2009年04月

2009年04月29日

えりんかふぇ65

どれくらいたっただろうか
皆はあちこちを探し回った

プルーン達とも合流した
だがそれらしいヒントはあっても
本人達は見つからなかった

長い沈黙と同時に
闇が訪れる

この暗さでは捜索は難航を極めるだろう
あきらめるしかなかった

帰路へついても周りをずっと気にしていた
しかしすぐ城へついてしまう
中へ入ると藍季が近寄ってきたが
周りの雰囲気を察知したのだろう
何も言わずに奥へ座るように促した

皆の顔は憔悴していた
戦闘のあとにこれだけ捜索を続ければ疲れる
胸にはどっと無力感が溢れる

だが一番ショックだったのはピクト本人だろう
「探しに行く」と言って聞かなかった
そこを藍季が押さえつけていたのだが

ひとまずこれで長い一日が幕を閉じるのだった


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2009年04月26日

えりんかふぇ64

「確かピクトさんのパーティに二人とも参加してた・・・はず」
サラがいまいち定かではない・・・といった感じに曖昧に言った

「プルにぃが探しに行ったよ
でもまだ戻ってきてなかったから心配で・・・」
少し肩を落とした
「まぁ、見かけたのはついさっきだし
もう戦闘も終わってるから大丈夫でしょ」
フィリはあっけらかんとした様子

「ところで、探しにいったってどういうことだ?」
日本軍がここで首を突っ込んだ
久しぶりにしゃべった気がする

「えぇと・・・」

「僕のために・・・二人とも残ったんだ・・・」
気付けばピクトが目を開けていた

「「「ピクトさん!」」」
安否を確認するとみんなが口を揃えて良かったと言った

一番すごかったのは藍季だろう
泣きながらしがみついていた
ピクトは怪我人だというのに

ほどなくして落ち着きはしたが
自分の行為が恥ずかしかったのだろう
しばらく顔は真っ赤だった

意識を取り戻したピクトはわかるところから話し出した

自分がグールに襲われて深手をおったこと
そしてそこから自分を逃がすために壁になってくれたこと

「最後に見たのはプルーンさんの背中だった・・・」
そして気付いたらここで寝ていた
と付け足した

「じゃぁあの二人は・・・」
リスが青ざめ、身震いする
他のみんなもそうだった
さっきまでの様子とは打って変わって
シリアスなムードが漂っている

さっきまで大丈夫と言っていたフィリが一番深刻な表情をしている
軽率な発言だったことを悔いているのだろうか

「こんなとこで休んでいるわけにはいかないな」
そう言った大佐が直ぐに立ち上がり扉のほうへ駆けて行った

つられて皆も後を追いかけて出て行く
再び藍季と柚葉、ゆきるが残された
そしてピクトも

彼は心の中で祈っていた
無事であることを祈っていた


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2009年04月23日

えりんかふぇ63

ゆっくりと藍季が口を開く
「プルーンさんが運んで来たんだ
一命は取り留めたけど・・・取り留めたけ・・・ど・・・」
その先は言葉にならなかった

確かに傍から見れば死んだように見えるだろう
だが確かに生きている
生きていることには違いないのだが・・・

ゆきると柚葉が藍季の傍により
背を押して歩いていった

去り際に
「ちょっと外の空気吸ってくるね」
とだけ言った

しばらくそのままだったが
居ても経っても居られなくなったのだろう
皆ゆっくりとその場を離れた

「せめてもの救いは生きているってことか
それとも本当の救いは・・・」
フィリが自問自答にように呟く

一瞬頭の中に良くない考えが浮かんだ
危うくそれを口に出しそうになる
だがフィリは最後まで言わずに皆と共に歩き出した

暗い足取りのまま城内の隅に行く

誰も何も言わなかった

しばらくすると柚葉だけ戻ってきて
「誰かプルにぃ・・・見なかった?」

「ちょっと前に私達がいた西門に・・・」
ロウレイが答える

「プルーンさんならきっと大丈夫だよ。
アリッサムさんとナクトさんと一緒だったし」
レンが後を紡いだ

そして、ところで・・・と続けた

「柳さんとてるさんは?」


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2009年04月21日

えりんかふぇ62

東門、南門、西門、北門ほぼ同時に魔物を退けた
長期戦の末
街中に入り込んだ魔族を撃退
更に門に迫っていた魔族も撤退においやった

各門にいる人々は安堵の溜息をついた

しかし素直に喜べる戦果ではない
こちらのダメージは計り知れないからだ

人数もそうだが精神的な痛手も大きい

復興にはしばらく時間がかかりそうだった
魔族がその時間を与えてくれるかはわからないが

だがこれだけは言える
戦争が始まったのだと

門の守護をしていたえりんかふぇの面々も
最初は辺りを警戒していたが
魔族の影も形も無いことを再確認するとひとまず落ち着くのだった

かくして城砦都市は守られ
皆いったん城へ戻っていった

城は再び人でごった返し
方々から声があがる

藍季と柚葉、ゆきるはヒールをかけるため
忙しそうに走り回っている

しばらく経つとかふぇのメンツも城へ戻ってきた
皆疲れきった顔だったが
お互いの安否を確認すると少し落ち着いた

しかしミルが気付く
「6人ほど足りないみたいだけど?」

たしかにそうだ
皆首をかしげる

この6人というのは
ピクト、プルーン、柳、てる、アリッサム、ナクトを指す

ミルの質問に対して城に残っていた3人は視線を落とした
戻ってきたばっかりの皆は怪訝な顔をし
胸に嫌な予感が渦巻く

「ついてきて・・・」
藍季が視線を落としたまま歩き出す

異様な空気にその場が凍りつく
黙ったまま藍季の後をついていく

そして目の前の事実を知ることになる
それは非常に受け入れ難いものだった

「冗談・・・だろ?」
大佐は震えていた

ピクトは地面にひかれた毛布の上に横になっていた
その姿はまるで寝ているようだった
だが腹部に巻いてある包帯が
寝ているのではないということを認識させる
出血は止まっているようだが
血の滲んだ後が乾いて見える

それに
白かったローブはどす黒い赤になっていた
誰もピクトとは思わなかっただろう

開いた口が塞がらない
全員その場に立ち尽くした


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2009年04月19日

えりんかふぇ61

しかしすぐに路頭に迷うことになる
手がかりが何も無いのだ
さっきまで様々なものが落ちていたが
今は見回してもどこにも見当たらない

「いったいどうすれば・・・」
プルーンががくりと膝をついた

「手分けして探すのはドウカナ?」
ナクトが提案するもそれはアリッサムに却下された

「危険すぎるよ。もうここら辺は敵だらけなんだ」

どれくらい時間がたっただろう
3人はあちこち見てまわったがどこにもいなかった

忽然と姿を消してしまった

意気消沈、あきらめかけていた頃
方々から歓喜の声があがった

アリッサムとナクトは何事だろうと見回す
「キット魔族を倒したんだろう」
アリッサムは静かに頷いた

だがプルーンは膝をつき俯いたままだった
気付けば目に涙が
それが地面に落ちてシミをつくっていく
自分は無力だと思い知らされた
それと同時にどうしようもない喪失感

プルーンは自分がわからなくなって
どうでもよくなって
ひたすら泣いた


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2009年04月16日

ちょっとコーヒーブレイク ピトシの一日

よしっと・・・

ピトシはマハからみんなの居るダンバに手紙をしたためた

宿から一歩外へ踏み出すと日差しがさんさんと降り注ぐ
「ふぅ〜、向こうは何してるのかなぁ」
そのままテクテクとポストがある場所まで歩き出す

すると目の前に見知った顔が歩いていた
「おろ?あれは・・・」
すると向こうも気付いたようで
手を振りながらこちらに歩いてくる

「こんにちは、奇遇ですね」
ピトシが先に声をかけた
相手もそれに返してくれる

世間話もそこそこに
「それじゃこの辺で」
と言って別れようとした時に呼び止められた

いい機会だと言って相手はりんごをくれた
「ありがとうございます」
そう言って今度こそ別れた

再びポストを目指して歩く
すると再び目の前にさっきとは別の知り合いが
今度は向こうから手を振って近づいてきた

「こんにちは〜」
挨拶を交わして世間話
なんかデジャヴだなぁ等と考えているうちに
今度は人参を手渡された

いったいどうしろと・・・等と考えている内に
相手は去っていった

「ひとまずポストに・・・」

すると今度は後ろから肩を叩かれた
振り向くとさらに別の知り合いだった

我ながら運が悪いというか顔が広いというか
なぜか少し後悔をしていた

話が進むと今度はジャガイモを渡された
採れたてでおいしいらしい

ピトシは内心だるさ満点だった

相手も用事があるようで直ぐに去って行った

「ポストに・・・」
角を曲がったところで誰かとぶつかった

「すいません!大丈夫ですか?」
と声をかけると
これまた知り合いだった

次は何の野菜だろう等と考えてしまう
すると案の定
今回はたまねぎを渡された

それをポストにつくまでに数回繰り返した
両手が野菜でいっぱいなっている


ピトシは苦笑しつつ手紙をポストに入れた

みんなの温かみに触れたからだろうか
帰りの足取りは軽かった

「今晩はカレーかなぁ」
等とぼやきながら部屋に戻るのだった

後日かふぇでは
ピトシから手紙が届いたのだが
なぜか野菜も大量に届き藍季は困惑したという



そんなピトシの一日




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2009年04月12日

えりんかふぇ60 やっと60か・・・

一方城では

「外の様子はどうなってるんだろう」
ゆきるがさっきからずっと同じセリフを言っている

たしかに城内からではわからない
さすがに城砦といったところか
窓も天窓しかない
それ故に強固なのだが

外の様子がわからないのは辛い

「きっとこっちが優勢だよ
ひょっとしたら戦闘はもう終わってるかもしれない」
柚葉がヒールを詠唱した

たしかに少し前から城に避難してくる人が‘‘いなくなった‘‘
それにより情報も入ってこない
外の様子も中からでは掴めないだろう

実際は地獄そのものなのだが

戦闘事態も未だ門の近くで行われている
こちらが優勢という考えに行き着いたのも
悪いほうへ考えたくない柚葉の気持ちが含まれているからだろう

しかし現実は違う
こうしてピクトが運び込まれてきたように

それでも残された3人は信じるしかなかった

そのころプルーン達は襲い掛かってくるアンデットと戦っていた

「いったいなんなんだ!」
プルーンが怒っている
時間をただただ浪費している気がして腹が立っていた
それでもひたすら弓を射ることしかできない

ちらっとアリッサムへ目を向ける
無表情なのが怖い
まるで作業のように敵を斬っていく

ナクトも同じようだったが
すこし焦りがあるように感じられた

「もうキリがないよ!」
悲痛な叫びがあがる
それもそうだろう
ずっとこの場所から動けていない

「強行突破・・・しかないか」
その声と同時にアリッサムが突っ込む

急に懐に入られた敵はなすすべもなく吹き飛ばされた
そのまま敵の中心へと突っ込み体勢を崩す
それに続くようにプルーン、ナクトも進む

敵の脇を走り抜ける
3人は後ろを確認するまでもなく
柳とてるが向かったであろう方向へ急ぐのだった


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2009年04月08日

えりんかふぇ59 なんか久しぶりです

「二人と別れた場所はどこ?」
と、アリッサム
「そこの角を曲がった先」
プルーンが走りながら答える
さすがにここまで走りっぱなしで息があがってきている
並ぶ建物の脇を走り抜け角に差し掛かる
が、急停止
「きゃぁっ」「ナニナニ?」
当然後ろにくっついてきているナクトとアリッサムがぶつかる
柔らかい・・・一瞬そう思ってしまう自分が憎らしい

頭を振り雑念を払うと角の先を伺う
戦闘の痕は伺えるが人影は見当たらない
ゆっくりと足を進める

確かに別れた場所についた
だが生きている者は誰もいない

様子を伺いながら歩いてみる
ひどい有様だった
アンデットの死体、臓物
砕けた骨がそこらじゅうに散らばり
いかに凄惨だったかが伺える

プルーンはひどく後悔していた
なぜあそこで二人を置いてきてしまったのだろうかと
一緒にくればよかったのではないか
考えれば考えるほど自分が悪いと思ってしまう

その様子を伺い察したのだろうか
ナクトが
「二人はきっとダイジョウブダヨ」
涙をためているプルーンの背中をさすってあげた

アリッサムはさっきから何か探すように歩いている
すると物陰に何か落ちているのを見つける

「これは・・・」
拾い上げる
それはしっぽ帽子だった
「もしかしててるさん・・・の?」
誰も何も言わなかった

プルーンががっくりとうなだれる
「ぼくのせいで二人は・・・」
「まだ決まったわけじゃないヨ」
そう言っているナクトもショックを隠しきれていない

「でも・・・ひょっとしたら・・・」
そんなプルーンにアリッサムが
「帽子は路地の入り口に落ちている
入って行った可能性もある」
冷静に分析し提案をする
「行ってみないとわからないよ?」

ナクトとプルーン、アリッサムは路地へと入っていった

狭い路地の中にもかかわらず血痕が続き
壁や地面がえぐれている
ここでも戦闘をおこなっていたのだろうか

「それにしても・・・血の跡がひどいな・・・
それにどっちかが足をひきずってる?」
たしかにひきずられたような跡もある
それに地面に飛び散っている血痕は点々というレベルではない


「二人はここを通って・・・」

歩き続けると狭い路地の真ん中に何か落ちている
先頭のアリッサムが拾い上げる

今度はブロフェだった
それも血糊がべったりとついた

少なくとも片方が重症であることがわかった3人はさらに速度を進める

目の前が開ける

どうやら広場につながっていたようだ
しかしそこには2人はいない

居たのはアンデットだけ

アリッサムがドラブレを抜く
続くなくともモアを構え
プルーンも構える

それが合図だったかのようにアンデットが向かってくるのだった

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2009年04月04日

えりんかふぇ58 最近忙しくて更新できない

そうしている間にも目の前では剣が鳴り
魔法が飛びかっている
ロウレイは戦意を失いかけていた
自分を助けるために落とした命を目にし
自暴自棄になっていた

戦場にすすり泣く音が聞こえる

しかしいつまでもそうはできない
敵が剣を構えて迫ってきている
だがロウレイは動かなかった
楽になりたかった
いろいろなしがらみから解放されたかった

選ぼうとしていた選択は「死」
友人も伴侶も裏切ることになるその行為
だがそれでもいいと思ってしまっていた
それほどまでにショックは大きかった

ロウレイが見上げると白刃が眼前まで迫ってきていた

だがそれは優しい声と
剣同士がぶつかる甲高い音で阻まれる

「ダイジョウブ?」
ロウレイの視界に緑色の鎧が映る

「ナクト・・・さん?」

ナクトがいた
アリッサムとプルーンもいる

この3人は柳とてるが居た場所へ戻っている途中
うずくまっているロウレイを見かけ
助けに来たわけである

「さぁ立ち上がって」
アリッサムがロウレイの手を取り立たせると
「痛いだろうけどごめんね」
そう言うと頬を張った
パーンと乾いた音がした

頬がジンジンする
でも嬉しかった
自分を叱ってくれる人がいることに
ありがたみを感じた

「レイちゃんが居なくなると悲しむ人がいるからね
絶対にさっきみたいなことしちゃだめよ」
アリッサムが優しく諭した

自然と目頭が熱くなる
ロウレイの頬にさきほどとは違う涙が伝った

「でも、くよくよしてる時間はないよ?」
プルーンが弓を構える

前ではフィリとノアが剣を交えている
フィリは熟練した技術を持っているが
ノアはそうではない
戦闘はまだ初心者と言ってもいい
受けるだけで精一杯の様子
それを援護するようにレンが弓を放つ

「もうだいじょうぶだよね?」
アリッサムがロウレイの頭をなでる
ロウレイはしっかりと頷き
フィリ達の元へと走って戻った

「ノアさん!援護するよ!」
ロウレイは再び気合を入れた

「ボク達も急ごう」
それを見届けたナクトがプルーンとアリッサムに声をかけた
二人も頷くと再び走り出した

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2009年04月01日

えりんかふぇ58 最終話

そんなこんなでいろいろあったけど
なんだかんだでうまくいきましたとさ

終劇

ご愛読ありがとうございました




























エイプリールフールって誰かが言ってた

ただそれだけ

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Profile
柳秋光
NAME
柳秋光(やなぎあきみつ)

タイプ
やっと弓士っぽくなれた

ほしいもの
才能とネタ、やさしい言葉(死

尊敬する人
絵が上手く描ける人、リットン調査団

嫌いな人
なんでも後回しにする人、口先だけのひと

自分を一言で言うと
口先だけのひと

相棒
ピトシ(故
日本軍(太平洋戦争にて大往生
チョコメロン(行方不明

最近新しいギルドエリンカフェさんに
お世話になってます
まったりとしたいいとこです

あとは書くことがないので・・・
|彡サッ




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