ある歯医者の独り言

ある歯医者の日常の治療、特に咬み合わせの治療に関する思いを綴る日誌

2008年04月

咬み合わせが狂う原因

 咬み合わせが狂う原因を一時説明しましたが、最近患者さんにこのことについてあまり話しをしていなかったため、一つ説明してないことがあります。
 咬み合わせは、特に、乳歯から永久歯への歯列に代わるときは日常の習慣にも影響を受けます。
 其の一つに、食事中にテレビを見ながら、家族で食事をするとき、最もテレビが見やすい位置は、おそらく、家長であるお父さんがテレビをまっすぐ見える位置に座るでしょう。このとき子供は横に座りテレビを斜めからみることになります。
 何時も右側に座って、テレビを見ながら食事をしていると、いつの間にか右噛みの咬み合わせになってくるのです。
 ある先生が講演のなかで、子供さんが片方の鼻が詰まると言い出したので、反対で咬むように気をつけさしただけで治ったと話されていたのを聞いたことがあります。
 簡単なことのようですが、毎日の生活習慣にもこんな落とし穴があります。気をつけてください。





















 毎日の生活のなかで簡単なことのようですが、気をつけたいものです。

インプラント

 先週はインプラントの手術を、月、火、水、金と昼から休みの木曜日、次の日が日曜日で消毒が出来ない土曜日としましたが、私の感覚では毎日インプラントをしているようでした。
 特に金曜日は上下あわせて7本のインプラントを埋入しました。このときは患者さんの骨の状態が悪く1時間もかかってしまい、さすがの私も疲れました。
 現在はインプラントをしたといって来られる患者さんも増えて、カレンダーをみてみると、先月も11人の患者さんにインプラントをしています。
 私は「入れ歯のお話」という小冊子を作りましたが、入れ歯というものは、保険の入れ歯では決して私たちの目から見ていいものではないということを書きました。
 私は前回に言ったように、赤字をだしてもかまわないから、歯にとっていい設計をしてあげていると書きましたが、それでも、見ているうちにバネの掛かった歯からいたんで、最後には抜けてしまうケースが多いのです。
 又せっかく咬み合わせを治していい入れ歯を作ってあげても、6ヶ月ほどすると身体に症状がでてきます。
 保険外の治療は高いのは確かです。私が患者でも簡単には判断できないかも知れません。しかし入れ歯にして、将来食事も不自由になり、身体にも良くないと考えると、歯がないということは既に病気にかかっていると判断しなければいけません。
 お金が掛かっても、何時までも健康が維持でき、元気で働けることを考えると、いくらお金が掛かっても、病気は治しておかなければと考えるべきでしょう。
 インプラントは自分の歯のように使えるのでいいだけではなく、将来他の歯を抜くことがない。咬み合わせが狂わないという点では非常にいいものだと我々は考えています。
 インプラントの患者さんが増えてきたことは、皆さんが咬み合わせの大切さを理解してきている、結果だと思っています。
 学会でよく会う友人がいます。彼はインプラント一本に40万円もらっているそうです。私はその半分でしていますが、彼は「先生ほどの腕があれば、もっと貰ってもいいのではないか」とよく言いますが、私は出来るだけたくさんの人にしてあげたい理由で値上げはしないつもりです。この4月になって、材料代があがりました。少しは値上げのことも頭にはありましたが、結局現状のままで行くことにしました。
 せっかく患者さんが、歯の治療が物を食べれればいいという考え方から、歯が大切だということに気がついて来てくれているようですから。

脳梗塞

前回の続きですが、脳梗塞が咬み合わせに関係あることを証明するような出来事がありました。
 一つは私の友人ですが、毎日ゴルフばかりやっているよな元気な人間です。ある日首が痛くて、ゴルフが出来ないといって中止して帰りました。
 私は彼の口の中を知っていましたが、首の痛みは咬み合わせのせいだとは思っていました。
 数日経って、ゴルフの最中に意識を失ってしまいました。脳梗塞がおこったのです。
 彼にも咬み合わせが悪いことは、治療に来たとき言っていましたが、私の言うことを聞きません。
 見舞いに行ったとき、退院してから、もう一度確認しましたが、このときは軽く済んで一週間で退院できたため、あまり真剣には考えていないのでしょう。
 もう一つはまだ40歳代の人間が脳梗塞で、2ヶ月入院したことを知りました。彼も私の患者さんですが、入れ歯が難しいといって、仕方なく小さい入れ歯を作りましたが、そのため脳梗塞になってしまったのです。
 それから、噛んでも沈まない、しっかりした入れ歯を作りましたが、入れ歯を直してリハビリも旨く行ったようです。
 10何年前になりますがNHKのクローズアップ現代で歯の咬み合わせと病気のことを取り上げていましたが、脳梗塞で、話も十分に出来ない、お茶も飲めない、歩くことも出来なかった人が、入れ歯を新しくしただけで、まったく普通の生活が出来るようになった例と、認知症で入院していた人が、新しい入れ歯を作っただけで、認知症が治った例を取り上げていました。
 
 入れ歯は単に物を食べるだけの道具で噛めればいいと考えることは非常に危険です。
 特に保険の入れ歯は満足できるものではありません。
私のところで作る入れ歯は保険では出来ない設計もしているので、殆ど赤字です。
 しかし身体に悪いと知って入れることは、損を出しても医師として出来ません。
 願わくば厚生省がこのことを知っているはずですが、入れ歯に対する考えを改めてくれれば、寝たきりの老人も減少するとおもいます。

脳梗塞

 脳梗塞になる原因も色々あるでしょう。咬み合わせの狂いも原因の一つに成っています。
 頭の中に入る大きい動脈は、頚椎の間を通っている椎骨動脈と顎の下から首にかけて、胸鎖乳突筋の下を通る内頚動脈という大きい動脈があります。
 咬み合わせが脳梗塞と関係があるのは主に椎骨動脈です。
 まず一つに咬み合わせが狂うと、頚椎のねじれが起り、血液の流れを悪くします。もう一つには、この動脈は、頭の後ろで首を支えている3つの筋肉の間を通って頭の中に入ります。この筋肉が凝って、隙間が少なくなると、これも血液の流れを阻害します。
 長いこと患者さんを診ていますと、脳梗塞を起こされた患者さんは、咬み合わせの悪いほうの反対に麻痺が起っています。これも咬み合わせと、この病気の関連性を示しています。
 私の友人のお母さんが、治療に来られ、入れ歯を見てあげました。この入れ歯は新しくしたほうがいいですよとお話しましたが、この入れ歯でよく噛めるから大丈夫といって、帰られましたが、6ヶ月ほどして、私の友人に抱きかかえられて来られました。脳梗塞になって寝たきり状態になったのです。
 私の友人は、お母さんの世話で仕事も出来ないと、泣き言を言っていました。
 先日テレビの報道番組で、寝たきり、認知症の家族を抱え、その世話に疲れ、無理心中をした事件が1ヶ月の間に10件あったそうですが、認知症になられた方は、殆ど入れ歯を入れてなかったり、歯が抜けたりしている方たちばかりでした。
 このような病気は本人が辛いだけでなく、周りの家族にも大きな負担になることを、考えて欲しいものです。

 次回又続きのお話をします。

前回からの続き

 咬み合わせが狂う原因について述べてきましたが、まだまだたくさんありますが、重要なものとして、これで最後にします。
 親知らずも咬み合わせが狂う大きな原因の一つです。現代の日本人の顎にとって、親知らずは余分な存在になっています。
 まず20歳頃までは、前歯の歯並びも良かったのに、急に歯並びが悪くなった人もいるでしょう。
 両サイドの親知らずに押されて前歯が押し出されてしまったのです。
 又歯は顎の骨のラインに垂直に生えてきます。親知らずが生える場所は、顎のラインがカーブしている部位に生えてきて、斜めに生えてきます。この親知らずの傾斜が顎が前に出ようとするのを邪魔します。
 又下の親知らずが、横になっていたり、骨の中に埋まっている場合、上の親知らずは咬む相手がいないので、下に伸びてきます。この親知らずが、顎の動きをロックしてしまうのです。
 患者さんは、抜いたほうがいいのですかと聞かれますが、我々の持っているニュアンスは抜かなければいけない歯と思っています。
 ただ皆さん痛くもない歯を抜かれるのが嫌だと、思われているだろうから、柔らかく言ってあげているのです。
 ただ私は、咬み合わせを治してくださいと言われたときは、親知らずを抜くことを薦めても、抜かないと言われる方には、咬合治療をしないことにしています。
 それほど、良い咬み合わせにとって親知らずは邪魔な歯なのです。

前回の続き

 現代人があまり噛まなくなったことが、咬み合わせが狂う一つの要素になっていると前回お話しました。
噛まないことによって、もうひとつの原因が生じてきます。
 顎の発育特に横のほうへの発育には、乳犬歯、もしくは犬歯が重要な働きをしています。
 上下の犬歯が、噛む事によってぶつかり合い、顎は横に広がっていきます。ですから乳犬歯を早く虫歯にするとこまります。
矯正が必要なほど、咬み合わせが悪い人は殆ど、歯の大きさに対して、顎の幅が小さく、歯がきれいに並ばないのです。
それとともに、顎が縦に長い人が増えてきています。このような人は比較的後から生えてくる、小臼歯が中に倒れ、上下の歯がしっかり噛み合わないことになります。
 小臼歯の咬合不全は、精神的なものに大きく影響することは以前に述べました。
 乳犬歯、犬歯は他にも重要な役割を持っています。この歯は特に気をつけて大事にして貰いたいものです。
       次回も続きがあります。

前回の続き

 咬み合わせが狂う2番目の原因についてお話します。
私はよく患者さんの口の中をみて、貴方は食事のときあまり良く噛まずにすぐ呑み込んでいますねと指摘をします。患者さんは驚いていますが、何故解るかというと、よく噛んでいない人は、歯が、生えてきたままの形を保っているからです。
 歯はよく噛んでいると、咬耗といって、食事をするとき邪魔になる部分を自ら削って、自然のなかで、咬み合わせの調整をしているものです。
 歯軋りは、邪魔になる歯を起きている時に無意識に歯をギリギリと削っているのが寝ているときに、出てくるものです。ですから歯軋りの治療には、スプリントなどを使わなくても、咬み合わせの調整だけでなおります。
 咬耗という作業は、歯槽膿漏にとっても一つのセキュリティーになっています。
 かってオーストラリアの原住民には、虫歯がない、歯槽膿漏になっている人間がいない、咬み合わせの悪い人間がいない、そのため世界中の学者が研究に行きました。
 結論としては、彼らの歯は我々の歯のような形はなく、全て平らな歯だったのです。
 彼らは、者を食べるのに、殆ど火を使わないのです。硬いものばかりを噛んでいる内に、邪魔な部分は全て、磨り減ってしまっているのです。
 現代人は、柔らかいものを食べるようになりました。そのため、咬耗というセキュリティーを失ってしまったのです。
 これも咬み合わせが狂う大きな要素になっています。
  次回も続きのお話をします。

前回の続き

 第一大臼歯の治療には、我々も慎重に対処しなければいけません。安易に虫歯だけ治せば、いいなどと思っていると、その子の将来をだいなしにしてしまう恐れがあるからです。
 私は以前このことを一生懸命言い続けました。小学校、保育所などに手紙をかいたり、保育所などにも、お話にいったことがあります。他にも色々努力をしましたが、理解はしてもらえなかったようです。
 第一大臼歯の治療には、条件として、磨り減らないもの、咬み合わせの調整が確実に出来るものでなくてはいけません。きちんとすることをすれば、保険の金属でかまいません。被せや、詰めるのに使う金属は、結構優秀な金属です。
 練って詰める材料は、あまり歯を削らなくて済み、治療も痛くなく、一回の治療で済みます。患者さんや親御さんにとっては、便利でしょう。
 ところがこのような材料で治療すると将来大きな代償を払うことになります。
初めは、肩こりとして症状が出ます。しかし成長期にある子供はこのころから、咬み合わせの狂い、姿勢の崩れが始まっています。
 咬み合わせの狂う原因は、他にもあります。これは次回にお話します。

咬み合わせが狂う原因

 咬み合わせが悪くなる原因は色々考えられます。
其の中で、最も大きな原因は、永久歯として、最も早く生えてくる第一大臼歯にあると思っています。
 上下の歯は、咬合面といって、物を噛む平らな面が、全体的にべっとりあたっているわけではありません。
 正しい咀嚼をするためと、噛んでも痛くない点だけにあたっていなければいけません。
 もう一つ重要なことは、この第一大臼歯が崩出してくる過程で、この上下の歯が接触する点が違ってくると、第一大臼歯は十分な高さまで歯が出てきません。
 もし右下の大臼歯を早く虫歯にして、詰め物をしたとき、この接触しなければいけない点で当たらず、他の部位で咬合すると、この大臼歯はそれ以上崩出してきません。
 大臼歯は最も早く崩出する歯なので、この位置が狂うと後から生え変わる歯の位置も狂ってきます。
 咬み合わせが悪くなる大きな原因となっています。
 子供の歯だから、もっと簡単にしてくれればいいのにと言う親が時々います。大きな間違いで、この時期の治療こそ、大事にしてあげなければいけません。
 私が10年以上前、診た患者で当時高校生でしたが、酷い腰痛、頭痛、不眠で、学校も休むことが多く、入院することも多かったようです。
 この原因は何処にあったか。実は、右下の大臼歯に詰めてあったものが高かったのです。この歯の調整だけで、たくさんあった不定愁訴がほとんど消えたのです。
 この歯一本のおかげで、人生の中で、最も意義ある、楽しい時期を辛い気持ちですごしました。

     この話は重要で、長くなります、続きは次回に回します。

治療の価値

 よく歯医者は高いと言われるが本当にそうなのだろうか。先週ある患者さんから、いくら掛かってもいいから、いいようにしてといわれました。随分前に、毎日マッサージに行って6ヶ月通ったことがある。それを思えば歯を治して、健康になるなら安いものだと言われました。
 先週の土曜日には、ある患者さんから、喘息はでる、お腹が痛い、肩が凝って気分が悪い、お金はいくら掛かってもいいから助けてといわれ、今まで私自身が躊躇していた歯を5本外して仮の歯に換えてあげました。帰るときには、楽になった、気分が良くなったと喜んで帰られましたが、実は外した歯は全て保険の歯で、金属で出来ているため、低いものを足すということができないのです。
 歯科の場合、保険外治療というものがあります。これらが何故高くなるかというと、殆どが材料代であり、高い材料を扱うには、それなりの技術、機械、時間などが必要だからです。
 医科の治療の場合は殆どが保険治療であり、患者さんは、保険でしていると思えばいくら治療費が掛かっても治療費が高いとは言わないようです。
 物が高い、安いと判断するのは、その人の満足度と、経済力によるものが大きいとおもいます。
 私の咬合治療は、腰の痛いのが治った、杖なしで歩けるようになった、肩こりが治ったなどのような場合でも、それらに対して、お金は一切もらえません。
 もらえないどころか、診断で歯からこの病気は来ていると言った以上治らなくては怒られます。
 私は保険の治療でも、病気を作らないよう、病気がある人は治してあげようと常に考えて治療しています。
 これを考えると私のところの治療費は非常に安いという評価が出るのではないだろうか。
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