2017年07月31日

2017年07月21日

非ニコマス系動画紹介 2017.2月中旬〜2017.3月上旬



完結編。次は『サガフロンティア』へ。



非常に懐かしいものをやっている動画。本当にやるやつがいそうでいなかった種目ではある。




完結済。「〆脳勝利回数(51回)」はともかく,「10時間以内でクリア」がミソ。ご存じの通りFF8はイベントが長く,そこでかなりプレイ時間が削らっれるため,この制限によりじっくりカードゲームをやる時間がなくなっていて,低レベルながら強い魔法をジャンクションして突破,というのが難しくなっている。じゃあリミット技無双かというと,プレイ時間が短いと準備に手間をかけられないというジレンマ。FF8の縛りプレーというと,どういう縛りを課してもカード変化で強力魔法をジャンクションするかリミット技無双かのいずれかになりがちなところ,上手いこと縛ってその中間を行ったこの縛りプレーはなかなかすごいと思う。



おまけでブラック・ウィドウを倒しつつ実地試験満点を取るというアルティマニア超えに挑んでいる。



学園十色はこういうの作りやすいBGMだよなぁ。



こういう古参が乗ってきたのは,けもフレブームの特徴かもなぁ。ななひら愛してる。「古参のロリ」の語義矛盾感w



なぜに8bitアレンジはこんなにも人の心に効くのか。みゆはん巡回済。



文明の息吹を感じるMADである。「サーバルにとっては人類の技術を追う旅」というコメントがあって,確かにそうだなぁと。  
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2017年07月18日

『絶対に解けない受験世界史2(大学入試問題問題シリーズ2)』が出ます

無事に2冊めが出そうです。担当編集の方による告知記事はこちら。

(書影は近日中に貼ります!)


以下は1巻同様に,本書の紹介をFAQ形式で。

よくわかる! 『絶対に解けない受験世界史2 ―悪問・難問・奇問・出題ミス集』FAQ

Q.目的や内容は前巻と同じなの?
A.全く同じです。大学入試における悪問や超難問,出題ミスを収録・解説した本です。本気で難しくて解けない問題から,日本語の崩壊した問題,単なる誤植,笑える問題,珍しい問題など,多岐にわたって収録しています。
1.入試問題作成の杜撰さを世の中に訴えること
2.出題ミスの事例を集めて,出題者へ提供すること
3.悪問を笑い飛ばして当時の受験生の無念を供養すること
4.世の中の世界史マニアに難問を提供すること
を主な目的としています。以下,1巻と同じQ&Aは省略。


Q.収録範囲は?
A.前著で2014年の早慶上智・国立大を扱いましたから,それ以外の2014年の私大入試。2015・2016年は全大学,2017年の早慶上智・国公立大までです。2017年のその他私大は(2巻が好調に売れれば)3巻に収録します。


Q.今回はどんな問題が収録されてるの?
A.1巻同様に,帯に入れた例題を掲載しますと,以下のような様子です。

・地図をよく見ると,ペロポネソス半島がペロポネソス島になっている(中央大・法学部,2016年)
・セゴビアの水道橋に対する誤答が熊本県の通潤橋(上智大・2/5実施,2015年)
・指定字数が35字の論述問題なのに,指定語句だけで16字ある(慶應義塾大・商学部,2017年)
・カリフォルニア州に本拠地を置いていないIT企業を問う問題(早稲田大・商学部,2017年)
・ググっても11件しか出てこない(2017年5月26日現在)用語を出題(青山学院大・法学部A方式,2014年)
・最古のジーンズのブランドとして「リーバイス」を問う問題(東京外語大,2017年)

その他ですと,以下のような問題が代表例かと思います。

・まさかのセンター試験からの収録(2015年・2016年)
・ソ連よりの思想信条を取らないと明確には解答が出ない問題(明治大・情報コミュニケーション学部,2016年)
・中華人民共和国側の政治的立場を取るかどうかを問われていると見なされかねない問題(青山学院大・国際政治経済学部・法学部,2015年)
・ここまで出てそうで出ていなかった「宇宙大将軍」こと侯景を出題(明治大・法学部,2014年)
・2016年にもなって教科書からは消えている「モンゴル人第一主義」を論述で出題(福井大,2016年)


Q.前著の社会的影響で悪問が減ったってほんと?
A.前著の影響かどうかはわかりませんが,上智大は目に見えてひどい問題が減っていて,早稲田大も前著の時よりはまともな入試問題になっていると思います。前著も持っている人は見比べて,上智大や早稲田大の減少の様子を観察するという楽しみ方もできると思います。

また,その意味では今回の注目ポイントはMARCHだと思っています。特に明治大と青山学院大はむしろひどくなっている印象です。ブログ版で扱っていないからって批判されていないなんて思ったら大間違いだ,と各大学の担当者には言いたい。上記の例にも挙げましたが,特定の思想信条・政治的立場をとらないと解答が出ない問題は最悪だと思いますよ。


Q.対象読者は?
A.前著の時に「まず歴史好き全般」としつつ「教育問題に関心がある人」として,さらに「あえて対象を絞るのなら,研究職・大学教員の方には読んで欲しいかな」と書いたのですが,実のところ読むのはサブカル層だと思ってました。しかし,Twitterや読書メーター等の感想を拾って読んでいくと,意外にもちゃんと研究者・大学教員の方々,またかなりの数の世界史得意な受験生が読んでいたのには驚きました。引き続き,これらの方々にも届くとよいなと思っています。


Q.今回の書き下ろしの割合は?
A.さすがに前回の書き下ろしが3/4は無理がありました。あれを続けるのは労力的に死にますので,割合は下がっています。ですが字数を数えてみると,今回も半分ちょっとくらいは書き下ろし(書籍で初公開)のようです。


Q.またしてもめちゃくちゃ分厚いんだけど……
A.約410ページあります。大人の購読者は厚さを気にしていない様子でしたが,実は受験生の購読者からは「分厚すぎる」という苦情が散見されていて,担当編集の方に「薄くしませんか?」と持ちかけたんですが,いろいろあってこうなりました。(次があれば,薄くなる努力はします……)


Q.間に日本史版とか現代文版とか挟めなかったの?
A.挟みたかったです。このままでは「大学入試問題問題シリーズ」が世界史だけになってしまいます。他教科・他科目の執筆者急募。私は解答解説にジョークを挟まないと自分が耐えられないのでこういうスタイルですが,別にもっと硬質な文章で書きたい人はそれで構わないと思っていますし,逆に私よりもさらにジョークを挟みながら書きたい人はそれで書けばよいと思っています。また,全大学対象は労力的に無理なのであれば,早慶上智に絞った本にしてしまうのもアリだと思います。

なお,一応の類書として以下のような書籍があるのは見つけましたので,参考までに。(リンク先はAmazon)
・現代文:『哲学の誤読 ―入試現代文で哲学する!』入不二基義著,ちくま新書
・古文:『「無理題」こそ「難題」―大学入試古文問題を検証する』松岡義晃著,東京図書出版会


Q.出版社変わってない?
A.社会評論社からパブリブに変わりました。担当編集の方が独立された関係です。


Q.今回も正誤表を作るの?
A.極力誤植が残っていないことを祈りますが,作ります。この記事に正誤表を作る&重版がかかった際に直す予定ですので,あとでやんわりと教えていただけると幸いです。

  
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2017年07月17日

「元寇」も「鎖国」も悪くないかと

・屈折とは(ニコニコ大百科)
→ 1・2の解説かと思ったら,3の言語学的な意味の解説という。なにゆえこんなに詳しくてわかりやすいのか。ニコニコ大百科,言語学系の記事がかなりガチなものが多いのだが,誰が書いてるんやろと思って調べてみたらEuroP貴方か。


・【巫女服】袖の飾り紐の発祥は?【巫女装束】(麻宮騎亜先生のツイート追加/更にまとめの反響追加)(Togetter)
→ 非常におもしろい文化史。1989〜93年頃に,水干と混ざって誕生したということか……と思わせておいて,江戸時代後期までさかのぼれるという。10年代でも赤い紐無しが駆逐されたわけではないのは,考証をしっかりやった作品というのが半分,デザイン的に無い方が良いというのが半分ではないかと思う。今後も混在しそう。


・ けものはいてものけものはいない—大石昌良『ようこそジャパリパークへ』特別インタビュー(後編)(Nizista (ニジ★スタ) )
→ いろいろとおもしろいインタビューではあるのだが,1点だけ。
>きっとニコ動に上がった『ようこそジャパリパークへ』の仮歌バージョンも耳にした方なら、「えっ、この声って楽曲を作った本人!?」と気づき、点と点が線として繋がった意識を覚え、余計に楽しく聴いてもらえるんじゃないかな? と思っています。
→ これを狙ってやっていたのには驚いた。偶然の出来事だと思っていたので。仮歌とコーラスは見事につながった「点」と「点」であり,すばらしい仕掛けだったと言わざるをえない。


・たまに「レヴィ=ストロース」と書かれた(綴りは忘れました)ジーンズを見かけますが(Yahoo!知恵袋 )
→ これ,実は2巻の作業をしていて,東京外語大が「リーバイス」を聞いていたので収録対象とし,解説を書くためにいろいろ調べていて,見つけてしまった。「これははてな村的に受けそう」と思ってブクマしたら案の定だよ,という展開だったりする。実は2010年5月の質問なので,新しくはない。
→ ちなみに,「リーバイス」の出来は悪かったようだ。現代の若者のうち外語大を受験するような層だと,案外リーバイスよりも哲学者の方のレヴィ=ストロースの方が知名度が高いのかもしれない。


・「聖徳太子」「鎖国」復活へ 指導要領改訂案を修正(朝日新聞)
→ 現在は有料会員限定記事となっているが,記事公開直後は無料会員で全文読めたので,私は全文読んでいると前置きした上で。
→ これ,右翼の攻撃で元に戻された「反動」「国粋主義的」な流れと批判されているのを見るけど,そうでもないような。仮にそうだったとしても,修正としては不適切ではない範囲であると思う。
→ 聖徳太子については以前書いた通りで,それ以上は特に無い。「元寇」は「モンゴル帝国の拡大をイメージしやすいよう、中学校では「モンゴルの襲来(元寇)」に変える予定だった」のを「元寇(モンゴルの襲来)」としただけなので,そもそも大きな変化ではない。というよりも「元寇」だけしか太字になっていないような教科書だったとしても,授業では当然モンゴル帝国の征服活動の一環だったことは触れられなければならず,教科書の用語の表記だけでそれが左右されると考えるほうが問題であろう。唯一「大和朝廷」を「大和政権」に変えるのは合理性があった。朝廷を特別視する意味はないし,高校日本史ではほぼ完全に「大和政権」になっているはずである。これが戻ってしまったのは他のものの巻き添えになってしまった気が。右翼も別にここにはこだわってなかったのであるし。
→ 最後に「鎖国」について。江戸幕府は実際には「四つの口」を持っていて諸外国との交流を完全に閉ざしたわけではない,外交問題を持ち込みそうな国々だけ締め出したのである,という教育に切り替わって,もう少なくとも10年や15年以上は経っているはずである。にもかかわらず,鎖国の語が否定的なイメージを持たれるのは15年以上前に義務教育を受け,その後情報を刷新していない人たちが余りにも多いためであろう。この鎖国騒動は,古臭い語のイメージを消す“ためにする”議論と化していて,生産性がない。
→ 鎖国は,当時の東アジア諸国で広く取られていた「海禁政策」と呼ばれる外交・貿易政策の一種である。国家が国交を結ぶ国を著しく限定し,貿易も強く統制するのであるが,似たようなことは朝鮮王朝も明・清もやっていた。それゆえに,日本特殊論を強化する用語として,つまり海禁と鎖国を別個のものとして扱うのであれば,私は反対だ。しかし,当然具体的な海禁の内容は各国によって差異があり,あくまで日本版の海禁政策を指して「鎖国」と呼称するのであれば,強く反対する理由はない。また,高校段階ならともかく,小中学校で「海禁」の語を出しても混乱するだけであり,より単純に「朝鮮や中国も,鎖国みたいなことをやってたんだよ」ということを教えるのみで十分である。高校日本史・世界史をとった高校生には「海禁」の語を教えてアップグレードすればよいのだ。  
Posted by dg_law at 07:00Comments(0)diary

2017年07月09日

ドラクエ11発売楽しみですね

・魔王は勇者の誕生をどうすれば止められるのか(Togetter)
→ ドラクエ的世界観,あるいはドラクエシリーズ諸作品そのものに限定して考える。参考文献。
→ するとまず,魔物は各々勝手に動いているだけで,魔王に忠誠を誓っている魔物はそう多くないということになる。だから5や6のように人間側に寝返るやつも出てくるし,他のシリーズでも自称「悪いスライムではない」スライムが出てくる。ドラクエ8に至っては自分が封印された状態であり,杖を通してでしか操ることができない。ドルマゲスが現れなかったら,物語自体が始まらないのである。してみると,魔王軍の規模は実はかなり小さく,そもそも戦略的に勇者を殺すということが困難である。強い魔物を満遍なく配置して,レベルが上がる前に勇者を抹殺というのは,完全な支配下に置けていない地域には不可能であろうから,残念ながらドラクエ的世界観では取れない。
→ しかも勇者一行は物語中盤あたりまではただの旅人一行と区別がつかない目立たない存在なので,「勇者一行だけを狙って暗殺」という手段も実のところかなり難しい。しかも多くの作品において,物語中盤までにはルーラが出てくるし,そうでなくともキメラのつばさもあるので,神出鬼没すぎて狙いようもない。
→ あとは魔王の目的にもよるだろう。全人類の抹殺が目的(シドー・デスピサロ型)であれば勇者かそうでないかの区別をつけずに見つけた人類を端から殺していけばよいが,ドラクエ6のライフコッドの村人のような事例もあるので油断はできない。ドラクエは5以降,必ずしも勇者が含まれないパーティーであっても魔王を倒せるのである。魔王の目的が人類の支配である場合,Togetter内にもあるように「善政を敷く」のが正解かもしれないが,限界はあろう。たとえばドラクエ1の竜王とドラクエ3のゾーマなら「世界を闇に閉ざすこと」が目的であるのだから,闇に閉ざされた中での善政と言われてもみたいなところはある。この点やはり狡猾だったのはオルゴ・デミーラである。人類に支配されていると気づかれないように,支配を進めていったのだから。命令に従って動く魔物の数も他のシリーズに比べて段違いに多く,返す返すも惜しかった。
→ というようにもろもろ詰めていくと,ドラクエ諸作品についてはTogetter内のコメント欄でウェポン氏が書いている通り,結論的には割りと仕方がなかったところが多い。付け加えて書くことがあるとすると,ドラクエ2のハーゴンは,ムーンブルクを滅ぼしたところで,以降は人類の攻略よりもシドーの復活儀式を優先させるべきと判断したのではないだろうか。あの儀式,おそらくとんでもなく手間と時間をかけているはずである。また,こうしてみるとドラクエ5・8・9と魔王自身が封印されていて,人類を支配する・滅ぼすスタート地点に立っていない作品も多い。


・総額約301億円!藤田美術館所蔵の中国美術品、記録的な落札結果を達成(Art Annual online)
→ 約4900万ドル(約56億円)で落札された「六龍図」の陳容は南宋の画家で,龍を得意とした。東博所蔵の「五龍図巻」は「伝」が付いているにもかかわらず重要文化財である。してみると,この藤田美術館のものはなぜ重要文化財になっていなかったのか。流出して悲しい気持ちが半分,藤田美術館の改装費用になるなら仕方がないなという気持ちが半分である。
→ なお,ボストン美術館所蔵の陳容の「九龍図巻」であれば,この秋に都美のボストン美術館展で来日する。このボストン美術館展で一番すごい作品はこれだと思うのだけども,一般への知名度の問題かそれほど宣伝の表舞台に立っていない。せめてこのブログの読者には宣伝しておきたい。
→ そういえば藤田美術館,1回くらいしか行ったことがない気が。しかも最後に行ったのは10年単位で前の大昔になるような。リニューアルしたら行こうかな。


・ 洋画のポスター、日本版はデザイン変えすぎ!? 映画配給会社の言い分は……(イーアイデムの地元メディア「ジモコロ」)
→ とにかく人を呼ばないと始まらないというのは収益を出す上で当然の発想であるし,その道のプロが経験則で考えてこういうデザインになるならそれが正解なんだろうな,とは思う。一方で,さすがに映画の趣旨が変わってしまうのはただの詐欺では。配給会社以外誰も得しない方向での改変は避けてほしい。こういう事例も多いわけでな……
・【更新】タイトルと内容が違う…?大ヒット映画の邦題「私たちのアポロ計画」に批判 配給会社に聞く(BuzzFeed)
→ そして案の定こういうことも後で起きたわけで。  
Posted by dg_law at 03:41Comments(4)diary

2017年07月03日

2017上半期ニコマス20選

ポータルwiki

今回も参加します。


総評
ニコマスもとうとう10周年である。あまり元気の無かった半年のように感じるが,デレステのノーマルPVに限れば元気だし,ミリシタも始まるし,来期はまだ元気がありそう。



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Posted by dg_law at 01:55Comments(0)Nicom@s

2017年07月01日

最近読んだもの・買ったもの

・『だがしかし』7巻。コンビニ進出,尾張一(ハジメ)さん登場,ココノツ君の漫画応募と挫折。
→ 前巻でまさかのメインヒロイン失踪からの新編。尾張ハジメさんはやっぱり「終わり始め」さんなんだろうか。ずぼらな大学生(中退)だが,これまでのメインメンバーに比べると多少なりとも社会を知っている(社会性はないけど)という点が新しい。そして巻の最後でほたるさんがさらっと再登場。多分,本格的に町に帰ってくるわけではない雰囲気なので,また当分現れなさそう。


・『リボンの武者』6巻。「大鍋(カルドロン)」の開催告知,各校修行編。
→ ほぼ試合のない谷間の巻。7巻からは当分カルドロンか。トーナメント戦らしいし,割りと長そう。
→ 相変わらずこの漫画の西住みほとダージリンは人間じゃない,少なくとも高校生ではないw。アニメは大洗の生徒目線,本作は主人公二人の主観とすると,確かにそういう風に見える人たちではある。ひるがえって,西住まほやカチューシャはまだ人間ということか。


・『アド・アストラ』11巻。イリパの戦い,イベリア制服完了,スキピオの執政官立候補&当選,任地シチリア,アフリカ上陸,ウティカの戦い。
→ イリパの戦いは例によって脚色がある。相手の空腹を誘う作戦は史実通り。豪雨は本作ではトレビアの戦いの再現としてスキピオが活用した形になっているが,実際にはスキピオの予想外の現象で,これのせいで追撃ができなかったようだ。ただし,描かれているようにトレビアの戦いの再現を狙ったという意味で上手い改変。マシニッサが捕虜になったのは本作の創作だが,これも後の同盟を考えると効果的な改変だったと言えよう。この漫画は先の歴史を知っていると改変の意図がわかりやすくて良い。
→ 西ヌミディア王シュファクスはソフォニスバ欲しさに国運を決めた醜悪な人物として描かれているが,西ヌミディアはそれ以前にマルケルスの誘いでカルタゴに攻め込んだのにローマの支援がなくて撤退したというローマ側の失策が先にあったという事情も一応ある。
→ スキピオの執政官立候補&当選はもう少し長く書くかと思ったらあっさり終わった。まあ,本作の見所は合戦であって政争ではないので。
→ ウティカの戦いにおけるカルタゴ・ヌミディア側の兵力9万3千は間違いなく誇張だが,リウィウスを引いているのでしょうがない。展開自体はほぼ完全に史実通りでこちらはほとんど脚色がないと思われる。脚色しないでも十分ジスコーネがださすぎる戦いだからであろう。次はバグラダスの戦いからか。それとマゴの動きを追ってインスブリアの戦いをやって12巻が終わり,13巻でザマかな。


・『ゴールデンカムイ』9巻。土方歳三一派と杉元たちの合流,夕張脱出,ふた手に分かれて月形へ。白石の脱獄物語。鈴川聖弘の偽アイヌ村。白石が第7師団に捕まる。
→ p.12-13の上段の構図はもろにダ・ヴィンチの「最後の晩餐」。アシㇼパさんがキリストの位置,ペテロが杉元なのはいいとして,ヨハネが白石なのかよw。そして案の定キロランケがユダの配置。ここまでフラグがあるとかえって裏切らないのではないか疑惑も。
→ 尾形がすっかり「おちゃらけた一行になじめない真面目な子」の役にw。
→ 樺戸監獄の典獄は脱走されたのが発覚すると失脚するから,熊岸長庵を死んだ扱いにしていたところ,本当に死んでしまうという。結果的に情報が一致して合流した面々が驚くという場面が10巻にある。熊岸長庵が死に際に言った「贋作師は真作を凌駕してやろうという執念があるので,真作よりも材料からこだわったりする」というのは,こちらの陣営が贋作刺青人皮を見抜く手がかりとなるのか。  
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2017年06月28日

伝説(?)の7つの玉手箱

「浮線綾螺鈿蒔絵手箱」サントリー美術館の玉手箱展に行ってきた。玉手箱とは「玉=宝」の「手箱」であり,手箱とは主に化粧品を収納した中世日本の漆器の小箱のことである。女を化けさせる化粧,しかも化粧は「化生」に通じ,とりわけ髪を扱うものは古来より呪力の源泉であり,日本神話でイザナギが櫛や髪飾りを投げて逃げていること等もその関連である。このことから,化粧道具を封じる玉手箱も呪力が封じられていると考えられてきた。そうすると,浦島太郎が帰り際に与えられたのも,浦島太郎が男性であったにもかかわらず「玉手箱」であり,実際にとんでもない呪いが封印されていたというのも理解しやすいところである。今回の展覧会でも,浦島太郎が持ち帰ったという伝承がある玉手箱の「松梅蒔絵手箱」(重要文化財,枚聞神社所蔵)が展示されていた。ご存じの通り,浦島太郎伝説は日本中にあるが,この玉手箱を信じるなら薩摩が正解ということになる。


さて,有名な茶人が持っていた茶器に箔がついたのと同様,玉手箱でも北条政子が保有していた手箱は後世大いに箔が付いた。そうして生まれたのが北条政子が特に愛用していた手箱が7つあるとする「政子の7つの玉手箱」伝説であるが,往々にしてありがちなことにこの7つは史料によって異同があって確定していない。もっと言えば,そもそも北条政子が7つも手箱を愛用していたかどうか自体が確証のある話ではなく,もっと少ない可能性もあり,いろいろと眉唾な伝承であるが,先の呪力の話といいどうにも中二心をくすぐる話である。

今回の目玉展示の浮線綾螺鈿蒔絵手箱も,「7つ」のうちに挙げられることがある玉手箱の1つである。この玉手箱はサントリー美術館が近年長らく修復作業をしていたもので,今回が久々のお披露目となる。この玉手箱の模様である浮線綾紋は,サントリー美術館の今年のメンバーズクラブ会員証の模様にもなっている(のだが言われて初めて気づいた)。浮線綾紋とは平安貴族が身につけていた衣服などに用いられていたいくつかの有職文様を指し,それ自体が特定の文様を指すわけではない。見ての通り,抽象的な唐草文様である。そして,この浮線綾紋を手箱の文様に用いて螺鈿で表したのが今回の玉手箱ということになる。今回の展覧会は浮線綾螺鈿蒔絵手箱を含めて「7つ」のうちの3点(3点とも国宝)の実物が展示されていた。実物を見てみると,呪いとかそういうのは全く感じなくて,ただの大変螺鈿の綺麗な漆器の箱でしかない。しかし,あえてそういう曰くを込みで見た方が尚更楽しめる展覧会だったと言えるだろうし,各展示のキャプションも気合が入っていて説明がおもしろかった。ただ「美しい」というだけでは帰らせない展覧会は良い展覧会である。

さらに今回の展覧会では,「7つ」の玉手箱の19〜20世紀に作られた模造品も展示されていた。これはこれで大塚国際美術館じみた楽しさがあった。またそれとは別に幕末に製作された普通の漆器が2点展示されていた。これはどういうことかと言えば,この2つの漆器は,「7つ」のうちの1つとされていた「籬菊螺鈿蒔絵手箱」とともに1873年のウィーン万博に出品されていた。うちの国の手工業は昔からすごいし,今でもその伝統が受け継がれているという国威発揚・輸出促進のためである。しかし,展示を終えて復路の1874年3月,それらを輸送した船が伊豆沖で座礁・沈没する。明治政府の必死の捜索の結果,沈没から1年以上経ってからやっと発見された……のがこの2つを含む幕末の作品だけだった。籬菊螺鈿蒔絵手箱は鶴岡八幡宮が所蔵者で,「7つ」伝説に最も近い手箱であったから,痛恨の出来事であった。このエピソードを加味して改めて展示を見ると,この約140年前に引き上げられた2作品と,籬菊螺鈿蒔絵手箱の模造品が並んで展示されていた意味が理解できる。模造品の完成は1999年と意外と新しく,2作品との約140年ぶりの”再会”であるのだ。なお,このエピソードは1年以上海に沈んでいたにもかかわらず破損が少なかったということで,漆器の恐ろしいまでの耐久性アピールになったのが,ケガの功名・不幸中の幸いだったとのことである。実際にその2作品,言われないと「2世紀分の経年劣化かな」としか思われない程度には傷みが少なかった。これらはこれらで,十分に見る価値がある。

ところで,その「籬菊螺鈿蒔絵手箱」,さすがに海の藻屑だろうか。まだ原型をとどめていたら,それはもうさすがに漆器の恐ろしいまでの耐久性の域を超えて,それこそ呪力の域であるような……トレジャーハンターの皆さんはチャレンジしてみてください。
  
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2017年06月27日

雛人形の持つ魔力で役満くらい楽勝……?

・サンゴの天敵「オニヒトデ」を食べてみる(デイリーポータルZ)
→ 平坂さん,いろんな動物の毒を受けすぎて体に耐性ができているのでは……生物学的にはありえないが,この毒耐性っぷりを見るとそうも思えてくる。
→ 自分の考える「食ってみないとわからないだろ」を実践する人の双璧は,山のカメ五郎,海の平坂さんになっている。まあカメさんはサバイバルスキルの一貫として無謀な物も食べている&泳げないから海に行かないというだけなので,食うのが目的で生物学的な好奇心が先立つ平坂さんとはちょっと方向性が違うけども。


・不要になったお雛様で“日常生活”を表現した「福よせ雛」 余生を楽しんでる感が満載すぎると話題に(Togetter)
→ モチーフが平安貴族なので,余生を楽しんでいるというよりかは,現代にタイムスリップして生活をエンジョイしている感がおもしろい。
→ 中にある麻雀,国士無双をあがっている。上家は緑一色聴牌だったので惜しい。この卓,ひょっとして化物だらけですか……?


・鳥取砂丘水たまり「オアシス」巨大化 大雪で地下水増え(毎日新聞)
→ 鳥取砂丘というと以前に旅行で行って大変残念な気分になったところだが,こうなってくるとかえって「緑化しちゃうので早く見に来い」需要を喚起したほうがよいのかも……
→ ところで本ブログの名前は本来稀にしか見られない奇跡的な現象ということで「砂漠の雪」なわけですが,鳥取砂丘に雪が降るのは珍しくも何もない話であるところ,実物を見て「そもそもこれは砂漠ではない」と割り切れるようになったので,見に行ってよかったです。これは謎の行ってよかったポイントだった。
→ ところでもう1つ,この毎日新聞の写真は上手い。見事に鳥取砂丘が大砂漠のように見える。


・青森県田舎館村「田んぼアート」の超絶進化がすごすぎる(デイリーポータルZ)
→ インターネットの風物詩として毎年やっているなという認識はあったけど,並べてみると確かに超絶進化である。元絵の進化もあれば見る角度を考える工夫もあり,稲自体の種類も増えてと,参加する面々の向上心がすごい。機会があったら見に行きたい。


・イスラム法のむち打ち刑、初めて仏教徒に執行 インドネシア(AFPBB)
>2015年にアチェ州法が見直され、シャリアに違反した非イスラム教徒は、国の法制度とシャリアのどちらの下で裁かれるかを選べるようになった。
→ ということで,被告の仏教徒がわざわざシャリーアでの裁きを選んだからこそのむち打ち刑だったようである。自由刑ということは長期間拘束されるということになるから,短時間で終わるむち打ち刑を選んだということであろうか。むち打ち刑が残っているという野蛮さを嘆くべきかどうか悩むところ。  
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2017年06月26日

バベルの塔(完成間近の方)

ピーテル・ブリューゲル《バベルの塔(ボイマンス美術館)》都美のバベルの塔展に行ってきた。バベルの塔の他に,ヒエロニムス・ボスとピーテル・ブリューゲルを二大巨塔として,15〜16世紀のベルギーの美術品が展示されていた。土日に行ったら混雑がひどかったので(入場20分待ち),可能であれば平日に行くのを勧める。

《快楽の園》等で有名な奇想の画家ヒエロニムス・ボスは16世紀前半の当時すでに高名な画家であり,彼の生み出した怪物たちは同時代の画家たちに模倣された。そのせいでボスの作品は真贋の鑑定が難しく,特に真筆と断定されている油彩画は約25作品しかない。フェルメールよりも少ないのである。もっとも,ボスの場合は生前遅筆で作品数が少ないというよりも「断定」できるものが少ないということなので今後増える可能性はある。今回の展示でも「ヒエロニムス・ボスの模倣」となっている作品は多かった。また,ボスは版画作品も多いから油彩画に限定して”少ない”というのもお門違いではあるように思う。それでも今回の展覧会はそのうち2点《聖クリストフォロス》と《放浪者(行商人)》が来ていたので豪華と言えるのだが,この点ではほとんど宣伝されていなかった。ポスター等に登場するのは全てブリューゲルの作品であって,ボスの作品ではなかった。当然ながら日本におけるボスの知名度はブリューゲルにかなり劣る。しかし,鑑賞客の受けは良かったようで,奇抜な怪物たちに魅了された人は多いようだった。これを機会にボスの知名度も上がるとよい。

ピーテル・ブリューゲル(1世)はネーデルラントのルネサンスを代表する画家であり,以後バロック美術の時代までネーデルラントの美術を牽引することになるブリューゲル一族の初代である。今回の展示はバベルの塔を除けばほとんどが版画ではあったものの,油彩画の様子をうかがうことができる版画が多く,良い紹介になっていたと思う。定番の農村の様子を描いたものや,教訓やことわざを描いたものもあった。

さて,《バベルの塔》である。16世紀では当然考古学は存在せず,そもそも西洋人がすんなりイラクまで行ける時代でもなかったから,完全に想像で描くしか無かった。ブリューゲルの《バベルの塔》が偉大なのは,ここまで高層の架空の塔を初めて構想したという点にある。当時のヨーロッパの高層建築というとまだゴシック様式の教会・尖塔しかなかった時代であり,いかに『旧約聖書』に「レンガ造りの天まで届かんばかりの高い塔」と書いてあっても,全く想像がつかなかったはずである。実際に,ブリューゲル以前に描かれたバベルの塔はそれほど高層には見えず,想像もつかないような世界を描く困難さを如実に表していたのであった。ブリューゲルの直前の時期になってやっと,螺旋状の外周を設けている作品が現れてくる。

そうしてブリューゲルの作品を見ると,リアルな建築現場が描かれていることがわかる。画面をよく見ると,塔の麓でレンガを作っている様子,塔の中腹で真っ赤なレンガや真っ白なセメントを高層まで運ぶための滑車が動いている様子や,最上階で木製の足場が組まれている様子などが描かれていて,塔の外では物資を運搬する巨大な船が港に入ってきている。これらの様子は当時の西洋経済の中心地であったアントウェルペンを観察して描かれたものであり,この時代にやっと神話の想像力に人間の技術力が追いついたと言えるのかもしれない。一方,この塔は人間の大きさを基準に計算すると高さは約500mになるそうで,高いには高いが21世紀現在ではそう珍しくもない高さである。なんせ828mもあるブルジュ・ハリファを我々は知っている。16世紀の天才が考えた「神の怒りを買う高さ」をすでに人類は超えているのである。

なお,ブリューゲルの《バベルの塔》は2作品あり,1つは建設開始間もない頃の塔で,こちらはウィーン美術史美術館にある。もう1つは建設がかなり進んだ状態の塔で,ロッテルダムのボイマンス美術館にあり,今回展示されているのはこちらである。画面自体の大きさは前者が後者の約4倍あり,ボイマンス美術館所蔵の方がかなり小さい。しかし,実物を見てみるとわかるが,ボイマンス美術館のものでも十分巨大で迫力がある。してみるとウィーン美術史美術館の方も見てみたくなった。

今回の《バベルの塔》の展示では,特別企画が2つ動いていた。1つは,大友克洋氏がバベルの塔の内部構造を想像して描いたInside Babel。もう1つは東京芸大が主体となって,画面を約3倍に引き伸ばして描いた《バベルの塔》の模写作品である。どちらも会場で展示されていてよくできており,良い企画だったと思う。芸大の作品なんかは本物よりも混んでない&引き伸ばしているおかげで細部がわかりやすくなっているので,じっくり見たいのならお勧めである。もちろん,3倍に引き伸ばされても荒れない元絵の画素の高さもすごい。(油彩画に画素って言葉を使っていいものかどうかは別として)


その他の展示は,ブリューゲルとボスに金がかかりすぎたか層が厚くなかったものの,ヨアヒム・パティニールを持ってきていて「西洋初の風景画家」と紹介していたのはとても良かった。また,オランダが独立する前の,というよりもオランダが世界経済の中心地として隆盛する以前のホラント州の画家たちの作品が紹介されていた。技術レベル等の観点では普通すぎて特にコメントがないが,たとえば江戸幕府開府前の江戸の画家の作品が残っていたらおもしろいだろうなと考えると,作品の価値は理解できるし,こういう形で紹介されるのは貴重である。


  
Posted by dg_law at 12:00Comments(0)TrackBack(0)Museum