フットボール・クレイジー
football crazy
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2022年12月19日 15:05
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【FWC2022】総括(2) ドイツ代表 自画像の修正
ドイツは1871年にプロイセン王ヴィルヘルム1世と鉄血宰相ビスマルクによって統一されるまで諸侯が分立していた後進国であり、統一後も第一次世界大戦、第二次世界大戦に負け続けた戦敗国でもあった。このため早くから海外進出を果たしたイギリスやフランス、スペインと異なり、アジア、アフリカ、アメリカに植民地などの国外領土をほとんど持たなかった。
旧植民地だったアフリカ諸国出身の選手が多いフランス代表などと比べると、ドイツ代表は先祖代々中央ヨーロッパに住んでいるようなゲルマン系の選手が多く、例えば2002年のワールドカップ決勝でブラジルと戦った時のドイツ代表には、ガーナ出身で幼少のころにドイツに移住したゲラルド・アサモア以外に黒人選手はいなかった。
前回、日本代表について書いた中で、ドイツには自国のフットボール像についての明確な共通理解があると書いた。そのキーワードは屈強な身体と不屈の精神、合理性と効率性、規律と献身といったある意味ドイツの国民性みたいなもので、それらをベースにしながらドイツは強豪としてワールドカップの優勝を初めとするフットボールの輝かしい歴史を積み上げ、それをひとりひとりの国民の記憶に刻みこんできた。
しかし、欧州連合域内の移動の自由が保障され、人の往来が活発になると、ドイツもまた多様な出自の人々を抱えるようになった。ドイツ国内の民族問題といえば、戦後の経済成長期に労働力不足を補うため大量に受け入れたトルコ移民が中心だったが、経済的に豊かで治安も安定したドイツには、いまや世界のあらゆる地域に出自をもつ多くの人が集まるようになった。
今回、日本と戦った先発メンバー11人のうち、リュディガーはシエラレオネ、ニャブリはコートジボワール、ムシアラはナイジェリアに起源をもつ。ギュンドアンはトルコ系ドイツ人だ。ベンチにいたサネはセネガル、ムココはカメルーンに縁がある。生まれはドイツでも両親またはそのいずれかがドイツ国外の出身であるということはドイツでもあたり前になったのだ。
ムシアラのプレーを見れば「屈強な身体と不屈の精神」というのとはちょっと違うスタイルを感じただろう。時代的なものももちろんあるが、ドイツもまたそうした多様性を受け入れ、それを強みとしていろいろなものを変化させなければならない時代を迎えており、それは彼らのフットボールにも大きな影響を与えているし、ドイツ人自身もまだそれをしっかり消化できていない。
2006年から15年に亘って代表を率いたヨアヒム・レヴ監督が去り、ハンジ・フリック体制になったということは単なる監督の交替を意味しない。そこにはドイツ社会がこの多様性にどう対応するかというすぐれて現代的で政治的なテーマがある。フットボールはその写し絵に過ぎない。そこには日本の「自分たちのサッカーをして勝ちたい」といったままごととは違ったレベルの難しさがある。
今回はフリック監督にとって初めてのワールドカップだった。僕には、彼らもまた、自分たちのセルフ・アイデンティティのなにを貫きとおし、なにを変えて行かなければならないのか、それを見定めている途上にあるように思えた。日本戦でも「ちょっと思ってたより強いやん」という見こみ違いにその場で対応するだけのチームとしての意思統一が希薄で、ベースが構築されていないように感じた。
その後のスペイン戦、コスタリカ戦では帳尻を合わせたものの、日本に負けたことが最後まで影響して2大会連続のグループ敗退という不名誉な結果となった。フリック監督はこの結果にもかかわらず引き続き代表を率いることになりそうだが、それはこれが単なる試合指揮の問題ではなく、ドイツ代表の、あるいはドイツのフットボールの自画像の修正という大事業なのだということがわかっているからだろう。
多様性は疑いなく力の源泉である。同質性の高い集団が、逆境に直面した時に総倒れになるリスクを常にはらんでいるのに対し、集団の内部に多様性があれば対応できる問題の範囲も当然広くなる。しかし多様性を抱えた集団をマネージするのはそのぶん難しく、そこには高度なコミュニケーションのスキルとか理解できないものの存在を許容する寛容さとかが必要で、均質な集団を率いるよりもずっと効率が悪い。
それでもドイツ代表はそれをやるだろう。多様性を力に変え、それをエンジンに強い組織を作って行くだろう。なぜならそうやって問題をひとつひとつ解決しながら合目的的にステップを重ねて行くことこそがドイツ・フットボールの原像だからである。ドイツに格別の思い入れをもつ者として、強いドイツ代表の復活を期待している。
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ドイツ代表
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2022ワールドカップ
2018年06月30日 22:27
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【ワールドカップ第3節】韓国 2-0 ドイツ
■2018年6月27日(水) 16:00キックオフ
■Kasan-Arena (Kasan)
相手の韓国にもわずかながら勝ち抜けの可能性があり侮れない相手。ドイツはこの試合の結果だけではグループリーグ勝ち抜けは決まらず、メキシコ×スウェーデンの結果次第で勝っても敗退の可能性がある一方、負けても勝ち抜けはあり得る。
CBには前節負傷欠場したフメルスが復帰した他、出場停止のボアテングに代わってジューレが先発。また鼻骨骨折のルディに代わってケディラがボランチで先発復帰、さらに前線にはエツィルとゴレツカが先発し、ミュラーがベンチ・スタートに。
ノイアー
キミヒ ジューレ フメルス ヘクター
ケディラ クロース
ゴレツカ エツィル ロイス
ヴェアナー
試合は例によってボールを支配するドイツに対して韓国が積極的なプレスを敢行、取れなければブロックを形成してコンパクトに守るという「ドイツ対策」を忠実に実行して、カウンターからチャンスを窺う。暑さからかドイツの動きが今ひとつ鈍い感じがする。
ドイツは圧倒的なポゼッションで敵陣中心に試合を進めながらフィニッシュまで持ちこめず、逆にカウンターから何度かピンチを招く。前半終了間際の39分にヴェアナーがシュートを放ち敵DFに当たって軌道が変わるが敵GKがセーブ。これで得たCKにフメルスが頭で合わせたがこれもGKに阻まれた。
結局0-0のまま前半を終了。韓国のドイツ対策が効いているが、ドイツも一応学習効果があったかカウンター・ディフェンスには気を使っており最終ラインでしっかり止めることができている。後半スペースができてくれば1点は取れる。前半をしっかり無失点に抑えたのが生きるはずだ。
後半開始早々の48分、キミヒのクロスに中央でゴレツカがヘディング・シュートを放つが敵GKのファイン・セーブに遭う。このタイミングでスウェーデンがメキシコに先制、ドイツは勝たなければならなくなる。
58分、ケディラに代えてゴメスを、63分にはゴレツカに代えてミュラーを投入、おそらくエツィルを一列下げたと思うが、攻撃時には明らかに前に重心がかかるようになる。ドイツはフメルスとノイアーを残して前がかりにゴールを狙いに行く。
韓国は奪ったボールでカウンターを仕掛けるが精度を欠き、フメルスとノイアーの対応もあって決めきれず。一方、このまま引き分ければリーグ敗退となるドイツは何としても1点が必要だが、必死の攻撃も実らず時間が過ぎる。78分、ヘクターに代えてブラントを投入。もうポジションとかよく分からない状態。
試合は6分のアディショナル・タイムに入り、焦りが出る中、韓国のCKからのこぼれ球を押しこまれて失点。0-1となる。一度はオフサイドの判定となったが、VARとなりボールが韓国の選手ではなくクロースが戻したものであることが確認されたためゴールが認められた。
後のないドイツはノイアーがゴールを空にして上がったが、逆に奪われたゴールを無人のゴールに流しこまれて0-2に。試合はそのまま終了し、ドイツはグループリーグ敗退となった。
韓国のドイツ対策に対し、カウンター・ディフェンスは最後まで破綻しなかったが、攻撃では韓国の守備ブロックに手を焼き、得点できなかった。引き分けでは勝ち抜けない状況で、リスクを取って前に出たこと自体は正しい対応で、その意味ではアディショナル・タイムの失点は仕方ない。この時間まで無得点だったことが問題。
この結果ドイツはGグループ最下位。「韓国に負けたこと」「グループ最下位となったこと」はリスクを取った結果が裏目に出たというだけのことなのでことさらに悲観することはない。
しかし、本来ハイプレスから少ないタッチ数でスピード持って押し上げるはずが、なぜか持たされて中央を固められるという「対策」をされてそれを打開できず、まんまとカウンターでやられるパターンを繰り返したのが不甲斐ない。
前節のレビューでも書いたと思うが、初戦でメキシコがドイツ対策を実行、的確なポジショナル・プレーと高い強度、最後まで崩れない規律と走力・体力でドイツの「個の集積」と成熟したコンビネーションに対抗できることを示したのが大きかったと思う。
センター・フォワードがゴメスしかいないドイツは、マメにボールを動かしてブロックを崩そうとし、チャンスは作ったが3試合で2得点、そのうち1点はクロースのFKだったことを考えると、結局流れからはほぼ攻めきれなかったということ。
情けない敗戦だが受け入れるしかない。ここから何を学ぶか、高過ぎる授業料の元は取らねばならない。
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ドイツ代表
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2018ワールドカップ
2018年06月24日 21:35
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【ワールドカップ第2節】ドイツ 2-1 スウェーデン
■2018年6月23日(土) 20:00キックオフ
■Olympiastadion (Sotschi)
日本時間では日曜日未明3時のキックオフ。録画して日曜日の朝6時に起き、録画を時差視聴した。
ドイツは初戦でメキシコに敗れており、この試合に負けるとグループリーグ突破がなくなる崖っぷち。最低でも引き分け、現実的には勝利が必須であり、強いメンタルを発揮しなければならない。スウェーデンは初戦で韓国に勝っており、厳しい戦いになることが容易に予想される。
ドイツはフメルスが負傷欠場となった他、プラッテンハート、ケディラ、エツィルらをベンチに下げ、リュディガー、ヘクター、ルディ、ロイスをそれぞれ起用した。
ノイアー
キミヒ ボアテング リュディガー ヘクター
ルディ クロース
ミュラー ロイス ドラクスラー
ヴェアナー
試合は序盤からドイツが圧倒的にボールを支配して押しこむ展開に。ほぼスウェーデン陣内でのハーフ・コート・マッチになる。前節と異なり早めにボールを前に当てて手数をかけずにフィニッシュまで持ちこむ意識はあって、何度か決定機も作るものの敵GKの好守もあり決めきれない。
一方でボール・ロストからはスウェーデンのカウンターが厳しく、何度か決定的なシーンを作られる。12分には裏に抜け出されそうになるがボアテングが対応して何とか事なきを得る。スウェーデンはボアテングのチャージがファウルだとしてPKを要求したが容れられず。リプレイを見たが微妙な感じ。
25分、ルディが敵との接触で鼻から激しく出血、治療を試みたが結局31分、ギュンドアンと交代する。おそらく鼻骨骨折ではないかと思う。ルディが治療のためにピッチから退いたことで一時的に一人少ない状態となり、ドイツの攻撃はいったん停滞する。このアクシデントは痛かった。
シンプルに縦を使っていたルディから、ボールを持って散らすタイプのギュンドアンにボランチが交代したことでドイツの推進力は弱まる。守備の約束ごともルーズになったか、32分、奪われたボールを裏に放りこまれ、対応したリュディガー、飛び出したノイアーのどちらもボールに触れずループ・シュートを決められてしまう。
圧倒的にボールを保持して攻めこんでいたにも関わらず、カウンターから0-1と先制を許し前節の再現を見るようなイヤな感じに。ドイツの攻撃は明らかに不安定になり、逆に再度のカウンターを許しあわや追加点を入れられそうになるシーンも。序盤の勢いから激しく失速して、何とか0-1で前半を終えた。
後半からドラクスラーに代えてゴメスを投入、ヴェアナーが左シャドウにスライドする。するとヴェアナーの左サイドのでの仕掛けがアクセントとなり、攻撃に流動性が生まれる。48分、左サイドからヴェアナーが放りこんだクロスに、中央でロイスが合わせてゴール、ドイツがこの大会初ゴールで1-1と同点に追いつく。
当たったのは膝だったが、何であれようやくゴールが生まれたことでほぐれたか、ここからはドイツが再び攻勢に。中央にゴメスというターゲットが入ったこともあり、ヴェアナーとヘクターのコンビネーションが機能するがやはり決めきれず。
82分、ボアテングが2度目の警告を受け退場に。引き分けでは足りず、逆転を狙うドイツとしては厳しい展開になる。クロースを最終ラインに下げるかCBを投入するかと思ったがキミヒを下げて対応。87分には最後のカードでヘクターに代えてブラントを投入、リスクを取ってあくまでゴールを狙いに行く。
88分にはゴメスのヘディング・シュートが枠に飛ぶがGKの好セーブに防がれる。アディショナル・タイムにはこぼれ球にヴェアナーがダイレクトで鋭いミドル・シュートを放つがポストに嫌われる。
5分と表示されたアディショナル・タイムもほぼ経過したところで、ラスト・プレーになると思われるFKをエリア左で得る。クロースがロイスに小さく出し、ロイスが止めたボールをもう一度クロースが蹴ると、ボールは壁を越えてファーのサイドネットに突き刺さりゴール、ドイツが土壇場で2-1と逆転に成功する。その後の時間をしのぎドイツが劇的な逆転勝ちを挙げた。
序盤から圧倒的に攻めながら決めきれず、逆にカウンターから失点するなど既視感のある展開になったが、後半開始早々に得点できたことが大きかった。クロースのFKはでき過ぎの感もあるが、なかなかゴールを割ることができない中でも焦れずに戦い続けたことが最後に報われた形。
この試合もシュート数18-7、CK8-3、ポゼッション76-24と数字上は一方的だが、実際にはこのような形での接戦、辛勝となるところがメキシコ、スウェーデンの狙いであり逆にドイツとしては戦い方を見直すべきところ。スウェーデンは身長も高く、中央を固められると単純なクロスではなかなか打開できなかった。
苦しみながらも最後に結果を出すところはドイツらしいが、ボアテングは次節出場停止で、ルディもおそらく出場は難しいと思う。韓国戦はまた違った戦いになるだろうが、持たされたときの対応は考えておかなければならない。
グループFはドイツとスウェーデンが勝ち点3で並んでおり、仮に最終節でスウェーデンがメキシコに勝てば、ドイツは韓国に勝った上で、得失点差でスウェーデンを上回らなければならない(現状はどちらも得失点差0、総得点2)。
スウェーデンの相手であるメキシコは既に勝ち抜けを決めており、メンバーを落としてくることも考えられるので、ドイツは韓国に複数得点差をつけて勝つことが必須と思っておいた方がいいだろう。最終的に成績が並べば直接対決で勝ったドイツの勝ち抜けになるが、まずは勝つことを第一に考えなければならない。
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ドイツ代表
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2018ワールドカップ
2018年06月24日 00:23
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【ワールドカップ第1節】ドイツ 0-1 メキシコ
■2018年6月17日(日) 17:00キックオフ
■Luschniki (Moscow)
いよいよワールドカップが始まったのだが僕的にあまり盛り上がらないのはなぜなのか。まあ、日本代表には長友と武藤がいるもののFC東京からは誰も出てないし、ドイツ代表にもギンターは選ばれたもののベンチ、シュティンドルは直前のケガで出られないなど、どうも今ひとつ入れこめない。
とはいえ、実際に始まってみると日本やドイツとは別に面白い試合も多く、スイス代表にはグラードバッハからゾマー、エルヴェディ、ツァカリア、ドルミッチと4人が選出されている上、シャカが主力で10番を背負っているなど見どころもそれなりに出てきた。
この試合は日本時間の日曜日未明0時のキックオフだったのでリアルタイムで見た。布陣はこんな感じ。
ノイアー
キミヒ ボアテング フメルス プラッテンハート
ケディラ クロース
ミュラー エツィル ドラクスラー
ヴェアナー
試合の流れをザッと概観すると、なかなかペースを作れないドイツに対し、メキシコが中央を固める堅守で対抗、奪ったボールを素早く前線に展開して果敢にチャレンジする流れになる。
ドイツが試合に入りきれないまま35分、ボール・ロストからカウンターを浴び失点、0-1とされてしまう。前に出るしかなくなったドイツは積極的に攻撃を仕掛けるものの、リードを得て守備を固めるメキシコを相手に攻めきれない。
後半に入り、ケディラに代えてロイス、プラッテンハートに代えてゴメス、ヴェアナーに代えてブラントと攻撃的な選手を投入し、最後はセット・プレーにノイアーも上がってそう攻撃を試みたが奏功せず。0-1で初戦を落とした。
シュート数26-13、CK8-1、ポゼッション66-34と圧倒的にドイツが攻め、終盤にはブラントのシュートがポストに嫌われるなど得点機もあったが結果的にゴールが遠かった。
この試合を見ていて感じたのは、審判の基準が独特というかブンデスリーガとはかなり異なっており、特にイーブンでボールに行ったケースでは、結果的にファウル相当のボディ・コンタクトがあったとしても、特に不用意、無謀、過剰な力とまでは言えないケースには相当寛容だったということ。
これは今回の大会を通じて感じられることで、最初この基準に慣れないドイツの選手がセルフ・ジャッジとのギャップに戸惑い、フラストレーションを募らせたのは見ていて分かった。典型的だったのはクロースがチャージを受け当然ファウルだろうとプレーを止めてボールを抱えたところでハンドリングを取られたケース。
こうして試合に入れないまま先制を許したことがほぼすべてであり、メキシコが一筋縄では行かない相手なのは最初から分かっていたことで、その相手にこうしてつけいる隙を与えてしまっては修正は難しかった。数字上はボールを支配しているが、試合の主導権は最後まで握れなかったと言うべきだろう。
ポゼッションが高くなったのは、メキシコが敢えてドイツにボールを持たせ、自陣中央を固めて最後のところで防衛する戦略を取っていたためであり、ドイツがことさらにポゼッションを意識していたということではないと思う。むしろポゼッション・ゲームとして引いた相手を崩す工夫という点では多彩な攻撃を見せたしチームとしての意志も感じられた。
短期決戦の初戦に負けたのは星勘定的には極めて痛いが、リカバーは可能であり悲観することはない。次節、スウェーデンも強敵ではあるが、この試合に勝たなければならないのは自明であり、これまでの準備を信じて闘う以外にすることはない。
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ドイツ代表
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2018ワールドカップ
2016年07月08日 22:44
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【EURO2016準決勝】フランス×ドイツ
■2016年7月7日(木) 21:00キックオフ
■Velodrome (Marseille)
開催国との対戦になった準決勝。キックオフは日本時間金曜日未明4時だが、何とか4時半に起き出して時差視聴となった。
ゴメスとケディラが準々決勝でのケガで欠場。フメルスも警告累積で出場停止となったためメンバーの入れ替えを余儀なくされた。最終ラインではヘヴェデスがボアテンとコンビを組み、ボランチにはシュヴァインシュタイガーがアンカーで先発、ジャンがインサイド・ハーフに入りミュラーが1トップの位置に。
ノイアー
キミヒ ボアテン ヘヴェデス ヘクター
ジャン シュヴァインシュタイガー クロース
エツィル ミュラー ドラクスラー
序盤はまずフランスが攻勢に。ボールをキープしながらドイツ陣内で波状攻撃を仕掛ける。ドイツは守備に追われ、深い位置にブロックを形成することを余儀なくされたためクリア・ボールも拾えず守勢一方に。枠にシュートも打ちこまれたがノイアーが冷静にさばいて何とかこの時間帯をしのぐ。
10分を過ぎた頃からドイツが次第にボールを持てるようになってくる。自陣で守備を固めるフランスに対し、縦横にボールを動かして揺さぶりながら何度かフィニッシュまで持ちこむが、敵GKの好守もあり得点には至らず。フランスは堅守からのカウンターを試みるがドイツのゴールを脅かす力はない。
ドイツ優位で時計が進むものの先制点が奪えないまま前半アディショナル・タイムに入ったところで、敵CKを競りに行ったシュヴァインシュタイガーがハンド。PKを献上してしまい、これを決められて0-1とリードを許した形でハーフタイムに。
後半はややオープンな戦いに。フランスの速攻をしのいでいたが61分、ボアテンが足を傷めて交代。ムスタフィがCBに入る。厳しい試合の中でDFの交代にカードを1枚使わざるを得なかったのは痛かった。
ドイツは67分、ジャンに代えてゲッツェを投入、1点を取りに行く。しかし72分、自陣ゴール前でヘヴェデスから季比へのボールの受け渡しがルーズになり、これをさらわれてクロスを放りこまれる。ノイアーがセーブしたが、こぼれ球を押しこまれ失点。0-2と追加点を奪われる。何ともお粗末なミスで自ら試合を苦しくしてしまった。
後のなくなったドイツはリスクを取って前に重心をかける。74分、キミヒのシュートはファー・ポスト。79分、シュヴァインシュタイガーに代えてこの大会初出場となるサネを投入、勝負に出る。
直後にはサネがシュートを放つが枠に行かず。続けてムスタフィのヘディング・シュートもあったがこれも枠に収まらない。ドイツは前線に全員が上がってのパワー・プレーを展開し、何度かフィニッシュまで持ちこんだもののフランスのゴールを割ることができず、そのまま試合終了。0-2でフランスに完敗し、EURO2016は準決勝で敗退となった。
前半の押しこんだ時間帯に先制しなければならなかったが決定力を欠き、前半終了間際にPKで失点、後半反撃に出るべき時間にミスから追加点を献上と、自壊、自滅した試合だったという他ない。
高い位置からのプレスと速い切り換え、ワンタッチ・プレーの連続から敵ゴール前に迫り、相手が引いてもサイド・チェンジとくさびを駆使してボールを出し入れし、ブロックを揺さぶって崩すドイツのコンビネーションの完成度は高かったが、結局この試合でも最後のゴール前でのシュート精度を欠いたことで自ら主導権を手放してしまった。
今回の大会では当初ゲッツェを偽のトップに置いたゼロ・トップで臨んだが機能せず、ゴメスを1トップに据えることで何とか形を整えてきた。ゴメスは正直言って代表の歴史に残るようなストライカーではないが、ボールをゴールに蹴りこむことを第一のミッションとして背負う選手の存在はやはりチームの結節点になったと思う。
しかしこの試合ではそのゴメスもケガで不在、1トップの位置に入ったミュラーは本来ならFWも務められる選手のはずだが、この大会ではとにかく当たらず、いつもなぜか絶好の位置にいて当たり損ねでも決めてしまう強運がまったくなかった。ミュラーが当たらなかったことがこの大会の敗因と言ってもいいくらいだ。
中盤のタレントは揃えていても、やはり絶対的な点取り屋がいないのでは最後のところの迫力がどうしても足りない。コンビネーションでゴール前まで運んだボールを、最後に個人技や強引なチャレンジで決めようとする選手がいないと、攻防は単純に人数×能力という計算上の比較の問題になり、それ以上の驚きは生まれない。
その意味ではロイスがいないのは痛かったし、手前みそだがヘアマンやハーンがいれば面白かったのにと思った。あとクルーゼがバカげたスキャンダルで外されたのももったいなかった。ゲッツェがラッキー・ボーイ的に活躍できればよかったがそこまでの強さはなかった。
ケガ人も出て万全ではなかったとはいえ、ブラジル・ワールドカップの時ほどの勝負強さや凄みはなかったと言っていい。2年後のロシア・ワールドカップに向けて、このチーム作りを継続するのか、世代交代はあるのか。レーヴ体制は揺るがないのか。
評点(評点は
ドイツ式
):
ノイアー(3.5) 普通のシュートは全部止めたがPKと味方のミスに泣かされた。
キミヒ(4) ポストに当てたシュートは惜しかった。プレー精度は向上の余地。
ヘヴェデス(4.5) 致命的なミスで失点関与。それまで守れていただけに…。
ボアテン(3.5) もはや大黒柱だがケガでの交代は残念。今大会のチームMVP。
ヘクター(3.5) 攻撃に特徴を出してこの大会で大きくアピールできた。
ジャン(4) リーグ戦では馴染みのない人なのであまりよく分からなかった。
シュヴァインシュタイガー(3.5) ハンドの判定は厳しかった。痛恨のPK献上。
クロース(3.5) 正確なキックで攻撃のトリガーを引く仕事を堅実に遂行。
エツィル(3.5) このEUROは彼の大会になるべきだったが活躍が足りず。
ミュラー(4.5) 大会を通じて惜しいボールを押しこみ損ね続けたのが残念。
ドラクスラー(4) 気の効いた動きはできていたが怖さを欠いて存在感希薄。
===
ムスタフィ(-) 時間短し。ヘディング・シュートを2度外した。
ゲッツェ(-) 時間短し。この大会の期待外れの一人。
サネ(-) 時間短し。
8月には早くもリーグ戦が始まる。
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ドイツ代表
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EURO2016
2016年07月03日 22:37
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【EURO2016準々決勝】ドイツ×イタリア
■2016年7月2日(土) 21:00キックオフ
■Stade de Bordeaux (Bordeaux)
準々決勝はイタリアとの試合。ドイツはワールドカップやユーロでイタリアに勝ったことがないらしい。イタリアはブロックを形成して自陣を防衛することに長けたチームであり、ストライカー不在のドイツにとっては難敵。この大会で初めて対戦する所謂強豪でもあり難しい試合になることは当然予想される。
日本時間では日曜日の早朝4時キックオフだが、6時に起きて録画を時差視聴した。もちろん結果に関する情報はシャット・アウト。国家から一緒に歌った。
ドイツはスロバキア戦のヒーローだったドラクスラーをベンチに置き、ヘヴェデスを先発させて、フォーメーションを3-4-3にシフト。イタリアの3バックに対応したものか。ゴメスを真ん中に置きエツィルとミュラーがシャドー・ストライカーになる3トップ。ヘクターとキミヒを左右のSHに置く布陣となった。
ノイアー
ヘヴェデス ボアテン フメルス
キミヒ ケディラ クロース ヘクター
エツィル ゴメス ミュラー
ノックアウト・ステージとあって先制点を奪われることを避けるためどちらも慎重な立ち上がり。ドイツがボールを支配し攻撃を仕掛けるが、イタリアの高い位置からのプレスに遭い、ワンタッチ・パスでこれをかいくぐって敵ゴールに迫ってもしっかりと形成されたブロックに阻まれて決定機を作れない。
神経質な試合になる予感が漂う中、ケディラが敵との接触で足を傷め、治療を受けていったんはピッチに戻ったものの自ら求めて交代。16分、シュヴァインシュタイガーがボランチに入る。
ドイツはそのシュヴァインシュタイガーがサイドに流れるなどして攻撃を組み立てるが、最後のところはイタリアのブロックが固い。一方イタリアは奪ったボールを早い切り換えから前線につなごうとするが、ドイツもリスク管理の意識は高く決定的なパスを通させない。
27分、フメルスからのパスを受けたシュヴァインシュタイガーが敵DFと競りながらヘディングでボールをネットに突き刺すがファウルがあったとの判定でノー・ゴール。
41分、キミヒからのクロスにゴメスが頭で合わせるがバーの上。直後の42分にもミュラーがエリア内の絶好の位置でシュート・チャンスを得るがミートしきれず。結局スコアレスで前半を終えた。
後半に入った54分、シュヴァインシュタイガーからの縦パスをゴメスがヒールで落としたところに駆け込んだミュラーが強烈なシュートを枠に飛ばすが敵DFがアクロバティックな体勢からこれをクリア。やはりミュラーはこの大会持ってない…。
ようやく試合が動いたのは65分、左サイドでボールをキープしたゴメスが敵DFの間を通すようにしてエリア内のヘクターにボールを渡すと、ヘクターのクロスに走りこんだエツィルがワンタッチで流しこんでゴール。ドイツが待望の先制点を得る。
これで勢いのついたドイツは直後の68分にもエツィルのパスをエリア内で受けたゴメスがヒールでシュートを放つがこれは敵GKがセーブ。しかしこのプレーでゴメスが足を傷めたか、72分、ドラクスラーと交代する。
ゴメスを失ったドイツは前線で収めどころがなくなり攻撃が停滞し始める。すると77分、敵CKで敵FWと競ったボアテンが高く上げた手に、敵の頭に当たったボールが当たり、これをハンドと判定されてPKを与えてしまう。これをきっちり決められ1-1と試合は振り出しに。
その後は互いにチャンスを作りつつも決めきれないまま、1-1で90分を終えて延長戦となる。
延長に入るとどちらも失点を嫌ってリスクを取らず、また疲れもあって低調な内容になる。中盤でにらみ合う時間が長く、ボールを持って仕掛けるドイツに対し、イタリアは時間の経過とともにPK上等という意図も窺えるようになり、大きな見せ場のないまま1-1で延長終了、PK戦となった。
PK戦では敵の2人めが外したがドイツも2人めのミュラーが外し、3人めのエツィルも外して3人終わったところで1-2と劣勢に。ところがイタリアの4人めが外し、ドラクスラーが決めて2-2に。さらに敵の5人めが外しこれで勝ったかと思ったが、5人めのシュヴァインシュタイガーは表情が固く、これを大きく外してしまう。結局5人ずつ蹴ったところで2-2と低スコアのドローとなり、サドンデスに。
その後、6、7、8人めは両チームともに決め5-5に。イタリアの9人めをノイアーがストップし、最後にヘクターが決めて6-5でドイツがかろうじて準決勝進出を決めた。
イタリアの組織された守備に苦しみ、特にゴメスが退いてからは効果的に攻撃を仕掛けることもできなかったが、何とか120分を戦いきり、最後にはPK戦でコマを進めたところに、常に最低限の結果は出して来るドイツの強さを感じた。
PKが低スコアだったのは、ノイアーと敵GKがそれぞれ「普通に蹴るだけだったら止められるかも」と思わせるだけの迫力と実績を持っていたからで、際どいところに蹴ろうとして外すケースが多かったと思う。
しかし、それでもサドンデスになってからの4本を立て続けに決めたドイツの胆力は評価されるべきもので、修羅場でしっかりふだんの力を冷静に発揮できるところが、精神力というかチームに脈々と受け継がれている「心がまえ」みたいなものか。大舞台でムダに張りきって自滅することなく、むしろそこで実力を出すところに強いチームのメンタリティのあり方を感じる。
次の試合は木曜日の午後9時(日本時間金曜日未明4時)に、フランス×アイスランドの勝者と対戦する。意外にアイスランド来るような気もする。楽しみだ。
評点(評点は
ドイツ式
):
ノイアー(3) PKの読みは結構外していたが最後の最後にセーブしてくれた。
ヘヴェデス(3) 最後まで集中してイタリアの攻撃に対応できた。
ボアテン(3) ハンドは痛恨だが、それ以外の貢献を考えれば責められない。
フメルス(2.5) 守備だけでなくビルドアップの起点としても高い水準のプレー。
キミヒ(4) 元気はいいがプレー精度が低く敵にボールを献上すること多し。
ケディラ(-) 時間短し。ケガが心配。
クロース(3.5) 前半はスペースがなかったがチームの要であることは疑いない。
ヘクター(2.5) 得点時の上がり、最後のPKを決めきったメンタルも評価したい。
エツィル(2.5) PKは残念だったが先制点のシュートは素晴らしかった。
ゴメス(2.5) やはりこういうセンターFWがいないと試合が成り立たない。
ミュラー(4) この大会では当たっていない。大事なところでブレイクするのか。
===
シュヴァインシュタイガー(3.5) 頼りにしているがPK外したのはいただけない。
ドラクスラー(3) チャンスもあったがゴメスの代わりにはなれず。
金曜日は何時に起きればいいんだ。
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ドイツ代表
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EURO2016
2016年06月27日 23:35
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【EURO2016ベスト16】ドイツ×スロバキア
■2016年6月26日(日) 18:00キックオフ
■Grand Stade Lille Metropole (Lille)
決勝トーナメントの第1戦、ベスト16の試合。日本時間月曜日未明1時のキックオフで、夜中に起きて見る選択肢もないではなかったが、結局朝4時半に起きて出勤までの時間に見ることにした。前の試合より30分早く起きたのは、延長、PKの可能性を考慮したためだ。
ドイツは大会直前の親善試合でスロバキアに1-3で完敗しておりイヤな相手。調整と本番でどれだけの違いを出せるか、順当に行けばドイツ優位の試合だけに、展開次第では逆に難しい戦いになることも考えられる。
左SHのゲッツェに代えてドラクスラーを先発させた他はグループ・ステージ最終節と同じ布陣。1トップにはこの試合もゴメスが入った。
ノイアー
キミヒ ボアテン フメルス ヘクター
ケディラ クロース
エツィル ミュラー ドラクスラー
ゴメス
北アイルランド戦と同様、ドイツが序盤からボールを支配、一方的にスロバキア陣内で試合を進める。
試合が動いたのは早くも8分、CKを敵がクリアしたボールが正面にこぼれたところに詰めたボアテンがエリア手前からダイレクト・ボレーを放つ。ボールはDFに当たって軽くコースが変わりそのままゴール左隅へ。ドイツが早い時間帯に1-0とリードを奪う。素晴らしいシュートだった。
13分、ゴメスがエリア内で敵DFに倒されPKを得る。エツィルがこれを蹴るが完全にコースを読まれてセーブされ追加点ならず。その後もドイツがボールを支配、少ないタッチ数で速いパスをクリティカルなポジションに通しチャンスを作る。
一方のスロバキアはドイツのゲーゲン・プレッシングを受けて奪ったボールもなかなか前線に展開できず、クリアもセカンド・ボールを拾えない。ようやく41分、敵FWのヘディング・シュートをノイアーが腕一本でセーブするシーンがあったのみ。
43分、ドラクスラーが左サイドの深いところからドリブルでエリア内に入りこみ、中央に短いラスト・パス。ニアに入ったゴメスがダイレクトにこれを押しこんで2-0に。ドイツが前半終了間際に貴重な追加点を得る。
後半に入るとスロバキアが積極的に前に出て主導権を握る。この時間帯はポゼッションに勝るスロバキアがドイツ陣内で攻撃を仕掛けるが、ドイツの守備も集中しており得点は許さない。親善試合でドイツを苦しめた片鱗を窺わせた。
しかし、63分、右FKがファーに流れたところをフリーになったドラクスラーが至近距離からボレー。これがネットに突き刺さりドイツが3-0とリードを広げる。苦しい時間帯だっただけに流れを一気に引き戻す重要なゴールだった。足は上げ過ぎだが見事なシュート。
こうなるとドイツは余裕で試合をクローズしに行く。72分、ボアテンとドラクスラーに代えてヘヴェデスとポドルスキを投入。さらに76分にはケディラに代えてシュヴァインシュタイガーを投入するなど着々と手を打つ。
残り時間もボールを支配しながら時計を進め、結局3-0でスロバキアに快勝、準々決勝にコマを進めた。
早い時間に先制できたことで余裕のある試合展開。押しこまれる時間もあったが落ち着いてしのぎ、効果的に加点して圧勝した。数字を見てもシュート数21-7、CK8-1、ポゼッション61-39と圧倒的にドイツの優勢だった。
ゼロ・トップで流動的に前線がポジションを交換する戦術から、ここ2試合はゴメスをトップに置いたオーソドックスな4-2-3-1システムにしているが、はっきりしたターゲットがある方が戦いやすいということか。
必ずしも絶好調という訳ではないが、それぞれの試合で最低限やるべきことを形にしてきた結果、内容もそれに連れて固まってきた感がある。この辺がおそらくは強豪国の持つ積み上げの力。結果から逆算した戦いが特に注文しなくてもできているし、見ている方もそれが当然だと思っている。
ほぼワンタッチで速いパスがそこそこ距離のあるところまでスパスパ決まることで、敵に対応する時間を与えず攻撃ができている。引かれてもチャンスが作れるのはこのオートマティズムによるところが大きい。北アイルランド戦ではフィニッシュのところで敵GKの好守に阻まれたが、この試合ではそこを決めきって3点を挙げた。
守備に不安があるとも指摘されていたが、この大会はここまで無失点。ノイアーのセーブもあるが、ボアテン、フメルスのCBが安定しているのが大きい。準々決勝はイタリア×スペインの勝者との対戦で、どちらが来ても厳しい試合になるが、いよいよここからだ。
評点(評点は
ドイツ式
):
ノイアー(3) 数少ないピンチも好セーブでしのぐ。出番少ないのが悩み。
キミヒ(3.5) 思いきりのいい攻撃参加でチャンス・メイク。進境著しい。
ボアテン(2.5) 先制点は技術の高いゴール。守備でも盤石の強さを見せた。
フメルス(3) 押しこまれた時間帯も落ち着いて対応。風格が出てきた。
ヘクター(3.5) 左サイドで起点になったがクロスは今ひとつ中に合わず。
ケディラ(3.5) いいポジショニングで隙間を埋めたが記憶には残らず。
クロース(3) プレース・キックで存在感見せた。強烈なシュートもGK正面。
エツィル(3.5) PK失敗は痛恨。サイドに張っても試合の流れをグリップ。
ミュラー(4) この大会ではゴールが決まらないことになっているようだ。
ドラクスラー(2.5) 価値の高いダメ押し。左サイドを掣肘下に収めた。
ゴメス(3) 過去の人かと思っていたがまだまだ働ける。ドイツを救った。
===
ヘヴェデス(-) 時間短し。
ポドルスキ(-) 時間短し。
シュヴァインシュタイガー(-) 時間短し。
次はようやく週末に試合が見られそうだ。
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ドイツ代表
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EURO2016
2016年06月24日 23:37
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■
【EURO2016 C組第3節】北アイルランド×ドイツ
■2016年6月21日(火) 18:00キックオフ
■Parc des Princes (Paris)
グループ・ステージ勝ち抜けのかかった大事な試合なので、朝5時に起きて出勤までの時間に身支度しながら録画を見た。これくらいの時間なら結果情報を遮断するのも難しくない。
ドイツは勝ち点4の首位であり、勝てばもちろん、引き分ければ2位以上を確保して勝ち抜けが決まる。この大会では3位の国のうち4カ国が決勝トーナメントに進出できることもあり負けても可能性はあるが、当然勝って決めたいところだ。
この試合では右SBにキミヒを起用。またゴメスをトップに起用してゲッツェは左SHに回り、ドラクスラーがベンチ・スタートとなった。
ノイアー
キミヒ ボアテン フメルス ヘクター
ケディラ クロース
ミュラー エツィル ゲッツェ
ゴメス
立ち上がりからドイツの一方的な試合に。完全にボールを支配し、敵陣で分厚い攻撃を仕掛ける。北アイルランドはボールを奪っても展開できずセカンドを拾われて前に出られない。
しかし、ドイツは再三の絶好機にも枠を外したり、バーやポストに嫌われたりと決めきれない上、枠に飛んだシュートも敵GKの度重なるファイン・セーブで防がれ、なかなかゴールを割ることができない。
ようやく29分、ミュラーがエリア内で敵を背負ってボールを落とすと、ゴメスがこれを蹴りこんでゴール。1-0とドイツが先制する。その後もドイツの圧倒的な優位で試合が進むが追加点は奪えず、生かせなかったチャンスだけが積み上がって最少得点差で前半を終えた。
後半に入ってもまったく同じ展開。ドイツがボールを支配し、ボールを動かしながら北アイルランドのゴール前まで入りこんで決定機を作るが決められず。55分、ゲッツェに代えてシュールレを投入、そのまま左SHに入る。
北アイルランドはまったくフィニッシュまで持ちこめず、ドイツの攻撃を受け続ける。ドイツとしては失点の脅威はほぼ感じない状態。
69分、ケディラに代えてシュヴァインシュタイガーを投入。そのままボランチに。終盤にかけてはドイツも勝利を確実にすることに集中したかスロー・ダウン。76分にはボアテンに代えてヘヴェデスを投入、おそらくそのままCBに入った。
結局ドイツは追加点を奪えないまま試合終了。1-0で必要な勝ち点3を獲得した。
内容から見れば10点くらい入っていてもおかしくない試合で、実際シュート数28-2、CK6-3、ポゼッション79-21と圧倒的にドイツのゲーム。敵GKの意地と気合のパフォーマンスで絶好機を何度もつぶされた。
引いて守る相手を崩せず可能性の低いミドルばかりというのはよくあるが、この試合のドイツは引いた相手でもきちんと意図を持ってボールを動かし、クリティカルなパスを縦や斜めに通して崩すところまではしっかりできていた。
しかし、それでもことごとくチャンスを外し続けたのは、敵GKが当たっていたというのももちろんあるのだが、北アイルランドがいったん崩されて一対一の形を作られても、そこからもう一度素早く寄せる、コースを切るということができていたから。
一方、ドイツの側から見れば得点差関係なく勝てばよい、最悪引き分けでいい試合だったので、なかなか先制点、追加点が入らなくてもそこまでの悲壮感はなかった。やるべきことをしっかり把握してその部分だけは最低限やりきるというところに成熟したフットボール観を見る思い。どこかのクラブに爪の垢を煎じて飲ませたい。
これでドイツはグループ・ステージ2勝1分で首位通過。決して内容がよかった訳ではないが、きちんと結果を出すことでチームも機能し始めてきたように思う。ラッキー・ボーイ的にこの大会でのドイツを象徴するような選手がいないのが気になるが、そこそこのところまでは行けるんじゃないかと思う。
既に決勝トーナメントの組合せも決まっていて、ドイツはスロバキアと戦う。これに勝つとイタリア×スペインの勝者と当たることになり、さらにこれに勝つとおそらくはフランス×イングランドの勝者と当たることになるだろう。その次が決勝になるが、まあ、こういうしびれる試合が続くのがユーロの見どころ。
まずはスロバキア相手にしっかり結果を出さなければならない。
評点(評点は
ドイツ式
):
ノイアー(3.5) 実働時間は極めて短かった。
キミヒ(3) 知らない人だが気の利いた攻撃参加で好機を演出していた。
ボアテン(3) 左前線に張ったヘクターに何度もいいパスを通した。
フメルス(3) 危なげない守備。ケガの影響も感じられない。
ヘクター(3) 長いパスを収めてサイドで起点を作った。
クロース(2.5) シュヴァインシュタイガーの正統な後継者になりつつある。
ケディラ(3) 攻撃に特徴を出したが最後のところで精度を欠いた。
ミュラー(3.5) 好機を外し過ぎ。この大会では運がないようだ。
エツィル(2.5) こういうのが一人いると引いた相手も崩せるということだ。
ゲッツェ(3.5) 好機に決められず。彼もこの大会では特徴出しきれてない。
ゴメス(3.5) 決勝点はよかったがあまり試合に入れてない感じあり。
===
シュールレ(3.5) 積極的な仕掛けでアピール。スーパー・サブに定着か。
シュヴァインシュタイガー(3.5) 目立つシーンなし。それはそれでいい。
ヘヴェデス(-) 時間短し。
何だかんだ勝つべき試合ではしっかり勝つというのは実はすごいこと。そういう意味では凄みのある試合だった。
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ドイツ代表
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EURO2016
2016年06月18日 00:31
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■
【EURO2016 C組第2節】ドイツ×ポーランド
■2016年6月16日(木) 21:00キックオフ
■Stade de France (Paris)
パリ郊外のサン・ドニでの試合。デュッセルドルフからパリにクルマで向かうと、パリ市街に入る前にこのスタジアムの横をぐるっと回るように高速道路を走ることになる。テロがあったことでも記憶に残っているスタジアムだ。
この試合も日本時間金曜日未明4時とかのキックオフだったので、録画して金曜日の夜に見たが日中に図らずも結果を知ってしまった。気をつけていたのだが結果情報を遮断したまま一日過ごすのは難しい…。
ドイツは前節のムスタフィに代わってフメルスが先発。それ以外は前節と同じ布陣となった。
ノイアー
ヘヴェデス ボアテン フメルス ヘクター
ケディラ クロース
ミュラー エツィル ドラクスラー
ゲッツェ
前半は神経質な展開。ともに最初の試合に勝った国同士の対戦となったため、先制されることを嫌ってリスク管理を優先、ドイツがボールを持つ時間が長いが、ポーランドは割りきった守備で自陣を固めドイツに自由を与えない。ドイツもムリにリスクを取らず、ボールを動かしながら様子を窺う。
4分にはドラクスラーのクロスにゲッツェが頭で合わせるがバーの上。まあ、ゲッツェに空中戦を期待するのも厳しいか。ポーランドは前線の強力なFWを生かしてカウンターのチャンスを待つが、ボアテン、フメルスが中央を固めており決定機は作らせない。互いににらみ合うが、どちらかといえばポーランドにつきあわされる格好で抜刀しないまま、スコアレスで前半を終えた。
後半に入ると得点を意識した動きが出てややオープンな展開に。46分、敵のクロスに中央で飛びこみを許すがボールは頭にヒットせず。当たっていれば1点もので肝を冷やした。直後の47分にはクロースからのパスを右サイドで受けたゲッツェがフリーでシュートを放つがGK正面に。
ドイツは66分、ゲッツェに代えてシュールレを投入、シュールレが左に入り、ドラクスラーが右へ、ミュラーが1トップに回るが、72分にはドラクスラーに代えてゴメスを投入、結局ミュラーを右SHに戻してゴメスが1トップに。
69分、敵にエリアに侵入され、戻しのパスを中央に送られるが、これを受けた敵FWが空振って事なきを得る。直後にはヘクターが左サイドから入れたクロスにエツィルがダイレクトで合わせボールはきれいにゴールに向かったが敵GKがセーブ。何食わぬ顔でサクッと枠に飛ばすところがスゴい。
ドイツは終盤、左サイドを起点にして攻撃を仕掛けたが決めきれず、結局スコアレス・ドローに終わった。
ゼロ・トップで「決める係」が誰もおらず、「だれか決められる人決めて」的な迫力のない攻撃に終始。ポゼッション69-31、シュート数16-7と、見かけの上では主導権を握りながら最後まで流れを自分たちのものにすることができなかった。
特に後半は流動的な攻撃から何度かチャンスを作ったが、割りきって守るポーランドを崩しきれなかった。交代メンバーを見ても、先発しているメンバーとは異なった特徴で途中から流れを変えられる選手は見当たらず、シュールレ、ゴメス投入が精いっぱい。
ポーランドに勝ち点3をやらなかったことでグループ・ステージ突破の足がかりは作ったし、その意味で最低限の結果は得ており受け入れることのできる引き分けだが、何とか1点を奪って突破を決定づけておきたかった試合。交代も含め手詰まり感が強かった。
SBが足りないならヤンチュケがいるし、トップが弱いならハーンもヘアマンもいるのに、だれも招集しないのが悪い。まあ、ここから何とかするのがドイツ代表なんだろう。次節、北アイルランドに引き分ければグループ・ステージ突破は問題なく決まる。
評点(評点は
ドイツ式
):
ノイアー(3.5) 特に試されることもなくヒマなのですごく前に出てきた。
ヘヴェデス(4) 何かヘディングのチャンス外してなかったっけ。
ボアテン(3) ふだんチームメイトの敵FWを完封。今やドイツ代表の大黒柱。
フメルス(3.5) ケガ明けで不安はあったが問題なし。落ち着いていた。
ヘクター(4) 後半は攻撃にも絡んだが存在感を大きくアピールはできず。
クロース(3) キック力に可能性を感じるが局面を打開することはできず。
ケディラ(3.5) 積極的に攻撃に絡んだがここ一番で精度を欠いたのが惜しい。
ミュラー(4) こういう試合で一発モノを決めるのが持ち味のはずが沈黙。
エツィル(3) 技術高く視野広いが決定機は演出できず。シュートスゴ勝った。
ドラクスラー(4) 左SHだれだっけ、と試合中何度も思ったほど存在感なし。
ゲッツェ(4) 使い方は本当にこの位置でいいのか。何かもったいないな。
===
シュールレ(3.5) 動きを持ちこみ左サイドで起点を作ったが…。
ゴメス(4) 特に見せ場なくボールにも絡めなかった。
ハーンを代表で見たいな〜。
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ドイツ代表
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EURO2016
2016年06月14日 00:07
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【EURO2016 C組第1節】ドイツ×ウクライナ
■2016年6月12日(日) 21:00キックオフ
■Grand Stade Lille Metropole (Lille)
EURO2016が開幕、ドイツはポーランド、ウクライナ、北アイルランドとともにグループCに入った。初戦の相手はウクライナ。
キックオフが日本時間の月曜日未明4時ということで、5時頃に起きて出勤までの間に見ようかと思ったが、日曜日の夜に飲み過ぎてしまい、とても5時に起きられるコンディションではなかったので、日中結果をシャットアウトして、会社から帰ってから見た。
布陣は大方の予想通り。フメルスはケガ明けでベンチとなり、ムスタフィがボアテンとともにCBに入った。トップにはゲッツェを置いているが所謂ゼロ・トップ的な起用か。両翼はミュラーとドラクスラーが先発した。
ノイアー
ヘヴェデス ボアテン ムスタフィ ヘクター
ケディラ クロース
ミュラー エツィル ドラクスラー
ゲッツェ
試合は立ち上がりからドイツがボールを支配、敵陣を中心に試合を進めるが、ウクライナの守備も集中しており流れからはなかなかチャンスが作れない。一方でウクライナは奪ったボールを素早く前線に展開してカウンターを狙う。5分、敵の鋭いシュートが枠に飛ぶがノイアーが涼しい顔でセーブ。
試合が動いたのは19分、右寄りで得たFKをクロースが蹴ると、ムスタフィが頭で合わせてゴール。ドイツが1-0と先制する。その後はリスクを嫌ってスローダウンし手堅くボールをつなぐドイツに対し、ウクライナがチャレンジする時間帯となる。27分には再びノイアーが敵の至近距離からのシュートを腕一本でセーブ。
一方で29分にはケディラがクロースからのパスを受けて裏に抜け出しGKと一対一になるがシュートをGKに当ててしまう。
37分、左サイドからファーに飛ばされたボールを敵FWがフリーでシュート、飛び出したノイアーは触れず、あわや同点かと思われたがボアテンがライン上であり得ない体勢からボールを蹴り出し事なきを得る。ゴールライン・テクノロジーで見るときれいにゴールライン上でクリアしていた。
39分にもゴール前での密集で押しこまれボールはゴールに入るが、その前にオフサイドがあったとの判定でノー・ゴール。ノイアーのファイン・セーブとボアテンの超人的なフィジカルで何とかしのいでいるものの、ポゼッションの割りに押しこまれる場面が印象に残ったまま1-0と最少得点差で前半を終えた。
後半に入ってもドイツの優勢は変わらず、敵陣でパスを回しながら守備網の綻びを待つ展開になる。ウクライナの攻撃は単発で、ノイアーの好守もあり失点は免れるが、ドイツの攻撃もスペースがない中でダイナミズムを欠き、チャンスも敵GKのセーブに遭い追加点が奪えない。
ドイツにボールを回されて疲労が蓄積したウクライナは徐々に足が止まり始め、互いに大きな見せ場がないまま時間が進む。78分、ドラクスラーに代えてシュールレを投入。シュールレはそのまま左SHに入る。
88分、エツィルがカウンターからドリブルで独走するがシュートは敵GKがセーブ。直後の89分にはムスタフィが敵のロング・ボールをヘディングでノイアーに渡そうとしたところ、飛び出したノイアーの頭を越えてオウン・ゴール寸前に。リードは奪いながらも今ひとつピリッとしない試合運び。
だが、90分、ゲッツェに代えてシュヴァインシュタイガーを投入し試合をクローズしに行くと、アディショナル・タイム、シュールレのパスを受けて敵の背後に出たエツィルがファーにクロスを入れると、ここに走りこんだシュヴァインシュタイガーがダイレクトでミート、これがゴールとなり土壇場で2-0とリードを広げた。ショートバウンドで入ってきたボールをダイレクトで叩きつける技術の高いシュートだった。
結局そのまま2-0で試合終了。終わってみればドイツがきちんと勝ちきった試合になった。しかし、内容的に見れば、随所にレベルの高いパス交換や個人技を見せ、シュート数18-5、ポゼッション68-32と圧倒的に試合を支配しながらチャンスになかなか決めきれず、逆にノイアーのファイン・セーブに救われたものの決定的なシュートを何本か放たれるなど守ちぐはぐさの目立った試合だった。
特に守備では許したシュートこそ少なかったものの、GKがノイアーでなければ、あるいはボアテンの神クリアがなければ3点か4点取られてもおかしくないくらい厳しいシュートを枠に飛ばされていた。GKとの連係ミスによるオウン・ゴールのピンチもあり、これがこの先ウィークポイントにならなければいいがと祈りたくなる出来。
とはいえ、大きな舞台ではまず結果を出すことでリズムが出るものであり、必ずしもままならない出来でも何とか結果を出しながらドライブして行くことができるのは伝統ある強豪国の強み。守備では今イチだったムスタフィがゴールを決めてその埋め合わせをしたこともその意味で象徴的だ。
セット・プレーからの前半の先制点、ペース・ダウンしてリスクを管理しながら何とか無失点で乗りきったゲーム中盤、そしてアディショナル・タイムにカウンターからの追加点と、終わってみればやることをやって勝ちを引き寄せた、勝つべくして勝ったように見えるところがさすが。
チームの骨格自体はこれまでの継続の上にきちんと構築されているが、強力なストライカーがいない中でのゼロ・トップ的戦術で、2014年のワールド・カップに続いてユーロを獲りに行けるか。優勝候補と目され各国がドイツ対策を講じて来る中で、真の強さが試される。
評点(評点は
ドイツ式
):
ノイアー(2) 再三のファイン・セーブで完封、チームを救った。
ヘヴェデス(4) 大外から入ってくる敵をケアできずシュートを放たれた。
ボアテン(2.5) 窮地を救う超人的クリア。どうやってあの体勢で足が出るのか。
ムスタフィ(3.5) 先制点は価値あったが守備では不安ものぞかせた。
ヘクター(4) 攻撃には参加できず。守備面も印象に残らず。
ケディラ(3) いつの間にか前線に顔を出してチャンスに絡んだ。
クロース(3) 中盤の底をしっかり締めた。アシストになったFKも見事。
ミュラー(4) ボールが足につかず、チャンスを引き寄せる男も今日は今イチ。
エツィル(3) 最後に長い距離を走って追加点を演出。さすがにセンスある。
ドラクスラー(4) 思いきりはよかったがシュート精度を欠いた。
ゲッツェ(4) 前線に動けるスペースなく特徴が生きなかった。
===
シュールレ(3.5) 短い時間だったが一応印象には残った。
シュヴァインシュタイガー(-) 時間短し。ゴールは技術高かった。
それにしても試合時間が厳しい…。
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ドイツ代表
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EURO2016
2014年07月21日 12:13
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【ワールドカップ総括(2)】ドイツ代表―戦術を支えた文化的受容
ドイツ代表はずっと強かったように思っている人が多いかもしれないがそんなことはない。2000年、ドイツ代表は未曽有のスキャンダルに揺れていた。
当時代表監督はエーリッヒ・リベックだったが、リベックは2000年の欧州選手権でグループ・リーグを1分2敗という惨憺たる成績で敗退、辞任を余儀なくされる。世代交代が進まず、既に30代後半であったローター・マテウスに頼ったチーム作りが決定的に失敗だった。
後任にはレバークーゼンで結果を出していたクリストフ・ダウムが取り沙汰されていた。実際、DFBはダウムと契約直前まで行っていたらしい。しかし、バイエルンのGMであったウリ・ヘネスらが強硬にこれに反対する。ダウムはコカインを常用しており代表監督にすべき人材ではないというのである。
議論は収拾せず、やむなくダウムの毛髪検査が行われることになった。毛髪に蓄積されたドラッグの痕跡を確認するものだが、その結果が陽性と判明し、ダウムの代表監督就任は雲散霧消したばかりかダウムはレバークーゼンの監督の座も追われ国外に脱出を余儀なくされた。この頃僕はドイツに住んでいたが、毎日すごい報道だったのを覚えている。
引き受け手のいなくなった代表監督を務めることになったのはレバークーゼンのSDであったルディ・フェラーであった。レバークーゼンが身内の不始末の責任を取ってSDを差し出したとも考えられる人事だが、フェラーには監督ライセンスがなく、公式には「チームシェフ」という肩書で、監督ライセンスを持つミヒャエル・スキベがヘッド・コーチ格でベンチに入ることによってレギュレーションを満たしたのではなかったか。
僕にとってドイツ代表はこの迷走した時期の印象が強く、だから2002年の日本でのワールドカップでドイツが決勝までコマを進め、横浜でブラジルに敗れはしたものの準優勝のタイトルを手にしたことは意外だった。
そのフェラー監督も2004年の欧州選手権で再びグループ・リーグ敗退の憂き目に遭い辞任。後任選びは引き受け手がなく難航したが、「それならオレが」と手を挙げたユルゲン・クリンスマンが監督に就任し、大胆な世代交代とアメリカナイズされたスマートな運営スタイルで改革に成功し、それをヘッド・コーチだったヨアヒム・レヴが引き継いだのが現在の代表である。
前置きが長くなった。
前回の総評でも書いたが、クリンスマン=レヴの作り上げたドイツ代表はもともと前線での積極的なプレスからボールを奪い、素早い攻守の切り替えで一気に敵ゴールに迫る「ゲーゲン・プレッシング」の原型。BVBがユルゲン・クロップ監督の下で2010/2011、2011/2012シーズン連覇、2012/2013シーズンにCLでバイエルンとブンデスリーガのクラブ同士決勝を戦う(準優勝)という結果を出したのとシンクロしている。
今回の大会では代表の主力を輩出するバイエルンがグアルディオラ監督を招きポゼッション・スタイルに移行したことなどもあり、ドイツの戦術はポゼッションと評されることが多かったが、実態は単なるポゼッションではなく、ハイプレスからの高速ショート・カウンターとスピードを重視したポゼッションの併用という次世代のコンビネーション・フットボールであったことも前回書いた通り。
結局ドイツの強みは、高い技術と体力、精神力、そして何より選手間での高度な戦術共有、連携が必要なこうしたスタイルを、代表でしっかり定着させたことで、それはレヴ監督がクリンスマン監督の下で事実上戦術面の指揮を執っていた2004年から10年がかりでチームを熟成させたこと、バイエルン所属の主力がクラブで既にオートマティズムを構築していたことなどの結果であった。
しかし、今回の大会のドイツの戦いをよく見れば、決して圧倒的な強さがあった訳ではなく、苦労して勝ちあがってきたことも分かる。グループ・リーグでは初戦となった強敵ポルトガル戦こそ4-0と完勝したものの、第2節のガーナ戦では先制したものの逆転され、終盤に何とか追いついて2-2の引き分けと肝を冷やし、最終節のアメリカ戦に1-0と辛勝して勝ち抜けを決めるなど楽な道のりではなかった。
決勝トーナメントでも1回戦のアルジェリア戦は90分間戦ったもののスコアレスとなり、延長で2点を奪って勝利(1点を返された)、準々決勝でもフランスに1-0の辛勝であった。準決勝でブラジルに7-1と派手なスコアで打ち勝ったのは記憶に新しいが、決勝もアルゼンチンの堅い守備と前線でワンプレーから得点できる敵FWの個人技に苦しみ90分をスコアレス、延長で1点をもぎ取って優勝したのは知っての通りだ。
グループ・リーグ第1節 ドイツ4-0ポルトガル
グループ・リーグ第2節 ドイツ2-2ガーナ
グループ・リーグ第3節 ドイツ1-0アメリカ
決勝トーナメント1回戦 ドイツ0-0アルジェリア(延長2-1)
準々決勝 ドイツ1-0フランス
準決勝 ドイツ7-1ブラジル
決勝 ドイツ0-0アルゼンチン(延長1-0)
こうして見れば快勝と呼べるのはポルトガル戦、ブラジル戦くらいのもので、あとは決定力不足に苦しみ、2度の延長(ガーナ戦を加えれば3度の引き分け)を含むしょっぱい試合の連続だったと総括してもいいくらいだ。
しかし、今回のワールドカップは例えば2002年の日本、2006年のドイツ、2010年の南アフリカに比べても比較的安心して見ていられたように思う。もちろん早起きして手に汗は握っているのだが、「でもまあ最後に勝つのはドイツだし」という根拠のない楽観みたいなものが僕にはあった。
それはドイツ代表がどんな試合展開でも最後まで自信を持って規律のあるプレーを続けていたからなのだと思う。そこにはワールドカップという舞台で何が起こり得るか、そのひとつひとつにどう対処すべきか、具体的な戦略、戦術以前の問題として、フットボールというものをずっと経験し続けてきた選手、ベンチ、協会、そしておそらくは国民として、ドイツ代表というものの確たるイメージが共有されていたからなのではないだろうか。
例えば想像以上に気温や湿度が高く消耗が予想されるときにどこでスローダウンするのか、早い時間に先制したときに守備と攻撃のバランスをどう調整するのか、あるいは1勝1分でグループ・リーグ最終戦を迎えたときに何を狙って試合を組み立てるのか。そういうひとつひとつの課題に対する想像力が、実際にピッチに立つ選手から、近所のパブに集まってテレビを見つめているおっさんまで行き渡っている。
何をポイントにフットボールを見ればいいのか、過去の膨大な国民的記憶が議論のベースを提供し、共通のプラットフォームの上でフットボールをめぐる喜怒哀楽が共有されている。それはフットボールの文化的受容とでもいうもの。これがドイツ代表の力の源なのであり、我々の代表にはまだまだ十分でないもの。
面白くない試合でも勝ちきる強さはこのようなプラットフォームから生まれてくるのであり、戦術的に思い通りの試合ができなくても何とかする力、局面において最も合理的な選択を躊躇なくする力は、そういう国民的経験の中で培われるものだ。近代的な戦術が、おそらくはベルンの奇蹟に遡るドイツ代表の「伝統」の裏づけを得て、蒸し暑い異国の地で苦しみながらも結果を出した。
2000年の迷走を知る者として、ドイツがワールドカップで優勝するのを目の当たりにできたのは一言で表せない喜びだったが、その瞬間は意外と冷静でもあった。ドイツ代表はまだ平均年齢も若い。レヴ監督の留任と2年後の欧州選手権での優勝を期待したい。
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2014ワールドカップ
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ドイツ代表
2014年07月14日 23:10
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【ワールドカップ決勝】ドイツ×アルゼンチン
■2014年7月14日(月) 4:00キックオフ
■リオデジャネイロ
ついに決勝。ドイツにとっては2002年の日本ワールドカップ以来12年ぶりの決勝進出である。朝4時だろうと3時だろうと起きてみるしかない。この時間なら最悪PKになっても最後まで見届けられるだろう。目覚ましをセットして前夜は10時に就寝。
ドイツはケディラが試合前のアップで負傷したとのことで急遽クラマーが先発。決勝でワールドカップ初先発だ。グラードバッハ代表としてしっかり頑張って欲しいところ。それ以外は準決勝ブラジル戦と同じメンバーとなった。
ノイアー
ラーム ボアテン フメルス ヘヴェデス
クラマー シュヴァインシュタイガー クロース
ミュラー クローゼ エツィル
ドイツは序盤からボールを支配して攻撃に出るもののボールが足につかず、最終ラインをしっかり固めるアルゼンチンに対してフィニッシュまで行けない。一方のアルゼンチンは奪ったボールを素早く前線に展開、個人の打開に期待する割りきった戦術でチャンス・メイクする。
17分、クラマーが敵エリア内で敵DFと激しく交錯、頭を強打して倒れる。何とか立ちあがってプレーを続けるが頭だけに心配だ。うちのクラマーに何をしてくれる。
21分、クロースのバックパスがオフサイド・ポジションに攻め残っていた敵FWに渡るがシュートは枠を外れ胸をなでおろす。肝を冷やした一瞬だった。
30分、ドイツの左サイドから入れられたクロスに中央でヘディング・シュートを許しボールはネットを揺らすがオフサイドの判定。カメラが線審を映さないのでこれも一瞬ドキッとしたがリプレイを見れば明らか。
32分、やはり影響が残ったのかクラマーに代えてシュールレを投入。クラマー大丈夫か。開幕まで1ヵ月しかないのに心配だ。クロースとシュヴァインシュタイガーのダブル・ボランチに、右ミュラー、左シュールレの両翼、トップ下にエツィルという4-2-3-1的な並びになったか。
ドイツはアディショナル・タイム、クロースの右サイドからのCKに中央でヘヴェデスがドンピシャのヘディング・シュートを放つがポストを直撃、こぼれにミュラーが詰めるがこれはオフサイドに(どっちみち入ってなかったけど)。スコアレスで前半を終了する。
シュート3本ずつとチャンスは多くないが、組織で押し上げるドイツと前線に預けて個人技勝負のアルゼンチンとの厳しい戦いになる。アルゼンチンの方がカウンターでいい形を作っているように見えるが、ドイツはムリめのシュートを打たないだけで試合はドイツがコントロールしていると見ていい。
後半に入るとアルゼンチンが攻勢に出る。ドイツは受けに回り、47分にはスルーパスから裏に抜け出され厳しいシュートを打たれるが枠に収まらず。ノイアーがいいポジショニングでコースを切るのと、おそらく蹴る側も厳しいコースに蹴らないと入らないと思うから確度が低くなるんだろう。敵の前線はワンプレーで局面を打開し得点できる力があり怖いが、ボアテンのチャレンジとフメルスのカバーという守備が効いており、何とか後半開始早々の時間帯をしのぐ。
57分にはノイアーがエリアぎりぎりまで飛び出してパンチングでセーブ、そのまま敵FWと激しく交錯する。ちょっとエリア外だったようにも見えたが勢いで有無を言わせなかった。
試合が進むと互いに失点に対する恐怖が芽生え、慎重な試合運びになってくる。次第に中盤が間延びし始める中で激しいボールの競り合いが展開されるが、ドイツがしっかりポゼッションをしている分、アルゼンチンの方に先に疲れが出たか、次第にドイツが主導権を取り返す。
神経質な展開のまま試合は終盤に。ドイツは最後に攻勢をかけるが人数をかけて手堅い守備を構築するアルゼンチンを崩しきれず。88分、クローゼに代えてゲッツェを投入、結局スコアレスのまま90分を終了し、試合は延長に入る。
延長開始早々、敵エリア左隅でゲッツェの落としを受けたシュールレが直接ゴールを狙うがGK正面に。これは入ったと思ったが。97分、フメルスが敵FWに詰めきれずループ・シュートを放たれるが枠を外れる。ノイアーが飛び出しており危ないシーンだった。引き続き得点のないまま延長後半に。
113分、ついに得点が生まれる。左サイドをドリブルで突破したシュールレが、敵を抜ききらないままクロスを入れる。ニアでこれを受けたゲッツェが胸トラップしたボールをそのままボレー・シュート。これがファーのサイド・ネットに突き刺さりドイツが先制。見事という他ない技術だった。
終了間際には敵に絶好の位置でFKを与えるなど最後まで気の抜けない戦いとなったが、120分にはエツィルに代えてメルテザッカーを投入するなどして守りきり、ドイツが1990年イタリア大会以来24年ぶりとなる4回目の優勝を決めた。
総括は別の機会に改めて書きたいが、エースがまったく守備をせず、ボールを引き出す動きすらせず、預けられたボールか目の前にこぼれたボールしかプレーしない、ほぼ120分間「おさんぽ」状態のアルゼンチンには負けられなかった。後ろを固め、奪ったボールは個人技で勝負できる前線に預けて「あとよろしく」的なフットボールに優勝させる訳に行かない。
ドイツはポゼッション・オリエンテッドと言われるし、実際そういう試合だった(ポゼッション64-36)が、それはたまたまアルゼンチンが守備的だったからで、ハイプレスからの高速ショート・カウンターも自在に繰り出せるドイツにとって、何よりも強みはその多彩な戦術をしっかり実践レベルに落としこんでいる戦術理解、共有でありそのオートマティズムである。
一人がボールを持つ時間を極力短くすることで常に流動しながら次へ、次へとプレーを展開して行くスピード感は、単に「ポゼッション」のひとことで片づけられるものではない。スピードとの両立を拒むかのように遅攻を優先し、前が詰まれば何度も作り直すスペイン型のポゼッションの次に来る現代的フットボールを世界最高の大会で堂々と繰り出し、あるべき姿を示したドイツの優勝は意義深い。
守備をしないエースにボールを預けるアルゼンチンの戦術は、絶対的、例外的な天才がいない普通のクラブにはあまり参考にならないものだし、少年フットボールではお手本にする訳に行かないもの。ひとりの天才がいるために逆にいわば進化の袋小路に迷いこんだ先のないフットボールだったというべきだ。
ユーロでの優勝は見たことがあるが、ワールドカップでドイツが優勝するのは初めて見た。ドイツが優勝するなら今回を措いてないとこの大会が始まってから日に日に確信を強めたが、本当に優勝した。ドイツにいたかった。
ところでMVPは精彩を欠いたアルゼンチンのキャプテンに。正直意味が不明だった。
これで1ヵ月に亘ったワールドカップ観戦も終った。次の週末にはもうリーグ戦が始まる。
評点(評点は
ドイツ式
):
ノイアー(3) 決勝でもアグレッシヴな守備でシュートの前にピンチを回避。
ラーム(1.5) なぜかぽっかり空く右前線を何回も使って質の高いクロスを供給。
ボアテン(1.5) 的確な判断と果敢なチャレンジで敵FWと対峙。素晴らしかった。
フメルス(3) ボアテンのチャレンジをしっかりカバー。代表の守備の軸に。
ヘヴェデス(3.5) シュートは決めたかった。バランスは取った。
クラマー(3.5) アグレッシブに前に出ていたが無念の交替。脳震盪か。
シュヴァインシュタイガー(2) 中盤に君臨。彼の気迫が優勝を引き寄せた。
クロース(3) いいパスを供給したがピンチの糸口にもなった。
エツィル(3.5) 悪くなかったがもう少しアイデアと精度があれば。
クローゼ(3.5) 敵の守備が分厚く自由にさせてもらえなかった。
ミュラー(3) 前線で身体を張りボールを守った。イラっとさせる天才。
===
シュールレ(2) 思いきりのいいサイド突破が決勝点を呼んだ。
ゲッツェ(1) 決定的な仕事。高い技術が結実した必然の得点だった。
メルテザッカー(-) 時間短し。跳ね返しで投入の意図に応えた。
延長でシュヴァインシュタイガーが傷んでピッチに出たとき、ビブスを脱いでタッチライン沿いに待機していたのに、結局シュヴァインシュタイガーが復帰したため出番がなかったグロスクロイツが不憫だった。
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ドイツ代表
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2014ワールドカップ
2014年07月09日 23:39
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【ワールドカップ準決勝】ブラジル×ドイツ
■2014年7月9日(水) 5:00キックオフ
■ベロオリゾンテ
準決勝はブラジルとの一戦。2002年日本ワールドカップの決勝カードである。あの時は苦杯を喫したが今回は勝たなければならない。ドイツ代表はそれに値する力を身につけているし優勝するのは今をおいてない。
そのためには何としてもブラジルに勝たねばならぬ。準々決勝のフランス戦は決していい内容の試合ではなかったが、そういう試合をきちんと勝ちきれるところにドイツの強さがある。5時前に起きて出勤の支度をしながらテレビ観戦した。
ドイツはフランス戦からメンバーの変更なし。一方のブラジルは中心となるFWが準々決勝で脊椎に損傷を受ける大ケガを負い欠場。また主将であったCBも累積警告で欠く布陣となった。
ノイアー
ラーム ボアテン フメルス ヘヴェデス
ケディラ シュヴァインシュタイガー クロース
ミュラー クローゼ エツィル
序盤はブラジルがボールを支配、全体を押し上げてドイツ陣内で試合を進める展開になる。ドイツのファースト・シュートは7分、ケディラがミドルを放つがクロースに当たり枠外へ。ドイツも次第に固さが取れ、地に足がついてボールを持てるようになる。
11分、右サイドで得たCKをクロースが蹴るとファーのミュラーが右足でダイレクト・ボレー。これが見事に決まりドイツが1-0と先制。どうしてあんなところでミュラーがフリーになっているのかよく分からないが、ともかく、押され気味だっただけにこのタイミングでの先制点は大きかった。
ビハインドを負ったブラジルは積極的に前に出るがドイツは落ち着いた手堅い守備で応戦。奪ったボールはしっかりしたポゼッションから前線につなぎ、攻め急ぐことはしない。
23分、クロースが縦に入れたボールをミュラーがヒールで落としクローゼがシュート。これは敵GKにいったんセーブされたもののボールは再びクローゼの前に転がり、これを蹴りこんでゴール、2-0に。クローゼはこれでワールドカップ通算得点を16に伸ばし引退したブラジル人FWを抜いて単独トップとなった。
さらに直後の24分、右サイドを駆け上がったラームが中央にクロスを送ると、ニアのミュラーは空振りしてボールはそのままファーに流れたが、ここに走りこんだクロースが冷静に流しこんで3-0に。立て続けの失点にブラジルは集中を保つのが難しくなったように見えた。
しかし、ドイツの攻撃は止まらない。26分、クロースが敵MFに果敢なプレスをかけて敵陣でボールを奪うとゴールに向かいながら並走したケディラにパス、ケディラがこれをクロースに戻すと敵DFは完全に振らされクロースがフリーでシュートを流しこむ。これが決まり4-0に。畳みこみどころを心得たドイツの積極的な攻撃が容赦ない。
29分にはフメルスが持ち上がったボールをケディラにパス、ケディラは左のエツィルに預け、戻しを受けるとブラジルのDFはまたしても振らされてケディラがフリーに。これをしっかり流しこんで5-0。ドイツはわずか6分間で4点を挙げて試合を決めてしまう。「ブラジルの放送席の解説者は泣いています」というNHKの実況には笑ってしまった。
半ば戦意を喪失し攻撃も散発的になったブラジルに対しドイツはしっかりと試合を掌握。5-0で前半を折り返した。前半に大量点を取っただけに、試合が大味になり敵に対するリスペクトを失ってしまうのが怖い。1点を与えると流れが変わる怖さがあり、ゼロに抑えきることが重要で、考えようによっては難しい試合運びになる。
ブラジルは後半からボランチとSHを交替、一方ドイツはフメルスに代えてメルテザッカーをピッチに。ある程度引いてもいいからしっかり敵の攻撃を跳ね返せというメッセージかとも思ったが、どうもフメルスにケガがあったらしい。
ブラジルは後半開始から積極的に攻勢に出る。前線から圧力をかけ立て続けにシュート・チャンスを迎えるが、ドイツは52分、53分にノイアーが好セーブでピンチを救うなど集中した守備でゴールを守る。55分までの最初の10分に6本の浴びるがこの時間帯をしっかり守りきったことは大きかった。
58分、クローゼに代えてシュールレを起用。ミュラーをワントップに上げてシュールレは右SHに入ったように見えた。61分にはミュラーのシュートを敵GKにセーブされたが、69分、右サイドを上がったエツィルからニアのラームにボールが亘るとラームがエリア内でこれをさらに中央に送る。シュールレがこれにダイレクトで合わせゴール。6-0とドイツがリードを広げる。
後半序盤のブラジルの反攻をしのぎ、追加点を挙げたことで試合の帰趨はほぼ明らかになる。重要な追加点だった。76分、ケディラに代えて今大会初めての出場となるドラクスラーを起用。
シュールレは79分にもエリア内左寄りで受けたボールをワントラップしてシュート。角度はなかったがボールは鋭くバーに当たってゴール内に落ちるファイン・ゴールとなり7-0に。
ドイツはその後も試合をコントロール、90分にはカウンターから失点を許し7-1となったが時既に遅く大勢に影響なし。ドイツ語で「der Ehrentreffer(名誉のための得点)」とか「die Ergebniskosmetik(試合結果の粉飾)」とかいう類のゴール。結局ドイツがブラジルを相手に7-1という想定外の対象で決勝進出を決めた。
この試合、何より印象的だったのは、0-1とビハインドを負いながらも冷静だったブラジルが、2点目を取られて「マズいな」という雰囲気になったところにすかさずプレスをかけ、3点目、4点目を狙いに行って大きなダメージを与えたドイツの、「試合の勘どころ」をしっかり把握しそこを的確に突く力だ。
特に4点目の起点となったクロースの敵ボランチへの強烈なプレスからのボール奪取は、ブラジルがショックを受け集中を欠いているのを見て「今こそ打撃を与えるべき時だ」という明確な意図からなされていたように思う。
あと、後半に入っても好機には一気に攻め上がる組織力があり、追加点を奪ってブラジルの息の根を止めた。シュート14-18、ポゼッション53-47と、数字だけ見ればむしろブラジル優位にも見えるし、内容的には2-0くらいで妥当な試合だったかもしれないが、これだけの大差がついてしまったのはドイツの試合運びの巧みさ、やるべき時にやるべきことを容赦なく徹底してやる厳しさによるところが大きいと思う。
一方のブラジルは二人の欠場者、特にCBの出場停止が大きかった。この大会のブラジルは堅固で役割分担のはっきりした二人のCBがチームの核であり、そこから往々にして中盤をすっ飛ばして前線にボールを運び、FWの個人技で仕留めるというスタイル。
グループリーグのメキシコ戦、決勝トーナメント1回戦のチリ戦と2度も引き分けるなど、今回のブラジルは大味というか、決してチームとして洗練されている訳ではなかった。特にCBを入れ替えざるを得なかったこの試合では立て続けに失点、前半から無残に中盤が間延びして、ドイツに自由にボールをつながれた。
ドイツはこの大勝で緊張、集中を切らさないようにするのが最も大きな宿題。慢心しているつもりはなくても、どこかで「既にやりきった」感が出てしまうと決勝戦に集中するのは難しくなってしまう。メンタル・コントロールが極めて重要。まあ、そういうところはしっかりしてると思うけど。
評点(評点は
ドイツ式
):
ノイアー(2) ファインセーブで終了間際までクリーンシートを守ったのは大きい。
ラーム(2.5) 的確な攻撃参加。右サイドで起点になれることで攻撃に広がり。
ボアテン(3.5) 最後の失点は敢えてムリ追いしなかったか。集中した守備。
フメルス(3) 攻め上がりも面白かった。ケガは心配。
ヘヴェデス(4) 正直あんまり印象に残ってない。左サイドどうだったっけ。
ケディラ(3) いいところに顔を出し1ゴール。アップダウンで存在感出した。
シュヴァインシュタイガー(3.5) 中盤の底でボールを収めた。攻撃参加は限定的。
クロース(2) この試合は彼のゲーム。得点以上にアシストが素晴らしかった。
エツィル(4) 姿見かけず。シュートは2本打っているようだがどうだったか…。
クローゼ(3.5) 歴代得点王は大きな仕事。今日は宙転の披露はなかった。
ミュラー(3) 3点目の前の空振りは愛嬌か。大会得点王狙える。
===
メルテザッカー(3.5) 押し込まれた局面を耐えるにはちょうど適材だった。
シュールレ(2) 果敢な攻撃で流れを引き戻した。スーパーサブの仕事を全う。
ドラクスラー(-) 時間短し。
決勝の相手がアルゼンチンになるのかオランダになるのかは分からないが、ロッベンはふだんからブンデスリーガでよく見ているのでもういい。メッシと戦いたい。
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ドイツ代表
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2014ワールドカップ
2014年07月05日 13:08
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【ワールドカップ準々決勝】フランス×ドイツ
■2014年7月5日(土) 1:00キックオフ(日本時間)
■リオデジャネイロ
準々決勝はフランスとの対戦。1時からの試合は2〜3時間仮眠してから見るのがいつものスタイルだが、この日は飲み会で帰宅が12時を過ぎたので風呂に入ってそのままテレビ観戦に。正直眠かった。
ドイツは選手の数人がインフルエンザに罹患したとの報道があったものの、メンバーを見る限り大きな影響はなかったようだ。トップにクローゼを先発起用、またメルテザッカーを先発から外しフメルスがボアテンとCBのコンビを組んだ。右SBにはラームを起用し、シュヴァインシュタイガーがアンカー、クロースとケディラがインサイド・ハーフという布陣となった。
ノイアー
ラーム ボアテン フメルス ヘヴェデス
ケディラ シュヴァインシュタイガー クロース
ミュラー クローゼ エツィル
気温26度、湿度88%と蒸し暑い日中の試合ということもあってか慎重な立ち上がりに。どちらかといえばドイツがボールを支配し、フランスが受けに回る展開となるが、スピードに乗って一気呵成に敵ゴールに迫るというよりは、クサビをトリガーにしっかりボールを回しながら押し上げるポゼッション・スタイルの攻撃。
フランスは中盤で拾ったボールを少ない手数で前線に展開、力のあるFWに預ける形で何度かチャンスを作るが、ドイツの守備も集中しており最後のところでは身体を張った守りができており失点には至らず。
12分、ドイツは左寄りでクロースが倒されてFKを得る。クロースがこれを自らゴール前に蹴りこむと、ファーに走りこんだフメルスが敵DFと競りながらしっかり頭で合わせゴール。ドイツが早い時間にセットプレーから1-0とリードを奪う。
その後もドイツはしっかりとボールを保持しながらコンビネーションでボールを前線に供給、何度かチャンスを作る。24分にはクローゼがエリア内で敵DFにユニを引っ張られ倒されるが審判からは見えなかったかノー・ファウル。
一方でフランスも同点を狙って次第に攻勢を強めるが、ボアテンとフメルスが中央を固め、またノイアーの好セーブにも救われて得点を許さない。前半の終盤はフランスに立て続けにシュートを浴びるなど守勢に回るが守りきり、1-0と1点をリードして前半を終えた。
前半のシュートは3-7と、ボールを支配している割りには流れからフィニッシュまで行けていないことを示唆。
後半に入っても前に出るフランスに対して自陣で守りながら追加点のチャンスを窺う展開。ノイアーが好セーブでゴールを守るシーンが多く、今日も存在感が大きい。攻撃にノッキングが目立つドイツは69分、クローゼに代えてシュールレを投入。ミュラーがトップに上がりシュールレが右ウィングに入ったように見えた。
シュールレの投入で前線が活性化、72分にはミュラーが右サイドから裏に抜け出しシュートを放つがボールはゴール前を横切りファー・ポストの向こうに。82分、左サイドのエツィルのクロスは、中央でミュラーに合わなかったが、ファーのエツィルがシュート。しかし惜しくもGKにセーブされる。
83分、エツィル代えゲッツェを投入。しかし準決勝進出を前に出るフランスに押し込まれる時間が続く。ドイツはノイアーのセーブとDFの身体を張った守備でゴールを死守、試合は終盤へ。
アディショナル・タイムにクロースに代えてクラマーを投入、試合をクローズしに行くが、フランスの押し上げを受けて防戦一方。しかし敵FWのシュートはノイアーがファイン・セーブ、何とかセット・プレーで得た1点を守りきり、ドイツが同じヨーロッパのフランスを破って準決勝進出を決めた。
この試合、ポゼッションは51-49とほぼイーヴン、シュート数は9-13とフランスに見劣りしており、序盤こそ優勢に試合を進めてセット・プレーから先制点は奪ったものの、その後は効果的にチャンスを作ることができず、数少ないチャンスも決めきることができなかったことが分かる。
前半の途中からはどうしても得点の必要なフランスの攻撃を受ける時間が続いたが、これで得たカウンターのチャンスも生かすことはできなかった。クローゼはシュートなし、ミュラーも1本のみで、早い時間に得た先制点を意識して慎重な試合運びをした面はあるにせよ、何か素晴らしいものを見られた試合ではなかったと言うべきだろう。
一方でフランスは先制を許してからは前線の個人技を生かした攻撃で前に出たが、攻撃が単調でアイデアを欠き、チャンスはどれも単発に終ってドイツを助けた。ドイツはボアテンとフメルスがしっかり集中して身体を張った上、ノイアーが再三に亘る好セーブでゴールを守った。守り勝ちと言っていい。
この試合は、中身よりは局面において自分たちは今何をすべきかがしっかり理解、共有できている成熟したチームの強みという点をしっかり見るべきだろう。若い選手も含め、圧倒的な何かがある訳でなくても、勝つために今何をすべきかということがきちんと分かっているチームは強い。フットボールが文化として根づいている国のチームだからこそそれが共有できている。
規律と忍耐、いわゆるディシプリンにおいて上回ったドイツが内容はともかく手堅く勝ちを引き寄せた試合であり、こういう試合ができるのもドイツの強さ。準決勝はブラジルとの天王山。超えなければならない山であり、圧倒的なアウェイの環境でどれだけ力が出せるかが問われる。
評点(評点は
ドイツ式
):
ノイアー(2) 再三の好セーブで最少得点差を死守。存在感を存分に発揮。
ラーム(3) 攻撃では目立たなかったがクレバーな守備で完封に貢献。
ボアテン(3.5) フメルスとのコンビは悪くない。粘り強く対応できた。
フメルス(3) 貴重な先制点は見事。守備でも敵のFWにしっかり対応した。
ヘヴェデス(3.5) 攻撃参加難しかった。守備面は堅実に対応できたか。
ケディラ(3.5) 敵の中盤をしっかり抑えて十分組み立てさせず。
シュヴァインシュタイガー(3) 攻守の要として機能。アンカーは適任。
クロース(3.5) うかつなパスもあるがアシストになったFKは見事。
エツィル(3.5) よくボールに触ったがプレー選択にもう一工夫できないか。
クローゼ(4) 守備、ポストに身体は張ったが肝心のシュートはゼロ。
ミュラー(4) 前線でボールを受けたが効果的に動けず物足りない働き。
===
シュールレ(3) 攻撃を活性化。スーパー・サブとして役割を果たした。
ゲッツェ(-) 時間短し。
クラマー(-) 時間短し。もっと見たいね。
これであと2試合はできることが確定。最後まで楽しめる大会になった。
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ドイツ代表
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2014ワールドカップ
2014年07月02日 23:56
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【ワールドカップ決勝T1回戦】ドイツ×アルジェリア
■2014年7月1日(火) 5:00キックオフ(日本時間)
■ポルトアレグレ
決勝トーナメントの第1戦はアルジェリアと。日本時間早朝5時からの試合なので早起き。普通に90分で試合が終ってくれればギリギリ出勤間際で最後まで見られるはずだ。
ドイツは右SBとしてムスタフィが先発。ボアテンがCBにスライドしフメルスがベンチとなった。また、前線はミュラーのワントップに、右ウィングがエツィル、左ウィングがゲッツェという布陣になった。
ノイアー
ムスタフィ メルテザッカー ボアテン ヘヴェデス
クロース ラーム シュヴァインシュタイガー
エツィル ミュラー ゲッツェ
試合は序盤からドイツがボールを支配し、しっかりしたポゼッションと意図の明確な前線へのボールの出し入れて動きを作りながらアルジェリア陣内に攻め込む。一方のアルジェリアは自陣で引いてブロックを整え、ドイツの攻撃を待ち受ける構えだが、ボールを奪ってからは切り替えも早く侮れない。
ドイツは積極的にボールを持って前を向くが、決定的なパスにミスが出て敵にカットされる他、敵GKの再三のファイン・セーブもあってなかなか敵ゴールに迫ることができない。
ドイツは両サイドバックのムスタフィ、ヘヴェデスが極端に高い位置を取る一方、ラームが最終ラインにも落ちてスペースをカバーする。ビルドアップにはラームがかなり自由なポジショニングで起点となるが、敵の素早い切り替えからのカウンターには手を焼く。ノイアーが再三に亘るムリめの飛び出しを見せてエリア外でクリア、面白いが心臓に悪い。
結局、ドイツが終始優勢に試合を進めながらも先制点が奪えず、スコアレスで前半を終了した。前半のシュート数は9-4とドイツ優位を裏づけているが、敵GKの固い守りに苦しんで中盤でミスが出る悪循環。
後半からゲッツェに代わってシュールレを投入。次第に足が止まり始めるアルジェリアに対し前線までボールが運びやすくなる。ただ、ドイツは相変わらずミスが多く、また、守備も少なからず不安定で、アルジェリアのカウンターには注意が必要だ。
70分、負傷のムスタフィに代わってケディラを投入。ラームが右SBにスライドする。その後もドイツが主導権を握って攻撃を仕掛けるがなかなか得点に結びつかない。80分、ミュラーのヘディング・シュートは敵GKにセーブされ、こぼれ球に詰めたシュールレのシュートもゴールならず。
88分、25メートルほどの位置で得たFKに数人でフェイントをかけるトリック・プレー。蹴ろうとしたミュラーが直前でつまずいて転び、そのまま起き上がって前線へ。敵の守備が乱れたところでミュラーが裏に向かって駆けだし、そこにボールを出すという作戦らしかったが、ミュラーのコケ方がいかにもわざとらしく、失笑を買っただけに終わった。
結局90分で決着がつかず試合は延長に。僕はここで出勤時間となり泣く泣く家を出た。
92分、左サイドからエリア内に突っかけたミュラーが中央にクロス。ニアに飛び込んだシュールレが左足ヒールで流しこみゴール。ドイツが1-0と延長開始早々にリードを奪った。
その後は後がなくなって攻撃にでるアルジェリアに対してドイツがカウンターのチャンスをうかがう展開に。109分、シュヴァインシュタイガーに代えてクラマーを投入。
クラマーは117分、シュート・チャンスを逃したものの、119分、中央にボールを持ちこんだシュールレと、左に張ったエツィルが敵ゴール前でのパス交換。結局左寄りからエツィルがゴールを挙げ2-0と試合を決定づける。
120分、ドイツの左サイドを突破され、ファーに飛ばされたクロスに飛び込んだ敵FWにダイレクトで合わされ失点、2-1に。アルジェリアも意地を見せたかったと思うが、結局そのまま試合終了となり、ドイツは薄氷の勝利で何とか準々決勝進出を決めた。
ドイツは両サイドが高い位置を取る分、相手が素早く仕掛けてきたときに後ろが対応しきれず危ない形になることも多かった。きっちり勝ちきったことは評価したいが、90分のうちに決められなかったことは反省点。今後の厳しい優勝争いを考えれば今日の守備は心許なかった。
意図を持った組み立てはできており、この試合でもシュート数28-10、ポゼッション67-33、CK10-4とアルジェリアを圧倒したものの、内容的にはミスが多く、敵GKが当たっていたこともあるが、試合ごとの出来不出来にムラがあることが懸念される。
準々決勝はフランスとの対戦。前に出てきてくれる相手とはむしろ戦いやすいように思うが、もちろん侮る訳に行かない敵で、ここからは毎試合が天王山だと言う他ない。不安点をしっかり修正して臨みたい。
評点(評点は
ドイツ式
):
ノイアー(2) 再三の飛び出しでピンチを救ったがやややりすぎの感も。
ムスタフィ(5) ポジショニング、ボール扱いとも心許なくピンチを招いた。
メルテザッカー(4.5) 敵の素早いカウンターに苦しめられた。
ボアテン(4.5) 延長の1失点のみに抑えたが敵の対処に追われた。
ヘヴェデス(5) 高い位置で戦ったが裏を使われ後追いに。
クロース(4.5) パスミス多くリズムを作れず。
ラーム(3) 守備から攻撃への展開を演出、リズムを作った。
シュヴァインシュタイガー(3.5) ボールの引き出し方、前への供給とも一級品。
エツィル(3.5) 追加点は効果的。よくボールに触り前線の起点に。
ミュラー(4) FKでのわざとらしいコケはいかがなものか…。
ゲッツェ(4.5) あまりこれといって印象に残らず。特徴出せなかったか。
===
シュールレ(3) 途中出場で攻撃を活性化。ヒールでのシュートは見事。
ケディラ(4) 悪くないボールを前線に送った。
クラマー(-) 時間短し。
次の試合はクラマーもっと出ないかな。
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ドイツ代表
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2014ワールドカップ
2014年06月28日 11:17
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【ワールドカップGL第3節】アメリカ×ドイツ
■2014年6月27日(金) 1:00キックオフ(日本時間)
■レシフェ
金曜日未明1時キックオフ。金曜日には大事な仕事があったが木曜日帰って晩ごはん食べて10時半ごろにいったん寝て、1時前にもそもそ起き出した。
ドイツはここまで1勝1敗の勝ち点4。まだグループ・リーグ勝ち抜けを決めた訳ではないが得失点差にアドバンテージがあり、よほどの大敗をしない限り勝ち抜けはおそらく大丈夫という試合。一方、アメリカは引き分け以上で勝ち抜け、負けた場合はポルトガル×ガーナの結果次第という状況。
引き分けになればポルトガル×ガーナの結果に関わりなくドイツもアメリカも勝ち抜けるということで互いにスコアレス・ドローも意識した神経質な試合になることが予想される。この辺の呼吸の読み合いが難しい。
会場のレシフェは試合前から激しい雨が降り続き市街の一部が冠水、交通機関が機能せず、試合の延期も真剣に議論されたらしい。
アメリカ代表の監督は2006年のドイツ・ワールドカップでドイツ代表の指揮を執ったユルゲン・クリンスマン。ドイツ代表のヨアヒム・レヴ監督は当時のアシスタント・コーチであり、メディア的には師弟対決と言われているが、あの時ドイツ代表の戦術を実際に立案していたのはレヴの方ではなかったか。
ドイツはインサイド・ハーフのケディラに代えてシュヴァインシュタイガーが大会初先発。また左ウィングにはゲッツェに代えてポドルスキが先発した。
ノイアー
ボアテン メルテザッカー フメルス ヘヴェデス
クロース ラーム シュヴァインシュタイガー
エツィル ミュラー ポドルスキ
試合は激しい雨の中でキックオフ。雨中の試合はまた特別な消耗があると思うが、少なくとも気温は高くなく、ドイツには戦いやすいのではないか。
一部の予想に反して試合は互いに相手の出方を探ることもなくガチで打ち合う真剣勝負に。実力差の通りドイツがボールを支配し効率のいいポゼッションから意図のあるパス出しでアメリカのゴールを脅かす。一方でアメリカも集中した守備から奪ったボールを中盤経由で素早く展開しカウンターから攻め込む形で応戦。前節のガーナ戦に比べるとスピード感のある試合になった。
ドイツはラームが最終ラインから引き出したボールを自在に前線に供給、ポドルスキ、エツィル、ボアテンらから中央に入る正確なクロスで先制点を狙うが最後のところが合わず。アメリカは22分、カウンターで攻め上がり、ドイツの右サイドから厳しいシュートを放つがわずかにバーの上。ドイツの方が優勢ではあるものの互いに勝ちを狙いに行く姿勢は鮮明に。
中盤での拮抗したつばぜり合いが続きゴール前でのチャンスは少なくなり、結局前半をスコアレスのままで折り返す。シュート数は6-2と決して多くないがスピード感があり局面の競り合いにも迫力のある好ゲーム。
ドイツは後半からポドルスキに代えてクローゼを投入。ミュラーが左ウィングに下がりクローゼがワントップに。
後半開始早々から攻勢を強めたドイツは47分、ボアテンからのクロスにエツィルが頭で合わせるが敵DFに身体を寄せられシュートは枠外に。52分、左からのクロスにクローゼが飛び込むが合わせきれず。
だが55分、右からのCKに中央でメルテザッカーが頭で合わせると、このシュートはGKがセーブしたもののこぼれ球がファーのミュラーに。ミュラーはこれをダイレクトでゴールに突き刺しドイツが1-0と先制する。セットプレーなどのこぼれ球を後ろで控えた選手がドーンとシュートするのは、ドイツ語では「Nachschuss」という呼び方があるのだが、これに相当する日本語が欲しい。「ドーン」か。ダイレクトであれだけのコントロール・シュートを打てるところにドイツの強みを感じる得点。
この間、ポルトガル×ガーナはポルトガルが前半に先制したものの、後半にガーナが追いつくという展開に。ポルトガル×ガーナが同点である限り、ドイツとアメリカは自分たちの試合結果に関係なく勝ち抜けだが、ガーナが勝てばアメリカは引き分けが必要になるという難しい状況でアメリカは高度なゲーム・マネジメントを強いられる。
僕の目には「大敗だけは避ける」という考え方で、リードされてもムリにリスクを負って前に出るよりは、しっかり守ってチャンスを窺うという戦い方を維持しているように見えた。試合は引き続きドイツが主導権を握り効果的なポゼッションから攻撃するが、ドイツもリードを奪ったことでリスクを負う必要がなくなり展開はやや落ち着く。
76分にはシュヴァインシュタイガーを下げてゲッツェを投入、ドイツはその後も時間を使いながらボールをコントロールする。一方、同時に行われていたポルトガル×ガーナは80分にポルトガルが再び勝ち越し。アメリカは1点差で負けてもグループリーグを勝ち抜けることがほぼ確実になる。
ドイツは89分、エツィルに代えてシュールレを投入。アディショナル・タイムにはアメリカに立て続けにクリティカルなシュートを許したものの守りきり、1-0でグループ・リーグ2勝目を挙げて勝ち点7の首位で突破を決めた。また、アメリカも勝ち点4ではあるが、同勝ち点のポルトガルとの得失点差で勝ち抜けとなった。
状況に応じて今何をなすべきかということがしっかり共有できているドイツの強さが際立つ試合で、これは何度も大舞台で戦った経験のある国の特徴だろう。もともとよほどの大敗でない限りグループ・リーグ突破が確実視される状況であり、マネジメントは比較的容易だったと思うが、そういう状況で浮足立つことなく確実に最少得点差の勝利を得るところが実にカッコいい。
ガーナ戦よりも自信を持ってボールを扱えており、アメリカより休養が1日多かった日程上のアドバンテージもあって、余裕のある戦いぶりでしっかりボールを保持、試合の流れをコントロールした。ハイプレスからの高速ショート・カウンターという戦術と、ポゼッションを得て効果的なボール回しからギャップを狙って崩す戦術との使い分けが見事で、チームとしての成熟を感じさせた。
これはもちろん監督、選手の力であると同時に、ドイツという国の中でフットボールというものがしっかり理解され、その戦い方にきちんとした議論や理解、支持や反論があり、勝や負けが国民的なイベントとして共有されてきた国の強さだ。それはフットボールがいかにドイツという国に根づいているかということであり、ひとりひとりのドイツ人がどれだけ真剣にフットボールを楽しんでいるかということの表れなのだ。
そうしたバックボーンがあってこそ、レヴ監督に8年もチームを預け、勝ったり負けたりしながらチームを作り上げることもできるのである。そしてそれはドイツのフットボールの歴史と直接つながっている。敵の監督がクリンスマンだったということもそうしたドイツにおけるフットボールの受容のあり方を象徴しているようだ。
ドイツはベスト16でアルジェリアと対戦。簡単な敵ではないがしっかり力を出しきることができれば勝機は十分ある。このチームでタイトルを勝ち取りたい。
評点(評点は
ドイツ式
):
ノイアー(3) 何度か試される場面もあったが問題なし。ボールさばきもいい。
ボアテン(3.5) タイミングのいい攻撃参加から好クロスを供給。
メルテザッカー(3.5) アメリカのカウンターにもしっかり対応できていた。
フメルス(3.5) 強さを生かして敵FWを封殺。落ち着いてプレーした。
ヘヴェデス(4) 攻め上がりと裏のケアの難しいマネージを強いられた。
クロース(4) 中盤で敵の攻撃の芽をしっかり摘んだ。
ラーム(3) 最終ラインから前線までチームの要となる活躍。
シュヴァインシュタイガー(3) 独特の動きで攻撃のトリガーになった。
エツィル(3.5) 気の利いた動きは見せたがもっと自分で行っていい。
ミュラー(3.5) 得点は見事。規律のある動きでゼロトップの見本に。
ポドルスキ(4) さすがのプレーもあったが入りきれなかった感。
===
クローゼ(4) 今日はワンポイントで合わず。守備にも貢献。
ゲッツェ(-) 時間短し。
シュールレ(-) 時間短し。
この試合、ホーム扱いのアメリカが白のファースト・ユニだったため、ドイツはこの大会で初めてセカンドを着用。これが赤黒の太い横縞でラグビー・ジャージみたいな可愛い柄でなかなかよかった。ブンデスリーガで言えばフランクフルトのユニに近いか。ドイツのセカンドは深紅だったこともあるし緑や黒だったこともあって面白い。
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ドイツ代表
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2014ワールドカップ
2014年06月22日 16:50
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【ワールドカップGL第2節】ドイツ×ガーナ
■2014年6月22日(日) 4:00キックオフ(日本時間)
■フォルタレザ
日曜日の朝4時キックオフなので、中継を録画し、6時ごろ起きて時差観戦した。起きていきなりツイッターとか見ると結果が書かれてたりするので気をつけないと。
ドイツは初戦でポルトガルに快勝、この試合に勝てばグループリーグ勝ち抜けが決まる。ガーナはヨーロッパの強豪チームで活躍する選手を揃えた強敵だが、初戦アメリカに敗れており、何としても勝ち点を得なければならない状況。厳しい戦いになることが予想されるがドイツとしては当然勝ち点3を取りに行くべき試合。ドイツは初戦と同じ布陣となった。
ノイアー
ボアテン メルテザッカー フメルス ヘヴェデス
ケディラ ラーム クロース
エツィル ミュラー ゲッツェ
ガーナにはドイツのジェローム・ボアテンの兄でシャルケ所属のケヴィン・プリンス・ボアテンがおり兄弟対決ということになる。兄弟がそれぞれ別の国の代表になり、ワールドカップで対戦するとか考えてみればすごい巡り合わせである。
試合はドイツがボールを支配し、ガーナが引き気味の守備からカウンターという展開になるかと思われ、実際序盤はそんな感じもあったのだが、ガーナはそこまでドン引きという訳でもなくラインは高めでコンパクトな陣形を維持、ドイツは持ったボールを展開するスペースを探しあぐねる。
ドイツは11分にクロースがファースト・シュートを放つが枠に収まらず。一方ガーナは13分にMFが鋭いシュートを枠に飛ばすがノイアーがセーブ。18分には右サイドのエツィルが中央にクロスを送るがケディラのシュートは枠外。21分にも同じようなシーンで今度はミュラーが中央に飛び込むがシュートは打ちきれず。
ドイツは隙間を見つけてはボールを縦横に出し入れし、全体が動いたところで出来たギャップにボールを運ぼうとするが、いかんせん窮屈でガーナの守備網に引っかかることも多く、なかなか思うように前線にボールを展開できない。暑さのせいもあってかドイツは出足が鈍く、局面での競り合いやセカンドへの反応で遅れを取るケースが頻出、次第にガーナにボールを持たれるようになり、ポゼッション的にはほぼ五分の流れになって行く。
33分、敵MFの強烈なミドルをノイアーがパンチングで何とかクリア。サイドからの攻撃に対応が遅れ、斜めに動いてくる相手を捕まえきれずチャンスを作られる。CBもスピードで勝負を挑まれ対応に苦労する。この時間帯はドイツが明らかに後手に回っており、調子の出てきた敵の攻撃を何とかしのぐという印象のシーンが続く。
主導権をグリップできないままスコアレスで前半を終えた。
ドイツは後半から右SBのボアテンに代えてムスタフィを投入。ボアテンが筋肉に違和感を訴えたらしい。試合は後半開始早々に動く。51分、右に流れたミュラーが中央にクロスを送ると、走りこんだゲッツェがフリーでヘディング。ボールは顔面に近いところに当たり、ゲッツェの左ひざに当たってゴールへ。ドイツが1-0と先制する。ゲッツェのヘディングも珍しいと思うが、微笑ましい得点でドイツに流れが来たかに思えた。
だが、54分、ドイツの左サイドから中央にクロスを入れられると、中央ではメルテザッカー、フメルスが待ち構えていたにも関わらず敵FWのヘディングを許し失点。あっという間に1-1と追いつかれてしまう。得点後の最も集中しなければならない時間帯にあっさり失点。クロスも簡単に上げさせすぎた。
さらに63分、自陣での横パスを敵にカットされそのまま前線にいた敵FWに展開される。裏に抜け出した敵FWが放ったシュートはノイアーも触れずファーのサイドネットに突き刺さって立て続けに失点。1-2と10分ほどの間に逆転を許す。
その後も攻撃を構築できないドイツは69分、ケディラとゲッツェを下げ、シュヴァインシュタイガーとクローゼを投入、交替枠を使いきって勝負に出る。
直後の71分、左サイドのクロースのCKにニアでヘヴェデスが頭で合わせたボールはファーポスト近くへ。ここに詰めたクローゼが爪先で押し込みゴール。ドイツが2-2と同点に追いつく。クローゼはワールドカップでの通算得点を15に伸ばし、歴代1位タイとなる。しかしながらゴールの得意の宙転では着地に失敗。全盛期に比べれば踏み切りが浅く滞空が短かった。尻もちをついた程度で済んだが、下手したら腰を強打したりしかねない。
その後は、ガーナにもさすがに疲れが出たか、攻撃の後の帰陣に遅れが目立ち始め、中盤にスペースができるようになる。シュヴァインシュタイガーがこのスペースを使って積極的に配球、ドイツが徐々に反撃に出られるようになる。
84分、スルーパスに抜け出したミュラーがシュート・モーションに入るが直前にブロックされ打てず。その後も互いに勝ち点3を狙って仕掛けたが決勝点はどちらにも入らず、力の入った試合は2-2の引き分けに終わった。
タイトにスペースを消され、ハイプレスから高速カウンターを浴びると、ドイツといえども苦戦するというドイツ対策の手本を示したような試合。加えてドイツ自身の動きも悪く、ボールへの出足が遅れて終始ガーナの後追いに。先制点、同点弾はさすがにやられっぱなしにはならないメンタルを示したが、顧みるべき点の多い内容で、引き分けの結果は妥当なもの。負けていてもおかしくなかった。
特にスピードに乗って攻め込まれ、斜めに人が入ってくる中でボールを動かされた時の対応の心許なさは修正が必要だ。また、サイドで戦いきれずに裏を使われて簡単にクロスを上げられたり起点を作られたりしていたのも検証が必要だ。高温はともかく、多湿で体力を奪われ想定以上のメンタルの疲労が判断を遅らせた印象が強かった。ポゼッションは59-41と優位だったが、シュート数は18-12と劣勢だった。
ドイツにも最高気温が30度を超える暑い日はあるが、基本的に乾燥しており日陰に入ってビールでも飲めばしのげるのが普通。蒸し暑いという感覚は日常の中にはなく、日中の試合では未知の消耗の仕方をしている可能性が高い。動きの重い試合で、負けの許されないガーナのモラルの高さに圧倒されたという他ない。
最低限の勝ち点1を得たことは大きかったが、これでグループリーグ勝ち抜けは最終節の結果を待つことになった。守備の脆さに不安が残る。メルテザッカー、フメルスともに大型ながらフィジカル重視の跳ね返し要因という訳ではなく、相応に足許の技術もあるはずだが、スピードに難があり、ビルドアップが上手いとも思えない。このポジションに現代的な人材が欠けているように思われる。
最終節、アメリカ×ドイツは金曜日の未明1時キックオフ。修正が必要だ。
評点(評点は
ドイツ式
):
ノイアー(3) 前半のピンチは好セーブでしのいだが2失点は残念だった。
ボアテン(5) サイドで敵に起点を作られる。兄弟対決も勝ちきれず。
メルテザッカー(5) 敵の斜め走りに手を焼く。1失点目はやられてしまった。
フメルス(4.5) エリアにカギをかけることができず。意外に機動性ないのか…。
ヘヴェデス(5) 難しいポジショニングを強いられ裏を使われた。
ケディラ(4.5) 中盤でボールを収められずセカンドにも行けなかった。
ラーム(4) 終盤は前線にも顔を出した。代表の核として機能している。
クロース(4) 機動的に動きチャンスメイクしたが局面の出足遅い。
エツィル(4.5) 自分で切れこむ動きを見せておいてもよかった。
ミュラー(4.5) 今日は当たらなかった。プレーのムラが気になる。
ゲッツェ(3.5) 先制点を顔で押し込んだのは愛嬌か。球際の強さを。
===
ムスタフィ(4.5) 攻撃参加は効いたが守備では後追いになった感。
シュヴァインシュタイガー(3.5) 短い時間だが流れを強引に引き寄せた。
クローゼ(3.5) FWらしくワンプレーで1日の給料を稼いだ。着地は失敗。
クラマー出して欲しいな〜。
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ドイツ代表
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2014ワールドカップ
2014年06月17日 22:48
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【ワールドカップGL第1節】ドイツ×ポルトガル
■2014年6月17日(火) 1:00キックオフ(日本時間)
■サルバドール
難しい時間の試合。普通に3時まで起きていると睡眠時間が2時間とか3時間になって翌日の仕事に差し支えかねないので、11時から1時まで寝て、試合を見てから3時から6時まで寝たが、2時間+3時間の睡眠は5時間通しの睡眠にかなわないことが分かった…。
ドイツの初戦はポルトガル。小国ではあるがクリスチアーノ・ロナウドを擁する強豪である。この試合でこの大会の行方が占われると言ってもいい大事な一戦だ。
ドイツは前線に典型的なCFを置かない所謂ゼロ・トップ。またシュヴァインシュタイガーをベンチに置きラームをアンカーで起用した。実際にはラームとクロースのダブル・ボランチに見えたが。
ノイアー
ボアテン メルテザッカー フメルス ヘヴェデス
ラーム クロース
エツィル ケディラ ゲッツェ
ミュラー
コイントスで勝ったポルトガルがチェンジを選択、ドイツは前半GKが直射日光を浴びるサイドでの守備となる。
試合は例によって慎重な立ち上がり。徐々にドイツがボールを支配し、正確なコンビネーションからボールを支配するが、暑さのせいかスピード感に欠け、フィニッシュまではなかなか持ち込めない。次第にポルトガルにセカンド・ボールを拾われるようになり、ポルトガルのポゼッション・ゲームのようにすら見える展開に。
8分には右サイドから敵FWの抜け出しを許しGK至近からシュートを放たれるが角度がなくノイアーが処理。直後には敵GKの不用意なパスをケディラが拾いワンタッチで無人のゴールを狙ったが外れる。
転機は比較的早くやってきた。11分、ゲッツェがパスを受けてエリア内で仕掛けたところ、敵DFに袖を引っ張られて転倒、PKを得る。決してそこまで激しい引き倒しではなかったと思うが、やはりエリア内での手の使用には厳しく対処するとの意思の表れと見た。これをミュラーが手堅く決めてドイツがPKで1-0と先制。
リードを得て、敢えてリスクを取らず慎重なパス回しから敵の守備網が乱れたと見るやスピードアップして仕掛けるドイツの攻撃に対しポルトガルは積極的に前に出ようとするが攻撃は散発に。
28分、敵FWが筋肉系の負傷で交替。PKはともかく、この辺からポルトガルとしては歯車が狂い始めたと思う。32分、右CKをクロースが蹴ると、ゴール正面でフメルスが頭で合わせゴール。ドイツが1点を追加し2-0と順調にリードを広げる。
さらに37分、前線でミュラーが敵DFと競った際にひじ打ちを受け倒れる。この時点で笛は鳴っていたが、その後、敵DFがミュラーに近づき頭突き。これを審判が見逃さず敵DFは退場となる。ドイツはこの時点で数的優位を得る。これで完全にポルトガルが自滅した。
前半のアディショナル・タイムには、ミュラーが後方からのクロースのパスを敵DFがトラップしたところを奪いそのままシュート。これが決まりこの日2点めを挙げリードを3-0と広げる。
後半に入るとドイツは明らかにリスクを避け時計を進める戦い方に。必要があれば45分間キープも辞さずという明快な姿勢が、数的優位も得てドイツにプラスに作用する。ドイツはボールをキープしながらも敵陣ではムリをせず何度も作り直す攻撃に。時間はどんどん進んで行く。
51分、ゲッツェからのパスを受けたエツィルが裏に抜け出し敵GKと一対一になるがシュートはGKに当ててしまう。63分、エツィルに代えてシュールレを投入。69分にはゲッツェがシュールレからのパスをゴール前で受けるがコネる間に詰められてシュートはブロックされる。
ドイツは73分、フメルスに代えてムスタフィを投入。ボアテンがCBにスライドしムスタフィは右SBに。
78分、右サイドを駆け上がったシュールレが中央へグラウンダーのクロスを入れる。いったんはGKが弾いたが、そのすぐ前に詰めたミュラーがこれを流しこんでゴール。4-0と試合を決定づける。ミュラーはこれで今大会最初のハットトリック。82分にはミュラーに代えてポドルスキを投入し、試合をクローズに。
ドイツはその後も危なげなく試合を支配、アディショナル・タイムにはロナウドのゴール正面からのFKに対してノイアーが「壁は2枚でいい」のサイン。ロナウドのキックは枠に飛んだがノイアーがこれをセーブ。壁でキックの瞬間が見えなくなることや、壁でボールが跳ねることを嫌ったのだと思うが、このシーンはカッコよかった。
結局、ドイツは4-0と終始試合を支配して完勝。初戦をきっちり勝ちきるところにこうした舞台の戦い方を知る国の強さを見た。
ドイツは早めの時間帯に先制を得てその後はリスクを取らない戦いにシフト。暑さもあってかムリにスピードアップしない戦術も興味深かった。その意味でこの試合は前線からの積極的な守備、攻守の速い切り替えから高速カウンターというドイツの得意パターンから見れば、敢えてスローダウンしたと言っていい。
特にPKで1点を先制してからは現実的なゲーム・マネジメントが顕著。この辺が国としての強さなんだなと感じた。そういう「勝ち方」が代表選手の間できちんと共有されているのはすごい。
おそらく「勝ち方」は監督の指導とかチームの方針ということではなく、個々の選手の戦術理解の総体のようなものなのだろう。これはある種の「文化」である。日本が欲しいのもこの「文化」であり、「常識」としてプレーヤーにもサポーターにも根づいた理解である。
とはいえ、ドイツの戦い方が完璧だったかといえばもちろんそんなことはなく、どちらかといえばポルトガルが自滅したゲームだったと言うべき。後半二度のビッグ・チャンスに決めきれなかったことは反省点だと思う。フィニッシュの精度には向上の余地がある。
ともかく、この勝利でドイツの星勘定はグッと楽になった。次節、ガーナは厳しい相手だが、しっかり勝ちきって勝ち抜けを引き寄せたい。
評点(評点は
ドイツ式
):
ノイアー(2.5) 「壁は2枚でいい」にしびれた。ビッグ・セーブも多かった。
ボアテン(3.5) 手堅いプレーでサイドを封殺。対人の強さを発揮した。
フメルス(3) 得点は素晴らしかったが守備での貢献が大きかった。要になった。
メルテザッカー(3.5) フメルスのカバー中心。このキャリアでまだ20代とは。
ヘヴェデス(3.5) 正直印象に残らず。無難な出来。
ラーム(3.5) 中盤の底で守備の中心、攻撃の起点に。この適応性はすごい。
クロース(3) 再三チャンスを演出。攻撃のスイッチを入れられる男。
エツィル(3) 自在にポジションを捨てて顔を出す。ダテに羽生に似てない。
ケディラ(3.5) 上がり目だったように見えた。序盤のシュート決めたかった。
ゲッツェ(3.5) 後半のチャンスは逡巡せずワンタッチで打ちたかった。
ミュラー(2.5) 流れからのファイン・シュートはなかったがこれが決定力か。
===
シュールレ(3) 配球にアピールあり。戦術眼の高さを示した。
ムスタフィ(-) 時間短し。ごめんあんまり見てなかった。
ポドルスキ(-) 時間短し。連係できなかった印象。
PK、CK、押し込み、押し込みと、決して格好のいい得点ではないが、敵の退場に乗じて最も効果的に試合を進めようとするドイツに学ぶべき点は多い。結果をきちんと持ち帰ったのがすごいわ。今日は早く寝よう。
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ドイツ代表
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2014ワールドカップ
2012年06月30日 01:00
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【EURO2012準決勝】ドイツ×イタリア
■2012年6月28日(木) 20:45
■Nationalstadion
準決勝はイタリアとの対戦となった。できればイングランドをボコボコにしたいところだったが仕方ない。日本時間では金曜日未明3:45からの試合で、6時半の出勤までに試合を見終わろうと思えばほぼリアルタイムで見るしかなかった。4時に起きて前半は追っかけ再生をしたが、ハーフタイムに追いついてしまった。
ドイツは準々決勝のギリシャ戦から中5日。イングランドとの準々決勝を延長、PKとフルに戦った上、中3日のイタリアと比べればずっと有利な条件であることは間違いない。しかし、レヴ監督は再びメンバーを代えてきた。トップにはクローゼの代わりにゴメスが先発、右SHにはクロース、左SHにポドルスキと前節から3人を交替させている。
ノイアー
ボアテン フンメルス バドシュトゥバー ラーム
シュヴァインシュタイガー ケディラ
クロース、エツィル、ポドルスキ
ゴメス
序盤はドイツが主導権を握る。対応の遅れがちなイタリアのDFに対しスピーディな展開から敵ゴールに迫り得点機を作るが得点を奪うことができない。そうこうするうちにイタリアも徐々にリズムを作り始め、20分、左サイドから上げられたクロスに敵FWが頭で合わせイタリアが1-0と先制。バドシュトゥバーがマークについていたが巧みにかわされてしまった。
先制されたドイツは1点が必須になる。この時点では時間もまだまだある訳で、主導権は握れており焦る必要はなかった。ドイツはボールを支配しながらチャレンジを続けるが、敵GKの好セーブにも阻まれ得点に至らず。この時間帯にしっかり追いつくことができなかったのが結果として大きく響くことになる。
すると36分、敵陣から裏に決定的なスルーパスを出される。完全に裏を取られラームが追いかけるが敵FWの抜け出しを許し、見事なミドルを決められて0-2に。前半のうちに2点のリードを許したことでドイツのゲームプランは完全に狂ってしまう。1点差はおそらく想定の範囲だったと思うが、この失点は敵にはボーナス・ポイントであり、この試合の最大のポイントだった。
この失点をきっかけにドイツの連係は見る影もなく失われて行く。一方で余裕の出たイタリアは主導権を奪い、さらに3点目を狙いに行く構えを見せることでドイツの攻撃のコストをさらに高めようとする。結局0-2で前半を終了する。
ドイツは後半開始からポドルスキとゴメスに代えてロイスとクローゼを投入。完全に消えていた二人の交替はやむを得なかっただろうが、それなら前節からメンバーを入れ替える必要もなかったということだな。ドイツはこれによって機動性を増し、チャンスを作るがシュートミスもありゴールが遠い。61分、ロイスが素晴らしいFKを枠に飛ばすが敵GKがバーに逃れる。
71分にはボアテンを下げてミュラーを投入。シュヴァインシュタイガーがCBに落ちてスリーバックになったようにも見えた。しかし時間の経過とともにドイツは焦りが出て攻撃が次第に単調になり、楽に守られるようになる。この時間帯になると、コンディションでアドバンテージがあるはずのドイツの方が明らかに疲れて見えた。メンタルなものも随分あっただろう。
アディショナルタイム、敵エリア内でハンドを誘いPKを獲得。エツィルがこれを決めて2-1と1点差に詰め寄るが時既に遅し。そのまま試合終了となりユーロ2012は終了した。
この試合、序盤は決して悪くなかったが決めきれずにいる間にワンプレーから失点し、さらに前半の間に裏を取られて2点差になったところで実際には勝負あったということだろう。ドイツは懸命に修正しようとしたものの、このレベルで2点の余裕を持たれると追いつくのも難しかった。
この大会、ドイツは完成度の高いサッカーを披露したがビハインドを背負ったときにピッチの中でチームを引っ張るリーダー的存在が見当たらなかった。本来ならシュヴァインシュタイガー辺りがそういう役割を果たさなければならないのだろうが、この試合ではシュヴァインシュタイガーの調子が悪く(足を傷めていたとも)、全体を鼓舞するような状況でもなかったか。
ゴメスの淡泊さも目についた。ツボにはまったときの決定力はあるが、チームメイトと有機的に絡んで動き、自ら敵のギャップを作るという点ではやはりクローゼに一日の長がある。前節先発させたクローゼ、ロイスを再びベンチに戻したのは、ギリシャは格下と見てメンバーを試したということか。結果論的に言えば、前節と同じ布陣の方が面白い結果にはなったかもしれない。
ドイツはまだまだ若いチームだし、このベースの上に次のブラジルでのワールドカップを見据えたチームを作り上げるのだろう。レヴ監督が続投することを期待したい。
採点(
採点の見方
):
ノイアー(4) 失点はノーチャンスか。それ以外は見せ場少なし。
ボアテン(5) 裏のスペースを再三使われた。クロスの質も今ひとつ。
フンメルス(4.5) 敵攻撃の対応にバタついた。
バドシュトゥーバー(5) 最初の失点ではマークにつききれず。
ラーム(5) 2失点目では裏を取られ後追いの屈辱。
シュヴァインシュタイガー(5) コンディションが悪かったのか精度欠いた。
ケディラ(3.5) 積極的に仕掛けようとした。
クロース(4.5) 消えている時間長し。ボアテンとの連係も今ひとつ。
エツィル(4) よくボールを触ったが有効射程になかなか入れず。
ポドルスキ(5) ほぼ存在感なし。今大会通じ下降線をたどった。
ゴメス(5) ここまでボール届かず。動きが少なく貢献見劣り。
===
クローゼ(4) 前線で身体を張ったが得点にはつながらず。
ロイス(3.5) FKには可能性を感じた。この経験を生かして欲しい。
ミュラー(-) 時間短し。
ああ、これで月曜日の朝は早起きする必要がなくなった。
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ドイツ代表
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EURO2012
2012年06月23日 10:28
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【EURO2012準々決勝】ドイツ×ギリシャ
■2012年6月22日(金) 20:45キックオフ
■PGE Arena
土曜日未明の試合なので、朝5時半に起きて録画を追っかけ再生。本当はもっとゆっくりでもよかったんだけど、子供が登校で7時半に家を出る前に見たいと言うので…。
グループリーグを3勝で突破したのはドイツだけらしいが、レヴ監督はメンバーをいじってきた。右SBに出場停止明けのボアテンが復帰した他、右SHにロイス、左SHにシュールレと両翼をミュラー、ポドルスキから入れ替え。さらにワントップは好調のゴメスを外しクローゼを先発させた。布陣はこんな感じ。
ノイアー
ボアテン フンメルス バドシュトゥバー ラーム
シュヴァインシュタイガー ケディラ
ロイス エツィル シュールレ
クローゼ
過去にギリシャ代表には負けたことがないということだが、楽勝ムードは禁物。一発勝負なのでワンチャンスでも決められればそのままやられるリスクはある。まあ、その辺は僕なんかに言われなくてもドイツの人たちはよく分かっているはずだが。
試合はドイツが圧倒的にボールを支配。ほぼハーフコートマッチの様相を呈する。ギリシャは自陣で引いて守り、ゴール前を分厚くして奪ったボールはカウンターで展開するという戦術を徹底している。
ドイツとしては主導権を握りながらもカウンターのケアをおろそかにして先に失点する訳には行かず、ギリシャの堅い守備を崩すのにも苦労して神経質な戦いを強いられる。前線ではこの試合で起用されたロイス、シュールレがエツィル、ケディラらとも絡んでチャンスを作ろうとするが、敵陣に入ってしまうとスペースが少なく、敵の人数も多く、動ける余地が限られてダイナミックな攻撃が展開しにくい。
スコアレスのまま推移するとワンチャンスでの失点リスクが高まる。早く先制点が欲しいドイツだが、それが焦りにつながると形を崩す怖さもあって、力の差のある一発勝負というのもそれはそれで難しいと実感する試合に。
敵陣でボールを持ち続けるものの手詰まり感が徐々に色濃くなる中で、ドイツが待望の先制を果たしたのは39分。ラームが左サイドでパスを受けると絶妙のトラップで敵DFを二人ほど置き去りにし、ボールを置き直してゴール右上にきれいなシュート。ドイツは前半のうちに先制できたことで一気に有利になる。1-0で前半を終了。
ところが後半に入った55分、敵の鋭いカウンターを浴びる。ドイツの左サイドを抜け出され、併走したFWがクロスに合わせて同点に。敵FWについていたボアテンが最後に一歩前に出られたように見えた。
試合は振り出しに戻り流れ的にはイヤな感じ。だが、ここからがドイツのタフなところだった。再びリードを奪うべく攻勢を強めた61分、ボアテンからのクロスに中央でケディラがボレーで合わせゴール。ドイツが2-1と勝ち越す。この得点は試合の流れの中でも重要だったが、ケディラの技術も素晴らしかった。
ドイツは67分、シュールレに代えてミュラーを投入。68分、エツィルのサイドからのFKにクローゼが得意の頭で合わせ3-1に。残り時間を考えればセーフティ・リードとはまだ言えないものの、ワンチャンスで試合が振り出しに戻るリスクはなくなりこれでドイツはグッと楽になったはずだ。
さらに74分、クローゼのシュートを敵GKが弾いたこぼれ球にロイスがダイレクト・ボレーで合わせゴール、4-1として試合を決める。80分にはクローゼとロイスを下げてゲッツェとゴメスを投入。89分にはボアテンのハンドからPKを献上し4-2と一点を返されたものの、ボールを手放さず危なげなく試合をクローズ、ギリシャに完勝した。
リードが奪えるまではリスク含みの難しい試合だったし、先制しながら敵のカウンターを止めきれず追いつかれたことは反省材料だが、最後には実力を示してギリシャを突き放したのは大舞台での戦いを心得ているドイツらしい。
得点こそなかったがシュールレは左サイドからの仕掛けがよかったし、ロイスは消える時間帯がありポジショニングに戸惑っている様子もあったが得点で思いきりのよさを見せてくれた。ロイスとゲッツェの両翼を見てみたい気もしたが、この組合せは来季BVBでイヤというほど見られることだろう。
崩しきったというよりは「ズドン」みたいなゴールで勝った試合ではあるが、トーナメントなのでそれでいい。準決勝はイングランド×イタリアの勝者と戦うことになる。どちらが来てくれてもいいが、どちらかといえばイングランドに上がってきてもらってボコボコにしてやりたい感じがするな。
採点(
採点の見方
):
ノイアー(3) ほぼ仕事なかったがカウンターへの鋭い飛び出しは光った。
ボアテン(4) 攻撃参加では存在感を見せたが守備では二失点に絡む。
フンメルス(3) 中央を封鎖、いつの間にか守備の柱になりつつある。
バドシュトゥーバー(3.5) 手堅い守備で高いラインの後ろをケアした。
ラーム(2.5) 機を見た攻め上がりが先制点を生んだ。トラップが見事だった。
ケディラ(2.5) あのボレーは練習してできるものではないのではないか。
シュヴァインシュタイガー(3) 真面目にポジションを取り直し配球役として君臨。
ロイス(3) 消える時間帯もあったが得点は見事。名前を印象づけた。
エツィル(2.5) スペースがない中でもアイデアを出し続けた。
シュールレ(2.5) 得点はないが再三左サイドを破り敵ゴールを脅かした。
クローゼ(3) 連係は今ひとつだったがFWとしての仕事は十分果たした。
===
ミュラー(-) 時間短し。
ゴメス(-) 時間短し。
ゲッツェ(-) 時間短し。もう少し見たかった。
早起きして見た甲斐のある試合だった。準決勝は日本時間29日金曜日早朝。延長の可能性も考えると何時に起きて見るべきか悩む。中5日は有利だが流れを考えると空きすぎかも。準決勝と決勝とは中2日だし、難しいチーム・マネジメントになる。
ところで、3位決定戦はないんだな…。
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ドイツ代表
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EURO2012
2012年06月19日 23:20
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■
【EURO2012 B組第3節】デンマーク×ドイツ
■2012年6月17日(日) 20:45キックオフ
■Lwiw
早くもグループリーグ最終戦。ドイツは引き分けで勝ち抜けが決まるという状況でデンマークと対戦する。ポルトガル戦、オランダ戦で右SBを務めていたボアテンが警告累積で出場停止のためベンダーが先発した他はこれまでと同じ布陣。月曜日未明の試合のため、また4時半に起きて追っかけ再生した。週明けいきなりこれはキツい…。
ドイツは試合開始早々からボールを支配、パスをつないで主導権を握る。おそらくはボールを持っていることが最大の防御であり、その上先制できれば言うことないといった感じの入り方ではなかったかと思う。デンマークはポルトガル×オランダの試合結果次第では引き分けでも勝ち抜けの可能性があるが、やはり勝利を狙いに行かなければならない状況で、まずは慎重な立ち上がりに見えた。
ドイツは攻めながらもデンマークの堅い守備に手を焼いていたが、19分、ミュラーが右サイドから入れたクロスに、ニアでゴメスが触り、これをポドルスキが右足で蹴り込んでドイツが先制。試合をグッと楽にした。
ところが5分後の24分、CKから失点し1-1の同点に。得点直後の失点だけに普通ならばイヤな感じになるところだが、「何だよ、せっかく先制したのに同点になっちゃったじゃん」程度の余裕を感じたのは僕だけか。少なくともドイツには焦りとでもいったようなものはまったく見られなかった。前半はそのまま同点で終了。
後半に入ってもドイツが主導権を握る展開は変わらないが、それなりのスピードで攻守の応酬があった前半に比べれば、ドイツは明らかに慎重になり、無理して得点を狙いに行くよりはうかつな失点を避けることに重点を置いたように見えた。攻撃は効率よく少ない手数でフィニッシュまで行くことが戦術だったのではないか。
ドイツは64分、ポドルスキに代えてシュールレを投入。74分にはゴメスに代えてクローゼを起用する。80分、カウンターから右サイドに流れたボールをベンダーが蹴り込んでドイツが勝ち越し。この時点でポルトガルがオランダに逆転で勝っており、デンマークとしてはもはや勝つしかない状況になっている。
ドイツは84分、ミュラーに代えてクロースを投入。守備を固めたいということか。ドイツは残り時間を手堅く使いきり、2-1でデンマークに完勝した。
これでドイツはグループリーグB組3戦全勝となり、グループ1位通過を果たした。準々決勝はA組2位のギリシャと戦うことになる。
引き分けで構わないという試合で、そのためにしっかりと守備のリスクをコントロールしながら、それでも結局は勝ってしまうところがドイツの強さかもしれない。負ければデンマーク、ポルトガルと勝ち点で並ぶため、勝ち抜けできない可能性も残っていた試合で、こうやって落ち着いた試合ができるところがさすがだ。
この試合ではゲッツェやロイスなども見たかったが、不確定要素がある限りベスメンで臨むところもドイツらしい。もし事前に勝ち抜けが決まっていて、この試合が消化試合だったら、もちろん大胆にメンバーを入れ替えてきたのだろうが。
採点(
採点の見方
):
ノイアー(2.5) クリティカルなシュートをことごとくセーブ。
ベンダー(3) 積極的な攻撃参加がカウンターからの決勝点を生んだ。
フンメルス(3.5) 最も注意すべき敵FWをしっかりつかまえて仕事させず。
バドシュトゥーバー(3.5) 地味な仕事に徹したが存在感はあった。
ラーム(3.5) 再三に亘って左サイドで攻撃に参加。
ケディラ(3.5) 高い技術で前線の組立にもよく参加した。
シュヴァインシュタイガー(3) 配球役として攻撃を演出。彼のチームと言っていい。
ミュラー(4) アシストはあったものの全体として動きに精彩を欠く。
エツィル(3) トップ下でボールを収めては攻撃の起点になった。
ポドルスキ(3) 右足シュートには驚き。全体にもうちょっと精度が欲しい。
ゴメス(4) 一所懸命動いたとは思うが効果的に攻撃に絡めず。
===
シュールレ(-) 時間短し
クローゼ(-) 時間短し
クロース(-) 時間短し
準々決勝は土曜日の未明になるので早起きして見ることにしよう。
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ドイツ代表
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EURO2012
2012年06月14日 22:05
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【EURO2012 B組第2節】オランダ×ドイツ
■2012年6月13日(水) 20:45キックオフ
■Metalist
グループリーグ第2節は強敵オランダとの対戦。日本時間14日未明3時45分からのゲームだったので、4時半に起き、出勤前に録画を追っかけ再生した。
ドイツは前節ポルトガルに勝ったメンバーをそのまま起用。試合はキックオフ直後から互いに激しく攻め合うハイテンポな展開になる。デンマークに負けて後がないオランダは厳しい寄せから中盤でボールを奪うと、ダイレクトでパスを交換しながら短い時間でゴール前に迫る。デンマーク戦での停滞がウソのようないい動きをしている。
しかし、ドイツも最後のところではしっかりと敵の攻撃を止め、ラインを上げてシュヴァインシュタイガーを中心にボールをつないで攻め上がる。中盤で激しい主導権争いが続く。24分、シュヴァインシュタイガーからのスルーパスをゴール正面で受けたゴメスが見事な反転からシュート。これが敵GKの手をかすめて決まりドイツが1-0と先制。
何が何でも勝たなければならないオランダに対し、最悪引き分けでも次につなげることのできるドイツはグッと楽な試合運びができるようになる。一方のオランダは失点を機にバランスが崩れていったように見えた。37分にはバドシュトゥーバーが鋭いヘディング・シュートを枠に放つが敵GKがセーブ。しかしその直後、再びシュヴァインシュタイガーのパスにゴメスが抜け出し、難しい角度からファーポストに蹴り込むシュートを決めて2-0。
ボール支配率はオランダの方が上回っていたが、ドイツは粘り強い守備でオランダの攻撃をしのぎ、効率的にチャンスを生かして2-0のまま前半を終える。
オランダは後半からブンデスリーガ得点王のFWら2人を投入、勝たなければならない試合で得点を狙いにくる。しかしサイド・アタッカーの攻撃を前半から引き続いてラームに封じられ、オランダは時間の経過とともに焦りの色が濃くなって、攻撃は単調に、次第に個人技頼みの傾向が強くなる。セカンドボールもドイツが拾うことが多く、オランダは攻撃を組み立てることができない。ドイツは72分、この日2ゴールのゴメスを下げてクローゼを投入。
それでもオランダは73分、FWがミドルをたたき込んで2-1と1点差に迫るが、ドイツは81分、エツィルに代えてクロースを投入、アディショナル・タイムにはミュラーを下げてベンダーを起用して試合をクローズ。残り10分は敵陣でパスを回しながらボールをキープなど勝利に徹し、2-1で大事な試合を勝ちきった。
この試合、ドイツとしては最悪引き分けでもよかった訳で、初めからそういう戦い方をしていたと思う。勝つしかないオランダが前がかりに出てくることもおそらく予想していただろう。ドイツは無理にリスクを取らず、まずは失点しないことを第一に、守備を重視した戦い方を選んだ。
もっともそれはガチガチに引いて守るということではなく、できる限り自陣ゴールから遠いところでプレーするということであり、ひとたびボールを奪われれば攻守の切替をできる限り速くして全員で守備をするということであった。前節、前線に張るだけで動きのなかったゴメスが、この試合ではハーフウェイ・ラインを超えてボランチの位置まで落ちてきて守備をするシーンも多かったのはその現れだろう。
ドイツの強みは、そうした冷徹な状況判断に基づくリアリスティックな戦術を監督と選手が共有し、その意識を個々の局面のワンプレーに至るまで表現できるということだ。それはチームの成熟の結晶であるとともに、長い間ユーロだのワールドカップだのを何度も勝ち上がってきたこの国のサッカーの「経験」そのものなのだ。
勝たなければならない試合か、負けてはならない試合か。「負けない」戦いをすることは本当は簡単なことではなく、だからたいていのチームは「勝たなければならない」と「負けてはならない」の区別なく「引き分けなんか考えません。全力で勝ちに行くだけっスよ」的なサッカーになりがちだ。「負けない」サッカーをしてきちんと勝つ、最悪でも引き分けるということができるのは限られたチームだけだ。
もうひとつついでに言っておけば、「負けない」サッカーとは「引き分けを狙いに行く」サッカーではない。それは失点しないことを最優先にしながら、できる限り効率的に少ないリスクで得点することを追求するサッカーであり、それが結果として引き分けならそれも受け入れる、ということなのだ。それが勝ちにつながったのがこの日のドイツだった。
どの試合も勝手に「絶対に負けられない戦い」にされてしまう日本代表には気の毒だが、我々がこの領域に達するにはまだまだ十年単位の時間がかかるだろう。ドイツのサッカーを見る楽しみはこういうところにもある。
採点(
採点の見方
):
ノイアー(2) 絶体絶命の一対一も確実にセーブ。失点はやむなし。
ボアテン(3.5) フィジカルを生かして敵のサイドアタックを止めた。
フンメルス(3) 守備に強さを発揮したのみならず攻め上がりも魅力的。
バドシュトゥーバー(3.5) 敵の厳しい攻撃を受け止めた。シュートは惜しかった。
ラーム(2.5) 手の内を知ったクラブでの同僚に完勝。勝利の立て役者。
シュヴァインシュタイガー(2.5) この日はさながら監督兼演出家の趣か。
ケディラ(3) 高い技術で中盤を支配、敵のイライラを募らせた。
ミュラー(3.5) 効果的に攻撃に絡むシーンは少なかった。
エツィル(4) この日は精彩を欠いた。序盤のミドル以外見せ場なし。
ポドルスキー(4) 存在感を発揮できず。
ゴメス(2) こういうのを決定力というのか。
===
クローゼ(-) 時間短し。
クロース(-) 時間短し。
ベンダー(-) 時間短し。
まあ、ドイツのチームとしての完成度が高いのは、いつもバイエルンで一緒にプレーしてる選手が大半だからというのもあるけどな。
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ドイツ代表
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EURO2012
2012年06月11日 20:00
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【EURO2012 B組第1節】ドイツ×ポルトガル
■2012年6月9日(土) 20:45キックオフ
■Lwiw
ユーロ2012が開幕した。ドイツはオランダ、ポルトガル、デンマークと強敵の揃った「死のB組」でグループリーグを戦う。日本で聞く限り今回はドイツが本命とか前評判も高いのだが本当なんだろうか。ここ数年、ユーロもワールドカップもレヴ監督の下で安定した結果を出してはいるが、事前にこんな高い評価を受けていたことはなかった。ほめられると逆に心許ない。バラックやフリングスの後を引き継いでチームの核になるようなベテランが見当たらないのも心配だ。
ドイツの第一節の対戦相手はポルトガル。ドイツの布陣はこんな感じだ。
ノイアー
ボアテン フンメルス バドシュトゥバー ラーム
ケディラ シュヴァインシュタイガー
ミュラー エツィル ポドルスキ
ゴメス
若く勢いのある選手を中心にした、今の時点ではほぼベストのメンバーか。
このところのドイツのサッカーの特徴は、手堅い守備からボールを奪取して、小気味よくパスを当てながら短い時間で前線に展開し、前の選手が流動的に動いてゴールを狙うというもの。しかし、この試合ではポルトガルがかなり引き気味であったため、ドイツは敵陣まではボールを運べるものの、ここでいったん動きが停滞し、パスは回るものの敵のブロックを崩せず可能性のあるシュートを放てないというどこかのクラブチームのような状態にしばしば陥った。
せっかく奪ったボールの展開も正確さを欠き、敵陣に入ってからは使えるスペースもなく足許へのパスが主体で敵のブロックにギャップを作り出すような無駄走りが見られない。特に前線に張るゴメスは、解説の奥寺康彦も再三指摘していた通り、ポストをする訳でもなく、ボールを受けに降りてくる訳でも、スペースに動き出すでもなく、「前線に張る」以上の動きがない。左右にクロスが往復するのに中央でゴメスが合わせられず、おろおろするだけのシーンでは笑ってしまった。
これに対してポルトガルは自陣で待ち構え、ドイツが手詰まりになって放り込んだボールや不正確なパスを奪っては、前の選手に渡して個人技で勝負というサッカー。もちろん失点のリスクはあり怖いといえば怖いのだが、組織的に押し上げてくる訳ではなく、ケアのしどころははっきりしていて、そこを抑えられるかどうかの勝負になる。ボアテン、フンメルスらが我慢強く対応する他、ノイアーも的確に仕事をこなし敵に得点を許さない。
いずれにしても難しいグループの初戦とあってどちらも負けたくないという意識が強く、リスクを取って攻撃するという姿勢は気迫で、慎重で神経質な展開の試合になる。ドイツは、エツィルにボールが渡ったときには唯一チャンスになる可能性を感じさせるものの、それ以外はアイデアを欠き、ボールを支配して主導権は握りながらも攻めきれない時間帯が続く。シュートも遠めからのものが多く、敵を崩してエリア内に侵入するシーンは見られない。
45分にはポルトガルのCKから敵が放ったシュートがバーを叩いて真下に落ち、そこからピッチに戻るシーンがあり肝を冷やしたが、リプレイで見てもボールはライン上でバウンドしておりノーゴールの判定は妥当。この大会では試験的にゴール裏にも審判を配置しており、このシーンはよく見ていたと思う。いつかのイングランド戦が脳裏に甦った。
この試合、ドイツとしては最悪引き分けでもいいという目算があったと思う。ポルトガルに負けて勝ち点3を与えることを思えば、勝ち点1を分け合うことは受け入れられる。タレントを揃えた難しい相手だけに、まずは負けないことが優先だったはずだ。そしてその事情はポルトガルも同じだったに違いない。後半に入っても前半同様、引いて守るポルトガル相手にドイツが攻めあぐねるゲームになる。
70分、ドイツはようやく重い腰を上げて勝負に出る。前線で今ひとつ機能していないように見えるゴメスを下げるためクローゼを準備させたのだ。しかし、72分、皮肉なことに、ゴメスがケディラのクロスに頭で合わせ、これが敵GKの動きの逆を突く形でゴール右隅に決まりドイツが先制。喜びを爆発させるゴメス。クローゼはいったんベンチに戻される。
失点でゲームプランの狂ったポルトガルは前線に圧力をかけてくるが、ドイツも必死にこれをしのぐ。80分にはゴメスを下げてクローゼを、87分にはエツィルに代えてクロースを投入。アディショナル・タイムにはさらにミュラーに代えてベンダーを投入して試合をクローズ、貴重な勝ち点1を手に入れた。
ポルトガルが引いて来たこともあってドイツは攻撃のリズムを欠いた形になったが、それでも1点をもぎ取ってこの試合に勝ちきったことの意味は大きい。何よりも結果が大切になる大会で、強敵相手に勝ったことで内容も改善してくるだろう。前線でゴメスが今ひとつ機能しなかったことは懸念材料だが、エツィルの動きには希望が見えた。
同組ではオランダがデンマークに負けた。次節、ドイツはオランダと戦うが、ここでオランダに勝てばもちろん、引き分けでも勝ち抜けに大きく近づく。強敵と目されたオランダとポルトガルが初戦で勝ち点を得られず、最高でも勝ち点6にとどまることとなったのは星勘定的には大きなアドバンテージだ。デンマークは侮れないが、こうなるとむしろデンマークとグループ突破を分け合うことも考えられる。
引いた相手に苦しめられ、必ずしも狙いどおりのサッカーができない中でも、最低限の結果を出したところに、ドイツの底力を見た思いのする試合だった。次節、ドイツは「負けない戦い」に徹してくると見るがどうか。
採点(
採点の見方
):
ノイアー(2) 何度も窮地を救う。安定感のある完封で勝利に貢献。
ボアテン(3.5) 対面の相手に手を焼いたがしつこく食い下がった。
フンメルス(3) 抜擢に応え中央を封鎖。ルシオばりの持ち上がりもステキだった。
バドシュトゥバー(3.5) 身体は張ったがもったいないファウルも。
ラーム(3.5) 守備と攻撃のメリハリはさすが。
シュヴァインシュタイガー(4) あまりボールに触れてなかったような。
ケディラ(3) 積極的な攻撃参加でアクセントをつけた。
ミュラー(4) スペースを見つけられずクロスも精度を欠いた。
エツィル(3) 彼の仕掛けだけが引いた相手への脅威だった。
ポドルスキ(3.5) シュートが枠に飛ばず、プレーが雑に流れた。
ゴメス(4) 得点はあったものの動きが少なくブレーキになっていた。
===
クローゼ(-) 時間短し。
クロース(-) 時間短し。
ベンダー(-) 時間短し。
次は木曜日未明の試合。いつどうやって見るか、それが問題だ。
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ドイツ代表
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EURO2012
2011年08月12日 17:14
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■
【国際親善試合】日本×韓国 ドイツ×ブラジル
[
日本3-0韓国
]
この試合はほとんどの人がテレビで見ていただろうと思うので試合経過を詳しく振り返ることはしないが、日本は序盤からボールを支配、核となる選手がいないように見え精彩を欠く韓国を相手に、押し込み気味に試合を進める。35分、李からのパスをゴール前で受けた香川がDF二人に挟まれながらもこれをゴールに流し込み先制。
後半に入ると53分、駒野が左サイドからエリア内に持ち込みシュート、これは敵GKがセーブしたが、こぼれ球を清武が落とすと走り込んだ本田がこれを蹴り込んで2-0に。さらに55分、右サイドでフィードを受けた清武が中央へ折り返すとゴール前に走り込んだ香川がワンタッチで合わせて3-0に。今野らの集中した守備で韓国を完封し、完勝を収めた。
とにかく香川の技術とセンスが光った試合。敵DFに身体を寄せられながら浮かしたボールを綺麗に枠に飛ばした1点め、右サイドからのクロスに走りながら右足インで合わせた2点めとも、ここしかないというポイントでこれしかないというプレーを正確に決めた。
いずれも高い技術に裏打ちされたワールド・クラスのプレーだと思うが、すごいのは親善試合とはいえ国際Aマッチで臆せずそういうプレー選択ができる精神的なタフさだ。ここと思ったところに迷わず飛び込み、難度が高くても今そこで必要とされるプレーを躊躇なく実行できる判断、決断。海外でプレーし、結果を出す中で身につけた自信の賜物だという他ない。
日本は丁寧にボールをつなぐサッカーで韓国を圧倒した。連携もよく、海外組と国内組のギャップも感じさせなかった。代表の目指すサッカーが世界の主潮だということなのだろうが、若い選手を中心に、クリエイティブにボールを出し入れするサッカーは見ていて小気味よい。代表がチームとしていい状態にあることを感じさせた。できることなら森重、徳永あたりをこの代表に参加させたいと思った。
一方の韓国はいつも日本との試合で見せる気迫みたいなものが今回はあまり伝わってこなかった。若いチームなのか、ボールの収まりどころとしての核となる選手が見当たらず、個々のプレーはともかく連携が散漫だったように見えた。
[
ドイツ3-2ブラジル
]
布陣はこんな感じで、シュヴァインシュタイガーを中盤のアンカーに置いた4-1-4-1。
ノイアー
トレシュ フメルス バードシュトゥーバー ラーム
シュヴァインシュタイガー
ミュラー ゲッツェ クロース ポドルスキ
ゴメス
前半はらしくないブラジルを相手にドイツがボールを支配しながらもフィニッシュに決め手を欠く展開。やはりクローゼが前線で果たしていた起点としての動きはゴメスには難しいのかもしれない。魅力的な前線の布陣だが、ブラジルの帰陣も早くゴールに結びつけられず。
後半に入った61分、クロースがエリア内にボールを持ち込んだところに敵DFが遅れてチャージ。ドイツがPKを獲得し、これをシュヴァインシュタイガーが落ち着いて決めてドイツが先制。これで試合が動き始め、67分にはクロースのパスで敵DFラインの裏に抜け出したゲッツェが角度のない難しいところから敵GKとの一対一を決めて2-0に。
71分、今度はラームがエリア内で敵MFを引っかけてPKを与える。ブラジルはこれを決めて2-1に。だが、80分、敵エリア内でシュヴァインシュタイガーが敵DFからボールを奪取、これを落としたところに交替で入ったシューレが走り込んでゴール。3-1に。ロスタイムには敵FWに見事なミドルを決められ3-2と1点差になったが、内容的には終始ドイツが優位に立ち、妥当な勝利を収めたと言っていい。
この試合、ドイツはエツィル、ケディラというレアル・マドリードの所属選手が出場していなかったが、代わりにゲッツェ、シューレらの若手を起用、層の厚さを示した。こちらもポゼッションを大事にしながらくさびをトリガーにスピードアップして崩しにかかるという現代的なサッカーで、レヴ監督の戦術が浸透している印象を受ける。
バラックのような圧倒的なスターはいないが、世代交代を巧みに進めつつもチームにギャップを作らないレヴ監督とDFBの周到な強化戦略は評価すべき。ロイスに出場機会がなかったのは残念だったが、次のヨーロッパ選手権に向けていいイメージを蓄積できているのではないだろうか。
ブラジルは個々の能力は高いもののやはり連携が散漫。コパ・アメリカでの不調をひきずっているのか、怖さとか凄みといったものがあまり感じられなかった。
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ドイツ代表
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日本代表
2010年07月28日 00:28
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【2010ワールドカップ】ドイツ代表総括
ドイツ代表は体格を生かしたフィジカル重視のガチガチなフットボールから、パスを当てながら素早く前線に展開するモダン・フットボールへの進化を遂げた。大会直前に主将のバラックがケガで欠場を余儀なくされるハプニングがあったが、かえって若手がのびのびと力を発揮できるようになったのかもしれない。バラック怖そうだからな〜。
今回の主役は何と言ってもシュヴァインシュタイガーだろう。中盤の底でバランスを取り、カバーリングからボール奪取、配球、プレース・キック、シュートと八面六臂の活躍を見せた。この人がこのポジションでこんなにハマるとは正直思ってなかった。ドイツとしてはシュヴァインシュタイガーのワールドカップだったと言っても過言ではない。
それに加え、クローゼ、エツィル、ミュラー、ポドルスキといった、アイデアと決定力を兼ね備えた前線の選手たちも躍進の原動力になった。流動しながら小気味よくパスを当て合い、シュート・チャンスを逃さない連動はクラブ・チームかと思うほど。ま、クローゼとミュラーはチーム・メイトだし、ポドルスキもこないだまでバイエルンにいたし。
ただ、実際の試合では意外と受けに回る時間も長かった。やや深めにラインを取り、待ち受けては網にかけてボールを奪い、そこから攻撃を組み立てるというやや守備的な入り方の試合が多かったように思うし、実際、ドイツを「堅守速攻」型だと評している記事もいくつか見た。
だがこれは、ワールドカップの戦い方を現実的に判断したら結果的にそうなったというだけのことなのだと僕は思う。これまで、ワールドカップで優勝する喜びも、あと一歩のところで敗退する屈辱や悔しさも知り尽くしてきた国のチームとして、局面ごとに最も合理的な選択を当然のようにした結果があれだったのだ。
ただ準決勝のスペイン戦だけは、その合理的な選択ができなかった。押し込まれるままにスペインの攻撃を受け止め、ラインはズルズルと下がってしまい、自陣を主戦場にしてしまった。ここでラインを高く保ち、中盤で戦えていれば結果は分からなかったと僕は思う。そこにやはり「締める」役の主将がいなかったのは大きかったのかもしれない。
大会前、ドイツ代表の前評判は決して高くなかった。イタリアとスペインとイングランドしか知らない日本のメディアは論外としても、バラックもフリングスもいない若手とリーグ戦で結果を出せていない選手中心の代表の実力を危ぶむ声が多かったのは事実だろう。エツィルやミュラーがここまでやれるとはドイツ人も正直思っていなかったはずだ。
だが、それでもドイツ代表がチームとして堂々たる戦いを見せたのは、先にも書いたように、サッカーやワールドカップを知り尽くし、その喜怒哀楽の歴史を国として積み上げてきたこの国の人たちの、集合知や共同体験みたいなものの力だと僕は思う。ここ3回のワールドカップで、準優勝、3位、3位と、優勝はないがこれだけ安定した結果を残しているのは強豪国の中でもドイツだけ。そこには個々の選手の能力や戦略、戦術を超えた何かのバックボーンがあるはずだと僕は思うのだ。
レヴ監督は留任するようだ。今回活躍した選手の年齢を考えれば、次の大会はかなりのチャンスになるかもしれない。まずは再来年のユーロを楽しみにしよう。そしてスペインに雪辱しよう。
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2010ワールドカップ
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ドイツ代表
2010年07月13日 00:15
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【2010ワールドカップ】ドイツ戦評点答え合わせ
今回のドイツの試合の評点について、自分の評点と「kicker」紙の評点を比べてみた。意見の食い違うところもあるが、概ね近い評価をしているのではないだろうか。僕の見方のクセとか偏りが出ているようで面白い。カッコ内の最初の数字が僕の評点(これまでに公表したもの)、スラッシュの後がkickerの評点だ(
採点の見方
)。
◆一次リーグ第2節 ドイツ×セルビア 0-1
ノイアー(4/4)、ラーム(4.5/3)、メルテザッカー(5/4.5)、フリードリヒ(4.5/3.5)、バードシュトゥーバー(5/5.5)、ケディラ(4/3)、シュヴァインシュタイガー(4/3)、ミュラー(4.5/4.5)、エツィル(4.5/3.5)、ポドルスキ(5/4.5)、クローゼ(5/5)
1.5以上乖離したのはラームのみ。「kicker」は敗戦の割りにフリードリヒ、ケディラ、シュヴァインシュタイガーらの評価が高かった。
◆一次リーグ第3節 ガーナ×ドイツ 0-1
ノイアー(3.5/2)、ラーム(3.5/2.5)、メルテザッカー(4/5.5)、フリードリヒ(4/3.5)、ボアテン(4/4)、ケディラ(4/4)、シュヴァインシュタイガー(3/2)、ミュラー(3.5/4.5)、エツィル(3/2)、ポドルスキ(4/4.5)、カカウ(4/3.5)
1.5以上の乖離はノイアー、メルテザッカー。「kicker」は総じてメルテザッカーの評価が低く、フリードリヒの評価が高いようだ。
◆決勝トーナメント1回戦 ドイツ×イングランド 4-1
ノイアー(2.5/3.5)、ラーム(3/3)、メルテザッカー(3.5/3.5)、フリードリヒ(3/1.5)、ボアテン(3.5/3)、ケディラ(4/2.5)、シュヴァインシュタイガー(2.5/2)、ミュラー(2/1)、エツィル(2/1.5)、ポドルスキ(3/2.5)、クローゼ(2.5/1.5)
1.5以上の乖離はフリードリヒとケディラ。やはり「kicker」はフリードリヒの評価が高く、僕はケディラの評価が低い。
◆準々決勝 アルゼンチン×ドイツ 0-4
ノイアー(3.5/2)、ラーム(3.5/1.5)、メルテザッカー(3/2)、フリードリヒ(3/1.5)、ボアテン(3/2.5)、ケディラ(3/2)、シュヴァインシュタイガー(2/1)、ミュラー(1.5/1)、エツィル(3/2.5)、ポドルスキ(3/1.5)、クローゼ(1.5/1)
1.5以上の乖離はノイアー、ラーム、フリードリヒ、ポドルスキ。kickerは特に守備陣の評価が高く、全体的にもほぼ最大級の評価。
◆準決勝 ドイツ×スペイン 0-1
ノイアー(3/2)、ラーム(4.5/3)、メルテザッカー(3.5/3.5)、フリードリヒ(3.5/3)、ボアテン(4/5)、ケディラ(4/4.5)、シュヴァインシュタイガー(3/4)、トロコフスキ(5/4.5)、エツィル(4.5/5)、ポドルスキ(5/5)、クローゼ(4.5/4)
1.5以上の乖離はラームのみ。僕のラームへの評価が低い傾向が出ているのかもしれない。ラームのサイドを使われていたように見えたんだけど。
◆三位決定戦 ウルグアイ×ドイツ 2-3
ブット(3/2)、ボアテン(3/3)、メルテザッカー(3.5/3)、フリードリヒ(3/2)、アオゴ(4/4)、ケディラ(3/3)、シュヴァインシュタイガー(2.5/3)、ミュラー(2.5/2.5)、エツィル(3/4)、ヤンセン(3/2.5)、カカウ(4/4)
1.5以上の乖離はなし。やはりkickerはフリードリヒの評価が高い。
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2010ワールドカップ
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ドイツ代表
2010年07月11日 12:32
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【2010ワールドカップ】ウルグアイ×ドイツ
三位決定戦はスカパー独占生中継ということで録画セット、朝8時から再生した。地上波で放送がないことに気づいた人たちがショックを受けている様子がツイッターなどからも窺えたが、ふだんからJリーグや海外リーグを見ている人たちはその多くがスカパーで何らかの契約をしていたと思われ、今回悔しい思いをした人たちも是非スカパーを契約してふだんから代表以外のサッカーを見て欲しいと思った。まあ、次回もスカパー独占かどうか知らないけど。
国歌斉唱も完了(ドイツ国歌は今回の大会で完全に頭に刻み込まれた)、ドイツはインフルエンザの影響もあって選手を何人か入れ替えてきた。GKはノイアーに代わってブットが先発、ラームの代わりにボアテンが右SBに回り、左SBにはHSVのアオゴが初出場となった。またポドルスキに代えて準決勝で気を吐いたヤンセンが左SHで先発、またトップは背中を傷めたクローゼに代わってカカウが先発した。
何が何でも負ける訳には行かないというプレッシャーが薄い試合で、序盤からオープンな戦いとなる。互いにボールを奪っては積極的に仕掛ける展開となるが、ドイツが主にボールを支配。3分、カカウのシュートが敵DFにブロックされたところをミュラーが叩き込むがその前のカカウのポジションがオフサイド。10分にはエツィルのCKにフリードリヒが頭で合わせるがバーを叩く。
試合が動いたのは18分、シュヴァインシュタイガーのミドルをGKが弾いたところに詰めたミュラーがこれを流し込み先制。その後も26分にエツィルのクロスにケディラが頭で合わせ枠を捉えるがオフサイドになるなどドイツが優勢だったが、28分、中盤で失ったボールを裏に通され失点、1-1となる。その後はウルグアイの守備に阻まれドイツの攻撃が停滞する一方、何度かウルグアイのカウンターでピンチになる。結局同点のまま前半を終了。
後半開始早々の51分、ドイツは左サイドから押し込まれ、中央に折り返されたボールを中央で敵FWがダイレクト・ボレー。これがワンバウンドで見事に決まり逆転を許す。ブットも一歩も動けない素晴らしいシュートで、フリーにしたとはいえ敵をほめるべきだろう。
追う展開となったドイツはすぐに答えを出す。56分、右サイドでボールを持ったボアテンがゴール前に美しいクロス。左からゴール前に飛び込んだヤンセンが敵GK、DFに競り勝って頭で合わせゴール、ドイツが試合を再び振り出しに戻した。
その後は両チームとも決勝点を狙って積極的に前に出るオープンでテンポの速い展開に。58分、カウンターから持ち上がったカカウからエツィルがラストパスを受けるがシュート・チャンスに打ち切れず。71分にはヤンセンが左サイド奥から返したマイナスのクロスに走り込んだカカウがシュートしたがバーの上に。カカウはここでお役御免となりキースリングと交替。
入ったキースリングは76分、左サイドからDFを抜いてペナルティ・エリアに侵入、枠にシュートを放つがGKにセーブされる。さらに80分、右サイドのボアテンからのクロスにキースリングが飛び込むが合わず。ドイツは81分、ヤンセンに代えてクロースを投入、逆転を狙いに行く。
その直後、右サイドのミュラーから中央に上がったボールにキースリングが合わせに行くが敵DFがクリア。これで得たCKをエツィルが蹴り、敵がクリアし損なったボールがゴール前に浮いたところをケディラが頭で押し込んで逆転。ドイツはロスタイム、エツィルに代えこの大会出番のなかったVfBのタスツィを投入。最後に敵にFKを与えたがこれがバーを叩いたところで試合終了、ドイツが3-2で二大会連続の3位となった。
ドイツはキーになる選手を何人か交替させての試合であったが、曲者ウルグアイを相手にクオリティの落ちない内容を見せた。エツィル、ミュラーら若手が注目されたが、彼らとて大会前から(ドイツ国内以外では)評価されていた訳ではなく、たまたま出場機会を得て活躍したに過ぎない。その意味ではそれはクロースやマリン、キースリングであってもおかしくなかった。そのことを今日の試合では見せつけたと言える。改めて準決勝が悔やまれるが、それでモラルが落ちてしまわなかったことを高く評価したい。
採点(
採点の見方
):
ブット(3) 1点目は当てたかったがそれ以外は見事なセーブを見せた
ボアテン(3) ミュラーとのコンビネーションよくクロスの精度も高かった
メルテザッカー(3.5) 1点目は敵を追いきれず、それ以外はよく守った
フリードリヒ(3) 守備のみならずセットプレーでも脅威となった
アオゴ(4) 試合勘の戻らない部分もあったが何とかこなした
シュヴァインシュタイガー(2.5) 攻守に超人的な働き、今大会のチーム内MVP確定
ケディラ(3) 縦への意識が最後の試合で生きた、得点はおまけ
ミュラー(2.5) 大会得点王も狙える5点目、その後も前線で働き続けた
エツィル(3) 攻撃の中継点としてクリエイティヴな配球を続けた
ヤンセン(3) 準決勝から好調を維持、ヘディングゴールも見事
カカウ(4) 献身的に動き続けたが決定機に絡めず
===
キースリング(3.5) 決定機に決めきれなかったが存在感は示した
クロース(-) 時間短し
タスツィ(-) 時間短し
これでワールドカップも終わった。リーグ戦中心の生活に戻ろう。
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2010ワールドカップ
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ドイツ代表
2010年07月09日 19:40
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【2010ワールドカップ】ドイツ×スペイン
延長、PK戦の可能性まで考えれば、出勤の時間に間に合わせるためには4時半に起きねばならぬ。前夜は10時半に就寝して睡眠時間を確保。パン屋か豆腐屋並みの早起きだ。でも、起きたら日経の朝刊は既に来ていた。恐るべし。
1時間遅れで録画を追っかけ再生。結果から先に言えば、スペインに押し込まれる展開の中、何とか流れからの失点は止めていたが、73分、CKに頭で合わされて失点、ユーロ2008の決勝に続いて悔しい敗戦となった。
この試合、ある程度スペインにボールを持たれることは見込んでいたが、予想以上に押し込まれ、主戦場はドイツ側ハーフに寄った狭い地域に。CBのスピードに不安があるためか、速いパス回しで仕掛けるスペインを相手に裏を空けるリスクは取りたくなかったということだろうが、必要以上に受けに回り自ら試合を難しくした感は否めない。
しかし一方でドイツの守備も堅く、スペインは圧倒的にボールを支配してパスを回しながらも、最後のところはドイツの高く強いDFに阻まれてなかなかチャンスを作れない。ラインの裏に出られてもノイアーが集中してゴールを守った。まあ、そういう作戦だというよりは、怖がって下がってしまい、押し込まれて守備に追われたという印象だった。
自陣での攻防となったため、ドイツの攻撃は必然的にカウンターに。ボールを奪うと流動しながら長めのパスを的確に当てて展開するというこれまで通りの戦い方だが、ボールが収まるポイントが少なく、またスタート地点が低いためになかなか前まで運べない。やはりミュラーの出場停止は大きかったということだろうか。
代わりに入ったトロコフスキは残念ながら効果的な攻撃のアクセントにはなり得ていなかった。初めからクロースを入れておいた方がよかったと思う。ま、クロースも今イチだったが。
クローゼ、ポドルスキ、エツィルも守備に追われ精彩を欠いた。前線にボールが収まるチャンスの数自体が少なかった上、それを確実に決めきる質の面でもここ2試合に比べれば見劣りした。ボールを運ばなければならない距離が長い分、ラストパスやその一つ前のパスでミスが多く、フィニッシュまで持ち込めたケースは数えるほどだった(シュート5本て…)。
結果的にはCKからの一発に沈んだ試合だったが、それ以外の時間帯もスペインにボールを支配されて押し込まれ、内容的には完敗。スペインの攻撃をほめるべきだろう。ドイツの守備陣は最後までよく集中して守ったが、仮に守り勝つつもりでも、ワンチャンスに決めきれず1点も取れないのでは、セットプレーからの一発でやられるのも必然。そのセットプレーだって後ろから飛び込む敵DFを捕まえられてなかった。
とはいえ、スペインは華麗なパス回しとか圧倒的な攻撃力とか言う割りに、結局最後までドイツのディフェンスを崩せず、セットプレーからの1点に留まったこともまた事実。そういう意味ではドイツの守り方もあながち間違っていなかったのか、スペインの決定力が足りないのか。
ドイツはこれで二大会連続準決勝敗退となり、三位決定戦に回る。せっかく早起きしてテンション上げて臨んだだけに残念だ。悔しい。この週末には腹いせにたこ焼きを食べよう。でもこれで月曜の朝に早起きする必要はなくなった…。
採点(
採点の見方
):
ノイアー(3) 決壊を防いで最小失点にとどめ、最後まで希望の灯を消さなかった
ラーム(4.5) 数少ないチャンスの起点になったが、守備では裏を取られる場面も
メルテザッカー(3.5) 流れからの失点は最後まで食い止めた
フリードリヒ(3.5) クリティカルなシーンでよく足を出しボールを絡め取った
ボアテン(4) 守備に追われ効果的な攻め上がりはできなかった
シュヴァインシュタイガー(3) 中盤の底で奮闘、敵のボールをカットし続けた
ケディラ(4) 守備に追われる時間が長く前線と連係できず
トロコフスキ(5) 中盤の守備に巻き込まれ攻撃の起点となれず
エツィル(4.5) ボールはさばいたが決定的シーンは演出できず
ポドルスキ(5) あまりボールに触れず、リスクを取った攻撃ができなかった
クローゼ(4.5) ゴールが遠くほぼ唯一の得点機にも痛恨の宇宙開発
===
ヤンセン(3.5) 左サイドを活性化、スタメンで見たかった
クロース(4) ワンチャンスを決めきれず、枠には飛んだが…
ゴメス(5) 背水の終盤に投入されたが機能せず
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2010ワールドカップ
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ドイツ代表
2010年07月04日 12:23
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【2010ワールドカップ】アルゼンチン×ドイツ
アルゼンチンとの準々決勝、幸い日本時間夜11時のキックオフだし、翌日は休みだしということで、地上波ではTBSだが当然のようにスカパー観戦。ドイツ国歌もしっかり斉唱した。
ドイツは決勝ラウンド1回戦と同じメンバーが先発。個人技に優れた敵の前線の選手をいかにつぶし、後ろをスカスカにしないで決勝点を奪うかという厳しい試合が予想されたが、意外にも早い時間帯に試合が動いた。3分、シュヴァインシュタイガーの左からのFKにミュラーがニアで飛び込み頭で合わせる。これが決まりドイツがあっさり先制。
このFKはシュヴァインシュタイガーのキックが素晴らしかったのはもちろんだが、アルゼンチンのマークはミュラーにまったく付ききれていなかったようだ。この得点でドイツは終始優位に試合を進めるベースを得た。早い時間帯の先制点は往々にしてその後の戦いを難しくもするが、ドイツの場合は戦い方にブレがなかった。
24分にはクローゼがゴール正面でミュラーからのクロスを受けるがフカしてしまうなど、ドイツも優勢ではあるが枠を捉えることができない。前半の終盤はアルゼンチンがやや押し込み気味だったが、攻撃は前線の数人を中心とした個人技が中心で、ドイツは組織的に敵のキーマンをつぶす集中した守備で得点を許さない。結局1-0で前半を終えた。
ハーフタイムにカツを入れたのか、後半の序盤もアルゼンチンのペース。ドイツが受けに回る時間帯になるがここでもアルゼンチンの攻撃は単発で個人頼み。連係で崩される心配がない分、ドイツは守りやすかったのではないだろうか。最初の15分から20分ほどをしっかりしのぐと、アルゼンチンは次第に焦りが出たか、攻守が雑になり始める。
すると、67分、カウンター気味に攻め上がったミュラーが倒れながらもポドルスキにパス。ポドルスキはゴールライン近くからゴール前にクロスを入れ、これにクローゼが難なく合わせて2点目をゲット。敵の攻勢をしのいだ後の、いい時間の追加点でドイツが試合を再びグリップした瞬間だった。先制点も大きかったが、この日の本当の「決勝点」はこの得点だったと思う。
このシーン、ポドルスキから真横のクローゼに出したボールがややオフサイド臭い感じもしたが、おそらくパスの時点ではクローゼはボールより後ろにいたという判断だったのだろう。
これで試合の趨勢は決まった。後がなくなり前がかりになるしかないアルゼンチンに対し、ドイツは組織的な守備から奪ったボールを素早く前線に展開、過疎状態の敵ディフェンスをかわしてフィニッシュに持ち込む。72分にはボアテンに代えてヤンセンを投入、左サイドを固める。
74分、シュヴァインシュタイガーが左サイドからスルスルとドリブルで敵ペナルティ・エリアに入り込むと、至近距離からゴール前にラストパス。これをセットプレーで上がったまま残っていたフリードリヒが泥臭く押し込んで3-0。アルゼンチンの戦意を喪失させた。
ドイツにとっては集中を切らさず、失点しないでこの試合を終わらせることが重要だったが、その辺のメンタル・マネジメントはさすがだ。ドイツは77分にケディラに代えてクロース、84分にはミュラーに代えてトロコフスキを投入して試合を締める。敵の最後の抵抗も冷静に押さえ込み、88分にはエツィルの左サイドからのクロスにクローゼがゴール正面で的確に合わせ4点目。事実上の決勝戦とまで言われた強豪対決は、4-0と意外な大差でドイツが完勝した。
この試合、序盤に先制し、その後の敵の攻勢に耐え、後半の半ばに追加点、あとは前がかりになる敵の後ろを攻めて追加点を奪いつつ試合をクローズするという理想的な試合運びで、結果的にみれば危なげなくドイツの圧勝に終わった。
試合後にオシム前監督も言っていたように、組織として非常に規律がしっかりし戦術共有のできているドイツと、結局のところ才能豊かな前線の数人頼みで連係がなく意志疎通も怪しいアルゼンチンとの差がはっきり出た試合だったと思う。
事実上、2点目のところで勝負の大勢は決してしまい、あとはドイツにとってイージーな試合だったはずだ。気落ちしたアルゼンチンは相変わらず前線の看板選手にボールを集めるしかなく、いかに人気が高く才能のある選手でも、前線で孤立して屈強な大男3人に寄せられたら得意のドリブルを仕掛けるのもきつかったと言うことだろう。
ドイツは準決勝に駒を進め、スペインと対戦することになった。前評判が高く人気のある国を、特に名の売れたスターもおらず、強豪とは言われつつも取り上げられることの少ないドイツが次々に撃破するのは本当に痛快だ。次も厳しい戦いになるのは間違いないが、ここまで来たら相手がどこであろうと勝つしかない。平日の午前3時半キックオフは厳しいが何とかしよう。
準決勝ではミュラーが警告累積で出場停止。クロースかマリンの先発でどうだろう。
採点(
採点の見方
):
ノイアー(3.5) 何度かの枠へのシュートは手堅くキャッチした
ラーム(3.5) 攻撃参加の見極めが絶妙、いて欲しいときにそこにいた
メルテザッカー(3) 敵の突破を阻止し身体を張った
フリードリヒ(3) 得点はラッキーもあったが守備ではよく踏ん張った
ボアテン(4) しばしば左サイドに起点を作られた
シュヴァインシュタイガー(2) 現場総指揮官として見事に試合を統括した
ケディラ(3) 攻守に奔走し2人分の労働力として機能
ミュラー(1.5) 得点よりも攻撃の核としての働きを評価したい
エツィル(3) 4点目をアシスト、前線のピースとして走り続けた
ポドルスキ(3) 前半のミドルは惜しかった、アシストはセンスを見せた
クローゼ(1.5) 前線からの守備も効いていた、得点はむしろご褒美
===
ヤンセン(4) 攻撃にも存在感、ボアテンよりいいのでは
クロース(-) 時間短し
トロコフスキ(-) 時間短し、アピールしたいのかやや持ちすぎ
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2010ワールドカップ
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ドイツ代表
2010年06月29日 00:02
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【2010ワールドカップ】ドイツ×イングランド
イングランドとの決勝トーナメント一回戦は日曜日の夜11時キックオフ。延長、PK戦になったりすると次の日の仕事が気にはなるものの、まあ、夜中の3時半キックオフよりはよっぽどマシ。晩メシも風呂もすませ、11時前にはテレビの前に陣取ってドイツ国家を斉唱、さあ、いよいよ因縁の一戦、絶対に負けられない戦いである。
ドイツはクローゼが出場停止から復帰した他は、一次リーグ最終戦から変更なし。足を痛めて出場が不安視されていたシュヴァインシュタイガーもスタメンに名を連ねた。
実力の拮抗した強豪同士、互いに先に失点するのは絶対に避けたいが先制点は欲しいという都合のいい思惑を胸に、慎重な立ち上がりとなった。序盤はボールを持つイングランドに対し守備の堅いドイツがパスミスを見逃さずカット、素早い切り替えからカウンター気味に前線に展開するシーンが多かったように思う。
最初の得点は20分、ノイアーの長いゴールキックがそのままイングランドのディフェンス・ラインを超えたところにクローゼが走り込み、敵DFの激しいチェックを振り切って倒れ込みながらシュート。これが決まってドイツが先制した。クローゼはオフサイド・ポジションにいたが、ゴールキックからのボールだったのでルール上オフサイドにならなかった。クローゼにとっては代表50得点、ワールドカップではペレに並ぶ12得点となる記念すべきゴールとなった。
早い時間に失点を喫したイングランドは攻勢に出るが単調で、ドイツの集中した守備に穴を開けることができない。逆に31分、右サイドでボールを持ったミュラーが逆サイドに展開、ポドルスキのトラップはゴールライン側に流れ角度がなくなったが構わずGKの股を抜いて向こう側のサイドネットに突き刺す痛烈なゴール。ドイツが2-0とリードを広げた。
後がなくなったイングランドは必死の抵抗を試みる。37分、ショート・コーナーからのクロスへの対応が遅れ、敵DFにヘディングを許してしまう。飛び出したノイアーもこれに触ることができず、2-1に詰め寄られる。
さらにその1分後、今度は流れの中で敵MFが中央からミドル、これがノイアーの頭を越えバーを直撃して下に跳ね、バウンドしてもう一度バーをたたいた後ノイアーがキャッチ。バウンドした際、ボールは確かにゴールラインを超えていたがゴールは認められずそのままプレー・オン。
この時間帯は完全にイングランドに押し込まれたが、ドイツは守備の集中を切らせることなくスタジアムが騒然とする中、前半を2-1とリードして終了。不穏な雰囲気でハーフタイムを迎えた。
後半の立ち上がりは引き続きイングランドの攻勢。ドイツはハーフタイムに「疑惑のゴール」を確認して動揺したか、イングランドに1点を取らせて埋め合わせしようとでも思っているのではないかと勘ぐってしまうほど集中を欠いたプレーに終始。引き気味でイングランドにボールを持たせ何度かチャンスを作られる。52分には敵MFのFKがまたしてもバーをたたいたがあったが今度は外に跳ねた。
だが、自粛期間が過ぎたか、60分すぎからドイツの動きが目に見えてよくなる。時間の経過とともに焦りが見え始め攻め急ぐイングランドは、ボールを持ちながらも引き続き工夫もスピードもない単調な攻撃で、決定機を作りきれない。逆にドイツが集中した守備から中盤でボールを奪い、カウンターを浴びせる展開になる。
67分、イングランドのFKからのこぼれ球を拾ったドイツが素早いカウンター。シュヴァインシュタイガーからパスを受けたミュラーがエリア右からシュートを決め3-1に。これでドイツも「疑惑のゴール」の呪縛から解き放たれた。
さらに3分後、自陣から左タッチライン際を駆け上がったエツィルが中に切れ込み、ミュラーの上がりを待ってラストパス。これをミュラーがフリーで難なく蹴り込み4-1。試合を決定づけた。
ドイツは直後の72分、クローゼとミュラーが「お疲れさま」となりゴメスとトロコフスキを投入、既に半ば戦意を喪失したように見えるイングランドを相手に敵陣でボールを回して時間を使う。83分には更にエツィルが「お疲れさま」でワールドカップ初出場のキースリングを起用するなど次戦に備える余裕も見せ、結局4-1で宿敵イングランドに完勝した。
イングランドにボールを支配させ、後ろを固めつつカウンターで得点を重ねるというのがゲームプラン通りなら、イングランドの攻撃の単調さ、カウンター・ディフェンスのスピードのなさをあらかじめ織り込んでいたドイツの読み勝ちだったという他ない。ドイツの方が戦術、球際、スピード、決定力のいずれも上回っていたことは間違いないだろう。
それだけに「疑惑のゴール」はドイツにとっても残念だった。実際にはボールはゴールラインを超えていた。最終的にはドイツが4-1で勝ったため、仮にこれがゴールになっていても計算上はドイツが勝っていた訳だが、38分の時点で同点になっていれば試合の流れも違ったものになっていたはずだと主張する人は出てくるだろうし、実際そうだと思う。イングランドにしてみれば納得できないのも無理はない。
だが、多くの人が指摘するとおり、審判の判定は最終であり覆ることはない。ワールドカップでの主審の経験もある日本の元審判は、ミドルシュートがバーに当たって下に跳ねたときのゴールの判定ほど難しい判定はないと言っている。それが判定できる位置にいるのが審判の仕事ではあるが、あのようなシーンで主審がミドルを予想してあらかじめゴール脇にいるということは実際上は期待し難い。線審はきっとオフサイドの見極めて忙しかったのだろう。
この元審判は、見えなかったものを見えたかのように判定することはできない、たぶんゴールだろうと思っても憶測だけでゴールと判定することはできない、とも言っている。それを考えれば、この日の審判は「ノーゴールと判定した」のではなく、「ゴールと判定しなかった」のだと言えるだろう。
実際にはゴールであったが、その瞬間を確認できなかった以上、それをゴールを認めなかった審判の判断はその限りで正しいと僕は思う。ポジショニングや線審のサポートで改善できる部分はあるだろうし、今回の審判が技量の向上に努めなければならないのは当然だが、結局は人間による判定の限界を認め、それもサッカーと割り切るか、ビデオ判定やゴール審判、チップ入りボールなどの導入を議論する他ないのではないか。イングランドは気の毒だが、せっかくの快勝にけちを付けられたドイツも不幸だった。
これでドイツは順々決勝に駒を進め、次はアルゼンチンと対戦する。またしても強豪との対決で世界中の注目が集まるだろうが、慢心さえしなければ十分勝機はあるのではないだろうか。キックオフは土曜日の夜11時。また夜更かしになるがやむを得まい。
採点(
採点の見方
):
ノイアー(2.5) 失点時の飛び出しを除いては素晴らしい反応でチームを救った
ラーム(3) 右サイドで安定した守備だけでなく機を見た攻撃参加もあり
メルテザッカー(3.5) ボールを支配されても最後の壁として立ちはだかった
フリードリヒ(3) 落ち着いて敵のボールをカット、クリアし続けた
ボアテン(3.5) 攻撃参加は限定的だったが後ろはしっかり固めた
シュヴァインシュタイガー(2.5) ボールを奪取し攻撃を起動する中心的な役割
ケディラ(4) 最後まで働いたが攻撃面ではあまり機能せず
ミュラー(2) モラルの高い献身的な駆け上がりが2得点につながった
エツィル(2) 得点はなかったが前線の要として攻撃をコントロールした
ポドルスキ(3) 得点は技術と思い切りの賜物、価値のある得点だった
クローゼ(2.5) 先制点はこの試合の最重要ポイント、さすがワールドカップ男
===
ゴメス(4.5) 何度か決定機はあったが決めきれず
トロコフスキ(4.5) 途中出場でなかなか試合に入れず
キースリング(-) 時間短し
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2010ワールドカップ
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ドイツ代表
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