2018年02月22日

非ニコマス系動画紹介 2017.7月中旬〜2017.8月中旬



これは押しかけ女房ですわ。「おまきれ」が運営に見切られていて笑った。



いつもの。Wiiスポーツネタは何か来ると思った。そういえばピンゾロ(が達成できなかった)ネタはまだ使ってなかったか。




主人公のダサいダンス,カミュとマルティナのキレッキレダンス,ベロニカの子供ダンスにセーニャのリズムがずれてるダンス,シルビアの予想を裏切るごついダンス,ロウの盆踊り,そしてグレイグのバンデルフォン音頭と,どれも個性がよく出ていてすばらしい。



てっぺい先生,久しぶりに見た気がする。




有名なスクエニのゲームでは珍しくもストーリー進行上の致命的なバグが見つかっておらず(特にFF1〜6では唯一だそうで),バグがなくてもやりたい放題できるFF5のイメージに反してTASは極めて普通に進めていくしかないというギャップが非常に面白い動画。



と思いきや,最終盤になってシナリオカットできるバグが発生。鍵は意外にもテレポの仕様だった。




エディさんがとうとうTASに参戦。最速タイムおめでとう……しかし,普段とやっていることがあまり変わっているように見えないw



長らく失踪していたノーダメージプレイが復活した。また呪いの爪を何万個単位で集めているようで,また投稿間隔が空きそう。気長に待ちましょう。  

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2018年02月19日

輝くジャーヒリーヤの時代

アラビア文字の墓碑東博のアラビアの道展に行ってきた。驚きの常設展チケットで入場できる=実質無料の企画展である。しかも全館写真撮り放題。総展示数424展で展示替え一切無し。さらに入り口の外にベドウィンのテントが張られ,テントに行くとアラビアコーヒーとデーツ(ナツメヤシ)のもてなしを受けられる(もちろんこれも無料,ただし先着順で完売有)。オイルマネーだ……

展覧会名はダブルミーニングで,古来通商路となってきたアラビア半島という意味と,サウジアラビア建国に至る歴史という意味が重ねられている。もっとも,展示の9割は前者で,後者はおまけという様子であった。とはいえサウジの政治観が全面に出たキャプションにはなっていて,たとえば中東地図の地名も,よくみるとペルシア湾ではなくてアラビア湾になっている。私以外の人はさして気にしていなかったけども。

展示は先史から始まっていて,とはいえ石器の類はどこも同じではある。ただし,新石器の頃は「緑のアラビア」だったからこそ石器が出土されるんだという指摘は確かにと。文明が始まると,ペルシア湾がメソポタミア文明とインダス文明の交易路になったのは近年知られるようになったところで,湾岸の遺跡からの出土品の石像や装飾具等が紹介されていた。前2500年頃の出土品,どう見てもメソポタミア文明の影響が明白な石像が多く展示されていて,石像の大きさもあって見ごたえがある。

そして前1000年を過ぎる頃になると,アラム文字や,その系統の文字が姿を見せるようになる。当然のことではあるが,高校世界史で教えられるアラム文字系統の文字とは,現在使われている文字につながっているか,歴史的に大きな意義をもったものだけであり,他にも使われなくなった文字は無数にあるのだ。そうしたアラム文字のバリエーションが刻まれた石板を多数見ることができる。多分,「ダーダーン文字碑文」とか一生で二度と見ることがないと思う。また,この頃の石板の図像がどう見てもアフラ・マズダで,もろにアケメネス朝の影響下である。紀元前3世紀を過ぎるとヘレニズム文化が伝わってきたか,彫刻のレベルが一つ上がった感じがある。ガラス器や銀貨も見られた。またギリシアから運ばれてきたか,もろにヘラクレス像やアルテミス像も発掘されていて,直接ローマの版図にはなっていないが,パクス=ロマーナの影響は見て取れた。『エリュトゥラー海案内記』の時代である。

これが7世紀になると突如として様相が変わる。アラビア半島は交易路という役割に,巡礼路という役割を担うことになる。アラビア文化の美術品で一際美しいものといえば書道であるが,今回の展示では墓碑が大量に展示されていた(今回の画像)。この画像は展示室のど真ん中,一番目立つポジションに設置されていただけあって,玄武岩の色味もあって大変美しい。実物を見に行く価値があるだろう。

この後はてっきりイスラーム美術の歴史が続くものだと思っていたら,なんと11世紀頃で展示物が激減し,以後は30年に1個のようなペースになって,特に18世紀半ばの次は19世紀末までぶっ飛んでいった。バグダードやらカイロ,イスタンブルにめっきりイスラーム世界の中心地の地位を奪われてしまっていたこの時期,とりわけオスマン帝国支配下は半ば黒歴史なのか,それとも至極単純に「イスラーム美術なんて大量に見せられても日本人は困惑するだけだろう」という余計なお世話なのか。プラスに考えれば,ジャーヒリーヤの時代のアラビア半島を紹介したかったのかもしれない。個人的にはそれよりも,もっとマムルーク朝・オスマン帝国時代のイスラーム書道や銀器,ガラス器を見たかったなと。最後は19世紀末からまた突然展示物が増えて,サウジアラビア建国の歴史の紹介ということで,主にアブドゥルアジーズの遺物が展示されていた。「アブドゥルアジーズ王の『クルアーン』」なんかもあり,建国は1932年,伝説的な初代国王の遺物が非常に新しいという,古くて新しい国家サウジの特異性が見える。  
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2018年02月18日

一生分の宸翰を見たのでは

仁和寺観音堂完全再現東博の仁和寺と御室派展に行ってきた。仁和寺と言われても徒然草のドジなお坊さんしか思いつかないという人,安心してほしい。私も今回の展覧会にあわせて調べるまでは似たようなレベルであった。仁和寺は宇多天皇が9世紀末に創建し,退位後に出家して宇多法皇となった際に居住していた寺院である。「仁和」は創建当時の元号。宗派は真言宗になり,完全な密教系。「御室派」の名は歴代の天皇の帰依を受け,歴代門跡(法主)も皇室出身者(親王・法親王)が受け継いできたという歴史があるため(幕末に皇室出身者以外に変わる)。同じような立ち位置の寺院としては同じく真言宗の大覚寺があるが,こちらの方が「大覚寺統」のおかげで有名であろう。なお,立地は龍安寺のすぐそこ,桜の名所だそうだ(が,京都に桜の名所は無数にあるので……)。

仁和寺はそうした事情から皇室縁の寺宝が多く,応仁の乱で建物はほぼ全焼しているが,寺宝は避難させていたため,中世以前の文化財がよく残っている。なにせ宇多天皇縁の9世紀末の仏像が今回の展示で出ているほどだ。その他仏像は今回日本全国の御室派の寺からかき集めているので,かなり豪華な展示となっている。密教らしく割りと派手な仏像,巨大な曼荼羅,五鈷杵などの仏具が並んでいた。密教らしく仏像のバリエーションが豊富で,如意輪観音とかいうレアキャラもした(私は観心寺以外に存在しているのを初めて知った)。その中で,普段は非公開となっている仁和寺観音堂の仏像33体(正確にはほとんどが天部・明王)が展示され,壁画も高精度画像で観音堂が完全再現されている部屋があり,しかもこの部屋は写真OKであった(今回の画像)。やけに気前が良い。この仏像33体は後述するように江戸初期に再建された時のもので,保存状態も良い。私は手持ちのスマホで雑に撮ったが,カメラガチ勢が一眼レフでばしばし撮っていた。気持ちはわかる。

また,今回の展示の目玉の一つは宸翰(天皇自筆の書)である。前述の理由から,仁和寺には大量の宸翰が残っている。その中で一際目を引いたのは後醍醐天皇の宸翰消息で,あまり書物の展示に興味がない私でもさすがに驚いた。他の天皇では高倉・後嵯峨・後宇多・伏見・後陽成・後水尾天皇といった面々で割りと濃い,というよりも歴代の天皇のものが大体全部あって,濃い人のを持ってきたのだろう。高倉天皇の宸翰は平徳子が後の安徳天皇を出産した時のもの。なお,後宇多天皇は仁和寺で出家して大覚寺門跡を継承し,大覚寺を主としつつ仁和寺を乗っ取る形で両派を統合しようとしたが失敗したことがあるそうな。一方,伏見天皇は持明院統の天皇で,両統の宸翰が並んで展示というのもおもしろい光景。そして後水尾といえば紫衣事件の人だが,応仁の乱でほぼ全焼した仁和寺を復興させたのも徳川家光という不思議なつながりも。

その他に空海自筆の経典も展示されていた。ぱっと見上手い字とは全く思えなかったが……あとは『方丈記』の13世紀当時の写しは,展示ではあまりクローズアップされていなかったがめちゃくちゃな貴重品では。ここで『徒然草』ではなかったのは,少々残念だったが。全体として,美術好き・仏像好きというよりかは密教好き・日本史好き・皇室好きな人が行くと楽しめる展覧会といえるか。特に日本史勢にお勧めしておこう。  
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2018年02月14日

ファンシーな作風と波乱の社運

《色絵金彩「皇帝」文コーヒーセット》パナソニック汐留ミュージアムのヘレンド展に行ってきた。ヘレンドはハンガリーの名門陶磁器ブランドであるが,同様の名窯のマイセンやセーヴル,ジノリ,ロイヤルコペンハーゲン等は概ね18世紀に王室や貴族の保護を受けて歴史がスタートするのに対し,ヘレンドはウィーン体制下の1826年(しかも実態としては1839年)にやっとスタートするので,比較的新興勢力である。しかも多くの名窯は近所に良い土の産地があって発展するところ,ヘレンドは土を輸入してのスタートだった。なぜそんなところに窯を建てたのか。しかし後発の強みはあり,1851年の第1回ロンドン万博の時には先行するメーカーと並んで高い評価を受けた。その後,1873年のウィーン市場株大暴落の影響を受けて破産しかけ,19世紀末にも経営不振で破産しかけ,一次大戦でも破産しかけ,やっと立ち直ったと思ったら二次大戦後に社会主義政権の下で国有化されるという,割りと過酷な歴史を辿っているという点でも,他のメーカーとはかなり立ち位置が異なる。

そのヘレンドの特徴というと,いつまでもロココ様式を引きずったところにある。19世紀のロココ様式なのでネオロココ様式と呼んだりするが,かわいくてファンシーで,透かし彫りを多用して造形美を全面に出し,ピンク主体の着色でカラフルである。今回の画像は1860年頃の作例だそうだが,デザインセンスだけ見ると前世紀に見える。個人的には,自分が使うことを考えなければけっこう好きなセンスだ(自分で使うにはファンシーすぎる……)

また,他のブランドはロココから始まりつつも時代に合わせて歴史主義やアール・ヌーヴォー等の流行を取り入れていったのに対し,ヘレンドも流行に乗っていくものの全面には出ておらず,20世紀初頭まで概ね主体はネオロココを貫いていた。だから不況のたびに破産しかけたのではというのは禁句のようだ。それでも何とか命脈を保ったのは,オーストリア=ハンガリー二重帝国という王侯貴族の文化が根付いた風土ゆえか。その他の特徴として,先発ブランドはどこも最初は中国陶磁器や古伊万里のコピーから始めて,けっこうそれを引きずるところ,ヘレンドは最初からかなり欧風であった。というよりも,マイセンコピーやセーヴルコピーに見えるものも多く,それらに並行して中国・日本磁器のコピーも入り交じるという様相であった。

1920年代になると創業者の一族経営から株式会社に変わり,経営のテコ入れが図られる。他のメーカーでもよくあるパターンで,伝統的な作品を作り続ける一方で外部から芸術家やデザイナーを招いてデザインの革新を図るという方式が取られて再建が進んだ。確かにこの時期の作品は妙にデザインが凝っていて,これまでのネオロココの作品とは明らかに異なる。しかし,このありきたりな路線になったからこそ,かえって特徴が薄まってしまったようにも。ともあれこの路線はありきたりながらやはり効果はあるようで,二次大戦中までは好調であったが,ハンガリーは敗戦した。ハンガリーが社会主義化するとヘレンドは他の陶磁器メーカーと一括りにされて,国有の陶磁器会社の一部門となってしまう。ヘレンドはこの会社の稼ぎ頭であったが,「芸術品ではなく庶民向けの小物を作れ」と制作が制限され,しかも収益は赤字メーカーの補填に使われるという苦しい状況が続いた。独自の貿易権を得て事実上の自立を果たしたのが1985年,完全に私企業に戻ったのが1993年だそうである。この1920年代から1993年までの期間は,ヘレンドとしては半ば黒歴史であるようで,本展覧会でもやたらと展示作品数が少なかったし,ヘレンドの公式ホームページを読んでも記述がほとんどなかった。

1996年に私企業としての再スタートと創業170周年を盛大に祝ったそうで,その時に撮影されたという工場の制作風景を映すムービーがフロントで流されていたで見ていた。ハンガリー人のイケてる風貌のおじさんたちが,繊細な手付きでピンク色を着色している姿はこう言ってはなんだが絵面がおもしろすぎるので,あのムービーはある意味必見である。  
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2018年02月13日

でも算術はCT5トードかな……

・ネットのグニャグニャ文字認証、AIが楽々突破(朝日新聞)
→ 私も時々失敗するのだが,世の中失敗する人が多いようで,「AIに突破されるんだったら意味がないから消えて欲しい」という意見が多数であった。そんなに嫌いじゃないけど,意味がないんだったらわずらわしいだけなので消えて欲しいというのは同感。


・第三世界で地位を築く――北朝鮮外交の姿とは 朝鮮半島研究 宮本悟氏インタビュー(SYNODOS)
→ 六カ国協議参加国以外にとっての北朝鮮は,安全保障上特に衝突するところがない。経済的互恵関係にあるならむしろ擁護する対象になりうる。そうして北朝鮮は国際的な孤立を避けてきた。ならず者国家でも要領よくやれば生き延びることができてしまうのが国際社会の面倒なところだろう。加えて核兵器があれば尚更潰しにくい。中朝間が思われているほど良好で無いのなら,北朝鮮にとってはより「それ以外の国々」と核戦力が生命線になってくる。意外としたたかな外交をしているという印象を受けた。


・日系議員オカムラがチェコの右傾化をあおる(NewsWeek日本版)
→ 前から思ってたけど,ヨーロッパで出てきた日系人の政治家がよりによってこんなのとは。チェコでの日本人の印象が悪くなりそう。
→ それはそれとしても,「チェコではイスラム教徒は人口のわずか0.1%で、深刻な難民問題も発生していない」なのにこんな主張が受けているというのは,なんとも。まあ記事の通り「国家消滅の脅威に怯えてきたチェコの歴史的な経緯と、欧州各国で相次ぐテロへの恐怖心がある」ということなんだろうけども。


・豪ケアンズの教会(?)で発見された謎の漢文書→清代秘密結社「洪門」の文書らしい…?【求情報】(Togetter)
→ Togetterによくある集合知で歴史的遺物解読シリーズ。完全解決はしていないが,かなりの当てがついている。まず間違いなく1926年の洪門会の本国とのやりとりであろう。
→ 一点だけ世界史的な観点から言及すると,オーストラリアの白豪主義は1850年代以降のゴールドラッシュの非熟練労働者として中国人を導入しておきながら,チャイナタウン化すると追放するというところから始まったわけで(全く同じ動きはアメリカのカリフォルニア州でもある),1866年時点でオーストラリアに中国人のコミュニティが存在していてもおかしくはない。無論1926年でも。1901年の段階で新規の非欧米系移民は禁止されているので,既存の華僑は相当に肩身は狭かったと思われるが。
→ 最後に出てくる「現在の洪門会日本支部」は……まあなんというか,スピリチュアルやね。


・即死系魔法って誰が使ってんの?(増田)
→ ブコメで「前提知識の有無が重要なようだ」と指摘されていて,確かにと。ドラクエシリーズのイカとか,サガシリーズの虫とか,いかにも効いてくれそうな奴(そして効かないと倒すのがしんどそうな奴)をぱっと見で見分けられるかどうかは,RPG慣れしているかどうかで大きく変わってきそう。
→ そういえばドラクエ11では即死魔法の命中率がかなり上がっていて,有効性があった。あれも「特定の敵にしか即死魔法が使われない」という過去の反省によるものだったのかもしれない。
→ FF5のレベル5デスとFFTの算術デスは使い勝手が良すぎてな……ああいう工夫があると即死魔法も使うハードルが下がるのかも。  
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2018年02月11日

高大連携歴史教育研究会の「歴史系用語精選案(1次案)」について

この高大連携歴史教育研究会の,「歴史系用語精選案(1次案)」(pdf注意)について。アンケートの締切が2月末なので,三連休を活かしてそろそろ書いておきたい。このブログ記事の改定版をアンケート回答として投稿する予定。1週間ほど,ひとまず本ブログ読者の反応を待ちます。


・用語を減らす動き自体について
私は高大連携歴史教育研究会の,教科書に載せるべき用語を減らす活動について,受験世界史研究家としての立場から,基本的に賛同の方針を示してきた。それは拙著の終章で1巻・2巻ともに繰り返して主張したように,「単純な暗記科目化させた方が受験生も高校教員も大学教員も(表面的には)楽」ということから負のスパイラルが生じ,いつの間にやら高校生にとっては苦行でしかないような量の用語数に膨れ上がてしまったことによる。それも,細かすぎて専門外の大学教員が扱えばすぐさま悪問や出題ミスに直結する用語が増えた。また高校生側の視点で言えば,まず間違いなく覚えても人生の豊かさに直結しない用語が多く,その点から言っても苦行である。

その意味で,この「歴史用語精選案」の動きはすばらしい。拙著の最終章(2巻であればpp.408-409)で書いた「専門家や知識人がきちんと声をあげること」「各教科書会社は,潔く収録語句を減らすこと」という提唱に完全に合致する動きであるから,私が反対するわけがない。また,現段階においては小異を捨てる姿勢であるべきで,参加プレイヤー間に多少の意見の違いがあろうとも,ひとまず実感として明確に教科書や大学入試の側が変わったと思えるようになるまでは,このまま走っていくべきであろうと思う。

ということを前提としつつ,「歴史用語精選案」を精査したのだが,実際のところ不満点はかなりある。以下に項目別に列挙しておく。


・大学入試の観点から言えばこの用語リストは片手落ちで,難関私大の入試に影響を与えにくい。
私の立場からすると,これが最も強い不満点になる。このリストの影響を受けるのはセンター試験(あるいは新センター試験)までで,ほとんどの私大・国立大には影響を及ぼさないとかんがえられる。世界史の無意味に多い暗記量に苦しめられているのは多くが私大専願の受験生であり,あの地獄から逃げるために世界史は受験者を減らしてきたという現状がある。国公立二次・難関私大の出題に制限をかけないと,本質的には解決しない。

ということを踏まえると,学習内容の多様性を失わせないためとはいえ,「リスト外の用語を教科書に掲載することを否定していない」等という生ぬるい主張では根本的な問題の解決は難しいのである。特に,難関私大の範囲外からの出題,あるいは「教科書や用語集に記載があれば,1字1句でも範囲内と見なす」「知らないよりは覚えている方がよい」という理屈を使った出題の悪辣さを理解していない。その悪辣さについては私が散々糾弾してきたところである。「歴史の暗記科目化を克服し、思考力育成型科目に転換することが目標」というのをもう一度思い出してほしい。あるいは,「大学入試で出題していい用語リスト」を全く別に作るということであれば,本精選案はこのコンセプトでもよいと思う。御一考願いたく,提案する。


・「2000語」という総数に大した根拠がなく,無理やり収めた印象が強い。
2000語という縛りは「高校教員の経験を参考にして、1時間(50 分)で十分な説明をしながら教えられる用語を15 個程度として見積もっている」ということだが,実証的に証明された数字ではあるまい。また,そこを基準にすること自体に違和感がある。高校教員にも個人差はあろうし,高校生の側にも当然個人差はある。何かしらの統計をとって平均値や中央値を調べてから,語数を設定すべきではなかったか。

また,これに伴って無理くり2000語に収めた印象が非常に強い。少なくとも,地名・民族名・国名を世界史用語ではないとして消しているのは卑怯である。高校世界史で初出,あるいは深掘りする地名・民族名・国名は,高校生にとっては事実上の世界史用語であり,それで「用語の総数を減らしました」と言っても説得力がない。上述の「1時間で15語」の1語レベルの負担になっている。つまり,実態としては2000語オーバーになり,高校生の負担は減っていない。あるいはそれらは中学や高校の地理で触れているはずのところであるから追放した,という発想なのだとすると,結局負担を他科目に移転しただけであり,世界史のことしか考えていないという批判は生じるところだろう。真摯に用語を減らしたいのであれば,こういうことをやってはいけない。アンフェアである。

また,「一般的な文章で説明すればよい事柄は採録しなかった」ということであり,これは現行の高校世界史の学習が用語ベースであるという弊害が表面化したものであるから,高大連携歴史教育研究会としては用語ベースの風潮自体を破壊したいという考えが現れたところなのだと思う。しかし,後述するようにこのリストはあまりにも説明不足であり,研究会に参加していない他の高校世界史のプレイヤーからすると,「現行の歴史学で重要ではなくなったから消した」のか「用語とはみなしていないから消した」のか区別がつかず,論評しようがない状態である(私自身は『市民のための世界史』等を参照にしながら当てをつけた)。特に,こう言ってはなんだが本研究会の動きを全く知らないような高校教員・予備校講師からすると「用語から消えたのなら教えなくていいんだな」という手抜きの手段に使われかねない。用語の精選案をせっかく世に問うたのだから,「学習内容改善案」も合わせて世に問うべきではなかったか。上述の別リスト案とあわせて提案する。


・消された用語に対する説明が無く,英断と言える用語が多い一方で,なぜ消されたのかわからないものがある。
上述の通り,消された理由が説明されている用語が少なく,なぜ消えたのか理由をこちらから推察しなければならず,その作業が非常に煩雑であった。とはいえ,作業をやってみると消えた理由がよく理解できる用語がほとんどであった。まずは,その英断を評価したい。せめてこれくらいの説明は付してほしかったという意味合いを兼ねて,私が消された理由を推察したものを別記事に挙げておくので,適宜ご参照されたい。ここでは,その中でもさらに一部分をピックアップして書いておく。

◯アイスキュロス・ソフォクレス・エウリピデス
→ これらに限らず,現行の世界史の文化史は収録基準がぐちゃぐちゃで非常に気持ち悪いので,再整理が必要。少なくとも古代ギリシア・ヘレニズムは明らかに多すぎる。
◯占田・課田法
→ これに限らず,実施や実態が怪しい法律・制度は全廃で良い。天朝田畝制度とか。
◯「貞観の治」・「開元の治」
→ それぞれ善政としての実態がなく,「実態がないのに善政と見なされてきた理由は何か」というところまで踏み込むなら「思考力を養成する歴史の授業」としての意味もあろうが,高校世界史の段階としては深掘りしすぎの感があり,不要ということだろう。あわせて「武韋の禍」を消したのも良い。
◯タラス河畔の戦い
→ 近年,製紙法はそれ以前から伝播していたという異説がある。
◯ギリシア正教会
→ 「正教会」に置き換えるとのこと。「ギリシア」がついていることでかえって誤解を生むので。すばらしい判断。
◯「1054年の東西教会分裂」
→ 実際には両教会とも全く重視していない年号。この年号をひどく重視するのは高校世界史の特殊ルールと思われる。
◯ジョン=ケイ・ハーグリーヴズ以下綿織物産業関係者
→ これは大賛成。世界史は綿織物産業史ではない。
◯五港通商章程・虎門寨追加条約
→ 「南京条約の付随条約」と教えてよいということなら,大いに賛成する。

一方,消えた全く理由がわからないものがそれなりに多くあった。こちらも別記事に書きつつ,ここでもピックアップして述べておく。

◯アンコール=ワット
→ ボロブドゥールが残っているのにアンコール=ワットが消されているのは意味不明。
◯郷挙里選
→ これも「九品中正」が残っているので,郷挙里選がなくなるとかえって説明が難しくなる。あるいは「推薦制」という一般名詞(?)で置き換えて教えてよいということか。いずれにせよ説明が欲しい。
◯アイユーブ朝
→ ファーティマ朝・マムルーク朝・サラディンとあって,アイユーブ朝だけ無いとなるとさすがに説明がないと全く理解できない。
◯ヴェネツィア・フィレンツェ
→ 「地名だから」で機械的に消された最たる例だと思う。高校生なら世界史をやらなくてもヴェネツィアやフィレンツェくらい知っているだろう,ということであれば反対する。
◯ガリレイ
→ 報道で話題になった部分だが,やはり必要と思う。ただし,配置はルネサンスではなく科学革命にすべき。そうであれば尚更,高校世界史で触れる価値が出てくるので。
◯ルター派
→ 「ルター」があるから不要,とはちょっといかないだろう。こういうところに「無理に2000語に収めた感」が強く出る。
◯バロック(・レンブラント・ルーベンス)
→ ここを削るくらいなら古典主義もロマン主義も印象派も消して「高校世界史では美術史を一切扱いません」と言ってもらった方がまだ納得が行く。個別の画家・作品名はともかく,バロックという概念はヨーロッパ文化を理解する上で必要では。ロココがなくなるのはまだ理解できなくもない。
◯マリ=アントワネット
→ 教養として必要・不要のレベルであれば,ジャンヌ=ダルクと大差なく言及される人物と思う。
◯普墺戦争・普仏戦争
→ ドイツの統一戦争は一切教えなくて良いということか。「鉄血政策」も無いし。
◯モンロー・ジャクソン
→ それぞれ「モンロー宣言」「ジャクソニアン=デモクラシー」はあるので,人名の方がないというのは2000語以内を目指す上でカットしたとしか思えず,欺瞞である。
◯康有為
→ 梁啓超は残っている。学説に変化があったなら説明が欲しい。
◯武断政治・文化政治  
→ 日本史の方にもない。「日本は朝鮮統治で朝鮮人の識字率を向上させた」というようなまやかしに対抗する上で,きっちりと内情を教えておくべきであろう。その上で用語は必要であるし,覚えてもらった方がよい。
◯張学良・重慶・汪兆銘・ノモンハン事件
→ 日本史の方にはある。にもかかわらず世界史で無いのはバランスが悪い。


・同様に増えた用語に対する説明が無く,いくつか疑問点がある。
今回提示されたリストは,基本的に既存の用語を削減したものであるが,新たに収録された用語もある。これらも基本的には新期収録の理由がよくわかるものが多い。たとえば中華民国の「訓政」を入れたのは英断だろう。あれはあったほうが圧倒的に説明しやすい。「アジア間貿易」「財政革命」「権威主義」あたりもありがたい(財政革命・権威主義は元々あるが用語集頻度が 法「国旗・国歌」「義務教育」「文明化の使命」が入っているのもおもしろい。一方で,やはり一部には疑問がある新用語もある。「勤勉革命」を日本史用語ではなく世界史用語として入れるのは時期尚早であろうし,「貧困の共有」もまだ扱いが難しい用語だろうと思う。無論のことながら,概念を教えてはいけないということではなく,教えて高校生同士に議論してもらい理解を深めるのであれば,もっと固まっている概念だけでも十分なはずである。

「核の平和利用」「人間の安全保障」あたりになると,高校世界史と言っていいかどうか議論があろう。「積極的平和主義」は,安倍さんが言っているものと本来の概念は違うということを言いたいのだろうか。気持ちはわかるが,これらは公民的である。科目が分かれている意味を考えたいところ。「コミュナリズム」は重要ではあるが,高校世界史の範囲であればまだターム化する必要を感じない。また,あれだけ過去の文化史の用語を消しておいて「言語論的転回」が新収録というのも違和感がある。「ラロトンガ条約」が増えているのも,なぜ南太平洋だけが特権的に取り上げられているのかわからない。「条約による非核地帯化」ということを教えたいのであればそう教えればよく,ここで具体的な条約名を挙げるのはリストの趣旨に反していないか。

以上。  
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「歴史系用語精選案(1次案)」への具体的指摘事項

こちらで書いたものの,具体的な指摘の詳細版。


・消された理由を推察し,肯定的に評価しているもの
【古代】
◯ミタンニ・カッシート・リディア・メディア
→ 古代オリエント史全体の流れから鑑みて,具体名は不要。こいつらのせいで多くの高校生がオリエントで早くも脱落するので,消すのは正解だろう。
◯アメンホテプ4世
→ ここから一神教が始まってエジプトにいたヘブライ人に広まり……は端的にって偽史なので。
◯アイスキュロス・ソフォクレス・エウリピデス
→ これらに限らず,現行の世界史の文化史は収録基準がぐちゃぐちゃで非常に気持ち悪いので,再整理が必要。少なくとも古代ギリシア・ヘレニズムは明らかに多すぎる。
◯ダキア・パンノニア
→ それぞれルーマニア・ハンガリー大平原で問題ない。その他も含めて基本的に古代名不要(ビザンティウムのような例外以外は)。
◯アリウス派・ネストリウス派・単性論派
→ 異端の教義まで高校世界史で覚える必要を全く感じない。単性論派に至っては教科書・用語集が間違っていることすらあるので(コプト派は単性論ではない),教える側がわかってないのに教えられるはずがない。ただし,「景教」も必然的に消えることになるのはちょっと惜しい気も。
◯儒家・道家・法家・兵家以外の「諸子百家」
→ ここはさすがに漢文にアウトソーシングしても,世界史が怒られる筋合いはないと思う。
◯占田・課田法
→ これに限らず,実施や実態が怪しい法律・制度は全廃で良い。天朝田畝制度とか。
◯「貞観の治」・「開元の治」
→ それぞれ善政としての実態がなく,「実態がないのに善政と見なされてきた理由は何か」というところまで踏み込むなら「思考力を養成する歴史の授業」としての意味もあろうが,高校世界史の段階としては深掘りしすぎの感があり,不要ということだろう。あわせて「武韋の禍」を消したのも良い。
◯タラス河畔の戦い
→ 近年,製紙法はそれ以前から伝播していたという異説がある。

【中世】
◯ギリシア正教会
→ 「正教会」に置き換えるとのこと。「ギリシア」がついていることでかえって誤解を生むので。すばらしい判断。
◯「1054年の東西教会分裂」
→ 実際には両教会とも全く重視していない年号。この年号をひどく重視するのは高校世界史の特殊ルールと思われる。
◯ヘンリ2世・ヘンリ3世・エドワード1世・エドワード3世
→ 中世イギリス史は国王の名前が多すぎるので,減らすのは賛成。
◯ゲルフ・ギベリン
→ 教皇派・皇帝派でよいので,無用なカタカナということだろう。

【近世】
◯オイラト・タタール
→ 「モンゴル」への言い換えで問題ないので。
◯マンサブダール制
→ 官僚制への言い換えで問題ないので。同様にイクター制があるならジャーギールも不要。
◯「神聖ローマ帝国の死亡診断書」
→ 近年では「別に死んでない」という説の方が有力。
◯長老派・独立派・水平派・真水平派
→ これらに限らず,17世紀イギリスは細かすぎるので大幅なカットで正解。

【近代】
◯ジョン=ケイ・ハーグリーヴズ以下綿織物産業関係者
→ これは大賛成。世界史は綿織物産業史ではない。
◯五港通商章程・虎門寨追加条約
→ 「南京条約の付随条約」と教えてよいということなら,大いに賛成する。
◯ドイツ社会主義労働者党・労働代表委員会
→ それぞれ現在の政党名だけで十分ということなら賛成する。
◯クーデンホーヴェ=カレルギー
→ ヨーロッパ統合に実態として影響力がなかったので。


・消えた理由がわからないもの,あるいは消すことに反対しているもの
【古代】
◯三段櫂船
→ 「ガレー船」あるいは「手漕ぎ船」に言い換えるから消すということであれば理解できるのだが,そのまま無くなるのは問題が大きい。現在の高校生が「前近代では帆船と並んで手漕ぎの船も主体だった」というのを常識的に知っているとは思えないので,これは歴史用語だろう。
◯衆愚政治・デマゴーゴス(デマゴーグ)
→ これもほとんどの高校生にとっては一般名詞でなく,ここが初出では。こんなご時世であるので,古代ギリシアから人類が抱える問題として挙げておくメリットは大きかろう。
◯イデア(論)
→ プラトンは残っている。これに限らず「Aは消したがBが残っており,Bを説明するのにAは必要不可欠」というパターンが多く,「この場合,Bはどういう教え方をしてほしくて残っているのだろう」と全くわからない。
◯ペテロ
→ ローマ教皇という制度の説明や,聖ピエトロ大聖堂の語源としていずれにせよ登場するはずであり,消しても無意味では。
◯チョーラ朝
→ チョーラ朝が消えたことが問題というよりも,南インドの王朝が何もなくなっていたのが問題。高校生は「王朝が出てこないところは未開の土地か無人の荒野だった」と勘違いするので,何かしら1つは王朝名を挙げた上で「本当は無数の王朝が興亡していたけど,煩雑になるので高校世界史上はカットされてます」と教員が補足するくらいにしておかないと怖い。また,実際にチョーラ朝はシュリーヴィジャヤ遠征やバクティ運動でも登場するので重要だろう。
◯アンコール=ワット
→ ボロブドゥールが残っているのにアンコール=ワットが消されているのは意味不明。
◯鉄製農具(春秋・戦国時代)
→ 概念語に「鉄」を設定したから不要,ということなのだろうか。果たした重要性を鑑みると「農具」であることに重点があるのだから,分けて用語として立ててほしいところ。
◯陳勝・呉広の乱
→ 中国史上初の大規模農民反乱という歴史的意義は大きかろうと思う。赤眉の乱など,後世の乱が消えているのはわかるが,さすがにこれは市民的教養の範囲では。
◯郷挙里選
→ これも「九品中正」が残っているので,郷挙里選がなくなるとかえって説明が難しくなる。あるいは「推薦制」という一般名詞(?)で置き換えて教えてよいということか。いずれにせよ説明が欲しい。
◯階段型ピラミッド(メソアメリカ文明)
→ エジプト文明で「ピラミッド」を消していないなら,こちらも残すべきでは。
◯宋(南朝)
→ 「倭の五王」があるのに,その朝貢先が無いのはかえって説明が難しい。
◯雑徭(唐)
→ 高校生にとっては労働自体が租税であるという発想自体が無く,中世西欧の賦役(労役)とあわせて世界史上の現象として教えるべき。というよりも,中世西欧に労役が残っていて,こちらの雑徭が消えているのはバランスが取れない。概念語として「労役」として括るのならまだ理解できるが,そうなっていないのは意味不明と言わざるをえない。

【中世】
◯カーバ
→ ムスリムはどこに巡礼して,毎日どの方角に向かって礼拝しているのか,という説明に必要では。「メッカ」でよい,という考え方なら反対。
◯アイユーブ朝
→ ファーティマ朝・マムルーク朝・サラディンとあって,アイユーブ朝だけ無いとなるとさすがに説明がないと全く理解できない。
◯イクター制
→ 中世世界の特徴を説明しづらくなるが,よいか。中世西欧の封建制と実質的に同じだったと見なして,概念語の「封建制」で説明してよいのなら,イクター制は不要になるが,それで中世中東史の歴史家は怒らないか。その判断は我々の側では能力的にできないので,専門家の明確な判断がほしい。
◯マジャール人
→ 「ハンガリー人」と教えてよいということか。あるいは中学の地理の分野に投げたということか。いずれにせよ不適切な削除と思う。
◯共同利用地(入会地)  
→ 近代以降の土地制度との違いを明示すべく必要。概念語扱いでもいいくらい。
◯不輸不入権・領主裁判権
→ 領主の自立を支えた制度では。文章だけで説明して,わかりやすくなるとはあまり思えない。また,不輸不入権は概念語と見なすことも可能で,中学の日本史で出てきた気も。それほどとっつきにくい言葉でもないのでは。
◯ヴェネツィア・フィレンツェ
→ 「地名だから」で機械的に消された最たる例だと思う。高校生なら世界史をやらなくてもヴェネツィアやフィレンツェくらい知っているだろう,ということであれば反対する。
◯リチャード1世・ジョン王
→ さすがにイギリス王を消しすぎでは。ウィリアム1世も消されているので,中世イギリスの国王が誰も出てこないという事態になってしまう。サラディンとマグナ=カルタがあるので,この2人くらいはいてもよいだろう。フランス王も同様の理由でフィリップ4世以外全員カットされているが,フィリップ2世とルイ9世はいてもよいと思う。
◯『アーサー王物語』
→ 騎士道文学の代表格であり,現在の日本でも有名で,ジャンヌ=ダルクと同じくらいには市民的教養の範囲では。
◯高麗青磁
→ 「朝鮮には文化がなかった」とかいうネット右翼の言説をのさばらせないためにも,タームとして強調して置いた方がいい。

【近世】
◯前期倭寇・後期倭寇
→ 前期と後期を区別して教えなくてよいということなのか,あるいは前期・後期は一般名詞だから不要とされたか。いずれにせよ,余計にわかりにくいので反対。
◯李自成
→ 李自成反乱なしに明清交代を教えると,確実に「清が明を滅ぼした」という誤解が世間一般に流布することになるが,中国史家はそれでよいか。固有名詞無しの説明で説明できるとは思えない。
◯郷紳(明清)
→ 「地方有力者という表現で一般化」とあるが,中国史上にだけ登場する特殊な地方有力者であるので,説明としては片手落ちである。洋務運動あたりまで視野に入れるなら,独立した用語として置いた方が良い。
◯マテオ=リッチ・ブーヴェ
→ 明清期のイエズス会士が全員いなくなっているが,これは「ザビエルの日本布教だけで十分」であり「中国・ヨーロッパ双方への文化的影響は教えなくてよい」ということか。どちらなのか判断がつかない。仮に固有名詞なしに説明可能と考えているのであれば反対。ネルチンスク条約締結の交渉にイエズス会士が入っていたり,明末清初のイエズス会士の影響は意外と大きく,固有名詞を出す意味はある。
◯『紅楼夢』
→ 中国文学史上の最高傑作ですが。本当に消しますか。
◯マニラ
→ 日本史側のリストでは残っており,統一がとれていない。アカプルコ貿易での登場となる以上,中学の地理で触れているからカットというのは機械的すぎる判断では。
◯デューラー
→ ルネサンスがフィレンツェとローマだけで完結するかのように教えるの,本当にやめてほしい。
◯ガリレイ
→ 報道で話題になった部分だが,やはり必要と思う。ただし,配置はルネサンスではなく科学革命にすべき。そうであれば尚更,高校世界史で触れる価値が出てくるので。
◯ルター派
→ 「ルター」があるから不要,とはちょっといかないだろう。こういうところに「無理に2000語に収めた感」が強く出る。
◯工場制手工業(マニュファクチュア)
→ 家内制手工業から一足飛びで工場制機械工業になったと勘違いされても困るのでは。
◯ハノーヴァー朝・ウィンザー朝
→ これ以前の王朝名は大体出てるのに,現王室だけ無いというのは意味不明。
◯ジブラルタル
→ 未返還ですし。
◯ナント王令廃止
→ ナント王令があるからカット,というのは無理がある。「廃止」自体がタームになっているので。「ジャガイモ飢饉」も同じ。
◯第2次英仏百年戦争
→ 「ウィリアム王戦争・アン女王戦争・ジョージ王戦争・フレンチ=インディアン戦争」をまとめてカットするのは反対しないが,これらを削除するからこそ第2次英仏百年戦争は残すべきだろう。
◯バロック(・レンブラント・ルーベンス)
→ ここを削るくらいなら古典主義もロマン主義も印象派も消して「高校世界史では美術史を一切扱いません」と言ってもらった方がまだ納得が行く。個別の画家・作品名はともかく,バロックという概念はヨーロッパ文化を理解する上で必要では。ロココがなくなるのはまだ理解できなくもない。
→ 古代ローマのプルタルコスやタキトゥスが残っているのに,バロックは概念ごと消されるというのはあまりにもバランスが悪い。やはり文化史全般再考が必要。


【近代】
◯輪作農法
→ 高校生にとって「輪作」自体が目新しい概念と思われる。ノーフォーク農法は消しても問題ない。
◯茶法
→ ボストン茶会事件が残っている以上,茶法だけ消すメリットがない。
◯ジェファソン  
→ 独立宣言起草者・3代大統領・反連邦派の代表的人物とアメリカ史上の最重要人物の一人だが,本当に不要という判断でよいか。
◯マリ=アントワネット
→ 教養として必要・不要のレベルであれば,ジャンヌ=ダルクと大差なく言及される人物と思う。
◯普墺戦争・普仏戦争
→ ドイツの統一戦争は一切教えなくて良いということか。「鉄血政策」も無いし。
◯モンロー・ジャクソン
→ それぞれ「モンロー宣言」「ジャクソニアン=デモクラシー」はあるので,人名の方がないというのは2000語以内を目指す上でカットしたとしか思えず,欺瞞である。
◯ヴェルディ
→ 私は日本代表の応援チャントを作曲者の名前も知らずにするような日本人を育成したくない。その他,そこら辺まで考えて削ったのか,機械的に「全員要らない」としたのではないかと思うような大雑把な文化史圧縮には大いに疑問がある。
◯台湾出兵
→ 琉球の地位問題で日本が有利になった決定打では。
◯康有為
→ 梁啓超は残っている。学説に変化があったなら説明が欲しい。
◯武断政治・文化政治  
→ 日本史の方にもない。「日本は朝鮮統治で朝鮮人の識字率を向上させた」というようなまやかしに対抗する上で,きっちりと内情を教えておくべきであろう。その上で用語は必要であるし,覚えてもらった方がよい。
◯張学良・重慶・汪兆銘・ノモンハン事件
→ 日本史の方にはある。にもかかわらず世界史で無いのはバランスが悪い。


【大戦後・現代史】
◯キリスト教民主同盟
→ 現代政治に生き残っている政党は残すべき。
◯九・三〇事件・ルワンダ内戦・アジア通貨危機
→ 事件自体の知名度や現代への影響を考えるとあっていいだろう。  
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2018年02月04日

所蔵品目録の作成は大事よ

・プリンセス・プリンシパル レビュー・感想 コキジバトの巣の上で(とっぽいとっぽい。)
→ お前も『プリンセス・プリンシパル』の感想書けよとけしかけられてはいるが,正直これに付け足すところがないんよな。
→ その上であえて言うとすると,全編通しておもしろかったけども,どちらかというと1〜6話の方が熱があって,7〜10話はやや消化不良感が強い。もちろん7話のギャグ回や6・10話のドロシー回に9話のちせ回,8話の過去回とそれぞれ役割はあって11・12話につなげた意味はわかるのだが,1〜6話の熱の入れ方なら脚本にもう一捻りあったような気はしている。それだけに実は11・12話は本当に綺麗にまとまるのか不安だったのだけれど(前評判がぱっとしなかった理由として制作陣に投げっぱなす傾向があると言われていたような),さすがに11・12話はかなり戻してきた。とはいえ,11・12話も完璧だったかというと,「あとは2期に投げます」仕様ではあり。回収されていない伏線の他に,指摘されているようにケイバーライトが設定の割に利用され尽くしたとは言えないし,ノルマンディー公も果たした役割の割に目立ちすぎで,もやもやするのは確かである。2期が来ないと「完璧な名作」とまでは言えないかなぁというのが,2期を来ると信じている立場の“暫定的な”感想だったり。


・ロダン作のナポレオン胸像、米市庁舎で偶然発見 80年間誰も気づかず(AFPBB)
→ 夢のある話。ただし,真面目な担当者なら目録制作上いきなり「作者もタイトルも不明な胸像」とは絶対にせず,可能な限り調べてからあきらめるので,まず署名は探すだろう。美術史学を先行している大学生ならそうする。私でもそうする。そこでA.Rodinなんて署名を見つけてしまったら,かえって胡散臭く思うかもしれない。そういう意味では,そこまではっきりした証拠があるのに今まで全く調べてこなかった,あるいは目録自体作成しようとしていなかった市役所側に問題がある。市の所有物であるから,市民の財産である。今回はバイトの学生の活躍で助かったが,場合によっては数億円の損失だったわけで,普通に笑い事ではない政治問題であり責任問題では。
→ ちなみに,私も東大博物館でアルバイトしていたので,こういう目録作りはやったことがある。サイズ測って作者と題名を調べてExcelに記入して写真撮って,割と楽しい。黒田清輝が当時の医学部教授を描いた油彩画が出てきて,署名を見てめちゃくちゃ驚いた覚えが。当時は収蔵庫の中だったが,今はKITTEの方に飾られている模様。


・同人PCギャルゲー『ネコぱら』が170万本の大ヒット! 売上の9割が海外、ヒット理由は猫だから?【インタビュー:イラストさより氏&シナリオ雪仁氏】(電ファミニコゲーマー)
→ ネコぱらシリーズ,170万本も売れているのは驚いた。シリーズ累計なので,40〜60万本が3本にFDが20万本くらいではないだろうか。もちろん,十分にすごい。さよりさんは昔から同人誌を勝っていたので(多分極初期を除けばほとんど全部家にある),感慨深くもある。清華大学出身というのはこの記事で読んで初めて知った。
→ やはり多言語展開は強いというのと,作品自体の質が良いから,不思議な数字ではない。E-moteでバリバリ動くので,立ち絵がかわいいのなんの。さより原画は全て美しいし,シナリオも音楽も一定以上の水準があって,エロもしっかりあり,ボリュームも長すぎず短すぎず,欠点らしい欠点が見当たらない。もちろんシナリオが抜群におもしろいという作品ではないし,その意味での名作感は無いが,そもそもそういうものが求められるゲームではないので,これで100点満点だろう。というよりも,こういう系統のゲームはシナリオがつまらなくなりがちなので一定水準以上は貴重であり,雪仁氏の貢献は大きい。本当に2000円やら3000円やらで売るゲームのクオリティではなく,価格破壊がすごい。記事中にある通り,さよりさんご本人が原画家で原画代が実質ゼロじゃなければ,こんな価格にはできなかっただろう。その意味で,とてもじゃないけど他の人では真似できない。
→ 本作だけが初出というわけではないにせよ,これで恋愛ノベルゲームの市場が海外で本格的に開けた感じはあって,ちゃんと海外ユーザーでも違和感がないようにフィットさせてあって,質が高ければ市場自体が無いわけではないのだなと思うと,ちょっと感動する。本作で初めて「かわいいだけのギャルゲー」に触れ,本作で初めてE-moteに触れることができる今の海外のギャルゲーマーは幸せである。  
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2018年02月03日

センター試験「ムーミン事件」雑感

大学入試センターが平均点などの最終結果を発表した。つまり,出題ミスは一切認めない方向で意志を固めたようだ。状況を上手いことまとめてくれた人がいたことだし,私も雑感を項目別にまとめておく。

・結局のところ,良問なのか,悪問なのか?
問題を成立していると見なし,かつバイキングを範囲内と見なせば良問と言えなくもないが,出題ミスと見なすなら質以前の問題。“問題の質”と“成立要件”は重なりつつも別の概念ということを示す,良い事例と言えるのかもしれない。なお,「思考力を問う問題としては,あまりにも単純では?」という向きについては,思考力というものを余りにも高く捉えすぎているのではないか,と反論しておきたい。「センター試験を受験する平均的な高校生」に求めていい思考力とは,ムーミンの舞台が問われていても動揺せずにすぐに消去法に切り替えてノルウェー側から素材を探す力と,見知らぬ単語を見たら語族から解答を導くことを着想する力くらいで妥当だと思われる。


・バイキングは地理Bの範囲内か,範囲外か?
これについては調べ直してみたところ,地理Bの教科書と用語集で触れているものは1冊も無かった。それでは範囲外ではないか,とすぐに行かないところが地理という科目の面倒なところで,教科書と用語集は薄すぎて&信頼度が低すぎて使い物にならない。教える方も教わる方も出題する方も学習の要はもっぱら副教材であり,すなわち資料集と地図帳等である。こちらに載っていればOKとすると,バイキングについて記載があるものがある。この点,私もてっきりバイキングは地理Bの用語集に載っているものと思って初報で「良問」と断じてしまったので,自省しておきたい。

なお,「中学の学習事項は範囲内と見なせるのと同様に,必修の世界史Aの学習内容も範囲内と見なせるのではないか? バイキングも世界史Aで出てくるのでは?」という指摘については,科目を飛び越えている以上無理があるし,世界史Aの教科書でバイキングを扱っているものは「無くはない」というレベルで,世界史Aをやっていれば必ずバイキングに触れているとは言えない状況である。したがって,バイキングを範囲外と見なす立場からは「問題が成立しているとみなしたとしても,センター試験としては過剰な難問」という見解も出せる。


・大学入試センター推奨の公的な解き方なら,バイキングについて知らなくても解答可能なのでは?
私が一番キレているのは実はこれで,大学入試センターの紹介した公的な解き方は非常に無理がある。「ノルウェーは暖流の北大西洋海流が流れるので,冬でも沿岸部が凍らない」のは地理Bで習うところだが,「よって,船のある方がノルウェーと推測できる」とは論理的につながらない。フィンランドだって内陸国というわけではないのだから海に面しているし,「船のあるアニメだから,一年中凍らない海が舞台なのだろう」という発想は跳躍がひどすぎる。また,バルト海側にもバイキングは進出している(例えば世界史Bで習う範囲で言えば,スウェーデン系のバイキングはリューリクに率いられてノヴゴロドを建設している)のだから,事実関係から逆算してもこの推測は成り立たない。

あるいは「フィンランドは森と湖に覆われた国である」というのも,確かに地理Bで習うところである。しかし,「画中に森と湖が描かれているから,こちらがフィンランド」というのは必ずしも成り立たない。フィンランドはどこの場所を切り取ってもこういう風景にしかならないのなら成り立つが,当然現実はそうではない。加えて言えば,上掲記事の地理学者の指摘の通りノルウェーにも森と湖はある以上,選択の手がかりにはならない。大学入試センターが本気で「アニメの背景の画像で推測の当てをつける」のが優れた思考力だと考えているなら,その思考力には反対する。加えて,万が一,高校地理の「思考力」としてこれが正しい発想というのが一般的な通念になっているのなら,もはや高校地理は小学校算数の魔窟に片足突っ込んでいる。専門家に指摘されていることだし,どうにかした方がいい。

また当然ながら,この推測の妥当性と,『ムーミン』や『小さなバイキングビッケ』の舞台に関する事実関係から鑑みた問題不成立の疑惑は全くの別物であり,推測が妥当だからといって問題が成立しているとは言えない。つまり,一番厳しい態度を取るなら,「本問は大学入試センターの考える推測も妥当でないし,事実関係から鑑みても誤っているので,二重に問題不成立である」という立場もありうる。


・本質的には何が問題なのか?
問題文の日本語の選択。「舞台」なんて言葉を不用意に使うから,こういうことになってしまった。「関連が深いと考えられている国」とか「国民的な作品として受容されている国」といった文言にしておけば,これほど問題にはならなかったはずである。特に後者の文言にしておけば,ムーミンはフィンランド以外考えられないし,地理Bという科目の地誌分野の本質から言えば,この文言の方が適切だったはずである。これは出題者が本問を地誌としても出題できるのに,あくまで地形の問題とみなして出題してしまったことによる作問上の思い込みが,文言の選択を狭めたのではないか。あるいはアニメの選択ミス。もっとはっきりと舞台がわかっているアニメにしておけばこんなことにはならなかった。無論のことながら,作品が書かれた言語についても注意を払いながら問題文の文言は練られるべきだ。

いずれにせよ,思考力を試す問題を作るのは工夫が必要で,作問は労力がかかる。つまりこれはそのまま来るべき2021年以降の新センター試験への不安につながる。既存のセンター試験のような問題は7〜8割にして,残り2〜3割は思考力を問うものとする,2024年以降は加えて記述(論述)を課すとぶち上げているからである。すでに昨年11月,新センター試験のプレテストが実施されており,ここにも危うい問題が出ているというのは,先日書いた通り。既存の大学入試センターの体力で改革が続くかどうかは,どうしたって不安視される。

なお,今回のセンター試験については,そのプレテストと並走して作成されたので,尚更問題を検討する時間に不足し,出題ミスが誘発された可能性はある。本末転倒感がある。


・波及的影響
センター試験は全教科・全科目的に信頼性が高く,50万人超が受ける,国が威信をかけて行っている試験という評価であった。だからこそ私も「大学入試センターの作問者は,『ムーミン』も『ちいさなバイキングビッケ』もきっちりと典拠を押さえて出題しているのだろう」と信頼して,当初は「良問」と断じた。しかし,存外にアバウトな作問をしているということが露見してしまった。今思えば,一昨年の世界史Bのこれも,調べが甘い作問であった。

今回の件で出題ミスを一切認めず突っぱねたことで,大部分の科目は無関係としても,少なくとも地理(地歴公民)は信頼性は大きく下がった。事実に反していても,高校の範囲を厳密には逸脱していても,公的な解法が危うくても,高校教科の独自の論理の解法で成立していると見なされれば出題ミスではないと言い張れる前例を作ってしまったのである。確かにこれを悪用させてくれれば,“出題ミススレスレの良問”は作成しやすくなる。新センター試験に向けての視界も良好になろう。しかし,私大の地歴公民の入試でこれだけ悪問・出題ミスが跋扈しており,世界史については微力ながら私も努力して少しは改善に向かっている中,当の大学入試センター(=国)の公式見解がこれでは,やるせなさしかない。私大に対して「大学入試センターでもこの杜撰さで作問しているのだから」「大学入試センターだって,出題ミスとは認めなかったのだから」として,悪いメッセージになってしまい,私大の入試がさらに悪くなることだって考えられる。  
Posted by dg_law at 07:30Comments(0)

2018年02月02日

非ニコマス系動画紹介 2017.6月下旬〜2017.7月中旬



西尾維新風の語りが妙に心地いい動画。そして話は心綺楼へ。



オイナリサマかわいい。



東方弾幕風。それっぽい曲は別動画から。



みゆはんが良い弾き語りをtwitterにあげてくれたと思ったら,こんな動画が。



・アライさんがカープを応援「新井さんにお任せなのだ!」→本当に新井さんが奇跡を起こす「カープの危機を救ったのだ!」(Togetter)
コラボした即日で新井選手が活躍したのは神展開でした。





エディさんが今度はタイマーを利用したバグを開発していた。よく見つけるし,よく活用するよなぁ。




エンドオブハートがさらに弱くなった。(終)の方は茶番。
  
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2018年02月01日

今年のプレテスト次第かな(不安)

・大学入試プレテスト「解なし」問題も マーク式で出題へ(毎日新聞)
→ 愚の骨頂。「解が無い場合もあるのが,研究や,社会一般の仕事」という主張もあるが,完全にそれとこれとは別の問題であり,「解があるかどうかわからない問題に取り掛かった結果,解がなかった」というのと「最初から解なしが想定される問題を“人間が作って”,受験生に課す」のは大きく構造が異なる。これに気づかずに(あるいは気づかない振りをして)上記の主張が繰り返されるのは全く理解に苦しむ。
→ 加えて「解なし」が出題ミスを誘発するというのは本ブログなり拙著なり(主に1巻の方)で散々主張してきているところで,それを多用してきた上智大が危うさに気づいて近年はやめているのに国は逆行するという……
→ このプレテスト,2017年11月に実施されていて,私は世界史・日本史・地理は解きました。大学入試センターのHPで公開されているので興味ある人は。「プレテストなので出題ミスがあるのは織り込み済み」だと思っているので具体的な批判を大々的にするのは避けていたのだけど,私が見つけているだけで世界史は危ういのが2件,日本史でほぼ間違いないのが1件ある。世界史の2つについては私が避けるまでもなく,すでに他の方からの指摘がある。第4問の問3と,第3問の問6。2018年11月にもう一度プレテストがあって,2021年1月に本番となるが,大丈夫だろうか。


・真っすぐなのに斜めに見える“不思議な文字列” その仕組みとは? (ITmedia NEWS)
→ 「水平線説」は知っていたけど,それだけでは説明しきれないというのがおもしろい。確かに「甲鋼偽執火心」も傾いて見える。不思議だ。これはイグノーベル賞をとれる研究かもしれない。
→ 私的にこの中で一番気持ち悪いのは「夏ワナー」でした。錯視成分を除去した「夏ワナー」もこれはこれで別の気持ち悪さが。


・文章を読む時脳内で声が再生される人、されない人(不倒城)
→ 私の場合,自分の声は全く聞こえない。このアンケートで言う19%の少数派になるのだろう。ただし,たとえば発表原稿を練習で黙読する際には,意識して「自分の声を鳴らす」ように努力することはある。
→ また,他人の声なら聞こえることはある。アニメやゲームで「イメージしてた声と違う」現象には何度か出くわした。直近だとデレマスの依田芳乃(もう今の声優さんで慣れたけど)。一番綺麗に声が再生されたのは,大学で教わったことがある先生の著書を読んだときに再生された,その先生の声。あれは完全に大学の講義調の音声で脳内再生されていた。
→ というように自分にとってはこのアンケート,どちらもあるのでTLで回ってきた時に答えづらかった(結局「ない」で解答したような)。だから,「ない」派がこんなに少ないことにも,そしてこんなに綺麗に分かれることにもちょっと驚いた。


・白鵬は乱暴な立ち合いばかりか?2017年の立ち合いを調べてみる(独断と偏見の相撲ランキング)
→ よく調べてある貴重なデータ集。結論は「乱暴な立ち合いが多い」。折に触れて自分も書いているが,白鵬のやる張り差しからのかち上げは「相撲として有効すぎる」からとか「横綱としてふさわしからぬ立ち合いだから」というよりは,単純に「相手を破壊しかねない危険な立ち合いだから」という理由で禁止にした方がよい,と考えている。
→ そして2018年初場所,白鵬自らが封印宣言を行ったところ,調整不足で休場となった。春場所の立ち合いはどうなるだろうか……  
Posted by dg_law at 07:30Comments(3)