2017年07月26日

先場所の繰り返し

先場所をコピーしたかのような,全く同じ展開であった。優勝争い然り,それ以外の要素然りである。その意味でも,けが人が多かったという意味でも,単純に相撲内容という観点から言ってもあまり出来の良い場所だったとは言いがたく,私自身の仕事やら出版作業やらが忙しくじっくり見れていないということもあって,白鵬の記録と何人かの個々の力士を除けば非常に印象が薄い場所となった。見ていておもしろかったかと言われると,なんともである。

白鵬の通算1050勝はまた1つ偉業が増えたのだが,北の富士がNHKの解説で言っていたように「すでに勲章が多すぎてコメントのしようがない」。少なくとも1100勝くらいまでは行くだろうし,完全に単なる通過点であろう。次は幕内1000勝が目標とのことだが,現在956勝であることを踏まえると楽勝の領域,幕内40回目の優勝に至っては来場所達成になりそうな様相である。日本国籍取得についての噂も飛び交っているが,個人的には少し残念である。白鵬はモンゴル国籍を保ったまま協会に残るというチャレンジをしてほしかった気もするし,彼にはその資格があるだろう。


個別評。39回目の優勝を果たした白鵬であるが,相撲振りについては先場所と全く同じなので書くことがない。防御面では足腰の強さが多少なりとも戻ってきていて,攻撃面でも「全盛期よりはワンテンポ遅いけれども,それでも十分な速度と威力」というところ。ただ,今場所散々指摘されていたが,立ち合いほんと正面から当たらなくなった。張り差し・かち上げの他に,当たってすぐに左にずれる動きも増えていて,私自身はあれは変化だとは思っていないのだけど,人によっては変化と指摘するかもしれない(あれが変化になるなら日馬富士の立ち合いも少なからず変化になるが,両方とも変化だと言っている人は不思議と少ない気が)。

日馬富士は並の出来。稀勢の里は横審が来場所全休を勧告していたが,珍しくも横審にしては全力で同意できる判断。鶴竜は来場所の勝ち星が一桁なら進退を伺われてもおかしくはない状況。ここ4場所が5勝(休場)ー10勝ー1勝(休場)ー2勝(休場)で,10勝の場所の内容がひどかったので。ただし,5場所前は14勝優勝であるし,勝っている相撲だけ見れば相撲内容が極端に落ちたとも言えず,大きなケガがあるわけでもないから,来場所11勝くらいしてくれればしばらく延命しよう。

大関陣。照ノ富士は,場所前の手術は遅すぎる英断だったと思うが,さすがに調整が間に合わなかったか。来場所は稽古が間に合うと信じて。豪栄道は絶不調で,よく7勝できたなという印象。豪栄道の相撲は2016年9月の優勝で以後様変わりしていたが,今場所はそれ以前に戻る雑な相撲が多く,しかも不調なら不調で何とかしてしまう必殺技「首投げ」も今場所は見られず,一体何があったのやら。首投げできないようなケガでもこっそり負っていたとしても全く驚かない。7勝できたのは周囲の不調に助けられたのかもしれない。いや,負け越しているので助かってないけど。高安は大関になっても連敗癖は直らんね,と。連勝中の相撲の出来自体は悪くなかった。

関脇・小結。玉鷲は周囲の対策が進んだだけかと思う。やはりこの年からの大関取りは難しいか。代わって躍進著しかった御嶽海だが,こちらの評価は難しい。好調ではあったものの,相撲振り全体を見回してみると先場所から大きく力量が増したかと言われるとそうでもないような。攻撃力は高いが守勢に回ると脆かったかなと。嘉風は引き続きすごいですね,としか言えない。偉業だよほんと。琴奨菊はノーコメント。まあ,こうなると思っていたくらい。

前頭上位。正代はやたらと動きが鈍く,ここ数場所では最悪の出来だったと言ってよい。ケガでもなさそうだし,何だったのか。同じ星数だが,貴景勝の印象は悪くなかった。しかし,となると絶不調で5勝と奮闘しての5勝,どちらがよいのかという話かもしれない。ここに来て押し相撲が開花しそうなのは北勝富士で,御嶽海・正代・宇良に次ぐ若手四番手に成長したか(ここに輝と阿武咲を入れると6人衆になる)。宇良は右膝のケガだけが心配。右膝を軸にして防御を固めつつ動き回って撹乱するのが宇良の基本戦術なので,右足が機能しないと相撲全体の動きが止まる。後半の相撲は悲惨であった。輝は腰高い日と低い日に綺麗に分かれ,低い日は勝てるが高い日は負けるという単純な様子。まあ,全日高かった以前に比べれば随分と進歩している。

若手以外では栃ノ心の動きが良かったが,来場所も続くとはあまり思えない。栃煌山は「ここ数年で一番体の状態が良い」と自分で言っていたが,言うだけの動きではあった。12勝したとはいえ,それがこの地位で現れてしまったのは惜しく,どうせなら関脇・小結の地位でその状態であったら良かったのに,とは思う。

前頭中盤。阿武咲は来場所上位初挑戦になるが,どこまで通用するか。今場所までの出来を見る限りでは,輝・貴景勝と同程度で5勝かなと思う。逸ノ城は覇気のある日と無い日が極端で,ある日はぼちぼちの相撲になるが,無い日は身体に比して粘りがなさすぎる。対戦相手と星数で覇気を決めているようにも見える。覇気がないという点では隠岐の海も同様だが,どの程度病気の影響なのか。碧山の13勝は大したもので,番付と実力を考えれば上りエレベーターではあるのだが,それにしたってよく勝った。千代大龍は久々に幕内で活躍した。突き押しの威力がかなり戻ってきているのは間違いなく,MSP(明月院スペシャル)が出たのも彼にとっては好調の証と言えるかもしれない。前頭中盤最大の収穫は,案外千代大龍の復活かもしれぬ。

前頭下位。千代の国の相撲がアクロバティックなのは以前からだが,今場所は勝ち負けともに派手で,終わってみると8−7という地味な星に落ち着いたのは一周回って順当か。勝つときだけ派手ならもっと上で活躍できるのだが。豪風と宝富士は番付を考えると星数が少なかった。豪風は動きが悪そうに見えなかったが,最後二日は対戦相手が悪かった(碧山・輝)。なんでまたあんな前頭上位の力士と。宝富士は実は不調だったのではないかと思う。最後に千代丸。彼もまた久々に幕内で見た力士だが,丸い腹を上手く使った相撲を取っていた。豊ノ島を彷彿とさせる腹の使い方で,あの形にさえ持っていければ勝てるのだが,そうならない展開になると脆い。とりあえず前頭中盤では通用するが上位には通用しなさそうに見えるが,どうか。


  続きを読む

Posted by dg_law at 07:40Comments(5)

2017年07月21日

非ニコマス系動画紹介 2017.2月中旬〜2017.3月上旬



完結編。次は『サガフロンティア』へ。



非常に懐かしいものをやっている動画。本当にやるやつがいそうでいなかった種目ではある。




完結済。「〆脳勝利回数(51回)」はともかく,「10時間以内でクリア」がミソ。ご存じの通りFF8はイベントが長く,そこでかなりプレイ時間が削らっれるため,この制限によりじっくりカードゲームをやる時間がなくなっていて,低レベルながら強い魔法をジャンクションして突破,というのが難しくなっている。じゃあリミット技無双かというと,プレイ時間が短いと準備に手間をかけられないというジレンマ。FF8の縛りプレーというと,どういう縛りを課してもカード変化で強力魔法をジャンクションするかリミット技無双かのいずれかになりがちなところ,上手いこと縛ってその中間を行ったこの縛りプレーはなかなかすごいと思う。



おまけでブラック・ウィドウを倒しつつ実地試験満点を取るというアルティマニア超えに挑んでいる。



学園十色はこういうの作りやすいBGMだよなぁ。



こういう古参が乗ってきたのは,けもフレブームの特徴かもなぁ。ななひら愛してる。「古参のロリ」の語義矛盾感w



なぜに8bitアレンジはこんなにも人の心に効くのか。みゆはん巡回済。



文明の息吹を感じるMADである。「サーバルにとっては人類の技術を追う旅」というコメントがあって,確かにそうだなぁと。  
Posted by dg_law at 12:00Comments(0)

2017年07月18日

『絶対に解けない受験世界史2(大学入試問題問題シリーズ2)』が出ます

無事に2冊めが出そうです。担当編集の方による告知記事はこちら。





以下は1巻同様に,本書の紹介をFAQ形式で。

よくわかる! 『絶対に解けない受験世界史2 ―悪問・難問・奇問・出題ミス集』FAQ

Q.目的や内容は前巻と同じなの?
A.全く同じです。大学入試における悪問や超難問,出題ミスを収録・解説した本です。本気で難しくて解けない問題から,日本語の崩壊した問題,単なる誤植,笑える問題,珍しい問題など,多岐にわたって収録しています。
1.入試問題作成の杜撰さを世の中に訴えること
2.出題ミスの事例を集めて,出題者へ提供すること
3.悪問を笑い飛ばして当時の受験生の無念を供養すること
4.世の中の世界史マニアに難問を提供すること
を主な目的としています。以下,1巻と同じQ&Aは省略。


Q.収録範囲は?
A.前著で2014年の早慶上智・国立大を扱いましたから,それ以外の2014年の私大入試。2015・2016年は全大学,2017年の早慶上智・国公立大までです。2017年のその他私大は(2巻が好調に売れれば)3巻に収録します。


Q.今回はどんな問題が収録されてるの?
A.1巻同様に,帯に入れた例題を掲載しますと,以下のような様子です。

・地図をよく見ると,ペロポネソス半島がペロポネソス島になっている(中央大・法学部,2016年)
・セゴビアの水道橋に対する誤答が熊本県の通潤橋(上智大・2/5実施,2015年)
・指定字数が35字の論述問題なのに,指定語句だけで16字ある(慶應義塾大・商学部,2017年)
・カリフォルニア州に本拠地を置いていないIT企業を問う問題(早稲田大・商学部,2017年)
・ググっても11件しか出てこない(2017年5月26日現在)用語を出題(青山学院大・法学部A方式,2014年)
・最古のジーンズのブランドとして「リーバイス」を問う問題(東京外語大,2017年)

その他ですと,以下のような問題が代表例かと思います。

・まさかのセンター試験からの収録(2015年・2016年)
・ソ連よりの思想信条を取らないと明確には解答が出ない問題(明治大・情報コミュニケーション学部,2016年)
・中華人民共和国側の政治的立場を取るかどうかを問われていると見なされかねない問題(青山学院大・国際政治経済学部・法学部,2015年)
・ここまで出てそうで出ていなかった「宇宙大将軍」こと侯景を出題(明治大・法学部,2014年)
・2016年にもなって教科書からは消えている「モンゴル人第一主義」を論述で出題(福井大,2016年)


Q.前著の社会的影響で悪問が減ったってほんと?
A.前著の影響かどうかはわかりませんが,上智大は目に見えてひどい問題が減っていて,早稲田大も前著の時よりはまともな入試問題になっていると思います。前著も持っている人は見比べて,上智大や早稲田大の減少の様子を観察するという楽しみ方もできると思います。

また,その意味では今回の注目ポイントはMARCHだと思っています。特に明治大と青山学院大はむしろひどくなっている印象です。ブログ版で扱っていないからって批判されていないなんて思ったら大間違いだ,と各大学の担当者には言いたい。上記の例にも挙げましたが,特定の思想信条・政治的立場をとらないと解答が出ない問題は最悪だと思いますよ。


Q.対象読者は?
A.前著の時に「まず歴史好き全般」としつつ「教育問題に関心がある人」として,さらに「あえて対象を絞るのなら,研究職・大学教員の方には読んで欲しいかな」と書いたのですが,実のところ読むのはサブカル層だと思ってました。しかし,Twitterや読書メーター等の感想を拾って読んでいくと,意外にもちゃんと研究者・大学教員の方々,またかなりの数の世界史得意な受験生が読んでいたのには驚きました。引き続き,これらの方々にも届くとよいなと思っています。


Q.今回の書き下ろしの割合は?
A.さすがに前回の書き下ろしが3/4は無理がありました。あれを続けるのは労力的に死にますので,割合は下がっています。ですが字数を数えてみると,今回も半分ちょっとくらいは書き下ろし(書籍で初公開)のようです。


Q.またしてもめちゃくちゃ分厚いんだけど……
A.約410ページあります。大人の購読者は厚さを気にしていない様子でしたが,実は受験生の購読者からは「分厚すぎる」という苦情が散見されていて,担当編集の方に「薄くしませんか?」と持ちかけたんですが,いろいろあってこうなりました。(次があれば,薄くなる努力はします……)


Q.間に日本史版とか現代文版とか挟めなかったの?
A.挟みたかったです。このままでは「大学入試問題問題シリーズ」が世界史だけになってしまいます。他教科・他科目の執筆者急募。私は解答解説にジョークを挟まないと自分が耐えられないのでこういうスタイルですが,別にもっと硬質な文章で書きたい人はそれで構わないと思っていますし,逆に私よりもさらにジョークを挟みながら書きたい人はそれで書けばよいと思っています。また,全大学対象は労力的に無理なのであれば,早慶上智に絞った本にしてしまうのもアリだと思います。

なお,一応の類書として以下のような書籍があるのは見つけましたので,参考までに。(リンク先はAmazon)
・現代文:『哲学の誤読 ―入試現代文で哲学する!』入不二基義著,ちくま新書
・古文:『「無理題」こそ「難題」―大学入試古文問題を検証する』松岡義晃著,東京図書出版会


Q.出版社変わってない?
A.社会評論社からパブリブに変わりました。担当編集の方が独立された関係です。


Q.今回も正誤表を作るの?
A.極力誤植が残っていないことを祈りますが,作ります。この記事に正誤表を作る&重版がかかった際に直す予定ですので,あとでやんわりと教えていただけると幸いです。

<訂正表>
p.28 10行目 「ガズナ朝の創始者」は「ガズナ朝の最盛期の君主」の誤植。
p.69 コラム1 下から2行目,当然ながら「シュリーヴィジャヤ」と三仏斉が逆。
p.134  2016早慶36番 早稲田大 商学部(4つめ) 解説で「ブラウン判決は範囲外」と述べているが,用語集未収録なだけで,新課程の山川教科書本文には記載がある。ただし,解説全体の論旨には影響なし。
p.214 番外編4 「vritu」は「virtu」の誤植(2箇所とも)。
p.256 2015早慶15番 早稲田大 国際教養学部(2つめ) 国連憲章第1章を根拠とした派兵は初回の国連緊急軍のみで,これが制度化された以降のPKOは第6章を理論的根拠としている。実態として第6章と国連軍の規定がある第7章の中間的な活動になっているため,「6章半活動」と呼ばれる。ゆえにp.257の下から4〜7行は解説に誤りがある。
p.334 「立命館大 全額統一日程」は「立命館大 全学統一日程」の誤植。


<その他のご指摘>
p.367 2014その他24番 法政大 2/8実施分
解説で「権利の章典は法律ではなく憲法なので,誤答ではないか」と述べているが,「権利の章典も形式上は議会制定法なので,その指摘は無意味ではないかという指摘をいただいた。確かにそう考察することは可能であり,その場合4を誤答とする根拠が「終止符を打った法律は,直接関係しているといえるのかどうか」の1点しかなくなるので,より判断が難しくなる。正答の可能性が高まった。

  
Posted by dg_law at 19:25Comments(35)

2017年07月17日

「元寇」も「鎖国」も悪くないかと

・屈折とは(ニコニコ大百科)
→ 1・2の解説かと思ったら,3の言語学的な意味の解説という。なにゆえこんなに詳しくてわかりやすいのか。ニコニコ大百科,言語学系の記事がかなりガチなものが多いのだが,誰が書いてるんやろと思って調べてみたらEuroP貴方か。


・【巫女服】袖の飾り紐の発祥は?【巫女装束】(麻宮騎亜先生のツイート追加/更にまとめの反響追加)(Togetter)
→ 非常におもしろい文化史。1989〜93年頃に,水干と混ざって誕生したということか……と思わせておいて,江戸時代後期までさかのぼれるという。10年代でも赤い紐無しが駆逐されたわけではないのは,考証をしっかりやった作品というのが半分,デザイン的に無い方が良いというのが半分ではないかと思う。今後も混在しそう。


・ けものはいてものけものはいない—大石昌良『ようこそジャパリパークへ』特別インタビュー(後編)(Nizista (ニジ★スタ) )
→ いろいろとおもしろいインタビューではあるのだが,1点だけ。
>きっとニコ動に上がった『ようこそジャパリパークへ』の仮歌バージョンも耳にした方なら、「えっ、この声って楽曲を作った本人!?」と気づき、点と点が線として繋がった意識を覚え、余計に楽しく聴いてもらえるんじゃないかな? と思っています。
→ これを狙ってやっていたのには驚いた。偶然の出来事だと思っていたので。仮歌とコーラスは見事につながった「点」と「点」であり,すばらしい仕掛けだったと言わざるをえない。


・たまに「レヴィ=ストロース」と書かれた(綴りは忘れました)ジーンズを見かけますが(Yahoo!知恵袋 )
→ これ,実は2巻の作業をしていて,東京外語大が「リーバイス」を聞いていたので収録対象とし,解説を書くためにいろいろ調べていて,見つけてしまった。「これははてな村的に受けそう」と思ってブクマしたら案の定だよ,という展開だったりする。実は2010年5月の質問なので,新しくはない。
→ ちなみに,「リーバイス」の出来は悪かったようだ。現代の若者のうち外語大を受験するような層だと,案外リーバイスよりも哲学者の方のレヴィ=ストロースの方が知名度が高いのかもしれない。


・「聖徳太子」「鎖国」復活へ 指導要領改訂案を修正(朝日新聞)
→ 現在は有料会員限定記事となっているが,記事公開直後は無料会員で全文読めたので,私は全文読んでいると前置きした上で。
→ これ,右翼の攻撃で元に戻された「反動」「国粋主義的」な流れと批判されているのを見るけど,そうでもないような。仮にそうだったとしても,修正としては不適切ではない範囲であると思う。
→ 聖徳太子については以前書いた通りで,それ以上は特に無い。「元寇」は「モンゴル帝国の拡大をイメージしやすいよう、中学校では「モンゴルの襲来(元寇)」に変える予定だった」のを「元寇(モンゴルの襲来)」としただけなので,そもそも大きな変化ではない。というよりも「元寇」だけしか太字になっていないような教科書だったとしても,授業では当然モンゴル帝国の征服活動の一環だったことは触れられなければならず,教科書の用語の表記だけでそれが左右されると考えるほうが問題であろう。唯一「大和朝廷」を「大和政権」に変えるのは合理性があった。朝廷を特別視する意味はないし,高校日本史ではほぼ完全に「大和政権」になっているはずである。これが戻ってしまったのは他のものの巻き添えになってしまった気が。右翼も別にここにはこだわってなかったのであるし。
→ 最後に「鎖国」について。江戸幕府は実際には「四つの口」を持っていて諸外国との交流を完全に閉ざしたわけではない,外交問題を持ち込みそうな国々だけ締め出したのである,という教育に切り替わって,もう少なくとも10年や15年以上は経っているはずである。にもかかわらず,鎖国の語が否定的なイメージを持たれるのは15年以上前に義務教育を受け,その後情報を刷新していない人たちが余りにも多いためであろう。この鎖国騒動は,古臭い語のイメージを消す“ためにする”議論と化していて,生産性がない。
→ 鎖国は,当時の東アジア諸国で広く取られていた「海禁政策」と呼ばれる外交・貿易政策の一種である。国家が国交を結ぶ国を著しく限定し,貿易も強く統制するのであるが,似たようなことは朝鮮王朝も明・清もやっていた。それゆえに,日本特殊論を強化する用語として,つまり海禁と鎖国を別個のものとして扱うのであれば,私は反対だ。しかし,当然具体的な海禁の内容は各国によって差異があり,あくまで日本版の海禁政策を指して「鎖国」と呼称するのであれば,強く反対する理由はない。また,高校段階ならともかく,小中学校で「海禁」の語を出しても混乱するだけであり,より単純に「朝鮮や中国も,鎖国みたいなことをやってたんだよ」ということを教えるのみで十分である。高校日本史・世界史をとった高校生には「海禁」の語を教えてアップグレードすればよいのだ。  
Posted by dg_law at 07:00Comments(0)

2017年07月09日

ドラクエ11発売楽しみですね

・魔王は勇者の誕生をどうすれば止められるのか(Togetter)
→ ドラクエ的世界観,あるいはドラクエシリーズ諸作品そのものに限定して考える。参考文献。
→ するとまず,魔物は各々勝手に動いているだけで,魔王に忠誠を誓っている魔物はそう多くないということになる。だから5や6のように人間側に寝返るやつも出てくるし,他のシリーズでも自称「悪いスライムではない」スライムが出てくる。ドラクエ8に至っては自分が封印された状態であり,杖を通してでしか操ることができない。ドルマゲスが現れなかったら,物語自体が始まらないのである。してみると,魔王軍の規模は実はかなり小さく,そもそも戦略的に勇者を殺すということが困難である。強い魔物を満遍なく配置して,レベルが上がる前に勇者を抹殺というのは,完全な支配下に置けていない地域には不可能であろうから,残念ながらドラクエ的世界観では取れない。
→ しかも勇者一行は物語中盤あたりまではただの旅人一行と区別がつかない目立たない存在なので,「勇者一行だけを狙って暗殺」という手段も実のところかなり難しい。しかも多くの作品において,物語中盤までにはルーラが出てくるし,そうでなくともキメラのつばさもあるので,神出鬼没すぎて狙いようもない。
→ あとは魔王の目的にもよるだろう。全人類の抹殺が目的(シドー・デスピサロ型)であれば勇者かそうでないかの区別をつけずに見つけた人類を端から殺していけばよいが,ドラクエ6のライフコッドの村人のような事例もあるので油断はできない。ドラクエは5以降,必ずしも勇者が含まれないパーティーであっても魔王を倒せるのである。魔王の目的が人類の支配である場合,Togetter内にもあるように「善政を敷く」のが正解かもしれないが,限界はあろう。たとえばドラクエ1の竜王とドラクエ3のゾーマなら「世界を闇に閉ざすこと」が目的であるのだから,闇に閉ざされた中での善政と言われてもみたいなところはある。この点やはり狡猾だったのはオルゴ・デミーラである。人類に支配されていると気づかれないように,支配を進めていったのだから。命令に従って動く魔物の数も他のシリーズに比べて段違いに多く,返す返すも惜しかった。
→ というようにもろもろ詰めていくと,ドラクエ諸作品についてはTogetter内のコメント欄でウェポン氏が書いている通り,結論的には割りと仕方がなかったところが多い。付け加えて書くことがあるとすると,ドラクエ2のハーゴンは,ムーンブルクを滅ぼしたところで,以降は人類の攻略よりもシドーの復活儀式を優先させるべきと判断したのではないだろうか。あの儀式,おそらくとんでもなく手間と時間をかけているはずである。また,こうしてみるとドラクエ5・8・9と魔王自身が封印されていて,人類を支配する・滅ぼすスタート地点に立っていない作品も多い。


・総額約301億円!藤田美術館所蔵の中国美術品、記録的な落札結果を達成(Art Annual online)
→ 約4900万ドル(約56億円)で落札された「六龍図」の陳容は南宋の画家で,龍を得意とした。東博所蔵の「五龍図巻」は「伝」が付いているにもかかわらず重要文化財である。してみると,この藤田美術館のものはなぜ重要文化財になっていなかったのか。流出して悲しい気持ちが半分,藤田美術館の改装費用になるなら仕方がないなという気持ちが半分である。
→ なお,ボストン美術館所蔵の陳容の「九龍図巻」であれば,この秋に都美のボストン美術館展で来日する。このボストン美術館展で一番すごい作品はこれだと思うのだけども,一般への知名度の問題かそれほど宣伝の表舞台に立っていない。せめてこのブログの読者には宣伝しておきたい。
→ そういえば藤田美術館,1回くらいしか行ったことがない気が。しかも最後に行ったのは10年単位で前の大昔になるような。リニューアルしたら行こうかな。


・ 洋画のポスター、日本版はデザイン変えすぎ!? 映画配給会社の言い分は……(イーアイデムの地元メディア「ジモコロ」)
→ とにかく人を呼ばないと始まらないというのは収益を出す上で当然の発想であるし,その道のプロが経験則で考えてこういうデザインになるならそれが正解なんだろうな,とは思う。一方で,さすがに映画の趣旨が変わってしまうのはただの詐欺では。配給会社以外誰も得しない方向での改変は避けてほしい。こういう事例も多いわけでな……
・【更新】タイトルと内容が違う…?大ヒット映画の邦題「私たちのアポロ計画」に批判 配給会社に聞く(BuzzFeed)
→ そして案の定こういうことも後で起きたわけで。  
Posted by dg_law at 03:41Comments(4)

2017年07月03日

2017上半期ニコマス20選

ポータルwiki

今回も参加します。


総評
ニコマスもとうとう10周年である。あまり元気の無かった半年のように感じるが,デレステのノーマルPVに限れば元気だし,ミリシタも始まるし,来期はまだ元気がありそう。



  続きを読む
Posted by dg_law at 01:55Comments(0)

2017年07月01日

最近読んだもの・買ったもの

・『だがしかし』7巻。コンビニ進出,尾張一(ハジメ)さん登場,ココノツ君の漫画応募と挫折。
→ 前巻でまさかのメインヒロイン失踪からの新編。尾張ハジメさんはやっぱり「終わり始め」さんなんだろうか。ずぼらな大学生(中退)だが,これまでのメインメンバーに比べると多少なりとも社会を知っている(社会性はないけど)という点が新しい。そして巻の最後でほたるさんがさらっと再登場。多分,本格的に町に帰ってくるわけではない雰囲気なので,また当分現れなさそう。


・『リボンの武者』6巻。「大鍋(カルドロン)」の開催告知,各校修行編。
→ ほぼ試合のない谷間の巻。7巻からは当分カルドロンか。トーナメント戦らしいし,割りと長そう。
→ 相変わらずこの漫画の西住みほとダージリンは人間じゃない,少なくとも高校生ではないw。アニメは大洗の生徒目線,本作は主人公二人の主観とすると,確かにそういう風に見える人たちではある。ひるがえって,西住まほやカチューシャはまだ人間ということか。


・『アド・アストラ』11巻。イリパの戦い,イベリア制服完了,スキピオの執政官立候補&当選,任地シチリア,アフリカ上陸,ウティカの戦い。
→ イリパの戦いは例によって脚色がある。相手の空腹を誘う作戦は史実通り。豪雨は本作ではトレビアの戦いの再現としてスキピオが活用した形になっているが,実際にはスキピオの予想外の現象で,これのせいで追撃ができなかったようだ。ただし,描かれているようにトレビアの戦いの再現を狙ったという意味で上手い改変。マシニッサが捕虜になったのは本作の創作だが,これも後の同盟を考えると効果的な改変だったと言えよう。この漫画は先の歴史を知っていると改変の意図がわかりやすくて良い。
→ 西ヌミディア王シュファクスはソフォニスバ欲しさに国運を決めた醜悪な人物として描かれているが,西ヌミディアはそれ以前にマルケルスの誘いでカルタゴに攻め込んだのにローマの支援がなくて撤退したというローマ側の失策が先にあったという事情も一応ある。
→ スキピオの執政官立候補&当選はもう少し長く書くかと思ったらあっさり終わった。まあ,本作の見所は合戦であって政争ではないので。
→ ウティカの戦いにおけるカルタゴ・ヌミディア側の兵力9万3千は間違いなく誇張だが,リウィウスを引いているのでしょうがない。展開自体はほぼ完全に史実通りでこちらはほとんど脚色がないと思われる。脚色しないでも十分ジスコーネがださすぎる戦いだからであろう。次はバグラデス川の戦いからか。それとマゴの動きを追ってインスブリアの戦いをやって12巻が終わり,13巻でザマかな。


・『ゴールデンカムイ』9巻。土方歳三一派と杉元たちの合流,夕張脱出,ふた手に分かれて月形へ。白石の脱獄物語。鈴川聖弘の偽アイヌ村。白石が第7師団に捕まる。
→ p.12-13の上段の構図はもろにダ・ヴィンチの「最後の晩餐」。アシㇼパさんがキリストの位置,ペテロが杉元なのはいいとして,ヨハネが白石なのかよw。そして案の定キロランケがユダの配置。ここまでフラグがあるとかえって裏切らないのではないか疑惑も。
→ 尾形がすっかり「おちゃらけた一行になじめない真面目な子」の役にw。
→ 樺戸監獄の典獄は脱走されたのが発覚すると失脚するから,熊岸長庵を死んだ扱いにしていたところ,本当に死んでしまうという。結果的に情報が一致して合流した面々が驚くという場面が10巻にある。熊岸長庵が死に際に言った「贋作師は真作を凌駕してやろうという執念があるので,真作よりも材料からこだわったりする」というのは,こちらの陣営が贋作刺青人皮を見抜く手がかりとなるのか。  
Posted by dg_law at 22:25Comments(0)