2017年07月18日

『絶対に解けない受験世界史2(大学入試問題問題シリーズ2)』が出ます

無事に2冊めが出そうです。担当編集の方による告知記事はこちら。





以下は1巻同様に,本書の紹介をFAQ形式で。

よくわかる! 『絶対に解けない受験世界史2 ―悪問・難問・奇問・出題ミス集』FAQ

Q.目的や内容は前巻と同じなの?
A.全く同じです。大学入試における悪問や超難問,出題ミスを収録・解説した本です。本気で難しくて解けない問題から,日本語の崩壊した問題,単なる誤植,笑える問題,珍しい問題など,多岐にわたって収録しています。
1.入試問題作成の杜撰さを世の中に訴えること
2.出題ミスの事例を集めて,出題者へ提供すること
3.悪問を笑い飛ばして当時の受験生の無念を供養すること
4.世の中の世界史マニアに難問を提供すること
を主な目的としています。以下,1巻と同じQ&Aは省略。


Q.収録範囲は?
A.前著で2014年の早慶上智・国立大を扱いましたから,それ以外の2014年の私大入試。2015・2016年は全大学,2017年の早慶上智・国公立大までです。2017年のその他私大は(2巻が好調に売れれば)3巻に収録します。


Q.今回はどんな問題が収録されてるの?
A.1巻同様に,帯に入れた例題を掲載しますと,以下のような様子です。

・地図をよく見ると,ペロポネソス半島がペロポネソス島になっている(中央大・法学部,2016年)
・セゴビアの水道橋に対する誤答が熊本県の通潤橋(上智大・2/5実施,2015年)
・指定字数が35字の論述問題なのに,指定語句だけで16字ある(慶應義塾大・商学部,2017年)
・カリフォルニア州に本拠地を置いていないIT企業を問う問題(早稲田大・商学部,2017年)
・ググっても11件しか出てこない(2017年5月26日現在)用語を出題(青山学院大・法学部A方式,2014年)
・最古のジーンズのブランドとして「リーバイス」を問う問題(東京外語大,2017年)

その他ですと,以下のような問題が代表例かと思います。

・まさかのセンター試験からの収録(2015年・2016年)
・ソ連よりの思想信条を取らないと明確には解答が出ない問題(明治大・情報コミュニケーション学部,2016年)
・中華人民共和国側の政治的立場を取るかどうかを問われていると見なされかねない問題(青山学院大・国際政治経済学部・法学部,2015年)
・ここまで出てそうで出ていなかった「宇宙大将軍」こと侯景を出題(明治大・法学部,2014年)
・2016年にもなって教科書からは消えている「モンゴル人第一主義」を論述で出題(福井大,2016年)


Q.前著の社会的影響で悪問が減ったってほんと?
A.前著の影響かどうかはわかりませんが,上智大は目に見えてひどい問題が減っていて,早稲田大も前著の時よりはまともな入試問題になっていると思います。前著も持っている人は見比べて,上智大や早稲田大の減少の様子を観察するという楽しみ方もできると思います。

また,その意味では今回の注目ポイントはMARCHだと思っています。特に明治大と青山学院大はむしろひどくなっている印象です。ブログ版で扱っていないからって批判されていないなんて思ったら大間違いだ,と各大学の担当者には言いたい。上記の例にも挙げましたが,特定の思想信条・政治的立場をとらないと解答が出ない問題は最悪だと思いますよ。


Q.対象読者は?
A.前著の時に「まず歴史好き全般」としつつ「教育問題に関心がある人」として,さらに「あえて対象を絞るのなら,研究職・大学教員の方には読んで欲しいかな」と書いたのですが,実のところ読むのはサブカル層だと思ってました。しかし,Twitterや読書メーター等の感想を拾って読んでいくと,意外にもちゃんと研究者・大学教員の方々,またかなりの数の世界史得意な受験生が読んでいたのには驚きました。引き続き,これらの方々にも届くとよいなと思っています。


Q.今回の書き下ろしの割合は?
A.さすがに前回の書き下ろしが3/4は無理がありました。あれを続けるのは労力的に死にますので,割合は下がっています。ですが字数を数えてみると,今回も半分ちょっとくらいは書き下ろし(書籍で初公開)のようです。


Q.またしてもめちゃくちゃ分厚いんだけど……
A.約410ページあります。大人の購読者は厚さを気にしていない様子でしたが,実は受験生の購読者からは「分厚すぎる」という苦情が散見されていて,担当編集の方に「薄くしませんか?」と持ちかけたんですが,いろいろあってこうなりました。(次があれば,薄くなる努力はします……)


Q.間に日本史版とか現代文版とか挟めなかったの?
A.挟みたかったです。このままでは「大学入試問題問題シリーズ」が世界史だけになってしまいます。他教科・他科目の執筆者急募。私は解答解説にジョークを挟まないと自分が耐えられないのでこういうスタイルですが,別にもっと硬質な文章で書きたい人はそれで構わないと思っていますし,逆に私よりもさらにジョークを挟みながら書きたい人はそれで書けばよいと思っています。また,全大学対象は労力的に無理なのであれば,早慶上智に絞った本にしてしまうのもアリだと思います。

なお,一応の類書として以下のような書籍があるのは見つけましたので,参考までに。(リンク先はAmazon)
・現代文:『哲学の誤読 ―入試現代文で哲学する!』入不二基義著,ちくま新書
・古文:『「無理題」こそ「難題」―大学入試古文問題を検証する』松岡義晃著,東京図書出版会


Q.出版社変わってない?
A.社会評論社からパブリブに変わりました。担当編集の方が独立された関係です。


Q.今回も正誤表を作るの?
A.極力誤植が残っていないことを祈りますが,作ります。この記事に正誤表を作る&重版がかかった際に直す予定ですので,あとでやんわりと教えていただけると幸いです。

<訂正表>
p.69 コラム1 下から2行目,当然ながら「シュリーヴィジャヤ」と三仏斉が逆。
p.134  2016早慶36番 早稲田大 商学部(4つめ) 解説で「ブラウン判決は範囲外」と述べているが,用語集未収録なだけで,新課程の山川教科書本文には記載がある。ただし,解説全体の論旨には影響なし。
p.214 番外編4 「vritu」は「virtu」の誤植(2箇所とも)。
p.256 2015早慶15番 早稲田大 国際教養学部(2つめ) 国連憲章第1章を根拠とした派兵は初回の国連緊急軍のみで,これが制度化された以降のPKOは第6章を理論的根拠としている。実態として第6章と国連軍の規定がある第7章の中間的な活動になっているため,「6章半活動」と呼ばれる。ゆえにp.257の下から4〜7行は解説に誤りがある。


<その他のご指摘>
p.367 2014その他24番 法政大 2/8実施分
解説で「権利の章典は法律ではなく憲法なので,誤答ではないか」と述べているが,「権利の章典も形式上は議会制定法なので,その指摘は無意味ではないかという指摘をいただいた。確かにそう考察することは可能であり,その場合4を誤答とする根拠が「終止符を打った法律は,直接関係しているといえるのかどうか」の1点しかなくなるので,より判断が難しくなる。正答の可能性が高まった。



この記事へのコメント
受験期以来ちょくちょくこのブログを覗かせて頂いてる者です。

前著を見てゲラゲラ笑っていたのが3年前だと考えると時の流れを改めて速く感じてしまいます(笑)
それでいて私が世界史の講師として働いているのもなんだか感慨深いものです・・・

私がここ数年の受験世界史で感じているのは大体DGさんと同じで、教育課程の変化による全体的な易化です。悪問が減ったことは感触として受け取れました。(私はDGさんの本の功績だと割りと本気で思っていますw)
一方で、世界史という科目がグローバル化教育(?)の犠牲になっているようにも思えます。「重要なのは英語なんだから世界史の問題は用語集切り貼りして(ry」といった具合に。大学ごとに目指すものは違うでしょうから一概にどうとはいえませんが、このあたりDGさんはどのようにお考えでしょうか?

あ、新著は必ず購入するつもりですので期待して待ってます(^ω^)
Posted by 立里上貝 at 2017年07月20日 21:23
どこかで見たことがあるような気がするハンドルネームですが,さておき。

もろもろ,ありがとうございます。
今回もおもしろく読んでもらえれば幸いです。
自分の本の影響が少しでもあるならば,と思って継続しているところはあります。変な話ですが,悪問が減れば減るほど本書の存在意義はなくなっていくので,その意味では作らなくても済むようになればいいですね。

明確に増えたかどうかの実感はあまりないのですが,教科書や用語集からのコピペで入試問題を作る大学はありますね。手抜きの極みなのでやめてほしいですね。
ただ,それが英語に注力している結果なのかはわかりません。おそらく,作成者が全く違うと思いますし,それほど影響は無さそうな。
Posted by DG-Law at 2017年07月22日 19:05
二冊目の出版、おめでとうございます。
こちらも必ず買わせていただきます。
よーし、パパ知り合いにも進めちゃうぞー。

ただ、おめでとうございますと言っておいて難なんですが、二冊目が出るということはやはり、それほど悪問や奇問の類があるということで……w

DG-Lawさんの本でまた少しでもそういったものが減ればいいなぁと思います。

楽しみにしてますね!
Posted by ケントゥリオP at 2017年07月26日 07:31
ありがとうございます!
いろいろありましたが,何とか出せました。

>二冊目が出るということはやはり、それほど悪問や奇問の類があるということで……w
本当に,そういうことなんですよね。
上のコメント返しでも書いたんですが,将来的に出せなくなるくらい減ってくれれば,と思います。

Posted by DG-Law at 2017年07月27日 07:30
今回初めて書き込ませていただきます。
2巻出版おめでどうございます。
受験生だった頃からブログも前巻も楽しませていただいております。待ちわびていた巻も現在楽しく読ませてもらっています。

恐れ多くも、疑問点がありましたので尋ねさせていただきます。
2014年私大編19番の60進法は10進法を前提としている記述がありますが、10進法を前提としなくても60進法を考えることはできます。
例えば、ファミコンなどでは10以降の数字を記号で表現して256進法を実現しています(卑近な例で申し訳ありません…)
メソポタミアでは60個の記号を想定し、60進法を考えていたという可能性はありませんでしょうか?
このコメント欄に質問していいかも分からず、このような書き込みをしてしまっております。失礼いたしますが、ご返信をお待ちしております。
雑文失礼いたします。
Posted by そよかぜ at 2017年08月17日 13:11
コメントありがとうございます。

それについては,さくっとコトバンクを引くと
「歴史的に見ると,六十進法はメソポタミアで組織的に使われたが,そこでも,60までの数字を表すのには十進法が基礎になっていた。」『世界大百科事典』
https://kotobank.jp/word/%E5%85%AD%E5%8D%81%E9%80%B2%E6%B3%95-663338
とある通りかと思います。

Wikipediaで申し訳ないのですが,楔形文字による59までの数字の表記が載っていますが,これを見ても59までのカウントは十進法ですね。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%AD%E5%8D%81%E9%80%B2%E6%B3%95
Posted by DG-Law at 2017年08月18日 08:59
ご返信ありがとうございます。

リンク先を拝見させていただきました。
私の勉強不足を痛感させられました。ご丁寧な対応ありがとうございました。
Posted by そよかぜ at 2017年08月18日 15:14
初めまして。
2巻のほうを楽しく読まさせていただいております。
悪問が出ても話題にならない政経の問題を今年から研究しています。

さて、コラム3で個人的に思ったことを書きます。
公民科目(特に政経)は受験人口が少ないことに加えて割と範囲という概念が希薄な気がします。
というのも最新時事と絡めて問題が作られるケース、関連していれば明後日の方向に問題が作られるケースが多いと感じます。

余談ですが2017年早稲田商の政経の問題は、駿台が「政経の入試問題としては無理がある」と言わせるほどのトンデモ問題のオンパレードでした。
Posted by ものもたぱ at 2017年08月21日 20:41
コメントありがとうございます。

>悪問が出ても話題にならない政経の問題を今年から研究しています。
まずは話題にするところから,という感じではありますね。


>公民科目(特に政経)は受験人口が少ないことに加えて割と範囲という概念が希薄な気がします。
あら,公民もですか。
言われてみると,時事ネタに関連していると言い張られると,割りとなんでも出せてしまいそうな雰囲気は地理と似ているかもしれません。


>余談ですが2017年早稲田商の政経の問題は、駿台が「政経の入試問題としては無理がある」と言わせるほどのトンデモ問題のオンパレードでした。
やっぱり早稲田大は世界史でなくともすごいですね……
Posted by DG-Law at 2017年08月22日 23:44
初めまして。
コラム3に関して受験数学で範囲外が出にくい原因について考えたことを書きます。

原因1.高校までの数学と大学以降の数学に明確な違いがあるため範囲外の把握が容易い

前著で稲田さんもさらりと触れていましたが、数学(及び理科)は大学以降でガラリと様相が変わります。
そのせいか高校数学と大学数学の間の壁を認識する場面は専門外の方が考える以上に多いです。
例えば、とりわけ変化の大きい解析学では「高校数学の知識では絶対に解けない問題」が最初の授業で出題され、
それが何故解けないのか、解けるようにするにはどうすればいいのか、という話から始まる大学が多いです。
それ以外にも高校生向け講演などで高校数学と大学数学の前提知識の差を認識させられる場面が多く、
どこまでが高校数学の範囲内でどこからが範囲外であるかというのが身につく機会が多いのが一番の要因ではないでしょうか。
(理科に範囲外が少ないという原因も主にこれなのではないかと推測しますがわかりません)
Posted by 元数学科 at 2017年08月27日 19:15
原因2.高校数学の問題に範囲外が事実上存在しない

確かに学習指導要領で「高校数学の範囲」というものは決まっているのですが、
こと「数学の問題」という話になると様相が変わります。
というのも、数学が得意な人間の思考は以下でほぼ共通されているからです、
「微分積分のような基本的な定義や背理法帰納法と言った基本的な証明手法を別にすれば、○○の定理を知らなければ解けない問題は存在しない。
なぜならその必要な定理が出てきた場面で、その定理を証明すればいいからだ」
この思考はとりわけ難関大を受験する人間に多い傾向があり、また受験問題を作成する側も同様に考えるため、
結果として受験数学の範囲外が存在しなくなっているのではないでしょうか。

もう一つ、このブログで紹介された2016年千葉大の美術館問題のような
「最後の問題だけ取り上げると奇問・悪問なのだがその前に誘導用の小問があるので適正範囲に収まっている」
という現象が数学ではかなり多いと感じているのですがそこまでの検証はできていないため割愛します。
Posted by 元数学科 at 2017年08月27日 19:16
コメントありがとうございます。
大変おもしろい話です。

原因1は
>(理科に範囲外が少ないという原因も主にこれなのではないかと推測しますがわかりません)
これも含めて,理系の友人たちがよくそう言っていました。
理系の学問の場合はこれが強そうですね。

原因2は逆に,割りと数学特有の現象ですね。
とするとやはり焦点は「一般的に言って,高校生に発想可能かどうか」が良い難問かダメな難問かの境界線になってくると思うのですが,拙著に書いた「どれだけ難易度を上げても解けるやつがいる」というのと重なって,その境界線が非常に希薄なのだろうと推測されます。
Posted by DG-Law at 2017年08月28日 21:23
2015年早稲田大国際教養の国連緊急軍に関する問題について引っかかっていた点があったのでコメントしたいと思います。

PKOについてなのですが、
PKOは国連憲章6章(紛争の平和的解決)と7章(強制的措置)の中間であるという意味合いから「6章半活動」と呼ばれることが多いです。現在のPKO全般を1章のみを根拠にするのは少し厳しいのかなと個人的には思います。

ここはあまり本筋ではないですが、

朝鮮戦争で結成された国連軍は
.熟欠席下の安全保障理事会で設立された
∪鐐茲魍搬腓気擦討靴泙ぁ峭餾殃刃造醗汰瓦琉飮回復の活動」とは言えなかった
アメリカ軍中心の編成であった
などの理由により「国連軍」といえるかどうか疑問がある。
このため国連は二度と「国連軍」を設立できなくなってしまったような感がある(この「国連軍」を国連軍とは認めない国際政治学者も多い)。
(詳説政治・経済研究より)
という感じで名前は国連軍だけれども実際のところはよいのかという点はあります。

余談ですがこの問題を政経の入試問題として考えるのであればアとイで迷うという感じがします。国連緊急軍は政経の参考書含め見たところでは記載はなかったので勘でどうにかするしかないかなぁと思います。
Posted by ものもたぱ at 2017年08月30日 10:26
コメントありがとうございます。

なるほど,その辺は知りませんでした。勉強不足でした。
しかも調べてみると,ハマーショルド自身が「6章半」って言い出したみたいなので,スエズ戦争からほとんど時間が経たないうちに,そう理屈付けされたようです。
訂正表に加えておきます。


朝鮮戦争の国連軍については,世界史でも,陵由で正式とはみなさない立場がある,というのは一応出てきますね。たまに私大の入試で見る気がします。あそこの解説文では本筋ではないので,この説明は省略しました。
Posted by DG-Law at 2017年08月31日 23:59
はじめまして。毎シリーズ楽しく拝読しております。さて、2016年の慶應商学部2つ目の沢田教一の問いについてです。実は沢田教一の話が丸々ELEMENT2という、高校英語教科書の英文として登場します。当然世界史においては範囲外なのですが、前問の内容も鑑みるに慶應商学部としては世界なんだから公用語の英語も勉強してこい、というスタンスなのではないでしょうか。偉そうな物言いになりましたこと申し訳ありません。
Posted by はやて at 2017年09月04日 09:55
コメントありがとうございます。

その教科書が全ての受験生が必ず読んでいるものであれば,そういうねらいだったとしたら許されるところが出てくるかもしれないですが,そもそも高校によって使用する教科書は違うので,やっぱり根本的にダメですね。

また,作題者の方が高校の英語の教科書までチェックしているとはとても思えない(そもそも世界史だって怪しいのに),という理由で考えても,そのねらいはなさそうな気がします。
Posted by DG-Law at 2017年09月05日 00:07
前作から引き続き愛読しています。新しい発見があったりしてとても面白いです。

反右派闘争はメジャーな歴史用語と思っていたのですが、案外そうでもないんですね。ただ中国現代史では重要だと思ってました。中国の現代史に絡んだ映画の中で取り上げられる題材になる、「芙蓉鎮」とか、この映画のメインは文化大革命ですが反右派闘争に絡む登場人物がいます、中国人には重要な出来事だと思うのですが。なんで教科書では取り上げないのでしょうか。
反右派闘争という用語が消えて正解と思う理由を教えて下さい。

フランスの東インド会社については吉川弘文館の世界史歴史年表には1604年東インド会社設立間もなく廃止。1664年東インド会社再興。1770東インド会社解散としかありません。
吉川弘文館の歴史年表は1950年の出版から、「出る単」と同様に、あまり変わってないと仮定するなら、1604 年の東インド会社設立間もなく廃止1664年再興は1950年以前からの日本の歴史学会の定説だと思われます。
他方、Wiki のフランスの東インド会社の説明だと1684年が最初の解散になってその後三回、計4回 !も解散していることに。1604年に設立された東インド会社と1664年以降 の東インド会社の関係性がないような表記になっています。1664年に再興された訳ではないけど1604年 にフランスが東インド会社を設立したことは確かなことなのかもしれません。関係性がないような表記にしているのは関係性がないことが分かったからと解釈すると。
教科書で1604年のフランスの東インド会社を取り上げるのは1600年 のイギリスの東インド会社から絡めたいだけの気がします。

Posted by Seiji F at 2017年09月16日 17:07
コメントありがとうございます。また貴重な情報をありがとうございます。

反右派闘争について。まず大前提として,現行の高校世界史(受験世界史)は明らかに用語過多であり,高校3年生に暗記として要求してもよい分量を超えていると考えています。これは私自身そうですし,教育産業側も大学側もそう考えている人が一定数以上います。ゆえに,現在の高校世界史は,時代・地域のバランスや世界史全体の流れを考慮しながら,収録用語の見直しが進んでおり,基本的に削減される方向です。

以上のことを前提とした上で言うと,「反右派闘争」はそれ単体が不要というよりも,1950年代前半の中国が人民民主主義体制であったこと,50年代後半から急速に社会主義化したこと自体が,戦後の中華人民共和国史において特筆すべき事象であったとは思われなくなりつつある,ということです。教科書を執筆・編集する側の歴史家の先生方や教科書会社がそう判断したからこそ,課程が進むにつれてこの周辺の用語が次第に削減されていき,現行の課程ではほぼ完全に消滅したということだと思われます。この執筆者・編集者の判断について,私自身も異論がないので「消えて正解」と表現しました。「戦後の中華人民共和国史」という枠で考えた時に,大躍進や文革,改革開放政策の諸用語と比較すると,確かに重要性は低いと思われます。
Posted by DG-Law at 2017年09月17日 20:32
(続き)
次にフランス東インド会社について。
>1604 年の東インド会社設立間もなく廃止1664年再興は1950年以前からの日本の歴史学会の定説だと思われます。
これは非常に説得力があります。とすると,受験業界の陰謀と見るのではなく,1950年以前の日本の歴史学会が何をもって1604年の年号を重要視していたか,の方に関心を向けるべきですね。ますます難題ですが。

>教科書で1604年のフランスの東インド会社を取り上げるのは1600年 のイギリスの東インド会社からめたいだけの気がします。
あるいは,1950年頃の研究を無反省に引いているか……高校世界史はそういうのけっこうある印象です。日本史の例ですけど,朱印船貿易の航路の地図が,(誤った航路が書かれている)戦前の研究のまま,つい最近まで教科書の挿絵に使われていたなんてのもあります。
参考URL
https://www.academia.edu/11557162/Some_Critics_on_Maps_Concerning_on_Studies_of_the_Red_Seal_Ship_Trade_and_the_Japanese_Quarters_in_Vietnam_In_Japanese_

Posted by DG-Law at 2017年09月17日 20:33
早速の返答本当にありがとうございます。

自分も反右派闘争は世界史としては扱わなくてもいいかと思います。アメリカのマッカーシズムと一緒に政経で扱えばいいかなと。結局は高校世界史はどうあるべきかに尽きると思います。各国史の寄せ集めとするなら反右派闘争は採用してもいいかもしれないけど、単なる各国史の寄せ集めでないなら削除すべきかなと。
何をもって歴史事象が重要かの判断も難しいと思います。 日本の歴史教科書では重要視しない事項が他国で重点的に教えられているかもしれないし。別に他国の教科書を気にする必要はありませんが、日本の歴史家だけが重要だとしているという視点も必要だと思います。1604年のフランスの東インド会社設立なんかがそうでしょう。

世界史として重要かどうかという視点の欠如が難問愚問を生み出す温床になっていると思います。

羽田正さんの「東インド会社とアジアの海」自体はなぜフランスの東インド会社設立が遅れたのかの説明があって面白いですけど。入試に出されても不思議ないかもしれません。
Posted by Seiji F at 2017年09月18日 17:42
たびたびすみません。
2015年の慶應商の格差の拡大についてです。
ピケティの21世紀の資本をざっと読んだところ、アメリカの賃金格差拡大は「トップ1%、あるいはさらに0.1%に対する所得の増加」が原因と書いてありますね。
IT革命や石油危機は触れられていないと思います。

ちなみに出典のグラフは21世紀の資本インターネットサイトの図表セット内にあります。
Posted by ものもたぱ at 2017年09月18日 22:34
>Seiji F さん
アメリカのマッカーシズムは用語集頻度4ですね。
入試だと用語集頻度ほどには頻出ではないイメージがありますが,それこそ出題する側がそれほど出題する意味を感じていないからそうなっているのかもしれません。

>世界史として重要かどうかという視点の欠如が難問愚問を生み出す温床になっていると思います。
これはおっしゃる通りで,間違いなくあります。
「高校世界史」の全体像となると,大学の教員だとかえってつかみづらいところはあるでしょうね。

訂正は了解です。あとで訂正文ごと消して不自然じゃなくしておきます。
なお,2017-09-19 17:03:43のコメントは,2017-09-19 18:10:17の追記を受けて非公開のままにしています。


>ものもたぱさん
これまた重要な情報をありがとうございます。
どちらも触れられていないのですね。とすると,この問題はピケティを論拠に答えを決める問題というわけでもなさそうです。
ますます正解が不明瞭ですね。
Posted by DG-Law at 2017年09月20日 03:22
お手数かけてすみませんでした。

p285の問題ですが、改変の文字のみに注目し、「皇帝への権力集中」を考慮しない、リード文は無視する、とするなら、また「満州王朝ならでは」を「征服王朝ならでは」と解釈して、「漢人に対する考慮は何か」と考えるなら、自分なら、
「科挙を引き続き採用し漢人を官僚として登用。その際満人と漢人を並用した。また、八旗に加えて緑営を創設し、そこに漢人を軍人として採用した。」以上67字,と解答します。
代ゼミの解答が自分の考えに近いような気がします。
確かに曖昧な設問の仕方に問題がある問題ではあると思います。

p335の「カルタゴは遺跡と化している」とありますが、現在のカルタゴは高級住宅地となっていて遺跡が点在して残っているのが現状でした。確かにミレトスとキュレネは遺跡しか残ってない様ですけど。それとイズニクの人口はwikiでは20169人でした。城壁の内側の住人だけなら1万人程度かもしれません。湖が近くにあって落ち着いたいい町でした。
Posted by Seiji F at 2017年09月22日 15:26
お返事遅れてすみません。

>p.285
こうした問題の場合,リード文を加味すべきか否かは常に問題になります。拙著でも繰り返していますが,受験生に考慮してほしいのかしてほしくないのか,丁寧に指示してほしいところですね。
確かにその解答だと代ゼミのものに一番近いですね。しいて言えば忠実に「改変」という語だけ拾うなら,引き続き採用した形になる科挙は書かなくてもよくなるかなというくらいです。

>p.335
なるほど。「カルタゴは高級住宅街として復活を遂げた」と書いておくと,それはそれでおもしろいオチになったかもしれませんw

>イズニクの人口はwikiでは20169人でした。城壁の内側の住人だけなら1万人程度かもしれません
これは確か何かしらの地理のデータブックで裏はとって書いたものだったと思いますが,具体的には覚えていません。「1万人にも満たない」は余計な文言でしたね。増刷したら消しときます。
Posted by DG-Law at 2017年09月26日 00:30
お気遣いありがとうございます。

慶應法学部の使われている語句の中で自分の記憶にない語句がいくつあるか調べてみました。あくまでも記憶にない語句であって用語集に記述がなかった語句ではありません。
因みに自分が受験生だったのは80年代中期です。
80年が10語、84年が14語、88年が14語、92年が10語、96年が12語、00年が21語、04年が28語、09年が31語、11年が36語、12年が6語、13年が38語、14年が47語 、16年が10語でした。
00年以降が増加傾向でした。
近現代史の用語が増えているのなら仕方ないかと思いましたが、古代中世からの用語が意外と多い気がします。出題された用語全体の数も90年代以降増加傾向にあったし、試験時間は変わらないのに。ゆとり教育ではなかったのか?あまりに問題の量が多くては受験生がじっくり考える習慣が身に付かないのではと心配です。
ただ16年と17年は知らない用語は10語程度と減少傾向にあったのはいいことだと思います。「絶対に解けない受験世界史」の影響だといいですね。
生物の用語が多くて化学や物理よりは人気がないので用語を減らす方向に変えるというニュースがつい最近ありました。考える力を養う方向に向かう様です。世界史もそうなると良いのですが。

実教出版「必携世界史用語」の東インド会社(フランス)の説明では「1604年にアンリ4世の特許状により設立されたが、インドへの航海は行なわれずに会社は消滅した。」でした。
インドに行ってすらなかったとは。教科書から削除するのが正解ですね。
Posted by Seiji F at 2017年09月30日 17:10
ずいぶんと長期的な記録(と記憶の照合)ですね。
最も受験戦争が激しかった時期というと90年前後とされていますが,難易度はその後も上昇しているという私の感覚ともあう結果ですね。
おそらく00年代以降で増えているのは,イスラーム世界や東南アジアの用語ではないかと思います。
いわゆる「ゆとり教育」は小中学校レベルの話で,大学受験レベルでは易しくなっているわけではないから,高校3年間で勉強する量がどんどんと増えていった,というのは私が高校生だった10年以上前から言われているところではあります。この点については,世界史のみならず,全教科的にそうなんでしょうね。
ただし,慶應大法学部に限れば,むしろ本企画への収録数から言えば16・17年も対して変化がなかった感じです。(17年は5問,16年も5問。ちなみに15年は4問,14年は2問,13年は0問。)まあ,割りとデジタルに範囲内外を決めているのと,難易度というよりかは問題の性質を見て収録するかどうかを決めているので,当然ズレは出るんですが。


そうですね。1604年の会社は実態がほとんどありません。
一度も航海せずに潰れていますね。
Posted by DG-Law at 2017年10月06日 02:31
こんにちは、初めまして。
以前から見させていただいております。


過日あった代ゼミの早大プレ世界史の問題に、ちょっと悪問……というか奇問が出題されました。

内容としては、朝鮮史で、高麗時代と李氏朝鮮時代の文化に関する写真が四枚挙げられて、李氏朝鮮時代の文化に属する物の写真を答えろ。
というものだったのですが、いかんせんモノクロ写真なので高麗青磁か李朝白磁だか分からない……

一応答えとしては、明らかな物があったのですが、代ゼミには早大の悪い所まで真似てほしくないです。

乱文失礼しました。
Posted by 早大志望者 at 2017年11月03日 21:41
現物を入手して問題を見ましたが,別に代ゼミにおもねっているわけではないと天地神明に誓った上で(そんな義理もないですが),あれは問題ないと思います。
正解が亀船であまりにも明らかなので。他の選択肢も特定が容易ですしね。高麗青磁以外に陶磁器がないというのもありますし,また,早稲田の本試よりも印刷も鮮明なので。2014年のあの問題,他の選択肢に中国の青磁や白磁がある上に印刷不鮮明なのが特定を難しくしているんですよ。

それはそれとして言うなら,どちらかというと,あの4つの選択肢の括りが「朝鮮半島で出現した物体」以外になく,亀船があまりにも浮いていることのほうが不自然で,奇妙に思えます。なんで文化史の写真4枚でそろえなかったのか……その意味で,おっしゃる通り「奇問」かもしれません。

貴方の観点自体は悪くなく,そこに疑問を持てるのはよく勉強している証拠だと思いますので,今後もがんばってください。
陰ながら今年度の合格をお祈りしています。
Posted by DG-Law at 2017年11月06日 23:21