2018年12月23日

世界史上の諸君主の出題頻度グレーディング:ドイツ皇帝・ロシア皇帝編

タイトルが長くなりすぎるので省略したが,ドイツ皇帝はブランデンブルク=プロイセンを含む事実上のホーエンツォレルン家のグレーディング。ロシア皇帝はモスクワ大公国を含む。

基準はこれまでと同様に以下の通り。

A:基礎知識。センター試験世界史B以上の入試を受けるなら知ってないとダメ。
B:国立二次・MARCH以上の私大を受けるなら必要。
B-:教科書に載っていて用語集頻度もそれなりに高いが,便宜上掲載されているという色彩が強く,実際には入試にはほとんど出ない。ネルウァが好例。
C:高校世界史範囲内・外のグレーゾーン。用語集頻度が低いか掲載されていないもの,または旧課程では範囲内だったもの等,早慶上智対策としてなら見るもの。
D:高校世界史範囲外だが,早慶上智でなら見たことがある。満点が欲しいなら覚えてもいい(が当然推奨しない)。
E:完全な高校世界史範囲外で,早慶上智ですら10年に1回未満のレベルでしか見たことがない。

視認性を高めるために,グレーディングのアルファベットに沿って☆を付した。Aなら6個,Eなら1個である。ズレがあったら☆の数の方が間違いなのでアルファベットの方を信じてほしい。意外と思われそうな人は赤で表示した。また,感覚には個人差があるので☆半分くらいは異論があると思われる。特に綿密にデータを収集してデジタルな判断をしたわけではないので,DとEの差については多く異論がありそうだが,そこはご寛恕いただきたい。以下,本編。


《大選帝侯〜フリードリヒ2世》
君主名グレーディング
フリードリヒ=ヴィルヘルム大選帝侯 D☆☆
フリードリヒ1世          D☆☆
フリードリヒ=ヴィルヘルム1世   B-☆☆☆☆
フリードリヒ2世          A☆☆☆☆☆☆

フリードリヒ=ヴィルヘルム大選帝侯は早慶上智で稀に見かける。ドイツ史ではなく世界史という尺度で考えると,同じような立ち位置のフィリップ2世などに比べると確かにインパクトが薄い。初代プロイセン国王フリードリヒ1世は一つ前の課程まで頻度,波楼脇發世辰燭,最新課程はとうとう消滅した。もっとも,旧課程時代でも大選帝侯レベルの出題頻度だったが。フリードリヒ=ヴィルヘルム兵隊王は用語集頻度イ世,これも実際の出題頻度は低い。というよりもこんなに教科書に載っていることに驚いた。てっきり,箸△と。こういうのがあるから用語集頻度も絶対視できない。フリードリヒ2世は当然の結果。有名すぎてかえって聞かれない,ナポレオン1世やヴィクトリア女王と同じ枠という気もするが。


《フランス革命戦争〜ドイツ帝国崩壊》
君主名グレーディング
フリードリヒ=ヴィルヘルム2世 D☆☆
フリードリヒ=ヴィルヘルム3世 D☆☆
フリードリヒ=ヴィルヘルム4世 D☆☆
ヴィルヘルム1世        A☆☆☆☆☆☆
フリードリヒ3世        E
ヴィルヘルム2世        A☆☆☆☆☆☆

フリードリヒ=ヴィルヘルム2世はピルニッツ宣言の実行者で稀に出る。フリードリヒ=ヴィルヘルム3世は在位期間が長く,ナポレオン戦争・ティルジット条約・ウィーン議定書・七月革命と重大事件を経験しているものの,本人の影は非常に薄い。実際に動いたのはシュタインやハルデンベルク,グナイゼナウやシャルンホルストであるから,国王を教えることはないということであろう(なお,軍人の2人も範囲外)。フリードリヒ=ヴィルヘルム4世も1848年革命時の国王で,フランクフルト国民議会で戴冠を要請されて拒否したりプロイセン欽定憲法を発布したりした人だが,入試で見ない。もちろん出てくれなくて全くかまわないのだが,前2人以上に見ないのはちょっと不思議かも。ヴィルヘルム1世・2世は当然のAとして,フリードリヒ3世は存在自体知らない人が多そう。ヴィルヘルム2世は実は第3代皇帝なのだ。後の展開を考えると,フリードリヒ3世が長生きしていたら歴史は大きく変わっていたと思われ,大変惜しい。



《リューリク朝〜ロマノフ朝前夜》
君主名グレーディング
イヴァン3世    A☆☆☆☆☆☆
ヴァシーリー3世  E
イヴァン4世    A☆☆☆☆☆☆
フョードル1世   E
ボリス=ゴドゥノフ E
動乱時代全員    E

ここからロシア。イヴァン3世とイヴァン4世はどちらもセンターレベルでしかも紛らわしく,受験生に嫌われる判別の筆頭。イヴァン3世が非公式にツァーリ称号を使用開始,イヴァン4世がそれを公式化と経緯がやや込み入っているのも嫌なところ。フョードル1世はリューリク朝最後のツァーリ。そして動乱時代は入試に全く出ないどころか,そもそも高校世界史で扱わない。おそらく,イヴァン3世からしてロマノフ朝と勘違いしている受験生はおそらくかなり多い。


《ロマノフ朝(17世紀)》
君主名グレーディング
ミハイル=ロマノフ B-☆☆☆☆
アレクセイ     E
フョードル3世   E
イヴァン5世    E
ピョートル1世   A☆☆☆☆☆☆

初代は謎に出題される法則から外れ,ミハイル=ロマノフはめったに入試で出ないが,用語集頻度はい任△襦まさにローマの五賢帝と同様に,便宜的に載せられているのだろう。第2代アレクセイはツァーリの帝権を安定化させてピョートル大帝につなげ,ステンカ=ラージンの反乱を鎮圧し,大洪水時代のポーランドに侵攻してキエフを獲得した人物でもあるのだが,課程をさかのぼってさえ高校世界史に出てこない。このくらい業績があれば範囲外ではあれCやDになりそうなところ,Eでとどまるのは英仏独と違う雰囲気がする。なお,ステンカ=ラージンはBくらいの出題頻度があるのに,大洪水時代はDかEという格差も謎ポイント。マルクス主義的に民衆反乱が重視されていた時代の名残だろうか。ピョートル大帝は言うまでもなくA。


《ロマノフ朝(18世紀)》
君主名グレーディング
エカチェリーナ1世 E
ピョートル2世   E
アンナ       E
イヴァン6世    E
エリザヴェータ   E
ピョートル3世   E
エカチェリーナ2世 A☆☆☆☆☆☆
パーヴェル1世   E

ピョートル大帝死後の混乱期は全員E。エリザヴェータはその混乱を収めて,七年戦争に参戦した女帝(ペチコートの陰謀の一人)だが,入試ではほぼ見ず,DかEか微妙なところ。その講和の原因となったピョートル3世も同じく。エカチェリーナ2世は当然のA。こうして見るとロシア皇帝は非常にメリハリがある。


《ロマノフ朝(19〜20世紀)》
君主名グレーディング
アレクサンドル1世 B☆☆☆☆☆
ニコライ1世    A☆☆☆☆☆☆
アレクサンドル2世 A☆☆☆☆☆☆
アレクサンドル3世 D☆☆
ニコライ2世    A☆☆☆☆☆☆

アレクサンドル3世の仲間外れ感。実際,受験生はアレクサンドルとニコライが交互に出てくると覚えるので,おそらく存在自体を認識されていない。アレクサンドル1世は神聖同盟の提唱者として聞かれることが最も多い。ニコライ1世はデカブリストの乱とクリミア戦争で頻出。アレクサンドル2世は農奴解放令と露土戦争・ベルリン会議で頻出。アレクサンドル3世は露仏同盟締結にシベリア鉄道着工という大きな事績があり,ポグロムの激化という事件もあるが,なぜだか無視される。最後のニコライ2世は言うまでもなし。


残りのオスマン帝国・アメリカ大統領・中華王朝は年明けに。

この記事へのコメント
アレクサンドル3世は「論述でニコライ2世って書くとバツだから気をつけろ」って文脈で習いましたね…
次のも待ってます
Posted by はい at 2019年01月14日 19:21
なるほど。確かにそういう文脈でなら教える意味はありますねw。

次はしばらくお待ちください……
書いてる時間がちょっと取れておらず。
Posted by DG-Law at 2019年01月17日 01:09