2018年12月11日

南スーダンとコソヴォは自分も気をつけないと

・掲載地図の誤りにみる『防衛白書』の資料的価値と防衛省の地理的知識―『平成29 年版 日本の防衛―防衛白書―』を中心に―(近藤暁夫,『愛大史学』27巻)
・ 掲載地図と本文の矛盾からみた日本国『外交青書』の資料的価値 ―― 『外交青書2017』を中心に ―(近藤暁夫,『愛知大学文學論叢』155巻)
→ 出版物や社会の地理的誤りを指摘する近藤暁夫先生の新作2件。まず『防衛白書』,これ読むと防衛省は尖閣諸島も竹島もどうでもよさそう。特に鼻水吹いたのはp.24。ミサイルの射程距離を示す図なのに正距方位図法が間違っているのは神経を疑う。北朝鮮のミサイル実験時に民放のテレビが正距方位図法ではない地図を使ってしまってネットで批判されていたが,よほどこちらの方がまずかろう。南スーダン・東ティモール・モンテネグロ・コソヴォが独立していないのも,やってしまいがちではあるが,こうした文書ではアウト中のアウトだろう。
→ ただし,本論文にも一点批判を加えておくと,p.32。サッカー戦争はサッカーの試合結果が引き金だっただけで実際には移民に関わる根深い社会問題が原因であるので,このような揶揄には使うべきではない。「国家安康」についても同様で,あれが実際には重要な論点だったわけではないことは,2016年大河ドラマ真田丸に関連して割と論じられたテーマであり,これも些細な理由で勃発した戦争の事例としては正しくない。
→ 『外交青書』についてもほぼ完全にミスのポイントが同じだが,南スーダン・東ティモール・モンテネグロ・コソヴォのミスは地図を使いまわしているからなのだろう。北方領土をロシア領の色で塗っているのは,文書の性格を考えると再発行レベルのミスでは。たとえばこれが外務省の内部資料とか,外務省以外が作っているとかならまだしも妥協しうると思うが,よりによって『外交青書』でこれはちょっと。ゴラン高原がイスラエル領になっているのも洒落になってない気が。


・かちかち山は現代風にアレンジされているのか、ばばあ汁の味(ネットロアをめぐる冒険)
→ 力作。確かに絵本は近年になって全体的に表現がマイルドになったイメージがあるが,少なくとも「かちかち山」は戦後直後すでにそれが始まっているという。しかし,とすると今度は「かちかち山と言えばたぬきは最後に溺死する」というイメージが多くの年代で共有されていると思われることとのズレが面白い。あるいは,実は「最後に溺死する」というイメージが共有されていない可能性もある。さすがに自分で調べるだけの気力と興味関心までは無いが,一つの感想としてここに述べておく。


・立小便対策のエコ便器がパリ市民に不評、景観損なうとの声(ロイター)
→ タイトル見ていいことじゃないかと思わせてからの画像で納得した。これはダメですわ。というよりも,パリ市当局はなぜ個室にしなくて大丈夫と考えたのか,全くわからない。景観だけで言えば立小便とほとんど変わらないと思うのだが。
→ ところで,「パリと言えば野糞と立ちション」という話は聞くものの,生涯に二度ほどパリに行って累計10日ほどパリの中心部を観光した経験で言うと,夜間含めて全くそういう光景にあわなかった自分からするとそういうイメージは無い。ましてや行ったことある人の共通認識のように言われると,自分が行ったのは別の世界線のパリだったのかと思ってしまう。パリの悪さは治安の悪さと夜間の暗さにあって(後者は日本が明るすぎるのだが),汚物と匂いではないと思っている。