November 25, 2005

大の字の、幸せ。

大の字カゲカゲ、生後89日目。

小児科病棟にて、午睡のひととき。
(覚え書き:体重6605g)


この世に生を受けてから、まだ3ケ月にも満たない君が、簡単とはいえ手術を受けるなんて。この数ケ月間を振り返ってみれば、まさしく夢のようでした。


検査のための入退院を経て、成長を待った上で、ベストな時期を選び決断しました。
しかし、どれだけ成功を信じていても、その小さな身体にメスを入れることや、麻酔のリスク…不安をぬぐいきれないまま、当日を迎えました。

狭い小箱に心をギューギューに閉じ込められたような、逃れられない息苦しさを感じながら、君を抱いて手術室へ。

入口を抜けるとそこは、脳までクリアにしてしまいそうな消毒液の臭いが充満しており、無機質で、眩しくて、ガランとして、しばし呼吸を忘れて立ち尽くしてしまいました。
中央に置かれた台の、そのあまりの小ささが悲しく、台の上に置かれたぬいぐるみも居心地が悪そう。

バニラの香りの麻酔が、瞬く間に君の意識を奪っていくのを、異次元のできごとのように眺めていました。
ハンカチを忘れたことすら、どうでもいいくらいに、ボタボタと涙をこぼしながら。

母としてできるのは「祈る」ことだけでした。
それは家族も皆、同じ気持ちだったでしょう。


今、すこやかな寝顔を見つめながら、驚くべき君の回復力に感心し、感謝します。
本当によく耐えてくれましたね。

君の誕生は、私たち家族の絆を、よりいっそう強く、固く、結び直してくれました。


カゲ。心身ともに健康体で、明日退院します。

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この記事へのコメント
5
どんな言葉も上滑りになってしまいます。

どのような状況さえも、前を向いてそこから得るものを得る、
その姿勢で生きるご家族すべての魂に、敬意を。
Posted by ミチル at November 25, 2005 20:39
5
えっと、手術たいへんでしたね。
でも、明日退院なら、結果は良好なのでしょうね。
よかった^^


うちのカミサンは、昔、こども病院の看護士でした。
しかもオペ室の。
ずいぶんストレスだったようです。
人の子供でもそうなのですから、自分の子供の手術だと、
ご家族、特にお母さんの心身の疲れは相当あると思います。
お身体いたわってくださいね。
Posted by うまかつ at November 25, 2005 22:58
かおりさん、こんばんは。
なんと、そんなことがあったんですね…。
自分に置き換えてみると、とてもとても平常心でいられそうにありません。
狭い小箱に心をギューギューに閉じ込められたような、という表現でとても伝わってきます。

でも明日無事に退院ということで本当によかった。
どうかより強くなった家族の絆で、これからの生活が楽しく幸せなものでありますように。
Posted by いが at November 25, 2005 23:59
退院おめでとうございます。
寝顔を見る限り、元気に退院出来そうですね。

これからの成長と健康をお祈りします。
Posted by かみ at November 28, 2005 22:45
みなさんからの心優しいコメント、嬉しかったです!

★ミチルさんへ★
>前を向いてそこから得るものを得る。
紙に書き写して飾りたいくらい、素敵な褒め言葉です。
こんな風に言ってもらえる私って、ホント幸せ者・・・

★うまかつさんへ★
手術室って送り出す側だけでなく、迎える側も切ないのですね。
取り乱した私をなぐさめてくれた手術室の看護師さん(女性)の瞳が
やや潤んでいたのを、冷静になった今、思い出しました。
ある意味、とても貴重な体験でした。
Posted by 香里 at December 02, 2005 00:54
★いがさんへ★
愛する我が子の痛みを、代わってやれない辛さ。
どこかに弱音を吐きたくて、書き留めてしまいました。
けれど、“病気である”という運命も丸ごと受け止めて産まれてきた、カゲは強い子です。

★かみさんへ★
おかげさまで、とても元気に退院できました。
1歳未満の乳幼児は痛点が未発達なため、痛みに対して鈍いらしく、術後の傷を全く痛がる様子がないカゲ。
それだけが救いです。
Posted by 香里 at December 02, 2005 01:12