朝早く起き出して見た。
既にレバークーゼンの3位は決まっており、グラードバッハとしては混戦の中何とか4位を確保してCL予選枠を確保したい。7位までが熾烈な争いとなっており、この試合では勝ち点3が必要だ。
ホーム最終戦とあってグラードバッハは来季のユニを着用。白黒の大きな横じまでラグビー・ジャージのようだ。パジャマにも見える。試合前には今季限りでクラブを去るシュトランツル(引退)、ノードファイト(移籍)、ブラウアース(移籍)、フルゴタ(移籍)らの送別セレモニーがあったようだ。
奥さんに付き添っていたシュティンドルが先発に復帰、アザールがベンチ・スタートとなった他は前節と同じ布陣に。
ゾマー
エルヴェディ クリステンセン ノードファイト
トラオレ ダフード シャカ ヴェント
シュティンドル
ハーン ラファエル
勝利の必要なグラードバッハが既に3位を固めたレバークーゼンに対して攻勢に。開始早々左サイドでトラオレのパスを受けフリーになったヴェントのシュートはポストをヒット(1分)。さらに9分にはカウンターから縦パスを受けて裏に抜け出したトラオレのシュートはわずかにバーの上。立て続けにチャンスを作る。
しかし前がかりになったところではレバークーゼンのカウンターも鋭く、何度かゴールを脅かされるがゾマーに救われる。グラードバッハ優勢だが、テンポが早くトランジションの多いハイ・テンションの展開になる。
20分、サイドに追いこんだところから中央にボールを戻され、ここから裏に短いパスを出されて飛び出しを捕まえきれず、流しこまれてゴール。0-1と先制を許す。勝たなければならない試合で思いビハインドを背負う。
先制したレバークーゼンが自重したか、試合はやや落ち着いた流れに。グラードバッハはボールを持つが攻めきれない時間帯になる。しかし43分、右サイドから切れこんだトラオレのシュートを敵GKが弾いたところにハーンが詰めてこれを押しこんでゴール。前半のうちに1-1の同点に追いつく。
後半開始早々の54分、トラオレのシュートは敵GKにセーブされる。これで得たCKのこぼれ球をラファエルがエリア外から狙うがボールはGK正面に。一方レバークーゼンもチャンスには一気に人数をかけてグラードバッハ・ゴールを狙う。拮抗した戦いになる。
バランスを崩すのを嫌ったか、あるいはシュトランツルとブラウアースを投入したかったからか、交代も遅く、77分、ようやくダフードに代えてアザールを投入。
79分、左サイドのヴェントからのクロスに中央でシュティンドルが合わせるがミートできず、ボールはそのままファーに流れる。ここに走りこんだハーンがこれを叩きこみゴール。グラードバッハが2-1と逆転に成功する。
81分、トラオレに代えてヘアマンを投入。さらに87分にはラファエルに代えてシュトランツルを投入してそのまま試合をクローズ。グラードバッハが逆転で勝ち点3を確保した。
地力のあるレバークーゼン相手に果敢に前に出て、先制を許したもののハーンの2発で逆転、貴重な勝利を得た。後ろには怖さもあったが、失点は1点に抑えることができたのも大きい。ホーム最終戦にふさわしく、最後まで集中の切れないナイス・ゲームだった。
これでグラードバッハは勝ち点を52に伸ばし4位を維持。5位以下は勝ち点49でマインツ、ヘルタ、シャルケが並んでいるが、得失点差はそれぞれ4、0、-1。得失点差が15あるグラードバッハは、最終節にたとえ負けてもこれらのクラブにひっくり返される可能性は低く、4位はほぼ手中にしたと言っていいだろう。
総括は最終節が終わってからにするが、5連敗からスタートし、シーズン後半はアウェイでまったくかてないなどしんどい思いもした割りに、CLという大きな目標はきちんと果たしたことになる。勝ち点が最高でも55で4位というのは混戦のおかげのラッキーだが(昨季は勝ち点66)、前節バイエルンとの引き分け、今節レバークーゼン相手の逆転勝ちと、締めるところはきちんと締めることができた。
最終節はダルムシュタットとのアウェイ戦だが、勝って有終の美を飾りたいところだ。
アンドレ・シュバート監督談話:
「我々は4位に食らいつくために、この勝ち点3がどうしても必要だった。この順位を手にするために、状況がどうなっていて、他のクラブがどう戦ってくれねばならないかということにはほとんど興味がなかった。我々の関心事は、メンタルをしっかり持って、決定的な状況でクールさを失わないことだった。いくつかのシーンで、我々が試合に集中しているのが分かったと思う。文字通り打ち合いになり、レバークーゼンはリスクを冒して前を向いて攻めてきた。しかし我々のチームは大きな仕事をし、強みを見せてくれたし、この勝利はそれにふさわしいものだ。アンドレ・ハーンはその素晴らしい精神力を改めて証明してくれた。際限なく走り続け、チャンスを逃した後でも動き続けた。それがモノを言った」
解説の鈴木良平さんが、中継も終わりがたになって、「見たことないユニフォームですね」と急に言い出したの笑った。ホーム最終戦で来季ユニのお披露目するの知ってるでしょ。
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ブンデスリーガ
2016年05月09日 00:29
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【Jリーグ第11節】湘南×FC東京
■2016年5月8日(日) 16:00キックオフ
■Shonan BMWスタジアム平塚
ああ。
連休が終わる。
連休最後の日曜日、天気もよく、Tシャツの上にジャージを羽織って平塚に。福岡戦はひどい敗戦だったが、ベトナムでのビン・ズオン戦では何とかリカバーを見せた東京が、この試合でその流れをしっかり定着させることができるか、現在の順位から見てもアウェイながら勝ち点3の必要な試合だ。
東京は中盤を大胆にターン・オーバー。ビン・ズオン戦でいい動きを見せた高橋をそのまま起用した他は、田邉、河野、米本とフレッシュなメンバーを起用、また前線もバーンズに代えて阿部を起用した。事前の予想では4-4-2だったが、始まってみれば高橋をアンカーに置いた4-3-3または4-1-4-1という布陣だった。
なお、ムリキ、ハ・デソンは同日のJ3・YSCC横浜戦に出場しており、この試合はベンチ外。ムリキは終盤に何とかして1点欲しい時の要員として必要ではないかと思ったが、まあ、ベンチには平山、バーンズがいるので、ムリキはコンディション調整優先ということか。
秋元
徳永 森重 丸山 小川
田邉 高橋 米本
河野 前田 阿部
試合は序盤から東京がボールを支配、河野、田邉を中心に少ないタッチ数でボールを動かすアグレッシヴな攻撃からリズムを作る。湘南は攻守の精彩を欠き、ほぼチャンスを作らせず。
20分、小川のパスを受けた田邉が左サイドからクロスを入れると、河野が頭で突き刺しゴール。東京が1-0と待望の先制点を得る。流動的にポジションを交換しながら左サイドでゲームを作った結果が出た。
リードを得た東京は、しっかりとボールをキープしながら時間を作り、敵の隙を見ては前線に展開する形で主導権を握る。ゴール前まで運ばれるシーンもあるものの、アンカーの高橋がリスクのある部分にきちんとふたをしており危なげなし。1-0とリードを保って前半を終えた。前半は湘南をシュートなしに抑えた。
後半に入っても流れは変わらないが、徐々に疲れが出始めたか、前半よりは低いラインで対応する時間が増えて来る。59分、河野に代えて橋本を投入、橋本がインサイド・ハーフに入り、田邉がワイドに。
橋本の守備がやや曖昧になり中盤でボールを持たれる時間も長くなるが、敵の拙攻もあり決定的なシーンは作らせない。74分、田邉に代えて羽生を投入、羽生がインサイド・ハーフに入り橋本がワイドにスライド。
その後も東京が試合の流れをグリップするものの、湘南の攻撃を受け守勢に。チャンスは単発になり、セット・プレーや敵失から追加点を挙げたいところだがリスクは取れず、難しいゲーム・マネジメントを強いられる。しんどい時間帯になる。
しかし、この時間帯も高橋を中心に、ピンチの一つ手前のプレーでしっかりと対応ができており、単発での危ういシーンはあるもののバランスよく湘南の攻撃を跳ね返せている。
アディショナル・タイムには阿部に代えて水沼を投入、何とか試合をクローズし、1-0と最少得点で勝ち点3を得た。
正直、湘南があまりに今ひとつで圧力をほぼ感じなかったこともあって、やるべきことを整理するにはちょうどいい試合になったのは事実。とはいえ、前半の早い時間帯にインテンシヴに点を取りに行き、その後はしっかりと切り替えをしながら早い段階でリスクの芽を摘んで、押しこまれた時間帯も冷静に我慢することができた。
追加点が欲しかったしすべてがうまく機能していた訳ではないにせよ、できることとできないことを仕分ける中で、追加点が奪えないなら失点しないというバランスを最後まで崩すことがなかったのは大きな進歩。完封は高く評価すべきだと思う。
個別に見れば高橋がアンカーとしてスペースを埋め、ピンチにつながるひとつ手前でつぶせていたのは大きかった。これまでなぜか出場機会を与えられてこなかったが、中盤が留守になってDFラインが個で守らざるを得なくなるような、ここ数試合の典型的な失点パターンに対して有効な手立てとなったと思う。
出場機会を得られず歯がゆい思いをしたかもしれないが、中盤の底は高橋を軸に考えるべきだと思った。この働きは米本にも、梶山にも、ハ・デソンにもできないものだと思う。
攻撃では田邉が進境著しかった。ボールを持って時間を作ることもできるし自分で仕掛けることもできる。また守備でもボールホルダーへのアプローチが的確で、遅らせるところと取りに行くところの区別もはっきりしていた。渡西前はムラのある選手だった印象だが、アイデアと手堅さのバランスの取れたいい選手に成長したと思う。田邉がこのポジションで存在感を発揮すると層は厚くなる。
また、田邉と河野のコンビネーションもよかった。河野はひとりで頑張ってしまい、うまく行かないと投げてしまうところがあるが、田邉というパートナーを得て、水を得た魚のように互いのアイデアを交換し合う、ラテン系のクリエイティブなフットボールができていた。
東京はリーグ戦1ヵ月ぶりの勝利で勝ち点を13に伸ばし、順位を暫定で12位に上げた。最悪の時期は脱した感もあるが、まだまだ順位表の下半分であり、この流れをつなげて行くことが必要。流れを変えるという意味では勝ち点3以上の価値があった勝利だが、今の順位や勝ち点を考えても、当面は結果を出し続けるしかなく、問題が雲散した訳ではない。
まずは結果を積み上げることで内容はよくなって行く。その中でこそやりたいフットボールが見えて来る。やるべきことの優先順位がようやく整理されつつある感触を得た重要な試合だった。
評点(評点は
ドイツ式
):
秋元(3.5) 古巣相手に試される機会少なかったがキャッチングは安定していた。
徳永(3.5) ベテランらしく落ち着いてバランスを取った。ここ数試合に比べて安定。
森重(3) 高橋が戻ってきたことで森重もやりやすそうに見えた。完封は立派。
丸山(3.5) 高橋がいることで役割が整理され、眼前のタスクに集中できた。
小川(4) 前半は攻撃に絡んだが後半は守備に追われた。まだまだ勉強中。
米本(3.5) 高橋との役割分担がはっきりして特徴が出せ落ち着いてプレーできた。
高橋(2.5) このポジションが安定することで周囲の動きが整理された。MOM。
田邉(2.5) 縦横にボールを受け、キープして時間を作った。いい選手に成長した。
河野(3) 田邉とのコンビがヒット、得点も偶然ではなかった。特徴が生きた。
前田(4) 前線で身体を張り続けたが自身ではシュート1本にとどまった。
阿部(3) 積極的にボールにアプローチして何度か決定的なチャンスを作った。
===
橋本(4) インサイド・ハーフでは空回り。守備ではリスク高く使い方難しい。
羽生(3) 橋本に代わって危険なスペースを埋め、滞りかけた流れを戻した。
水沼(-) 時間短し。
高橋の絶賛で終わった試合。
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FC東京
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J1リーグ戦
2016年05月04日 23:50
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【ACL第6節】ビン・ズオン×FC東京
■2015年6月4日(水) 17:00キックオフ(日本時間19:00)
■ビン・ズオンスタジアム
グループ・ステージ勝ち抜けのかかった最終節。東京は勝てば他の試合の結果に関係なく勝ち抜けが決まるが、引き分けだと全北が江蘇に勝った場合のみ勝ち抜け、負けると敗退となる。
ビン・ズオンは既に敗退が決まっているが、これまでホームでは江蘇に引き分け、全北にも勝っており侮れない。35度を超すアウェイ・ベトナムの蒸し暑さの中、勝ち点3をもぎとるのは容易ではないと考えなければならないだろう。
東京は不動のスタメンだった徳永、米本をベンチに置き、橋本、高橋をスタメン起用。炎暑対策もあってかフレッシュなメンバーで試合に臨む。前線は前田とバーンズの2トップ、SHには東と水沼が先発するなどターン・オーバーを実施した。
秋元
橋本 森重 丸山 小川
水沼 ハ・デソン 高橋 東
前田 バーンズ
試合は東京主導の展開に。東京はボールを保持しながら、水沼、東を起点にチャンスを作る。10分、水沼からのクロスをファーで受けた前田がゴール前に落とし、GKと一対一になった東がシュートを放ったが枠を超える。
一方、ビン・ズオンは奪ったボールをシンプルにトップに当てて来るが、これが収まると面倒くさいことになる。森重、丸山が身体を寄せて自由にはさせないが、対応は簡単ではない。
21分、水沼がエリア近くでボールをキープ、橋本のオーバーラップを待ってパスを出す。橋本はトラップでボールをエリア内に置き、ここから中央へ折り返し。ガラ空きになったファーに飛びこんだ前田が難なくこれを頭で押しこみ先制。東京が1-0とリードを奪う。橋本のトラップの置き方で勝負あった感。
リードを得てリスクを嫌う東京は、しっかりボールをつなぎ、敵の攻撃をいなしながら追加点のチャンスを窺う展開に。22分、敵FWが意表を突くミドルを放つが秋元が反応してセーブ。鋭いシュートが想定外のタイミングに枠に来ており怖い。
給水タイムをはさみ、東京が慎重に試合をコントロール、44分には再び敵FWにミドルを放たれポストをヒットされるシーンがあって肝を冷やしたが何とかしのぎ、1-0で前半を終えた。
後半に入っても東京が主導権を握った状態で試合が進む。51分、敵のパスミスをさらったバーンズがそのままドリブルでカウンターを仕掛けるが、敵DFをかわして放ったシュートはバーの上へ。
右サイドを並走した水沼を使う手もあったし、せめて枠に飛ばしたかったシーン。様子を見ながら追加点のチャンスを窺う局面では、敵のミスやカウンターのチャンス、セット・プレーは決めきらなければならない。
55分、先ほどのバーンズと同様に敵陣で敵のパスミスを拾った前田が自ら仕掛ける。DFをフェイントで切り返してコースを作ると左足でシュート。これがネットに突き刺さり追加点となる。2-0とリードを広げる。前田のシュート力が生きた。
その後も東京がボールをコントロールするが、攻め急がず、パスを回しながら敵のほころびを待つ。63分、バーンズに代えて田邉を投入、田邉は左SHに入り、東がトップに上がる。さらに66分、ハ・デソンに代えて米本を投入、米本はそのままボランチに。バーンズは消耗を考えての交代、ハ・デソンは軽いプレーが目立ち、米本を入れて守備を引き締めたいとの意図か。
しかし、直後の67分、敵FWがスルー・パスを受けてエリアにドリブルで入りこんだところを、後ろから追いかける形になった丸山が足をかけて倒してしまいPKを献上。これを決められて2-1と1点差に詰め寄られる。
消耗が激しい中、終盤にかけては防戦に追われる展開に。75分、足をつった東に代えて阿部を投入。ボールをキープして自陣から遠ざけ、時間を使いながら敵の攻撃をしのぐ。バーを直撃するミドルを打たれるなど厳しい局面もあったが何とか耐え、2-1で逃げきってラウンド16への進出を決めた。
江蘇が全北と引き分けていたので、仮に追いつかれていればグループ・ステージ敗退となっていた。PKで追いつかれ、その後もバー直撃のシュートを打たれるなど最後は我慢の時間となったが、何とか勝ちきって次のラウンドにコマを進めたのは大きかった。
早い時間に先制した後、ムリに前がかりになって追加点を取りに行こうとせず、ボールをコントロールしながら時間を使い、隙を見て少ない手数とリスクで攻撃を仕掛け、フィニッシュまでやりきるというリスク管理が徹底されていたのは大きな進歩。
先に書いた通り、そうしたやり方でも敵のミスやセット・プレーなどでチャンスは必ず巡ってくるのであり、そこを決めきることができるかどうかが勝負になる訳だが、そういう意味では敵失を見逃さず追加点を決めた試合運びも高く評価するべきだ。とにかく勝利という結果がでたことは大きい。結果を燃料にドライブして行くことを意識したい。
しかし、一方で守備に危うさが残ったのも事実で、再三に亘りフリーで危険なミドルを打たれたり、危険なラストパスを手前で止められずファウルで止めてPKになったりと、組織としての約束ごとがまだまだ甘いことを感じさせた。
敵の拙攻、シュートミスもあって何とかPKの1失点のみにとどめたが、これが浦和や鹿島のようなJリーグの上位クラブや、ACLのノックアウト・ステージでは見逃してもらえないだろうと思った。
久しぶりに出場機会を得た高橋は、序盤こそ不用意なファウルを連発して危うさを感じさせたが、尻上がりに調子が出て危ないスペースを埋めた。この働きができるのは高橋しかないと感じさせ、今の東京の欠けているピースのひとつではないかと実感した。
一方で、ハ・デソンはボールを軽く扱ってロストするなど規律を欠くプレーが多く、リスクを感じた。梶山の悪い時を見るようなお粗末さだった。交代もやむを得ないと思う。
ACLでは5月中旬から下旬にかけて、上海とラウンド16をホーム&アウェイで戦う。しかし、その前に週末の湘南戦(A)、鳥栖戦(H)と、難しい相手とのリーグ戦が待っている。今日の試合で取り敢えず相応の形は作ったものの、この勢い、流れをリーグ戦にどう持ち帰れるかがポイントになる。
ゲーム・プランの整理はできたものの、守備戦術が確立したとは言い難く、監督の更迭やACLとリーグ戦の両にらみも含め、この先の戦いの見極めはかえって難しくもなった。クラブは城福監督を更迭する気は今のところなさそうだが、リーグ戦が危機的状況にあることは変わらない。
評点(評点は
ドイツ式
):
秋元(3.5) PKはノー・チャンス。それ以外のシュートはよく防いだ。
橋本(3.5) 1点目のアシストは見事。攻撃に特徴を見せてアピールできた。
森重(3) 個の働きより、主将としてチームを方向づける役割が重要な局面。
丸山(4.5) PK献上は痛恨。個人で何とかしようとし過ぎていないか。
小川(4) 難しい試合になったが無難に役割を果たした。成長している。
水沼(3.5) ムダ走りで試合を作った。自信を持って進んでいい。
ハ・デソン(4.5) お粗末なボール・ロスト散見、力を見せられず。
高橋(3.5) 尻上がりに調子が出た。守備の安定は高橋の起用がカギでは。
東(3.5) 献身的に走り回って最後は足がつった。シュートは枠へ。
バーンズ(3.5) カウンターは決めたかった。好調は維持できている。
前田(2.5) ゴールはどちらも高い技術と経験の賜物。固め取りの前田健在。
===
田邉(3.5) 緩急をつけて試合をコントロール。安定感が出てきた。
米本(3.5) 終盤のピンチをしのいだ。高橋とのコンビネーションがいい。
阿部(-) 時間短し。
湘南戦はすぐそこ。出場した選手の疲労もあり、どうターン・オーバーするか。厳しい戦いは続く。
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FC東京
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ACL
2016年05月03日 19:54
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■
【J3第7節】FC東京U-23×栃木
■2016年5月1日(日) 14:00キックオフ
■味の素フィールド西が丘
いい天気になった連休の日曜日。例によって12時まで所用があり、そこからコンビニでサンドイッチを買って電車に飛び乗り西が丘を目指した。
東京は開幕出遅れたものの、ここ2試合は1勝1分と流れをつかみつつある。ホームでしっかり勝ち点を積み上げて足場を確かなものにしたいところ。
しかし、トップは金曜日にJ1の公式戦を終え、4日のACLビン・ズオン戦に向けてベトナム遠征がある上、U18は当日に公式戦がかぶってしまい苦しい人繰り。したがって、ベトナム遠征に帯同しないトップの選手でメンバーを構成せざるを得ず、ベンチの交代要員は3人のみという厳しい状態に。
そんな中、ACLでは登録の関係上グループ・ステージに出ることのできないムリキが先発。ムリキは福岡戦で後半途中から30分以上プレーしているが、この試合は自ら申し出ての出場だったらしい。その意気を買いたい。CBにU18の岡崎が入った以外には一種契約の選手ばかりの先発となった。
圍
柳 吉本 岡崎 野澤
平岡 佐々木 幸野 ユ・インス
林 ムリキ
試合は拮抗した展開に。東京は幸野が下がり目でボールを受け、敵のプレスをかわしながら左右に配球、また佐々木に渡して前に運ぶなど、臆することなく落ち着いて試合を作ろうとする意図が窺える。
サイドではユ・インスの積極的な仕掛けや柳・平岡のコンビネーションもあり、チームとしての連係が高まっていることが感じられて悪くない。
しかし、19分、人数が揃っている状況からミドルをたたきこまれ0-1と先制を許す。アプローチが遅れた感はあったが、どちらかといえば敵のシュートを褒めるべき失点か。
東京はその後も積極的にボールを動かし、一歩も引くことなく戦いを進める。ムリキはボールを求めて降りて来ることも多く、パスを受けると反転してドリブルで仕掛けるが、エリア前で囲まれてボールを失ったり、ワンツーを求めて味方にパスを出してもボールが帰ってこなかったり。
苛立ちを見せる局面もあり、特に失点の後はややモラルが落ちたようにも見えたが、辛抱強く連係を探り続ける。28分、ユ・インスがドリブルで敵エリア内に入りこむと、敵DFがこれを倒し東京がPKを得る。
31分、このPKをムリキが敵GKの動きを慎重に見極めて決め1-1の同点に。PKとはいえ、前半のうちにきちんと追いつけたのは大きかった。
その後は主導権を争う厳しい展開となり、互いに大きなチャンスを作れないまま前半を終了する。
後半に入っても流れは変わらず、一進一退の攻防となる。52分、敵CKのこぼれ球を拾った平岡が、そのまま快足を飛ばしてドリブルでカウンターを仕掛ける。敵DFを振りきり、エリアまでたどり着くが、ここで迷いが出たか、並走したムリキに横パスしようとして中途半端になり、敵DFに引っかけてしまう。
自分で決めるべきシーンで、ムリキからも背中をたたかれて労われていた。平岡はこのシーンについて「自分のドリブルに一緒について来る味方がいるということがなかったので迷いが出てしまった」とコメントしてらしいが、おそらくリーグでもトップ・レベルのスピードと、その以外のプレーの質という課題が出てしまったシーン。ここがクリアできればこの速さは素晴らしい武器になると思った。
その後も互いに攻撃を仕掛けるが守備も集中しており決定的な形はなかなか作れない。交代要員のすくない東京だったが、72分、足をつった平岡に代えてユースの生地を投入。最後にはアディショナル・タイムに幸野に代えてユースの鈴木を投入したが逆転はできず、結局1-1の引き分けに終わった。
勝ち点3を得ることができなかったのは残念だが、開幕当初の試合に比べると、このカテゴリー、このチームで何をするかということが随分整理され、そこで戦うひとりひとりにしっかりとした覚悟のようなものが窺えて、格段にいい試合ができていたと思う。
前半に1点を失ったが、PKで追いつき、その後は一歩も譲ることなく勝ち点1を守ったのは評価されるべき。このカテゴリーで結果を出すべき平岡、ユ・インス、幸野、野澤、柳、佐々木らがしっかりハード・ワークして試合を作ったのが印象的だった。ここで頑張った選手がしっかりとトップに絡めるようなチーム・マネジメントを期待したい。
また、オーバー・エイジだが吉本の頑張りも素晴らしかった。前線に放りこまれる敵の長いボールをことごとくはね返し、サイドからもチャレンジやシュートに対しても身体を張り、さすがJ1でレギュラーを張っていた選手は違うという格の違いを見せた。彼もトップで使いたい。
ムリキは反転した後の爆発的な初速があり、一方でシンプルでボールを捌いて味方を使う割りきりやクレバーさも見えて、連係がなじんでくれば大きな戦力になると感じた。トップに張るセンター・フォワードというよりはサイドに置いて生きるタイプに見え、その意味ではカボレやルーカスなどともイメージが重なる。
今はまた、上述の通りワンツーが帰ってこなかったり、味方に出すパスを受けてもらえなかったりと試行錯誤も多かったが、インテンシブに練習、実戦を重ねればフィットできると思う。最初は我慢して使うことが重要で、トップでひとつ流れからのゴールが出れば調子に乗って行ける。
この日は、試合終了後に栃木サポに挨拶に行き、試合後のロッカーでは若手に「90分プレーするのをサポートしてくれて有難う」と礼を言ったという報もあった。真面目な性格のようだし、馴染めばイケるぞ。
一方で、林はプレーに迷いがありいいところが出せなかった。特にポストが不正確でチャンスをつぶすことが多く、前線でも身体を張った割りに報われない残念な日に。特異な形に持ち込めず、結果も出なかった。FWであり、まずは得点が欲しい。ムリキに遠慮した面があったかもしれないが、もっと我を出して要求してもいいのではないかと感じた。
U23はここ2試合見ていなかったが、若手をこのカテゴリーで使うことの意義がようやくはっきりしてきたと思う。戦略、戦術の浸透・深化を図りながら、トップとシームレスなプレイヤーズ・プールを作るための場。そのやり方でJ3を圧倒することが必要だ。道半ばだが正しい方向に足を踏み出したことは確認できたように思った。
このカテゴリーの試合はスカパーで中継がなく、ホーム・ゲームもJ1と日程がかぶるときつい。行ける範囲で行って、見た試合はレポートするが見なかった試合までは拾わないことにする。
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FC東京
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J3/FC東京U-23
2016年05月01日 22:56
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【ブンデスリーガ第32節】バイエルン×グラードバッハ
■2016年4月30日(土) 15:30キックオフ
■Allianz-Arena
バイエルンの優勝が決まる可能性のある試合であり、当然スカパーで中継があるものと思っていたら、夜中1時からの録画中継とはどういうことだ。確かにどちらのクラブにも日本人選手はいないが、優勝の瞬間を中継しなくていいのか。
仕方なく中継を録画、日曜日の朝早く起きて見ることにしたが、不覚にも土曜日の夜に「先制点はミュラー選手」的なツイートを目にしてしまった。その後の情報は遮断して早々に寝たが…。ドイツ大使館の猫アカウント、余計なことつぶやきやがって。
グラードバッハはCL進出のためにはもうひとつも負けられない状態。この試合もアウェイながら勝ち点3を取りたいところだが、当然そう簡単に行く訳もないだろうということは分かっている。ホームでは完勝したがハードワークのあまり燃え尽き、その後の停滞を招いた。何とか勝ち点1を得て、目の前でバイエルンの優勝が決まるのは阻止したい。
バイエルンはCLの準決勝の間の試合ということで大胆にターン・オーバーを実施。準決勝の第1試合に負けており、ほぼ優勝の決まっているブンデスリーガよりはCLに力を集中したいところだろう。つけ入る隙はあるはずだ。
グラードバッハは前節と同じ布陣。シュティンドルはチームに合流したがベンチ・スタートとなった。
ゾマー
エルヴェディ クリステンセン ノードファイト
トラオレ ダフード シャカ ヴェント
アザール
ハーン ラファエル
試合はいきなり動いた。6分、左サイドからの敵CKにファーでヘディングされたボールがゴール前へ。ゾマーは飛びこんだ敵FWをケアしたがボールはFWに触れず、そのままニア側のサイドネットに引っ掛かるようにインしてゴール。アクシデンタルなゴールで0-1と先制を許してしまう。
しかしグラードバッハは下を向くことなく高いモラルでバイエルンに挑む。ホームの時と同様、前線からのアグレッシヴなプレッシングでバイエルンに攻撃の形を作らせず、中盤でボールを奪っては少ないタッチ数でボールをつないで攻め上がろうとする。
バイエルンはワン・チャンスでゴールに迫る力があるだけに拮抗したハイ・テンポ、ハイ・テンションの展開になるが、グラードバッハはハード・ワークを厭わず自陣から敵を遠ざけることで守備と攻撃の両面でアドバンテージを得ようとしているように見える。
互いに何度かチャンスを作るもののシュートはほとんど打てず。時間とともにバイエルンがボールを持って仕掛けるシーンが多くなって行くが、プレスをかいくぐられても帰陣は早く、自陣でも集中した守備で追加点は許さない。というか追加点を与えると試合が終わってしまう。
互いに3本程度のシュートしか打てない状態で、何とか0-1で前半を終える。バイエルンのやりたいようにはやらせていないが、グラードバッハもゴールにはほとんど迫れていない。後半勝負になるが、このまま0-1だと目の前で優勝を見ることになる。
後半に入ってもグラードバッハがアグレッシヴなボールへのアプローチでバイエルンの攻撃を防ごうとするが、疲れもあってかアプローチのポイントは徐々に下がり、バイエルンにボールを持たれる時間が長くなる。
57分、アザールに代えてシュティンドルを投入。さらに61分にはトラオレに代えてヘアマンを投入し、前線をリフレッシュする。起点が低くなったことから逆にカウンターが繰り出せるようになるが、拮抗した神経質な戦いが続く。
69分、ヘアマンからのクロスにハーンが飛びこむがわずかに触れず。しかし、72分、シュティンドルのスルーパスを受けてオフサイドぎりぎりで裏に抜け出したハーンが、右に切り返して放ったシュートが敵GKの脇を抜け、ゴール右隅に決まり待望の得点。1-1と同点に追いつく。
勝ち越しを狙って前に出て来るバイエルンに対し、グラードバッハは明らかにギアを落として自陣で守る展開に。心臓にも胃にもよくない時間だったが、バイエルンは焦りが出る一方で大胆なターン・オーバーもあってか連動性を欠き、グラードバッハが身体を張って守る。
アディショナル・タイムにはラファエルに代えてホフマンを投入、何とか試合をクローズし、CLを狙う上で貴重なアウェイでの勝ち点1をバイエルンからもぎ取った。
もはや感動的なまでに献身的な運動量でバイエルンをシュート9本に抑え、失点も序盤のナゾのシュートのみ。それだけにその1点で負けると救われないところだったが、ハーンのゴールで何とか同点に追いついた。最初の失点で崩れずに、ビハインドを背負ってもゲーム・プランを遂行したこと、ワンチャンスをしっかり決めきったことが勝ち点を呼びこんだ。
勝ちたかったがそこまで優位だった訳でもなく、内容からすれば勝ち点1は妥当。2位のBVBがヴォルフスブルクに勝ったため、バイエルンはこの試合で優勝を決められず、ホームでのシャーレ授与を見せられる最悪の事態は避けられた。おそらくいろいろと準備していたものと思うが、それがムダになったと思うと溜飲が下がる思い。よくやった。
ヘルタがレバークーゼンに負けたため、勝ち点を49に伸ばしたグラードバッハは得失点差でヘルタを抜いて4位に浮上。しかし3位レバークーゼンの勝ち点が57となり、3位奪取は不可能となってしまった。
残り2試合、レバークーゼン(H)、ダルムシュタット(A)と戦うことになるが、CL予選出場権を得るためには4位を死守する必要がある。2連勝であれば得失点差からほぼ4位は確保できるが、5位シャルケが勝ち点48、6位マインツが勝ち点46と、ひとつでも負けると一気に分からなくなる。
もうあと2つ勝つしかないだろう。5連敗からチームを引き継いで、途中息切れもありつつここまでこぎつけたのは、リーグが混戦だったことを割り引いてもよくやっている。どこまでやれるか見てみたい。
アンドレ・シュバート監督談話:
「拮抗した試合になった。しっかりとボールを保持し、いくつかゴールのチャンスもあって、全体としてはうまくやれたと思う。しっかりと存在感を示せたことは非常に満足している。我々が押す局面もあったが、もちろんバイエルンが押す局面もあった。最終的にはこの勝ち点は妥当なものだと思う」
こういう試合をなぜ今までのアウェイでできなかったのか…。
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