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激しい腹痛 急性胃粘膜病変(AGML)

 今回の患者さんは2日前に突然激しい腹痛・胃痛・むかつきが発症しました。あまりに痛くて寝られないほどでしたが、仕事のためすぐには医療機関に受診できずにいました。

 尋常ではない痛みになんとか胃カメラをできないかと問い合わせをいただきました。
 その切実な問い合わせに、電話越しに聞いていたナースは内視鏡の準備を始めた程でしたが、どうしても外せない仕事があるとのことで、内視鏡は翌日(発症から3日目)となりました。

AGML2012_01 その内視鏡の写真が左です。
 粘膜がむくんでいて多数のびらんがみられます。一部は潰瘍状となり、出血を示す黒い付着物が見られました。あたかもヤケドのようです。
 
 画像所見から 急性胃粘膜病変(Acute Gastric Mucosal Lesion) と診断し、胃粘膜保護剤と胃酸を抑える薬を飲んでいただき、ほどなく症状は改善しました。
 この急性胃粘膜病変は急性胃炎の重症型で、その頭文字を取ってAGMLとも呼ばれます。

AGML2012_02 症状は、みぞおちから上腹部にかけての強い腹痛や吐き気があることが一般的です。出血が多い場合には吐血や下血(黒い便)がみられることもあります。

 原因は、解熱鎮痛剤や抗生物質などの薬剤、刺激性の飲食物、ストレスなどがあり、更に外科手術やピロリ菌感染なども原因になると言われています。

 AGMLの治療は必ずしも入院が必要ではありませんが、出血していたり激しい痛みで水も飲めないような時は入院になります。今回の方は症状はひどかったものの出血もなく自宅療養が可能でした。またこのAGMLの写真はひどいびらんに見えるかもしれませんが、僕ら内視鏡専門医から見ると比較的おとなしいAGMLだと思われます。おそらく発症から3日経って落ち着いたのでしょう。

 ところで激しい腹痛を来す病気は他にもたくさんあります。7月にご紹介したアニサキスは激しい腹痛で有名です(先日2例目が見つかりました)。胃や十二指腸の他にも胆嚢炎や膵炎、更に心筋梗塞も激しい上腹部痛のことがあります。変わったところでは重症の糖尿病でも激しい腹痛が起こることもあります。

 ですから 、当院では内視鏡は緊急性があればいつでもやる用意はありますが、かと言ってお腹が痛ければなんでも内視鏡とは考えていません。消化器病専門医、内科専門医として、今後も様々な疾患を念頭に適切な診療・検査・治療を行っていきたいと考えています。



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