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2008年04月08日

トロピカルビーチ

とある年の8月のある日。
急に休みが2日取れた。

マンションから海を眺めて朝を迎えた僕(=パパ)がいた。
朝食を済ませ片付けもして朝の勉強も済ませた子供たちがいる。
「パパは今日は寝ないの?」
「お休みが出来ました」
「よかったね。パパ。ゆっくり寝てください」
「海に行きたいか?」と聞いた。
「パパは?」と聞き返してくる。

実は自分が海に行きたいのだ。
「パパは行きたいなあ・・・どうしようかなあ・・・ひとりで行こうかなあ」
「あっ そっか パパが行きたいのね。じゃ一緒に行ってあげる」
「あのさあ・・・パパに連れてってってお願いしてよ」
「どうして?」
「お願いされたら行きたいんだけどなあ」
「んぅ〜パパっ!」
「はい」
「パパ、海に連れてってくださいっ」
「はい!わかりました!どうしても海に行きたいんですか?」(≧m≦)ぷっ!
「えっとね・・・パパが行きたいから、行きたいの」(;´▽`A``
「(パパがじゃなくてさ・・・)わかりました。今日は海に連れてってあげるからね」
「うんっ」
「じゃあ準備しないとね」

なーんてパパなんだろう。

沖縄に住んで3年も経つのに仕事に感けて(かまけて)首里城さえも行ったことがなかった。
子供たちは遠足などで何度も行っているのだけれど。

そんなわけで子供連れで遊べる海水浴場なんて知らなかった。

とりあえず仕事で店長を任せているマサに電話した。
・・・が要領を得ない。

結局、子供の先生に電話をして伺うことにした。
勧められたのは沖縄県宜野湾市にあるトロピカルビーチ♪

この海水浴場は監視員常駐しておりネット(フェンス)が張ってあり高波でもない限り、
浅瀬の向こうから改装などは入ってこない静かな「ファミリービーチ」とのこと。
しかも救護室もあるので万が一でも応急処置が可能。

んじゃ、そこに行ってみよう♪

車に乗るとパパは叫ぶ。

「行くぞぉ〜!」
「お〜っ!」
と合いの手を打ってくれる子供たち。

「発進!」
「了解!」

ぶろろろろろろろ・・・

道に迷ったら、マサに聞く。
仕事先と飲み屋さん以外は知らないのだ。

どうにかこうにか付いたが家族連れでいっぱい。
奥の方の人が少ないところで遊び始めた。

「お父さん、セーフティネットがありますのでそこまでで遊ばせてください」
管理人か監視員に言われた。

娘は弟に「そっちはダメ」と教えてくれる。
パパは座って「へそ」くらいの海水では満足しない。

フェンスの向こうのテトラポットの上にあがり娘に聞いてみた。
「パパはちょっと潜りたいんだけどいいですか?」
「どーぞ」
「じゃ、遊んでてくれる?」
「パパが心配だから見てる」
「こっちじゃ落ちたら危ないから上がらなくていいよ」
「座って見てる」
「う〜ん、じゃあここで二人で座っていてね。立ったらパパは遠くまで行っちゃうからね」
「は〜い」

じゃぼんっ♪

いや〜海はいいなあ〜♪

って海中で前転しながら身体を海に委ねた。

何やら「パパ〜パパ〜」と声が聞こえてくるような気がした。

顔を出して「どうしたの?」と聞いた。
「見てるからね〜」
「は〜いよ。ありがと」

じゃぼんっ♪

そんなことを数回繰り返していました。

そろそろ子供と遊んで最後にもう一度潜ればいいか・・・
と海から上がろうとしたとき足に海草のようなものが絡みついた。

「若布かな?」と手で払った。
が、まだ絡み付いてくる。

「あれ?ぬるぬるしてる。若布だな。味噌汁にしちゃうぞ」
なんて思いながらも手で払い続けた。

しかし・・・取れない。
ちくっびりびり・・・

「あれ?若布じゃなくて海草だな」
ちくっ べったり びりびり・・・

「とりあえず上がろう・・・」
びりびりびりり〜 ちくっ ちくっ ちくっ

「お〜痛〜〜〜〜〜っ!」
「パパ?どうしたの?」
「痛いよ。なにこれ」
「あ、クラゲさんだよ」
「は?」
「それハブクラゲ」
「何でそんなの知ってるんだ?」
「パパ、すぐに水で流して救護室に行きましょう」
「は、はい。わかりました」

子供たちに案内してもらいながら救護室へ駆け込んだ。
「すみません、なんか刺されたみたいなんですが」
すでに太腿付近は真っ赤に腫れあがっている。
「あれー!こりゃクラゲにやられましたね」
「そうですか。ちょっと痛いです」

ざっと水で流して消毒をしていただいて、何か薬草をあてがわれ包帯で固定。

「どうもすみません」
「どこで泳いでいました?」
「あそこの一番奥なんですが・・・」
「ネットを越えました?ダメなんですよ」
「はあ・・・すみません」

そこで娘の一言が炸裂した。

「パパはあそこのこっち側で泳いでいました」


監視員たちが騒ぎ出した。

「波は高くないから入らないはずだ」
「ネットが破れているのかも知れない」

いきなり備え付けの拡声器のマイクを持って放送が始まった。

「奥で遊泳中のみなさん、ネットが破れてクラゲが侵入しました。
 砂浜まで上がってください!」

(え?)

「奥で遊泳中のみなさん、ネットが破れてクラゲが侵入しました。
 砂浜まで上がってください!」

(あちゃ〜取り返しつかねーぞ)
娘の顔を見た。
「パパに後でお話があるの」
「はい」
「運転できる?」
「うん」
「帰りにサンエーでアイス買ってくれる?」
「うん。早くおうちに帰りたいです」
「じゃ、帰ろうね」

娘は救護員の方に何やら話をして外から戻ってきた。
「じゃ、パパ帰ろう」
「はい」

泳いでそのまま帰宅してシャワーを浴びる手順だったので荷物はタオルと浮き輪しかない。

「お世話になりました」と救護員の方に挨拶をした。
監視員の方々は海辺で網のようなものを抱えてすくいあげている。
「監視員の方にも挨拶をしたいのですが」
「お父さん、いいわよ。しっかりしたお子さんですね。お気をつけて」

黙って駐車場へ向かった。
「なあ、パパは心が痛いです」
「どうしたの?」
「だってみんなに迷惑をかけちゃった」
「うん、あのね。こないだね。みんなとここに来たの」
「そ、そうですか」
「うん、それでね。○○ちゃんと○○くんがあっちの向こうで遊んですごく怒られました」
「はあ」
「パパも怒られちゃうから・・・」しくしくと泣き出す長女
「そっかあ。パパのこと助けてくれたんだね」
「うん、だってパパがいなくなっちゃったら死んじゃうもん」
「は?」
「パパ大好き」
「パパも大好きです」

すると「僕もパパが好き〜」と長男坊
「すぐ真似するんだから」と長女

「ありがとう。だけど嘘をついたらダメだよ」
「は〜い。わかってます」
「本当にわかってる?」
「はい」
「じゃあ、パパが謝りに行く」
「はい。嘘を言ったのはパパじゃありませんって謝ります」
「いいよ。パパが一人で行くからね」
「一緒に行きます」
「わかった。じゃあ一緒に怒られ様ね」
「は〜い」

みんなで謝りに戻ったのですがいつまでも監視員の方々は戻りません。
救護員の方が「あら、家に帰って休んだほうがいいわよ」と一言。
「実はネットの外側で潜っていたんです」
「あら、いけないお父さんですね」
「はあ、すみません」
「でも言わないでおくから帰っていいですから」
「言わないって?」
「もういいわよ、いくらなんでも今さら言えないでしょ」
「はあ・・・」

そうして僕たち親子は帰宅途中のサンエーでアイスクリームを買って帰ったのでした。

夜、N里さん家族との飲み会があって、そのことを話したら大笑いされた。
「しゃちょーよー 足だいじょーぶね?」
「いや〜迷惑かけちゃって」
「しゃちょーも若いからよー」
「どうもなんと言うか、やっぱり迷惑をかけちゃって・・・」
「いいさーねー 泳いでいた人 全部集めて謝るねー?」
「それも無理ですよね。新聞に謝罪広告なんかどうかなあ」
「あー無駄無駄 わったーが話しとくさー あっはっは」
「ま、痛むけど呑みますか」
「だっからよー」

結局、N里さんの奥さんと子供2人とうちの子たちはN里さん宅に行き、
僕たち二人は朝までコースで飲み明かしたのでした。

4日くらい足は腫れたままでしたけど。

今でもあのときのことをお詫びしたいと思います。
ごめんなさい。m(__)m

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