JILS(日本物流システム協会)セミナー”物流技術管理士認定講座”では、1110日第3回目の名古屋開催に続いて1117日に第4回目東京開催の講師をつとめさせていただきました。12月には今年度最後のセミナーが大阪でありますが、これまでの東京2回、大阪、名古屋各1回で既に約320名の方々に“物”にフォーカスした物流改善/全体最適活動が大幅コスト削減に有効であることをお話してきました。講義の後に多くの方々から“今まで考えもしなかったところにこんな改善余地があるのか!”、“今後のソリューション提案にぜひ生かしたい”との声をお聞きし私もこの考え方をさらに広めていこうと意を強くした次第です。

さて”物“にフォーカスしつつ、この全体最適設計をいかに進めるか?の話に戻しましょう。

前々回の#4で物流コスト削減を図るときにはそのコストが委託費用として発生しているのか自社リソースによって発生しているコストなのかによってそのアプローチは異なることをお話ししました。前者は本質的なコストではなく契約で決められる値であって後者の実質的コストとはやや異なるものです。削減対象つまりコストを正しく掴むことは非常に大切です。一般的な話ですが改善するときには常に目的を明確に、対象も正しく掴むことが第一歩です。そうでないと改善成果がなかなか出ないと頓挫してしまうことがありますので留意が必要です。DFLはモノづくりのトレードオフ問題を扱うことです。製品強度を上げようとすれば製品材料コストUpなどを招くことが多いでしょう。一方、物流途上の衝撃緩衝用のクッション厚は薄くでき包装体のサイズは小さくすることが可能となります。結果、輸送や保管等の物流コストは低く抑えられるわけです。つまり材料費アップなどで製品コストは大きくなった物流費は下げられたわけです。この案の場合には採用するかどうかの意思決定段階ではコストトレードオフ関係があることを理解してください。もちろんトレードオフ問題/DFLを議論することもなく包装サイズの微調整で積載効率最適化していることもあります。このようなトレードオフ関係にあるいくつかのパラメータを洗い出して案の比較評価を行うことです。

全体でこうかがあるのかどうかを公平に評価して初めて全体最適を論ずることができます。一つの組織ですべてを成し遂げることは不可能です。“物”はすべてのサプライチェーンで動き回り影響を与えます。つまりこれらの影響がどこに発生してその影響度はどのくらいあるのかを客観的に評価することが必要なのです。

しかしこのようなコンカレントなエンジニアリング活動を進めるのは組織が大きくなればなるほど難しくなります。

部分最適を指向しサイロ化した事業部制などはその活動の阻害要因になることがあります。全体最適を指向するデザイン・フォー・ロジスティクス(DFL)を推進するにあたってはまずはプロジェクト化して実績をだしこのデザイン・フォー・ロジスティクス(DFL)プロジェクトで策定、導入された実績のあるプロセスを組織機能に落とし込むという流れを作るのが現実的でしょう。以下はデザイン・フォー・ロジスティクス(DFL)プロジェクト推進ステップです。次回にはこのステップごとにその活動例をご説明しましょう。

Step-0 Pj活動枠組み造り、 Step-1 Pj活動のキックオフと活動のオーソライズ

Step-2 DB・標準整備と共有、 Step-3 設計・評価

 

1117日 ()北山コンサルティング代表 北山義弘 

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