2009年01月31日

出遅れ第6回東方シリーズ人気投票分析

第六回東方シリーズ人気投票の結果について何か書こうと思ってたらえらい出遅れた。すでにおもしろい考察をしているサイトがたくさんある。

特に非常に詳細なデータ分析を行っていたのがここ。いろいろ予想通りだけど、女性の割合は確固として増えてると思う。サンクリや例大祭やコミケで女性を見かけることが本当に多くなった。しかもそういう人たちの中には東方Wikiの存在を知らない人たちも多いだろうし、ライトユーザーまで拡大すればもっと割合は高いかも。

あと気になったのは認知経路。「Youtube・ニコニコ動画で知った」の割合が増えているが、それぞれのアンケート回答数も踏まえて計算してみると増加人数自体も大きく上回っている。このブログのどこかで書いた記憶があるが、東方におけるニコ厨流入はニコニコのそんな初期じゃなくて、07年年末から去年の例大祭くらいまでの時期が最も爆発的であったと思う。スキマツアーとか幻想郷入りとか、ドナルドに代表されるオーエンMADブームが来てからが本番で、実のところそれ以前となるとアレンジの投稿は無数にあったけど、東方「動画」はあまり見ていないし、一昨年の例大祭はそんなに荒れてなかったはず(去年は酷かったけどね)。

キャラ部門ランキングそのものから。躍進が目立ったのはやはり早苗、幽香、妹紅。早苗はいいとして、残りの二人はよくわからない。妹紅は儚月抄でのツンデレ?そんなわけはないか。(それにしても、儚月抄の購読率の低さに泣いた。)文は急落したが、そもそも一押しというよりも万人にとって4〜5位というキャラではあるので、キャラ数が増えればどっかでこういうことになるのは目に見えていた。幽々子、アリスはキャラ数増による自然減の範囲。レミリアと紫はほぼキープしたが、この二人は出番的にも見せ場的にも当然か。特に二人とも緋想天での活躍にインパクトがあった(レミリアのアレを活躍と言ってしまうのはなんだけど)。

全体的に順位が落ちてるのは永遠亭組だが、儚月抄は逆効果だったのか、いやそんなはずはない(購読率的な意味で)。しかし逆に考えると儚月抄以外での出番は確かに少なく、緋想天に出たのは優曇華だけだが、その優曇華も別に目立ってたわけじゃないし見事な落下っぷりを見せている。永琳には一票を投じたし、永遠亭も儚月抄も好きなので少々残念な結果だ。

風神録組では早苗以外に人気が集まらなかった感じ。諏訪子とにとりはもっと伸びると思ってたんだがそうでもなかった。神奈子、雛、椛も含めて全員ほぼキープというのは逆にすごいことかもしれない。秋姉妹が若干上昇していたのには笑った。地霊殿組は私的に意外な順位となった。こいしとお燐はもっと人気があると思っていたし、またしても投票しておいてなんだけどもさとりはこんなに伸びると思ってなかった。緋想天の二人は妥当なところ。天子と衣玖の順位が逆じゃないかとは思ってたけど。


一押しを抜いてみた人がいたので、逆に一押しで順位をつけてみるとどうなるか。

えらい長くなったので別ページ



まず、二位(咲夜)と三位(魔理沙)が入れ替わっているがこれは一票差差なのであまり気にすることではない。いや、ここまで僅差というのはすごいことだと思うけど。早苗さんは一押しを抜いてみたのほうでも判明している通り、一押し票の少なさで三位以内に入れなかった。アリスの一押し票の多さは目を見張るものがある。どちらかというと主人公型の万人受けキャラだと思ってたんだけど、そうでもないらしい。幽々子の一押し数が多いのはなんとなく理解できる。急上昇した妹紅と幽香は逆に一押し票が少ない。これも意外な結果。

パチェ、みょんは一押しが多いがこれは納得できる。いかにもコアなファンがつきそうなキャラ造詣をしている。逆に文は予想通りさらに順位が下がった。その下、中堅順位層を見ていくと、比較的古い作品のキャラほど順位を上げ、新しいキャラほど下げている。驚くべきことに、これは10位以下でかなり通用してしまう。なんと、ルーミアやみすちー、レティでさえ順位を上げ、逆にお燐、お空、さとり、こいし、パルスィ、勇儀、衣玖、天子全員が順位を下げている(ヤマメとキスメは50位以下なので表に載せていないが、やはり順位が下がっている)。これは固定ファンの定着度、ということだろう。

この分類でいくと風神録組は順位を下げているキャラのほうが多いため、まだ固定ファンを獲得するという段階にまで至っていないということだ。前述の通り、早苗も一押し票を除くと咲夜さんと同率三位である。その意味では、映姫と小町も順位を下げているのが興味深い。花映塚でさえもまだ新しい部類、ということなのだろうか。ただし下げ幅は小さく、キャラ数も多くないため確証は無い。


音楽部門についてはまた日を改めて。いつになるかわからないけど。
  

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2009年01月30日

ニコマス:私の選ぶこの一選

ニコマス企画?!僕の誰々さん一選

ルール

・自分のひいきのアイドルさん(複数可)を象徴するに相応しいと確信するアイマスMADを、アイドル一人につき一本だけ紹介すること。


ニコマス十大ニュースに引き続いて参加してみよう。自分のひいきのアイドルとなると千早・春香・雪歩になるわけだけど、思いついちゃったので伊織と律子も。


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2009年01月27日

ある意味最高の縁起物

丙子椒林剣日程ギリギリで恒例の東博初詣に行ってきた。しかし、去年や一昨年に比べて初詣という雰囲気は減ったような気がする。まあ普通の東博。いつも通り二階から巡回して、今回は国宝室が《鳥獣戯画》だったので適当に見てスルー。まず水墨画から、伝狩野元信筆《商山四皓竹林七賢図屏風》。商山四皓は劉邦が皇太子決めで迷っていたとき、この四人の賢人が長男を推したためこちらに決めた、という逸話から。竹林七賢は三国志末期の賢人たちで、「白い目で見られる」の阮籍が最も有名。まあ、誰が誰だかわからなかったんですけどね。初期狩野派らしい漢画風の屏風。

屏風コーナーから海北友雪の《花鳥図屏風》。友雪は友松の息子だそうだが、全く親と画風が違って驚いた。すごくやまと絵っぽい。もう一品、 狩野常信筆《松竹梅図屏風》。こちらは描写が細かく構図がぴっちりしていて、いかにも探幽以後の様式化された狩野派。常信は探幽の甥で、18世紀後半に活躍した。もう一品は土佐光起筆《源氏物語図屏風》が置いてあったが、個人的にはあまり。

二階最後のゾーンで江戸の書画。ここがすごかった。伊藤若冲の《松梅群鶏図屏風》を見たが、やはり若冲は変態変態ド変態(CV:釘宮理恵)であることを再確認。モノクロで群鶏図という発想にも度肝を抜かれたが、にもかかわらず普段通りの緻密は筆遣いに恐れ入る。《洛中洛外図巻》は住吉具慶の代表作だが、これの緻密さもとんでもない。保存状態のよさにも驚かされた。色が鮮やかに残されている。でも重文に指定されていないということは、他にも保存状態の良い作例があるということだろうか。

渡辺崋山筆《十友双雀図》と山本梅逸筆《名花十友図》、これらも良かったが今挙げた作品に比べるとやはりただの南画という気はする。円山応挙筆《雪中老松図》もあったが、これは国宝の《雪松図》を知っていると、どうにもそれの習作という感じがして見劣りしてしまう。

一階に降りて、仏像ゾーンを通り抜け陶磁器、漆器ゾーンへ。ここは昨日サントリー美術館で嫌というほど見たので今日は簡単に。そして刀剣ゾーンへ。ここで吸い込まれそうなほど綺麗に研がれた直刀を発見したので、直刀といえば古代だから、磨きなおしたんだろうけどそれにしても保存状態が良い品なんだな、と思いキャプションを見てみると


丙子椒林剣(国宝)  7世紀


リアルでうぇぇぇぇぇ!?って声出した。
やべぇよ、攻撃力70だよ最強の武器だよ(※ 現実とゲームの区別をつけましょう)。道理で、いろいろと納得が行った。七星剣はぼろぼろだというのに、こっちはこんなに状態が良いのか。あとはまあ近代絵画で有名な安田靫彦筆の《項羽》が展示されていたくらいか。平常展特別展示で福沢諭吉展が開かれていたけど、どうせ近日中に妙心寺展を見に行くはずなので、大相撲の千秋楽が始まる時間が差し迫っていたので今回は止めておいた。ああ、今回も良い物を見た。

死ぬまでに一度でいいから、大名物の井戸茶碗でお茶飲みたいなぁ。作法なんて全然知らないけど。そんな数寄者。画像は屏風関係でいいものが拾えなかったので、丙子椒林剣。謎の輝きをお楽しみください。というか、デジカメ買おうかな。本気で考えるときが来たかも。
  
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2009年01月26日

あの漢泣きなら万人が許す

この結末を予想していた人はほとんどおるまい。勝昭氏の「賞賛するしかない」の言葉通り、ほとんどの相撲ファンの心情はあっけに取られたといったところじゃないだろうか。かく言う私もまさか5%くらいしか朝青龍優勝の可能性はないと思っていた。

朝青龍に関しては、中日まで私(というか大概の相撲ファン)の直感は間違ってなかったと思う。あの相撲内容ではその後崩れても仕方がなかったはずだ。しかし、我々は朝青龍のブランクが長すぎて、彼は尻上がりに調子を上げるタイプだということをすっかり失念していた。というよりも、終盤突然崩れた今年の五月場所や、やはり終盤に二敗している三月場所の記憶が残っていたせいかもしれない。しかし、どうやらあちらのほうが例外だったようだ。九日の日馬富士以降の取組は万全と言わざるをえない。それだけに、千秋楽本割の立会いはあまりにも不用意だった。先に立って尚躊躇するとは全く朝青龍らしくない。やはり、全盛期自体は過去のものなのであろう。本人もそれを自覚しているだろうからこそ、あの「帰ってきました」という涙は深い。「土俵に」というよりも、まさに「朝青龍が」という思いだったのだろう。

逆に白鵬は結果的に14勝はしたものの、把瑠都戦で力を使い果たしたのかその後は悪癖であるバタバタした立会いが増えた。日馬富士にはあっさりと負け、その後は勝ち続けたものの魁皇は腰砕け、琴光喜は不戦勝、千代大海は勇み足、琴欧洲は滑ってつき膝、本割の朝青龍は立会い失敗と相手の自滅ばかりで、十日目以降はどうも調子を落としていたような気がする。特に琴欧洲には負けていてもおかしくはない内容であった。優勝決定戦の朝青龍は差し手争いに負けて左上手がとれず、粘ったものの土俵を割った。やはり、把瑠都に時間をかけすぎて燃え尽きたのが失態であった。いや、把瑠都を褒めるべきなのかもしれないが。

前回(九州場所)のときに「(白鵬に関して)全盛期の朝青龍ほどには、三役陣との力の差が感じられない。横綱としての白鵬はまだまだこれからということか。」と書いたが、今回も全く同様の感想をもった。二場所続けてのことなので、少し自分の中での白鵬評価を下方修正することにする。


全体を見通すと手もきちんと付いていたし、待ったが少なく、まあまあまとまった場所であったと思う。ただし一時期減っていた張り差しが再び増加傾向で、しかもあまり効果的でない場面が多く、良くない兆候である。使うなとは言わないがしっかり見極めてほしい。

両横綱以外の力士に関して。まず大関陣。琴光喜は論外。野菜を食べて痛風を治しましょう。せっかくの新婚場所だったのに。千代大海は余裕ぶっこいて星を売りすぎた、いや邪推はやめておこう。千秋楽の豪栄道戦で見せたCSP(芸術的引き落とし)が毎回できれば、10勝してるはずなんだけどなぁ。少なくとも、魁皇戦と雅山戦は不用意に落とした。魁皇はよく勝ち越したもんだ。星の取り方を見てると、把瑠都や稀勢の里といった実力者にはしっかり負けている一方でそれ以外の下位で取りこぼしていないのが大きい。千代大海戦だけはどうにも不自然だったのだけいただけないが。

琴欧洲、十勝はひとまず褒めておきたいが、今場所の調子ならあと白鵬戦、千代大海戦、安美錦戦の三つはとれていて、優勝争いに絡めたはず。どうにも不運な取組が続いたのはかわいそうだった。前回「もうどこか痛めているというよりも、単に弱くなってそうだ」なんて書いてしまったがそんなことはなく、先場所はやはり単に不調だっただけの模様。日馬富士は前半緊張しすぎていたのだろうが、結局勝ち越したのは立派。来場所こそは優勝争いに絡んでほしい。モンゴル三強時代へ。今後に期待が持てる大関はこの二人しかいない。

把瑠都は前半大関取りかと言われていたが、白鵬戦後に白鵬同様失速した。あれは双方にとって痛手だったようだ。それでも今場所、懐の広さをいかして正面からぶつかった後、まわしの深いところをとってぶん回すという技をすっかりものにしたのは大きい。しかもこの型は変化にも強く弱点が少ないため、この型を強化していけば確実に星は増える。あとは今場所中盤に見せたような崩れ方、精神的な脆さが課題となるか。

Xeこと稀勢の里はこれで念願の関脇である。今場所決して調子が悪かったわけでもないしその強さを見せ付けてはいたのだが、それでも8-7だったのは当たりが真正直すぎたんだろうなと思う。横綱でもないのに横綱相撲を展開しているというべきか。それが彼本来の持ち味ではあるし、それでも8-7になるというのはやはり地力の高さだと思うが、もう少し相手に揺さぶりをかけてもいいかもしれない。しかし、こういう相撲をやってくれる力士は好きである。一時期の精神的な迷いも消えたようだし、新関脇の来場所はいよいよ期待したい。

琴奨菊は完全にがぶり寄りまでの手が上位陣には読まれていて通用しなくなった、負け越しは当然。豊ノ島と安美錦の休場はもったいない。特に豊ノ島は相手が魁皇だったことを考えると、ケガの様子が怖い。嘉風は結果的に負け越したものの善戦が多く、数場所後には期待をつないだ。それに比べると同じ尾車部屋の豪風は、より成績の良い7-8ではあるものの、どこか印象が薄い。豪栄道はあの番付で10勝は立派だが、技能賞かと言われると疑問符がつく。確かに三賞をあげないでは不憫な星数ではあるのだが、まだ敢闘賞のほうがふさわしかった気がする。

高見盛は負け越したがあの番付ならあんなもんだろう。来場所もまた「17時の男」続行のようである。しかし寄り切りの形になればロボパワーは健在であり、色物ではないことは証明した。鶴竜勝ち越しは、応援している身として嬉しい限り。しかし「柴犬」(by実況スレ)とは、良いあだ名だw。逆に朝赤龍はあの番付で負け越しは心配。ケガがあったわけでもなさそうだし、単に技が不発なようで、立会いの変化失敗もあったような覚えがあるし、どうしちゃったんだろう。

栃煌山と豊真将は元の位置に戻っていくだけで大勝は当然。来場所くらいまではまだ大勝できる位置にとどまるだろうが、横綱大関と当たるところまで来たらどうか。山本山は体格通りの持ち味と弱点で、相撲内容はおもしろかった。幕内前半に色を添えた。しかし、あのぶつぶつはあまりにも醜い。千代大海は「お客さんに見せるものだから肌の手入れも含めてプロ」といい、場所前にはエステに行くそうだが、山本山も少しは見習ってほしい。そうそう、岩木山は長男誕生おめ。

しかし、横審がこれからどんな言い訳をするかは見物だなぁ。勝昭氏のように完全敗北を認めたら潔いが、何人かは逆ギレしたり白鵬を叱責したりする人が出てきそうだ。今場所、白鵬は十分がんばったはずなんだけどね。

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2009年01月25日

金・銀・黒。

IHS花入籠目文蒔絵螺鈿書見台新年初の美術鑑賞として、毎年は東博だったのだが今年は日程の都合上サントリー美術館となった。この蒔絵展は京博で開催後、サントリー美術館に巡回してきた。蒔絵だからさすがに展示替え少ないだろうと思っていたら、今回も二回行かないと全部見れないシステムだった。ひどい。漆器陶器大好きなのではあるがさすがに一つの展覧会に赴くほどの情熱は……とか考えていたが、先月の芸術新潮を読んだら行きたくなった。随分と海外から来てたんだね、なかなかすごいじゃないですか。

金銀だけだと華美に過ぎ、漆器だけだと地味すぎる。漆器の黒地に金銀で装飾することで一気にお洒落なアイテムになる、という発想はいかにも日本人的であると思う。つややかな漆黒は見るだけでその質感が伝わってくるし、匂いもガラス越しに伝わってくるようで、五感を刺激される。唐草や秋草の模様、デザインセンスのよさも、いかにも日本人らしい。

さて、今回の展示は漆器の通史的なもので平安時代の極めて貴重な作品から比較的駆け足で近代の作品まで展示してある。私も漆器の歴史はほとんど知らなかったので、これはまともに勉強になった。高台寺蒔絵から南蛮漆器、紅毛漆器への流れは「テストに出るよ!」と言われてもなんとかなりそうだ。そして今回の展示の中で最も気合が入っているのは、そこがまたサントリー美術館らしいのだが、江戸時代にヨーロッパへ輸出された海外向け漆器である。「東西交流」「生活小物」はサントリー美術館の至上命題になっている気がする。

これは私の趣味の問題なのだが、漆器に限定すれば私は大きめの作品のほうが好きなので、そういう意味で今回の展示で好きだ、と明言できるものはあまりなかった(例外として秋草蒔絵鏡台や楼閣山水蒔絵箪笥、等)。しかしそれでも珍品が多く、博物館的には十分楽しめた。八角壷の漆器なんて珍妙なものはなかなかお目にかかれない気がする。特に記憶に残ったのは、漆器の洋櫃。マジでドラクエの宝箱ですやん。あれ絶対中に「はがねのつるぎ」とか入ってるよ。珍品中の珍品といえば、漆器の書見台(写真)。IHSの文字が文様的で意外と浮いてない。いかにも大航海時代な品であった。

次は螺鈿特集とかでやらないかな。
  
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2009年01月23日

東方M@sterについて語ってみる

ニコニコ三大ジャンルと言われつつも、アイマスとボカロの交流はどんどん深まってるのに、東方とのかかわりは薄いまま。先週の週マスでPICK UPされたと思ったら何かアンチは発生するわで、何とも。

理由は住民が重なってないとか考えられるけど(東方のファン層は幅広いもののニコニコにいるのは若手、アイマスは逆に全体的におっさんだらけで40代でも珍しくない)、ニコニコに定着した時期としてもアイマスはγから盛んだったが、東方は今のニコ東方的な形になったのは少なくとも08年になってからで、そこにも断絶がありそうな気がする。それでも、私的には意外なほどかかわりがないと思う。というか、東方民にアイマス嫌いが多すぎると思うのだが気のせいか。逆にアイマス民の一部にも東方嫌いはいるみたいだし。なんでだろう。

しかしまあそれでは寂しいので、何か記事を書こうかと思ってタグ検索したら、180件もあった。もっと少ないかと思っていた。しかしこの直感はあながち間違っていなかったようで、全体的に再生数が伸びていない。上のほうに来るのはやはりIOSYS系の曲で、まあニコニコ的に有名なのが来るよね、とは思うけどこれは東方信者でなくても見ているわけで、かぶってるファン層の数の参考にはならない。

東方原曲が踊りにくいのかもしれない。ニコマスだとインスト自体が少ない。でも、ダンスで意味を表現することに長けたニコマスにとって、東方原曲は使いやすい題材ではあると思う。アレンジなら尚更で、というよりもアレンジなら歌詞がついている。あとはやはり前提知識の問題か。IOSYSやC&Cのアレンジクラスになれば知ってるが、それ以外となるとやはり普段から東方ファンである人じゃないと知らない。そうなると、やはり再生数は伸びない。

以下、好きな作品についてつらつらと。単に東方曲やアレンジを使って踊らせるのもいいけれど、やはり東方の世界観を表現したもののほうが望ましい。もちろん、アイマス側の世界観を表現したものや、単純にシンクロ重視で踊っているものでもかまわないのだが、そういったものは東方曲でなくてもできてしまうわけで。ここで紹介するのも、なるべく東方側の色が強いものにしたい。

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2009年01月20日

アイマス新年会 感想

ようやく見終わった。都合三日かかった。27時間完走した人は本当にお疲れ様でした。運営も、相変わらずのノーミスというのには本当に頭が下がる。以下、比較的簡易な感想。

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2009年01月19日

東方、大相撲、アイマスにて。

今日も雑多な雑談ですよ、と。タイトル語呂悪すぎ。


・第六回東方人気投票について。キャラはわかりやすく、レミリアに2票。残りの1×4はパチェ、永琳まではさくっと決まって、あとはある意味同率四位・五位がたくさんいるだけなので、新作優遇ということでお燐とさとりに投票。意外と悩まなかった。ネタでゲッショーのあほ姉とよっちゃんに入れようかと思ったけど、まあそこはこめが入れてくれると信じて。もう一人の東方友達であり同時に投票を済ませた燕は、全く同じ発想で2票のレミリア以外は全員旧作にしたそうだ。

曲のほうは大分迷った。東方で一番好きな曲は「千年幻想郷」で、次点はどうしても「幽雅に咲かせ、墨染の桜」になるのだが、あとのは本当に同列で決めがたい。そこでキャラ投票と同様、何かしらの優遇措置をとろうと思い、なるべく道中曲に投票してみることにした。その結果として残り五曲は「ヴォヤージュ1969」「神々の恋した幻想郷」「Demystify Feast」「懐かしき東方の血」「夢消失」。燕さんに言われたが、「夢消失」は別に某東方電気笛のせいではなくて、前から好きだったんで。どちらかと言えば、電気笛でまさかの登場により小躍りした側。

泣く泣く切ったのは「少女の見た日本の原風景」「遠野幻想物語」「広有射怪鳥事」「天空のグリニッジ」。特に「天空のグリニッジ」は投票し終わってから気づいた。CDオリジナルのことをすっかり忘れていた。旧作だと「Reincarnation」「Strawberry Crisis!!」は捨てがたいけど、基本的に旧作の曲や、その派生系で紅魔郷や地霊殿の曲は好きじゃない。実は「ラクトガール」や「セプテット」はそこまで好きな曲でもない。キャラをよく表した曲ではあると思うけど。まあ、東方原曲について語りだすとまた長くなりそうなので、また時間のあるときにでも。


・連日報告となりつつある大相撲だが、昨日(18日)の大相撲はデーモン小暮閣下と、さらなるサプライズゲストとして元横綱の輪島が解説で登場した。輪島って大相撲から追放されていたのでは……これはNHK一つの快挙かもしれないし、単に仲の悪かった(らしい)北の湖が相撲協会会長を退いたので、復帰しやすくなったというだけかもしれない。

輪島関とデーモン小暮閣下





お二人の解説は、いろんな意味でおもしろかった。岩佐アナも閣下もそろって相撲ヲタで、特に閣下は輪島関について本人よりも詳しく知っていたので大いに盛り上がった。輪島関は普段最近の大相撲本場所を観戦していないらしく新鮮な意見が飛び出し、それを閣下と岩佐アナが豊富な知識で上手にフォローするという展開がうまく回った。途中、白鵬の相撲が元横綱の誰に似ているかという話で、輪島関が「貴乃花」と言ったときに、岩佐アナが「それは息子のほうですよね?」と尋ねたという、知っている人が聞いたらブラックジョークにしか聞こえない危険球を放ったため、実況スレは騒然となった。二代目のほうですか、と聞けば問題なかったのに。(気になる人は適当なキーワードを拾ってぐぐってください)

朝青龍効果と閣下効果があいまって、普段3〜4スレしか消費しない実況スレが、今日だけで10スレも進んだ。お前らレス打ってないでテレビ見ろ。また、本日の日馬富士・魁皇戦について、互助会なのではないかという疑いがうずまいているようだが、自分の意見ではあれはガチ。なぜなら、魁皇はすでに2敗していて星を売っている余裕が無いから。近年の魁皇はときどきああいう腰砕けを、かなり格下の相手に起こすことがあるから。あれを疑ってたら、なんでも八百長に見えると思う。


・アイマス新年会は案の定一日では見切れず、結局8時間差でスタートした視聴は風呂や飯、ブログを書く時間や新聞タイムなどもあって、10時間に広がり初日を終えた。あとは明日、月曜日に見るつもりだが、企業説明会があるのに時間がとれるんでしょうか。無理ですね、わかります。完走するのはいつなんだろう。

  
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2009年01月18日

今回は徹夜できませんでした

大学に飯食いに行こうとしたらセンター試験で使われてた。食堂は開いてたが、昼飯時を外して行って座ったら、両側リクルートスーツでOB訪問(というのかこれは?)で萎えた。

そんな僕は今日は就活を忘れてアイマス新年会にしゃれこみたかったんだが、さすがに生活リズムを今崩すわけにはいかないので、だいぶ遅れてスタートすることになった。徐々に追いつき筒はあるが、いまだ八時間差であり、しかもこの後大相撲タイムが待っていて、それが終わったらニコニコがエコノミータイムに入るため結局今日中には追いつかない。明日にかなり(というか三分の一くらい)もし越すことになりそうだ。

ちらっと大相撲について。日馬富士は勝ち越せると思う。ここからが彼の本領発揮。朝青龍は逆にそろそろ負け始める、と予言。初日二日目を見る限り、前半無敗で勝ち越しするのは十分想定の範囲内だった。問題は、今場所の調子の良い琴欧洲と千代大海戦はかなり危うい。把瑠都戦は一つの試金石。その把瑠都は二桁勝てる公算が出てきてしまったわけだが、これで12-3なんてことになれば来場所は大関取りになる。どうすんのよ。まあ無理だとは思うけど。(メンタルがそこまで強い力士じゃないので)

ついでに、一記事立てるまでもないので競馬ネタから、今年の最優秀牝馬、年度代表馬がウォッカなのはまあいいとして、ダスカに特別賞が与えられていないのはどう考えても不当。確かに今年は出走数少なかったが、37年ぶりの牝馬の有馬記念制覇に今年で12戦連続連帯率100%も長い競馬史で単独3位やぞ……ちなみに連続連帯記録1位はシンザンの19、2位はビワハヤヒデの15で、牝馬に限れば1位。生涯連帯率100%は8戦以上の重賞馬に限ればシンザン、エルコンドルパサー、ミホノブルボンとダイワスカーレットしかおらず、現役馬では当然彼女のみ。現時点ですでに空前絶後の歴史的名牝だと思うんだけど、どうもウォッカに隠れて評価されていない気がするなぁ。というか、ウォッカに何度か負けてるのが尾を引いてるのか。対ウォッカ戦績もそこまで悪くないんだが。


以下はKAKU-tailvsMSC用のメモ。ネタバレ注意。
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2009年01月16日

さかあがりハリケーン レビュー

まるねこラインと言われつつ、ライターが木緒なちという若干の変化球的な本作。評価としても、どうしてもまるねこラインの過去作品、とりわけ『こんにゃく』とはどうしても比較されることが多い、というか、木緒さんががんばって似せている部分も多いので、どうにも比べざるをえない。

シナリオとしては至って普通の学園物。『パルフェ』の里伽子シナリオ以外くらいの水準と考えてくれればいい。共通ルートの学園祭開催まではちょっと強引なところもないわけではなくて、少し減点。特に、高校時代の三分の一くらいを高校の学園祭につぎ込んだ自分としては、物言いの付くところは多い。また、共通ルートの前半(OPムービーまで)が一番丸戸に似ている部分なので、丸戸嫌いだと逆に鼻に付くところがあるかもしれない(まあ木緒嫌いという人はいないと思うけど)。

日常会話のレベルは割と高く、比較的笑える。パロディネタが的確で適度なので、良いテンポを作り出す一環になっている。戯画作品からのパロディは当然として、「こいびとどうしですることすこしずつ」って、SiriusはVA系列じゃないかw、とか。エロゲ以外からのパロディも多いが、わかりやすいネタが多く困ることはないと思う。

そういえば、言われているほど主人公は空気ではない。かといって、ハリケーンと呼べるほど暴れているわけでもない。『こんにゃく』の航に比べるとインパクトは薄いし、『パルフェ』の仁ほどの男気も無い。どっちかといえば普通のエロゲの主人公だが、決してへたれてはないので合格。むしろ周りのヒロインがハリケーン、というのには同感。皆、キャラ立ってるよなぁ。はずれや空気が全くいない(あ、でもヤスは正直微妙だったかも)。エロゲ批評空間で見た「台風の真ん中は目だから無風」「台風は周囲ほど強風」というコメントは的を射ている。特にハルと涼は暴風、手が付けられません。また、見方によっては主人公が成長した結果無風化した、と言えなくもない。ネタバレになるので、以下は続きで。

ねこにゃんの原画レベルが『こんにゃく』から飛躍的に上昇していてよかった。立ち絵の破壊力がとんでもない。一人につき一つは狙ってる立ち絵がある。バリエーションも豊富。ゆかりルートラストの某シーンでは、一枚絵を使わず立ち絵で表現したところに思わず喝采の拍手。確かにあそこは、あの立ち絵じゃないとダメだ。ねこにゃんは『ショコラ』『パルフェ』の頃は正直不安になる絵も多かったけど、これなら安心できる。今なら胸を張ってねこにゃん最高と叫べる。本人曰く「アイマス曲聞いて4年間がんばった」というのも報われる。

Hシーンが一人二回ほどで比較的濃い。和姦好きなら使えると思う。システムはいつもの戯画システムで文句の付けようがない。本当に使いやすい。BGMはいつも通りのまるねこライン。目立ちはしないけど雰囲気は出てる。戯画システムの、切り替わるたびにBGM曲名が表示されるのはけっこう気に入ってる。OPEDともに名曲。意外とEDがいい、これはスルメ曲。

声優は知っての通り、むちゃくちゃ豪華で全員上手。もう水○かおりとミ○ゴスとチアキ○グと風音に田口宏子なんて、メンタンピン三色ドラ5くらいツボを突いている(私的にドラ5がミン○ス)。ただ、○橋さんの声がちょっと出しづらそうなのが気になった。もっと涼宮茜よりの雰囲気でもよかったと思う。○ンゴスはHシーンうまくなったな。


攻略は奈都希をトップバッターに。柚→ハルと涼→ゆかりは固定で、逆をやるとさっぱりわからない伏線ともったいないネタバレがある場合がある。どっちの二人を先にやるかは自由。自分は奈都希→柚→ハル→涼→ゆかり、の順番で攻略。特に難しい選択肢はなし。ただし、簡単すぎてバッドエンドの入口が見当たらないかも。共通ルートの話の都合上、シナリオ全体としては奈都希がメインヒロインということになるだろうか。しかしそこはまるねこラインらしいというか、もう一つの重大な伏線はやはり香奈子・里伽子の路線たる涼ではあるのだが。時間は共通ルートで5時間ほど、個別に入ってからは2時間はかからないくらい。


個別ルートの感想。珍しくネタバレはしてないので隠さない。

奈都希……はいはいツンデレツンデレ。金髪ツインテールの呪いともいう。業界で粗製濫造されている中、良質ではあったと思う。見飽きたって思えなかったから。個別ルート終盤のデレっぷりが危険。時期がもう少し早ければ、『いちゃラブ大全』に収録されていても全然おかしくなかった。○アキングはこういう演技もできるんだなぁ。

柚……『こんにゃく』の海巳と『FORTUNE ARTERIAL』の陽菜を足して二で割った子。いや、後者は単に田口宏子分かもしれないけど。なんていうか……何この、俺のドS成分がふつふつと湧き出てくる子は。ゆじゅでじゅかわいいよゆじゅでじゅ。最近では珍しい、食べ物でキャラ立てしてる子で、キーアイテムは食パン。シナリオはぶっちゃけ何も起きない。

ハル……『こんにゃく』の茜ポジション。しかし、まさかこの展開が来るとはwwwwwww、いや、ありだと思うよ個人的にはこういうのも。奈都希ルートを先にやっておくと、親世代の心境が理解できてなお良い。某シーンでは、私も吟次にもらい泣き漢泣きですよ。

涼……クールなんだけどお茶目。こういう子大好き。どうも、ミンゴス(あ、言っちゃった)が好きというよりも、好きなキャラのCVがミンゴスという気はする。結果、相乗効果で俺の嫁、と。まるねこラインで考えるなら、キャラが香奈子さんにだぶらないこともない。シナリオはオーソドックスな。クールな子っていうとこういうシナリオでしょう。

ゆかり……お姉ちゃん系幼馴染。S成分は中の人分か?wシナリオは涼が終わってれば大体想像がつくと思う。ネタバレなしではあんまり語るところはないかなぁ。


んで、以下はネタバレ。
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2009年01月15日

ルカはどうなるのだろうか

今頃先月号の『ユリイカ 初音ミク特集号』を読み終えた。ユリイカは時々全力で暴走するから困る。さすがに取り上げているブログが多く、非常に出遅れた感はあるのだが気にしない。

一番おもしろかったのは対談。なので、そこを中心に話をしたい。対談の前半は同人音楽の簡潔な歴史について。一応ムネオハウスMADやFlashムービー、ビートマニア時代は知ってるけど、同人音楽自体にはそれほど詳しくない自分としては、「あーあるある」から「そうだったんだ」まで。BM98のアンパンマンMADやサザエさんMADを思い出すに、オタクの習性って変わってないなと思う。いや、中の人が入れ替わってないだけか?同じ同人音楽史まとめなら、本号の冨田明宏さんのまとめのほうもおもしろい。

対談出てきた、今の(第四世代オタク的な)ニコニコで受ける電波ソングのノリって似非クラブミュージックである、というのは前から思ってた。だから「クラブには行きたくないけどもクラブののりは味わいたいというオタクの人たちに受けた」(ちなみにp.148)という表現がすごくしっくりと来た。いや、私も好きですよそういうの。トカチゴールド行きたかったですよ。

もう一つその対談から。人力ボーカロイドや暴歌ロイドってこういう人たち(プロ)からも評価されてるんだ、というので驚いた。一人のニコ厨にはネタにしか見えないんだけど、そういうところからアイデアを拾って新しい文化が生まれてくのかなぁ。


それ以外の部分だと、まずさきほど書いたとおり冨田明宏さんの同人音楽史がおもしろかった。次に、『がくっぽいど』についてGacktが語ってて笑った。短かったけど、意外とノリノリだったことは伝わってきた。『がくっぽいど』の名付け親がGackt自身だったとは。

どこに書いてあったか忘れたけど、複数人がミクも最初、そのアンドロイド性、非人間性を歌った自己言及的な歌から始まって、ある程度広まってから恋愛曲が出てきた、と書いていた。私の実感としてもそんな感じ。その中の一人が、Perfume何かも似たような流れでヒットしたと書いていた。そこからアイマスの話にもつなげられそう。Perfum@sが無かったら今のMADPVブームは無かっただろうし、Perfumeとアイマスの無機質性が似ている、というのはこのブログでも何度か書いた。

平沢進さんがインタビューを受けていることにも驚いたけど、「女声の100%所有という欲求が見え隠れする」と指摘していた。その通りというか、「少女性」との同一化は、オタクの抱える一つの至上命題じゃないかと思う。そこから対象化して絵の中に閉じ込めるか、自分が女装する方向に向かうかは人それぞれだけれども。

最後の有村悠さんとUG-Kさんのボカロファミリーまとめがさすがに的確だった。にもかかわらずヒットパレードにメルトが入ってない無いのは、選者の二人が嫌いだったんだろうね。



ここからは、一人の東方信者の……なんだろうね。愚痴ではないつもりなんだけど。

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2009年01月13日

第132回『崇高の美学』桑島秀樹著、講談社選書メチエ

相変わらず講談社メチエは良い仕事すると思う。自分くらいの層が欲しいと思う知識のレベルとジャンルを、よく把握している。ちょっと気合入れてブックレビューを書く。

本書はタイトルの通り、崇高概念に関する雑多な議論をすっきりとまとめたものである。序論は本論での方向性の提示。第一章で美学における崇高概念の歴史を概観し、第二章でその中からカントとバークを取り出し、第三章でその後の崇高に関する美学と近代登山について論じ、第四章では現代的な「アメリカ的崇高」と関連する諸問題を具体的に論じている。

本書でもっとも有用だった部分は第二章で、バークとカントの崇高論の違いを非常に簡潔に書かれている。そこら辺だけなら美学をかなり詳しくやった自信のある自分から見ても、「専門家がしっかりと書けばこれだけ簡潔に書けるものなんだ」と深く感じ入った。哲学はわかるけど美学はさっぱり、という人にさえ勧めることができる。哲学の分家ながら、哲学とは若干毛色の違った学問であることを感じていただけるんじゃないかと思う。

私的なハイライトとしても、やはり二章末尾である。以前ブックレビューで紹介した『美と崇高の彼方へ』でも同じことを書いているが、やはり桑島さんもカント哲学に暗示される「理性信仰」や性善説に基づく「倫理的抜け道」が本論で不自然に顔を見せてくることを提示していた。加えてその結果、自律的な美学としてのカント美学は逆に使いづらいのではないか、バークの崇高論や、それを引き継いだリオタールの理論こそ今見直されるべきではないかということを提唱し、新しい概念へと話を進めていく。この理論展開が本書で最もおもしろかった。特にバークは読んでてもリオタールには全くの無知に近い自分にとっては、かなり新鮮だった。「表象不可能性」「歴史的崇高」(こちらはベレル・ラングの言葉)というタームは興味深い。あとで個別の記事に何か書くかもしれない。ベレル・ラングは翻訳が出ていないようだが、誰か出してくれないものか。

第三章の副題「カントの人倫的崇高を迂回する道」が、本書の示す道を最もよく表している。その第三章では議論を深めるためにジンメルとラスキンという二人の巨大な美学者(美術史家)紹介されている。ラスキンの『近代画家論』はターナーを「ロマン主義」(それも古典主義から抽象主義へ向かう進歩史観としての「主義」)に位置づけた、という評価が主流であるが、本書はそれを単純すぎた理解として批判して、別の要素を抽出し崇高論に生かしている。(ただし、ラスキンの近代主義的な態度自体は否定していないようだ。)

第四章で気になった点は、アメリカ的崇高の原点としてハドソン・リヴァー派がきちんと出てきたこと。これを落として現代のテクノロジーを基盤とするアメリカだけを論じていたら、それは片手落ちで、失礼な言い方になるが正直幻滅するところだった。その後のアメリカ的崇高への批判とヒロシマ原爆の話は、義務的な内容が三章までで終わっているので、やりたい内容を書いた、という印象。原爆ドームを美学的に切る話は、そのまま記念碑を美学的にどう評価するべきかという議題にも通じる。やはり、「歴史的崇高」という言葉はおもしろい。


ケチをつけるとすれば、両方とも内容がどうこうというものではないにせよ、二点。まず序論で「石ころへのオマージュ」として、一つの石ころから導入したのはよかったが、そこから思想家の文章をぽんぽんと引用しまくるのは少々突飛な印象を受けた。場合によっては第一章から読んでいって第三章まで読み終えて、おおよそ第四章での展開が見えたところで序章を読み直すとわかりやすいかもしれない。

次に、どうせ第一章冒頭で中国の山岳観を簡潔に提示しているのなら、第三章辺りでそれをもう一度深めに再提示しておいたほうが議論は深くなった。正直に言って、近代西欧美学だけを持ち出して日本の近代登山、森林逍遥の話をされても少々不自然に聞こえた。感覚で言わさせてもらえば、第三章の後半が一番筆の乗りが悪かったように思えた。


崇高の美学 (講談社選書メチエ)崇高の美学 (講談社選書メチエ)
著者:桑島 秀樹
販売元:講談社
発売日:2008-05-09
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2009年01月11日

ハローグッバイ!

マリみて最終巻(?)を読了。コミケ期間中に読み終わってはいたのだが、感想を各タイミングをすっかり逸していた。以下ネタばれ有。


最終巻の内容自体はなんてことはない。今まで抱えていた伏線は、残っていたのが黄薔薇の菜々ちゃんにいつロザリオを渡すのかくらいなもので、あとは既に回収し終えていた。だから最終巻の課題は卒業式当日をいかに描くかというだけだったし、実際その通りだった。卒業式は意外なほど淡々と進んでいった。旧三薔薇様の登場は前の巻でわかりやすい伏線が張ってあったし、三人で送辞をやるのも、予想しえたとまで言うつもりはないが、大きなサプライズというわけではなかった。

「祐巳・祥子編は終幕」と書いてあるだけあって、最終巻は紅薔薇中心だった。一応祥子と令の話も載っていたし、由乃から菜々へロザリオが渡されるシーンもあったのだが、やはりハイライトは黒いリボンの授受だったと思う。まあそれはそれとしておもしろかったが、白薔薇好きとしてはどうにも不完全燃焼な最終巻だった気がしないでもない。『マリみて』はそもそも紅薔薇中心で祐巳が主人公なんだからしょうがない、と考えるのが素直な読者像なんだろうが、『マリみて』の一巻は無印じゃなくて「チェリーブロッサム」であって、真の主人公は乃梨子、だと思ってるひねた読者には、乃梨子の影が薄すぎて、正直に言えば寂しい。


わざわざ「祐巳・祥子編は終幕」と書いてあるということは、ひょっとして続くんだろうか。主人公を瞳子に移して(それとも希望的観測として乃梨子に戻して?)。そうなると個人的にはかなり嬉しい。作中の進行スピードが遅すぎて物語が間延びしていたり、そのせいで一巻一巻の内容は薄いときもあったりはしたが、やはりこのリリアン世界の雰囲気は好きで、まだ志摩子にも乃梨子にも、他のキャラたちにも愛着があるわけで。乃梨子の卒業までとは言わないから、祐巳の卒業まではやってほしいと思う。発刊ペースを落として(今野先生が速筆過ぎるのか、三ヶ月に一冊は異常)、コバルト本誌に載った短編集を削れば、案外と長持ちするんじゃなかろうか。集英社的にもおいしいと思うのだが。

最後に、ちょっとした愚痴。東京のど真ん中たる文京区には独立U局が入らないせいで、マリみて四期が見られない件。埼玉でも神奈川でもいいから、映ってほしかった。三期のOVAで「チャオソレッラ」までいったみたいで、四期は「特別でないただの一日」から始まったわけだが、1クールで「あなたを探しに」までやってしまうのだろうか。どうせなら2クールやって最終巻までいってほしいものだ。
  
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2009年01月10日

エロゲとフェミニズムと批評のスタンスと。

ここのコメント欄より。『300』に対して、歴史の歪曲、アジアへの偏見をもって批判するのなら、ではエロゲは女性を不当に扱っていないのか、という反問は予期しておくべきではないか、という意見。


言うまでもないことだが、別に私はさらしあげているつもりは全然なくて、こういうコメントは本当にありがたい(というよりもこういう注記が必要かもしれないということ自体が、今のインターネット社会がコミュニケーションに関して過敏すぎるんだろうなと思う)。重いと思われたなら、singingrootさんごめんなさいです。ですが、これは自分の作品批評の態度を明示するうえでも、一度書いておかねばならないことが含まれているなと思ったのも、また個別の記事にした理由ですので、あまり気にしないでいただけるとありがたいです。

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2009年01月06日

マルホランド・ドライブ

非常に難解な映画。前半は何がなんだかわからないところだらけだが、145分中最後の20分で大体の伏線は回収されるので、これから見る人は安心してほしい。ただし、監督のデヴィッド・リンチ自身が正解は無いと言っているので、基本的には自由な解釈でいいのだとは思う。

この映画を難解にさせている最大の理由は、非常に展開が早く、そのくせ視点と場面がころころと変わる。しかも、切り替わった先の場面が現実なのかそうでないのかが、最後の最後の伏線が回収されるまで全く判然としない(解説を読むまでわからない場面もあった)。鑑賞者には場面場面を覚えておく記憶力と、判明したところから時系列順に並びなおしていく整理力が強く求められる。ただし、理解さえ追いつけば、その思考パズルが非常におもしろい映画だ。

見終わって、自分なりの解釈がたったなら映画名で検索してみると様々な他人の解釈を読むことができる。優れたレビューは納得させられることしばしであろう。また、デヴィット・リンチ監督から10のヒントが与えられているが、一通り理解し終わってからこのヒントを読むと納得できるものの、見る前にこのヒントを知ってしまうと逆に混乱するのではないかと思う。見る前でも役に立ちそうなのは

・クラブ・シレンシオで、彼女たちが感じたこと、気づいたこと、下した結論は?
・カミーラは才能のみで成功を勝ち取ったのか?

の二つくらいなんじゃないかと。残りは洞察力のある人や何度も見る気の人にはナイスヒントかもしれないが、少なくとも自分は、見終わって他人のレビューを見るまで全く気づかなかった伏線だった。


以下、備忘録として、自分なりの簡単な解釈とメモ。当然、超ネタバレしているので、この作品を見たことがない人は、読んではいけない。まあ自分は一生見ることはないだろうと思うならば、読んでその複雑さを味わってくれてもいい。



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2009年01月05日

SIR(スーパーアイドルランキング)のP名数を数えてみた

07年の。元ネタは当然これ。




除外と長期の扱いに困ったが、長期は正式にカウント、除外は参考記録としてカウント。前回は合作の場合、参加Pを全部1カウント増やしていたようだが、今回は多すぎて収拾がつかないので「合作」でカウントした。

先に総評を。去年は108人(除外を含めると+数名)のPがランクインしたが、今年は139名(除外を含めると+18名)となり、「伸びる」動画の拡散傾向が見て取れる。私の実感としても、L4Uや765comm@ndによる影響でP全体の底上げが成功しており、誰でも選曲と運次第ではランクインが狙えるという状態になりつつあると思う。数字としても、今回のほうが集計期間が長くニコニコ人口が多かったにもかかわらず、200位に滑り込むために必要なptsが5500付近と、再生数自体がやはり拡散傾向にある。SIRのOPも、前回はえこPで力強さにあふれる感じだったが、今回は慈風Pのシックな雰囲気に落ち着いた。これも、なんとなく去年と今年の雰囲気の違いを示しているような気がする。

まずは、一つランクインしたPから。


登場回数1回 97人

じゃんP、かてぃーP、RAP、頭文字P、ルイP、やぶ氏、タケミツP、ミミズクP、うに氏、DikeP、尻上がりP、ぴっかりP、まめP、1000P、hikeP、deadblue238P、怒首領蜂P、リンP、気化爆弾P、VIeWP、しゃどP、ダムP、サーディP、守屋観七P、おまんP、aona氏、カラメルP、すたあ氏、tarepon氏、acousticP、せん・りつP、さいP、まこたんP、早漏P、417P、ぴっかりP、くーP、orgoneP、マケイヌP、ゆさP、しかばねP、あおみP、OGOP、ぬっこぬこP、こんにゃくP、いけP、くらわんP、フールP、矢夜雨P、時雨P、シモンP?、947daP、愛m@s24、ぎょP、薄幸P、onoP、rippy氏、ディープP、号泣P、りーふ氏、ulaP、maszushi氏、rosa氏、すいぎんP、FenorlP、G様P、東洋人P、KenjoP、ベホイミP、てってってーP、an3P、あかしP、もやしうどん、syu-kaP、カイザートP、火星人P、なばーP、yakumo氏、オクラ山ため蔵P、うそ太郎氏、まんまP、ワカメ氏、ツナマヨP、ノリスケP、サーディP、ぷにえP、ともちゃんP、メカP、jajaP、桃邪気P、アヴェP、マキュロP、まさとProP、さちクマP、慧P、ぎゃわずP

すでに意外な人がちらほらと。去年から同作品でランクインという人もけっこう多い。投稿数自体が多くないとランクインしようがないという事情も垣間見える。じゃんPや矢夜雨P、ぎょP、ダムP、ぎゃわずP、シモンP(?)はもっとランクインしてたような印象があった。ノベマス、架空戦記のPもちらほら。続き物は性質上ランクインはしづらいが、雀姫伝にしろ嫌マスにしろよくランクインした(すいぎんPは手描き作品でのランクインなので厳密には違う)。その意味では、マスクエがいないのが意外。ちなみに、ともきP、独眼Pは二作品ランクインなのでここではいない。なお、おまんPはシリーズ最上位以降は除外ルールを解けば2作品ランクイン。



登場回数1回+α 7人

オンナスキーP(1+1)
聖上P(1+1)
桃プリンP(1+1)
ハロP(1+1)
世紀末P(1+2)
雌豚氏(1+2)
FakeFar氏(1+3)

オンナスキーPの場合は作者辞退なので正式に2作品としてもよかったかも。



登場回数2回 20人

yotaP、へぼピーナッP+ベルナール・リヨ3世、M@co.jP、MNAP、エコノミーP、狡猾全裸富竹P、ともきP、potechiP、きのP、whoP、クーマP、MkP、蔵人P、とかち未来派、独眼P、メイP、トカチP、魔汁P、ゆりあP

yotaPは一作品長期。へぼピーナッP+ベルナール・リヨ3世は二作品ともにトップ10入り。あとは未来派と魔汁Pが意外と少なかったなという印象。ともきPはシリーズ最上位以降除外ルールを解けば、なんと5作品ランクイン。


登場回数3回 7人

元老院合作、えこP、ジアースP、777P、影山P、タカシP、友P

元老院合作には団結動画も含めた場合のカウント。あれは中身を見ると後の老害(笑)なので。えこPはマスターフォント、マスターフェスティバル、ロケガの3つ。マスターフォントが一番伸びてないということに驚き。影山Pも意外と少ない。公式曲シリーズは全部入ってるくらいの勢いだと思っていた。友Pは単体でのランクインは無く、すべてTPTPもしくは未来派との合作。だが、今年の友Pの真価は「ほしのこえ」だったと思う。ジアースPはののワさん、P4、FFTで3つ。P4のインパクトが強すぎて残りの二つのイメージが薄れている。


登場回数4回 4人

合作、RidgerP、セバスチャンP、ねこP

合作ブームをうかがい知ることができる4回でのランクイン。これでも元老院合作は別カウントをしてるので、それを含めると7回で登場回数2位という多さ。今年はさすがに減るかなと思う。RidgerPは後期の活動が少なかったものの、「春香覚醒カタルシス」以外の3つはすべて新作。ねこPは「みっきみきにしてあげる」以外の3つはすべて公式曲MADでのランクイン。


登場回数5回 2人

しーなP、TPTP

しーなPは二つ長期作品。それを除いても3つランクインではあるが、そのうち2つは去年からの継続で、完全新作は1作品だけである。しかし元老院合作で魅せてくれている。TPTPにはもうさすがの一言。


あとの二人は予想が簡単だと思うので、続きで。

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2009年01月04日

映画『300』に見る欧米人の意識

最初に注意書き。

・『300』はテルモピュレーの戦いを描いた映画ではあるが,史実に則ったものではない。私自身,史実との違い自体は全く問題にしていない。
・本作は史劇というよりも,むしろB級に近い金のかかったエンターテイメント作品であり,楽しむべき点は殺陣である。
・私はこの映画の持つ古臭い意識を一般の欧米人はともかく,知識人が持っているとは思いたくない。
・以下,私はこの映画を酷評しているので読みたくない人は回れ右。(いや,そういう人にこそ読んで欲しい気がするが)


しかし,以上を踏まえたとしてもこの映画には,不可解な点が多い。とあるレビューで「で,映画監督はいくらアメリカ政府から金を貰っているのか?原作者は,欧米至上主義者かアジア差別主義者か?」と書いていた人がいたが,全く同意見である。単に血飛沫が飛ぶ戦闘シーンを見せたいなら,必要の無い味付けが大量に添加されていて,日本人(というかアジア人)から見れば不快でしょうがない。こんな不必要な”味付け”によって欧米人が喜んでいるのだとしたら,それこそ軽蔑に値する。以下,問題があると思えた点を列挙。


・ペルシアは「アジア的専制君主制による抑圧された社会」であり,スパルタ(ギリシア)は「自由と議会制の国家」であるという描かれ方。
→ 実際には当時のペルシアは,先にオリエントを征服したアッシリアが抑圧を用いて統治しようとして失敗したのを教訓に,比較的寛容をもって帝国を統治した。
→ 当時からすでに抑圧の対象だったユダヤを解放したのもペルシア王で,これは『旧約聖書』にすら載っていることだが,そこのところはスルーらしい。
→ ついでに言えば,ペルシア帝国は早くからアジア大陸の東西交流に目をつけており,インドから進んだ治水技術を輸入し都市水道を整備した。通称「王の道」と呼ばれる巨大な道路を,帝国を横断するように建設した。この映画の年代より200年後にペルシアを征服したアレクサンドロスでさえ,バグダードの文化レベルに驚嘆したという。そのアレクサンドロスが壮麗なペルシアの首都ペルセポリスを徹底的に破壊した。果たして,野蛮なのはどっちの側でしょうね。
→ 一方,スパルタは市民が全員戦士となり,農業や都市での生産活動は全て奴隷や不完全市民任せという徹底された統制国家だが,この映画には奴隷の姿は全く映らない。その奴隷は戦争の捕虜か,貿易でトラキア(現ブルガリアにあたる地域)か北アフリカ辺りから買ってきた人たちである。奴隷自体は古代なら普遍的な現象なので,それ自体にとやかく言う気はないが,映さないというのは意図的すぎる。


・ペルシアがギリシア征服を目論んだのは,王の征服欲のため。
→ 100%間違いとはいえないが,正解は地中海の西側・ヨーロッパ大陸に商業網を持っていたギリシアの商業網を見据えて。ペルシア帝国はすでに,地中海の南側に巨大な商業網を持つフェニキア人を支配下に入れて保護し,小麦や果実の貿易で莫大な富を築いていた。(当時の北アフリカは世界で最も農業の進んだ地域の一つ)
→ 結局ペルシアはギリシアの直接統治はあきらめるものの,トラキアを征服し,そこを足がかりにギリシアの諸都市にスパイ工作を仕掛けて間接的に関与した。貿易網を広げるという目的はここで達成されたので,征服欲は消滅し,以後西側への大規模な軍事行動はとっていない。ちなみに,ペルシア戦争の約100年後に起きる,アテネVSスパルタの「ペロポネソス戦争」は,まさしくペルシアの懐柔によるもの。しかもこのペロポネソス戦争では,「自由と民主主義」のアテネが統制社会スパルタに敗北する。まあ当時のアテネは衆愚政治に陥っていたのではあるが。


・古代ペルシア帝国の率いた部隊「不死隊」が存在したのは事実だが,この映画では,中国か日本の京劇か歌舞伎に出てくるようなお面と,忍者のごとき黒装束をまとっている,王直属の近衛部隊。
→ 本来「不死隊」とは個人個人が精鋭なのではなく,極めて迅速に前線要員が補充されるシステムのことであり,前線の人数が全く減っていないように見えるさまからこの名前が付けられた。日本語版Wikipediaにさえそこそこ詳細な記述がある。多分,この映画の監督はイラクがどこにあるかも知らないんじゃないかなぁ。アジアの国は全部「アジア」。


・ペルシア王が真っ黒な黒人で,髭が無い。
→ おい待て,イラン人が使えなかったのならせめてアラビア人の役者を起用しろ。あと,古代ペルシアは長く髭を伸ばす文化で,発掘された石碑のレリーフを見れば誰だって気づくだろう。髭を剃るのは古代ローマからの文化で,ギリシア人でさえ伸ばしていた(これは映画の中でもスパルタ役の人たちは伸ばしていた)。要するに,連中からすると非欧米人に区別を付ける必要はないらしい。
→ 一方で,ギリシア人側には金髪碧眼がいた。落ち着け,ラテン系でそれはないだろう。



ここまで何から何まで間違いだと逆に笑える。逆に考証をしっかりやって,その挙句全部反転させたんじゃないかと勘ぐりたくなる。これは国際問題になっただろう,と思って調べてみたら案の定イラン政府は抗議していたらしい。しかし,全く報道されなかった。日本でもけっこう興業的に成功したらしいし,参ったなぁ。

同じ古代を扱った映画でも,『グラディエーター』や『アレクサンダー』はかなりまともだったのに,この映画は。「エンタメだから何でも許される」という盾と,「バカにしても対象が気づいてなければ問題ない」という壁に,完全に助けられている映画。少なくとも,人種を問わずこんなものに喜んでいる人たちに国際政治は語って欲しくないですね。  
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2009年01月03日

ヒトラー最後の12日間

ニコニコのMADで気になったので。タイトルの通り、1945年4月20日から5月1日、大戦末期のベルリンの様子を描いている。視点は比較的複数で、ヒトラーやゲッベルス、ボルマンといったナチス首脳陣、実際にベルリンを防衛していた前線指揮官、逃げ惑う市民たち、何よりもこの映画の原書を書き残した元ヒトラーの秘書、トラウドゥル・ユンゲといった面々が代わる代わる視点となる。この作品は初めてドイツ人がヒトラーを演じたこと、ドイツの会社が制作したこと、ヒトラーを人間的に描いたことで話題となり、賛否両論を巻き起こしたそうだ。何にせよ、ドイツがまた一つ歴史のタブーを打ち破ったのは喜ばしいことだ。

物語は比較的淡々と進んでいく。ヒトラーは最初から錯乱しているし、ヒムラーやゲーリングはもはや裏切る気が見え見えで、陸軍将校は投げやりの姿勢極まりない。まあそこそこ冷静だったのはゲッベルスくらいだが、彼は彼でヒトラーの後追い自殺をすることを既に内心で決めていたための落ち着きであった。特にドラマがあるわけではなく、ベルリン地下壕の人々の心情描写に重きが置かれている。

しかし、シェンク医師を人道的に美化して描いているのはどうなんだろう。おそらく、ユンゲさんの証言のみならず他の史料に基づいても、確かに大戦末期のベルリンでは人徳者として振舞っていたのだろう。しかし、実際にはWikipediaに書かれているようなこともやっていたわけで。その他、美化とまでは言わなくても、不自然なまでにユダヤ人虐殺についてこの映画は触れていない。せいぜいヒトラーが自分のやった偉業を振り返るシーンで、ユダヤ虐殺を挙げている程度だ。好意的に見れば最後の12日間ともなればそんなことを考えている余裕なんてなかっただろう、とか、ユンゲさんはユダヤ虐殺には全くかかわってなかったから知らなかった、等の解釈は可能であるが、やはり私には不自然に思える。そう考えると、「ドイツはユダヤ人大虐殺の歴史を取り繕い美化している」(エルサレムポスト紙)というリアクションはそれほど突飛には聞こえない。

見る前に、一通りナチス首脳部の顔と名前を一致させておかないと、何がなんだかわからないと思われる。ヒトラーを含めて、特にヒムラーやゲーリング辺りは異様なまでに似ている。ゲッベルスもかなり特徴を捉えている。また、エクステンデット・エディションで見ることをお勧めする。スタンダード・エディションはかなりカットされているところが多い。何気ないシーンやグロいシーンがカットされていて、そういうシーンこそ重要なのに、と思う。
  
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2009年01月02日

ごらんの有様だったよ!

今回も波乱含みの三日間でした。


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2009年01月01日

2009 元旦

明けましておめでとうございます。昨年は現実では比較的ふんだりけったりながら、趣味では充実していたように思うので、今年はどっちも充実するようにがんばっていきたいと思います。

とりあえず年末企画(3)が途中なので、書き上げないと……明日はコミケのレビューで。
  
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