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予防接種の履歴管理 ~母子手帳とイエローカード~

IMG_2239s 海外駐在や留学が決まった方から予防接種の相談を受けることがあります。
 その際、これまでの予防接種歴を尋ねますが、ほとんどの方は把握していません。破傷風(三種混合)や日本脳炎などは小さい頃に定期接種で打っていて基礎免疫がついている可能性があります。それがわかれば追加接種の1回だけでよいことになります。またアジア諸国では麻疹や風疹が流行している国があります。その国ではそれが当たり前なので問題になっていないだけで、日本からの渡航者にとっては重要な問題のはずですが、肝心の予防接種が済んでいるかどうかが把握されていないことがしばしばあります。

 幼少期の予防接種は母子手帳を確認できれば話しはスムースなのですが、なかなか持参される方はいません。
 また数年前に出張で予防接種を受けたというのに、詳細の記録がなく、打った肝炎の予防接種がA型肝炎なのかB型肝炎なのかわからないといった方もいます。
 
 予防接種の履歴の管理は重要です。そのため当院では国際予防接種証明書(通称・イエローカード)を用意しています。この証明書の正式名は International certificate of vaccination or prophylaxis といい、黄熱病などの予防接種を証明するためにWHOがモデルとして作成した国際証明書です。当院で使用しているものはアメリカ政府(HHSとCDC)が監修したアメリカ版です。

 現在、入国時に予防接種が義務づけられることがあるのは黄熱病のみで、イエローカードにはそのためのページがありますが、黄熱病のワクチンは検疫所など特定の施設でしか接種できないため当院では使用しません。

IMG_2236s しかしアメリカの大学のように、予防接種を済ませていることが入学の条件となる場合には、イエローカードで接種の証明することが役立つでしょう。(実際には英文の診断書が必要になることが多いようですが)

 また海外渡航後に追加のワクチンを打つ場合、これまで打ったワクチンが分かることには意味があります。

 このイエローカードは複数のワクチンを同時接種されるなどトラベルワクチンとして接種される方には渡すようにしていますが、それ以外でも必要な方には渡しています。
 母子手帳やイエローカードを通じて、ワクチン接種を管理する意識が高まることを願っています。

 なお、ワールドカップでブラジルに渡航予定の方は黄熱病にご注意下さい。厚生労働省検疫所のHPに注意事項が掲載されています。特に予選第三戦のコロンビア戦が行われるクイアパは黄熱病ワクチンの接種推奨地域のようです。


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