一昨日11日午前10時半頃に、広島市中区の広島刑務所から、
李国林という名の中国籍の40歳の男性受刑者が逃走し、
「治安に重大な影響を与える可能性がある」として、
警察庁が最高レヴェルの指名手配にあたる特別手配をしていた事件についてだが、
一つの進展があったとの報道から、わたしもつい書かざるを得なくなった。

今日13日午後4時半頃、広島市西区の広島市立天満小学校付近の路上で、
女性警察官から職務質問を受け、逃走から約54時間ぶりに、
李の身柄が拘束され、広島県警に逃走容疑で逮捕されるに至った。
身柄拘束時の李が被っていたニット帽について、
侵入した民家から盗んだとの情報も入っているが、
当然押収された上で、元々の持ち主に返却せねばなるまい。

李は一昨日午前10時半頃に広島刑務所から逃走した後に行方不明となり、
逃走から約45分後に「白い服の人が東の方に走って行った」と警察に通報があり、
刑務所から西に約1.5km離れた広島市西区の民家で空き巣に入り、
空き巣現場の約900m北西の空き家にも侵入の痕跡があったことが判明した他、
会社の事務所が荒らされたり、車上荒らしも2件発生していたという。
空き巣被害のあった民家付近の学校でも厳戒態勢が敷かれる程、
事件現場の周囲で特に物々しい動向を見せていた。

李の目撃情報を基に身柄が拘束されたが、刑務所から脱走した手口や逃走経路、
逃走を幇助した人物の有無等は未だ解明されていない。
今回は「逃走していた受刑者が拘束されたから良かった」というだけでは、
また二度三度と同様の逃走を赦してしまう一方ではないか。

李の逮捕を受け、官房長官の藤村修は、
「近隣住民に大変迷惑を掛けた」と謝罪したが、
閣僚が謝罪する以上に本来謝罪すべきは広島刑務所や広島県警、警察庁の方なのだ。
しかも、改善策を提示、実行するという気概と共にだ。

まず刑務所としては、受刑者の社会復帰に向けた支援を第一義として取り組む他、
受刑者が突然逃走してしまわないように、人員配分を適切に行うことも重要で、
また今回のように受刑者が逃走した場合、なぜ逃走したのか、
施設の瑕疵等も含めた検証も絶対に必要だ。

警察としては、刑務所との連絡・連携体制に不備があったかの検証や、
周辺住民も当然、受刑者が逃走先で累犯を重ねたり、
最悪の場合人命に危害が及ぶことも想定される故、
適切なパトロール体制の構築が普段から求められる筈だ。

オウム真理教事件の特別手配犯だった平田信が、
約16年半もの逃走生活の末に先日逮捕されたばかりだが、
特定できている指名手配犯の他、事件の加害者が行方不明の場合、
また容疑者が逮捕されたとしても、
地域社会への動揺が収拾しないことも大いに考えられよう。
誰もが事件の加害者や被害者にもなり得る上、
いつ自分の地元に逃走中の指名手配犯が潜伏するかもわからぬ時勢、
普段から地域間の連帯も必要だと訴えても、
只でさえ孤独になりがちな現代人には聞き入れられない要望なのだろうか。
今回の逃走事件で受刑者の身柄が確保されても、わたしは只々悲観する一方だ。