2012年05月18日

虚構新聞騒動雑感

言及するつもりがなかったし,そろそろ虚構新聞は平常営業に戻って欲しいと思っていたのだが,どうにも自分の立ち位置を確定しておかないと気持ち悪くなった。沈静化には若干の逆効果ではあるにせよ,気持ち悪さを解消するべく私見拙文をだらだらと書いておきたい。


・祭りの発火点
今回の騒動の奇妙さは,批判する人も擁護する人も元記事そのものにはほとんど触れていないということだ。それぞれの記事群を読んでいくとわかることだが,虚構新聞というサイトそのものへの言及であって,記事そのものへの言及ではない。すなわち,とりわけ批判派はくすぶっていた虚構新聞への不満や批判をぶちまける機会偶然訪れたに過ぎないのであり,橋下云々はどうでも良かったのである。最初に記事が社主の予想を越えて拡散されてしまったのだって,「橋下ならやりかねない」半分,単純に虚構新聞の知名度が臨界点を超えたのが半分といったところだろう。橋下さんの影響力を過大視する見方には賛同できない。

その意味で,これは多くの人が見誤っていることだと思うのだが,この騒動の着火点は例の記事では全くない。社主自身が言っているように,この記事の質は決して高くない。私自身ほとんど笑わずに,いまだもってブクマすらしていない。むしろ社主の謝罪が薪で,発火点となったのはkyoumoe(杏萌え)氏の記事n-styles(中村)氏の記事それぞれであろう。ただし,杏萌え氏は批判派最右翼的な感じだが,中村氏は古参の読者であって「直さないとつぶれるよ?」的な物言いで,実際のスタンスは割りと違うというのはおもしろい。

社主は薪のつもりなんて全くなく謝罪したはずで,多くの人が指摘している通り「懲りない!悪びれない!」系のお詫び(笑)であったはずなのだが,見事に燃料になってしまった。私はなんとなくそんなような気がしていて,謝る必要なんてないのに面倒な事にならなければいいのになぁと思っていたのだが,案の定な方向で延焼していったのであった。


・虚構新聞の問題点と,騒動拡大の原因
いろいろ騒がれているが,虚構新聞が指摘されている問題点は要するに,

・タイトルだけ読んで記事内容を読まずに,拡散(主にtwitter上でのRT)する人がいるので,風評被害が発生する可能性があるorしている
・記事を読んでもなおだまされる人や拡散する人がいるので,上記の問題点が悪化している
・多くの場合において1クリックしなければ嘘記事なのかわからないという点で,読者に行動を強いている

あたりである。箇条書きにしてみたが,実は着火点の中村氏の記事の時点で上2つは出ている。

が,これらの問題点のさらなる原因がある。端的に言ってしまうと「内輪ノリのはずが規模が大きくなりすぎてしゃれにならなくなった」問題である。そう,2chにせよニコニコにせよ,一度は経験したこの問題だ。上記の問題は,全部虚構新聞というサイトの存在とその性質を知っている人たちの間だけならば,どれもさしたる障害にはならない(それでも風評被害が発生する可能性は完全には否定しきれないが)。

が,その内輪ノリ,社主の言う”「僕と読者との一種のゲーム」だった”(直接の発言が消えているので引用してある記事にリンク)というようなことが通じるような規模のサイトではなくなってしまった。中村氏の言う通り,初見さんからすれば「記事を読めば嘘というのは自明だろ」や「左上のロゴで気づくだろ」というのは,実際にはなかなか困難である。また,虚構新聞のようなジョークサイトの存在を知らないような人からすれば,URLを踏まずに反射的に拡散するようなこともするだろう。もちろんこれらがインターネットリテラシーとして危うい行動であるのは言うまでもないが,内輪ノリが通じなくなった以上は覚悟して,虚構新聞がこうした層の行動まで責任を取らざるをえないであろう。理不尽な話ではあるが,実社会が許容するか否かは,理不尽さとは全くかけ離れたところにある。

実は,書き方が悪くてコメントでもブコメでもスルーされがちだが,最初からこの内輪ノリ問題を指摘していたのが前出の杏萌え氏の記事で,最初から論点は出揃っていたわけである。また,後続の批判者や,中立的な分析者によって,この点は何度も指摘されている。この増田なんかもそうだが,全部紹介するのは億劫なので適当にこの辺からたどってください。

だから,あのお二人の記事にアクセスとブクマが集まって終わり,になるはずであった。

しかし,どうも擁護側の悪手が続いて,いろいろと余分なものをあぶりだし,「はてな村に久々の祭だわっしょい」になってしまった感が私の中で大きい。私もこうしたネット上の祭りは基本的に好きだけど,今回の祭りを素直に楽しめないのは,擁護側としてすごく居心地が悪かったからだ。というか,批判された点はどれも正しいし,まったくの擁護は無理だろう。原理主義的なインターネット自由論を掲げるくらいしか手がない。あとは数少ないところで,あの記事に裁定を下すのは橋下さんという意見には首肯するのだけれど,どちらかというと「そこで橋下さんが怒っちゃったら,今後の虚構新聞存続できるの?」というのが,今回の問題で一番問われたところなのかなと。何やら実際に橋下さんにリプライが飛んでいたらしいことを踏まえるに,なかなか笑えない話だ。


・まとめと雑感
最低限の対策としては,やはり多くのサイト同様に,ヘッダーに記事タイトルに付随して「虚構新聞」と入れてしまうのが対策になる。こんなことを言っている場合ではない。その上で,お願い(案内)へのリンクは,あんな最下部ではなくて目立つようにしておくべきだ。”これは嘘ニュースです”も,もはや伏字にする意味はほとんどあるまい。記事の末尾でもいいから,しっかりと表示しておくべきであろう。これだけするだけで,相当危険性は減るし批判も減る……はず。


私は直後の虚構新聞の記事のヤケクソっぷりが大好きだし,こちらの記事も末尾で笑わせてもらったが,最終的にタイトルをつけない方向で行くのは残念である。残念であるというか,いつか本当に洒落にならないことになるんじゃ……という危惧が収まらないし,少なくとも今回批判に回った人はこれらの記事で納得はすまい。いつか似たようなことが起きたときに同じ批判は起こるであろうし,次も実社会からの制裁がないとは限らない。言ってしまえば現状は無責任のそしりは,割りと逃れられない状況であって。だからこそ,つぶれないための最低限の自衛策はとってほしいなぁ,というのがひとまずつぶれないことを願う一人のファンの意見である。まあ,社主がそうした自衛策はどうしてもポリシーに反するというのであれば,つぶれるまでは楽しむことにしたい。


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この記事へのコメント
騙されて悔しかったんだろw
正直に言えよw
Posted by 通りすがり at 2012年05月18日 23:30
>騙されて悔しかったんだろw
>正直に言えよw
ちょっと衝撃を受けた。
これだけしっかりまとめられていてもこの反応なの…?

こういう記事を読み込まずに脊髄反射でコメントする人達は、
そのうちまたデマの流布に一役買いそうですね。
Posted by 名無し at 2012年05月19日 00:53
他の方の意見を焼き直しするだけのまとめ記事なら
書かない方がいいですね。延焼に一役買ってるだけです。

ま、こんな話も、まんべ君騒動とかと同じく
あっというまに忘却のかなたでしょう。そして社主が飽きるまで
虚構新聞は続く…と。

だって、また今回の件で有名になり、
「リテラシー」を知ったインサイダーが爆発的に増えたわけで。
また、騙された誰かが、また炎上しつつ、成長する。
壮大なストーリーですw
Posted by 通りすがり at 2012年05月19日 01:04
通りすがり二人目も、およそまともに読んでいるとは信じがたい書き込み…
Posted by 名無し at 2012年05月19日 06:28
はじめまして。
自分も昨日某所で同じようなこと書いたんですが、ボコボコでしたw
いくら騙されるほうが悪いといったって、現実騙される人間はこれからも出るだろうから、
そうするといつか洒落にならない実害が出ることもありえるんで、虚構新聞の保身のためにも、
せめて記事ラストに釣り宣言をはっきり明記するなどの考慮はしておくべきだといったんですが。
大半の返事は「騙される奴が悪いのに」「責めるなら拡散した奴に言え」で、言いたいことは分かるんですが、
正直そんな事言ってても現実一歩も改善出来無いのにっていう、建設的じゃないものばかりに思いました。
Posted by いお at 2012年05月19日 14:55
どうしたものかと悩んでいましたが,落ち着いてきたのでぼちぼちコメント返し的なことをしていこうかと思います。

とは言っても,通りすがりさん×2のコメントについては,名無しさん(おそらく同一人物)×2が的確につっこんでいるので,これ以上は野暮でしょう。
某所のブコメでも書きましたが,第一通りすがりさんのコメントは一種の様式美ではなかろうかと。狙いか素なのかわからないのが残念ですが,狙ってやったなら大したもんです。素だった場合はノーコメントで。


>いおさん
ですね。虚構新聞はそろそろ最低限の保身をしてほしいなぁと。それは逃げでもなんでもないんですから。
こういうのは書いた場所やタイミングによる,というのは一つあるかもしれませんね。このブログでは概ね好意的な意見が多く,ほっとしています。
Posted by DG-Law at 2012年05月19日 17:14
名無し=ブログ主なんだろ?wwwバレバレなんだよwwwww 直接対決から逃げ、観察者になりたがるヘタレ気質がマジ痛すぎるぜ〜wwwwww m9(^Д^)
Posted by 名^無^し at 2012年05月19日 18:28
アメリカでもこの手のジョークサイトって結構あるし
一流企業が運営してたりする。

虚構新聞は許容されるべき文化だと思うし、
ぎりぎりのラインはいつもわきまえてて
営利に走ってもいないから残るべきサイト。
Posted by   at 2012年05月21日 10:39
ぎりぎりのラインわきまえてたらこんな騒動起こしませんよ。
今回のでそれなりに綱渡りであることが露呈したと思う。

ファンから「最低限の保身をしてほしい」と言われるってのは
そんだけ危惧されてるから……
Posted by nanashi at 2012年05月21日 18:09
>営利に走ってもいないから残るべきサイト。

え?営利に走りまくってますが?
Posted by 名前なし at 2012年05月21日 21:27