2017年02月26日
考えてはいけない
考具 ―考えるための道具、持っていますか?
最近は「考えるとはどういうことか」について考えることが多いので、そこで学んだ知見を紹介します。
結論からいうと、「自分の頭で考える」ということは全く重要ではありません。
これまでいろんな人が考えてきた知恵を利用すればいいのです。それでも、わからないことがあれば、初めて頭を使います。
考えることには確かに意味がありますが、考えることを目的にしてはいけません。
<まずググる>
練習をしているとわからないことはたくさん出てきます。どうすれば早いスマッシュが打てるのか、どうすればレシーブがよくなるかとか。
そういうときに悩んだまま、放置する人が多いです。それで同じ課題を1週間くらい続けている。
そういう行動は時間の無駄です。15分考えてわからなければ、人に聞いてください。
何でも人に聞くのは問題ですが、15分以上考えてわからなければ多分自分で解決できない問題です。
人に聞くなり、ネットで調べるなり、本読んだり、動画を見るなりして情報を調べてください。
バドミントンを練習する人は自分で問題を解決しようとしすぎる傾向があります。
上達すればなんでもいいのです。でも時間は有限です。だから、とにかく調べる癖をつけることから始めたらどうでしょうか。
その上で調べ方という話がでてきます。
例えば、フットワークはプロの動画を見るのが一番いいと思います。文字で見ても分かりづらいので。
でもスマッシュなどは逆に動画を見ても分かりづらいので、解説を探します。バドミントンの情報は少ないので、テニスのサーブとかを参考にすると結構情報があります。
あとは目的を明確に決めて、自分なりの仮説を立ててから調べると、比較的すぐに解決に至ります。
調べ方については数をこなせばすぐにうまくなります。だから、大事なことはすぐに調べる癖をつけることだと思います。
<考えることを定型化しよう>
反省をするときにフリーフォーマットで書くのはあまりお勧めしません。
初めから、視点を決めておきましょう。
例えば、KPTというフレームワークがあります。
Keep(これから続けていきたい新しい習慣)
Problem(発生した問題)
Try(今後試したいこと)
個人的にKPTは少し足りないかなとは思いますが、KPTを使うことで効率よくアイデアを出せるとは思います。
考えるというのは本質的に難しいのです。だから、一から考えるより枠組みを作って考える習慣が大事だと思います。
バドミントンの戦略、戦術も試合中に一から組み立てている人はいません。大体、基本形をみんな持っています。
だからやけに考えている時間が長いなと思ったら危険信号です。基本形がないということです。
考えるという作業を減らして、思考を自動化できないか検討してみてください。
<体に聞く>
上の話に近いのですが、自分は練習パターン100みたいなものを持っています。
とりあえずバドミントンに使うかなーという技術やシチュエーションを思いつくままに、かき集めたものです。
本当にバドミントンに悩んだときはこれを一から全部やってみます。
そうすると、どこかで解決のヒントに技術や考え方が落ちているので、それを拾うと悩みが解決したりします。
結局、考えていないのです。体で感じたことを拾っているだけです。こういう問題解決の方法だってあります。
頭を使わない方法もあるということです。
<何も考えずに練習を始める>
どうしても練習に気が乗らない日というのはあります。そういうときに「練習をやるべきか?」と考えてはいけません。
そういうときは大抵やりません。
だから、考える前に練習を始めるような仕組みを用意しておいたほうがいいです。
家に帰った瞬間トレーニングを始めたり、遊び道具を全部片づけておくとか、環境を全部そうするように仕向けておきます。
あるいは、家に帰らず外で練習してくるとか。
とにかく考えずに行動する仕組みを作っておくと、トレーニングとかが継続しやすいです。
<文武両道を目指そう>
社会人であれば仕事、学生であれば勉強を頑張ってください。
頑張るというのはPDCAを回すということであり、集中力を100%上げるための仕組みを作るということであり、成果を出すためにできることは全部やるということです。
バドミントンだけ頑張っていると、もろいです。
最近思うのは、仕事がバドミントンのセーフティネットになっているということです。
どういうことかというと、最近は仕事の改善に精を出していて、そこから色々なことを学びました。
その知見とか、改善する習慣は当然バドミントンにも生きてきます。
だから、バドミントンが上手くいかなくても、仕事がうまくいけばそこからバドミントンもいい状態に戻せます。
2つは両輪だと思います。だから、同じように考えて、同じように本気で取り組むべきだと思います。
<すべてはつながっている>
自分の専門は経営学、英語、ITです。
今感じていることはその全部はバドミントンにつながっているということです。
経営学の知見からチーム作り、知識の管理方法を学び、英語の情報を広い、ITからシステム化の方法を学びました。
最近はバドミントンを数学的、幾何学的な記号で処理できないかとか、もっと物理学的に運動を解釈できないか考える日が続いています。
考えるということはこれまでの経験を全部つなげることだと思っています。
経営戦略を学んでいるのなら、どうすれば相手(選手)に勝つかという思考につなげて、英語を学んでいるのならバドミントンの英語のサイトを見に行ってみればどうでしょう?
学門は自分の問題を解決するためにあるのだと思います。だから、自分の全部をバドミントンに活かせないか考えてはどうでしょうか。
<運動と言語>
運動は言語だけで考えていてもだめだと思います。
本来運動とは言語を介さないもので、どちらかといえば幾何学的なイメージのほうが近いと思います。
難しい言い方をしましたが、どちらかといえば立体的なイメージによって身体は動くので、3次元的な思考が正しいです。
なにを言いたいかといえば、頭でどうすればいいのかと考えるだけではダメということです。
左脳というより右脳でイメージをとらえて、そのなかで考えるということが重要だと思います。
運動選手は頭が悪いという人がいますが、それは運動選手が右脳で考えていて、それを非難する人は左脳で考えているからでないかと思います。
立体的に考えれば、運動選手は高度な脳の使い方をしています。ただ、それを言語化する習慣がないだけです。
要するに正しく運動をとらえるときは言語以外の記号も使ったほうがいいということです。
具体的に言えば、できるだけバドミントンを図や表、絵で表現してみたらどうでしょう?
言葉で反省するのではなく、たくさんの絵、グラフ、図、記号、動画などを使ってみたらどうでしょう。
そうすればまだ、バドミントンという運動に近くなります。
あるいはイメージ。鞭みたいに打つ、水みたいに動くとか。
擬音語でもいいですよね。ピタッと止まる。パシっとうつ。びゅんと振る。
コーチはあらゆる技術を言語化できなくてはいけないとはよく言いますが、運動とは本来言語的なものではなく、視覚的で立体的で五感を使うものではないでしょうか。
昔の人は頭ではなく「腹で考える」といいました。
本当に自分の体に寄り添った考え方だと思います。
考えるということについて考えるのであれば、言語だけではなくもっと立体的なものの見方をしたほうがいいのではないでしょうか。
<まとめ>
とりとめのなく書いていきましたが、結論としては「自分で考えるということは重要ではない」ということです。
どちらかといえばいろんな人や情報をつなげる力、再構成する力が重要だと思います。
自分の問題について考えることではなく、解決すること。そのための手段を持っていることが大事です。
なかなか抽象的な話になりましたが、こういうことについて考えるのもたまにはいいんじゃないでしょうか。
考具 [ 加藤昌治 ] |