2012年08月29日

『東方コミュニティ白書2012』覚書(1) pp.1〜52

3巻目となる『東方コミュニティ白書』。今回の本書は,まず毎回掲載されている人気投票の分析と,それ以外としてはコミュニティ規模の盛衰に焦点を当てつつ「東方のコミュニティに衰退は見られるのか」というテーマを立てたものとなった。これに対する答えは,著者はあえて明確には書いていないものの,一読すればおおよそ皆同じような答えになるのではないかと思う。「確かに数字として縮んだ部分も無いわけではないが,それ以上に現状を維持した部分が多く,拡大したものもあるため,衰退とまでは言えない」というのが,私の感想である。以下は,それぞれのページについて,いつも通り所感をコメントしていく。


p.8
>>上海アリス幻樂団の動き
本家の動きはけっこう激しい1年間だったが,正規ナンバーである『神霊廟』以外は印象が薄い。秘封好きや考察クラスタは決して界隈で大勢力ではない。一方,『三月精』が円満に終了したことは何よりも喜ばしく,替わって『茨歌仙』はそれなりに盛り上がっている。

p.10
>>神主の動き
対照的に,神主の動きはかなり目立っていた。ビールフェアやニコニコ超会議,これ以外に挙げれば東大のコンテンツ学会があるが,多種多様なイベントへの参加は意外であった。twitterで何かしらに言及することも多く,うちのブログに関係するところではカオスラウンジ問題がある。一昔前の「謎の人物」的雰囲気は嘘のようで,これだけ表に出てくるのは何か吹っ切れたかのようである。東方が巨大になりすぎたことを本人もようやく自覚し始めたのかもしれないし,単純に結婚の影響かもしれない。なんと言っても最大の衝撃は結婚&式の日取りであったが。

p.12
>>東方の抱える社会的な諸問題
一方,権利問題では悪目立ちした感がある。商標権については無知なので言及を避けたい。ホワキャンのアレについては正直に言えば,半分は本人のミスである。もっとも前項に書いた通り,あの契約ミスをした時点では自分の作ったものの規模に無自覚であったと言える。神主はよくわからないまま契約した疑惑があり,黄昏はちゃんと全貌を神主に報告してたか怪しいが,根本的にはホワキャンがやらかした雰囲気はある。この問題については解決したから良いが,これらの瑣事で神主の創作意欲が削がれないかが一番心配である。

p.14
>>イラストサイトSNS
事前の予測通り,カオスラウンジ騒動の収束にしたがってpixivへの一元化が再び進んできたので,群雄割拠と言えるまでの状況かは疑念が残る。対抗馬としてはニコニコ静画かTINAMIにがよく挙げられるが,前者はR-18を解禁しないと未来がないし,後者はこじんまりしているのがそもそもの良さ的なところはあるので,対抗馬になりえない。PiXAはそもそも東方界隈での知名度が足りない。描き手という括りならまだそうでもないだろうが。


p.18〜
>>人気投票・アンケート部門分析
私の第9回人気投票の分析はこちらが総評・キャラ部門,そしてこちらが音楽・アンケート部門となる。投票数については,キャラだけ投票した人が相当多かったのではないかというのと,それがアリスに大きく流れたのではないか,という分析をしている。しかし,言われてみるとアンケートがめんどくさかったというのは十分考慮されるべきであろう。

p.20-23
>>界隈の年齢について
前述の投票分析からコピペするが,”平均年齢が前々回(7回)は21.53歳,前回(8回)は21.77歳。今回(9回)は22.20歳なので,0.43歳老けた。界隈が急激に老化しているといわざるをえないが,逆に言って老化しているのは投票者アンケートに答えるような律儀な層であり,キャラ部門だけ投票した層はアンケートに答えてないとすると,実態とはやや乖離した数字かもしれない。”これは本書の意見「投票には参加するがアンケートの回答はしない層の増加」にほぼ合致する。


p.32
>>pixivにおける東方のアクティブアカウント
減っているのは,見る専の実感としてもある。以前ほどランキングで東方を見なくなり,しかもそれが長期的に続いている。また,いまや東方界隈にそれほど若いイメージも無いので,より若い層はボカロの方向に流れていくのかもしれない。投稿者の平均年齢がごく最近まで若年化傾向にあるという,界隈全体の平均年齢との逆行現象はおもしろいが,これはむしろタイムラグで,アクティブアカウントの減少を見ても,この投稿者平均年齢もここから上昇に転じると思う。

p.38-41
>>ニコニコ東方
東方動画も,MMD以外ではランキングでそんなに見なくなった。ただし,そのMMDではボカロと並ぶ主力なので,相変わらずニコニコ動画の総合ランキング常連である。再生数やマイリスト数の細かなデータがないと確かなことは言えないが,仮に「投稿数を維持・増加したまま,伸びる動画は減っている」のであれば,それはアイドルマスターが通った道であり,ニコマス民として今後の展開が大いに気になるところである。この辺は前回のコミュニティ白書覚書でも指摘しているところで,御三家全体の地位が低下していると言ってもよい。ニコニコ東方界隈(のデータ)に詳しい方がいれば語って欲しい。


p.46
>>サークルのイベント継続参加率
意外な継続率の低さに驚いた。まさか5割程度とは。私がコミケや例大祭のサークルチェックリストを作ると,8割方流用で済むからである。壁や古参のサークルは継続率が高いが,ピコ手はそうでもないし落選もしやすい,という傾向はないだろうか……という疑問が湧いたので,追加調査を頼みたい。できれば東方コミュニティ白書2013で(他力本願)。


(2)へ続く。

この記事へのトラックバックURL

http://trackback.blogsys.jp/livedoor/dg_law/52087396
この記事へのコメント
東方のpixivはメインであるけれどニコ静画に移ってる感じはしますね。pixivランキングはまだ東方マイナス補正ついたままなんでしょうか。MMD祭りでは上位にあるので手書きが減ってMMDが増えた印象です。TPRG人気がゆっくり実況に移ってる感じなので東方自体は増えてますがタグ的には落ち着いてきてる感じでしょうか。ニコマスも有名Pが継続して続けてくれてるので見るのにそう困りはしないのですが新しいうねりというかニコマスでも東方でもジャンルがそろそろほしいなーと思ってます。
Posted by 駄文 at 2012年08月29日 12:44
ニコニコ静画は,前はpixivの投稿者が同じ絵を同時に投稿していましたので,pixiv見てれば全部用が済んでましたね。今は少しpixivには投稿しない層がいる気がしますが,私は動画のついでに時々のぞく程度で,正直論評するほど詳しくありません。誰か詳しい人が,あの辺のコミュニティ比較論を書いてほしい。
pixivのランキングの人気ジャンルマイナス補正は実在するんでしょうか。まあ,運営自体が不透明なのでとやかく言ってもしょうがないですが……

TRPG界隈で東方は元気ですね。これはアイマスもそうで,ジャンル的に全く色のないボカロその他よりある程度既存の色づけのあるアイマスや東方のほうが使いやすいのかもしれません。

>新しいうねりというかニコマスでも東方でもジャンルがそろそろほしいなーと思ってます。
そうですね。今の界隈にもさして不満はないんですが,正直マンネリ感は否めないので。ニコマスはアニメ効果で持続的に新風が吹いてたんですが,最近それも沈静化してきましたね。
Posted by DG-Law at 2012年08月30日 10:33