塀の中・塀の外―ある司法通訳者の徒然なる日々

司法通訳、大学講義、言葉としての英語、大学院での通訳研究、更には趣味のお料理など、日々の想いをつづっていきます。

言葉いろいろ

英語の発音特訓

この詩を全て正しく発音できたら、あなたはNative English speakerよりすごいって。

フランス人のコメントが笑える確かにフランス語を母語にしてたら、辛いだろうなぁ(苦笑)。


http://www.thepoke.co.uk/2011/12/23/english-pronunciation/

If you can pronounce correctly every word in this poem, you will be speaking English better than 90% of the native English speakers in the world.


After trying the verses, a Frenchman said he’d prefer six months of hard labour to reading six lines aloud.



Dearest creature in creation,
Study English pronunciation.
I will teach you in my verse
Sounds like corpse, corps, horse, and worse.
I will keep you, Suzy, busy,
Make your head with heat grow dizzy.
Tear in eye, your dress will tear.
So shall I! Oh hear my prayer.
Just compare heart, beard, and heard,
Dies and diet, lord and word,
Sword and sward, retain and Britain.
(Mind the latter, how it’s written.)
Now I surely will not plague you
With such words as plaque and ague.
But be careful how you speak:
Say break and steak, but bleak and streak;
Cloven, oven, how and low,
Script, receipt, show, poem, and toe.
Hear me say, devoid of trickery,
Daughter, laughter, and Terpsichore,
Typhoid, measles, topsails, aisles,
Exiles, similes, and reviles;
Scholar, vicar, and cigar,
Solar, mica, war and far;
One, anemone, Balmoral,
Kitchen, lichen, laundry, laurel;
Gertrude, German, wind and mind,
Scene, Melpomene, mankind.
Billet does not rhyme with ballet,
Bouquet, wallet, mallet, chalet.
Blood and flood are not like food,
Nor is mould like should and would.
Viscous, viscount, load and broad,
Toward, to forward, to reward.
And your pronunciation’s OK
When you correctly say croquet,
Rounded, wounded, grieve and sieve,
Friend and fiend, alive and live.
Ivy, privy, famous; clamour
And enamour rhyme with hammer.
River, rival, tomb, bomb, comb,
Doll and roll and some and home.
Stranger does not rhyme with anger,
Neither does devour with clangour.
Souls but foul, haunt but aunt,
Font, front, wont, want, grand, and grant,
Shoes, goes, does. Now first say finger,
And then singer, ginger, linger,
Real, zeal, mauve, gauze, gouge and gauge,
Marriage, foliage, mirage, and age.
Query does not rhyme with very,
Nor does fury sound like bury.
Dost, lost, post and doth, cloth, loth.
Job, nob, bosom, transom, oath.
Though the differences seem little,
We say actual but victual.
Refer does not rhyme with deafer.
Fe0ffer does, and zephyr, heifer.
Mint, pint, senate and sedate;
Dull, bull, and George ate late.
Scenic, Arabic, Pacific,
Science, conscience, scientific.
Liberty, library, heave and heaven,
Rachel, ache, moustache, eleven.
We say hallowed, but allowed,
People, leopard, towed, but vowed.
Mark the differences, moreover,
Between mover, cover, clover;
Leeches, breeches, wise, precise,
Chalice, but police and lice;
Camel, constable, unstable,
Principle, disciple, label.
Petal, panel, and canal,
Wait, surprise, plait, promise, pal.
Worm and storm, chaise, chaos, chair,
Senator, spectator, mayor.
Tour, but our and succour, four.
Gas, alas, and Arkansas.
Sea, idea, Korea, area,
Psalm, Maria, but malaria.
Youth, south, southern, cleanse and clean.
Doctrine, turpentine, marine.
Compare alien with Italian,
Dandelion and battalion.
Sally with ally, yea, ye,
Eye, I, ay, aye, whey, and key.
Say aver, but ever, fever,
Neither, leisure, skein, deceiver.
Heron, granary, canary.
Crevice and device and aerie.
Face, but preface, not efface.
Phlegm, phlegmatic, ass, glass, bass.
Large, but target, gin, give, verging,
Ought, out, joust and scour, scourging.
Ear, but earn and wear and tear
Do not rhyme with here but ere.
Seven is right, but so is even,
Hyphen, roughen, nephew Stephen,
Monkey, donkey, Turk and jerk,
Ask, grasp, wasp, and cork and work.
Pronunciation (think of Psyche!)
Is a paling stout and spikey?
Won’t it make you lose your wits,
Writing groats and saying grits?
It’s a dark abyss or tunnel:
Strewn with stones, stowed, solace, gunwale,
Islington and Isle of Wight,
Housewife, verdict and indict.
Finally, which rhymes with enough,
Though, through, plough, or dough, or cough?
Hiccough has the sound of cup.
My advice is to give up!!!


English Pronunciation by G. Nolst Trenite

「お見合いは昭和っぽい」らしい・・・

これは、クラス内でのある学生の発言である。

"No Strings Attached"というタイトルのリーディングから、ディスカッションを行う授業で、まさに結婚がトピックだった。

結婚したいか否か、いくつくらいで結婚したいか、相手に何を望むか、といった「若者好き」する質問を盛り込んで、英語でディスカッションするというものである。「核兵器」とか「地球温暖化」というトピックだと、全く反応のない学生も、こういうトピックには嬉々として飛びついてくる。

その中に、「結婚するなら、恋愛結婚がいいかお見合い結婚がいいか、どちらがいい?」という質問があった。その時である。タイトル通り、「えーっ、お見合いは昭和っぽいからイヤだぁ〜!」という発言が聞こえてきた。

「昭和っぽい」って、こっちは昭和生まれなのに・・・と苦笑するしかない。なんせ、今は大学生も1年生から4年生まで平成生まれ。まさに「昭和は遠くなりにけり」である。

それにしても、「昭和っぽい」って形容詞化されちゃうのね・・・。時代も言葉も、どんどん変わっていくことを実感する。

アメリカ滞在−映画『英国王のスピーチ』

アメリカに来るフライトで、ちょうと『英国王のスピーチ』がかかっていた。前日にアカデミー主演男優賞を始めとした多くの賞を取り、今話題の映画である。日本では、今まさに公開中になっている。

見に行きたいなと思っていた映画だったので、運よくフライトで見られるなんてと楽しみだった。

で、感想・・・とっても良い感動モノでした。コリン・ファースがこれまでとは違った演技・側面を見せていたのもあるが、英国王という立場である一人の人間が悩み、苦しみ、そしてそれを乗り越える「人間」としての表情がとってもよく出ていたし、最後のスピーチはちょっとウルウルした。

人に何かを伝えることの難しさ、言葉は手段ではあるけれど、その手段が技術になることの難しさと危うさ、人心をつかむことの重大さと責任、など、言葉をめぐるいろいろな事柄を考えさせられた。

日本と違って(別に非難するつもりはないが)、英国では王室も人間。タブロイド紙の対象になり、ゴシップも飛び交う。何もかも秀でていて人間的にも素晴らしく家庭円満、というような聖人君子扱いというのとは大きく違う。その「ありのままの人間」の姿を描いた映画だから、なおさら人の心に届くのかもしれない。

さて、今、人の心をつかむというか、人の心を打つスピーチが必要なのは、まさに日本ではないのだろうか。いつ聞いても、菅首相の言葉は心に響いてこない。言葉が上滑りしていて、伝わるものがない。口先だけというわけでもないだろうが、「言葉に心が乗っていない」のが明らかだと思う。言葉に対するセンスがないというのもあるのだろう。なんせ、国債格付けについて聞かれて、「疎い」って言っちゃう首相だからなぁ。あのコンテクストで「疎い」って言ったら、誰だって「国債格付けに疎い」って思うでしょうに

菅首相にぜひ見て頂きたい映画である。



C-word に F-word に bitchy −またまた卑語のオンパレード

最近、この手の単語が頻出する通訳の仕事が多い。長いこと英語の勉強はしているし、アメリカに住んでいたこともある。だが、人間関係が壊れているような微妙な状況で、更に出自が異なる人達の間で交わされるやり取りは、辞書に載っているような意味だけでは済まされない解釈が存在することも多い。

今回、私の頭痛のタネになったのは、まずF-word。これは露骨にYou like her because you are fxxxing with her.という発言をした人がいて、それを通訳しなければならなかった時。映画の字幕なら、「彼女とヤッた」くらいの訳もつけられるかも。しかし、大勢の人がいてしかも公式の場でこれはちょっと・・・。全身から汗が吹き出した。もうカンベンして欲しい・・・と心底思った。

次はbitchとbitchyとbitchingの使い分け。よく、son-of-a-bitchのような使い方がされる。これは過去、この一言から暴力事件になり裁判沙汰になって、その事件の通訳を私が担当することになった経験がある。ただ、この単語の使い方は、年代や出自によって、かなり変化している。例えば、BBCは平気でエリザベス女王のことをbitchと表現するらしい。これは今ではすでに容認されていて、英国王室からクレームもつかないらしい。

また、形容詞的に使う場合がある。the bitching hair styleみたいな使い方をすると、wonderfulという意味らしい。She is bitchy.も、相手によってはアリなのだとか。もちろん、公の場ではなく個人的に友人同士で会話するような場合らしいが、必ずしも侮辱表現ではない場合もあるとかで、その判断がなかなか難しい。

そして、C-word。具体的には(nativeはすぐにわかるんだろうけれど)、cxxtという単語。辞書でひくと、とても口には出せないような訳語が書いてあるが、これも実際にはプライベートの会話では普通に言う人もいるらしい。

ただどれも、あくまでプライベートの会話で許される範囲であって、またプライベートであっても、その評価は・・・というところもあるらしい。まぁその判断基準もその人の出自によるらしいんだけど。

言葉は生き物だから、確かに変遷していく。今は、Please e-mail me.という文も普通に使われるし、Try Googling.というメールもある。日本語でも、「ネットでググッたら、サーチ出来た。」みたく、これは何語なの?という話し方をする人もいるから、日本語のようにカタカナ受容をする言語だと、どんどん変化しているとも言えるけれど。

でも、卑語は困る。本当に困る。訳出する時の訳語の選択にも困るし、実際のところ、恥ずかしくて訳出する際に顔を上げられない心境にもなる。もちろん仕事だから、表面上は淡々とやっているけれど。後から「すごいですね。ああいう訳出も表情変えずに動揺なんてしないんですね。」って言われると、それはそれで通訳が上手く行ったということでもあるが、何にも動じない「無神経女」みたいな認識のされ方も、ちょっとどうかと・・・。

いずれにせよ言葉は生き物。その場はもちろん、時代や状況に応じた訳出するのが仕事。まだまだ研鑽と勉強である。


ダラスの寒い日?

日本は寒波再来で、全国的に雪に見舞われているが、アメリカもこの冬は大雪でmonster stormと報道されている。

ニューヨークなどの北部のみならず、南部もかなり寒いようで、ダラスはなんと気温15Fだったとか。これは華氏なので、摂氏に直すと−9度くらいになる

ダラスと言えば、『ダラスの熱い日』(原題はExecutive Action)で、暑いというのか熱いというイメージなんだけど、今年はさすがに寒いみたい。確かに、私がトランジットでちょっとだけ外に出た時も、めちゃくちゃ寒かった。肌が切れそうな寒さと言えば、いかに風が冷たいか伝わるかと思う。

ケネディ暗殺という事件のせいなのか、また暗殺事件関連の映画のイメージなのか、ダラスというとなんとなく「暑い」イメージなのだけど、冬は冬らしいってことなのかも。『ダラスの長い日』(原題はRuby and Oswald - 再演はFour Days in Dallas)っていうのもあって、事件と映画の中味が「熱い」からなのか、私の中ではダラスというのは「むせ返る」ようなイメージが強かった。

でも、イメージだけで判断してはいけない。ダラスも冬は「寒い」らしい。

ambulance chaserな弁護士

先日、とある勉強会に参加した。定例で毎月1回行われているもので、私の大学時代の先輩が主宰されている。「〜士」と言われる職業の方、例えば弁護士、税理士、公認会計士、司法書士、行政書士といった方々が集まって、自己研鑽を図るというものである。私は当てはまるわけではないが、先輩が「通訳士だからいいじゃない」とお仲間に加えて下さったので、少々門外漢のところもある私も参加させて頂いている。

勉強会を兼ねて一緒に夕食(仕出し弁当)を頂くのだが、さすがに食べている時は真剣に討論や勉強というわけにはいかないので、いろんな雑談をする。その際に、弁護士の方のお話をいろいろ伺っていたのだが、各国の弁護士事情のような話になった。中国の弁護士はいろんな意味で大変(政府を繋がっている場合もある)、日本もロースクールの弊害で、司法試験に受かったはいいが、どこにも就職口がなくて高学歴ニート状態の人が出て来ているという話になった。では、弁護士がたくさんいるアメリカはどうか?という話になったのだが、アメリカにはambulance chaserという弁護士がいるという話をさせて頂いた。

いや、これは職業ではない。単語の意味どおり、救急車を追いかける人という意味である。つまり、交通事故なんかがあって救急車が出動した場合、その救急車を追いかけていけば弁護士が必要となる案件=仕事があるわけだから、それで相手にふっかけたり儲けようとするような悪徳弁護士を指して言う。

事実があるから、こういう表現が生まれる。つまり、そうやって儲ける弁護士もいるんだろうけれど、実際にはそこまでしないと儲からない弁護士もいるのだろう。

日本でも、司法試験が受かったのに法律事務所に就職出来ない人が多いという。やっぱり経験を積まないとわからないことがあるから、最初から一人で事務所を立ち上げるというのは難しいだろう。でも食べていけなければ、これから日本でもambulance chaserな弁護士が増える可能性があるのではないだろうか?

中国の弁護士の話から、ちょっと心配になった日本の司法事情である。

「入手」は「にゅうて」ではありません・・・

こういうことを書くと誤解を招くかもしれないが、やっぱり気になったので。

私達通訳者は、音声言語を対象にしている。つまり、音声として伝えられる言語を扱っているわけだ。日本でいうところの翻訳が書記言語、つまり書かれた言語を扱う。よって、日本語を翻訳する場合、漢字も含まれるので、極論を言うと読めなくても漢字自体から、もしくは辞書を引けば、意味を理解することは出来るし、時間的余裕もある。

しかし、音声言語を扱う通訳者は、まず文字で確認することが出来ない上に時間的制約も大きい。殊に同時通訳であれば、一瞬の戸惑いが大きなズレに繋がる可能性も否定出来ない。

で、気になったこと。

とある事案でのこと。ある書類の有無について、とある参与者が日本語で「ところで、この書類ですが、既に『にゅうて』されましたか?」と質問をした。私はそれを英語で通訳しなければならなかったが、一瞬「?」と思った。今、「にゅうて」って言わなかった?と思ったが、まさかなぁ・・・という気持ちもあった。が、書類の話をしているわけだから、「入廷」(にゅうてい)のはずがない。「入手」(にゅうしゅ)だろう思ったが、そんなことを言うわけにもいかない。

で、どうなったかというと、この書類について何度かいろいろな方向から質問があったのだが、この方は最後まで「にゅうて」と仰っていた。

ある程度の年齢や地位になると、明らかに間違った言葉の使い方をしていても誰も訂正してくれない。私がOL時代に経験した例としては、「続柄」がある。辞書をひくと「ぞくがら」は俗な読み方という説明もあるようだが、正確には「つづきがら」である。その他、「出生」(しゅっしょう)を「しゅっせい」、「嫡出」(ちゃくしゅつ)を「てきしゅつ」と言う人がいるのも事実である。明らかな読み間違いもあれば、いわゆる「音訓読み」になってしまっている場合もある。

「美しい日本」をスローガンにしたお坊ちゃまシンゾー君に、漢字読めないタロウ君と、なんだかなぁという元首相がいたが、やっぱり「正しい日本語」を使うことが出来ないと日本人としてはダメなのではないか・・・。

言葉を仕事にしている私。通訳者に求められるのは外国語能力はもちろんだが、やはり日本語能力がモノを言う。日本語を大切にしたいと改めて思った一件だった。


チュニジアのJasmine Revolution(ジャスミン革命)

「ジャスミン革命」ってなんだか芳しい感じがするが、今のエジプトの騒乱の原因にもなったチュニジアの反政府運動を指す言葉である。チュニジアを表す花がジャスミンなので、こういう名前がつけられたらしい。海外メディアには、既に登場している。

アフリカでは独裁政権が多いので、日頃不満を持っている一般市民に一気に運動が広がると、チュニジアや今のエジプトのようなことになるのだろう。この動きが他のアフリカ諸国に飛び火し、各国に広がるのではないかと懸念されている。

いろんな思惑があって、エジプトと友好国のアメリカや日本の動向も注目されるところだろう。アメリカの本音は今までのようにムバラク大統領政権を維持したいところだろうが、イスラム関係者の動きからも目を離せないだろう。

エジプトにとっては、観光も大事な収入源。破壊されたミイラもあったようだが、ツタンカーメンは無事だったとか。この事態が続くようだと観光客も激減(ゼロになる?)して、経済面でも大きな打撃になることは明らか。一刻も早く事態を収拾したいところだろうが、軍が全く動いていないらしいので、今後はどうなることやら。

ピラミッドの元で演じられるオペラ『アイーダ』の迫力は、言葉にならないと聞いた。いつかチャンスがあったら観たいと思っているが、エジプトは銃撃事件があったり、政情不安だったり、また日頃の治安も良いとはいえない状況なので、なかなか行く機会に恵まれない。

遺産を静かに感じられる環境が一刻も早く戻ることを祈るのみである。


ザルツブルグの小枝

前に書いた本(『あなたが裁く!(後略)』)に出てきた小説の1つが、スタンダールの『赤と黒』。

これを読んで、久しぶりに思い出したのが「ザルツブルグの小枝」の話である。そう、スタンダールの『恋愛論』に出てくる一説。ザルツブルグの塩坑での現象を例にして、恋愛における「結晶作用」を論じたもの。

若い頃、確か10代終わりから20代初めの頃に読んで、それはそれなりに自分で理解したつもりだった。

が、今回『赤と黒』から思い出してこの話を読んだが、やっぱり印象が全然違うなと思った。自分のこれまでの経験が、本の印象を全く違うものにしていることがよくわかった。

ザルツブルグの小枝の話も理解したような気になっていたが、今読み返すと、「あ〜、こういうことを言っていたのね。」ということがある。いろんな経験をして、いろんな感情を持ったことで、「ザルツブルグの小枝」が持つ意味が今にしてわかった気がする。年の功というものでしょうか。

こうして考えると、若い頃に読んだ本をもう一度読み直すのもいいかもしれない。きっと全く違った印象を受けて、別の感動があり、そして気持ちもまた変わるかもしれない。

名作と言われ読み継がれているということは、やはりそこに「何か」があるからだろう。その「何か」も、きっと年齢や経験によって異なるはずだから。

あと少し頑張ったら、時間にも余裕が出来る。そうしたら、名作の読み直しもしてみようかな。新たな発見や感情の変化があるかも。それがまた私に「何か」をもたらしてくれることを期待して。

口に出し難い言葉(卑語)

久しぶりに司法通訳について。

昨日、民事の法廷に行ってきた。民事で原告、被告ともに弁護人を立て、真っ向から対立している事案だった。

訴訟事項そのものは日本人同士でもよくある事案だけれど、その中の1つに「風説の流布」があって、しかもその内容が・・・なんとも口に出し難い内容、そうわいせつ関係があった。

「風説の流布」なので、言った言わないの水掛け論のところもあるし、怪文書が出回った、いや、相手を陥れようとした成り済ましの偽造文書だとか、まぁいろいろあったのだが、内容そのもの、また添付された日本語訳文が強烈だった。本当に口に出し難い言葉が列挙されていたからである。

まぁ事案が事案だから仕方ないが、本当に強烈な言葉が並んでいた。

言った言わないのレベルでこれなのだから、本当のわいせつ事件とかになると、もう大変である。刑事事件なので、事件のあらましを述べる段階などは、男性器・女性器の名前やその他のもろもろの名前が列挙されることになり、更にどのようなわいせつ行為を行ったかということが陳述されるので、通訳するのは(つまり、そのような単語を口にするのは)いつもよりも精神的疲労度が増す。本当にグッタリ。かといって、通訳人が躊躇っていては審議が進まないし、いちいち恥ずかしがっている場合ではない。

同じ通訳者仲間のM(♂)さんは、「私は強姦事件・わいせつ事件専門」と茶化していたが、確かに強姦とかわいせつ事件は女性が通訳人になると、かなり辛い。同じ女性として、被害者がどれだけ辛い思いをしたかを感じ取ってしまうからだ。その意味で、この類の事件は男性通訳者の方がいいというのもわからないでもない。

日本語でも英語でも、口に出し難い言葉っていっぱいある。でも司法となると、避けては通れない。誰かがそれをやらなければ法的措置は取れない。そういう使命感で私達司法通訳人は働いている。

映画Wall Streetに見る欲、そしてgreed

アメリカからの帰国便で、マイケル・ダグラス主演のWall Street - Money never sleepsを観た話は以前のブログに書いた通り。リーマンショックなども含んだ、ホントにリアルな感じの構成である。

その中でまたまた出てきた「名言」。前作にも出てきたセリフだから、単語を理解するには、ちょうどよいかも。

"Greed is good.  Now, greed is legal."

出ました、greed。リーマンが倒産した時、greed(強欲)だから倒産したって書かれてたし、FRBなどからも指摘されていたが、ダグラス演じる主人公、ゴードン・ゲッコーのセリフである。「欲は善であり、今や欲は合法である。」んだとか。

別に欲が違法ってわけじゃないけれど、過去の事件も見ても、欲ゆえに違法なことに手を出すってことは珍しいわけではない。その辺りの線引きをどうするか、いや、自分がどう感じるか、なんでしょう。だって、この映画の中でも、いかに「欲」が人間を向上させ、また破滅させていくか、如実に描いているのだから。

まぁそういう意味では、相変わらずゲッコーは嫌味なくらいの「欲の塊」みたいな人間として描かれている。

だから、私はエンディングで、「へっ?」って思ってしまった。金融街でのし上がり、復讐に燃える強烈な個性の持ち主が、あんな感覚になるのかしらん???な〜んか、スッキリしない。

リーマン以降、倒産も多いし、経済も不安定、先が見えない時代だから、せめて映画くらいは「いい終わり方」でホッとさせようというのだろうか。別にケチをつけるわけではないが、何となくそれまでの描き方とエンディングのギャップが大きすぎて、最後で拍子抜けした映画だった。

日本では2月4日から公開される。評価は果たして?

アメリカ生活6 − R-wordにsandbag

毎朝こちらではCBSを見ている。さっき、The Early Showという朝のニュースプログラムを見ていたら、Inside Editionの中で、ジェニファー・アニストンがR-wordを使ったというので大きく報道されていた。人間を貶めているとか、人間の尊重をしていないとか批判がいろいろ出ていた。

言葉って知らないで使うと大変な事態を招くことがあるけれど、これももしかしたら、日本人だったら知らないで使ってしまうかもしれないなって思った。ただ、使い方次第でretardedっていうのはあるから、-edがあるかないかで随分と変わるなって思った。

知らない、では済まされないこともあるし、知らなかったから誰かを傷つけたとしても仕方ない、では済まされない。言葉は奥深いから、やっぱり気をつけないと。

それともう1つ、昨日学んだ言葉が1つ。sandbagである。スペルそのままで名詞だと砂袋、ボクシングの練習に使うものを連想する人も多いと思う。でも、動詞の俗語だと「(カードゲームで故意にまずいやり方をして)<相手>をあざむく」という、非常によろしくない意味もある。私が聞いたのは、とあるスポーツのスコアをごまかしているのではないかというような話からこの単語が出てきたとか。

普通に日本で暮らして日本で英語の学習をしていても、こういうのは出てこないから、日頃の会話の中で学んでいくしかない。

そう思うと、言葉はやっぱり奥が深い。まだまだ学ぶことは多いなって思う。


アメリカ生活3 − News Headline

今朝はすんなり起きられなかった。ちゃんと寝てはいるものの、ぐっすり寝込んだところで目覚めるようなことが何度もあって、連続して熟睡出来なかったからだ。というわけで、今朝のお目覚めはなんと9時だった。

日本にいる頃に比べると明らかに運動不足(そもそも出勤のストレスが無いので)だから、同じ勢いで食べていると太るのは明らかなので、今日はブランチにしようと食事も11時にずらしたところである。

で、メールチェックしたり論文書いたりしつつCNNを見ているが、面白いと思ったタイトルをいくつか。

1.Money and infidelity - Men who make less cheat more
あらまぁ、そうなんですか・・・。なんか日本だと逆のことを言われている気がするけれど。お金がないと浮気も出来ないっていうのが、日本では一般論のような気がする。(注:あくまで一般にはそう言われている気がするということなので、確定論ではありません。)しかもこのタイトルで特集が朝のニュース番組で組まれるところが、アメリカなのかしらん。

2.Is America Islamophobic?
もうこれは言うまでもないだろう。マンハッタンのWTC跡地近くにイスラム関連施設(Islamic Center)建設予定で、アメリカで議論を巻き起こしている件だ。オバマ大統領はイスラム教徒の権利を唱えていたし、NY市も許可したものの、一般市民の間、特に9.11の犠牲者家族の間には、かなり複雑な感情があることは、何度も何度も報道されている。(そうやって繰り返し報道することも、メディアリテラシーを持って見ないと、無意識のうちに刷り込みがされる危険性を孕んではいるが。)もちろんそれだけではなく、今日はイラクからの兵士帰還のセレモニーも実況中継でやっていたので、いろいろなきっかけがあることは確かだけれど。

3.Egg recall expands
へっ?タマゴのリコールってどういうこと???確かにアメリカでは、サルモネラ菌が怖いから生卵は食べられないけれど。映像では、タマゴがベルトコンベヤーで流れているところが映されていたけれど、タマゴのリコールって有り得ない・・・。

さて、ボチボチ本論に戻ろうかな。

文化の壁、言葉の壁

今週、世間を騒然とさせたと言えば朝青龍だろう。個人的にはコワモテ一郎クンの不起訴処分も「なんだかなぁ」とスッキリしないけれど。まぁ両方双璧というところか。

朝青龍はなんか憎めないところがあって、笑顔は可愛いって思う。ただ、やっぱり良いことと悪いことのけじめの線引きが甘かったかなって思う。特に、日本社会、相撲という伝統社会の中で、どう振舞えばよいのか、しっかり理解出来ない(指導されない)うちに、どんどん悪いイメージへと繋がっていったような気がする。

そりゃあ29歳と言えば確かに立派な大人だけれど、言葉も文化も食べ物も風習も全く違う世界に入って、あれだけ頑張るには人知れず涙したことだって多いだろうし、それゆえに努力も人一倍してきたはずだと思う。彼の言う「モンゴルの大草原の少年が横綱になる」ということが、どれだけ大変なことか、異文化社会で暮らしたことのない人には絶対にわからないと思う。

そう思うと、指導者(親方)がもうちょっと最初の段階できちんとしていれば、ここまでにならなかっただろうという論調もわかるし、私もそう思う。言われないまま、教えられないままに昇進してしまい、それまでの振る舞いや生まれ育った環境を持ち込んでも何とか許されるという思いがあったのではないかと思う。今はハワイで過ごしているようだけれど、環境の違うところでノンビリ癒して欲しいと思う。

そして、異文化と言えば、コワモテ一郎クンも、ママからのお小遣いが桁外れの宇宙人首相も、私からすれば「異文化」の人間って感じ。それにあの人達の言葉も、よくわからないこと多いし。昔流行った「言語明瞭、意味不明瞭」ってパターンである。

大体、ママから億たる「お小遣い」もらってて「知らなかった」なんて、その説明に唖然。一方、報告書にない4億円は「計算間違いだと思う」っていう説明も「はっ???」って感じ。4億円って計算間違いするような桁数なの?って聞きたいものである。

「紙袋」とか「座布団」とかって言葉が流れているが、こういうのを聞いていると、かつて一世を風靡した(?)「ピーナッツ」を思い出す。(世代がバレますね。)そう、一郎クンのお師匠さんとも言える「計算機付き人間ブルドーザー」と言われたカ〇エイさんである。私のような庶民には、紙袋も座布団もピーナッツも、単語としてはよくわかるけれど全く意味不明である。

本当に異文化からやって来た朝青龍に関しては、こういう結末になってしまったことには周囲にも責任があるのではと思うが、日本で生まれ日本語で育ってきてるはずの政界の人達には全く呆れるばかり。

もうちょっと、分かりやすい説明を国民にして欲しい。そして、一刻も早くこういうゴタゴタをなくし、国民生活にしっかりと目を向けてほしい。

エイズ感染の被疑者

10月に体調を崩してから、ブログも怠り気味である。書きたいことは結構あるんだけど、リンパ腺が痛かったり、顎が痛かったりで、11月に入ってからもイマイチ・・・。

顎に関してはようやくドクターも見つかり、毎日スプリントをはめているが、そう簡単には治らないわね・・・相変わらずの肩こり状態であるが、以前の悲惨な状態(CMで柳葉敏郎がやっている状態)に比べると、少しはよくなってきたかなというところ。というわけで、久しぶりに通訳記事。

とある事件の捜査通訳にて。
いつもの通りに行くと、事務官から「あの〜」という声が。「何かありましたか?」と尋ねたところ、「実は今日の被疑者ですが、エイズ感染という自己申告があったので、一応お知らせしておきます。」とのこと。

「???」・・・エイズですかぁ、ハイ。

もちろん、事務官も捜査側もエイズが空気感染しないことは、ご存知である。但し、「あくまで気分的なものですが・・・」ということでお知らせがあった。留学していた時のアメリカは、まさにエイズが社会問題化していて、歯医者で感染したというケースも連日報道されていた頃。大学でもエイズ教育が基本になっていたので、私も随分と勉強した。

とはいえ、みんな、何となく気分的に・・・というのは理解は出来た。

それで、いよいよ被疑者がやってきたが・・・。同行の捜査官の出で立ちにビックリ!ドクターが手術時にするようなピッタリ肌に吸着するゴム手袋をしていたのである。さすがにそれには、他の方たちもビックリ!

いや、空気感染しないし、単に手が触れたとかくらいじゃ接触感染しないし・・・と思ったものの、その防御(?)の仕方には驚いた。

あとから聞いたところ、「いや、空気感染や接触感染はしない、ということは知識としては知っている。でも、万が一のことがあるから、ということで上(上層部)からゴム手袋などで、絶対に素手で接触しないようにと言われている。」とのことだった。手錠とか腰縄とかの関係で体に触れるからということなんだろうけれど・・・。

被疑者本人も、"I am AIDS."と言っていた。(もちろん、この文は文法上は間違っているけれど、言いたいことはよくわかった・・・。)これくらいの英語だとわかる人が多いので、拘留にも随分と気を遣っていたらしい。

「犯罪の国際化」とよく言われるが、表面化しないだけで、こういうこともあるのよね・・・。結核の疑いがある被疑者とかもいたし、日本ではまだ「ビックリ」するような被疑者は、実は結構いるものである。

livedoor プロフィール

DIVALOVE

QRコード
QRコード
Archives
記事検索
  • ライブドアブログ