2018年08月14日

最近読んだもの・買ったもの(『けものみち』1〜3巻,『アルテ』8巻)

・『アルテ』8巻。アルテがヴェネツィアから帰還。アルテが女性肖像画家として歩みだす。
→ 組合のアロルド役員長とレオの会話でも,7巻でも語られていた「職人から芸術家へ」という話が出る。こうなると個性は武器となり,貴族出身で女性という個性の塊であるアルテは,師匠のレオよりも見込みがあるということに。アロルドもレオもアルテが望めば師匠を変えた方がよいという考えを持つが,本人はなかなか踏み切れないだろう。
→ 『アルテ』の5巻の書評の時に「『アルテ』の時代設定は1522年以降」という推測を立てたが,38話の情報でもこれが裏付けられる。ラファエロとレオナルド・ダ・ヴィンチが両方死んでいる。しかもそれがここ2・3年の話とのことである。ラファエロの享年は1520年,ダ・ヴィンチは1519年であるから,やはり本作は1522〜23年頃と確定できる。39話ではアルテがヴェロニカからエラスムスを借りているが,その書名がStultitae laus,すなわち『愚神礼賛』である。初版発行年は1511年。時代を考えれば流行の最先端に近い。そして40話ではローマの情景でシスティーナ礼拝堂天井画「天地創造」がちらっと出てくるが,その完成は1512年だから完成したてである。三大巨匠ではミケランジェロが唯一存命。そして彼は1564年まで生き続ける。本作はその頃まで描かれるであろうか。
→ この時代のヒエラルキーでは,宗教画(歴史画)を描かなければ一流の画家とは呼べなかった。しかし,アルテの強みは肖像画である。とりあえず今は肖像画に集中したいし,しばらくはレオの工房に居続けるということで先送りされたが,これらの葛藤はしばらく続きそう。
→ そして本巻のラストでは,新たな女性の登場人物がローマからフィレンツェへ。ここで出てくる話し相手の「ハドリアヌス様」は,当時のローマ教皇ハドリアヌス6世(在位1522〜23年)であろう。在位がわずか1年半,しかもメディチ家の教皇に挟まれている(先代が贖宥状で有名なレオ10世)ので大変に影が薄い。こんなところで名前を見るとは思わなかった。その教皇が「あなたのお兄様の頼みですから」と発言しているということは兄もまた重要人物っぽい。この女性はフィレンツェが国元ではないようなのでメディチ家ではないと思われるが,どこか有名な家系か。アルテのパトロンになるのかもしれない。次の展開が気になる。


・『けものみち』1・2・3巻。
→ 何買いかと言われれば,まったくモー助の絵が好きなので,自分には珍しい完全な絵買いである。もっと言えばドラゴン娘の花子さんがかわいかった。それだけである。そういうわけで,花子さんが表紙の2巻を貼っておく。
→ ストーリーは異世界転生物……なのだが,勇者として召喚されたのはケモナーのプロレスラーという異色の設定。主人公はペット文化の無い異世界でペット文化を広めるべく,ペットショップを開いて孤軍奮闘するのだが,いかんせん主人公自身の動物への偏愛がひどく上手くいかない。この主人公は「人間にはない部位がある生物」に欲情するというタイプのケモナーなので,亜人種・魔物・動物すべてOKでありかなりストライクゾーンが広い。しかもきっちり”欲情してしまう”ので,広めようとしている割に本人がペット文化の普及に向いていない,というのがギャグの発生ポイントになっている。茶化しているとも読めなくもないので,ケモナー勢に怒られていないか心配である。
→ そもそも亜人種がいて動物と魔物と亜人の境界線が曖昧なこの世界でペット文化は成り立つのか否か自体が相当に怪しいのだが,基本的にお気楽な感じでストーリーが展開するので,亜人種が存在することで人間と動物の違いが云々といったシリアス展開には今のところなっていない。今後なるのかもわからない。一応3巻で魔王の影が見え隠れするようになり(主人公は元々魔王討伐の勇者として召喚されたがその使命を無視してペットショップを開いた),多少なりとも本筋が進んでいるのか。

けものみち(2) (角川コミックス・エース)
まったくモー助
KADOKAWA / 角川書店
2017-10-26