2017年04月29日

スクエニRPGのおすすめ縛りプレー動画

今まで定期的にバラバラに制限プレイの動画を紹介してきたが,ここらでゲームごとにまとめて紹介してみようと思う。有名なものが多く,ゲーム別にしたために同じプレイヤーが重複して登場するが,それはご勘弁願いたい。また,TAS動画も入れようかと思ったが数がとんでもないことになったので諦めた。現在進行形の動画もある。


〔DQ1〕


道具と回復呪文だけで竜王を倒してしまった動画。道具の数が少ないドラクエ1だけに意外と厳しい縛りだったが,何とか最後まで。


〔DQ3〕


気が狂いすぎているプレイ動画。タイトルだけでヤバさは十分に伝わると思うが,恐ろしいことに完走している。マップは暗記すればなんとかなるとして,戦闘をよくこなせたよなぁ。



ぅな〜氏による,呪文のみ一人旅。アイテムの効果による呪文も使っていないので,本当に呪文を唱えての一人旅である。バラモスだけは詰んだので少し縛りを緩めたが,それでもよくこの条件で完走したものだ。



〔DQ4〕


ドラクエ4の数少ない制限プレー系の動画で,現在連載中。人力で総当りで乱数調整(状況再現)を行い,レベルアップ時ステータス吟味をするという意味さえわかれば驚愕の行為を行っている。進行役のスライムが笑みを浮かべながら恐ろしい内容を話すので,いつの間にか「邪悪スライム」と呼ばれるように……



〔DQ5〕


ニコニコ動画最初期の縛りプレー動画にして,ドラクエ5の伝説的なプレイ動画。おそらく作者の予想の範囲を超えた活躍をした,主人公ダンスニードルの勇者っぷりをご覧あれ。さすがに画質が悪いが,今見ても意味のある動画。



ブラウニー3匹だけで攻略する。HPとちから以外のステータスが全然上がらないわ,通常攻撃以外の特技がないわ,属性やステータス異常に対する耐性も皆無だわという弱点だらけのブラウニーだが,文字通りの「ちからこそパワー」を正義にボスを次々となぎ倒していき,意外と難なくエスタークまでたどり着いてしまう。非常に清々しく見応えのある動画。



PS2版。なんで埋もれているのか全くわからないすごい縛りプレー。多分,PS2版だからぬるいと思われているのが一員だろう。しかし,PS2版はバランス調整がなされた&パーティーメンバーが3人から4人になった関係でいくつかのボスがSFC版よりかなり強くなっており,一人旅の難易度はPS2版の方が圧倒的に高い。実は私もスラリン一人旅をSFC版でやったことがあるが,エスタークまで普通にたどり着いてしまった。さてPS2版ではどうか……という前提知識をもって見ると,その難易度の高さがよくわかると思う。


〔DQ6〕


しらたき氏による,今ひとつ縛りプレー人気がないDQ6の数少ない,そしてとんでもない縛りプレー動画。第1〜4話は正直あまりおもしろくない……が,第5話以降で覚醒するのでじっくり期待してほしい。3話終わりの詰んだ感は異常。ここからラスボスまで行くんだもんなぁ。



〔DQ7〕


現在も続行中の縛りプレー動画。「・全モンスターのドロップを図鑑に載せる」は1/4096というドロップ確率のモンスターがいくつかいるので苦行すぎるとは当初から言われていたが,やっぱり苦行であった。もうすぐ完結予定である。ドロップ狙いのためにレベルがすごい勢いで上がるので,基本的に途中の戦闘は全部楽勝。そのギャップがすごい動画。



しらたき氏の動画で,現在連載中。特技のうち「その他」だけを使って攻略していく。序盤はマリベルのしっぺ返しとキーファの受け流ししかないので厳しいが,それでも十分におもしろい。現在オルフィー,ダーマ神殿までたどり着けば戦略の幅が広がるかも。



現在連載中。レベル依存が強いドラクエで,しかもストーリーが長い最少戦闘勝利縛りはかなり厳しいが,なかなかおもしろい。何とか完走してほしいところ。



〔FF5〕


これも最初期に登場した伝説的な制限プレイ動画。現在のFF5制限プレイの隆盛の基礎を築いたと言っても過言ではない。世間に青魔法の有効性をこれでもかというほど知らしめた英雄である。これに続いてジョブ縛り動画が2008年頃に流行したが,どれも傑作。



青魔法動画に続いて登場したジョブ制限系の傑作。「ちけい」も「どうぶつ」も意外な効果のあるものが飛び出した。特にネオエクスデス戦は必見。通常プレイでは絶対に出てこない攻略法で,FF5の奥深さを感じる。



こちらはすっぴん。ただし装備を制限しないので,その点が強い……というか思った以上に強くて,他のジョブ制限系よりも苦戦していないのがおもしろかった。FF5は装備でも苦境は覆せる。



こちらは魔獣使い限定。「はなつ」の大味っぷりがすごい。エンカウントモンスターには苦戦しまくるのにボス戦は一瞬という典型的な縛りプレーの様子が見られる。



説明不要の有名動画。モンク一人旅とか無理ゲーすぎるだろう……というのを努力と根性で乗り越えていく(?)。



薬師一人旅……というか調合万能伝説。縛りプレーにしては楽勝すぎるボス戦が続く。



おやつ氏の「ひたすら楽して」シリーズの始まり。「1.最少勝利回数でクリア」かつ「2.必須戦闘以外で稼ぎ(盗む、とらえる)をしない」かつ「3.道中のアイテムは回収しない」なので,FF5はアビリティさえ駆使すれば最低レベルの一人でもクリアできてしまうのは有名な話だが,そのアビリティの取得数が極限まで少ないことになる。さすがに苦労するのでは,と思われたが何とかなってしまうのがFF5のすごいところ。



おやつ氏リスペクト。さらに厳しい縛りでの後追い動画なので,セットで見るとよい。



単発動画。アビリティとアイテムを制限しなければレベル3一人でオメガを倒せるという……FF5の自由度改めてすごい。



ぅな〜氏の全裸シリーズで,現在連載中。工夫と試行回数で攻略していく様は縛りプレーの王道。現在は第一世界終盤で,ここまで意外と詰んでいない。FF5だからなぁ。全裸が厳しいが,魔法は強いので,その点安心感があるかも。



〔FF6〕


思えばまだ飛空艇バグが知られていない牧歌的な時代の動画。ご存じの通りFF6は魔石ボーナスでレベルアップ時にステータスが上がるので,魔石入手までは低レベルで進め,入手後に一気に駆け上がるカタルシスが味わえる。



飛空艇バグの発見から始まったエディー氏の伝説の動画。途中で新たなバグがみつかって再走という悲劇があったが完走した。なお,最近さらに別のバグが見つかり,再々走中。FF6,こんなにバグがいっぱいあったんだな……と今になって思う。



おやつ氏の「ひたすら楽して」シリーズ。ルールはFF5と同じで「1.最少勝利回数でクリア・2.必須戦闘以外で盗まない:3.道中のアイテムは回収しない」。FF6はFF5よりもアビリティ等の選択肢が少ないから厳しいだろう,と思われたが,FF6もいろいろな技があるのだった。「翔んでる!平賀源内」が一気に有名になった動画。これも後に様々なバグが後から発覚し,再走が繰り返される悲劇が。



エディー氏が新たに始めた動画で,現在連載中。飛空艇バグを駆使すれば,これまで達成できなかったような高ステータスが作成できるのは確かだが,もはや手段と目的が逆転しているとしか思えないほど飛空艇バグが多用される動画。



〔FFT〕




FFT縛りプレー界の伝説の動画。一人旅入店禁止他の多重縛りでかなり重い制限を背負っているはずなんだけど,プレイヤーであるアミノ酸のFFTのアビリティの豊富さを活かした華麗なプレーにより,むしろ魅せプレーが主体になっているという恐ろしい動画。手軽におもしろさを味わいたいなら,ハイライトの塊である2-10・キュクレイン戦を見ると良い。続編の「ただの舐めプレイ」も合わせてどうぞ。



「ステータスの高さの割に挙動があやしすぎて使い所がない」と言われがちなものまね士をあえて活用するジョブ制限系縛りプレー動画。ちゃんと頭を使えばステータスの高さが活かせるんやな,と反省してしまう。でもやっぱりめんどくさそう。


〔FF8〕


ノージャンクションというFF8の醍醐味封印プレー。当然リミット技祭りになるが,これが意外と適材適所でボスにキャラを当てていくことになり,戦略性が高くておもしろい動画となった。通常プレーなら花形のスコールとゼルのリミット技が使えないこと甚だしく,すごいギャップが。



〔ロマサガ3〕


様々な縛りプレーをやってきたおやつ氏だけれども,最大の傑作というとやはりこれでしょう。緻密な計算と狂人的努力,ロマサガ3の懐の深さで無理を乗り越えていく。更新がめちゃくちゃ遅かった当時はやきもきしたけど,今ならまとめて見れる。



〔サガフロ2〕


異様に強いと言われるサガシリーズのラスボスの1つ,サガフロ2のエッグ。しかもこれまたサガシリーズ名物「脱出できない最終ダンジョン」のせいで詰んだプレイヤーが続出した。しかし,そこであえて極限までひどい状態で最終ダンジョンに突入し,エッグを倒してみよう(しかもリアルタイム制限付)というのがこの動画。果たして成功したのかどうか,ご照覧あれ。


〔クロノトリガー〕


クロノシ氏による動画。神縛りは動画を再生すればわかるが,確かにとにかくとことん縛っている。装備の変更ができなかったのが最後まで足を引っ張ったものの,何とか完結した。クロノトリガーの非常に細かい知識が披露されているので,その点でも楽しめる。



こちらもクロノシ氏による,現在連載中。強くてニューゲームだから楽勝だろうと思われがちだが,クロノシ氏が強くてニューゲームじゃないとクリアできないと判断するだけのことはあって,意外な詰みポイントが。そして,こんな縛りプレーだからこそ発見される,十何年越しのバグの数々。いろんな意味でクロノトリガーを極めている動画。
  

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2017年04月26日

続編はあるんですか?>通称桃太郎事件

・通称桃太郎事件の供述調書(微グロ)(allezvous’s blog)
→ 個人的にはめちゃくちゃおもしろかったのだけど,ネタが細かすぎて伝わっていないものが多いと思われるし,だとするともったいない。しかし私自身深読みを疑っているものもあるので,どの程度当たっているのかわからないという。以下,深読みっぽいものも含めて適当に。
→ たとえば桃太郎一家の名字である「最上(さいじょう)」,及び本籍・住所の「岡山市北区」はおそらく同所に位置する最上稲荷から。なお,自称日本三大稲荷であるが,伏見・豊川まで確定していて3つめはどこも自称というよくあるパターンである。父母の名前は,つなげると「龍泉寺」となり,これも同様に岡山市北区にある。龍泉寺はHP内で桃太郎伝説との関連性アピールをしている。
→ 途中で登場する写真台紙を作った警察官「東山辰巳」は,京都の祇園にある辰巳神社(辰巳稲荷)で,稲荷つながりなんてわかりにくいぞコノヤロウw。なお,鬼門はご存じ「うしとら」でお供の3匹は犬(戌)・雉(鳥,酉)・猿(申)で,いずれも辰巳とは重ならないという意味でも,この取り調べに相応しかろう。
→ コードネーム「犬」こと「犬飼健」は,吉備津彦命を桃太郎の元ネタと考えた場合に,吉備津彦命が連れて行った三人の家臣のうちの一人とされている人物。以下,「雉」こと「留玉臣」,「猿」こと「楽々森彦」は同じ。なお,このうち楽々森彦は龍泉寺が関連を主張している。


・三重銀行「讀賣新聞より当行と第三銀行との経営統合に係る報道がされましたが、これは当行として発表したものではございません」(リークプレス 週明け報道)(市況かぶ全力2階建)
→ pdfのプロパティ(のタイトル)は本当に気をつけたほうがいい。入試の出題ミス公表のpdfもタイトルを見ると昨年のになってたり科目が違ってたりして,ミスにミスを重ねているのを見つけることがけっこうある。ファイル名とは別物というのに根本的に気づいていない人も多そう。


・日光東照宮、宮司の「私物化」問題が紛糾 創建400年の節目に(デイリー新潮)
→ 日光東照宮の拝観料が高すぎた件についてボロクソに書いたことがあったが,こんな裏話があったとは。確かに「東照宮・輪王寺・二荒山神社は1000円の共通拝観券」なら割と納得するし,旅行中に同行者と「これ500円でいいだろ」という会話をしていたのだが,奇しくも共通拝観券の内訳上なら確かに500円だった。オリジナルグッズの展開やら内側の飲食店やらで地元に利益を還元していないというのは,観光客には直接関係がない話なので地元で解決して欲しい話ではあるが,拝観料だけは納得がいかない。なお,地元が干上がっている影響がどの程度表に出てきているのかは知らないが,確かに明治の館以外めぼしい飲食店が見つからなかったことは改めて述べておく。


・『Fate/Grand Order』正月課金トラブル。一部プレイヤーには返金の対応するも公式告知はナシ(ゲームキャスト iPhone)
→ 前年に爆発的にヒットしたソシャゲは正月にやらかす呪いでもあるのか。


・欲しい漫画が書店にないのに重版がかからないのはなぜ?というお話(Togetter)
→ なるべく本屋を使ってあげたい気持ちはあるのだけれど,そこまでユーザーに手間を押し付けるなら申し訳ないがAmazonなりhontoなりを使うわ,が本音。二回同じ本屋に行く手間はかけたくない。通勤・通学ルート上にあるならまだしも,そうでないなら尚更そうなると思う。ちなみに,私がそういう手間をかけてでも応援していた近所の小規模本屋は,応援の甲斐なく半年前につぶれました。オタク系ショップだとかえって売ってないような漫画の品揃えがよく,けっこう重宝していたので,かなり不便になってしまった。世の中世知辛い。
→ 趣味が多様化して出版物が膨大になった現代社会では,陳列棚の回転は良くなる一方であり,本棚から探している本を見つけてもらうという書店のやり方はそぐわなくなっているのかも。
→ しかしまあ,AmazonはAmazonで,明らかに注文が多いのにわざと入荷せずに品薄感を煽るというのを最近頻繁にやるので(あまり良い契約でない出版社に圧力をかけている),あれの独占は良くない。拙著も一時期倉庫にはあるのにAmazonでは品切れで高価な中古しかないという状況になったことがありますが,あれはそういうことですね。今明かすのはもう時効だろう。  
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2017年04月23日

コーエーはいつ対応するだろうか

・新説『忠義の人・松永久秀』について(Togetter)
→ これは流石に意外すぎた。裏切りの代名詞というか,ギリ1ボンバーマンの名を恣にしてきたあの男がまさか。信長の最新の研究以上に衝撃が大きい。
→ ギリ1ボンバーマンのあだ名の説明としてニコニコ大百科にリンクを張ろうとしたら,むしろここに忠臣説の詳しい説明があった。こういう時は妙に更新早いんよなニコニコ大百科。
→ 三好長慶と足利義輝の評価については以前から議論があったのは確かで,松永久秀も確かに見直されるべきなんだろう。信長以前というか足利義昭即位以前の畿内は研究途上なのだろう。自分はとりあえず『応仁の乱』から読むべきなのだろうが,まだ積んでるのよなぁ。
→ 大河ドラマについては,『真田丸』でかなり新説を積んで一年通してみたら意外と皆受けがよかたので,行けるのでは。というよりも,現在の「足利義昭即位以前の畿内」の新説を整理して視聴者に見せる上でちょうどいいのかもしれない。大河ドラマ松永久秀(あるいは三好長慶),どうだろうか。


・経産省、繊維統計を改ざん 請負業者が告発 回答数を水増し、年内に廃止へ(日経新聞)
→ 日本国,空気の読み合い(最近の流行り言葉なら「忖度」だろうか)やゼネコン汚職はあっても,統計は信用できると思っていたらそうでもなかった模様。しかも対応策が「廃止」とは。廃止でいいということは不要な統計だったということであり,それ自体が杜撰で前例主義で悲しくなってくる。
→ まあ,どこの先進国も探せばこういうのはあるだろうから過度に悲観することはなかろうが,今後増えてくるようなら,うちの国は本当に綻びてきているのかもしれない。注意しておきたい。


・【朗報】3.9+5.1=?という問題で、答え9.0が減点だった案件にフィールズ賞受賞者が結論を出す(しきそく)
→ これは議論自体には大した影響を与えないだろう。あれは数学的正しさと教育学的な正しさの衝突を過ぎて,数学的な正しさは自明であるところ,教育学的な正しさは本当に「正しいのか」という疑問(蛸壺化されすぎたために導出された変な議論なのではないか)がすでに焦点になっているからだ。数学者の解答も,数学者ならそりゃそう答えるだろうの範囲を出ていない。
→ ただ,それはそれとして,テレビがこうして取り上げるようになったことや,世界的な数学者が本当にコメントを出したということは一定の意味があるし,おもしろい。この件,ネットでワイワイ騒いでいるだけだとしょうがないので,もうちょっと世間の声や(教育学者を含めた)学者の声が欲しいところ。


・「シンドラーの工場」保存へ 野ざらし7年…和解へ動く(朝日新聞)
→ エレベーターの方かと思って開いたら「リスト」の方で,しかも普通に良い記事だった。有料記事になっているが,無料部分を読んでわかる通りの話である。ドイツ人としては複雑な感情を抱くところだろうが,保存する価値はあるだろう。


・都心の地下鉄、混んでいるのはどの区間か?(東洋経済オンライン)
→ 記事中にある通り厳密なデータではないし,実際には車両の大きさなどもかかわってくるので,混雑率の路線間の比較には役に立たない。しかし,眺めている分には十分おもしろいデータ。真ん中が膨らんでいるのは都心でターミナル駅同士をつないでいる感じの路線が多く,丸ノ内線・東西線・銀座線なんかはイメージ通り。そういう意味では,ここに大江戸線がないのが意外。
→ 一方,西高東低なのはいかにも通勤路線という感じで,私鉄との乗り入れもあって,都心に人を運んでいる様子。大江戸線がここに入っているのは,記事中の説明を読むとわかる。西高東低というよりは南高北低ということだ。確かに,新宿から北回り(時計回り)で乗った時よりも,南回り(反時計回り)で乗った時のほうが圧倒的に混んでいることが多い気がする。
→ 東高西低になっている路線は,西側の終着点が巨大なターミナル駅になっていないからこうなっているものと思われる。千代田線はJR山手線とぶつからないし,日比谷線は恵比寿だ。  
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2017年04月20日

おならの力は偉大

『不眠の女(病草紙)』サントリー美術館の絵巻物展に行ってきた。展覧会の正式タイトルは「絵巻マニア列伝」で,後白河法皇(後白河院)・源実朝・花園天皇(花園院)・伏見宮貞成親王(後崇光院)・後花園天皇(後花園院)・三条西実隆・足利将軍家・松平定信という所有者別に展示が分けられていたが,これはぶっちゃけて言うとあまり見やすい分け方ではなかった。そのせいで展示物の制作年代がいったりきたりするし,テーマごとに分けられているわけでもないし,ひどいと同じ作品の別場面がかなり離れた位置に展示されるということにもなっていた。確かに所有者の日記や書籍,目録などを展示したかった意図はあるだろうし,これはこれでおもしろかった。しかし,こうなってしまうならそういったものは「歴代所有者の著作物・目録」という章を独立して作ってしまって,そこでまとめて見せてくれたほうが,絵巻物の展示は寸断されなかったし,所有者の著作物や目録も時代の変遷を簡単に辿れてよかったのではないかと思う。

その所有者の著作物・目録であるが,繰り返すがこれはこれでおもしろかった。たとえば絵巻物とは直接関係ないが後白河院の『梁塵秘抄』や同時期の文献として『玉葉』があり,花園天皇なら『花園院宸記(花園天皇宸記)』,三条西実隆なら『実隆公記』といった様子で,これだけそろっていてなぜか松平定信の『宇下人言』はなかった。定信,絵巻物趣味のことはあまり日記に書かなかったのか,それとも単純に借りられる当てがなかったのか。天皇家の皆さんが「◯◯が手に入ったヤッター」とか「◯◯をようやく読めた,泣いた」とか書いていて,オタク的に共感しかない。

絵巻物の方は大体見たことがあるものばかりであったが,もう一度見たいものが多かったので,まずまず満足である。主な展示品は『法然上人絵伝』『九相図巻』『酒伝童子絵巻』『蒙古襲来絵詞』や各種寺社の『縁起絵巻』など。『前九年合戦絵巻』と『後三年合戦絵巻』は両方あったので,同行者(理系)に「信じられるか……前九年の役は12年戦ってるんだぜ……」という高校日本史あるあるネタを披露したところ,「詐欺じゃねーか」と真顔で返された。ごもっともである。

ミーハーな言い方になるが,やはり『病草紙』はおもしろい。「不眠の女」に「居眠りの男」に「侏儒(政治的に正しい説明が思いつかなかったので低身長症と書いておく)」など。「不眠の女」(今回の画像)は2012年のサントリー美術館新収蔵品で,そういえばお披露目の場面が無かった気がする。いい加減これを表に出したくてこの展覧会が開かれたのかもしれない。女性の,周囲は全員眠っているのに一人寝られない孤独感が出ていてとても良い。「居眠りの男」はおそらくナルコレプシーのことだと思われるが,描かれている場面を見ると「この人,単純に仕事がつまらないか会議がつまらないだけでは」感も若干あり,その辺の想像を働かせるのも良いだろう。

もう一度見たかったものと言えば『福富草紙』と『放屁合戦絵巻』(サントリー美術館所蔵の物)で,日本が産んだ“二大おなら文化財”の圧倒的迫力の前にはひれ伏すしか無い。今回の画像はこれにしようかとも思ったけど,あまりにあまりな絵面なので,気になる人は「放屁合戦絵巻 サントリー美術館」あたりでググってください。何がすごいってこれを後崇光院や後花園院が持ってたということで,天皇も『放屁合戦絵巻』を眺めて笑っていたかと思うと日本は中世から始まってたんだなという思いを強くせざるをえない。眺めていると無駄に勇気と希望が湧くので,何かに行き詰まっている人はぜひともここに来て「天皇だってこれを見たい気分の時があったんだな」という感慨を私と共有していただきたい。『福富草紙』は現在でも重要文化財指定であるが,おそらく日本美術史上最も下品な重要文化財では。


なお,これと前後して東博の「茶の湯」展にも行っているが,「めちゃくちゃ豪華だった」以外の感想が特に無いので,ここにそれを書いて終わらせておく。馬蝗絆,稲葉天目,油滴天目(東洋陶磁器美術館)の他に,初花肩衝・『山上宗二記』・流れ圜悟・伊賀花入 銘「生爪」・伊賀水差 銘「破れ袋」(五島美術館)とそろっていて,燕庵の再現セットもあり,『へうげもの』のステマかな? と思えるくらい『へうげもの』登場作品ばかりだった。その意味では荒木高麗と大井戸茶碗 銘「十文字」の2品が足りなかった(あれだけ豪華だったのに文句をつける厄介客)。
  
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2017年04月17日

コロンビア和平合意の国民投票とか

・コロンビア和平合意、国民投票で否決 大統領「紛争終結へ努力」(AFPBB)
コロンビア政府とFARCの和平合意はなぜ国民投票で否決されたのか?(AFPBB)
・コロンビア和平プロセスの課題――新和平合意をめぐって(SYNODOS)
→ 一見して和平合意されるべきだと思われたものが,なぜ国民投票で否決されてしまったのかは,2・3つめの記事に詳しく書かれている。FARC側に甘すぎるという反対理由はわかるが,「サントス大統領を信認する形になってしまう」という反対理由は,国民投票という制度の難しさを考えさせられる。Brexitもそうだが,あまりにも特殊な課題だから,他の経済政策や社会政策とは全く別に考えるべきだからこその国民投票ではなかったか。大統領自身,自らの人気が無くなっているのを自覚し,自らが大統領を下りても確実に履行されることをねらってのこの国民投票であるから,やはり自ら人気と切り離す意図が大きかった。他国の国民投票を批判したくはないが,国民の側がこの国民投票を大統領への信任投票にすり替えてしまって否決に回るというのは,国民投票の価値を自ら毀損してしまったように思う。その意味で残念であるし,Brexitやアメリカ大統領選の結果とは意味合いが違うと感じた。


・館内の端っこに座ってるだけじゃない!岐阜県美術館の監視係のお姉さんが描く仕事エッセイ漫画がじわじわ人気(Togetter)
→ 美術館にはよく行く人間だし,一応学芸員資格も持っていて博物館でバイトしたこともあるので,上から下まであるあるwwwwwwwwと読んでしまった。おもしろい。
→ 美術館に行く時は完全に普段着勢です。5話の3コマ目,学生時代の俺だわ。
→ 6話な。日本の美術館,なんでシーンとした雰囲気じゃないといけないという謎の同調圧力がそれなりに定着してしまったのか。
→ 7話もあるある。「おっちゃん,その人に聞いても多分わからんで……」と横から思ったことはしばしば。かく言う私も「あのキャプション,年号間違ってます」とか「誤字(脱字)があります」とかつっこんでばかりで,何というか申し訳ない。大概の場合,その場でメモりながら「上の者に報告しておきます」って言われます。皆も見つけたら監視員の人に。


・2016年美術展覧会入場者数 TOP20 (美術手帖)
→ このランキングの中だと2位兵馬俑展,3位若冲展,4位カラヴァッジョ展しか行っていない(厳密に言えば兵馬俑は2015年)。印象派・ポスト印象派の展覧会は2014年11月にオルセー美術館に行っていて,そこで飽きるくらい見たので当分は日本で行かなくていいかなと思ってパスした。東京以外のものは行く機会がなく断念。現代アート系は興味がわかず。ダリ展とダ・ヴィンチ展はラインナップを見てそれほど豪華には感じなくて意欲がわかず,選択肢にはありながら行かなかった。こうして振り返ると,意外と大規模な展覧会に足を運ばなかったのは去年なのかなと。
→ やはり圧巻は若冲展で,他は会期がそれなりに長いし大きな会場も多いが,これは1ヶ月であの狭さだ。単純に1日で約1.5万人いたことになる。1品1品じっくり見る人が多かっただろうし,そりゃまああの混雑だよなぁ。
→ 逆にランキングに入っていないのが不思議なのは,東博のアフガニスタン展。これは地味にショックで,あんなにおもしろい展覧会だったのにもったいない。あとは同じく東博の禅展。あれはそれなりに混んでいた気がしたが,20万人には届かなかったか。  
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2017年04月15日

曜変天目茶碗問題とか

・ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて 公式サイト
→ とてもおもしろそうで,9・10と離れてたけどこれはドラクエに復帰しそう。PS4も(『うたわれるもの』のために)買ったので。しかし,皆につっこまれていたがサブタイトルのマルセル・プルースト臭

・ネット上の超絶棋士「神の手」 囲碁界騒然、正体は?(朝日新聞)
→ ふたを開けてみるとAlpha Goの進化系の実験だったわけだけども,皆『ヒカルの碁』を連想していた。朝日新聞の記事上で触れられていないのが不思議なくらいだし,仕掛け人の側は少なくとも知っていてやってそうな雰囲気を感じる。初手天元あたりのわざとらしさ。どうせならHNもSaiでやってほしかったところ。


・フランス帰りシェフの信州田舎暮らし。
→ このブログははてブで拾ってからちょくちょく読んでいる。出てくる料理の美味そうなことよ……長野県はフランスだった。


・"賭け"が無くても麻雀は親しまれ続ける(BLOGOS)
→ 思わぬところから生じた「麻雀は賭けないとおもしろくないのか」という議論だが,私はノーレートでしか打たない人間である。たまに「賭けないとおもしろくなくない?」と言われるが,ネット上よりはリアルで言われるあたりに,場面による意識の差が垣間見えたりも。
→ そもそも賭け麻雀は違法であるが,その是非はともかくとして,賭博が麻雀文化の一部として完全に結びついている点は否定できない。あるいは記事中で言われているような雀荘文化と言えるものかもしれない。しかし,それが全てでもない。賭けなくても,おもしろいゲームはおもしろいのである。


・『なんでも鑑定団』に国宝級のお宝登場! 番組22年の歴史で最大の発見(マイナビニュース)
・東洋陶磁美術館・主任学芸員小林仁氏が、なんでも鑑定団に出た曜変天目は偽物だと主張しています。(Togetter)
・『曜変天目茶碗』の調査、徳島県が中止 所有者から「外部への資料提供を控える」(Huffingtonpost)
・「なんでも鑑定団」の曜変天目問題への声明(Huffingtonpost)
→ 事前の騒ぎようからの実際の放映を見てのがっかり感。実物を見てなくても,これだけ識者から反発が出るのは致し方ないと思う。本当に本物の曜変天目茶碗ならそもそも値段がつかないか,まず数十億円単位であるところ,2500万円というのも不思議な値段である。
→ 1つには,曜変天目茶碗自体が世の中に完全なものは3つしかなく,破片の状態で中国で発掘されたものを含めても1つ増えるだけで,きっちりとした定義があるわけではない。そして,あえて定義付けるのなら,「宋代の制作」「窯変があること」というはっきりとした条件以外に,「美しさ」というわかりにくいものが暗黙の了解として含まれてしまっている。それでもこれまで困らなかったのは,既存の4点が「どう見ても他の陶器とは格段に美しかった」からであり,今回のような「化学的(物質的)に見れば窯変してるのかもしれないが,美しさが……」というような陶器は,専門家も好事家も含めて“想定外”であったのではないかと思う。
→ そういうわけで,私も素人なので真贋はわからんけど,と前置くとして。仮に化学的には宋代の天目茶碗に違いなく,窯変が起こっているとしても,有名な曜変天目や油滴天目はどれも魔術的な美しさがあるので,それらに比べると「窯変」が足りず,美しくないので,曜変天目茶碗とは認めがたいという立場を取る。あれが分類上は曜変天目と言われるとちと残念。  
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2017年04月09日

並河靖之の七宝焼展

並河靖之「藤草花文花瓶」庭園美術館の七宝焼:並河靖之展に行ってきた。七宝焼とは主に金属(銅や鉄など)にガラス質の釉薬をかけて焼く金属工芸のことである。明治期に隆盛し,非常に細かい文様から陶磁器や漆器などと並ぶ明治期の人気輸出商品であり,「明治期の超絶技巧」として近年脚光を浴びている。しかし,陶磁器や漆器と決定的に違う点がある。陶磁器や漆器は江戸時代から日本で盛んだった伝統工芸であり,明治初期までに大きな蓄積があった上で西洋の影響を受けて(陶磁器ならば宮川香山などの努力により)超絶技巧を達成したのだが,七宝焼の場合,幕末までの蓄積があまりない。並河靖之ら数人の技術者によって,幕末から明治初期に急速に発展した。並河靖之自身,出発は中国の七宝焼であると述べていたそうだし,並河の企業は本展覧会でも「ベンチャー企業」と称されていた。つまり七宝焼は明治日本らしい,あるいは19世紀末の東洋らしい「新しい伝統工芸」とも言えよう。

七宝焼の特徴は基盤が金属である関係で表面が非常に滑らかであることが挙げられる。磁器は名前に反して金属の要素がないが,釉薬がガラス質であることが共通しているせいか,ぱっと見はよく似ている。しかし,陶磁器にしては表面があまりにもつるっとしているのと,覆輪の部分など釉薬がかかっていない部分がどう見ても金属であるので見分けがつく。透明感が強く,つややかでともすれば冷たい印象すらある。私自身そうであったが,陶磁器を見慣れていると,「見分けがつきにくい程度には陶磁器とそっくりに見えるのだけれど,陶磁器にしてはどこかしらに違和感がある」という非常に不思議な物体に見えることだろう。自分にとってはその違和感が強い魅力であった。

並河靖之は明治期の七宝焼の第一人者の一人で,釉薬や技法の改良で活躍し,七宝焼を輸出産業まで押し上げた人物である。とりわけ黒の釉薬が独特で,これが漆器とも陶磁器とも違った七宝焼独特のつややかさを強めていると思う。この黒の釉薬,実は黒色の釉薬が単体で使われているわけではなく,青系統の釉薬を何種類か重ね塗りしてこうなっているそうだ。フェルメールの背景色と同じ発想か。また,初期から中期の作品は文様が器胎全体を覆っていたのに対し,次第に背景色の黒や青が目立つ作品が増えていって,なるほど強みをつかんだなと。並河靖之の七宝焼は有線七宝と呼ばれ,非常に細かい文様がつけられる一方で繊細な作業が必要で,この作業で全面覆ってたら確かにすごいが,技巧を誇示すればよいというものでもないのである。なお,これについては「輸出産業として特化するために,わかりやすい超絶技巧を極めていった」という評価もあり,なるほど尚更明治らしさがある。

今回の展覧会は作品数が多く,並河靖之の作品歴が一通り追えるようになっていた。そして庭園美術館の朝香宮邸の雰囲気とも実に合っていて,良い雰囲気の中で良い作品を見ることができた。とはいえ,実は七宝焼の人気は20世紀初頭の日露戦争の頃から急速に衰え,国内の需要は陶磁器や漆器に比べると薄く,大正時代には急速に廃れてしまった。それを考えると,むしろ20世紀初頭に誕生してそれから流行したアール・デコ様式の朝香宮邸(1933年に旧宅完成)にマッチしてしまったのは不思議な話で,まあ自分を含めた現代人の目からすると「どちらも広く戦前の日本」というくくりになってしまう感覚なのだろう。
  
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2017年04月07日

非ニコマス系動画紹介 2016.11月中旬〜2016.12月上旬



下坂すみお君爆誕。アドリブでこんな次から次へと逝ってるオタクのマネできるとかすごい。おそらく実例をたくさん見ているとはいえ。




2016年秋は好きな艦娘が増えて良かった。サラトガはあまりにテンプレすぎたアイオワに比べると,落ち着いてるけどやっぱりアメリカ人という感じで,いいところにキャラが収まっている気がする。アイオワの反省からか語彙が減ってるけど,さすがに語彙が少なすぎて逆に不自然。あとクロスロード作戦を悲しくなさそうに言うのはどうなんだろう,というのはちょっと気になった。



こっちはフランス語だが語彙は豊富で,サラトガと別方向の実験だったのかも。ただ,フランス語自体はあまり抑揚がない。むしろ日本語部分の外国人っぽい喋りがすごくそれっぽくて良い。あと服がおしゃれなので好き。



轟沈セリフが心に来る子,久々に来てしまった。この後巷で大人気になっていくのも理解できる。



そして早速良いモデルが作られる。かわいい。





僕にGoat Simulatorを買わせた元凶。すばらしいバカゲーでした。




能力麻雀ならぬ能力将棋に近いものが。意外と白熱していて,遊戯王のカードの知識が試されるのでおもしろそう。  
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2017年04月05日

決別文のつもりは全く無いですが

・1980年台後半に起こった「アニメファン叩き」の一次ソースが発掘される(Togetter)
→ 自分はオタク第三世代末期の人間なので,第二世代〜第三世代初期の人が遭ったという迫害の最盛期はこういう形の資料でしか知らない。これを見るだけでも恐ろしい時代だったんだなというのは確かに伝わってくる。


・クローズアップ2016:公文書管理 ずさんな点検 政府の「紙くず箱」 国立公文書館前館長・高山正也氏に聞く(毎日新聞)
→ この後,自衛隊の日報問題やら森友学園問題やらがが出てきて「書類の廃棄」がクローズアップされることになるわけだが,昨年の12月の時点でこういう記事を毎日新聞が書いていた。ここをなんとかしないと,書類の廃棄(あるいは偽装廃棄)が政府側の必殺技になってしまって同じことの繰り返しになるような気はしている。


・続・アフガニスタンの炬燵(アフガニスタン便り)
→ こたつって日本以外にもあるんやなと驚いた一件。それでもイランとアフガニスタン・タジキスタン・トルコあたりに限定されるらしく,狭い(本当に軽く調べただけなのでまだあるのかもしれないが)。イランだとコルシ,アフガニスタン・タジキスタンだと記事中にある通りサンダリと呼ぶようだ。しかし,中東なんだなぁ。冬の寒さは厳しかろうが,日本と全く気候が異なるので意外である。
→ 椅子の文化圏だとこたつは使いづらかろうから広がらないのはなんとなくわかるところ。一応,テーブルに布をかぶせて中にフットストーブを入れる風習はオランダとスペインにあるらしいが(英語版Wikipediaはこれをこたつの類似品認定して「こたつっぽいものは世界中にあると書いていたが個人的には……),これもフランスをすっ飛ばしているのが興味深い。まさかハプスブルク家支配の間に生まれたものか? 確かにフットストーブは大体その頃からオランダにあるが……


・Fate/Grand Orderがすごい流行ってるけど型月厨これでよかったの?(増田)
→ 元記事が消えているのではてブページで。「GOはおろかEXTRAからついていけてないので,むしろ型月から卒業させられた感ある。『月姫2』も『まほよ』の続編も完全新作も出なかったら,ひょっとして私二度と型月作品やらずに終わるのでは。」とコメントしたのだけど,おそらく誤解されている部分があるのでここで補足する。別にコンシューマだからだとかソシャゲーだからとかそういう理由でやっていない・読んでいないわけではない。
→ まず,自分の場合は型月世界の設定は伝奇として好きだが,きのこの文章自体が特別好きというわけではない。なので,型月ファンによくいる類型の1つ「きのこの文章が読めればそれでいい」には当てはまらない。
→ 次に,『Fate/stay night』の設定や物語自体は好きだが,「これ,適当なところで止めとかないと,各地の英雄の粗製乱造になって,しかもマイナーな英雄出そうとしたり何かと例外事項を作る型月の癖が出て収拾つかなくなるのでは?」という危惧はあって,それは“私の許容できる”リアリティラインを超えてしまう(ここ大事,別に客観的にどうこう言うつもりは一切ない)から,多分じんましんが出ることになって嫌だなぁと思っていたのが十数年前。そういうわけで『EXTRA』が出てきたときには割りと危惧が当たった感じがあって,読んでなかったのは,面倒だったのが半分,危惧が当たっているのかどうか確認するのが怖かったからというのが半分であった。これは『FGO』になってますます怖くなってしまった。「イスカンダル」はまだいいよ,「オジマンディアス」って呼び方なんだよというのが気になって気になって。
→ そういうわけで『Fate』シリーズには意外と早々に見切りをつけている。だから2012年に『まほよ』が出たのは,出たこと自体が私にとって大きな出来事だったし,とてもおもしろかったのは「まだ自分は型月を楽しめるんだ」と安堵できた点で非常によかった。『月姫リメイク』に『月姫2』と『まほよ』の続編,まーだ時間かかりそうですかね。
→ ところでこのリアリティラインは本当に個人的なものであって,人によっては『Fate/stay night』の時点で耐えられんだろうし,同じことを『艦これ』や『城プロ』で思っている人もいるだろう。私はここら辺OKで別に引っかからない。これで作品の善し悪しを語るのは無理筋である点は念のため改めて書いておく。  
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2017年04月04日

フランス大統領選はどうなるんでしょうねぇ……

・支持率4% フランス大統領も不人気のワケ(ITmedia ビジネスオンライン)
→ この記事を借りて言ってしまうが,オランド政権は本当に全く社会党政権の雰囲気のない政権だった。社会主義的な政策をしたわけではないことに加えて,国内の分断に無頓着であり,アフリカの国々にはしばしば軍事介入し,それで解決していればよいものの,かき回した印象の方が強い。サルコジが強権的だった反動で思わず左派を選んだが,左派内部での人選が大失敗だったのかもしれない。右派の失敗で政権が転がってきたが,ちょうどその時左派に押されていた人の人選が最悪だったという意味では本邦の鳩山由紀夫に重なる。本邦は一年足らずで首相が交代したが,そうもいかずフランス国民は5年耐えるしか無かった。制度とは良し悪しである。5年に縮めといて良かったねという話でもあるが。
→ フランスの大統領というと,大国の大統領なだけあって,第五共和制ではそれぞれがそれなりに名前を残している。ド・ゴールは言うまでもなく,ポンピドゥーはポンピドゥー・センターを知らなければやや影が薄いかもしれないが,第1回サミットを主導したジスカールデスタン,ミッテラン,シラクと続いた。シラクというのが象徴的で,ド・ゴール主義の残滓がここまでは続いていたということかもしれない。そのド・ゴール主義への反発として親米のサルコジ政権ができたわけで,評価はともかく,成立の経緯とNATOの軍事機構復帰は間違いなく歴史の教科書に残る。そこへ行くと,オランド大統領は第五共和制で初めて歴史に名を残さなかった人物になると思われる。
・フランス大統領選挙 2017(NHK NEWS WEB)
→ このままフランスがEUに埋没していくのは,ちょっと見たくない。とはいえ,ルペン政権ができてしまうのも困りもので,なんとかマカロン,もといマクロンさんに勝ってもらえないものかな。


・「Webで全編公開されてる漫画」を買う人は意外と多いが「中身が分からないから買って確かめる」という人は凄く少ないという話(Togetter)
→ 凄く少ないかは知らないが,個人的にはわかる話。ここでは漫画だがゲームや小説も同じで,全部読ませてくれとは言わんから合うか合わないかだけ確認させてほしい。漫画だと連載を雑誌で追っていない場合,1話も試し読みできないまま単行本の1巻を買ってしまうのはリスキーで避ける。物語作品への出費は,くじであるよりかはお布施や投資でありたい。Togetter内にも出ているが,完全Web再録の漫画だったり同人誌の商業化再録だったりしてもお布施だと思えば買ってしまうし,場合によっては次作への投資だと思って買うゲームもある。


・とある神社の入り口にいる「狛犬」が異形過ぎてめっちゃ怖い「ヤバイやつ」「これ一体何ですか?」【真相】(Togetter)
→ 明らかに何かが封印されている雰囲気だったが、そんなことはなかった。なんでよりによって前足を補強した。もう都市伝説の成立に乗っかってしまって,そういう邪気眼的な狛犬として宣伝したほうが神社を参拝する人は増えるのかも。


・東方Projectの聖地をPRする「城嶺神社」の周囲に見える謎の影 霊感商法か!?(おたぽる)
→ 城峰神社自体には一度行ってみたいのだが,これは残念な話。この神社自体が考察とこじつけから勝手に聖地化して盛り上がっているところはあるにせよ,地元住民に迷惑かけない範囲なら悪くないと思うし,それに地元住民や行政側が乗っかってきて村おこしに使うのもお互い様なところはある。しかし,地元住民でもなく東方ファンでもない人が主宰してしまうのは,“善意”を標榜してはいても乗っ取りには違いなく,しかもそれが新興宗教的な胡散臭さがあるのはご本人以外には迷惑でしかない。
→ 神主が何か言って収めるのも違う気がするというか,公式に聖地と決まったわけでもなく神主の手を煩わせるのは筋違いだろう。あえて言えば神主が「東方とは何も関係がない神社」と断言してしまえば話は早いが……という解決の困難さを考えても,残念さしかない。  
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2017年04月02日

『けものフレンズ』感想

ご多分に漏れず,私も最初は全くのノーチェックであった。そして本作に気づいたのは,骨しゃぶりさんのこの記事だった。
・アニメ『けものフレンズ』は人類史600万年を探求する
正直,この記事を読んだ最初の感想は「まーた骨しゃぶりさんは大げさに書きおってからにwww」だったのだが,1話を視聴してマジもマジだったので椅子から転げ落ちた。よくもまあ1話にあれだけ詰め込んだものだ。確かそれが1月27-28日頃で,まだ2話と3話の切り替わりくらいの時期だったと思う。3話までは立て続けに見てすっかりはまってしまった。おそらく同じような行動の人は少なからずいて,あの記事は『けものフレンズ』受容史を作るとしたら欠くべからざるものだと思う。世間的に爆発したのが2/6頃だそうなので,自分を含めてあの記事で見始めた勢は比較的アーリーアダプターの部類といえるかもしれない。もちろん,アプリ版からの支持者や1話ですぐ気づいた人たちに比べると遅かったわけだけれども。

本作のどこに惹かれたかと言えば,起点の通りに「動物にヒトの姿と言語能力を与えることで,あえて見えてくるヒトのそれ以外の特性」の見せ方であった。様々なものを擬人化した作品は多数あり,それぞれの作品にそれぞれの美点はあれど,擬人化それ自体にここまで意味を持たせた作品はそうそうない。おそらく今の30代のオタクの共通体験として,小学生時代に『たけしの万物創世紀』や『特命リサーチ200X』あたりを小学生の時に見ていたと思うのだけど,そういう層にドンピシャな見せ方でもあったと思う。サーバルが透明な箱の開け方に気づかないシュールさは,1話の時点では(理由がわかってもなお)若干のホラーであったが,そうした不気味さも本作のポストアポカリプスものとしての不気味さと上手く融合していた。

ある方が「フレンズ化した動物は(じゃぱりまんの存在もあって)食糧確保から解放されて本能的な攻撃性を失っているが,かばんちゃんがヒトのフレンズだとすると(注:12話放送前),他の動物を絶滅させてきた人類の攻撃性も同様に本能として処理されているのがすばらしい」と言っていた。これは公式HPや円盤の特典などにある「けものフレンズ図鑑」でUMA・幻想種以外には全てレッドリストの保全状況が明示されているということ重ねると尚更その通りと思う。事実であるとはいえ,人類側の事情も勘案せずその罪を全部人類に着せておいて「ヒト」の物語もなかろうし,一方で事実を直視しないのもヒトと動物の関係を示す上で必要なものを欠落させてしまう。ということで『けものフレンズ』本体はひたすらに“尊い”作りにになっていて,その背景は周辺情報に置くという配置も良い配慮だった。

なお,最終話の様子を見ると,かばんちゃんはヒトのフレンズからヒトに戻ったというよりは,再フレンズ化しているのではないかと思っている。性格が変わっていないことや,手袋とタイツの回復などから。セルリアンがサンドスターを消化しきる前に救出できたからか,あるいはじゃぱりまんに体内のサンドスターを回復させる効果があるか(じゃぱりまんがパーク内の農園で育った農作物で作られていて,肉食獣もそれで満足していることから推測するに,後者の可能性は高そう)。


そしてまた本作の物語としての美点は,とにかく先が読みやすいことである。あれだけ明確に人類がジャパリパークから姿を消していて,しかも自分探しをするロードムービー,かつあのEDなのだから,まあそういう結末になるのは目に見えていた。いつかは終わる旅に漂う寂寥感が底抜けの明るさとマッチしていた。10話が終わったところで12話の展開までおおよそ読めていた人も多かったのではないか。そして11話が終わったところで「これはOP流しながら全員集合で,セルリアン倒した後はかばんちゃんの旅立ちでEDは2番だな」とか考えていた人は私以外にもいたと思う。あまりにもその通りすぎて泣きながら笑ってしまった(サーバルがついていったのだけは予想外だったが)。しかし,これだけ先が読みやすいからこそ「平穏の中に見え隠れする不穏」に安心して浸ることができたところがあった。不穏さは満遍なく漂っているのに,不穏ではないのだ。『まどマギ』が安全装置の外れたジェットコースターだったのとは好対照だろう(念のため,『まどマギ』の場合は,だからこそ予想外にきっちり決着して神になったので,これは良い悪いではない)。

その他に物語を盛り上げるために張り巡らされた工夫の数々とか,しんざきおにいさん他動物飼育員解説の効果とか,OP・EDの良さとか,3人目の主人公ラッキービーストについてとか最後の「つづく」とかいろいろあるが,すでに世の中に数多くの評論が出ているのでここで書くことはなかろう。いずれにせよ制作陣の努力が素直に視聴者に伝わった,伝わるところまでの幸運があったというところまで含めて,作品の雰囲気同様に幸福な作品であった。
  
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