ある歯医者の独り言

ある歯医者の日常の治療、特に咬み合わせの治療に関する思いを綴る日誌

私の噛み合わせ治療法2

 〔ある歯医者の独り言〕という冊子にも書きましたが、私が学生の時、初めて小さな虫歯を作りましたが、まだ専門課程に行く前でしたので、簡単な気持ちで地元の歯医者に行って、後になって考えると、それは酷い治療でした。ほんの小さな虫歯で、詰めるだけで済んだだろうという歯が3年後には抜かれる羽目になりました。その歯は右下の第一大臼歯で、今考えると、噛み合わせ上には非常に大事な歯でしたが、まだ学生で有ったこともあり、抜いたままで放置していたため、上の第一大臼歯が下がって来て徐々に噛み合わせを狂わせていたのでしょう。色々な症状に悩まされました。
 こちらに帰って来るまえ、勤めていた院長先生のご厚意で、歯の抜かれたところにブリッジを作ってもらいました。それまでも、身体には色々な症状が出ていたのですが、ブリッジを入れてから、他にも色々な症状が出て苦労しました。後になって考えると、上の歯が出ているままブリッジを作ったせいだと思います。
 そこで前回書いた技工士さんに出会い、私の噛み合わせが悪いことを指摘される機会に恵まれました。そして彼も使ってた、メタルスプリント(金属で作ったマウスピース)を作り、私も使ってみました。そのおかげで身体の調子も良くなり、健康を取り戻しました。そのメタルスプリントは取り外しが出来、それを私自身が私の患者として治療し、たくさんの噛み合わせと身体のメカニズムに関する情報を得ることが出来ました。
 現在の私は患者さんの口の中を診ただけで、その患者さんの身体の状態がある程度把握できます。治療法も即座に解明できます。現在はメタルスプリントスプリントは使っていません。
 腰痛で困っていた患者が、帰った時には痛みが無くなったり、杖が無くては歩けなかった患者が、次の来院時には、足の屈伸運動をして見せてくれたり手術の予定があった患者さんの膝の痛みが取れ、手術を回避出来たり、中々治らなかった鬱病が治る。患者さんによっては、魔法にかかったような表現をすることもありますが、現在の私にとっては、根拠のあることであり、その病気を治すための治療方針に従って治療しているだけなのです。
 ある時、大阪から矯正用の診断用のソフトを買った時、業者が説明に来ました。その時、私の噛み合わせ治療例をを見て、保険で治している症例を見て驚いていました。おそらくその業者が大手の歯科機器を扱っている会社に連絡したのでしょう。その会社から、機関誌に、私の症例、治療法を掲載してくれないかと言う依頼がありました。そのとき、その担当者が、私が載せた症例を見て全国から問い合わせが殺到するかもしれません。その時はどう対処すればいいでしょうとの、相談がありました。しかし結局は、一人の先生からだけ問い合わせがあっただけです。ある時学会で知り合った先生から、学会で私の症例を発表して、指導医になって欲しいと依頼がありました。色々な事情からお断りしました。丁度その頃、ある先生から中国地方の指導者がいない。なってくれないかとの依頼がありましたが、それもお断りしました。
 ただ私は、私の治療法の後継者がいないかと思っているのは本音です。ただ今の時代では無理なような気がしています。それはやはり噛み合わせ治療では、他のどの治療より神経を使います。そしてそれほど利益として報われない仕事です。特に私の治療法ではそれが顕著だからでしょう。
 

私の噛み合わせ治療法

 私の噛み合わせ治療法は、最終的にはある技工士さんから教えていただいた情報が基礎になっています。その技工士さんは、自分の歯を使って故意に噛み合わせを狂わし、どのような症状が出るか試されていたようでした。こういう話も聞きました。ホクロと言うのは東洋医学で言うと気の流れの悪いところにできます。生まれつき出来ていたホクロと違って色の薄いホクロですが、これがたくさんできると、将来の病気がどのあたりに出来るかの指標にもなります。例えば左の胸あたりに薄いホクロがたくさん出来て来ると、心臓の病気になりやすいことを示しています。この技工士さんは、左右どちらかは忘れましたが、片方の顔面いっぱいにに、ホクロをつくったそうです。しかし彼の方法は限界がありました。歯科医でないため歯を削ることが出来ない。そのため自分の歯はメタルスプリント(金属で作ったマウスピース)を使った方法でしか、噛み合わせを変えることはできませんでした。
 しかし彼の作った総入れ歯は素晴らしいものでした。一度勉強のためにと、ある患者さんの総入れ歯を作ってもらいました。来院するとき、タクシーを使って来て、杖をついていた患者さんですが、無調整で入りました。そして1週間後、私が朝、犬の散歩に出かけたとき、その患者さんが、バイクに乗っているのです。まさに一瞬わが目を疑いました。
 彼の噛み合わせに対する影響でしょう。私は学会などに行っても難しい咬合理論などよりも、身体のメカニズムについて一生懸命勉強しましたが、実際治療してみると、治るのに時間がかかる。時には治らない時もありました。そこである先生の講習会に何度か行って勉強し、その時がきっかけで、ある先生に当院や時には岡山などにホテルを借りて月一回東京から来てもらって、2年間ほど勉強しました。そこでは、顔全体のレントゲンを撮って計測したり、ダイナバーティーという、上の奥歯をある平面上に並べるための咬合器を買ったり、顎関節規格写真を撮るためのレントゲンを買ったりして、正しい噛み合わせを決めるための設計を勉強しました。そのうち、その先生から、何例か症例を出してくれないかと言う要請がありました。実は8人分の模型を送りましたが、全て駄目でした。以前私に仮の歯でやってもらっていたときは調子よかったのにという人が殆どでした。全てその頃私がやっていた方法で、やり直しました。
 その時解ったことは、やはり、身体が歪んでいる人にいきなり、設計によって正しい噛み合わせの歯を入れても身体がついていかないという事でした。それよりもそれぞれの症状を診て、何故噛み合わせが狂ったか、身体が歪んだかの診断の元に治療すべきだと思います。治療法については長くなるので、次回続きを書きます。

身体の歪と病気について

 お医者さんに行ってもなかなか治らない、病気の原因が解らない。このような病気にかかった時、歯の噛み合わせの狂いが原因だったという事は意外に多いものです。
 噛み合わせの狂いが病気をもたらす事実は、古くからもたくさん報告されており、噛み合わせの狂いが身体に大きくかかわっていることは、早くから解っていたことは間違いのないことです。しかしそのメカニズム、適正な治療法が解明できないまま長い時間を要したと言う経過があります。1934年には、アメリカの耳鼻咽喉科医であったコステンによるコステン症候群があります。この病気は顎関節部分の疼痛や難聴、眩暈、咽頭痛、舌や鼻の灼熱感、耳鳴りや耳が痛いなどといった症状が現れる病気のことです。
 1874年にはアンドリュー・テイラー・スティルによって、オステオパシーが創始されました。彼は医師でありながら、二人の息子と娘を次々と髄膜炎によって亡くし、病気には医学だけでは治らないものがあると考え、骨格などの運動器系、動脈、静脈やリンパなどの循環器系、脳脊髄液の循環を含む脳神経系など、解剖学的、あるいは生理的な広範囲の医学的知識の元に、手を使って治療を加える。1.身体全体を一つのユニットとして考える。身体の機能と構造は一体のものであると考える。3.自然治癒力を鼓舞することを主眼とするなどの医学体系を持つ。日本では整骨療法と呼ばれていたこともある。
 機能障害を、筋、関節、神経、血液(動脈 静脈)、リンパ脳脊髄液、諸内蔵などを総合的に観察した上で見つけ、矯正することにより、健康に導く。オステオパシーでは基本的理論の元に治療を行う。そしてその考えは整体治療法へと発展していったのです。
 身体の歪が身体に与える影響、病気の原因となる事実は間違いのないことです。そして、その歪を作る大きな原因となっているのが、歯の噛み合わせが大きく関わっていることも事実です。
 しかし、歯科医である私自身も噛み合わせと病気の関係を知ったのは、歯科医になって10年程経過してであり、噛み合わせが狂えば病気になることさえ知らなかったと言う経緯があります。歯科医として幸運だったのは、ある技工士さんとの出会いで、噛み合わせと身体のことを教えてもらいましたが、その中で最も勉強になったのは、上下の歯の噛み合わせの作り方でした。実はそれまであまりに色々な理論があり、どれが本当か解らなかったのです。その技工士さん自身も、ナソロジーという理論の3点接触と言う噛み合わせで自分の歯を作り、おかげで歯3本失くしたそうです。その結果正しい噛み合わせの与え方を見つけ、それを教えてくれました。これは今でも、私の治療の軸になっています。それとそれまで勉強してきた難しい咬合理論でなく、どのような噛み合わせの時、どのような病気になるかを簡単に教えてくれ、毎日患者さんの模型を見なさいという助言も大きかったように思います。それが私の治療法のかなめの診断力になっていると感謝してます。
 

独り言

 足底筋膜炎という病気のために、色々な人に迷惑をかけました。受付が新しく入ったばかりなので、事情が分からず、受け付けてしまって遠方から来られた人たちには申し訳ないと思っています。
 特に札幌から3人で来られようとした方々は、飛行機の予約までとっておられたとか。山形からわざわざ来られた歯科の先生も、治療が出来ず、お話だけで終わりましたが、噛み合わせ治療の勉強までしたいとのご希望でした。もっと当院の資料をお見せして、来られたことが少しでもお役に立てれるよう、もっと色々なお話をしてあげるべきでした。3月になればもう一度来られるという事でしたが、あいにくコロナのせいでしょう。口の中を診ただけですが、もうすぐ仕事も止めたいと言っておられましたが、あの噛み合わせでは、精神的負担も多いのでしょう。
 岐阜の大垣から夫婦で来られた患者さんも、根の治療は時間がかかるからと言って、根の治療は名古屋の大学病院に行くか、私の友人ならしっかりした根の治療をしてくれるだろうと、もしそこに行くなら連絡しておきますとメールしたきりになってしまいました。
 当地の病院の整形外科の先生からの紹介状を持って来られた患者さん、先生は薬物療法では治らないから、おそらく歯の噛み合わせから来ている可能性があると思われたのでしょう。せっかく紹介してくださったのに、申し訳ありません。受付が変わったばかりなのと、私が足底筋膜炎の治療のために留守にしたとき来られたようで、以後来院されて無いようです。
 東広島から、内科の先生の紹介状を持って来られた患者さんも、歯科医の娘が診て治療方針を決める為、模型を採って終わったため、次回は来られませんでした。
 私にとっては、せっかく医科の先生で、歯の噛み合わせと病気の関係を理解してくれる先生がおられたという事で嬉しい事ですが、残念でなりません。
 私の足底筋膜炎は、ゴルフなども出来たように、今のように痛くて歩きにくいほどではありませんでした。それがある整体院に行って、後から解ったことですが、「足裏を揉む、電気治療、針」はやってはいけない治療をされて翌日から足の裏にしこりが出来て、まともに歩けなくなりました。
 それからというもの、私の人生は変わってしまいました。それだけに遠方からわざわざここまで来られる患者さんが如何につらい思いをされているか、思い知らされています。そういう人たちを何とか救ってあげたい気持ちはなおさら増しています。
 今は足が痛いながら頑張って治療を再開しています。コロナのため、私の気持ちは空回りしているかもしれませんが、とにかく、困っている人たちを助けてあげたい気持ちは以前より強い気持ちになっています。

ある患者さんの話から

 今治療中の患者さんです。現在根の先に歯根膿疱という病気を作って治療中です。年齢はカルテを見る時確認してなかったのではっきりわかりませんが、本来ならまだ働き盛り、30歳代後半から40歳代前半だろうと思います。私が気になったのは、それくらいの年齢にしては、残った歯が少ないのです。大きな入れ歯を入れてました。
 患者さんとの会話はまず右上の小臼歯に歯根膿疱を作っていました。歯も欠けてギリギリのところで何とか最終的には被せに持っていけそうでした。そこで「良かったね、この歯は抜かずに済みそうで、根の先の病気も根の治療で治るよ。この歯があると無いとでは、全然入れ歯が違ってくるからね。」と話した時、「実は根の先に病気があると言って随分歯を抜かれました。」との返事です。
 そこで色々聞いてみました。どこの歯科に行ったか?答えはある病院の口腔外科に行ったというのです。ここで私が思ったのは、私も卒業して大学の口腔外科で勉強しました。口腔外科と言うところは、外来では簡単な抜歯や小手術をするところです。ここでは、根の治療などしません。根の先に出来る病気は、歯根膿疱と言って、悪性ではありません。普通は殆ど痛みもありません。厄介なのは、放っておけば骨を溶かしてどんどん大きくなる病気です。時には大きくなって、両隣の歯まで病気になることもあります。いずれにしても厄介な病気ですが、小さいうちに、しっかりした根の治療をすれば殆ど治ります。
 この患者さんのことで、言いたいのは、歯が痛いと言って口腔外科に行ったことです。大学に行けば、根の治療を専門にする保存科の口腔治療という科があります。ここに行けば患者の言うことによると抜かなくてもいい歯はまだまだあったのではないかと思います。
 歯槽膿漏で動いている歯でもそうです。動いている歯でも、縦に動いている歯は助かりません。しかし横揺れだけの場合は、歯周病科に行けば、抜かないで済むよう努力してくれるでしょう。口腔外科に行けば間違いなく抜歯になると思います。
 以前当院に勤めていた先生から質問されました。上顎第一大臼歯は骨の崩壊も大きく、抜歯予定でしたが、第二大臼歯も動いていました。そこで「第二大臼歯も抜いておきましょうか。」という質問です。とにかく、この歯は根の治療をしてごらん。」と答えて治療してもらいましたが、結果この歯はビクともしなくなりました。
 一本の歯でも、専門の科によって、診断、治療法は違います。この話の患者さんは行くところを間違えました。
 私はこういうことが起こらないようにという気持ちで、題名は適当でなかったかもしれませんが、「上手な歯医者のかかり方」と言う本を出版しました。この本は、矯正、歯周病、小児歯科についてはそれぞれ専門に勉強した友人に書いてもらいましたが、そのほかの部分、私が書き編集しました。
 大学病院などに行くときは、どの科に行けばいいか、しっかり把握して行ってください。

仮の歯について

 前回、ある患者さんの話から仮の歯について少し書きました。
 私の噛み合わせの治療法に、仮の歯は大切な役目を持っています。例えば噛み合わせを狂わす原因なっているブリッジなどをやり直す時などは、ただ噛めればいいというような調整もいいかげんな仮の歯を入れていて、いきなり本物の歯を入れようとすると、いくらそれが噛み合わせとして正しいもので有っても、硬すぎるので、なかなか新しい噛み合わせに歪んだ身体がついていかず、患者さんが噛みにくいと思われる可能性があります。それまで噛んでいた噛み合わせでどうしても噛もうとする人が出てきます。そのためにかえって他の症状が出て来ることがあります。私の場合、仮の歯だからと言っていい加減には作りません。必ず、後退した下顎が前に出て来て、仮の歯の時に正しい噛み合わせに誘導するような仮の歯でも噛み合わせは慎重に調整します。歯を削って仮の歯を入れるとき、患者さんには「時間がかかるので、次回は時間がかかりますよ。」と言っていても、こんなに時間がかかるとは思わなかったような人が殆どです。
 ブリッジでなくても、犬歯が大事な機能を持っていることは何度も書いてきましたが、それまで噛んでなかった犬歯をしっかり噛めるようにする時も、仮の歯は柔らかいので、「これで犬歯を使った食べ方に慣れてください。」と言って仮の歯を入れます。仮の歯でも調整は慎重にやります。「初めは違和感があり、噛みにくいと思われるかもしれませんが、噛んでいるうちに慣れてきます。」と言っておくと、殆どの人が、初めは難しく感じましたが、すぐなれましたと言われます。これをいい加減な仮の歯を入れておいて、本物の歯を入れると、首筋が凝ってくるなどの症状が出て来る可能性があります。
 結論を言うと、私の治療法に仮の歯が大切な役割を持っていると言うのは、この仮の歯のうちに、ある程度身体の歪みを治しておくという役割りと正しい位置で噛むことを仮の歯で慣れて欲しいからという事です。
 しかし仮の歯でもしっかりした見た目にも綺麗な仮の歯をいれてあげると、一つ困ることがあります。歯の型を採って本物の歯を入れてあげようとしたとき、セットに来ない人が結構います。ある時私の知り合いが、保険外で物も出来ているのになかなか来ない。電話をかけてみると、もう本物の歯が入っているのかと思ったといったことがありました。まだ他にも何人かいます。しかし仮の歯は、強度がありません。やがて摩耗します。薄くは作れませんから、ブラッシングが出来るようには作っていません。また吸水性があるので、やがて中のセメントも溶け、虫歯にしてしまうでしょう。もしそのまま使っているとやがて歯は駄目になり、場合によっては歯が無くなってしまいます。もし他院で歯を作っても、擦り減った歯に慣れた状態では噛み合わせの狂った歯を作られる可能性があります。仮の歯も噛み合わせ治療には大切で有効なものという事が解ってもらえたでしょうか。

ある患者さんの話から

 この患者さんは、今年の4月に、前歯が取れたと言って来られた患者さんです。嫌な予感がしました。やはり取れたのではなく、歯が歯茎のところで折れていました。レントゲンを見てこれは厄介な歯だと即座に思いました。抜かなければどうにもなりません。その頃はコロナのために、緊急時以外は歯を抜かないことという連絡が色々な方面から来た時期です。その上レントゲンを診ると、これは簡単には抜けないような歯と診断ました。患者さんにとっては、前歯で根っこしかない歯だから簡単に抜けるだろうと思っていたと思います。しかし折れたところの周りが虫歯で、柔らかくなっている。おまけに金属の土台が入っていた歯だから、抜く時最も力を入れなければいけない部分が、空洞になってもろくなっている。そしてもう一つ厄介と思ったのは、しっかりした根の治療がしてあり、このような歯は、骨としっかり結合している場合が多いのです。私は大学を卒業して口腔外科に居ましたから、歯を抜くことにかけては色々経験しています。正直その経験から簡単には抜けそうにないし、時期が時期だから、どうしようかと迷いましたが、抜歯することにしました。前歯が2本ですが、無いままでは困るだろうという思いの方が強かったからです。
 時間がかかることは予想していましたから、患者さんには難しい歯という事、時間がかかりそうだという事は言わずに、笑気鎮静法と言って鼻から笑気ガスを吸ってもらって行うことにしました。笑気と言うのは緊張感を押さえ痛みに対しても効果があり、治療時間を短く感じるという効果があります。案の定40分かかったても、1本の歯さへ抜けませんでした。そこで患者さんには、「今日は、中止しましょう。1週間ほど経つと、周りの骨が反応性炎症を起こして抜きやすくなるから。」と話して中止し、1週間後に抜歯しました。今度は簡単に抜けました。歯が抜けたとき、喜んでくれたのでしょう。握手を求められました。思わず躊躇しましたがまあいいかグローブをしているからと握手に応じました。
 すぐに前歯の仮の歯を作ってあげて、抜いたところの歯茎が落ち着くまで待って貰って治療は終わりました。
 本物の歯を入れ治療が終った時、それまで入れていた歯はもらえないかと言われ、どうするのかと聞いたところ、「これでやられたんだと、人に話したいと。」言われました。そういわれたときの私の気持ちを解ってもらえるでしょうが。
 このコロナの問題で大変な時期、気の毒と思う気持ちが強く、意を決して、難しい歯を抜き、ブリッジを作るために歯を削る時もいつも以上に神経を使い。仮の歯も見た目にも綺麗な、噛み合わせも正しい噛み合わせを考え、苦労してあげたのに、私は軽くその患者の肩をポンと叩き、「そんなことを言うもんじゃありませんよ。歯医者で、注射を打ったら、注射を打たれたと言い、歯を抜いてあげたら、抜かれたと言い、虫歯で歯を削ったら、歯を削られたと言い。医科に行ってそういう人がいるんでしょうか。注射を打たれても、注射してもらった、点滴をしてもらった。レントゲンを撮られても、撮ってもらった。そうじゃないですか。」と言ってしまいました。
 どうしてこうなってきたか、それは歯1本の大切さを患者に教えず、身体全体の健康を考えて治療することをおこたってきたからではないでしょうか。しかし最近は、身体の健康を考えて治療する先生も増えて来ているようですが、そういう先生達には頑張ってもらいたいものです。

独り言

 最近独り言という題名が多くなりました。これは、最近噛み合わせ治療をしないで書きたいような患者さんがいないからでなく、5月も腰痛で車にも乗るのに不自由している患者さんを2回の治療で治しました。又肩こりの患者さん。顎が痛いと言って来た患者さん。調整だけで治したり、1本の歯の詰め物を治して治ったり、簡単に治った患者さんばかりだったからです。
 最近相談コーナーに送られてくるメールを見ていると、治療費用が600万と言われたという患者さんが何人かいます。全て東京の人ですが。
 学会で、フルバランスという、歯の作り方を、ある被せなど作る方面で有名な先生が発表されていました。簡単に言うとすべての歯を被せにしてしまうときの方法です。私が「上手な歯医者のかかり方」という本を出版した時は、25年ほど前でしたが、この時は、「私は、噛み合わせを治すのに、200万、300万使ったのに治らない。先生のような治療の方法をしている先生が居られたら紹介してもらえませんか」という内容の電話が、それこそ毎日、主に東京、大阪、福岡などからかかってきていました。どちらにしても費用が高すぎる。私はそう思います。こういう人は、フルバランスのような、治療法をしてもらっているのだろうと思います。一度北海道から来た患者さんを診たことがあります。まさに全ての歯は白い歯の被せにしてありました。
 しかしこういう話も聞いたことがあります。これからデビューしようとする若い歌手が、デビュー前に歯を治す。それもプロダクションとしては、早くデビューさせて稼がせたい、又本人も早くデビューしたいという事で時間もかけず歯を治したことで、つぶれてしまった若い歌手が結構いるという事も聞きました。やはり無理をして全ての歯を被せることは、危険も伴っているのではと思います。
 ある大学の有名な先生が、学会で、噛み合わせ治療には、半年かかると言われていました。又別の大学の教授は、噛み合わせが悪くなって2年以上経つと治らないと言っていました。歪んだ身体にいきなり正しい噛み合わせを作っても身体が反応しないためだと思います。そのため何度も調整が必要で時間がかかる、治らないと言う結果が起こるのではないかと思います。
 他にも色々な方法を勉強しましたが、私の方法は、まず顎が歪んだ原因を取ってあげて、顎が動き易い噛み合わせにして、それから顎が正しい状態になっていくような噛み合わせになるような方法にたどり着きました。
 もしフルバランスのような歯で審美的にもいい歯を作りたいなら、まず矯正治療をして、必要な歯だけ白い被せにし、残った歯はホワイトニングをして、全て白い綺麗な歯にすればいいのではないかと思います。
 以前広島から来た患者さんが、「やはりここに来て治療してもらってよかった、新幹線を使っても安く済んだし、歯も綺麗になり、おまけに健康にしてもらって。」と言ってくれたことがあります。矯正してから噛み合わせを治しました。
 

私が描いた絵の一つ

白馬村ある患者さんが治療後、院内に飾ってある絵を見て、ここに飾ってある絵は、全て先生が描いた絵ですかと言って、お世辞もあったか知れませんが、結構褒めてくれました。
 私の院内に描いた絵を飾るのも私の楽しみの一つです。
 この絵は私が描いた絵の中でも、私自身がお気に入りの絵の一つです。
 ある時プロの画家が治療に来て、私の絵は描き過ぎだという評価をされました。そのことを、私の絵の先生に話すと、「先生は細かい仕事をしているので、どうしてもそうなり勝ちそれはそれで個性としていいんじゃないですか。」と言ってくださいました。

ある時、娘がお願いして、個性心理学研究所の所長、60冊近い本を出版しておられる方ですが、一緒に食事をする機会がありました。人間の個性を12の動物キャラクターに置き換えるというイメージ心理学の手法を取り入れた本も書かれていますが、食事中、私の話になりました。
 私の動物キャラは、「我が道をいくライオン」らしいです。妥協を許さない完璧主義者、意志が強く、自分にも他人にも厳しい人らしいです。
 治療にも、つい完璧主義と言う個性が出てしまい。いい事かどうか。ある歯科助手の一人が、「先生の凄いところは、どんな治療でも決してあきらめない、手を抜かないことです。」と言ってくれたことがあります。しかし従業員に対しても厳しすぎる点は気を付ける点だろうとは思っています。

独り言前回の続き

 衛生士はともかく、技工士が居なくなるということは大変なことだと思います。私は今まで噛み合わせ治療でたくさんの人の病気を治してきました。今まで書いたブログを見て貰えれば解ると思いますが、中には独力で歩けなくなったり、鬱病で仕事が出来なくなり、家に籠っていた、大学を卒業して、就職したばかりの青年の鬱病を治して仕事に復帰できるようにしたり、腰が痛くて夜よく眠れない、朝起きると身体がだるくて、自分がこれから先どうなるのか心配で精神的な病気にもなっていた高校生を治して無事大学に入学させてあげたり、まだまだありますが、それこそ人生にかかわるような人を随分治してきました。
 そうした経験で、そういう患者さんの病気になった原因の約8割ぐらいが、悪い詰め物や、ブリッジ、入れ歯などによるものだと感じています。だからこそ噛み合わせを理解できる技工士が必要です。
 後は矯正するしか方法がないという患者さんです。しかしこれも、子供のころ、特に乳歯から永久歯に生え変わる頃にまず6歳臼歯と言われる、第一大臼歯が生えて来て早期にこの歯を虫歯にした場合、正しい噛み合わせの治療をしてやらないと、この第一大臼歯が正しい高さまで萌出しなくなります。そうなると後から生え変わって来る永久歯の高さもまちまちになって、噛み合わせが狂ってくるというケースが多いのです。もちろん姿勢が悪い、悪習癖がある。よく咬まないなどの原因もありますが、子供だから簡単な治療で早く治して欲しいと言う親が時々いますが、子供だからこそ、しっかりした治療をしてやらなければいけません。
 当院も3人いた技工士が辞めてしまい、外注に頼らなくてはいけなくなりました。やはりその中の一人は技工士を辞め、他の仕事に就いたようです。彼には息子二人が大学に行くと言うので、特別に給与は考えてやりました。おそらく他のどこに行ってもそれだけの給料をもらえるところはなかったと思います。
 外注に出すことになって苦労しました。どこも基本の考えも知らず駄目でした。今は私の噛み合わせに対する考え方を理解し勉強してくれる技工所が見つかって落ち着いています。
 技工士学校に生徒が不足しているという事は、ますます噛み合わせのために、治らない病人が増えてくるという危惧があります。今の技工士学校は、前回書いたように殆ど、女性のようですが、衛生士が不足しているのも結婚、出産などで辞めていくからです。女性の技工士が増えて来ると、同じようなパターンで技工士不足がますます増えるでしょう。コロナのせいで歯科で働こうと言う人も少なくなるでしょう。
 以前、「日本人は歯で滅ぶ」という本を書いた先生がいます。これは大袈裟ですが、そういう危惧も頭に入れて我々歯科医が頑張るしかないでしょう。
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