フットボール・クレイジー
football crazy
silverboy club
presents
2014年07月25日 21:56
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【ワールドカップ総括(3)】日本代表―危機感を対象化せよ
日本はグループ・リーグで2敗1分けと勝利がなく勝ち点1、得点も2点にとどまって最下位で敗退した。本田、香川、長友ら欧州で実績を積んだ選手を揃え、優勝はともかくグループ・リーグは突破できてもまったくおかしくない戦力だったはずの我々は、なぜかくも無残に敗退したのか。
振り返ってみれば、初戦となったコートジボワール戦では16分、本田のゴールで先制。しかしその後はコートジボワールからほぼ一方的に押し込まれ、よくしのいではいたものの後半途中で敵の精神的支柱とも言えるドログバを投入されると目に見えて流れが変わり、3分で2点を奪われて逆転を許してそのまま敗戦。
ギリシャ戦は堅守のギリシャに対して日本がボールを支配、終始押し込みながらも1点が奪えずスコアレス・ドロー。
最終戦となったコロンビア戦は、立ち上がりは悪くなかったもののPKで先制点を献上。その後もよく踏ん張り前半終了間際に本田のクロスに岡崎が飛び込んで頭で合わせ同点にしたものの、後半から2枚のカードを切ってきたコロンビアに早い時間帯に勝ち越しを許し、前がかりになった裏をカウンターで突かれさらに失点、終了間際には再びカウンターでダメを押されて1-4の完敗となった。
思うのは、これらの3国と仮に10試合ずつやれば、コートジボワールには4回くらいは勝てるだろうしギリシャには5回くらい勝てるはずで、コロンビアにも3回くらいは勝てるんじゃないかということだ。それがなぜ、ワールドカップの本番ではこれらの国にひとつも勝てないのか。決して楽な戦いではなかったが、歴然とした力の差があるというよりは勝負に負けた感が強い。
日本は「自分たちのフットボールを貫く」という合言葉の下、しっかりしたポゼッションからコンビネーションで崩すオーソドックスで近代的なフットボールを志向したし、そのやり方自体はまったくおかしくなかった。しかし、実際にゲームでそれが思い通りにできたかどうかは疑問だった。
4年に一度の大舞台なので、どこの国も必死で戦うのは当然。「自分たちのフットボールを貫く」というスローガン自体はいいにしても、その通りにことが運ばなかったときにどう対応するのかというコンティンジェンシー・プランがあったのだろうか。あるいは、プランはなくても選手自身がゲームの中で臨機応変に打開を試みる対応力はあったのだろうか。
負けている試合で終盤に吉田を前線に上げたパワー・プレーを試みていたが、なりふり構わず得点を取りに行かねばならないという非常事態になった時に、我々はどうすればよいかというイメージをしっかり持っていたのだろうか。「自分たちのフットボールを貫く」というスローガンに殉じる覚悟だったのだとするならそれはあまりにもナイーヴだったという他ない。
ギリシャ戦のレビューで僕はこう書いた。
「危機感がストレートに表現されず、『オレがしっかりしてないからあかんのや』的な、自責的な形で内向してしまっている」「ベスト・パフォーマンスを出すことよりも、我慢したり苦しんだりすることで何かが解決するような自己処罰的な錯覚に陥ってしまう」「現状に合わなくなったプランに固執して失敗を繰り返してしまう」「試合が終る前から免責のための言い訳を探している」
その責任はもちろん選手にも監督にもある。しかし最大の原因はフットボールが我々の生活に根づいていないことだ。こんなときにどうするというイメージが国民の間に共有できていないし、そういうときに思い出す共通の経験も記憶もない。フットボールが身近になく、ワールドカップのときにお祭り的に盛り上がるだけでは、そのような文化としてのフットボールは我々の実感に定着しない。
いい選手を揃え、しっかりした戦術を身につけて、実力を出しきれば世界と互角に戦えるという考え方は夢想的に過ぎた。それは僕たちがフットボールの世界ではどんなことが起こり得るか、そんなときにどんな手を打ち得るかをまだまだ理解していなかったということだ。僕たちは想像力の欠如に負けた。想像力が足りないために現実の複雑さ、深遠さに負けたのだ。
しかし、悲観することはない。もともとスピードと正確さを身上とする我々のフットボールはモダンなもの。そのベースがしっかり構築できれば、その上にカウンターなどの「破調」を付け加えることは難しい注文ではないし、そうやって戦術を複線化することで非常事態に対応する力は確実に向上する。そしてそれは危機感を対象化しそれに冷静に対処する力の大きな源になる。次期監督にはハビエル・アギーレに決まったが、スタイルとしての親和性はあるのではないか。
ザッケローニ監督の構築した我々のフットボールは決して間違っていない。しかし日本代表は最後の最後で「できることを全部やりきればダメでも仕方ない」とでもいったような「頑張り主義」的な考えに堕してしまい、勝つための手段だったはずの「自分たちのフットボール」がドグマになってしまったように思う。
ドイツ代表が示した、ハイプレスからの高速ショート・カウンターと、スピードを持ってやりきる少ないタッチ数での高速コンビネーションの併用という次世代ポゼッション・モデルに我々は案外近いところにいる。スターに頼るのではなく、コレクティヴで戦略的なフットボールを目指すのであればそこに道は開ける。
何しろ、僕たちは、ナイーヴなフットボールがどんなふうに瓦解するかを4年かけて学んだのだから。
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2014ワールドカップ
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日本代表
2014年07月21日 12:13
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【ワールドカップ総括(2)】ドイツ代表―戦術を支えた文化的受容
ドイツ代表はずっと強かったように思っている人が多いかもしれないがそんなことはない。2000年、ドイツ代表は未曽有のスキャンダルに揺れていた。
当時代表監督はエーリッヒ・リベックだったが、リベックは2000年の欧州選手権でグループ・リーグを1分2敗という惨憺たる成績で敗退、辞任を余儀なくされる。世代交代が進まず、既に30代後半であったローター・マテウスに頼ったチーム作りが決定的に失敗だった。
後任にはレバークーゼンで結果を出していたクリストフ・ダウムが取り沙汰されていた。実際、DFBはダウムと契約直前まで行っていたらしい。しかし、バイエルンのGMであったウリ・ヘネスらが強硬にこれに反対する。ダウムはコカインを常用しており代表監督にすべき人材ではないというのである。
議論は収拾せず、やむなくダウムの毛髪検査が行われることになった。毛髪に蓄積されたドラッグの痕跡を確認するものだが、その結果が陽性と判明し、ダウムの代表監督就任は雲散霧消したばかりかダウムはレバークーゼンの監督の座も追われ国外に脱出を余儀なくされた。この頃僕はドイツに住んでいたが、毎日すごい報道だったのを覚えている。
引き受け手のいなくなった代表監督を務めることになったのはレバークーゼンのSDであったルディ・フェラーであった。レバークーゼンが身内の不始末の責任を取ってSDを差し出したとも考えられる人事だが、フェラーには監督ライセンスがなく、公式には「チームシェフ」という肩書で、監督ライセンスを持つミヒャエル・スキベがヘッド・コーチ格でベンチに入ることによってレギュレーションを満たしたのではなかったか。
僕にとってドイツ代表はこの迷走した時期の印象が強く、だから2002年の日本でのワールドカップでドイツが決勝までコマを進め、横浜でブラジルに敗れはしたものの準優勝のタイトルを手にしたことは意外だった。
そのフェラー監督も2004年の欧州選手権で再びグループ・リーグ敗退の憂き目に遭い辞任。後任選びは引き受け手がなく難航したが、「それならオレが」と手を挙げたユルゲン・クリンスマンが監督に就任し、大胆な世代交代とアメリカナイズされたスマートな運営スタイルで改革に成功し、それをヘッド・コーチだったヨアヒム・レヴが引き継いだのが現在の代表である。
前置きが長くなった。
前回の総評でも書いたが、クリンスマン=レヴの作り上げたドイツ代表はもともと前線での積極的なプレスからボールを奪い、素早い攻守の切り替えで一気に敵ゴールに迫る「ゲーゲン・プレッシング」の原型。BVBがユルゲン・クロップ監督の下で2010/2011、2011/2012シーズン連覇、2012/2013シーズンにCLでバイエルンとブンデスリーガのクラブ同士決勝を戦う(準優勝)という結果を出したのとシンクロしている。
今回の大会では代表の主力を輩出するバイエルンがグアルディオラ監督を招きポゼッション・スタイルに移行したことなどもあり、ドイツの戦術はポゼッションと評されることが多かったが、実態は単なるポゼッションではなく、ハイプレスからの高速ショート・カウンターとスピードを重視したポゼッションの併用という次世代のコンビネーション・フットボールであったことも前回書いた通り。
結局ドイツの強みは、高い技術と体力、精神力、そして何より選手間での高度な戦術共有、連携が必要なこうしたスタイルを、代表でしっかり定着させたことで、それはレヴ監督がクリンスマン監督の下で事実上戦術面の指揮を執っていた2004年から10年がかりでチームを熟成させたこと、バイエルン所属の主力がクラブで既にオートマティズムを構築していたことなどの結果であった。
しかし、今回の大会のドイツの戦いをよく見れば、決して圧倒的な強さがあった訳ではなく、苦労して勝ちあがってきたことも分かる。グループ・リーグでは初戦となった強敵ポルトガル戦こそ4-0と完勝したものの、第2節のガーナ戦では先制したものの逆転され、終盤に何とか追いついて2-2の引き分けと肝を冷やし、最終節のアメリカ戦に1-0と辛勝して勝ち抜けを決めるなど楽な道のりではなかった。
決勝トーナメントでも1回戦のアルジェリア戦は90分間戦ったもののスコアレスとなり、延長で2点を奪って勝利(1点を返された)、準々決勝でもフランスに1-0の辛勝であった。準決勝でブラジルに7-1と派手なスコアで打ち勝ったのは記憶に新しいが、決勝もアルゼンチンの堅い守備と前線でワンプレーから得点できる敵FWの個人技に苦しみ90分をスコアレス、延長で1点をもぎ取って優勝したのは知っての通りだ。
グループ・リーグ第1節 ドイツ4-0ポルトガル
グループ・リーグ第2節 ドイツ2-2ガーナ
グループ・リーグ第3節 ドイツ1-0アメリカ
決勝トーナメント1回戦 ドイツ0-0アルジェリア(延長2-1)
準々決勝 ドイツ1-0フランス
準決勝 ドイツ7-1ブラジル
決勝 ドイツ0-0アルゼンチン(延長1-0)
こうして見れば快勝と呼べるのはポルトガル戦、ブラジル戦くらいのもので、あとは決定力不足に苦しみ、2度の延長(ガーナ戦を加えれば3度の引き分け)を含むしょっぱい試合の連続だったと総括してもいいくらいだ。
しかし、今回のワールドカップは例えば2002年の日本、2006年のドイツ、2010年の南アフリカに比べても比較的安心して見ていられたように思う。もちろん早起きして手に汗は握っているのだが、「でもまあ最後に勝つのはドイツだし」という根拠のない楽観みたいなものが僕にはあった。
それはドイツ代表がどんな試合展開でも最後まで自信を持って規律のあるプレーを続けていたからなのだと思う。そこにはワールドカップという舞台で何が起こり得るか、そのひとつひとつにどう対処すべきか、具体的な戦略、戦術以前の問題として、フットボールというものをずっと経験し続けてきた選手、ベンチ、協会、そしておそらくは国民として、ドイツ代表というものの確たるイメージが共有されていたからなのではないだろうか。
例えば想像以上に気温や湿度が高く消耗が予想されるときにどこでスローダウンするのか、早い時間に先制したときに守備と攻撃のバランスをどう調整するのか、あるいは1勝1分でグループ・リーグ最終戦を迎えたときに何を狙って試合を組み立てるのか。そういうひとつひとつの課題に対する想像力が、実際にピッチに立つ選手から、近所のパブに集まってテレビを見つめているおっさんまで行き渡っている。
何をポイントにフットボールを見ればいいのか、過去の膨大な国民的記憶が議論のベースを提供し、共通のプラットフォームの上でフットボールをめぐる喜怒哀楽が共有されている。それはフットボールの文化的受容とでもいうもの。これがドイツ代表の力の源なのであり、我々の代表にはまだまだ十分でないもの。
面白くない試合でも勝ちきる強さはこのようなプラットフォームから生まれてくるのであり、戦術的に思い通りの試合ができなくても何とかする力、局面において最も合理的な選択を躊躇なくする力は、そういう国民的経験の中で培われるものだ。近代的な戦術が、おそらくはベルンの奇蹟に遡るドイツ代表の「伝統」の裏づけを得て、蒸し暑い異国の地で苦しみながらも結果を出した。
2000年の迷走を知る者として、ドイツがワールドカップで優勝するのを目の当たりにできたのは一言で表せない喜びだったが、その瞬間は意外と冷静でもあった。ドイツ代表はまだ平均年齢も若い。レヴ監督の留任と2年後の欧州選手権での優勝を期待したい。
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2014ワールドカップ
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ドイツ代表
2014年07月20日 23:22
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【ワールドカップ総括(1)】総評―この大会が指し示したもの
ワールドカップはドイツが優勝して閉幕した。ドイツ在住経験を持ち、以前からブンデスリーガ、ドイツ代表の動向をずっと追いかけてきた僕としてはこれ以上ないくらい嬉しい大会だったが、これは世の中的にはどう映っているのか。
今回の大会でまず大きなショックだったのは前回優勝のスペインがグループ・リーグを突破できなかったことだろう。初戦でオランダに1-5と完敗、チリにも0-2と完封負けを喫し、最終戦でオーストラリアに3-0と勝利したものの時既に遅かった。
細かくパスをつなぎながら最終ラインを押し上げ、敵の守備網にギャップを作らせてそこから崩すという所謂ポゼッション・スタイルのフットボールは、オランダの強力な前線から繰り出される割りきった個人技フットボールや、チリのスピードをつけてやりきるフットボールに歯が立たなかった。
これはバルセロナでグアルディオラ監督が完成の域にまで高めたポゼッション・スタイル、コンビネーション・フットボールの終焉を意味するのか。現在では多くの少年フットボールの現場で、「蹴るな」「つなげ」という指導が行われているが、そうした考え方は一気に過去のものになったのだろうか。
こうした問いにひとつの答えを示したのが優勝したドイツのフットボールだったと思う。今回のドイツの戦術はポゼッションと説明されることが多かったと思うが、ドイツのそれはスペインのそれとは決定的に異なっていた。
ドイツ代表はもともと前回、前々回のワールドカップで、ハイプレスからの高速カウンター、奪ったボールを小気味よくつなぎながら一気に攻め上がるフットボールを得意としていたのであり、それはまさにクロップ監督がBVBで作り上げた「ゲーゲン・プレッシング」の高次での結実と呼ぶにふさわしいものであった。
ところが今回、ドイツの戦いはむしろポゼッションに重点を置いたもののように見えた。その原因の一つはグアルディオラがバイエルンの監督になり、そこを通じてポゼッション概念がドイツ代表にも持ち込まれたということがある。ラーム、シュヴァインシュタイガー、クロースら、ゲームを作るキー・プレイヤーたちがしっかりボールを保持しながら攻め上がるフットボールをクラブで叩きこまれていたことは大きな要因だ。
もうひとつは、相手国がドイツを警戒し引き気味になったりして、必ずしも「ハイプレスからの高速カウンター」という戦術がはまらない状況が多く見られたということ。必然的にボールを持つ中で、どう崩すかということは好むと好まざるとに関わらず直面しなければならない問題だった。
さらにブラジルの高温多湿の気候も影響したと思う。こうした条件では前線から90分間ハイプレスをかけ続けることは難しい。むしろボールを保持し、ボールを動かすことで敵の消耗を誘う戦い方が合理的だったということだろう。
では、今回のドイツのポゼッションはこれまでのスペインのポゼッションとどう異なっているのか。
最も大きな違いはスピードの重視である。スペイン型のポゼッションはボールを奪っても数的優位が見込めなければムリして速攻せず、遅攻からボールを回して前線が手詰まりになれば何度でも下げて作り直すというスタイル。
それに対してドイツのポゼッションは縦にボールを出し入れして敵に食いつかせることで守備網のスライドを誘い、ワンタッチ、ツータッチの素早いパス交換でスライドの遅れた部分から崩しをかけるというよりスピード重視の攻撃的なもの。相手の準備が整う前に攻めきることに大きなポイントがある。
思うにこれはポゼッション・スタイルの進化形であり、コンビネーション・フットボールのあるべき姿を示したもの。もちろんこうしたポゼッションとスピードという異なるモメントを両立させることは簡単なことではなく、判断の速度の問題ですらなく、ひたすら反復練習によるオートマティズムの獲得が問題になるのだが、ドイツ代表では多くの選手がバイエルンでそうした戦術を共有し、既に核の部分でオートマティズムがある程度完成できていたことが大きかったと思う。
また、こうしたスタイルがハイプレスからの高速ショート・カウンターと併用され、それが状況に応じて使い分けられることもドイツの強み。レヴ監督の下で長くチームを作り、戦術面での熟成を深めていたドイツ代表とすれば、優勝するなら今回しかないという機の熟したタイミングであったと言っていい。
だが、スペイン流のポゼッション・スタイルの退潮に伴って、今回の大会で目立ったのは「後ろを固めて奪ったボールは前線のエースに預け『あとよろしく』的な個人技フットボール」である。例えばオランダは5バックに近い形で最終ラインを防衛し、奪ったボールは前線のスナイデル、ファン・ペルシーそしてロッベンに預けるという戦術が明快だった。
ブラジルも結局のところダヴィド・ルイス、チアゴ・シウヴァの強力なCBが止めたボールをネイマーに預け、攻撃は前の人たちで何とかするという以上の戦術はなかった。セット・プレーからDFが得点して帳尻は合わせたものの、個人技を統合し組織するアイデアは見られず、それが1-7という準決勝での歴史的惨敗の遠因になったことは否めない。
そして決勝でドイツが対戦したアルゼンチンもメッシが90分間うろうろとピッチを散歩する以外の攻撃はなかった。ドイツとて楽に勝てた試合ではなかったが、最高峰の大会の決勝で、守備をしない、ボールを受けに動くことすらしない男がふらふら散歩しているような国に負ける訳には行かなかった。
今回の大会は、決勝でこうした「後ろを固めて奪ったボールは前線のエースに預け『あとよろしく』的な個人技フットボール」とドイツの「ハイプレスからの高速カウンターとスピードを伴ったポゼッションを併用する次世代型コンビネーション・フットボール」とが雌雄を決するべくガチで戦ったというのが僕の見立てだ。
僕が強く思うのは、ロッベンもネイマーもメッシもいない少年フットボールでは、前者のフットボールはお手本にし得ないということだ。ワールドカップは熾烈な勝負の場であると同時に、フットボールという競技の将来像、未来の姿を示すものでなければならない。
エース頼みの個人技一発のフットボールは一般性、汎用性のない袋小路の戦術であり、フットボールの退化である。ワールドクラスの個人技を見ることもワールドカップの楽しみであることは否定しないが、結局のところフットボールは例外的で超絶的なプレイヤーがいなければ勝てないというのが、世界中のフットボール少年たちに対しこのワールドカップを通じて発せられるメッセージだとしたら、――いささか大げさに言えば――それはフットボールの緩慢な死を意味する。
ドイツが優勝したことの意味、価値はそこにあったと僕は思っている。もちろんドイツの戦術も少年フットボールがお手本にするにはかなり高度なものであり、一朝一夕にモノにできるものではない。しかしそこには明快な理論的裏づけがあり、その理解と訓練とによって完成度はともかくイメージに近づくことはできる。そのようなフットボールが有効であることを示したことで今回のワールドカップは記憶されるべきだ。
ドイツ代表の優勝への道のりは次回に確認するが、スペイン、イングランド、ポルトガルのグループ・リーグ敗退、準決勝でのブラジルのショッキングな敗戦など、波乱もあったワールドカップは、最後にフットボールの未来を指し示して閉幕したと僕は思う。
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2014ワールドカップ
2014年07月14日 23:10
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【ワールドカップ決勝】ドイツ×アルゼンチン
■2014年7月14日(月) 4:00キックオフ
■リオデジャネイロ
ついに決勝。ドイツにとっては2002年の日本ワールドカップ以来12年ぶりの決勝進出である。朝4時だろうと3時だろうと起きてみるしかない。この時間なら最悪PKになっても最後まで見届けられるだろう。目覚ましをセットして前夜は10時に就寝。
ドイツはケディラが試合前のアップで負傷したとのことで急遽クラマーが先発。決勝でワールドカップ初先発だ。グラードバッハ代表としてしっかり頑張って欲しいところ。それ以外は準決勝ブラジル戦と同じメンバーとなった。
ノイアー
ラーム ボアテン フメルス ヘヴェデス
クラマー シュヴァインシュタイガー クロース
ミュラー クローゼ エツィル
ドイツは序盤からボールを支配して攻撃に出るもののボールが足につかず、最終ラインをしっかり固めるアルゼンチンに対してフィニッシュまで行けない。一方のアルゼンチンは奪ったボールを素早く前線に展開、個人の打開に期待する割りきった戦術でチャンス・メイクする。
17分、クラマーが敵エリア内で敵DFと激しく交錯、頭を強打して倒れる。何とか立ちあがってプレーを続けるが頭だけに心配だ。うちのクラマーに何をしてくれる。
21分、クロースのバックパスがオフサイド・ポジションに攻め残っていた敵FWに渡るがシュートは枠を外れ胸をなでおろす。肝を冷やした一瞬だった。
30分、ドイツの左サイドから入れられたクロスに中央でヘディング・シュートを許しボールはネットを揺らすがオフサイドの判定。カメラが線審を映さないのでこれも一瞬ドキッとしたがリプレイを見れば明らか。
32分、やはり影響が残ったのかクラマーに代えてシュールレを投入。クラマー大丈夫か。開幕まで1ヵ月しかないのに心配だ。クロースとシュヴァインシュタイガーのダブル・ボランチに、右ミュラー、左シュールレの両翼、トップ下にエツィルという4-2-3-1的な並びになったか。
ドイツはアディショナル・タイム、クロースの右サイドからのCKに中央でヘヴェデスがドンピシャのヘディング・シュートを放つがポストを直撃、こぼれにミュラーが詰めるがこれはオフサイドに(どっちみち入ってなかったけど)。スコアレスで前半を終了する。
シュート3本ずつとチャンスは多くないが、組織で押し上げるドイツと前線に預けて個人技勝負のアルゼンチンとの厳しい戦いになる。アルゼンチンの方がカウンターでいい形を作っているように見えるが、ドイツはムリめのシュートを打たないだけで試合はドイツがコントロールしていると見ていい。
後半に入るとアルゼンチンが攻勢に出る。ドイツは受けに回り、47分にはスルーパスから裏に抜け出され厳しいシュートを打たれるが枠に収まらず。ノイアーがいいポジショニングでコースを切るのと、おそらく蹴る側も厳しいコースに蹴らないと入らないと思うから確度が低くなるんだろう。敵の前線はワンプレーで局面を打開し得点できる力があり怖いが、ボアテンのチャレンジとフメルスのカバーという守備が効いており、何とか後半開始早々の時間帯をしのぐ。
57分にはノイアーがエリアぎりぎりまで飛び出してパンチングでセーブ、そのまま敵FWと激しく交錯する。ちょっとエリア外だったようにも見えたが勢いで有無を言わせなかった。
試合が進むと互いに失点に対する恐怖が芽生え、慎重な試合運びになってくる。次第に中盤が間延びし始める中で激しいボールの競り合いが展開されるが、ドイツがしっかりポゼッションをしている分、アルゼンチンの方に先に疲れが出たか、次第にドイツが主導権を取り返す。
神経質な展開のまま試合は終盤に。ドイツは最後に攻勢をかけるが人数をかけて手堅い守備を構築するアルゼンチンを崩しきれず。88分、クローゼに代えてゲッツェを投入、結局スコアレスのまま90分を終了し、試合は延長に入る。
延長開始早々、敵エリア左隅でゲッツェの落としを受けたシュールレが直接ゴールを狙うがGK正面に。これは入ったと思ったが。97分、フメルスが敵FWに詰めきれずループ・シュートを放たれるが枠を外れる。ノイアーが飛び出しており危ないシーンだった。引き続き得点のないまま延長後半に。
113分、ついに得点が生まれる。左サイドをドリブルで突破したシュールレが、敵を抜ききらないままクロスを入れる。ニアでこれを受けたゲッツェが胸トラップしたボールをそのままボレー・シュート。これがファーのサイド・ネットに突き刺さりドイツが先制。見事という他ない技術だった。
終了間際には敵に絶好の位置でFKを与えるなど最後まで気の抜けない戦いとなったが、120分にはエツィルに代えてメルテザッカーを投入するなどして守りきり、ドイツが1990年イタリア大会以来24年ぶりとなる4回目の優勝を決めた。
総括は別の機会に改めて書きたいが、エースがまったく守備をせず、ボールを引き出す動きすらせず、預けられたボールか目の前にこぼれたボールしかプレーしない、ほぼ120分間「おさんぽ」状態のアルゼンチンには負けられなかった。後ろを固め、奪ったボールは個人技で勝負できる前線に預けて「あとよろしく」的なフットボールに優勝させる訳に行かない。
ドイツはポゼッション・オリエンテッドと言われるし、実際そういう試合だった(ポゼッション64-36)が、それはたまたまアルゼンチンが守備的だったからで、ハイプレスからの高速ショート・カウンターも自在に繰り出せるドイツにとって、何よりも強みはその多彩な戦術をしっかり実践レベルに落としこんでいる戦術理解、共有でありそのオートマティズムである。
一人がボールを持つ時間を極力短くすることで常に流動しながら次へ、次へとプレーを展開して行くスピード感は、単に「ポゼッション」のひとことで片づけられるものではない。スピードとの両立を拒むかのように遅攻を優先し、前が詰まれば何度も作り直すスペイン型のポゼッションの次に来る現代的フットボールを世界最高の大会で堂々と繰り出し、あるべき姿を示したドイツの優勝は意義深い。
守備をしないエースにボールを預けるアルゼンチンの戦術は、絶対的、例外的な天才がいない普通のクラブにはあまり参考にならないものだし、少年フットボールではお手本にする訳に行かないもの。ひとりの天才がいるために逆にいわば進化の袋小路に迷いこんだ先のないフットボールだったというべきだ。
ユーロでの優勝は見たことがあるが、ワールドカップでドイツが優勝するのは初めて見た。ドイツが優勝するなら今回を措いてないとこの大会が始まってから日に日に確信を強めたが、本当に優勝した。ドイツにいたかった。
ところでMVPは精彩を欠いたアルゼンチンのキャプテンに。正直意味が不明だった。
これで1ヵ月に亘ったワールドカップ観戦も終った。次の週末にはもうリーグ戦が始まる。
評点(評点は
ドイツ式
):
ノイアー(3) 決勝でもアグレッシヴな守備でシュートの前にピンチを回避。
ラーム(1.5) なぜかぽっかり空く右前線を何回も使って質の高いクロスを供給。
ボアテン(1.5) 的確な判断と果敢なチャレンジで敵FWと対峙。素晴らしかった。
フメルス(3) ボアテンのチャレンジをしっかりカバー。代表の守備の軸に。
ヘヴェデス(3.5) シュートは決めたかった。バランスは取った。
クラマー(3.5) アグレッシブに前に出ていたが無念の交替。脳震盪か。
シュヴァインシュタイガー(2) 中盤に君臨。彼の気迫が優勝を引き寄せた。
クロース(3) いいパスを供給したがピンチの糸口にもなった。
エツィル(3.5) 悪くなかったがもう少しアイデアと精度があれば。
クローゼ(3.5) 敵の守備が分厚く自由にさせてもらえなかった。
ミュラー(3) 前線で身体を張りボールを守った。イラっとさせる天才。
===
シュールレ(2) 思いきりのいいサイド突破が決勝点を呼んだ。
ゲッツェ(1) 決定的な仕事。高い技術が結実した必然の得点だった。
メルテザッカー(-) 時間短し。跳ね返しで投入の意図に応えた。
延長でシュヴァインシュタイガーが傷んでピッチに出たとき、ビブスを脱いでタッチライン沿いに待機していたのに、結局シュヴァインシュタイガーが復帰したため出番がなかったグロスクロイツが不憫だった。
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ドイツ代表
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2014ワールドカップ
2014年07月09日 23:39
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【ワールドカップ準決勝】ブラジル×ドイツ
■2014年7月9日(水) 5:00キックオフ
■ベロオリゾンテ
準決勝はブラジルとの一戦。2002年日本ワールドカップの決勝カードである。あの時は苦杯を喫したが今回は勝たなければならない。ドイツ代表はそれに値する力を身につけているし優勝するのは今をおいてない。
そのためには何としてもブラジルに勝たねばならぬ。準々決勝のフランス戦は決していい内容の試合ではなかったが、そういう試合をきちんと勝ちきれるところにドイツの強さがある。5時前に起きて出勤の支度をしながらテレビ観戦した。
ドイツはフランス戦からメンバーの変更なし。一方のブラジルは中心となるFWが準々決勝で脊椎に損傷を受ける大ケガを負い欠場。また主将であったCBも累積警告で欠く布陣となった。
ノイアー
ラーム ボアテン フメルス ヘヴェデス
ケディラ シュヴァインシュタイガー クロース
ミュラー クローゼ エツィル
序盤はブラジルがボールを支配、全体を押し上げてドイツ陣内で試合を進める展開になる。ドイツのファースト・シュートは7分、ケディラがミドルを放つがクロースに当たり枠外へ。ドイツも次第に固さが取れ、地に足がついてボールを持てるようになる。
11分、右サイドで得たCKをクロースが蹴るとファーのミュラーが右足でダイレクト・ボレー。これが見事に決まりドイツが1-0と先制。どうしてあんなところでミュラーがフリーになっているのかよく分からないが、ともかく、押され気味だっただけにこのタイミングでの先制点は大きかった。
ビハインドを負ったブラジルは積極的に前に出るがドイツは落ち着いた手堅い守備で応戦。奪ったボールはしっかりしたポゼッションから前線につなぎ、攻め急ぐことはしない。
23分、クロースが縦に入れたボールをミュラーがヒールで落としクローゼがシュート。これは敵GKにいったんセーブされたもののボールは再びクローゼの前に転がり、これを蹴りこんでゴール、2-0に。クローゼはこれでワールドカップ通算得点を16に伸ばし引退したブラジル人FWを抜いて単独トップとなった。
さらに直後の24分、右サイドを駆け上がったラームが中央にクロスを送ると、ニアのミュラーは空振りしてボールはそのままファーに流れたが、ここに走りこんだクロースが冷静に流しこんで3-0に。立て続けの失点にブラジルは集中を保つのが難しくなったように見えた。
しかし、ドイツの攻撃は止まらない。26分、クロースが敵MFに果敢なプレスをかけて敵陣でボールを奪うとゴールに向かいながら並走したケディラにパス、ケディラがこれをクロースに戻すと敵DFは完全に振らされクロースがフリーでシュートを流しこむ。これが決まり4-0に。畳みこみどころを心得たドイツの積極的な攻撃が容赦ない。
29分にはフメルスが持ち上がったボールをケディラにパス、ケディラは左のエツィルに預け、戻しを受けるとブラジルのDFはまたしても振らされてケディラがフリーに。これをしっかり流しこんで5-0。ドイツはわずか6分間で4点を挙げて試合を決めてしまう。「ブラジルの放送席の解説者は泣いています」というNHKの実況には笑ってしまった。
半ば戦意を喪失し攻撃も散発的になったブラジルに対しドイツはしっかりと試合を掌握。5-0で前半を折り返した。前半に大量点を取っただけに、試合が大味になり敵に対するリスペクトを失ってしまうのが怖い。1点を与えると流れが変わる怖さがあり、ゼロに抑えきることが重要で、考えようによっては難しい試合運びになる。
ブラジルは後半からボランチとSHを交替、一方ドイツはフメルスに代えてメルテザッカーをピッチに。ある程度引いてもいいからしっかり敵の攻撃を跳ね返せというメッセージかとも思ったが、どうもフメルスにケガがあったらしい。
ブラジルは後半開始から積極的に攻勢に出る。前線から圧力をかけ立て続けにシュート・チャンスを迎えるが、ドイツは52分、53分にノイアーが好セーブでピンチを救うなど集中した守備でゴールを守る。55分までの最初の10分に6本の浴びるがこの時間帯をしっかり守りきったことは大きかった。
58分、クローゼに代えてシュールレを起用。ミュラーをワントップに上げてシュールレは右SHに入ったように見えた。61分にはミュラーのシュートを敵GKにセーブされたが、69分、右サイドを上がったエツィルからニアのラームにボールが亘るとラームがエリア内でこれをさらに中央に送る。シュールレがこれにダイレクトで合わせゴール。6-0とドイツがリードを広げる。
後半序盤のブラジルの反攻をしのぎ、追加点を挙げたことで試合の帰趨はほぼ明らかになる。重要な追加点だった。76分、ケディラに代えて今大会初めての出場となるドラクスラーを起用。
シュールレは79分にもエリア内左寄りで受けたボールをワントラップしてシュート。角度はなかったがボールは鋭くバーに当たってゴール内に落ちるファイン・ゴールとなり7-0に。
ドイツはその後も試合をコントロール、90分にはカウンターから失点を許し7-1となったが時既に遅く大勢に影響なし。ドイツ語で「der Ehrentreffer(名誉のための得点)」とか「die Ergebniskosmetik(試合結果の粉飾)」とかいう類のゴール。結局ドイツがブラジルを相手に7-1という想定外の対象で決勝進出を決めた。
この試合、何より印象的だったのは、0-1とビハインドを負いながらも冷静だったブラジルが、2点目を取られて「マズいな」という雰囲気になったところにすかさずプレスをかけ、3点目、4点目を狙いに行って大きなダメージを与えたドイツの、「試合の勘どころ」をしっかり把握しそこを的確に突く力だ。
特に4点目の起点となったクロースの敵ボランチへの強烈なプレスからのボール奪取は、ブラジルがショックを受け集中を欠いているのを見て「今こそ打撃を与えるべき時だ」という明確な意図からなされていたように思う。
あと、後半に入っても好機には一気に攻め上がる組織力があり、追加点を奪ってブラジルの息の根を止めた。シュート14-18、ポゼッション53-47と、数字だけ見ればむしろブラジル優位にも見えるし、内容的には2-0くらいで妥当な試合だったかもしれないが、これだけの大差がついてしまったのはドイツの試合運びの巧みさ、やるべき時にやるべきことを容赦なく徹底してやる厳しさによるところが大きいと思う。
一方のブラジルは二人の欠場者、特にCBの出場停止が大きかった。この大会のブラジルは堅固で役割分担のはっきりした二人のCBがチームの核であり、そこから往々にして中盤をすっ飛ばして前線にボールを運び、FWの個人技で仕留めるというスタイル。
グループリーグのメキシコ戦、決勝トーナメント1回戦のチリ戦と2度も引き分けるなど、今回のブラジルは大味というか、決してチームとして洗練されている訳ではなかった。特にCBを入れ替えざるを得なかったこの試合では立て続けに失点、前半から無残に中盤が間延びして、ドイツに自由にボールをつながれた。
ドイツはこの大勝で緊張、集中を切らさないようにするのが最も大きな宿題。慢心しているつもりはなくても、どこかで「既にやりきった」感が出てしまうと決勝戦に集中するのは難しくなってしまう。メンタル・コントロールが極めて重要。まあ、そういうところはしっかりしてると思うけど。
評点(評点は
ドイツ式
):
ノイアー(2) ファインセーブで終了間際までクリーンシートを守ったのは大きい。
ラーム(2.5) 的確な攻撃参加。右サイドで起点になれることで攻撃に広がり。
ボアテン(3.5) 最後の失点は敢えてムリ追いしなかったか。集中した守備。
フメルス(3) 攻め上がりも面白かった。ケガは心配。
ヘヴェデス(4) 正直あんまり印象に残ってない。左サイドどうだったっけ。
ケディラ(3) いいところに顔を出し1ゴール。アップダウンで存在感出した。
シュヴァインシュタイガー(3.5) 中盤の底でボールを収めた。攻撃参加は限定的。
クロース(2) この試合は彼のゲーム。得点以上にアシストが素晴らしかった。
エツィル(4) 姿見かけず。シュートは2本打っているようだがどうだったか…。
クローゼ(3.5) 歴代得点王は大きな仕事。今日は宙転の披露はなかった。
ミュラー(3) 3点目の前の空振りは愛嬌か。大会得点王狙える。
===
メルテザッカー(3.5) 押し込まれた局面を耐えるにはちょうど適材だった。
シュールレ(2) 果敢な攻撃で流れを引き戻した。スーパーサブの仕事を全う。
ドラクスラー(-) 時間短し。
決勝の相手がアルゼンチンになるのかオランダになるのかは分からないが、ロッベンはふだんからブンデスリーガでよく見ているのでもういい。メッシと戦いたい。
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ドイツ代表
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2014ワールドカップ
2014年07月05日 13:08
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【ワールドカップ準々決勝】フランス×ドイツ
■2014年7月5日(土) 1:00キックオフ(日本時間)
■リオデジャネイロ
準々決勝はフランスとの対戦。1時からの試合は2〜3時間仮眠してから見るのがいつものスタイルだが、この日は飲み会で帰宅が12時を過ぎたので風呂に入ってそのままテレビ観戦に。正直眠かった。
ドイツは選手の数人がインフルエンザに罹患したとの報道があったものの、メンバーを見る限り大きな影響はなかったようだ。トップにクローゼを先発起用、またメルテザッカーを先発から外しフメルスがボアテンとCBのコンビを組んだ。右SBにはラームを起用し、シュヴァインシュタイガーがアンカー、クロースとケディラがインサイド・ハーフという布陣となった。
ノイアー
ラーム ボアテン フメルス ヘヴェデス
ケディラ シュヴァインシュタイガー クロース
ミュラー クローゼ エツィル
気温26度、湿度88%と蒸し暑い日中の試合ということもあってか慎重な立ち上がりに。どちらかといえばドイツがボールを支配し、フランスが受けに回る展開となるが、スピードに乗って一気呵成に敵ゴールに迫るというよりは、クサビをトリガーにしっかりボールを回しながら押し上げるポゼッション・スタイルの攻撃。
フランスは中盤で拾ったボールを少ない手数で前線に展開、力のあるFWに預ける形で何度かチャンスを作るが、ドイツの守備も集中しており最後のところでは身体を張った守りができており失点には至らず。
12分、ドイツは左寄りでクロースが倒されてFKを得る。クロースがこれを自らゴール前に蹴りこむと、ファーに走りこんだフメルスが敵DFと競りながらしっかり頭で合わせゴール。ドイツが早い時間にセットプレーから1-0とリードを奪う。
その後もドイツはしっかりとボールを保持しながらコンビネーションでボールを前線に供給、何度かチャンスを作る。24分にはクローゼがエリア内で敵DFにユニを引っ張られ倒されるが審判からは見えなかったかノー・ファウル。
一方でフランスも同点を狙って次第に攻勢を強めるが、ボアテンとフメルスが中央を固め、またノイアーの好セーブにも救われて得点を許さない。前半の終盤はフランスに立て続けにシュートを浴びるなど守勢に回るが守りきり、1-0と1点をリードして前半を終えた。
前半のシュートは3-7と、ボールを支配している割りには流れからフィニッシュまで行けていないことを示唆。
後半に入っても前に出るフランスに対して自陣で守りながら追加点のチャンスを窺う展開。ノイアーが好セーブでゴールを守るシーンが多く、今日も存在感が大きい。攻撃にノッキングが目立つドイツは69分、クローゼに代えてシュールレを投入。ミュラーがトップに上がりシュールレが右ウィングに入ったように見えた。
シュールレの投入で前線が活性化、72分にはミュラーが右サイドから裏に抜け出しシュートを放つがボールはゴール前を横切りファー・ポストの向こうに。82分、左サイドのエツィルのクロスは、中央でミュラーに合わなかったが、ファーのエツィルがシュート。しかし惜しくもGKにセーブされる。
83分、エツィル代えゲッツェを投入。しかし準決勝進出を前に出るフランスに押し込まれる時間が続く。ドイツはノイアーのセーブとDFの身体を張った守備でゴールを死守、試合は終盤へ。
アディショナル・タイムにクロースに代えてクラマーを投入、試合をクローズしに行くが、フランスの押し上げを受けて防戦一方。しかし敵FWのシュートはノイアーがファイン・セーブ、何とかセット・プレーで得た1点を守りきり、ドイツが同じヨーロッパのフランスを破って準決勝進出を決めた。
この試合、ポゼッションは51-49とほぼイーヴン、シュート数は9-13とフランスに見劣りしており、序盤こそ優勢に試合を進めてセット・プレーから先制点は奪ったものの、その後は効果的にチャンスを作ることができず、数少ないチャンスも決めきることができなかったことが分かる。
前半の途中からはどうしても得点の必要なフランスの攻撃を受ける時間が続いたが、これで得たカウンターのチャンスも生かすことはできなかった。クローゼはシュートなし、ミュラーも1本のみで、早い時間に得た先制点を意識して慎重な試合運びをした面はあるにせよ、何か素晴らしいものを見られた試合ではなかったと言うべきだろう。
一方でフランスは先制を許してからは前線の個人技を生かした攻撃で前に出たが、攻撃が単調でアイデアを欠き、チャンスはどれも単発に終ってドイツを助けた。ドイツはボアテンとフメルスがしっかり集中して身体を張った上、ノイアーが再三に亘る好セーブでゴールを守った。守り勝ちと言っていい。
この試合は、中身よりは局面において自分たちは今何をすべきかがしっかり理解、共有できている成熟したチームの強みという点をしっかり見るべきだろう。若い選手も含め、圧倒的な何かがある訳でなくても、勝つために今何をすべきかということがきちんと分かっているチームは強い。フットボールが文化として根づいている国のチームだからこそそれが共有できている。
規律と忍耐、いわゆるディシプリンにおいて上回ったドイツが内容はともかく手堅く勝ちを引き寄せた試合であり、こういう試合ができるのもドイツの強さ。準決勝はブラジルとの天王山。超えなければならない山であり、圧倒的なアウェイの環境でどれだけ力が出せるかが問われる。
評点(評点は
ドイツ式
):
ノイアー(2) 再三の好セーブで最少得点差を死守。存在感を存分に発揮。
ラーム(3) 攻撃では目立たなかったがクレバーな守備で完封に貢献。
ボアテン(3.5) フメルスとのコンビは悪くない。粘り強く対応できた。
フメルス(3) 貴重な先制点は見事。守備でも敵のFWにしっかり対応した。
ヘヴェデス(3.5) 攻撃参加難しかった。守備面は堅実に対応できたか。
ケディラ(3.5) 敵の中盤をしっかり抑えて十分組み立てさせず。
シュヴァインシュタイガー(3) 攻守の要として機能。アンカーは適任。
クロース(3.5) うかつなパスもあるがアシストになったFKは見事。
エツィル(3.5) よくボールに触ったがプレー選択にもう一工夫できないか。
クローゼ(4) 守備、ポストに身体は張ったが肝心のシュートはゼロ。
ミュラー(4) 前線でボールを受けたが効果的に動けず物足りない働き。
===
シュールレ(3) 攻撃を活性化。スーパー・サブとして役割を果たした。
ゲッツェ(-) 時間短し。
クラマー(-) 時間短し。もっと見たいね。
これであと2試合はできることが確定。最後まで楽しめる大会になった。
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2014ワールドカップ
2014年07月02日 23:56
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【ワールドカップ決勝T1回戦】ドイツ×アルジェリア
■2014年7月1日(火) 5:00キックオフ(日本時間)
■ポルトアレグレ
決勝トーナメントの第1戦はアルジェリアと。日本時間早朝5時からの試合なので早起き。普通に90分で試合が終ってくれればギリギリ出勤間際で最後まで見られるはずだ。
ドイツは右SBとしてムスタフィが先発。ボアテンがCBにスライドしフメルスがベンチとなった。また、前線はミュラーのワントップに、右ウィングがエツィル、左ウィングがゲッツェという布陣になった。
ノイアー
ムスタフィ メルテザッカー ボアテン ヘヴェデス
クロース ラーム シュヴァインシュタイガー
エツィル ミュラー ゲッツェ
試合は序盤からドイツがボールを支配し、しっかりしたポゼッションと意図の明確な前線へのボールの出し入れて動きを作りながらアルジェリア陣内に攻め込む。一方のアルジェリアは自陣で引いてブロックを整え、ドイツの攻撃を待ち受ける構えだが、ボールを奪ってからは切り替えも早く侮れない。
ドイツは積極的にボールを持って前を向くが、決定的なパスにミスが出て敵にカットされる他、敵GKの再三のファイン・セーブもあってなかなか敵ゴールに迫ることができない。
ドイツは両サイドバックのムスタフィ、ヘヴェデスが極端に高い位置を取る一方、ラームが最終ラインにも落ちてスペースをカバーする。ビルドアップにはラームがかなり自由なポジショニングで起点となるが、敵の素早い切り替えからのカウンターには手を焼く。ノイアーが再三に亘るムリめの飛び出しを見せてエリア外でクリア、面白いが心臓に悪い。
結局、ドイツが終始優勢に試合を進めながらも先制点が奪えず、スコアレスで前半を終了した。前半のシュート数は9-4とドイツ優位を裏づけているが、敵GKの固い守りに苦しんで中盤でミスが出る悪循環。
後半からゲッツェに代わってシュールレを投入。次第に足が止まり始めるアルジェリアに対し前線までボールが運びやすくなる。ただ、ドイツは相変わらずミスが多く、また、守備も少なからず不安定で、アルジェリアのカウンターには注意が必要だ。
70分、負傷のムスタフィに代わってケディラを投入。ラームが右SBにスライドする。その後もドイツが主導権を握って攻撃を仕掛けるがなかなか得点に結びつかない。80分、ミュラーのヘディング・シュートは敵GKにセーブされ、こぼれ球に詰めたシュールレのシュートもゴールならず。
88分、25メートルほどの位置で得たFKに数人でフェイントをかけるトリック・プレー。蹴ろうとしたミュラーが直前でつまずいて転び、そのまま起き上がって前線へ。敵の守備が乱れたところでミュラーが裏に向かって駆けだし、そこにボールを出すという作戦らしかったが、ミュラーのコケ方がいかにもわざとらしく、失笑を買っただけに終わった。
結局90分で決着がつかず試合は延長に。僕はここで出勤時間となり泣く泣く家を出た。
92分、左サイドからエリア内に突っかけたミュラーが中央にクロス。ニアに飛び込んだシュールレが左足ヒールで流しこみゴール。ドイツが1-0と延長開始早々にリードを奪った。
その後は後がなくなって攻撃にでるアルジェリアに対してドイツがカウンターのチャンスをうかがう展開に。109分、シュヴァインシュタイガーに代えてクラマーを投入。
クラマーは117分、シュート・チャンスを逃したものの、119分、中央にボールを持ちこんだシュールレと、左に張ったエツィルが敵ゴール前でのパス交換。結局左寄りからエツィルがゴールを挙げ2-0と試合を決定づける。
120分、ドイツの左サイドを突破され、ファーに飛ばされたクロスに飛び込んだ敵FWにダイレクトで合わされ失点、2-1に。アルジェリアも意地を見せたかったと思うが、結局そのまま試合終了となり、ドイツは薄氷の勝利で何とか準々決勝進出を決めた。
ドイツは両サイドが高い位置を取る分、相手が素早く仕掛けてきたときに後ろが対応しきれず危ない形になることも多かった。きっちり勝ちきったことは評価したいが、90分のうちに決められなかったことは反省点。今後の厳しい優勝争いを考えれば今日の守備は心許なかった。
意図を持った組み立てはできており、この試合でもシュート数28-10、ポゼッション67-33、CK10-4とアルジェリアを圧倒したものの、内容的にはミスが多く、敵GKが当たっていたこともあるが、試合ごとの出来不出来にムラがあることが懸念される。
準々決勝はフランスとの対戦。前に出てきてくれる相手とはむしろ戦いやすいように思うが、もちろん侮る訳に行かない敵で、ここからは毎試合が天王山だと言う他ない。不安点をしっかり修正して臨みたい。
評点(評点は
ドイツ式
):
ノイアー(2) 再三の飛び出しでピンチを救ったがやややりすぎの感も。
ムスタフィ(5) ポジショニング、ボール扱いとも心許なくピンチを招いた。
メルテザッカー(4.5) 敵の素早いカウンターに苦しめられた。
ボアテン(4.5) 延長の1失点のみに抑えたが敵の対処に追われた。
ヘヴェデス(5) 高い位置で戦ったが裏を使われ後追いに。
クロース(4.5) パスミス多くリズムを作れず。
ラーム(3) 守備から攻撃への展開を演出、リズムを作った。
シュヴァインシュタイガー(3.5) ボールの引き出し方、前への供給とも一級品。
エツィル(3.5) 追加点は効果的。よくボールに触り前線の起点に。
ミュラー(4) FKでのわざとらしいコケはいかがなものか…。
ゲッツェ(4.5) あまりこれといって印象に残らず。特徴出せなかったか。
===
シュールレ(3) 途中出場で攻撃を活性化。ヒールでのシュートは見事。
ケディラ(4) 悪くないボールを前線に送った。
クラマー(-) 時間短し。
次の試合はクラマーもっと出ないかな。
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ドイツ代表
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2014ワールドカップ
2014年06月28日 11:17
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■
【ワールドカップGL第3節】アメリカ×ドイツ
■2014年6月27日(金) 1:00キックオフ(日本時間)
■レシフェ
金曜日未明1時キックオフ。金曜日には大事な仕事があったが木曜日帰って晩ごはん食べて10時半ごろにいったん寝て、1時前にもそもそ起き出した。
ドイツはここまで1勝1敗の勝ち点4。まだグループ・リーグ勝ち抜けを決めた訳ではないが得失点差にアドバンテージがあり、よほどの大敗をしない限り勝ち抜けはおそらく大丈夫という試合。一方、アメリカは引き分け以上で勝ち抜け、負けた場合はポルトガル×ガーナの結果次第という状況。
引き分けになればポルトガル×ガーナの結果に関わりなくドイツもアメリカも勝ち抜けるということで互いにスコアレス・ドローも意識した神経質な試合になることが予想される。この辺の呼吸の読み合いが難しい。
会場のレシフェは試合前から激しい雨が降り続き市街の一部が冠水、交通機関が機能せず、試合の延期も真剣に議論されたらしい。
アメリカ代表の監督は2006年のドイツ・ワールドカップでドイツ代表の指揮を執ったユルゲン・クリンスマン。ドイツ代表のヨアヒム・レヴ監督は当時のアシスタント・コーチであり、メディア的には師弟対決と言われているが、あの時ドイツ代表の戦術を実際に立案していたのはレヴの方ではなかったか。
ドイツはインサイド・ハーフのケディラに代えてシュヴァインシュタイガーが大会初先発。また左ウィングにはゲッツェに代えてポドルスキが先発した。
ノイアー
ボアテン メルテザッカー フメルス ヘヴェデス
クロース ラーム シュヴァインシュタイガー
エツィル ミュラー ポドルスキ
試合は激しい雨の中でキックオフ。雨中の試合はまた特別な消耗があると思うが、少なくとも気温は高くなく、ドイツには戦いやすいのではないか。
一部の予想に反して試合は互いに相手の出方を探ることもなくガチで打ち合う真剣勝負に。実力差の通りドイツがボールを支配し効率のいいポゼッションから意図のあるパス出しでアメリカのゴールを脅かす。一方でアメリカも集中した守備から奪ったボールを中盤経由で素早く展開しカウンターから攻め込む形で応戦。前節のガーナ戦に比べるとスピード感のある試合になった。
ドイツはラームが最終ラインから引き出したボールを自在に前線に供給、ポドルスキ、エツィル、ボアテンらから中央に入る正確なクロスで先制点を狙うが最後のところが合わず。アメリカは22分、カウンターで攻め上がり、ドイツの右サイドから厳しいシュートを放つがわずかにバーの上。ドイツの方が優勢ではあるものの互いに勝ちを狙いに行く姿勢は鮮明に。
中盤での拮抗したつばぜり合いが続きゴール前でのチャンスは少なくなり、結局前半をスコアレスのままで折り返す。シュート数は6-2と決して多くないがスピード感があり局面の競り合いにも迫力のある好ゲーム。
ドイツは後半からポドルスキに代えてクローゼを投入。ミュラーが左ウィングに下がりクローゼがワントップに。
後半開始早々から攻勢を強めたドイツは47分、ボアテンからのクロスにエツィルが頭で合わせるが敵DFに身体を寄せられシュートは枠外に。52分、左からのクロスにクローゼが飛び込むが合わせきれず。
だが55分、右からのCKに中央でメルテザッカーが頭で合わせると、このシュートはGKがセーブしたもののこぼれ球がファーのミュラーに。ミュラーはこれをダイレクトでゴールに突き刺しドイツが1-0と先制する。セットプレーなどのこぼれ球を後ろで控えた選手がドーンとシュートするのは、ドイツ語では「Nachschuss」という呼び方があるのだが、これに相当する日本語が欲しい。「ドーン」か。ダイレクトであれだけのコントロール・シュートを打てるところにドイツの強みを感じる得点。
この間、ポルトガル×ガーナはポルトガルが前半に先制したものの、後半にガーナが追いつくという展開に。ポルトガル×ガーナが同点である限り、ドイツとアメリカは自分たちの試合結果に関係なく勝ち抜けだが、ガーナが勝てばアメリカは引き分けが必要になるという難しい状況でアメリカは高度なゲーム・マネジメントを強いられる。
僕の目には「大敗だけは避ける」という考え方で、リードされてもムリにリスクを負って前に出るよりは、しっかり守ってチャンスを窺うという戦い方を維持しているように見えた。試合は引き続きドイツが主導権を握り効果的なポゼッションから攻撃するが、ドイツもリードを奪ったことでリスクを負う必要がなくなり展開はやや落ち着く。
76分にはシュヴァインシュタイガーを下げてゲッツェを投入、ドイツはその後も時間を使いながらボールをコントロールする。一方、同時に行われていたポルトガル×ガーナは80分にポルトガルが再び勝ち越し。アメリカは1点差で負けてもグループリーグを勝ち抜けることがほぼ確実になる。
ドイツは89分、エツィルに代えてシュールレを投入。アディショナル・タイムにはアメリカに立て続けにクリティカルなシュートを許したものの守りきり、1-0でグループ・リーグ2勝目を挙げて勝ち点7の首位で突破を決めた。また、アメリカも勝ち点4ではあるが、同勝ち点のポルトガルとの得失点差で勝ち抜けとなった。
状況に応じて今何をなすべきかということがしっかり共有できているドイツの強さが際立つ試合で、これは何度も大舞台で戦った経験のある国の特徴だろう。もともとよほどの大敗でない限りグループ・リーグ突破が確実視される状況であり、マネジメントは比較的容易だったと思うが、そういう状況で浮足立つことなく確実に最少得点差の勝利を得るところが実にカッコいい。
ガーナ戦よりも自信を持ってボールを扱えており、アメリカより休養が1日多かった日程上のアドバンテージもあって、余裕のある戦いぶりでしっかりボールを保持、試合の流れをコントロールした。ハイプレスからの高速ショート・カウンターという戦術と、ポゼッションを得て効果的なボール回しからギャップを狙って崩す戦術との使い分けが見事で、チームとしての成熟を感じさせた。
これはもちろん監督、選手の力であると同時に、ドイツという国の中でフットボールというものがしっかり理解され、その戦い方にきちんとした議論や理解、支持や反論があり、勝や負けが国民的なイベントとして共有されてきた国の強さだ。それはフットボールがいかにドイツという国に根づいているかということであり、ひとりひとりのドイツ人がどれだけ真剣にフットボールを楽しんでいるかということの表れなのだ。
そうしたバックボーンがあってこそ、レヴ監督に8年もチームを預け、勝ったり負けたりしながらチームを作り上げることもできるのである。そしてそれはドイツのフットボールの歴史と直接つながっている。敵の監督がクリンスマンだったということもそうしたドイツにおけるフットボールの受容のあり方を象徴しているようだ。
ドイツはベスト16でアルジェリアと対戦。簡単な敵ではないがしっかり力を出しきることができれば勝機は十分ある。このチームでタイトルを勝ち取りたい。
評点(評点は
ドイツ式
):
ノイアー(3) 何度か試される場面もあったが問題なし。ボールさばきもいい。
ボアテン(3.5) タイミングのいい攻撃参加から好クロスを供給。
メルテザッカー(3.5) アメリカのカウンターにもしっかり対応できていた。
フメルス(3.5) 強さを生かして敵FWを封殺。落ち着いてプレーした。
ヘヴェデス(4) 攻め上がりと裏のケアの難しいマネージを強いられた。
クロース(4) 中盤で敵の攻撃の芽をしっかり摘んだ。
ラーム(3) 最終ラインから前線までチームの要となる活躍。
シュヴァインシュタイガー(3) 独特の動きで攻撃のトリガーになった。
エツィル(3.5) 気の利いた動きは見せたがもっと自分で行っていい。
ミュラー(3.5) 得点は見事。規律のある動きでゼロトップの見本に。
ポドルスキ(4) さすがのプレーもあったが入りきれなかった感。
===
クローゼ(4) 今日はワンポイントで合わず。守備にも貢献。
ゲッツェ(-) 時間短し。
シュールレ(-) 時間短し。
この試合、ホーム扱いのアメリカが白のファースト・ユニだったため、ドイツはこの大会で初めてセカンドを着用。これが赤黒の太い横縞でラグビー・ジャージみたいな可愛い柄でなかなかよかった。ブンデスリーガで言えばフランクフルトのユニに近いか。ドイツのセカンドは深紅だったこともあるし緑や黒だったこともあって面白い。
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ドイツ代表
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2014ワールドカップ
2014年06月25日 23:47
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【ワールドカップGL第3節】日本×コロンビア
■2014年6月25日(水) 5:00キックオフ(日本時間)
■クイアバ
日本のグループリーグ最終戦はコロンビアと。日本時間朝5時キックオフということで、いつもより1時間ほど早起きしてのテレビ観戦になった。同じように出勤、登校前にテレビを見ていた人も多かったことだろう。
日本はここまで勝ち点1にとどまっているが、この試合に勝てばグループリーグ勝ち抜けの可能性は十分ある。というか勝たないことには始まらない試合。真価が問われるが、コロンビアは既に突破を決めており勝機は十分ある。
日本はこの大会で初めて青山を先発起用、また大久保をワントップに据え、香川が左サイドで先発復帰した。この結果、山口、大迫がベンチ・スタートとなった。
川島
内田 吉田 今野 長友
青山 長谷部
岡崎 本田 香川
大久保
勝つしかない日本は序盤から積極的に前に出る。セカンドボールへの食いつきも早く局面でもしっかり戦えている。青山から前線へのフィードがいいアクセントになり、ミドル中心ではあるものの15分までにシュート5本と試合を支配し得点を狙う意志を明確にする。いい意味での割りきりや開き直りが見られ期待のできる立ち上がりだった。
だが16分、自陣ペナルティ・エリアにドリブルで入りこんだ敵FWを今野が後ろからタックルして倒し警告を受ける。スローで見れば確かに足に行ってしまっており妥当な判定だろう。これで与えたPKを中央に決められ0-1と先制を許す。あの局面でタックルする是非は議論もあるが、ボールにチャレンジした結果一歩及ばず足を引っかけたファウルで、今野を責めるのは酷だろう。
リードを奪ってリスクを負わなくなったコロンビアに対し、日本は下を向くことなく再び攻撃を仕掛ける。失点以降だけでも7本のシュートを放つなど、ややゴールを急ぎすぎの感はあるにせよ、勝つことへの執念、こだわりを感じさせ流れは悪くない。
前半のアディショナル・タイム、これが報われる。本田が右サイドからドリブルで中に持ち込み、エリア右手前から中央へクロス。ニアに飛び込んだ岡崎が難しい体勢ではあったものの頭で合わせゴール。日本が1-1と同点に追いつく。本田の正確なクロスと、臆せずこれに飛び込んだ岡崎得意のヘディングと、日本のよさが出た得点で前半はそのまま終了する。
PKで先制点を献上したことは悔やまれるが、その後も集中を切らさず攻撃的に戦い、終了間際に同点にした前半の戦いは評価に値するものだった。前半のシュート数は13-3。前回のマッチ・レビューを受けて言うなら、真剣さを悲愴感に転化させず、危機感がストレートに表現されたいい内容だったと思う、ここまでは。
ところが後半、コロンビアは一気に2枚のカードを切ってくる。すると後半最初の10分で3本のシュートを放たれるなど、コロンビアの反攻に押され気味に。そして55分、日本の左サイドから持ち込まれ、中央を経由してファーに振られるとそのままフリーでシュートを放たれる。これが決まって1-2。再びリードを許してしまう。
中央にクロスを入れられた時点で右SBの内田、右SHの岡崎までがボールに集まってしまい、ファーを完全に無人にしてしまう。前半終了間際に追いついた勢いでそのまま逆転を目論んだ後半の立ち上がりに押し込まれ、完全に崩されての失点にショックは大きかった。結果論的に言えばこの2点目がすべてだったと思う。
後がなくなった日本はその後も攻撃的に試合を進めようとする。62分には青山に代えて山口を、69分には岡崎に代えて柿谷を投入、敵陣を中心に試合を進め、シュートも積極的に放つが、次第に焦りが出たか枠に収まらないケースが増える。
82分、前がかりになった裏をカウンターで突かれる。人は残っていたもののゴール前で人に行ききれずシュートを決められ1-3に。この時点で試合は終ったというべきだろう。
日本は85分香川を下げて清武を投入するが3点を奪うのは正直なかなか難しい注文。90分には再びカウンターで裏を取られ追加点を許して1-4。その後の反撃もむなしく終ってみれば完敗で日本はグループリーグ最下位での敗退となった。
3点目、4点目はリスクを冒して前がかりになった結果裏を取られたものでフットボール的にはある意味やむを得ない失点。ポイントは2点目にあったというべきだろう。あのタイミングでの失点は勝たなければならない立場の日本としては決定的に大きかった。残り時間が少なくなる中で、2得点が必須になってしまい、もはや平静に試合を進めることは難しかった。
内容的に悪い試合ではなかったし、シュート数23-13、ポゼッション56-44と主導権は握っていたが、勘どころで決定的な失点を喫したのが致命的だった。短期決戦のグループリーグを戦うフィジカル、メンタルのマネジメントに失敗したというべきかもしれないし、刻々と変化する状況の中で、現実的かつタフにひとつひとつの判断を下すという訓練が足りないようにも見えた。
それは見ていた我々も同じことで、結局我々自身の中でワールドカップが4年に1度のお祭り程度にしか定着しておらず、フットボールを媒介に世界を見る経験もそこでの勝ち負けが何を意味するのかの認識も足りなかった。
それはまだまだフットボールが我々の生活の中にしっかりした足がかりを持ち得ていないことの裏返しであり、ワールドカップや海外で活躍する選手にはそこそこ注目が集まっても、Jリーグの試合に集まるサポーターの固定化、高齢化が進んでじり貧に陥りつつあることの顕著な表れだろう。
日本代表がグループリーグで1勝もできずに敗退したということは、日本におけるフットボールの受容が所詮その程度だということ。負けたのは日本代表ではなく、我々のフットボール文化なのだと思った方がいい。
勝ったり負けたりをもっと繰り返し、共通の記憶が国民にすりこまれるようなしびれる試合をもっと経験しなければならない。そうやって、こんな勝ち、こんな負けもあるよなという相場観みたいなものがしっかり我々の中に共有された時、初めて我々はワールドカップの大舞台でもしっかり持ち味を出せるようなメンタルの奥行きを手に入れられるのではないかと僕は思う。
評点(評点は
ドイツ式
):
川島(5) 失点は川島だけのせいではないが4点はやりすぎ。西川見たかった。
内田(5) 決定的な2点目では裏を空けてシュートへの対応が遅れた。
吉田(5) カウンターへの守備がまったくできなかった。
今野(5) あの局面でタックルに行ったことには議論の余地がある。
長友(5) 高いポジションで攻撃に加わったがベストではなかった。
長谷部(4.5) 中央でボールを収めたが今ひとつ動きが見えず。
青山(3.5) 裏への意識が高くいいボールを再三供給。交替は不可解。
岡崎(3.5) 得点は見事。守備の意識も高かったが2点目ではカバーできず。
本田(4.5) アシストは見事だったがピークには程遠くムラが多かった。
香川(4.5) らしいプレーも随所に見せたもののフィット感低かった。
大久保(4) 前への意識は人一倍高かったが精度を欠いた。
===
山口(4.5) 投入の意図が不明。見せ場作れず。
柿谷(-) 時間短し。見せ場作れず。
清武(-) 時間短し。見せ場作れず。
これでワールドカップはドイツに集中する態勢になった。
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日本代表
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2014ワールドカップ
2014年06月22日 16:50
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【ワールドカップGL第2節】ドイツ×ガーナ
■2014年6月22日(日) 4:00キックオフ(日本時間)
■フォルタレザ
日曜日の朝4時キックオフなので、中継を録画し、6時ごろ起きて時差観戦した。起きていきなりツイッターとか見ると結果が書かれてたりするので気をつけないと。
ドイツは初戦でポルトガルに快勝、この試合に勝てばグループリーグ勝ち抜けが決まる。ガーナはヨーロッパの強豪チームで活躍する選手を揃えた強敵だが、初戦アメリカに敗れており、何としても勝ち点を得なければならない状況。厳しい戦いになることが予想されるがドイツとしては当然勝ち点3を取りに行くべき試合。ドイツは初戦と同じ布陣となった。
ノイアー
ボアテン メルテザッカー フメルス ヘヴェデス
ケディラ ラーム クロース
エツィル ミュラー ゲッツェ
ガーナにはドイツのジェローム・ボアテンの兄でシャルケ所属のケヴィン・プリンス・ボアテンがおり兄弟対決ということになる。兄弟がそれぞれ別の国の代表になり、ワールドカップで対戦するとか考えてみればすごい巡り合わせである。
試合はドイツがボールを支配し、ガーナが引き気味の守備からカウンターという展開になるかと思われ、実際序盤はそんな感じもあったのだが、ガーナはそこまでドン引きという訳でもなくラインは高めでコンパクトな陣形を維持、ドイツは持ったボールを展開するスペースを探しあぐねる。
ドイツは11分にクロースがファースト・シュートを放つが枠に収まらず。一方ガーナは13分にMFが鋭いシュートを枠に飛ばすがノイアーがセーブ。18分には右サイドのエツィルが中央にクロスを送るがケディラのシュートは枠外。21分にも同じようなシーンで今度はミュラーが中央に飛び込むがシュートは打ちきれず。
ドイツは隙間を見つけてはボールを縦横に出し入れし、全体が動いたところで出来たギャップにボールを運ぼうとするが、いかんせん窮屈でガーナの守備網に引っかかることも多く、なかなか思うように前線にボールを展開できない。暑さのせいもあってかドイツは出足が鈍く、局面での競り合いやセカンドへの反応で遅れを取るケースが頻出、次第にガーナにボールを持たれるようになり、ポゼッション的にはほぼ五分の流れになって行く。
33分、敵MFの強烈なミドルをノイアーがパンチングで何とかクリア。サイドからの攻撃に対応が遅れ、斜めに動いてくる相手を捕まえきれずチャンスを作られる。CBもスピードで勝負を挑まれ対応に苦労する。この時間帯はドイツが明らかに後手に回っており、調子の出てきた敵の攻撃を何とかしのぐという印象のシーンが続く。
主導権をグリップできないままスコアレスで前半を終えた。
ドイツは後半から右SBのボアテンに代えてムスタフィを投入。ボアテンが筋肉に違和感を訴えたらしい。試合は後半開始早々に動く。51分、右に流れたミュラーが中央にクロスを送ると、走りこんだゲッツェがフリーでヘディング。ボールは顔面に近いところに当たり、ゲッツェの左ひざに当たってゴールへ。ドイツが1-0と先制する。ゲッツェのヘディングも珍しいと思うが、微笑ましい得点でドイツに流れが来たかに思えた。
だが、54分、ドイツの左サイドから中央にクロスを入れられると、中央ではメルテザッカー、フメルスが待ち構えていたにも関わらず敵FWのヘディングを許し失点。あっという間に1-1と追いつかれてしまう。得点後の最も集中しなければならない時間帯にあっさり失点。クロスも簡単に上げさせすぎた。
さらに63分、自陣での横パスを敵にカットされそのまま前線にいた敵FWに展開される。裏に抜け出した敵FWが放ったシュートはノイアーも触れずファーのサイドネットに突き刺さって立て続けに失点。1-2と10分ほどの間に逆転を許す。
その後も攻撃を構築できないドイツは69分、ケディラとゲッツェを下げ、シュヴァインシュタイガーとクローゼを投入、交替枠を使いきって勝負に出る。
直後の71分、左サイドのクロースのCKにニアでヘヴェデスが頭で合わせたボールはファーポスト近くへ。ここに詰めたクローゼが爪先で押し込みゴール。ドイツが2-2と同点に追いつく。クローゼはワールドカップでの通算得点を15に伸ばし、歴代1位タイとなる。しかしながらゴールの得意の宙転では着地に失敗。全盛期に比べれば踏み切りが浅く滞空が短かった。尻もちをついた程度で済んだが、下手したら腰を強打したりしかねない。
その後は、ガーナにもさすがに疲れが出たか、攻撃の後の帰陣に遅れが目立ち始め、中盤にスペースができるようになる。シュヴァインシュタイガーがこのスペースを使って積極的に配球、ドイツが徐々に反撃に出られるようになる。
84分、スルーパスに抜け出したミュラーがシュート・モーションに入るが直前にブロックされ打てず。その後も互いに勝ち点3を狙って仕掛けたが決勝点はどちらにも入らず、力の入った試合は2-2の引き分けに終わった。
タイトにスペースを消され、ハイプレスから高速カウンターを浴びると、ドイツといえども苦戦するというドイツ対策の手本を示したような試合。加えてドイツ自身の動きも悪く、ボールへの出足が遅れて終始ガーナの後追いに。先制点、同点弾はさすがにやられっぱなしにはならないメンタルを示したが、顧みるべき点の多い内容で、引き分けの結果は妥当なもの。負けていてもおかしくなかった。
特にスピードに乗って攻め込まれ、斜めに人が入ってくる中でボールを動かされた時の対応の心許なさは修正が必要だ。また、サイドで戦いきれずに裏を使われて簡単にクロスを上げられたり起点を作られたりしていたのも検証が必要だ。高温はともかく、多湿で体力を奪われ想定以上のメンタルの疲労が判断を遅らせた印象が強かった。ポゼッションは59-41と優位だったが、シュート数は18-12と劣勢だった。
ドイツにも最高気温が30度を超える暑い日はあるが、基本的に乾燥しており日陰に入ってビールでも飲めばしのげるのが普通。蒸し暑いという感覚は日常の中にはなく、日中の試合では未知の消耗の仕方をしている可能性が高い。動きの重い試合で、負けの許されないガーナのモラルの高さに圧倒されたという他ない。
最低限の勝ち点1を得たことは大きかったが、これでグループリーグ勝ち抜けは最終節の結果を待つことになった。守備の脆さに不安が残る。メルテザッカー、フメルスともに大型ながらフィジカル重視の跳ね返し要因という訳ではなく、相応に足許の技術もあるはずだが、スピードに難があり、ビルドアップが上手いとも思えない。このポジションに現代的な人材が欠けているように思われる。
最終節、アメリカ×ドイツは金曜日の未明1時キックオフ。修正が必要だ。
評点(評点は
ドイツ式
):
ノイアー(3) 前半のピンチは好セーブでしのいだが2失点は残念だった。
ボアテン(5) サイドで敵に起点を作られる。兄弟対決も勝ちきれず。
メルテザッカー(5) 敵の斜め走りに手を焼く。1失点目はやられてしまった。
フメルス(4.5) エリアにカギをかけることができず。意外に機動性ないのか…。
ヘヴェデス(5) 難しいポジショニングを強いられ裏を使われた。
ケディラ(4.5) 中盤でボールを収められずセカンドにも行けなかった。
ラーム(4) 終盤は前線にも顔を出した。代表の核として機能している。
クロース(4) 機動的に動きチャンスメイクしたが局面の出足遅い。
エツィル(4.5) 自分で切れこむ動きを見せておいてもよかった。
ミュラー(4.5) 今日は当たらなかった。プレーのムラが気になる。
ゲッツェ(3.5) 先制点を顔で押し込んだのは愛嬌か。球際の強さを。
===
ムスタフィ(4.5) 攻撃参加は効いたが守備では後追いになった感。
シュヴァインシュタイガー(3.5) 短い時間だが流れを強引に引き寄せた。
クローゼ(3.5) FWらしくワンプレーで1日の給料を稼いだ。着地は失敗。
クラマー出して欲しいな〜。
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ドイツ代表
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2014ワールドカップ
2014年06月22日 00:03
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【ワールドカップGL第2節】日本×ギリシャ
■2014年6月20日(金) 7:00キックオフ(日本時間)
■ナタル
日本時間で金曜日の7時キックオフということで、通勤と仕事の立ち上げの時間に完全にかぶっており、会社を休むか遅刻でもしない限りリアルタイムで見ることのできない試合。早い段階でリアルタイム観戦は割りきっていたので、せめて家に帰り着くまで結果を知らないでいることはできるかとも思ったが所詮ムリな話だった。
初戦、コートジボワールに先制しながらも逆転負けを喫した日本としては、グループリーグ勝ち抜けのために何としても勝たねばならない試合。ギリシャは過去に欧州選手権で優勝したこともある強豪であり簡単に勝てる相手ではないが、攻撃力に難点を抱えており勝機はある。
ザッケローニ監督は最終ラインに今野を先発起用し森重がベンチ・スタート。また、香川に代えて大久保を左SHで先発させた。
川島
内田 吉田 今野 長友
長谷部 山口
岡崎 本田 大久保
大迫
試合内容はもうほとんどの人が知っていると思うので詳述はしない。堅守速攻を持ち味とするギリシャに対して日本は終始ボールを支配、特に38分に敵MFが2度目の警告で退場となって以降は数的優位も得て攻撃を仕掛けたが、結局ゴールが遠くスコアレス・ドローに終わったという試合。
ポゼッションは68-32とほぼ7割、シュートも16-9としっかり攻めはしたが、1人少なくなり自陣でしっかり守りを固めるギリシャを最後まで崩すことができなかった。日本はいつものように細かいパスの出し入れで敵の守備網にほころびを作る戦術であったが、パスに正確さを欠き、最後にはコートジボワール戦に続いて吉田を前線に上げたパワープレーに出るなど、攻めきれなかった感が強く残った。
退場者を出したチームが割りきって守備に徹する結果、かえって攻めづらくなるのはフットボールにはよくあることなので仕方ない部分もあるし、チャンスはそれなりに作れててシュートも打ててるのに最後のところで運がなかった部分もあって、必ずしも力負けしたとか致命的な問題があったという訳でもないのだが、だからこそ見ていた我々ももどかしい思いをした。
この、肝心のところでベスト・パフォーマンスを出しきれず、わずかな運を引き寄せられなくて結果を出せないという感じは東京の試合でも何度も経験していることだし、日常の局面でも覚えがある人は多いだろう。勝負どころで踏ん張れないと言ってしまえばメンタルの問題に帰することになり精神論になるのであまり言いたくないのだが、それにしてもいったいこの「勝負弱い」メンタルというのは何なんだろうと考えてみた。
気になったのは、試合の中でプレーがうまく行かないとき、香川や長谷部ら中心選手がすごく苦しそうな顔をすること。責任を感じるのは当然かもしれないが、だれもかれもが「オレが悪い」「オレがしっかりしなければ」「もっと必死でやらねば」とどんどん悲愴な顔つきになって行ってるように感じるのだ。
必死でやっているので顔つきが真剣になるんだろうけど、そこに何か過剰な悲愴さ、余計なものまで背負ってしまっているような重さを感じてしまう。危機感がストレートに表現されず、「オレがしっかりしてないからあかんのや」的な、自責的な形で内向してしまっているのではないだろうか。
その結果、ベスト・パフォーマンスを出すことよりも、我慢したり苦しんだりすることで何かが解決するような自己処罰的な錯覚に陥ってしまう。思考に柔軟性がなくなり、手足が縮こまる結果動きも悪くなって、「何をやってもうまく行かない」というネガティブ・スパイラルに陥ってしまう。
こうなると事前にいくら周到なゲーム・プランを用意しても、それを遂行するだけの力を発揮するのは難しい。視野が狭くなっているので状況の変化に対応することもできない。現状に合わなくなったプランに固執して失敗を繰り返してしまう。だれも楽しくないフットボールをやっている。やればやるほど「ダメだ、オレをもっと罰してくれ」とでもいったような自虐的な表情になってくる。
自分が苦しみ、耐えることで不始末を免責してもらいたいという気持ちが、結果としてベスト・パフォーマンスを妨げているのだ。「こんなにムリして頑張ってるんだから、うまく行かなくても勘弁してよね」と無意識のうちに考えているのだ。
プロなのだから当然メンタル・トレーニングもしているのだと思うが、うまく行かないときの日本はプレーにもアイデアにも幅がなくなり、ダメと分かっているパターンを延々と繰り返すような一種の思考停止に陥っているように見えてしまう。自分が苦しむこと、耐えることと、結果を出すこととの間には直接の関係はないのだと気づくことができなくなっている。
この試合も重苦しかった。何でそんな悲愴な、自己処罰的な顔をして90分も走り回らなければならないのかと思った。僕たちはまだ何も手にしていないというのに、何を守ろうとしているのかよく分からない。試合が終る前から免責のための言い訳を探しているような試合に見えて仕方なかった。
コロンビア戦は勝つしかない。選手たちがどれだけ苦しんだかということには僕は興味はない。それは結果とは関係がないからだ。
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日本代表
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2014ワールドカップ
2014年06月19日 23:28
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【2014ワールドカップ】スペインの落日
日本とドイツの試合以外はムリして夜中に見るのをやめて、録画を夕食後の時間に見るようにしているのでリズムが整ってきた。明日朝7時からの日本×ギリシャはもうリアルタイムで見るのは諦めた。夜は飲み会があるので帰ってきてから録画を見ることになるが、それまで結果をシャットアウトすることができるか。いや、ムリだな。普通に考えて。
さて、昨夜行われた試合の中では何といってもスペインがチリに負けた一戦ということで録画を見た。スペインはオランダ、チリに連敗して早くもグループリーグ敗退が決まった訳だが、いったい何がよくなかったのか。
というか、これまでスペインの何がそんなにすごかったのか。終ってみればそんな気にならざるを得ない試合だったということだろう。ボールを持っても急ぐことなく執拗にパスをつなごうとする。前が詰まれば何度でも作り直す。狭いエリアでワンタッチのパス交換から抜け出す。ミドルは狙わずエリア手前から目まぐるしくボールを動かし最後はワンツーやスルーパスでエリアの中に飛び出す。
だが、それがうまくつながってシュートに至るケースはこの日のスペインでは稀だった。チリが早い帰陣で5バック気味のDFラインを固めると、スペインの流麗なパスもどこかで引っかかる。チリもパスを回すが、チリには敵が陣形を整える前に攻めきるという明確な意図がある。
スペイン型のポゼッション・フットボールにはスピードというモメントがないのか。ダメなときの東京を見ているように、ポゼッションにこだわっては結局フィニッシュまで行けない。前がかりになると背後をカウンターでやられる。セカンドに出遅れる。ボールを持っても一気に攻め上がるような切り替えはない。
これで何で前のワールドカップに優勝できたのかよく分からない。このタイプのフットボールはもう終わったのか。
今回のワールドカップは高温多湿の環境で、試合によっては昼の1時とか過酷な時間帯にやっているので分かりにくいところがあるが、結局のところ攻守の切り替え、特に守備から攻撃への切り替えの速さを競うフットボールが主流になりつつあるということなのだろう。
例えばBVBのゲーゲン・プレッシングもそうだが、ハイプレスで奪ったボールを高速のショート・カウンターで一気にフィニッシュまで持ち込むフットボール。バイエルンもドイツ代表も基本的な考え方はこれじゃないのか。
だが、それは決してポゼッション・フットボール、コンビネーション・フットボールの時代が終ったということではないし、ドン引きから縦ポンのフットボールが復権したということでもない。ポゼッション、コンビネーションといった概念が進化する瞬間に僕たちは立ち会っているのではないかと僕は思うのだ。
チリやメキシコなど、面白いフットボールをやっている国もベースはポゼッションである。きちんとパスをつなぐことなしに現代フットボールはあり得ない。盲滅法に前線に長いボールを蹴りこむギャンブル・フットボールはもはや戦術とも呼べないだろう。
問題はポゼッションをどれだけ高速化して、攻めきるために組織できるかということだ。ロングフィードだって大きなサイドチェンジだってつながればポゼッションだ。至近でショートパスを回すだけがポゼッションではない。意図のあるボールをしっかりつないで敵に対応する隙も暇も与えずフィニッシュまで持って行くのが次世代のポゼッション・フットボールだと僕は思う。
スペインの落日がそれを示しているのかはともかく、精度の高いショート・カウンターは結局のところポゼッションとコンビネーションの高速化に他ならない。どんなフットボールがこの大会で勝ち残ることになるのか、楽しみだ。
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2014ワールドカップ
2014年06月17日 22:48
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【ワールドカップGL第1節】ドイツ×ポルトガル
■2014年6月17日(火) 1:00キックオフ(日本時間)
■サルバドール
難しい時間の試合。普通に3時まで起きていると睡眠時間が2時間とか3時間になって翌日の仕事に差し支えかねないので、11時から1時まで寝て、試合を見てから3時から6時まで寝たが、2時間+3時間の睡眠は5時間通しの睡眠にかなわないことが分かった…。
ドイツの初戦はポルトガル。小国ではあるがクリスチアーノ・ロナウドを擁する強豪である。この試合でこの大会の行方が占われると言ってもいい大事な一戦だ。
ドイツは前線に典型的なCFを置かない所謂ゼロ・トップ。またシュヴァインシュタイガーをベンチに置きラームをアンカーで起用した。実際にはラームとクロースのダブル・ボランチに見えたが。
ノイアー
ボアテン メルテザッカー フメルス ヘヴェデス
ラーム クロース
エツィル ケディラ ゲッツェ
ミュラー
コイントスで勝ったポルトガルがチェンジを選択、ドイツは前半GKが直射日光を浴びるサイドでの守備となる。
試合は例によって慎重な立ち上がり。徐々にドイツがボールを支配し、正確なコンビネーションからボールを支配するが、暑さのせいかスピード感に欠け、フィニッシュまではなかなか持ち込めない。次第にポルトガルにセカンド・ボールを拾われるようになり、ポルトガルのポゼッション・ゲームのようにすら見える展開に。
8分には右サイドから敵FWの抜け出しを許しGK至近からシュートを放たれるが角度がなくノイアーが処理。直後には敵GKの不用意なパスをケディラが拾いワンタッチで無人のゴールを狙ったが外れる。
転機は比較的早くやってきた。11分、ゲッツェがパスを受けてエリア内で仕掛けたところ、敵DFに袖を引っ張られて転倒、PKを得る。決してそこまで激しい引き倒しではなかったと思うが、やはりエリア内での手の使用には厳しく対処するとの意思の表れと見た。これをミュラーが手堅く決めてドイツがPKで1-0と先制。
リードを得て、敢えてリスクを取らず慎重なパス回しから敵の守備網が乱れたと見るやスピードアップして仕掛けるドイツの攻撃に対しポルトガルは積極的に前に出ようとするが攻撃は散発に。
28分、敵FWが筋肉系の負傷で交替。PKはともかく、この辺からポルトガルとしては歯車が狂い始めたと思う。32分、右CKをクロースが蹴ると、ゴール正面でフメルスが頭で合わせゴール。ドイツが1点を追加し2-0と順調にリードを広げる。
さらに37分、前線でミュラーが敵DFと競った際にひじ打ちを受け倒れる。この時点で笛は鳴っていたが、その後、敵DFがミュラーに近づき頭突き。これを審判が見逃さず敵DFは退場となる。ドイツはこの時点で数的優位を得る。これで完全にポルトガルが自滅した。
前半のアディショナル・タイムには、ミュラーが後方からのクロースのパスを敵DFがトラップしたところを奪いそのままシュート。これが決まりこの日2点めを挙げリードを3-0と広げる。
後半に入るとドイツは明らかにリスクを避け時計を進める戦い方に。必要があれば45分間キープも辞さずという明快な姿勢が、数的優位も得てドイツにプラスに作用する。ドイツはボールをキープしながらも敵陣ではムリをせず何度も作り直す攻撃に。時間はどんどん進んで行く。
51分、ゲッツェからのパスを受けたエツィルが裏に抜け出し敵GKと一対一になるがシュートはGKに当ててしまう。63分、エツィルに代えてシュールレを投入。69分にはゲッツェがシュールレからのパスをゴール前で受けるがコネる間に詰められてシュートはブロックされる。
ドイツは73分、フメルスに代えてムスタフィを投入。ボアテンがCBにスライドしムスタフィは右SBに。
78分、右サイドを駆け上がったシュールレが中央へグラウンダーのクロスを入れる。いったんはGKが弾いたが、そのすぐ前に詰めたミュラーがこれを流しこんでゴール。4-0と試合を決定づける。ミュラーはこれで今大会最初のハットトリック。82分にはミュラーに代えてポドルスキを投入し、試合をクローズに。
ドイツはその後も危なげなく試合を支配、アディショナル・タイムにはロナウドのゴール正面からのFKに対してノイアーが「壁は2枚でいい」のサイン。ロナウドのキックは枠に飛んだがノイアーがこれをセーブ。壁でキックの瞬間が見えなくなることや、壁でボールが跳ねることを嫌ったのだと思うが、このシーンはカッコよかった。
結局、ドイツは4-0と終始試合を支配して完勝。初戦をきっちり勝ちきるところにこうした舞台の戦い方を知る国の強さを見た。
ドイツは早めの時間帯に先制を得てその後はリスクを取らない戦いにシフト。暑さもあってかムリにスピードアップしない戦術も興味深かった。その意味でこの試合は前線からの積極的な守備、攻守の速い切り替えから高速カウンターというドイツの得意パターンから見れば、敢えてスローダウンしたと言っていい。
特にPKで1点を先制してからは現実的なゲーム・マネジメントが顕著。この辺が国としての強さなんだなと感じた。そういう「勝ち方」が代表選手の間できちんと共有されているのはすごい。
おそらく「勝ち方」は監督の指導とかチームの方針ということではなく、個々の選手の戦術理解の総体のようなものなのだろう。これはある種の「文化」である。日本が欲しいのもこの「文化」であり、「常識」としてプレーヤーにもサポーターにも根づいた理解である。
とはいえ、ドイツの戦い方が完璧だったかといえばもちろんそんなことはなく、どちらかといえばポルトガルが自滅したゲームだったと言うべき。後半二度のビッグ・チャンスに決めきれなかったことは反省点だと思う。フィニッシュの精度には向上の余地がある。
ともかく、この勝利でドイツの星勘定はグッと楽になった。次節、ガーナは厳しい相手だが、しっかり勝ちきって勝ち抜けを引き寄せたい。
評点(評点は
ドイツ式
):
ノイアー(2.5) 「壁は2枚でいい」にしびれた。ビッグ・セーブも多かった。
ボアテン(3.5) 手堅いプレーでサイドを封殺。対人の強さを発揮した。
フメルス(3) 得点は素晴らしかったが守備での貢献が大きかった。要になった。
メルテザッカー(3.5) フメルスのカバー中心。このキャリアでまだ20代とは。
ヘヴェデス(3.5) 正直印象に残らず。無難な出来。
ラーム(3.5) 中盤の底で守備の中心、攻撃の起点に。この適応性はすごい。
クロース(3) 再三チャンスを演出。攻撃のスイッチを入れられる男。
エツィル(3) 自在にポジションを捨てて顔を出す。ダテに羽生に似てない。
ケディラ(3.5) 上がり目だったように見えた。序盤のシュート決めたかった。
ゲッツェ(3.5) 後半のチャンスは逡巡せずワンタッチで打ちたかった。
ミュラー(2.5) 流れからのファイン・シュートはなかったがこれが決定力か。
===
シュールレ(3) 配球にアピールあり。戦術眼の高さを示した。
ムスタフィ(-) 時間短し。ごめんあんまり見てなかった。
ポドルスキ(-) 時間短し。連係できなかった印象。
PK、CK、押し込み、押し込みと、決して格好のいい得点ではないが、敵の退場に乗じて最も効果的に試合を進めようとするドイツに学ぶべき点は多い。結果をきちんと持ち帰ったのがすごいわ。今日は早く寝よう。
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ドイツ代表
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2014ワールドカップ
2014年06月15日 17:29
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【ワールドカップGL第1節】コートジボワール×日本
■2014年6月15日(日) 10:00キックオフ(日本時間)
■レシフェ
日本の初戦はコートジボワールと。日曜日の朝10時と見やすい時間のキックオフとなり、直前のイングランド×イタリアを見たあと、朝ごはんを食べながら開始を待った。
日本は森重が今野を押しのけるた形でCBとして先発、吉田とコンビを組んだ他、遠藤をベンチに置いて山口が先発し長谷部とダブル・ブランチを形成した。また、ワントップには大迫が入った。
川島
内田 森重 吉田 長友
長谷部 山口
岡崎 本田 香川
大迫
おそらくは実力の伯仲したグループで、どこが勝ち抜けてもおかしくない一方で3連敗も十分あり得る。初戦の結果が極めて重要であり、そのためには先制点がどちらに入るかが決定的に大きな意味を持つ。早い時間帯に先制し主導権を握りたい。
互いに失点は避けたいという意識が働いたか、試合はともに固めの立ち上がり。日本はボールを保持しながら全体を押し上げ、前線が流動しながら敵DFをかいくぐろうとするが、細かいパスミスが多くフィニッシュまで行けずにボールを失ってしまう。試合が落ち着くとともにコートジボワールにボールを持たれるようになり、自陣で敵の攻撃を受ける展開になってしまう。
だが、16分、左サイド深い位置での長友のスローインを香川が長友に戻すと、長友が切れ込んでエリア左隅の本田にパス。これを受けた本田は右足でワントラップし足許に置いたボールをそのまま左足でシュート。これがニアを抜いてゴールに突き刺さり日本が先制する。
その後しばらくは日本が勢いを得てボールを動かし、21分にも内田、本田がシュートを放つが、この流れをしっかりつかむことができず、次第にコートジボワールに主導権を奪われて行く。特に内田のシュートは切れ込んでしっかり枠に飛ばしたがGK正面。ここでたたみこめていればと思うシーンだった。
日本は自陣では4-4-2の3ラインの陣形を保ち、またサイドが上がるときは山口が最終ラインに落ちるなど機動的にコートジボワールの攻撃に対応するが、23分に吉田が警告を受け、前半だけで11本、特に前半が半分過ぎた24分以降に9本のシュートを浴びるなどほぼ一方的に押し込まれる。
敵のシュート精度の低さに助けられ失点は免れるものの、先制すれば流れを呼び込めると踏んだ僕の予想もむなしく、バタバタと守備に追われる時間が続き、蒸し暑い気候、断続的に強く降る雨という悪条件もあって体力を削られる試合に。
結局前半は何とか1-0とリードを保って折り返したが、まったく楽観できない試合展開に。守備は集中して対応できているが、特に攻撃時に長友の位置が高すぎて香川や山口が出張ってサイドを埋めているのが気になる。
後半立ち上がりは日本も積極的に攻撃を仕掛けるが得点に至らず。54分、長谷部に代えて遠藤を投入。ケガ上がりでコンディションの不安のある長谷部はもともと時間限定のプランか。ベンチで流れを見ての遠藤投入は修正として理解できる交替だが、日本はその後もつなぎにミスが多く守備の時間が長い。しのぐ展開は変わらず。
62分、敵の精神的支柱であるドログバが途中交代でイン。コートジボワールもここまでは押し込みながら先制を許しなかなか追いつけないもどかしい展開だったと思うが、この交代で明らかに空気が変わる。
64分、日本の左サイドから斜めに入れられたクロスに敵FWが飛び込み、ゴール正面で頭で合わされて失点。1-1の同点になる。森重が並走したが前に入られて十分身体を当てることができなかった。森重は直前にドログバへのチャレンジで警告を受けており、これが微妙に影響したかもしれない。クロスはフリーで上げられており、左サイドの裏を使われた。
がっくりする間もなく直後の66分、再び日本の左サイドから斜めにクロスを入れられる。今度はニアに飛びこまれ、川島が反応してボールには触れたもののそのままゴールに入り立て続けに失点。1-2とあっという間に逆転を許してしまう。これはクロスもシュートもフリーでプレッシャーがかからなかった。失点直後で集中を欠いたか、あるいは勢いに飲まれたか。
国家的英雄を投入して勝負に出た相手に対して、足の止まり始めた日本はあっさりと逆転を許してしまう。特に同点に追いつかれたところで踏ん張れなかったのが悔やまれる。
日本は直後の67分、大迫に代えて大久保を前線に投入するが、攻撃は散発で流動性も工夫も欠き、シュートまで持って行くこともできない。前線で香川と岡崎の左右を入れ替えては戻すなど戦術も混乱した。
86分、香川を下げて柿谷を投入、長身の吉田を前線に上げてパワープレーを試みたが競りきれず、コートジボワールの小狡い時間稼ぎもあって結局1-2で試合終了。先制しながら力負けというべき逆転負けで大事な初戦を落とした。
序盤に本田のファイン・ゴールはあったものの、前線の連係が悪く攻撃はほぼ機能しなかった。コートジボワールのプレスがそれほどきつかったようには見えなかったが、選手相互の意図が空回りし、ミスも多くボールがつながらなかった。ザッケローニ監督は試合後のインタビューで「距離感が悪かった」と総括したがまさにそんな感じだった。
ドログバはアシストにもシュートにも絡んでいないが、彼が入ることで空気が変わり、流れを一気に持って行かれた。ふと我に帰った時には逆転されていたという印象だ。味方を鼓舞し敵をを威圧する存在感は圧倒的なものだった。
主将の長谷部は「自分たちのサッカーを表現できなかった」「切り替えて次に行くしかない」とコメントしていたが、なぜ表現できなかったのかの検証とその原因の修正は必須。長谷部が言うのはメンタル的にこの敗戦のダメージを引きずらないということだと思うが、戦術的にはむしろしっかりとした振り返りが必要。
具体的には、コレクティブであることが生命線のフットボールで、なぜ攻撃時に味方が離れ離れになり、連係が無残なまでにバラバラに崩れてしまったのか、どのスペースを使われなぜ敵のキーマンが二度までもフリーでクリティカルなクロスを放りこむことができたのかを精査する必要がある。
結局のところ、コートジボワールは強かった。日本もしっかり戦い勝機はあったが、自分たちが格下でチャレンジャーであるという意識がどこか希薄だったのではないか。結果として1-2の敗戦は内容的に妥当な結果という他ない。ひとつ気を抜けば殺られるギリギリの戦いであるということは分かっていたはずなのに、ふわっと失点してしまったこと、特に2点目の失点は真摯に顧みるべきだ。
これで日本は残りの2試合、ギリシャとコロンビアに連勝しなければならなくなったと考えた方がいい。ギリシャはコロンビアとの試合では今ひとつの出来だったが、「ギリシャには勝てる」と考えるのなら惨敗は必至。このレベルの大会ではちょっとした違いからどんなことでも起こり得るし、それはいい方にも悪い方にも言えること。最後の紙一重を自分たちのものにするにはそれだけの積み上げと詰めの厳しさが必要だ。
評点(評点は
ドイツ式
):
川島(4.5) 2失点目は反応してボールに触れていただけに悔やまれる。
内田(4) 攻撃参加のタイミング、ワンプレーの質はさすがに高かった。
森重(4.5) 悪くはなかったがドログバへのファウルで後手に回った。
吉田(4.5) 局面では集中していたが中央での2失点は言い訳できない。
長友(4.5) 個の強さは見せたが裏を使われた。高い位置取りは指示か。
長谷部(4.5) スペースを埋め走り回ったが攻撃では機能しなかった。
山口(4) 要所でピンチの芽を摘んだ。先発フル出場は妥当だった。
岡崎(4.5) 彼自身は頑張っていたが周囲との連係を欠き効果半減以下。
本田(4.5) ゴールは素晴らしかったがそれ以外はほぼ印象に残らず。
香川(5) 精彩を欠く出来。顔つきがいつもに増して悲愴。切り替えを。
大迫(5) ポストに身体を張ったがシュートなし。苦しい戦いになった。
===
遠藤(4.5) パス出しにさすがの感はあったが流れは変えられず。
大久保(5) 投入は理解できるがどん詰まった流れの中で動き取れず。
柿谷(-) 時間短し。つかそもそもパワープレー要員ではない。
次はドイツ戦を楽しみに待ちたい。
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日本代表
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2014ワールドカップ
2014年06月14日 21:42
[posted by der_ball_ist_rund]
■
【2014ワールドカップ】あれは誤審ではない
ワールドカップが始まった。開幕試合のブラジル×クロアチア(3-1)は日本時間13日金曜日の早朝5時キックオフということで、前日早く寝ていつもより1時間早く起き、出勤の身支度をしながら後半残り10分くらいまで見た。
現地時間では木曜日の夕方5時キックオフということで、なんでそんな時間にするのかと思ったが、要はブラジルでは平日でも夕方でも昼間でも、フットボールがあればその時間が勝手に祝日状態になるのでいつやっても同じということなのかもしれない。
これを読んでる人なら試合は見たと思うので内容についてはいちいち書かないが、クロアチアとしてはスコアレスで終盤に持ち込みたかったのに、思いの外早くオウンゴールで先制してしまい、後をしのぐことが逆に難しくなったという試合だったのではないかと思った。
この試合では、西村雄一が主審を務めた。開幕試合の主審を任されるということは、この大会のジャッジの基準を示すことを期待されているということであり、名誉なことである一方で責任もまた重大である。特に開催国のファースト・ゲームでもあり、異様な雰囲気の中で行われる試合を冷静にリードするには相当の力量が必要とされるのは想像に難くない。
果たして、69分にそのシーンはやってきた。クロアチアのペナルティ・エリア内でドリブルするブラジルのFWフレッジに対して、クロアチアのDFロヴレンがチャレンジ、フレッジがエリア内で倒れてしまう。このプレーに対し西村主審は即座に笛を吹きペナルティ・スポットを指さすとともに、ロヴレンに対して警告。ブラジルはこのPKを決めて2-1と逆転に成功した。
ロヴレンのチャレンジはそれほどハードなものにも見えなかったが、スローで見るとロヴレンの手がフレッジの肩にかかっているのがはっきり分かる。また、それ以前にもロヴレンが腕を絡めるようにしてフレッジを抑えようとしているのも分かる。
とはいえ、これがプレーに影響するほどのチャレンジだったかは微妙で、フレッジはプレーを継続することもできたのに、ロヴレンの手がかかったことを逆手に取り、大げさに倒れて見せてファウルを「もらいに行った」ようにも見える。
ロヴレンがエリア内で不正に手を使いフレッジを抑えに行ったこと自体は明白で、ファウルである。したがって、ロヴレンに警告しブラジルにPKを与えた西村主審の判断は間違いではない。少なくとも「誤審」とか「疑惑」とか言われるような判定でないことは明らかだ。
一方で、フレッジの倒れこみが「プレーに影響しない程度の軽微な手の使用があったのをいいことに、プレーを継続できたにも関わらず大げさに倒れこんだ」と判断するなら、そのままプレーを継続するか、プレーを止めてフレッジにシミュレーション(反スポーツ的行為)の警告を与える選択肢もあったかもしれない。
この辺はプレーの評価に関する部分であり審判のいわば裁量の問題だ。結論を言えば西村主審の判断はクロアチアにとっていささか厳しいものであった感は免れないが、おそらくは、エリア内での不正な手の使用には厳しく対応するという基本的な認識があり、プレーへの影響はともかく、エリア内で手を使って敵FWにチャレンジした行為自体を重視したのだとすれば判断としては十分理解できる。
いずれにしてもこのPKは判定の正誤の問題ではなく(明らかに正しい)、判断の適否の問題である。適否の議論はあってよいが、最終的には審判の裁量の範囲内の問題だろう。
クロアチアの監督はこの判定を痛烈に批判しているが、立場上は当然のことだし、選手を守るためにも彼としてはそう言わざるを得ないだろう。気にする必要はない。
というかニコ・コバチがクロアチアの代表監督になっているとは知らなかった。画面をよく見ると弟のロベルト・コバチもコーチになっているようだ。どちらもかつてブンデスリーガでよく見た顔で、勝手に懐かしい人を見かけた気になった。
===
金曜日の夜は10時ごろに一度寝て夜中の1時に起き、メキシコ×カメルーン(1-0)を見た。
メキシコは強い。というか面白い、いいフットボールをする。クロアチアとメキシコがグループリーグ勝ち抜けの2つ目の椅子を争うのだろうがどちらが来るかは微妙な感じ。僕はメキシコ推しだが。
あと、フォルカー・フィンケがカメルーンの監督をやっているのも驚いた。アナウンサーからは「あの浦和のフィンケ」という説明がなかったように思う。僕としてはフィンケは「浦和のフィンケ」というより「フライブルクのフィンケ」だが、いずれにしてもこんなところで見かけるとは思わなかった。これも懐かしい人に会った気がした。
===
夜中の試合はスキップして7時に起き、チリ×オーストラリア(3-1)を見た。
チリも強い。ここも面白いフットボールをする。見ていて楽しい。ここのグループはオランダがやらかして代わりにチリが来ると読んでいる。
===
で、そのスペイン×オランダ(1-5)を夜6時からのBSの録画中継で見た。先に結果を知っていたが楽しめた。
この試合、オランダはアウェイ扱いのためセカンドの青ジャージ。おそらくはホーム扱いのスペインがファーストの赤ジャージを選ぶと考えて用意したのだろうが、スペインはサードの白ジャージで登場。これならオランダはオレンジでよかった。スペインが何を考えてわざわざ白のサードにしたのかはよく分からない。
試合としてはスペインが頑なにパスをつなごうとするところを、オランダが組織的な守備でなりふり構わずつぶし、思い通りにさせなかったということだろう。オランダはそうやって後ろに重心をかけて守っても、奪ったボールを前線に展開すれば勝手に何とかしてくれるワールド・クラスの人材が何人もいるのが強みなんだな。
オランダがやらかすとばかり思っていたのにスペインがやらかすとは。つか、スペインはゲーム・プランが崩れて追いかける展開になったときの手がないように見えた。
===
今夜は夜中1時のコロンビア×ギリシャを頑張って見て、いったん寝てから明日朝7時のイングランド×イタリアを見たあと、そのまま10時からのコートジボワール×日本を見るつもり。
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