フットボール・クレイジー
football crazy
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2023年09月24日 22:34
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【ブンデスリーガ第5節】グラードバッハ 0-1 ライプツィヒ
■ 2023年9月23日(土) 15:30キックオフ
■ Borussia-Park
いちばん見やすい時間帯の試合。スカパーでリアタイ観戦した。開幕から4試合で2敗2分と危機的な状況であるがこの試合もホーム・ゲームとはいえ相手は上位のライプツィヒ。今季初勝利を挙げることができるかむずかしい試合になる。
結局2027年まで契約を延長したエルヴェディが先発し、前節後半機能した3バックでスタート。ケガから復帰のコネも先発した。チュヴァンチャラがケガで離脱している。
ニコラス
エルヴェディ 板倉 ヴェバー
ヴァイグル
スカリー ライツ コネ ネッツ
オノラ ヨーダン
グラードバッハは守備を重視した戦い。中盤をコンパクトに保ちつつ、敵陣で積極的にプレスを敢行しライプツィヒを封じこめる。プレスをかいくぐられても自陣で5バックのブロックを形成し、ポゼッションをライプツィヒに譲りながらも試合をコントロールする。
攻撃では奪ったボールをヨーダン、オノラに預けてカウンター気味に攻め上がるが、いかんせん単発、散発であり大きなチャンスは作れない。
6分、ニコラスからのフィードをセンターサークルあたりヨーダンが落とすとこれを受けたライツがドリブルで持ちあがってそのままシュートを放つが敵DFに当たり枠におさまらず。さらにこれで得たオノラの右CKにヴェバーが頭で合わせるがバーの上に。23分にはヴァイグルがFKを直接狙い枠に飛んだが敵DFにブロックされる。
中盤で激しくやり合うテンションの高い試合となったが、互いに前線でのシーンは多くはなく、フィニッシュまでもちこめないままスコアレスで前半を終えた。このコンパクトな守備が後半どこまで維持できるかがポイントになりそうだ。
後半になっても流れは変わらないが、ライプツィヒが圧を高めてくるのに反比例してグラードバッハは疲れが蓄積、次第に苦しい戦いになる。63分には左サイドに開いたオノラからのクロスにライツがゴール正面至近でヘディング・シュートを放つがバーを越える。
64分、ヨーダンとオノラに代えてプレアとエングムを投入、前線を入れかえてゴールを狙う。69分にはヴェバーがプレアのCKに頭で合わせたがこれも枠に飛ばず。
しかし75分、敵FWに縦に抜けられ、角度のないところまで追いこんだがゴールラインいっぱいのところからファーポストに当たるシュートを決められ失点、0-1と先制を許してしまう。ちょっとふつうは入らないシュートだった。
79分、ライツ、スカリー、コネに代えてクラマー、ノイハウス、ハックを投入。おそらくエルヴェディを右サイドに押し出して4バックにし、クラマーとノイハウスがインサイド・ハーフ、プレアをトップに、右にエングム、左にハックをウィングとして配する布陣に。クラマーは負傷明けで今季初出場。
84分、右サイドのエングムのクロスにファーのハックが頭で合わせるがバーの上。90+5分にはエングムがエリア手前からミドル・シュートを狙ったがやはり枠におさまらず。ビハインドを背負って残り時間でゴールを狙いに行ったが崩しきれず、結局0-1で終盤の失点に泣いた。
コンパクトな守備を保ちライプツィヒの攻撃を抑えこみ、スコアレスの時間を長くしてワンチャンに賭けたが、終盤に技術の高いゴールを決められ地力の差が出たかっこうに。開幕から5試合勝ちなしとなった。
シュート数14-8、CK11-6、ポゼッション45-55と、ポゼッションを譲りながらもライプツィヒに思うような攻撃をさせなかった流れは見てとれるが、攻撃に再現性になく散発で決めきれず、むしろ敵のワンチャンにヤられた。
やろうとしているフットボールがまだよく見えず、決してカウンター一発をやりたいわけではないのだろうと思うが、試合展開的に攻撃面での主導権が握れず試行錯誤が続いている。開幕からホームではレバークーゼン、バイエルン、ライプツィヒと上位との対戦が続き、アウェイでやりきれていないことで苦しいシーズンのスタートとなってしまった。
今日の試合は内容的には少なくとも守備面で手ごたえがあったと思うが、ここから積み上げが可能なのか、なにかの泥沼にハマっているのかは微妙な感じで、試合日程のせいだけにして大丈夫なのかという気はする。評価のむずかしい試合になった。
次節、アウェイのボッフム戦でなにか見るべきものが示せないと監督の去就が云々される状況になる可能性が高い。コネやクラマーが戻ってきて、特にコネはこの試合でも存在感を示しているだけに、次節結果を出してひと息つきたい。
ゲラルド・セオアネ監督談話:
「チームのパフォーマンスについては大きな賞賛をしなければならない。ここ数週間に比べれば一歩前に進んでくれた。我々は非常にコンパクトにポジションを取り、一対一の競り合いでもしっかり戦い、積極的に守備をした。しかし我々はおそらくスッキリ整理しきれていない部分があり、切りかえの部分で急ぎ過ぎた。セットプレーでは常に危険な状況を作った。1点かそれ以上のゴールを決めることも可能だったはずだ。失点のシーンでは我々には二つか三つの間違った判断があった。ライプツィヒのようなクラブに対しては完璧な試合をする必要があるしミスがあってはいけない。そこが残念ながらうまく行かなかった」
早く気持ちよく勝ちたい。エルヴェディ残留は嬉しい。
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Borussia M'Gladbach
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ブンデスリーガ
2023年09月23日 21:51
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【Jリーグ第28節】FC東京 3-2 鳥栖
■ 2023年9月23日(土) 15:00キックオフ
■ 味の素スタジアム
急に気温が下がり30度に届かない涼しい秋の日となった。今にも降りだしそうな空だが雨は降っていなかったのでヴェスパで味スタに向かった。結局試合終了まで降らなかったようだ。
前節アウェイで川崎に苦杯を喫し、あらためてなにを目線にして戦うのかを問われるむずかしい試合。リーグ戦では4試合勝利から遠ざかっており、このままずるずると足場が悪くなるのは避けたい。ホームで今できるベストを出したい。
小泉、東が警告累積で出場停止。一方で代表招集で離脱していた松木、野澤が戻ってきた(野澤はベンチ)。また体調不良で最近姿のなかったオリヴェイラが先発に復帰。
スウォビィク
長友 森重 トレヴィザン バングーナガンデ
松木 原川
仲川 渡邊 アダイウトン
オリヴェイラ
互いにコンパクトな中盤から押し上げをはかるが、東京はプレスが甘く鳥栖に簡単にボールを運ばれて自陣でのシーンが多くなる。奪ったボールも鳥栖のコンパクトな守備に出しどころがなくオリヴェイラ、アダイウトンの個の突破に期待するしかない。
8分、長友からパスを受けたオリヴェイラがドリブルで持ちあがり敵エリアに侵入、DFにからまれながらも裏に抜けて敵GKと一対一になるがシュートは枠をとらえられず。16分にはアダイウトンのカウンターからパスを受けたオリヴェイラがエリア手前からシュートを放つがファーに外れる。
すると18分、ゴール前に放りこまれたボールに合わされゴールに入るがオフサイドの判定。しかしVARが介入しゴール・チェックとなる。かなり長いあいだ審議の時間があったがオンサイドの判定となりゴールが認められる。副審のフラグで一度はホッとしたのになんかだまされたような感じ。0-1と先制を許す。
さらに29分、エリア中央に放りこまれたボールを受けに行った敵FWをトレヴィザンがホールドしてしまいファウルに。PKを与えてしまう。完全に抱えこんでおり文句のつけようのないPK。32分、これを決められ0-2とリードを広げられる。非常に重たい雰囲気になった。
しかし東京はようやくここからエンジンがかかったか、前がかりにボールを動かし始め、主導権を握れるようになる。38分、仲川が右サイドから入れたクロスにオリヴェイラが合わせるが敵DFにブロックされる。40分には松木のFKをトレヴィザンが受けてシュートを放つが枠外に。
その後も前プレからボールを確保し敵陣で攻撃をしかける。45+6分には左サイドからバングーナガンデがクロスを入れる。これは敵GKにクリアされたが、エリア外にこぼれたところに森重がダイレクトでミドル・シュートを放つが敵DFにブロックされる。0-2で前半を終えた。
2点取られるまでは守備があいまいでバイタルを自由に使われたが、その後は縦にボールの出し入れができるようになり、決定機も作った。この流れを手ばなさず後半早い時間にまず1点がほしい。追いつける下地は整っており、十分勝負をかけられる。
後半に入っても流れは東京。54分、オリヴェイラからパスを受けたバングーナガンデが左サイドからゴール前にクロスを放りこむと、アダイウトンが頭で合わせゴール。東京が1点を返し1-2とする。全体を押し上げた結果ゴール前に人がきちんと入っていた。
これで流れを完全に呼びこんだか、59分、左サイドからバングーナガンデがマイナスのクロスを入れるとアダイウトンが頭で落とす。渡邊がこれを押しこんでゴール、東京がついに2-2と同点に追いつく。オフサイドの可能性ありということでVARでやや長めのゴール・チェックが入るがゴールは認められた。
その後も東京が攻勢に。73分、オリヴェイラに代えてシルバを投入。シルバはそのままトップに入った。東京が前プレからボールを刈り取るシーンが多く主導権を握って逆転をねらいに行く。
78分、アダイウトンとバングーナガンデに代えて俵積田と白井を投入。長友が左SBにまわって白井が右SBに。84分、俵積田のクロスが右サイドに流れたところを白井が拾いクロスを入れると、中央で松木が頭で合わせるが枠外に。攻撃時には森重がポジションを捨ててボランチの位置まで上がっている。
85分、原川と森重に代えて寺山と木本を投入。87分、寺山が敵陣でボールを拾い持ちあがって渡邊にスルー・パスを通す。渡邊のシュートは敵GKにセーブされたが、ファーにこぼれたボールを俵積田が押しこみゴール。土壇場で3-2と逆転する。これも押しこんでゴールに向い続けたことで生まれたゴールだった。俵積田は初ゴール。
6分のアディショナル・タイムを守りきり、東京が3-2で8月12日の京都戦以来のリーグ戦での勝利を手にした。
立ち上がり鳥栖のコンパクトでコレクティブな戦い方にハマり、中途半端な守備から2失点しビハインドを背負った。しかしそこからリスクを取って前に出る戦術を徹底、流れを引き寄せると、後半立ち上がりにたて続けにゴールを決めて追いつき、その後も攻撃の手をゆるめず土壇場で逆転に成功した。
数字を見ればシュート数こそ13-8と優位だが、CK1-3、ポゼッション49-51と局面によって流れの変わった試合となった。
劇的な逆転勝ちで成功体験を積み上げたことは大きいが、失点するまで目が覚めないのは重症で試合の入りが悪すぎるのと、後半攻撃のスイッチが入ったのはともかく、守備に関しては引き続きあいまいな対応で簡単に裏を取られて大きなピンチになるシーンもあり、まだまだ約束ごとが徹底されていないのを感じた。
トレヴィザンのハイリスク突撃守備に救われるシーンも多く、監督交代直後のようなコレクティブな守備はどこへ行ったのかと思う。この試合の勝利をたまたまの意地の勝利ではなく、再現性のあるものにするためには、特に守備面でやるべきことが多いと感じた。
一方で攻撃面では前に当てた縦パスをダイレクトで戻し、それをさらにダイレクトで奥に流しこむような動かし方ができるシーンもあり、戦術が形になり始めている感はあるが、これもオートマティズムと呼ぶまでには至っていない。可能性は感じられ、今季残りの試合で行けるところまで突きつめたい。
これで28試合を終了し、10勝12敗6分で勝ち点36(1試合あたり1.29)となり暫定で10位に。他の試合の結果次第では11位となる可能性もあるが、まずは勝敗を五分に戻すこと、そのうえでシーズン勝ち点51を目指したい。
評点(評点は
ドイツ式
):
スウォビィク(3.5) 失点はやむなしか。よく守った。
長友(4) シュートをはずしてスタジアムを和ませた。
森重(4) パス、フィードはすごいが肝心の守備が微妙だった。
トレヴィザン(3.5) なんだかんだ突撃守備が効いている。
バングーナガンデ(3.5) 攻撃参加で特徴を見せた。
松木(3.5) 存在感大きい。結婚祝いの勝ち点3。
原川(4) 中盤を締めたがもっとしかけていい。
仲川(3.5) 周囲に要求出し続けたのがよかった。
渡邊(3) よく押しこんだ。積極性がいい。
アダイウトン(3) 怖さが戻ってきている。
オリヴェイラ(3.5) ゴールはなかったが貢献大きい。
===
シルバ(4) 可能性は感じるが…。
白井(-) 時間短し。
俵積田(3) 冷静に流しこんだ。
寺山(-) 時間短し。
木本(-) 時間短し。
勝利は嬉しいが内容はまだまだ。勝ち点51まであと6勝。
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FC東京
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J1リーグ戦
2023年09月21日 22:21
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【緊急コラム】ジャッジリプレイの見かた
2023年9月19日にDAZNで配信された「ジャッジリプレイ#26」についていくつか意見を見た。この番組は審判の判定についてきちんと検証を行う我が国では珍しい番組でもあり、ずっと熱心に見ているものでもあるので、この機会に審判について思うところをまとめてみた。
審判の泣きどころ
もうかなり以前になるが、国際主審だった上川徹の講演を聞いたことがある。まだVARが導入される前で、その是非が議論されていた頃だったが、いろいろ印象に残る発言があってとてもためになった。たとえば以下のようなものだ。
カウンターを後ろから追いかけているときにシュートを打たれ、それがバーに当たって下にハネた時のゴールの判断はいちばんの泣きどころ(2010年南アフリカワールドカップ決勝トーナメント1回戦・イングランド×ドイツでの事象を念頭に)。
人の目ではどうしても見きれない部分は出てくる。
選手の怒り方やスタジアムの雰囲気で「これはたぶんファウルがあったな」という察しはつくが、自分の目で見えなかったものを雰囲気でファウルと判断するわけに行かない。
見えなかったものを憶測で判断するのは審判として最もやってはいけないこと。
VARがないなかでは、テレビで試合を見ている人も、スタジアムの観客も、なんならベンチもリプレイでなんども問題のシーンを見返すことができるのに、最も重い責任を負った審判だけが自分の目に見えたことの一瞬の残像だけですべてを判断しなければならないというある種の逆転現象が起こる。この講演で上川は「人間の目で見きれない部分を補うという意味での技術の導入はあってよいと思う」との意見だった。僕はそれまで「誤審も含めてフットボールの醍醐味」派だったが、このときを境に少しずつ考えが変わっていったと思う。
リスペクトとは
「ジャッジリプレイ#26」で取り上げられた三つのプレーのうち、特に気になったのが鹿島×C大阪の25分に鹿島のピトゥカが退場となったシーンだ。このシーンでは鹿島の岩政監督も審判への抗議で警告(イエローカード)を受け、さらに笠井通訳が審判への侮辱で退場を命じられた。また鹿島のスタンドから「シンパン、シンパン、ヘタックソ」というチャントが声をそろえて繰り返された。
ピトゥカのプレーは当初カードのないファウルとされたがVARが介入、OFRの結果レッドカードに判定が変更となったものだが、リプレイを見る限りC大阪の喜田の足首の上あたりを横から踏みつけており、意図的ではないにせよ大ケガになり得る危険なプレーで退場の判断は妥当だと思った。またTwitter(現X)などで意見表明している鹿島サポの大半もこの判定自体は受け入れているように見受けられる。
問題は審判に抗議した監督、通訳への懲戒処分と、スタンドのチャントも含めて「リスペクト」を求めたジャッジリプレイの桑原アナに対して、「鹿島側がヒートアップしたのはその前のC大阪のラフ・プレーへの対応と一貫性がないから」「リスペクトを求めるならリスペクトに値するジャッジをすべき」「ピトゥカの退場はしかたないが鹿島のみが悪者であるかのような説明は悪質な『切り取り』だ」等の意見が散見された。
確かにたとえば9分、C大阪の喜田と香川が鹿島の松村をはさみこむようにして足首あたりを踏みつけたプレーがファウルにはなったがノー・カード、10分にはC大阪のセアラが鹿島の安西とボールのないところで交錯し安斎が傷んだ事象がノー・ファウル、16分には再びセアラが関川と空中戦で競り合った際に関川にヒジが入ったように見えたがノー・カードのファウルとなり、特に16分のシーンの後では岩政監督がおそらくは2回めのラフ・プレーであるとして強く警告を求めているのが画面からもわかった。
こうした流れを踏まえれば、桑原アナが「実はこの前にC大阪の方にもファウルがあり岩政監督が抗議をしていた経緯があって」とひとこと説明を入れても理解を助けるためによかったとは思うものの、だからといってリスペクトに欠けるチャントや審判への侮辱が許されるわけではないのは自明。経緯があったとしても事象そのものはまったく別のプレーであり、リスペクト欠く行為はそれ自体として許されないものなのだから、この日の番組の構成を見ても「切り取り」批判はあたらないだろう。
「リスペクト」に関していえば、ここで桑原アナが求めているのは、ひとつの試合に関わりともにそれを運営する当事者どうし、職業人どうしとしての尊重のことであり、それは仕事ぶりの巧拙やパフォーマンス以前の、その前提としてあるべきものである。「リスペクトに値するジャッジ」というものがあるのではなく、いいプレーをし、いいジャッジをするためにまず相互のリスペクトから始めましょうということである。
無謬でなければリスペクトを受けられないというのであれば、へたくそな選手、采配を間違った監督はリスペクトしなくてよいのかという話になるがもちろんそんなことはない。審判はむずかしい役割であり、どうしても見きれない部分もあるしミスもある、マズい運営をしてしまうこともある、それでも審判がいなければ試合はできないのだから、まず互いの立場、互いの職分や職責を尊重しリスペクトすることがすべてのスタートで、それは選手、監督、その他試合運営に関わる人たちすべてについて同じことである。そして仕事の出来の巧拙、パフォーマンスのよしあしに対する評価や批判は、あくまでリスペクトが先にあったうえで成り立つもの、なされるべきものだ。
ジャッジリプレイの見かた
「ジャッジリプレイ#26」では鹿島×C大阪のほかにも、浦和×京都の試合で京都の福田が浦和のリンセンをエリア内でホールドしたプレー(75分)が取り上げられた。試合ではノー・ファウルとしてプレー・オンとなり、VARの介入もなかったが、番組では出演者がいずれもファウルとしてPKを与えるべきであったという意見で一致した。
これに対して、浦和サポを中心に「番組で誤審だったと言ってもらっても結果が修正されるわけではない」「明らかな誤審を取り上げる意味がない」といった意見がネット上で見られた。また、「誤審であることは明らかだが、番組ではどうしてこのような誤審が起こったのか、またなぜVARが介入しなかったのかを議論すべきだ」という意見もあった。
ドイツに住んでいた頃(1990年代後半から2000年代にかけて)、試合が終わって夜のダイジェスト番組などの時間になると、DFBの審判部長的な人が出てきて話題になった判定について説明することが結構ふつうにあったと記憶しており、審判自身のコメントも事後的に出されることがあったと思う。もちろんドイツでも誤審はあるが、審判の判断についてオープンに議論することは当然と考えられていたと思う。
2002年に帰国し、日本でもフットボールを見始めたが、判定に文句を言う人はたくさんいても、それがカジュアルかつオープンに議論される場というのはほぼなく、判定に関する事象はある種のタブーであるかのようにいくつかの例外的なケースを除いて取り上げられることがなかった。
そんななかで、「ジャッジリプレイ」は知る限り判定に関するオープンな議論の場としてようやく現れた番組である。
「ジャッジリプレイ」はあくまでDAZNのプライベートな番組であり、JFAやJリーグに属する立場の人が出演し判定についてコメントするわけではないが(以前は原博実Jリーグ副理事長(当時)が出演していた)、Jリーグの試合の放映権を持つDAZNが試合映像を使い、またプロフェッショナルレフェリーであった家本政明が解説の役割を担っていることもあって、直前の週に行われた試合で話題になった判定の「答え合わせ」をするような「半オフィシャル」の番組と受け取られているのではないかと思う。
もちろん、僕自身も週末に試合を見てモヤる判定があれば、ジャッジリプレイで白黒つけてくれ的な気持でツイート(ポスト)することもあるし、「正解を知りたい」「間違いを正してほしい」という気持ち自体はよくわかる。
しかし「ジャッジリプレイ」の存在価値は、ルールをきちんと理解したうえでフットボールを見ること、きちんとしたルール理解のうえで見れば判定のなにがどう議論になるのかを知ることにあり、決して「正解」を出したり、なにかを裁いたりするための番組ではない。
ルールを理解してゲームを見るのは、きちんとした地図を持って旅をするのと同じで、今何が起こっているのか、何が問題なのかを、より鮮明に、よりリアルに感じとるために必要なことである。試合が終わった後にそれを議論し、ああでもないこうでもないと考えをめぐらせること自体に意味や学びが、それゆえ喜びがあるのであって、正解を性急に知ろうとすること、それによってただ溜飲を下げようとすることは、そうしたフットボールを見る楽しみを一面的で深まりのない、貧しいものにしてしまう。
その意味では「ジャッジリプレイ」の構成や出演者の議論自体にももちろん改善の余地はあると思うが、少なくともなにをポイントにどの事象を取り上げるかなど工夫の跡は十分窺えるし、単なる判定の「正誤の答え合わせ」に終わらない、議論されるべきテーマへの問題意識がある。人が裁く以上判定の誤りは残念ながらなくならないし、VARの運用も含めて判定を取り巻く環境にも議論し高度化を図るべき論点は無数にある。誤審があったとして、なぜそれが起こったのか、なにかを変えることで同じ誤審を起こさないようにすることができるのか、それを議論し知恵を出し合うことには意味がある。
審判なしに試合はできない
レベルは違うが、僕自身も四級審判のライセンスを持っていたことがある。更新してないので今はもう失効しているが、子供が小学生のころクラブに所属しており、親として試合の審判ができるようにしておく必要があって取りに行ったのだ。実際に笛を吹いたのは小学校のグラウンドでやった練習試合ひとつで、あとは副審をなんどかやっただけだが、それでもむちゃくちゃ緊張するし、子供らもいっちょまえに文句を言うし、親はヤジるし、笛はかなり力を入れて吹かないとヒョロヒョロと説得力のない鳴り方しかしないし、スローインで「赤ボール」と言いながらハンドサインではあせって逆を示してしまい小学生に「どっち?!」と突っこまれるし、これは大変な仕事だと思ったのを覚えている。
もちろん試合を見ていれば判定に不服もあるしフラストレーションもあるし、ときとして実際誤審もあるわけだが、審判がいなければ試合が成り立たないし、そしてまた選手も監督も運営も人がやる以上それぞれにミスや不具合を宿命的に抱えているのであり、審判にだけ無謬を求めることはできない。満足できる判定をしてもらえなければリスペクトできないとか、結果を変えることができないなら検証など必要ないというようなつたなく、幼い考えしか持てないのなら、自分で四級のライセンスを取って小学生の試合でいいから一度笛を吹いてみればいいと思う。きっと見える世界が変わるし、審判という仕事を引き受けてくれていること自体をリスペクトできるようになるはずだ。
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Jリーグ
2023年09月18日 22:25
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【ブンデスリーガ第4節】ダルムシュタット 3-3 グラードバッハ
■ 2023年9月18日(日) 17:30キックオフ
■ Merck-Stadion am Böllenfalltor (Darmstadt)
月曜日が敬老の日なので、朝早めに起きてスカパーを録画視聴した。インターナショナルで2週間ぶりとなるリーグ戦。ここまで開幕から2敗1分と勝利がなく厳しい状況。アウェイとはいえ昇格クラブであるダルムシュタットからは勝ち点3を持ち帰りたい。
オムリンが肩の故障ということで引き続きニコラスがGK。ネッツは復帰したもののベンチ・スタートとなり、ヴェバーが引き続き左SBに。ボランチにはライツがヴァイグルとコンビを組み、最前線にはヨーダンが先発、チュヴァンチャラはベンチに。
ニコラス
スカリー フリードリヒ 板倉 ヴェバー
ヴァイグル ライツ
オノラ プレア エングム
ヨーダン
立ち上がりからダルムシュタットがモラル高くボールにアプローチ、少ないタッチで押し上げながらグラードバッハのゴールに迫ってくる。3分にはいきなり板倉がエリアのわずか手前で敵FWを倒し危うくPKを与えそうになるなどバタバタした立ち上がりに。
すると8分、敵陣からのロング・ボールで一気に裏に抜け出され、ニコラスが一対一で対応したが流しこまれて失点、0-1と先制を許す。フリードリヒの裏のケアがルーズすぎたように見え、守備の約束ごとはどうなっているのかと暗澹たる気分。
さらに直後の10分、敵CKをいったんクリアしたものの、こぼれ球からあらためてクロスを放りこまれ、これに頭で合わされて失点、あっというまに0-2と2点のビハインドを背負う。ヴァイグルが対応したが競り負けた。ダルムシュタットの勢いに押されるかたちで試合の入りに失敗した。
その後も切りかえの速いダルムシュタットに主導権を奪われ、グラードバッハは敵の捕まえどころをしぼりきれずズルズルと後退する苦しい流れになる。前半の半分を過ぎたあたりからようやくボールを持てるようになるが攻撃は相変らず散発。
19分、オノラの右寄りからのFKにヴェバーがファーで飛びこむがボールはサイドネットに。27分にはプレアがカウンターで中央をもちあがり、そのまま自らシュートを放ったが枠を外れた。左右にヨーダン、オノラが並走したが自分で打ちたい気持ちはわかる。
すると33分、敵FKから後ろに落とされたボールをダイレクト・ボレーでけりこまれまたしても失点、0-3とリードを広げられる。頭のなかで「チーン」と音がしたサポも多かったと思う。僕には確かに聞こえた。
前半残り時間もダルムシュタットに押しこまれる流れは変わらず。ニコラスの好セーブもあってなんとかゴールは守るものの、自陣からボールを持ちだす前にロストすることが多く波状攻撃を受ける。結局0-3で前半を終えたがもっと点差が開いていてもおかしくなかった。
立ち上がりにたて続けに失点、防戦一方となり、攻撃は前線と後ろが分断されて形にならず、追加点も奪われてやりたいようにやられた。希望がほぼ見出せない前半で、このままでは監督更迭も頭をよぎる。
セオアネ監督は後半から大きく布陣を変更。プレア、スカリー、フリードリヒ、エングムに代えてチュヴァンチャラ、ノイハウス、エルヴェディ、ネッツを投入、3バックに移行し、チュヴァンチャラとヨーダンの2トップになった。
ニコラス
エルヴェディ 板倉 ヴェバー
オノラ ヴァイグル ネッツ
ノイハウス ライツ
ヨーダン チュヴァンチャラ
この布陣の組み直しでグラードバッハはボールを保持できるようになり、コンパクトに押し上げられるようになる。立ち上がりの47分、ライツからのパスを受けたチュヴァンチャラがエリアに侵入するが敵DFに寄せられシュートを打ちきれず。
そのままプレー・オンとなったがVARが介入、敵DFの手にボールが当たっていたとの判定になり敵DFが決定的な得点機会の阻止で退場となるとともにグラードバッハにPKが与えられた。50分、このPKをチュヴァンチャラが自らけったが敵GKががっちりコースに飛んでキャッチされる。
しかしここから数的優位を得て流れが変わり、グラードバッハが前半とは異なってボールを支配、敵陣で攻撃をしかけるハーフコート・マッチになる。ダルムシュタットは奪ったボールを前線に飛ばしてカウンターを狙う。
56分、ライツがドリブルでもちあがり、敵DFをかわしながらエリアに侵入、最後に中央のヨーダンに預けると、ヨーダンがこれを難なくゴールに流しこんでようやく1-3と1点を返した。ライツの力強いドリブルに驚いた。
62分、ライツに代えてハックを投入、ハックはそのままインサイド・ハーフの位置に入った。グラードバッハはその後もボールを支配し、自陣でブロックを形成するダルムシュタットを崩そうと攻撃をしかける。
その後もグラードバッハはヨーダン、ハック、ノイハウスらがたて続けにチャンスを迎えるが決めきれない。ようやく73分、右サイドからエルヴェディがクロスを入れると、ファーのネッツが頭で折り返し、中央のチュヴァンチャラがさらに頭でニアに伸ばすとノイハウスがダイレクト・ボレーでゴールにけりこみ2-3に。
さらに77分、板倉からの縦パスを受けたチュヴァンチャラがヒールで落とそうとする。これは敵DFに引っかかったがボールが戻ってきたところをチュヴァンチャラがエリア外から強烈なシュートをけりこみついに3-3に。数的優位を得て押しこんだグラードバッハがようやく同点に追いつく。
残り時間も逆転を狙って攻撃をしかけ、90分にはオノラのクロスにハックが頭で合わせるがGK正面。90+2分にもハックが角度のないところから狙うがGKにセーブされる。終了間際にもオノラのクロスに合わせたノイハウスがヘディング・シュートを放つがGKにキャッチされる。結局逆転まではもちこめず、3-3の引き分けに終わった。
早い時間の失点から完全に主導権を握られ、0-3で前半を折り返したが、後半選手交代で布陣を立て直し、数的優位も得て形勢を逆転、3点差を追いついた。勢いからは逆転も可能だったがダルムシュタットも必死の守備で対抗、勝ち点1を分け合う結果となった。
とにかく前半がひどすぎ、攻守においてやりたいことが何ひとつできなかった。あのまま負けていたら監督更迭の議論が出てもおかしくなかったが、後半修正してなんとか面目を保った格好。
数字的にはシュート数22-15、CK6-6、ポゼッション64-36と後半の押しこみが数字に出ているが、前半と後半でまるで様相の異なった試合になった。ノイハウス、チュヴァンチャラは最初から出そう。
おそらくセオアネ監督はこの試合の後半のような戦いがしたいのだと思うが、この試合も想定外の展開が多すぎてまだ今季のテンプレートとなる戦い方が見えない気がしている。面白い連係も個人技もあるが、守備の約束ごとやプランがはずれた時の対応などまだまだ詰めるべき点が残っているように見える。
昨季までのシュティンドルのような、ピッチ上でチームを締めることのできる存在がいなくなっているのかもしれず、チームとしての一体感が出るまでにはもう少し時間がかかるのか。ちょっとまだどこに向って走っているのかよくわからず面白くもあるが怖い。
なにより開幕4試合で2敗2分の勝ち点2、首位とは勝ち点差8の14位はスタート・ダッシュとしては完全に失敗というほかない。レバークーゼン、バイエルンと厳しい相手との試合が続いたとはいえ、1勝もできていないのは言い訳できない。
次節もライプツィヒとのホーム・ゲームとなり楽な相手ではないが、しっかり勝ち点を積み上げないと監督更迭などの雑音が出て試合に集中できなくなる。セオアネ監督の手腕と、クラブとしての現状認識が問われる試合になる。
ゲラルド・セオアネ監督談話:
「われわれはひどい前半を見せてしまった。連係がほとんどうまく行かなかった。一対一の競り合いもできず、セカンドボールも拾えず、後ろ向きに走るだけだった。攻撃においてもアクセントをつけることができず、その結果ハーフタイムには0-3となっていたがそれもしかたのない出来だった。しかし、4人を交替したことと、なによりダルムシュタットにレッドカードが出たことで試合は違う方向に動きだした。11人対10人で様相はガラっと変わった。数的優位を得たが我々は規律を失うことなくたくさんのチャンスを作った。これについてはチームを称賛しなければならない。しかし正直に言うなら、退場がなければ我々はおそらく追いつくことはできなかっただろう」
この日は緑を基調にした通称スイカユニだった。
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ブンデスリーガ
2023年09月16日 15:17
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【Jリーグ第27節】川崎 1-0 FC東京
■ 2023年9月15日(金) 19:00キックオフ
■ 等々力陸上競技場
ヴェスパで等々力に乗りつけようかと思っていたが、夕方から雨になるという予報だったのでおとなしく南武線に乗り、武蔵中原駅からなんとか傘を使わずに等々力にたどり着くことができた。
ルヴァンカップ準々決勝で敗退、リーグ戦はタイトルも降格も関係ないなかで今季残り8試合となった。ここからなにを目指し、どこに目線を置いて戦うのか、クラブとしての取り組みが問われるむずかしい時期になる。
オリヴェイラが欠場、アダイウトンがトップで先発した。トップ下に塚川を起用、左ウィングに渡邊を配し、俵積田はベンチ・スタートに。シルバとペロッチがベンチ入りした。
スウォビィク
小泉 森重 トレヴィザン 長友
東 原川
仲川 塚川 渡邊
アダイウトン
互いにパスをつなぎながら前進するスタイルだが川崎の出足が鋭く、前プレスからボールを奪われて自陣に押しこまれる時間が長くなる。東京はボールへのアプローチが甘く、ボールの逃がしどころを心得た川崎のビルドアップを止められない。
6分、塚川から浮き球のパスを受けた渡邊がエリア中央からシュートを放つがミートしきれずGKにキャッチされる。12分には敵陣でボールを奪い渡邊がエリア手前からミドルを狙うが枠に収まらず。好機はあるものの決めきれない。
その後も一進一退ながら川崎優位で試合が進む。東京の攻撃はカウンター主体で散発に。32分、塚川の落としたボールにアダイウトンがエリア中央からシュートを放つが敵DFがブロック。後ろにこぼれたボールをトレヴィザンが拾い、エリア手前から強烈なミドル・シュートを放つ。これが枠に飛んだが敵GKのセーブに遭う。前半最も可能性を感じた瞬間だった。
35分、アダイウトンからのパスを受けた渡邊がエリアに侵入、シュートを放つがミートせず枠外。さらに36分には小泉からのクロスに渡邊が頭で合わせるがこれも打ちきれず敵GKにキャッチされる。渡邊はいい場所にはいるが…。
39分、敵のCKにゴール前で合わされ、一度はネットを揺らされたが、スウォビィクの近くで守備に干渉した敵の選手がオフサイドとの判定となり、VARでの検証の結果ノー・ゴールが維持された。ゴール前での密集でごちゃごちゃしていてわからなかったが胸をなでおろす。
結局前半はスコアレスで終了。ともに攻めきれず、特に東京はボールを奪ったあとの展開にスピード感がなく平板で、パスのズレも目立ち効果的なビルドアップができない。シルバ、ペロッチに期待。後半ふわっと入るとヤられるので気をつけたい。
しかし後半開始間もない53分、右サイドから単騎でしかけられ、森重が対応したがエリアへの侵入を許しファーにシュートを流しこまれて失点、0-1と先制を許す。個人技にやられたが森重が抜かれてしまったのはショック。やはりしかけないとゴールは生まれない。
59分、東のパスカットからアダイウトンがカウンターで持ち上がり右を並走した仲川にパス。仲川は敵DFをかわしてシュートを放つが敵GKがセーブ。これも惜しいシュートだった。
64分、アダイウトン、東、塚川に代えてシルバ、俵積田、白井を投入する。白井は右SBに入り小泉がボランチへ。シルバはトップに入り、俵積田が左ウィング、渡邊がトップ下に。さらに72分には渡邊に代えてペロッチを投入。ペロッチがトップに入りシルバがトップ下に下がった感じか。
しかしその後も試合の主導権は川崎に。時間を使って試合を殺しにくる川崎に対して必死の反撃を試みるがこじ開けることができず、ゴール前のシーンも多くは作れない。俵積田がドリブルで切れこんで存在感を示すがフィニッシュにまでもちこめず。
45+4分、右サイドの白井からのクロスをゴール前のペロッチが胸トラップしてシュートするが打ちきれず敵GKがキャッチ。ペロッチはなにか執拗に抗議していたがVARにもならず。結局試合はそのまま0-1で終了。リーグ戦は3日の福岡戦から2連敗となった。
攻撃が単調、ボールへのアプローチも甘く、終始川崎のペースで試合を進められた。それでもゴール前はしっかり固め、スコアレスで折り返したが、後半開始早々に失点、その後は川崎にうまく逃げきられ、最小失点ながら無得点で勝ち点を持ち帰れなかった。
強度高くボールにチャレンジして奪ったボールを縦に、前に付けて一気に押し上げて行くという戦い方の全体感自体は共有されていると思うが、それを実際の試合にどう落としこむかという各論の部分がまだまだ落としこみきれておらず、そのため随所にズレが出るし、攻守にメリハリが作れず単調になっているのではないかと思う。
シュート数8-17、CK3-8、ポゼッション51-49と、ボールは持ちながらも結局攻めきれなかったことがわかる。監督交代直後の強度が剥落しており、悪い形になってからムリに強く行こうとするとファウルになって敵の前進を許す悪循環。イエローカード6枚の要因はよく検証しなければならない。
終盤、長友が何度か、まるであきらめない意志を示すかのように決然と左サイドをドリブルでまっすぐ持ち上がったのが印象的だった。川崎も決してよかったわけではなく、また結果も0-1と大敗したわけではないが、それ以上の「手のつけようのなさ」を感じてダメージの大きな敗戦になってしまったと思う。
こういうむずかしい時期こそなにを手がかりに残り試合を戦うのか、それぞれが問題意識をもたないとこういうどこか淡々とした試合をして立ち位置を自ら切り下げることになるのではないか。
何度か書いているが、主導権を握りながら強度高く押しこむフットボールを志向する今の戦略自体はおかしくはなく、アルベル監督からクラモフスキー監督への流れも(意図的にそうしたわけではないにしても)路線としては悪くないと思う。
現在のスタイルを今季行けるところまでつきつめたうえで来季も継続するのか、それとも来季はリセットしてまたなにか違う形でトライするのか、クラブとして見極めなければならないが、僕としてはこのスタイルで行けるところまで行ってみたい気はする。なにかをあきらめるにはまだまだ中途半端でやりきれていない部分が多くあるのではないかと思う。
これで27試合を終えて9勝12敗6分、勝ち点は33のままで1試合あたりの勝ち点は1.22に低下。暫定10位は変わらずだが他の試合の結果次第では今節12位まで転落の可能性がある。1試合あたりの勝ち点が1.50となる勝ち点51は最低の目線にしたいが、それすら残り7試合で6勝が必要と厳しくなりつつある。どこを目指して戦うかクラブがきちんとステートメントを出すべきだと思う。
評点(評点は
ドイツ式
):
スウォビィク(4) 失点は最少に抑えたが…。
小泉(4.5) 押しこまれながらもゴールは許さず。
森重(5) 痛恨の失点関与。以前なら抜かれなかった。
トレヴィザン(5) 思いきりのよい飛び出しで窮地を救った。
長友(4.5) 終盤の持ち上がりには涙した。
東(5) 遅れて危険なプレーで行くのはほんとやめて。
原川(4.5) 中央でやらせなかったのは彼の力。
仲川(4.5) 最後まで走りきってくれて感謝しかない。
塚川(5) 彼の持っているものをもっとみんなで共有したい。
渡邊(5) 外すのはむずかしいのを狙ってるからだよね。
アダイウトン(5) 窮屈なCFではもったいない。
===
シルバ(5) この人もスペースがないと厳しいか。
俵積田(4.5) きれこみには希望が見えた。
白井(4.5) 縦へのしかけには希望が見えた。
ペロッチ(5) アピール癖は恥ずかしいから直そう。
気温は高くないが湿気がすごく、武蔵中原駅からの行き帰りが汗だく。
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FC東京
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J1リーグ戦
2023年09月10日 23:27
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【ルヴァンカップ準々決勝第2戦】福岡 2-0 FC東京
■ 2023年9月10日(日) 19:00キックオフ
■ ベスト電器スタジアム
準々決勝のセカンド・レグは福岡でのアウェイ・ゲーム。自宅スカパー観戦となった。ファースト・レグに1-0で勝っておりアドバンテージはあるが、アウェイ・ゴールのルールはなく、もとより引き分け狙いが通じる相手でもなく勝ちに行くしかない。
この試合では最終ラインでこのところメンバーに入っていなかった木本が先発、塚川と東に代えて渡邊とバングーナガンデを先発起用。またアダイウトンもベンチ・スタートとなり仲川が先発した。
スウォビィク
木本 トレヴィザン 長友
白井 小泉 原川 渡邊 バングーナガンデ
熊田 仲川
最低でも1点が必要な福岡に対し、スコアレスでも勝ち抜けできる東京という互いにむずかしい状況で、失点を嫌って神経質な立ち上がりとなる。東京はこの試合でも3バックでピッチ幅をカバーし手堅く守るが、攻撃の起点が低くチャンスも作れない。
福岡も攻めあぐねる一方、守備はリトリートが早くゴール前を固めてくるので、東京が攻めこんでもその先の崩しが容易ではない。セット・プレーは原川のキックに可能性を感じるがその数も多くはない。ともにシュートが打てないまま時計が進む。
31分、左CKからのこぼれ球を拾ったバングーナガンデがエリアに放りこむが、木本のヘディング・シュートは枠に収まらず。35分には白井が右サイドからクロスを入れ、渡邊がこれに合わせるが敵DFがブロック。
すると38分、左サイドから斜めにピッチを横ぎるクロスを入れられると、ファーでこれを胸で落とされ、これをダイレクトでけりこまれて失点。ゴールを決めたのは直前まで傷んでいた選手で、守備の意識がゆるかった。0-1と先制を許し、2試合合計で1-1と勝ち抜けは五分になる。
さらに前半アディショナル・タイム、敵CKから頭で合わされたボールをスウォビィクが線上でセーブしかき出したように見えたがVARチェックに。ゴールラインカメラの映像でボールがゴールラインを越えていたと判断されゴールが認められて0-2に。福岡の勝ち抜けとなる2点めを決められたところで前半終了。
固い試合になるかと思ったが、一瞬の隙を突かれて失点、前半終了間際には死守しなければならない2点めを献上した。攻撃がほぼ形になっておらず、後半まずは1点からだがこのままでは打開の手がかりが見えない。
しかし後半に入っても選手交代はなく福岡の割りきった守備を崩すアイデアが見られない。56分、熊田に代えてアダイウトンを投入、そのまま仲川と2トップに。すると59分、原川のけった左CKにニアでアダイウトンが頭で合わせるが枠に飛ばず。
65分、仲川、渡邊、長友に代えて塚川、東、徳元を投入。塚川はトップ、東はインサイド・ハーフ、徳元は3バックの左に入る。これでやや動きが出始めるが福岡は攻守の切り替えが速くシュート・チャンスはその後もめぐってこない。
75分、裏にパスを通されカウンターで独走を許す。スウォビィクとの一対一になりまたを抜かれてシュートを決められたが、ゴール・チェックの結果スルー・パスを受けた裏への抜け出しがオフサイドと判定されノー・ゴールに。危なかった。
なんとか首がつながったが、試合の主導権は引き続き福岡に。80分、バングーナガンデに代えて寺山を投入。東京は前がかりに攻撃をしかけるが福岡の守備が堅い。86分、徳元のロング・スローからのこぼれ球を拾った塚川がエリア外からミドル・シュートを放ち、アダイウトンがコースを変えたがオフサイドに。
9分のアディショナル・タイムもトレヴィザンを前線に上げパワー・プレーで押しこむもののなかなかフィニッシュまでもちこめない。90+8分、アダイウトンがエリア外からシュートを放つが大きくバーを越える。
90+9分、エリア内で白井が敵FWを倒しPKの判定となったがVARの介入により白井が先にボールをヒットしていたことが確認されノー・ファウルの判定に。残り時間もチャンスはなく、結局0-2と完敗を喫し、ルヴァンカップ準決勝進出を逃した。
おそらく守備戦上等でファースト・レグと同じ3バック・システムを採用したと思うが、ワンチャンとセット・プレーでこじ開けられ、一方でこちらの攻撃はほぼ形にならず必要なゴールを奪うことができなかった。
シュート数4-8、CK5-6、ポゼッション50-50と全体にパッとしない試合だったことが窺われるが、なんにしてもシュート4本の無得点ではどうしようもない。手堅く試合に入ろうとした意図はわからなくもないが、トーナメントなのだから2失点した段階でもっとリスクを取って前にしかけなければならなかったように思う。
2点ビハインドのまま選手交代もなく漫然と後半に入り、流れを変えられる可能性のあったタイミングをつかみ損ねたように思った。福岡と比べて個々の選手が劣っているわけではないにも関わらずチームとして機能しなかった原因はどこにあるのか、うまく行かないときに立ち戻るべきベースがどこにあるのか、まだチームとして共有できていないのではないか。
これで今季は事実上無冠が確定、クラブはなにに向かって戦うのかをあらためてはっきりさせる必要がある。今季はリーグ戦残り8試合のみ。勝ち点51を目指して戦術の落としこみ、約束ごとの共有を進めるしかない。
アルベル監督のボールを支配して主導権を握るフットボールを経由して、高い強度をベースに前を向いてしかけるクラモフスキー・ドクトリンを注入するのは方向性としては間違っていないと思うが、福岡との3連戦では前に向かう迫力が感じられなかった。今季はまずこのやりかかった課題をきちんと仕上げて、それがどこに落ち着くかを検証するべきだと思う。
今の戦い方にはまだまだ伸びしろがあり、ここで投げ出すべきものではない。タイトルを逃したことは悔しく、福岡のように特定のチームに対してきわだって苦戦することはしっかり要因を分析して対策する必要はあるが、クラモフスキー監督との旅はまだ始まったばかり。下を向く前に積み上げるべきこと、突きつめるべきことが山のようにあるはずだ。
評点(評点は
ドイツ式
):
スウォビィク(4) ヤバいヤツいくつも止めてはくれたが…。
木本(5) 昨季に比べてパフォーマンス落ちてる。
トレヴィザン(5) 突進守備はハズしたときが怖い。
長友(5) 連戦ご苦労さまというほかない。
白井(4.5) 攻撃ではいいしかけもあった。
小泉(4.5) 福岡の守備が厚く前に出せなかった。
原川(4.5) 中央で安定感あった。
渡邊(5) スペースがなく窮屈だった。
バングーナガンデ(5) なかなか試合に入れず。
仲川(5) スピード生かせる試合ではなかった。
熊田(5.5) 序盤は収める意識も見えたが…。
===
アダイウトン(4.5) この試合唯一可能性を感じた。
塚川(5) 流れを変えられず。
東(4.5) 前を向く意識をもちこんだが…。
徳元(5) ロングスローご苦労さま。
寺山(-) 時間短し。
ルヴァンカップは終わったが世界が終わったわけではない。フットボールはいつでもそこにあるし旅は続いて行く。
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FC東京
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ナビスコカップ/ルヴァンカップ
2023年09月07日 00:16
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【ルヴァンカップ準々決勝第1戦】FC東京 1-0 福岡
■ 2023年9月6日(水) 19:00キックオフ
■ 味の素スタジアム
在宅勤務だったのでヴェスパで味スタに乗りつけようと思ったが夕方から雨になり、注文してあったヒレカツ丼弁当を急遽クルマで取りに行って公共交通機関で味スタに向かった。キックオフの19時ごろにはすっかり雨もあがり帰りは晴れていた。
日曜日にリーグ戦で完敗を喫してから中二日で同じ福岡と再びホームで対戦。同じクラブに連敗するわけには行かず、クラモフスキー監督が日曜日のリーグ戦をどう見てなにを修正してきたかが問われる。ホーム&アウェイの初戦。
野澤、木村、松木がU23代表の招集を受けて不在となったためメンバーを入れ替え。その他にもオリヴェイラ、仲川、俵積田らを休ませ、ターン・オーバーを敢行した。原川が移籍加入後初先発、バングーナガンデがケガから復帰しベンチ入り。
スウォビィク
森重 トレヴィザン 長友
小泉 塚川 原川 東 白井
熊田 アダイウトン
メンバー発表からは白井を右ウィングに置いたいつもどおりの4-2-3-1かと思われたが、試合が始まると白井が左サイドに入り、長友も左に位置していたので混乱した。長友を左に置いた3バックに、白井と小泉がWBとなって攻撃時には高い位置を取り、中央は原川がアンカーで東と塚川がインサイド・ハーフ、熊田とアダイウトンが2トップという布陣で、守備時には実質的に5バックとなった。
その結果福岡としてはプレスのかけどころを絞れなくなり、両翼の白井か小泉を経由してボールを出せるようになる。序盤は東京が主導権を握った。10分、左サイドからの白井のクロスにアダイウトンが中央で頭で合わせるがシュートは枠に飛ばず。
アダイウトンは14分にもパスを受けてエリア手前から狙うが枠に飛ばず。前につなぐ意識がはっきり窺えてチャンスを作れている。
すると16分、長友が前線にフィード、一度は敵DFにわたるが、GKへのバックパスにチャレンジしたアダイウトンに対応しようとした敵GKがボールをトンネル、後ろにこぼれたボールをアダイウトンが押しこみゴールとなる。東京が1-0と先制する。
さらに20分には敵陣でアダイウトンがボールを奪いそのまま持ちこんでシュートを放ち、枠に強いボールが飛んだが敵GKがセーブ。24分、白井からのパスを受けた原川が中央からミドル・シュートを放つ。これも枠に鋭い軌道で飛んでおりどよめき。
飲水タイム後からは福岡も徐々に東京の布陣に慣れたか一進一退の攻防に。東京は次第に攻撃が単調になり変化をつけられず手づまり感が出る。福岡の攻撃も散発でゴールを脅かされるシーンは多くない。終了間際のピンチもスウォビィクのセーブでしのぎ、1-0とリードのまま前半を終えた。
ゴール自体は敵失がらみだが主導権を握って試合を進めることができた。2試合での結果となるのでできる限り点差は広げたく、後半もしっかり前に出たい。
しかし後半に入ると福岡が3枚替えで主力を投入してきたこともあり、試合は拮抗した展開に。中盤で主導権を争うがどちらもゴール前のシーンは多くない。往復の激しい試合になる。セット・プレーでは原川のプレース・キックに希望が感じられるが流れからは得点の気配がない。
75分、アダイウトン、東、塚川に代えて仲川、渡邊、寺山を投入、仲川がトップに入り、渡邊、寺山はインサイド・ハーフに入ったようだ。さらに80分には白井に代えてバングーナガンデを投入、そのまま左WBに入る。
互いに決定機を作れないまま時計が進む展開に。負けている福岡はもちろんだが、セカンド・レグがアウェイとなる東京としても、この試合の勝敗以上にどれだけ先に得点を積み上げられるかが重要であり、なかなか攻撃が機能しないもどかしい流れに。
アディショナル・タイムには熊田に代えて土肥を投入、7分ほどあったアディショナル・タイムにも試合は動かず、結局1-0のまま試合は終了。東京は1点のアドバンテージをもってアウェイでのセカンド・レグに臨むことになった。
前半は布陣を変えたことで敵を攪乱、積極的に前に付けて行くチャレンジも奏功してチャンスを作り、その流れで先制したが、その後試合は膠着し、後半もガチの組み合いになって動かず。リーグ戦なら勝ち点3だがホーム&アウェイでのトーナメントとしては1点のアドバンテージを稼いだのみで後半の失速感がひっかかる試合になった。
日曜日の試合からポゼッション時のボールの出口を制限された敗因を抽出し、左右にスライド可能な3バックを採用することで敵に抑えどころを絞らせない布陣を編み出した修正力には唸ったし、その結果アドバンテージは得たが、出足よく敵陣を突けたのは前半の飲水タイムまで。その後は福岡もアジャストし、メンバーを3枚替えてきた後半はほぼチャンスを作れなかった。
残念だったのは熊田がほぼなんの役にも立たなかったこと。期待のルーキーでフィニッシャーとしては非凡なものをもっているかもしれないが、連係のなかではほぼ動けず、守備もできず、肝心のシュートもゼロだった。終盤まで引っ張った理由がわからないが、本来なら後半からペロッチと交代させるべきだったと思う。完全なブレーキになっていた。
数字を見ればシュート数6-7、CK2-4、ポゼッション46-54と劣勢で、勝ちはしたが必ずしも試合をコントロールできたわけではなかったことを窺わせる。
セカンド・レグをアウェイでどう戦うのか。この試合で温存したオリヴェイラや俵積田、短い出場時間だった仲川や渡邊らと、今日いい動きを見せた原川や東をどう生かして行くか、アウェイでの厳しい戦いになるが、失点を防ぎながらチャンスをモノにして準決勝にコマを進めたい。
評点(評点は
ドイツ式
):
スウォビィク(4) 手堅くゴールを守った。
森重(3.5) サイドまでをカバー、完封を演出した。
トレヴィザン(4) 積極的な守備が今日も吉と出た。
長友(4) 驚きの3バックだがさすがの落ち着き。
小泉(3.5) 布陣がどうであれぬかりはない。
塚川(4.5) やっぱり出来にムラがある感じする。
原川(3.5) 完全移籍希望。リーグ戦でも先発を。
東(4) 好調を維持。いつの間にか東京の顔に。
白井(4) 左WB起用にも応えた。
熊田(5.5) まったく機能せず。
アダイウトン(3) あきらめずに詰めて決勝点。
===
仲川(4) スペースがなくよさを出せず。
渡邊(4) 手づまり感を打開できず。
寺山(4.5) まだ彼のよさがよくわからない。
バングーナガンデ(-) 時間短し。復帰は嬉しい。
土肥(-) 時間短し。
木本はどうしてるんだろう。ケガか。
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FC東京
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ナビスコカップ/ルヴァンカップ
2023年09月06日 13:17
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【ブンデスリーガ第3節】グラードバッハ 1-2 バイエルン
■ 2023年9月2日(土) 18:30キックオフ
■ Borussia-Park
日曜日午前中に時差視聴。今回はTwitter(現X)を見ることもなく結果情報遮断はうまく行った。開幕から1敗1分と結果が出ていない状況でのバイエルン戦。ホームでもあり今季初勝利がほしいがいくら相性が悪くないとはいえむずかしい試合になるのは間違いない。
オムリンが肩の負傷ということでニコラスが先発。またオノラがベンチ・スタートとなりライツが中盤に入った。
ニコラス
スカリー フリードリヒ 板倉 ヴェバー
ライツ ヴァイグル ノイハウス
エングム チュヴァンチャラ プレア
立ち上がりからバイエルンがボールを支配、グラードバッハ陣内で波状攻撃をしかける展開となり防戦一方に。しかし中央を固め最後のところは身体を張っておりゴールは死守する。
奪ったボールはスペースに逃がしつつカウンターを狙うが、起点が低く前線はプレア、エングム、チュヴァンチャラにまかせる形となり組織的な押し上げができない。互いに決めきれないまま時間が過ぎる。
9分にはポゼッションから押し上げ最後はヴェバーがミドル・シュートを放つが枠を外れる。15分過ぎくらいからはグラードバッハも徐々にボールを持てるようになるが攻撃は散発。26分にはプレアのFKからフリードリヒがヘディング・シュートを放つがバーに嫌われる。
30分、右CKをプレアがけると、ニアのヴェバーがこれを頭で伸ばし、ファーにいた板倉がやはり頭でこれをゴールに流しこみ先制。1-0とリードを奪う。板倉は開幕戦に続くゴールで今季すでに2得点め。
さらに直後の32分にはプレアがFKをサイン・プレーでヴァイグルに戻し、ダイレクトで狙うが敵GKがセーブ。ポゼッションはバイエルンだが攻撃の精度が今ひとつで、グラードバッハが守りきる形で1-0のまま前半を終えた。
このまま終わる試合ではなく、後半の試合運びがむずかしいが、できることなら守りに入ることなくカウンターでもセットプレーでも誤審でもなんでもいいから追加点を取りに行きたい。
後半もバイエルンがボールを支配、グラードバッハは奪ったボールをスペースに逃がして前線に供給する戦いとなるが劣勢は否めず。決定機も作られるが板倉の線上でのクリアなどもありなんとしのぐ。
しかし58分、DFラインの裏に放りこまれたボールをワン・トラップから押しこまれ失点、1-1と試合は振りだしに戻る。できるところまでリードを保ちたかったが追いつかれるのが早かった。
60分、チュヴァンチャラに代えてウニオンから移籍加入したばかりのアメリカ代表FWジョルダンを投入。62分には左サイドで得たFKをプレアがけりフリードリヒが頭で合わせるがボールに勢いなくGKにキャッチされる。
その後もほぼチャンスを作れず、攻勢を強めるバイエルンの前に防戦一方となる。73分、エングムとヴェバーに代えてウルリヒとヤンチュケを投入。ヤンチュケを最終ラインに入れ、ウルリヒを左のウィング・バックに置いて3バックにしたように見えた。
バイエルンの攻撃にどこまで持ちこたえられるかという耐久戦になったがニコラスの好セーブなどもありギリ踏みとどまる展開に。83分、スカリーとプレアに代えてエルヴェディとオノラを投入。エルヴェディを右SBの位置に入れ、よりはっきりと5バックにしたか。
しかし87分、ついにCKから頭で合わされて失点、1-2と逆転を許す。試合はそのまま終了し、グラードバッハが序盤のリードを守りきれず力負けした。
圧倒的に押しこまれながらも敵の隙を突いてセット・プレーから先制、その後も守りを固めながらワンチャンでの追加点を狙ったが、ガチの力勝負になるとさすがにキツく、後半要所で決められての逆転負けとなった。
数字を見ればシュート数7-25、CK1-15、ポゼッション35-65と、まあ結果は妥当としかいいようがないが、これで終盤まで同点で推移していたことを考えるとよく戦ったということかもしれない。
この試合ではオノラを先発から落とし、ライツを中盤で起用したがその意図が今イチよくわからなかった。今日はヴァイグルをアンカーにしてライツとノイハウスをインサイド・ハーフにする4-3-3にしたところで中盤を固めたイメージだったのか。
初出場となるジョルダンは未知数。そもそもボールが来ないのでよくわからなかった。チュヴァンチャラも今日は仕事のしようのない試合だった。
移籍期間も終ってしまったのでエルヴェディはとりあえず残留ということか。そうであれば最終ラインの構成もまた変わってくるのだろうか。板倉、ヴェバー、フリードリヒに加えエルヴェディという豪華な顔ぶれとなるが、冬の移籍を見越せば使い方もむずかしい。
開幕から2敗1分とまだ勝ちがないが、ここでインターナショナルとなり2週間のブレイクに入り、コネ、クラマーらケガ人の復帰も期待できるなかで、ここまでの戦いをどう整理し、なにを修正するのか、セオアネ監督の腕が問われる。
ここで調整ができないと状況がむずかしくなり、早期の監督更迭なども視野に入ってくるのであまり時間の余裕もない。板倉らが代表でいなくなるなかでチームを作るのはしんどい部分もあるが、ここ数年、意図は見えるものの実戦で結果が出せない状況が続き、毎年監督を替えているので、ここはしっかりチーム作り、戦略の落としこみに取り組みたい。
ゲラルド・セオアネ監督談話:
「我々にとっては苦い夕べになってしまった。試合が終わった後の感じ方は複雑だ。一面では勝ち点を積み上げることができずがっかりしている。しかし他方ではバイエルンを苦戦させ、しっかり戦う姿勢を見せて全力で守った。失点はDFラインの裏に放りこまれたのとセット・プレーで取られたもので、両方ともレバークーゼン戦ですでに経験したものだ。これは起こってはいけないことだ。それでもチームを称賛したい。今日は落胆の方が大きいが、明日になればこのパフォーマンスへの誇りが上まわると思う」
ヴェバー(オーストリア)、エルヴェディ(スイス)、ボルゲス・サンチェス(ルクセンブルク)、チュヴァンチャラ(チェコ)、ラノス(アルメニア)、スカリー(アメリカ)、板倉(日本)が代表で不在となる。
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Borussia M'Gladbach
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ブンデスリーガ
2023年09月04日 23:00
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【Jリーグ第26節】FC東京 1-2 福岡
■ 2023年9月3日(日) 19:00キックオフ
■ 味の素スタジアム
不幸なことに佐野元春のライブと日程がかぶってしまい、今回はそちらを優先して今季初めてホームゲームを欠席することにした。水曜日に試合があるのにどうしてわざわざ日曜日に試合をするのか理解に苦しむマッチ・メイク。
福岡とはこのあとルヴァンカップ準々決勝で対戦することとなっており、1週間のあいだに3試合という異例の日程になる。まずはホームでのリーグ戦でしっかり勝ち点3を稼いでカップ戦に臨みたい。
森重が体調不良ということでメンバー外に。木本もなぜか不在で木村とトレヴィザンがCBで先発した。他は前節と同じ布陣に。熊田が久しぶりにベンチ入り。CBの控えとして土肥がメンバーに入った。
野澤
小泉 木村 トレヴィザン 長友
松木 東
仲川 渡邊 俵積田
オリヴェイラ
立ち上がりいきなり試合が動く。2分、エリア右からゴール前に放りこまれたボールにファーで合わされいきなり失点。0-1と先制を許す。出足のいい福岡の攻撃に対して受けにまわってしまい、ワンタッチでボールを動かされて対応が後手になった。
さらに11分、右サイドの深いところをえぐられ、マイナスのパスをゴール至近からけりこまれて再び失点。0-2とリードを広げられる。これも人はいたもののゴール前で敵のコンビネーションに対応できなかった。
その後もシンプルにボールを動かしながら手数をかけずに攻撃をしかける福岡に対してボールを支配することができず、自陣でバタバタする時間帯が続く。ポジショニングのミスマッチもあって有効にスペースが使えず、攻撃は散発に。
21分、右サイドで得たFKを渡邊がけると、松木が頭で伸ばし、これに木村が頭で詰めるがボールはバーに阻まれる。これが東京のファースト・シュートに。その後も福岡に主導権を握られ、東京はフィニッシュまでもちこめない展開となる。
東京は有効な攻撃を繰り出せないまま時間が過ぎる。38分、エリア手前でFKを得て松木が直接狙ったがが壁に当たる。これ以外にはシュートもないまま0-2で前半を終える。やりたいことはほぼやらせてもらえなかった。
序盤たて続けに失点、その後も態勢を立て直せないまま福岡ペースで試合を運ばれた。シュートはセット・プレーからの2本のみ。福岡にうまくハメられているイメージで、なにかを変えないと反撃はむずかしい。後半早い時間帯にまず1点がほしい。
しかし後半に入っても主導権は福岡に。前半よりはボールを握って攻撃をしかける回数は増えたように見えるが福岡の切り替えの早い守備にフィニッシュまでたどりつけないのは変わらない。まあここでクラモフスキー監督に細かい修正を求めても詮無いのはわかっている。
60分、俵積田、東に代えてアダイウトンと原川を投入。すると61分、原川のFKに中央のアダイウトンが頭で合わせるが枠に収まらず。交代で入った選手が見せ場を作り、徐々に動きが出てくる。
74分、仲川とオリヴェイラに代えて塚川と熊田を投入、熊田はトップに、塚川は右ウィングに入る。76分、松木がエリア外から狙うがバーの上。83分、渡邊に代えて白井を投入、白井は右ウィングに入り塚川がトップ下にスライド。
この時間帯は東京が押しこみ、敵陣でボールを支配、たて続けにCKを得るなど攻撃をしかける。86分、左CKを原川がけるとファーでフリーになった熊田が頭で押しこみゴール。1-2と1点差につめ寄る。熊田はリーグ戦初ゴール。
その後も東京が前がかりに反撃を続け、アディショナル・タイムには原川のCKにトレヴィザンが頭で合わせるが枠に飛ばず。セット・プレーを中心に攻め続けたがいかんせんエンジンがかかるのが遅すぎ、結局9分ほどあったアディショナル・タイムに追いつくことはできず1-2でホームでの敗戦となった。
序盤の失点が重く、その後も福岡の整理された戦いに有効な打ち手がないまま、手をこまねいて時間だけが過ぎて行く展開となった。試合終盤、交代選手の活躍でようやく1点を返したが、流れから形を作ることは最後までできず、勝ち点を積み上げることができなかった。
数字を見ればシュート数8-10、CK9-2、ポゼッション56-44とむしろ東京が優位に見えなくもないが、前半はほぼノー・チャンス、終盤CKを原川がけるようになってそこからチャンスを作り1点を返したが、主導権自体は終盤まで福岡が握っていたゲームだった。
福岡の切りかえの速い戦いに後手を踏み、自分たちのペースに持ちこめなかった。後半開始から何人か入れ替える選択もあったがそういうことをしないのがクラモフスキー監督であり、ゲーム・プランが機能しないときのもろさというかどうにもならなさを目のあたりにした。
原川のプレース・キックには希望を感じ、実際熊田のヘディングで1点を返したが、これがもう少し早い時間帯から行かせていればと思わずにはいられなかった。まあ、今のところはこれがクラモフスキー・ドクトリンだと思うしかない。
結果だけなら1-2と善戦したようにも見えるが、実際には福岡の機動性の高いフットボールに手が出せず完敗といっていい内容で、クラモフスキー監督就任以来最も見るべきもののない、ダメな時はこういう感じなんだなという残念な試合だった。
水曜日には同じ福岡とカップ戦を戦うことになるが、野澤、松木、木村をU23の代表招集で欠く。この試合で得た教訓をどう消化して中二日の試合に臨むのか。監督とチームの対応力が問われる。同じクラブに連敗を喫するわけには行かず、勝ち抜けのためにも勝たなければならない試合になる。
東京は26試合を終えて9勝11敗6分で勝ち点33(1試合あたり1.27)。順位は10位で変わらないが8位福岡との勝ち点差が5となり置いて行かれた感がある。残り8試合を6勝2敗で行かなければ当面の目安である勝ち点51には届かない。ここが正念場だがまずはルヴァンカップだ。
評点(評点は
ドイツ式
):
野澤(4.5) 失点はどちらもやむなしか。
小泉(4.5) 仲川との相性がいい。
木村(5) 序盤のピンチには対応できなかった。
トレヴィザン(5) 積極的に前に出る守備は悪くない。
長友(4.5) スキルを感じさせるシーン多かった。
松木(5) 悪くはないが気合いが先走るシーンあった。
東(5) 前につなぐ意識が窺えたのはよかった。
仲川(5) ボールを持っても局面を打開できず。
渡邊(4.5) ボール扱いは悪くなかったが。
俵積田(5) こういう試合で一発がほしかった。
オリヴェイラ(5) ほぼ仕事させてもらえず。
===
原川(4) スタメンで見たい。CKに可能性を見た。
アダイウトン(4.5) 調子は戻りつつあるのでは。
塚川(4.5) ボールにからみチャンスを準備した。
熊田(4) FWとして仕事した。
白井(-) 時間短し。ウィングで動けてた。
他のJ1の試合は土曜日なのに、なぜわざわざ日曜日にマッチ・メイクして水曜日のルヴァンカップ準々決勝との試合間隔を2日に縮めるようなことをするのか。準々決勝のアウェイ戦は日曜日で中三日とはなるが、その次のリーグ戦はわざわざ金曜日開催で中四日。いったいどういう料簡でこういうナゾの日程になるのか、合理的な説明を求める。
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