2012年06月29日

2012鎌倉行

先週末に,鎌倉に行ってきた。鎌倉に行くのは4年ぶりで,前回は父親と同行したが,今回は友人のkome(@hoozuki37)が同行者である。この時期をチョイスした理由は言うまでもなく紫陽花で,前回は5月に行って微妙に時期を外してしまったことへのリベンジであったのだが,元神奈川県民のkomeにとっては思い出巡りの旅も兼ねていた。

私は東京駅から,相手は西から鎌倉駅に集合。朝飯を頬張りながらおおまかな旅程を決める。まずは江ノ電に乗って長谷へ。ここから長谷寺・鎌倉大仏は黄金ルートであろう。この時点で江ノ電が非常に混んでおり,ちょっと嫌な予感はしていた。しかし,これだけ年齢層が散っており,老若男女全部いる観光地というのも珍しかろう。ぎゅうぎゅう詰めの江ノ電が,あいも変わらず民家スレスレを通って長谷駅に着いた。ここから長谷寺へは人の流れに乗っていくだけで地図を見ずに着く。

長谷寺は鎌倉の寺にしてはやけに俗っぽく,観光客をさばくのにも手馴れている。まわりが臨済宗ばかりだからって,それでいいのか浄土宗。朝10時そこそこだというのに,境内はともかく展望台は人であふれていた。さらに,紫陽花園には入場規制がかかっており,余裕の45分待ちというのを見て断念した。よくもこんな朝早くから観光客が集まるものだ。あまり人のことは言えないが。境内と展望台だけ見て早々に離脱。展望台からの鎌倉眺望はなかなかのもので,鎌倉が三方山,正面が海という構造の中にいるのがよくわかる眺望である。

次に鎌倉大仏へ行くのもほとんど固定されたコースであろう。説明をよく読むと,しばしば改修を重ねた結果,飛鳥大仏を彷彿とさせるサイボーグ状態となっており,なかでも頸部は強化プラスチックという文を読むにこの鎌倉大仏も苦労してるんだなとしんみりした。さてここからである。本来のルートなら長谷駅に戻り,江ノ電で鎌倉駅か北鎌倉駅に行って,鎌倉五山めぐりでもするのが正規ルートなのであろう。が,言わせてもらうとあの江ノ電の込み方は,都会で慣れていてもちょっと嫌なものであった。というよりも,普段都会で味わっているからこそ,観光地に来てまで味わいたくないものであった。でもって,観光地だからこそちょっと運動する気分であったのも事実である。地図を見ながら,どちらともなく「ここから北鎌倉まで歩いて行けば,そう遠くないんじゃね?」と言い出し,我々は北上を始めた。

察しの良い方は気づいておられると思うが,我々はさきほど長谷寺の展望台で確認した事実をすっかり忘れていたのであった。鎌倉は三方山で囲まれている。そして長谷寺も北鎌倉も,山の端に位置している。これを直線でつないで歩こうとすればどうなるか。そう,皆さんも中学歴史の教科書で見たが記憶にあるはずだ。「切通」を無視して山を縦断すればどうなるか。どう考えてもハイキングコースである。とりあえず地図をはっておくが,ルート上に本当に切り通しがない。なお,これは歩き始めてすぐに知ったことだが,我々が通った道は本当にハイキングコースに指定されていた。ハイキングコースというか,山道と言ったほうが正しいような状況であったが(分かる人に言うと,高尾山の舗装されてない方のコースよりもきつい,ただの山道に近い)。同行komeはしきりに「見覚えがある」と言っていたので,幼少期の彼は両親に連れられ,このあたりを歩いていたのだろう。小学生には相当きつかったと思うのだが。

そういうわけで,神社仏閣観光の予定が一転して楽しいハイキングと化し,銭洗弁天に参拝しつつ,源氏山公園(という名の山)を通過し,約2時間ほどかかって北鎌倉に到着した。そりゃ攻め込めないわ,と妙に納得しつつ,浄智寺へ。ハイキング中は少なかった観光客が浄智寺では復活し,正しく観光地に戻ってきた気分がした。浄智寺は庭園を整備していないものの落ち着いた雰囲気の良い寺であった。周囲の民家も気を使っているらしく,よく見るとどこの民家も巧妙に車を隠してあるという工夫に気づいて少し驚いた。観光地なりの苦労である。浄智寺から円覚寺に行き,そろそろ昼飯を食べようか,14時だしもう空いてきているだろうと飯屋を探し始めたのが甘かった。14時でもどこも満席で1時間以上待たされる状態であり,結局すぐ入れそうな蕎麦屋に行ったのだが,ぼったくり価格で味は普通であった。この日の唯一のミスといえば,この昼ごはんである。

15時過ぎから明月院へ。一番楽しみにしていたのだが,期待通りの庭園であった。見渡す限り紫陽花の絶景で,明月院は本当に良かった。

明月院:紫陽花



まさにこれを見に来たという感じ。本当はもっとわかりやすく写してある写真もあるのだが,観光客の顔がもろに出ているため,こちらを選んだ。

明月院の後は建長寺へ。建長寺では愛知万博の際にパキスタン国から寄贈されたという,釈迦苦行像(の模像)が展示されていた。模像とはいえ,これはすごい。元は3世紀に作られた正真正銘ガンダーラ仏で,めちゃくちゃ有名な仏像である。なぜに建長寺が引き取ったのかも由来がよくわからないが,あれを見に観光客がもっと来ていても良いものだと思うのだが。最後に鶴ヶ岡八幡宮に行き,国宝館は残念ながら時間切れで入れず,鎌倉駅に行って帰った。日帰りにしては一日使い切った大旅行であった。とても楽しかったが,あらかた見てしまったので鎌倉は当分いいかなー。行くとしても,次回は江ノ島とセットにして海沿いを攻めたい。もう山はいい。