フットボール・クレイジー
football crazy
silverboy club
presents
2022年12月17日 23:37
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【FWC2022】総括(1) 日本代表「自分たちのサッカー」というナイーヴさ
まだ3位決定戦(クロアチア×モロッコ)と決勝(フランス×アルゼンチン)が残っているが、全体的な印象はもう変わらないと思うので今回のワールドカップをザッと総括しておきたい。今回は日本代表について。
4-2-3-1をベースにパスをつないで押し上げるのが基本スタイルで、前プレ、高い強度、トランジションという現代フットボールの基本概念を重視したモダンな戦い方だと思っていたが、大会ではドイツ、スペインと同じ組に入ってしまい、初戦がドイツ戦ということで難しいマネージを強いられた。
予選ではそうしたスタイルをベースにした主体的な戦い方で出場を勝ちとるが、実際にワールドカップが始まると、相手は強い国ばかりなのでそうも言ってられず、堅守速攻や後ろに重い布陣からのワンチャン狙いになったりするのはいつものこと。今回も大会が始まると3バックを含めたドイツ・シフト、スペイン・シフトで、選手交代が当たったこともあってドイツとスペインを破りグループ突破を果たした。
グループ・リーグの戦いについては別稿でも書いたのでそちらを見てほしいが、日本がグループを首位で突破できたのは、結局のところ、非ヨーロッパのフットボール事情に無頓着すぎたドイツ、スペインの自滅のおかげだった。
互いにガチでぶつかったコスタリカや、グループリーグの結果を知ったうえで対策する余地のあったクロアチアに勝つことができなかったのは、ドイツ、スペインに対する勝利が決して必然ではなく、偶然とまではいわないものの、いろいろな要素が作用したある種の「めぐり合わせ」だったことを示しているのではないか。
油断しているドイツ、スペインにはワンチャン勝てるが、ガチのコスタリカ、クロアチアには勝てない、この微妙な強さと弱さが日本代表の現在地なのだ。
それはよくいわれる「自分たちのサッカー」というナイーヴな言葉に端的に表れている。この言葉は日本にまだすべての国民が共有している「自分たちのサッカー」という概念がないことを逆に表している。
ドイツやスペインにはそれはある。おそらくコスタリカにもクロアチアにもあるだろう。そこには長い年月をかけて、勝ったり負けたり、喜んだり悔しさにテレビを窓から放りだしたりしながら形づくられてきた自国の「サッカーの原像」とか「共通の記憶」みたいなもの(吉本隆明なら「共同幻想」とでもいったかもしれない)があって、だからこそ「自分たちのサッカー」みたいなナイーヴなことをわざわざ言いだす人はだれもいない。
これに対して日本には「我々は監督がだれになっても、どんな選手がいても、細かい調整や変更はあっても、基本的にこういうチームでありこういう考え方でこういう戦い方をする」というナショナル・チームの大前提というか「基本合意」みたいなものが社会的に存在していない。
それは我が国においてサッカーを(野球や相撲みたいな)国民的スポーツとして、そのありようについて国民的な議論が起こったり結果に一喜一憂したりするようになったのがまだ最近のことで、十分な「共通の記憶」や実績という「歴史」が十分に積み上げられていないからなのかもしれない。「基本合意」的なものは、「これで行こう」といって合目的的に作り上げるものではなく、まさに歴史のなかで結果として形づくられて行くものだからだ。
いずれにしても、そうした「基本合意」とか「大方針」みたいなものが国民の間に共有されていない、形成されていないので、「自分たちのサッカーをして勝ちたい」みたいなマンガのセリフかと思うような物言いがメディアでもふつうに出てくるのだ。
「監督がだれになっても、どんな選手がいても、細かい調整や変更はあっても、基本的にこういうチームでありこういう考え方でこういう戦い方をする」という基本合意が十分に形づくられていれば、ボールを持とうが堅守速攻に全振りしようがそんなことは試合単位の些細な戦術調整でしかなくなるはずだ。「自分たちのサッカー」なんていう「本当の自分」ばりの自意識過剰な恥ずかしいポエムも自然と消えてなくなるはずなのだ。
我々の今回の戦いは「日本のサッカーというのは昔からこういうものなんや」とみんなが納得できるような「日本サッカーの原像」を形づくる長い道のりの、しかし大きなできごとだった。我々はドイツとスペインに勝ち、グループリーグを首位で突破して、準決勝に進出したクロアチアと引き分けた。その一方でコスタリカには無得点で負けた。そこになにがあったかはだれもが目撃したはずだ。その積み重ねこそが我が国のフットボールの「形」を少しずつ作って行くのだ。
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2022ワールドカップ
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日本代表
2022年12月05日 21:36
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【FWC2022】グループE総括
ドイツに住んでいたときにサッカーを見始めた僕としては、日本とドイツが同じグループになってうれしくもむずかしいワールドカップになった。多くの人と同じようにまあドイツが勝つんだろう、ドイツとスペインがグループリーグを突破するんだろうと思っていたのでこの結果には正直混乱している。
結局のところ、ドイツもスペインも日本を舐めていたのだと思う。もちろん彼ら自身もきちんとしたスカウティングはしていただろうし、分析もしていただろう。遠藤、鎌田、板倉といったブンデスリーガ活躍する選手もいるし、スペインでプレーしている久保もいる。ドイツもスペインも日本代表の情報はあったはずだ。
だが、かれらはその情報を実感としてきちんと戦術に落としこむことができていなかった。というか落としこむ必要を感じていなかった。要は「手なりでやって十分勝てる相手」だと思われていたのだ。想像力と危機感が欠けていたというほかない。
もちろんドイツやスペインと日本の間には本来は歴然たる力の差がある。しかしそれは百回戦っても歯が立たないというほど致命的なものではもはやない。そのことを彼らは知ろうとしなかったし、あるいは知っていたつもりでも実感として理解できていなかった。彼らは敵としての日本代表の現在地を見定める真摯な努力をしていなかった。怠慢であり、舐めていたといわれてもしかたがない。
日本が個人技や一発モノも含めよく戦ったのは間違いないし、森保監督の柔軟で思いきった采配も当たった。しかしそれが奏功して試合に勝ちきることができたのは、彼らが「もしかして日本に負ける可能性もある」ということを真剣に考えていなかったからに他ならないと僕は思っている。
その背景のひとつにUEFAネーションズリーグがあると思う。インターナショナル・マッチデイにヨーロッパの国どうして代表のリーグ戦を組むことで、ヨーロッパの国々はそれ以外の地域の国と他流試合をする機会がほぼない。こうした内向きの姿勢が、ヨーロッパ以外の国への関心や実感を失わせることにつながった可能性は十分あると思っている。
逆に、ドイツとスペインに勝った日本がコスタリカに負けたのは、日本の側に慢心があったからだと思う。ドイツに勝ったことで「ドイツに勝てたのだからコスタリカはチョロい」というイヤな空気が日本中に蔓延してしまった。それは「日本とコスタリカに勝ってドイツとスペインで勝ち抜け」と思っていたドイツ人やスペイン人と同じことだ。
こうしたムードは意識のうえで否定しても無意識の奥深くにじんわりとしみこみ、ひとつひとつの判断を少しずつ狂わせる。そしてその狂いの積み重ねはときとして大きな過ちを招く。あの試合、ドイツ戦のときに見せたような必死の形相はなく、コスタリカのボールを持っても攻め急がないスタイルにつきあって工夫もないままなんとなく前半を終えてしまった。
決死の覚悟、全力以上のものを出さないとやられるという危機感は窺えず、「ドイツに勝ったからといってコスタリカに勝てる保証はなにもない」というあたりまえのことがあいまいになってしまった。先制されて目が覚めても遅かった。結局1点も取れなかったのだから完敗だ。でもまあこの試合に勝っていたらスペイン戦の勝利はなかったと思うが。
そういう意味では次のラウンド16のクロアチア戦は微妙な試合になる。クロアチアはヨーロッパ各国の主要クラブで主力として活躍する選手を多数擁する強豪である。
クロアチアはすでにグループリーグでドイツとスペインに勝った日本を見ている。どの選手がどんなプレーをしているか、得点がどうやって生まれたか、間違いなく分析しているだろう。そしてなにより、その情報をしっかりピッチ上のプレーに落としこまなければ何が起こるかわからないということを二度も目の当たりにしている。
ドイツは初戦であり日本に負けてもまだ先があった。スペインは得失点差からしてほぼ勝ち抜けが決まっておりむしろ2位での勝ち抜けの方が有利だという見方もあったほどだった。なんならドイツ×コスタリカの経過から「このまま負けても(カッコ悪いのを別にすれば)勝ち抜けは大丈夫」という認識はあっただろう。
しかしクロアチア戦は一発勝負の決勝トーナメントである。なんであれ「勝つしかない」ことは互いにはっきりしている。クロアチアが日本を舐めてかかってくれる要素は乏しい。むしろ日本の方にクロアチアをドイツやスペインより格下と見る空気が生まれそうな気がして怖い。すでに「勝てば次はブラジルか?!」みたいなムダな皮算用をしている人も少なからずいるだろう。
日本にとって決勝トーナメントはまだ勝ったことのない領域である。ここに出てくる国はどこであれ簡単に勝てる相手ではない。ドイツとスペインに勝ったとしてもそれでなにかが保証されるわけではないのだが、それをわかったうえで勝ち上がった経験が我々にはないのだ。前回もベルギーとガチでやりあいながら最後の最後にやられた。そこはまだなんというか国民的な記憶のない領域。そこに我々は今回切りこもうとしている。
チャンスは当然ある。それをつかめるかどうかは結局我々自身の覚悟にかかっている気がする。
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2022ワールドカップ
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日本代表
2018年07月04日 23:23
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【ワールドカップ・ラウンド16】ベルギー 3-2 日本
■2018年7月2日(月) 20:00キックオフ
■Rostow Arena (Rostow)
日本時間火曜日未明3時キックオフ。迷わず録画し、5時に起きて出勤前に見ることにした。延長、PKになっていれば5時に起きた時点でまだ試合は続いていることになるが、その時はそこから見るつもりで5時に起きたら試合は終わっていたので、勝敗は分からないもののとにかく90分で試合が終わったことだけを知って時差視聴に臨んだ。
日本はグループリーグ第3節で温存した選手を戻した格好。相手は優勝候補とも言われるベルギーだが、格下と見られている分、むしろ戦いやすくもある。
川島
酒井(宏) 吉田 昌子 長友
長谷部 柴崎
原口 香川 乾
大迫
日本は立ち上がりからハイプレスを敢行、奪ったボールは手数をかけず前線に展開してフィニッシュまで持ちこもうとする。ベルギーの攻撃にはコレクティブに対応、大きなチャンスは作らせない。
しかし、思い切って圧をかけた序盤に得点できず、15分を過ぎた頃から試合は徐々に落ち着いてベルギーがボールを支配する展開になる。日本は自陣で守備に回る時間が長くなるが、最後の局面で身体を投げ出してゴールを守る。スコアレスで前半を終えた。
後半開始早々から試合が動く。49分、奪ったボールを柴崎が右前線にスルー・パス、裏でこれを受けた原口がGKとの一対一を冷静に決めて1-0と先制する。原口はボールを受けて一瞬切り返しを試みようとしたが結局そのままシュート。あそこで切り返していたらチャンスを逃していたかもしれない。
50分にはポストをヒットするシュートを浴びたものの、52分、敵DFがクリアしたボールを香川が落とし、乾がエリア外からミドルを放つ。完全な無回転となったボールがネットに突き刺さりゴール、日本が2-0とリードを広げる。素晴らしいシュートだった。
後のないベルギーは攻勢に。65分、長身のボランチを投入するなど2枚替えを敢行、ここから少し流れが変わって行く。
69分、日本のゴール前での密集となり、右サイドに流れたボールを敵DFが頭で折り返すとこれがそのままファー・ネットに入ってゴール。ファイン・シュートでなかっただけにショックの大きい失点で2-1と1点差に詰め寄られる。
さらに74分、クロスに中央で合わされ失点、2-2の同点になってしまう。これはもう止めようがなかったと言うべきだろう。これがワールド・クラスということか。もともと上背もあって打点が高かった。
日本は81分、既に一度警告を受けている柴崎に代えて山口を、原口に代えて本田を投入する。その後は互いに勝ち越しを狙って激しく競り合う展開となるが決めきれず。86分には敵の立て続けのシュートを川島がセーブ、意地を見せる。
アディショナル・タイム、正面35メートルほどの位置でFKを獲得、本田がこれを蹴るが、無回転のボールは枠に飛んだものの敵GKにセーブされる。これで得たCKを再び本田が蹴るが、これを敵GKがキャッチ、素早いカウンターとなる。
セット・プレーで前がかりになっていた日本は一歩遅れた対応となり、攻め上がりを許す。最後は左から右にラスト・パスを出され、ニアで敵FWがスルー、ファーを駆け上がった敵FWに詰められて失点、土壇場で2-3と逆転される。
キックオフはさせてもらえたもののすぐに試合終了。日本は一時は2-0とリードしてベスト8進出のドアに手をかけていたが、最後は力の差を見せつけられる格好で惜敗となった。
臆することなく強度の高い試合を戦いきったことに対しては概ね高い評価を受けており、よくやったと思うが、2点を先行しながら最後に逆転を許したことは、まだまだやるべきことが残っている証拠。個の問題なのか、戦略・戦術の問題なのか、連係や規律の問題なのか、分析は必要だが足りないものがあったのは確かだ。
どの失点もその局面だけを取れば防ぐのは難しかったと思うが、そこに至るクリティカルな局面を止められなかったことが失点につながった。決勝点は、その直前の本田のFKがいい感じで枠に行き、セーブされたもののCKを獲得したことで「もしかしたらイケるかも」みたいな欲が出てしまい、それがカウンターへの対応を気持ち遅らせた感は否めない。
まあ、カウンターなので後ろから追いかけるのは仕方ないのだが、GKが前線にボールをスローした時点で完全に気持ちが後追いになってしまい、「ヤバい」というネガティブなイメージのまま対応したことで後手に回ったように見えた。
グループ・リーグを突破し、決勝トーナメント初戦で優勝候補のベルギーにいい戦いができたことは正直想定外で、西野監督の手腕や選手らの頑張りは素直に評価したいが、前回も書いた通り、これらはすべてハリルホジッチ前監督の遺産。それを効率的に運用した西野監督は褒められるべきとしても、結局はそれだけの話。
むしろハリルホジッチ前監督に感謝したいし、結局のところ強度、切り替え、ポジショニング、規律といった現代フットボールの主潮が最も効果的だということが分かった大会だった。次の監督はこれを踏まえたロードマップを作って欲しい。ていうか本当にクリンスマンなのか?!
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日本代表
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2018ワールドカップ
2018年07月01日 18:47
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【日本代表】グループリーグ・レビュー
飲み会とかで忙しくて日本代表の試合のレビューまで手が回らなかったのだが、気がつくとグループ・リーグを突破していた。
ザクっと振り返ると、結局はコロンビア戦の最初のPKと敵の退場がすべてだったと思う。もちろん果敢に攻め上がったことが敵のハンドリングを呼びこんだ訳だが、早い時間帯に先制し、さらに数的優位を得たことで、残り時間の戦い方がシンプルになり共有しやすかった。
敵のFKを川島がゴール内に巻きこんでいったんは追いつかれたものの、途中交代で入った本田のCKに大迫が頭で合わせ勝ち越し、2-1で望外の初戦勝利。敵失に助けられ数的優位を得たとはいえ、同点から再度突き放しての勝利で流れをつかんだのは大きかった。
第2節のセネガル戦は2度先行されながら都度追いついての引き分け。川島のうかつなパンチングから先制されたが、乾の1ゴール1アシストの活躍で勝ち点1を得て、グループ首位で最終節を迎えた。
最終節は既に敗退の決まっているポーランド戦。日本は勝利か引き分けで勝ち抜けが決まり、負けてもセネガル×コロンビアの結果次第では勝ち抜けの可能性がある有利な状況。何とか最終戦に勝って帰りたいポーランドとの間で神経質なゲームになった。
日本は大迫、長谷部、乾らをベンチ・スタートとするなど大きくメンバーを入れ替え試合に臨んだが、なかなか流れに乗れず、59分にFKから失点、0-1とビハインドを背負う。しかし、コロンビアがセネガルに対し74分に1-0としたため、日本は0-1のままでも決勝トーナメント進出できることになった。
ここで西野監督は「攻めない」ことを指示、最後のカードで長谷部を投入し、この指示を徹底する。その結果、日本は残り10分をほぼ最終ラインでのボール回しで使い切り、試合には負けたものの決勝トーナメントに進出することになった。
日本とセネガルは勝ち点はもちろん、得失点差、総得点、直接対決の結果でも並び、日本のアドバンテージはフェアプレー・ポイント。ギリギリでセネガルが1点を返したりこの日既に一度警告を受けている槙野がやらかせば日本は引き分けが必要となる訳で、この0-1狙いの対応は批判も受けた。
西野監督は別に「セネガルが追いつくことはない」と単純に考えた訳ではなく、「セネガルが追いつくリスク」と「普通に試合を続けてポーランドに追加点を取られたり槙野あたりがやらかして警告や退場を受けるリスク」とを比較し、前者を取ったということだろう。
もちろんどちらのリスクを取っても裏目に出れば批判は浴びる訳で、指揮官としてはより可能性が高い選択肢を選んだだけのこと。このまま試合が終わることで対戦する両者がアドバンテージを得る場面でこうした時間の使い方をするのは今までも多くの試合であったことだ。
「セネガルが追いつくリスク」をどれだけ大きく見るかにもよるが、責任者としての現実的で合理的な判断であり、特に批判されるようなものではない。「失望した」「フェアじゃない」などの意見が出て議論になったのはむしろ意外だった。
日本は結果として、整理されたポジショナル・プレーから奪ったボールを素早く前線に展開して攻めきるという現代的フットボールができており、これなら何も監督を代える必要はなかったし、こうした戦術にフィットする選手は他にいたと思うが、西野監督が思っていた以上にリアリストであったということだろう。
もちろんこれはハリルホジッチ監督の遺産を食いつぶしているだけで、何かを作り上げている訳ではない。貯金のいちばん効率的な使い方を考えているのが西野監督で、その貯金はハリルホジッチ監督がコツコツと爪に火を灯すようにして積み上げたものだ。今回のワールドカップでどんなにいい結果が出ても、何か空しく、白けた気持ちになるのはそのせいだ。
決勝トーナメントではベルギーと戦う。120分ドン引きで守りきってPKになれば勝機はあるかもしれない。
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日本代表
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2018ワールドカップ
2014年07月25日 21:56
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【ワールドカップ総括(3)】日本代表―危機感を対象化せよ
日本はグループ・リーグで2敗1分けと勝利がなく勝ち点1、得点も2点にとどまって最下位で敗退した。本田、香川、長友ら欧州で実績を積んだ選手を揃え、優勝はともかくグループ・リーグは突破できてもまったくおかしくない戦力だったはずの我々は、なぜかくも無残に敗退したのか。
振り返ってみれば、初戦となったコートジボワール戦では16分、本田のゴールで先制。しかしその後はコートジボワールからほぼ一方的に押し込まれ、よくしのいではいたものの後半途中で敵の精神的支柱とも言えるドログバを投入されると目に見えて流れが変わり、3分で2点を奪われて逆転を許してそのまま敗戦。
ギリシャ戦は堅守のギリシャに対して日本がボールを支配、終始押し込みながらも1点が奪えずスコアレス・ドロー。
最終戦となったコロンビア戦は、立ち上がりは悪くなかったもののPKで先制点を献上。その後もよく踏ん張り前半終了間際に本田のクロスに岡崎が飛び込んで頭で合わせ同点にしたものの、後半から2枚のカードを切ってきたコロンビアに早い時間帯に勝ち越しを許し、前がかりになった裏をカウンターで突かれさらに失点、終了間際には再びカウンターでダメを押されて1-4の完敗となった。
思うのは、これらの3国と仮に10試合ずつやれば、コートジボワールには4回くらいは勝てるだろうしギリシャには5回くらい勝てるはずで、コロンビアにも3回くらいは勝てるんじゃないかということだ。それがなぜ、ワールドカップの本番ではこれらの国にひとつも勝てないのか。決して楽な戦いではなかったが、歴然とした力の差があるというよりは勝負に負けた感が強い。
日本は「自分たちのフットボールを貫く」という合言葉の下、しっかりしたポゼッションからコンビネーションで崩すオーソドックスで近代的なフットボールを志向したし、そのやり方自体はまったくおかしくなかった。しかし、実際にゲームでそれが思い通りにできたかどうかは疑問だった。
4年に一度の大舞台なので、どこの国も必死で戦うのは当然。「自分たちのフットボールを貫く」というスローガン自体はいいにしても、その通りにことが運ばなかったときにどう対応するのかというコンティンジェンシー・プランがあったのだろうか。あるいは、プランはなくても選手自身がゲームの中で臨機応変に打開を試みる対応力はあったのだろうか。
負けている試合で終盤に吉田を前線に上げたパワー・プレーを試みていたが、なりふり構わず得点を取りに行かねばならないという非常事態になった時に、我々はどうすればよいかというイメージをしっかり持っていたのだろうか。「自分たちのフットボールを貫く」というスローガンに殉じる覚悟だったのだとするならそれはあまりにもナイーヴだったという他ない。
ギリシャ戦のレビューで僕はこう書いた。
「危機感がストレートに表現されず、『オレがしっかりしてないからあかんのや』的な、自責的な形で内向してしまっている」「ベスト・パフォーマンスを出すことよりも、我慢したり苦しんだりすることで何かが解決するような自己処罰的な錯覚に陥ってしまう」「現状に合わなくなったプランに固執して失敗を繰り返してしまう」「試合が終る前から免責のための言い訳を探している」
その責任はもちろん選手にも監督にもある。しかし最大の原因はフットボールが我々の生活に根づいていないことだ。こんなときにどうするというイメージが国民の間に共有できていないし、そういうときに思い出す共通の経験も記憶もない。フットボールが身近になく、ワールドカップのときにお祭り的に盛り上がるだけでは、そのような文化としてのフットボールは我々の実感に定着しない。
いい選手を揃え、しっかりした戦術を身につけて、実力を出しきれば世界と互角に戦えるという考え方は夢想的に過ぎた。それは僕たちがフットボールの世界ではどんなことが起こり得るか、そんなときにどんな手を打ち得るかをまだまだ理解していなかったということだ。僕たちは想像力の欠如に負けた。想像力が足りないために現実の複雑さ、深遠さに負けたのだ。
しかし、悲観することはない。もともとスピードと正確さを身上とする我々のフットボールはモダンなもの。そのベースがしっかり構築できれば、その上にカウンターなどの「破調」を付け加えることは難しい注文ではないし、そうやって戦術を複線化することで非常事態に対応する力は確実に向上する。そしてそれは危機感を対象化しそれに冷静に対処する力の大きな源になる。次期監督にはハビエル・アギーレに決まったが、スタイルとしての親和性はあるのではないか。
ザッケローニ監督の構築した我々のフットボールは決して間違っていない。しかし日本代表は最後の最後で「できることを全部やりきればダメでも仕方ない」とでもいったような「頑張り主義」的な考えに堕してしまい、勝つための手段だったはずの「自分たちのフットボール」がドグマになってしまったように思う。
ドイツ代表が示した、ハイプレスからの高速ショート・カウンターと、スピードを持ってやりきる少ないタッチ数での高速コンビネーションの併用という次世代ポゼッション・モデルに我々は案外近いところにいる。スターに頼るのではなく、コレクティヴで戦略的なフットボールを目指すのであればそこに道は開ける。
何しろ、僕たちは、ナイーヴなフットボールがどんなふうに瓦解するかを4年かけて学んだのだから。
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2014ワールドカップ
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日本代表
2014年06月25日 23:47
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【ワールドカップGL第3節】日本×コロンビア
■2014年6月25日(水) 5:00キックオフ(日本時間)
■クイアバ
日本のグループリーグ最終戦はコロンビアと。日本時間朝5時キックオフということで、いつもより1時間ほど早起きしてのテレビ観戦になった。同じように出勤、登校前にテレビを見ていた人も多かったことだろう。
日本はここまで勝ち点1にとどまっているが、この試合に勝てばグループリーグ勝ち抜けの可能性は十分ある。というか勝たないことには始まらない試合。真価が問われるが、コロンビアは既に突破を決めており勝機は十分ある。
日本はこの大会で初めて青山を先発起用、また大久保をワントップに据え、香川が左サイドで先発復帰した。この結果、山口、大迫がベンチ・スタートとなった。
川島
内田 吉田 今野 長友
青山 長谷部
岡崎 本田 香川
大久保
勝つしかない日本は序盤から積極的に前に出る。セカンドボールへの食いつきも早く局面でもしっかり戦えている。青山から前線へのフィードがいいアクセントになり、ミドル中心ではあるものの15分までにシュート5本と試合を支配し得点を狙う意志を明確にする。いい意味での割りきりや開き直りが見られ期待のできる立ち上がりだった。
だが16分、自陣ペナルティ・エリアにドリブルで入りこんだ敵FWを今野が後ろからタックルして倒し警告を受ける。スローで見れば確かに足に行ってしまっており妥当な判定だろう。これで与えたPKを中央に決められ0-1と先制を許す。あの局面でタックルする是非は議論もあるが、ボールにチャレンジした結果一歩及ばず足を引っかけたファウルで、今野を責めるのは酷だろう。
リードを奪ってリスクを負わなくなったコロンビアに対し、日本は下を向くことなく再び攻撃を仕掛ける。失点以降だけでも7本のシュートを放つなど、ややゴールを急ぎすぎの感はあるにせよ、勝つことへの執念、こだわりを感じさせ流れは悪くない。
前半のアディショナル・タイム、これが報われる。本田が右サイドからドリブルで中に持ち込み、エリア右手前から中央へクロス。ニアに飛び込んだ岡崎が難しい体勢ではあったものの頭で合わせゴール。日本が1-1と同点に追いつく。本田の正確なクロスと、臆せずこれに飛び込んだ岡崎得意のヘディングと、日本のよさが出た得点で前半はそのまま終了する。
PKで先制点を献上したことは悔やまれるが、その後も集中を切らさず攻撃的に戦い、終了間際に同点にした前半の戦いは評価に値するものだった。前半のシュート数は13-3。前回のマッチ・レビューを受けて言うなら、真剣さを悲愴感に転化させず、危機感がストレートに表現されたいい内容だったと思う、ここまでは。
ところが後半、コロンビアは一気に2枚のカードを切ってくる。すると後半最初の10分で3本のシュートを放たれるなど、コロンビアの反攻に押され気味に。そして55分、日本の左サイドから持ち込まれ、中央を経由してファーに振られるとそのままフリーでシュートを放たれる。これが決まって1-2。再びリードを許してしまう。
中央にクロスを入れられた時点で右SBの内田、右SHの岡崎までがボールに集まってしまい、ファーを完全に無人にしてしまう。前半終了間際に追いついた勢いでそのまま逆転を目論んだ後半の立ち上がりに押し込まれ、完全に崩されての失点にショックは大きかった。結果論的に言えばこの2点目がすべてだったと思う。
後がなくなった日本はその後も攻撃的に試合を進めようとする。62分には青山に代えて山口を、69分には岡崎に代えて柿谷を投入、敵陣を中心に試合を進め、シュートも積極的に放つが、次第に焦りが出たか枠に収まらないケースが増える。
82分、前がかりになった裏をカウンターで突かれる。人は残っていたもののゴール前で人に行ききれずシュートを決められ1-3に。この時点で試合は終ったというべきだろう。
日本は85分香川を下げて清武を投入するが3点を奪うのは正直なかなか難しい注文。90分には再びカウンターで裏を取られ追加点を許して1-4。その後の反撃もむなしく終ってみれば完敗で日本はグループリーグ最下位での敗退となった。
3点目、4点目はリスクを冒して前がかりになった結果裏を取られたものでフットボール的にはある意味やむを得ない失点。ポイントは2点目にあったというべきだろう。あのタイミングでの失点は勝たなければならない立場の日本としては決定的に大きかった。残り時間が少なくなる中で、2得点が必須になってしまい、もはや平静に試合を進めることは難しかった。
内容的に悪い試合ではなかったし、シュート数23-13、ポゼッション56-44と主導権は握っていたが、勘どころで決定的な失点を喫したのが致命的だった。短期決戦のグループリーグを戦うフィジカル、メンタルのマネジメントに失敗したというべきかもしれないし、刻々と変化する状況の中で、現実的かつタフにひとつひとつの判断を下すという訓練が足りないようにも見えた。
それは見ていた我々も同じことで、結局我々自身の中でワールドカップが4年に1度のお祭り程度にしか定着しておらず、フットボールを媒介に世界を見る経験もそこでの勝ち負けが何を意味するのかの認識も足りなかった。
それはまだまだフットボールが我々の生活の中にしっかりした足がかりを持ち得ていないことの裏返しであり、ワールドカップや海外で活躍する選手にはそこそこ注目が集まっても、Jリーグの試合に集まるサポーターの固定化、高齢化が進んでじり貧に陥りつつあることの顕著な表れだろう。
日本代表がグループリーグで1勝もできずに敗退したということは、日本におけるフットボールの受容が所詮その程度だということ。負けたのは日本代表ではなく、我々のフットボール文化なのだと思った方がいい。
勝ったり負けたりをもっと繰り返し、共通の記憶が国民にすりこまれるようなしびれる試合をもっと経験しなければならない。そうやって、こんな勝ち、こんな負けもあるよなという相場観みたいなものがしっかり我々の中に共有された時、初めて我々はワールドカップの大舞台でもしっかり持ち味を出せるようなメンタルの奥行きを手に入れられるのではないかと僕は思う。
評点(評点は
ドイツ式
):
川島(5) 失点は川島だけのせいではないが4点はやりすぎ。西川見たかった。
内田(5) 決定的な2点目では裏を空けてシュートへの対応が遅れた。
吉田(5) カウンターへの守備がまったくできなかった。
今野(5) あの局面でタックルに行ったことには議論の余地がある。
長友(5) 高いポジションで攻撃に加わったがベストではなかった。
長谷部(4.5) 中央でボールを収めたが今ひとつ動きが見えず。
青山(3.5) 裏への意識が高くいいボールを再三供給。交替は不可解。
岡崎(3.5) 得点は見事。守備の意識も高かったが2点目ではカバーできず。
本田(4.5) アシストは見事だったがピークには程遠くムラが多かった。
香川(4.5) らしいプレーも随所に見せたもののフィット感低かった。
大久保(4) 前への意識は人一倍高かったが精度を欠いた。
===
山口(4.5) 投入の意図が不明。見せ場作れず。
柿谷(-) 時間短し。見せ場作れず。
清武(-) 時間短し。見せ場作れず。
これでワールドカップはドイツに集中する態勢になった。
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日本代表
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2014ワールドカップ
2014年06月22日 00:03
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【ワールドカップGL第2節】日本×ギリシャ
■2014年6月20日(金) 7:00キックオフ(日本時間)
■ナタル
日本時間で金曜日の7時キックオフということで、通勤と仕事の立ち上げの時間に完全にかぶっており、会社を休むか遅刻でもしない限りリアルタイムで見ることのできない試合。早い段階でリアルタイム観戦は割りきっていたので、せめて家に帰り着くまで結果を知らないでいることはできるかとも思ったが所詮ムリな話だった。
初戦、コートジボワールに先制しながらも逆転負けを喫した日本としては、グループリーグ勝ち抜けのために何としても勝たねばならない試合。ギリシャは過去に欧州選手権で優勝したこともある強豪であり簡単に勝てる相手ではないが、攻撃力に難点を抱えており勝機はある。
ザッケローニ監督は最終ラインに今野を先発起用し森重がベンチ・スタート。また、香川に代えて大久保を左SHで先発させた。
川島
内田 吉田 今野 長友
長谷部 山口
岡崎 本田 大久保
大迫
試合内容はもうほとんどの人が知っていると思うので詳述はしない。堅守速攻を持ち味とするギリシャに対して日本は終始ボールを支配、特に38分に敵MFが2度目の警告で退場となって以降は数的優位も得て攻撃を仕掛けたが、結局ゴールが遠くスコアレス・ドローに終わったという試合。
ポゼッションは68-32とほぼ7割、シュートも16-9としっかり攻めはしたが、1人少なくなり自陣でしっかり守りを固めるギリシャを最後まで崩すことができなかった。日本はいつものように細かいパスの出し入れで敵の守備網にほころびを作る戦術であったが、パスに正確さを欠き、最後にはコートジボワール戦に続いて吉田を前線に上げたパワープレーに出るなど、攻めきれなかった感が強く残った。
退場者を出したチームが割りきって守備に徹する結果、かえって攻めづらくなるのはフットボールにはよくあることなので仕方ない部分もあるし、チャンスはそれなりに作れててシュートも打ててるのに最後のところで運がなかった部分もあって、必ずしも力負けしたとか致命的な問題があったという訳でもないのだが、だからこそ見ていた我々ももどかしい思いをした。
この、肝心のところでベスト・パフォーマンスを出しきれず、わずかな運を引き寄せられなくて結果を出せないという感じは東京の試合でも何度も経験していることだし、日常の局面でも覚えがある人は多いだろう。勝負どころで踏ん張れないと言ってしまえばメンタルの問題に帰することになり精神論になるのであまり言いたくないのだが、それにしてもいったいこの「勝負弱い」メンタルというのは何なんだろうと考えてみた。
気になったのは、試合の中でプレーがうまく行かないとき、香川や長谷部ら中心選手がすごく苦しそうな顔をすること。責任を感じるのは当然かもしれないが、だれもかれもが「オレが悪い」「オレがしっかりしなければ」「もっと必死でやらねば」とどんどん悲愴な顔つきになって行ってるように感じるのだ。
必死でやっているので顔つきが真剣になるんだろうけど、そこに何か過剰な悲愴さ、余計なものまで背負ってしまっているような重さを感じてしまう。危機感がストレートに表現されず、「オレがしっかりしてないからあかんのや」的な、自責的な形で内向してしまっているのではないだろうか。
その結果、ベスト・パフォーマンスを出すことよりも、我慢したり苦しんだりすることで何かが解決するような自己処罰的な錯覚に陥ってしまう。思考に柔軟性がなくなり、手足が縮こまる結果動きも悪くなって、「何をやってもうまく行かない」というネガティブ・スパイラルに陥ってしまう。
こうなると事前にいくら周到なゲーム・プランを用意しても、それを遂行するだけの力を発揮するのは難しい。視野が狭くなっているので状況の変化に対応することもできない。現状に合わなくなったプランに固執して失敗を繰り返してしまう。だれも楽しくないフットボールをやっている。やればやるほど「ダメだ、オレをもっと罰してくれ」とでもいったような自虐的な表情になってくる。
自分が苦しみ、耐えることで不始末を免責してもらいたいという気持ちが、結果としてベスト・パフォーマンスを妨げているのだ。「こんなにムリして頑張ってるんだから、うまく行かなくても勘弁してよね」と無意識のうちに考えているのだ。
プロなのだから当然メンタル・トレーニングもしているのだと思うが、うまく行かないときの日本はプレーにもアイデアにも幅がなくなり、ダメと分かっているパターンを延々と繰り返すような一種の思考停止に陥っているように見えてしまう。自分が苦しむこと、耐えることと、結果を出すこととの間には直接の関係はないのだと気づくことができなくなっている。
この試合も重苦しかった。何でそんな悲愴な、自己処罰的な顔をして90分も走り回らなければならないのかと思った。僕たちはまだ何も手にしていないというのに、何を守ろうとしているのかよく分からない。試合が終る前から免責のための言い訳を探しているような試合に見えて仕方なかった。
コロンビア戦は勝つしかない。選手たちがどれだけ苦しんだかということには僕は興味はない。それは結果とは関係がないからだ。
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日本代表
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2014ワールドカップ
2014年06月15日 17:29
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【ワールドカップGL第1節】コートジボワール×日本
■2014年6月15日(日) 10:00キックオフ(日本時間)
■レシフェ
日本の初戦はコートジボワールと。日曜日の朝10時と見やすい時間のキックオフとなり、直前のイングランド×イタリアを見たあと、朝ごはんを食べながら開始を待った。
日本は森重が今野を押しのけるた形でCBとして先発、吉田とコンビを組んだ他、遠藤をベンチに置いて山口が先発し長谷部とダブル・ブランチを形成した。また、ワントップには大迫が入った。
川島
内田 森重 吉田 長友
長谷部 山口
岡崎 本田 香川
大迫
おそらくは実力の伯仲したグループで、どこが勝ち抜けてもおかしくない一方で3連敗も十分あり得る。初戦の結果が極めて重要であり、そのためには先制点がどちらに入るかが決定的に大きな意味を持つ。早い時間帯に先制し主導権を握りたい。
互いに失点は避けたいという意識が働いたか、試合はともに固めの立ち上がり。日本はボールを保持しながら全体を押し上げ、前線が流動しながら敵DFをかいくぐろうとするが、細かいパスミスが多くフィニッシュまで行けずにボールを失ってしまう。試合が落ち着くとともにコートジボワールにボールを持たれるようになり、自陣で敵の攻撃を受ける展開になってしまう。
だが、16分、左サイド深い位置での長友のスローインを香川が長友に戻すと、長友が切れ込んでエリア左隅の本田にパス。これを受けた本田は右足でワントラップし足許に置いたボールをそのまま左足でシュート。これがニアを抜いてゴールに突き刺さり日本が先制する。
その後しばらくは日本が勢いを得てボールを動かし、21分にも内田、本田がシュートを放つが、この流れをしっかりつかむことができず、次第にコートジボワールに主導権を奪われて行く。特に内田のシュートは切れ込んでしっかり枠に飛ばしたがGK正面。ここでたたみこめていればと思うシーンだった。
日本は自陣では4-4-2の3ラインの陣形を保ち、またサイドが上がるときは山口が最終ラインに落ちるなど機動的にコートジボワールの攻撃に対応するが、23分に吉田が警告を受け、前半だけで11本、特に前半が半分過ぎた24分以降に9本のシュートを浴びるなどほぼ一方的に押し込まれる。
敵のシュート精度の低さに助けられ失点は免れるものの、先制すれば流れを呼び込めると踏んだ僕の予想もむなしく、バタバタと守備に追われる時間が続き、蒸し暑い気候、断続的に強く降る雨という悪条件もあって体力を削られる試合に。
結局前半は何とか1-0とリードを保って折り返したが、まったく楽観できない試合展開に。守備は集中して対応できているが、特に攻撃時に長友の位置が高すぎて香川や山口が出張ってサイドを埋めているのが気になる。
後半立ち上がりは日本も積極的に攻撃を仕掛けるが得点に至らず。54分、長谷部に代えて遠藤を投入。ケガ上がりでコンディションの不安のある長谷部はもともと時間限定のプランか。ベンチで流れを見ての遠藤投入は修正として理解できる交替だが、日本はその後もつなぎにミスが多く守備の時間が長い。しのぐ展開は変わらず。
62分、敵の精神的支柱であるドログバが途中交代でイン。コートジボワールもここまでは押し込みながら先制を許しなかなか追いつけないもどかしい展開だったと思うが、この交代で明らかに空気が変わる。
64分、日本の左サイドから斜めに入れられたクロスに敵FWが飛び込み、ゴール正面で頭で合わされて失点。1-1の同点になる。森重が並走したが前に入られて十分身体を当てることができなかった。森重は直前にドログバへのチャレンジで警告を受けており、これが微妙に影響したかもしれない。クロスはフリーで上げられており、左サイドの裏を使われた。
がっくりする間もなく直後の66分、再び日本の左サイドから斜めにクロスを入れられる。今度はニアに飛びこまれ、川島が反応してボールには触れたもののそのままゴールに入り立て続けに失点。1-2とあっという間に逆転を許してしまう。これはクロスもシュートもフリーでプレッシャーがかからなかった。失点直後で集中を欠いたか、あるいは勢いに飲まれたか。
国家的英雄を投入して勝負に出た相手に対して、足の止まり始めた日本はあっさりと逆転を許してしまう。特に同点に追いつかれたところで踏ん張れなかったのが悔やまれる。
日本は直後の67分、大迫に代えて大久保を前線に投入するが、攻撃は散発で流動性も工夫も欠き、シュートまで持って行くこともできない。前線で香川と岡崎の左右を入れ替えては戻すなど戦術も混乱した。
86分、香川を下げて柿谷を投入、長身の吉田を前線に上げてパワープレーを試みたが競りきれず、コートジボワールの小狡い時間稼ぎもあって結局1-2で試合終了。先制しながら力負けというべき逆転負けで大事な初戦を落とした。
序盤に本田のファイン・ゴールはあったものの、前線の連係が悪く攻撃はほぼ機能しなかった。コートジボワールのプレスがそれほどきつかったようには見えなかったが、選手相互の意図が空回りし、ミスも多くボールがつながらなかった。ザッケローニ監督は試合後のインタビューで「距離感が悪かった」と総括したがまさにそんな感じだった。
ドログバはアシストにもシュートにも絡んでいないが、彼が入ることで空気が変わり、流れを一気に持って行かれた。ふと我に帰った時には逆転されていたという印象だ。味方を鼓舞し敵をを威圧する存在感は圧倒的なものだった。
主将の長谷部は「自分たちのサッカーを表現できなかった」「切り替えて次に行くしかない」とコメントしていたが、なぜ表現できなかったのかの検証とその原因の修正は必須。長谷部が言うのはメンタル的にこの敗戦のダメージを引きずらないということだと思うが、戦術的にはむしろしっかりとした振り返りが必要。
具体的には、コレクティブであることが生命線のフットボールで、なぜ攻撃時に味方が離れ離れになり、連係が無残なまでにバラバラに崩れてしまったのか、どのスペースを使われなぜ敵のキーマンが二度までもフリーでクリティカルなクロスを放りこむことができたのかを精査する必要がある。
結局のところ、コートジボワールは強かった。日本もしっかり戦い勝機はあったが、自分たちが格下でチャレンジャーであるという意識がどこか希薄だったのではないか。結果として1-2の敗戦は内容的に妥当な結果という他ない。ひとつ気を抜けば殺られるギリギリの戦いであるということは分かっていたはずなのに、ふわっと失点してしまったこと、特に2点目の失点は真摯に顧みるべきだ。
これで日本は残りの2試合、ギリシャとコロンビアに連勝しなければならなくなったと考えた方がいい。ギリシャはコロンビアとの試合では今ひとつの出来だったが、「ギリシャには勝てる」と考えるのなら惨敗は必至。このレベルの大会ではちょっとした違いからどんなことでも起こり得るし、それはいい方にも悪い方にも言えること。最後の紙一重を自分たちのものにするにはそれだけの積み上げと詰めの厳しさが必要だ。
評点(評点は
ドイツ式
):
川島(4.5) 2失点目は反応してボールに触れていただけに悔やまれる。
内田(4) 攻撃参加のタイミング、ワンプレーの質はさすがに高かった。
森重(4.5) 悪くはなかったがドログバへのファウルで後手に回った。
吉田(4.5) 局面では集中していたが中央での2失点は言い訳できない。
長友(4.5) 個の強さは見せたが裏を使われた。高い位置取りは指示か。
長谷部(4.5) スペースを埋め走り回ったが攻撃では機能しなかった。
山口(4) 要所でピンチの芽を摘んだ。先発フル出場は妥当だった。
岡崎(4.5) 彼自身は頑張っていたが周囲との連係を欠き効果半減以下。
本田(4.5) ゴールは素晴らしかったがそれ以外はほぼ印象に残らず。
香川(5) 精彩を欠く出来。顔つきがいつもに増して悲愴。切り替えを。
大迫(5) ポストに身体を張ったがシュートなし。苦しい戦いになった。
===
遠藤(4.5) パス出しにさすがの感はあったが流れは変えられず。
大久保(5) 投入は理解できるがどん詰まった流れの中で動き取れず。
柿谷(-) 時間短し。つかそもそもパワープレー要員ではない。
次はドイツ戦を楽しみに待ちたい。
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日本代表
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2014ワールドカップ
2013年06月23日 17:48
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■
【コンフェデA組第3節】日本×メキシコ
■2013年6月22日(土) 16:00キックオフ
■Belo Horizonte
例によって録画を日曜日の朝6時半から再生して時差観戦。もうグループリーグ敗退は決まっているが、メキシコとの試合は来年のワールドカップに向けた重要なテスト。この試合をどう位置づけ、どう戦うか注目された。
日本は長谷部を警告累積で欠くため細貝が先発した他、右SBには内田に代え酒井(宏)が、CBには吉田に代えて栗原が先発。
川島
酒井 栗原 今野 長友
細貝 遠藤
岡崎 本田 香川
前田
試合の詳しい経過は省略するが、出足こそ鋭かったものの次第にメキシコに主導権を握られ、後半に入ってから54分、66分に2点を失い、86分に1点を返したものの結局1-2でこの大会3連敗となる敗戦を喫した。
イタリア戦に続いて戦う意思は見えたが、中2日の上、序盤からハイペースでの攻守の応酬につきあわされたこともあってか前半途中から次第に足が重くなったように感じられた。つか、どうせならもう選手総替えくらいの勢いでやった方がよかったんじゃね?
これから東アジア選手権を経て来年のワールドカップまで、選手の入れ替えも含めてチームを作り直すと宣言しているのなら、この試合で控えメンバーを大胆に試してみてよかったと思う。その意味でこの試合のターンオーバーはいかにも中途半端だったじゃないか。
つか、高橋出してよ。
せっかく招集して地球の裏側まで連れて行ったんだし。乾や清武も見たかったよね。
交替もよく分からなかった。先制されて最初に切ったカードが酒井に代えて内田と(59分)。次が前田に代えて吉田と(65分)。何かそこでレギュラーに戻しちゃうんですか感はあった。吉田を入れてスリーバックにしたようだったが直後に失点、77分には長友が足を痛めて負傷退場を余儀なくされ、中村を入れてフォーバックに戻すなどちぐはぐ感も拭えず。
サブメンバーのチャレンジにも徹しきれず、かといって疲労のたまった主力は息切れ、意思が結実しプレーとして十分に表現されることのないままメキシコに力負け。内容的にはメキシコのゲームで、1-2のスコアは残念ながら妥当なものだったと言う他ない。
強豪相手に真剣勝負のできるまたとない機会だったが、ちょっともうしんどかった。グループリーグ突破の希望がなくなって消化試合になった時点で、モラルの置きどころをうまく組織できなかった感がある。何のために戦っているのか分からない試合はことのほかしんどかっただろう。もったいない。
もともとブラジル、イタリア、メキシコが相手で苦戦は必至、その中でも自分たちのゲームプランを貫いて世界の強豪とどこまで渡り合えるかという大会だったのだから、3連敗という結果そのものは受け入れるしかない。ここから来年のワールドカップに向けたチーム作りがスタートするのだ。
だが、それにしてはチャレンジが中途半端だった感は否めず。国内リーグのシーズンを中断してまで出かけただけの甲斐はあったのだろうか。結局、この大会で何か得たものはあったのだろうか。いや、もちろんあったんだとは思うけど、それは投じたものに見合った果実だったのか。そこにすごく疑問の残る大会だった。
サポとしては朝4時からの試合や7時からの試合にどう対応するかというまたとないシミュレーションにはなったが、もうちょっと、やっぱり何とか、こう、何とかならないか、という大会だったように思う。まあ、そのもどかしさが世界の壁ということなのか。ちょっと違うような気もするけど。
東アジア選手権では海外勤務の選手の大半とJ2勤務の選手は招集できないらしいので、国内の選手中心にチームを編成することになる。僕としてはボランチが遠藤と長谷部、細貝でいいのかどうか気になる。新しい可能性を見たい。高橋とか。米本とか。まあ、どうしてもというなら柴崎とか。
あと、CBも今野はともかくとしてサブは栗原とか伊野波でいいのか、本当に。そこはやっぱり森重とか。
トップの迫力不足も問題だ。渡邉、李が必要。豊田も見てみたい。
それから、東とか、長谷川とか。太田とか、徳永とか。
いや、マジで言ってるんですけど、オレ。
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コンフェデ2013
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日本代表
2013年06月21日 22:59
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【コンフェデA組第2節】イタリア×日本
■2013年6月19日(水) 19:00キックオフ
■Recife
見たかった、ナマで。
日本時間朝7時からという、まあ、どう頑張ってもサラリーマン的にはナマで見ようのない試合で、一応録画して、夜家に帰ってから見ようと経過・結果に関する情報を一切遮断しようと思っていたんだけど、午前中に飲み会の誘いを受けて断念、結果を確認したら
3-4
と。得点経過を見たら、21分、本田のPKで先制、33分、香川のゴールで2-0とリードを広げたが、41分、1点を返されて2-1で前半終了。後半開始早々の50分に内田のオウンゴールで2-2に追いつかれ、52分にはPKを与えて2-3と逆転を許す。69分、岡崎のゴールで3-3と同点に追いつくが、86分、勝ち越しゴールを奪われ3-4で惜敗、と。先発はこんな感じ。
川島
内田 吉田 今野 長友
長谷部 遠藤
岡崎 本田 香川
前田
見たかった、ナマで。
いくら善戦しても勝たなければ意味がない。「惜しかった」で満足していてはいつまでたっても成長がない。そりゃそうだ。僕もそう思う。だけど、経過を知って「ああ、ナマで見たかった」と日本中のサラリーマンが悔しがったということは確実にひとつの価値だと思う。
敵が誰であれ、自分たちのスタイルで果敢に得点を狙いに行く、臆せずパスをつなぐ、狭いところでも崩しに行く、この日の日本はブラジル戦から比べれば見違えるほど明快に自分たちの意思をフットボールで表現していた。
その巧拙はあるだろう。失点の仕方はひどかったし、一時は2点のリードを奪いながら勝ち点を取れなかったという結果はどうやっても言い訳のできないものだ。選手たちも一様に「悔しい」と唇を噛んだ。試合の中身だけを論評するのなら勝たなければならない試合だった。
だが、意味はあった。大きな意味があった。
ヘンな言い方かもしれないが、この日の試合は「悔しい」と唇を噛むに値する試合だった。戦ったからこそ「悔しい」という率直な思いに説得力がある。
ブラジル戦のどよ〜んとした印象に比べれば、この試合の印象はくっきりしている。得点シーン、失点シーンが多かったという単純な理由ももちろんあるが、それだけではなく、肝を冷やしたシーン、判定に怒ったシーン、バーやポストに嫌われて悔しがったシーン、見事なターンに思わず声を上げたシーン、そういうひとつひとつがはっきりと記憶に残っているだろう。
輪郭の鮮やかな試合だった。
それはそこに一貫性があったからだ。大げさに言えばそこにきちんと思想があり、それが実際の行動によって明快に表現されていたからだ。すべてのシーンがその思想によって裏打ちされていたからだ。
そしてそれは日本という国のフットボールにとって確実に大きな財産になる。
「朝7時の試合だったんで見られなかったんだけどさ」というようなのも含めて、僕たちにとってのこの試合の記憶がいずれ文化の一部になって行くのだ。ブラジルやらイタリアやらドイツではそういうフットボール文化が太い幹を持っている。何かあったときにそこに立ち戻って判断の基準にできるような共通のスタンダードが、フットボールに関する集合的記憶の長い蓄積によってきちんと形成されている。それを人は歴史と言う。
僕たちのフットボール文化はまだまだ若木だ。だが確実に育ちつつある。そしてこの日の試合はその若木をひとつたくましくした。
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コンフェデ2013
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日本代表
2013年06月16日 12:57
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■
【コンフェデA組第1節】ブラジル×日本
■2013年6月14日 16:00キックオフ
■Brasilia
権田も高橋もダンテも出てないので僕的にはまあどうでもいい試合ではあるが、せっかくなので朝6時半に起きてニュースが耳に入ってしまう前に録画を見た。
日本はこのところリーグ戦を含め調子が今イチの前田をベンチに置き、本田のワントップでトップ下に香川、岡崎と清武が両翼という布陣になったが、実際には前の4人はかなり流動的にポジションを入れ替えていたようだ。
川島
内田 吉田 今野 長友
長谷部 遠藤
岡崎 香川 清武
本田
試合そのものはほとんどの人が見たと思うが、一応確認しておくと、3分に敵FWの見事なミドルでいきなり先制され、後半立ち上がり早々の48分に追加点を決められ0-2。さらに反撃に出た終了間際アディショナル・タイムにはカウンターからあっさりダメ押しの3点目を失い、0-3で完敗した。
この試合を見ていて感じたのは、そこまで極端な実力差があるとか、完膚なきまでに蹂躙されたとか、そういう印象がないにもかかわらず、何か決定的な違いがそこにあって、試合としてはそれなりに流れていたのに終わってみれば完敗だったということ。これは何なんだろう。
これをメンタルとかの問題に矮小化してしまうと、日本のサッカーはいつまでたってもこのレベルから先に行けないような気がするので、技術的なところから検証すると、まず一対一で完全に負けてた。ていうか勝負になってなかった。一対一で勝負する以前に外されてたというか。
常にカツカツ、120%出てますみたいな感じで必死のパッチの日本に対して、ブラジルは早くに先制したこともあってか余裕かましてた。地元開催の開幕戦で観衆のプレッシャーはむしろブラジルにかかる上、ワールドカップは予選免除なので真剣勝負の強化もできてない、主力は軒並みヨーロッパにいるので代表の意思結集も難しい、そういう難しい試合なのに余裕があった。
それはメンタルなのかなあ。メンタルとは言いたくないよね。むしろ文化。ま、いろいろあるけどここはしっかり頑張んなきゃでしょ、という意思結集が高いレベルで短時間にできちゃうのは、これまでもその程度のプレッシャーはいくらも受けてきたという歴史と経験の裏づけがあるからで、それが文化なんだと僕は言いたい。
あとは判断の速さ。つか、ヤツらはたぶん判断なんかしてない。反射。リフレクションだと思う。我々のサッカーはまだまだ判断が速いとか遅いとかそういう世界で勝負してるんだけど、ヤツらはたぶんもはや判断とかしてなくて、状況に反応してるだけなんだと思う。そこに決定的なレベルの差を感じた。
オートマティズムの行き着く先はきっと脊髄反射なんだ。何も考えなくても身体が自動的にベスト・プレーを選択するくらいフットボールが五感に刷り込まれてるのだ。
それに対して、日本は守備も攻撃も中途半端だったよね。つか、何を捨てるかがはっきりしてなかったよね。しっかり守って失点を防ぎたいし、中盤を支配してボールを持ちたいし、切り替えの早いいい攻撃から崩してゴールしたいし、オレたちの持ってるもの全部出したかったよね。で、その結果、何を捨てて何を第一にやるのか逆にはっきりしなくなっちゃったよね。
いや、チームとしてはゲームプランあったのかもしれないけど、見えなかったよね、オレには。こっちの方が実力的に劣勢だという認識があるのなら、そこはもうちょっと戦術絞り込みたかったところだし、むしろここで3-4-3試すくらいの胆力があってもよかったかもしれない。ともかく1-0を狙うのか、打ち合い上等で4-3で勝つつもりなのか、どうやって勝とうとしているのか、そこがすごい中途半端だったんじゃないのか。
つか、そもそも勝つつもりはあったのか。選手にも監督にも、そしてオレたち自身にも。勝つのを見たかったのか善戦するのを見たかったのか、どこまで何を期待してるのか微妙なところがあって、自分自身も含めて厳しく反省するんだけど、
「勝ちたい、何としても勝とう、勝つ」
と強く思って見てた人は実際少なかったんじゃないのか。そんな試合に勝てる訳ないわ、普通。勝てればラッキーくらいでへらへら見てる試合に勝てる訳ないだろってこと。いや、結局メンタルの話してるんだけど。
そんな訳で我々は負けた。何か知らないけどふわっと負けた。大きくはないけど決定的な違いがそこにあった。それで負けた。このままじゃ3連敗するよ、マジで。それで「いい経験になった」っつって帰ってくんのか。それならJ2でやってる遠藤と今野の方がよっぽどいい経験になってると思う。
次のイタリア戦、何とかしようよ。
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コンフェデ2013
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日本代表
2011年08月12日 17:14
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【国際親善試合】日本×韓国 ドイツ×ブラジル
[
日本3-0韓国
]
この試合はほとんどの人がテレビで見ていただろうと思うので試合経過を詳しく振り返ることはしないが、日本は序盤からボールを支配、核となる選手がいないように見え精彩を欠く韓国を相手に、押し込み気味に試合を進める。35分、李からのパスをゴール前で受けた香川がDF二人に挟まれながらもこれをゴールに流し込み先制。
後半に入ると53分、駒野が左サイドからエリア内に持ち込みシュート、これは敵GKがセーブしたが、こぼれ球を清武が落とすと走り込んだ本田がこれを蹴り込んで2-0に。さらに55分、右サイドでフィードを受けた清武が中央へ折り返すとゴール前に走り込んだ香川がワンタッチで合わせて3-0に。今野らの集中した守備で韓国を完封し、完勝を収めた。
とにかく香川の技術とセンスが光った試合。敵DFに身体を寄せられながら浮かしたボールを綺麗に枠に飛ばした1点め、右サイドからのクロスに走りながら右足インで合わせた2点めとも、ここしかないというポイントでこれしかないというプレーを正確に決めた。
いずれも高い技術に裏打ちされたワールド・クラスのプレーだと思うが、すごいのは親善試合とはいえ国際Aマッチで臆せずそういうプレー選択ができる精神的なタフさだ。ここと思ったところに迷わず飛び込み、難度が高くても今そこで必要とされるプレーを躊躇なく実行できる判断、決断。海外でプレーし、結果を出す中で身につけた自信の賜物だという他ない。
日本は丁寧にボールをつなぐサッカーで韓国を圧倒した。連携もよく、海外組と国内組のギャップも感じさせなかった。代表の目指すサッカーが世界の主潮だということなのだろうが、若い選手を中心に、クリエイティブにボールを出し入れするサッカーは見ていて小気味よい。代表がチームとしていい状態にあることを感じさせた。できることなら森重、徳永あたりをこの代表に参加させたいと思った。
一方の韓国はいつも日本との試合で見せる気迫みたいなものが今回はあまり伝わってこなかった。若いチームなのか、ボールの収まりどころとしての核となる選手が見当たらず、個々のプレーはともかく連携が散漫だったように見えた。
[
ドイツ3-2ブラジル
]
布陣はこんな感じで、シュヴァインシュタイガーを中盤のアンカーに置いた4-1-4-1。
ノイアー
トレシュ フメルス バードシュトゥーバー ラーム
シュヴァインシュタイガー
ミュラー ゲッツェ クロース ポドルスキ
ゴメス
前半はらしくないブラジルを相手にドイツがボールを支配しながらもフィニッシュに決め手を欠く展開。やはりクローゼが前線で果たしていた起点としての動きはゴメスには難しいのかもしれない。魅力的な前線の布陣だが、ブラジルの帰陣も早くゴールに結びつけられず。
後半に入った61分、クロースがエリア内にボールを持ち込んだところに敵DFが遅れてチャージ。ドイツがPKを獲得し、これをシュヴァインシュタイガーが落ち着いて決めてドイツが先制。これで試合が動き始め、67分にはクロースのパスで敵DFラインの裏に抜け出したゲッツェが角度のない難しいところから敵GKとの一対一を決めて2-0に。
71分、今度はラームがエリア内で敵MFを引っかけてPKを与える。ブラジルはこれを決めて2-1に。だが、80分、敵エリア内でシュヴァインシュタイガーが敵DFからボールを奪取、これを落としたところに交替で入ったシューレが走り込んでゴール。3-1に。ロスタイムには敵FWに見事なミドルを決められ3-2と1点差になったが、内容的には終始ドイツが優位に立ち、妥当な勝利を収めたと言っていい。
この試合、ドイツはエツィル、ケディラというレアル・マドリードの所属選手が出場していなかったが、代わりにゲッツェ、シューレらの若手を起用、層の厚さを示した。こちらもポゼッションを大事にしながらくさびをトリガーにスピードアップして崩しにかかるという現代的なサッカーで、レヴ監督の戦術が浸透している印象を受ける。
バラックのような圧倒的なスターはいないが、世代交代を巧みに進めつつもチームにギャップを作らないレヴ監督とDFBの周到な強化戦略は評価すべき。ロイスに出場機会がなかったのは残念だったが、次のヨーロッパ選手権に向けていいイメージを蓄積できているのではないだろうか。
ブラジルは個々の能力は高いもののやはり連携が散漫。コパ・アメリカでの不調をひきずっているのか、怖さとか凄みといったものがあまり感じられなかった。
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ドイツ代表
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日本代表
2010年07月21日 23:48
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【2010ワールドカップ】日本代表総括
日本代表は大方の予想に反して一次リーグを突破し、決勝トーナメントに駒を進めた。決勝トーナメントのパラグアイ戦では延長までスコアレスで戦い、最後にPK戦で敗れはしたものの、ベスト8はすぐ目の前にあった。4試合を戦って2勝1敗1分、勝ち点7。大会前に「ベスト4」を目標に掲げた日本代表は嘲笑、冷笑を受けたが、結果から見れば、その目標設定は――最終的に手が届かなかったとはいえ――あながち夢物語ではなかったと言えよう。これだけの結果を残したことは高く評価しなければならない。
もちろん、この結果は、高い位置からのプレス、ポゼッション、速いパス回し、崩しからフィニッシュという岡田監督就任時からの戦略を大胆に捨て去り、自陣にブロックを形成する守備的な戦い方にシフトすることによって成し遂げられたものだ。この辺のことは既にあちこちで言われているので改めて説明するまでもないだろう。そして、結果から見ればこの決断は正しかった。身の丈を知り、その中で自分たちの持ち得るものを最大限生かす戦い方をしたという点では、僕たちの代表はこれ以上ないというくらい優秀だった。
だが、そうであればあるほど、それでは岡田監督就任から大会までの2年半はいったい何だったのかという疑問が残る。
アジア予選ではポゼッション・フットボールもそれなりに機能していたのだからそれでいい、本戦に向け戦略を転換することはあり得ることだ、という考え方ももちろんあるだろう。
しかし、岡田監督はそのような明確な見通しの下に堅守速攻型のチームを編成し強化してきたのではない。初めからこうした戦い方を展望するなら、もっと違ったチーム編成、強化があり得たはずだ。一度も起用することのない選手を何人もベンチに座らせておくこともなかったはずだし、日本に残してきた選手の中にこの戦い方で生きる選手が何人もいたはずだ。今回の一次リーグ突破は、泥縄がたまたまうまく行っただけのことであり、単なる僥倖以上のものではなかった。チーム戦略としては明らかに失敗だったのであり、そのことは明確に指摘しておかなければならない。
もうひとつ僕たちがよく考えなければならないのは、今回の戦いが所詮弱者の戦略であるということだ。僕たちの代表は、これからも自分たちの力が世界の強豪国と比べて明らかに見劣りすることを前提にした戦い方をして行くのか。あるいは、今回は失敗したが、より能動的で機動的なスタイルによって世界の強豪に伍することを目指すのか。僕たちはこれから難しい選択を迫られることになるだろう。
メディアの論調はいつもながら滑稽だった。大会に向けては岡田監督批判がヒステリックなまでにフィーチャーされていたのが、カメルーンに勝った途端にまるで手のひらを返したように翼賛的な岡田バンザイ一色に染まってしまった。大会前にはチームを支え、買ったときにこそ課題を厳しく指摘するようなメディアは残念ながら僕の知る限り見当たらなかった。寂しいことだが、結局、僕たちの社会にはスポーツ・ジャーナリズムの名に値するような言論はないということなのかもしれない。
いずれにせよ、今回のワールドカップは、おそらく前回以上のインパクトを僕たちに残してくれた。バカ騒ぎも含めて、この期間、僕たちの生活は確かにサッカーを中心に回っていたし、僕たちの退屈な日常は間違いなく異化された。ひとつひとつの試合、得点、プレーが僕たちの中に深く刻み込まれた。そのようにしてサッカーは僕たちの共通の記憶になり、共有の言葉になり、そして文化になって行くのではないだろうか。
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2010ワールドカップ
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日本代表
2010年06月30日 21:01
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【2010ワールドカップ】パラグアイ×日本
決勝トーナメントの1回戦はパラグアイとの対戦。TBSはやかましそうなのでスカパー観戦。
おそらくは日本人の半分以上がテレビを見ていたと思うので試合の詳しい内容は省略するが、サッカーを知り尽くした南米の強豪を相手に、我々の力がどこまで通用するのか、予想外の健闘となった一次リーグの結果を受け、真価が問われる試合であることは間違いない。
パラグアイは一次リーグの相手であったカメルーン、オランダ、デンマークなどの、ある意味正直でストレートなサッカーをするチームとは異なり、試合運びに長けた、巧く、タフで、クセのあるチームという印象。こうしたチームとガチンコで組み合って実力で圧倒できるほど我々は強くないという認識からスタートするしかない。
こうした認識とここまでの戦いを踏まえれば、この試合も失点しないことを第一に、集中を切らさないよう守備でしっかり我慢し、攻撃はワンチャンスに賭けることになるだろう。
したがって、攻撃でリスクを負うことは必要だが、どの局面でどの程度のリスクを負うかは全員で十分に意思統一しなければならず、ボールを失った後の切り替えは最もクリティカルなポイントになる。また、多くの決定機が生まれるとは思えないので、数少ないチャンスできちんとフィニッシュできる精度、フィジカル、技術、そして何よりメンタルが決定的に重要だ。
そう考えれば、現実的には流れからのファインゴールを期待するより、カウンターやFKに活路を見出さざるを得ず、ギリギリまでスコアレスで終盤勝負、そこで得点できなければ延長、最終的にはスコアレスでのPK戦も展望しなければならないという試合。多くの人は、息苦しくカタルシスのない90分、場合によっては120分を初めから覚悟していたはずだ。
その意味では試合はプラン通りに運んだと言っていい。パラグアイにボールを持たれることも想定内だろう。守備ではサイドやスルーパス、ディフェンス・ラインに割り込まれての反転から抜け出される場面も少なくはなかったが、最後の瞬間には身体を張り、それでも間に合わなかったボールは川島が何度もセーブして窮地を救った。守備は終始集中できており決定的な破綻はなかった。
それに対して攻撃は思っていた以上に機能しなかった。チャンスの少なさは予想通りだったが、こうした本当の意味での厳しい試合で、その数少ないチャンスを確実にモノにするという点では、残念ながら我々はまだまだ半人前以下だと思わざるを得なかった。
それは、ゲームプラン通りスコアレスで終盤を迎えた局面で顕著だった。81分、いまや守備の要である阿部を敢えて下げ、投入したのは森本でも矢野でもなく中村憲剛。遠藤と長谷部のダブル・ボランチにして中村をトップ下に置き、前を厚くするという考え方は分かるし、中村は十分機能したと思うが、普通ならここでFWを投入して一気に勝負をかけるのではないだろうか。
局面を変えられるストライカーがいないことが最後まで日本の弱点となったことは否めない。森本は大会直前のケガでコンディションが十分でなかったのかもしれないが、セリエAで屈強なDFを背負ってプレーする経験の豊富な森本をここで使わなかったのは疑問が残る。
ベンチにいたメンバーで「もしかしたら何かやってくれるかも」という期待を抱かせるのはやはり森本だけだろう。だが、延長後半から大久保に代えて投入されたのも森本ではなく玉田。得点の取れないFWしか切り札がないことを露呈したという他ない。ここでFWが機能しないなら何のために終盤までスコアレスで持ちこたえたのか分からない。
もともとFWをさしおいてMFの本田をワントップに起用している訳だし、途中交替の岡崎も本田を押しのけてトップに張るのではなくそのまま右ウィングに入った。そんなに頼り甲斐のないFWばかりならわざわざ南アフリカまで連れてくる必要はなかった。どうしてもFWが頼りにならないなら今野あたりを入れて田中を前線に上げることだってできたはずだ。スコアレスでのPK戦まで見込んでいたとは言え、勝負をかけるタイミングで敢えてバランスを崩す思い切り、割り切りが足りなかったというのは酷だろうか。
PK戦になった以上、運が結果を大きく左右することになるのは避けられなかった。負けたのは120分で勝負をつけられなかったからであり、駒野がPKを外したからではない。もちろん、川島が一本も敵のPKを止められなかったこと、駒野がPKをバーに当てたことの反省は必要だし、PK戦で負けたのがすべて運が悪かったせいだとは言わないが、ここを詰めてみてもあまり建設的な議論はできそうにない。
これで日本代表の2010ワールドカップは終わった。この日の試合も、傍目には凡庸で退屈なものに映ったかもしれないが、今できることの中でほぼベストの戦いはできたと僕は思う。負けたことは残念で、実際勝てる試合であったと思うが、誇りの持てる試合だったと言っていいのではないだろうか。
採点(
採点の見方
):
川島(1.5) 決定的なピンチをことごとく跳ね返した、PK一本は止めたかった
駒野(4) 右サイドからの敵の侵入を再三許した、PK失敗はやむなし
中沢(2.5) 最後まで集中した守備で身体を張り続けた
田中(2.5) ハイボールに絶対的な強さ、プレーで見方を鼓舞した
長友(3) 守備重視だったが効果的な攻撃参加も
阿部(2.5) 組織的な守備の中核として無失点を下支えした
長谷部(3) 好手にツボを押さえた働きで状況判断が光った
遠藤(3.5) よくボールに触ったがFKも含めフィニッシュに絡めず
松井(2.5) 難しい局面でも取り敢えず何とかできる懐の深さを見せた
大久保(4) 運動量はあったがボールを持ってもほぼ何もできず
本田(3) 動きの質は高かったが決定機に決めきれず
===
岡崎(4) 生真面目に動き続けたが決定機には働けず
中村(憲)(3) 前線にアイデアと運動量を再投入、効いていた
玉田(4.5) 切り札としての凄みなし
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2010ワールドカップ
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日本代表
2010年06月25日 22:39
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【2010ワールドカップ】デンマーク×日本
勝った方が一次リーグ突破、引き分けなら日本が突破という条件で迎えた最終節。例によって前日は録画をセットして早寝、当日5時から出勤前の追っかけ再生観戦した。
引き分けでも突破とは言いながらも、スコアレスを狙いに行けるほど日本は老練ではないし、身長差を考えても自陣にこもって敵の攻撃を跳ね返すだけの対応はむしろリスクが高い。できる限り自陣ゴールからボールを遠ざけて保持し、でき得れば得点することによって有利に試合を運びたいが、そのために後ろが空くリスクは取れないという難しいゲームプランになる。要はその分走ってカバーするしかないということだ。
結果から先に言ってしまえば、この日の日本はそのタスクを想像以上にしっかりとこなしたと言っていいだろう。ラインは深めだったと思うし、決してむやみに追い回す訳ではないが、自陣を固めながら前線からも積極的にプレスをかけてボールを奪い、素早いパス交換で敵ゴールに迫るという困難な戦い方が高いレベルでできていた。終盤の息切れリスクも当然考えられたが、ここ一番のビッグ・マッチで集中力もモラルも高い上、現地も夜の試合なので、このスタイルは納得のできる選択だった。
あわよくば早い時間帯に得点を奪い有利に試合を進めるという目論見も、17分の本田のFKで現実になった。キック自体も見事だったが、この大事な試合の大事な局面で自信を持ってゴールを狙える個としての強さが光った。
序盤は日本の陣形が整わない隙を突かれて押し込まれる局面もあっただけに、ここで試合を落ち着かせることができたのは大きかったし、引き分けでもいい日本が早い時間帯に先制したことは試合の流れを大きく決定づけることになった。極論すればこのゴールで試合は半分決まったと言ってもいいかもしれない。極めて重要な先制点であった。
さらに30分には遠藤がFKを直接決めて2-0に。これでデンマークはかなりガックリきたと思う。勝利の必要な試合で前半に2失点、しかもいずれもFK。これはメンタルにはかなり効いたはず。だが、こうした位置で何度もセットプレーを得られたのは、日本の速く細かい展開にデンマークが対応しきれていなかったことを示しているのではないだろうか。日本には理想的な試合運びになった。
後半開始早々、48分には再び遠藤のFK。GKが弾いたボールがバーに嫌われたがあわや3-0というシーンだった。後がないデンマークは次第にロングボールを日本ゴール前に放り込むパワープレー中心になって行くが、日本はボランチやGKも含めて集中した守備ができており、危険を感じたシーンは数えるほど。74分には疲れの見えた松井に代えて岡崎を投入しリフレッシュを図る。
だが、78分に敵に意外なタイミングでのミドルを許し、これがバーをたたいて胸をなで下ろすシーン。その直後の81分には長谷部が敵を後ろから浴びせるように倒したとしてPKを献上。PKそのものは川島が弾いたが、このこぼれ球がPKを蹴ったFWの正面に転がりこれを押し込まれて失点、2-1に。せっかくPKをはじいた惜しいシーンだったがやむを得まい。
ここで流れを持って行かれなかったのが、先制点と並んでこの日の最重要ポイントだったと思う。あるいは最悪引き分けでもいいんだという開き直りが精神的な余裕を生んだのか、日本はバタバタすることなく落ち着いて対応を継続。さすがに終盤は前線の選手を中心に足も止まり始めたが、87分、本田が敵エリア左で受けたボールを中央へ折り返し、これを岡崎が流し込んで3-1と日本が試合を決定づけた。
直後に大久保に代えて今野を、ロスタイムには遠藤に代えて稲本を投入して丁寧に試合をクローズ、日本はデンマークに完勝し決勝トーナメントに駒を進めた。
日本のモラルが非常に高かったことは間違いないが、細かいパスワークから仕掛ける日本に対し、デンマークは体格面でのアドバンテージはあるものの、逆にそれ故か素直かつ大振りなサッカーで、ある意味日本には最も戦いやすい相手だったのかもしれない。両サイドの攻め上がりを自重し、コンパクトな守備からパスをつないで手早くフィニッシュにまで持ち込むという方法論は、予想以上にハマったと言っていいだろう。
ただ、結果的に得点につながりはしたものの、交替は果たして松井→岡崎が適当だったのだろうか。松井を下げるなら森本を入れて本田を一列下げ、前線でのキープ力や反転力に期待するか、中村憲剛を入れて中盤の運動量をリニューアルした方がよかったのではないかと思う。その後の大久保→今野、遠藤→稲本は納得感があるが、もう少し早くてもよかった。
いずれにしても、格上の相手に対しプライドを持って物怖じせずに戦い、特徴を出して勝利を得たという意味では、日本のサッカー史に残る試合と言っても過言ではない。これが岡田監督が2年半追求し、そのために選手を選んで召集したサッカーなのかどうかは大いに疑問のあるところだが、結果は高く評価すべきもの。自信を持ってよい。
大会前のテストマッチでひどい結果しか出ず、メディアからたたかれたせいで、チームに危機感が生まれ内部が結束して、高いレベルでの意思統一、戦術共有がはかれているのが今の好調の原因だと思う。一次リーグ突破の達成感とこれに伴うメディアの翼賛化が逆にそうした危機感、緊張感を弛緩させないかが心配だ。
これで日本は一次リーグを2位通過。決勝トーナメントの1回戦ではパラグアイと対戦することになった。パラグアイは南米予選をトップで通過した競合であり、スタイル的にも一次リーグの対戦相手にはなかったイヤらしさ、怖さがあると思う。引っかき回されないようにしっかりと意思統一して試合に臨みたいところだ。
採点(
採点の見方
):
川島(2.5) 高い反射神経でゴールを守った、失点は悔やまれるがやむなし
駒野(3) 序盤何度か背後を使われピンチになったがその後は安定して守った
田中(2.5) 攻撃参加も我慢し敵のハイボールを跳ね返し続けた
中澤(3) 大柄な相手と何度も渡り合い大事なエリアを守った
長友(2.5) この日も敵のキーマンを封鎖、攻撃は自重したが存在感は十分
阿部(2.5) アンカーとして敵のチャンスの目を摘んだ
長谷部(2.5) 攻守の連結点として機能、世界レベルで戦えることを実証
遠藤(3) FKはよかったが、流れからシュートしたかった局面あり
松井(2.5) 前線で攻守に汗をかき質の高い働きで起点になった
大久保(3.5) ひたむきに動き続けたが肝心のオンザボールが今ひとつ
本田(1.5) 攻守に八面六臂の活躍、評価を更に上げた、得点はむしろおまけ
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岡崎(3) 今日は入れるべきゴールをきっちり入れたことだけで十分
今野(-) 時間短し
稲本(-) 時間短し
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2010ワールドカップ
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日本代表
2010年06月20日 00:05
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【2010ワールドカップ】オランダ×日本
前節カメルーンに勝ち、日本国じゅうが異様に盛り上がる中での、しかも土曜日のゴールデンタイムのオランダ戦。テレビ朝日とNHKーBS1で中継があるが、当然BS1を見た。民放はサッカーと関係のない芸能人とかが出てきてやかましいし、アナウンサーも過剰に張り切るから嫌いだ。
さて、日本は、阿部に代わって今野がボランチに入る等の事前情報もあったものの、ふたを開ければ前節と同じ布陣。試合の流れはここで再現するまでもなくみんな知っていると思うので詳しくは割愛するが、この試合、初戦で勝っている日本は是が非でも勝つという試合ではなく、とにかく負けないことが第一。そのためにはまず失点しないように守備をすることが重要だった。
もちろんそれは必ずしも引いて守るということではなく、プレスのかけどころとか奪った後のボールの預けどころとか、守備に関する約束をきちんと共有するということであり、攻撃に色気を出さずにまずはそれを愚直に遂行するということ。そして、チャンスにはもちろん積極的に攻撃するべきだが、そこでも基本的にリスクは取らず、危険なボールの失い方をしないということだ。最悪0-0でいい。
端的に言えば守ってワンチャンス。この意識をどれだけ選手たちが共有できているか、実際のプレーで表現できているかが今日の勝負だった。その意味では前半はまずプラン通りの運びだったと言っていい。敵の中心になるMFをきちんとケアして自由にさせず、球際には複数で圧力をかけて決定的なラストパスを出させなかった。攻撃機会も限られたが、0-0で前半を終えたところまではまさに日本の目論見通りだった。
後半に入るとオランダは改めてギアを入れ直してきた。最初の15分はひたすら耐えるべき時間帯だったが、53分、日本の右サイドから上げられたクロスを中央で田中がクリア、しかしこのボールを敵FWにつながれ、後ろでフリーになっていたMFにミドルを放たれる。川島が手でセーブしたがボールは前に飛ばず軌道が変わっただけでそのままゴールイン。日本は重いビハインドを背負うことになってしまった。
こういったゲームプランで先に失点してしまうと決定的に苦しい。しかしもちろん、だからといってここで試合を投げ出す訳には行かない。ゲームプランは修正を迫られた。だがまず、失点したからといってむやみにリスクを取って前に出るべきではない。引き続きしっかりした守備からこれ以上の失点を許さないこと。これが何より重要でありファースト・プライオリティだ。
ただ、どこかでは得点を狙いに行かなくてはならず、どこかでリスクを負わなければならない。どこでリスクを取るのか、どの程度のリスクを取るのか、その意思統一が必要だ。中盤でボールを支配してラインを押し上げて、とかそういうリスクの取り方ではない。ブロックを作って攻撃を跳ね返し、ボールを奪ったところで一気にスピードアップする、その一瞬に人数をかける。終盤のパワープレーまではこれしかない。
後半の戦いを検証すると、最初のタスクはよくできていた。何度かディフェンス網をかいくぐられ、敵とGKが一対一になるシーンがあったが、川島が抜群の集中力でセーブした。とにかく追加点を許さなかったことは高く評価してよい。
攻撃の方も、無謀な攻め上がりは自重しながらここぞという局面ではゴールに迫ることもできていた。ただ、よく分からなかったのは選手交代だ。64分、松井を下げて中村を投入。なぜここで中村なのか、中村に何を期待しているのか、僕にはよく分からなかった。中村にはFKでの一発を期待していたのか、しかし、愚直に守って奪ったら一気にカウンターという局面で中村がどう生きるのか。
しかも交代が松井。松井は攻守に効いていたし、何度も右サイドで起点を作り、明らかに敵にも嫌がられていた。中村を投入するとしても、交代は松井ではなく大久保であるべきだったと思う。
さらに77分には玉田と岡崎を投入、長谷部と大久保を下げた。長谷部の交代にも疑問が残る。長谷部は高いレベルでオランダと渡り合うために必要な人材。ここで下げるべき人ではない。
それでも日本は終盤にかけ、田中を前線に上げてパワープレーに出る。この判断は間違っていない。だが、何度かのチャンスを作っても得点に結びつかない。90分には田中からのパスを受けた岡崎がゴール左からダイレクトで狙ったが力が入りすぎて大きく枠を外れた。岡崎がこれを決められなかったことはいろんな意味で今の日本のサッカーのレベルを示したことになったのかもしれない。
結局、日本はオランダを最少失点に抑えたものの、ワンチャンスで確実に得点するというセカンド・ミッションが果たせず悔しい敗戦を喫することになった。オランダ相手に0-1は想定される結果の中では決して悪い方ではないし、もっとひどいことにもなり得た訳だから、善戦と評価されるべきである。我々はまだ何もなしとげてはいないが、まだ何も失った訳でもない。悲観しても仕方がないし嘆いている時間がもったいない。
ワンチャンスを決められるかは、組織の問題よりは個人の技術とメンタルの問題だと思う。その点で今日の岡崎のフカしにはガックリきた。Jリーグではごまかせたけどこのレベルではムリだった、とはだれかのセリフだが、ワールドカップ・レベルの試合では、本当に数えるほどのチャンスを生かすことが死活問題。そこにその国のサッカーのレベルが凝縮されて顕著に現れるのではないか。
清水ではあれをフカしても次のチャンスがあるだろうが、ここでは一度のがしたチャンスは二度と巡ってこない。QBKも同じことだ。幸いまだ次がある。切り替えて次に行くしかない。
あと、終盤の交代には大いに疑問が残った、入れる選手も下げる選手もよく分からなかった。流れを変えられる選手は他にいないのか。終盤パワープレーに出るならなぜ矢野を入れないのか。今野、森本辺りもうまく使って欲しかった。パワープレー要員と割り切るなら、いっそ岩政でもよかった。それくらいの思い切りはなかったのだろうか。
採点(
採点の見方
):
川島(3) 失点シーンは残念だったがその後スーパーセーブで追加点を防いだ
駒野(4) しっかり守ったがクロスはかなり大雑把だった
中沢(3.5) 裏を取られるシーンもあったが最後まで集中して守りきった
田中(3) あらゆるボールを跳ね返し続け、終盤は前線にも上がった
長友(3) 攻撃参加の機会は限られたが左右のサイドでキーマンを止め続けた
阿部(4) 前半は敵の司令塔をよくつぶしたが、失点シーンではどこにいた?
長谷部(3.5) ドイツで鍛えられた強さを随所に見せていただけに交代は残念
遠藤(4) よくボールにからんでいたが決定的な働きはできず
松井(3.5) 強さとアイデアを兼ね備え前線の起点になっていた
大久保(4.5) 根性は見えるがそれだけでは戦えない世界、枠に飛ばせ
本田(4) 実際には守備にも汗をかくまじめな働きだが得点にいたらず
===
中村(5) ミッションが不明確で持ち味を出せる状況ではなかった
玉田(5) 何しに出てきたのか本人も分かっていなかったのでは
岡崎(5) 酷なようだがあれが決まらないのでは所詮J規格と言われるぞ
さあ、切り替えて次行こう。
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2010ワールドカップ
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日本代表
2010年06月17日 00:57
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【2010ワールドカップ】日本×カメルーン
日本がカメルーンに勝った。内容はともかく、格上と見られていた相手に対し明確な戦術を持って試合に臨み、プラン通りに勝ちきったことは何よりも大きい。もちろんそこには実力以外の運や巡り合わせみたいなものも大きく作用しているのだろうが、そういったものも含めて結果につなげた日本代表の戦いは高く評価するべきだろう。極めて大きな意味のある一勝だったと思う。
もっとも、これで大きく次への展望が開けたかと言えばそんなことはまったくない。星勘定的には次のオランダ戦に何とかして引き分ければ、デンマーク戦の結果次第で決勝トーナメント進出も十分視野に入るとか、オランダにはともかくデンマークには何とかなるとか、一つ勝ったからと言って安易に強くなった気でいると痛い目に遭う。オランダもデンマークも、日本が二連敗して全然おかしくない相手だ。勝てば金星なのだ。その状況は何も変わっていない。
今回、我々が勝ったのは、岡田監督がこれまで2年半かかって積み上げてきた方法論をご破算にする決断をしたからである。そのこと自体は英断だが、そこで選び取った戦術はあきらかに我々がベースとなる実力で相手より劣ることを前提にした戦い方だったと思う。結局、我々は前回のワールドカップから4年、岡田監督就任から2年半かかっても、世界の強豪に互して行くだけの力を身につけることはできなかったということだ。
僕たちは2年半、何のために代表の出来不出来に一喜一憂したのだろう。直前になって対戦相手より実力が劣ることに気づいてスクランブルするために、2年半文句を言ったり束の間の美酒に酔ったりしたというのだろうか。結局最終的に堅守速攻に落ち着くなら、これまで試してきた「接近、連続、展開」は何だったんだ。
それは我々に、我々の代表がどういう戦い方をするどんなチームであるべきかという共通の認識がなかったからだ。日本代表というのはどんなチームなのか、最終的には何を目指して進んでいるのかということがだれからも語られず、僕たちもまたそれを明らかにしないまま勝った負けたと騒いでいただけだからだ。
もちろんワールドカップではまず結果が必要だから、思想が何であれ認識がどうであれ、とにかく勝たないことには話にならない。しかし、仮に今の戦い方で日本が好結果を収めたとしても、ワールドカップが終わったら僕たちは厳しく反省しなければならない。僕たちは、まだ、「日本のサッカー」がどんなものか知らないのだ。
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2010ワールドカップ
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日本代表
2010年05月29日 23:09
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【緊急提言】代表駆け込み入替私案
ワールドカップの最終ベンチ入りメンバー・エントリー期限がいよいよ迫ってきた。入れ替えを行うなら最後のチャンスなので私案をまとめてみた。
まず、GKはこのままでいいだろう。西川を連れて行ってやりたい気もするが、チーム構成やリーダーシップを考えて第三GKに川口という選択は理解できる。
DFは岩政と駒野を外して徳永悠平(FC東京)を入れたい。岩政のパフォーマンスがどうかはよく知らないが、だいたい田中が出場できないときに阿部や今野でCBを繰り回すなら、別に岩政は要らないだろう。貴重な23人枠を、使う予定のない選手で埋めておくほど我々には余裕はない。駒野は別に悪くないが、僕が東京サポなので駒野よりは徳永だと思うと言うだけの話。
MFでは中村俊輔を外すべきである。理由は
別稿
を参照して欲しい。代わりに石川直宏(FC東京)と香川真司(セレッソ大阪/BVB)を入れたい。この二人はゴールに向かう推進力や思い切りがあり、切羽つまったときの勝負札になり得る。逆に、今のメンバーにはそういう存在が見当たらないのではないか。
FWでは大久保、玉田、矢野は外したい。理由は、リーグ戦で得点できていないからである。例えば、昨季、この3人はいずれも8得点しか挙げていない。しかも玉田はそのうち3点、大久保も2点がPKで、流れから決めた得点はそれぞれ5点、6点のみ。今季は玉田、大久保が2点、矢野に至っては無得点である。端的に言ってJリーグで得点できないFWに、世界レベルでの得点力があるとはとても思えない。
代わりに入れるべきだと思うのは、まず前田遼一(磐田)と佐藤寿人(広島)。前田は昨季20得点で得点王、今季も既に7得点を挙げている。佐藤は昨季15得点、今季は5得点だ。いずれもFWに求められる「危険さ」という意味では、今、日本人で最も高い水準にある選手であることは間違いない。
あと一人は難しい。田中達也(浦和)や興梠慎三(鹿島)も魅力的だが、ここは渡邉千真(横浜F・マリノス)がいいと思う。昨季新人で13得点、今季ここまで7得点と実績もある。ワールドカップのような大会では、それまで無名でもいきなりブレイクするラッキーボーイ的な存在が現れることがあり、若くて元気のいい渡邉を起用する妙味はあるように思う。それに相手のチームには渡邉の詳細なデータはないだろう。
東京サポの僕としては平山相太(FC東京)を推してやりたいところだが、あまりコンセンサスを得られそうもないのでやめておこう。結局、以下のような感じになる。
【Out】岩政、駒野、中村(俊)、玉田、大久保、矢野
【In】徳永、石川、香川、前田、佐藤、渡邉
今のメンバーよりもずっと「何かが起こる感じ」はあると思うんだけどな。
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日本代表
2010年02月07日 00:25
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【東アジア選手権】日本×中国
代表の試合にはあまり興味はなく、ふだんはただ東京の選手がケガをしないで帰ってきてくれることを祈っているのだが、今回は東京から4人も呼ばれているし、ホーム・スタジアムである味スタでの開催だったので足を運ぶことにした。
残念なのは石川がケガのため代表離脱を余儀なくされたことだ。幸いシーズン開幕までには治ることが見込めそうだが、ここは無理をせず、きちんと手当をして欲しい。キャリア的に今が絶好の、そしておそらく最後のチャンスだというのは分かっているが、ここで変な傷め方をしたら元も子もない。焦る必要はない。
さて、試合の方はテレビでも放送があったので細かく内容までは書かないが、正直パッとしない試合だった。岡田監督は「チャンスは作ったがゴール前での泥臭さが足りない」とコメントしているらしいが、正直、ワールドカップがすごく不安になる試合だった。
僕の見たところでは、中盤に稲本、遠藤、憲剛とよく似たタイプの選手を集め過ぎではないのか。これは中田英寿の負の遺産だと思うのだが、我が国ではタレントが「司令塔」タイプの中盤の選手に集中してしまい、キラーパスを出してFWを走らせる選手が最も重視されてしまうことの現れである。各々はもちろん優秀な選手だと思うが、中盤に彼らがひしめくことはチームの構成として正しいのか。
玉田も似たところがあり、おそらく中村俊輔が合流してもこの事情は変わらないだろう。結局中盤の真ん中あたりがモコモコしてしまい、パスの出し手はいるが受け手はいない状態で、組織が機能していないのではないか。後半、平山を投入し、明確な受け手を設定することで、やや前線でのタメが作れるようになったが、そもそも石川や本田のようなドリブラーがいないと見ていても得点できる気がしない。ていうかこのチームはいったいどういう形で得点するんだろうという「スタイル」が全然見えない。
僕ならまず平山を入れて前線のターゲットを明確にするとともに、石川を入れてバランスを崩してでもゴールに向かうスピリットを注入したい。CBは中澤、田中より、今野、阿部といったビルトアップにも優れた選手がいい。いかんな、これじゃただの東京サポだ…。
とにかく気温が低く寒かったが、試合もかなり寒い内容だった。いったい日本代表はどういう勝ち方を目指すのか、こんなところで足踏みしている場合ではないと思うのだが。まあ、もれなく日本代表ブランケットをもらえたのは嬉しかったが。味スタはアウェイ側がガラガラで、中国代表の応援団は味スタでの京都サポくらいしかいなかった。隣の国なんだし日本国内にも中国人はたくさんいるはずで、営業の仕方次第ではもっと動員できたんじゃないだろうか。
あと、今野や徳永を使う気がないならクラブに返して欲しい。
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日本代表
2009年06月01日 00:21
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【キリンカップ】日本×ベルギー
ふだんは代表の試合にはあまり興味がなく、ただ東京から招集された代表選手がケガなく戻ってくることだけを祈っている訳だが、今日は相手がベルギー代表で会場が家からも遠くない国立ということで前売りを買った。
ところが金曜日辺りから天気予報がどんどん怪しくなり、今日は午後から強い雨が降りしきってこれはもう合羽観戦決定と覚悟を決める他なかった。エナメルバッグに合羽とタオルと大きなゴミ袋3枚とレジ袋2枚を詰め、どうせ国立では弁当なんか広げてられないだろうからと新宿のはなまるでうどんを食べて腹ごしらえをして出かけたのだが、果たして夜降るべき雨は昼のうちに降ってしまったのか、結局最後まで合羽はおろか帽子すらいらずに観戦できたのだった。
前回代表戦を見たのは何年前だったか、今の日産スタで日本×ドイツを見たとき以来で、あの時は完全にドイツを応援していた訳だが、今回はそこまでアウェイに肩入れすることもなく、でもまあ、デムスが来ているのでグラードバッハのユニを着て観戦した(今日の試合には結局出なかったけど)。GKのバイリーは招集されなかったようだ。
試合は改めてここで書くまでもない展開で、日本が4-0で買った訳だが、ベルギー代表はシーズンが終わったばかりの極東遠征。ドイツにいたときの経験では主力の中堅、ベテランは軒並みお腹が痛いとか背中が痛いとか言い出して招集を辞退するのが当たり前の状況で、今回のベルギーもそういう感じだったらしい。その上、時差もあり、完全なアウェイの地で中一日の試合であれば、そんなチームに完勝と言っても手放しで喜んでいる場合でもないとは思う。
とはいえ、得点シーンはどれも見るべきものがあった。長友も一点取ったし左足で放り込んだクロスもアシストになったし、今野は見られなかったが、まあ行った甲斐はあったかも。チームとしてはよくコンセプトが浸透し、息が通じ合って来ているように見えた。
帰りはどう考えても国立競技場駅と千駄ヶ谷駅が混みそうだったので、例によって将棋会館の前を通って副都心線の北参道駅まで歩いた。スタから10分ほどの道のりで、外苑前駅まで歩くよりは近いと思うのだが、この駅から地下鉄に乗ろうとしているサッカー帰りの客は我々の他にはベルギー国旗を羽織った外国人3人だけで、駅も電車もガラガラだった。まあ、みんな知らないならそれでいい。混まない方がいいんだから。
おまけ採点(
採点の見方
):
楢崎(3.5) ていうか試されるシーン自体ほとんどなかった
内田(3) 効果的な上がりと美しいクロスで魅了
中澤(3.5) 今日は攻撃は自重、守備は手堅かった
田中(5) 決定的なミスあり、失点にならなかったのは幸運
長友(2.5) 1ゴール1アシストは立派
遠藤(3.5) 目立ってはいなかったがバランスを取った
長谷部(3) 何かすごく上手くなった
中村(俊)(4) 消えてることが多かったような気が…
中村(憲)(2.5) 1ゴール、積極的なプレーで存在感を示した
大久保(4) 消える時間帯もあったが3点目のアシストは見事
岡崎(3) 無骨だが決定的な瞬間にそこにいる才能
===
橋本(-) すまん、よく見てなかった…
本田(3.5) 出場機会に賭ける気概を感じた
阿部(4) 安定感は感じさせたが見せ場はなかった
興梠(-) あまり仕事ができなかった
矢野(3.5) 短い時間で得点、アピールにはなった
山口(-) すまん、よく見てなかった…
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日本代表
2007年12月26日 21:59
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【移籍情報】今年のFC東京の補強(3)
近藤の復帰が正式に発表された。あと、川崎からDF佐原獲得の報道が複数紙に。読売が福西獲得の報道も。読売は結構いい補強をしているのではないか。編成は東京よりまともなような気もしないではない。
今野は浦和移籍でほとんど固まっていたが城福新監督の来季構想を聞いて移籍通告を保留したとか。いずれにしても最終的には浦和という方向性は動かし難いようにも見えるが、最後まで諦めずに慰留して欲しい。東京には今野が必要だ。優勝なら東京で目指そうよ、今ちゃん。
[新規加入]
◎正式発表済み
GK 廣永遼太郎(ユース)
DF 椋原健太(ユース)
DF 長友佑都(明治大)
MF 大竹洋平(ユース)
MF 下田光平(市立秋田商)
FW 近藤祐介(神戸、レンタルから復帰)
●新聞辞令
DF 増嶋竜也(甲府、レンタルから復帰)
DF ブルーノクアドロス(札幌)
DF 水本裕貴(千葉)
DF 佐原秀樹(川崎)
[退団・移籍]
◎正式発表済み
GK 土肥洋一(読売?)
DF 八田康介(横浜FC)
MF 福西崇史(読売?)
FW 川口信男(未定)
●新聞辞令
MF 今野泰幸(浦和)
MF 伊野波雅彦(鹿島、千葉)
FW ルーカス(ガンバ大阪)
[レンタル中]
FW 阿部吉朗(柏)
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日本代表
2007年04月15日 22:37
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【代表】今野が、そして近藤が…
16日から18日にかけて行われる代表のトレーニング・キャンプのメンバーが発表された。FC東京からは、前回のペルー戦には招集されなかった今野が再び呼ばれた。まあ、当然だろうという気持ちと、今季の働きからはまだまだ行けるはずだろという気持ちと。ユーティリティ的に使われて可哀相な部分もあるが、本来インターナショナル・クラスの人材だと思うので、ここを乗り越えて一段成長してもらいたい。
さて、まあ、それはいいとして、驚いたのは神戸の近藤が同じく招集されたこと。近藤だよ、近藤。ガリガリ行くがムラが多く今いち信頼感のなかったあの近藤が、代表だよ。嬉しいなあ。神戸で成長したんだなあ。たぶんあのまま東京に残っていてもこのブレイクはなかっただろう。当時二部の神戸で出場機会を与えられ、重い責任を背負ったことが近藤を磨いたのだ。代表でしっかり存在感を見せてやれ。で、東京に帰ってこい。神戸には代わりに平山をプレゼントしていい。
それにしても、柏の李といい、近藤といい、東京を出た選手ががんばっていると、あの時出て行ったことにも意味があったんだと思って嬉しい。李って元は東京にいたんだよね、とか自慢したくなる。でも、東京を出たからこそ成長したこともたぶん確かで、そこはちょっと複雑だな。何か、大事な原石を磨ききれなかった悔いというか。まあ、逆もあるし、万事は巡り合わせなので、そこは割り切るんだろうけど。
代表の話題のついでなんだが、この週末は18日のU22シリア戦に招集されたメンバーがリーグ戦に参加しなかった。まあ、FC東京はその方が何となくチームがまとまったので痛手は少なかったのだが、なぜ、リーグ戦のある週末に代表を招集するのか。今日の試合が終わってから呼ぶのが普通ではないのか(18日の試合なら16日招集で十分)。どうしてもこの週末に選手を呼びたいなら、水曜日をリーグ戦にしてこの週末をナビスコにすればよかったではないか(AFCチャンピオンズ・リーグ? 何それ?)。
日程の調整がすごく難しいらしいということは一応承知しているが、カネを払って試合を見に来るファンに対する言い訳にはならないと思う。JFAは代表とクラブ、リーグ戦の関係をもうちょっと考えるべきなんじゃないか。
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日本代表
2007年03月24日 23:04
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【親善試合】日本×ペルー
テレビで見たが試合時間の4分の1は確実に居眠りしていたと思う。
中村のFKはさすがだし高原のゴールもよかったけど得点がセットプレーだけなんだもんなあ。明らかにモチベーションの低い相手に対してなかなか有効な攻め手を見出せず、シュートすらほとんど打てなかった前半。もちろんそういう試合でもセットプレーで得点を挙げて勝てるということは重要だしそこできちんと帳尻を合わせてくるという意味では中村、高原を呼んだ価値はあったのだろうが、逆にいえばチームとしての連係はまだまだこれからということなのかもしれない。
一方、若手中心に選手を入れ替えた終盤のチームの方は前に向かう意志が明確に出ていてよかったと思う。でもこっちは時間が短いこともあって得点には結びつかなかったし、せっかくの羽生もあんまり効いてなかった。こっちのチームは元気はあるのだが決定力が足りない感じで、何だかまるで今の日本には代表チームが二つあるような印象を受けた。
ま、何より今野を呼ばなかったことが今回の試合の最大の失策だな。
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日本代表
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