著者:水森 サトリ
出版社:集英社

感想:
ブロガーさんの評価も高く、ずっと気になっていた作品。
わりと衝撃的なオープニングです。
「でかい月だな」その言葉とともに、友人に崖から蹴り落とされた主人公。一命を取りとめた後、微妙に変わってしまった周囲に戸惑い、理由も告げず友人が消えたことに淋しさを感じる……というお話。
思春期の少年の繊細な心の動きがとても良くて、心地良さをずっとキープしながら読みました。
変わり者に見える友人たちも可愛くて楽しい。
後半部分の「世界が変わる」という幻想的なストーリー展開も、細やかな心理描写で無理なく描かれていたと思います。
全てを包み込むようなラストは感動的でした。
爽やかでファンタジックな青春小説。いいなぁ、好きだなぁと、素直に思える作品です。
第19回小説すばる新人賞受賞作。

オススメ度:☆☆☆☆

あらすじ:
ある満月の夜、友人に突然崖から蹴り落とされ、九死に一生を得たもののバスケットボールができない身体になってしまった「ぼく」。加害者の友人は姿を消し、入れ替わるように「ぼく」の前にあらわれたのは、インチキ錬金術師、邪眼を持つオカルト少女、そして「やつら」。