2014年10月03日

『絶対に解けない受験世界史 (大学入試問題問題シリーズ)』が出ます

twitterや編集者のブログ等では先行して告知しましたが,本を書きました。




以下,本書の紹介をFAQ形式で。

よくわかる! 『絶対に解けない受験世界史 ―悪問・難問・奇問・出題ミス集』FAQ

Q.どういう本なの? 何が目的なの?
A.サブタイトルの通り,大学入試における悪問や超難問,出題ミスを収録・解説した本です。本気で難しくて解けない問題から,日本語の崩壊した問題,単なる誤植,笑える問題など,多岐にわたって収録しています。
1.入試問題作成の杜撰さを世の中に訴えること
2.出題ミスの事例を集めて,出題者へ提供すること
3.悪問を笑い飛ばして当時の受験生の無念を供養すること
4.世の中の世界史マニアに難問を提供すること
を主な目的としています。

Q.どんな問題が収録されてるの?
A.帯に入れた例を引用しますと,

・p.37:青磁か白磁問いながらも問題用紙はモノクロプリント(早稲田大 文学部 2014年)
・p.65:大学教授自らが書いた学術論文のテーマを入試問題に転用(名古屋大学 2014年)
・p.112:ユーゴ連邦構成国が東西に分裂した架空戦記並の地図(慶應大 経済部 2013年)
・p.210:インカ帝国の都市遺跡を問う選択肢にラピュタ(慶應大 経済学部 2013年)
・p.212:カルパティア山脈をカルパンティア山脈と誤植(早稲田大 国際教養学部 2012年)
・p.279:東晋を建てた人物を問う選択肢に司馬遼太郎(神戸学院大 2012年)

という感じです。あとは
・正誤判定なのに,日本語が崩壊していて正誤が判定できない(該当多数)
・某博士論文のごとく,問題文や選択肢が全部教科書・参考書のコピペ(該当多数)
あたりが,見どころではなかろうかと思います。コピペはマジで多いです。こんなところにまで罪悪感の無いコピペが蔓延してるんだなぁと驚くこと請け合いです。

Q.対象読者は?
A.まず歴史好き全般。大学受験で世界史を使ってない人でも楽しめる……と思います。もしくは教育問題に関心がある人。世界史をさっぱり知らなくても,ひどさがわかると思います。というよりも,世界史をさっぱり知らない人でさえ部分的にはひどさがわかってしまう,というのは本書の一つの肝ですので。
その中でも,あえて対象を絞るのなら,研究職・大学教員の方には読んで欲しいかな。特に,将来的に入試問題を作る可能性のある方や,現役で作っている方。

Q.ブログで毎年連載してましたよね。再録はどのくらい?
A.約1/4ほどが再録になりますが,かなり加筆補筆しているので,それなりに新鮮味をもって読めるのではないかと思います。残りは書き下ろしになります。

Q.めちゃくちゃ分厚いんだけど……
A.全部で460ページくらいあります。別の表現をすると30万字くらいあるはずです。まともに全部解いて読もうとすると,軽く10時間は必要になりますし,頭の疲労感が半端ないと思います。ちょっとずつ読み進めるか,ざっと読みながら得意な時代・分野に重なっている問題だけ解いていく,という方が楽しめると思います。

Q.長いから,とりあえず読むべきお勧めの問題はある?
A.ぱっと見でわかっておもしろいのは帯に引用された問題になるかと。あとは,地図・画像問題は難しい・質が悪い理由がわかりやすいので,そこだけ拾っていって読んでもいいかもしれません。
地図・画像問題を含めて,帯以外のおもしろ問題だと,
・p.17:2014年上智4番(十字軍の問題)
・p.34:2014年早慶12番(早大法学部,黒人奴隷の問題)
・p.68:2014年その他6番(千葉大,画像問題)
・p.100:2013年上智7番(三国志の問題)
・p.173:2013年その他29番(神戸学院大,天津甘栗の問題)
・p.204:2012年早慶2番(慶大文学部)
・p.208:2012年早慶4番(慶大法学部,ミリオタ問題)
・p.290:2011年上智1番(地図問題)
・p.378:2010年上智8番(画像問題)
あたりがお勧めできるかと思います。

Q.タイトルの「絶対に解けない」は嘘でしょ?
A.ええ。実際のところ,分類したもののうち「難問」や「奇問」は,世界史マニアなら解けてしまうものがけっこうあると思います。ですが,「出題ミス」は絶対に解けません。言うまでもなく,解答自体が存在しないからです。表題の「絶対に解けない」はどちらかというとそういう意味合いで捉えてもらえればと思います。

Q.俺の知ってるあの難問が入ってないんだけど?
A.序文のところでも書きましたが,2009年から2014年の直近6年間に絞って収録しています。伝説的な難問・悪問,たとえば「ハムレットのあらすじを60字で書け(慶應大)」や「ビザンツ帝国滅亡によるイタリア社会が受けた影響を400字で書け(一橋大)」といったものは収録していません。それでも十分にインパクトのある問題が出揃ったと思っています。

Q.そもそも現行の大学入試制度自体が間違ってるんだから,その中で悪問を糾弾しても意味がない!
A.これも序文で書きましたが,本書ではその点を問題としていません。あくまで現行の大学入試の世界史において,適正か否かを問題としています。

Q.この問題,悪問でも難問でもなくね?
A.これも序文に書きましたが,ある一定のルールに則って機械的に収録した問題もあります。なので,難易度的には簡単だったり良問だったりしても,引っかかってしまったものもあります。

Q.表紙の取ってつけたような女の子は誰?
A.一番よく聞かれる質問。フリー素材です。まさに取ってつけました。私は「いらんやろ」と主張したんですが,編集者の方が「何か無いと,赤本とガチで間違われるとまずいので……」って言ってまして,なるほどと。

Q.日本史版は無いの? 現代文版は無いの? etc.
A.これもかなり多く聞かれた質問ですが,そんなもん俺が読みたいわ。というわけで,我こそはという著者を期待します。社会評論社の濱崎さんと交渉してください。

Q.ペンネームの「稲田義智」って何?
A.早「稲田」,慶應「義」塾,上「智」の合体です。友人が考えてくれました。後から別の友人に指摘されて気づいたんですが,一橋からも一文字とって「稲田橋義智」にしてもよかったなぁと。

Q.ちょっとこの解説間違ってんよ? 誤植を発見しました! etc.
A.申し訳ございません申し訳ございません申し訳ございません。この種の本で自分が間違ってるのはつらい。この記事に正誤表を作る&重版がかかった際に直す予定ですので,あとでやんわりと教えていただけると幸いです。


<正誤表>
p.40 2014早慶 15.早稲田大 人間科学部(2つめ)
×解説冒頭「aとbは正文である」(中略)「審議の対象はcである」 → ○「aとcは正文である」(中略)「審議の対象はbである」(二刷では修正済)
p.43 2014早慶 18.早稲田大 教育学部
「ユーグ=カペーの祖父の妻がカロリング家出身であるから,これを姻戚関係と見なすかどうかでaの正誤が危うくなる悪問」と指摘しているが,読者の指摘で調べ直したところ,ユーグ=カペーの父はこの妻の嫡子であるので,間違いなくユーグ=カペーとカロリング家は間違いなく血縁関係がある。したがって本問のaははっきりとした正文であり,本問は明確な出題ミスである。分類の「?」も不要なので削除。
p.121下から4行目 ×「知って入れば」→○「知っていれば」
p.148 2013その他 7.学習院大 経済学部 中段,イギリス東インド会社が商館を建てたのが「長崎」になっているが,どう考えても「平戸」の誤り。
p.178 山川出版社の『詳説世界史B』の構成に誤りがあった。ひとまずの修正として,p.180の「1997年版」が2003年からの構成なので,年度をそのように修正。また,「分析」の上から3行を削除。
p.192 2012上智3番 選択肢dをヘースティングズの場所として正解と判断していたが,実際にはこのdの場所はブライトンであり,ヘースティングズはもう少し東である。よって,本問は正解不在の出題ミスであり,種別に「出題ミス」を追加。
p.210 2012早慶 〔番外編3〕 問題3・問2の2行目 ☓「気づかれた」 → ◯「築かれた」
p.217解答解説の14行目×「たがかが大学入試に」→○「たかだか大学入試に」
pp.249-250 2012その他 14.中央大 統一入試(2つめ)
×解説最後の行「(e)を正解と見なすしかなさそう」→○「(c)を正解と見なすしかなさそう」(二刷では修正済)
p.245 [番外編1]国際基督教大 解説の下から2行目に「『軍隊』と『驚愕』は交響曲」とあるが,残りの『時計』も交響曲。
p.422 2009早慶 1.慶應大 法学部 ×(13)(14) →○(11)(12)



<その他の指摘>
p.20 2014上智 7.上智大 2/4実施
『赤本』がeを正解=正文にしている理由は,用語集に同様の表記があるからではないか,とのこと。確認したところ,確かにそうだった。つまり,『赤本』のミスというよりも,用語集の不用意な表記という案件の模様。よって,「『赤本』がこういうミスをやらかすのは珍しい。」の一文を削除した上で,段落の最後に「『赤本』はどうやら用語集の表記に拠ったようである。用語集のセシル=ローズの項目には,確かに「アパルトヘイトを推進した」とある。しかし,アパルトヘイトの実施は前述の説明の通りであり,また用語集自身がアパルトヘイトの項目で「南アフリカ連邦成立時からとられた」と記しているため,用語集同士で矛盾が生じている。これは用語集の不用意な表記が責められるべきであろう。また,ということは上智大の想定した解答もeになるだろうが,まともに世界史を勉強してきたなら受験生だって気づくレベルの事実誤認であり,これは用語集の不用意な表記に気づかない作題者がおかしい。近現代アフリカ史の専門家が監修していないというレベルでなく,受験レベルの世界史知識もおぼつかない作題者ということになる。となると,種別を悪問としていたが,出題ミスに格上げにしてよいかもしれない。」と書き足しておく。

p.440 2009早慶 17.早稲田大 政経学部
「汎ヨーロッパ・ピクニック」に関する問題で,東ドイツ市民に出国を認めた東欧圏の国を選ばせる問題。汎ヨーロッパ・ピクニック自体が高校世界史範囲外なので収録したが,選択肢を見ると「ハンガリー」「ユーゴスラヴィア」「ポーランド」「ルーマニア」であり,ユーゴスラヴィアを東欧圏ではない(親ソではない・ワルシャワ条約機構非加盟)として除くと,ポーランドとルーマニアは西側と国境を接していないという判断から,史実を知らなくても「ハンガリー」に絞れるのではないか,という指摘をいただいた。一応「海路から西側に出国するという許可を出したと考えられないこともないから,確証のある正解の出し方ではない」と言えるものの,常識的な判断ではこの思考を取れば易しい問題として解答できる。

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 Cool Ja本 世界で通用する日本本 『絶対に解けない受験世界史 悪問・難問・奇問・出題ミス集』出します!  nix in desertis:『絶対に解けない受験世界史 (大学入試問題問題シリーズ)』が出ます  というわけで,DG-Lawさんの人気シリーズがついに書籍化だよ! 編集
[読書][歴史][教育]DG-Lawさんの受験世界史本が出るよ! 買ってね!【Danas je lep dan.】at 2014年10月03日 18:38
この記事へのコメント
ずっと昔からブログ読んでましたけど、こんな(部外者的には)抱腹絶倒ものの企画が本当に本になってしまうとは驚きです。
センスを感じたのは「大学入試問題問題シリーズ」というネーミング(笑)

しかし再録が4分の1というのは、ブログの記事になっていない部分まで本当に大量に蒐集してらっしゃったのですね。
自分も1冊買わせて頂きます。Amazon受験世界史1位ってあたりも注目度の高さを示しているように思えますね。
Posted by 774 at 2014年10月04日 16:57
ご購入&いつも読んでてくれて,ありがとうございます。

>こんな(部外者的には)抱腹絶倒ものの企画が本当に本になってしまうとは
私も驚いとります。声をかけられた時には「ほんとに本にできるのか」といろんな意味で考えましたが,なんとか形になりました。

>再録が4分の1というのは、ブログの記事になっていない部分まで本当に大量に蒐集してらっしゃったのですね。
あー,これ書いてるときには気づかなかったんですが,コラムとかまで考えると4分の1は超えるかもしれません。3分の1までは行かないと思いますが,厳密に文字数は数えてないです。

ブログの記事になってない部分なんですが,実は,再録だけじゃダメだろうと,早慶上智以外の大学については,企画が立ってから本格的に集めました。「早慶上智以外はそんなに悪問多くないだろうから,ざっくり調べればいいや」と思ってたんですが,やってくといろんな大学から出るわ出るわで……神戸学院大とかがあんなんだったのは本当に驚きでしたね。
Posted by DG-Law at 2014年10月04日 21:49
お世話になっております。連載から好きなものだったので、早速購入させていただきます。(Amazonの値段で絶句しましたけど…)
よろしかったら、読み終わってから自分のブログ記事にて紹介させていただけないでしょうか。教育系の院生としてのコメントまではいけない可能性もありますが…
Posted by かっつん at 2014年10月09日 15:07
Amazon高騰してますね。ちょっとずつ入荷しているらしいですけど,注文に追いついてない感じです。

ブログ等での紹介は全く構いません。というか,特に許諾等は不要です。
Posted by DG-Law at 2014年10月10日 00:39
世界史以外の科目も出して欲しいな・・・

あと,資格試験の問題も負けてない(笑)と思いますよ。
Posted by   at 2014年10月15日 15:00
他科目についての要望は多数いただいてますが,上述の通りですね。
著者がいないことには,多分どうにもならないかと……

>資格試験の問題も負けてない(笑)
そういう切り口もおもしろそうですね。
教員採用試験なんかもかなり激しいようで。この間受験記をつづったホームページを読みましたが,確かに難問・悪問という感じでした。
Posted by DG-Law at 2014年10月16日 08:36
あれだけチェックしてもこれだけミスや見落としが見つかるんですね……文章を書くってこわい。
Posted by mukke at 2014年11月02日 18:54
5年間で10周くらい読み続けてる本とかでも,その5年目の10周目でやっと見つかった誤字とかありますから,ある程度は仕方ないかな,とは思っています。この辺はあとがきでもちらっと書いたことですが。
その上で言えば,非常に悔しいところですね。万全を期して出したつもりではありますので……

Posted by DG-Law at 2014年11月03日 10:32
今更ながら,帯の誤答選択肢にラピュタって2012年度のところですね。帯の誤植はおおらかに流すべきでしょうけど一応
Posted by かっつん at 2015年03月13日 00:23
Oh.....帯は校正していないですね。責任転嫁するつもりはないですけど。

万が一第三版が出たら直してもらいます。ありがとうございました。
Posted by DG-Law at 2015年03月14日 00:41
うえで教採の話が出てたので,もう一つ今更ながら,教採のは精選問題などありますが結構えげつない問題や面白い問題が多いですね。中学が専門で高校のはほとんど手が出てませんが…(自分が受けるところは基本を中心にしてる分,得点率勝負感がありますので)
例としては,三美神を描いた3つの絵が提示されていて(ポンペイ出土の後1世紀の壁画,14世紀の写本の挿絵,ボッティチェリの「春」),その3枚全てについて触れて,ルネサンスはどのような文化運動のことをいうのか,ルネサンスの基本的思想とはなにか,中世ヨーロッパ文化の特徴と比較して説明ですかね(指定語句は教会,ヒューマニズム,古代ギリシア・ローマ)
Posted by かっつん at 2015年03月14日 16:55
その例はむしろさくっとできないとダメなのでは。
ルネサンスが古典古代の復活を志向したものという知識さえあれば書けるのではないかと。

ちなみに,どこの出版社だったか忘れましたが,それと全く同じ主旨のコラムを載せている教科書がありますね。掲載された図版もその3枚で,世界史Aだったと思います。多分,そこから取ってきたのでしょう。ちゃんと教科書読んでますか? という意味合いで。
Posted by DG-Law at 2015年03月16日 16:34
世界史必修とはいえ,意外に社会科の専門でもさくっとできない人は多いと思います。古典古代の復興を思考したという知識があれば出るでしょうし… 
注:3枚の絵を前から き◆きと問題では振ってます。ちなみに回答は「中世のヨーロッパでは,日常生活や文化全般にカトリック教会の絶大な権威がゆきわたり,魂の救済を求めて禁欲的な生活が求められた。しかし中世末期に教会の権威が衰えると,禁欲主義から脱し,人間のありのままの姿を肯定し,人間の個性や自由な生き方を求めるヒューマニズムの考え方が生まれた。この考え方の模範とされたのが,キリスト教成立以前の古代ローマ・ギリシアの文化だった。このようにヒューマニズムを基本的思想とし.人間らしい生き方を追求しようとした運動がルネサンスである。 銑の画はすべてギリシアの三美神を描いたものであるが,女性美の描き方に時代の特色が色濃く出ている。,慮殿絅蹇璽泙硫茲詫臑痢い垢覆錣楚祐屬里△蠅里泙泙了僂鯢舛い討い襦△涼羸い硫茲鷲曚蚤里魃して描き,宗教的束縛を象徴している。のルネサンス期の画では透けた布をまとい,,隼た描き方になっており,古代文化を参考にしていることがわかる。」
自分はここまで書ける気はしないですね・・・
Posted by かっつん at 2015年04月06日 23:10
こんにちは、昨日購入していま未だ途中ですが、ちなみに2刷発行、誤植と思われる箇所を見つけたので老婆心ながら指摘したいと思います。p121下から4行目ー知って入れば ー知っていればー
p122ー下から10行目ーもにょる。ー意味不明
ところで、2014年の千葉大の問題などは作成した先生は思考力を試す良問と考えているのでは?
良問と奇問の差は紙一重といったところか。
しかし、いたずらに細かい知識を問う問題には怒りをおぼえます。作成者の怠慢とも言えると思う。自分は80年代の受験生でしたが、用語がかわっていたり、知らない用語が多々あるので今どきの問題はほとんど解けません、そもそも忘れているのがほとんど、用語としてはかすかに憶えていてもいつの時代だったけていう感じです。例えば農政全書。
兎に角、大変面白く読まさせてもらってます。詳しい感想は別の時にしたいと思います。
Posted by Seiji fujiwara at 2015年05月15日 17:27
お読みいただきありがとうございます!

>p121下から4行目ー知って入れば ー知っていればー
これは誤字ですね。次の版があれば直します。報告ありがとうございます。

>p122ー下から10行目ーもにょる。ー意味不明
これはネットスラングですね。「もにょる」でググると大体の意味がわかると思います。


>ところで、2014年の千葉大の問題などは作成した先生は思考力を試す良問と考えているのでは?
本の中でも書きましたが,そうでしょうね。「良問と奇問の差は紙一重」とはまさにそうです。
Posted by DG-Law at 2015年05月18日 03:22
ようやく読破しました。誤植と思われるの下記の一箇所です。
p205の下から11行目の、(伏線 は(伏線)では?

他には弁護したいのが下記の2つです。

p393の問題ですが、キューバ危機に関しては、2013年発行の山川の詳説世界史では「ケネディ政権はソ連船の機材搬入を海上封鎖で阻止した。そのため、米ソ間で一挙に緊張が高まるキューバ危機が発生したが、合衆国のキューバ内政への不干渉と交換に、ソ連がミサイル基地を撤去する合意が成立した。これ以後、米ソ両国は緊張緩和の方向に転じていった。」とあり、長い目で見れば、「米ソ関係はさらに悪化した」とは言えず誤文と判断できるのでは、それと、山川の説明だと海上封鎖がキューバ危機を発生させたのだから、「海上封鎖によって、キューバ危機に対処した」は誤りと判断できるのではないかと思います。

p440の問題ですが、「当時の東欧圏」をワルシャワ条約機構加盟国とすれば、ユーゴスラビアは違うと判断でき、ポーランドとルーマニアは地理的に西側に接していないので違うと判断すれば、ハンガリーのみが残るので、むしろ易しい問題と考えることもできると思います。

解説がしっかりしているので問題の問題点が分かり易かったです。それと時々砕けた表現で書かれているので思わず笑ってしまいました。ただ、中には自分には意味不明のスラングがありましたが、例えば「もにょる」とか「又吉イエス的」「(キリッ」」とかです。
総じて言えば、よくぞ書いてくれたと拍手を送りたいと思います。
では、今後の活躍を期待しています。
Posted by Seijifujiwara at 2015年05月21日 15:20
「『ハムレット』のあらすじを60字以内で説明しなさい。」という問題に関してですが、
横浜国立大学の図書館に「全国大学入試問題正解」が昭和24年から昭和53年まであるので調べたのですが、ただし昭和26,27,28,37,40,41は置いてなかったです、そのような問題はどこの学部にもありませんでした。もしあるとしたら、昭和24年以降の出題形式の傾向から判断すると昭和23年以前ということになると思います。ちなみに、昭和26年以降に、昭和29年からは確実に、文学部としての世界史の出題が始まっているようなので文学部出題説はあり得そうにありません。
Posted by Seiji fujiwara at 2015年05月22日 15:50
読破&再度のご指摘ありがとうございます。これだけ綿密に読んでもらえると,著者冥利に尽きます。

>>p.205
伏線のとじカッコはあってもなくてもよいかと思います。当時に意図して省いたかはちょっと記憶に無いですが。

>>p.393
そういう判断ができるであろうことを考慮しての「悪問」判定ですね。
完全に正文としか解釈できない文であったなら,「出題ミス」に分類していました。
しかし,近年の山川の教科書は簡素な表現を目指しているのはいいのですが,簡素過ぎて誤解含みの表現になってしまっていることが多いのはいただけません。もっとも,このキューバ危機の表現がいつからこうなのかは確かめていませんが。手元にある1997年版ではきっちり「海上封鎖を実行したため」キューバ危機に発展したとなっています。

>>p.440
これは確かにその通りです。良いご指摘です。改訂版が出たなら追加します。

>>中には自分には意味不明のスラングがありましたが
それは危惧していたところで,わかりづらかったら申し訳ないです。
どこまでネットスラングを入れるかは当時悩んだんですが,「後で読んだ時に当時のネットスラングも思い出せて良い」という意見もあり,結局可能な限り盛り込んだ感じです。

>>『ハムレット』のあらすじ調査
これ,本当に気になりますよね。
商学部という説もありますし,拙著に書きましたが1983年説もあり,また2000年頃という説もあります。ただ,後ろ二つに関しては私自身『入試問題正解』を当たりましたが,空振りでした。
私も継続して調べてますが,結局絞り込めていません。
おっしゃる通り,昭和のかなり古い時期で,しかも世界史ではない可能性もありえますね。
Posted by DG-Law at 2015年05月24日 00:36
受験世界史で悪問が多いという話は聞いていましたが、具体例がわかってありがたかったです。気の付いた点を3つ書きます。
 148頁の「イギリス東インド会社が長崎に商館を構えた」は、平戸の間違いです。1613年に開き23年(アンボイナ事件の年)に撤退しました。
 次に127頁の1980年代ですが、20世紀が1901年から2000年であるように、ひょっとすると出題者は1980年代を1981年から1990年ととっているのではないでしょうか。要は1980年代が何年から何年までという定義がきちんとあるのかということで、これは私も知りたいところです。(どちらにしてももう少し正解が得られやすいものにという趣旨には賛成です)。
 三つ目は、178頁からの教科書の構成ですが、歴史観の表明もありますが、要は高等学校学習指導要領の存在があり、山川はあまりそれに従わず、第2部で近世ヨーロッパから始めていたのですが、2003年版から学習指導要領通りに第2部を近世アジアから始めたはずです。その場合、180頁は1997年版ではなく2003年版の間違いということになりますので、確認されればと思います。学習指導要領と教科書については、昨年亡くなった鳥越泰彦氏の『新しい世界史教育へ』の84頁以下が詳しいです(山川詳説はあまり取り上げていませんが)。
 以上、気の付いた点を指摘させていただきましたが、先生のご努力については敬意を表しております。
Posted by 中村 at 2015年06月01日 11:12
いろいろご指摘ありがとうございます。

一つ目はどう考えても平戸ですね。直しときます。
二つ目,おっしゃる通り1990年を80年代に含むとすると,1991年のハが正解で残りますね。ここまで一つも出てこなかったものですが,これはこれで納得の行く推論です。ただ,ここまでその発想が出てこなかったように,普通は1989年までだと考えると思いますので,いずれにせよ思い込みによる作問ですね。
三つ目,確認しました。確かにそうですね。ここは直すのが難しそうです。
とりあえず,このブログ上の正誤表だけ,後日に更新しておきます。

>先生のご努力については敬意を表しております。
重ねてありがとうございます。
いろいろとミスもありますが,とりあえず業界の注意喚起になるだけの質のものは作れていたかな,と半年経って思います。
Posted by DG-Law at 2015年06月02日 02:06
 1991年の関西のR大学の問題で「ポルトガルのインド・中国・日本の根拠地をあげよ」という問題があり、大学側の解答例はわかりませんが、予備校の解答例では「ゴア・マカオ・平戸」となっていました、当時の実教の教科書にそのような記述がありやむを得ない解答例ですが、実際は、ポルトガル商人は1550年から平戸で貿易をしましたが、領主の松浦氏と対立し、1570年ごろから長崎で貿易を行い、中国のマカオとの間の貿易で多大の利益を得ていました。おなじような誤解をまねくような問題が1988年の共通一次でもありました。世界史と日本史の接点となる出来事はなかなか理解がおよばないところですが、現在の世界史は日本史との関連が強調されています。そうした点からも正確な認識が深まるよう期待しています。
 3つ目ですが、とりあえず1997年版を2003年に変え、分析の3行目までを変えればいいと思います。長く続いたのは2部の初めがヨーロッパから始まっていたことであり(2003年からご指摘のようにアジアからになりました)、これは戦後初めてできた学習指導要領が「近代以前」「近代」「現代とになっていたのをその後もずっと山川が踏襲していたということです。それをベースに1885年版のところを修正されたらと思います。
 
Posted by 中村 at 2015年06月02日 20:45
 2つ目ですが、私は最近歴史教育の改革を提言した研究会に所属させていただきましたが、その際入試問題の改革として、年代を問わないというのを入れたいと思ったのですが、最近そうした出題はあまりないといわれ、そのことは入れませんでした。しかし、この問題などをみると、細かな年代を知らないと解けない出題についてもっと声を上げたほうがいいと思いました。次の学習指導要領では世界史は必修でなくなる可能性が強くなっています。そうなると世界史を学ぶ高校生は激減すると思います。世界史を魅力的な科目とするためにも、教科書を魅力的なものにすることが必要で、そのためには入試問題の改革は必須です。今後とも、こうした見地から、入試問題に声を上げていただくよう期待しています。
Posted by 中村 at 2015年06月02日 20:47
1991年のR大学の事例は興味深い事例ですね。
おっしゃる通り,今後は日本史に関連した出題が増えそうですので,先行事例として扱えるかもしれません。

>歴史教育の改革を提言した研究会
7月末に発足するアレですかね。私は今ちょっと迷っています。

>年代を問わないというのを入れたい
細かな年代(一桁目だとか月単位だとか)という意味なら賛同します。
拙著に入れてある通りですが,早慶上智などではそうした問題は今でも多いですね。というよりも,拙著では私の判断でどうにも無理があるものしか収録していないので,おそらく中村さんがダメだと思うものは実態としてはさらに多いですね。

>次の学習指導要領では世界史は必修でなくなる可能性が強くなっています
世界史Aと日本史Aを合体させる「歴史総合」案が出てますが,どうでしょうか。
私は現行の世界史Aよりは意味があるかなと。

>そうなると世界史を学ぶ高校生は激減すると思います
受験レベルで考えないなら「必修」が生きていて,「履修したことになっている」高校生は現状数を保てていますが,
センター試験などの受験者で見ると,実は現時点ですでに日本史に惨敗状態です。挽回は以前より必須命題ですね。
おっしゃる通り,教科書にせよ,入試問題の適正化にせよ,必要だと思います。私もできる範囲で活動していこうと思います。
Posted by DG-Law at 2015年06月04日 10:25

p422慶應義塾大 法学部 の問題1の(13)(14)は(11)(12)では?

ところで、慶應文学部03年にアガサ クリスティを問う問題がありました。余程ファンなのか作品名が4つもあった。今年ドラマ化されて知名度上がったでしょうけど、03年頃の受験生には馴染みなかったかでしょうね。これって、日本史で尼子の落武者伝説を基に「八つ墓村」書いた作者の名を問うようなものの気がします。自分もアガサクリスティの作品は原書でいくつか読んでいるので、個人的には出題者に拍手送りたいですけど。このような用語集には未掲載で、かつ知ってる人には常識と思えるような人名や地名などを聞く問題についてどう思いますか?
Posted by Seijifujiwara at 2015年06月12日 11:04
>p422慶應義塾大 法学部 の問題1の(13)(14)は(11)(12)では?
おっしゃる通りです。よく気づきましたねこれ。
番号はかなり綿密に見ていたつもりなんですが,まだありましたね……


>このような用語集には未掲載で、かつ知ってる人には常識と思えるような人名や地名などを聞く問題についてどう思いますか?
やっぱりまずいと思います。「常識」の範囲にもよりますが。
作題者が「本来この用語は教科書・用語集に載っていてしかるべき」と考えて,あえて作ったか,それとも完全に趣味で作っていて,趣味を同じくする受験生を合格させたいと考えているか。後者は論外と思います。

前者の場合,たとえば私は西洋美術ファンですが,現行の教科書・用語集には本当は載っていてしかるべきと思う画家がかなり載っていません。
それでも,カラヴァッジョ以外は「むやみに教科書を厚くしない」という観点から言って仕方が無いと思いますから,あきらめています。
拙著の中でも言及していますが,下手をすると文化資本の問題になりかねませんし,そこで選別する意味はあるのかどうか。
Posted by DG-Law at 2015年06月12日 18:20
いつも丁寧な回答ありがとうございます。
「絶対に解けない入試世界史」の中ではp439のクセルクセス1世が人名記述では一番難度が高いと思われますが、もっとも07年公開の映画「300」で知名度上がっていたでしょうが、08年以前の過去の出題で歴史好きに対する挑戦と思える様な難度の高い人名を記述さた問題はなんでしょか?
Posted by Seijifujiwara at 2015年06月20日 18:19
こちらこそいつもありがとうございます。

さて人名ですが,記述式に限定すると,ちょっとわかりません。
選択肢式まで含めてよいなら,p.25の2014年早慶5番の語群にあるようなローマ皇帝は,大体過去に一度は問われたことがあります。セプティミウス=セウェルスやアウグストゥルスはおそらく複数回あるでしょう。
あー,そういえばアナクシマンドロスとアナクシメネスは出たことありましたね。上智だったと思います。
三国志をやっている人としては常識ですが,後漢の桓帝・献帝も記憶があります。

時々聞かれるので,リストにしてみるとおもしろいかもしれません。
Posted by DG-Law at 2015年06月20日 23:46
回答ありがとうございます。参考になりました。やはり政治家皇帝王様が頻度高いようですね。
自分で調べるには手持ちの資料の数がごく限られていますので尋ねました。
やはり慶應文学部03年のアガサクリスティが世界史の問題としては一番変な問題なのでしょう。慶應商学部のベーブルース等のスポーツ選手の方がまだ選択肢なのでましな気がします。
ちなみに早稲田文学部だと03年のマサッチョが難問でしょうが、画家なのでまだ許せます。東大だと03年のサヴァンナ号が難問。ここで03年が続いているのでもうちょい調べると早稲田政経学部がミタ制、慶應法学部がチェルヌイシェフスキーとコルニーロフといった感じ。まあ東大以外はほぼ毎年難問がでるので偶然でしょうが、03年に学習指導要領が新しくなった点が気になります。一橋大学も03年に教科書外の難問出しているし。
奇問は出題者の興味がなんなのかが分かる点では面白いです。受験生には災難ですけど。
是非リスト作ってみて下さい。
Posted by seijifujiwara at 2015年06月26日 18:07
245頁の国際基督教大の番外編の問題の解説に、「誤答のうち,『軍隊』と『驚愕』は交響曲。」とあるのですが、残りの誤答選択肢『時計』も交響曲ですね。論理的には問題ないのですが、世界史以外の問題といえども誤解知識になってしまうおそれがあるので念のため。

ところで、この問題、いかにも宗教関係の問題なのに実はそうじゃないという嫌らしい問題なんですよ。オラトリオは、宗教的なもの(問題文中の括弧書きの補足どおりの曲)と世俗的なもの(宗教から離れて自然や生活を歌った曲。中にはスターリンを賛美した曲なんかも)の2種類に分けられ、問題文中の『天地創造』は前者なのですが、正解選択肢の『四季』は後者なので、実は宗教関係ないんですよ。即答できる人は何ら困らないのですが、分からないので宗教っぽいものを選択しようとすると、ハマりかねなかったわけですね。

国際基督教大がキリスト教にひっかけてきたかと思いきや、実は関係なくて単なる音楽史の問題だったというのがちょっと面白いかなあと。まあハイドンの交響曲には「受難」「奇蹟」なんてのもありますので、これが選択肢じゃなかったのが救いですが。
Posted by snowdrop386 at 2015年07月14日 22:29
ご指摘ありがとうございます。
ご存じかもしれませんが,実は,ほぼ同じタイミングで別所にて同じ指摘を受けまして,ちょっと考えていたところです。
手が空いた時に正誤表に足しておこうと思います。

>国際基督教大がキリスト教にひっかけてきたかと思いきや、実は関係なくて単なる音楽史の問題だったというのがちょっと面白いかなあと
過去にあったので一番強烈だったのは,美術史の問題で,「次の画像の中から聖アンデレ十字を選べ」という問題でした。リード文中にノーヒントで,完全に聖アンデレ十字がX字というのを知っているかどうかという問題でしたけど,あれはよほど西洋美術が好きか,熱心なクリスチャンしか解答できなかったでしょうね。
Posted by DG-Law at 2015年07月16日 01:15
うわー、お恥ずかしい。
「ご存じかも」と言われてもしやと思い、10日ぐらい前に貴書を読み直すきっかけとなったブログの記事を読み直してみたら同じ場所の指摘があったのですね。読み落としてました。申し訳ありません。
Posted by snowdrop386 at 2015年07月16日 12:25