美術展 日本(江戸以前)
2016年09月05日
夏季特別展「江戸の遊び絵づくし ― おはつです!笑って遊べる浮世絵、ここに参上。 ―」(7/23-9/4)
明石市立文化博物館［兵庫県明石市上ノ丸２］
似たような趣旨の展覧会をつい先日にも見てきたように思う。江戸時代の庶民文化の華やかさを満喫する展覧会だった。このような文化を花咲かせていたということが、明治以後いち早く西洋と肩を並べるに至った素地が、そこにあったと思わせるものだ。
ただ最後に第２次大戦のような不幸な方向に行ってしまったのが残念。しかしながら、このような浮世絵とか、歌舞伎とかが世界中に知られるようになって、こんにちとみに多くの外国人がやってくるようになって、これはこれで喜ぶべき事なのでしょう。ただこの博物館のある明石にはあまり外国の人を見かけることはなかったように思う。ひょっとしたらガイド本に紹介がないのか、それとも魚の棚(うおんたな)商店街の方にいるのかどうなのか。
ネコで出来たネコ、人の体出来た人の顔。日常の品々が妖怪になった月岡芳年の「百器夜行」はつくも神のことなのでしょう。
またお上から役者絵を禁じられると、子供が描いた絵のような役者絵を描いたりと、反骨精神もたっぷりとあったようだ。
ともかく江戸時代の庶民の遊び心が満載の浮世絵だった。
dido212016年08月30日
夏季展示「歌仙兼定登場」(7/9-9/4)
永青文庫［東京都文京区目白台１］
実はこの日は桜新町にある「長谷川町子美術館」に行くつもりで、東急に乗ったのはいいけれど思わぬトラブルのために運転休止となってしまった。それは台風とは関係のないことで、ある駅でホームから人が転落して安全確認やらなにやらで復旧にあと１時間くらいかかるとのこと。そんな放送があったのでこれはどうしようもないと思って、停まった駅で降りて渋谷駅に戻ることにした。しかしやって来るバスはどれも超満員で、ようやく乗れたバスもステップからもう一つ上がるのに一苦労する。
そしてなんとか最寄り駅のＪＲ飯田橋まで行って、そこからタクシーを拾って永青文庫にたどり着いた。ここではすぐ乗れたのはいいけれど、運転手さんが永青文庫がどこにあるかを知らず、ナビを使ってようやくたどり着く。京都でもよくタクシーを利用するが、地理を知らない方が多いように思う。
このたびの展示会は「歌仙兼定登場」というタイトルで。これだけでは何のことかよく分からないが、要するにそのような名前の刀があって、それは細川忠興の愛刀だったそうだ。そこで細川家ゆかりの永青文庫に、多くの刀剣や鎧とともに所蔵されているようだ。
入館の際にいただいた冊子には、それらの品々の詳細な写真と解説があった。
その玄関先の向こうは、胸突坂というかなりきつい坂になっていて、坂と言ってもスロープではなく階段になっていて、先ほどのタクシーはここでＵターンしないと帰れないと言うことに気がつく。
さてこの永青文庫は、かの細川家の下屋敷だったところだそうで、横手の階段を下るとその庭園に出る。
これはその庭園向かう道の入口にある門(と言っていいのか)。
庭園の情景。霞んで写っているのはレンズについている雨のせい。
東京という街は意外と高低差があって、タモリさん好みの街だなと思うのは、ブラタモリをよく見るせいだろうか。タモリさんに付き合わされるアナウンサーも大変だと思う。
2016年08月16日
2016年08月11日
特集展示「蔵出し名品展 2016」(8/3-10/3)
大阪歴史博物館［大阪市中央区大手前４］
ちょっとした古い町は、どこを掘り返しても遺跡が出てくるのは当たり前のことかも知れない。この大阪も同様で、以前にはこの博物館の地下にある遺跡を見学させてもらったこともある。地上に再現されている古代の建物も、難波の宮の時代のものでなく、もっと後世のものだとか。
難波の宮は斜め向かいに望むことが出来る。
そして、少し左に目を転ずると大阪城が見えてくる。
かつての堂島の光景。
先日見てきた、人形浄瑠璃の展示。
その昔に走っていた市電の様子でしょうか。
次に「蔵出し名品展 2016」と言うのを見る。
角座を再現したものなのでしょう。
今もその名跡を継いだ人の芝居を観ることが出来る。
さて次に歌舞伎を見にいくことになるのは、十二月の顔見世かそれとも正月になるのか。
ちかごろはこのような博物館まで外国人が多く訪れるようになったせいだろうか、案内は４ヶ国語で書かれるようになった。しかも英語は一番下になっている。
2016年08月07日
生誕800年記念特別展「忍性 ―救済に捧げた生涯―」(7/23-9/19)
奈良国立博物館［奈良県奈良市登大路町］
今年の夏は例年になくやたらと暑い。トシがいったせいでそう思うのか、本当に今年は暑いのかどうかは分からないが、この博物館に行くには普通なら近鉄で行って近鉄の奈良駅から歩くのだが、そのたかだか１０分程度の道を思い浮かべてうんざりしてしまった。そこでこのたびは趣向を変えてＪＲで行くことにした。しかしいざＪＲの奈良駅を降りて、博物館方面行きのバス停を見てみてると長蛇の列だった。こんな満員のバスに乗ると歩くよりしんどそうだと思い、意を決してタクシーで行くことにした。
忍性(にんしょう)と言っても今ひとつピンとこないのだけれど、サブタイトルにある通り、民衆の救済に生涯を捧げた鎌倉時代の僧であるそうだ。建てた伽藍８３か所から始まり、病人・貧者に与えた衣服33000着、架けた橋189橋、修復した道71か所、掘った井戸33か所、開いた湯屋・療養所５か所など、彼の業績が記されていた。このような業績をみてみると行基をちょっと思い浮かべる。
唐招提寺所蔵の「東征伝絵巻」と言うのが公開されていた。いささか地味な忍性に関わる展示に比べて、この絵巻はなかなか興味深いものだったが、少し分かりにくい感じがした。
帰りは五重塔を見ながら、興福寺の境内を通り抜けて近鉄で帰る。
2016年07月30日
「世界考古学会議京都(WAC-8)開催記念 アートと考古学展 〜物の声を、土の声を聞け〜」(7/23-9/11)
「祇園祭 −山鉾巡行の歴史と文化−」(7/2-7/31)
京都文化博物館［京都市中京区三条高倉］
日本の平野部のどこを掘り返しても、何らかの遺物が出てくるというのは想像に難くない。ことにこの京都の街ならなおさらだと思う。
そして出土したものは、完全な形で出てくることは稀で破片として出てくるのが普通であると思う。
そんなもののうち、首の比較的長い花器のようなものは、その細長い部分が縦に割れた形で出土していた。いったいどのような偶然でこのようなこんな割れ方をしたのか不思議でならない。それとも何らかの作為があったのだろうか。
時を経た物は、付喪神(つくもがみ)となって変化(へんげ)を為すというのは、日本の古来からの言い伝え。どこの家にもそのような物がいくつかあるはず。我が家にもそれらしき物がいくつかあるように感じられる。
常設展示のコーナーの一つに、祇園祭の山鉾の前駆や胴懸が展示されていた。
これらは、遠くヨーロッパや東アジアなどから渡ってきたものもあるそうだ。
2016年07月19日
夏季特別展「極(きわみ) 大茶の湯釜展 −茶席の主−」(6/4-7/31)
MIHO MUSEUM［滋賀県甲賀市信楽町］
極みと言っても、昨今ちょっと話題なった「ゲスのきわみ」とはほど遠い世界で、何とも高尚なというか、地味というか。
殊に茶釜の展示が多かったが、茶釜と言えばぶんぶく茶釜くらいしか思い起こせない者にとっては、信楽にゆかり深いタヌキが綱渡りをしたと言うことくらいしか知らない。
また、その昔に会社の同僚に誘われて展示会に行ったところ、そこで茶を勧められて、作法を知らないのにどうしたらいいのかとおろおろしたことを思い出す。
茶の湯の展覧会というのは結構あちこちにあって、ひょっとしたら展覧会の半分くらいは茶にまつわるものではないかと思ってしまう。関西で、阪急の創業者の小林一三の美術館である逸翁美術館もそうだし、吉兆の創業者ゆかりの湯木美術館もそのように思う。
さてシャトルバスに乗って、と言っても歩いて行っても数分で着くが、トンネルをくぐった向こうに玄関が見えてくる。
玄関を入って左に曲がった先に特別展の展示室がある。
その北館を玄関あたりから窓越しに望む。
帰りのバスはこの地下室からだった。玄関の前で待つと日よけがないとか暑いからだとか。
そしてもとのレセプション棟に戻って、そこのレストランで食事をとる。
天ぷらそばを注文すると、結構な量の天ぷらがお上品に盛られていた。
近くのテーブルの人は、自分の注文したものを早速カメラに収めていた。
私はおっさんなのでやめておきました。
帰りは栗東インターから名神に乗ろうと思ってそちらの道を選ぶ。その途中にあった「道の駅 こんぜの里りっとう」と言うところにちょっと立ち寄った。
ひらがなになっているのは、「こんぜ」は漢字では金勝と書き、やや難読なのでそうしたのかと思う。
ここから少しだけ琵琶湖が望むことができる。
2016年07月18日
生誕300年記念「伊藤若冲展」(7/1-12/4)
相国寺承天閣美術館［京都市上京区今出川通烏丸東入］
大好きな若冲の展覧会を見てきた。このたびの展覧会の中心は「相国寺観音懺法を荘厳する動植綵絵」と言うことで、そ３０幅を一堂に展示と言うことなのだが、本物ではなくコロタイプ印刷による複製品だとのこと。本物は東京の宮内庁三の丸尚蔵館にあるようだが、そこへ行っても見られるかどうかはよく分からない。近々三の丸尚蔵館にも行くので、展示されているかどうか確かめてみたい。
このたびはともかくも、若冲の絵を見たと言うことで大いに眼福を得たと思う。
潜り戸をぬけて、玄関に向かう途中の様子。
館内から庭を撮る。
帰りは烏丸御池駅で降りて、そこから四条通まで歩いて帰ることにした。
その途中で山鉾の準備をしているのを見たけれど、これは何という山鉾なのだろうと思って、祇園祭のウェブサイトで確認してみるとどうも「鈴鹿山」のようだった。
2016年07月03日
特集陳列「徳川家康没後四百年記念 徳川将軍家と京都の寺社 ─知恩院を中心に─」(6/14-7/18)
京都国立博物館［京都市東山区茶屋町］
特別展ではないので派手な看板などはなかったが、意外と大勢の来館者がいた。
この特別陳列は、タイトル通り徳川家と京都の関係を、知恩院を主にしての展示だった。知恩院と言えば、京都に来られた方はよく分かると思うが、四条通の東の突き当たりに見えるお寺で、いつも観光客でいっぱいの所である。
この博物館は知恩院からさして離れたところではないけれど、普段の日に知恩院に行っても、見ることの出来ない展示がされていたのではないかと思う。
特別陳列の展示室のほかに、他のお馴染みの展示がある展示室もぐるっと見てまわる。
向こうに新館を望む。ちょっと見えにくいが、植え込みの白い花はクチナシでしょうか。家の近所でもよく見かける。
このたびの京都行きは、行きはＪＲ、帰りは阪急を利用したが、いずれも乗り合わす人の半分以上は外国人のように感じた。それも大半が東洋系のようだった。大勢日本来てくれるのは良いけれど、どうも電車内の様子が賑やかで異質な感じして、もう少しどうにかならないかとちょっと思ったりもする。
2016年06月29日
ボストン美術館所蔵「俺たちの国芳わたしの国貞」(6/18-8/28)
神戸市立博物館［神戸市中央区京町］
無類の猫好きだった国芳らしく、ネコが満載の展覧会だった。
浮世絵の展覧会というのは、これまでも何度も見たことがあり、つい先日も見てきたばかりのように記憶している。
幕府の規制を逃れるために、わざと落書き風に描いたという役者絵。
このたひの展覧会では、学芸員さんはなかなか凝ったこと考えていて、各コーナーに歌舞伎風の題を付け、さらにふりがなで思い切った(別に思い切っていないかも知れないが)英訳をつけている。
たとえば、一幕目の一は「髑髏彫物伊達男」、英訳では Act1 Scene1 "Scul & Tattoo _ The Cool Guy"とあった。伊達男はクールガイなのか。他のタイトルの英訳を見ても、なるほどと感心してしまうものだった。
「天保４年市村座のスタメン発表」などのキャッチコピーもなかなか現代風で、さらに楽しい雰囲気になっていた。ちなみにこの日(26日)の阪神は何とも変な負け方をしたものだ。
そして次に「センターは１７歳の紀伊国屋」といっても野球ではなく、ＡＫＢ４８のセンターのようなものなのでしょう。もちろん紀伊国屋といっても書店の名ではなく、歌舞伎の屋号でしょうけれど。
2016年05月18日
春期特別展「かざり −信仰と祭りのエネルギー」(3/1-5/15)
MIHO MUSEUM［滋賀県甲賀市信楽町］
この美術館は公共の交通機関で行くと大変不便なので、このたびも車で行ってきた。
また昨今の外国人ブーム以前から大変外国の方の訪問が多く、国内よりも外国でよく知られた美術館だそうだ。この日も半分くらいは外国の人のようだった。
さてこのたびは「かざり」をテーマにした展覧会だった。
仏像や社寺を飾るさまざまなものに着目するとは、なかなかのものだと思う。
ひょっとして展覧会のネタを考えあぐねての、やけくそ的な企画だったのか、などと好き勝手なことを思いめぐらす。
このたびの圧巻は何と言っても、海北友賢の「大涅槃図」と伊藤若冲の「鳥獣花木図屏風」だろう。
「大涅槃図」では、涅槃の床についた仏陀の前に集まった多くの人々とともに、多くの動物たちも集まってきている。右下には海まで描かれていて、海の動物たちも集まってきている。そして仏陀の亡くなるのを嘆き悲しんでいる。
西洋絵画では「嘆きの聖母」というテーマがあるが、それと双璧をなす東洋絵画のテーマだろうと思うが如何だろう。
もうひとつの若冲の「鳥獣花木図屏風」は普通の絵ではなく、矩形の集まりで一つの絵となっているのが特異なものと思わせる。
白いゾウが大変目立つ絵だけど、よく見てみると空想上の動物も描かれているようで、さらには日本にはいないオウムやクジャクも描かれていて、いったいどのようにしてこのような知識を得たのだろうと思ってしまう。
2016年05月06日
特別展「国宝 信貴山縁起絵巻 朝護孫子寺と毘沙門天王信仰の至宝」(4/9-5/22)
奈良国立博物館［奈良県奈良市登大路町］
シカと外国の人とどちらが多いのか、と思うのが近頃の奈良の様子かも知れない。
そんなことを思いつつ、登大路を博物館へ向かう。
絵巻と言えば、鳥獣戯画と信貴山縁起絵巻はその双璧をなすのではと思うもので、かつて行ったことのある朝護孫子寺の、山あいにへばりつくように建っていた塔頭の様子を思い浮かべる。
ゆっくり観たい人と、そうでない人の２つのコースが作られいていたが、やや後ろから見ることになるが、さっさと見ることの出来る方を選んで見学してきた。
どこの展覧会でもそうであるように、入口近くは混んでいても奧に行くにつれて空いていたり、これは見ものだと思うところが案外と空いていたりと、経験的に見学の要領をおぼえてしまってそれなりに楽しんできた。
ひとつ気になる絵として、何本もの剣をまとう童子の絵があって、この絵はいったい何を表しているのだろうと、これまでも何度見たことがあって未だに未解決のままでいる。
また、俵が飛んだという話は大変有名な話で、それは単なる伝説ではなく事実ではなかったのかと思ってしまう。この博物館の中にまで俵が飛んできていた。
中庭の様子。ツツジがきれいに咲いていた。
帰り道、このあたりにだけやたらとシカが多かった。別にシカせんべいを売っているところでもないのに。
2016年04月30日
特別展「臨済禅師1150年 白隠禅師250年遠諱記念 見て感じる禅問答 禅 −心をかたちに−」(4/12-5/22)
京都国立博物館［京都市東山区茶屋町］
かの有名な、洞窟の壁面に向かって座禅する達磨大師の絵がパンフレットの表紙を飾っていた。
裏表紙の達磨図は随分と面長だった。と思ったが単に頭頂部まで禿げているということなのか･･。
「だぁるまさん、だぁるまさん、にーらめっこしましょ」と言ってにらめっこすると、絶対負けるであろうと思う、強烈な面相であることには間違いはないと思う。
誰が描いた絵だったか、以前にテレビで見たことのある有名な山水画がこんなに小さいものだったのかと、変なところで感心したりもした。
また羅漢さんがお腹を開いて、そこに仏の顔があるという像があったが、なにか由来があるのだろうけれど、ちょっと驚きの構図だった。
禅宗のお寺も何度か訪問したことがあって、このたびの展覧会で紹介されていた黄檗宗の本山である宇治の萬福寺には何度か行ったことがある。しかし当のお寺に行っても、こういったものはなかなか見ることは出来ないので、こういった展覧会は大変貴重なものだと思う。
昔の日本では、ヒョウはトラのメスだと思われていたと言う話を聞いたことがある。ここに見える絵でも、トラとヒョウが一緒に描かれている。これは夫婦のつもりだったのでしょうが、実は赤の他人？だった。と言うことでしょうか。
それにしても、敷地内のツツジが満開で春うららという気分だった。ちょっとこの日は４月にしては暑かったかも。
帰りの電車の中でまたも東洋系の旅行者のグループと一緒になる。相も変わらず賑やかなものだった。
2016年04月23日
特別展「我が名は鶴亭 −若冲、大雅も憧れた花鳥画!?」(4/9-5/29)
南蛮美術・古地図企画展「西洋との出会い」(4/9-5/29)
神戸市立博物館［神戸市中央区京町］
(神戸市立博物館１)
ここ何年もの間、積極的に展覧会に行くと、大半は知らない画家だということが数多くある。いったいどれくらいの画家がいるのだろうと思ってしまう。
このたびの鶴亭という画家も初めて知った。
長崎出身で、禅宗の一派である黄檗宗の僧侶であったが、２０代半ばで還俗して関西にやってきて画家として活躍し、４０代にまた僧侶となって宇治の萬福寺で活躍したという。
鶴亭というだけあって、鶴の絵を存分に楽しませてもらう。サブタイトルにもあるように、後の伊藤若冲や池大雅にも多大な影響を与えたそうだ。
彩色画もさることながら、墨筆画でありながらそこに色を感じさせる筆遣いは、ちょっと唸ってしまうものがあった。
もうひとつの企画展は、この博物館のおはこでもある南蛮美術の展示だった。
その中の一つに、かつて訪れたことのある茨木市の山中の隠れキリシタンの家にあった、教科書にも載ったことのあるかの有名なザビエルの絵も展示されていた。
2016年04月16日
2016年03月14日
「生誕二二〇年 歌川広重の旅」(2/19-3/27)
美術館「えき」ＫＹＯＴＯ［京都市下京区東塩小路町］
浮世絵と言うのは、１つの版で刷れるのは200枚くらいだそうで、２版は初版とは微妙に違うところがあるそうだ。
その微妙に違う初版との比較展示がされていた。
着物の裾に日本橋を渡る大名行列が描かれている、五十三次の一枚目の絵でしょうか。
このような着物を着る人とはどのような人なのでしょう。
この展覧会を見に行ったのは、このあいだの木曜日。いつもよく見ている「よーいドン」という番組でおなじみの八光さんが、我が町の駅前でインタビューをしていた。これはもう放送されたのかな。
そういえば先月だったか、私も街中でもインタビューを受けたことがあったが、あれも放送されたのかな。
こんな調子だと、大阪駅前をうろうろしていると、今度はロザンに話しかけられそうだ。
2016年03月13日
「「真田丸」関連企画展 蕭白・松園…日本美術の輝き 〜美人画、武者絵から刀剣、近代の名品まで〜」(1/23-3/13)
奈良県立美術館［奈良県奈良市登大路町］
奈良国博から数分のところにあって、よくセットで行くところ。
蕭白と松園という取り合わせも意外な感じするし、月山の太刀も展示されていて、それを真田丸でまとめようとする、学芸員さんの熱意がドクドクと伝わってくる。
極めて上品な松園とともに、一種異様な感じのする蕭白が展示されるなんて、日本の美術を一覧するにはその広さが分かって面白いが、なんとも奇怪とも言える展覧会のように思ってしまった。
ただ、他に江戸期から明治大正のころの肉筆画なども100点ほど展示されていて、江戸時代以降の日本の絵画を総覧することが出来る展覧会だった。
2016年03月12日
特別陳列「銅造伊豆山権現像修理記念 伊豆山神社の歴史美術」(2/6-3/14)
特別陳列「お水取り」(2/6-3/14)
奈良国立博物館［奈良県奈良市登大路町］
久しぶりに奈良にやってきた。去年の秋の正倉院展以来かも知れない。
このあたりはいつもゆるゆるとしていて、鹿たちと遊ぶ人々の穏やかな光景を見るのだが、近頃の外国の人たちがよく来るようになってからは、シカたちはとても戸惑っているのではないかと思ってしまう。
ちょっと撫でたり並んで写真を撮るくらいならいいが、背中にまたがってピースしたりするのはどうもいただけない。あまりに無茶苦茶なことをしてひんしゅくを買わないようにお願いしたい。
博物館の敷地にいたシカ。
この伊豆山神社というのは、熱海の北の方にある神社のようだ。
社伝によると孝昭天皇の頃(B.C.475-393)だそうだが、史実かどうかはともかく、極めて古い時代に創建されたことは間違いなさそうだ。
解説によると、熱湯が海中から湧きだしたので熱海と言われたのだとか。伊豆山も温泉に因む名のようだ。
ただ、展示されていたものは平安時代以降のもので、それでも古色たっぷりで、歴史の長さを感じさせるものだった。
もう一つの展示は「お水取り」で、これは毎年今頃になると展示されているような気がする。
2016年03月04日
「招き猫亭コレクション 猫まみれ展」(1/22-3/27)
神戸ゆかりの美術館［神戸市東灘区向洋町中２］
今年はネコに関する何かがあったのだろうか、先日もネコだらけの展覧会に行ったが、ここでも猫まみれの展覧会が開催されていた。
古今のネコたちが額縁の中で大活躍。
愛くるしい顔をしたネコや、ちょっとワルそうなネコや、それはさまざま。
ヤーをしているネコ(前足を伸ばして、お尻を挙げて背伸びをしている様を勝手にこう表現した)の像も可愛い。ともかくもネコ好きにとってはたまらない美術展だった。
浮世絵や錦絵に描かれたネコたちは、人間以上に人間の様子を表現している。公衆浴場にいるネコたちは、今どきのプラスチックの風呂桶と違って木の桶だった。それって当たり前だろう。と一人ツッコミする。
我が家のネコどもはご飯時になると、必ずどこからかやって来る。そのやってくるありさまは欣喜雀躍、ではなくて欣喜猫躍なのである。
しかし先日、そのうちの一匹は普段は一日中家のどこかで寝ているのに、その日は朝ご飯も食べずにどこかへ行って帰ってこなかった。これはいよいよ例の行平の猫が戻って来るという霊力のある和歌「たち別れ 因幡の山の 峰に生ふる まつとし聞かば 今帰り来む」を、玄関に張らないといけないのかなと思っていたら、いつの間にか足元に来ていてご飯をねだっていた。ただ血だらけになっていたのでビックリしたが、どこにも傷がない。するとこれは喧嘩相手の血なのか。
おいおい、どうしたんや。
同じ頃、近所にいた半ノラの猫が死んだ。なかなかの人気者でいつも同じ所にいて、通りすがり人や近所の人は、頭を撫でたりエサをやったりしていて可愛がっていた。
かれこれ１０年以上はそこに居たと思う。真冬の寒い日でも外で寝ていたのだと思う。
そこには花束がいくつか供えられていた。
2016年03月01日
「春画展」(2/6-4/10)
細見美術館［京都市左京区岡崎］
聞いた話ではこの企画があったとき、どこの美術館も二の足を踏んでいたそうだ。それじゃあ、私が引き受けよう。と言ったのが元首相の細川護煕さんで、まず東京の永青文庫で展示されたのだとか。
確かに、実際に見てこれほどまでにあからさまなものだとは思いもよらなかった。
リーフレットの絵ではそのようなディープな絵は載せられていないけれど。
写真でなく絵であることが、却って生々しさを感じさせるものだった。
そして江戸時代の性に対する大らかさは、このようなものだったかと思ってしまったり、あるいはこれは当時の一側面なのかとも思ってみたりもする。
解説によると、当時はこれらの絵を嫁入り道具の一つとして持たせたのだとか。
それにしても見学者の殆どが中年以上の女性ばかりで、それがちょっと驚きかも知れない。もっとも大概の美術展もそのようなものなので、これが特別というわけではないのかも知れないけれど。
しかしながら、そのような女性たちが食い入るように展示物を見ているというのは、おっさんとしてはどういう感想を持てばいいのかと思ってしまうものだった。
少なくとも若い女性が、一人でこの展覧会を見てみようと思う勇気のある人は殆どいないだろうなと思ってしまう。
2016年02月18日
特別展「須磨の歴史と文化展 −受け継がれる記憶−」(2/6-3/21)
企画展「四季山水図屏風 重要文化財指定記念 太山寺展」(2/6-3/21)
神戸市立博物館［神戸市中央区京町］
この博物館は去年の９月以来となる。そう言えば神戸のミュージアムに行くのは、これが今年初めてかも知れない。
この博物館のあたりは、いわゆるビジネス街ということなので、１２時頃になると弁当屋があちこちに現れる。衛生上に問題があるとニュースにもなったけれど、周囲の各会社が昼食に関しての衛生の意識が薄いのかも知れない。かつて勤めていた会社では、安全衛生委員会が設置されていて、ここまで必要かと思うくらいの細かいことが議論されたことがあって、おそらくこういっだ業者から弁当を買うことは認められないだろうと思う。食堂があったのでこういうことはないのだけれど。
須磨と言えば源氏物語の一節を思い浮かべるが、あれは架空の話なのにいかにも過去に現実にあったかのように思ってしまう。
かつて、そのような須磨離宮跡を訪れて、遠く明石海峡を望んだことを思い出す。
そして須磨と言えば、もう一つの物語は源平合戦の跡。
大きな母衣(ほろ)を背負って、戦いに向かう敦盛の図。
末路が分かっているだけに悲哀を感じさせる。
もう一つの企画展である太山寺展。いったいどこにあるお寺なのだろうと、まずそう言った疑問が湧く。調べてみると神戸の西区伊川谷町にあるようだ。
狩野正信のの屏風絵など、なんでこんな片田舎のお寺にあるのだと、思わせるようなすごいものだった。
2016年02月16日
「長谷寺の名宝と十一面観音の信仰」(2/6-3/27)
あべのハルカス美術館［大阪市阿倍野区阿倍野筋１］
奈良の長谷寺には去年行ってきたばかりだが、このたびは現地に行っても見ることの出来ない仏様を拝してきた。
そしてこのたびは長谷寺のみならず、その末寺に至る諸寺の仏像までも拝することが出来たというのは、大変貴重な体験だと思う。
半ば朽ちかけているような仏像も、当初は信者の尊崇を集めたのだろうが、戦乱などで廃寺になった寺院も数多くあり、そのまま放置された仏像も数多くあっただろうと思う。
そして、いつしか忘れられた仏像や、持ち出されて骨董屋に売られたものもあっただろう。
もとのお寺に帰ることが出来なくなった仏像もあると思うが、少なくとも博物館などで大事に保存されているのは、仏像の本分としては最善ではないと思うがけれど、まあなんとかよかったかもと思う。
こういった博物館に安置されている仏像の前にも、お賽銭が置かれているのをよく見かけることだし。
2016年01月25日
2016年01月14日
「新春名宝展「聖徳太子」を伝える −聖徳太子絵伝と太子ゆかりの宝物−」(1/1-2/7)
四天王寺［大阪市天王寺区四天王寺１］
四天王寺には若い頃から何度も行っているところなのだが、ある時画家の山本太郎氏の弱法師(よろぼし)という作品を見た時から、すっかり印象が変わってしまった。
四天王寺の創建は推古天皇の元年(593)、聖徳太子によって建立されたものなのだそうだ。いくたびかの戦災にあったが、伽藍配置は創建当初のままだという。
最寄りの駅からこの門をくぐって境内に入る。
石舞台がある。以前にその雅楽を見たことのある天王寺楽所の人たちが舞うところなのだろうか。
そして目的の宝物館が見えてくる。
宝物館でいただいた資料は、グラビア印刷で23ページもあって大変立派なもので驚いてしまった。
展示物は、聖徳太子にまつわるさまざまなもので、太子像、絵伝のほか、かの有名な十七条憲法の写本もあった。この写本は鎌倉時代の興福寺の僧が書写したものだとのこと。
先の戦争で空襲を受けて炎上する写真も展示されていた。
現在本堂内は工事中。
この幟、なんと書いているのでしょう。
本来は五重塔のてっぺんにあって小さくしか見えないのだが、現在は工事中のために下に降ろされていて、その様子が大変よく見える。
回廊。
講堂。
金堂
ぐるりと境内を一周して帰途につく。
2015年12月12日
「唐画(からえ)もん −武禅(ぶぜん)に?苑(ろうえん)、若冲(じゃくちゅう)も−」(10/31-12/13)
大阪歴史博物館［大阪市中央区大手前４］
江戸時代中期のころ、大阪や京都には、当時流行っていた中国の絵画を学んだ唐絵師と言われる人がいたそうだ。それは、それまでの絵画にはあまりなかったモチーフや構図を用いていて、一風変わった雰囲気を持っている。
松本奉時の蝦蟇図などは簡潔にして迫力いっぱいの墨絵だと思った。
これらの絵の中に曾我蕭白の名前が出てくるのは頷けるが、さらに伊藤若冲の名前まで出てきている。確かに斬新な感じはするが、他の絵と較べると上品に見えて、ちょっと別物だという感じがするものだった。
2015年12月05日
柿衞文庫小企画展「手紙シリーズ�掘’両屬箸修量膺諭�(10/31-12/23)
柿衞(かきもり)文庫［兵庫県伊丹市宮ノ前２］
この柿衞文庫と伊丹市立工芸センターと伊丹市立美術館と、さらに酒蔵だった古民家を会わせて一つの敷地のなかにある。酒蔵跡で催されるコンサートも何度か聞きに行ったこともある。
そのうちの一つがこの柿衞文庫で、俳句についての展示を朱としているところで、このたびのかの有名な、「ふる池や 蛙飛込 水のおと ばせお(芭蕉)」と書かれた直筆の短冊が展示されていた。
小企画展は「手紙シリーズ」ということで芭蕉や門人たちの手紙があったが、当然その字は読めない。解説文も読んでみたけれど、分かったような分からないような。
2015年11月04日
2015年11月03日
特別展「第67回 正倉院展」(10/24-11/9)
奈良国立博物館［奈良県奈良市登大路町］
この博物館では年に何回か特別展が催されるが、この正倉院だけやたらと混む。何故かと思っていたら、この正倉院展は巡回をせずこの博物館だけの展覧会だったことに気付く。
正倉院の御物を一度に大量に、日本全国のあちこちに持って行くのは大変だろうと考えたせいだろうか。この博物館だったら正倉院からほんの数分のところなので。
ともかくこの日も３０分近く待つこととなった。これくらいで済んだのはラッキーかも知れない。へたをしたら１時間以上も待つはめになっていたも知れないが、何度も行ったおかげで曜日とか時間のことなどいろいろと要領を憶えたということでしょうか。
このたびの目玉は、やはり新聞などでも紹介されていた琵琶なのでしょうか。
ここまで精緻に作る必要があるのかと思うくらいの細かなつくりに驚く。
いったい何のためにここまでこだわるのか。職人としてのこだわりか、それとも仕えるあるじに対しての忠誠心か。それとも現代人には知り得ない何かがあるのだろうか。
2015年10月29日
秋季特別展「ジョン・Ｃ・ウェーバー・コレクション展」(9/15-12/13)
MIHO MUSEUM［滋賀県甲賀市信楽町］
またカメラを忘れてしまって、何も撮ることが出来なかった。まあいつもの光景なので特に変わるところはないのだけれど。
このたびも同行者がいたので昼食をとることにする。天ぷら付きのにゅうめん、だったかな。
さっぱりとした味付けの、無農薬・無化学肥料で作られた食材を頂く。
あたりを見渡すと、欧米の方だろうか箸を持って悪戦苦闘している方もいた。メニューにはおにぎりもあったので、それならば手でもって食べても不自然ではないのにと思ったが、箸が添えられるとそれで食べなければいけないと言う気持ちになるのかもね。
ジョン・Ｃ・ウェーバーと言っても、このたび初めて知ったコレクターで、数多くの日本の美術品をコレクションしているとのこと。図録には細かい字で何ページにもわたって解説がされているのだが、これらを全部くまなく読む人がいるのだろうかと思ってしまう。大半の人は執筆した人の苦労も知らず、ただ作品の写真が印刷されているページを慌ただしくめくってしまうのではないだろうか。
こういった人たちのおかげで、明治の頃は輸出用のお皿を包んだという、紙くず同然だった浮世絵の美術的価値を認めて、世界に知らしめた恩人なのかも知れないが、海外に流出したと言うことで複雑な気持ちになる。
とは言っても、この美術館に展示されているものも、海外のオークションで入手したと聞くし、それはお互いさまなのでしょう。
2015年10月28日
「錦絵誕生250年 春信一番！ 写楽二番！ フィラデルフィア美術館浮世絵名品展」(10/10-12/6)
あべのハルカス美術館［大阪市阿倍野区阿倍野筋１］
浮世絵の展覧会というのは、いつもどこかで開催されているように思ってしまう。
浮世絵というのは、かつては国内では二束三文に扱われていて、輸出用の茶碗や皿の包み紙に使われていて、西洋の人はその磁器もさることながら、その包み紙の絵の素晴らしさに驚いた、という話を聞いたことがある。
そして西洋でその素晴らしさが認められると、手のひらを返したように国内で浮世絵を絶賛するようになったらしい。
それにしても、こういった西洋礼賛追随主義はもうやめにしてほしいと思う。
そして昨今はどういう風の吹き回しか、外国の方が多く日本を訪れるようになり、日本の風情を満喫しようとしているようだ。と一瞬思ったけれど、大半はそんな風情のある人は少なく、単に物欲のみの爆買いに来たのかのかなとも思う。
ともかくも、浮世絵の世界を満喫することになる。たまたま今日も奈良で浮世絵展を見てきたばかり。それは後日アップすることになるが、世界に誇る浮世絵をあちらこちらで堪能することは無上の幸せ。
