2020年04月30日

2020年04月07日

最近読んだもの・買ったもの(『がっこうぐらし!』他)

・『がっこうぐらし!』12巻(完結)。治療の鍵が学園沿いの川の水とわかり,学園に戻って治療,ランダルと交渉に成功,3年後へ。
→ 展開は概ね予想がついていた通り。単行本1巻の巻末についていた資料はちゃんと活かされた。一方で,ランダルがなぜゾンビ化細菌を研究していたのか,ランダルが核兵器を運用しうるほどの軍事力を持ち得たのはなぜか,という辺りの設定は開陳されていない。一応,本作はこれで完全に終わりというわけではないことが巻末の作者コメントで触れられているので,それを期待したい。あとまあ,ランダルの人たちだって川の水くらい調べてるでしょ……とは正直思わないではない。そこのオチの浅さで評価を下げている人が多いようで,読んだ時にそうなるだろうとは思った。
→ 展開が過酷過酷&過酷だったので,最後のユキの「わたしはここにいるよ」はさすがに胸を打った。アニメのOPの歌詞でも「わたしたちはここにいます」というフレーズが強調されていたが,本作のテーマは一貫して存在を主張することの尊さであった。最初期の本作は,以前は学校が楽しくなかったユキが幻覚・妄想を見ていたのがストーリーの主要部分であった。ゾンビは息苦しい学校生活の明らかな比喩であったから,この主張は重い。思春期の悩みは,大人から見れば些細であっても当人には,それこそ世界の命運がかかっているくらいに重い。本作はその悩みが本当に世界の命運につながってしまったので,恋愛要素のないセカイ系だったように思われ,ゾンビを使って個人の悩みと世界の命運をつなげたのは面白い仕掛けだった。

がっこうぐらし! 12 (まんがタイムKR フォワードコミックス)
原作/海法紀光[ニトロプラス] 作画/千葉サドル
芳文社
2020-01-10




・『千葉サドル画集 After School』。
→ 260ページ中220ページが『がっこうぐらし!』。残りはほぼ『アイドルマスターシンデレラガールズ あんさんぶる!』。『がっこうぐらし!』については充実度が高く,コミックス特典のカラー原稿やアニメの円盤の特典絵は当然として,きらファンの絵や,アニメ放映時のTwitterの放送宣伝イラスト,きらら展2018への寄稿絵,実写版の宣伝絵まで入っている。
→ 端から端まで読んで,千葉サドル先生は本当に上手いなという感想しか出てこない。線がはっきりしていて細かくて,色使いがカラフルで,基本的には可愛い寄りなのに不思議と色気があるという特徴からすると,『ごちうさ』のKoi先生に割と近い。ただし,『ごちうさ』は肌の露出を抑えているが,『がっこうぐらし!』は割と容赦なく水着や下着を書くので,よりかわいさと絵の色気のギャップが強く,そこがまた面白い。『がっこうぐらし!』というきらら系の異端児には丁度いい絵柄だったとも言えよう。






・『ゆるキャン△』9巻。伊豆キャン旅行回(後編)。
→ 志摩リンが言った抜け駆け温泉はここ:西伊豆町沢田公園露天風呂。海辺なので海が見えるように,というよりも海に接するように風呂を設計するのが伊豆半島の流儀らしい。
→ 大室山は半月ほど前に行ってきたのだが,強風でリフトが止まっていて,登山も禁止であったので全く入山できず。残念であった。作中の描写の通り,そしてこの9巻の表紙の通り,2月に山焼きをするので見事な禿山になっていた。原作再現ならわさびアイスをここで食うべきであったのだが,さすがに寒かったのと,私は辛いものが苦手なので回避した。現地民の飯田さんが「富士山と大室山は祀られている神様が姉妹なんですよ」と言っていたので,調べてみるとたしかに磐長姫だった。「大室山の山頂で富士山を褒めるとたたりがある」というのもあながち間違いではなさそうである。
→ 伊豆キャンの途中くらいから志摩リンの大垣への苦手意識が薄まってきていて,大垣もそれをわかっていて志摩リンにうざがらみするようになってきているのが見ていて楽しい。志摩リンも孤独が好きなだけで口下手ではなく,内心でツッコミ入れるのは好きなので,むしろ大垣に絡まれると口に出してツッコミを入れられるようになっている。良い傾向だ。というか,その辺の空気の読み方が上手い大垣が偉い。


・『アルテ』12巻。イレーネ(ことカタリナ・デ・アウストリア)の語る狂女王フアナの話,解剖の見学,肖像画の完成,イレーネの出立。
→ イレーネはフアナを見て15歳まで育ったので,愛が深くまっすぐな人間になった。その激しい内面を描くのが肖像画である……という,肖像画はにじみ出る内面を描くもの(であるから後に歴史画に次ぐヒエラルキーを獲得することになる)という西洋美術の定義に沿った話になっていて,9巻の歴史画の話に続いて肖像画の話もヒエラルキーに沿って消化した。本作は本当に西洋美術の基礎の紹介に適した漫画になってきた。
→ イレーネの語りについて。時の教皇ハドリアヌス6世は実際にカルロス1世の家庭教師をやっていたことがあるらしい。このハドリアヌス6世はオランダ出身で,この次の非イタリア人教皇は455年後のヨハネ・パウロ2世である。また,イレーネは自分が近々結婚すると言っているが,本作の年代は1522-23年であるので,彼女が結婚した1525年まではまだちょっと時間がある。本巻の最後で反乱の陰謀ありということで急遽帰国しているが,そこで延期になる理由が語られるのかも。なお,1522-23年頃のカルロス1世はイタリア戦争と宗教改革でそんな反乱の兆しどころではない。ひょっとしたら,史実を多少改変してコムネロスの反乱を持ってくるのかもしれない。  
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2020年04月06日

最近読んだもの・買ったもの

・『乙嫁語り』12巻。スミスの中央アジアへの旅路withアリー・ニコロフスキ・タラス,ペルシアまで。ペルシアでのアニスとシーリーンの様子。
→ スミスが巡礼者の写真をとっていた。『乙嫁語り』は極力イスラーム要素が出てこないように設計されているが,これは文化的に面白いので取り上げたのだろう。前にペルシアではおそらく同じような理屈でイスラーム建築も登場しているので。この時代はちょうど汽船のインド洋航路が整備されていた時代で,沿岸部は随分とメッカ巡礼(ハッジ)に行きやすくなった時代ではあるが,出発がイランの内陸部だとまず汽船が出航しているような港に行くまでが大変で,それほど難易度は下がっていないのだろう。
→ スミスの主要な研究分野が言語調査ということが明かされた。実際には生活・風俗全般調べているが,確かにここまでの描写でも言葉の意味や由来をカルルク等に随分と尋ねていたような気がする。
→ スミスのご実家の様子も初めて描写された。ファーストネームがヘンリーということもやっと判明した事実では。金銭的余裕がある中上流家庭であることはわかっていたが,父親は下院議員のようだ。この父親に対して,ヘンリー・スミスがタラスさんとの結婚を認めさせる説得回はいつかやってくるのだろうか。


・『ゴールデンカムイ』20巻。杉元一行は樺太からの帰還行。登別温泉のトニ一行と第七師団の戦い。鯉登少尉の過去編。尾形逃亡。
→ アシㇼパを戦争に駆り立てたくない杉元は,アシㇼパを抵抗のシンボルとして担ぎ上げたい土方一行から離れて第七師団の側に。そのために金塊の謎を解いたらこの争いから速やかに離脱する。網走監獄編と樺太編を経て,杉元の最終目標が綺麗に定まった。
→ 登別の奥の温泉としてカルルス温泉が取り上げられているが,この名はチェコのカルロヴィ・ヴァリから来ている(ドイツ語名のカールスバートを,当時の日本人がカルルスバードと呼んでいた)。現在では僻地ではあれ,さすがに道路が通っていて普通に行けるっぽい。『ゴールデンカムイ』聖地巡礼ガチ勢でも探訪した人は全然いないようだ。マイナー温泉地だしなぁ。
→ 『ゴールデンカムイ』をここまで読んできた読者ならこの鯉登少年誘拐事件があからさまに狂言誘拐とわかるところで,作者が隠そうともしてないのが面白い。鯉登少尉が真相を知ってどうするのかという展開までは推測できる。そして尾形はもう散々活躍したのにまだ活躍の場が残されているという。アシㇼパを殺人犯にしないためにも一度は蘇生すると思っていたが,逃亡するとは。完全にアシㇼパ・杉元の対極となる人物で,思っていた以上に主要人物になった。


・『ゆるキャン△』8巻。伊豆キャン旅行回(前半)。
→ 10巻も大井川沿い旅行回なので,ここ最近は静岡方面進出が激しい。
→ 志摩リンの祖父,孫が好きすぎて8巻の最初の方はものすごく笑ってしまう。趣味が同じ,というか自分の影響で始めてしまった孫なんてかわいすぎるのは非常によくわかるのだが,わざわざ愛知から山梨までバイクで会いに来る・新品の物を「使ってない」と言って渡す・足りない部品があるとわかるや否やすぐに買いに行く・早起きして孫と一緒に出発,とサービスが良すぎて,かっこつけたがっているのが全く無に帰すぐらい言動がわかりやすい。これが見た目がめちゃくちゃダンディなのだからギャップが。これに比べると志摩リンはまだ素直なんだなぁとか。
→ 志摩家が4人でツーリングする話,めちゃくちゃ読みたい。読みたくない?
→ 志摩リンが「登山者用のキャンプ場は一度泊まってみたいかな」とか言っていたので,これは『ヤマノススメ』とのコラボ不可避ですわ。
→ 初日に入った日帰り温泉はここらしい:堂ヶ島温泉 海辺のかくれ湯 清流。作中だと夕方に入っていたが,実際には立ち寄り湯の場合12-14時西伊豆に行く機会があれば寄ってみたい……いや,これは『ゆるキャン△』の聖地巡礼を主目的にしないと他の行く機会が生じなさそうな地域だ。  
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2020年04月05日

スクエニRPGのおすすめ縛りプレー動画 part2

約3年前。そこで見落としていたものと,この3年で増えたものをピックアップ。例によって,際限がなくなるのと,作るとしたら別に作りたいのでTASは除いている。


〔ドラクエ1〕


ぅな〜氏。全裸縛り。呪文はホイミ系のみ。さすがに1はそれほど難易度が高くなかった。ぅな〜氏の特徴の丁寧な編集が光る。


〔ドラクエ2〕


ぅな〜氏。前半のしんどさに比べて後半は意外とすんなり。そしてシドーよりもハーゴンが強かったりと,ドラクエ2の意外な側面の見えた縛りプレーだった。


〔ドラクエ3〕


アズみ氏。現在連載中。厳しい縛りではなく,割とのんびりした動画。


〔ドラクエ5〕


TT氏。途中で「続きは生配信のみ」となったのである意味未完結。ドラクエ7に続き,重厚な縛りだったので惜しい。途中まででも十分に楽しめる。



〔ドラクエ6〕


ドラクエの中では比較的難易度が高い6だが,ボスが多くて最少戦闘勝利回数でもかなりレベルが上がる&この縛りだと終盤加入のテリーとドランゴが強い&強い装備がイベントやカジノで頻繁に手に入るというわけで,なんとかなってしまった。メガザルのうでわはチート。


〔ドラクエ8〕


ドラクエ8の長さを考えるととんでもない苦行で,実際完結まで長い時間がかかった。OPすり抜けバグによりイベント進行順はぐちゃぐちゃになっているが,存外破綻せずに最後まで行った。武器防具は貧弱ながら,ルーラ→くちぶえ→デスルーラで1歩も歩かずにレベル上げは可能であるため,戦闘にはさして困っていなかった。


〔FF8〕


stay氏。「〆脳勝利回数(51回)」はともかく,「10時間以内でクリア」がミソ。ご存じの通りFF8はイベントが長く,そこでかなりプレイ時間が削らっれるため,この制限によりじっくりカードゲームをやる時間がなくなっていて,低レベルながら強い魔法をジャンクションして突破,というのが難しくなっている。じゃあリミット技無双かというと,プレイ時間が短いと準備に手間をかけられないというジレンマ。FF8の縛りプレーというと,どういう縛りを課してもカード変化で強力魔法をジャンクションするかリミット技無双かのいずれかになりがちなところ,上手いこと縛ってその中間を行ったこの縛りプレーはなかなかすごいと思う。



shellfall氏。「コマンド入力回数」は要するに戦闘中のキャラの行動回数のことで,お察しの通りカウンターを手に入れてからが本番。珍しい縛り方だが,他のFFにも応用できそう。



shellfall氏の最小コマンド入力回数に対して更新案を提案したstay氏による更新動画。有言実行はえらい。




stay氏。FF8でノーダメージかつその他もろもろという縛りプレー。完走済。HPJ(という名の手軽な特殊技)・カードバトル(という名の大量に精製される魔法)・デュエル・ショットも縛っているので,過剰な縛りというように見えて,実にいい塩梅だった。これでオメガまで倒しちゃうんだからお見事。FF8も存外懐が広い。強烈に縛ったらカードバトルするしかないというわけでもないというのが収穫だった。



shellfall氏。現在連載中だが,終わりかかっている。可能な限り鍛えてからストーリーを進めていく縛り。最終的には全員全ステータス255まで鍛えている。



〔ロマサガ2〕


おやつ氏。「30勝」ではなく「30戦」というところがポイントで,ロマサガ2のシステムを考えるとこの辛さがわかる(part1の後半で説明されている)。少ない貴重な戦闘では行動加算点を稼ぐために猛烈に全員で素振り(またはフェイント・パリィ・集気法),という他のゲームでは見られない光景が繰り広げられる。



〔ロマサガ3〕


体術,鍛えるのは大変だけども鍛えるとカウンター,相手の体力を下げる逆一本・ナイアガラバスター,こちらのステータスが上昇するタイガーブレイクと使える技が多くて戦略の幅が広い。最終盤,タイガーブレイクをうちまくるモニカ様が可愛く見えてくること請け合い。



カタリナの小剣縛り一人旅。分身技こそ無いものの,反撃技のマタドールと回復技のナースヒールが強く,盾が持てるのも長所。武器種類固定の一人旅の中では比較的楽だった部類か。これより楽そうだったのは槍くらいだった。槍は武器自体が種類豊富で強いし,反撃技の風車と分身技のラウンドスライサーがあるし,盾を持てないくらいしか欠点がない。少し辛そうだったのは斧で,分身技のヨーヨーがあり盾を持てるが,反撃技がないのが欠点。意外と片手剣縛りの動画が見当たらなかったが,あれは縛るまでもなく楽なので……




棍棒縛り。しかもこの作者はあえてエレンの初期設定を得意武器なし・螢惑の星にして虚弱とした。棍棒は武器攻撃力が最高でも30と弱く高威力で乱発できる技も少なく分身技もない一方で,武器固有技(回復技・即死技・ステータスアップ技)が多く,一応反撃技もあり(発動率が他の反撃技より低い),1戦闘に1回しか使えない必殺技がある(居合抜き・抜刀燕返し)と,かなり特殊な武器であった。結果的に武器欄4つをどう使うか,また仕込み杖の抜きどころはいつかという他には無い工夫が必要になる点が見所。無敵振り逃げ戦法も使えば,真・破壊するものをMAXステータスでなくても撃破可能。棍棒の評価を上げざるを得ない。

残るは大剣のみだが,いまだに完走者がいないという厳しさ。反撃技はあるが弱い,盾が持てない,回復技が無い,分身技が無い,武器のバリエーションがあるわけでもないという弱点だらけであるので,不可能なのかも。



術のみ縛り。ロマサガ3の術は使い勝手が良い一方で攻撃威力が低いので,パーティーバトルの場合は非常に有効だが,一人旅だと火力不足がついて回る。しかも技と違ってレベルが上がっても術は威力がそれほど上昇しないので,終盤ほど辛い。それでも何とか真フォルネウスも破壊するものも倒せた。一応,朱鳥術以外はクリア者がいて,朱鳥術も真フォルネウスまでは撃破しているので,術一人旅もできなくはないっぽい。999の自動回復さえ攻略できればなんとかなるということと,真フォルネウスは破壊するものと同じくらいハードルが高いということは,武器縛りと術のみ縛りでよくわかった。



コマンダーの強さを再確認しつつ,その上での縛りの絶妙さを楽しめる。演出もすばらしい。Part8では「シャール効果」が命名された記念回。




カタリナ主人公で最低戦闘回数25回に,真・四魔貴族の1体を加えた26回勝利戦闘だけで破壊するもの撃破を目指す。part8の「ロマサガ3一人旅の歴史」が熱いし,現在ではこの動画もその歴史の一部となっている。



アズみ氏。基本的に反撃とアイテムだけで攻略していく。装備や技術,パーティー人数等は自由なので難易度はそこまで高くない縛りだが,それでもこんなに楽になるのかという工夫の数々がおもしろかった。ロマサガ3の反撃技はやはり強い。ボストンカウンターは中でも強い。



こちらは正当防衛の縛りに加えてほぼ一人旅で即死技・アイテムの使用もなし。かなり厳しい縛り方だったが,それでもクリアできてしまった。ロマサガ3の柔軟性とプレイヤーの努力は偉大。



アズみ氏。仲間キャラを仲間にして装備をかっぱぐ,通称追い剥ぎ行為だけでアイテムを収集してラスボスまで倒す。主人公は交代技を使ってミューズ。武器も防具もひどいが,どちらかというと防具の方がひどい。謎のバグでフェイタルミラーを無傷でやり過ごす戦法の発見は地味にすごい。



ロマサガ3縛りプレーの隠れた傑作。火星の砂や精霊石の威力と精霊石の入手の難しさを考えるとほとんど正気の沙汰ではないが,見事に真・破壊するものまで完走した。縛りの厳しさとプレーの特異さで言えばもっと伸びていい動画。


〔サガフロ1〕


おやつ氏。メカがいるパーティは強い。アセルス編はしんどそうだった。しかし,全体的にTAKE数が少なめで,意外と何とかなってしまうようだ。


〔サガフロ2〕


パティパティ―氏。サガフロ2をやりこんだプレイヤーでも驚くほどの,斧の不遇っぷりがどんどん明らかになっていく縛りプレー。サガフロ2が(ラスボス以外)比較的ぬるいゲームとはいえ,この縛りは厳しかった。ロマサガ3の大剣とはまた違った厳しさが。



これもパティパティ―氏。補助術の強いサガシリーズでの定番縛り,補助術禁止。サガフロ2の場合はエッグ以外はそこまで厳しくないという。そして,それでも斧縛りの方が厳しそうだった。サガフロ2の斧の存在意義とは。


〔聖剣伝説LOM〕


レベル1のノーフューチャーモード縛り。クリア自体はめちゃくちゃ無理ゲーに見えて,聖剣LOMは武器改造が異様に強いので,武器改造が可能になってからはそこまで苦戦していなかったりする。むしろ実況主のトークと聖剣LOM考察が面白い。  
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2020年04月04日

Microsoft Solitaire Collection:攻略のポイントと感想

Microsoft Solitaire CollectionのAchievement(実績)を全て解除した。

Microsoft_Solitaire_Collection


以下,それぞれのゲームの攻略のポイントと感想。ルールの説明はほとんどしていないので,そこはご容赦いただきたい。

<Klondike>
Classic Solitaireとも呼ばれているように,昔はこれだけを指してSolitaireと呼んでいた。Klondikeという名前はカナダの川の名前で,その流域で起きたゴールドラッシュの際に広まった遊びだからとのこと。個人的には5つのゲームの中では3番目に好き。前は3枚ドローより1枚ドローの方が好きだったが,さすがに長いことやっていると1枚ドローはゲームのパターンが少なくて飽きてきた。3枚ドローの方がゲーム性は高い。

〔上級以上の攻略ポイント〕
・2や3は安易に山札から場札に降ろさない方がいい。場合によっては1スートを徹底して先に消化させることを要求されるが,その時に他のスートの2や3があると邪魔になる。
・フリーセルやスパイダーとは逆に,場札の空きはなるべく作らない方がいい。重要なのは山札から重要なカードを引いた時に降ろせる枠の広さであるので。場札の空きはキングを下ろす時にしか役に立たないし,キングを降ろさないと手が先に進まなくなる状況になる前に,ほとんどの場合,自然と場札に空きはできる。
・3枚ドローのゲームは,他のソリティアの上級以上でもそうだが,鍵になるカードがある。クロンダイクの場合は場札の奥の方に埋まっているか,3枚ドローの2枚めか3枚めにある。それが無いとゲームが途中で進まなくなって手詰まりになる。そのカードをいかに発掘するかが工夫のポイントになるのだが,そもそもそのカードがどれなのかがわかりにくいのがクロンダイクのゲーム性が際立つ点になっていて,逆に言えばそのカードが特定さえできれば,最初からやり直せば攻略できることが多い。詰まる原因になるカードを見つける勘は結局のところ経験による気はする。
・他のゲームにも言えることだが,私はわちゃわちゃ手元を動かしながら正解を探していくのが好きなので,手数制限をされると強い拒否感を覚える。最悪の場合,正解のルートを見つけたらそれを暗記して最初からやり直せばクリアはできるわけだが,そこまでしてゲームをやりたいかと言われると……

〔特殊なAchievement〕
◯金塊探し:新しい山札を引く前に,すでにある山札から5枚以上のカードを処理する。1枚ドローの初級でやってればそのうち勝手にクリアしている。
◯氷の城:12枚あるJ・Q・Kを一度も動かさないままクリアする。これも初級でやってればそのうち勝手にクリアしている。


<Spider Solitaire>
1スートはあまりにもゲーム性が無いのであまり好きではなく,4スートは逆に複雑すぎて上級やエキスパートであっても手順がほとんど固定されていて自由度が無い。2スートが一番面白いと思う。2スートなら,5つのゲームで2番目に好き。2スートの上級ばかりやっていたらレベルが70を越えていた。

〔上級以上の攻略ポイント〕
・クロンダイクとは全く逆で,いかに早く場札の空きを作るかが上級攻略最大の鍵。フリーセルと異なって移動に制限が無いので,空きが1つでもあればカード移動の自由度が一気に高くなる。空きが2つできればエキスパートでも勝ったようなもの。
・5つのゲームでは最も運ゲー要素が高く,詰まったらさっさとやり直すのがよい。この辺は場札が最初から全部見えているフリーセルや,手札が一巡したら大体の全容がわかる他の3つとは様相が全く異なり,山札がどこに降ってくるかで全然難易度が変わってくるスパイダー特有の現象と言えよう。
・エキスパートは非常に性格が悪く,そこにそれだけは落ちてきてほしくないという感じで山札が降ってくるので,逆に裏をかいて手を進めると意外と詰まらないかも。
・クロンダイクでも書いたが,上級やエキスパートではやはり鍵となるカードがあって,たとえばエキスパートだと6とか8とかの特定の数字が最後の山札配給でやっと8枚中3枚降ってくる(残りの5枚も場札の奥深くに眠っている)なんてことがザラにある。これもいかにどれが”手札に無い”か早めに察知して,それが終盤まで配給されないという前提で,見えている場札を整理していくと手詰まりになることが少なくなる。意外と工夫の幅が大きいのがスパイダーの良いところで,これ絶対に無理でしょという状況でも工夫し続けると突破口が見つかったりするので,根気よく考えてみるとよいだろう。
・手数制限はクロンダイク同様に嫌い。クロンダイクやフリーセルはともかく,スパイダーでそれはゲーム性に逆行するだろうとすら思っている。

〔特殊なAchievement〕
◯神秘:場札を一度も動かさないまま,全ての山札を降ろしてからゲームスタートしてクリアする。悪魔みたいな発想の実績である。1スートの初級でも運が悪いと絶対にクリアできないので,純粋な運ゲーに近い。上級をクリアできる腕があるなら,何度か初期配置ガチャを繰り返せばクリアできるパターンが見つかると思う。


<FreeCell>
ソリティアで一番好きなゲームはこれ。なのだけれど,他のソリティアに比べると,トランプのゲームというよりも数独あたりにゲーム性が近いと思われ,トランプとしてはどうなのかと思うルールの数々を思わないではない。Win10になるまでは,ゲーム番号を指定して#1から順にずっとやっていた。高校からの10年以上の蓄積で#1000は完全に越えていたと思うが,何番までやったかは記憶がない。特定のスートの1か2を最後まで場札にとっておいて,最後に一気に自動で消化されるカードの枚数が多いと気持ちいい,というこだわりがあるプレイヤーは多かろうと思う。


〔上級以上の攻略ポイント〕
・スパイダーと同じで,いかに早く場札の空きを作るかが上級攻略最大の鍵。フリーセルは,ゲーム名の通り,左上にあるセルの空きの量で一度に動かせるカードの枚数が変わってくる。場札に空きがあると,セルの空き以上に動かせる枚数が増えるので,セルを埋めてでも場札の空きを作るべきである。たとえば,以下は説明のために適当に作った状況だが,

freecell説明用1


この状態では,セルの空き通り+1の4枚までしか移動できないので,左から4列目の6〜2の5枚を一番右の7に移動させることができない。しかし,右から2列めのハートの4をセルに移して場札を空けると,

freecell説明用2


一度空いている場札に3枚置くことができるので,一度に移動できる枚数が6枚まで増え,前述の移動が可能になる。(なお,その後はスペードの8をハートの9の上に移動,スペードの4の上にセルからダイヤの3を降ろし,最右列のハートの7以下6枚をスペードの8の上に移動……と続くのだが,このゲームについて言ってしまえばダイヤの3はさっさと右上のホームセルに入れてしまって,次いで左から2列目のクローバーのキング以下3枚を空き場札に降ろしてしまい,クローバーの1を解放させる定跡に反した手順の方がおそらく最終的には早い。これは中級なのだが,中級以下だと深く考えずにすぱすぱホームセルに入れていった方が早いことがよくある。)

場札は2つ・セルが2つ空いていれば,ほぼどんな移動でも可能になるので,その状況が作り出せればエキスパートでも勝ったも同然になる。「とりあえず1箇所でも場札を空けて,後のことは空いてから考える」は初級からエキスパートまで共通の鉄則で,このシンプルなノウハウと,じゃあどうやってまず場札を1つ空けるのかの工夫が次第に難解になっていくのがフリーセルの魅力であると思う。

・例によって手数制限は嫌いだが,他のゲームに比べるとマシで,これはそれこそフリーセルの競技性がトランプよりも数独や詰将棋によっているから,手数を減らすのは自然な発想と思われるのが拒否感が薄い原因かもしれない。フリーセルだけは他のトランプのゲームにある「詰まりポイントになる特定のカード」が存在していない,というのも際立つ特徴だろう。


〔特殊なAchievement〕
◯仮出所中:フリーセルを2枠までしか使わずにクリア。初級なら割とすんなりクリアできる。
◯警備勤務:全ての場札が常に7枚以下の状況を保ってクリア。初級が上級並の難易度になる。気をつけないとすぐにルール違反してしまうので注意。数の小さいカードはさっさとホームセルに送ってしまって,場札の総枚数を減らしてしまうとクリアしやすい。


<Pyramid>
5つのゲームの中では4番めに好き。最初は運ゲーに感じて割と嫌いだったのだが,コツをつかんだら上級やエキスパートでもクリアできるようになった。

〔上級以上の攻略ポイント〕
・他のゲームと同様に,鍵になるカードがある。ピラミッドはゲームの性質上それが把握しやすい。注意点は2つで,「場札の中に4枚とも存在している」または「場札の山の頂点付近に2・3枚固まって存在している」。たとえば,

pyramid説明用


この山札なら,中級までと同じやり方で進めていくと,おそらく1が不足して3段目中央のクイーンが消せなくなって詰む。これを回避するためには最下段の一番右の1を,下から2段目右から3番目のクイーンで消すことが必要になり,そのために真っ先に消すべきは真ん中の8とジャック,ということになる……という算段がぱっと見でつけられるようになると,ピラミッドは攻略しやすい。(なお,この後を実際に進めてみたが,やはり1とクイーンは山札同士で消化していかないと最後で詰んだ。)
・山札同士で消化できるならそれに越したことはなく,一段掘れば山札同士で消せそうなら,手前の札は消さずに残しておく方が,多くの場合でうまくいく。例えば上掲の画像なら,それこそ2段目のクイーンは1段目の1で消した方がいいので,手札にクイーンが出てきてもそれで消化しないほうがいい。ただし,必ず毎回そうなるというわけではなく,場合によっては逆に,例えば1の裏の2で1段目中央のジャックを消さないと手詰まりになるからクイーンの発掘を待たないほうがいい,というような状況も発生する。その選択を,山札と手札の順番を見ながら吟味するのがピラミッドのゲーム性だと思う。


〔特殊なAchievement〕
◯念入りな発掘作業:山札のみを使って3枚以上のカードを処理する。初級でやっていれば確実に起きる。
◯宝庫:捨札(手札の右側)の上から3枚のカードを使って山札を処理する。これも適当にやっていればそのうち自然と実績解除可能。


<TriPeaks>
5つのゲームの中では一番嫌い……というか苦手なやつ。デイリーチャレンジでこれがエキスパートだとちょっとやる気が無くなる。コツがつかめそうでつかめていない感じ。

〔上級以上の攻略ポイント〕
・あまり人にアドバイスできる立場ではないのだが,そんなに分岐が多いわけではないので,総当りで削っていくのが良さそう。分岐の重要なポイントになるカードがやはりあって,そのカードを覚えておくと,やり直しの際にあまり悩まずに済むかも。
・当たり前と言えば当たり前なのだが,基本的には手前の段から消していった方がよく,手札から合わせられる候補が多い方が消しやすいので,消せば表向きになる奥のカードの枚数が多いものは優先順位が高い。とはいえ,上級以上だと確率が等価で完全な運ゲーになったり,裏をかかれたりするパターンが増えてきて,やっていてイラッとするのだが……

〔特殊なAchievement〕
◯ピークジャンパー:それぞれの山の頂点を最後の3枚にしてクリアする。初級でやっていればそのうちクリア可能。カード運に強く左右されるので,ねらってのクリアは無理。
◯探検リーダー:山札を引かずに14枚連続で場札を消化する。これは初級ならすぐにクリア可能。
  
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2020年03月30日

感想:『火ノ丸相撲』28巻

・『火ノ丸相撲』28巻(完結)。千秋楽の本割:鬼丸・太郎太刀戦,刃皇・草薙戦。四つ巴の優勝決定戦:刃皇・大包平戦,鬼丸・冴ノ山戦,鬼丸・刃皇戦。エピローグとしての番外編。
→ この巻は終幕までの展開が完成されきっていて,鬼丸優勝の決着から逆算してこうなるだろうと展開が読めてしまうのだけれど,そんな読者の予想なんてどうでもよくなるくらいに展開が美しい。鬼丸の相撲を最も熟知している二人を当てて「火ノ丸相撲」を読者に想起させつつ,最後に刃皇をぶつける。逆に刃皇には全盛期の大和国のコピーをぶつけてそれを凌駕させつつ,新世代の意地により黒星をつけられる。明らかに現実の白鵬を意識したキャラが,白鵬がやった力士による物言いによって行司軍配差し違えの黒星となるという,現実とのクロスオーバーも楽しく,まさにここでしか使えない小技である。大包平戦では横綱の特徴の百面相が想起させられ,最終決戦へ。勝敗の要因は高校生編のラストと同じ,小ささゆえにくぐった死線の量であった。結局のところ,不利な体格がゆえに隙を見逃さない最強の勝負勘を得たというのが火ノ丸相撲の中核であったと言えよう。
→ 改めて書くが,冴ノ山は本当に良いキャラに育ったと思う。鬼丸くらい強くて嫌味のない後輩がいたら先輩としての心情は複雑で,しかしその後輩が挫折したら強い背中を見せて引っ張っていく。同部屋同士で唯一取組がある優勝決定戦では,手の内を知り尽くしているがゆえに鬼丸の勝負感を際立たせる重要な役どころを全うする。最終巻に至って,登場当初の凡庸な関取もまた取り口同様に円熟味のある主要な登場人物に成長した。
→ 最後の鬼丸・刃皇戦を見て思ったのは,鬼丸が真っ向勝負に加えて身につけた小兵力士らしい小技とは要するに足技とたぐりであって,これだけたぐって横に付かれたら実際に非常に面倒だと思う。現実だと炎鵬と照強を足して二で割らない感じで,まあそりゃ上位定着するよねと。それにしても,この火ノ丸相撲が始まった6年前にはどちらも幕内にいなかったことを思うと,ここ2年ほどの小兵旋風の強さにも思いが至る。
→ 最後に細かい話を。まず,冴ノ山は直近3場所計32勝で3場所目に優勝決定戦進出となると,実質33勝扱いだろうが,大関がすでに3人いて席が空いていないのが厳しい(正確には4人いて1人はこの場所に陥落)。実際に作中で1場所見送りになったようだが,細かいところでリアルだ。この4大関体制,大相撲編が始まった当初の3年ほど前なら現実にちゃんと沿っていたのだが,この単行本が出た昨年12月の段階では2大関,この間の春場所に至っては1大関であった。現実の大関の数が不安定すぎる。作中では1年も経っていないので差異が生じてしまった。次に,番付表を見ると童子切は8−5−2での勝ち越しだが,最後の白星が不戦勝。その上,千秋楽では7−7だった金鎧山に負けているので,これは現実だった間違いなく互助会を疑われているw。これは当然ツッコミ待ちのし掛けだろう(実際には童子切がガチ力士だろうから互助会ではないのだろうが)。番付表の話だと,鬼丸は前頭4枚目で13勝優勝なのに,上が詰まっていて来場所小結にすらなれなさそうなのも,それっぽくて良い。最後に番外編の鬼丸表彰式,ちゃんとしいたけ詰め合わせとマカロン詰め合わせを出しているのも好角家には伝わる楽しい演出。最後の最後まで,実に大相撲ファンが喜ぶ,大相撲に対する愛が伝わる漫画であった。川田先生にはまた別の角度から大相撲を描いた作品を期待したい。



  
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2020年03月27日

『岳人』「戦国の山」特集(2017年12月号・2019年12月号)

登山雑誌はたまに買って読んでいるのだけど,面白かったので紹介しておく。モンベルが出している『岳人』の2017年12月号の特集が「戦国の山」で,好評だったがために2019年12月号の特集「続・戦国の山」であった。

まず2017年12月号の方から。取り上げられているのは丹沢・犬越路,小谷城,千草越,岩村城,天目山,天王山,賤ヶ岳,長谷堂城,越前大野城&戌山城,備中松山城,竹田城,坂戸城,岩櫃城,高根城,城井ノ上城,最後に佐々成政のさらさら越え。この他に縄張り図や用語解説,戦国時代の兵糧(干飯・芋茎の縄・兵糧丸等)レシピと実食感想レポートがついている。

賤ヶ岳は『ヤマノススメ』9巻でも登場していた。戦国の山の代表例と言えるかも。中川清秀の墓もあるので,『へうげもの』の聖地でもある。小谷城は麓に名物旅館があって,それも込みで去年に友人と行ってもいいかもという話をしていたが,どうせなら日本百名山にしようという話が出て伊吹山になった。あれはあれで関ヶ原の合戦場が一望できるので戦国時代を感じることができる山であったが,読んでいるとやはり賤ヶ岳や小谷城も行ってみたくなる。安土城とセットで旅程を組んでみるか。本企画を読んだ感じだと,登山として一番面白そうなのは賤ヶ岳だった。よくまあこんなところで戦ったなと思うが,当時は伐採されきった禿山だったらしい。「兵どもが夢の跡」という言葉そのものであった。

高根城はマイナーでは,と思ったらそういえば当時は「おんな城主直虎」が最終盤なのであった。城井ノ上城(きいのこうじょう)も私は全く知らなかったのだが,豊前国の城井氏が所持していた城で,秀吉の九州征伐の後に転封を明示されるも拒否,黒田長政に攻め滅ぼされたとのこと。見るからに堅城で,標高475mにして長大な鎖場があるっぽい。『岳人』編集部としては是非とも紹介したかったのだろう。

最後に一番面白かったのが佐々成政のさらさら越え特集。やはり三国志の登山家といえば馬謖,戦国時代の登山家といえば佐々成政だろう。富山県民の戦国時代のヒーローといえば佐々成政であって,神保氏ではないのだ(それはそれとして『信長の野望』シリーズを入手したらまず神保氏でやって生き残りを図るプレーは富山県民ならやったことがあるはず)。改めて考えても厳冬期の飛騨山脈,標高2500mを超える現在の黒部湖を突っ切るルートはあまりにもストロングスタイルで現実的ではない。やはり信憑性が高いのは飛騨まで南下してから信濃に入る旧安房峠ルートだろうと思う。しかし,伝説ルートはあまりにも夢があるので,腕……もとい脚と装備に自信がある人はチャレンジしてみてください。私は責任を取らない。ちなみに,このコラムを書いた人は「私自身,11月末,年末年始,3月,5月と近隣のエリアで登山したことがある」とあり,さすが『岳人』編集部。

ただし,『岳人』なだけあって実際の登山記録は参考になるものの,歴史家へのインタビューを除けば歴史関係の記述はちょっと心もとない。たとえば,p.29の地図は1582年の勢力図なのに加賀・能登・越中・丹後・丹波(とそれ以西)が信長の勢力圏に入っていないという割と致命的なミスがある。本能寺の変の秀吉犯人説という俗説はありきたりにもほどがあるだろう。せっかくの面白い特集であるので,そこはちゃんと詰めてほしかったところ。


次に2019年12月の「続・戦国の山」。前回が好評であったのでリバイバルしたとのこと。今回取り上げられているのは京都愛宕山(明智越),千草越,安土城,黒井城&八上城,信貴山,尼厳山(川中島),要害山,春日山城,岩櫃城,岩殿城,大和高取城,岩村城,八王子城,松倉城,基肄城。千草越・岩櫃城・岩村城は二回目。後述する千田先生の起用も含め,前回の反省があったのか無かったのかは知らないが,歴史の記述は「続」の方が全般的に堅牢になっていたように思う。それはそれとして,しれっと混じっていたが,基肄城は違くない? これが入るなら鬼ノ城も入れてほしかった気も。

2020年の大河ドラマを意識してか,明智光秀ゆかりの山が多い。八上城では地元の登山者から「来山者の増加を見越して,曲輪の周囲の林を切り倒した」という話を聞いたというエピソードも出てくるが,いや……マイナーすぎて増えないんじゃないですかね……。京都愛宕山は明智光秀が本能寺の変の前日に山頂の白雲寺で開催された連歌会に参加するために登っており,例の「ときは今」の歌を詠んでいる。亀山駅が光秀の居城だった亀山城の目の前であるから,光秀の通った通りの明智越にアタックしやすいが,この明智越の標準タイムは片道4時間55分であるため,なかなか山が深い。眼前が保津峡であるが,掲載された写真を見る限り樹林帯で概ね眺望が死んでるっぽいのはちょっともったいない。なお,白雲寺は廃仏毀釈で滅び,現在は愛宕神社となっている。許すまじ明治政府。

信貴山のページでは『岳人』のライターに千田嘉博先生が同行していた。そう,『真田丸』の考証に参加していた歴史家の一人である。千田嘉博先生が参加していたせいで信貴山だけ明らかに濃く,読み応えがあった。松永久秀悪人説にも千田先生がきっちり掣肘を入れているし,空堀の説明をしている先生の写真がとても楽しそうだ。個人的には「そう,こういうのでいいんだよこういうので」というドンピシャなページであったので,次に「続々」をやるなら毎回学者を連れて行ってほしいところ(学者が登れるかは別問題)。信貴山は朝護孫子寺があるので,東方星蓮船の聖地でもあり,行きたい山リストに元から入っていたのだが,本稿を読んでその思いは強くなった。廃業したケーブルカーの跡がそのまま登山道になっていて,登山としても楽しそう。

岩櫃城は改めて見ると,ここに築城したのは完全に頭がおかしい。ハシゴと鎖場が多く,にもかかわらず堀切(※あえて尾根を切り崩して通りにくくすること)まである。実際に群馬県によるグレーディングでは2Cになっていた。一方,岩櫃城の観光案内のホームページには「鎖やハシゴはあるがビギナー向き」とあった。真田氏の家来,末裔まで含めて基準が狂ってそう。

岩殿山の方はまだマシそうだが,記事中の「山頂付近には厩跡があるが,こんなところに馬を連れてきたとして,何の役に立つのか」「難所に集中力を要し,ずいぶん疲れる山」「私にはとても攻略する気が起きない」という評価の数々がその厳しさを物語っている。しかし,山梨県のグレーディングは1Aになっていた。真相は自分で登って確かめるしかなさそう。岩殿山は『ヤマノススメ』15巻に登場しているので,その聖地でもあり,麓の川にかかっている猿橋が『東方風神録』の3面道中の背景であるので,これまた私的には縁が深く,絶対にいつか登る山リストに入れている。


概ね主要な山城は2回で扱われたような気はするが,まだ七尾城,月山富田城,観音寺城辺りが出てきていないし,そういえば神君伊賀越えもまだ扱われていないので,3回目もできそう。『岳人』スタッフに期待しよう。

岳人 2019年 12 月号 [雑誌]
ネイチュアエンタープライズ
2019-11-15



2017年12月号は好評だったせいか,Amazonでは売り切れだった。モンベルの店舗だと普通にバックナンバーが売っているので,店舗で直接買うのがよいだろう。
  
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2020年03月26日

ニコ動の動画紹介 KAKU-tail THE@TER編



6年ぶりの開催。ミリオンライブ版になったのでチョイスされるアイドルの数が大きく増加した。懐かしの人も,ベテラン勢も,これが初参加の人も。今回から主催がきつねPからファミエリPに交代した。



妖狐PによるOP。ハードルじゃなくて鳥居が用意される伝統を踏襲。



上半期20選選出。「グレイテストショーマン」を使った疑似m@sでKAKU-tailの歴史を振り返り。忘れられぬ疑似m@sの傑作となった。



こんにゃくPが単品を投稿していないのでこちらで。天空橋朋花で曲はBuzyの「鯨」。手描きとダンスPVの組み合わせ。



これでこそ天空橋さんですわ。名前のせいで巻き込まれた琴葉さんかわいそうですw。



ごまP・ゆっぴP・しょじょんPの合作。ふんだんな労働力を注ぎ込んだ映像美。



ノリの良い音ゲーMAD。和風だが不思議と歌織さんに合う。



まさかの百人隊長Pによる手描きMAD。こういうのを見ると,紗代子は律子の系譜だよなと思う。



基本に忠実で見事なお題の消化。ダンスの合わせ方も好き。



2番P復活の人力ボカロ。



良いテーマの消化。  
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2020年03月25日

漫画日本の歴史より信長の野望の攻略本の方が先だったかも

・子どもが読書習慣を身に付けられるよう、ゲームの攻略本を必ず買う(斗比主閲子の姑日記)
→ 我が身を振り返るに,確かに子供の時は攻略本読むの好きだった。原初の読書体験かもしれない。サブストーリーの小説は作品世界を深めてくれたので,『サガフロ1』の裏・解体新書のヒューズ主人公の小説や『サガフロ2』のあの小説等は大好きだった。用語の出典は神話や歴史のとっかかりだったから,簡素なものよりそういう豆知識も入れてるやつの方が良かった。データ集として読むのも面白くて,RPGの場合は子供心に「あー,ここでゲームバランスとってるんだ」とか考えながら武器リストやダンジョンのマップを眺めていた記憶がある。今考えると,他の攻略本はともかく解体新書やアルティマニアの詳しすぎるデータ集は小中学生が読むにはけっこう難物で,苦戦しながら読んでいたと思うし,良い背伸びだった。子供は好きなゲームのためなら背伸びをするのだ。
→ 良い背伸びと言えば,分厚いコーエーのSLGの攻略本も小学生ながらがんばって読んでいて,あれで三国志・戦国時代の登場人物をかなり覚えたという人は私以外にも多かろうと思う。元記事の子たちもマイクラの攻略となるとかなり深いはずだけど,読んでミスを指摘さえしているというのはかなり良い背伸びだと思う。


・都市在住の裕福な家庭が有利な「大学入学共通テスト」に批判、萩生田文科相は「身の丈にあった勝負をすればいい」と切り捨て(BUZZAP!)
→ この発言は問題発言だと思うけど,本件がこの発言を契機に大きく動き始めたのは完全に予想外だった。実は,皆本当はまずいと内心思っていたので舵を切る契機がほしかったところにちょうどよく問題発言が来たというだけのことだったのではないかと思っている。萩生田さんなら安倍さんの側近なので多少の問題発言でクビが飛ぶことはないので,安心して問題発言していただけたのも好材料で,舵を切るにはぎりぎりのタイミングだったというのも良かったのだと思う。
→ 私も今回の入試改革は問題点が多いので,英語4技能民間試験活用と,共通テスト筆記試験導入は中止になってよかったと思う。しかし,実際には諸国公立大学は上手くこれらを回避する方法を用意しているし(東大の「出身高校の発行する適当な証明書があれば民間試験受験は不要」が一番笑った),私大はこんな改革が無くても英語4技能民間試験を大きく活用する方向に動いていたので,そもそもが言うほどの大改革では無かったよな……という感覚のギャップがある。どちらかというと政商ベネッセが一方的に儲かる構図で利益誘導政治という安倍政権の特徴が大学受験産業でもおおっぴらになされるのだな,くらいに思っていた。ベネッセでなくとも塾・予備校産業にとっては書き入れ時であるので受験生を煽りに煽っていたから,実態に乖離して大改革ということになってしまった,というのが真相ではないか。
→ ところで,今回の入試改革とは約6・7年に始まった当初はもっと大規模な改革の予定だったのだが,いろいろあって様々な要素が脱落し,結局そこそこの規模に落ち着いたという経緯がある。最初はベネッセのベの字くらいしか無くて利益誘導の気配は薄く,結果的にそうなった感じが強い。この経緯がけっこう面白いので,もっと情勢が落ち着いたら書きたい(今は状況が悪い)。


・「座席は空いているのに店員が足りないからお客を入れられない…」なぜ豊洲やお台場の商業施設が人手不足に陥るのか?(Togetter)
→ 言われてみるとその通りで,近隣に若者の居住区域や学校が無いので通勤させるしかなく,通勤時間を上乗せで時給を設定する(+交通費を保証する)と相場よりかなり高い人件費になる。それなら観光地価格,または住民の所得水準に合わせた高価格にすればペイできるかもしれないとして,そうもいかないチェーン店は厳しい。だったら雇える人員で回転させるだけさせて長蛇の列を解消しないというのは合理的帰結である。あそこらへんは値段に人件費を転嫁しきれないような飲食店には厳しい立地なのだな。理由がわかってもなお意外だ。  
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2020年03月24日

「表現の不自由展 その後」と表現バッシングについてもう少しだけ

・「あいトリ」騒動は「芸術は自由に見ていい」教育の末路かもしれない(森 功次)(現代ビジネス)
→ すでにあいちトリエンナーレの「表現の不自由展 その後」については一筆書いているが,この記事に引っ掛けてもう少しだけ言及しておきたい。

本記事には同意しかない。本件に限らず,自由な解釈が許されているのと,誤読が許容されているのは全くの別物というのはこの社会に蔓延している間違った観念である。「 批評には正解はないけど間違いはある」というさる方のブコメの言い方も良い。これが芸術性の無いものならばほぼそうならないところ,小説や美術作品になると途端にこうなってしまうのは,本記事のタイトルの通り,学校教育の美術で「自由な鑑賞」が過剰に強調されてきたために社会に広がってしまったものだと思う。

ただし,仮に読解が難しいもの,高い専門性が無いと読み解けないものや文脈が込み入っているものは,それを提供する側に誤読された時の対処方法や覚悟の準備が必要だと思う。これは『宇崎ちゃん』ポスターバッシング事件の時にも述べた通り。実は最近まで本件と『宇崎ちゃん』騒動を表現の自由の点で並べるのは相違点が多すぎるだろうと思っていたのだけど,一般社会に対して難読文脈の理解をどこまで要求してよいかという点で見事に類似するので,一転して比較は正しいという立場に変わった。これらの件で立場を変えている人は,(文脈の中身が違いすぎるので)不誠実だとは思わないが,態度に説明は求められるとは思う。

閑話休題,そういうわけで私はあらゆる場面で誤読する側が悪い,ということになるとは思わない。社会の平均的な知識・興味関心の人にとって,読むのがどうしたって難しいものは世の中にいくらでもある。その上で言えば,この「表現の不自由展 その後」は社会に対して正しい理解を求めていいレベルのもので,すなわち良い意味での浅さしか有しておらず,なんなら『宇崎ちゃん』よりもわかりやすいものだったと思う。にもかかわらずこれだけの誤読が,それもそれが絶対的に正しい解釈であるという思い込みを伴って広がってしまったのは,本記事でも指摘されている通りに現代アートに対する嫌悪が社会にしみついていることであろう。これについては私自身も現代アートは嫌いなのでわかるのだが,企画した側が社会の抱く現代アートに対する嫌悪感をあまりにも軽視していたし,それがナイーブな政治問題と直結した時の想像力が欠如していたということを,やはり指摘しておかなければならない。そこは原則論で通さず,現実に対応するのが主催者の責務であろう。

ちなみに,私が今までの表現バッシング事案で最も「社会に要求していい文脈読解レベルが低いと思われた」「にもかかわらず批判側の誤読がすさまじかった」「誤読を指摘されても開き直りがひどかった」と思ったのはキズナアイバッシング事件で,今振り返ってもあれは自分の中でもインターネット論争史の中でも一つのターニングポイントだったなと思う。  
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