フットボール・クレイジー

2022年01月30日 22:12 　　　　　[posted by der_ball_ist_rund]

■ 【FC東京】2022年シーズン・プレビュー(2)　GK編

GKには新たに仙台からヤクブ・スウォビィクを獲得した。阿部が移籍したのでラインアップとしてはスウォビィクに加え、昨季正GKとして出場機会を得ていた波多野、サブであった児玉が残留、また膝の負傷で昨季結局出場のなかった一昨年の正GK林も契約を更新している。

このうち林は手術した膝の回復が思わしくなく、今年に入って再手術したことが報じられている。昨季は林が復帰できなかったことが大きな誤算で、波多野をメインで使わざるを得なかったが、あとで詳述するとおりこれが停滞の大きな原因のひとつになったと思っている。林は今季も早い時期の復帰は望めず、スウォビィクの獲得は正しい選択だったと思う。

精神的支柱としてのスウォビィク

スウォビィクは2020年夏に来日、仙台の正GKとしてビッグ・セーブを連発し評価の高い選手だ。昨季仙台でのアウェイ・ゲームを現地で観戦したが、常に準備を怠らず超人的ともいえるリフレクションでミッション・インポッシブルみたいなセーブをいくつも決めたことは強く印象に残っている。

また、チームが緩んだり落ちこんだりしそうなときにカツを入れる声出しも特徴的で、セット・プレーの前に味方をひきしめる大きな声は、声を出しての応援が禁止となっていたスタジアムにひときわ大きく響きわたって選手らを鼓舞していた。選手の声出しにスタンドから自然発生的な拍手がわいたのは初めて見たし、敵ながら目頭が熱くなるシーンだった。

ひとつセーブした後に体勢を立て直し、こぼれ球に備える妥協のない姿勢はプロとしての矜持を感じる。昨季から東京に欲しいと思っていたが本当に来てくれて驚いた。このオフはまず権田にオファーを出していたようで、それが成約に至らなかったためのセカンド・チョイスかもしれないが、僕としては権田よりもスウォビィクが来てくれてむしろよかった。

ビルドアップの起点としての精度は必ずしも高くないという評価もあるが、まずはしっかりゴールを守るという点、そして後方から的確にコーチングしチームを鼓舞するチームの支えとしての点で、安心感のあるGKを獲得できたことは重要だ。活躍を期待したい。

波多野は人間的成長を

おそらく林が戻るまでの暫定的な対応として正GKを任された波多野だが、林が復帰できず結局シーズンを通してゴールを守ることになった。サイズが大きく、シュート・ストップに強みをもつ有望なGKであることは間違いないし、ハイボールの処理などもシーズンを通じて成長があったと思う。

しかし飛び出したのに触れなかったりなどの判断の誤りも多く、また失点すると目に見えてボルテージが下がるなどメンタルに問題が見受けられた。なによりふだんは大きな声が出ているが内容はコーチングというより「何か叫んでいる」に近いもので的確にチームを導いているとは思えなかった。

GKというポジションは最後方から試合の流れを見ながらチーム全体のバランスを整え、先を予測して指示を出す戦略の要である。そのためにはクレバーさ、冷静さ、判断力が必要で、その指示を聞けば味方が動くことのできる信頼性、ブレない精神力がなければできない。若さは時としてディスアドバンテージになるが、他のクラブを見れば波多野と同年代でもそうしたGKとしての資質をそなえ、発揮しているGKは少なくない。東京でもかつて塩田からポジションを奪った権田は若くともそうしたGKとしての強さがあった。

それに比べれば波多野は威勢はいいが精神的に幼く、彼の声出しにはチームを動かすだけの信頼性や説得力がない。GKとして評価を得るためには、技術以上にそうした心の強さ、生真面目さ、ストイックさ、そうしたものに裏づけられた信頼感、説得力が必要ではないか。人間的成長がなければGKとしてトップリーグで実績を残すことは難しいと思う。

控えは大丈夫か

今季はスウォビィクが正GK、波多野がサブ、児玉がバックアップというのが順当な考え方だと思うが、僕としては波多野にはしばらく下積みをさせ、児玉をサブとするのも選択肢だと思っている。

児玉は昨季カップ戦を中心に何試合かで出場機会があったが、その実力は正直見きわめきれなかった。ただコーチング、安定感という意味では明らかに波多野よりアドバンテージがあり、それでも波多野を使い続けたのはユース出身の有望選手の育成を優先したものだと感じていた。

いずれにせよ、林の早期復帰が見こみがたい中、控えが波多野、児玉の2枚だけというのは万一のケガを考えると心もとない。GKのケガというのは続けて出ることも経験的にあり、阿部の放出、野澤のレンタル継続は危なっかしい判断のようにも思える。スウォビィクを中心にした3人態勢でなんとか乗りきり、林の復帰を待つということだろうが、とにかくだれもケガをしないように祈るばかりだ。

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2022年01月29日 22:17 　　　　　[posted by der_ball_ist_rund]

■ 【FC東京】2022年シーズン・プレビュー(1)　総論

FC東京は4年間続いた長谷川健太監督が退任、新たにアルベル・プッチ・オルタネダ監督が新たに指揮を執ることになった。

オルタネダ監督はJ2の新潟を2年間率い、ポジショニングを重視する現代的なフットボールでクラブを生まれ変わらせたと評価されているようだ。バルセロナのカンテラで指導者のキャリアをスタートさせた人物で、クラブとして次のステップを託すに値すると期待する声が多い。

オルトネダ監督の特徴はポゼッションであるとの評もあるようだが、ボールを持つこと自体が自己目的化したような単なるポゼッション・フットボールではなく、プレーヤーが的確なポジショニングを常に意識し、主体的にボールを動かしながら相手の守備にギャップを作ってそこに入りこんで行くという攻撃的なポジショナル・フットボールをめざしているのだろうと考えられる。

実際、キャンプ中に森重が「人が動いてボールポゼッション、というよりは、いるべき場所に人が立って、そこにボールを届ける、その連続でゴールをめざす」と発言しているのはそれを裏づけている。安部も「ポジショナルプレーというものを監督は求めていると思うので、『ポゼッションではなくポジショナル』という言葉は印象に残っています」とコメントしており、オルトネダ監督のめざすものが透けて見える。

小川の「選手の距離感とレーンがかぶらないということはすごく言われています」という発言もあり、レーンという考え方をベースにした現代的なポジショナル・フットボールに取り組んでいることは明らかだ。

また小川は「下がってリトリートする守備というよりは、自分たちがボールを持ち続けて相手に攻撃させないというやり方なので、ボールを奪われた後に前線ですぐとり返して自分たちのボールにすることを望んでいる」とも発言しており、攻守の速い切り換え、前線でのアグレッシブな守備からいい位置でボールを奪うゲーゲン・プレス的なリスク管理の考え方がベースにあることも窺える。

長谷川監督のもとでは4-4-2を基本にしたブロックで中央を固めながら、ファスト・ブレイクと呼んでいた堅守速攻でそれなりの結果を出したが、攻撃面の上積みを求めてアンカー・システムに取り組んでつまずき、そこからの積み上げができなかった印象が強い。ボールを握って攻撃的に試合を支配するフットボールをめざすことは大きな方向転換になるが、ベースになる戦い方をしっかり固めることは歓迎だ。

もちろんそうした方向転換が簡単にできるわけではないことは覚悟しておかなければならないだろう。オルタネダ監督自身も「クラブが安定して成功を収めるためには、チームとしてのベースを長い時間をかけて構築していかなければいけません」「今シーズンは難しいシーズンになると思います。それをファン・サポーターのみなさんも理解しつつ、ともに苦しみ、ともに今後訪れる成功のために耐え続けてくれたら、大きな改革は成し遂げられるのだと思います」と述べており、このスタイルがチームに根づくには年単位の時間がかかることを示唆している。

森重、髙萩、東ら東京を支えてきた選手らがフィットしている間にリーグ・タイトルを取りたいという思いは強く、そのためには悠長なことは言っていられないとも正直思うが、オルタネダ監督の招聘、戦略面での方向転換自体は支持すべきものだし、チームができあがり戦えるようになるのが先か、彼らがパフォーマンスを落としてクラブを去るのが先か、時間との戦いになると腹をくくるしかない。

また、もうひとつ考えておかなければならないのは、いくら緻密に戦略を構築し、戦術を落としこんだとしても、一対一の競り合いや、最後の最後にゴールを決める局面では個の力がモノをいうということである。

リカルド・ロドリゲス監督を招いて新たにチーム作りを始めた浦和は、東京より1年先を行くモデルとして参考になると思うが、昨季次第に戦略が浸透し結果につながり始めた時期に、浦和サポの知人は「チームとしての動きがよくなればなるほど、個の力の限界みたいなものが見えてしまうんですよ」ということを言っていて、わかりみが深いと思ったものだった。

その点、今季は主力がほぼ軒並み残留し、オリヴェイラ、レアンドロ、アダイウトンのブラジル人トリオも全員が残ってくれた。今季を通じて世代交代も進めて行くことになるのではないかと思うが、こうした選手が揃っていていざという時に個人技で打開する選択肢もあるのは心強い。オルタネダ監督がそうした「理想と現実」や戦術で崩した最後のひと振りのことをどう考えているのかは興味深い。なんだかんだ全盛期のバルセロナだって最後は個で決めてんじゃんという声は根づよいわけで。

今季は監督が言うとおりおそらく結果が出ずにやきもきすることも多いシーズンになると思うが、なにか新しことが始まるというワクワク感もハンパない。COVID-19の影響はあるものの、状況が許すかぎりスタジアムに足を運んで新しいFC東京を目撃したい。

次回からはポジションごとに今季の戦力評価をしたい。

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2022年01月23日 17:25 　　　　　[posted by der_ball_ist_rund]

■ 【ブンデスリーガ第20節】グラードバッハ 1-2 ハノーファー

■2022年1月22日(土)　15:30キックオフ
■Borussia-Park

バイエルンに勝ったのはよかったが、ホームでレバークーゼンに惜敗、DFBポカールではハノーファーに完敗と、そこまで悪いわけではないのにドツボにハマった感じのあるシーズン後半戦。ホームでの連戦となるが何とか勝ち点を積み上げてイヤな空気を払拭したい。

ホフマンが先発に復帰したがシュティンドルが長期離脱との報道。中盤ではツァカリアが先発しコネとダブル・ボランチに。左のウィング・バックにはスカリーに代わってネッツが先発するなど細かい修正あり。3バックも並びが変わった。

ゾマー
ギンター　フリードリヒ　エルヴェディ
ライナー　ツァカリア　コネ　ネッツ
ノイハウス
ホフマン　エンボロ
試合はグラードバッハがボールを支配、ウニオンがやや引いてブロックを形成し、奪ったボールを裏に蹴るという流れになった。15分過ぎ、主審が試合を中断しVARと協議、その前のプレーで、エリア内でツァカリアのハンドがあったとしてウニオンのPKに。

18分、これを冷静に決められて0-1とビハインドを背負う。悪くない形で試合に入った印象だっただけに冷や水を浴びせられた感ハンパない。ポカールのハノーファー戦と似たようなかたちでのVARからPKの流れで興が削がれた。

リプレイで見たところ、確かにツァカリアの手に軽くボールが振れているが、すぐ手前で敵に当たりボールの軌道が変わっており避けがたいこと、ツァカリアのボールへの接触はわずかで軌道も変わっていないことを考えれば、敢えて取るまでもないと思った。

その後もグラードバッハがボールを持って攻める展開は変わらず、いくつかチャンスも作るが決めきれない。

ようやく40分、エンボロが右サイドで敵DFをかわしてボールを確保、ホフマンにつなぐ。ホフマンがボールを持ち上がり、深いところから中央にマイナスのクロスを入れると、これを受けたコネがワン・トラップからシュート。これがゴール右隅に決まり1-1の同点に。コネはこれがブンデスリーガ初ゴール。前半のうちに追いついて流れを引き戻す。

後半に入るとグラードバッハがギアを上げ、ボールを保持して敵陣中心に試合を進めるが、ゴール前はウニオンの守りも分厚く最後のところを詰めきれない。

77分には右サイドの深いところからホフマンが持ちこんで角度のないシュートを放つが敵GKがセーブ、こぼれ球がゴール前に詰めたネッツに当たるがボールはバーの上に。絶好機だったが決められなかった。

79分、ケガ明けのホフマンに代えてヘアマンを投入。だが、84分、守備ラインの裏にスルー・パスを通され、敵FWに完全に裏を取られシュートを決められる。角度はなかったがダイレクトでここしかないというところに打たれゾマーも対応できず。1-2と勝ち越される。

87分、ギンターとネッツに代えてプレアとスカリーを投入、最終ラインを4バックにしてエンボロとプレアの2トップにしたが奏功せず、結局1-2でまたしても勝ち点を積み上げられなかった。

そんなにひどい試合をしているわけでもないのにここ一番で決めきれず、逆にワンチャンを決められてガックリという昨年の終わりから見慣れた光景で、特に終盤に失点して勝ち点を落とすのももう何回も見た。

こういう負け方が続くと監督人事も難しい。悪いフットボールをやっているわけではないし、高いカネで連れてきた監督なので切るのはもったいないが、さすがにちょっとなにかしないとおさまらないくらいの局面になってきたのではないか。

昨季もなぜか勝てない時期があって、なんとかひとつ勝って乗りきったことがあったが、今季も我慢で打開できるのか。まあ、ヒュッター監督をあきらめることになると、高い買い物して失敗した形になるエバールの責任にもなりかねないのでできるなら留任からの盛り返しに期待したいが、ウィンター・ブレイクをはさんでもこの状態ではいろんな声も出てくるだろう。ほんと悩ましい。

この試合もシュート数11-6、CK4-1、ポゼッション60-40と、上位のウニオンを押しこみ、不幸なPKからの失点をコネの初ゴールでチャラにしたまではよかったが、後半の押している時間帯に逆転まで持って行けなかったのが最後に効いた。

交替枠を使いきらないのは結構毎回のことで、この試合も3人しか替えていない。後半悪くない形で押しこんでいたのでバランスを崩したくないのは分からなくもないが、ちょっと選手起用に偏りがある印象なのは気になる。

20試合を終えて6勝10敗4分、勝ち点は22で変わらず1試合あたりの勝ち点は1.10まで低下。暫定順位は12位のままだが日曜日の試合次第では14位まで落ちる可能性あり、降格圏16位との勝ち点差はわずかに3、つまりは1試合分しかない。

ちょっとマジなんとかしないとヤバい。なんとかして。

アディ・ヒュッター監督談話：
「ウニオン・ベルリンは今日はたったひとつのゴールのチャンスだけで2点を取り、勝者としてピッチを去ることになった。我々のパフォーマンスからすれば、我々が敗者として帰途につかなければならないのはまったく割りに合わないことだ。この試合が終わったあとのこの結果は、パフォーマンスとは異なったところからもたらされたものでとんでもなく不満だ。チームは私が見せて欲しいと思っていたものの多くをきちんと実行してくれた。ポカールでのハノーファー戦に比べれば彼らは非常にアクティブで、本当にわずかしか相手に自由を与えなかった。チームは90分間、戦術的に規律正しく戦い、多く走り、特に前半はいい動きがあった。試合が終わったあとに残されたものはあまりに少なく腹立たしいが、このパフォーマンスの上に積み上げることはできるだろう」

この試合の評価としては同意。あとはどれだけ時間の余裕がもらえるかだな。

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2022年01月20日 22:41 　　　　　[posted by der_ball_ist_rund]

■ 【DFBポカール3回戦】ハノーファー 3-0 グラードバッハ

■2022年1月19日(水)　18:30キックオフ
■HDI Arena (Hannover)

ちょうど木曜日が在宅勤務だったので、6時半ごろに起きてDAZNで見逃し配信を見た。在宅勤務で通勤がないからその分試合を見ていられるのがいい。なによりポカールの試合が日本できちんと見られるのがありがたいが。

せっかくバイエルンに勝ってコマを進めた3回戦、しっかり突破してタイトルを狙いに行きたい。相手は二部のハノーファー。週末のレバークーゼン戦から一部のメンバーをターン・オーバーした。

ゾマー
ギンター　エルヴェディ　フリードリヒ
ライナー　ノイハウス　コネ　スカリー
シュティンドル
プレア　テュラム
互いに積極的に前に出る立ち上がりになったが、4分、いきなり試合が動いた。最終ラインに入った敵FWに入れられたパスを裏に落とされ、ここに走りこんだ敵FWがこれをダイレクトで振りぬきゴール。いきなり0-1とビハインドを背負う。

その後も積極的なプレッシングから手数をかけずゴールを狙いに来るハノーファーに対し、グラードバッハはボールを持たされる形で崩しを試みることとなる。12分にはテュラムの落としを拾って裏に抜けたノイハウスがシュートを放つが敵GKがセーブ。

30分過ぎ、主審が試合を止める。直前のプレーでハンドがあったかどうかのVARとなる。敵FWが放ったシュートがフリードリヒのヒジに当たったということで、OFRの結果ハンドとなりPKに。これを敵FWが決め0-2とビハインドが広がる。

確かにヒジに当たっており、身体から離れてもいたが、至近距離からのボールであり意図的に身体を大きく見せた訳でもないので敢えてハンドを取るまでもないと思ったが仕方ない。0-2で前半を終えた。

後半からテュラムとプレアに代えてエンボロとツァカリアを投入。ノイハウスが一列上がってトップ下か右のワイド・アタッカーになったと思う。

しかしまたしても立ち上がりの51分、敵陣に攻め上がったところから一気に裏へパスを出される。オフサイドかと思われた一瞬の判断の遅れもあったか敵FWの独走を許し、さすがのゾマーも止めきれず流しこまれて0-3に。リプレイで見たがギリでオフサイドではなかったか。当然VARでも検証しているのだろうから仕方ないが敗色濃厚に。

グラードバッハも前がかりに攻撃をしかけ、何度か好機を迎えるがことごとく敵GKにセーブされてゴールが奪えない。67分にはスカリーとライナーに代えてネッツとヘアマンを投入、両ウィング・バックを入れ替えて試合を活性化しようとする。

しかしその後も敵のシュートがポストをヒットするなどピンチもあり、攻めては好機を決めきれず、結局そのまま0-3で格下に完敗、ポカール敗退となった。

シュート数17-18、CK8-5、ポゼッション62-38と、ボールは支配したが得点につなぐことができなかった。内容的にそこまでひどかったとは思わないが、早い時間帯での失点で敵を流れに乗せ、さらにPKで「イケるかも」と思わせて自ら負けトラックに乗ってしまった。敵GKが当たっていたとはいえ、せめて0-2の間に1点返しておきたかった。

kickerも「ヒュッター監督は追いこまれた」と見出しにしているし、ちょっと具合の悪い試合に具合の悪い負け方をしたと思う。大金はたいて連れてきた監督だし、やってること自体が間違ってる訳ではないので今季は任せたいが、状況が許してくれるか。週末のホームでのウニオン戦は結構重要な試合になるかもしれない。

アディ・ヒュッター監督談話：
「ここにやってきたときを思えば失望は非常に大きい。全然違う展開を思い描いていた。試合の入り方はもちろん我々がまったく想定しなかったものだった。わずか開始4分、ハノーファーの最初の攻撃だったにもかかわらず我々は早くもビハインドを背負ってしまった。2-0になる前にフロリアン・ノイハウスに同点にする絶好のチャンスがあったが、その後、仕方ないとも思えるハンドでのPKを与えてしまった。その後は我々は選手交代でできることはすべてした。しかし、ハノーファーも同じようにうまくやったのであまり効果はなかった。我々はあまりにも間違ったタイミングで間違った判断をし、多くの競り合いに負け、しばしばあまりにもスローにしかプレーできなかった。それがひとつのゴールを決めることさえ上手く行かなかった理由だ。それが非常に腹立たしい」

今季のポカールは有力なクラブが軒並み負けていてタイトルのチャンスとかよけいなことを考えたのがよくなかった。

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2022年01月16日 17:25 　　　　　[posted by der_ball_ist_rund]

■ 【ブンデスリーガ第19節】グラードバッハ 1-2 レバークーゼン

■2022年1月15日(土)　18:30キックオフ
■Borussia-Park

前節バイエルンに勝った勢いで波に乗り、勝ち点を積み上げたいホーム・ゲーム。日曜日の朝早くに起きてスカパーの録画を追っかけで見た。

移籍の可能性が報じられているギンターがベンチ・スタート、代わってヘルタから移籍加入したばかりのフリードリヒが先発した。ベンゼバイニは引き続きアフリカ・ネイションズ・カップで留守。ボランチにはクラマーに代わってベネシュが先発した。

ゾマー
フリードリヒ　エルヴェディ　ヤンチュケ
ライナー　コネ　ベネシュ　ネッツ
ノイハウス　エンボロ　シュティンドル
試合は序盤から互いに主導権を争う見ごたえのある展開に。前線からのプレスとそれをかいくぐり少ないタッチ数でボールを前に運ぼうとする攻防に、前線への長いボールも織り交ぜた速い展開も加え、バチバチやり合う強度の高いゲームになる。

16分、ドリブルでエリアに侵入したエンボロが敵DFに倒されながらもノイハウスにつなぐと、これを受けたノイハウスが至近距離からシュートを放つが敵GKがセーブ。これで得たCKにはエルヴェディが頭で合わせたがバーの上に。一方のレバークーゼンもチャンスを作るが例によってゾマーの好セーブもあり得点は与えない。

37分にはベネシュの右寄りからのFKがゴール前に。敵DFがクリアしたボールにヤンチュケが詰めダイレクトでシュートしたが倒れた敵DFに当たりゴールならず。いいシュートだったしヤンチュケのゴールとか見たかったけどな。

全体としてはレバークーゼンの方がしっかりとフィニッシュまで持ちこめている印象だが、一進一退の拮抗した力比べとなりスコアレスで前半を終えた。

後半に入って試合が動く。49分、エリア内で敵FWが倒れ、フリードリヒのファウルがあったとしてPKとなる。リプレイを何度も見たが軽いトリッピングがあったかもしれないくらいの感じしかなく今イチ納得感のないPKに。まあVARも確認は当然してるんだろうが。

50分、このPKを敵FWがゴール右下隅に蹴ったがゾマーが横っ飛びでこれをセーブ。ふだんPKを止めることの少ないゾマーとしては驚きのリフレクションだった。

しかし51分、これで与えたCKから正面で押しこまれ失点、0-1と先制を許す。PKのセーブが印象的だっただけになんじゃこりゃ感が強く割り切れない思い。

61分、ネッツとベネシュに代えてテュラムとスカリーを投入。テュラムは右のワイドアタッカーに入り、ノイハウスが一列落ちてボランチに。スカリーはそのまま左のウィングバックに入った。

ゴールで勢いづいたレバークーゼンの時間帯が続き、押しこまれる展開になるが、何とか追加点は与えない。70分にはヤンチュケに代えてバイヤーを投入。バイヤーはそのまま3バックの左に。

74分、右サイドで与えたFKにゴール前で頭で合わされ失点、痛い追加点を与え0-2とされてしまう。79分、ライナーとシュティンドルに代えてヘアマンとプレアを投入。プレアは右に入りテュラムが左に回ったか。

80分、右サイドのヘアマンが大きく逆サイドに振ったボールをスカリーがエリア内で受け、切り返しで敵DFをかわしてシュートを放ったがGKにセーブされる。これはナイス・シュートだった。

直後の81分、左CKをファーのプレアが折り返し、テュラムに当たってエルヴェディの足許に。これをエルヴェディがワントラップから蹴りこみゴール、1-2と1点差に詰め寄る。

勢いづいたが85分、今度はバイヤーがエリア内で敵FWを引っかけて倒してしまう。これはまあ仕方のない判定でこの試合2本目のPKとなる。87分、しかしこのPKをゾマーが再びセーブ。今度は左下隅のシュートをやはり横っ飛びで防いだ。

なんとか1点差はキープし、最後まで攻撃をしかけたが、逆にゴールを脅かされながらゾマーのセーブで難を逃れるシーンもあり、結局は力負けする形で1-2のまま試合を終えた。

残念な結果だが、PKを2本止めたのにセット・プレーで2本やられての惜敗で、内容的には悲観すべきものではなかったと思う。シュート数17-32、CK5-7、ポゼッション55-45と、ちょっとシュート打たれ過ぎの感はあるものの、強力な攻撃が売り物のレバークーゼンの正面から打ち合ってこれだけ戦えた手ごたえはあった。

星勘定としてはせめて勝ち点1は欲しかったが、ウィンター・ブレイク前とは違い、今できることはしっかり表現したうえでの敗戦なので、足りないところは見ながらも前に進む構えでいいと思う。

ギンターが移籍濃厚なのはショックだが、今季で契約満了となるためにシーズン中の移籍でカネを取るしかないということだろうしそれはやむを得ない。おそらくツァカリアも同じ事情で、ウィンドーが閉まる前にバタバタと移籍する可能性がありそうだ。寂しいがコネ、ベネシュと計算できるボランチは出てきており、これも受け入れるしかない。

19試合を終えて6勝9敗4分で勝ち点22（1試合あたり1.16）の12位と、依然として危険地帯にいるのは変わらず。降格圏の16位アウグスブルクとの勝ち点差はわずかに4のまま。ホーム、アウェイ関係なく力を出せないとメンドくさい戦いに巻きこまれる。

今週は水曜日にDFBポカールの3回戦があり、アウェイでハノーファーと戦う。日程的にはキツいがせっかくバイエルンに大勝してコマを進めたのだからしっかり勝ちたい。オレ的にはターン・オーバーでヴォルフとかも見たい。あとホフマン早く帰ってきて。

アディ・ヒュッター監督談話：
「90分全体を見ればレバークーゼンが勝ったのは仕方のないことだ。我々はバイエルンとの試合でのパフォーマンスをこの試合にもつなぎたかったが、そううまくは行かなかった。前半はそれなりに拮抗した戦いで、我々もしっかり試合を作っていたと思う。しかし、ヤン・ゾマーがPKを止めた直後のCKから我々は負け試合の流れに入ってしまった。その後、やはりセット・プレーから2失点目を喫してしまった。それでもチームは最後まで戦い、すべてを出しきって、1ゴールを返すところまで行った。残念ながら同点にするには足りなかったが」

ゾマーはPKだけはほぼ止められないというのがグラードバッハ・サポ筋での定着した評価であり、1試合で2本止めるとかなにか天変地異の前ぶれではないかと怖くなったが、よく考えれば前日に既にトンガで破局噴火が起こっており、それと何か関係あったのか…

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2022年01月15日 22:29 　　　　　[posted by der_ball_ist_rund]

■ 【FC東京】2021年シーズン・レビュー(3)　目標管理

最後に、何度か書いたことだが、クラブの目標管理の甘さとパブリシティやパブリック・コミュニケーションの欠如についてあらためて書いておきたい。

昨季はリーグ・タイトルを目標に掲げてスタートしたが、川崎が開幕から超速で奪取をかましたため、たのクラブは厳しい戦いを強いられた。普通の感覚では勝ち点は「積み上げる」ものだが、川崎の走り方を見れば全勝が原則で、そこからいくつ「図らずも」勝ち点を落とすか、という計算をした方が現実的という印象だった。

たとえば昨季はシーズンが38試合だったが、これを全勝することで得られる勝ち点は114。ひとつ負けたり引き分けたりするごとに到達できる勝ち点は3または2ずつ下がって行く。後れをとった分は川崎がどこかのクラブを相手に勝ち点を落としてくれるのを期待するしかない。自分のクラブが川崎に勝つことで奪える勝ち点は最大で6。ひとつ負けるたびに、いや引き分けですらもそのたびに川崎の背中が遠のく厳しさをシーズン序盤から感じずにはいられなかったのだ。

第1回に書いた通り、第8節までを終えて東京は3勝1敗4分で勝ち点15（1試合あたり1.88）を稼いだが、首位を走る川崎は8試合消化時点で7勝1分で勝ち点22でその差は7。既に自力で逆転可能な勝ち点差6を超えている。ひとつしか負けていないのに、引き分けが多くもたついている間にタイトルという目標の達成には黄色いランプが灯り始めていたのである。

第9節は川崎との直接対決であったがこの試合に完敗を喫して勝ち点差は10にまで開いてしまう。タイトルを目標に掲げてシーズンをスタートした以上、遅くともこの時点でその目標達成は可能なのか、現実的なのか、難しければどういう手を打つのかを厳しく検証しなければならないはずだが、それが行われた形跡はなかった。行われたのかもしれないが、目標を信じてコロナ禍の中、それでもスタジアムに足を運ぶサポに対して説明は一切なされなかった。

さらに第10節も福岡に惜敗、川崎は勝って（開幕から9勝1敗）勝ち点差は13に広がる。戦力の補強、監督の交替、思い切った戦術の変更、あるいは目標の切り下げや変更など、何らかの対応があってしかるべきだと思ったが、クラブからは何も聞こえてこなかった。

一般企業では、期初に掲げた目標は月次で、どんなのんびりした会社でも四半期に一度は進捗状況をレビューし、もし進み具合がはかばかしくなければ対策を求められる。そういう当然で最低限の目標管理すらこの世界では必要なく、目標は開幕前に言えば言いっぱなし、あとは自然体でどこに落ち着くか見てみましょうということなのだろうか。

シーズンが進んで行くうちにリーグ・タイトルはどんどん遠のいて行ったが、シーズン当初にコミットした目標の実現可能性がどんどん失われて行くことに対して、クラブが危機感を持っているようには見えなかった。もちろん不調のなかで選手を入れ替えたりフォーメーションをいじったり、現場では一つでも多くの勝ち点を積み上げるために必死の努力が行われていたしそのことは知っているが、そうした努力が何を目指して、どこにたどり着くためになされているのかの説明は一切なかった。

思うように成績が伸びないことももちろんキツかったが、それに対してクラブから何のコミュニケーションもなく、ただ漫然と苦しみながら試合をこなしていることに決定的な不信感を持った。

リーグ・タイトルに向けて手を打つなら第9節終了時だったと思うし、目標をACL圏内に切り替えるなら5連敗した第13節終了時、カップ戦タイトルに切り替えるなら札幌に逆転で勝ち抜けを決めた準々決勝終了時だった。それができなくても勝ち点目標を設定することはいつでもできた。最初に設定した目標の達成が現実的にはもう不可能になっているのに、それに代わる目標もなく、戦う意義を「再定義」できないまま試合を消化すると何が起こるのかは11月6日に横浜スタジアムで目にした通りだ。

僕がここまで目標管理やタイトルにこだわるのは、森重とともにリーグ・タイトルを取りたいからだ。我々は石川や梶山を、リーグ・タイトルのないまま引退させてしまった。石川の現役最終となった2017年には初めてユニの背番号を18番にしてスタジアムに通ったが、篠田監督の下でやはりシーズン中盤からジリ貧に陥り、どんどんタイトルが遠のく中でこのときもクラブからは何のステートメントもなく、結局最後は篠田監督が辞任し、安間監督が残りを引き継いだが13位に終わった。悔しく、寂しく、情けないシーズンだった。

あんな思いはもうしたくない。森重がトップ・フォームで戦える間にリーグ・タイトルを取り、シャーレを掲げたい、そのためにはもう残された時間はそんなに長くないと思っている。ようやくタイトルを口にしてもおかしくないところまでチームを作り、2019年はその一歩手前まで行ったが、ここ2年でまた何となく戦い何となく中位でシーズンを終えるクラブに逆戻りしてしまったのか。

今季は体制も変わったのでコミュニケーションのあり方も変わるかもしれないと期待している。監督交代初年で、タイトルを目指すのは実際問題としてしんどそうだとは思っているが、そうであれば最終的にそこに至るための中間目標としてどういう姿をイメージしながら戦うのか、何をスタンダードにしてチェックポイントを通過して行くのか、それを明確にし、その達成度合いを厳しく確認しながら進んで行くシーズンであればいいと思う。

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2022年01月11日 23:28 　　　　　[posted by der_ball_ist_rund]

■ 【FC東京】2021年シーズン・レビュー(2)　長谷川体制の終わり

2021年は、長谷川健太監督にとってFC東京で4年目、そして結果的に最後のシーズンになった。

開幕当初はリーグ・タイトルを目標に掲げたが、残念ながら昨季の成績は長谷川監督が指揮を執った4年の中でも最も惨憺たるものだった。試合数が違うので比較が難しいが、1試合あたりの勝ち点を見れば、昨季は後半で大コケした就任初年の2018年にも及ばない。一般に1試合あたりの勝ち点が2なら優勝争い、1.5なら中位、1なら残留争いと言われるが、昨季の1.39は一つ間違えれば残留争いに巻きこまれていてもおかしくない成績だった。

だが、もちろん、だからといって長谷川監督が東京に残したものが無価値になるわけではない。2019年に最終節まで優勝を争い、2020年にはルヴァンカップに優勝して東京に9年ぶりのタイトルをもたらした。この功績は大きいし、単にそうした目に見える成績だけではなく、「灰になるまで走れ」に象徴されるように結果に向けてなりふり構わずひたむきに戦う姿勢を持ちこんだという意味でもこの4年間は重要だった。

これまでそれなりの選手を揃え、そこそこの成績は残すものの、どこかに緩さ、甘さが感じられ、ここ一番で力を発揮できないまま中途半端な成績でシーズンを終えるのが常態だったクラブに喝を入れ、戦える集団にしたのは他ならぬ長谷川監督だし、そのおかげで2019年にはシーズン前半を首位で折り返した。後半失速し、最終節で首位横浜FMとの直接対決に負けてタイトルは逃したものの、このシーズンは成功体験としてクラブにもサポにも大きな財産になった。

あるいはまた浦和、鹿島といった長い間苦手としていたクラブに当たり前のように戦い当たり前のように勝ったのも長谷川監督の手腕だったと思う。そうした勝者のメンタリティを東京に持ちこみ、クラブが、選手が、サポが、知らずに自らに課していた「まあ、オレらはいつもこの辺だから」という呪縛を解いて、自分たちで勝手に設定していたリミッターを解放したことが長谷川監督のなによりも大きな達成であり貢献であったと思う。

そういう意味で僕は長谷川監督の4年間を基本的に肯定する。そこに築かれたのは、昨季の成績を割り引いてもかけがえのないものだった。我々はこの4年を経て、ようやくタイトルに挑むというのが実際にはどういうことなのかを知り、それに向けて戦いを組織するだけの資格を得た。長谷川監督とタイトルを獲ることはかなわず、それは大きな課題として次に残されたが、我々はタイトルを口にすることの本当の重さを知り、そのために乗り越えなければならない壁がどこにあるのかをようやく具体的に見定めることができたのではないか。

堅い守備と切りかえの速いカウンター・フットボールは見ていて痛快だった。厳しい日程の中で思いきったターン・オーバーをしたり、大事な試合で若手を起用して勝ちきるなど、勝負どころの見極めや、選手を戦う顔つきにしてピッチに送り出すモチベーターとしての手腕も高かった。2020年10月、ルヴァンカップ準決勝川崎戦を控えた湘南戦を大胆なターン・オーバーで若手主体で戦いこれに勝ち、さらに川崎戦も圧倒的にボールを支配されながら2-0で勝ちきったのには勝負師の顔を見てしびれた。

だが、この4年で長谷川監督のチーム・マネジメントの限界が見えたのも事実だ。

4年間の成績を、シーズン前半と後半に分けて見ると、例外なくシーズン後半のパフォーマンスが悪い。これは昨年も書いたが、初見の相手には勝てても、研究され、対策された時にそれを上回るパフォーマンスを出すことができず、あるいはそれを無効にするような違う戦い方をすることもできない、戦術としての伸びしろの少なさや引き出し、バリエーションの乏しさは結局4年を通じて変わることがなかった。

point

2021年がシーズン全体としてパッとしない成績に終わった遠因も実はそこにあり、3年を経て長谷川監督が東京でできることをやり尽くし、打てる手が次第に乏しくなったのではないか。選手の顔ぶれも大きくは変わっておらず、平たくいえばマンネリに陥って、麻薬が同じ量では次第に効かなくなるのと同じような、よくない意味での「慣れ」や「耐性」がチームの中に生まれてしまったのではないかと思う。

また、シーズン後半に弱いというのは、残り試合が少なくなってひとつひとつの勝敗の影響が大きくなり、勝たなければならない試合や積み上げなければならない勝ち点がはっきり見えれば見えるほど、それを淡々とこなすメンタル・マネジメントが難しいということもあるのではないかと思っている。シーズン前半の、まだひとつくらい負けてもリカバー可能な時期はのびのびと実力を出して勝てるが、この試合に勝たないと目標の達成が危うくなるというようなポイントになる試合で力を出しきれないのは、2019年の32節、33節を連続して引き分け、結果として厳しい条件で最終節に臨まざるを得なかったときにも感じた。

そうした意味では長谷川監督の下でできることはやったとクラブが評価したのも理解できる。できることなら3試合を残しての辞任ではなく、シーズン終了を待って最終節のセレモニーで長谷川監督の挨拶を聞きたかったが、0-8という衝撃的な敗戦の責任を取る形で身を引くのが収まりもよいと長谷川監督が判断したのだろう。

長谷川監督のおかげで「上位を争いうまくすればタイトルを獲るかもしれないクラブ」くらいまでは来られたと思うし、ギリギリまで夢を見ることもできた。間違いなく日本を代表する監督のひとりであり、彼とともに戦えた4年間はクラブにとってもサポにとっても素晴らしい財産である。別れは残念だが貢献に感謝し今後の活躍（ただし東京と戦うとき以外）を祈る。

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2022年01月10日 17:32 　　　　　[posted by der_ball_ist_rund]

■ 【FC東京】2021年シーズン・レビュー(1)　足踏み

2021年シーズン（以下「昨季」）は前年の主力がほぼ残留、新人の他はボランチに浦和から青木、攻撃的MFに山形から渡邊凌を獲得するなど穴を埋める小規模ながら的確な補強を行い、リーグタイトルを目標に掲げて開幕を迎えた。

もっとも、2020年シーズンのルヴァンカップ決勝が2021年1月4日の実施となったためオフが短く、一時帰国していた外国人選手の合流が新型コロナ感染症の影響で遅くなるなどチームづくりには不安を抱えており、また1年延期された東京オリンピックのためホーム、アウェイが極端に偏る変則日程になった。

開幕当初、第8節までは3勝1敗4分で勝ち点15、1試合あたり1.88と悪くないスタートを切ったようにも見えたが、首位を走る川崎は8試合消化時点で7勝1分で勝ち点22。既に自力で追いつき可能な勝ち点差6を超えており、この時点でクラブも現場もサポももっと危機感を持つべきだったと思うが、そういう声はどこからも聞こえてこなかった。

第9節は川崎とのホームでの直接対決だったが2-4で完敗。マズいことにここからリーグ戦5連敗を喫してしまう。室屋の移籍後右SBのレギュラーとして期待した中村帆が第7節の名古屋戦で負傷退場し長期離脱になったのも響いて大きく後れをとった。

5連敗となった第13節終了時には4勝6敗3分と負け越して勝ち点は15のまま。1試合あたりの勝ち点は1.15まで低下し、順位も13位と低迷した。首位川崎はこの時点で勝ち点35。シーズンを3分の1消化したところでタイトルは既に現実的にムリだった。

その後連敗は脱したものの一進一退の戦いが続き、シーズン前半を8勝7敗4分、勝ち点28（1試合あたり1.47）の10位と順位表の下半分で折り返した。

6、7月は無敗と盛り返しも見せたが8月以降第35節までは13試合で4勝6敗2分ともたつき、タイトルはおろかなんとか背中が見えていたACLも決定的に遠のいて、長谷川監督は11月6日のアウェイ横浜戦で0-8という屈辱的な大敗を喫したのを最後にシーズンが終わるのを待たず辞任した。

残り3試合は森下GKコーチが監督として指揮をとったが結局シーズン38試合を終えて15勝15敗8分で勝ち点は53（1試合あたり1.39）、順位は9位とかろうじて順位表上半分となったが、タイトルを目標に掲げ相応のメンバーを揃えて迎えたシーズンとしては失敗に終わったというべきだろう。

原因はいくつか挙げられる。最初にも書いたが、オフが短すぎ外国人の合流も遅れてチームづくりが十分できなかったこと、夏場にアウェイの連戦が組まれるなど日程が変則だったこと、特定のポジションにケガ人が相次いで人繰りに苦しんだこと、さらには林のリハビリが長引いて復帰できず、中盤の核として補強した青木もチームに馴染むのに時間がかかるなど用兵も我慢を強いられたことなど。そういえば安部と波多野が規律違反でサスペンドされたり、レアンドロが試合中の暴力行為で出場停止とかもあった。

もちろんこれらはそれぞれ現象面での原因には違いないだろうが、昨季の東京がパッとしなかった本当の原因はもう少し深いところにあったと思っている。

compare

昨季挙げた勝ち点53のうち、東京より順位が上のクラブから奪ったものはわずかに7。川崎、横浜FM、神戸、鹿島、名古屋、浦和、鳥栖、福岡の8クラブと合計で16試合をした戦績は1勝11敗4分。これではタイトルなど狙えるわけもない。歯が立たなかったというのが率直な印象だ。

2019年、上記8クラブのうち当時J2だった福岡を除く7クラブとの対戦成績は6勝5敗3分、勝ち点21を奪っている。昨季の勝ち点を34試合ベースに弾き直せば47.4。2019年の64との差は17弱であり、それはこれら7クラブから取った勝ち点の差（21-6=15）とほぼ一致する。

つまり、この2年、上位のクラブが戦術をアップデートしたり的確な補強をしたりして着々と上積みしている間、我々は同じところにとどまっていて、次々に抜かれて行ったというほかないのだ。それは一貫した戦術のもとで積み上げが開花した川崎や横浜、監督を入れ替えてアップデートを行った浦和や鹿島、カネをかけて大がかりな補強を行った名古屋や神戸と比べればはっきりしている。おまけに鳥栖や福岡の後塵まで拝することになった。

我々は最後の試合でタイトルを逃した2019年をひきずり、あたかもあと1勝分上積みできればタイトルが得られるかのように錯覚したのではなかったか。

シーズン中には2019年への回帰論も聞かれたが、我々は2019年のように戦えなかったから中位に終わったのではない。2019年にいた場所で2019年と同じように戦い続けるしかなかったからこそ中位に終わってしまったのだ。

もちろん我々も漫然と手をこまねいていたわけではない。2020年にはアダイウトン、レアンドロといった強力な補強を行い、アンカー・システムを採用して得点力の向上を狙いとした戦術のアップデートを図った。しかしこのシステムは橋本のシーズン中の移籍で空中分解し、森重をアンカーに起用するという荒技でカップは制したものの継続的な上積みには失敗した。

昨季はアンカー要員として青木を獲得し、ブラジル人3トップで殴る目論見だったと思うが、青木のフィットが遅れて森重アンカーを試みた結果最終ラインが崩壊し、結局森重をCBに戻して青木、安部のダブル・ボランチにシフトするしかなかった。戦術のアップデートに失敗し、上積み部分をキャンセルして戦い慣れた土台の形に戻した結果、最悪の破綻は免れたものの、2年の間に着実に前進した他のクラブにサクサク追い抜かれ、同じところにとどまっていたのでは上位とは戦えないことがはっきりしたシーズンだったと思う。

次回は長谷川監督の功罪について振り返りたい。

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2022年01月08日 22:19 　　　　　[posted by der_ball_ist_rund]

■ 【ブンデスリーガ第18節】バイエルン 1-2 グラードバッハ

■2022年1月7日(金)　20:30キックオフ
■Allianz-Arena (Munchen)

シーズン後半の開幕戦。土曜日未明の試合だがすっかり忘れていて、Twitterでグラードバッハが勝ったことを先に知ってしまい嬉し悔しい状態になった。スカパー・オンラインの見逃し配信で土曜日の午前中に見た。

シーズン前半の終盤からまったく勝てなくなり、4連敗のあと前節もリードしながらアディショナル・タイムに追いつかれての引き分け。ウィンター・ブレイクを経て何とか巻き返せるか、重要な試合になるがバイエルンが相手とはキツい。

バイエルンは主力10人近くがCOVID-19で欠場する非常事態。試合の延期も議論されていたようだが結局開催されることになった。ドイツでは再びCOVID-19の感染が広がっているとのことで無観客、かなり激しい雪の降りしきる中での開催となった。

グラードバッハの方は、ホフマンが負傷離脱の他、スカリーとツァカリアがCOVID-19、ベンゼバイニがアフリカ・ネイションズ・カップ出場のためメンバー外となった。他は概ね選手も戻ってきているようだ。

ゾマー
ギンター　エルヴェディ　ヤンチュケ
ライナー　クラマー　コネ　ネッツ
ノイハウス　エンボロ　シュティンドル
バイエルンはいつもに比べれば精密さを欠くものの、その分割りきって前線に早めに当ててくるなど試合を優勢に進める。グラードバッハも奪ったボールを少ないタッチでつなぎながら攻め上がろうとするがフィニッシュまではなかなか持ちこめない。

18分、DFラインを背負った敵FWにボールが入ったところで一瞬の反転を許し、ひと振りでシュートを決められ失点、0-1と先制されてしまう。エルヴェディがついていたがワンタッチで届かないところにボールを置かれ、ターンしてのシュートと敵が上手すぎた。

その後もパッとしないなりに戦い方を絞りこんでくるバイエルンに対し苦戦したが、27分、ゴール前で敵がクリアしようとしたボールがエリア内でルーズになったところをノイハウスが見逃さずダイレクト・ボレーで叩きこんで1-1の同点に。

さらに31分、ネッツの右CKをゴール前のライナーが頭でスラし気味に当ててファー・ネットにかかるゴール。2-1とグラードバッハが逆転に成功する。ここからはグラードバッハにリズムが生まれややオープンな展開になり、互いにチャンスを作ったが結局2-1で前半を終えた。

後半に入るとバイエルンがギアを上げてくるが、例によってゾマーの好セーブもあってゴールは死守。67分、ノイハウスとヤンチュケに代えてプレアとバイヤーを投入。4バックになったようにも見えたがよく分からず。

終盤はバイエルンが同点、逆転を狙って圧を高めてくるがしっかり身体を張れているのと、バイエルンも今イチ詰めきれてない感があって何とかしのげている。79分、ライナーとクラマーに代えてヘアマンとベネシュを投入。

追加点を挙げて突き放すチャンスもあったものの決めきれず、90分、傷んだシュティンドルに代えてテュラムを投入して試合をクローズ。苦しんだもののシーズン後半初戦をアウェイでのバイエルン戦の勝利で飾り、巻き返しへ幸先のいいスタートを切った。

バイエルンはフルメンバーではなかったとはいえ、数字的にはシュート数10-18、CK6-6、ポゼッション38-62とかなり圧倒されながら、好機にしっかり得点を重ねて最後まで集中を切らさず勝ちきった。

危ないシーンもあったが、ゾマーがこの試合でも3点くらい救ってくれたし、ギンターが線上でシュートをクリアするなど要所を押さえることができたのは今後の自信になる。敵FWをほめるしかない失点のみに抑えたことは、ここというところで踏ん張れなかった連敗中の悪癖を考えれば大きな前進。

やっていること自体がシーズン前半から大きく変わっている訳ではないが、ホフマン、ベンゼバイニあたりがいなくてもこれだけ戦えることを示したし、コネ、ネッツが存在感を見せ、ノイハウスも勝負強さを印象づけるなど、働くべき人が働いた。

また実況・解説が言っていたとおり、シュティンドルが黒子に徹して汗をかき、ライナーが休むことなく上下動を繰り返すなど、それぞれが役割を果たした。ヤンチュケの起用も当たったと思う。

これでグラードバッハは18試合を終えて6勝8敗4分で勝ち点を22（1試合あたり1.22）に伸ばし暫定で11位に浮上。まずは1試合あたりの勝ち点を1.50まで伸ばすことを目標にしたい。シーズン後半黒星スタートは内心覚悟していただけに、手負いとはいえバイエルンに勝っての好発進は嬉しい。

アディ・ヒュッター監督談話：
「勝てない試合が続いていたのを、ここミュンヘンでの勝利で止めることができたのは嬉しい。この結果はチャンスから見ればおかしなものではなかったと思う。もちろんバイエルンは後半同点にすることもできたと思うが、私は私のチームが非常によくやってくれたからだと言っておきたい。彼らは90分以上、競り合いでも運動量でも質が落ちることはなかったし、局面によっては技術的にも自信を持ってやれていた。ここ何週間か我々がトレーニングでやったことのすべてを彼らは試合の中で形にしてくれた。私が何よりよかったと思うのは、チームが先制されたことにきちんと対応してくれたことだ。彼らは素晴らしい勢いで試合をひっくり返すべく戦い、短い時間の間に逆転してくれた」

人の足りないバイエルンとこの時期に当たったのはラッキーだったかも。この流れを次の試合（ホームでのレバークーゼン戦）にしっかりつなぎたい。

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