鳥獣戯画



 京都・栂尾の高山寺に所蔵される「鳥獣戯画」四巻を中心に、分蔵される断簡、模本類もあわせて展示し、「鳥獣戯画」の全貌を本格的に紹介する、という展覧会が、六本木の東京ミッドタウン ガーデンサイトのサントリー美術館で開催された。
 12月16日が最終だというので12月15日に出かけてきた。

 上にいくつか抜粋された画像が見えるが、これらは美術や歴史の教科書などでいろいろ紹介されていて知っている方も多いだろう。
 俗に鳥獣戯画と呼ばれているのはきっともっと多くの部分があって、その一部が紹介されているだけなのだろう、とぼくは思っていた。
 この展示を見てわかったことを以下に簡単にまとめる。

 1. 鳥獣戯画は甲乙丙丁の四つの帖に別れていて、これらが鳥獣
   戯画と呼ばれている。ひとつの絵巻物はさほど長いものでは
   なく、上に抜粋紹介された各部分が約3、4メール横へつな
   がっていると思えばよい。
 2. 上の画像にあるのは甲の帖の部分であり、この甲の帖は文句
   なしにすばらしい!
   描かれた蛙や兎、猿たちは生き生きとしていて、一筆一筆に
   一切の迷いがなく、流れるような筆致からは描いた絵師の腕
   の冴えが察せられる。
 3. これに対して、乙の帖はまあまあといったところで、丙と丁
   の巻の絵は甲に比して極端に劣る。下手な素人が甲の絵を真
   似して描いた程度のものだ。
 4. 結局のところ、この展示会は甲の帖以外にたいして見るべき
   ものがない。観客は有名な甲の帖のすばらしさを再確認する
   ために、寄せ集められたそのほかの展示品を眺めることにな
   る。


 というわけで、甲の部分はあまりにもすばらしく、結局はそのわずかの部分を鑑賞することに意味があるのであって、あとは付け足しみたいなものだった。
 この絵師が現代に生きていて、動物たちを主題にしたアニメを制作したらさぞやおもしろいものが出来上がるだろうと感じた。
 デフォルメの質というようなことに思いをめぐらせると、日本人の感性はもうこの時代から洗練されていて、マンガ、コミック、アニメについては日本が西欧の水準を遙かに凌駕している、と改めて感じたのだった。

 ところで、サントリー美術館は2007年3月にこの六本木の東京ミッドタウンに移転し、オープンしたのだという。
 ぼくは東京ミッドタウンなる一郭に初めて足を踏み入れた。おしゃれで高級な店が建ち並び、別世界にきたようだ。
 わずかだが、写真を撮ってきたので、興味のある方は下をクリックしてください。

 「東京ミッドタウンの風景」