2016年03月12日

受験世界史悪問・難問・奇問集 ver.2016 その1(上智大・慶應大)

今年の分もなんとか書き上がったので,お届けする。


・収録の基準と分類
基準は例年とほぼ同じであるが,新課程になったので用語集の収録語・頻度が大きく変わった。その点は変更がある。

出題ミス:どこをどうあがいても言い訳できない問題。解答不能,もしくは複数正解が認められるもの。
悪問:厳格に言えば出題ミスとみなしうる,国語的にしか解答が出せない問題。
→ 歴史的知識及び一般常識から「明確に」判断を下せず,作題者の心情を読み取らせるものは,世界史の問題ではない上に現代文の試験としても悪問である。
奇問:出題の意図が見えない,ないし意図は見えるが空回りしている問題。主に,歴史的知識及び一般常識から解答が導き出せないもの。
難問:一応歴史の問題ではあるが,受験世界史の範囲を大きく逸脱し,一般の受験生には根拠ある解答がまったく不可能な問題。本記事で言及する「受験世界史の範囲」は,「山川の『用語集』に頻度,任發いいらとりあえず記載があるもの」とした。


総評
上智大は,昨年おとなしくなったと評したが,今年についても「さらにおとなしくなった」と評価できる。以前は早慶上智と並べても上智のインパクトがすさまじく,特に日本語の不自由さにかけては圧倒的であったが,ここ2年は確実に改善しており,今年の上智に至ってはもはやGMARCH・関関同立クラスの“悪さ”でしかない。ちなみに同時に難易度も下がっている。難易度の高さと質は必ずしも負の相関関係があるわけではないが,ことマーク式については難易度を上げると悪問が生じやすいという傾向はある。上智大が質を上げるために難易度を下げたのか,難易度を下げた結果として悪問が減ったのかは定かではないが,歓迎できる方向性であるとは言えよう。しかし,2016年は上智大に代わって慶應大がひどかった。昨年から継続して悪化傾向が見られたので,段階的に上智大と中身が入れ替わってるんじゃないかと疑うレベルである。

早慶上智全体を見渡すと,意外にもどの私大もきっちりと新課程対応してきており,「これ旧課程にしか載ってないんですけど」系の難問はほとんど見なかった。むしろ新課程になって新たに収録された細かい用語をバシバシ出題しており,特に二・二八事件とウマイヤ=モスクは“新課程ご祝儀”とでもいわんばかりに散見された。まあどちらも新課程で収録されたのが妥当な重要な歴史用語ではあるが。

ところで,上智大の解答速報から代ゼミが撤退してしまった。これにより大手予備校で上智大を出しているのは東進だけ,中堅予備校を含めても増田塾が増えるだけになってしまった。毎年書いているが,東進は解答に非常にミスが多いため,とてもじゃないが「解答速報」として参照できるレベルではなく(今年も1日程につき2,3問ずつ間違えている),また会員限定である。一方,増田塾は正確だが,解答が出るのが入試日から5日後とすでに「速報」ではない。すでに解答速報は大学入試において一種のインフラと化しており,受験生が確認するのみならず,提携先のマスコミにとっても貴重な情報源であるし(河合塾=日経・駿台=毎日・代ゼミ=読売),各大学は予備校の速報を見て出題ミスを確認している(採点基準の参考にしているという話も聞いたことがある)。経営上の判断ゆえに仕方がないが,上智大へのインフラが細ってしまったのは,やや残念である。


以下,上智大と慶應大。


1.上智大 2/4実施
<種別>奇問
<問題>4 下の図は中国高速鉄道(日本の新幹線にあたる)の大まかな路線図である。これを見ると古来の主要な交通路が現在に至るまであまり変化していないことがわかる。これに関する以下の問(1〜8)に答えなさい。


2016上智1



問1 図中のA〜Eには都市名が入る。それは何か。それぞれもっとも適するものを1つずつ選びなさい。

A a 天津  b 長春  c 満洲里  d 青島   e 大連
B a 重慶  b 鄭州  c 旅順   d 済南   e 京城
C a 揚州  b 南京  c 新京   d アモイ  e 蘇州
D a 武漢(漢口)  b 成都  c 桂林  d 宜昌  e 長沙
E a ハノイ b 香港  c 貴州   d 広州   e マカオ

<解答解説>
上智大名物「海岸線の無い地図」である。他の入試問題がまともになる中でこの海岸線の無い問題という出題形式だけは一向に変えようとしないあたり,向こうも意地になっているというか,何か正当性のある出題であるという矜持すら感じる。実際,今回は路線図だからセーフという正当性を掲げているようにも思える。

さて解答。Aは北京より大きく東にあり,上海のほぼ真北,鉄道の向きから言っても遼東半島と検討がつけばたやすい。eの大連しか残らない。長春とやや迷うか。Bは通常の世界史学習で正解bの鄭州を習わないので,消去法でしか解答しようがなく,あえて言えばこれが一番の難問。ただ,上海よりも北なのでどう考えてもa重慶はありえず,Aの正解が大連だからc旅順も絶対にない。d済南は山東省だから北京よりも西にあるBは不適,e京城はソウルの旧名だから不適,と消していくことはできる。済南とは多少迷うと思われる。Cは揚州が高校世界史ではややマイナーな地名だが,知っていると南京の隣なので逆に混乱すると思われる。南京の方が大都市なので,こちらに新幹線が接続するだろうという常識的な判断が働ければ,bの南京にたどり着ける。

Dは広州(後述するEの正解)の真北,上海の真西という点からaの武漢しかないが,これは難易度が高い。成都は南すぎるから違うとわかるが,残りの3つはいずれも高校世界史だと出てこない地名と言ってよい。観光名所の桂林は興味があれば知っているかもしれず,三国志に詳しければ長沙の場所はわかるが(フラグ),宜昌はどうにも難易度が高かろう。宜昌は武漢よりも西,長江の上流にあたる。ただし,後の設問を解いていくと,Dが武漢でなければどうにも答えが出ないものが出てくるので,逆算して武漢と正解にたどり着くことはできる。最後のEは簡単。仮に深圳を知らなくても(中学の社会科で出てきた気はするが),これだけ南に位置する大都市というとdの広州しかあるまい。なお,これもEが広州でなければ後ろの設問が回答できなくなるので,逆算可能である。

地図の残りの白丸について。Aの真上が瀋陽,最も上の○が長春,北京のすぐ斜め下が天津,その下が済南,その右が青島,Cの上が徐州,Bの左が洛陽または西安。杭州と深圳の間は北から寧波・福州・莆田・厦門。DとEの間は衡陽になると思われる。


2.上智大 2/4実施(2つめ)
<種別>難問
<問題>4(地図は同じ) 問4 北京から南下してB・Dに至る路線に関する次の文のうち,誤っているものはどれか,適するものを2つ選びなさい。

a この路線は太行山脈の東側を南下している。
b この路線は「絹の道(シルク=ロード)」の東方への延長ルートとBにおいて交差している。
c Bは洛陽と開封の間に位置する古い都市である。
d Bから西に向かうと古代文化の中心地であった西安に至る。
e 安禄山の主力はこの路線沿いに南下し,洛陽から長安を占領した。
f Dは長江の中流域にあり,陸上・水上交通が交差する要衝である。
g Dから西に向かうと国民政府の首都だった南京がある。
h 三国時代,Dの東にある赤壁で魏と呉・蜀の勢力が衝突した。(強調は編者)

<解答解説>
この問題だけやけに難しかったのでピックアップ。北京から武漢を結ぶ路線である。まともに解いていくなら,簡単に切れるものはb:シルクロードとは直行するから正文,dはbが正文なら自動的に正文になる。eは安禄山が北京周辺の節度使だったことを知っていれば正文と判断可能。fも常識的に正文とわかるだろう。逆にgはCが南京とわかっていれば完全に誤文とわかる舐めた選択肢。これで正解のうちの片方はわかる。

してみるとa・c・hのうち1つだけ誤文というところまでは絞れるが,ここからは受験生には厳しかろう。aとcは正文だが,完全に地理の問題であって世界史の問題ではあるまい。ともあれ,残ったhが誤文になるが……上智さん,去年も赤壁の戦いの場所で問題作ってませんでしたか?2015上智7番

しかも,そこの解説文の通り,昨年は赤壁の場所が厳密には間違っているというやらかしがある。昨年の地図のキの位置は江夏であり,赤壁は江夏よりも西にある。……ところで,実は江夏は現在武漢市の江夏区であるから,昨年の地図のキが実際には武漢市であり,赤壁は武漢よりも西とわかっていれば,hは誤文とわかる。つまり,昨年の出題ミスがミスである理由がわかっていれば正解にたどり着けるという鬼仕様(ただし公的に出題ミスを認めていない)なのだ。ひょっとして,リベンジのつもりでこの問題作ったんですかね? 受験生にとっては迷惑以外何物でもない。多分,世の中で気づいたの,今のところ僕だけですよ。


3.上智大 2/5実施
<種別>奇問
<問題>2 問3 下線部(ウ)に関して(編註:メキシコは領土の約半分を失った),アメリカ合衆国がこの戦争で獲得した領土に含まれない現在の州はどれか。

a ネヴァダ  b アリゾナ  c ユタ  d インディアナ

<解答解説>
米墨戦争でアメリカが手に入れた領土は全ていわゆる「西部」であるから,この中から西部にあたらない州を選べばよい。しかし,50州の位置に関する正確な知識は地理の分野であり,世界史としては厳しかろう。毎年書いているが,上智さんは地理に詳しい生徒が欲しいなら,地理で受験できるようにすればよいのでは。意固地になって世界史で地理の知識を問わなくても。なお,dのインディアナ州が正解。


2/6実施は該当する問題無し。


4.上智大 2/7実施
<種別>悪問
<問題>2 問3 下線部(12)に関して(編註:ゴート人),ゴート人について述べた文としてもっとも適切なものを,選択肢(a〜d)から1つ選びなさい。

a 西ゴート人は北アフリカに王国を建てた。
b 東ゴート人はイタリア半島に王国を建てた。
c アッティラに率いられ,ローマと戦った。
d ゲルマン人の大移動がはじまったとき,バルト海沿岸に居住していた。

<解答解説>
すぱっと解答するならbがどう見ても正文=正解で終わる問題。しかし,cについては,ゴート人のうち東ゴートはフン人に服属していたことがあり,少なくともカタラウヌムの戦いでは,西がローマ側で東がフン人側というように分かれて参戦していた。cに関しては,「全ゴート人が」と脳内補完しないと,誤文=誤答になるまい。3年前までの上智大の問題ではよく見られた系統の問題の残滓だろうか。


5.上智大 2/9実施
<種別>難問
<問題>3 問2 (イ) イスラエル建国時のイスラエル首相は誰か。
a ラビン  b シャロン  c ネタニエフ(原文ママ)  d ベングリオン

<解答解説>
ド直球の難問&社会人の方が正答率が高そう系の問題。aのラビンは1993年オスロ合意時のイスラエル首相で,高校世界史の基礎知識だが,残りはきつかろう。bのシャロンは新課程の用語集で頻度,覆里妊リギリ範囲内と言えるが,cとdは完全な範囲外である。まあ,3年前の入試問題で「教科書にのっていなくても,常日頃から新聞などに接していれば誰でも知っていることは,入試で聞かれてもおかしくないと思うよ。」とかほざいていたので(2013上智の番外編2,拙著のp.107),cのネタニヤフくらいは新聞で出てくるだろ? ということなんでしょう。そこまでわかればdのベングリオンに絞れる。ところで,ネタニエフという表記は一般的ではないように思うのだが,ヘブライ語的には正しいのでしょうか。私はヘブライ語知らないので,知っている方がいたらお教えください。



1.慶應義塾大 経済学部
<種別>難問
<問題>2 問15 下線部Fに関連して(編註:(北欧諸国は第二次大戦時には)侵略や占領の対象となるなどして戦争に巻き込まれることが多く),第二次世界大戦におけるフィンランドのソ連およびドイツとの関係を,スターリングラードの戦いが始まるまでの時期について,解答欄Bの所定欄の範囲内で説明しなさい。(編註:60〜80字程度)

<解答解説>
2016年の慶大経済学部は良問が多く,仮に良問集を作るならいくつかは必ず収録できる。非常にしっかり作っている印象を受けたが,その中でこの1問だけ明らかに異常な難易度であった。要するに「ソ連がカレリア地方の割譲を要求→冬戦争→フィンランドが枢軸に接近→独ソ戦とほぼ同時に継続戦争を開始」の流れを書ければよい。しかし,高校世界史上の冬戦争は非常にマイナーであり,どちらかというとソ連が国際連盟を追放された原因として出てくることの方が多い。そして冬戦争はまだ扱われるだけマシで,継続戦争に至っては雑にフィンランドが枢軸国側に入ったと示されているのみで,実質的な説明は一切なく,「継続戦争」の項目自体が用語集に無い(旧課程・新課程ともに)。つまり,この解答を作成する上で必要なだけの詳細な説明は教科書・用語集を読んでも載っていない。無謀な要求と言わざるをえない。

それにしても,これだけ良問をそろえておきながら,この問題だけ不自然に難易度が高かったというのは,よほど何かこだわりがあって出題したと思われる。単純に高校世界史上の北欧史軽視に憤っているだけかもしれないが,よりによって継続戦争を出題したところから,中の人がガルパンおじさん(おばさん)だった可能性を疑わざるをえない。


2.慶應義塾大 商学部
<種別>難問
<問題>1 世界的に有名な (9)(10) であるロイズも,ニュートンなど科学革命を生み出した科学者の (11)(12)も,これらコーヒーハウスから始まった。
(編註:(11)(12)の正解は「王立協会」。)

29 船舶会社  36 チョコレート会社  50 保険会社
(編註:関係ある選択肢のみ抜粋,以下商学部は同様)

<解答解説>
総評で述べた通り,2016年の慶應は経済学部以外が本当にひどかった。その中でもひどかったのは商学部である。過去の商学部は平均的に良問が多かっただけに,2015年・2016年とひどく,残念でならない。

さて。本問は厳密に言えば記載がある教科書があるので範囲内になるが,さすがに度が過ぎると判断して収録した。ロイズは保険業であるから50が正解。とはいえ残りが船舶会社とチョコレート会社だから,消去法で絞れるのでは,という反論はありうると思う。しかし,まず慶應大の商学部と法学部の場合,選択肢が50〜70に及ぶので,消去法が非常に難しいという指摘はしておきたい。編註で書いたが,私が関係のある選択肢3つだけ抜粋して掲載しているだけで,本問も本来は56の選択肢がある。

次に,ご存じの方も多いと思うが,ロイズというチョコレート会社は実在するし,普通にググるとこっちの方が先に見つかる。というよりも,2016年3月12日現在で,検索結果上位10件はすべてチョコレート会社の方のロイズであるから,必ずしもバカにした選択肢というわけではない。ついでに言うと2016年の商学部の入試日は2/14であるから,むしろチョコレート会社が正解の方がハイセンスだったのでは(無論それは超難問だけど)。


3.慶應義塾大 商学部(2つめ)
<種別>難問・奇問
<問題>1 第二次世界大戦後,情報伝達の主役はラジオからテレビに移った。テレビや写真などの映像によるニュース配信は,情報量が多いため人々に与えるインパクトが大きかった。たとえば (25)(26) の「安全への逃避」は, (27)(28) でアメリカの攻撃を逃れようと川を渡る母子の姿を撮影したもので,世界に大きな衝撃を与えた。この戦争は連日テレビで世界中に報道され,正義の戦争と信じていたアメリカ国内世論に疑問を呈した。

22 沢田教一  28 スペイン内戦  35 朝鮮戦争  48 フーコー  49 ベトナム戦争
52 リュミエール兄弟  55 ロバート=キャパ  56 湾岸戦争

<解答解説>
答えは(25)(26)が22の沢田教一,(27)(28)が49のベトナム戦争である。ベトナム戦争は「正義の戦争と信じていたアメリカ国内世論に疑問を呈した」からわかるだろうが,沢田教一は無茶だ。こんなことで沢田教一の名声を高めようと考えて作ったのだとしたら愚かの極みであり,受験生には受かったにせよ落ちたにせよ悪しき記憶としてしか残らないだろう。この問題について,ある方が「ベトナム戦争反戦が青春だったんだろうなぁ」とコメントしていたが(その方も50代),そういうことなのかもしれない。だとすると,作題者の思い出押し売り問題である。

なお,誤答の候補とすると48のフーコー,52のリュミエール兄弟,55のロバート=キャパの3つしかないが,52のリュミエール兄弟は範囲内(かつ他の問題の正解)だからいいとして,フーコーとロバート=キャパはいずれも範囲外である。フーコーは聞きかじったことがあるかもしれないし,ロバート=キャパは資料集に「崩れ落ちる兵士」が載っていて,そこのクレジットに名前が入っているから,見覚えが全くないわけではないかもしれないが,情状酌量の余地にはなるまい。繰り返しになるが,本問の選択肢は本来56個であり,そもそも聞き覚えのない人名をピックアップする作業自体が困難であるのも,本問のクソさに拍車をかけている。


4.慶應義塾大 商学部(3つめ)
<種別>難問
<問題>1 また,1993年に内戦中のスーダン南部で南アフリカの写真家が撮影し,翌年に (29)(30) を受賞した「飢餓でたおれた少女を狙うはげわし」は,世界の指導者たちに強いメッセージを残した。

41 ノーベル賞  44 ピューリッツァー賞  46 フィールズ賞  

<解答解説>
ある程度常識の範囲ではあると思うが,自分が18歳だったときにピューリッツァー賞を知っていたかを考えると,やはり難問と言わざるをえない。大学生や社会人なら知っていてほしいとしても,高校生に常識として問うていい水準の言葉であるとは,私には思えない。消去法で解こうにもやはりまず選択肢56個の壁が立ちはだかり,そしてフィールズ賞も知らないだろうから,結局絞れまい。


5.慶應義塾大 商学部(4つめ)
<種別>難問
<問題>1 また広告・報道写真などの情報伝達手段そのものを素材にポップアートを展開する動きもある。「キャンベルスープ」のシルクスクリーンで知られる (35)(36) はその代表だ。

15 ウォーホル  32 ダリ  33 チャップリン  43 ピカソ  48 フーコー  52 リュミエール兄弟
54 ロダン  55 ロバート=キャパ

<解答解説>
私自身は初見で全く難問と思わず,どこの予備校の解答速報でも「難問」と指摘されているのを見てからあれれ? と思って調べた。すると用語集に載っていない,教科書の挿絵にもない,どころか各種資料集にすらない(「マリリン=モンロー」なら見つけた)と気づいた。それなら確かに本企画基準で言っても間違いなく難問である。正解は15のウォーホル。

理由はよくわからないのだが,音楽史は19世紀までやたらと軽視されているにもかかわらず,20世紀になった途端クラシックではシェーンベルクが載っていて,「ジャズ」や「ロック」,そしてロックの代表格としてビートルズまで登場する。ちなみにこの同じ第1問の中にも,ジャズの発祥の地はどこか? でニューオーリンズを答えさせる問題が出ている(新課程用語集に記載有)。一方,美術史は19世紀までぼちぼち優遇されているが,20世紀はマティス・ピカソ・ダリ,そしてなぜかシケイロスが出てきて,以上終了である。4人いるので数の上では多く見えるが,20世紀前半に偏っている。私自身も個人的な好みとして20世紀美術は好きではないが,客観的に言って,シケイロスを外した上で,デュシャン・ポロック・ウォーホルの誰か一人くらいを入れないと「20世紀美術の世界史的説明」にはなるまい。ピカソまたはダリが実質的な最後の画家とすると,20世紀後半の美術史は全くの空白になってしまう。そもそもロックやビートルズの項目が立っているのなら,バランスをとるならやはりウォーホルとポップアートがあってもよいのでは。まあシケイロスが載っているのと同じくらい,シェーンベルクが載っている理由もよくわからないのだけど(以前に12音階があるからでは,という指摘は受けた)。


6.慶應義塾大 商学部(5つめ)
<種別>悪問
<問題>1 問3 下線部(b)に関連して(ルネサンスの3大発明の1つである,活版印刷術である),活版印刷発明以前は,何故,一部の人しか情報を持ちえなかったのか。その主たる理由を2つ,解答用紙Bの所定の欄に記入しなさい。

<解答解説>
明らかに問題作り慣れてない人の「俺の頭をエスパーしろ」式の記述問題。各予備校の解答の割れっぷりを見ても,それはわかろう。読者諸氏は解答なんだと思います?

・河合塾:1.手書きの写本で数が少なかった。2.高価な羊皮紙が主流であった。 3.ラテン語を理解できる人が限られていた。
・代ゼミ:1.文字の記録は筆写本に頼っていたため情報の流通が限定されていた。
2.写本はラテン語で書かれており読み手は一部の聖職者に限られていた。
・東進:1.書物製作が高価で時間がかかること。 2.非日常言語のラテン語が学術語であったこと。
・駿台:1.著書は手書きで写されたため。 2.著書は非常に高価だったため。
・増田塾:手作業による写本が一般的だったため,完成に時間がかかる上に,高価だったため。

本問は,「2つ」という条件を無視して解答するなら,「書写であったために人手も時間もかかったので,本が高価で,大量生産できなかったから。」となる。これは多くの教科書で本文に記載があり,解答は容易で,こうした問われ方ならば予備校の解答も割れなかっただろう。「2つ」などという余分な条件がひっついたことで,混乱が生じてしまった。すなわち,「書写(写本)であったがゆえに高価で大量生産できなかったから」を1つと取るか,「高価」と「大量生産できなかった」の2つととるかが本問の問題文では判然としないのである。そして多くの予備校はこれを1つと取ったようだが,私は,作題者の考える正解はおそらく「書写ゆえに高価だったから」で「書写ゆえに大量生産できなかったから」だったのではないかと思う。なぜなら,「書写であったがゆえに〜」を理由の1つとしてしまうと,もう1つの理由はどうしても思いつかず,結果的に活版印刷/書写以外の理由から引っ張ってくるしかなくなるからである。

その観点から各予備校の解答を見ていくと,なかなかおもしろい。河合塾は3つ挙げてうち2つとしているが,1はよいとして,2は活版印刷/書写の軸ではなく製紙法/羊皮紙の軸が原因であり,3は社会制度の問題(書写に従事する層がラテン語識者と重なっていたのは社会的事情であって,活版印刷がなかったからではあるまい)であって,活版印刷と直接は関係がない。しかし全く関係がないかと言えば,製紙法が先に入ってきていたからこそ活版印刷の発明が起きたとは言えるだろうし,写本が高価だったからこそラテン語識者にしか書物が行き渡らなかったのだから,間接的には関係している。代ゼミ・東進の解答も河合塾の解答とほぼ同じ。

駿台は2の原因が1なのだから,カテゴリーエラーである。増田塾の解答は,「写本が一般的だったため(1)」「完成に時間がかかる(2)」「高価だった(3)」と実質的に3つ挙げられている上に,2の理由が1で,3の理由が2であるから,やはりカテゴリーエラーである。どこの予備校も,正解にたどり着いていない。


7.慶應義塾大 商学部(6つめ)
<種別>悪問
<難問>1 問6 下線部(e)に関連して(編註:スーダン南部),スーダンは1956年に独立したが,
(ア) それまでどこの支配下にあったのか。
(イ) また上記(ア)がスーダンを支配するきっかけとなった事件を何と呼ぶか。

<解答解説>
予備校の解答が割れる&どこまでが許容解かわからないシリーズ。まず(ア),まともに解答するならイギリスだが,1956年までのスーダンは名目上イギリスとエジプトの共同統治であるため,エジプトと解答されたら誤答にできないはずである。はたして作題者がエジプトという解答を想定して問題を作っていたのかは相当に疑わしい。河合塾と代ゼミと東進はイギリスのみ,駿台は両国を併記してイギリスまたはエジプトとし,増田塾は「イギリスとエジプト」(両方必要という判断だろう)という解答。

(イ)は,(ア)の答えを素直にイギリスとしても,マフディーの乱とファショダ事件の2つが想定されうる。それまでエジプトの名目上の統治下だったスーダンに,イギリスが本格的に乗り出す契機となったのはマフディーの乱鎮圧だが,そこからフランスの干渉を排除してイギリス支配を確定させる契機になったのはファショダ事件だろう。河合塾は併記,駿台と東進と増田塾はファショダ事件のみ,代ゼミはマフディーの反乱のみ。私自身の解答も提示したいところだけど,これは本当にわからない。どうしてもと言われたら河合塾と同じように併記すると思う。仮に作題者が「事件」で問うてるんだから「ファショダ事件」に誘導できると思い込んでいる(そして正解はファショダ事件のみ許容する)のだとしたら,ゴードン将軍並の無謀と言わざるをえない。

なお,(ア)の解答をエジプトとした場合,第三の正解が想定されうる。「ムハンマド=アリーによる遠征軍派遣」である。これも作題者の想定外の解答になると思われるが,正解にせざるをえまい。


8.慶應義塾大 商学部(7つめ)
<種別>難問
<問題>2 問8 下線部(g)について(編註:(イギリス政府は)1911年に国民保険法を制定し,国民生活の安定に対しても責任を負うようになった),この時に発足した2つの保険制度は何であったか。それらの保険の名前を解答用紙Bの所定の欄に記入しなさい。

<解答解説>
用語集に記載があるので厳密に言えば範囲内だが,これを暗記しろというのはあまりにも拷問じみているため,収録対象とした。正解は「疾病保険」と「失業保険」である。何を考えてこれを出題したのか,全くわからない。


9.慶應義塾大 商学部(8つめ)
<種別>悪問
<問題>3 フィリピンは, (69)(70) 大統領のもと,議会で成立した「フィリピン独立法」に従い,1946年に独立を果たした。

14 アイゼンハワー  15 アウン=サン  28 シハヌーク  32 スカルノ  33 スハルト  
42 トルーマン  44 ネ=ウィン  55 ポル=ポト  56 マハティール  58 マルコス  
61 リー=クアンユー  62 ローズヴェルト

<解答解説>
日本語がドヘタクソ問題。まずぱっと見でアメリカの大統領の名前が欲しいのか,フィリピンの初代大統領の名前が欲しいのか判断しづらい。しかし,フィリピンの初代大統領ロハスが選択肢62個の中にないので,こちらは求められていない=アメリカ大統領が問われているとわかる。なお,ロハスは範囲外。次に,「(69)(70)大統領のもと」は「議会で成立した」にかかるのか,「1946年に独立を果たした」にかかるのかもわかりづらい。当然「フィリピン独立法成立時」ならフランクリン=ローズヴェルトであり,「1946年」ならトルーマンになるから,答えが変わってくる。

一応,各予備校の解答は62のローズヴェルトで統一されており,分かれていない。わざわざカギカッコつけてまで「フィリピン独立法」を強調しているし,そもそもこの節は無くても文が成立するところわざわざ挿入しているというところからエスパーするに,欲しいのはフィリピン独立法成立時の大統領であろう,という推測が成り立つ。私が解答を作ってもローズヴェルトにするだろうとは思う。


10.慶應義塾大 商学部(9つめ)
<種別>難問
<問題>3 60年代半ばに独立したシンガポールは,地理的優位を発揮して,金融・自由貿易港・ (87)(88) などを柱として開発を推進した。

21 観光  25 建設  36 造船

<解答解説>
予備校の解答が割れたシリーズ。代ゼミと増田塾は21の観光,駿台は36の造船,河合塾は併記である。私は観光が想定された正解じゃないかと思うが,造船を否定する材料は持っていない。少なくとも,ネットと書籍の双方で軽く調べたが,何を読んでも製造業の柱は造船だったと出てくる。これも何を考えて作られたのかさっぱりわからない問題。消去法で選ばせたいのなら,観光or造船などという紛らわしい選択肢を作る必要はなかったはずである。せめて「金融」の部分を問う問題にして欲しかった。


11.慶應義塾大 商学部(10個め)
<種別>難問
<問題>3 問3 下線部(b)に関連して(編註:(インドネシアは)開発独裁のもとで「緑の革命」を進めた),(ア)「緑の革命」の目的は何か。(イ)「緑の革命」のために,アジアで最初に国際稲研究所がおかれた国はどこか。

<解答解説>
完全に作った人の趣味か専門分野である。(ア)は「穀物増産による飢餓撲滅」とでも答えておけばよいのでいい。特に難問ではない。しかし(イ)は完全にアウト。国際稲研究所なんて私も知らなんだ。正解はフィリピンだそうで。


60分で約70問,うち約10問が悪問または難問であった。配点がわからないが,ざっくり言って100点満点中14点分は「解かなくていい問題」ということだ。これ入試として成立しているんですかね。してないですよね? さすがにこれは教授会に諮問すべき案件だと思う。<種別>のうち,「難問」はまだいい。「悪問」は本当にやっちゃダメだ。せめてそれだけはやめよう。大学の権威を落とさないためにも,受験生に無用な苦労をかけないためにも,切に願います。



12.慶應義塾大 文学部
<種別>難問
<問題>3 昨年8月に,シリア中部にある古代ローマ期の都市遺跡で世界文化遺産でもある( A )遺跡のバール神殿が,IS(自称「イスラム国」)によって爆破され,長く遺跡の管理責任者であった考古学者が殺害される衝撃的な事件があった。

<解答解説>
早慶上智では頻出なのでもう範囲内のような扱いだが,一応パルミラ遺跡は範囲外である。まあ探せばどこかの資料集でコラムの形で取り上げられていそうではあるけど。

なお,今年の慶大文学部の純粋な難問はこの1問だけだが,上手く収録を回避した事例は多く,全体としての難易度は高かった。自由七学芸の初級三科のうち弁証・修辞とあともう一つとか(正解は「文法」),中世ヨーロッパの大学の基本構成は法学・人文学・神学部のあともう一つとか(正解は「医学部」),13〜14世紀に繁栄したスワヒリ地域の大都市のうちマリンディ・モンバサ・ザンジバルではなく現タンザニアの中南部にある都市とか(正解は「キルワ」)。この「あともう一つ」戦法,複数正解系の出題ミスを出さない戦法としては有効だし,どれも用語集には記載されているのでギリギリ範囲内だけど,常套手段にされると難易度が跳ね上がっていくので自重してほしい気も。悪質性は低いので,これは細かい注文ですが。


13.慶應義塾大 法学部
<種別>難問
<問題>2 中国の朝鮮戦争介入は,その国家建設にさまざまな影響を与えたが,中共は民主諸党派との連合体制の建前を残しつつ,一党独裁体制を強化していった。たとえば1957年からの (29)(30) によって中共への批判が封じ込められ,翌1958年からの第2次五カ年計画では,農村の人民公社化が進められた。

06 戒厳令  15 五・三〇運動  17 三光政策  19 三不政策  35 大躍進運動  36 太陽政策
40 調整政策  46 反右派闘争  53 洋躍進  54 四つの現代化
(編註:関係ある選択肢のみ抜粋,以下法学部は同様)

<解答解説>
ここからいじめのような中国現代史マニアック問題が続く。どうにも範囲外と判断したのは以下の3問だが,それ以外も大概細かく,全体的な難易度は非常に高い。

さて本問,正解は46の「反右派闘争」で,言われてみるとこれしかないが,知らなければ難しかろう。かなり古い参考書(20年以上前クラス)なら百花斉放百家争鳴や三反五反運動とともに載っているが,現行では全く触れない。私は消えて正解だったと思う。

誤答にも触れておく。06の戒厳令は一般名詞であるが,ここでは台湾の1987年まで続いたものを指していると思われる。17の三光政策は日本史用語だよなぁ。15の五・三〇運動と35の大躍進運動,36の太陽政策,40の調整政策,54の四つの現代化は範囲内。53の洋躍進は,華国鋒の経済政策失敗を揶揄して言われた言葉。文革を終わらせて改革開放路線を始めたはいいが,十分な外貨なしに進めようとしたことや,従来の重工業重視を継続したことが裏目に出て,早々に行き詰まった。結果的に小平が本格的に復活し,経済特区の設置や人民公社の解体が進んでいくことになる。三不政策は後述。


14.慶應義塾大 法学部(2つめ)
<種別>難問
<問題>2 この事件(編註:第二次天安門事件のこと)は国際的に厳しい批判を招いたが,1992年,小平は広東省において「 (41)(42) 」を発表し,市場経済原理を導入してさらなる経済発展を促した。

16 刷新  17 三光政策  19 三不政策  27 西部大開発  36 太陽政策  40 調整政策
43 南巡講話  52 門戸開放宣言  53 洋躍進  54 四つの現代化

<解答解説>
正解は43の「南巡講話」だが,実はこの用語,同年のセンター試験世界史Bでも出ている。無論あちらは用語を聞いたものではなく,「人民公社の解体が始まった時期」を問う問題における,それよりも後の出来事として出ており,しかも1992年の年号が明示されているので,知らなくても解答できた。翻ってこちらは南巡講話の名前自体を聞くもので,難易度は高い。同じく範囲外の「洋躍進」を入れてもそれっぽいところがミソである。16の刷新はベトナムのドイモイのことだが,漢字による別表記で出してくるところはミスを誘発させていていやらしい。

ところで本問の手前で,「この事件」の名前自体が聞かれているのだが,選択肢に「天安門事件」もなければ「第二次天安門事件」もないので,戸惑った受験生も多いのでは。正解は58の「六四事件」である。今回の法学部は,明らかにソリドゥス金貨を聞いているのに選択肢にない(「ノミスマ」ならある),マンジケルトの戦いが正解なのに選択肢にない(「マラーズギルド」ならある),というようにやたらと“別の読み”を求める問題が多かった。作題者の趣味だろうか。あまり本質的な問いだとは思わない。


15.慶應義塾大 法学部(3つめ)
<種別>難問
<問題>2 設問3 国民党の馬英九政権が掲げた中台関係に関する方針は何というか。 (49)(50)

01 一国二制度  16 刷新  17 三光政策  19 三不政策  36 太陽政策  40 調整政策
46 反右派闘争  51 三つの代表

<解答解説>
正解は19の「三不政策」。元々の意味は「中国側が武力による統一を放棄しない限り『接触しない』『交渉しない』『妥協しない』を貫く」という台湾の外交方針であったが,これ自体は1980年代末頃から改められ,とりわけ中台の経済交流は現在に至るまで増えている。しかし経済交流が増えたがゆえに改めて両国(両政府)間における統一問題が浮上し,台湾内の政治論争となった。そこで2008年の台湾総統選挙において馬英九が掲げたスローガンが,「独立しない」「統一しない」「武力行使しない」の“新”三不政策である。今回の出題ではこちらの意味の三不政策が問われた。無論のことながら完全な範囲外であり,これは時事問題が出る政経科目として出題するとしても無茶だろう。もっとも,慶應大はそもそも政経で受験できない。

加えて,ちょっとググってもらえればわかるのだが,日本においては古い意味の三不政策の方がメジャーであり,馬英九版は全く浸透していないと言わざるをえない。私自身全く知らなくて,初見の感想は「これ正解がないのでは」であった。馬英九政権も終わるこのタイミングで,なぜこれを出題したのか。むしろ終わる=歴史になると考えて世界史で出題したのかもしれないが。


16.慶應義塾大 法学部(4つめ)
<種別>難問
<問題>3 設問4 19世紀における通信技術の発展も世界の一体化を促進した。それに関連して,以下の中から誤った記述を選び,その番号を解答用紙の (57)(58) にマークしなさい。

[01] アメリカのモースは,1844年に世界最初の電信線を架設した。
[02] アメリカの発明家として知られているベルは,1876年に磁石式電話を発明した。
[03] 1901年に無線電信による大西洋横断通信に成功したのは,イタリアのマルコーニである。
[04] イギリスは,19世紀末に世界一周の海底ケーブルを完成させた。

<解答解説>
中国現代史いじめが終わったかと思ったら,年号いじめ問題のラッシュである。受験生の悲鳴が聞こえてくるようだ。本問も誤りのポイントは年号だが,[04]の「19世紀末」が誤り。世界一周海底ケーブルの完成は1902年の太平洋横断ケーブル(オーストラリア・ニュージーランド・カナダ間を接続)になるので,20世紀初頭が正しい。なお,[01]〜[03]の年号は一応すべて用語集に載っているので,全部覚えていれば消去法で正解が出せるが,さすがに無茶な要求だろう。海底ケーブルも用語集に記載があり,ドーバー間(1851年),大西洋横断(1866年)やイギリス・インド間(1870年)の開通年までは記載があるが(それにしたって細かいが),太平洋横断ケーブルまでは記載がない。なお,海底ケーブルについては,早慶が出題する→仕方がないから用語集に年号が載る→早慶が用語集に載っていない部分から出す→用語集に足される,という無限ループに陥っており,そろそろいい加減にしとけよ。出題があったら受験対策上それを掲載せざるを得ない教材側の弱点につけこんで前進してくる大学側の策略にのってはいけない。悪質な作題者を甘やかしてはならない。


17.慶應義塾大 法学部(5つめ)
<種別>難問
<問題>3 設問8 現代における世界の一体化は,1990年代以降における情報技術(IT)革命の急速な進行により推進されている面がある。それに関連して,以下の中から誤った記述を選び,その番号を解答用紙の (65)(66) にマークしなさい。

[01] アメリカにおける,弾道計算などを目的とするコンピュータ(電子計算機)の開発は,第二次世界大戦中に始まった。
[02] 1946年に開発されたコンピュータにはトランジスターが使われていた。
[03] 今日,インターネットと呼ばれる通信網は,当初,軍事開発と関係があった。
[04] 日本で民間事業として携帯電話サービスが開始されたのは,1980年代のことである。

<解答解説>
経済学部の冬戦争・継続戦争問題といい,過去にあったティルピッツ提督や兵器の年表問題といい,やはり慶大には一定数ミリオタの教員がいるだろう絶対。[01]や[03]は知られる話ではあるが,高校世界史でする話ではない。そして問題のネタが尽きたとしか思えない[04]の唐突さ。なお1985年らしいので正文である。残った[02]が誤文だが,トランジスターの発明は1948年のこと。用語集に年号の記載があるが,無茶だろう。そういう話は秋葉原で私的な友人としよう,な?


その2:早稲田編へ。

この記事へのトラックバックURL

http://trackback.blogsys.jp/livedoor/dg_law/52317814
この記事へのコメント
毎年楽しく拝見させていただいております
私は今年慶応商学部を世界史で受験しました(結果は合格でした)が、例年の商学部世界史は難問奇問はあれど安定して85点以上は取れる問題だったので今年は度肝を抜かれましたね。私の周りでも世界史で落ちたと思った人は多かったみたいです(日本史がえらい易問だったこともあいまって)。大問1に関しては親に見せたらだいたい正解していたので社会人受験者を欲しかったのか……と感じ他ほどです。
今年は一橋世界史も相変わらずの難問(特に大問1)だったので是非国立編も書いていただけたらと思っております。
長文失礼しました
Posted by 2016年度受験生 at 2016年03月12日 21:27
お読みいただきありがとうございます。

>、例年の商学部世界史は難問奇問はあれど安定して85点以上は取れる問題だったので今年は度肝を抜かれましたね
本当にこれなんですよね。担当者が変わったにしても,もう少し引き継ぎができなかったものか。あるいは引き継ぎはしっかりやったけど後任が暴走したのかはわかりませんが。

>大問1に関しては親に見せたらだいたい正解していたので社会人受験者を欲しかったのか……と感じ他ほどです。
欲しかったのかどうかはわかりませんがw,親がだいたい正解できてても不思議ではないです。
上智大のベングリオンもそうですが,20世紀後半の歴史(いわゆる現代史)って受験生より社会人(というか30代以上の大人)の方がよく知ってたりするんですよね。
だから,この企画の読者からよく「これ範囲外だったのか」と言われることが多いのが現代史ですね。


>今年は一橋世界史も相変わらずの難問(特に大問1)だったので是非国立編も書いていただけたらと思っております。
実は,今年の一橋の第1問・第2問は未収録です。
でも,気になる人は多いと思うので,番外編の扱いで,収録対象外になった理由も含めて軽く書こうと思っています。
Posted by DG-Law at 2016年03月13日 01:09
慶應商の一問目はむしろサービス問題と呼ぶべきでしょう。

慶應商学部の2014年英語大問1の長文問題は、SNSについて、
コーヒーハウスを引き合いに出して語っています。さまざまな
人々やアイディアの集う、創造性の揺り篭であったとして、
コーヒーハウスから生まれたものをいろいろ紹介していて、
王立協会も出てきます。ただRoyal Society = 王立協会は
わかりにくいかもしれません。

ロイズコーヒーハウスは船長や船主や貿易商人のたまり場で
あり、よく知られた保険マーケットになったと書かれています。

本命が慶應商以外で、過去問すら解いていない受験生を振るい落とす
ための問題だったかもしれませんね。上で 2016年度受験生さんが
書かれているのは、慶應商の入試問題の全科目に言えることなので、
高校生のうちから関心の広い学生がほしい学部なのだろうと思います。
Posted by AKIYAMA at 2016年03月13日 13:10
なるほど。英語の過去問を解いていっていれば,記憶に残っていて楽勝だった可能性は高いですね。
過去問は解いていってしかるべきものですし,第一志望でなくとも2・3年分くらいは解いておくべきと言われますので,2014年だと尚更ですね。

本企画で収録するか否かの基準とは別の話にはなりますが,大学側の考えとしては理解できますし,そこに異論はありません。
Posted by DG-Law at 2016年03月13日 15:21
9番ですが
「○○大統領のもと、」は「フィリピン独立法に従い、」と並列で「1946年に独立を果たした」に直接掛かると解釈する方が、
「、」の打ち方の原則(本田勝一『日本語の作文技術』辺りの受け売りですが)からして自然な気もします。
つまり、トルーマンが正解でローズベルトにしたいなら「、」が余計ということに。
Posted by K at 2016年03月14日 21:58
情報ありがとうございます。
マジですか。とすると,トルーマンの有力さが上がって,ますます出題ミスに近くなりますね……
Posted by DG-Law at 2016年03月14日 22:38
昨年慶應の法学部を受け、
このサイトで1年ぶりに入試問題を
読むことになったのですが相変わらず
慶應の法学部は選択肢の用語をマイナーな
読み方に変えて出してるんですね
去年はフランスのギリシア人の植民地を
かなり底意地の悪いやり方で聞かれた覚えが
あります
Posted by けーだい at 2016年03月24日 04:50
この企画毎年やってるんですが,去年の慶應でその問題扱いましたよ。
あのニケーアはほんとひどかったですね。
http://blog.livedoor.jp/dg_law/archives/52257716.html

Posted by DG-Law at 2016年03月24日 23:16
毎年楽しませていただいております。

ロイズの問題は「MASTERキートン」を即座に思い出しました。
私の行っていた大学ではなぜか図書館にありましたが、Reマスターが最近になって出たとはいえ、今の受験生にとっては読むような漫画なのでしょうかね。

別科目ですが過去問のほうが触れるチャンスが多そうです。
Posted by pjdrum at 2016年03月26日 00:32
ありがとうございます。

twitter等の反応を見ていると,あの問題で少なくない人が『MASTERキートン』を連想したようですねw
今の受験生が読むような漫画ではないでしょうね。
Posted by DG-Law at 2016年03月26日 15:48
久々に振り返ってみるとひどいですね。
特に商の第一問と法の第二問は爆死しました。
結果的に慶應は法商経済と合格できましたが落ちたら恨むレベルです。
受験生が混乱しないような問題を作ってくれると来年に期待しています。
Posted by アライラマ at 2016年05月17日 20:47
今更ではありますが,受験お疲れ様でした。

>結果的に慶應は法商経済と合格できましたが落ちたら恨むレベルです。
でしょうねw
受験生に恨まれないよう,しっかりした問題を作って欲しいところですね。
Posted by DG-Law at 2016年05月18日 21:05