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2024年01月28日 19:27      [posted by der_ball_ist_rund]

【ブンデスリーガ第19節】レバークーゼン 0-0 グラードバッハ

■ 2024年1月27日(土) 18:30キックオフ
■ BayArena (Leverkusen)

日曜日の朝、早めに起きて時差観戦。試合結果のシャットアウトは苦労なかった。前節ホームでアウグスブルクに不覚を喫し、波に乗れないなかでの首位との試合。レバークーゼンは今季まだ負けがないということで厳しい試合になるが勝ち点を持ち帰りたい。

ライツとプレアに代えて出場停止からの復帰となるヴァイグル、ノイハウスが先発。プレアは足の負傷ということでメンバー外に。その他ヴェバー、チュヴァンチャラらも離脱しており苦しい台所事情。一方で福田がリーグ戦初めてベンチ入り。

ニコラス
スカリー フリードリヒ エルヴェディ
ヴァイグル
オノラ ノイハウス コネ ネッツ
ジーバチュ

グラードバッハはフリードリヒを中央に置いた3バックで、守備時にはオノラとネッツが最終ラインに落ちて実質5バックになる布陣に。本意ではないが相手の迫力を考えればしかたのない対応か。

試合は序盤からレバークーゼンが圧倒的にボールを支配、ほぼグラードバッハ陣内で一方的に攻撃をしかける時間となるが、グラードバッハは深めに布陣してブロックを固め、シュートには身体を張って対応することでゴールは死守する。

ピンチの連続となるが、ニコラスの好セーブやレバークーゼンのシュートミスもあってしのいでいると、20分過ぎくらいからようやく自陣から出て行くことができるようになりいくつかチャンスを作る。

22分には左サイドのネッツがエリア内に進入し切り返してシュートを放ったが惜しくもGKがセーブ。32分にはコネが遠めからねらうが枠の左に外れる。ワンチャンで先制できれば大きいがそこまで甘くはないようだ。結局スコアレスのまま前半を終えた。

意図的にラインを下げ、自陣の深いところにブロックを形成することでスペースを消し、高いモラルで守りきった前半だったが、これをあと45分やるのはしんどい。カウンターからでいいので先制したい。

しかし後半に入るとレバークーゼンがあらためてギアを上げ、ゴールをねらいに来る。グラードバッハは再び防戦一方の展開に。それでも前半に比べれば互いに疲れも出て追いこみが甘くなるところでボールを持てる局面はあるがフィニッシュまではもちこめない。

62分、ハックに代えてライツを投入、ライツはインサイドハーフに入り、ノイハウスがトップに上がった。その後も自陣で守備に追われる時間が長く、セカンドボールもなかなか回収できない。ボールを奪っても起点が低く、自陣を出る前につぶされる。

70分、オノラに代えてライナーを投入、そのまま右ウィングに。このあたりからスコアレス上等のイメージが鮮明になり、ボールを奪っても全体の押し上げは抑制的でブロックを崩さないようにしている印象だった。

79分、ノイハウス、ジーバチュ、コネに代えて福田、エングム、クラマーを投入、クラマーがインサイドハーフに入り、エングムと福田が2トップになる。しかし攻撃をしかけるシーンはほぼなく、終盤に向けて試合は再びハーフコートマッチの様相に。

しかし、レバークーゼンの猛攻を受けながらも全員が集中を切らさずきちんとブロックを形成、ゴール前のシーンでも身体を張ってシュートを止めている。結局スコアレスのまま試合終了となり、首位相手にアウェイで勝ち点1を手にした。

首位をつっぱしるレバークーゼンに対し、はっきりと守備から入る戦いを選択、やるべきことがシンプルだったからか最後まで破綻なく身体を張ってゴールを守ることができた。もちろんカウンターから先制できていればいうことはなかったが、さすがにそううまくは行かないのはしかたない。

数字を見ればシュート数、4-28、CK2-8、ポゼッション25-75と圧倒的にレバークーゼンが優位。それでもいいという戦い方をしたからこその数字ではあるが、それにしてもこれでよく完封できた。

この試合ではライツが足に問題あったため先発を回避、ノイハウスが久しぶりにインサイドハーフで出場したが、結果的にこれが奏功したと思う。この試合ではライツの勢いやチャレンジより、ノイハウスのクレバーさや技術が生きた。

特に61分、敵FWに裏抜けされ、ニコラスとの一対一になったシーンで、後ろからクリーンにボールを狩ったプレーは素晴しかったし、そのあと雄叫びをあげていたのも熱かった。セオアネ監督のもとで出場機会が減り、移籍の噂もあるが残ってほしい。

福田は終盤の出場でボールタッチも数回のみ。まだなんともいえないが、まずはセカンドから実力で出場機会を勝ちとったことを評価したい。結果を出したい。

ただ、首位相手とはいえこうした戦い方を選択せざるを得ないのがつらく、もう少し選手がそろっていてチーム状態もよければもっと主導権を取りに行くバチバチの試合もできたはずなのにと思った。

まあ、なんであれ今季無得点試合のなかった首位のレバークーゼンを完封しての勝ち点1は価値あるもので、これを足がかりにチームの戦い方を安定させて行きたいが、次節も2位のバイエルンとのアウェイ戦であり、同じような感じの試合になる予感しかしない。

これで19試合を終了して5勝8敗6分、勝ち点は21(1試合あたり1.11)となり順位は暫定12位で変わらず。これ以上の足踏みはできないが、厳しい相手との試合が続く。次節を楽しみに待ちたい。

ゲラルド・セオアネ監督談話:
「レバークーゼンで戦うためには非常に高度な守備のパフォーマンスが必要なことはわかっていた。我々はそれをやりとげ、この勝ち点を持ち帰ることになった。アウグスブルクにホームで負けたあと、これはいいことだ。我々は非常に守備的に戦うことを余儀なくされたが、チームがあまり楽しくない課題を受け入れそれをしっかりこなしたことはわかってもらえると思う。我々には優秀なGKがいて、深いところでよく守った。それでもいくつかのチャンスを与えてしまったが、この試合では運は我々の側にあった」

敵だがシャカはつくづくいい選手だと思った。



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2024年01月25日 00:33      [posted by der_ball_ist_rund]

【ブンデスリーガ第18節】グラードバッハ 1-2 アウグスブルク

■ 2024年1月21日(日) 17:30キックオフ
■ Borussia-Park

ドイツ時間で日曜日の夕方5時半、日本時間だと月曜日の未明1時半といういちばん勘弁してほしい時間帯。以前なら月曜日の早朝に時差で見てそれから出勤とかしてたが、日曜日の夜をゆっくり過ごしてしまうとそれもままならぬ。結局月曜日仕事から帰ってから見た。

2024年最初の試合となった前週はVfB相手に3-1で勝ったものの内容的には結構厳しかった。今節はシーズン後半の最初の試合であり、ホームでの二連戦となる。このあと上位とのアウェイ連戦が控えており、この試合でしっかり勝ち点3を積み上げておきたい。

出場停止のヴァイグルに代えてジョーダンをトップで起用、ライツとコネをダブルボランチにして4-2-3-1の布陣となった。ガンの治療でチームを離れていたライナーが復帰、ベンチ入りした。板倉は引き続きアジアカップで不在。福田はメンバー外。プレアがキャプテンマークを着けた。

ニコラス
スカリー フリードリヒ エルヴェディ ネッツ
ライツ コネ
オノラ プレア ハック
ジョーダン

序盤はアウグスブルクのペースに。グラードバッハは立ち上がりこそ少ないタッチでボールを動かしながら一気に裏をねらう攻撃で意図を見せたが、次第にほぼ一方的にアウグスブルクの攻撃を受け、自陣で防戦一方に。

9分、ジョーダンが中央で確保したボールを左サイドのネッツに渡すと、ネッツがドリブルで持ちあがり、コネを経由してボールは右サイドのプレアに。プレアは角度のないところからシュートを放つがボールはファーに流れる。

その後は、ボールを奪っても起点が低く自陣から出られない展開に。何度か決定機を作られるがニコラスの好セーブもありなんとかしのぐ。この時間帯をしのげたのは進歩のようにも思うが、そもそもなんで序盤からこんな押しこまれているのか意味がわからない。

10分過ぎからグラードバッハのゴール裏サポがピッチにコインと見られる小さな物体を投げこんで試合が断続的に試合が中断。ブンデスリーガが放映権収入を証券化して投資家に販売する計画があり、それへの抗議活動ということらしい。

ようやく試合が再開されるとグラードバッハがやや持ち直す。26分、オノラの左CKは一度は敵GKにセーブされるが、このボールがファーにいたプレアのところに飛び、プレアがゴール前にボウルを放りこむと、ジョーダンが胸トラップからこれを押しこんでゴール。グラードバッハがセットプレーから1-0と先制する。

ジョーダンのボールコントロールがややハンド気味だったようにも見え、ゴールチェックはちょっとドキドキしたが無事にゴールは認められた。その後は自陣でブロックを形成し、カウンターねらいで何度かチャンスを作るが追加点は奪えず。

中断があったため10分のアディショナルタイムがあったが前半は結局1-0で終了。厳しい時間帯を固い守備でしのぎ、中断から盛り返してリードを奪ったのはよかったが、全体に押される時間が長かった。

セオアネ監督は後半からライツに代えてクラマーを投入、中盤の底を固める意図かと思われたが、逆に開始早々の47分、左サイドで裏を取られ、ゴールライン際から折り返される。これに中央で頭で合わされ失点、1-1と追いつかれてしまう。スカリーが付いていたが止められなかった。

さらに直後の51分、エリア内で落とされたボールをけりこまれ続けざまに失点、後半開始からあっという間に2点を失い1-2と逆転された。

その後はグラードバッハもリスクを取って前に出たため拮抗した戦いとなる。チャンスは作るものの決め手を欠き、遠いビハインドを追いかける試合に。67分、ハックに代えてエングムを投入、そのまま左ウィングに入る。

さらに71分にはネッツとコネに代えてライナーとノイハウスを投入、スカリーが左SBにスライドしてライナーが右SBに。ノイハウスはそのままボランチに入った。75分、ノイハウスのクロスにオノラが頭で合わせるが敵GK正面に。

87分、オノラに代えてラノスを投入、ゴールをねらいに行くが迫力を欠き、結局そのまま1-2で試合終了。先制しながらまたしてもリードを保つことができず逆転負けを喫した。

シュート数18-15、CK5-7、ポゼッション55-45と数字のうえでは拮抗した試合で、先制もしたが、後半立ち上がりにふわっと入り逆転を喫したのがすべて。このビハインドをはね返すだけの力が今の我々にはなかったということだろう。

時間帯によっては深く守りなんとかゴールを防衛することもできていただけに、試合の流れをコントロールできず、不用意な失点で勝ち点を投げだしたのがもったいなかった。1ゴールは取れているわけで、失点を反省すべき試合だったと思う。

復帰したライナーは無難な働き。好きな選手だけにうれしいカムバックだった。ヴァイグルがいないと中盤の構築力が落ちるのがつらいところで、板倉もおらず、コネとライツでは攻撃はともかく守備で不安が残った。クラマーを最初から起用する手はあったかもしれない。

やってることがまったくおかしいというわけではないものの、失点が多く、リードを保てない、勝ちきれない試合が多すぎ。シーズン半分なんとかやり繰りしてきたが、何かが定着しているとか進歩しているとかいった確信が持てないのがつらい。

ホームでの連勝に失敗し、シーズン後半を黒星でスタートすることになった。18試合終了して5勝8敗5分と依然として負けが先行、勝ち点は20のまま足踏みで1試合あたりの勝ち点は1.11と残留争いでもおかしくないレベル。順位は12位と中位だが、なかなか上をねらえる形になってこない。

レバークーゼン、バイエルンと上位とのアウェイ連戦が控えており、苦しい日程だがここで勝ち点を拾えないと本当に厳しい状況になる。早くもシーズン後半の踏ん張りどころがきてしまった感があるが、ここを乗り越えないとその先はない。できることを出しきりたい。

ゲラルド・セオアネ監督談話:
「我々は前半も後半も立ち上がりは居眠りをしていた。攻撃の組み立てでもミスが多かったし、ボールを持っていないときも相手にわずかなプレッシャーしかかけられていなかった。そのうえいくつかの大事な一対一にかつことができなかったので、アウグスブルクにチャンスを作られてしまった。そのため結果にだけではなく、パフォーマンスにも落胆している。我々は期待されるパフォーマンスの水準に達していないと感じている」

負けるとコメント短いな。



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2024年01月17日 00:08      [posted by der_ball_ist_rund]

【ブンデスリーガ第17節】グラードバッハ 3-1 VfB

■ 2024年1月14日(日) 17:30キックオフ
■ Borussia-Park

ウィンター・ブレイクが明けての今年最初の試合。16節までを12月に消化しているのでシーズン前半最後の試合にもなる。月曜日の出勤前に起きる力はなく、帰ってからスカパーのオンデマで時差視聴したが、その前にTwitterで結果を見てしまったのは痛恨。

ここまでリードを奪っても追いつかれたり逆転されることが多く、16試合で4勝しかできていない。なんとか勝ち点を積み上げなければならない。ウィンター・ブレイクに戦術の落としこみが進んでいることを期待。

ブレイクのあいだにケガ人も戻り、ほぼフル・スカッドになっているが、オムリンがまだ調整中なのと、板倉がアジアカップで日本代表に帯同して不在。代表なんか行ってる場合じゃないと思うがクラブに拒否権ないのがつらい。ヴェバーは出場停止。

ニコラス
スカリー フリードリヒ エルヴェディ ネッツ
ヴァイグル
オノラ ライツ コネ ハック
プレア

試合はいきなり動いた。1分、右サイドでの密集からボールを奪取、ライツが前線にパスを送ると、ここに走りこんだハックがワントラップから右足を振りぬき、これがファー・ネットに決まってグラードバッハが先制。開始20秒で1-0とリードを奪った。その角度にボール飛ばせるんだという技術の高いシュートだった。

その後はVfBがボールを支配するが、グラードバッハは中央を固めてこれをはね返し、奪ったボールからの素早い切りかえで敵ゴールを目指す。9分、左サイドのハックが中に切れこみ、逆サイドのオノラに展開、オノラがエリア内からシュートを放つが敵GKにセーブされる。

19分、敵GKのパントが不正確になったところをフリードリヒがカット、プレアにつなぐと、プレアはターンしてハックにスルーパス。裏に抜けたハックはGKとの一対一を冷静に流しこみ2-0とリードを広げた。

2点のアドバンテージを得たグラードバッハは守備を固めながら追加点の機会を窺う展開に。何度かゴールに迫られるが敵のシュートミスもあり、2点のリードを保ったまま前半を終えた。

後半に入るとVfBは二人を交替させフォーメーションを変えて圧を高めてくる。VfBにボールを握られ、グラードバッハは受けにまわる時間がさらに長くなる。55分、ロングボールを前線で収められ、最後は一歩遅れてシュートを許し失点、2-1と1点差に詰め寄られる。リードしたあとの失点にイヤな予感がする。

その後もVfBがボールを支配、ほぼ一方的に押しこまれる展開となるが、グラードバッハの守備は固く、身体を張ってゴールを守る。66分、傷んだプレアに代えてジーバチュを投入、そのままトップに入る。

VfBは攻めこむものの、アタッキング・サードでのアイデアを欠き決定機を作れない。75分、オノラに代えてエングムを投入、そのまま左ウィングに。固い守備からカウンターを狙うが守る時間が長い。

82分、ハックがカウンターからドリブルで持ち上がり、敵GKと一対一になるがシュートはわずかにファーに外れる。ハットトリックのチャンスだったが惜しかった。

しかし90+1分、コネが左サイドからしかけファーをねらったシュートを放つと、これはポストに嫌われたが、跳ね返ったボールがゴール正面のジーバチュの足もとに飛び、ジーバチュはこれをダイレクトでゴールに突き刺して3-1に。試合を決定づけた。

90+2分、コネとハックに代えてノイハウスとクラマーを投入、試合はそのまま3-1で終了し、グラードバッハが今年最初の試合で勝ち点3を手にした。

結果は快勝だが内容的にはほぼVfBに押されっぱなしで、特に後半はずっと自陣に押しこめられる苦しい試合だった。しかし開始早々のゴールを含め早い時間帯に2点のリードを奪い、後半1点を返されたあとも自滅することなく守備を固めて我慢できたのは大きかった。もう少し早く追加点がほしかったが、アディショナル・タイムに突きはなして敵の戦意をくじいた。

数字を見ればシュート数8-15、CK0-3、ポゼッション29-71と一方的で、内容的にはそのとおりだったが、チャンスを決めきって勝ったのは我々だった。ハックはブンデスリーガ一部では二つめと三つめのゴールだったらしい。終盤のカウンターを決めておきたかった。

今日の試合展開、特にリードしてから押しこまれた部分についてはどこまで意図したものかがわからないが、失点を1点にとどめ、集中を切らさなかったことは昨年の試合に比べれば進歩が見えた。この試合ではCBがヴェバーではなくフリードリヒだったのも結果的に奏功したかもしれない。

シーズン前半の17試合を終え、5勝7敗5分と負けが先行、勝ち点は20(1試合あたり1.18)。順位は10位と二つ上げたものの順位表下半分での前半フィニッシュであり、リードを保てない試合運びの拙さが大きな課題になっている。

成功体験を積み上げ、勝ち点を稼ぎながら内容を改善して行く以外にやり方はなく、その意味ではシーズン前半最終戦でありブレイク後の再開幕戦にホームでしっかり勝てたのは価値がある。これを足がかりにシーズン後半を戦わなければならない。

次節、2節続けてホームでアウグスブルクと戦ったあと、首位レバークーゼン、2位バイエルンとアウェイでの2連戦と厳しい日程になる。開幕はこの日程のせいでスタートダッシュに失敗し低迷の原因になったが、シーズン後半は最初の3試合で最低でも勝ち点5は取りたいし、そうなれば見える景色は少し変わってくるかもしれない。

ゲラルド・セオアネ監督談話:
「後半は大きなスペースを与え非常に深く守った。こういうやり方をしたかったわけではない。しかし我々は事前に、VfBがどんなフットボールをするか、彼らを相手にボールを持つことがどれだけ難しいか、彼らがどれだけうまく連係しポジションを取るかを知っていた。彼らにプレスをかけるのは非常に難しく、彼らはいつも出口を見つけてしまう。そのため我々は基本的に深く守ったのだ。前半はどの点でも非常によかった。もちろんいつでも改善の余地はあるわけだが、しかし我々はボールを持っていないときもしっかり相手をコントロールできていたし、彼らに奥行きを与えず、ボールの動きをとてもよく読めていた。後半になると相手はポジションを組みかえ、我々はそれを予想していなかった。これによって彼らは我々に大きな困難をもたらした。これに対抗するために、我々はヴァイグルを5バックに組みこみ、この状況を解決した」

スポーツダイレクターのニルス・シュマトケがインタビューで、ボルゲス・サンチェスをニーメーゲンにレンタルし、福田をトップチームに昇格させるとコメント。



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2024年01月09日 23:24      [posted by der_ball_ist_rund]

【FC東京】2023年シーズン・レビュー(3) 選手レビュー

2023年シーズンをポジションごとに振り返っておきたい。

GK

スウォビィクがリーグ戦24試合に先発、シーズン前半は不動のレギュラーであったが、8月に野澤に先発を譲ると、併用の時期を経てシーズン終盤はベンチからも外れた。野澤はリーグ戦10試合、ルヴァンカップ6試合、天皇杯1試合に先発出場し、代表にも選ばれた(試合出場なし)。

スウォビィクはシュート・ストップにおいて間違いなくリーグでも屈指の能力を誇るが、足元にはかねてから不安が指摘されており、アルベル監督の下で戦った昨季から戦術とのミスマッチが気にはなっていた。貢献は大きかったが、野澤の成長もありクラモフスキー監督もクラブとしても秋ごろには今季限りの決断をしたものと思う。

2021年8月、アウェイでの仙台戦で、当時コロナ対策で声出しができないなか、最後尾からチームを鼓舞するスウォビィク(当時仙台所属)の声がスタジアムに響きわたり、ついには彼の声出しに対してスタンドから拍手がわいたのは忘れられない。涙が出た。そのときから素晴らしい選手だと思っていて、東京に来てくれたときには本当にうれしかった。彼には感謝しかない。

スウォビィクからポジションを奪った格好の野澤も素晴らしかった。代表はまだお試し招集だろうが、アジアカップにも呼ばれており期待は大きい。ミスも少なくはなかったがそれはリスクを取ってチャレンジした結果だ。天皇杯1試合の出場にとどまったがリーグ戦6試合を含む15試合でベンチに座った児玉にも感謝したい。

DF

SBは中村が3月に負傷離脱、4月初めにいったん復帰したが同月末には再びケガで長期離脱となり、結局そのままシーズン中は復帰できなかった。中村はプレーには成長が窺えたが気持ちが前面に出るプレーで荒っぽさが目立ち、自らシーズンを棒に振った形となった。またバングーナガンデも4月に一度離脱、いったん復帰したものの5月に再度負傷し9月まで離脱を余儀なくされた。

これを埋めたのが長友であった。左右両翼でほぼシーズン出ずっぱりの活躍。監督が変わっても使われ続けるのはさすがとしかいいようがない。シーズン初めに岡山から獲得した徳元も出場機会を得てリーグ戦18試合に出場(先発11試合)、1ゴールを挙げるなど存在感を見せたが、クラモフスキー監督になってからは先発1試合のみと使ってもらえなかった。

シーズン途中に京都から獲得した白井はリーグ戦11試合に出場(先発5試合)したが、バングーナガンデの復帰とともに出場機会を減らした。徳元、白井をさしおいて小泉が右SBで起用されるケースも多かった。

CBは森重(リーグ戦26試合先発)、木本(20試合)、トレヴィザン(20試合)の3枚で回したが、森重はさすがにフルシーズン・フルフィットがしんどくなりつつある感を受けた。スピードで競り負けるシーンも散見され、コンディションの好悪がはっきりと現れるようになった印象。

木本も移籍初年だった2022年シーズンに比べるとパフォーマンスが落ちている感が否めなかった。コンディションに問題があったのか。シーズン終盤の試合では素晴らしいフィードを見せるなど力はあるだけに不本意なシーズンだったと思う。

これを埋め合わせたのがトレヴィザンで突貫守備にはリスクもあったが思いきりのいいチャレンジで何度も窮地を救った。

MF

中盤では鳥栖から獲得した小泉が八面六臂の活躍だった。右SBでの起用もあったがリーグ戦33試合に出場(先発31試合)したのはオリヴェイラと並ぶチーム最多。豊富な運動量、危機察知とカバーリング、ボール奪取能力と高いパフォーマンスを見せ不可欠な選手となった。

安部はケガで出遅れ、4月中旬から活躍したが7月に海外移籍。松木はチームの矢印を前に向けるうえで重要な役割を果たし続けたが、U23代表招集で9試合を欠場するなど離脱が多かったのがキツかった。JFAから給料か勝ち点を補填してほしい。

東はボランチを中心にリーグ戦30試合に出場したが、先発はうち18試合にとどまった。アンカーで新境地を開いたが、ときに荒っぽいプレーでひやりとすることが多かった。退場になるのはまだしも、敵の選手に致命的なケガをさせてしまうリスクがある。中村ともども熱く戦うことと危険なプレーの峻別はしっかりしてほしい。

シーズン途中にC大阪から獲得した原川も存在感を見せた。リーグ戦10試合に出場(先発7試合)、1ゴールを挙げている。セット・プレーのプレース・キッカーとしても貴重な戦力となった。

青木は出場した試合では存在感を見せたが6月のG大阪戦で負傷離脱、11月の33節で交代出場の機会を得るまで半年のブランクを余儀なくされた。青木の離脱はなにげに痛かった。あとは寺山がリーグ戦で3試合の先発を含む9試合の出場機会を得たのが目を引いた。

FW

前線ではオリヴェイラがリーグ戦32試合に先発、キャリア・ハイとなる15ゴールを挙げた。2022年は痛みを抱えてのプレーで精彩を欠いたが、今季はゴール前での決定力が戻った。しかし逆にいえばオリヴェイラに次ぐゴール・ゲッターがいなかったのが今季のウィーク・ポイントでもあった。

アダイウトンはリーグ戦29試合に出場(先発13試合)したが3ゴール止まり。スペースを消されると得意の単騎突破も難しかった。終盤間延びしてきたところでサブとして投入するのが正しい使い方だと思うが、先発で守備に追われ不憫だった試合も多かった。

渡邊も29試合に出場(先発27試合)、ウィング、トップ下などで自由に動きまわり存在感を見せた。得点は4ゴールだが8節ホームでのC大阪戦でのゴールが年間最優秀ゴールに選出されるなど印象的なプレーが多かった。ポストやバーをヒットするシュートが多かった印象だが、ギリのコースをねらっているからこそだと思っておきたい。

横浜FMから獲得した仲川は27試合(先発25試合)に出場し4ゴール。シーズン序盤こそなかなか周囲と息が合わずほしいタイミングでボールが来ないことが多かったが、徐々にチームになじみシーズン後半は牽引役となった。 献身的かつあきらめないプレーぶりで、ゴール以上にプロとしての姿勢を示した。東京を次のステージに引き上げるオーガナイザーとなる選手だ。

前線では新人の俵積田がシーズンを通じてコンスタントに出場を機会を得た。リーグ戦27試合に出場(先発12試合)、2ゴールを挙げた。左サイドからドリブルでしかけるプレーには花があり、彼がボールを持つとスタンドも沸く。来季が正念場になる。

塚川はリーグ戦21試合に出場したが先発は6試合にとどまり途中出場中心。1ゴールを挙げたがトップ下、インサイドハーフ、ウィングなど使われ方は一定せず、シーズン終盤はベンチからも外れた。戦術理解の確かな選手で技術もあるが、器用貧乏ぽくてなんかもったいない。

2023年シーズン各賞

MVP:小泉(次点:仲川)
得点王:オリヴェイラ
殊勲賞:野澤
敢闘賞:トレヴィザン
技能賞:渡邊
新人賞:俵積田

チーム成績が今イチで監督交代もあり印象のよくないシーズンだったがムダではなかったと信じたい。



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2024年01月08日 21:35      [posted by der_ball_ist_rund]

【FC東京】2023年シーズン・レビュー(2) シーズン後半

クラモフスキー監督が指揮を執ったシーズン後半について振り返る。

悪くない選択

アルベル監督更迭後の動きは早く、解任の二日後にはクラモフスキー監督の就任が発表された。ルヴァンカップ6節のみ安間コーチが暫定的に指揮を執ったが、リーグ戦は18節のホームでの名古屋戦がクラモフスキー監督のデビュー戦となった。

ピーター・クラモフスキーは横浜FMで現在のチームの基礎をつくったポステコグルー監督体制のヘッドコーチを務め、その後2019年に清水の監督となったが25試合で3勝17敗5分と結果を残せず解任。2021年シーズン途中から山形の監督に就任、就任時20位だったチームを最終的に7位に引き上げ、2022年には昇格プレーオフ圏内の6位となったが、2023年は開幕2連勝のあと5連敗を喫して解任されていた。

クラモフスキー監督の戦術は、高い強度によるボール奪取、速い切りかえから一気呵成にショート・カウンターで刺す攻撃的なフットボールをベースとしているが、その根底にはボール保持、ポジショニングという現代フットボールの基礎教養が当然あり、アルベル監督がやろうとしていたポジショナル・プレーと通じる部分は少なくない。

アルベル監督の下でのポゼッション重視よりは縦に速い意識は高く、リスクを取ってでも縦に付け、人が動くことでパスコースを作りながらボールも動かして行くというよりダイナミックなスタイルだが、主導権を握って攻撃的に試合を進めるという点でアルベル監督と方向性は変わらず、より強度の高いポジショナル・プレーと考えることもできる。怪我の功名というか、想定しないタイミングでの監督交代ではあるが、これまでやってきたことを引き継ぐ人材としては悪くない選択ではないかと思った。

監督交代ブースト、そして…

監督就任から6試合は4勝1敗1分と悪くないすべり出しだった。高い強度で敵にプレスをかけ、奪ったボールを素早く縦につけてゴールに向う、なぜこれがアルベル監督のときにできなかったのかというフットボールを展開して勝ち点を重ねた。10位まで順位を上げたが残り11試合は3勝6敗2分と再び負けが先行、結局クラモフスキー監督の下では7勝7敗3分、勝ち点24(1試合あたり1.41)となり、通年では11位に終わった。

この成績をどう見るかは微妙なところだと思うが、シーズン途中にチームを引き継ぎ、与えられた選手をやりくりして勝敗を五分にしたこと、シーズン前半(勝ち点19)より多い勝ち点を稼いだことは素直に評価したい。

クラモフスキー監督のフットボールはとにかく強度、ハードワークに尽きる。一に強度、二に強度、三、四がなくて五に強度というくらいまず強く行くことが前提で、すべてはそこから始まる。監督が交代した緊張感から高い強度で戦えていた時期に勝ち点が積み上がり、その後慣れとともに緩んだのは理解できる結果である。

また、戦術の引き出しの少なさはかねてから指摘されているところで、用意したゲーム・プランが機能しなければそこで試合終了、「今日は強度が足りなかった」で終わってしまうと揶揄されたような変事対応力の乏しさは確かに感じられることもあった。

いずれにしても半年という短い期間でチームを任されたクラモフスキー監督のミッションがなんだったのか、盛り返してタイトル、せめてACLを目指すことなのか、それともとにかく降格を回避すればいいのか、チーム作りなのか、クラブとしての目標設定があいまいなまま、手なりで半年を戦った感は否めず、結果として前回も書いた通り11位という不本意な成績というでシーズンを終えることになった。

遅かったチャレンジ

それでも臆せずに動きながらボールを受ける意識、リスクを取って前にボールを付ける意識は、シーズン後半を通じて次第に形になり始めていたように思えた。ただ、それも試合によってうまく行くときとそうでないときの差が大きく、概して上位の自分たちの戦い方がはっきりしているクラブには強く、中位以下のリアクションやスカウティングをしっかりして対策してくるタイプのクラブに弱いように思えた。

33節、1-3で負けたホーム最終戦の札幌戦では、自陣の深いところでも怖がらずに受け、ビルド・アップの出口を作るために互いが動いてボールを逃がすことにチャレンジできていたし、隙を見て縦に差しこむことも徹底されていた。もちろんそれによる後ろのリスクもあり、結果としては後ろをやられて失点し後手にまわったのだが、矢印を前に向けて戦えたことはクラモフスキー体制の到達点を見た気がした。

一方で、「問題は、こうしたチャレンジが本来はシーズンのもっと早い時期になされるべきであったということ。試合結果は残念だったが、今日やろうとしたことは決して失敗ではなく、ただ完成度が低かっただけ。この取り組みを開幕から、せめて監督交代からやり続けることができていればと感じた」とこの試合のレビューに僕は書いた。

「これはクラモフスキー監督留任の布石なのではと思った」「タイトルも残留も関係のなく思いきってトライできる試合でこうしたゲームを見せたことは、結果は別として評価すべきだと思う」とも書いており、僕のクラモフスキー監督に対する評価はこのとおりである。最終節も寺山を先発起用し、「怖がらずにボールをつなぎながら前を目指すベクトルは前節から維持された」とレビューした。

やるべきこと、目指すべき水準ははっきりしており、ただそこに至るまでにまだまだ課題は多いし、半年という期間はあまりに短かった。クラモフスキー監督の留任はおそらくこの時期からの既定路線であったと思うし、ここで目指すものをゼロ・リセットする意味はない。引き続きクラモフスキー監督にチームを任せ、この路線を突きつめる価値はあると思っている。

シーズンを通して

アルベル監督との旅が頓挫したこと、新監督の下でも成績は伸び悩み不本意な成績でシーズンを終えたことを考えれば、2023年は失意のシーズンであったというほかない。なにより我々がなにを、どこを目指すのかということに対してタイムリーにクラブからコミュニケーションがなかったように感じられたのは残念だった。

特にアルベル監督解任後、目標をどこにおいて今季残りでなにを成し遂げたいのかという発信がないまま戦い続けたのはマネジメントとして、ステークホルダーへのアカウンタビリティとして大きな疑問だった。当初目標の達成がむずかしくなれば、チームをテコ入れするなり目標を修正するなりして道に迷わないようにするのが工程管理の常道であり、コミュニケーションが足りないのか、そもそもマネジメント力が不足しているのか、不安になる運営だった。

内容的にも足踏みの一年であり、それなりの覚悟をもって始めたはずだったチーム作りがあっさりと挫折したのがショックだったが、この一年半の積み上げがそれでまったく無に帰したかといえばそんなことはないはずだし、それはクラモフスキー監督と戦う2024年のベースとして確かにそこにあるものだと思う。この一年の悔しさがムダにならないことを祈るしかない、そんなシーズンだった。



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2024年01月07日 23:17      [posted by der_ball_ist_rund]

【FC東京】2023年シーズン・レビュー(1) シーズン前半

残念なシーズン

2023年は残念なシーズンだった。アルベル監督初年だった2022年が、チーム作りの我慢の年だという認識だった割りに成績も悪くなかったことに味を占め、チーム作りの継続とそれなりの結果(なんならリーグ・タイトル)の両方をねらいに行くという調子のいい目標を胸に開幕を待ったのが去年の今ごろだった。

もちろんなにもかもが簡単に達成できると考えていたわけではなかったが、我々の前には手つかずの新しいシーズンがあり、思慮深くチームを導く監督がいた。紺野や三田は去ったが、仲川や小泉、徳元らを獲得した。ポジショナル・プレーの質を高めながら、勝負にもこだわって勝ち点を重ねることは単なる夢物語ではないように思われた。

開幕戦は浦和とのホーム・ゲーム。序盤こそ浦和に差しこまれたが徐々にペースをつかむと、後半に2ゴールを挙げ浦和を無得点に抑えて2-0で快勝、これはイケるぞと思ったものだった。

しかしその後成績は伸び悩んだ。9節、10節と連勝したことで10節終了時点では4勝3敗3分で勝ち点15(1試合あたり1.50)、順位は6位と上位をねらえるに位置にギリつけたが、その後7試合を1勝5敗1分と調子を落とし、シーズン前半を終えて勝ち点19(1試合あたり1.12)の12位に低迷、アルベル監督は志半ばで解任の憂き目に遭った。

後任にはクラモフスキー監督を招き、就任直後こそ6試合で4勝1敗1分とブーストを利かせて勝ち点を上積みしたが、その後は3勝6敗2分と再び負けが先行、結局シーズンを通しては12勝15敗7分、勝ち点43(1試合あたり1.26)の11位でシーズンを終えた。

1試合あたりの勝ち点で見れば、これはJ1で戦った23シーズンのうち、J2に降格した2010年(城福監督→大熊監督)の勝ち点36(1試合あたり1.06)、2017年(篠田監督→安間監督)の40(1.18)に次ぎ、2006年(ガーロ監督→倉又監督)に並ぶひどい成績である。順位表の下半分でシーズンを終えたのも2017年以来と、最近にない低迷となった。

戦術の落としこみは進んだのか

なにを間違えたのか。まずひとつはアルベル監督のフットボールがまだまだ発展途上であったということ。ボールを大事にしながら互いの位置関係を見て、いるべき場所に人がいるフットボールを標榜し、主導権を握ってボールを動かすことを目標にチームを作ってきたわけだが、2年めになった2023年シーズンでも、それが機能する試合とそうでない試合の差が歴然と残った。

特に試合序盤に簡単に失点し自ら形を悪くして自滅するパターンや、最終ラインでボールをまわしながら出口が探せず、ミスが出たりムリめのパスをカットされてそのままピンチになるパターンなど、本当に戦術の落としこみが進んでいるのか疑問に思わずにはいられないシーンも多く見られた。

「いい攻撃のできている時間帯もあるのだが、それが限られていてコンスタントに発揮できていないし、よくない時間帯のマネージが致命的につたなく失点に結びついている」「やろうとしていること、目指している方向自体は間違っていないと思うし、そのためにこうした苦しい時期は何度かめぐってくるはずで、初めからそのつもりでアルベル監督にチームをまかせたとはいうものの、肝心の内容に進歩があるのかないのか確信が持てないのがしんどいところ」とアルベル監督の最終戦となった17節、アウェイでのG大阪戦のレビューに僕は書いている。

勝負師ではなかったアルベル監督

第二に、アルベル監督は育成畑出身の指導者であり、若手の起用や理論だった戦術の落としこみには長けているが、トップ・リーグでチームを率いた経験はなく、試合の流れのなかで臨機応変に戦術を調整し、ときには割りきってプランを捨て結果を取りに行くという勝負師としての力量は未知数だったということ。

このことは試合に入りそこねゲーム・プランが機能しなくなった時の代替策やビハインドのまま終盤に入ったときの選手起用などに表れていたと思う。アルベル監督の指揮で勝った5試合はすべて先制した試合であり、先行されて逆転した試合はひとつもない。先制されたり対策されて思うように試合を運べないときの対応力の弱さは、アルベル監督のゲーム・マネージャーとしての資質の表れなのかもしれない。

思えば2022年の方がまだチーム作り途上という強い意識があった分、前線へのフィードやアダイウトンの個人技頼みなど、ある程度割りきって目先の勝ち点を取りに行く自由度があったように思う。2023年はアルベル監督の戦術がより厳格になったのか、ボール保持にこだわって逆に窮地に陥ったり、ゴール前で思いきりが悪く何度もやり直したりするシーンが増えたように思えた。

失われた基盤

第三に、こうした状況のなかで、アルベル監督自身が求心力を失って行ったと見られること。シーズン前半の不調が、成長の過程の耐えるべき苦しみであったとしても、クラブとして、チームとしてそう信じそれを乗り越える一体感が失われていたように見えた。

ポジショナル・プレーへの取り組みが一年で完成する保証はどこにもなく、アルベル監督自身がまだまだ成長過程にあることを繰り返しコメントしていたが、初年に比べればうまく行かないことへのストレスは相対的に大きかった。ある程度の停滞や手戻りは想定するべきとわかってはいても、直線的に成長が見られないことに対してサポも、なんなら選手もクラブももどかしさを感じ、フラストレーションを募らせることとなって行った。

監督の指示通りに戦っても結果が出ない失敗体験が積み上がり、アルベル監督とともに旅を続ける基盤が失われてしまった。僕自身としては進んでいる道自体に疑問はなかったものの、アルベル監督の「戦い下手」には疑問を感じつつあった。それでもG大阪戦のレビューには「今取り組んでいる方向性に代わる即効的でかつ持続的な戦略などないはずなので、僕自身としては腹をくくってアルベル監督に少なくとも今シーズン、できれば来季までチームを委ねるべきだと思う」と書いている。

足りなかった覚悟

2023年はJ1のクラブ数増加のため降格が最下位の1クラブだけというボーナス・ステージであった。したがって成績にはある程度目をつぶってでも戦術の落としこみに時間をかける手はあったはずだし、そもそもアルベル監督を招いた時点で、2年、3年のスパンで苦しみながらでもチームのスタイルを変えて行く、新しい戦い方を確立して行くと覚悟を決めたはずだった。たどるべき道が平坦でないことは知っていたはずではなかったか。

しかし、結局我々はその産みの苦しみに耐えられず、手を着けた新しいチーム作りは頓挫することになった。おそらくこの時点でアルベル監督を支えるだけの信任はクラブのなかから失われていたのだろう。このG大阪戦のあと、クラブはアルベル監督の解任(発表は「退任」)を発表した。東京としての新しいスタイルを作り上げるための覚悟がその程度のものだったと知って残念だった。

長くなったのでクラモフスキー監督を招いたシーズン後半については次回に。



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