ここ数日、「サンテミリオンの格付け」について書いたトピックを読んでくださる方が増えています。

それで思い出しました。
以前から注目して結論を待っていた、「サンテミリオンの格付けは今後どうなるのか?」という問題を。
続報を探してみたところ、11月23日付けのSUD-OUEST紙の記事になっていましたので、今日はそのお話しです。

サンテミリオンの格付けの現状

まず、サンテミリオンの格付けの現状についておさらいしておきましょう。
10年に一度の恒例の更新を行った2006年の格付けですが、格下げされたことを不服とするシャトーから訴えを起こされ、泥沼の訴訟劇に発展。司法の判決は、サンテミリオンの格付けそのものを取り消すというものでした。
「サンテミリオンに格付けが存在しない」という緊急事態をしのぐため、立法&行政機関が動き、現在は、一時的に2011年ミレジムまでという期限付きで、96年の格付けを復活させ、なおかつ2006年の格付けで格上げされるはずだったシャトーには、2006年の格付けでのエチケット表記を認めるという、応急措置がとられています。
これによって、現在は総勢72のシャトーが、サンテミリオンの格付けの恩恵を受けることができていますが、2012年ミレジム以降のことは白紙状態でした。(訴訟の顛末については、こちらでどうぞ。)

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新格付けに関するニュース

2009年に取り消し判決が確定して以来、約2年。
この問題を解決すべく、パリのINAOで定期的に会議がもたれ、検討が続けられてきた、その結論がでました。

要旨はこうです。
まず、2012年ミレジムから新しいサンテミリオンの格付けを適用する。
2012年収穫分をプリムール販売する2013年春に間に合うように、格付けシャトーの審査を実施し、リストを完成させる。
そして、新しい格付けではパリのINAOが主導権をとって、7人の審査委員を選出する。中立性を保つため、この委員にはボルドーの地元関係者は含まないこととする。
格付け候補のシャトーからの応募書類は、2011年の第一四半期に受付ける。
そして、この新しい格付けでは、格付けの法的ステイタスが変更され、新しいルールが用いられる。

とありますが、審査基準、審査の方法などについては、概ね同じ路線で、これまでと大きな変化は見られないようです。
たとえば、新格付けで、グランクリュ・クラッセに選ばれるためには、最大10ミレジムが試飲され、プルミエ グランクリュ・クラッセに選ばれるためには、15ミレジムの試飲がなされるとのこと。
そして、審査過程において試飲が50パーセント以上の比重を占めるだろうとのことですが、これまでも試飲を重要視していたサンテミリオンなので、ここは同じ路線です。

試飲のほかには、シャトーの評判、テロワール、醸造設備が基準に達しているかを審査されます。
ここでは、最上級のワインが生産量の50パーセント以上でなければならず、シャトーは専用の醸造所を保有していること。という基準がありますが、この点もこれまでと同じですね。


サンテミリオンの方向転換

何より最大の変化であり、特徴的な点はこれまで、サンテミリオンの格付けはコンクール形式、言い換えると、限られた定員を選ぶための選抜試験のようなものだったのが、定員のない検定試験のようなものに変わるということです。
実際これまでのサンテミリオンの格付けでは、最大90という上限数がありましたが、新格付けでは、これが撤廃されるということです。

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これは、サンテミリオンの格付けが目指す道を方向転換したことの表れだと私は見ています。

サンテミリオンの格付けは世界で唯一、10年ごとに更新されるという画期的な格付けです。
シャトーは格下げの危険もある反面、努力したシャトーは報われる可能性もあるという、フレキシブルで、ダイナミックな格付けであることが、ボルドーの格付けとしては後発であるサンテミリオンの格付けの長所だったのですが。
常に努力を求められる、常に競争の原理にさらされるという意味で、生産者にとっては、非常に厳しいシステムであったことは間違いありません。

この方向転換によって、今後、サンテミリオンの格付けはどうなっていくのでしょうか?

努力の結果、新たに格付けに値するシャトーが出た場合は、それを認める。
新規メンバーを受け入れ続ける場合、定員に上限があっては、いつか破綻してしまいます。
ですが、メンバーの中から劣等生シャトーを格下げして、数を調整するということは危険です。
格付けから落ちたシャトーが不服を申し立てて提訴してしまうと、サンテミリオンの格付けそのものが消失の危機にさらされてしまうということを、今回の2006年格付け騒動で学んだからです。
それだけは避けなければならない。
不満を抱くシャトーが出ない方向で、まるく収めたい。
そのためには、サンテミリオン グランクリュ クラッセの上限数は撤廃される必要があった。ということでしょう。

今後、サンテミリオンの格付けにおいては、ひとたび「格付け」という強力な販促ツールを手にしたシャトーは、その既得権を失うことはない。ということになりそうです。

サンテミリオンの格付けは、大いなるチャレンジを諦め、生産者組合の方向へ舵を切ってしまったようです。世界中のワイン愛好家、ワイン消費者は、このサンテミリオンの新格付けでの方向転換を、どのように受け止めるのでしょうか。

私の心の中の呟きはこうです。
「サンテミリオンよ、お前もか」

最後まで読んでくださって、ありがとうございました。

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