フットボール・クレイジー
football crazy
silverboy club
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2016年06月27日 23:35
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【EURO2016ベスト16】ドイツ×スロバキア
■2016年6月26日(日) 18:00キックオフ
■Grand Stade Lille Metropole (Lille)
決勝トーナメントの第1戦、ベスト16の試合。日本時間月曜日未明1時のキックオフで、夜中に起きて見る選択肢もないではなかったが、結局朝4時半に起きて出勤までの時間に見ることにした。前の試合より30分早く起きたのは、延長、PKの可能性を考慮したためだ。
ドイツは大会直前の親善試合でスロバキアに1-3で完敗しておりイヤな相手。調整と本番でどれだけの違いを出せるか、順当に行けばドイツ優位の試合だけに、展開次第では逆に難しい戦いになることも考えられる。
左SHのゲッツェに代えてドラクスラーを先発させた他はグループ・ステージ最終節と同じ布陣。1トップにはこの試合もゴメスが入った。
ノイアー
キミヒ ボアテン フメルス ヘクター
ケディラ クロース
エツィル ミュラー ドラクスラー
ゴメス
北アイルランド戦と同様、ドイツが序盤からボールを支配、一方的にスロバキア陣内で試合を進める。
試合が動いたのは早くも8分、CKを敵がクリアしたボールが正面にこぼれたところに詰めたボアテンがエリア手前からダイレクト・ボレーを放つ。ボールはDFに当たって軽くコースが変わりそのままゴール左隅へ。ドイツが早い時間帯に1-0とリードを奪う。素晴らしいシュートだった。
13分、ゴメスがエリア内で敵DFに倒されPKを得る。エツィルがこれを蹴るが完全にコースを読まれてセーブされ追加点ならず。その後もドイツがボールを支配、少ないタッチ数で速いパスをクリティカルなポジションに通しチャンスを作る。
一方のスロバキアはドイツのゲーゲン・プレッシングを受けて奪ったボールもなかなか前線に展開できず、クリアもセカンド・ボールを拾えない。ようやく41分、敵FWのヘディング・シュートをノイアーが腕一本でセーブするシーンがあったのみ。
43分、ドラクスラーが左サイドの深いところからドリブルでエリア内に入りこみ、中央に短いラスト・パス。ニアに入ったゴメスがダイレクトにこれを押しこんで2-0に。ドイツが前半終了間際に貴重な追加点を得る。
後半に入るとスロバキアが積極的に前に出て主導権を握る。この時間帯はポゼッションに勝るスロバキアがドイツ陣内で攻撃を仕掛けるが、ドイツの守備も集中しており得点は許さない。親善試合でドイツを苦しめた片鱗を窺わせた。
しかし、63分、右FKがファーに流れたところをフリーになったドラクスラーが至近距離からボレー。これがネットに突き刺さりドイツが3-0とリードを広げる。苦しい時間帯だっただけに流れを一気に引き戻す重要なゴールだった。足は上げ過ぎだが見事なシュート。
こうなるとドイツは余裕で試合をクローズしに行く。72分、ボアテンとドラクスラーに代えてヘヴェデスとポドルスキを投入。さらに76分にはケディラに代えてシュヴァインシュタイガーを投入するなど着々と手を打つ。
残り時間もボールを支配しながら時計を進め、結局3-0でスロバキアに快勝、準々決勝にコマを進めた。
早い時間に先制できたことで余裕のある試合展開。押しこまれる時間もあったが落ち着いてしのぎ、効果的に加点して圧勝した。数字を見てもシュート数21-7、CK8-1、ポゼッション61-39と圧倒的にドイツの優勢だった。
ゼロ・トップで流動的に前線がポジションを交換する戦術から、ここ2試合はゴメスをトップに置いたオーソドックスな4-2-3-1システムにしているが、はっきりしたターゲットがある方が戦いやすいということか。
必ずしも絶好調という訳ではないが、それぞれの試合で最低限やるべきことを形にしてきた結果、内容もそれに連れて固まってきた感がある。この辺がおそらくは強豪国の持つ積み上げの力。結果から逆算した戦いが特に注文しなくてもできているし、見ている方もそれが当然だと思っている。
ほぼワンタッチで速いパスがそこそこ距離のあるところまでスパスパ決まることで、敵に対応する時間を与えず攻撃ができている。引かれてもチャンスが作れるのはこのオートマティズムによるところが大きい。北アイルランド戦ではフィニッシュのところで敵GKの好守に阻まれたが、この試合ではそこを決めきって3点を挙げた。
守備に不安があるとも指摘されていたが、この大会はここまで無失点。ノイアーのセーブもあるが、ボアテン、フメルスのCBが安定しているのが大きい。準々決勝はイタリア×スペインの勝者との対戦で、どちらが来ても厳しい試合になるが、いよいよここからだ。
評点(評点は
ドイツ式
):
ノイアー(3) 数少ないピンチも好セーブでしのぐ。出番少ないのが悩み。
キミヒ(3.5) 思いきりのいい攻撃参加でチャンス・メイク。進境著しい。
ボアテン(2.5) 先制点は技術の高いゴール。守備でも盤石の強さを見せた。
フメルス(3) 押しこまれた時間帯も落ち着いて対応。風格が出てきた。
ヘクター(3.5) 左サイドで起点になったがクロスは今ひとつ中に合わず。
ケディラ(3.5) いいポジショニングで隙間を埋めたが記憶には残らず。
クロース(3) プレース・キックで存在感見せた。強烈なシュートもGK正面。
エツィル(3.5) PK失敗は痛恨。サイドに張っても試合の流れをグリップ。
ミュラー(4) この大会ではゴールが決まらないことになっているようだ。
ドラクスラー(2.5) 価値の高いダメ押し。左サイドを掣肘下に収めた。
ゴメス(3) 過去の人かと思っていたがまだまだ働ける。ドイツを救った。
===
ヘヴェデス(-) 時間短し。
ポドルスキ(-) 時間短し。
シュヴァインシュタイガー(-) 時間短し。
次はようやく週末に試合が見られそうだ。
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ドイツ代表
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EURO2016
2016年06月26日 20:34
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【FC東京】2016シーズン前半レビュー
このシーズン前半は何だったのか。
昨季、我々はフィッカデンティ監督の下、クラブ最高となる勝ち点63を挙げ、3位と得失点差の4位になった。だれもが2016年はフィッカデンティ体制の総仕上げの年、このフットボールを完成させてタイトルを狙うのだと思っていた。
しかし、最終節を前にフィッカデンティ監督と契約を更新しない方針が報じられ、マッシモ・フィッカデンティはクラブを去った。後任は2010年、シーズン途中で解任された城福浩となった。
確かにフィッカデンティ監督のフットボールには具体的な攻撃のメソッドが感じられず、このままチームを任せても果たして上積みが期待できるのかどうかは微妙なものがあった。また、監督とクラブ、選手との間の信頼関係が失われていることを示唆する報道もあり、おそらくはクラブとしても苦渋の選択として解任を決めたのだろうということが想像された。
そうであれば、ということで僕は監督交代を受け入れた。いや、一サポにとって受け入れないという選択肢はどのみちないのだが、納得して城福体制をしっかり後押ししようと決めたのだった。
クラブから示されたビジョンは、2015年の固い守備、勝利にこだわる強いメンタリティをベースに、その上で試合を主体的に動かす能動性を積み上げた「アクション・フットボール」というコンセプトだった。そのポイントは三つ。
まず第一に、昨季までの守備のベースは今季においても我々の根幹をなすものとして継承すること。勝ち点63という実績を挙げた昨季の戦い方の中でも、リスク管理から発想し、結果から逆算する戦術はしっかりと根づかせること。これまでの戦いをご破算にするのではなく、昨季の実績を踏まえてそこからさらに先に進むための監督交代であることだ。
第二に、その上で主体性、連動性をコアにした「アクション・フットボール」を目指すが、それは一朝一夕に成し遂げられるものではなく、シーズンを通じて積み上げて行くものであり、その過程においても「この試合」「This Game」にこだわって結果を出して行くこと。
最後に、そのような方法論で我々は今季のタイトル奪取を目指すということ。そのために「頂戦」という気恥しくなるような当て字のスローガンまで作ったのだ。
是非とも再確認しておきたいのは、ACLのプレーオフがあってチーム作りの時間が少ないとか、開幕後もACLとリーグ戦の両にらみで日程がきつかったとか、監督が代われば作り直しになるのは当然で一定の時間がかかるのは仕方ないとか、そういうのは全部初めから分かっていたはずだということだ。その上でクラブは敢えてこうしたコンセプトを自ら策定し、城福監督はそれを理解したうえで就任したということである。
我々は、いや、少なくとも僕はこれらのポイントを前提にしてSOCIOを継続し、クラサポになり、ユニを買ってアウェイでの試合にも通い続けた。
これはクラブとしてのコミットメントである。それが達成されない時には責任の問題が生じる。当たり前のことだ。
しかし、実際に起こったことは何だったか。
開幕戦で大宮に0-1で完敗。仙台、神戸には連勝したものの鹿島に0-2と完敗したあたりから雲行きが怪しくなり、森重が退場と引き換えに何とか勝利をもたらした名古屋戦とACL江蘇戦をはさんで連敗。4月末の福岡戦に0-1で負けたあたりでは監督の更迭を求める声もかなり大きくなった。
その後、サポの声を聞いたのかどうか知らないが、高橋をアンカーに据えてリスク管理の優先順位を上げることで失点を減らし、成績はそこそこ安定、状況もひとまずは沈静化した。しかし、ACLと並行してリーグ戦を戦う苦しい日程もあって、6月の5連戦では1勝1敗3分、勝ち点6(1試合あたり1.20)というプアな結果に終わり、結局勝ち点23(1試合あたり1.35)で9位というのがシーズン前半を終えた状況である。首位との勝ち点差は16、3位との勝ち点差も10ある。一方で16位との勝ち点差は7しかない。
話にならない。
繰り返すが、チーム作りの時間が少なかった、日程がきつかった、監督が代われば結果が出るのに一定の時間がかかるのは仕方ない、といった事情は理解する。一般論としてそれは正しい。しかし、今季、クラブはそれを事前に十分認識した上で、それでもなお今季タイトルを獲ると明言し、そのための方法論まで明確に示したのである。それが達成されていないことを我々はまず確認しなければならない。
攻撃を構築する以前の問題として、やるはずだった昨季のベースの継承がまったくできていなかった。ベースを確認する前に上積みを図ったことから失点が増えて迷走、軌道修正して何とかライト・トラックに乗せたが、ここでムダに費やした時間が響いた。
この5連戦を見れば(但し浦和戦を除く)、失点を最小にすることで勝ち点を拾って行くという最低限のベースがようやく浸透してきたようにも見えるが、これは開幕から5試合でまずやっておくべきだったこと。本来なら今ごろはその上に攻撃の形を上積みしてアクションの試行錯誤をやっているべき時期で、半周遅れでトラックを走っている状態だ。
今季我々が到達できる勝ち点の最大値は74。昨季並みの勝ち点63を達成するためにはシーズン後半で勝ち点40を取る必要があり、1試合当たり2.35を稼がなければならない。これくらいやれればシーズン後半の1位を取れる気もするが、これは17試合を13勝3敗1分でようやく達成できる数字。これでも年間優勝はたぶん難しいだろう。そういう位置に我々はいる。
僕はあくまでタイトルを目指して戦うべきだと思うし、そのためにはシーズン後半1位を狙うのが最も分かりやすい。しかし、今の続きで漫然と戦いを進めてこの目標が達成できるかは極めて疑わしいと思う。シーズン前半を終えて、以下の3つをクラブに求めたい。
まず第一に、今季の目標を修正するのか、しないのかを明らかにすること。あくまでタイトルを獲りに行くのか、極端な話、残留に的を絞った戦いにシフトするのか。それが明らかにならないと何を軸にシーズン後半を戦うのかが曖昧になってしまう。
第二に、シーズン前半が目論見通りに行かなかった原因をきちんと分析し、それに対策を施すこと。
最後に、シーズン前半が目論見通りに行かなかったことの責任を明確にすること。
僕としては城福監督は更迭すべきだと思う。この出遅れは致命的だし、2点リードから逆転された浦和戦後のインタビューで「3点目を取れたシーンもあった」とコメントしているのを読んで、この人は結局のところ勝つということの意味を分かっていないのではないかと不信感を持った。あの試合では問題は3点目を取ることではなく、2点リードした試合をどうクローズするかということ。
城福浩は好きな監督だが、マッシモ・フィッカデンティの采配を見た後では、いかにも夢見がちなロマンチストに映る。我々が欲しているのはリアリストでありロマンチストではない。後任の問題は当然あるが、城福監督でシーズン後半1試合あたり2.35の勝ち点を達成できるとは思えない。コミットしたことが達成できていない以上、責任は明確にされなければならない。このタイミングでの更迭を求める。
僕がタイトルにこだわるのは、ひとつにはクラブが自らそれを今季の目標に掲げたからだが、それ以上に、これだけのメンバーを揃えた中で、選手それぞれのピークを考えれば、タイトルを獲るのは今年が最も可能性の高い年だと思うから。そして、森重が30歳になる今年がもしかしたら当面のラスト・チャンスではないかと思うからだ。
J1に再昇格してからの強化、チーム編成はとても戦略的で、いいチームが出来上がってきているが、主力選手の年齢構成を考えればこのチームで結果を出すには残された時間は少ない。森重がトップ・フォームで、石川が現役の間にタイトルを獲りたい。1年をムダにする訳には行かないのだ。
シーズン後半、大逆転に向けて巻き返すしかないし、幸いシーズン後半で1位になればプレーオフには参加できる。チャンスはまだある。ここに集中するためにも、シーズン前半の責任ある総括をクラブに求めたい。
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FC東京
2016年06月26日 01:40
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【Jリーグ第17節】横浜×FC東京
■2016年6月25日(土) 19:00キックオフ
■日産スタジアム
湿度は高いが風があって涼しい初夏のナイター。シーズン前半最後の試合だ。新宿で映画を見てから湘南新宿ラインで横浜に出て、相鉄ジョイナスの勝烈庵で弁当を調達、崎陽軒でシウマイを買って地下鉄で新横浜に向かった。
東京はここまで16試合で勝ち点20の11位。年間成績を考えてもこれ以上の足踏みは許されない。浦和でのショッキングな敗戦から中二日、難しい相手とのアウェイ・ゲームだが、勝ち点3を積み上げてシーズン後半への発射台を少しでも高くしなければならない。
前節負傷交代した徳永がベンチ・スタートとなり、右SBには橋本が入った。ボランチには梶山が先発、SHには右に河野、左に東を配した。
秋元
橋本 森重 丸山 小川
河野 梶山 米本 東
バーンズ ムリキ
試合は神経質な展開に。3分、右サイドの河野からのクロスに中央で東が合わせるが強いシュートを打てずGKがキャッチ。これがファースト・シュートとなるが、その後はムリキ、バーンズを中心に河野、東らが絡んでチャンス・メイクしようとする東京に対し、長いボールで前線に当ててくる横浜という流れになる。
東京はきれいな4-4-2のブロックを形成、横浜の横の振幅がそれほど大きくないこともあって、ブロック全体がスライドする格好でカバーしながら手堅い守備でチャンスを作らせない。28分、梶山がスルスルとドリブルで中央を上がり、エリアに入ろうとする手前でファウルを受ける。FKは森重が蹴るがわずかに枠を外れる。
31分、バーンズが傷みピッチに座りこむ。メディカルに付き添われ自分で歩いてピッチを出るが、復帰できず、33分、平山が交代でトップに入る。
前線で敵DFを足止めしていたバーンズが抜けたこともあってか横浜にリズムが出始め、45分、敵陣でボールを奪われてカウンターを受ける。帰陣が間に合わず右サイドで一対一になるが敵FWのシュートはポストをヒット。こぼれ球へのシュートもブロックし何とか事なきを得る。前半はこのままスコアレスで終了。
後半に入ってもナーバスな流れは変わらないが、徐々に運動量が落ち始め、スペースができ始める。47分、敵FWに裏に抜け出されるがシュートは秋元がセーブ。一方の東京もムリキが52分、54分と立て続けにシュートを放つがいずれも枠に収まらず。
60分には左エリアで形を作られ、マイナスのクロスから強烈なシュートを浴びる。これは秋元がセーブ、さらにこぼれ球にも詰められたが枠を外れ何とか難を逃れる。最終ラインが崩されても秋元が何とか踏ん張っている。
62分、梶山に代えて徳永を投入。橋本がボランチに上がる。その後も徐々にオープンになる中で、横浜がボールを持ち攻撃を仕掛ける時間が長くなるが、東京は集中した守備で身体を張っている。
78分、東に代えて水沼を投入。水沼は右SHに入り河野が左へ。その後の時間帯は横浜の波状攻撃を受け、ボールをクリアしきれず立て続けにシュートを浴びるが、秋元の好セーブと敵のシュート精度の低さで何とかしのぐ。エリア手前のクリティカルな位置で与えたFKも枠を外れるなどして大事に至らず。終盤は苦しい時間帯に。
しかし、89分、河野のクロスがクリアされて得た左CKを小川が蹴ると、ニアの平山が頭で決めてゴール。1-0と東京が土壇場でリードを奪う。4分のアディショナル・タイムもしのぎ、東京が貴重な勝ち点3を手にした。
シュート数8-18、ポゼッション43-57と数字上は押しこまれたように見えるが、敵のシュートはひとつの場面でクリアしきれず連続して打たれたものが多く、それほど一方的な試合には見えなかった。しかし東京の攻撃も最後のところで詰めきれず、結局セット・プレーの一発で勝った形に。
しっかり守っていればいずれ敵失やセット・プレーでワンチャンあるという見本みたいな試合だったが、しっかり守れていたかというとそれも疑問で、身体は張って最後まで集中はしていたものの、裏に放りこまれたボールをあっさりマイボールにされて後から追いかけるなど、相手が相手なら見逃してもらえないようなほころびも少なくなかった。
それを敵の拙攻と秋元のファイン・セーブで救われ、最後の最後にゴールして勝ったのは昨季を彷彿させる試合内容だが、本来ならこういう勝ち方は攻撃の形ができていないシーズン序盤にまず結果を先行させるためにやるべきことで、それがシーズン半分終わった今ごろでは困る。
というか、9節くらいまではそれもできずに失点を重ね、攻撃の構築どころではなかったものを、その後ようやく守備のベースを再確認してここまで来られた訳で、既に半週遅れでトラックを走っている状態。
ムリキ、バーンズのコンビニ光明が見えてきたのは明るい材料だが、中盤の構築、守備と攻撃のバランスなどが今からスタートではタイトルを目標とするクラブとしてはまったく話にならない状態だ。今日の勝利自体は素直に喜ぶべきだし、何だかんだ苦しい試合できちんとつじつまを合わせたことは高く評価するが、遅きに失した感は強い。
東京はこれでシーズン前半17試合を終了して勝ち点23の9位。1試合あたりの勝ち点は1.35でこれは残留争いでもおかしくない水準。守備のベースを再確認する前に攻撃に取り組んだ結果足踏みを余儀なくされたシーズン序盤の出遅れが響く形になった。その時期にこそ今日のような戦い方で我慢して結果を積み上げながら連係を構築して行くべきのはずだった。
シーズン後半をにらんだショート・レビューは別にやりたいが、このままの態勢で本当に年間3位かシーズン後半1位を獲得できるのか。素早い判断が必要だと思う。シーズン後半は中断もなく次の週末には始まってしまうのだ。
評点(評点は
ドイツ式
):
秋元(2) 再三のファイン・セーブでチームを救った。強みを発揮してくれた。
橋本(3.5) 使い続けることに異論はないがポジションはSBじゃないだろ感強い。
森重(4) 敵FWに再三裏抜けされ秋元の世話になった。手放しで喜べない勝利。
丸山(4) 結果的に完封、自身も身体を張ったが、危ないシーンも少なくなかった。
小川(3.5) CKからアシスト。流れの中の連係も成長してきている。使い続けたい。
河野(3.5) ムリキとのコンビネーションが面白い。特徴を出せてきている。
梶山(4) 流れをコントロールする力はさすがだが、うかつなボールロスト怖い。
米本(3.5) 中盤を厚くする流れではボール奪取が生きる。梶山とのコンビいい。
東(4) 安定して頼りにはなるが敵にとって怖さのあるプレーができているか。
ムリキ(3) ゴールはなかったがよくボールに触り配球役としても存在感見せた。
バーンズ(3.5) 途中交代は残念だが、明らかに敵に嫌がられる存在だった。
===
平山(3) 流れではいいところなかったが最後にFWとして最も重要な仕事をした。
徳永(-) 時間短し。この交代で枠を使う意味はあったのか。
水沼(-) 時間短し。
勝ったことがすべてという試合。勝烈庵の弁当美味しかった。
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FC東京
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J1リーグ戦
2016年06月24日 23:37
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【EURO2016 C組第3節】北アイルランド×ドイツ
■2016年6月21日(火) 18:00キックオフ
■Parc des Princes (Paris)
グループ・ステージ勝ち抜けのかかった大事な試合なので、朝5時に起きて出勤までの時間に身支度しながら録画を見た。これくらいの時間なら結果情報を遮断するのも難しくない。
ドイツは勝ち点4の首位であり、勝てばもちろん、引き分ければ2位以上を確保して勝ち抜けが決まる。この大会では3位の国のうち4カ国が決勝トーナメントに進出できることもあり負けても可能性はあるが、当然勝って決めたいところだ。
この試合では右SBにキミヒを起用。またゴメスをトップに起用してゲッツェは左SHに回り、ドラクスラーがベンチ・スタートとなった。
ノイアー
キミヒ ボアテン フメルス ヘクター
ケディラ クロース
ミュラー エツィル ゲッツェ
ゴメス
立ち上がりからドイツの一方的な試合に。完全にボールを支配し、敵陣で分厚い攻撃を仕掛ける。北アイルランドはボールを奪っても展開できずセカンドを拾われて前に出られない。
しかし、ドイツは再三の絶好機にも枠を外したり、バーやポストに嫌われたりと決めきれない上、枠に飛んだシュートも敵GKの度重なるファイン・セーブで防がれ、なかなかゴールを割ることができない。
ようやく29分、ミュラーがエリア内で敵を背負ってボールを落とすと、ゴメスがこれを蹴りこんでゴール。1-0とドイツが先制する。その後もドイツの圧倒的な優位で試合が進むが追加点は奪えず、生かせなかったチャンスだけが積み上がって最少得点差で前半を終えた。
後半に入ってもまったく同じ展開。ドイツがボールを支配し、ボールを動かしながら北アイルランドのゴール前まで入りこんで決定機を作るが決められず。55分、ゲッツェに代えてシュールレを投入、そのまま左SHに入る。
北アイルランドはまったくフィニッシュまで持ちこめず、ドイツの攻撃を受け続ける。ドイツとしては失点の脅威はほぼ感じない状態。
69分、ケディラに代えてシュヴァインシュタイガーを投入。そのままボランチに。終盤にかけてはドイツも勝利を確実にすることに集中したかスロー・ダウン。76分にはボアテンに代えてヘヴェデスを投入、おそらくそのままCBに入った。
結局ドイツは追加点を奪えないまま試合終了。1-0で必要な勝ち点3を獲得した。
内容から見れば10点くらい入っていてもおかしくない試合で、実際シュート数28-2、CK6-3、ポゼッション79-21と圧倒的にドイツのゲーム。敵GKの意地と気合のパフォーマンスで絶好機を何度もつぶされた。
引いて守る相手を崩せず可能性の低いミドルばかりというのはよくあるが、この試合のドイツは引いた相手でもきちんと意図を持ってボールを動かし、クリティカルなパスを縦や斜めに通して崩すところまではしっかりできていた。
しかし、それでもことごとくチャンスを外し続けたのは、敵GKが当たっていたというのももちろんあるのだが、北アイルランドがいったん崩されて一対一の形を作られても、そこからもう一度素早く寄せる、コースを切るということができていたから。
一方、ドイツの側から見れば得点差関係なく勝てばよい、最悪引き分けでいい試合だったので、なかなか先制点、追加点が入らなくてもそこまでの悲壮感はなかった。やるべきことをしっかり把握してその部分だけは最低限やりきるというところに成熟したフットボール観を見る思い。どこかのクラブに爪の垢を煎じて飲ませたい。
これでドイツはグループ・ステージ2勝1分で首位通過。決して内容がよかった訳ではないが、きちんと結果を出すことでチームも機能し始めてきたように思う。ラッキー・ボーイ的にこの大会でのドイツを象徴するような選手がいないのが気になるが、そこそこのところまでは行けるんじゃないかと思う。
既に決勝トーナメントの組合せも決まっていて、ドイツはスロバキアと戦う。これに勝つとイタリア×スペインの勝者と当たることになり、さらにこれに勝つとおそらくはフランス×イングランドの勝者と当たることになるだろう。その次が決勝になるが、まあ、こういうしびれる試合が続くのがユーロの見どころ。
まずはスロバキア相手にしっかり結果を出さなければならない。
評点(評点は
ドイツ式
):
ノイアー(3.5) 実働時間は極めて短かった。
キミヒ(3) 知らない人だが気の利いた攻撃参加で好機を演出していた。
ボアテン(3) 左前線に張ったヘクターに何度もいいパスを通した。
フメルス(3) 危なげない守備。ケガの影響も感じられない。
ヘクター(3) 長いパスを収めてサイドで起点を作った。
クロース(2.5) シュヴァインシュタイガーの正統な後継者になりつつある。
ケディラ(3) 攻撃に特徴を出したが最後のところで精度を欠いた。
ミュラー(3.5) 好機を外し過ぎ。この大会では運がないようだ。
エツィル(2.5) こういうのが一人いると引いた相手も崩せるということだ。
ゲッツェ(3.5) 好機に決められず。彼もこの大会では特徴出しきれてない。
ゴメス(3.5) 決勝点はよかったがあまり試合に入れてない感じあり。
===
シュールレ(3.5) 積極的な仕掛けでアピール。スーパー・サブに定着か。
シュヴァインシュタイガー(3.5) 目立つシーンなし。それはそれでいい。
ヘヴェデス(-) 時間短し。
何だかんだ勝つべき試合ではしっかり勝つというのは実はすごいこと。そういう意味では凄みのある試合だった。
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ドイツ代表
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EURO2016
2016年06月23日 00:45
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【Jリーグ第13節】浦和×FC東京
■2016年6月22日(水) 19:30キックオフ
■埼玉スタジアム2002
ACLのため消化の遅れていた第13節。7時半キックオフなので何とか駆けつけるつもりでチケットも買ってあったが仕事的にムリになってしまった。仕方なく家に帰ってから録画を時差視聴。結果を知ってしまわないようにツイッターも見ないようにするのは骨が折れた。
東京は3試合連続引き分け中。1試合あたりの勝ち点は1.33まで下がっており危険な状態。分の悪い相手とのアウェイ戦とはいえ勝ち点3を取りたい試合。
高橋がボランチで先発、前線はムリキとバーンズの2トップになった。事前には3バックの予想もあったが穏当な4-4-2になったようだ。
秋元
徳永 森重 丸山 小川
橋本 高橋 米本 羽生
バーンズ ムリキ
試合は立ち上がりから浦和がボールをキープ、東京は自陣でブロックを形成し、奪ったボールからカウンターにつなぐ展開。11分、敵のクロスから中央で合わせられるが秋元が好セーブ。
押され気味の序盤だったが、13分、米本が高めの位置でボールホルダーにプレスをかけボールを奪取。米本からパスを受けたバーンズは持ち出して中央を駆け上がるムリキにパス。ムリキはバーンズからのボールをダイレクトでシュートしゴール。東京が理想的なカウンターで1-0と先制する。ムリキは嬉しい来日初ゴール。
その後も浦和がボールを支配し東京陣内を中心に試合が進むが、東京は守備時にはSHの1枚が最終ラインに落ちて5バックになる布陣でピッチ幅を機動的にカバー、敵のシュート・ミスや秋元の好セーブもあって粘り強くゴールを守る。
得点直後の14分にはムリキからのパスを受けたバーンズが裏に抜け出しGKと一対一になるがシュートは敵GKがセーブ。24分、バーンズがカウンターから並走するムリキにパス。ムリキは敵DFを引きつけて最後にバーンズにパスを戻そうとしたが敵DFに引っかけてしまう。中盤でのプレスからカウンターにつなげるチャンスが多く可能性を感じさせる。
31分、エリア手前でボールを持ったバーンズは敵DFに囲まれてボールを奪われるが、ボールが裏にこぼれたところに橋本が詰めてゴールに蹴りこみ追加点。東京が2-0とリードを広げる。その後は東京がリスクをコントロールしながら守りきり、前半を2-0のまま終えた。
後半に入ると浦和が攻撃のギアを上げてくる。東京は守備に追われる時間が長くなる。56分、バーンズのパスから裏に抜け出したムリキが左から狙うがシュートはポストをヒット。59分には再びムリキが狙うが敵GKがわずかに触りファーに流れてしまう。
63分、バーンズを下げて前田を投入。バーンズは前半から運動量多く消耗を気にしたか。しかし直後の66分、敵CKの流れから、再びクロスを入れられると、DFがボールを見てしまい中央で敵FWのヘディングを許す。これが決まり2-1と1点を返される。中央で敵が3人フリーでヘディングを試みており隙があったと言われても仕方ない状況。
ここで踏ん張らなければならなかったが、67分、アクシデントで徳永に代えて河野を投入。橋本が右SBに下がり河野は右SHに入る。バーンズを下げたことで前線での機動力を失い、橋本を最終ラインにしたことで中盤でのプレスも甘くなり、結果として中盤を浦和に使われるようになる。
72分、東京ゴール前で混戦となり、後ろにこぼれたボールをそのままフリーで蹴りこまれ失点を喫する。2-2の同点となる。これもフリーで打たれた。
76分、これも運動量を配慮したか、羽生に代えて田邉を投入。田邉はそのまま左SHに。しかし78分、FKからのクリアボールにミドルを放たれる。このボールはポストに当たったが、こぼれ球を敵FWに胸で押しこまれ再び失点。2-3とまさかの逆転を許す。
その後は東京が必死の反撃を仕掛けるが、攻撃はポイントがなく散漫に終わりそのまま試合終了。2-3とあり得ない逆転負けを喫した。
この試合、前半はムリキとバーンズのコンビが効いて、浦和が前がかりにきたこともありいったん裏に抜けると自由に形が作れた。チャンスってこんな簡単に作れるんだっけというくらいの感じで、最近3連敗で自信を失くしているとはいえ浦和チョロいぞと思ったほどだ。
また、4-4-2をベースにしつつも、押しこまれるとSHの1枚が最終ラインに落ちてピッチ幅をカバーすることにより強固な守備網を構築する今季の特徴的なスタイルで浦和の攻撃を封殺、最後は秋元の堅守もあって得点を与えなかった。
しかし後半に入ると徐々に疲れが出て足が止まるとともに、交代で前線、中盤の抑止力を失い、防戦一方になって奪ったボールも展開できなくなってしまった。バーンズはよく走っていたとはいえ、結果論的にはもう少し引っ張ってもよかったのかもしれない。
失点はいずれも数が揃っている中で最後のところを守りきれなかったもの。中盤をするすると突破され、自陣に押しこまれることによってブロックが歪んだところでボールをゴールから効果的に遠ざけることができなかった。
3点目を取るチャンスがあったのは間違いないが、3点取っていれば4点取られたような気もするゲームで、結局はリードを奪って前半を折り返した時に、その点差に応じてどうやってゲームをクローズするかという戦略がプアだったという他ない。せっかくムリキのJ1初ゴールなどいい材料もあって2点取ったのに、3点取られるのでは勝てない。
シュート数8-19、CK4-8、ポゼッション29-71。こういう数字だからこそ勝ちたかったし勝つチャンスはあったがまたしても自壊だ。
選手交代も使いながら、何を捨て、何を守るか、どこを守るかを明らかにしなければならない局面で意思統一ができず、成り行きでズルズル失点を重ねてメンタル負けした試合。まあ、東京としては昔からよくある負けパターンであり、まったく恥ずかしい試合だった。
遅れていた2試合を消化したが、それで得た勝ち点は1。「2試合少ないからな〜」という言い訳は何だったのか。シーズン後半頑張ろうという掛け声も虚しい。16試合を消化して勝ち点20、1試合あたりの勝ち点1.25は降格レベルで危険水域だ。
首位との勝ち点差は16、降格圏16位との勝ち点差は5。このチームはどうやって勝つのか、シーズンの半分を消化しても見えないのではそれも仕方ないのか。
評点(評点は
ドイツ式
):
秋元(4.5) 前半は好セーブあったが3失点は何としても受け入れ難い。
徳永(5) アクシデントでの交代が心配だ。パフォーマンスもよくなかった。
森重(5) 無策でズルズル失点を重ねたことには主将の責任も大きい。
丸山(5) 押しこまれた時間帯に守りきることができなかった。
小川(5) 空気を変える元気のよさを見せて欲しかったが流れに飲みこまれた。
橋本(4.5) 苦しい時に何かやる可能性は感じさせるが両面性あり難しい。
米本(5) 米本が奪ったボールを引き取ってやれる誰かが必要だ。
高橋(5) 前半は中盤で敵の攻撃を止められていたが後半は押しこまれた。
羽生(4.5) 空きスペースを埋め続けたが後半は守備に追われ持ち味出せず。
バーンズ(3.5) 裏に抜ける動きで敵DFに脅威を与え敵を間延びさせた。
ムリキ(3) ついにゴール。今日の唯一の明るい話題。ここから行くぞ。
===
前田(5) 押しこまれる展開で特徴が生きなかった。
河野(5) 押しこまれる展開で特徴が生きなかった。
田邉(5) 押しこまれる展開で特徴が生きなかった。
行かなくてよかったのか。それともオレが行けば勝ってたのか。
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FC東京
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J1リーグ戦
2016年06月19日 00:57
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■
【Jリーグ第16節】FC東京×新潟
■2016年6月18日(土) 19:00キックオフ
■味の素スタジアム
気温も湿度も高いが風があるのでそれほど不快感はない梅雨の晴れ間。Tシャツ1枚での観戦が気持ちいい。Jリーグもナイト・ゲームの季節になった。新宿で弁当を買って味スタに出かけた。
東京はここ2試合引き分け。負けてはいないもののタイトルからはどんどん遠ざかっておりこれ以上足踏みは許されない。シーズン前半もこの試合を入れて3試合を残すのみ、ホームでは最終戦であり勝ち点3は必須。
ACLのために消化の遅れていた日程をキャッチアップするためイングリッシュ・ウィークが続き2週間で5試合の3試合め。ターン・オーバーもあってか前節ケガの高橋はベンチ入りしたものの先発せず。また前田もベンチ・スタートとなり、前線はムリキと平山がコンビを組んだ。右SBには徳永が復帰。中島がケガから復帰してベンチ入り。
なお、対戦相手である新潟の早川が急性白血病と診断され治療生活を余儀なくされるということで、スタジアムでは支援基金への寄付が募られ、新潟ゴール裏では早川の背番号をかたどったコレオグラフィが。また新潟サポからの早川コールに東京側からも拍手があった他、キックオフ直前には東京ゴール裏からも早川コールがあった。
秋元
徳永 森重 丸山 小川
田邉 橋本 米本 東
平山 ムリキ
試合は立ち上がりから東京が高い位置から積極的にボールにアプローチ、平山のポスト、ムリキのドリブルを生かして敵ゴールに迫ろうとするが、新潟の守備も固くフィニッシュまではなかなか持ちこめない。18分、小川のCKからのこぼれ球を拾った橋本がボレーを狙い、鋭いシュートが枠に飛んだが東に当たりオフサイドに。
23分、エリア内でボールをキャッチした秋元がパントを蹴ろうとしたところで主審の笛。6秒を超えて手でボールを保持したという判定。確かにリプレイでは秋元は10秒以上ボールを保持しており、ボールをリリースするための予備動作とも思えないアクションが入っており、6秒ルールの適用自体はあり得る状態。
意外な判定に場内が騒然とし、プレーが止まっているところに、敵FWが秋元からボールを奪い取りクイック・リスタート。パスを受けた敵FWがこれを無人のゴールに流しこみ先制を許す。秋元他東京の選手が審判に抗議ないしは確認をしている隙をついてのリスタートだったが、プレーは認められ1-0となった。
何とも理解し難いゴールで先制点を奪われ、選手も監督もサポも頭に血が上った状態で試合再開。東京は前がかりに攻め、ムリキを起点にいくつかチャンスを作るが、ファウルの応酬となり互いにヒート・アップ。難しい雰囲気の中でのゲームとなる。アディショナル・タイム、東からのパスを受けたムリキが角度のないところからシュートを放つがGKがセーブ、0-1とビハインドを背負ったまま前半を終えた。終了時には審判に対し激しいブーイング。
後半開始から東に代えてバーンズを投入。バーンズはそのまま左SHに入る。50分、ルーズ・ボールを拾ったムリキが敵エリアに侵入、エリア内で足を刈られて倒れたように見えたがノー・ホイッスル。これにも激しいブーイング。
54分、田邉が前線右サイドで敵から奪ったボールをムリキに預けると、ムリキはターンしてボールをキープ、中央の平山にパスをつなぐ。平山はエリア外からタイミングを計ってゴール右隅に流しこむシュート。これが決まって東京が1-1と追いつく。
さらに61分、敵エリア左寄りでボールをキープした平山がヒールで流すとこれを拾ったムリキが裏に抜け出し敵GKと一対一になるがシュートは敵GKがセーブ。前節に続いて惜しい一対一を逃した。角度は厳しかったが、これが決まっていればムリキ自身もおそらくは一気に調子に乗ることができるだろうというシーン。
69分、そのムリキを下げて中島を投入。バーンズがトップに上がり中島は左SHに入る。ムリキは90分は引っ張れないという判断だと思うが、せっかく身体が温まってきた感もあり、できれば長い時間使ってみたかった。70分、中島が中央でボールを拾いそのままロング・シュートを狙うが大きくバーを越える。ゴールに向かう意志は見えたが…。
75分、平山に代えて前田を投入。敵陣でセカンド・ボールを拾いながら東京が波状攻撃を仕掛けるがゴールは遠い。83分、エリア右に構えた前田の足許にボールがこぼれ、前田がおそらくはクロスのつもりで中に入れたボールがだれにも合わずそのままニアに流れポストのわずか向こうに出る。
アディショナル・タイムにはゴール20メートルほどのFKを得て森重が蹴り、ボールは壁を越えて枠に飛んだがGKが好セーブ。終盤は東京が押しこんだが最後まで逆転できず、1-1で3試合連続の引き分けになった。
流れからの失点はなく、シュート数14-2、CK6-2、ポゼッション56-44と試合を支配したものの、あり得ない失点から平常心を失ってバタバタする時間が長く、自ら流れを手放して引き分けが精いっぱいという結果になってしまった。
問題の失点シーンは別としても、攻撃ではだれをどう使うのかの意図がはっきりせず、おそらくは平山に当てたボールをムリキが拾って仕掛けるというプランだったのだと思うが、平山に入れるボールが中途半端でなかなかチャンスにならなかった。むしろ左サイドで小川、東のコンビネーションからムリキに預ける形の方が可能性を感じた。
中盤も高橋がいない中でボールの収めどころが難しく、米本と橋本の関係も不明確。米本がボールを持ってしまって切り替えを遅らせてしまうシーンも多く、米本が刈ったボールを預けるセーフ・ステーションが見つからないために攻撃が停滞した。
後半、バーンズを投入して動きが生まれ、結果的には平山のゴールを生んだが、ゴール・シーン以外での平山はあまり機能していたとは言い難い。厳しい日程もあって難しい用兵を迫られるのは理解するが、平山の先発がベストだったのかは微妙だ。
失点が減ったのは評価すべきだし、それをベースに考えること自体は続けるべきだが、その上に攻撃を積み上げる部分が思い通りに進んでいない。この問題は開幕当初に取り組むべきもので、今ごろこんなことを言っていることがおかしいのだが、それを言っても詮無いので、とにかく目先の試合ひとつひとつに全力で当たるしかないということか。
東京は15試合を消化して勝ち点20、1試合あたり1.33と残留争い水準。こうやって足踏みしている間にタイトルはどんどん遠のいて行く。負けた訳ではないが自滅であり、またしても勝ち点2を逃した試合だったという他ない。
ところで、問題の失点シーン、競技規則12条には「ゴールキーパーは、6秒を超えてボールを手または腕でコントロールすることができない」という規定があり、これに反した場合はその場所から敵に間接FKが与えられることになっている。キャッチから主審の笛まで15秒程度経過していたということなので、新潟に間接FKを与えた主審の判断自体はルールに沿ったものである。
しかし、6秒ルールによる間接FKは僕は初めて見た。15年近くブンデスリーガとJリーグを見続けてきて、そこそこ長い時間ボールを保持しているGKもたくさんいる中で、しかし実際にこのルールが適用されたのを見るのは初めてだ。
実際のゲームではこのルールはある程度弾力的に運用されていて、悪質な抱えこみや時間稼ぎでない限り適用されるものではないと思っていたし、この秋元のボール保持は後から見れば確かに長かったが、通常のリーグ戦での実運用からしてこれだけを反則としなければならないほど極端に悪質であるようには感じられなかった。
選手はGKがボールをキャッチしてから実際に6秒を数えている訳ではなく、プラクティスによる事実上の基準を体感的に判断している。この試合、このプレーだけ基準を変えて厳格に運用することには唐突感があり、試合指揮として大きな違和感があった。
試合の運営としては、秋元に早いリリースを促すアクションをまず取るなどしっかりしたコミュニケーションがあってしかるべきだったと思うが、今日の主審はそうした選手とのコミュニケーションがきちんとできていたのか疑問だ。経験の浅い主審だったようだが、ルールの適用よりも試合のコントロールに不満が残った。
一方で、秋元は主審の笛を聞いた後、素知らぬ顔でパントを継続してボールを遠くに飛ばしてしまうか、何が何でもボールを抱えこむかして、敵にクイック・リスタートを許すべきでなかった。いずれにしても遅延行為で警告になるだろうが、失点するよりマシだ。15秒持ったことよりも、そこの判断の方が反省すべき。
また、東京の他の選手の対応も課題ありだ。新潟の選手は何が起こったか瞬時に理解し、秋元からボールを奪って、ちゃんとひとり経由して(間接FKなので)ゴールに流しこんだ。一方、東京の選手は「何ですか、何ですか」くらいの感じで審判に詰め寄ろうとしているのみで、新潟のリスタートを阻止したり、ゴールを守ろうとする選手はいなかった。
判定に不満があるのは当然だろうが、この対応はあまりにナイーヴで、これまでセルフ・ジャッジで何度も痛い目に遭っているのに学んでいない。その点で情けない失点だった。
評点(評点は
ドイツ式
):
秋元(5.5) 6秒持ったことより、その後の対応が拙かったことを反省したい。
徳永(4) 久しぶりに右サイドで徳永を見たが、実は左の方がいいのではないか。
森重(4.5) 主将として失点シーンはもっと冷静に対応できなかったのか。
丸山(4) しっかり最終ラインを締め、フィードもチャレンジングでよかった。
小川(3.5) ポジションを捨てて前に出る判断に成長が窺える。使い続けたい。
田邉(4.5) リズム感の合う選手がいないと孤軍奮闘になってしまう傾向。
米本(4.5) ボール奪取はいいが、その後の展開を停めてしまっている。
橋本(4) 意外にところにするする上がってくるのはいいが守備は大丈夫か。
東(4.5) 攻撃ではもっと思いきりよくガツガツ行っていい。最近考え過ぎ。
ムリキ(3.5) もうちょっと、もうちょっとなんや。ゴールが欲しいんや。
平山(4.5) ゴールは貴重だったが得点シーン以外はほぼ印象に残らず。
===
バーンズ(4) まあ、FWなんだからあれくらい自分で行っていいんでしょう。
中島(4) 気合いは分かるが空回りしてた。蹴ればいいというものではない。
前田(-) 時間短し。
ほんとに負けなかったというだけの試合だったな〜。
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FC東京
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J1リーグ戦
2016年06月18日 00:31
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■
【EURO2016 C組第2節】ドイツ×ポーランド
■2016年6月16日(木) 21:00キックオフ
■Stade de France (Paris)
パリ郊外のサン・ドニでの試合。デュッセルドルフからパリにクルマで向かうと、パリ市街に入る前にこのスタジアムの横をぐるっと回るように高速道路を走ることになる。テロがあったことでも記憶に残っているスタジアムだ。
この試合も日本時間金曜日未明4時とかのキックオフだったので、録画して金曜日の夜に見たが日中に図らずも結果を知ってしまった。気をつけていたのだが結果情報を遮断したまま一日過ごすのは難しい…。
ドイツは前節のムスタフィに代わってフメルスが先発。それ以外は前節と同じ布陣となった。
ノイアー
ヘヴェデス ボアテン フメルス ヘクター
ケディラ クロース
ミュラー エツィル ドラクスラー
ゲッツェ
前半は神経質な展開。ともに最初の試合に勝った国同士の対戦となったため、先制されることを嫌ってリスク管理を優先、ドイツがボールを持つ時間が長いが、ポーランドは割りきった守備で自陣を固めドイツに自由を与えない。ドイツもムリにリスクを取らず、ボールを動かしながら様子を窺う。
4分にはドラクスラーのクロスにゲッツェが頭で合わせるがバーの上。まあ、ゲッツェに空中戦を期待するのも厳しいか。ポーランドは前線の強力なFWを生かしてカウンターのチャンスを待つが、ボアテン、フメルスが中央を固めており決定機は作らせない。互いににらみ合うが、どちらかといえばポーランドにつきあわされる格好で抜刀しないまま、スコアレスで前半を終えた。
後半に入ると得点を意識した動きが出てややオープンな展開に。46分、敵のクロスに中央で飛びこみを許すがボールは頭にヒットせず。当たっていれば1点もので肝を冷やした。直後の47分にはクロースからのパスを右サイドで受けたゲッツェがフリーでシュートを放つがGK正面に。
ドイツは66分、ゲッツェに代えてシュールレを投入、シュールレが左に入り、ドラクスラーが右へ、ミュラーが1トップに回るが、72分にはドラクスラーに代えてゴメスを投入、結局ミュラーを右SHに戻してゴメスが1トップに。
69分、敵にエリアに侵入され、戻しのパスを中央に送られるが、これを受けた敵FWが空振って事なきを得る。直後にはヘクターが左サイドから入れたクロスにエツィルがダイレクトで合わせボールはきれいにゴールに向かったが敵GKがセーブ。何食わぬ顔でサクッと枠に飛ばすところがスゴい。
ドイツは終盤、左サイドを起点にして攻撃を仕掛けたが決めきれず、結局スコアレス・ドローに終わった。
ゼロ・トップで「決める係」が誰もおらず、「だれか決められる人決めて」的な迫力のない攻撃に終始。ポゼッション69-31、シュート数16-7と、見かけの上では主導権を握りながら最後まで流れを自分たちのものにすることができなかった。
特に後半は流動的な攻撃から何度かチャンスを作ったが、割りきって守るポーランドを崩しきれなかった。交代メンバーを見ても、先発しているメンバーとは異なった特徴で途中から流れを変えられる選手は見当たらず、シュールレ、ゴメス投入が精いっぱい。
ポーランドに勝ち点3をやらなかったことでグループ・ステージ突破の足がかりは作ったし、その意味で最低限の結果は得ており受け入れることのできる引き分けだが、何とか1点を奪って突破を決定づけておきたかった試合。交代も含め手詰まり感が強かった。
SBが足りないならヤンチュケがいるし、トップが弱いならハーンもヘアマンもいるのに、だれも招集しないのが悪い。まあ、ここから何とかするのがドイツ代表なんだろう。次節、北アイルランドに引き分ければグループ・ステージ突破は問題なく決まる。
評点(評点は
ドイツ式
):
ノイアー(3.5) 特に試されることもなくヒマなのですごく前に出てきた。
ヘヴェデス(4) 何かヘディングのチャンス外してなかったっけ。
ボアテン(3) ふだんチームメイトの敵FWを完封。今やドイツ代表の大黒柱。
フメルス(3.5) ケガ明けで不安はあったが問題なし。落ち着いていた。
ヘクター(4) 後半は攻撃にも絡んだが存在感を大きくアピールはできず。
クロース(3) キック力に可能性を感じるが局面を打開することはできず。
ケディラ(3.5) 積極的に攻撃に絡んだがここ一番で精度を欠いたのが惜しい。
ミュラー(4) こういう試合で一発モノを決めるのが持ち味のはずが沈黙。
エツィル(3) 技術高く視野広いが決定機は演出できず。シュートスゴ勝った。
ドラクスラー(4) 左SHだれだっけ、と試合中何度も思ったほど存在感なし。
ゲッツェ(4) 使い方は本当にこの位置でいいのか。何かもったいないな。
===
シュールレ(3.5) 動きを持ちこみ左サイドで起点を作ったが…。
ゴメス(4) 特に見せ場なくボールにも絡めなかった。
ハーンを代表で見たいな〜。
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ドイツ代表
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EURO2016
2016年06月16日 00:20
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【Jリーグ第10節】FC東京×広島
■2016年6月15日(水) 19:00キックオフ
■味の素スタジアム
7時キックオフだと仕事を終えてから駆けつけるのが微妙。夕方から何か起こるとキックオフに間に合わないリスクが大きく、結局午後半休とか取るしかなくなる。ACLでは7時半キックオフやってるんだし、来週の浦和も7時半キックオフなんだから、東京も平日開催の試合は7時半キックオフにして欲しい。これは是非お願いしたい。
ACL対応日程のため今のところ節の進行より2試合遅れている分を取り戻す試合であり、本来は第10節に配当されていたもの。ACLに出場した4クラブだけが今日試合を行う。
東京は広島に対応してミラーの3バックにするとの予想もあったが実際には4-4-2。徳永、阿部がベンチ入りせず(ケガとの報)、小川が久しぶりに左SBで先発、前線にはムリキが初めて先発した。
秋元
橋本 森重 丸山 小川
東 高橋 米本 羽生
前田 ムリキ
試合は神経質な展開に。広島はボールを持つと最終ラインでゆっくりとパスを交換しながら前線にボールを入れるタイミングを窺う。一方の東京は高い位置からプレスを敢行、中盤でボールを奪うが守備から攻撃への切り替えが遅く、また広島が最終ラインをしっかり自陣に残していることもあってカウンターを仕掛けることができない。
互いにコンパクトな中盤でスペースを消し、ピンチの芽を早めに摘み取る対応をしていることからチャンスを作れない。東京は左サイドの小川、羽生のコンビネーションから広島陣内深いところに入りこもうとし、ムリキも加わって攻撃を仕掛けるが連係に精度を欠き、なかなかフィニッシュまで持ちこめない。
にらみ合う形で互いにリスクを嫌い、特に東京はイタリア代表のように連動するきれいな4-4-2の3ラインをアップダウンさせて敵に自由を与えず、スコアレスのまま前半を終える。凡戦にも見えるが、ひとつ間違えればいつヤられるか分からない拮抗した神経戦にも見え、評価の難しい前半だった。
後半に入ると互いにやや動きが出る。49分、右寄りのFKを森重が狙うが枠に行ったボールは敵GKがセーブ。57分、東に代えて河野を投入、河野はそのまま右SHに入る。河野が入ったことで前線に動きが生まれるが、一方で広島も積極的にボールを動かし、立て続けにシュートを放たれる。秋元がしっかりセーブしているが枠に飛んでおり前半よりも圧力を感じる。
64分、ムリキに代えてバーンズを投入。バーンズはそのままトップに入る。
66分、試合が動く。右サイドの深いところからクロスを入れられ、ニアに入りこんだ敵FWに合わせられて失点。0-1と先制を許す。橋本が右サイドで敵と対峙したが縦に持ち出されて振り切られ、クロスを上げられた。中では丸山が敵FWにつききれずシュートを許した。ここまでしっかりと対応できていただけに悔やまれる失点だった。
だが、3分後の69分、CKからのクリア・ボールを再び拾い、高橋から右サイドの河野に展開、河野が中央にクロスを送ると、橋本が足を伸ばしてこれをヒット、ボールはゴールに突き刺さり東京が1-1と同点に追いつく。河野の積極的な仕掛けが奏功して失点後の早い時間帯に試合を振り出しに戻した。
東京はその後もバーンズの積極的な仕掛けもあって逆転を狙いに行く。29分、左サイドでの競り合いからファーに流れたボールを橋本がダイレクトでボレー・シュートするが大きく枠を外す。フリーだったしせめて枠に飛ばしたかった。
80分、羽生に代えて水沼を投入、水沼は右SHに入り、河野が左に回る。終盤にかけては東京がボールを奪っては仕掛けたが得点できず。広島のカウンターにも苦しんだが勝ち越しは許さず、結局1-1の引き分けに終わった。
後半は次第に間延びする中でオープンな展開になったが、互いに主導権を争う厳しい試合で、勝てるチャンスはあったものの負けるリスクも小さくなく、この試合だけを見れば引き分けは受け入れるべき結果という他ない。ポゼッション45-55、シュート数13-10、CK6-4と、拮抗した難しい試合だったことが数字からも窺える。
だが、そうであれば前節の磐田戦に勝てなかったのが今さらながら悔やまれる。2試合で勝ち点2はいかにも足りない数字。やはり失点が余計だったということだろう。そこがしっかり締めきれなかったことで貴重なゴールを敵に追いつくために使うことになってしまった。
ムリキは前線でボールを受けて展開する力があり、ファイン・シュートはなかったものの彼に求めるものをしっかり整理して周囲と連係できれば大きな武器になる可能性を感じた。問題はそうした「あと少し」のところを実戦で我慢しながら使って深める余裕がなかなかないこと。
結果を求めるために、既に連係のできている選手でチームを編成するのが実際いちばん手堅いのは間違いないが、そのために、本来なら実戦で我慢しながら使うことでフィットさせて行くべき外国人や若手を底上げして行く機会がない。
最初のゴールが決まれば一気に戦力化するパターンはルーカスやカボレでも見ているが、そこまで使い続ける覚悟がないためにフィットさせきれなかったのサンダサの例もある。層がそれなりに厚いことは喜ぶべきだが、大金を投じて獲得した外国人選手をチームに統合する機会が作れないのは結局チームにとって深刻な事態だ。
それ以外には小川が元気にアピールしていたのが印象に残った。必ずしも足にボールが突いていなかった感はあるが、ボールを要求しながら積極的に裏に抜け出すスタイルは今後を期待させた。
後半、全体が間延びしたこともあって交代で入った河野や水沼が効いたと思う。前半耐えて後半流動化というのがもともと描いたゲーム・プランであったかどうかはともかく、手ごたえのある試合内容で悲観すべきものではまったくないと思った。
とはいえこの結果はシーズンの目標からいえばまったく足りない。既にシーズン前半は終盤に入っておりこの成績ではどうしようもない。年間順位をにらみながらできるところまで勝ち点を積み上げるしかないが、こうして引き分けている間にも試合消化数だけはどんどん増えて行く。
ここまで14試合を消化し獲得した勝ち点は19(1試合あたり1.36)と降格圏。試合数も足りず順位に一喜一憂しても仕方ないが、この1試合あたり勝ち点は重視すべき指標であり、それがこの状態ではタイトルなど覚束ない。リーグ戦5試合負けなしというが、引き分けが3試合あり勝ちきれてないとも言える。目の前の試合、「This Game」にこだわって勝ちを引き寄せる戦略と意志が必要だ。
評点(評点は
ドイツ式
):
秋元(2) 敵のクリティカルなシュートを立て続けにセーブ、チームを救った。
橋本(3.5) シュートは見事。やはりDFが主戦場ではない選手。危ない対応あり。
森重(3) 守備のみならずCKのヘディング要員やFKのキッカーまで。活躍は評価。
丸山(3.5) 全体によく対応していたが、失点時には対応しきれなかったか。
小川(3.5) 荒さも当然あるが、特に前半は大きな推進力になった。成長を期待。
東(4) ちょっとうま過ぎてゴールから遠ざかる感じあり。ゴールが欲しいところ。
米本(3.5) やはり中盤でボールを狩る米本の存在感は大きい。無二の存在だ。
高橋(3) 中盤で敵トップ下に厳しく対応。試合中に打撲とのことだが大丈夫か。
羽生(4) 攻撃に関与した時のプレー精度が最近落ちてきているように感じる。
前田(4) 2トップだとどうしても遠慮が出るのか。献身的に働いてくれたが…。
ムリキ(3.5) 今日はボールを触りゴールの距離と方向を確認するところまで。
===
河野(3) 積極的に前に向かう姿勢から今日のゴールは生まれた。
バーンズ(3) 沈滞した試合をかき混ぜるのに向いた選手。もっと使いたい。
水沼(-) 時間短し。プレーはよかった。
次また週末に試合。幸いホームでありここでしっかり勝ちたい。
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FC東京
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J1リーグ戦
2016年06月14日 00:07
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【EURO2016 C組第1節】ドイツ×ウクライナ
■2016年6月12日(日) 21:00キックオフ
■Grand Stade Lille Metropole (Lille)
EURO2016が開幕、ドイツはポーランド、ウクライナ、北アイルランドとともにグループCに入った。初戦の相手はウクライナ。
キックオフが日本時間の月曜日未明4時ということで、5時頃に起きて出勤までの間に見ようかと思ったが、日曜日の夜に飲み過ぎてしまい、とても5時に起きられるコンディションではなかったので、日中結果をシャットアウトして、会社から帰ってから見た。
布陣は大方の予想通り。フメルスはケガ明けでベンチとなり、ムスタフィがボアテンとともにCBに入った。トップにはゲッツェを置いているが所謂ゼロ・トップ的な起用か。両翼はミュラーとドラクスラーが先発した。
ノイアー
ヘヴェデス ボアテン ムスタフィ ヘクター
ケディラ クロース
ミュラー エツィル ドラクスラー
ゲッツェ
試合は立ち上がりからドイツがボールを支配、敵陣を中心に試合を進めるが、ウクライナの守備も集中しており流れからはなかなかチャンスが作れない。一方でウクライナは奪ったボールを素早く前線に展開してカウンターを狙う。5分、敵の鋭いシュートが枠に飛ぶがノイアーが涼しい顔でセーブ。
試合が動いたのは19分、右寄りで得たFKをクロースが蹴ると、ムスタフィが頭で合わせてゴール。ドイツが1-0と先制する。その後はリスクを嫌ってスローダウンし手堅くボールをつなぐドイツに対し、ウクライナがチャレンジする時間帯となる。27分には再びノイアーが敵の至近距離からのシュートを腕一本でセーブ。
一方で29分にはケディラがクロースからのパスを受けて裏に抜け出しGKと一対一になるがシュートをGKに当ててしまう。
37分、左サイドからファーに飛ばされたボールを敵FWがフリーでシュート、飛び出したノイアーは触れず、あわや同点かと思われたがボアテンがライン上であり得ない体勢からボールを蹴り出し事なきを得る。ゴールライン・テクノロジーで見るときれいにゴールライン上でクリアしていた。
39分にもゴール前での密集で押しこまれボールはゴールに入るが、その前にオフサイドがあったとの判定でノー・ゴール。ノイアーのファイン・セーブとボアテンの超人的なフィジカルで何とかしのいでいるものの、ポゼッションの割りに押しこまれる場面が印象に残ったまま1-0と最少得点差で前半を終えた。
後半に入ってもドイツの優勢は変わらず、敵陣でパスを回しながら守備網の綻びを待つ展開になる。ウクライナの攻撃は単発で、ノイアーの好守もあり失点は免れるが、ドイツの攻撃もスペースがない中でダイナミズムを欠き、チャンスも敵GKのセーブに遭い追加点が奪えない。
ドイツにボールを回されて疲労が蓄積したウクライナは徐々に足が止まり始め、互いに大きな見せ場がないまま時間が進む。78分、ドラクスラーに代えてシュールレを投入。シュールレはそのまま左SHに入る。
88分、エツィルがカウンターからドリブルで独走するがシュートは敵GKがセーブ。直後の89分にはムスタフィが敵のロング・ボールをヘディングでノイアーに渡そうとしたところ、飛び出したノイアーの頭を越えてオウン・ゴール寸前に。リードは奪いながらも今ひとつピリッとしない試合運び。
だが、90分、ゲッツェに代えてシュヴァインシュタイガーを投入し試合をクローズしに行くと、アディショナル・タイム、シュールレのパスを受けて敵の背後に出たエツィルがファーにクロスを入れると、ここに走りこんだシュヴァインシュタイガーがダイレクトでミート、これがゴールとなり土壇場で2-0とリードを広げた。ショートバウンドで入ってきたボールをダイレクトで叩きつける技術の高いシュートだった。
結局そのまま2-0で試合終了。終わってみればドイツがきちんと勝ちきった試合になった。しかし、内容的に見れば、随所にレベルの高いパス交換や個人技を見せ、シュート数18-5、ポゼッション68-32と圧倒的に試合を支配しながらチャンスになかなか決めきれず、逆にノイアーのファイン・セーブに救われたものの決定的なシュートを何本か放たれるなど守ちぐはぐさの目立った試合だった。
特に守備では許したシュートこそ少なかったものの、GKがノイアーでなければ、あるいはボアテンの神クリアがなければ3点か4点取られてもおかしくないくらい厳しいシュートを枠に飛ばされていた。GKとの連係ミスによるオウン・ゴールのピンチもあり、これがこの先ウィークポイントにならなければいいがと祈りたくなる出来。
とはいえ、大きな舞台ではまず結果を出すことでリズムが出るものであり、必ずしもままならない出来でも何とか結果を出しながらドライブして行くことができるのは伝統ある強豪国の強み。守備では今イチだったムスタフィがゴールを決めてその埋め合わせをしたこともその意味で象徴的だ。
セット・プレーからの前半の先制点、ペース・ダウンしてリスクを管理しながら何とか無失点で乗りきったゲーム中盤、そしてアディショナル・タイムにカウンターからの追加点と、終わってみればやることをやって勝ちを引き寄せた、勝つべくして勝ったように見えるところがさすが。
チームの骨格自体はこれまでの継続の上にきちんと構築されているが、強力なストライカーがいない中でのゼロ・トップ的戦術で、2014年のワールド・カップに続いてユーロを獲りに行けるか。優勝候補と目され各国がドイツ対策を講じて来る中で、真の強さが試される。
評点(評点は
ドイツ式
):
ノイアー(2) 再三のファイン・セーブで完封、チームを救った。
ヘヴェデス(4) 大外から入ってくる敵をケアできずシュートを放たれた。
ボアテン(2.5) 窮地を救う超人的クリア。どうやってあの体勢で足が出るのか。
ムスタフィ(3.5) 先制点は価値あったが守備では不安ものぞかせた。
ヘクター(4) 攻撃には参加できず。守備面も印象に残らず。
ケディラ(3) いつの間にか前線に顔を出してチャンスに絡んだ。
クロース(3) 中盤の底をしっかり締めた。アシストになったFKも見事。
ミュラー(4) ボールが足につかず、チャンスを引き寄せる男も今日は今イチ。
エツィル(3) 最後に長い距離を走って追加点を演出。さすがにセンスある。
ドラクスラー(4) 思いきりはよかったがシュート精度を欠いた。
ゲッツェ(4) 前線に動けるスペースなく特徴が生きなかった。
===
シュールレ(3.5) 短い時間だったが一応印象には残った。
シュヴァインシュタイガー(-) 時間短し。ゴールは技術高かった。
それにしても試合時間が厳しい…。
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ドイツ代表
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EURO2016
2016年06月11日 18:59
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■
【Jリーグ第15節】磐田×FC東京
■2016年6月11日(土) 15:00キックオフ
■エコパスタジアム
インターナショナルをはさんで2週間ぶりのリーグ戦。梅雨入りはしているがいい天気の土曜日となったが、首都圏外での試合なのでおとなしく自宅スカパー観戦。
東京は中位に低迷しているが、リーグ戦はここ3試合負けなし。ホームで大阪に勝って巻き返しに出ているところであり、アウェイではあるが勝ち点3を積み上げたい試合。昇格クラブながら戦力も揃っており侮ることのできない相手だが、固い守備からリズムを作りたいところだ。
米本が警告累積で出場停止。そのためインサイドハーフには羽生と田邉を起用、両翼には東と水沼を置き、古巣との対戦となる前田が1トップ。ベンチにはムリキ、バーンズが入り、阿部がベンチを外れた。
秋元
橋本 森重 丸山 徳永
高橋
水沼 田邉 羽生 東
前田
試合は互いに中盤で主導権を争う拮抗した立ち上がり。東京は8分、右サイドでボールを受けた水沼がアウトでテクニカルなシュートを放つが敵GKがセーブ。これがファースト・シュートとなる。
18分、深い位置まで持ちこんだ水沼から戻しのパスを受けた東が狙うが敵DFに当たって枠外に。20分には東のCKに森重が頭で合わせるがシュートは敵GKの正面。東京が散発ながらもいくつかチャンスを作るが決めきれず。一方で磐田も前線の外国人に当てて形を作って来るが、森重、丸山が中心となって抑えこむ。
どちらも攻撃にあとひとつの工夫を欠き、必ずしもレベルは高くないがそれなりに押したり引いたりの攻防となっている。
29分、前田のシュートは枠外に。32分には羽生からのパスを受けた水沼がミドルを狙うが枠に行かず、大きな見せ場を作れないままスコアレスで前半を終える。
後半開始早々、48分には東からのパスを受けて裏に抜けた前田が敵GKと一対一になるがシュートは飛びこんできたGKに当ててしまう。絶好の得点機だったが敵GKのコースの消し方がよかった。もったいないシーン。55分には東から水沼にパスが通り水沼がシュートを放つが枠外に。
59分、水沼に代えて河野を投入、河野はそのまま右SHに入った。さらに67分、田邉に代えて梶山を投入、梶山はインサイド・ハーフに。中盤でタメを作って欲しいという意図かと思うが微妙な交代。
69分、徳永のクロスに中央の前田が頭で合わせるがバーの上。東京の方がクリティカルなエリアにまで侵入できている感はあるものの得点には至らず。スコアレスのまま終盤に突入し、個人技やミスがらみで試合が決まりそうな展開に。
両チームとも次第に疲れが出てオープンになって行く中、東京の守備の集中は切れず、磐田の攻撃も散発で大きなチャンスは互いに訪れず。
75分、東に代えてムリキを投入、ムリキはそのまま左SHの位置に入る。東京は中盤で拾ったボールを梶山から配球して攻めようとするが、スタート地点が低いことが多く、なかなか効果的なカウンターにならない。
87分、敵の自陣での横パスをカットしたムリキがそのまま持ち上がってGKと一対一になるが、ここでもシュートを敵GKに当ててしまいゴールならず。結局そのままスコアレスで試合終了。勝つチャンスはあっただけに悔しい。
しっかり後ろを締めて完封したことは評価するが、少ないチャンスでもしっかり決めきるところが足りず、残念な引き分けに終わった。ポゼッション51-49、シュート9-10、CK4-5と拮抗した試合内容が数字にも表れている。
敵のGKがリーグ戦デビューの若手で、気合が入って思いきりのいい飛び出しをしてきたところで一対一を一度ならず二度までも決め損なったのが痛かった。アウェイで最低限の結果は得たと言うべきだが、順位を考えれば勝たなければならなかった試合。無敗は4試合に延びたとはいえ、その価値は次節、水曜日の広島戦に勝つことでようやく定まる。
内容的には、スカパーの解説も指摘していた通り、米本がいないことでボール奪取のポイントが低くなり、守りから攻撃への切り替えに手間取って迫力を欠いたのはあったのかもしれない。個々には前に向かう気概を見せたが、チャンスは最後まで単発で、試合の流れをコントロールしきれなかった。
終盤に入ったムリキは、一対一は決めて欲しかったが、周囲との連係も悪くなく、ボールを受けて前に向かうことができていた。チャンスも自ら敵の横パスをカットしたもので、これはJ3の試合でも狙っていた。ゴールがひとつ出れば波に乗るようにも思え、フィットにそこまでの問題はない印象。周囲との間で使い方、使われ方が分かってくれば力はあるはずで、我慢して試合で使いたい。
不完全燃焼感の強い試合だったが、負けた訳ではなく下を向く必要はない。重要なのはこの試合から継続するところ、見直すところをしっかり拾い上げて、次節のホームでの広島戦にしっかり勝利すること。シーズンはどんどん進んで行くのであり、足りない試合数を埋めた時にどの順位にいられるか、勝負どころの連戦になる。
ここまで13試合を消化して勝ち点18(1試合あたり1.38)は、タイトルを狙うクラブとしてはまったく話にならない水準。シーズン前半残り4試合を全勝しても届く勝ち点は30で1試合あたり1.76。既に首位の川崎は勝ち点34を積み上げており、この出遅れはいかんともし難い。日程は苦しいが目の前の試合をひとつひとつ戦うしかない。
評点(評点は
ドイツ式
):
秋元(3) ファイン・セーブで勝利に貢献。リーグ戦4試合連続完封中。
橋本(4) 敵FWに置いて行かれるシーンもあったが攻撃面で特徴を発揮。
森重(3) 冷静かつアグレッシヴな守備で完封を演出。ヘディングは惜しかった。
丸山(3.5) 森重とのコンビで最後まで守りきった。敵FWに仕事をさせなかった。
徳永(3.5) いいクロスあり。右サイドの時とは違う存在感を見せている。
高橋(3.5) 最終ラインの手前で敵の攻撃を寸断。地上戦で貢献大きかった。
水沼(3.5) 何度か決定的なシーンはあった。もっと自分で行っていいと思う。
田邉(4) 中盤の窮屈な試合で特徴出しきれず。しんどい戦いになった。
羽生(4) 隙間を埋めるポジショニングは健在。プレー精度がやや荒かった。
東(3.5) 豊富な運動量でチャンス・メイク。好調は維持していると思う。
前田(4) 収めた後の出しどころに苦労。一対一を外したのが悔やまれる。
===
河野(3.5) ボールを持てば存在感大きい。田邉とのコンビをもっと見たかった。
梶山(3.5) 起点となって時間を操ったが、今のシステムでは使いどころ難しい。
ムリキ(-) 時間短し。使うことでフィットするのでは。
失点しなければ勝ち点1は取れますよという試合。もちろんそれでは足りないのだが、そこがまずベースであることは、得点力を求める中でも見失ってはならない。求められているのはこれをベースにした上積みであり、方向転換ではない。ワンチャンスを決めきる力が欲しい。
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FC東京
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J1リーグ戦
2016年06月08日 00:31
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【緊急コラム】「FC東京観戦女子」に思う
何だかよく分からないが、「FC東京観戦女子」というアカウントがTwitterに出現、これと連動する形でクラブから「Cheer Up Tokyo〜女子大生観戦企画〜」というイベントが発表されたことに対して、東京クラスタでは賛否が分かれている。
これに不快感を示す人も少なからずいるようで、その気持ちは分からなくはないが、僕は以前から何度か書いているように、ひとりでも多くの人にスタジアムに来てもらうことが重要だと考えているので、何であれ工夫して集客しようとする企画それ自体は全然おかしくないと思う。
応援の仕方、観戦の仕方は人それぞれ自由であり勝手であって、極端に周囲に迷惑をかけるのでない限り、ゴール裏で立ち上がってジャンプするのも、バクスタで戦術にうんちくを垂れるのも、最前列で目当ての選手に黄色い声援を飛ばすのも、等しく尊重されるべきである。
試合そっちのけで、子供が3DSでゲームをしていても、アベックがいちゃいちゃしていても、オヤジがひっきりなしにスナック菓子を食べながらビールを飲んでいても、チケットを買ってスタジアムに入っている限り好きにすればいい。そうやってスタジアムにいる人たちが好き勝手にしている濃淡さまざまな関心の中心にFC東京があればそれでいいのだ。
多様性の中から、多様性を認める柔軟な態度の中から、クラブとしての強固な活動基盤は形成されて行くのであり、年齢的にも、階層的にも、意識面でもさまざまな人たちが集まることで、クラブはひとつの実体としてサイクルを描きながら成長し、持続して行くことができる。
そこに流儀はいらない。いや、流儀はあっていいし、それを共有するのは自由だが、それを誰かに強要することはできない。そんなことはあってはならない。女子大生が花冠をかぶって応援したいならそうすればいい。それを批判し、揶揄する必要はどこにもない。スタジアムは入場料さえ払えばだれも入場が可能であり、いつでも退場が可能だ。
僕たちは東京に強くなって欲しいし、味スタを満員にしたい。常に満員の熱気あふれるスタジアムで東京を後押ししたい。ほとんどの東京サポはそう願っていると思うが、そうであれば僕たちは多様性を許容し、自分と異なる応援スタイルを受け入れなければならない。
頂点を高くするためには地道に底辺を広げるしかなく、全体が大きくなれば必然的にそこにいろんな人が混じって来る。それを認める以外に味スタを満員にする方法はない。自分たちがこれまでやってきた応援のスタイルを尊重して欲しいのなら、新しくやって来る人の新しいスタイルを尊重しなければならない。
《過去の関連記事》
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【オフに考える】味スタを満員に(呼び込み編)
2014.2.26
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【オフに考える】味スタを満員に(囲い込み編)
2014.2.26
■
【緊急コラム】味スタが満員になるとはどういうことか
2015.5.16
===
だが、一方で、この「観戦女子」の試みに違和感を持つ人がいるのも僕は理解できる。なぜなら、ここにはそうした草の根のファンベースの拡大とは異質な、代理店臭さが強烈に漂っているからだ。「女子大生」という記号を消費することでフィーをかすめ取って行く下劣な女衒商売の悪臭がするからだ。
これは、日本人が買収したサバデルと提携してフレンドリー・マッチをやったときの胡散臭さに似ている。ジャパン・コネクションでサバデルに押しこんだ田邉の移籍も不愉快だった(結果としては予想外にうまく行った気もするが)。サバデルの地元の人がどう思ってんのかなと考えると胸がふさぐ思いがしたものだ。
そういう、FC東京の看板で商売をしようとする輩にオレたちの青赤を易々と売り渡すのはやめてくれ、というのが「違和感」の本質ではないだろうか。少なくとも、僕が、企画意図の正しさにも関わらずこの「観戦女子」に共感できないのはそういうことだ。女子東大生が飛行機で隣に座ってくれるツアー並みの胡散臭さだ。
まあいい。この企画で、ふだんフットボールを見にスタジアムまで足を運ぶ機会のない人たちがひとりでも多く来てくれるのなら、それはそれで文句をつける筋合いでもない。どうなるか見てみよう。ただこの企画でクラブから代理店だのプロダクションだのに支払われるフィーがもったいなく思えるだけだ。
《過去の関連記事》
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【FC東京】再開直前プレビュー
2013.6.30
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FC東京
2016年06月05日 23:28
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【グラードバッハ】2015/2016シーズン・レビュー
クラマー、クルーゼを放出して迎えたシーズン。クリステンセン、ドルミッチ、シュティンドルら補強はしっかりやったはずで、ルツィアン・ファヴレ監督の下、CLとリーグ戦を戦う準備はできているはずだった。
しかし、シーズンが始まってみると、DFBポカールのザンクト・パウリ戦こそ4-1と完勝したものの、リーグ戦は開幕から5連敗。この間、1得点12失点とあり得ない成績でチームは最下位に沈んだ。CLでもグループ・ステージ初戦のセビージャ戦に0-3と完敗、完全にスタート・ダッシュに失敗した形となった。
これを受けてルツィアン・ファヴレ監督があっさり辞任。やむなくユース監督だったアンドレ・シュバートを暫定監督に起用したが、これが当たり、そこから破竹の6連勝を達成し、さらに引き分けをはさんで第15節のバイエルンにも3-1で快勝、リーグ戦10試合負けなしとなり、勝ち点を26まで伸ばして3位に浮上した。
さすがにその後息切れ、シーズン後半は特にアウェイでまったく勝てない(1勝6敗2分)など決して盤石の戦いではなかったし、実際勝ち点も昨季の66から55に減ったが、3位以下が混戦になって比較的低い勝ち点での争いになった上、アウェイでのバイエルン戦を含むシーズン最終の4試合を3勝1分と好成績で終えることができたおかげで、何とか4位を確保、CL予選への出場権を獲得した。
CLはセビージャ、ユベントス、マンチェスター・シティと強豪が揃う厳しい組になり、ユベントスに2分、セビージャには1勝1敗と健闘したものの、最終節のアウェイでのマンチェスター・シティ戦の激闘に敗れ、グループ・ステージで敗退となった。また、DFBポカールは3回戦でブレーメンに敗退した。
今季のつまずきはやはり新しく獲得した選手をチームにフィットさせるのに時間がかかったことだろう。特にクルーゼの後釜として期待したドルミッチがフィットせず、またシュティンドルはクラマーの穴を埋めるべくボランチで起用したがこれも機能しなかった。
また、CBも、シュトランツル、ドミンゲス、ヤンチュケらが負傷離脱したところをクリステンセン、マーヴィン・シュルツらでカバーしようとしたが、経験と連係の両面で不安定さが出て形にならなかった。
クラマー、クルーゼが抜けたとはいえ昨季からの戦略、戦術を継承している選手と監督は残っており、このスタート・ダッシュの失敗をそのままの態勢でリカバーしに行くことも可能だったと思うし、ここ数年の黄金期を築いたファヴレ監督を更迭するのは難しい判断だ。だが、それだけに、結果が出ないままズルズルとできるはずのことまでができなくなり、最終的にチームが崩壊して残留争いに巻きこまれるリスクも高かった。
クラブはファヴレ監督を信頼する方針だったと思うが、ファヴレ監督が自ら辞任したことで事態は自然に動き出すことになった。実力的には降格などあり得ないクラブが、ひとつ狂った歯車を修正できないままズルズルと悪循環に飲みこまれて残留争いに巻きこまれたり降格したりする例を我々はイヤになるほど見てきた。結果として監督交代は正しかったのかもしれない。
シュバート暫定監督はダフードをボランチとして先発に抜擢、シュティンドルをFWに上げてラファエルとコンビを組ませた。ダフードは期待にこたえて中盤で高いパフォーマンスを披露、欠かすことのできない選手に急成長した。また、シュティンドルも前線で流動的に攻撃に絡み、僕の印象ではクルーゼを上回るパフォーマンスを見せてくれたと思う。
とはいえ、シュバート監督がやったことは実際のところ、ファヴレ監督の戦術を戦略を整理し、危機感をバネに選手らに再び自信を持たせることに尽きたと言っていい。CLがあったこともあって日程的にはかなり厳しく、また負傷が相次いでターン・オーバーもままならなかったが、シュバート監督着任後の公式戦15試合を10勝1敗4分で駆け抜けたのはほぼ奇跡。さすがに消耗がたたって減速したが、この驚異的なV字回復は大きな自信になった。
スタイルとしては豊富な運動量をベースにインテンシヴなプレスでボールを奪い、少ないタッチ数でボールを動かしながら一気に前線まで攻め上がるというモダンなもの。これ自体はファヴレ監督のときからの基本的な方法論であり、我々にも馴染みの深いものだが、ボールを持たされた時のトリガーのひき方とも併せてよりアグレッシヴに再構築したのがシュバート監督の基本戦略か。
この戦略の核になるのは、中盤でしっかりボールを収め、縦にも横にもパスが出せるシャカ、ダフードあってのことであり、今季は特にシャカの存在感が大きかった。すぐ頭に血が上ってカードをもらってしまう悪癖は最後までなくならなかったが、もともとワールド・クラスのタレントであることがよく分かるパフォーマンスだった。アーセナルへの移籍が決まってしまったようだが、大金を残してくれた。そろそろ手放すタイミングだろう。これまでの貢献には感謝しかない。
その他に印象に残ったのはやはりラファエルだろう。ポーカーフェイスでひょうひょうと決定的なプレーを繰り出すクリエイティビティは今のグラードバッハの原動力であり不可欠なもの。シーズン序盤は前線でのパートナーが固定せず苦労したが、シュティンドルとのコンビがハマった。給料上げてやって欲しい。
あと、ノードファイトの活躍も見逃せない。ボランチに、CBに、SBに、守備的なポジションに穴があけばどこでもカバーするユーティリティ性は幾度となくクラブを救った。派手な活躍をする選手ではないが、ケガ人が相次ぐ中でシーズンを何とか乗りきれたのは彼の存在によるところが大きい。彼もプレミア方面に転出となるが、5年半の長きに亘ってチームを支えてくれた。
他にも、ケガで離脱しながらもシーズン終盤に復帰してCL予選獲得の立役者になったハーンや、チェルシーからのレンタルながら大きな存在感を見せたクリステンセン、前線にコンバートされてフィットしたシュティンドルなど、総力で戦いきったシーズンだった。力を出せなかったのはドルミッチくらいか。
このオフにはシャカ、ノードファイト、ブラウアース、ヒンターエッガーらが移籍、また、シュトランツルが引退。特にボランチの補強は必要であり、シャカ・マネーでクラマーを奪還したいところだが、シャカ・マネーはクリステンセンの買い取りに使うとの報も。
いろんなことがあった波乱のシーズンだったが、リカバーして何とかCL予選出場権を獲得したことは評価できる。来季は開幕からダッシュすることと、ホームとアウェイの極端な落差をなくすこと。幸い主力の多くは残り継続性を持ってチーム作りができるはず。今季も楽しかった。
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