2018年07月28日

ハイジュエリーブランドの展覧会3つめ

ピウス7世のティアラ三菱一号館美術館のショーメ展に行ってきた。ショーメは日本語版Wikipediaにページがない程度には他のブランドに比べると知名度が一段劣るが,ブルガリ・カルティエ・ティファニー・デビアス等と並ぶ超高級ジュエリーの老舗である。過去にカルティエとブルガリは東博で展覧会があったが,今回のショーメは三菱一号館であった。そのうちティファニーもやるのだろうか。

歴史的に言えばボナパルト家とのつながりが強く,ジョセフィーヌに気に入られてトップブランドに駆け上がっていったことが展覧会の冒頭で語られる。それゆえに王冠(ショーメデザインの教皇ピウス7世の三重冠が今回の展示の目玉の1つである)や儀仗,婚約指輪・結婚指輪といった儀礼用のジュエリーがショーメの強みである。今回の展示で最も多かったのはティアラで,何十点というティアラが一同に会していたのは圧巻であった。しかもその部屋だけ写真撮影OKだったのだが,部屋の照明が落としてあって各ティアラだけが強力なライトで照らしてあるという状況だったので,携帯のカメラではまともな写真が撮れる環境ではない。どうせ写真撮影OKにしたのであれば,もうちょっと写真を撮りやすい照明にしてほしかった。それともあれは実は撮らせたくなかったのだろうか。

そうした強みのせいか,クリエイティブではあれど保守的なデザインであり,時代による変遷は当然あって,アール・ヌーヴォーのような流行にはきっちり乗っていて,19世紀末頃には動植物デザインが増えていたりはするものの,そこまで突飛なものがさして見られないのがかえって特徴的であると思った。王侯貴族が古臭くなく,かつ普遍的なデザインであってほしいものをきちんと作って売っているという印象である。大ぶりの宝石を多用しているものの,とりあえずダイアモンドをはめておけばいいんじゃろ,というような使い方ではなく,カラフルでちゃんと何かしらの模様を表現した作品が多く,おもしろかった。

しいてケチをつけるなら,ショーメらしさを見せるならもう少し政治的な有名人の所有物を借りてきて展示してもよかったのではないかと思う。冒頭のナポレオン1世の一族の宝飾品の展示はすばらしかった。が,その後はティエール夫人,前田侯爵夫人(あの前田侯爵邸を造営した利為公の夫人)あたりがおもしろかったけど,その他は名前自体がそれほど出てこなかった。その点は少し残念である。