2018年05月21日

世界史上の諸君主の出題頻度グレーディング:ビザンツ皇帝編

前述の通り,ビザンツ皇帝編。基準は前回示した通りだが,Cを少しだけ改定した(これによるローマ皇帝のグレードの変化は無い)。

A:基礎知識。センター試験世界史B以上の入試を受けるなら知ってないとダメ。
B:国立二次・MARCH以上の私大を受けるなら必要。
B-:教科書に載っていて用語集頻度もそれなりに高いが,便宜上掲載されているという色彩が強く,実際には入試にはほとんど出ない。ネルウァが好例。
C:高校世界史範囲内・外のグレーゾーン。用語集頻度が低いか掲載されていないもの,または旧課程では範囲内だったもの等,早慶上智対策としてなら見るもの。
D:高校世界史範囲外だが,早慶上智でなら見たことがある。満点が欲しいなら覚えてもいい(が当然推奨しない)。
E:完全な高校世界史範囲外で,早慶上智ですら10年に1回未満のレベルでしか見たことがない。

視認性を高めるために,グレーディングのアルファベットに沿って☆を付した。Aなら6個,Eなら1個である。ズレがあったら☆の数の方が間違いなのでアルファベットの方を信じてほしい。意外と思われそうな人は赤で表示した。また,感覚には個人差があるので☆半分くらいは異論があると思われる。特に綿密にデータを収集してデジタルな判断をしたわけではないので,DとEの差については多く異論がありそうだが,そこはご寛恕いただきたい。以下,本編。

なお,前回の記事のコメント欄で「A・Bがほとんどおらんのでは?」という指摘が先んじてあったが,鋭い。今回の見所は「Eにはならず,C・Dになる人たち」だと思います。

《レオ朝〜アモリア朝》
君主名グレーディング
レオ朝の全員     E
ユスティニアヌス1世 A☆☆☆☆☆☆
その他のユスティニアヌス朝の全員 E
ヘラクレイオス1世 B☆☆☆☆☆
その他のヘラクレイオス朝の全員 E
レオン3世A☆☆☆☆☆☆
その他のイサウリア朝の全員 E
アモリア朝の全員 E
まあ序盤はこうなるよな,という。特に違和感・異論は無いはず。ヘラクレイオス1世は以前ほど見なくなった印象だが,それでもCにはなっていないくらい。C+という区分を新設するなら,これになるかも。前はテマ制の創設者として教えられていたが(そもそもこれは史実として疑わしい),現在はどちらかというと公用語がラテン語からギリシア語に変わった時期の皇帝としての出題の方が多い気がするし,その方が有意義であろうと私も思う。レオン3世は言うまでもなく聖像禁止令で頻出。


《マケドニア朝》
君主名グレーディング
バシレイオス1世 D☆☆
バシレイオス2世 C☆☆☆
その他のマケドニア朝の全員 E
おそらく多くのビザンツ帝国ファンの方々に残念なお知らせです。輝かしきマケドニア朝の事項は多くの教科書で出てきません。用語集頻度も「マケドニア朝」の語で◆ぅ丱轡譽ぅス2世以外の名前はほぼ登場しません。そういうわけで,バシレイオス2世が受験世界史のグレーゾーン,バシレイオス1世でようやく「早慶上智なら見覚えがある」,その他となると全く見たことがない。しかもマケドニア朝の事項は課程改定のたびに薄くなる一方である。しかし,個人的にこれは問題だと思っていて,なぜかというとそのせいでほとんどの現行の教科書で「ユスティニアヌスの死後のビザンツ帝国は衰退する一方で,良いところ無く十字軍の時代が来て,ヴェネツィアとオスマン帝国にしてやられる」ような書き方になっているため。えーと,一周回って西欧中心主義的な史観に戻ってないですかね。


《ドゥーカス朝〜アンゲロス朝》
君主名グレーディング
ドゥーカス朝の全員 E
アレクシオス1世 C☆☆☆
その他のコムネノス朝の全員 E
アンゲロス朝の全員 E
アレクシオス1世は用語集未記載で受験世界史範囲外のはずなのだが,早慶上智はおろかGMARCHでも時たま見かける。参考書でも載っていることが多い。なんでこんなに好かれているのか謎。第1回十字軍かプロノイア制に絡んで出題される。個人的にはそもそもプロノイア制自体教えなくていいと思っている。そして,そのノリで言うなら第4回十字軍の原因になったアレクシオス4世も出題されていてもおかしくなさそうだが,なぜかこちらは見たことが全く無い(もちろん無いに越したことはない)。謎。


《ラスカリス朝&パレオロゴス朝》
君主名グレーディング
ラスカリス朝の全員 E
ミカエル8世 D☆☆
コンスタンティノス11世 D☆☆
その他のパレオロゴス朝の全員 E
ミカエル8世はどこの大学だったかは忘れたが出題されたのを見た覚えがある。なかなかの策士ではあり,シチリアの晩鐘との関連もおもしろいのだが,シチリアの晩鐘自体が受験世界史ではマイナー事項である。コンスタンティノス11世は受験世界史名物「最初」と「最後」に該当するため。とはいえ出題は極めて稀。教えている予備校講師も稀ではないだろうか。


次はフランスのカペー朝・ヴァロワ朝(余裕があればブルボン朝)をやる予定。また来月くらいに。


この記事へのコメント
 こんにちは。2回目の書き込みなります。この企画いいですね! 

 一応、恥ずかしながらも世界史の教鞭をとっていますが、自分が教える際もこの表の通りになっています。最後のコンスンタンティノス11世は、wikiのコンスタンティノープルがオスマンに攻め込まれた際の解説がかっこいいかなという理由で教えていますww

 つづくカペー朝やヴァロワ朝、ブルボン朝も楽しみにしています。ロシアのロマノフ朝のぜひ!!
Posted by もぐたん at 2018年05月30日 12:12
>自分が教える際もこの表の通りになっています。
それは安心です。完全に独断で格付けしているもので。
コンスタンティノス11世のエピソードはかっこいいですね。

カペー朝はメリハリのあるものになりそうで,作る側としても楽しみです。

Posted by DG-Law at 2018年05月31日 23:27